説明

粘着テープ

【課題】充分なタック性を有し、平滑表面に対する粘着力と凹凸表面に対する粘着力とに優れる粘着テープを提供する。
【解決手段】基材と前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる粘着テープであって、前記粘着剤層は、(A)(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜99.8重量%、(b)カルボキシル基含有単量体0.1〜27重量%、及び、(c)その他重合可能な単量体0.1〜8重量%を含有する単量体混合物を重合することにより得られる(メタ)アクリル系共重合体100重量部、(B)粘着付与樹脂0.5〜10重量部、並びに、(C)硬化剤としてエチレンイミン又はトリレンジイソシアネート0.1〜3.0重量部を含有する粘着剤組成物を塗工してなるものである粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充分なタック性を有し、平滑表面に対する粘着力と凹凸表面に対する粘着力とに優れる粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、作業性に優れることから、家電製品、自動車、OA機器等の広い範囲で日常的に用いられている。
粘着テープには一般に高い粘着力が求められるが、被着体が平滑表面を有する場合と、粗い凹凸表面を有する場合とでは、極端に粘着力が異なるという問題があった。即ち、平滑表面を有する被着体に対して高い粘着力を発揮するためには、粘着テープの粘着層を比較的硬くする必要がある。しかしながら硬い粘着剤層では凹凸表面への追従性に劣ることから、高い粘着力を発揮することができない。
【0003】
粘着テープの粘着力を向上させる方法として、粘着付与剤を添加することが行われる(例えば、特許文献1)。しかしながら、平滑表面に対する粘着力と凹凸表面に対する粘着力とを共に向上させようとして大量の粘着付与剤を添加すると、タック性が著しく低下して、粘着テープとしての役割を果たせなくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−2212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、充分なタック性を有し、平滑表面に対する粘着力と凹凸表面に対する粘着力とに優れる粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基材と前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる粘着テープであって、前記粘着剤層は、(A)(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜98重量%、(b)カルボキシル基含有単量体0.2〜8重量%、及び、(c)その他重合可能な単量体0.2〜27重量%を含有する単量体混合物を重合することにより得られる(メタ)アクリル系共重合体100重量部、(B)粘着付与樹脂0.5〜10重量部、並びに、(C)硬化剤としてエチレンイミン又はトリレンジイソシアネート0.1〜3.0重量部を含有する粘着剤組成物を塗工してなるものである粘着テープである。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
本発明の粘着テープは、基材と該基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる。
上記粘着剤層は(A)(メタ)アクリル系共重合体、(B)粘着付与樹脂、及び、(C)硬化剤を含有する粘着剤組成物を塗工してなるものである。
【0008】
上記(メタ)アクリル系共重合体は、(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(b)カルボキシル基含有単量体、(c)その他重合可能な単量体を含有する単量体混合物を重合することにより得られるものである。
上記アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは特に限定されず、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好適である。
【0009】
上記単量体混合物における上記炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合量の下限は65重量%、上限は99.8重量%である。上記炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合量が65重量%未満であると、凝集力が過剰に大きくなるためタックが低下し、99.8重量%を超えると、凝集力が過剰に低下するため粘着力が低下する。上記炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合量の好ましい下限は70重量%、好ましい上限は98重量%であり、より好ましい下限は75重量%、より好ましい上限は95重量%である。
【0010】
上記カルボキシル基含有単量体は特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、等が挙げられる。これらのカルボキシル基含有単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、アクリル酸、メタクリル酸が好適である。
【0011】
上記単量体混合物における上記カルボキシル基含有単量体の配合量の下限は0.1重量%、上限は27重量%である。上記カルボキシル基含有単量体の配合量が0.1重量%未満であると、硬化剤との反応点が消失し粘着力が著しく低下し、27重量%を超えると、ガラス転移点が過剰に高温になり、タックが低下する。上記カルボキシル基含有単量体の配合量の好ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は25重量%であり、より好ましい下限は0.8重量%、より好ましい上限は22重量%である。
【0012】
上記その他重合可能な単量体は特に限定されず、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等や、アクリルアミド、2−メチルアクリルアミド、2−エチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有単量体等が挙げられる。これらのその他重合可能な単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、酢酸ビニル、アミド基含有単量体が好適である。
【0013】
上記単量体混合物における上記その他重合可能な単量体の配合量の下限は0.1重量%、上限は8重量%である。上記その他重合可能な単量体の配合量が0.1重量%未満であると、粘着剤組成物の保持力が低下し、8重量%を超えると、ガラス転移点が過剰に高温になり、タックが低下する。上記その他重合可能な単量体の配合量の好ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は7重量%であり、より好ましい下限は0.8重量%、より好ましい上限は6重量%である。
【0014】
上記粘着付与樹脂は特に限定されず、ロジン類、ロジン誘導体、石油系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、テルペンフェノールや水素化テルペン等のテルペン系樹脂が好適である。
【0015】
上記粘着剤組成物において上記(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対する上記粘着付与樹脂の配合量の下限は0.5重量部、上限は10重量部である。上記粘着付与樹脂の配合量が0.5重量部未満であると、粘着力が低下し、10重量部を超えると、経時での変色等の問題が発生する。上記粘着付与樹脂の配合量の好ましい下限は0.8重量部、好ましい上限は9重量部であり、より好ましい下限は1.0重量部、より好ましい上限は8重量部である。
【0016】
上記粘着剤組成物は、硬化剤としてエチレンイミン又はトリレンジイソシアネートを含有する。上記(メタ)アクリル系共重合体が上記の単量体混合物からなり、かつ、硬化剤としてエチレンイミン又はトリレンジイソシアネートを用いることにより、平滑表面に対する粘着力と凹凸表面に対する粘着力とを両立することができる。これは、架橋密度が適度なレベルに保たれ、粘着剤自体の柔軟性のバランスが最適化されているためではないかと考えられる。
【0017】
上記粘着剤組成物において上記(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対する上記硬化剤の配合量の下限は0.1重量部、上限は3重量部である。上記硬化剤の配合量が0.1重量部未満であると、再剥離性が低下し、3重量部を超えると、ガラス転移点が過剰に高温になり、タックが低下する。上記硬化剤の配合量の好ましい下限は0.3重量部、好ましい上限は2.5重量部であり、より好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は2.0重量部である。
【0018】
上記粘着剤組成物は、必要に応じて、帯電防止剤、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤、熱安定剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
【0019】
上記基材は特に限定されず、二軸延伸ポリプロピレン等の従来公知の基材を用いることができる。なかでも、手切れ性等に優れることから、ポリエステル糸をタテ糸、ヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材、又は、ポリエステル糸をタテ糸、フラットヤーンをヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材が好適である。
【0020】
本発明の粘着テープは、上記基材の片面にのみ上記粘着剤層を有する片面粘着テープであってもよく、上記基材の両面に上記粘着剤層を有する両面粘着テープであってもよい。
本発明の粘着テープは、上記基材の少なくとも片面に上記粘着剤組成物を塗工して粘着剤層を形成することにより製造することができる。
上記塗工の方法は特に限定されず、例えば、ドクターナイフやスピンコーター等を用いた従来公知の塗工方法を用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、充分なタック性を有し、平滑表面に対する粘着力と凹凸表面に対する粘着力とに優れる粘着テープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
(1)(メタ)アクリル系共重合体の調製
2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)76重量部、メタクリル酸20重量部、アクリル酸2重量部及びアクリルアミド2重量部、及び、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部を添加し、フラスコ中で60℃、6時間溶液重合することにより(メタ)アクリル系共重合体を得た。
【0024】
(2)粘着テープの製造
得られた(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対して、粘着付与剤としてテルペンフェノール2.5重量部と、硬化剤としてエチレンイミン1.5重量部を加え、スパチュラを用いて常温で攪拌することにより混合して粘着剤組成物を調製した。
一方、基材として厚さ40μmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを準備した。
【0025】
基材の一方の面上に粘着剤組成物を、アプリケーターを用いて粘着剤層の厚さが30μmとなるように塗工した。塗工後、100℃で3分間乾燥後、40℃で33日間養生して粘着テープを得た。
【0026】
(実施例2〜6、比較例1〜4)
(メタ)アクリル系共重合体及び粘着剤組成物を表1のようにした以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0027】
(評価)
実施例及び比較例にて製造した粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
【0028】
(1)SUS板に対する粘着力の測定
JIS Z 0237に準じる方法により、SUS 304鋼板に対する180°引きはがし粘着力を測定した。
【0029】
(2)ベニア板に対する粘着力の測定
厚み2mmの建材用のベニア板を用いた以外はJIS Z 0237に準じる方法により、ベニア板に対する180°引きはがし粘着力を測定した。
【0030】
(3)タック性の評価
JIS Z 0237に準じる方法により、傾斜式ボールタックの値を測定した。
【0031】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、充分なタック性を有し、平滑表面に対する粘着力と凹凸表面に対する粘着力とに優れる粘着テープを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる粘着テープであって、
前記粘着剤層は、(A)(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜99.8重量%、(b)カルボキシル基含有単量体0.1〜27重量%、及び、(c)その他重合可能な単量体0.1〜8重量%を含有する単量体混合物を重合することにより得られる(メタ)アクリル系共重合体100重量部、(B)粘着付与樹脂0.5〜10重量部、並びに、(C)硬化剤としてエチレンイミン又はトリレンジイソシアネート0.1〜3.0重量部を含有する粘着剤組成物を塗工してなるものである
ことを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
他重合可能な単量体は、酢酸ビニル及び/又はアミド基含有単量体であることを特徴とする請求項1記載の粘着テープ。
【請求項3】
粘着付与樹脂は、テルペン系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項4】
基材は、ポリエステル糸をタテ糸、ヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
【請求項5】
基材と、ポリエステル糸をタテ糸、フラットヤーンをヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の粘着テープ。

【公開番号】特開2012−1666(P2012−1666A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139489(P2010−139489)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】