説明

粘着剤、光学部材用粘着剤、及び粘着剤層付き光学部材

【課題】 帯電防止性能に優れ、更には、高温、高湿の条件下においても、光学積層体、とりわけ偏光板とガラス基板との接着性に優れ、粘着剤層とガラス基板との間に発泡や剥離が生じない上に、高額な液晶モジュール等の被着体を汚染しない光学部材用粘着剤及びかかる粘着剤層付き光学部材を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 アクリル系樹脂(A)及び親水性基を有する不飽和化合物(B)を含有する樹脂組成物が、活性エネルギー線及び熱のうち少なくとも1つにより架橋されてなることを特徴とする粘着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤、特には液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイ等の画像表示装置に好適に用いられる光学フィルム(偏光フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルムなど)等において、例えば、偏光フィルムが、三酢酸セルロース系フィルム等の保護フィルムで被覆された光学積層体と液晶セルのガラス基板とを接着するための光学部材用粘着剤、及びかかる粘着剤層が設けられた光学部材、とりわけ粘着剤層付き偏光板に関し、更に詳しくは、耐久性を維持したまま帯電防止性能に優れた光学部材用粘着剤、及びかかる粘着剤層付き光学部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、偏光フィルム、例えば偏光性が付与されたポリビニルアルコール系フィルム等の両面が、セルロース系フィルム、例えば三酢酸セルロースフィルムで被覆された偏光板を、2枚のガラス板の間に配向した液晶成分を挟持させた液晶セルの表面に積層され、液晶表示板とすることが行われており、この液晶セル面への積層は、偏光板表面に設けた粘着剤層を該セル面に当接し、押し付けることにより行われるのが通常である。
【0003】
そして、上記偏光板等の光学部材の表面に設けた粘着剤層には、傷や汚れを防止する目的でセパレーターが設けられたり、加工及び搬送過程で生じる傷や汚れ等を防止する目的で表面保護フィルム等が設けられたりするが、液晶セル等に貼り合わせる際にはこれらセパレーターや表面保護フィルムは不要となり、剥離除去されることになる。このような光学部材からセパレーターや表面保護フィルムを剥離する際に静電気が発生することとなり、かかる静電気により、光学部材にゴミが付着したり、液晶配向の乱れによる異常表示が生じたり、周辺回路素子の静電破壊が起きたりする等の不具合が生じるという問題がある。
【0004】
また、上記の粘着剤層を設けた光学部材を液晶セルに貼り合わせる際に、異物混入や損傷、接着ミス等が生じた場合、剥離して再貼合することになるが、かかる剥離においても上記と同様、静電気が生じ不具合が生じることとなる。
【0005】
かかる対策としては、例えば、光学部材に用いる粘着剤組成物において、ベースポリマーにイオン性液体を配合することにより帯電防止性能を発現させることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、偏光板や位相差板に用いる粘着剤において、アクリルポリマーと紫外線硬化型樹脂と架橋剤を含有させ高い貯蔵弾性率を示す粘着剤とすることにより耐久性や光漏れ耐性を発現することも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2006−11365号公報
【特許文献2】特開2006−235568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、帯電防止性能の効果は認められるものの、イオン液体のみの帯電防止性能に頼るものであったため、帯電防止性能も不十分であった。また、上記特許文献2の開示技術では、耐久性や光漏れ耐性に関する効果はあるものの帯電防止性能については全く考慮されておらず、光学部材からセパレーターや表面保護フィルムを剥離する際に生じる静電気への対処という面で問題の残るものであった。
【0007】
なお、偏光板が用いられる液晶表示板は、パソコンや液晶テレビ、カーナビゲーション等の表示装置として広範囲に使用され、それに伴って使用環境も非常に過酷になっており、かかる過酷な環境下での使用においても耐久性に優れることが要求されており、例えば、高温、高湿といった過酷な環境下においても、粘着剤層とガラス板との間に生じる発泡や剥がれといった現象がないことが要求されている。
【0008】
そこで、本発明ではこのような背景下において、高温、高湿の条件下においても、光学積層体、とりわけ偏光板とガラス基板との接着性に優れ、粘着剤層とガラス基板との間に発泡や剥離が生じないといった耐久性も良好でありながら、帯電防止性能に優れ、高額な液晶モジュール等の被着体を汚染しない粘着剤、特には光学部材用粘着剤及びかかる粘着剤層付き光学部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
しかるに、本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、活性エネルギー線及び熱のうち少なくとも1つにより架橋される成分として親水性基を有する不飽和化合物をアクリル系樹脂を主成分とする粘着剤組成物に含有させることにより、高温、高湿の条件下においても、光学積層体、とりわけ偏光板とガラス基板との接着性に優れ、粘着剤層とガラス基板との間に発泡や剥離が生じないといった耐久性も良好でありながら、帯電防止性能に優れ、被着体汚染を生じさせない粘着剤となることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明の要旨は、アクリル系樹脂(A)及び親水性基を有する不飽和化合物(B)を含有する樹脂組成物が、活性エネルギー線及び熱のうち少なくとも1つにより架橋されてなることを特徴とする粘着剤に関するものである。
本発明においては、前記粘着剤を含有する光学部材用粘着剤および、かかる光学部材用粘着剤が光学部材に積層されてなる粘着剤層付き光学部材も提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粘着剤、特には光学部材用粘着剤は、高温、高湿の条件下においても、光学積層体、とりわけ偏光板とガラス基板との接着性に優れ、粘着剤層とガラス基板との間に発泡や剥離が生じないといった耐久性も良好でありながら、帯電防止性能に優れ、更に、粘着剤成分のブリードがほとんどないため、被着体汚染もないといった効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
【0013】
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、好ましくは、重合成分として、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)および官能基含有モノマー(a2)を主成分として含有し、必要に応じて、その他の共重合性モノマー(a3)を共重合成分とすることもできる。本発明におけるアクリル系樹脂(A)は、その共重合成分として官能基モノマー(a2)を使用したものであることが、アクリル系樹脂(A)の架橋点となり得ること、基材や被着体との密着性、帯電防止性能を更に向上させる点で好ましい。
【0014】
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の脂肪族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリル酸フェニルエステル等の芳香族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが挙げられる。
【0015】
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルについては、アルキル基の炭素数が、通常1〜12、特には1〜8、更には4〜8であることが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸フェニルエステルとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】
その他(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
【0017】
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)の中でも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさ及び原料入手しやすさの点で、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、更に好ましくは帯電防止性能が優れる点でn−ブチル(メタ)アクリレートが用いられる。
【0018】
官能基含有モノマー(a2)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、オキシアルキレン基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、窒素含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー等が挙げられ、単独又は2種以上併用して用いられる。
【0019】
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーが挙げられる。
【0020】
また、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマーを用いてもよい。
【0021】
かかる水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤との反応性に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましく、更には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを使用することが、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で特に好ましい。
【0022】
なお、かかる水酸基含有モノマーとしては、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5%以下のものを用いることも好ましく、更に0.2%以下、殊には0.1%以下のものを使用することが好ましい。
【0023】
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸、(メタ)アクリル酸のミカエル付加物(例えば、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステル(例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等)等が挙げられる。なお、かかるカルボキシル基含有モノマーは、酸のまま用いても良いし、アルカリで中和された塩の形で用いても良い。
【0024】
なお、かかるカルボキシル基含有モノマーを用いる場合には、共重合させポリマー化した後に、カルボキシル基含有モノマー由来のカルボキシル基を中和剤により中和して、部分中和物、または完全中和物とすることが好ましい。
かかる中和剤としては、アンモニア、アルカリ性を示すアンモニウム塩およびモノエチルアミン、モノエタノールアミン等の一級アミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン等の二級アミン;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N,N′−トリメチルエチレンジアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等の三級アミン;ジアミン、ポリエチレンイミン等の1分子中に複数の窒素原子を有するアミノ化合物;ピリジン等の環式アミノ化合物等のアミン化合物;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等があげられる。
これら中和剤の中でも、中和後の帯電防止能の点からアルカリ金属の水酸化物が好ましく、特にはアクリル系樹脂との相溶性から水酸化カリウムを使用することが好ましい。
【0025】
上記オキアルキレン基含有モノマーとしては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の脂肪族系の(メタ)アクリル酸エステルや、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレートのアクリル酸エステル等があげられる。
【0026】
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0027】
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物等が挙げられる。
【0028】
上記窒素含有モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
【0029】
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0030】
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
【0031】
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等が挙げられる。
【0032】
かかる官能基含有モノマー(a2)の中でも、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、オキシアルキレン基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマーが好適に用いられ、更には水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、オキシアルキレン基含有モノマーが、剥離物性に優れ、また耐久性にも寄与する点で、特に好適に用いられる。
これら官能基含有モノマー(a2)は、1種又は2種以上併用して用いてもよい。
【0033】
その他の共重合性モノマー(a3)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のモノマーが挙げられる。
【0034】
また、高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等を併用することもできる。
【0035】
アクリル系樹脂(A)において、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、官能基含有モノマー(a2)、及びその他共重合性モノマー(a3)の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)が10〜99.9重量%、官能基含有モノマー(a2)が0.1〜90重量%、その他共重合性モノマー(a3)が0〜49.9重量%であることが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)が30〜95重量%、官能基含有モノマー(a2)が5〜70重量%、その他共重合性モノマー(a3)が0〜29重量%である。
【0036】
また、アクリル系樹脂(A)においては、官能基含有モノマー(a2)として、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、オキシアルキレン基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種(特に好ましくは、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、オキシアルキレン基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種)のモノマーを全モノマー成分に対して3〜90重量%含有することが好ましく、特には5〜70重量%含有することが、更には15〜40重量%含有することが好ましい。上記モノマーの含有量が少なすぎると、帯電防止性能の更なる向上が得られにくい傾向があり、多すぎると粘着性に劣る傾向がある。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)が少なすぎると、例えば粘着剤として使用した場合は、粘着力が不足する傾向にあり、多すぎると官能基導入量が少なくなるため凝集力が不足したり、極性が下がることにより帯電防止能が低下する傾向にある。官能基含有モノマー(a2)が少なすぎると同様に凝集力が不足したり、極性が下がることにより、帯電防止能が低下する傾向にあり、多すぎると粘度が高くなったり、樹脂の安定性が悪くなる傾向にある。その他共重合性モノマー(a3)が多すぎると本発明の効果が得難くなる傾向にある。
【0038】
本発明においては、上記(a1)〜(a3)のモノマー成分を重合することによりアクリル系樹脂(A)を製造するのであるが、かかる重合に当たっては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などの従来公知の方法により行うことができる。例えば、有機溶媒中に、上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、官能基含有モノマー(a2)、その他の共重合性モノマー(a3)等の重合モノマー、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル等)を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜90℃で2〜20時間重合する。
【0039】
また、本発明においては、更に、共重合性モノマーとして、その他帯電防止性能を有する化合物を共重合させることも、アクリル系樹脂(A)の帯電防止性能を、より一層優れたものにするために好ましい。
【0040】
かかる帯電防止性能を有する化合物としては、親水性を示す構造部位を有するものであればよく、親水性基としては、例えば、イオン性基を有する化合物が挙げられる。イオン性基を有する化合物としては、イミダゾリウム塩の(メタ)アクリレートなどの重合性基を有するイオン液体、第4級アンモニウム塩基を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物等のイオン性基含有重合性化合物等が挙げられることができる。
【0041】
これらの中でも、(メタ)アクリロイル基を含有するイミダゾリウム塩系イオン液体、4級アンモニウム塩を含有するウレタン(メタ)アクリレート、又はその片末端メチル、エチル、アリル等を原料として使用するウレタン(メタ)アクリレートが特に好適に使用できる。
【0042】
また、一旦共重合により作製されたアクリル系樹脂(A)の側鎖にグラフト化反応により帯電防止性能を有する化合物を導入することも可能である。この場合、例えば、上記親水性構造部位を有する化合物の中から水酸基を含有する化合物を選択し、ポリイソシアネート化合物と反応させウレタンプレポリマーとした後に、アクリル系樹脂(A)の水酸基と反応させることにより導入すればよい。
【0043】
かくして得られるアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量については、特に限定されないが、60万以上であることが耐久性能と被着体汚染がない点から好ましく、特に好ましくは80万以上、更に好ましくは100万以上、殊には120万以上である。かかる重量平均分子量が低すぎると粘着剤層の耐熱、耐湿熱などの耐久性能と光漏れ防止性能のバランスが劣る傾向がある。なお、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量の上限は、製造のしやすさと経済性の点から、通常300万である。
【0044】
また、アクリル系樹脂(A)の分子量の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、10以下であることが好ましく、更には7以下であることが好ましく、特には5以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると粘着剤層の耐湿熱、光漏れ防止性能などの耐久性能が劣る傾向にある。なお、分散度の下限は、製造の限界からの点で、通常1.1である。
【0045】
更に、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度も一概には特定されないが、−80〜−20℃、特には−75〜−25℃、更には−55〜−30℃が好ましく、ガラス転移温度が高すぎるとタックが不足する傾向があり、低すぎると耐熱性に劣る傾向がある。
【0046】
尚、上記の重量平均分子量及び数平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるもので、また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。また、ガラス転移温度はFoxの式より算出されるものである。
【0047】
本発明においては、上記アクリル系樹脂(A)を樹脂組成物全量に対して、通常、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含有する。なお、上限としては通常99.9重量%である。
【0048】
本発明において、親水性基を有する不飽和化合物(B)とは、親水性を示す構造部位と重合性の不飽和基の両方を有する化合物であればよく、親水性を示す構造部位としては、ノニオン性基、カチオン性基、アニオン性基、両性イオン基等が挙げられ、重合性の不飽和基としては、ビニル基やアリル基等のアルケニル基、または(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。かかる不飽和基としては、重合時反応性が高い点で(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0049】
ここで、親水性基を有する不飽和化合物(B)としては、親水性基を有し1分子中に1つの重合性の不飽和基を有する単官能の不飽和化合物であってもよいし1分子中に2つ以上の不飽和基を有する多官能の不飽和化合物であってもよく、例えば、親水性基を持ったウレタン(メタ)アクリレート系化合物、親水性基を持ったエポキシ(メタ)アクリレート系化合物、親水性基を持ったポリエステル(メタ)アクリレート系化合物や、親水性基と1分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を含有するエチレン性不飽和モノマー(例えば、単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上のモノマー)等を用いることができる。
【0050】
以下、親水性基を有する不飽和化合物(B)を、親水性基の種類に着目し、ノニオン性基を有する不飽和化合物(b1)、カチオン性基を有する不飽和化合物(b2)、アニオン性基を有する不飽和化合物(b3)、両性イオン基を有する不飽和化合物(b4)と分類して説明する。なお、これら親水性基を有する不飽和化合物(b1)〜(b4)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0051】
ノニオン性基を有する不飽和化合物(b1)としては、分子内にノニオン性基と、不飽和基を有する化合物であればよく、例えば、ノニオン性基を有する単官能不飽和化合物、ノニオン性基を有する多官能不飽和化合物、ノニオン性基を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物等を用いることができる。
【0052】
ノニオン性基を有する不飽和化合物(b1)の不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、更にはアクリロイル基であることが反応性が高い点で特に好ましい。かかるノニオン性基として、オキシアルキレン基が挙げられるが、その繰返し単位としては、2〜100が好ましく、更には3〜50であることが好ましい。
ここで、ノニオン性基と不飽和基を含有する化合物(b1)として(メタ)アクリロイル基含有化合物を用いた場合、全ての分子末端が(メタ)アクリロイル基で封鎖されている場合には、充分な帯電防止性能が得られない傾向にあるため、分子末端の一部が例えば、水酸基、メトキシ基、アリル基等の(メタ)アクリロイル基以外の置換基のまま残っていることが好ましい。これは、不飽和基含有化合物がネットワークを作る際に、反応性の高い(メタ)アクリロイル基で、末端封鎖されると、その自由度が奪われてしまうためと考えられる。
【0053】
上記ノニオン性基を有する単官能不飽和化合物としては、例えば、ノニオン性基としてオキシアルキレン鎖を含有する下記一般式(1)で表される化合物(以下、オキシアルキレン鎖含有不飽和化合物とする)等が挙げられる。かかるオキシアルキレン鎖含有不飽和化合物は、帯電防止性能に優れる点で好ましく用いられる。
【0054】
【化1】

(式中、Xはアルキレン基、nは1以上の整数であり、Aは(メタ)アクリロイル基又はアルケニル基、Bは水素原子、アルキル基、フェニル基、アシル基、アリル基である。)
【0055】
上記一般式(1)中のXはアルキレン基であり、中でも、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、特には、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。また、nが2以上のポリオキシアルキレン鎖部位の場合は、同一オキシアルキレン鎖のホモ重合体でもよいし、相異なるオキシアルキレン鎖がランダム或いはブロック状に共重合したものでもよい。
【0056】
上記一般式(1)中のAは(メタ)アクリロイル基またはアルケニル基であり、アルケニル基としては、通常、炭素数2〜6のもの、例えば、ビニル基やアリル基が用いられる。これらの中でも、メタクリロイル基、アクリロイル基、アリル基が好ましく、特にはメタクリロイル基、アクリロイル基が好ましい。
【0057】
上記一般式(1)中のBは水素原子、アルキル基、フェニル基、アシル基、アリル基であり、アルキル基としては、通常、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のものが用いられる。これらの中でも、水素原子、メチル基、エチル基であることが好ましい。
【0058】
上記一般式(1)中のnは1以上の整数であり、好ましくは1〜500、特に好ましくは2〜100、さらに好ましくは3〜50である。オキシアルキレン鎖がないと帯電防止能が不充分になる傾向があり、多すぎると耐久性が充分でなくなる傾向がある。
【0059】
上記オキシアルキレン鎖を含有する単官能モノマーの具体例としては
[A:(メタ)アクリロイル基の場合]
例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートやエトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等があげられる。
【0060】
[A:アルケニル基の場合]
例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノアリルエーテル等があげられる。
【0061】
上記の中でも、ポリエチレングリコール誘導体が、特にはポリエチレングリコールのアルコキシ化物、更にはメトキシポリエチレングリコールモノアクリレートが好ましく、また、エチレンオキサイド付加モル数nが5〜500、特には5〜100、さらには6〜30であることが帯電防止能と耐久性のバランスの点で好ましい。エチレンオキサイド付加モル数nが小さすぎると帯電防止能が劣る傾向があり、大きすぎると耐久性が悪化する傾向がある。さらには、硬化性に優れる点で、Aは(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
【0062】
また、上記一般式(1)で示されるオキシアルキレン鎖を含有する単官能のエチレン性不飽和モノマーの重量平均分子量としては、通常100〜20000が好ましく、特には200〜10000、さらには300〜1000が好ましい。上記重量平均分子量が小さすぎると帯電防止能に劣る傾向があり、大きすぎると耐湿熱性が低下する傾向がある。
【0063】
上記ノニオン性基を有する多官能不飽和化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート等の2官能モノマー:トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の3官能以上のモノマーが挙げられる。
【0064】
上記ノニオン性基を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、多価イソシアネート系化合物、ノニオン性基を有するポリオール、水酸基含有(メタ)アクリル系化合物を反応させて得られるものを挙げることができる。
【0065】
かかる多価イソシアネート系化合物としては、特に限定されることなく、例えば芳香族系、脂肪族系、脂環式系等のポリイソシアネートがあげられ、中でもトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネートあるいはこれらポリイソシアネートの3量体化合物または多量体化合物、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業社製の「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」、「アクアネート210」等)等があげられる。中でも、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートや、それらの3量体化合物または多量体化合物が好ましく用いられる。
【0066】
かかるノニオン性基を有するポリオールとしては、特に限定されることなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール等のアルキレングリコール系化合物、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロックまたはランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルポリオール;該多価アルコールまたはポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール;カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール;等があげられる。これらの中でも、ポリエチレングリコール誘導体が好ましく用いられ、特にはポリエチレングリコールが好ましく用いられる。
【0067】
かかる水酸基含有(メタ)アクリル系化合物としては、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等があげられ、中でも3個以上のアクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリル系化合物が好ましく用いられる。また、これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0068】
かかるノニオン性基を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物としては、上記ノニオン性基含有ポリオールとしてアルキレングリコール系化合物を用い、アルキレングリコール系化合物の両末端の水酸基のうち一方がイソシアネート基と反応し、他方は水酸基のまま残っているオキシアルキレン鎖構造を有するウレタン(メタ)アクリレートであることが、活性エネルギー線照射により硬化した後でも、オキシアルキレン鎖の自由度が大きくイオンの運搬が起こりやすいために優れた帯電防止性能を示す点で好ましい。
【0069】
また、かかるノニオン性基を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物としては、上記複数個の水酸基を有するポリオール化合物に替えて、水酸基を1つのみ有するアルキレングリコール系化合物を使用して得られるものであってもよい。上記水酸基を1つのみ有するアルキレングリコール系化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のポリプロピレングリコール誘導体等のアルキル基含有ポリアルキレングリコール誘導体があげられる。
【0070】
かかるノニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法としては、特に制限されず、例えば、多価イソシアネート化合物を、ノニオン性基を有するポリオールと反応させた後、残存したイソシアネート基と、水酸基を含有する(メタ)アクリル系化合物とを反応させる方法があげられる。この反応では、オクテン酸スズ、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ、オクチル酸鉛、オクチル酸カリウム、酢酸カリウム、スタナスオクトエート、トリエチレンジアミン等のウレタン化触媒を用いるのが好ましい。
【0071】
かかるノニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の重量平均分子量は、好ましくは300〜4000、より好ましくは600〜3000、特に好ましくは1000〜2000である。すなわち、上記重量平均分子量が小さすぎると硬化後に凝集力不足となる傾向があり、大きすぎると粘度が高くなりすぎ、製造が困難となる傾向がある。
【0072】
なお、ここまで、ノニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物として、原料のポリオールがノニオン性基を有する場合について説明したが、ノニオン性基は、多価イソシアネート系化合物に有していてもよいし、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物に有していてもよい。
【0073】
また、ノニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物について、意識的にイソシアネート基を残し、分子内にイソシアネート基と不飽和結合を持ったウレタンアクリレートにし、アクリルポリマーとの架橋点を作り粘着剤の凝集力を上げることも有効である。
【0074】
また、これらのノニオン性基を有する不飽和化合物(b1)は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0075】
カチオン性基を有する不飽和化合物(b2)としては、分子内にカチオン性基と、不飽和基を有する化合物であればよく、例えば、
(i)(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のエピハロヒドリン四級化物から誘導される化合物である、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレートクロリドや(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウムブロミド等。
(ii)(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルアルカノールアミンとから誘導されるアミン誘導体であるジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等、又はジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の、塩酸、乳酸等の酸による中和物、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化エチル等のハロゲン化アルキルによる変性物、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロプロピオン酸メチル等のハロゲン化脂肪酸エステルによる変性物、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のジアルキル硫酸による変性物。
(iii)ジアリルジメチルアンモニウムクロリド等のアリル化合物のアミン誘導体。
を挙げることができる。
【0076】
更に、カチオン性基を有する不飽和化合物(b2)としては、カチオン性の構造部位として重合性不飽和基を含有している含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩、または含リンオニウム塩を有しており、かかる塩が特定のアニオンと結合したものである、いわゆるイオン液体を用いることも可能である(以下、重合性不飽和基を含有するイオン液体と呼ぶ。なお、本発明におけるイオン液体とは、0〜100℃の範囲の一定温度において液体を保持するカチオン成分およびアニオン成分からなるイオン性物質のことを表す)。
【0077】
かかる重合性不飽和基を含有するイオン液体としては、優れた帯電防止性能が得られるという理由から、下記カチオン成分とアニオン成分からなるものが好ましく用いられる。
【0078】
上記優れた帯電防止性能が得られるカチオン成分としては、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオンを有する化合物等があげられる。
【0079】
一方、アニオン成分としては、例えば、Cl-、Br-、AlCl4 -、Al2 Cl7 -、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、NO3 -、CH3 COO-、CF3 COO-、CH3 SO3 -、CF3 SO3 -、(CF3 SO2 2 -、(CF3 SO2 3 -、AsF6 -、SbF6 -、NbF6-、TaF6 -、F(HF)n-、(CN)2 -、SCN-、C4 9 SO3 -、(C2 5 SO2 2 -、C3 7 COO-、(CF3 SO2 )(CF3 CO)N-等があげられる。
【0080】
そして重合性不飽和基を含有するイオン液体における重合性不飽和基としては、例えば、アリル基、(メタ)アクリロイル基等があげられる。中でも、他構成単位との共重合性や反応性が良いという観点から、(メタ)アクリロイル基を含有するイオン液体が好ましく用いられる。
これら上記のイオン液体は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0081】
本発明に用いられる重合性不飽和基を含有するイオン液体としては、上記カチオン成分とアニオン成分の組み合わせから適宜選択して用いられるものであるが、具体的には、粘着物性と帯電防止能及び他構成単位との共重合性のバランスという点から、重合性不飽和基を含有するイミダゾリウム塩、例えば、1−(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)−3−オクチルイミダゾリウムブロミドや1−(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)−3−オクチルイミダゾリウムクロリド等の1−(メタ)アクリロイロキシアルキル−3−アルキルイミダゾリウムのハロゲン塩、1−(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)−3−オクチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホンイミドや1−(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)−3−オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート等の(メタ)アクリロイロキシアルキル−3−アルキルイミダゾリウムのフッ素含有塩、1−(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)−3−エチル−2−メチルイミダゾリウムジシアンアミドや、1−(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)−3−エチル−2−メチルイミダゾリウムチオシアネート等の(メタ)アクリロイロキシアルキル−アルキルイミダゾリウムのシアノ基含有塩等の(メタ)アクリルイミダゾリウム系化合物、1−ブチル−3−ビニルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(1B3VIBF4)、1−ブチル−3−ビニルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホンイミド(1B3VITFSI)等のビニルイミダゾリウム系化合物、トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレートジシアンアミド等の4級アンモニウム塩系化合物等からなるイオン液体があげられる。
【0082】
上記重合性不飽和基を含有するイオン液体は、例えば、イミダゾリウム塩を例にとって説明すれば、不飽和基を有さないイミダゾリウム塩に不飽和基を導入する方法や、イミダゾールに不飽和基を導入して不飽和基を含有するイミダゾールとした後ハロゲン化する、あるいは更に塩交換する方法等で製造することができる。
【0083】
また、カチオン性基を有する不飽和化合物(b2)としては、カチオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を使用することもでき、例えば、多価イソシアネート系化合物、カチオン性基と水酸基を有する化合物、水酸基含有(メタ)アクリル系化合物を反応させて得られるものを挙げることができる。
【0084】
かかる多価イソシアネート系化合物および水酸基含有(メタ)アクリル系化合物としては、前述のノニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物で説明したものと同様のものを用いることができる。
【0085】
かかるカチオン性基と水酸基を有する化合物としては、特に限定されず、例えば、イミダゾリウム塩の側鎖に水酸基を有する化合物や、アンモニウム塩の側鎖に水酸基を有する化合物が挙げられるが、これらの中でも、水酸基含有のアンモニウム塩を用いることが好ましい。
【0086】
更には、水酸基を含有するカチオン成分とアニオン成分からなるイオン液体を用いることも、アクリル系樹脂(A)との相溶性の点で好ましい。
【0087】
かかる水酸基を有するカチオン成分としては、特に限定されるものではなく、一般的なイオン液体で使用されるカチオンに水酸基を含有させたものが用いられる。かかるカチオン類としては、例えば、ヘテロ環式化合物のカチオン類、特には1〜5個のヘテロ原子を含む1〜5員環のヘテロ環式化合物のカチオン類、殊にはヘテロ原子として窒素原子を含む1〜5個のヘテロ原子を含む1〜5員環のヘテロ環式化合物のカチオン類等があげられ、中でもイミダゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン等が好ましい。また、鎖状の第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオンを用いることも好ましい。これらの中でも、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオンが好ましく、特にはイミダゾリウムカチオンを用いることが、粘度が低い点で好ましい。
【0088】
かかるアニオン成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、Cl-、Br-、AlCl4 -、Al2 Cl7 -、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、NO3 -、CH3 COO-、CF3 COO-、CH3 SO3 -CF3 SO3 -、(CF3 SO2 2 -、(CF3 SO2 3 -、AsF6 -、SbF6 -、NbF6-、TaF6 -、F(HF)n-、(CN)2 -、SCN−、C4 9 SO3 -、(C2 5 SO2 2 -、C3 7 COO-、(CF3 SO2 )(CF3 CO)N-等の一般的なイオン液体で使用されるアニオンを用いることが可能である。
【0089】
かかるカチオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法としては、特に制限されず、例えば多価イソシアネート化合物を、カチオン性基と水酸基を持った化合物と反応させた後、残存したイソシアネート基と水酸基を含有する(メタ)アクリル系化合物とを反応させて製造できる。この反応では、オクテン酸スズ、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ、オクチル酸鉛、オクチル酸カリウム、酢酸カリウム、スタナスオクトエート、トリエチレンジアミン等のウレタン化触媒を用いるのが好ましい。
【0090】
かかるカチオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の重量平均分子量は、好ましくは300〜4000、より好ましくは600〜3000、特に好ましくは1000〜2000である。すなわち、上記重量平均分子量が小さすぎると硬化後に凝集力不足となる傾向があり、大きすぎると粘度が高くなりすぎ、製造が困難となる傾向がある。
【0091】
なお、ここまで、カチオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物として、水酸基とカチオン性基を有する化合物を用いる場合について説明したが、カチオン性基は、多価イソシアネート系化合物に有していてもよいし、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物に有していてもよい。
【0092】
また、カチオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物について、意識的にイソシアネート基を残し、分子内にイソシアネート基と不飽和結合を持ったウレタンアクリレートにし、アクリルポリマーとの架橋点を作り粘着剤の凝集力を上げることも有効である。
【0093】
これらのカチオン性基を有する不飽和化合物(b2)は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0094】
アニオン性基を有する不飽和化合物(b3)としては、分子内にアニオン性基と、不飽和基を有する化合物であればよく、例えば、
(i)(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のα、β−不飽和カルボン酸。
(ii)不飽和多塩基酸無水物(例えば無水コハク酸、無水フタル酸等)とヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとの半エステル。
(iii)スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基を有する化合物。
(iv)アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート等のリン酸基を有する化合物。
等が挙げられる。
【0095】
これらアニオン性基を有する不飽和化合物(b3)は、酸のままでも、又は部分中和もしくは完全中和しても用いることができ、又は酸の状態で共重合した後に、部分中和もしくは完全中和してもよい。この中和を行なう際に用いることのできる塩基性化合物としては、中和が行えるものであれば特に制限されないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物; アンモニア水、モノ− 、ジ− もしくはトリエタノールアミン、トリエチルアミン、モルホリン、アミノメチルプロパノール、アミノエチルプロパンジオール等のアミン化合物等が挙げられる。
【0096】
これらの中でも、部分中和品もしくは完全中和品であることが高い帯電防止性能を示す点で好ましく、更に好ましくは、アルカリ金属の水酸化物等により中和させて得られる、酸のアルカリ金属塩であることが好ましい。酸のアルカリ金属塩の具体例としては、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム等の(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、東亞合成社製(「M−510」)等のカルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレート系化合物のカリウムおよびナトリウム塩等が挙げられる。
【0097】
また、アニオン性基を有する不飽和化合物(b3)としては、アニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を使用することもでき、例えば、多価イソシアネート系化合物、アニオン性基と水酸基を有する化合物、水酸基含有(メタ)アクリル系化合物を反応させて得られるものを挙げることができる。
【0098】
かかる多価イソシアネート化合物および水酸基を含有する(メタ)アクリル系化合物としては、前述のノニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物で説明したものと同様のものを用いることができる。
【0099】
上記アニオン性基と水酸基を持った化合物としては、特に限定されず、例えば、上述した(i)〜(iv)の酸基含有化合物と水酸基を含有する化合物であればよく、具体的には、ジメチロールプロピオン酸やジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有多価アルコール化合物、12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシアルキル酸等やその中和物等が挙げられる。
【0100】
これらアニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、酸のままで用いても、部分中和もしくは完全中和したものを用いてもよいが、部分中和品もしくは完全中和品であることが高い帯電防止性能を示す点で好ましく、更に好ましくは、アルカリ金属の水酸化物等により中和させて得られる、酸のアルカリ金属塩であることが好ましい。
【0101】
かかるアニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法としては、特に制限されず、例えば多価イソシアネート系化合物を、アニオン性基と水酸基を持った化合物と反応させた後、残存したイソシアネート基と水酸基含有(メタ)アクリル系化合物とを反応させて製造できる。この反応では、オクテン酸スズ、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ、オクチル酸鉛、オクチル酸カリウム、酢酸カリウム、スタナスオクトエート、トリエチレンジアミン等のウレタン化触媒を用いるのが好ましい。
【0102】
かかるアニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の重量平均分子量は、好ましくは300〜4000、より好ましくは600〜3000、特に好ましくは1000〜2000である。すなわち、上記重量平均分子量が小さすぎると硬化後に凝集力不足となる傾向があり、大きすぎると粘度が高くなりすぎ、製造が困難となる傾向がある。
【0103】
なお、ここまで、アニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物として、水酸基とアニオン性基を有する化合物を用いる場合について説明したが、アニオン性基は、多価イソシアネート系化合物に有していてもよいし、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物に有していてもよい。
【0104】
また、アニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物について、意識的にイソシアネート基を残し、分子内にイソシアネート基と不飽和結合を持ったウレタンアクリレートにし、アクリルポリマーとの架橋点を作り粘着剤の凝集力を上げることも有効である。
【0105】
これらのアニオン性基を有する不飽和化合物(b3)は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0106】
両性イオン基を有する不飽和化合物(b4)としては、分子内に両性イオン性基と、不飽和基を有する化合物であればよく、例えば、(メタ)アクリル酸のアミン誘導体、及び(メタ)アクリルアミド誘導体、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの、モノクロロ酢酸アミノメチルプロパノール塩、モノクロロ酢酸トリエタノールアミン塩、モノクロロ酢酸カリウム、モノブロモプロピオン酸ナトリウム等のハロゲン化脂肪酸塩による変性物、プロパンサルトンによる変性物及びオキシド変性物等が挙げられる。
【0107】
本発明においては、上記の親水性基を有する不飽和化合物(B)の中でも、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を含有するイミダゾリウム塩系イオン液体、(メタ)アクリロイル基を含有するアンモニウム塩系イオン液体、4級アンモニウム塩を含有するウレタン(メタ)アクリレート、イミダゾリウム塩を含有するウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を含有する多官能(メタ)アクリレートのアルカリ中和物、(メタ)アクリル酸等の単官能(メタ)アクリレート系化合物の中和物、エチレンオキサイドの繰返し単位が5−50のポリエチレングリコール、又はその片末端メチル、エチル、アリル等を原料として使用し、かつ少なくとも一つのアクリル封鎖されていないポリエチレングリコール鎖を持ったウレタン(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種を特に好適に使用することができる。
【0108】
上記親水性基を有する不飽和基含有化合物(B)の含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、より好ましくは5〜99重量部、さらに好ましくは7〜50重量部、殊に好ましくは10〜30重量部である。である。上記親水性基を有する不飽和基含有化合物(B)の含有量が多すぎると、樹脂との相溶性が低下し、塗膜が白化する傾向が見られ、少なすぎると粘着剤の帯電防止性能が不十分になる。
【0109】
また、本発明においては、樹脂組成物全体としての不飽和基含有量としては、通常、10〜360mmol/100gであることが耐久性と光漏れ防止性能のバランスを取る点で好ましく、特に好ましくは30〜240mmol/100g、更に好ましくは50〜180mmol/100gである。かかる不飽和基含有量が少なすぎると凝集力が不足することにより、耐久性と光漏れ防止性能のバランスが取りづらい傾向があり、多すぎると粘着力が低くなりすぎて耐久性にも悪影響を及ぼす傾向がある。
【0110】
なお、本発明においては、不飽和化合物として、親水性基を有する不飽和化合物(B)の他に、親水性基をもたない不飽和化合物(B’)を併用することが、耐久性や帯電防止性能のバランスを保つ目的で好ましい。例えば、親水性基をもたないウレタン(メタ)アクリレート系化合物や、親水性基をもたない1分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和化合物、例えば、単官能不飽和化合物、2官能不飽和化合物、3官能以上の不飽和化合物を用いることができる。
【0111】
親水性基を有する不飽和化合物(B)と親水性基を含有しない不飽和化合物(B’)の割合としては、親水性基を有する不飽和化合物(B)100重量部に対して、親水性基を含有しない不飽和化合物(B’)が10〜1000重量部であることが好ましく、特には100〜500重量部であることが、耐久性と帯電防止能のバランスがよい点で好ましい。
【0112】
本発明においては、これまでに説明したアクリル系樹脂(A)及び親水性基を有する不飽和化合物(B)を必須成分として含む樹脂組成物を、活性エネルギー線及び熱のうち少なくとも1つにより架橋することにより光学部材用粘着剤とするものである。
【0113】
本発明における樹脂組成物は、アクリル系樹脂(A)及び親水性基を有する不飽和化合物(B)に加え、更に重合開始剤(C)を含有することも好ましい。重合開始剤(C)としては、光重合開始剤(c1)、熱重合開始剤(c2)等の種々の重合開始剤を用いることが可能であるが、特には光重合開始剤(c1)を使用することが、ごく短時間の紫外線等の活性エネルギー線照射により硬化させることが可能となる点で好ましい。
【0114】
また、上記光重合開始剤(c1)を用いるときは、活性エネルギー線照射により樹脂組成物を架橋させ、熱重合開始剤(c2)を用いるときは、加熱により樹脂組成物を架橋させるのであるが、必要に応じて、両方を併用することも好ましい。
【0115】
上記光重合開始剤(c1)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等があげられる。なお、これら光重合開始剤(c1)は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0116】
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
【0117】
これらの中でも、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを用いることが好ましい。
【0118】
また、上記熱重合開始剤(c2)としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α′−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノオエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメトルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機過酸化物系開始剤;2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドリドクロリド、2,2′−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2′−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等のアゾ系開始剤;等があげられる。なお、これらの熱重合開始剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0119】
上記重合開始剤(C)の含有量については、前記アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜10重量部、特には0.1〜7重量部、さらには0.3〜3重量部であることが好ましい。上記重合開始剤(C)の含有量が少なすぎると、硬化性に乏しく物性が安定しなくなる傾向がみられ、多すぎてもそれ以上の効果が得られない傾向がみられる。
【0120】
上記活性エネルギー線照射に際しては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。なお、電子線照射を行なう場合は、上記光重合開始剤(c1)を用いなくても硬化可能である。
【0121】
そして、上記紫外線照射を行なう時の光源としては、高圧水銀灯、無電極ランプ、超高圧水銀灯カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライト等が用いられる。上記高圧水銀ランプの場合は、例えば、5〜3000mJ/cm2、好ましくは10〜1000mJ/cm2の条件で行われる。また、上記無電極ランプの場合は、例えば、2〜1500mJ/cm2、好ましくは5〜500mJ/cm2の条件で行われる。そして、照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、塗工厚、その他の条件によっても異なるが、通常は、数秒〜数十秒、場合によっては数分の1秒でもよい。一方、上記電子線照射の場合には、例えば、50〜1000Kevの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜50Mradの照射量とするのがよい。
【0122】
また、上記重合開始剤(C)として、熱重合開始剤(c2)を用いる場合には加熱により重合反応を開始し、進行させる。加熱による架橋時の処理温度や処理時間は、使用する熱重合開始剤(c2)の種類によって異なるものであり、通常、開始剤の半減期より計算されるものであるが、処理温度は、通常70℃〜170℃であることが好ましく、処理時間は、通常0.2〜20分が好ましく、特には0.5〜10分が好ましい。
【0123】
本発明における光学部材用粘着剤は、上記のアクリル系樹脂(A)、親水性基を有する不飽和化合物(B)を含有する樹脂組成物が、更に架橋剤による架橋を含むものであることも好ましい。
架橋剤により架橋する場合には、樹脂組成物は、上記アクリル系樹脂(A)、親水性基を有する不飽和化合物(B)に加え、更に架橋剤(D)を含有するものである。
【0124】
上記架橋剤(D)としては、前記アクリル系樹脂(A)に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物であればよく、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、メラミン系化合物、アルデヒド系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物が挙げられる。これらの中でも、基材との密着性を向上させる点やベースポリマーとの反応性の点で、イソシアネート系化合物が好適に用いられる。
【0125】
上記イソシアネート系化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。
【0126】
上記エポキシ系化合物としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0127】
上記アジリジン系化合物としては、例えば、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
【0128】
上記メラミン系化合物としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0129】
上記アルデヒド系化合物としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0130】
上記アミン系化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
【0131】
金属キレート系化合物としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の多金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
【0132】
また、これらの架橋剤(D)は、単独で使用しても良いし、2種以上併用してもよい。
【0133】
架橋剤(D)の含有量は、アクリル系樹脂(A)中に含まれる官能基の量、アクリル系樹脂(A)の分子量、用途目的により適宜選択できるが、通常は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜15重量部であることが好ましく、更には0.2〜12重量部、特には1.5〜10重量部であることが好ましい。
【0134】
かかる架橋剤(D)が少なすぎると凝集力が不足し、充分な耐久性が得難い傾向があり、多すぎると柔軟性、および粘着力が低下し、耐久性が悪くなり、剥離が起こりやすくなるため光学フィルムと貼り合わせることが困難となる傾向がある。
【0135】
また、本発明においては、樹脂組成物が架橋されて得られる粘着剤の帯電防止性能をより一層向上させるために、架橋剤(D)の一部に、帯電防止性能を有する構造部位が導入された架橋剤を用いることも好ましい。かかる帯電防止性能を有する構造部位を導入するに当たっては、上述したアクリル系樹脂(A)の側鎖にグラフト化反応される帯電防止性能を有する化合物と同様の化合物を用いることができる。
【0136】
かかる架橋剤に帯電防止性能を有する構造部位を導入する方法としては、例えば、架橋剤としてポリイソシアネート系化合物を用いる際には、帯電防止性能を有する化合物として、その構造中に水酸基を有する化合物を使用すればよく、上記水酸基とイソシアネート基が反応することにより、一部に帯電防止性能を有する構造部位が導入された架橋剤を製造することができる。
【0137】
なお、架橋剤への帯電防止性能を有する構造部位の導入に関しては、架橋剤にあらかじめ帯電防止性能を有する構造部位を導入しておき、アクリル系樹脂(A)と混合させてもよいし、アクリル系樹脂(A)、親水性基を有する不飽和化合物(B)、架橋剤(D)との混合時に、帯電防止性能を有する化合物を同時に添加して、架橋剤と反応させてもよい。
【0138】
また、本発明においては、光学部材用粘着剤を形成する樹脂組成物が、更にシランカップリング剤(E)を含有することが、光学積層体への密着性が向上する点で好ましく、かかるシランカップリング剤(E)の含有量については、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜10重量部、特には0.01〜1重量部、更には0.03〜0.8重量部であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると添加効果が得られない傾向があり、多すぎるとアクリル系樹脂(A)との相溶性が悪く接着力や凝集力が得られなくなる傾向がある。
【0139】
上記シランカップリング剤(E)としては、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、水酸基系シランカップリング剤、カルボキシル基系シランカップリング剤、アミノ基系シランカップリング剤、アミド基系シランカップリング剤、イソシアネート基系シランカップリング剤等をあげることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤が好ましく用いられ、エポキシ系シランカップリング剤とメルカプト系シランカップリング剤を併用することも、湿熱耐久性の向上と粘着力が上がり過ぎない点で好ましい。
【0140】
上記エポキシ系シランカップリング剤の具体例としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(グリシジル)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等があげられるが、中でも好ましいのはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。
【0141】
上記メルカプト系シランカップリング剤の具体例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等があげられる。
【0142】
本発明の樹脂組成物は、更に帯電防止剤(F)を含有することも好ましい。かかる帯電防止剤としては、従来公知の帯電防止剤(イオン性基を有する化合物)が使用でき、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、四級アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、、シアノ基含有塩、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールアルコールアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩、アルキルベタイン化合物、アルキルイミダゾリン化合物、アルキルアラニン化合物、ポリビニルベンジル型カチオン化合物、ポリアクリル酸型カチオン化合物等を用いることができる。
これらの中でも、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、四級アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、シアノ基含有塩が好ましく用いられ、特に好ましくはアルカリ金属塩やイミダゾリウム塩が好ましく用いられる。
【0143】
前記アルカリ金属塩としては、例えば、Li+、Na+、K+から選ばれるカチオンとCl-、Br-、I-、BF4-、PF6-、SCN-、ClO4-、CF3SO3-、(CF3SO22N−、(CF3SO23-から選ばれるアニオンから構成される金属塩が好適に用いられる。これらの中でもイオン伝導性に優れ静電気防止機能に優れる点で、リチウム塩が好ましく、具体的には、LiBr、LiI、LiBF4、LiPF6、LiSCN、LiClO4、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、Li(CF3SO23Cなどのリチウム塩が好ましく用いられ、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiI、LiClO4が特に好ましく用いられ、LiCF3SO3、Li(CF3SO22Nが更に好ましく用いられ、LiCF3SO3が殊に好ましく用いられる。また、かかるアルカリ金属塩は、ポリエーテルポリオールに溶解させて使用してもよい。
【0144】
前記アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩およびこれらのハロゲン化物が挙げられる。
【0145】
前記四級アンモニウム塩としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、(ポリ)オキシアルキレントリアルキルアンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0146】
前記イミダゾリウム塩としては、例えば、モノアルキルイミダゾリウムカチオン、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等のアルキルイミダゾリウムカチオンを有するイミダゾリウム塩が挙げられ、具体的には、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン等を有するイミダゾリウム塩が挙げられる。
【0147】
前記シアノ基含有塩としては、公知一般のシアノ基含有アニオンを有するイオン性化合物を用いることができるが、特には下記一般式(2)で示されるシアノ基含有アニオンを有するイオン性化合物を用いることが好ましい。
【0148】
【化2】

【0149】
(式中、Xは、ホウ素、炭素、窒素、アルミニウム、ケイ素、リン、砒素及びセレンからなる群より選ばれるいずれか1種の元素を表す。Yは、水素原子、アルキル基、またはトリフルオロメチル基を表す。L1およびL2 は、同一または異なっていてもよい有機連結基を表す。aは、1以上の整数であり、b、c及びdは、0以上の整数である。)
【0150】
上記一般式(2)中のXは、ホウ素、炭素、窒素、硫黄、アルミニウム、ケイ素、リン、砒素及びセレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、これらの中でもホウ素、炭素、窒素、硫黄が好ましい。
【0151】
上記一般式(2)中のYとしては、水素原子、アルキル基、またはトリフルオロメチル基を表すが、アルキル基としては炭素数1〜10のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4であり、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。Yとして好ましくは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基である。
【0152】
上記一般式(2)中のL1およびL2は有機連結基であり、好ましくは−S−、−O−、−SO2−、−CO−であり、特には−SO2−、−CO−が好ましい。かかるL1およびL2は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0153】
上記一般式(2)中のaは1以上の整数、b、c及びdは0以上の整数であるが、アニオンの価数が−1であるので、元素Xの原子価がxであるときには、x−1=(a+d)の関係を満足するようにaおよびcの値は決められるものである。
【0154】
かかる一般式(2)で示されるシアノ基含有アニオンの具体例としては、S-(CN)、N-(CN)2、N-(−SO2−CN)2、C-(CN)3、B-(CN)4等が挙げられ、これらの中でも、S-(CN)、N-(CN)2が好ましく用いられる。
【0155】
また、シアノ基含有アニオンの分子量としては、通常30〜300であり、好ましくは50〜250である。
【0156】
かかるシアノ基含有イオン性化合物のカチオン成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属等の金属系カチオンや、ヘテロ環式化合物のカチオン類、第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオン等を挙げることができるが、これらの中でも、ヘテロ環式化合物のカチオン類、第四級アンモニウムカチオンを用いることが好ましい。
更に、かかるヘテロ環式化合物のカチオン類としては、1〜5個のヘテロ原子を含む1〜6員環のヘテロ環式化合物のカチオン類が好ましく、特にはヘテロ原子として窒素原子を含む1〜5個のヘテロ原子を含む1〜5員環のヘテロ環式化合物のカチオン類が好ましく、殊にはイミダゾリウム塩が好ましい。
【0157】
上記の一般式(2)で示されるシアノ基含有アニオンを有するイオン性化合物の具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムジシアンアミド等のジアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、3−エチル−1,2−ジメチル−イミダゾリウムジシアンアミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアンアミド、1,2−ジメチル−3−ヘキシルイミダゾリウムジシアンアミド、1,2−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−イソプロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアンアミド等のトリアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1,3−ジメチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムチオシアネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムチオシアネート、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムチオシアネート、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムチオシアネート等のジアルキルイミダゾリウムチオシアネート、3−エチル−1,2−ジメチル−イミダゾリウムチオシアネート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムチオシアネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムチオシアネート、1,2−ジメチル−3−ヘキシルイミダゾリウムチオシアネート、1,2−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムチオシアネート、1−イソプロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムチオシアネート等のトリアルキルイミダゾリウムチオシアネートが挙げられる。
【0158】
これらの中でも、固体のイミダゾリウム塩を使うことが精製で再結晶ができることにより、高純度のイオン化合物を調製しやすくなる点で好ましく、特に好ましくは1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−2,3ジメチルイミダゾリウムチオシアネートが高純度のイオン化合物を調製しやすい点で用いられる。
【0159】
また、帯電防止剤(F)としては、イオン性化合物の中でも、いわゆるイオン液体を用いることも好ましい。本願発明におけるイオン液体とは、0〜100℃の範囲の一定温度において液体を保持するカチオン成分およびアニオン成分からなるイオン性物質のことを表す。
【0160】
上記カチオン成分としては、一般的なイオン液体で使用されるカチオンが用いられる。かかるカチオン類としては、例えば、ヘテロ環式化合物のカチオン類、特には1〜5個のヘテロ原子を含む1〜5員環のヘテロ環式化合物のカチオン類、殊にはヘテロ原子として窒素原子を含む1〜5個のヘテロ原子を含む1〜5員環のヘテロ環式化合物のカチオン類等があげられ、中でもイミダゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン等が好ましい。また、鎖状の第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオンを用いることも好ましい。これらの中でも、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオンが好ましく、特にはイミダゾリウムカチオンを用いることが、粘度が低い点で好ましい。
【0161】
一方、上記アニオン成分としては、例えば、Cl-、Br-、AlCl4-、Al2 Cl7-、BF4-、PF6-、ClO4-、NO3-、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3-CF3SO3-、(CF3SO22-、(CF3SO23-、AsF6-、SbF6-、NbF6-、TaF6-、F(HF)n-、(CN)2-、SCN-、C49SO3-、(C25SO22-、C37COO-、(CF3SO2)(CF3CO)N-等の一般的なイオン液体で使用されるアニオンを用いることが可能である。
【0162】
上記帯電防止剤(F)の含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、通常、0.001〜20重量部に設定され、より好ましくは0.01〜10重量部、特に好ましくは0.02〜5重量部である。上記帯電防止剤(F)の含有量が少なすぎると、配合効果が得られない傾向があり、多すぎると耐久性が低下したり、帯電防止剤がブリードアウトする可能性がある。
【0163】
本発明において、粘着剤形成材料である樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、他のアクリル系粘着剤、その他の粘着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、ポリオール等の粘着付与剤、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の従来公知の添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができる。
また、上記添加剤の他にも、樹脂組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであっても良い。
【0164】
かくして本発明では、上記の樹脂組成物が架橋されてなる粘着剤、特に光学部材用粘着剤が得られるわけであるが、かかる粘着剤を光学部材(光学積層体)上に設けることにより、粘着剤層付き光学部材を得ることができる。
該粘着剤層付き光学部材には、粘着剤層の光学部材と逆の面に更に離型シートを設けることが好ましい。
【0165】
かかる粘着剤層付き光学部材の製造方法としては、特に限定されるものではなく、(1)光学部材上に樹脂組成物を塗布、乾燥した後、更に離型シートを貼合する方法、又は(2)離型シート上に樹脂組成物を塗布、乾燥した後、光学部材を貼合する方法等により製造することできるが、(2)の離型シート上に樹脂組成物を塗布する製造方法の方が、希釈溶剤により光学部材を劣化させる可能性が低い点で好ましい。
また、実用に供する際には、かかる離型シートを剥がして用いられ、更に離型シートはシリコン系の離型シートであることが好ましい。
【0166】
また、樹脂組成物が、活性エネルギー線照射および加熱の少なくとも一方による架橋を行なう場合には、〔1〕光学部材上に、樹脂組成物を塗布、乾燥した後、離型シートを貼合し、活性エネルギー線照射および加熱の少なくとも一方による処理を行なう方法、〔2〕離型シート上に、樹脂組成物を塗布、乾燥した後、光学部材を貼合し、活性エネルギー線照射および加熱の少なくとも一方による処理を行なう方法、〔3〕光学部材上に樹脂組成物を塗布、乾燥し、さらに活性エネルギー線照射および加熱の少なくとも一方による処理を行なった後、離型シートを貼合する方法、〔4〕離型シート上に樹脂組成物を塗布、乾燥し、さらに活性エネルギー線照射および加熱の少なくとも一方による処理を行なった後、光学部材を貼合する方法、により製造することできる。これらの中でも、〔2〕の方法で、かつ活性エネルギー線照射のみを行なう場合が光学部材を痛めない点、作業性や安定製造の点で好ましい。
【0167】
上記の塗布に際しては、溶剤に希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは11〜25重量%である。かかる溶剤としては、樹脂組成物を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトン、メタノールが好適に用いられる。
【0168】
上記方法により製造される粘着剤層のゲル分率については、80%以上であることが耐久性能と光漏れ防止性能の点で好ましく、特には90%以上が好ましい。ゲル分率が低すぎると凝集力が不足することに起因する耐久性不足や光漏れ現象が悪化する傾向がある。なお、通常ゲル分率の上限値は100%である。
【0169】
なお、光学部材用粘着剤のゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、例えば、活性エネルギー線の照射量や照射強度を調整すること、不飽和基含有化合物の種類と量を調整すること、重合開始剤の種類およびその併用割合を調整すること、重合開始剤の配合量を調整すること、架橋剤の種類と量を調整すること等により達成される。また、上記活性エネルギー線の照射量や照射強度、重合開始剤の組成比、配合量は、それぞれの相互作用によりゲル分率が変化するので、それぞれバランスをとることが必要になる。
【0170】
なお、上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、以下の方法で算出される。
即ち、後述の如く得られる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。但し、基材の重量は差し引いておく。
【0171】
また、得られる粘着剤層付き光学部材における粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、5〜300μmが好ましく、特には10〜50μmが好ましく、更には12〜30μmが好ましい。この粘着剤層の厚みが薄すぎると粘着物性が安定しにくい傾向があり、厚すぎると光学部剤全体の厚みが増しすぎてしまう傾向がある。
【0172】
本発明で得られる粘着剤層付き光学部材は、直接或いは離型シートを有するものは離型シートを剥がした後、粘着剤層面をガラス基板に貼合して、例えば液晶表示板に供されるのである。
【0173】
本発明の粘着剤層の初期粘着力は、被着体の材料等に応じて適宜決定される。例えば、無アルカリガラス板に貼着する場合には、0.01N/25mm〜50N/25mmの粘着力を有することが好ましい。なお、永久接着の場合でもリワーク(貼り直し)時に静電気が発生するとゴミのかみこみ等があるので、帯電防止性が要求されることになる。
【0174】
上記初期粘着力は、つぎのようにして算出される。調製した粘着剤層付き光学部材について、幅25mm幅に裁断し、離型フィルムを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製、「コーニング1737」)に押圧して、光学部材とガラス板とを貼合した。その後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分)を行い、24時間後に180℃剥離試験を行う。
【0175】
本発明における光学部材としては、特に限定されることなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に好適に用いられる光学フィルム、例えば、偏光板や位相差板、楕円偏光板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、更にはこれらが積層されているものなどが挙げられるが、中でも特に偏光板であることが本発明では有効である。
【0176】
本発明で用いられる偏光板は、通常偏光フィルムの両面に三酢酸セルロース系フィルムを保護フィルムとして積層したものであり、かかる偏光フィルムとしては、平均重合度が1,500〜10,000、ケン化度が85〜100モル%のポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムを原反フィルムとして、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液あるいは二色性染料により染色された一軸延伸フィルム(2〜10倍、好ましくは3〜7倍程度の延伸倍率)が用いられる。
【0177】
ポリビニルアルコール系樹脂としては通常酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していても良い。又ポリビニルアルコールを酸の存在下でアルデヒド類と反応させた、例えばポリブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等のいわゆるポリビニルアセタール樹脂及びポリビニルアルコール誘導体が挙げられる。
【実施例】
【0178】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0179】
〔アクリル樹脂(A)の調製〕
【0180】
[アクリル系樹脂(A−1)]
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに
、酢酸エチル100部を仕込み、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05部を加え、攪拌しながら昇温し、還流温度で、ブチルアクリレート(a1)69部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)30部、アクリル酸(a2)1部の混合物を2時間にわたって滴下した。重合途中に酢酸エチル10部にAIBN0.05部を溶解させた重合開始剤液を逐次追加しながら、酢酸エチル還流温度で3.5時間重合させた後、希釈してアクリル系樹脂(A−1)溶液(重量平均分子量(Mw)85万、分散度(Mw/Mn)4.5、ガラス転移温度−43℃、固形分35%、粘度7,000mPa・s(25℃))を得た。
【0181】
〔アクリル系樹脂(A−2)の調製〕
還流冷却器、攪拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、ブチルアクリレート(a1)90部、アクリル酸(a2)10部、酢酸エチル100部、アセトン45部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03部を加え、酢酸エチル還流温度で3時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂溶液〔重量平均分子量(Mw)160万、分散度(Mw/Mn)3.2、ガラス転移温度−49℃、固形分17.5%、粘度8200mPa・s(25℃)〕を得た。
上記で得られたアクリル系樹脂100部(固形分)に対し、メタノールで希釈し、中和剤として水酸化カリウムの10%メタノール溶液(カルボキシル基1モルに対して1当量)を含有させ、充分に撹拌して、アクリル系樹脂(A−2)の12%溶液を得た。
【0182】
[アクリル系樹脂(A−3)]
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、ブチルアクリレート(a1)94.5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)5部、アクリル酸(a2)0.5部及び酢酸エチル80部、アセトン45部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03部を加え、酢酸エチル還流温度で3時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A−3)溶液(重量平均分子量(Mw)180万、分散度(Mw/Mn)3.5、ガラス転移温度−54℃、固形分18%、粘度9000mPa・s(25℃))を得た。
【0183】
〔親水性基を有する不飽和化合物(B)〕
親水性基を有する不飽和化合物(B−1:ノニオン性基を有する単官能不飽和化合物)として、以下のものを用意した。
・アルキレンオキサイドの繰返し単位約9のメトキシポリエチレングリコール−モノアクリレート(日油社製、ブレンマーAME−400)
【0184】
〔親水性基を有する不飽和化合物(B−2:ノニオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物)の製造〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサーを備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(イソシアネート基含有量37.8%)94.1g(0.42モル)と2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン2.0g、ジブチルスズジラウリレート0.1gを仕込み、60℃以下でジペンタエリスリトールペンタアクリレート(0.51モル)〔ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(水酸基価50.0mgKOH/g)569.8gとして仕込む〕を約2時間で滴下し、60℃で2時間反応させ、残存イソシアネート基が2.1%となった時点で、さらにポリエチレングリコール(重量平均分子量993.1、エチレンオキサイド付加モル数22、水酸基価113mgKOH/g)336.2g(0.34モル)を55℃にて添加し、60℃で4時間反応させて、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、親水性基を有する不飽和化合物(B−2)を含有する組成物を得た(樹脂分濃度100%)。
上記の調製で得られた組成物は、親水性基を有する不飽和化合物(B−2)が69.4%含有され、エチレン性不飽和モノマー(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物)が30.6%含有されたものであり、また、重量平均分子量は2500であった。
【0185】
親水性基を有する不飽和化合物(B−3:カチオン性基を有する単官能不飽和化合物)として、以下のものを用意した。
・2−メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムジシアンアミド
【0186】
親水性基を有する不飽和化合物(B−4:カチオン性基を有する単官能不飽和化合物)として、以下のものを用意した。
・1−(2−メタクリロイロキシエチル)−3−オクチルイミダゾリウムジシアンアミド
【0187】
親水性基を有する不飽和化合物(B−5:カチオン性基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物)の製造
・温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(イソシアネート基含有量21.3%)128.1g(0.22モル)と2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.56g、ジブチルスズジラウリレート0.12g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(0.44モル)(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートアクリレートの混合物(水酸基価48mgKOH/g)507.5gとして仕込む)、メチルエチルケトン300.0gを仕込み、60℃で2時間反応させ、残存イソシアネート基が1.0%となった時点で45℃に冷却し、更にジメチルアルキルヒドロキシエチルアンモニウムスルホン酸塩〔竹本油脂社製「NGS−101」:下記一般式(4)参照(分子量297.0)〕64.4g(0.22モル)を45℃にて反応系に加え、60℃で3時間反応させて、残存イソシアネート基が0.1%となった時点で反応を終了し、4級アンモニウム塩基構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−5)を得た(樹脂分濃度70%)。
【0188】
【化3】

【0189】
親水性基を有する不飽和化合物(B−6:アニオン性を有する単官能不飽和化合物)として、以下のものを用意した。
・アクリル酸カリウム
【0190】
親水性基を有する不飽和化合物(B−7:アニオン性基を有する多官能(メタ)アクリレート系化合物)の製造
・アルカリ可溶性多官能アクリレート(酸価95.2:アロニックスM−510(東亞合成製))を採取し、メチルエチルケトン(MEK)で希釈し、中和剤として水酸化カリウムの10%メタノール溶液(カルボキシル基1モルに対して1.0当量)を含有させ、充分に撹拌して、親水性基を有する不飽和化合物(B−7)を得た。
【0191】
[親水性基を有しない不飽和化合物(B’−1)の製造]
・還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、イソホロンジイソシアネート19.2部、ジ−t−ブチルヒドロキシフェノール0.05部、ジブチルスズジラウレート0.02部を仕込み、50℃以下で、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物(共栄社化学社製ライトアクリレートPE−3A、水酸基価120mgKOH/g)80.8部を、70℃で反応を継続し、不飽和化合物(B’−1)を得た。
【0192】
[光重合開始剤(C−1)]
光重合開始剤(C−1)として、以下のものを用意した。
・ベンゾフェノンと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの質量比1:1の混合物(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア500」)
【0193】
[架橋剤(D−1)]
架橋剤(D−1)として、以下のものを用意した。
・トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物の55%酢酸エチル溶液(日本ポリウレタン社製、「コロネートL−55E」)
【0194】
[シランカップリング剤(E−1)]
シランカップリング剤(E−1)として、以下のものを用意した。
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、「KBM403」)
【0195】
[帯電防止剤(F)]
帯電防止剤(F−1)として、以下のものを用意した。
・ジメチルアルキルヒドロキシエチルアンモニウムスルホン酸塩(竹本油脂社製「NGS−101」:上記一般式(3)参照)
【0196】
実施例1
表1に示す如き配合組成にて樹脂組成物溶液(酢酸エチルにて粘度(1000−10000mPa・s/25℃)に希釈)を調製した。得られた組成物溶液をポリエステル系離型シートに、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、90℃で3分間乾燥した後、かかる組成物層側を偏光板(厚み190μm)上に転写し、ポリエステル系離型シート側から、フュージョン社製無電極ランプ[LH6UVランプのHバルブ]にてピーク照度:600mW/cm2,積算露光量:240mJ/cm2でで紫外線照射を行い、23℃、65%R.H.の条件下で14日間エージングさせて粘着剤層付き偏光板を得た。
【0197】
なお、偏光板には、膜厚30μmのポリビニルアルコール偏光フィルム(平均重合度1700、平均ケン化度99モル%、ヨウ素染色、4倍延伸)の両側を厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルムで積層した偏光板(ポリビニルアルコール偏光フィルムの延伸軸方向を45度傾けて100mm×100mmに切断)を用いた。
【0198】
実施例2−10及び比較例1−3
下記、表1に示す如き配合組成にて実施例1と同様の作業を行い、粘着剤層付き偏光板を得た。
【0199】
【表1】

【0200】
また、上記と同様の方法で、偏光板の変わりにポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)を使用してゲル分率および表面抵抗測定用サンプルを作製し、ゲル分率および表面抵抗を測定した。評価結果を表2に示す。
【0201】
(ゲル分率)
上記粘着剤付きサンプルを40×40mmに切断した後、離型シートを剥がし粘着剤層側を50×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼合してから、SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返してサンプルを包み込んだ後、トルエン250gの入った密封容器にて、23℃環境下で24時間浸漬した際の重量変化にてゲル分率(%)の測定を行った。
【0202】
(表面抵抗率)
得られた粘着剤付きサンプルを40×40mmに切断した後、23℃65%RH条件下でサンプルを3hr調湿後、剥離シートを剥がして10〜20秒後の粘着層について、三菱化学社製の抵抗率計「ハイレスターUP」を用いて、表面抵抗率(Ω/□)を測定した。なお、表面抵抗率の値が小さいほど帯電防止能が良いことを意味する。
【0203】
次いで、上記得られた粘着剤層付き偏光板について、下記の通り耐久性及び被着体汚染性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(耐久性)
得られた粘着剤層付き偏光板の離型シートを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製、コーニング1737)に押圧して、偏光板とガラス板とを貼合した後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分)を行ない、その後、下記の耐久試験(耐熱試験、ヒートサイクル試験)における発泡、剥がれ、光漏れ現象の評価を行なった。評価基準は下記の通りである。評価結果を表2に示す。
【0204】
なお、耐熱試験のみは、偏光板がクロスニコルになるように表と裏の両面に同じサンプルを貼合し、光漏れ観察用とした。
【0205】
使用した試験片サイズは、ヒートサイクルでは10cm×10cmを使用し、耐熱試験では20cm×15cmのものを使用した。
【0206】
〔耐久試験〕
(1)耐熱試験
80℃、100時間の耐久試験
(2)ヒートサイクル試験
−40℃で30分間放置した後、85℃で30分間放置する操作を1サイクルとして、100サイクル行なう耐久試験
【0207】
〔評価基準〕
(発泡)
○・・・発泡が見られない
△・・・発泡がわずかに見られる
×・・・発泡が多く見られる
(剥離)
○・・・剥がれがない、又は0.5mm未満の剥がれ、もしくはウキアトの発生
△・・・1mm未満の剥がれ、もしくはウキアトの発生
×・・・1mm以上の剥がれ、もしくはウキアトの発生
(光漏れ)
○・・・光漏れが見られない、又はほとんど見られない
△・・・光漏れが僅かに発生
×・・・4辺に光漏れが大きく発生
【0208】
[被着体汚染性]
得られた粘着剤付き偏光板サンプルを幅25mm幅に裁断し、離型フィルムを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製、「コーニング1737」)に押圧して貼合した。その後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分)を行った後、23℃50%R.H.の条件下に2週間放置し、粘着剤サンプルをガラス板から剥がした後の糊残りを目視で評価した。評価基準は下記の通りである。
○・・・糊残りが見られない。
×・・・糊残りが見られる。
【0209】
【表2】

【0210】
アクリル系樹脂(A−1)を用いた実施例1〜5と比較例1において、親水性基を含有する不飽和化合物(B)を用いない粘着剤を使用した比較例1に比べて、親水性基を含有する不飽和化合物(B)を用いた実施例1〜5の方が、低い表面抵抗率を示しており、帯電防止性能に優れたものであることがわかる。
【0211】
また、アルカリ中和して帯電防止能を備えさせたアクリル系樹脂(A−2)を用いた実施例6〜10と比較例2においても、親水性基を含有する不飽和化合物(B)を用いない比較例2に比べて、親水性基を含有する不飽和化合物(B)を用いた実施例6〜10の方が低い表面抵抗率を示しており、帯電防止性能に優れたものであることがわかる。
また、更に、表面抵抗値を下げるために多量の帯電防止剤を使用すると、耐久性の悪化及び糊残りが発生することとなり(比較例3参照)、実用に供するものではないと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0212】
本発明の粘着剤、特に光学部材用粘着剤は、各工程で発生する静電気が帯電しにくく、また、高温、高湿の条件下においても、光学積層体とガラス基板との接着性に優れ、粘着剤層とガラス基板との間に発泡や剥離が生じないうえに、光学フィルムの収縮により生じる光漏れ現象を抑制することができるため、耐久性に優れた液晶表示板を得ることができ、パソコンや液晶テレビ、カーナビゲーション等の表示装置として非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系樹脂(A)及び親水性基を有する不飽和化合物(B)を含有する樹脂組成物が、活性エネルギー線及び熱のうち少なくとも1つにより架橋されてなることを特徴とする粘着剤。
【請求項2】
アクリル系樹脂(A)が、共重合成分として水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、オキシアルキレン基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマーを3〜90重量%含有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤。
【請求項3】
親水性基を有する不飽和化合物(B)の不飽和基が、(メタ)アクリロイル基であることを特徴とする請求項1または2いずれか記載の粘着剤。
【請求項4】
樹脂組成物が、更に、重合開始剤(C)を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の粘着剤。
【請求項5】
樹脂組成物が、更に、架橋剤(D)を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の粘着剤。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の粘着剤を含有する光学部材用粘着剤。
【請求項7】
光学部材が偏光板であることを特徴とする請求項6記載の光学部材用粘着剤。
【請求項8】
請求項6または7記載の光学部材用粘着剤を含む粘着剤層を有することを特徴とする粘着剤層付き光学部材。

【公開番号】特開2009−144145(P2009−144145A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294375(P2008−294375)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】