説明

粘着積層体の製造方法

【課題】 溶剤を使用せず、製造工程が少なく、成形加工性に優れ、経済性にも優れる押出成形によって製造できる粘着積層体10の製造方法を提供する。
【解決手段】 低密度ポリエチレンの背面層11、低密度ポリエチレンと化学発泡剤とからなる発泡層13、メルトフローレート(MFR)が1.0〜8.0g/10分でメタアクリル酸メチル成分を10〜25質量%含有するエチレン−メタアクリル酸メチル共重合体の粘着層19を用いて、多層共押出成形法で製膜し、同時に発泡倍率を1.1〜3.0倍となるように発泡させることを特徴とし、また、総厚みが100〜500μm、総厚みの2.0〜40%が粘着層とするインフレーション製膜法であることも特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着積層体の製造方法に関し、さらに詳しくは、発泡体であっても外観がよく、表面の滑り性がよく、金属、ガラスやプラスチックのような物品の表面に対しても良好な密着性を有し、使用時の作業性や機械適性に優れるとともに、剥離が容易な粘着積層体を少ない製造工程で低コストで製造できる粘着積層体の製造方法に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「MMA」は「メタアクリル酸メチル」、「MA」は「アクリル酸メチル」、「VA」は「酢酸ビニル」、「EVA」は「エチレン−酢酸ビニル共重合体」、「LDPE」は「低密度ポリエチレン」、「LLDPE」は「直鎖低密度ポリエチレン」、「HDPE」は「高密度ポリエチレン」、及び「MFR」は「メルトフローレート」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。また、「エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体」は「エチレン−アクリル酸メチル共重合体とエチレン−メタアクリル酸メチル共重合体(通常、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体と呼称する)」を表す。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)従来、発泡体は包装材、緩衝材、断熱材、防音材などの用途に用いられてきた。ポリスチレン系やポリエチレン系樹脂の発泡体や、該発泡体に粘着剤などの非発泡フィルムを塗工し積層した粘着フィルムや粘着テープ等の粘着加工製品は広範囲にわたり使用されている。しかしながら、発泡体の発泡は不作為で発泡のムラをなくすことが困難であった。このために、発泡ムラがそのまま外観不良という問題が生じていた。また、発泡体自身や非発泡フィルムでは表面の滑り性が悪く、製造時には巻きジワが発生したり、使用時には表裏面が密着して剥離しくく(ブロッキング現象という)、積層体が切断したり、供給が不安定となって、作業性や機械適性が低下するという問題があった。さらに、積層体の製造にあたっては、従来の有機溶剤に溶解してから塗布する製造法では、火災の危険や環境への負担が大きかった。そこで、溶剤を使用しないで、かつ、製造工程が少なく、成形加工性に優れ、経済性にも優れる押出成形によって製造できることがよく、多層共押出成形法が好ましい。さらにまた、表面状態を使用時作業性や質感向上のために、マット感であることが好ましい。
従って、粘着積層体の製造方法は、発泡体であっても外観がよく、表面の滑り性がよく、使用時の作業性や機械適性に優れ、かつ、剥離し易い粘着積層体を、溶剤を使用せず、製造工程が少なく、成形加工性に優れ、経済性にも優れる押出成形によって製造できることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2126236号公報
【特許文献2】特許第3843552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(従来技術)従来、粘着テープとして、離型剤/多孔性基材/粘着剤層からなるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、粘着剤層の形成は、溶剤で希釈した粘着剤を用いて塗工するために、環境面で問題があるとともに、製造工程が多いため、コストが高いという問題点がある。また、塗工タイプの粘着製品では、被着体への糊残り等の汚染の問題も生じている。発泡層と水添ジエン系共重合体からなる粘着層を共押出技術により積層した積層体が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、耐熱安定性、耐候性等に課題があり、粘着強度が経時的に上昇し、剥離が困難になるという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、発泡体であっても外観がよく、表面の滑り性がよく、使用時の作業性や機械適性に優れ、かつ、剥離し易い粘着積層体を、溶剤を使用せず、製造工程が少なく、成形加工性に優れ、経済性にも優れる押出成形によって製造できる粘着積層体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明に係わる粘着積層体の製造方法は、背面層、発泡層及び粘着層が順に積層されてなる粘着積層体の製造方法であって、前記背面層として低密度ポリエチレンを用い、前記発泡層として低密度ポリエチレンと化学発泡剤とからなる組成物を用い、前記粘着層としてJIS─K−7210に準拠したメルトフローレート(MFR)が1.0〜8.0g/10分でメタアクリル酸メチル成分を10〜25質量%含有するエチレン−メタアクリル酸メチル共重合体を用いて、少なくとも背面層、発泡層及び粘着層の3層を多層共押出成形法で製膜し、該製膜と同時に前記発泡層の発泡倍率が1.1〜3.0倍となるように発泡させるように、したものである。
請求項2の発明に係わる粘着積層体の製造方法は、上記多層共押出成形法がインフレーション製膜法であり、上記粘着積層体の総厚みが100〜500μmであり、総厚みの2.0〜40%が粘着層であるように、したものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の本発明によれば、発泡体であっても外観がよく、表面の滑り性がよく、使用時の作業性や機械適性に優れ、かつ、剥離し易い粘着積層体を、溶剤を使用せず、製造工程が少なく、成形加工性に優れ、経済性にも優れる押出成形によって製造できる効果を奏する。
請求項2の本発明によれば、公知のインフレーション製膜法で、1工程で少なくとも3層が製膜でき、より低コストで製造できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の粘着積層体の製造方法で製造された粘着積層体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0011】
(製造方法)本願発明の粘着積層体の製造方法は、背面層、発泡層及び粘着層が順に積層されてなる粘着積層体10を製造する方法であり、製造された粘着積層体10としては、図1に示すように、背面層11、発泡層13及び粘着層19からなるようにする。背面層11として低密度ポリエチレンを用い、発泡層13として低密度ポリエチレンと化学発泡剤とからなる組成物を用い、粘着層19としてJIS─K−7210に準拠したメルトフローレート(MFR)が1.0〜8.0g/10分でメタアクリル酸メチル成分を10〜25質量%含有するエチレン−メタアクリル酸メチル共重合体を用いる。少なくとも背面層11、発泡層13及び粘着層19の3層を多層共押出成形法で製膜してなり、この製膜と同時に発泡層13の発泡倍率が1.1〜3.0倍となるように発泡させる。
【0012】
(効果)背面層11、発泡層13及び粘着層19の組成物として上記の成形加工性に優れる組成物を用い、かつ、多層共押出成形法で製膜することで、発泡体であっても外観がよく、表面の滑り性がよく、使用時の作業性や機械適性に優れ、かつ、剥離し易い粘着積層体を製造できる。また、共押出成形法では溶剤を使用しないので、火災の危険や環境への負担が少なく、さらに、製造工程を少なくできるので、低コストで経済性にも優れる。
【0013】
(背面層)背面層11としては、熱可塑性樹脂、すなわち、高温によって可逆的に軟化する樹脂であれば如何なるものでも用いることができる。熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンテレフタラート等のポリエステル樹脂、塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル等のポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン、耐熱ポリスチレン等のスチレン系樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリカーボネートなどがあげられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】
背面層11をもうけることで、発泡層13が直接ダイリップに接触しなくでき、製膜加工時に発泡層13から発生するダイリップの樹脂状付着物(メヤニ)の発生を防止することができる。また、これらの熱可塑性樹脂を背面層11として用いた場合には、多層共押出成形法で製膜する際に発泡層13と背面層11(熱可塑性樹脂)との間に酸変性樹脂などの接着性樹脂を用いてもよい。
【0015】
(発泡層)発泡層13は熱可塑性樹脂と発泡剤、好ましくは化学発泡剤とからなる組成物を多層共押出法での製膜と同時に発泡して形成し、かつ、発泡倍率を1.1〜3.0倍とする。
【0016】
(発泡層のMFR)本願発明の積層体における発泡層13は、熱可塑性樹脂からなるベース樹脂に発泡剤を添加することで構成される。ベース樹脂は高溶融強度、溶融弾性を示す低MFRのものが好ましく、MFRが0.5〜2.0g/10分のものが好適である。MFRがこの範囲未満では発泡倍率が得られず、また、この範囲を超えると気泡形状が悪くなる。
【0017】
(発泡剤)化学発泡剤としては、無機系発泡剤が好ましい。有機系発泡剤はアンモニアガス、窒素ガス、一酸化炭素ガス等の分解ガスを発生すること、また、分解残渣や昇華性物質が、加工機、金属製品等の汚染、腐食を引き起こすことから好ましくない。本発明に用いる無機系発泡剤としては、発生ガスが炭酸ガス及び水蒸気である炭酸水素ナトリウムからなる発泡剤が好適である。
【0018】
(添加量)本願発明においては、上記のような発泡剤を0.1〜2.0質量%の範囲の添加である。ベース樹脂に0.1〜2.0質量%の発泡剤を添加することで、発泡倍率が1.1〜3.0倍である発泡層を得ることができる。発泡倍率がこの範囲未満では緩衝性が不十分であり、また、この範囲を超えると独立気泡が得にくく、表面状態が悪くなる。発泡倍率を1.1〜3.0倍とすることで、緩衝機能と、ハンドリング適性、強度を実現できる。さらに好ましい発泡剤の添加は0.2〜1.0質量%の添加である。0.1質量%以下では分散が悪く、十分な発泡が得られず、2.0質量%を超えると、微細な発泡が実現できず、製造時にメヤニが発生しやすいため好ましくない。
【0019】
(メヤニ)押出成形法では、ダイスから押出される際に、ダイスの出口(ダイリップ)に押出樹脂組成物やその酸化物などの樹脂状付着物(メヤニ)が発生する欠点があり、その都度清掃しなければならない。表面層11を設けることで、成型加工時のダイリップの樹脂状付着物(メヤニ)発生を防止することができ、生産性を向上できる。
【0020】
発泡剤の添加は一般的に高濃度のマスターバッチを用いて、ベース樹脂と混合させて所望の添加濃度とする。マスターバッチの濃度は、発泡層13中の発泡剤濃度が0.1〜2.0質量%の範囲となるように、適宜定めればよい。また、背面層11、発泡層13及び粘着層19のいずれにも、機能に影響のない範囲で、例えば、滑剤、可塑剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤、その他などの添加剤を加えてもよい。
【0021】
(粘着層)粘着層19に用いられる樹脂は、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体である。エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体は、脱酢酸反応が生じるエチレン−酢酸ビニル共重合体とは異なり、腐食の原因となる酸が発生しないため、金属等の被着体にも好適に利用できる。
【0022】
粘着層19は発泡層13の表面を覆って綺麗な外観を示し、かつ、滑り性が良好な粘着積層体10を得ることができる。また、粘着層19には本発明の特性を阻害しない範囲で、ロジン及びロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、ポリエチレンワックス等の公知の粘着付与剤を添加してもよい。
【0023】
(成分)エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体はメタアクリル酸メチル成分の含有量が10〜25質量%であるものが好適である。さらに好ましくは、メタアクリル酸メチル含有量が10〜20質量%のものを用いることである。メタアクリル酸メチル含有量が10%未満では融点が高く、製膜時に高温加工となるため、透明度が高くなり、滑り性が低下し、また、マットな質感が低下し、さらに被着体との接着性も悪くなる。20%を超えると融点が下がり、表面にベタツキが生じ、滑り性が低下し、使用時の作業性や機械適性に劣るようになり、25%を超えると、製膜安定性が悪くなるため好ましくない。
【0024】
(MFR)エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体のMFRは、1.0〜8.0g/10分とする。MFRが1.0〜8.0g/10分の樹脂を用いることで、インフレーション製膜性がよく、光沢度の低いマットな質感の表面層を形成することができるのである。
【0025】
(光沢)エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体からなる背面層11の光沢度を20%以下とする。20%を超えると表面の光沢が増し、マット感が減少し、滑り性も低下し、また、発泡層13の発泡ムラが目立ちやすくなり外観が悪くなるために好ましくない。
【0026】
(摩擦)エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体を用いた背面層11同士の静摩擦係数を0.50以下、動摩擦係数を0.50以下とする。静摩擦係数0.5、動摩擦係数0.5を超えると滑り性が悪くなり、製造時に巻きジワやブロッキングの原因となったり、使用時にも作業性、機械適性が落ち、また、内容物が内部で移動したり、落下しやすなったりするために好ましくない。
【0027】
(製造法)粘着積層体10の製造方法としては、インフレーション製膜法、Tダイ製膜法等があり、好ましくはインフレーション製膜法である。Tダイ製膜法では、溶融樹脂がTダイスから吐出直後に急冷されるため、透明度が高くなり、マットな質感が得られにくい。インフレーション製膜法を用いることで、徐々に冷却がなされ、光沢度の低いマットな表面を得ることができるため、好ましい。
【0028】
(厚さ)粘着積層体10は背面層11/発泡層13/粘着層19の3層構成からなる積層体で、総厚みは200μm〜500μmが好適である。200μm未満では含有するガス量が少なく発泡感が不足し、500μmを超えると、オーバースペックとなるため好ましくない。
【0029】
粘着層19の厚さとしては、粘着積層体10の総厚みの2.0〜40%とする。この範囲未満では発泡層13の泡がはじけたり、凹凸状となって外観が悪く、また、この範囲を超えると発泡層13の厚さが相対的に薄くなり、緩衝機能が減少してしまう。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)下記の背面層11、発泡層13、粘着層19の組成物を用いて、インフレーション共押出製膜機を用いて、製膜温度210℃にて、背面層11を20μm、発泡層13を110μm、粘着層19を70μmの3層からなる総厚200μmの実施例1の粘着積層体10を得た。
・<背面層>LDPE(密度=0.923g/cm3、MFR=4.0g/10分)
・<発泡層>LDPE(密度=0.919g/cm3、MFR=2.0g/10分、引張弾性率=115MPa)を97質量部、と日東化工社製発泡剤マスターバッチ、ファインブローS−20N(20%マスターバッチ)を3質量部調整した。
・<粘着層>エチレン−メタアクリル酸メチル共重合樹脂、住友化学社製アクリフトXM790(メタアクリル酸メチル含有量=16%、密度=0.930g/cm3、MFR=7.0g/10分)
実施例1の粘着積層体10の発泡層の発泡倍率は1.6倍であり、メタクリル樹脂面に対する初期粘着力は0.02N/25mmであった。また、緩衝性、滑り性もよく、適度なマット感で、目視での外観も問題なかった。
【0032】
(実施例2)下記の背面層11、発泡層13、粘着層19の組成物を用いて、厚さを背面層11が20μm、発泡層13が140μm、粘着層19が60μmの3層からなる総厚220μmの実施例2の粘着積層体10を得た。
・<背面層>LDPE(密度=0.923g/cm3、MFR=4.0g/10分)
・<発泡層>LDPE(密度=0.919g/cm3、MFR=2.0g/10分、引張弾性率=115MPa)を97質量部、日東化工(株)製発泡剤マスターバッチ、ファインブローS−20N(20%マスターバッチ)を3質量部調整した。
・<粘着層>エチレン−メタアクリル酸メチル共重合樹脂、住友化学(株)製アクリフトXM790(メタアクリル酸メチル含有量=16%、密度=0.930g/cm3、MFR=7.0g/10分)
実施例2の粘着積層体10の発泡層の発泡倍率は1.7倍であり、メタクリル樹脂面に対する初期粘着力は0.02N/25mmであった。また、緩衝性、滑り性もよく、適度なマット感で、目視での外観も問題なかった。
【0033】
(比較例1)下記の発泡層13、粘着層19の組成物を用いて、厚さを発泡層13が120μm、粘着層19が60μmの2層からなる総厚180μmの比較例1の粘着積層体10を得た。
・<背面層>なし
・<発泡層>LDPE(密度=0.919g/cm3、MFR=2.0g/10分、引張弾性率=115MPa)を97質量部、日東化工(株)製発泡剤マスターバッチ、ファインブローS−20N(20%マスターバッチ)を3質量部調整した。
・<粘着層>エチレン−メタアクリル酸メチル共重合樹脂、住友化学(株)製アクリフトXM790(メタアクリル酸メチル含有量=16%、密度=0.930g/cm3、MFR=7.0g/10分)を100質量部
比較例1の粘着積層体10の発泡層の発泡倍率は1.7倍であった。メタクリル樹脂面に対する初期粘着力は0.03N/25mmであった。しかしながら、比較例1の粘着積層体10は、背面層11を設けておらず、発泡層13が表面に露出しれダイスに直接接触することから、製造時にダイリップにメヤニが大量に発生し、さらに、表面が著しく荒れて、実用にはならない状態であった。
【0034】
(測定方法)発泡倍率は、実施例及び比較例の粘着積層体10を製膜し23℃に1日間静置した後に、厚さ方向に切断し、該切断面を光学顕微鏡で撮影し、発泡層13の発泡部と未発泡部の面積比から発泡倍率を算出した。
初期粘着力は、厚み3mmのメタクリル板に積層体をJIS Z0237に規定されたゴムロール(重さ2kg、幅45mm、ロール径95mm、ゴム硬度80±5Hs)を用い、1往復圧着し、1時間後の剥離強度を300mm/分の引張り速度で測定した。
【産業上の利用可能性】
【0035】
(産業上の利用可能性)本発明は、物品の表面に対しても良好な密着性を有し、使用時の作業性や機械適性に優れるとともに、剥離が容易で、金属、ガラスやプラスチックの保護フィルムに利用することができる。しかしながら、物品表面に対して密着し、剥離もできる用途であれば、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
10:粘着積層体
11:背面層
13:発泡層
19:粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面層、発泡層及び粘着層が順に積層されてなる粘着積層体の製造方法であって、前記背面層として低密度ポリエチレンを用い、前記発泡層として低密度ポリエチレンと化学発泡剤とからなる組成物を用い、前記粘着層としてJIS─K−7210に準拠したメルトフローレート(MFR)が1.0〜8.0g/10分でメタアクリル酸メチル成分を10〜25質量%含有するエチレン−メタアクリル酸メチル共重合体を用いて、少なくとも背面層、発泡層及び粘着層の3層を多層共押出成形法で製膜し、該製膜と同時に前記発泡層の発泡倍率が1.1〜3.0倍となるように発泡させることを特徴とする粘着積層体の製造方法。
【請求項2】
上記多層共押出成形法がインフレーション製膜法であり、上記粘着積層体の総厚みが100〜500μmであり、総厚みの2.0〜40%が粘着層であることを特徴とする請求項1に記載の粘着積層体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−6624(P2011−6624A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153228(P2009−153228)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】