説明

精穀装置

【課題】 複数の横軸型精穀機を直列に接続した精穀装置において、後段に至る精穀機であっても除糠壁周面を均等に通風して、除糠を効率的に行うことを可能にした精穀装置を提供する。
【解決手段】 複数の精白室で生じた糠を機外に排出する構成の精穀装置1であって、排糠室の天井部3aには外気取入口28を設けるとともに、最上位以外の各多孔壁除糠精白筒の上方には、当該多孔壁除糠精白筒に外気を給風するための外気取入ダクト36a,36b,36cをそれぞれ横架した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦長に形成された箱型機枠内部に、多段状に複数の多孔壁除糠精白筒を横架した精穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の横軸型精穀機を直列に接続したものとして、図7に示すように、多孔壁除糠精米筒102内に研削転子101を軸架した横軸研削精米室103の下方に、これとほぼ平行に多孔壁除糠樋108内に軸架したスクリューコンベア107を、その下方にこれとほぼ平行に多孔壁除糠精米筒113内に噴風摩擦転子115を軸架した横軸噴風摩擦精米機を配設し、これらを直列工程に連絡して一対的に構成し、かつ、多孔壁102,108,113の外周を排風機117に連通する風路118に臨ませた精米機がある(特許文献1参照)。
【0003】
この考案では、玄米の初期行程に高速研削精米室103を設け、後行程において噴風摩擦精米を行う仕上行程を設けて、各除糠壁102,108,113の周面を通風して空冷除糠除熱作用により低温美麗な光沢白米に精米し得るものである。そして、多孔壁除糠精米筒102の下部には、これと平行に設けた多孔壁除糠樋108周面上部に糠が飛散しないよう、傘状部材121a,121bが設けられ、同様に、多孔壁除糠樋108の下部には、多孔壁除糠精米筒113周面上部に糠が飛散しないよう、傘状部材122a,122bが設けられている。
【特許文献1】実公昭39−22734
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成にあっては、傘状部材121,122によって多孔壁除糠壁108,113周面上部には糠が飛散しないものの、外気取入口120からの外気の通風が阻害されて糠が堆積しやすい問題があった。すなわち、除糠壁102周面上部では、外気取入口120からの距離が近いために除糠されやすいが、除糠壁108,113周面上部は、外気取入口120からの外気が通風されず、主として排風機117により除糠壁108,113周面下部のみが除糠されていた。
【0005】
本発明は上記問題点にかんがみ、複数の横軸型精穀機を直列に接続した精穀装置において、後段に至る精穀機であっても除糠壁周面を均等に通風して、除糠を効率的に行うことを可能にした精穀装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、縦長に形成された箱型機枠内部に、多段状に複数の多孔壁除糠精白筒を横架するとともに、該各多孔壁除糠精白筒内部に精白転子をそれぞれ回転可能に軸架して複数の精白室を形成する一方、前記各多孔壁除糠精白筒を縦長の排糠室で囲繞し、該排糠室下方に連通した排風機の吸引風によって前記複数の精白室で生じた糠を機外に排出する構成の精穀装置であって、前記排糠室の天井部には外気取入口を設けるとともに、前記最上位以外の各多孔壁除糠精白筒の上方には、当該多孔壁除糠精白筒に外気を給風するための外気取入ダクトをそれぞれ横架する、という技術的手段を講じた。
【0007】
そして、前記外気取入ダクトは、縦断面略三角形状に形成して内部に外気が流通可能な構成とし、該縦断面略三角形状の斜辺を傘形状に形成するとともに、底辺を多数の通孔を有する多孔板に形成するとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の精穀装置によれば、最上位の多孔壁除糠精白筒では精白室から排糠室に排出された糠が、排糠室天井部の外気取入口から取り入れた外気(二次空気)によって下方側に誘導されるために、最上位の多孔壁除糠精白筒の周面上部に糠が堆積するおそれがない。また、下位側に配設された多孔壁除糠精白筒にあっても、外気取入ダクトを介して取り入れた外気(二次空気)によって糠が下方側に誘導されるため、下位側の多孔壁除糠精白筒の周面上部に糠が堆積するおそれがない。そして、多孔壁除糠精白筒から排糠室に排出された糠は、下方に集中的に誘導され、排風機等により機外に排出されることになる。
【0009】
また、前記外気取入ダクトは、縦断面略三角形状に形成して内部に外気が流通可能な構成とし、該縦断面略三角形状の斜辺を傘形状に形成するとともに、底辺を多数の通孔を有する多孔板に形成しているから、傘形状に形成したことにより、上位の多孔壁除糠精白筒から排出された糠が、下位の多孔壁除糠精白筒周面上部に飛散せず、また、底辺を多数の通孔を有する多孔板で形成したことにより、外気が多孔壁除糠精白筒周面上部に均一に吹き付けられて除糠が促進されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の精穀装置の全体を示す側面図であり、図2は同縦断側面図であり、図3は図1の矢視A方向から見たときの平面図であり、図4は図2のB−B線の縦断面図である。
【0012】
図1及び図2において、本発明の精穀装置1は、内部が空洞の底枠2上に、縦長に形成された箱型機枠3及び縦梁4,5を立設するとともに、該箱型機枠3内に複数の摩擦式精穀機7…を収容し、さらに、箱型機枠3及び縦梁4,5に横架した横梁6によって補強して組み付けたものである。
【0013】
箱型機枠3は全高Hが約2200mm、幅Wが約300mm、奥行Lが約250mmの縦長に形成されてあり、前面側に縦長のドアー8a,8bが開閉自在に設けられ、該ドアーには把手9a,9bと、箱型機枠3内の精穀機7…を監視することのできる透明ガラス板10a,10bと、が設けられている。図2を参照すれば、箱型機枠3内部には、多段状に複数の多孔壁除糠精白筒11a〜11dが横架されるとともに、各精白筒11a〜11c内部には、精白転子12a〜12dが回転軸24a〜24dに軸架されている。そして、多孔壁除糠精白筒11a〜11dと連通する穀粒供給筒13a〜13dは、前記箱型機枠3外に突出して配設されており、内部に穀粒供給用の螺旋転子14a〜14dが回転軸24a〜24dに軸架されている。
【0014】
前記多孔壁除糠精白筒11a〜11dと精白転子12a〜12dとの間に形成される空間は、精白室15a〜15dとなし、該精白室15a〜15dと連通する螺旋転子14a〜14d側を穀粒供給部16a〜16dに、反対側を穀粒排出部17a〜17dに形成して摩擦式精穀機7a〜7dを構成する。そして、摩擦式精穀機7aの穀粒供給部16aはロータリー式の原料供給弁18を介して原料タンク19に接続する一方、摩擦式精穀機7aの穀粒排出部17aは抵抗蓋20aを備えた流下樋21aを接続する。該流下樋21aは、摩擦式精穀機7bの穀粒供給部16bに接続し、摩擦式精穀機7bの穀粒排出部17bは抵抗蓋20bを備えた流下樋21bと接続する。該流下樋21bからは摩擦式精穀機7cの穀粒供給部16cに接続し、摩擦式精穀機7cの穀粒排出部17cは抵抗蓋20cを備えた流下樋21cと接続する。また、該流下樋21cからは摩擦式精穀機7dの穀粒供給部16dに接続する一方、摩擦式精穀機7dの穀粒排出部17dは抵抗蓋20dを備えた流下樋21dから機外に排出されるようになっている。また、前記流下樋21b,21dは機外からサンプルを採取することができるよう、開閉可能な構成となっている。
【0015】
つまり、前記複数の摩擦式精穀機7a〜7dは、穀粒供給部16a〜16dと穀粒排出部17a〜17dとを互い違いにして前記箱型機枠3の上下方向で多段状に配設した構成である。
【0016】
前記流下樋21a〜21dに備えられる抵抗蓋20a〜20dは、符号22…で示された自動抵抗調節装置と接続されており、精白室15a〜15d内の穀粒が適度に排出抑制されて、所定の搗精度に精白されて流下樋21a〜21bに排出されるようになっている。
【0017】
符号23a〜23dは噴風ファンであり、各精穀機7a〜7dの中空状回転軸24a〜24dに圧搾空気が送られ、噴風孔25a〜25dを介して精白室15a〜15d内に噴風が送られるようになっている。
【0018】
符号26a〜26dは残留穀粒除去用の噴風ノズルであり、精穀作業終了時に精白室15a〜15dの下部に残留した穀粒に気流を吹き付けて穀粒排出部17a〜17d側に移送し、残留穀粒を機外に排出させるものである。
【0019】
前記多孔壁除糠精白筒11a〜11dの外側は排糠室27に形成され、該排糠室27の形状は、前記箱型機枠3内に形成される縦長の風路の様相となっている。該排糠室27(箱型機枠3)の天井部3aには、外気取入口28が設けられている。該外気取入口28は穀粒供給側から穀粒排出側にわたる帯状に形成し(図3参照)、箱型機枠3の上部側から外気を吸入するようになっている。また、該外気取入口28は必要に応じて開閉蓋(図示せず)を設けて取入口28aの開口幅Wを広狭調節可能にするとよい。
【0020】
該排糠室27(箱型機枠3)の底部3bはホッパー状に形成され(図4参照)、該ホッパー状の底部3bが前記底枠2内部と連通している。この底枠2は内部が空洞であり、図外のバグフィルターに連絡する集糠樋29に形成され、排糠室27からの糠を集約して排出する構成となっている。符号30は残留糠除去用の噴風ノズルであり、精穀作業終了時に集糠樋29の下部に残留した糠に気流を吹き付けてバグフィルター側に移送し、残留糠の排出を促進させるものである。
【0021】
符号31a〜31dは回転軸24a〜24dに軸着した従動プーリであり、駆動モータ32a〜32dに軸着した駆動プーリ33a〜33d及びVベルト34a〜34dを介して回転が伝達されるようになっている。
【0022】
前記箱型機枠3には、前記天井部3aに設けた外気取入口28の外、さらに、側面壁3c,3dに左右一対の外気取入口35a1,35b1…が多段に設けられている。そして、前記箱型機枠3には、前記外気取入口35a1,35b1…と連通する外気取入ダクト36a,36b,36cが横架され、前記多段状に横架された多孔壁除糠精白筒11b〜11d周面上部へ外気を吹き付けるように形成されている。
【0023】
前記外気取入ダクト36a,36b,36cは(図4参照)、縦断面略三角形状に形成して内部に外気を流通可能な構成となっており、また、斜辺が傘状部材37,37であるため、前行程の精穀機7aの多孔壁除糠精白筒11aから排出された糠が、後行程の精穀機7bの多孔壁除糠精白筒11b周面上部に飛散しないように形成されている。前記外気取入ダクト36a,36b,36cの底辺は、多数の通孔38を有する多孔板39に形成されており、該多孔板39は図4に示すように、多孔壁除糠精白筒11b〜11dの直径とほぼ同等の幅であり、外気が外気取入ダクト36a,36b,36cから多数の通孔38を経て多孔壁除糠精白筒11b〜11d周面上部に均一に吹き付けられることになる。
【0024】
図5及び図6は前記外気取入ダクト36a,36b,36cを拡大する斜視図であり、符号40は前記箱型機枠側面壁3c,3dへの取り付けフランジであり、該フランジ40には側面壁取り付け用のネジ孔41が穿設してある。符号42は外気取入口35の窓枠であり、該窓枠42には通風窓43が設けられている。そして、該窓枠42内には、吸気フィルター44が内装されており、精米工場内で発生する含塵空気の塵埃を除去して外気を吸入することができるようになっている。この吸気フィルター44により、図6の多孔板39の通孔38に目詰まりを生じるおそれもなくなる。
【0025】
以下、上記構成における作用の具体例を説明する。
【0026】
まず、図示しない操作盤により集糠樋29と連絡する図外のバグフィルター及び排風機45を駆動した後、本発明の精穀装置1が起動される。精穀装置1を起動すると駆動モータ32a〜32dが所定の回転数で回転され、従動プーリ31a〜31dを介して回転軸24a〜24dに回転が伝達される。そして、各回転軸24a〜24dと一体となった精白転子12a〜12d及び螺旋転子14a〜14dが回転されて各精穀機7a〜7dが起動されることになる。
【0027】
このとき、バグフィルター及び排風機45の吸引力により排糠室27(箱型機枠3)天井部3aの外気取入口28、及び側面壁3c,3dの外気取入口35a1,35b1…から外気(二次空気)が取り入れられるようになる。
【0028】
この状態で、原料供給弁18を駆動すると、精穀装置1に原料が供給されることとなる。原料タンク19に貯留された原料は適宜な流量で穀粒供給部16aに流下し、螺旋転子14aによって所定の搬送速度で精白室15aに搬送されていく。精白室15aでは抵抗蓋20aにより適度に排出抑制されるとともに、精白転子12aの攪拌によって穀粒同士が粒々摩擦され、所定の搗精度に精白されて流下樋21aに排出されるようになっている。本発明の精穀装置1は、精白転子12a〜12dのロール径(D)とロール長さ(L)の比(L/D)がほぼ2.0程度であり、穀粒同士の粒々摩擦を極力小さくして、穀粒の温度上昇を大きく抑制できるものとなっている。また、多段状に複数の精穀機7a〜7dを配設しているから、精白度を高めて精白能率を高めることも可能となっている。
【0029】
抵抗蓋20aを抗して流下樋21aに至った穀粒は、次行程の穀粒供給部16bに送られる。該穀粒供給部16bに送られた穀粒は、螺旋転子14bによって所定の搬送速度で精白室15bに搬送され、上記同様に精白処理される。そして、順次精白室15c,15dを通過した穀粒は最終的に精品として流下樋21dから機外に排出されることになる。
【0030】
以上のように精白処理が行われるのであるが、精穀機7aの多孔壁除糠精白筒11aでは精白室15aから排糠室27に排出された糠が、外気取入口28から取り入れた外気(二次空気)によって下方側に誘導されるために(図2の矢印参照)、上から一段目(最上位)の多孔壁除糠精白筒11a周面上部に糠が堆積するおそれがない。また、上から二段目(下位)に配設された精穀機7bの多孔壁除糠精白筒11bにあっては、外気取入口35a1,35b1及び外気取入ダクト36aを介して取り入れた外気(二次空気)によって糠が下方側に誘導されるため(図2の矢印参照)、多孔壁除糠精白筒11b周面上部に糠が堆積するおそれがない。さらに、外気取入ダクト36aの斜辺が傘状であるため、前行程の精穀機7aの多孔壁除糠精白筒11aから排出された糠が、多孔壁除糠精白筒11b周面上部に飛散せず(図4の矢印参照)、また、外気取入ダクト36aの底辺が多数の通孔38を有する多孔板39で形成されているため(図4,図6参照)、外気が多孔壁除糠精白筒11b周面上部に均一に吹き付けられて除糠が促進されるようになる。
【0031】
精穀機7c及び7dにおいても上記同様に外気取入ダクト36b,36cがそれぞれ設けられており、多孔壁除糠精白筒11c,11d周面上部には糠が堆積せず、また、多孔板39により除糠を促進させるように作用する。
【0032】
上記のように多孔壁所糠精白筒11a〜11dから排糠室27に排出された糠は、下方に集中的に誘導され、排糠室27と連通した集糠樋29に至る(図4参照)。集糠樋29の糠は、バグフィルター及び排風機45の吸引力により図外のバッグフィルタに気流搬送されて除糠される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の精穀装置の全体を示す側面図である。
【図2】同縦断側面図である。
【図3】図1の矢視A方向から見たときの平面図である。
【図4】図2のB−B線による縦断面図である。
【図5】外気取入ダクトの上から見下ろした拡大斜視図である。
【図6】外気取入ダクトの下から見上げた拡大斜視図である。
【図7】従来の精穀装置を示す正断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 精穀装置
2 底枠
3 箱型機枠
4 縦梁
5 縦梁
6 横梁
7 摩擦式精穀機
8 ドアー
9 把手
10 透明ガラス板
11 多孔壁除糠精白筒
12 精白転子
13 穀粒供給筒
14 螺旋転子
15 精白室
16 穀粒供給部
17 穀粒排出部
18 原料供給弁
19 原料タンク
20 抵抗蓋
21 流下樋
22 自動抵抗調節装置
23 噴風ファン
24 回転軸
25 噴風孔
26 噴風ノズル
27 排糠室
28 外気取入口
29 集糠樋
30 噴風ノズル
31 従動プーリ
32 駆動モータ
33 駆動プーリ
34 Vベルト
35 外気取入口
36 外気取入ダクト
37 傘状部材
38 通孔
39 多孔板
40 フランジ
41 ネジ孔
42 窓枠
43 通風窓
44 吸気フィルター
45 排風機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦長に形成された箱型機枠内部に、多段状に複数の多孔壁除糠精白筒を横架するとともに、該各多孔壁除糠精白筒内部に精白転子をそれぞれ回転可能に軸架して複数の精白室を形成する一方、前記各多孔壁除糠精白筒を縦長の排糠室で囲繞し、該排糠室下方に連通した排風機の吸引風によって前記複数の精白室で生じた糠を機外に排出する構成の精穀装置であって、
前記排糠室の天井部には外気取入口を設けるとともに、前記最上位以外の各多孔壁除糠精白筒の上方には、当該多孔壁除糠精白筒に外気を給風するための外気取入ダクトをそれぞれ横架したことを特徴とする精穀装置。
【請求項2】
前記外気取入ダクトは、縦断面略三角形状に形成して内部に外気が流通可能な構成とし、該縦断面略三角形状の斜辺を傘形状に形成するとともに、底辺を多数の通孔を有する多孔板に形成してなる請求項1記載の精穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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