説明

精算システム

【課題】記録媒体を用いて精算処理を行い得る精算システムにおいて、利用者が記録媒体を紛失した場合であっても不正利用を効果的に防止し得る構成を提供する。
【解決手段】精算システム1は、ICカードリーダ20によってICカード40が読み取られるときの利用時刻を記録しており、その記録されるICカード40の利用時刻に基づいて当該ICカード40の不正利用判断基準を設定している。そしてICカードリーダ20によってICカード40が読み取られる際に、その設定された不正利用判断基準に基づいて不正利用か否かを判断しており、不正利用と判断された場合には、個人認証情報の入力を受け付け、入力された個人認証情報と登録手段に登録された認証データとに基づいて精算処理の実行可否を判断している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精算システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、社員食堂や飲食店などにおいてICカードを利用した精算システムが導入されている。この種の精算システムとしては、例えば特許文献1のようなものが提供されており、この例では、店内で用いられる食器などに無線タグを取り付けており、精算機側では、リーダライタによって食器などに付された無線タグを読み取ることで飲食代金の情報を取得している。更に、精算機には、利用者が所持するICカードと通信を行う手段が設けられており、このICカード内の電子マネーデータに基づいて上記飲食代金を精算している。
【0003】
このようなシステムを用いると、購入者は小銭等を準備することなくICカードを用いて簡単に精算できるようになり、店舗側では、精算機によって無線タグを読み取ることで飲食代金を容易に且つ正確に把握できると共にICカードを読み取ることで、飲食代金を簡単に精算できるようになり、精算処理の省力化或いは無人化を図りやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−145470公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような精算システムの場合、利用者がICカードを紛失した場合などが問題となる。例えば、利用者がICカードを紛失してしまった場合、第三者に当該ICカードを不正利用されてしまうという懸念があり、このような不正利用が行われると利用者が不測の不利益を被ってしまうことになる。一方、利用者がICカードの紛失に気付いたときにその旨を登録し、所定の対応処理を行って当該ICカードの使用を停止する方法も考えられる。しかしながら、このような方法では、紛失登録がなされるまでの間は不正利用を防止することができず、更なる対策が望まれている。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、記録媒体を用いて精算処理を行い得る精算システムにおいて、利用者が記録媒体を紛失した場合であっても不正利用を効果的に防止し得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、利用者を特定可能な固有情報が記録された記録媒体を読み取る無線リーダと、商品購入又はサービス利用に伴う金銭データを取得する金銭データ取得手段と、前記無線リーダによって読み取られる前記記録媒体の前記固有情報と、前記金銭データ取得手段によって取得される前記金銭データとに基づいて精算処理を行う精算手段と、を備えた精算システムであって、前記記録媒体と対応付けて認証データを登録する登録手段と、前記無線リーダによって前記記録媒体が読み取られるときの利用時刻を記録する利用時刻記録手段と、前記利用時刻記録手段によって記録される前記記録媒体の前記利用時刻に基づいて当該記録媒体の不正利用判断基準を設定する判断基準設定手段と、前記無線リーダによって前記記録媒体が読み取られる際に、前記判断基準設定手段によって設定された前記不正利用判断基準に基づいて不正利用か否かを判断する不正利用判断手段と、前記不正利用判断手段によって不正利用と判断された場合に、個人認証情報の入力を受け付ける入力手段と、前記入力手段によって入力された前記個人認証情報と、前記登録手段に登録された前記認証データとに基づいて前記精算処理の実行可否を判断する実行可否判断手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の精算システムにおいて、前記判断基準設定手段が、前記記録媒体が所定時間内に所定回数以上利用された場合を不正利用とするように前記不正利用判定基準を設定することを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の精算システムにおいて、前記無線リーダ及び前記金銭データ取得手段が、飲食物提供場所に設けられ、前記判断基準設定手段が、前記記録媒体が所定の食事時間帯に前記飲食物提供場所において前記所定回数以上利用された場合を不正利用とするように前記不正利用判定基準を設定することを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の精算システムにおいて、前記判断基準設定手段が、前記記録媒体の利用時刻を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積される前記記録媒体の前記利用時刻に基づいて所定の平均値算出処理を行うことで前記記録媒体の平均利用時刻を算出する平均利用時刻算出手段と、前記平均利用時刻算出手段によって算出された前記平均利用時刻に基づいて当該平均利用時刻を含んだ正規利用推定時間帯を決定する決定手段と備えており、前記決定手段によって決定された前記正規利用推定時間帯から外れる時間帯を不正利用時間帯とするように前記不正利用判定基準を設定することを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の精算システムにおいて、前記判断基準設定手段が、前記記録媒体の利用時刻を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積される前記記録媒体の前記利用時刻に基づいて所定の標準偏差算出処理を行うことで前記記録媒体の利用時刻の標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、前記標準偏差算出手段によって算出された前記標準偏差に基づいて正規利用推定時間帯を決定する決定手段と備えており、前記決定手段によって決定された前記正規利用推定時間帯から外れる時間帯を不正利用時間帯とするように前記不正利用判定基準を設定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明に係る精算システムは、無線リーダによって記録媒体が読み取られるときの利用時刻を記録する利用時刻記録手段と、利用時刻記録手段によって記録される記録媒体の利用時刻に基づいて当該記録媒体の不正利用判断基準を設定する判断基準設定手段と、無線リーダによって記録媒体が読み取られる際に、判断基準設定手段によって設定された不正利用判断基準に基づいて不正利用か否かを判断する不正利用判断手段とを備えている。このようにすると、記録媒体の利用時刻に基づいて不正利用の判断基準を設けることができ、この不正利用判断基準に基づいて記録媒体の不正利用を適切に判断できる。
更に、不正利用判断手段によって不正利用と判断された場合に、個人認証情報の入力を受け付ける入力手段と、入力手段によって入力された個人認証情報と、登録手段に登録された認証データとに基づいて精算処理の実行可否を判断する実行可否判断手段とを有している。これにより、不正利用が推定されるケースでは、入力された個人認証情報と登録データ(認証データ)とに基づいて精算処理の実行可否を判断できるようになり、記録媒体の不正利用を効果的に抑制することができる。また、闇雲に個人認証情報を受け付けるのではなく、不正利用が推定されるケースで個人認証情報を受け付けているため、正規利用と推定されるケースでの入力作業を減らすことができ、個人認証情報の入力に起因する負荷の増大を極力抑えることができる。
【0013】
請求項2の発明では、判断基準設定手段が、記録媒体が所定時間内に所定回数以上利用された場合を不正利用とするように不正利用判定基準を設定している。このようにすると、特に、記録媒体が所定時間内に多数利用されにくいケースでの不正利用を効果的に低減することができる。
【0014】
請求項3の発明は、無線リーダ及び金銭データ取得手段が飲食物提供場所に設けられ、記録媒体が所定の食事時間帯に飲食物提供場所において所定回数以上利用された場合を不正利用とするように不正利用判定基準を設定している。飲食物提供場所では、食事時間帯に記録媒体が多数回繰り返して精算に用いられることは考えにくいため、上記のように不正利用判断基準を設定すれば、このような食事時間帯の不正利用を効果的に抑えることができる。
【0015】
請求項4の発明は、判断基準設定手段が、記録媒体の利用時刻を蓄積する蓄積手段と、蓄積手段に蓄積される記録媒体の利用時刻に基づいて所定の平均値算出処理を行うことで記録媒体の平均利用時刻を算出する平均利用時刻算出手段と、平均利用時刻算出手段によって算出された平均利用時刻に基づいて当該平均利用時刻を含んだ正規利用推定時間帯を決定する決定手段と備えており、決定手段によって決定された正規利用推定時間帯から外れる時間帯を不正利用時間帯とするように不正利用判定基準を設定している。
記録媒体は、平均利用時刻から大きく外れた使われ方がされにくいため、平均利用時刻に基づいて正規利用推定時間帯を決定することで、不正利用を判断する上でのより適切な指標を得ることができる。
【0016】
請求項5の発明では、判断基準設定手段が、記録媒体の利用時刻を蓄積する蓄積手段と、蓄積手段に蓄積される記録媒体の利用時刻に基づいて所定の標準偏差算出処理を行うことで記録媒体の利用時刻の標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、標準偏差算出手段によって算出された標準偏差に基づいて正規利用推定時間帯を決定する決定手段と備えており、決定手段によって決定された正規利用推定時間帯から外れる時間帯を不正利用時間帯とするように不正利用判定基準を設定している。
このように、記録媒体の利用時刻の標準偏差を求めることで、記録媒体の利用時刻のばらつきを把握することができ、このような標準偏差に基づいて正規利用推定時間帯を決定することで、ばらつきを考慮した適切な指標を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る精算システムの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図2】図2(A)は、ICカードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図であり、図2(B)は、ICカードの電気的構成を例示するブロック図である。
【図3】図3は、図1の精算システムで行われる支払い処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図4は、図3の支払い処理で行われる不正利用判定処理を例示するフローチャートである。
【図5】図5は、ICカード利用データのデータ構成を概念的に例示する説明図である。
【図6】図6は、第2実施形態に係る精算システムで行われる不正利用判定処理を例示するフローチャートである。
【図7】図7は、第3実施形態に係る精算システムで行われる不正利用判定処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の精算システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(精算システムの概要)
まず、図1、図2を参照して第1実施形態に係る精算システムの概要を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る精算システムの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図2(A)は、ICカードリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図であり、図2(B)は、ICカードの電気的構成を例示するブロック図である。
【0019】
図1に示す精算システム1は、商品を購入した時やサービスの提供を受けた時などにICカードを利用して精算するシステムとして構成されるものである。なお、以下の説明では、飲食物提供場所(例えば社員食堂など)などにおいて飲食代金精算システムとして構成される場合を代表例として説明する。この精算システム1は、図1に示すように、主として、利用者に所持されるICカード40と、精算装置10と、ICカードリーダ20と、入力キー25と、タグリーダ27と、外部管理装置50とを備えている。
【0020】
精算装置10は、情報処理装置として構成されており、制御回路11、通信部12、メモリ13などを備えている。
制御回路11は、例えばマイクロコンピュータ等で構成されており、メモリ13に記憶された制御プログラムに従って精算装置10全体を制御する機能を有し、更に、精算装置10に接続される外部装置(ICカードリーダ20、タグリーダ27、外部装置50等)との間で情報の入出力を行うように構成されている。
【0021】
メモリ13は、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの公知の記憶媒体によって構成されており、精算装置10で扱われる各種情報を記憶している。例えば、ROMには上述の制御プログラムなどが記憶されており、RAMや不揮発性メモリなどには後述する金銭データや利用時刻などが記憶可能とされている。また、通信部12は、例えば公知のLANインターフェースなどによって構成されており、外部装置(外部管理装置50等)との間で無線通信或いは有線通信を行うためのインターフェースとして機能している。
【0022】
ICカードリーダ20は、公知のICカードリーダとして構成されるものであり、図2(A)に示すように、CPU21、送信回路22、受信回路23、アンテナ24などを備えている。送信回路22は、例えば、キャリア発振器、符号化部、変調部、増幅器、などによって構成されている。キャリア発振器は、所定周波数のキャリア(搬送波)を出力しており、符号化部は、CPU21に接続され、CPU21より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)及び符号化部からの送信データが入力されるものであり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。また、増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を設定された増幅率で増幅しており、その増幅信号が送信信号としてアンテナ24に出力されるようになっている。
【0023】
また、アンテナ24には、受信回路23の入力端子が接続されており、アンテナ24によって受信された電波信号(受信信号)は、受信回路23に入力されるようになっている。受信回路23は、例えば、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ24によって受信された受信信号を増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調している。更に、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化すると共に、復号化部にて復号化し、その復号化された信号を受信データとしてCPU21に出力している。
【0024】
ICカード40は、例えば図2(B)のように構成されている。このICカード40は、ハードウェア的には公知の非接触通信媒体として構成され、例えばRFIDタグとして機能するICチップを内蔵しており、具体的には、図2(B)に示すように、アンテナ41,電源回路42,復調回路43,制御回路44,メモリ45,変調回路46,負荷変調回路47、コンデンサ48などを備えている。このICカード40は、無線通信部21及びアンテナ24より送信された搬送波をアンテナ41を介して受信すると、電源回路42において搬送波を整流して動作用電源を生成し、マイクロコンピュータで構成される制御回路44及びその他の構成要素に供給している。
【0025】
また、ICカード40では、搬送波に重畳されているアンテナ24からの送信データが復調回路43によって復調され、制御回路44に出力されるようになっている。制御回路44は、動作用電源が供給されて起動すると、リーダ側からの送信データ(アンテナ24からの送信データ)を受けてメモリ45に記憶されているデータを読み出している。変調回路46は、受信した搬送波を分周した副搬送波を制御回路44が出力する応答データによって変調している。更に、アンテナ41には、負荷変調回路47を構成する抵抗及びスイッチの直列回路が並列に接続されており、変調回路46より出力される副搬送波の被変調信号により負荷変調回路47のスイッチがオンオフされることで搬送波が負荷変調され、応答(レスポンス)が返信されるようになっている。
【0026】
なお、ICカード40は「記録媒体」の一例に相当し、利用者(当該ICカード40が正規に割り当てられた者)を特定可能な固有ID(固有情報)がメモリ45に記録された構成をなしている。また、図2(A)(B)では、図1に示すICカードリーダ20及びICカード40の一例を挙げたが、電波を媒介として無線通信が可能な他の構成を用いてもよい。
【0027】
入力キー25は、例えばテンキーなどによって構成されると共に、図示しないインターフェースを介して精算装置10の制御回路11に接続されており、外部操作に応じた入力信号(例えば、番号情報)を制御回路11に与えることができるようになっている。
【0028】
タグリーダ27は、公知のRFIDタグリーダとして構成されており、ハードウェア的には、上述のICカードリーダ20と同様の構成(図2(A)と同様の構成)をなしている。このタグリーダ27は、料理や飲料を提供する食器に付されたタグを読み取り可能に構成されており、例えば、図1のように食器61、62、63に付された無線タグTa1、Ta2、Ta3をまとめて読み取り、これら無線タグTa1、Ta2、Ta3に記録された料金情報(金銭データ)を取得できるようになっている。なお、各無線タグTa1、Ta2、Ta3は、ハードウェア的には、ICカード40と同様の構成(図2(B)と同様の構成)をなしている。
【0029】
外部管理装置50は、CPU、記憶手段(ROM、RAM、HDD等)、入力手段(マウス、キーボード等)、通信手段(LANインターフェース)などを備えた情報処理装置(例えば公知のパーソナルコンピュータ)として構成されている。この外部管理装置50は、上述の精算装置10と通信可能に構成されており、この精算装置10との間で各種情報を送受信し得る構成をなしている。
【0030】
(支払い処理)
次に、精算システム1で行われる支払い処理について説明する。
図3は、図1の精算システムで行われる支払い処理の流れを例示するフローチャートである。図4は、図3の支払い処理で行われる不正利用判定処理を例示するフローチャートである。図5は、ICカード利用データのデータ構成を概念的に例示する説明図である。
【0031】
図3に示す支払い処理は、例えば、電源投入や所定の操作がなされたときに制御回路11にて実行開始されるものであり、まず、ICカードリーダ20によるICカード40の読取動作があったか否か判断する(S1)。ICカードリーダ20によるICカード40の読取動作があった場合には、S1にてYesに進み、ICカードリーダ20によって読み取られたICカード40の記録内容を取得する(S2)。
【0032】
ICカード40には少なくとも固有ID(ICカード番号)が記録されており、S2では少なくともICカード40に記録されている固有IDを取得している。なお、ICカード番号の割り当て規則は様々に考えられ、企業内で用いられるICカードの場合には例えば従業員番号などをICカード番号とすることができる。また、S2の処理では、固有ID(ICカード番号)の取得と共に、その固有ID(ICカード番号)の取得時刻(ICカード40の読み取り時刻)も取得し、メモリ13に記憶している。例えば、精算装置10の内部には、時計回路などの時計手段(図示略)が設けられており、制御回路10は、S2の処理が実行される時の時刻をこの時計手段から取得している。
なお、S2の処理を実行する制御回路11及びメモリ13は、「利用時刻記録手段」の一例に相当し、ICカードリーダ20によってICカード40が読み取られるときの利用時刻を記録するように機能している。
【0033】
S2の後には、不正利用判定処理を行う(S3)。この不正利用判定処理は、例えば、図4のような流れで行われるようになっており、まず、S2で取得した固有ID(ICカード番号)についての利用データの記録が存在するか否かを判断する(S11)。本実施形態では、例えば、図5のように、利用があった各ICカード40毎に、ICカード番号と対応付けて利用データを記録しており(具体的には、後述する図3のS9の処理で記録)、それら利用データを蓄積した蓄積データをメモリ13或いは外部管理装置50のメモリなどに記憶している。S11では、このような蓄積データを参照し、S2で取得したICカード番号についての記録が存在するか否かを判断する。
【0034】
蓄積データの中にS2で取得したICカード番号についての記録が存在する場合には、S11にてYesに進み、そのICカード番号の利用記録を参照し、現在時刻(S2で読み取りがなされた時に記録されたり利用時刻)から所定時間(図4では、a時間)以内に、今回の利用を含めて所定回数(図4ではb回)以上利用の利用があったか否かを判断する。そして、現在時刻(S2で記録された利用時刻)から所定のa時間以内に、今回の利用を含めて所定のb回以上の利用があった場合には、S13にてYesに進み、不正利用と判定して不正利用であることを示す情報を記録する(S15)。一方、現在時刻(S2で記録された利用時刻)から所定のa時間以内に、今回の利用を含めて所定のb回以上の利用が無い場合には、S13にてNoに進み、正常利用と判定して正常利用であることを示す情報を記録する(S14)。
【0035】
例えば、所定時間aが「1時間」と設定され、所定回数bが「3回」と設定されている場合、S12では、S2で取得されたICカード番号について、S2で記録された利用時刻から1時間以内の利用履歴(利用時刻)を参照し、今回の利用を含めて3回に達しているか否かを判断する。図5の例を参照して具体的に説明すると、例えば、S2で取得されたICカード番号が「1234」であり、S2で取得された利用時刻が12:40:00である場合、図5のICカード番号「1234」は、既に当日1回利用されているが、12:40:00からの1時間以内の利用は、今回の利用を含めて2回となり、閾値である3回に達していないことになるため、S13ではNoと判断されて正常利用と判定されることになる。また、図5の例において、S2で取得されたICカード番号が「3456」であり、S2で取得された利用時刻が12:40:00である場合、図5のICカード番号「3456」は、既に当日2回利用されており、12:40:00から1時間以内に3回利用されることになるため、S13ではYesと判断されて不正利用と判定されることになる。なお、ここに示すa、bの設定例はあくまで一例であり、様々な設定値とすることができる。
【0036】
上記説明では、S11の判断処理においてYesと判断される場合について説明したが、S11の判断処理において、S2で取得したICカード番号についての記録が存在しないと判断される場合(例えば当該ICカード番号のICカードが初めて利用される場合)には、S11にてNoに進み、上述のS14の処理(正常利用と判定する処理)を行う。
【0037】
なお、上記説明では、S15にて不正利用であることを示す情報を記録し、S14にて正常利用であることを示す情報を記録する例を示したが、不正利用と正常利用を記録によって区別できればよく、例えば、S15の処理において不正フラグを記録し、S14の処理ではこのような不正フラグを記録しないといった方法を用いてもよい。
【0038】
本実施形態では、図4の不正利用判定処理(具体的には、S12、S13の判断処理)を行う制御回路11が「判断基準設定手段」の一例に相当し、利用時刻記録手段によって記録されるICカード40の利用時刻に基づいて当該ICカード40の不正利用判断基準を設定するように機能する(より詳しくは、ICカード40が所定時間内に所定回数以上利用された場合を不正利用とするように不正利用判定基準を設定するように機能する)。また、S13、S14、S15の処理を実行する制御回路11は、「不正利用判断手段」の一例に相当し、ICカードリーダ20によってICカード40が読み取られる際に、判断基準設定手段によって設定された不正利用判断基準に基づいて不正利用か否かを判断するように機能する。
【0039】
図4の処理が終わると、図3のS4において不正利用であるか否かの判断がなされる。上述の図4の処理において、S14で正常利用と判定されている場合には、S4にてNoに進み、精算を行うことになる(S8)。一方、上述の図4の処理において、S15で不正利用と判定されている場合には、S4にてYesに進み、S5以降の処理を行うこととなる。
【0040】
図4にてNoに進む場合、S8の処理では、別途入力された代金(例えば飲食代金)とS2で読み取ったICカード番号とを対応付け、これらを外部管理装置50に送信する。なお、代金の入力は様々な方法を用いることができるが、例えば、図1のタグリーダ27を使用して入力作業を行うと便利である。具体的には、当該精算システム1の設置場所が社内食堂等の飲食物提供場所の場合、予め各食器毎に各食器に対応した料理や飲料の代金を記録した無線タグを付しておき、例えば、図1のように利用者が使用した食器61、62、63に付された無線タグTa1、Ta2、Ta3を読み取ることで各食器毎の代金データを取得するといった方法を用いることができる。この場合、これら取得した代金データを合計することで合計金額を算出できる。
なお、この例では、タグリーダ27及び制御回路11が「金銭データ取得手段」の一例に相当し、商品購入又はサービス利用に伴う金銭データを取得するように機能する。
【0041】
制御回路11によるS8の処理において、上記のように取得される代金とS2で読み取られたICカード番号とを対応付けて送信した場合、外部管理装置50は、これら対応付けられたICカード番号及び代金を受信しており、外部管理装置50側では、そのICカード番号が割り当てられた所有者によってその受信した代金の利用があったことを特定することができる。従って、外部管理装置50は、その所有者に対して口座引き落としや給与天引きなどの決済処理を行うことができる。
【0042】
なお、本実施形態では、S8の処理を実行する制御回路11が「精算手段」の一例に相当し、ICカードリーダ20によって読み取られるICカード40の固有IDと、金銭データ取得手段によって取得される金銭データとに基づいて精算処理を行うように機能する。また、この例では、S2で読み取られたICカード番号(固有ID)と、タグリーダ27の読み取りによって得られた代金データとを対応付けて外部管理装置50に送信する処理が「精算処理」の一例に相当する。
【0043】
S8にて精算が行われた後には、記録内容を更新する処理を行う(S9)。上述したように、メモリ13或いは外部記憶装置50には、各ICカード番号毎に図5のような利用履歴データ及び統計データを記録されており、S9では、S2で取得したICカード番号についての利用履歴データ及び統計データを、S2で記録された利用時刻を反映した内容に更新する。図5の例では、各ICカード番号毎に、当日の利用時刻、毎日の平均利用時刻、利用時刻の標準偏差などを記録しており、S9では、S2で取得した利用時刻のデータを、S2で取得したICカード番号についての「当日の利用時刻」の記録に加えると共に、このS2で取得した利用時刻のデータを反映して当該ICカード番号についての「毎日の平均利用時刻」「利用時刻の標準偏差」を新たに算出し、これを記録する。なお、図5では、各ICカード番号毎に当日の利用時刻を記録する例を示しているが、各ICカード番号についての複数日の利用時刻(例えば過去1週間以内の利用時刻或いは過去1カ月以内の利用時刻等)を記録してもよい。
【0044】
次に、S4にて不正利用と判断される場合について説明する。
図4のS15にて不正利用と判定された場合には、S4にてYesに進み、暗証番号の入力を促す表示を行う(S5)。具体的には、例えば、表示部14に「暗証番号を入力してください」といった文字情報を表示する。そして、S5の後には、入力キー25による暗証番号の入力を受け付け、正しい暗証番号の入力があったか否かを判断する(S6)。
【0045】
本実施形態では、予め、メモリ13或いは外部管理装置50において、各ICカード番号と対応付けて暗証番号(登録暗証番号)が登録されており、S5の後に入力キー25によって暗証番号が入力された場合には、S2で取得されたICカード番号と対応付けて登録されている登録暗証番号と、S5の後に入力キー25によって入力された暗証番号(入力暗証番号)とを比較し、一致しているか否かを判断する。
【0046】
なお、本実施形態では、メモリ13或いは外部管理装置50が「登録手段」の一例に相当し、各ICカード番号と対応付けて登録暗証番号(認証データ)を登録するように機能する。また、入力キー25及び制御回路11が「入力手段」の一例に相当し、不正利用判断手段によって不正利用と判断された場合に、入力暗証番号(個人認証情報)の入力を受け付けるように機能する。
【0047】
S2で取得されたICカード番号と対応付けて登録されている登録暗証番号(認証データ)と、S5の後に入力キー25によって入力された入力暗証番号(個人認証情報)とが一致している場合には、S6にてYesに進み、上述の精算を行う(S8)。他方、S5の後に入力された入力暗証番号が、S2で得られたICカード番号と対応付けて登録された登録暗証番号と一致していない場合、或いはS5の処理の後、所定時間経過しても暗証番号の入力がなかった場合にはS6にてNoに進み、所定のエラー処理を行う(S7)。なお、このエラー処理としては、表示部14での所定のエラー表示(例えば、「不正利用です。使用できません」といった文字情報の表示)、音声によるエラー報知、ランプによるエラー報知(例えばランプ点滅等)などの様々な処理方法を用いることができる。
【0048】
本実施形態では、S6の判断処理を行う制御回路11が「実行可否判断手段」の一例に相当し、入力手段によって入力された入力暗証番号(個人認証情報)と、登録手段に登録された登録暗証番号(認証データ)とに基づいてS8の精算処理の実行可否を判断するように機能する。
【0049】
(第1実施形態の主な効果)
第1実施形態に係る精算システム1は、ICカードリーダ20によってICカード40が読み取られるときの利用時刻を記録する利用時刻記録手段と、利用時刻記録手段によって記録されるICカード40の利用時刻に基づいて当該ICカード40の不正利用判断基準を設定する判断基準設定手段と、ICカードリーダ20によってICカード40が読み取られる際に、判断基準設定手段によって設定された不正利用判断基準に基づいて不正利用か否かを判断する不正利用判断手段とを備えている。このようにすると、ICカード40の利用時刻に基づいて不正利用の判断基準を設けることができ、この不正利用判断基準に基づいてICカード40の不正利用を適切に判断できる。
【0050】
更に、不正利用判断手段によって不正利用と判断された場合に、入力暗証番号(個人認証情報)の入力を受け付ける入力手段と、入力手段によって入力された入力暗証番号(個人認証情報)と、登録手段に登録された登録暗証番号(認証データ)とに基づいて精算処理の実行可否を判断する実行可否判断手段とを有している。これにより、不正利用が推定されるケースでは、入力された入力暗証番号(個人認証情報)と登録データ(認証データ)とに基づいて精算処理の実行可否を判断できるようになり、ICカード40の不正利用を効果的に抑制することができる。また、闇雲に個人認証情報を受け付けるのではなく、不正利用が推定されるケースで個人認証情報を受け付けているため、正規利用と推定されるケースでの入力作業を減らすことができ、個人認証情報の入力に起因する負荷の増大を極力抑えることができる。
【0051】
また、本実施形態では、ICカード40が所定時間内に所定回数以上利用された場合を不正利用とするように不正利用判定基準を設定している。このようにすると、特に、ICカード40が所定時間内に多数利用されにくいケースでの不正利用を効果的に低減することができる。
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態に係る精算システムで行われる不正利用判定処理を例示するフローチャートである。なお、第2実施形態では、不正判定処理の方法のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって第1実施形態と異なる不正利用判定処理について重点的に説明し、それ以外については第1実施形態と同一であるものとして詳細な説明は省略する。また、図1、図2、図3、図5については第1実施形態と同一であり、適宜これらの図面を参照することとする。
【0052】
第2実施形態に係る精算システムでは、図3におけるS3の不正利用判定処理が図6のような流れで行われる。この図6の例では、まず図4のS11と同様の判断処理を行い、S2(図3)で取得した固有ID(ICカード番号)についての利用データの記録が存在するか否かを判断する(S21)。そして、蓄積データの中にS2(図3)で取得したICカード番号についての記録が存在する場合には、S21にてYesに進み、そのICカード番号の平均利用時刻を参照する(S22)。本実施形態でも図5のように各ICカード番号毎に、平均利用時刻が記録されており、S22では、S2で取得したICカード番号に対応して記録されている平均利用時刻を取得する。
【0053】
S22の後には、S2(図3)で取得された利用時刻(今回の読み取り時刻)が、S22で得られた平均利用時刻(S2で取得されたICカード番号の平均利用時刻)から前後c分以内に入っているか否かを判断する(S23)。そして、S2(図3)で取得された利用時刻が、S22で得られた平均利用時刻から前後c分以内に入っている場合には、S23にてYesに進み、S24の判定処理を行う。なお、S24の処理は、図4のS14の処理と同様である。一方、S2(図3)で取得された利用時刻が、S22で得られた平均利用時刻から前後c分以内に入っていない場合には、S23にてNoに進み、S25の判定処理を行う。なお、S25の処理は、図4のS15の処理と同様である。
【0054】
なお、本実施形態では、メモリ13又は外部管理装置50がICカード40の利用時刻を蓄積する「蓄積手段」の一例に相当する。また、S9(図3)の処理を行う制御回路11が「平均利用時刻算出手段」の一例に相当し、蓄積手段に蓄積されるICカード40の利用時刻に基づいて所定の平均値算出処理を行うことでICカード40の平均利用時刻を算出するように機能する。なお、上記説明の例では、「所定の平均値算出処理」として、例えば相加平均を算出する処理を行っているが、これに限らず、相乗平均、調和平均など公知の様々な平均値算出理処理を行うこともできる。
【0055】
また、S23の処理を実行する制御回路11は、「決定手段」の一例に相当し、平均利用時刻算出手段によって算出された平均利用時刻に基づいて当該平均利用時刻を含んだ正規利用推定時間帯を決定するように機能している。例えば、図6の例では、S22で取得された平均利用時刻の前後c分以内が「正規利用推定時間帯」に相当している。更に、S23の実行する制御回路11は、「判断基準設定手段」の一例に相当し、利用時刻記録手段によって記録されるICカード40の利用時刻(即ち、ICカード40の読み取り毎にS2(図3)で記録される利用時刻)に基づいて当該ICカード40の不正利用判断基準を設定するように機能しており、具体的には、上記決定手段によって決定された正規利用推定時間帯から外れる時間帯を不正利用時間帯とするように不正利用判定基準を設定するように機能している。また、図6の処理を実行する制御回路11は、「不正利用判断手段」の一例に相当し、ICカードリーダ20によってICカード40が読み取られる際に、上記判断基準設定手段によって設定された不正利用判断基準に基づいて不正利用か否かを判断するように機能する。
【0056】
本実施形態の精算システムでは、ICカード40は、平均利用時刻から大きく外れた使われ方がされにくいため、平均利用時刻に基づいて正規利用推定時間帯を決定することで、不正利用を判断する上でのより適切な指標を得ることができる。
【0057】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態に係る精算システムで行われる不正利用判定処理を例示するフローチャートである。なお、第3実施形態では、不正判定処理の方法のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって第1実施形態と異なる不正利用判定処理について重点的に説明し、それ以外については第1実施形態と同一であるものとして詳細な説明は省略する。また、図1、図2、図3、図5については第1実施形態と同一であり、適宜これらの図面を参照することとする。
【0058】
第3実施形態に係る精算システムでは、図3におけるS3の不正利用判定処理が図7のような流れで行われる。この図7の例では、まず図4のS11と同様の判断処理を行い、S2(図3)で取得した固有ID(ICカード番号)についての利用データの記録が存在するか否かを判断する(S31)。そして、蓄積データの中にS2(図3)で取得したICカード番号についての記録が存在する場合には、S31にてYesに進み、そのICカード番号の標準偏差を参照する(S32)。本実施形態でも図5のように各ICカード番号毎に、標準偏差が記録されており、S32では、S2で取得したICカード番号に対応して記録されている標準偏差を取得する。
【0059】
S32の後には、S2(図3)で取得された利用時刻(今回の読み取り時刻)が、S32で得られた標準偏差(S2で取得されたICカード番号の標準偏差)から前後d倍以内に入っているか否かを判断する(S33)。具体的には、例えば、S2で得られたICカード番号の標準偏差がXである場合、特定時刻(平均利用時刻、前回利用時刻など)を基準としとして、この特定時刻よりも前後X×d分以内にS2(図3)で取得された利用時刻(今回の読み取り時刻)が入っているか否かを判断する。そして、S2(図3)で取得された利用時刻が、上記特定時刻よりも前後X×d分以内の時間帯に入っている場合には、S33にてYesに進み、S34の判定処理を行う。なお、S34の処理は、図4のS14の処理と同様である。一方、S2(図3)で取得された利用時刻が、上記特定時刻から前後X×d分以内の時間帯に入っていない場合には、S33にてNoに進み、S25の判定処理を行う。なお、S25の処理は、図4のS15の処理と同様である。
【0060】
なお、本実施形態では、メモリ13又は外部管理装置50がICカード40の利用時刻を蓄積する「蓄積手段」の一例に相当する。また、S9(図3)の処理を行う制御回路11が「標準偏差算出手段」の一例に相当し、蓄積手段に蓄積されるICカード40の利用時刻に基づいて所定の標準偏差算出処理を行うことでICカード40の標準偏差を算出するように機能する。なお、「所定の標準偏差算出処理」とは、ICカード番号毎にS2(図3)で記録される利用時刻を標本とし、公知の標準偏差算出式によって各ICカード番号に対応する標準偏差をそれぞれ算出する処理が該当する。
【0061】
また、S33の処理を実行する制御回路11は、「決定手段」の一例に相当し、標準偏差算出手段によって算出された標準偏差に基づいて正規利用推定時間帯を決定するように機能する。例えば、図7の例では、特定時刻(平均利用時刻や前回利用時刻など)から前後X×d分以内の時間帯が「正規利用推定時間帯」に相当している。更に、S33の実行する制御回路11は、「判断基準設定手段」の一例に相当し、利用時刻記録手段によって記録されるICカード40の利用時刻(即ち、ICカード40の読み取り毎にS2(図3)で記録される利用時刻)に基づいて当該ICカード40の不正利用判断基準を設定するように機能しており、具体的には、決定手段によって決定された正規利用推定時間帯から外れる時間帯を不正利用時間帯とするように不正利用判定基準を設定するように機能している。また、図7の処理を実行する制御回路11は、「不正利用判断手段」の一例に相当し、ICカードリーダ20によってICカード40が読み取られる際に、上記判断基準設定手段によって設定された不正利用判断基準に基づいて不正利用か否かを判断するように機能する。
【0062】
第3実施形態に係る精算システムでは、各ICカード40の利用時刻の標準偏差を求めることで、各ICカード40の利用時刻のばらつきを把握することができ、このような標準偏差に基づいて正規利用推定時間帯を決定することで、ばらつきを考慮した適切な指標を得ることができる。
【0063】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0064】
上記実施形態では、金銭データ取得手段としてタグリーダ27を例示したが、商品やサービスの代金(金銭データ)を取得し得るものであればこれに限られない。例えば、商品に代金を記録した情報コード(バーコード等)が付されるような場合には、制御回路11と通信可能な構成でコードリーダ等として機能する情報コード読取部を設け、これを金銭データ取得手段としてもよい。
【0065】
また、上記実施形態のように、ICカードリーダ20(無線リーダ)及びタグリーダ27(金銭データ取得手段)が社員食堂等の飲食物提供場所に設けられる場合、例えば、ICカード40が所定の食事時間帯(例えば、11:30〜13:30)に飲食物提供場所において所定回数(例えば2回)以上利用された場合を不正利用とするように不正利用判定基準を設定してもよい。この場合、図4のS13の判断処理を変更すれば実現でき、S2で取得されたICカード番号について、予め設定された所定の食事時間帯(例えば、11:30〜13:30)に、当日、所定回数(例えば2回)以上の利用があった場合にS13にてYesに進むようにし、このような利用が無かった場合にはS13にてNoに進むようにすればよい。また、ICカード40が社員食堂などで用いられるものである場合には、第2実施形態と同様の精算システムとし、第2実施形態のシステムで得られる上述の「正規利用推定時間帯」を「所定の食事時間帯」とすることができる。即ち、各ICカードの平均利用時刻の前後c分以内を「所定の食事時間帯」とすることができ、第2実施形態と同様の方法(図6の方法)で不正利用を判断することができる。
このような飲食物提供場所では、食事時間帯にICカード40が多数回繰り返して精算に用いられることは考えにくいため、上記のように不正利用判断基準を設定すれば、このような食事時間帯の不正利用を効果的に抑えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…精算システム
11…制御回路(精算手段、利用時刻記録手段、判断基準設定手段、不正利用判断手段、入力手段、実行可否判断手段、平均利用時刻算出手段、決定手段、標準偏差算出手段)
13…メモリ(登録手段、利用時刻記録手段、蓄積手段)
20…ICカードリーダ(無線リーダ)
25…入力キー(入力手段)
27…タグリーダ(金銭データ取得手段)
40…ICカード(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を特定可能な固有情報が記録された記録媒体を読み取る無線リーダと、
商品購入又はサービス利用に伴う金銭データを取得する金銭データ取得手段と、
前記無線リーダによって読み取られる前記記録媒体の前記固有情報と、前記金銭データ取得手段によって取得される前記金銭データとに基づいて精算処理を行う精算手段と、
を備えた精算システムであって、
前記記録媒体と対応付けて認証データを登録する登録手段と、
前記無線リーダによって前記記録媒体が読み取られるときの利用時刻を記録する利用時刻記録手段と、
前記利用時刻記録手段によって記録される前記記録媒体の前記利用時刻に基づいて当該記録媒体の不正利用判断基準を設定する判断基準設定手段と、
前記無線リーダによって前記記録媒体が読み取られる際に、前記判断基準設定手段によって設定された前記不正利用判断基準に基づいて不正利用か否かを判断する不正利用判断手段と、
前記不正利用判断手段によって不正利用と判断された場合に、個人認証情報の入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段によって入力された前記個人認証情報と、前記登録手段に登録された前記認証データとに基づいて前記精算処理の実行可否を判断する実行可否判断手段と、
を有することを特徴とする精算システム。
【請求項2】
前記判断基準設定手段は、前記記録媒体が所定時間内に所定回数以上利用された場合を不正利用とするように前記不正利用判定基準を設定することを特徴とする請求項1に記載の精算システム。
【請求項3】
前記無線リーダ及び前記金銭データ取得手段は、飲食物提供場所に設けられるものであり、
前記判断基準設定手段は、前記記録媒体が所定の食事時間帯に前記飲食物提供場所において前記所定回数以上利用された場合を不正利用とするように前記不正利用判定基準を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の精算システム。
【請求項4】
前記判断基準設定手段は、
前記記録媒体の利用時刻を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積される前記記録媒体の前記利用時刻に基づいて所定の平均値算出処理を行うことで前記記録媒体の平均利用時刻を算出する平均利用時刻算出手段と、
前記平均利用時刻算出手段によって算出された前記平均利用時刻に基づいて当該平均利用時刻を含んだ正規利用推定時間帯を決定する決定手段と、
を備え、
前記決定手段によって決定された前記正規利用推定時間帯から外れる時間帯を不正利用時間帯とするように前記不正利用判定基準を設定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の精算システム。
【請求項5】
前記判断基準設定手段は、
前記記録媒体の利用時刻を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積される前記記録媒体の前記利用時刻に基づいて所定の標準偏差算出処理を行うことで前記記録媒体の利用時刻の標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、
前記標準偏差算出手段によって算出された前記標準偏差に基づいて正規利用推定時間帯を決定する決定手段と、
を備え、
前記決定手段によって決定された前記正規利用推定時間帯から外れる時間帯を不正利用時間帯とするように前記不正利用判定基準を設定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の精算システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−186923(P2011−186923A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53348(P2010−53348)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】