糖尿病患者のための食物製品
グルコース含量が低いか含まれないこと、均衡のとれた機能性脂肪分、および糖尿病患者および糖尿病を起こしやすい集団を対象にした予防的剤を特徴とする、新規食物製品が開示される。本発明の食物製品は、糖尿病合併症および冠状血管障害に進行する可能性のある不均衡な脂質プロフィールを患っている人々において、脂質レベルを低下させるために臨床的に用いることができる機能性食品である。特定の実施形態において、前記予防的剤は、天然脂質、ヒトによって消化されずに体重増加/減少に干渉する合成脂質または模倣脂質、植物エキスおよびそれらに由来する物質、抗酸化剤、動物由来の物質、ミネラルならびに医薬のいずれか1つ、およびそれらの任意の混合物であることができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、機能性食品および臨床食品の分野に関する。より具体的には、本発明は、糖尿病患者および糖尿病を起こしやすい集団を対象にする、均衡がとれた機能的な脂肪分を有する新規食物製品を提供する。
【0002】
[発明の背景]
本出願を通して指摘した全ての刊行物は、そこで引用されている全ての参考文献を含め、参照により本明細書に完全に組み込まれている。
【0003】
2型糖尿病は多病因性代謝異常であり、炭水化物、脂肪およびタンパク質代謝の障害を伴う慢性高血糖症を特徴とし、インスリンの部分的または絶対的な欠乏から生じる。体内のインスリンの欠乏の結果、糖尿病になる。
【0004】
糖尿病はありふれた疾患であり、2002年のCenter for Disease Control and Prevention(CDC)の調査によると、アメリカの人口の6.3%が糖尿病に罹っている(成人集団の21.1%)。約130万人の新患者(20歳を超える)が毎年報告され、現在糖尿病を有する人々の約半分だけが診断されると推定される。
【0005】
糖尿病の影響としては、様々な臓器の長期の損傷、機能障害および不全症がある。しばしば、糖尿病の症状はそれほど重度のものではない。しかし、長期の高血糖は、結果として心臓血管疾患(CVD、下記参照)、網膜症(失明)、腎症(腎機能不全)および/または神経障害(足潰瘍、切断、その他)をもたらす。認知機能および他の脳機能の減退促進または組織損傷がしばしば糖尿病によって誘導されるか、またはそれに随伴する。
【0006】
主に肝臓、筋肉および脂肪組織のインスリン抵抗性に起因する2型糖尿病の代謝異常は、血糖値の増加および高インスリン血症(高インスリン血中濃度)につながる。インスリン抵抗性は、実質的に全ての規則的な心血管関連危険因子、特に血圧およびリポタンパクの障害にもつながり、これらはアテローム性動脈硬化症(脂肪代謝異常に基づく過程)の発生率を増加させる。インスリン抵抗性で見られる高インスリンレベルは、アテローム性動脈硬化症の発達を直接促進することもできる。
【0007】
腹部領域、特に内臓脂肪コンパートメントでの脂肪の蓄積は、インスリン抵抗性の発達および糖尿病などの合併症を表すリスク増加と関連する。トリグリセリド(TAG)の脂肪酸分、内臓脂肪組織蓄積およびインスリン抵抗性症候群の代謝要素の間の関係は、広く調査された(Tremblay、A.J.ら(2004)Metabolism 53、310〜317)。
【0008】
脂肪組織は、単にエネルギー貯蔵器官でなく分泌器官でもある。レプチン、レジスチンおよびアディポネクチンを含む脂肪細胞によって生産される調節物質は、インスリン抵抗性の発達に寄与することができる。さらに、肥満で起こる遊離脂肪酸レベルの上昇は、インスリン抵抗性の発達と関連付けられた(Grundy SM.(2004)J Clin Endocrinol Metab、89(6):2595〜2600)。
【0009】
糖尿病患者は、非糖尿病患者より冠状動脈性心疾患(CHD)および脳卒中に罹る可能性が3〜5倍高い。実際、心疾患は糖尿病関連死の主な原因である。
【0010】
酸化的ストレスもCVDおよび2型糖尿病の間の主な状態生理学的な関連を担うことを、多数の研究が示している(Baynes J.W.およびThorpe S.R.(1999)Diabetes 48:1〜9)。フリーラジカルの相対的な増加を表す酸化的ストレスは、高血糖症の直接の帰結である。この代謝アンバランスによって生成する反応性酸素分子は、単球およびマクロファージを活性化して血管平滑筋細胞の増殖および全体的な糖尿病性血管症を誘起する。この過程の主な予後の1つは高レベルの酸化型LDL種の生成であり、それらはスカベンジャー受容体(未変性のLDL受容体ではない)を通してマクロファージに取り込まれ、初期のアテローム性動脈硬化症の証明である泡沫細胞を生成する(Griendling、K.K.およびFitzGerald、G.A.(2003)Circulation 108(17):2034〜40)。
【0011】
インスリン抵抗性および2型糖尿病と関連する異脂肪血症は、トリグリセリド上昇、低レベルHDLコレステロール、小さく、高密度の潜在的によりアテローム生成性のLDLコレステロール粒子の割合の増加を特徴とする。これらの異常は糖尿病が臨床的に診断されるまで長年存在する。トリグリセリドレベル上昇、HDLコレステロール減少およびアテローム生成性LDLコレステロールレベル増加は、全てCVDの危険因子である。
【0012】
いくつかの集団に基づく研究は、2型糖尿病は認知症のリスクも増加させることを示した。認知能減退は、正常な老化および認知症の間の中間段階である。認知症はその初期で最も効果的に遅らせることができるので、糖尿病を初期の認知能減退の修正可能な危険因子として特定することは、非常に重要であろう。近年、2型糖尿病の高齢女性に焦点を当てた大規模研究は、糖尿病ではない女性と比較してこれらの患者で劣った認知機能および実質的な認知能減退の可能性の増加を記載した (Logroscinoら((2004)BMJ.328:548〜553)。
【0013】
年齢を一致させた正常個人と比較してアルツハイマー症(AD)患者の脳で、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含む脂肪酸の差が示された。さらに、低い血清DHAは、ADの発達の重要な危険因子である。Muskietおよび同僚(Muskiet F.A.ら(2004)J Nutr.134:183〜6)は、最近認知機能とのその関係に照らしてもDHAが実際必須脂肪酸であると主張した。実際、オメガ3脂肪酸の食事からの摂取および魚の毎週の摂取が、付随するアルツハイマー病のリスクを減らすことができると他の研究者は述べた。
【0014】
糖尿病は、食事のリノール酸およびα−リノレン酸をγ−リノレン酸、アラキドン酸(AA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびDHAを含む長鎖多価不飽和脂肪酸(PUFA)に変換する酵素であるΔ6およびΔ5デサチュラーゼの活性を減少させることにより必須脂肪酸の代謝を害する。その結果、赤血球および坐骨神経を含むいくつかの組織の膜リン脂質でAAおよびDHAのレベルは減少する。最近、EPAおよびDHAを含む魚油による食事の栄養補助が、糖尿病性神経障害の生理的マーカーである神経伝導速度の糖尿病誘導性低下を部分的に阻止したことが証明された。このことは、糖尿病性神経障害に及ぼすDHAの著しい神経保護効果の証拠を提示した最近の報告で、さらに関連付けされた。さらに、血管合併症の発生率の減少につながり、糖尿病で認知能減退を最小にすることができる、血清トリグリセリド、HDL、脂質過酸化および抗酸化酵素に及ぼす魚油由来のオメガ3脂肪酸栄養補助の有益効果を記載するいくつかの報告がある。
【0015】
ハイリスクの個人の糖尿病の予防の重要性は、近年の糖尿病の有病率の世界的な相当の増加によって強調される。ある集団では、遺伝的感受性が2型糖尿病の発生で重要な役割を演ずるようである。しかし、集団遺伝子プールが非常にゆっくりと移行するならば、現在の流行は、身体活動の減少およびエネルギー摂取の増加を特徴とするライフスタイルの著しい変化を反映している可能性がある。体重減少、運動および食事の変更は、2型糖尿病の高血糖症をしばしば矯正する。したがって、栄養習慣を含む集団の習慣における変更は、糖尿病および糖尿病合併症の発生のリスクを減少させることができる。
【0016】
糖尿病患者は、第1に彼らの高血糖およびグルコース制御に関して、大部分は医薬品を通して治療される。これは、長期の合併症を予防することが目的である。上記のように、長年続く血中グルコースの上昇は、糖尿病の慢性合併症、早期アテローム性動脈硬化症、網膜症、腎症および神経障害を引き起こす。
【0017】
場合によっては、彼らの心血管健康は、彼らの高脂血症、主に高コレステロール血症に関して再び主に医薬品を通して対処される。彼らの高トリグリセリド血症のためには、治療はほとんどまたは全く提供されない。彼らの代謝異常と関連し、さらには誘導される重要な危険因子は、血液の酸化的ストレスである。この危険因子はアテローム性動脈硬化症につながり、高脂血症と併発すると、糖尿病患者の心血管障害の主な死亡原因の1つである。
【0018】
糖尿病患者は肥満、異脂肪血症、心臓血管疾患、高血圧および腎症の予防および治療のために、栄養素摂取量およびライフスタイルを適宜変更するように推奨される。最近、American Diabetes Associationは、糖尿病の慢性合併症を予防および治療するために血糖、脂質プロフィールおよび血圧を含む最適な代謝予後を達成するために、医学的栄養療法の目標を発表した (Franz MJら、Diabetes Care 25:148〜198、2002、American Diabetes Association Position Statement「糖尿病の栄養原則および推奨」(2004))。しかし、糖尿病患者は、一般的にグルコース制御および彼らの高血糖だけに関して厳しい食事を通して治療される。これらの食事は、主に食事のグルコースの量を最低限に低下させるように設計される。ほとんどの場合、これらの食事は心臓の健康を促進するようには設計されていなく、まして主な心血管危険因子と闘うことは考慮されていない。
【0019】
糖尿病患者は、固有の食物製品、特に最小限のグルコースレベルに関して彼らの固有の食事必要量を満たすように設計されたものを提供される。しかし、ほとんどの場合、これらの食物製品は油脂の形の脂質、特にトリグリセリドが豊富である。これらの脂肪は、グルコースの不足および結果として得られる食品の劣った味覚特性を補償するために加えられる。この添加により実際、感覚的に好ましい食物物品ができあがるが、それらは脂肪の豊富な製品をグルコースの豊富な製品と同様に恐れなければならない糖尿病患者に対して、重大な悪影響を及ぼす。
【0020】
さらに、食品工学的理由のために、糖尿病患者のための食物製品で用いられる油脂の多くは、実際は糖尿病患者の急性心血管障害のリスクをさらに高める飽和脂肪である。さらに、多くの場合、糖尿病患者用食品はそれらの対応物である「通常」食物製品よりも高いレベルの脂肪からなる。脂肪レベルのこの差は、最高で60%のさらなる脂肪が糖尿病患者の専用食品に含まれる。
【0021】
したがって、グルコース成分だけでなくその内容の全てが糖尿病集団のために有益である、糖尿病集団を対象にする専用食品に対する需要が大きい。糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人に対して、脂肪分が彼らのニーズに適当である食品を提供することが重要である。前記専用食品は脂肪の均衡がとれ、その脂肪分は糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい人々に有益でなければならない。
【0022】
さらに、糖尿病患者が彼らの専用日常栄養を通して、特に彼らの心血管状態および/またはCVDの発達もしくは進行につながる異なる危険因子に対して保護的健康効果を、さらには積極的な有益健康効果も有するさらなる成分を摂取することができれば有益となる。
【0023】
したがって、本発明の目的はグルコースが低レベルであるか含まれない、均衡のとれた脂質プロフィールを有する食物の製品または物品を提供することであり、この食物は少なくとも1つの糖尿病予防的食事または医薬用物質も含み、それはあまり高いレベルの油脂を含まず、最も重要なことは、それは市販の糖尿病患者食品で現在用いられる量よりもかなり少ない最小限の量の飽和脂肪を含む。本発明の他の用途および目的は、以下の説明で明瞭になる。
【0024】
糖尿病患者の特定の健康ニーズ、特に彼らの心血管ニーズに関する栄養専門家および医学専門家の理解にもかかわらず、また、より健康な油脂のより少ない量での使用を可能にする食品工学の進歩にもかかわらず、本発明者が提示するような食品を生むためにこの3つ(栄養、医療、食品工学)を組み合わせた者はまだいない。さらに、そのような心血管ニーズに対処するために積極的な手法を導入した糖尿病患者用食品はない。
【0025】
糖尿病患者の心血管健康ニーズが多分最も究極かもしれないが、他の集団は本発明の食物製品を摂取して利益を受けることができる。そのような集団には、2型糖尿病および心臓血管疾患を起こしやすいかそれらを発達させる危険性が高い、前糖尿病患者が含まれる。前糖尿病患者は遺伝的背景、過体重、肥満、特に腹部肥満、特定の民族性、空腹時グルコース異常(IFG)または耐糖能異常(IGT)の過去の診断、高血圧、異脂肪血症、妊娠糖尿病の病歴、ならびに高齢者を含む異なる状態を考慮して、2型糖尿病を発達させる危険性の高い個人のことでよい。これらの危険因子のいくつかが同時に存在して、糖尿病状態を発達させるリスクを劇的に上昇させることもある。
【0026】
本発明の食物製品から利益を受けることができる他の集団は、耐糖能異常、高インスリン血症、異脂肪血症、高血圧、内臓肥満、高凝固性および炎症誘発性状態を特徴とするメタボリックシンドローム、すなわちエックス症候群と診断される個人である。上述の全ての症状は、CVD危険因子の群を定義する。
【0027】
同様に、既に血管イベントを患った患者、ならびにメタボリックシンドローム、肥満、過体重、高血圧、異脂肪血症、その他のためにCVDの危険性が高いかそれを起こしやすい個人を含むCVD患者が利益を受ける。代謝異常の多くは心血管健康問題および以降の悪影響および症状に至る可能性があるので、異なる代謝異常を有する他の集団も本発明の食物製品から利益を受けることができる。特に脂肪分の観点から、CVDおよび代謝異常、特に糖尿病の予防または抑制において積極的な効果を有する均衡食を摂取することを望む健康を重視する集団、または糖尿病を起こしやすい対象も、本発明の食物製品から利益を受けることができる。
【0028】
最近の研究は、2型糖尿病への進行を減らすためにIGTの対象における介入の可能性を強調している。例えば、米国のDiabetes Prevention Program(The Diabetes Prevention Program(1999)Diabetes Care 22:623〜634)は、3年の期間にわたるライフスタイル介入(食事および運動を対象)はIGTから糖尿病への進行を58%減少させたが、経口血糖低下薬メトホルミンはリスクをわずか31%減少させたことを証明した(Larkin,M.(2001)Lancet.358(9281):565)。フィンランドの糖尿病予防機関によって実施された他の大規模研究(Sarkkinen E.ら(1996)Eur J Clin Nutr 50(9):592〜8)は、2型糖尿病を起こす危険性の高い人々の非薬理学的ライフスタイル介入は、その疾患の発症を阻止するか、少なくとも遅らせることを証明した。
【0029】
他の研究において、ハイリスクの個人(例えば、耐糖能異常(IGT)の者)を対象にした手法は、2型糖尿病の全ての症例を予防する上で十分ではないことが示された。UKPDSからのデータは、膵臓β−細胞の機能が2型糖尿病の臨床診断の時点で既に実質的に低下していることを示す(UK Prospective Diabetes Study(UKPDS)Group(1998)Lancet 352(9131):837〜853、UK Prospective Diabetes Study Group(1995)Diabetes 44(11):1249〜1258)。したがって、血糖低下薬または機能性/医学的栄養製品による治療的介入は、予防のためにも同様に考慮するべきである。
【0030】
糖尿病患者のための現在の特別食は、医学または健康リスクの観点から必ずしも必要ではないが、単に体重減少/管理を求める集団によっても消費されている。これらの集団は、そのような製品のグルコース/糖非含有の表示を、低脂肪および/または低カロリーという意味において体重減/管理食品であると誤って解釈する。上述の如く、糖尿病集団のために設計および/または推奨される今日利用できる食物製品の全てではないが多くは、実際は高カロリー含有と同様に高レベルの脂肪を、まして飽和脂肪までも有する。多くの場合に、そのような専用食品は対応する「通常」食物製品より高い脂肪含量および/またはカロリー含量を有する(例を参照)。したがって先に述べたように、体重減/管理食品を求める集団も、本発明で記載されているように、均衡のとれさらに低い脂肪含量、より低いレベルの飽和脂肪および他の不健康な脂肪を有し、ならびに任意選択で健康増進成分を含む本発明の食物製品から利益を受けることができる。
【0031】
驚くべきことに、本発明の食物製品は、2型糖尿病の発達に関しても予防効果を有する可能性がある。前記均衡のとれた脂肪分、低レベルグルコース、任意選択で少なくとも1つの有効成分を有する食物製品の摂取は、糖尿病の発症を予防または抑制することができる。そのような本発明の食物製品に基づく食事、またはそのような食物製品に富む食事は、糖代謝およびインスリン分泌さえ調節することができる。そのような食事の摂取は、膵臓β細胞劣化過程の拡大を減少させることができ、また、インスリン抵抗性の減少または復帰につながることさえあるかもしれない。本発明の食物製品に基づく食事は糖血症状態を安定させ、インスリン分泌を制御し、さらには内臓脂肪の蓄積を減らすことができる。腹部脂肪蓄積は、2型糖尿病の進行に伴う根本過程であると考えられる。したがって、腹部の体脂肪蓄積の減少は、糖尿病の発症および進行を予防または延期することができる。
【0032】
[発明の概要]
第1の態様では、本発明は、グルコースの含量が低いか含まれないこと、均衡のとれた脂肪分、糖尿病およびその合併症のいずれか、および/または糖尿病につながる状態に対して予防的である少なくとも1つの食事性または医薬用の物質を含むことを特徴とする、糖尿病患者の健康ニーズに対処するためのまたは健康な個人もしくは糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防するための食物の製品または物品に関する。
【0033】
前記食物製品において、糖尿病予防的食事性または医薬用の物質は、天然脂質、ヒトによって消化されずに体重増加を抑制する合成脂質または模倣脂質、植物エキスおよびそれらに由来する物質、抗酸化剤、動物由来の物質、鉱物ならびに医薬のいずれか1つ、およびそれらの任意の混合物であることができ、前記物質は食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解している。
【0034】
特定の実施形態では、前記食物製品中の脂質はジアシルグリセロール、特に1,3−ジアシルグリセロール、植物ステロールおよび植物ステロールエステル、植物スタノールおよび植物スタノールエステル、ポリコサノール、オメガ3脂肪酸およびそれらの誘導体、特に長鎖多価不飽和脂肪酸(LC−PUFA)、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、特にα−リノレン酸および共役リノレン酸(CLA)、および/またはそれぞれα分枝トリグリセリドまたはオレストラである非消化性合成脂質もしくは脂質模倣物のいずれか1つでよい。
【0035】
前記食物製品中の植物エキスまたはそれに由来する物質の成分は、ニンニク抽出物、大豆タンパク質、大豆イソフラボン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、ビタミンC、ビタミンE、ならびに他のトコフェロール、β−カロテン、ポリフェノール、特にヒドロキシチロソール、葉酸、ビタミンB6およびビタミンB12のいずれか1つでよく、抗酸化剤は、ローズマリー抽出物、リコペン、ゼアキサンチン、セレニウム、亜鉛、ビタミンC、ビタミンEおよび他のトコフェロール、コエンザイムQ10、β−カロテン、ポリフェノール、特にヒドロキシチロソールのいずれか1つであり、動物由来の物質は、ホエータンパク質またはカゼインでよく、鉱物は、カルシウム、セレニウムまたは亜鉛であり、前記医薬成分は、スタチン類、エゼチミブ、脂質プロフィール調節薬または心臓血管疾患に関連した他のバイオマーカーのいずれか1つでよい。
【0036】
本発明の食物製品は少なくとも1つの糖尿病予防的物質を含むことができるが、それは食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解したそれらの任意の混合物を含むこともできる。
【0037】
より特定の実施形態では、前記糖尿病予防的食事性物質は、食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解した植物ステロールおよび/または植物スタノールエステルの1,3−ジアシルグリセリドとの混合物である。
【0038】
特別な実施形態では、前記食物製品は少なくとも1つの医薬、特に糖尿病、糖尿病または任意の糖尿病合併症につながる任意の状態に対して予防的である薬剤をさらに含むことができる。
【0039】
一実施形態では、本発明の食物物品は、特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において、心臓血管疾患(CVD)および/またはその危険因子である高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である。
【0040】
他の実施形態では、前記食物製品は、特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である。
【0041】
特定の実施形態では、本発明の食物製品は、過体重および/または肥満の、および/または糖尿病の、および/または糖尿病を起こしやすい対象における、総コレステロール血清レベルの低減、非HDLコレステロール血清レベルの低減、総コレステロール/HDL比率の低下およびトリグリセリド血清レベルの低減の少なくとも1つにおいて機能的である。
【0042】
他の特定の実施形態では、前記食物製品は、肥満者でおよび/または糖尿病などの代謝アンバランスを有する対象でおよび/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体で体重減少、および/または体重増加の抑制、および/またはインスリン抵抗性の低減において機能的である。
【0043】
特別な実施形態では、前記食物製品は、肥満および/または過体重の対象および/または糖尿病の対象および/または前糖尿病の対象および/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体において、体脂肪分布の変化、白色脂肪組織(WAT)の蓄積を抑制し、内臓脂肪蓄積を低減する機能も有する。
【0044】
広い態様では、本発明の食物製品は、肥満および/または糖尿病の対象で、生命を脅かす長期糖尿病合併症のリスクおよび生活の質の悪化の低減において機能的である。特定の症例では、前記合併症は、マクロ血管、微小血管、神経病学の起源を有し、それは網膜症、腎症、脚に供給する大血管の疾患(下肢動脈疾患)、冠状心臓もしくは動脈疾患、脳血管疾患および神経機能障害、認知機能の減退、または失明、末期腎臓疾患(ESRD)および切断に至る他の任意の状態、心筋梗塞ならびに脳卒中の群から選択される。
【0045】
他の態様において、本発明の食物製品は、インスリン抵抗性の対象で高インスリン血症の改善において機能的である。特定の症例では、前記食物製品は、糖尿病を起こしやすい肥満対象で高インスリン血症の改善、またはインスリン抵抗性の進行の予防において機能的である。
【0046】
他の実施形態では、本発明の食物製品は、急性の認知能減退の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含み、前記活性剤はホスファチジルセリン、イチョウ、ブラーミ(brahmi)(Bacopa monnieri)またはオメガ3含有脂肪のいずれかである。
【0047】
他の実施形態では、本発明の食物製品は、2型糖尿病と関連する急性の目の状態の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含み、前記活性剤はビタミン類、抗酸化剤および他の天然の目の健康増進成分または抽出物である。
【0048】
最後に、本明細書で記載される食物製品は、乳製品、パン製品、調味料、飲料および飲物、スナック類、キャンディ、アイスクリームおよび冷菓デザート、朝食シリアル、栄養バー、スナックバーチョコレート製品、調製食品、穀類製品およびパスタ、スープ、ソースおよびドレッシング、菓子製品、油脂製品、酪農およびミルク飲物、豆乳および大豆酪農様製品、冷凍食物製品、調製食および代用食、食肉加工品、チーズ、ヨーグルト、パンおよびロール、酵母製品、ケーキおよびクッキーおよびクラッカーの1つでよい。
【0049】
[発明の詳細な説明]
糖尿病患者および糖尿病を起こしやすい集団の、彼らのニーズならびに彼らの手当てをされていない健康リスク因子に対処する健康解決手段に真に適当である専用食物物品に対する緊急な必要性に照らし、本発明者らは、新規食物製品プラットホームを開発した。
【0050】
かくして、第1の態様で、本発明はグルコース含量が低いか好ましくはグルコースを含まない食物の製品または物品に関し、その脂肪分は均衡がとれ、少量の不飽和油脂に基づき、糖尿病患者の健康ニーズ、例えば糖尿病および糖尿病合併症につながる状態に対処するための、または健康な個人もしくは糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防するための、少なくとも1つの糖尿病予防的な食事用または医薬用の物質を含むことを特徴とする。
【0051】
本明細書で使用する「糖尿病予防的食事性物質」は、毎日消費することができ、日々の食物供給として提供され、糖尿病患者個人の健康状態を悪化させ、糖尿病に関連したリスク状態を悪化および誘導するいかなる悪影響も有することがなく、糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を促進しない任意の栄養的または食事用の物質であり、この用語は医薬および薬剤も含む。
【0052】
「糖尿病予防的食事製品」は、グルコース含量が低いか全く含まれず、脂肪分の均衡がとれ、好ましくは飽和脂肪またはトランス脂肪などの他の有害な脂肪が低レベルで、これらを予防的成分と共に有することを特徴とする。
【0053】
予防的健康効果は、糖尿病患者および糖尿病を起こしやすい個人に通常存在する異脂肪血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、酸化的ストレス、高インスリン血中濃度、腹部肥満またはCVDに関連した他の危険因子を改善または予防することができることによって達成される。
【0054】
好ましい実施形態では、糖尿病予防的食事性物質は、食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解した植物ステロールおよび/または植物スタノールエステル(PS−E)の1,3−ジグリセリド(DAG)との混合物である。いくつかの好ましい混合物は、PS−EおよびDAGを、好ましくはDAGと比較してより高い含量の植物ステロールエステルと組み合わせることができる。
【0055】
さらに、前記食物製品は、糖尿病患者の健康ニーズに対処するために、または健康な個人もしくは糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防するための医薬有効成分を含むことができる。好ましい一実施形態では、前記医薬有効成分の目的は糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人でよく見られる心血管危険因子、例えば異脂肪血症および/または異常脂質プロフィール(例えば高コレステロール血中濃度)を低下させることである。
【0056】
いくつかの好ましい医薬有効成分としては、それらには限定されないが、スタチン、胆汁酸隔離剤およびエゼチマブがあり、これらは、コレステロール生合成を抑制することにより、胆汁酸の再吸収を予防することにより、または食事および胆汁のコレステロールの吸収を一緒に予防することにより、LDL量を低下させる効果がある。脂質プロフィールを制御することができる任意の他剤、または心臓血管疾患と関連する他のバイオマーカーを考慮してもよい。
【0057】
本発明の食物製品は、付加的な健康効果または代わりに相乗的健康効果を与えることができる、少なくとも1つの食物有効成分および/または少なくとも1つの医薬有効成分を含む。
【0058】
基本的に、糖尿病患者のための特別食品の市場および生産者は、伝統的に砂糖が豊富な食物製品または甘い食品、例えばキャンディ、チョコレート、クッキー、果物ジャム、ケーキ、その他に注目する。これらの製品では、消費者がそのような甘味食品に期待する味覚の品質を取り出すことなく、砂糖を取り出すことを重視する。これは、糖尿病患者の健康ニーズ、特に彼らのインスリン抵抗性に直接関連がないニーズに及ぼす栄養の影響が、基本的に見落としおよび/または無視されていることを再び強調する。したがって本発明の目的は、個人によって消費される食物製品の全範囲に関心を払い、それらを、糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人による摂取により適当なものにすることである。具体的な実施形態では、本発明は高レベルの脂肪、特に飽和脂肪で、糖尿病患者のCVD危険因子に対処するためのいかなる予防的成分も含まず、そのいくつかは低栄養のために成功している、伝統的に生産されている食物製品に関するものである。体重増加および肥満に寄与しない食物製品を求める要求に応じて、現在多くの食物製品は実際、無糖炭水化物、人工甘味剤および他の食品添加物の助けを借り、低脂肪含量で、しかも低カロリー値で設計されることを強調したい。しかし、これらは通常、食物製品の総脂質含量からの高い割合の飽和脂肪を有し、さらに、それらは糖尿病患者と関連する様々な健康リスクに、または糖尿病患者でより顕著な危険因子に、または前糖尿病患者にとってより重要である危険因子に予防的に寄与しない。
【0059】
本明細書で使用するように低グルコース含量とは、0から最高5%のグルコース含量、好ましくは0から最高0.5%のグルコース含量、最も好ましくは0.1%未満を意味する。
【0060】
本明細書で使用するように、均衡のとれた脂肪含量とは約10%未満の脂肪または油の含量を意味する。通常、その食物製品の脂肪分は、糖尿病患者または前糖尿病集団のための特別のものでない、対応する食物製品で見られる脂肪分と類似するか好ましくはそれよりも低い。さらに、その脂肪分は飽和脂肪をわずかしかまたは全然含まず、好ましくは総脂質の約25%未満、より好ましくは10%未満でなければならない。さらに、食事の脂肪成分は一価不飽和または多価不飽和の脂肪酸を、好ましくは全脂肪酸部分の約20%、より好ましくは30%、より好ましくは40%を超えて特別に含むことができる。
【0061】
最も重要なことは、本発明の食物物品の脂質プロフィールは最小限の量の飽和脂肪からなり、糖尿病患者のための食物物品で現在用いられる量、例えば総脂質の最高で50、さらには最高75%の量より確実にかなり低いと考えられる。これは、飽和脂肪レベルの減少を可能にする、通常技術的または食感的理由から必要である現代の食品工学方法および添加物を通して達成することができる。
【0062】
本発明の食物製品は、様々な食事有効成分を含むことができる。好ましくは、前記成分は心血管健康に関連する健康効果に寄与するかCVDの危険因子全般に対処し、また、糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人におけるCVDの治療および/または予防で機能的に活性である。
【0063】
植物ステロールおよび/または植物スタノールは、血液コレステロールレベルを減らすことが臨床的に示された植物のコレステロール誘導体である。それらはコレステロールと構造的に類似しているけれども、それらは人体によって合成されない。それらはヒトの腸によって十分に吸収されなく、腸での食事性および内因性のコレステロールの吸収を減少させる傾向がある。
【0064】
植物ステロールおよび/または植物スタノールには、他のエステル誘導体と同様に脂肪酸エステルなどの様々な誘導体が含まれる。これらの成分は、異なる1日摂取レベルでそれらの健康効果を付与することが明らかにされている。植物ステロールまたはそれらの誘導体の栄養補助に関する現在の推奨は、0.8gの植物ステロールおよびより高レベルのスタノール誘導体の摂取を主張している。異なるステロール誘導体の摂取レベルは、それに従って計算される。植物ステロールおよび/または植物スタノールは、通常、大豆または木材から生産されるが、他の供与源も利用できる(Law M.(2000)BMJ 320:861〜4)。
【0065】
ジグリセリド(DAG)は、油脂としても知られるトリグリセリドのモノ加水分解誘導体である。TAGと比較してDAG、主に1,3−ジグリセリドは、ヒトおよび動物モデルで空腹時および食後の血清TAG濃度を低下させることがこれまでに示されている。大量に消費されると、DAGは体重、総脂質および腹部貯蔵脂肪を低下させる。したがって、DAGの摂取は肥満症治療のために考慮されなければならない(Tada、N.(2004)Curr Opin Clin Nutr Metab Care 7、145〜149)。
【0066】
DAGは調理油としてだけ食物製品として市販され、確かに糖尿病患者の栄養中では使用されなかった。DAGは、主にそれらが個人の毎日の食事脂肪の摂取のほとんどまたは全てを置換するのに用いられる場合に、それらの健康効果を付与することが示された。ほとんどの場合、10g/日、さらには40g/日を超えるレベルが用いられた。非常に低いレベルのDAGが、植物ステロールの脂肪酸エステルとの特定の組合せで、異なるCVD関連の利益を付与することが示された(下記参照)。本発明の食物製品は、実際、DAGを利用してそれらの脂肪分の一部を置換すること、さらには全脂肪分画を置換することまでできる。
【0067】
油および/または脂肪に任意選択で溶解または分散した特定の植物ステロールエステルおよびDAGの組合せ、ならびにそれらの属性は、同時係属の共同所有された国際公開第01/75083号パンフレットおよび国際公開第03/06444号パンフレットで詳細に記載されている。手短に言えば、これらの製剤は、食用油および/または脂肪に溶解または分散した、DAG、主に1,3−DAGおよび植物ステロールおよび/または植物スタノールエステル(PSE)の組合せを含む。好ましくは前記油は、オリーブ油、カノーラ油または魚油である。この組成物は、血液コレステロールおよびトリグリセリドレベルを低減し、血液酸化的ストレスの予防または治療を補助して、アテローム性動脈硬化症カスケードを阻止することが示された。さらに、この組成物は、体の自然防御機構、例えば食物内で油脂が消費されるときその活性が激減するパラオキソンアーゼ1(PON1)酵素を維持および保存することが示された。さらに、油脂中のこれらの植物ステロールエステルおよびDAGの等量は、ApoEノックアウトマウスでPON1の正常な活性レベルを維持した(国際公開第2004/069150号パンフレット)。植物ステロールエステルおよびDAGのこれらの組合せは、本発明の食物製品の脂肪分の一部、大部分または全てを置換するために、容易に用いることができる。本発明の各食料品中の植物ステロールエステルおよびDAGの組合せのレベルを制御して、現在の1日推奨摂取量(RDA)に従って植物ステロールエステルレベルを提供し、特定の食物製品の数食分の摂取を通して、全て植物ステロールエステル/DAGの組合せを含む異なる食物製品の一食分の摂取を通して、または特定の食物製品の一食分で、完全なRDAが少なくとも達成されるようにすることができる。
【0068】
下記の実施例で示されるように、今では驚くべきことにこれらの組合せは、糖尿病患者または前糖尿病患者のためにも有益であることが発見されている。
【0069】
α−リノレン(18:3)酸および特にドコサヘキサエン酸(22:6、DHA)およびエイコサペンタエン酸(20:5、EPA)などのオメガ3脂肪酸は、心血管健康に有益効果を有することが明らかになった。異なる海洋動物および生物、特に冷水魚、ならびに異なる微生物および藻類の供与源から生産されるこれらの脂肪酸は、血液トリグリセリドレベルを低下させて、抗炎症、抗血栓および免疫調節作用を提供することが明らかになった。
【0070】
アマニ油で見られるようなオメガ3リノレン酸も、女性および男性でMIおよび致命的な虚血性心疾患のリスクを低下させる有益効果を有することが明らかにされた。長鎖オメガ3脂肪酸(DHA、EPA)は有益効果を及ぼすことが示され、現在の推奨摂取量は650mg/日を超え、またさらにそれよりも高い。
【0071】
オメガ3脂肪酸および特にそれらの長鎖多価不飽和メンバー(DHAおよびEPA)は、それらの酸化感受性を考慮すると安定性の問題がある。同じ酸化の問題は、前記脂肪酸を含む製品で「魚のような」臭味が問題となる官能性の問題にも関連する。藻類および微生物のオメガ3LC−PUFAは、いくぶん強化された安定性を有して官能性の問題も少ないが、これらも食物製品での使用は容易ではない。最近、上記の問題を解決するために異なる方法が考案された。これらには、異なる食品適合性マトリックスへのオメガ3脂肪酸のカプセル化、ならびに特別な精製および蒸留手法、および特別な抗酸化剤または抗酸化混合物の使用が含まれる。したがって、本発明の食物製品は、これらの有益な食事成分が様々な毎日の食物製品中に十分なレベルで含まれるように設計することができる。
【0072】
酸化損傷に関連した酸化的ストレスおよび他の悪影響は、少なくともある程度は、抗酸化能を有する異なる食事成分によって制御されることが示された。これらの成分としては、植物エキス、例えばローズマリーエキス、リコペン、ゼアキサンチン、ポリフェノール(例えばオリーブ油、ブドウ、ザクロ、その他で見られるヒドロキシチロソール)、ビタミン類(トコフェロール、特にビタミンE、アスコルビン酸)、ミネラル(亜鉛、セレニウムまたはカルシウム)、コエンザイムQ10およびβカロテンを挙げることができる。他の抗酸化剤と同様にこれらの成分の全ては広く調査されて、個人の健康に対して有益効果を及ぼすことが示された。
【0073】
これらの抗酸化剤は、食事の補助食品としても用いられている。これらの2、3、特にビタミンEおよびアスコルビン酸の誘導体は、前記抗酸化剤が食品消費者に対して有益な活性を発揮するために、食品中で食品抗酸化剤として低レベル(0.2重量%未満)で、場合によってはより高いレベルでも用いられている。本明細書で提案されているように、糖尿病患者のCVD健康問題に対処する糖尿病用機能性食品体系の一部として抗酸化剤を糖尿病患者専用食物製品で用いることは、試みられていない。
【0074】
様々な薬草または植物の抽出物、例えば大豆タンパク質、イソフラボン、カロテノイド(β−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン)およびニンニク抽出物が、高血液コレステロールレベル、高血液トリグリセリドレベルなどの異なるCVD危険因子に有益に影響することが示された。本明細書で提案されているように、糖尿病患者のCVD健康問題に対処する糖尿病用機能性食品体系の一部としてそのような植物抽出物を糖尿病患者専用食物製品で用いることは、試みられていない。
【0075】
他の成分または成分の組合せも有益効果を有することが示され、本発明の食物製品の食事成分として用いることができる。例えば、ビタミンB6、ビタミンB12および葉酸の組合せはホモシステインの血中濃度を低下させることがわかったが、高レベルのホモシステインはCVD危険因子またはバイオマーカーと認識されている。
【0076】
さらに、CVD関連の利点を有するいくつかの食事有効成分は、相乗的に作用してさらにCVDのリスクを減らすことが明らかにされた。そのような組合せには、血液コレステロール低下成分植物ステロールおよび大豆タンパク質が含まれる。
【0077】
本発明の食物物品の一実施形態では、前記物品は特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において、CVD危険因子、例えば高コレステロール血症および/または高トリグリセリド血症などの高脂血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である。
【0078】
したがって、本発明の食物物品は、特に糖尿病を患っているかそれを起こしやすい対象の心血管健康に関して、予防的または治療的な健康効果を提供するように調整される。上記のように、糖尿病を起こしやすい対象は、下記基準の少なくとも1つを満たす個人である。(a)糖尿病の家族歴を有する(親または兄弟)、(b)肥満である、(c)糖尿病の高発病率を有する人種または民族性に属す、例えばアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、アメリカインディアン、その他、(d)45才以上である、(e)以前、空腹時グルコース異常(IFG)または耐糖能異常(IGT)と特定された、(f)高インスリン血症を有する、(g)高血圧、すなわち140/90mmHgを超える血圧、(h)異脂肪血症を有する:35mg/dL未満のHDLおよび/または250mg/dLを超えるトリグリセリド、(i)妊娠糖尿病の病歴を有するか4.1kgを超える体重の新生児を出産。
【0079】
対象は、空腹時血漿グルコースが126mg/dl以上であるならば、糖尿病とみなされる。空腹時血漿グルコースの正常範囲は、60〜109mg/dlである。
【0080】
本発明の食物物品の他の実施形態では、前記品はCVD危険因子、例えば高コレステロール血症および/または高トリグリセリド血症を含む高脂血症、メタボリックシンドロームおよび肥満などの糖尿病関連の危険因子と考えられる代謝異常、酸化的ストレスならびにアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である、少なくとも1つの活性剤をさらに含む。前記活性剤は、本発明で記載される食物製品の脂肪構成要素のいくつかまたは好ましくは全てを置換することができる。
【0081】
本明細書で記載される食物製品は、対象、特に糖尿病患者または前糖尿病患者個体を急性のCVDに罹りやすくする、任意の状態に対して有益であると考えるべきである。
【0082】
本明細書に記載されるように、前記活性剤は、植物ステロールおよび/または植物スタノールエステルおよびそれらの誘導体、ジグリセリド(DAG)、植物ステロールエステルおよびDAGの組合せ(特に、油および/または脂肪に任意選択で溶解または分散しているDAGレベルより高い植物ステロールエステルレベルを有する組合せ)、抗酸化剤、天然ハーブおよび植物エキス(例えばニンニク抽出物、大豆タンパク質、大豆イソフラボンまたはリコペン)、オメガ3脂肪酸、ならびに他の食事成分またはその任意の組合せのいずれか1つである。
【0083】
抗酸化剤としては、一般集団の心臓の健康に対してプラスの健康影響を発揮することが知られている、天然または合成の抗酸化剤、例えばポリフェノール、ビタミン類、特にトコフェロール、または亜鉛およびセレニウムなどのミネラル類を挙げることができる。
【0084】
さらに、前記活性剤としては、遊離脂肪酸、エチルエステル、トリグリセリド、リン脂質または他の任意の化学的または機材性の誘導/送達プラットホームの形態のオメガ3脂質を挙げることができる。これらの脂質は、一般集団ならびにCVDを起こしやすい集団において、一般的な心臓の健康徴候にプラスの影響を及ぼすことが示された。
【0085】
上記のように、有効成分は性質が医薬用でもよく、例えばスタチン、胆汁酸隔離剤、エゼチマブ、血液稀釈剤および血圧低下剤でよい。
【0086】
一実施形態では、本発明の食物製品に含まれる活性剤は、以下のパラメータの少なくとも1つを低減させる機能を有する任意の成分であることができる。実施例1および2、図1〜6に例示するように、過体重および/または肥満の、および/または糖尿病の対象、および/または糖尿病を起こしやすい対象における、総コレステロール血清レベル、非HDLコレステロール血清レベル、総コレステロール/HDL比、およびトリグリセリド血清レベル。
【0087】
高い血中コレステロールは、アテローム性動脈硬化症および脳卒中などの心臓および血管病の主要な危険因子である。用語「総コレステロール」は、主要な3種類のコレステロール、すなわち高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)および超低密度リポタンパク質(VLDL)に関する。200mg/dL未満の血液総コレステロール値および100mg/dL以下のLDLコレステロールが、National Heart,lung,and Blood Instituteによって最適であると考えられている。
【0088】
過剰量の血中LDLコレステロールが動脈内に堆積するので、130mg/dL未満のLDLレベルが推奨され、100mg/dLが最適と考えられている。LDL量は、通常、総コレステロール、HDLおよびトリグリセリドの結果からその部分を計算することによって(「LDLカルク」)、または直接測定によって推定される。
【0089】
HDLコレステロールは、動脈に堆積した過剰なコレステロールの除去を助けることによって心疾患から保護すると考えられる。高いHDLレベルは、冠状動脈性心疾患の低い発生率と関連する。35mg/dL以上の血中値が推奨される。
【0090】
総コレステロールとHDLコレステロールとの比率は、アテローム性動脈硬化症を予測するのに有効な数値で、心筋梗塞(MI)の強力な予測因子として確認されている。その数値は、HDLコレステロールで総コレステロールを割ることによって得られる。(高い比率は心臓発作の高いリスクを示し、低い比率は低いリスクを示す)。平均比率は約4.5であり、好ましい比率は2または3または4未満である。
【0091】
トリグリセリドは、体内の主な脂肪貯蔵形態である。一部の人々では、異常に高い血液トリグリセリドレベル(高トリグリセリド血症)は遺伝するが、それは非遺伝的な因子、例えば肥満、過度のアルコール摂取、糖尿病、腎臓疾患および経口避妊薬のようなエストロゲン含有医薬品にしばしば起因する。
【0092】
高レベルのトリグリセリドは、動脈へのプラーク堆積(アテローム形成)の速度を上げて、心筋梗塞に至る血栓症のリスクを増加させることによって、冠状動脈性心疾患(CHD)のリスクを増加させる。望ましいトリグリセリド血中濃度範囲は150〜200mg/dLである。
【0093】
高レベルのトリグリセリドは、低脂肪食および、必要ならば、医薬品で攻撃的に治療しなければならない。高トリグリセリド血症の治療の第1段階は、甘いものの量が制限された低脂肪食、規則的な有酸素運動、過体重の減少、アルコール摂取量の減少およびタバコの禁煙である。糖尿病患者においては、上昇血中グルコースの注意深い調節も重要である。したがって、本発明の栄養製品の摂取は、有益性が高いと考えられる。
【0094】
必要に応じて、フィブレート(例えばゲムフィブロジル)、ニコチン酸およびスタチン誘導体などのさらなる薬剤を、栄養製品に加えることができる。前記薬剤も、全体的な脂質プロフィールに影響を及ぼすことができる。ロピッドはトリグリセリドレベルを減少させるだけでなく、HDLコレステロールレベルおよびLDLコレステロールの粒径を増加させる。ニコチン酸はトリグリセリドレベルを低下させ、HDLコレステロールレベルおよびLDLコレステロールの粒子の大きさを増加させるだけでなく、Lp(a)コレステロールのレベルを低下させる。スタチンは、トリグリセリドならびにLDLコレステロールレベルの減少に、また、HDLコレステロールレベルの上昇に有効である。
【0095】
実施例2および図11で例示されるように、本発明の食物製品は、肥満および/または糖尿病の対象で、体重および/または血清インシュリンレベルを低減する機能も有する。
【0096】
インスリンは、細胞のグルコース取り込みを可能にしてその血中濃度を低下させることによって、体が血中グルコースを代謝して利用することができるようにするペプチドホルモンである。細胞の中では、グルコースはエネルギーのために用いられるか、脂肪の形で保存される。インスリンはより多くの炭水化物およびより少ない脂肪を用いるように働きかけ、糖尿病およびCVDを発達させるリスク状態と考えられる脂肪の代謝アンバランスおよび肥満を促進する。したがって、正常値を超えた場合は常に血液インスリンレベルを制御することが望ましい。正常な空腹時インスリン値は、5〜20mcU/mL(ミリリットルあたりのマイクロ単位)である。
【0097】
詳細には、前記食物製品はインスリン抵抗性の対象で高インスリン血症を改善する(血清インスリンレベルを減らす)機能を有する。2型糖尿病を発達させる主要な状態の1つであり、高血圧、心臓血管疾患および肥満を患っている個人で通常見られるインスリン抵抗性の指標として、高いインスリン血中濃度を用いることができた。通常、グルコース/インスリン比(G/I比)指数がインスリン抵抗性の診断のために用いられ、その低い値は高い程度のインスリン抵抗性を表す。望ましいG/I比は4.5未満である。
【0098】
本発明の食物製品は血清インスリンレベルを低下させるので、G/I比の測定は前記食物製品の治療効果を評価するための簡易検査として用いることができる。
【0099】
より特定された場合では、前記食物製品は、糖尿病を起こしやすい肥満対象で高インスリン血症を改善するかインスリン抵抗性の進行を予防するのに有効である。身体活動および体重減少は、インスリンに対する体の応答を助け、インスリン抵抗性を克服する。本発明の栄養製品を摂取することおよび活動的になることによって達成される体重減少は、2型糖尿病へのインスリン抵抗性状態の進展を予防することができる。
【0100】
栄養習慣を変え体重を緩和することによって、前糖尿病個人を正常な血糖値に戻すことが可能であり、糖尿病のリスクを58パーセント低下させた。
【0101】
他の実施形態では、本発明の食物製品は、糖尿病もしくはメタボリックシンドロームなどの代謝アンバランスを有する肥満対象で、または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体において、体重減少、体重増加の抑制、およびインスリン抵抗性の低減において機能的である。
【0102】
さらに、これらの有効成分は、内臓の組織から末梢組織に脂肪蓄積を移すことによって肥満、過体重、糖尿病、前糖尿病で、または糖尿病または肥満を起こしやすい個人においてメタボリックシンドロームを予防または抑制することにより、あるいは単に糖尿病患者の状態を改善することにより、WAT蓄積を抑制し、体脂肪分布を改造して、内臓脂肪重を低減するのを助けることができる。
【0103】
体重増加および管理ならびに脂肪の分布に対処する食事成分としては、ジグリセリド(DAG)がある。DAGによる毎日の脂肪摂取の置換は、体重減少を促進することが示された。さらに、共役リノレン酸(CLA)も広く研究されて、体重管理に関連する健康効果と関連付けされた。近年では、それらの脂肪酸のアルファ位で置換された新規トリグリセリドアルキルは、消化リパーゼを抑制して満腹感を促進し、結果として全体的な体重減少をもたらすことが示された。そのような食事成分、ならびに体重増加および体重管理に対処し、脂肪分布を調節する他の成分は、全て本発明の適用範囲内である。
【0104】
未処置の糖尿病は進展して、様々な二次疾患合併症を発達させるかもしれない。本発明の食物製品は、肥満および/または糖尿病の対象で、生命を脅かす長期糖尿病合併症のリスクを低減するために用い、生活の質の悪化を改善することを目的とする。
【0105】
糖尿病合併症は、マクロ血管、微小血管および神経学的起源の三大カテゴリーに分類される。糖尿病の人々は、通常心臓疾患および血管病を発達させる。糖尿病は、循環不良に関係する心臓発作、脳卒中および合併症のリスクを増加させる。
【0106】
他の糖尿病合併症としては、腎臓疾患、失明につながる目の問題、糖尿病性神経障害および神経損傷、神経損傷または血流不良から生じ切断につながる多くの異なる足の問題、時々、人が糖尿病を有することの第1の徴候である皮膚障害、胃不全麻痺およびうつ病を挙げることができる。
【0107】
したがって、本発明の食物製品は、網膜症、腎症、脚に供給する大血管の疾患(下肢動脈疾患)、冠状心臓もしくは動脈疾患、脳血管疾患および神経機能障害、または失明、末期腎臓疾患(ESRD)および切断に至る他の任意の状態、心筋梗塞、脳卒中または上記の他の任意の合併症の群から選択される糖尿病合併症のいずれか1つの治療および/または予防のための使用を考慮するべきである。
【0108】
他の実施形態では、本発明の食物製品は、他の糖尿病関連の問題に対処するために、活性剤、食事または医薬用の成分をさらに含む。急性認知能減退の予防および/または治療において機能的である前記食物製品の活性剤は、ホスファチジルセリン、イチョウ、ブラーミ(Bacopa monneri)およびオメガ3含有脂肪のいずれか1つであり、前記急性認知能減退は糖尿病と関連するかそれによって誘導される。
【0109】
いくつかの認知関連の食事成分は、本発明の食物製品で用いることができる。主に大豆リン脂質から生産される主要な脳リン脂質であるホスファチジルセリンは、年輩者およびより若い集団で記憶および他の認知機能を改善することが以前、広範に示された。いくつかの薬草抽出物、例えばイチョウも、類似した認知利点を有すると主張された。オメガ3脂肪酸および抗酸化剤は両方とも心臓の健康の高進と関連付けられたが、それらも認知機能へ及ぼす利点を有する。多くの認知能減退過程は脳細胞および組織への酸化損傷の結果であるので、抗酸化剤は脳の健康と関連付けされる。
【0110】
本発明の他の実施形態では、食物製品は、2型糖尿病と関連する急性の目の状態の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含み、前記活性剤はビタミン類、抗酸化剤および他の天然の目の健康増進成分または抽出物である。
【0111】
本発明の食物製品中の予防的に心臓、脳および目の健康を促進する食事成分または医薬成分の量は、それらの特定のRDAまたは異なる組織の他の推奨に基づいて、または関連した治験の結果に基づいて決めることができる。各成分は、同じ成分を送達する1日摂取量に対して利用できる食品または供与源の種類によって、または特定の食物製品から通常摂取される平均食数によって、一食分にそのRDA一杯まで与えること、あるいは一食分にそのRDAの一部だけを与えることができる。
【0112】
本発明の指導規則は、1日1回または1日のうちの異なる食事を通しての、1つまたは複数の食物製品および/または食物摂取を通してその有益な健康影響を及ぼすために十分なレベルで、有効成分が消費されることである。前記成分の推奨される公式または非公式の1日摂取量の少なくとも5%が、本発明の食物製品によって提供されなければならない。
【0113】
活性食事成分または医薬成分は、食物製品の調製または加工の間のいかなる段階でも、その本体または充填材、被覆物、その他を通して加えることができる。
【0114】
活性食事成分または医薬成分は、その食物製品に対して例えば、食感、安定性、有効期間、官能性および感覚特性および外観に関連した技術的または機能的特性を発揮させることもできる。
【0115】
本明細書で記載されているように本発明の食物製品は、好ましくは、糖尿病を患っているか糖尿病になりやすい、任意の対象による使用のためのものである。そのような食物物品は、糖尿病患者の心血管危険因子の治療または対処のために、彼らの固有の食事の一部として摂取することができる。任意選択で、これらの食品は糖尿病の徴候を予防または抑制するために、前糖尿病個人が用いることができる。
【0116】
本明細書で記載される食物製品は、乳製品、パン製品、調味料、飲料および飲物、スナック類、キャンディ、アイスクリームおよび冷菓デザート、朝食シリアル、栄養バー、チョコレート製品、調製食品、穀類製品およびパスタ、スープ、ソースおよびドレッシング、菓子製品、油脂製品、酪農およびミルク飲物、豆乳および大豆酪農様製品、冷凍食物製品、調製食および代用食、食肉加工品、チーズ、ヨーグルト、パンおよびロール、酵母製品、ケーキおよびクッキーおよびクラッカーのいずれか1つでよい。
【0117】
本発明は請求項によって規定され、その内容は明細書の開示に含まれるものと解釈される。
【0118】
開示および記載したが、加工工程および材料はいくらか変化してもよいので、本発明は本明細書で開示される特定の実施例、加工工程および材料に限定されないことを理解されたい。本発明の範囲は添付の請求項およびその等価物だけによって限定されるので、本明細書で使われる専門用語は特定の実施形態を記載するためだけに用いられ、限定するものではないことも理解されたい。
【0119】
本明細書と添付の請求項で使われているように、単数形「a」、「an」および「the」は、明らかに別の指示がない限り複数の支持物を含むことに注意する必要がある。
【0120】
この明細書および続く請求項を通して、特記しない限り、単語「含む(comprise)」および変形形態「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」は、記載されている完全体もしくは段階、または完全体もしくは段階の群を含むことを意味するが、任意の他の完全体および段階ならびに完全体および段階の群の排除を意味するものではないことを理解されたい。
【実施例】
【0121】
(in vivo実験)
CVDに及ぼす食品中の異なる機能性油脂の影響は、栄養依存性2型糖尿病の実験動物モデルであるPsammomys obesusにおいてCVD危険因子(体重および脂肪重、血液脂質レベル、グルコースおよびインスリンの血中濃度)として知られるいくつかのパラメータを測定することによって推定した。
【0122】
イスラエルのホリネズミPsammomys obesusは草食性のスナネズミであり、拘束されて非精製高エネルギー(HE)の齧歯目用の食事が自由に与えられると、正常血糖および正常インスリン血から進行性の高血糖症および高インスリン血症をもつ肥満の糖尿病動物に至る、不均一なグルコースおよびインスリンレベルを示す傾向がある。これらの動物で発達する肥満および糖尿病の過程は、正常インスリン血症および正常血糖(状態A)、高インスリン血症であるが正常血糖(状態B)、高インスリン血症および高血糖症(状態C)、ならびにβ細胞脱顆粒の結果としての低インスリン血症および重度の高血糖症、および著しく低下する膵臓インスリン量(状態D)の4つの表現型状態を特徴とする。Psammomys obesusスナネズミ動物モデルは中程度の肥満と関連する食餌誘発性糖尿病を発達させる高い傾向を示すので、ヒトの2型糖尿病疾患の理想的な天然モデルであることが多くの研究で示された。このモデルは、高インスリン血症、高血糖症および肥満などの糖尿病に至る代謝変化の発達を測定するために、前糖尿病状態の研究のためにも用いられている(Zimmet P.(2001)Nature 414:782〜7、Ziv E.およびKalman R.によるレビュー(2001)、糖尿病動物モデル(Animal models of diabetes)、SimaおよびShafrir編、Harwood academic publishers、327〜342)。
【0123】
ヒトにおいては、Psammomys obesusモデルの場合と同様に糖尿病は肥満と関連し、食事の栄養価および特性はその疾患の発症および進展で重要である(Shafrir E.およびGutman A.(1993)J Basic Clin Physiol Pharmacol.4:83〜99;Kalman R.ら(1993)J Basic Clin Physiol Pharmacol.4:57〜68)。本実験モデルとしてPsammomys obesusを選択したことは、食品中の機能性油脂が肥満およびインスリン非依存型糖尿病の発達および/または治療で演ずる役割を理解することに寄与する。
【0124】
スナネズミ実験モデルは、血液脂質低下効果を評価するために、ハムスターモデルと比較して僅かに優れていることが知られている。ラットおよびマウスは、それらの血漿および肝臓のコレステロールは食品コレステロールチャレンジに対する応答性が比較的より弱いので、不適当であると思われる。Psammomys obesusモデルでは、インスリン抵抗性および肥満の前の脂肪過多を伴う正常なインスリン感受性から異常なものへの逐次的な移行が、ヒト2型糖尿病感受性集団で観察されるものと類似した様式で起こる。
【0125】
(材料および方法)
動物試験はヘブライ大学のInstitutional Animal Care and Use CommitteeおよびHadassah Medical Organizationに承認された。
【0126】
使用動物:Harlan Laboratories社(Jerusalem、Israel)から得た雄のPsammomys obesusスナネズミ(2.0〜3.5月齢)を、ヘブライ大学施設で飼育した。離乳期間の後、Psammomys obesusは糖尿病誘導の前に2.38kcal/gを含む低エネルギー食(Koffolk社、Petach Tikva、Israel)で維持した。
【0127】
(実験モデル−I)
Psammomys obesusは4週の間2.93kcal/gを含む高エネルギー食(Tekled Global、Madison、Wis.、USA)に切り替え、糖尿病を発症した動物(Psammomys obesusコロニー内の動物の70%)を給餌介入研究のために選択した。非空腹時血糖が180mg/dLを超える動物は、糖尿病とみなされた。
【0128】
糖尿病のスナネズミは群(群あたり8〜10動物)に無作為に割付けして、表2で明記するようにさらに3.5週の間、異なる高エネルギー試験食で飼育した。供給された高脂肪食は、脂肪分が異なる。水および食物は、無制限に供給した。Psammomys obesus血液グルコース濃度および体重は、1日おきに観察した。実験の終りまでに、スナネズミはケタミン(Ketalar;Parke−Davis社、Gwent、United Kingdom)で麻酔して、心臓穿孔によって放血した。血液サンプルはEDTAで湿らせた注射器に収集して、生化学分析のために用いた。
【0129】
(実験モデル−II)
60匹の成体雄Psammomys obesusスナネズミを、2.93kcal/gを含み脂肪および脂質含量だけが異なる2つの高エネルギー食、ハーラン高エネルギー食(Tekled Global、Madison、Wis.、USA)または食事C(表2)、に無作為に割付けた(n=30)。水および食物は、4.5週間無制限に供給した。体重および血液グルコース濃度は、1日おきに観察した。試験食による4.5週の給餌の後、スナネズミから食物を一晩(16時間)奪い、ケタミン(Ketalar;Parke−Davis社、Gwent、United Kingdom)で麻酔して心臓穿孔によって放血し、血液サンプルをEDTAで湿らせた注射器に採集した。肝臓および精巣上体の脂肪を切除して秤量した。心臓から採取された血液は、生化学分析のために用いた。
【0130】
(グルコース分析) 血中グルコース濃度は、酵素グルコース分析装置Glucometer Elite(Bayer、Elkhart、Indiana、USA)を用いて尾静脈から採取された血液サンプルで測定した。
【0131】
(脂質分析) EDTAで処理した血液サンプルから得られた血漿試料(12,000×gで15分間分離)は、総コレステロール、総トリグリセリドおよびHDL−コレステロールレベルを比色法(Boehringer Mannheim、Mannheim、Germany)によって分析した。LDL−コレステロールレベルは、Friedewald方程式を用いて計算した。
【0132】
(インスリン分析) インスリンレベルは、ヒト一次抗体(Phadesph;Kabi Pharmacia Diagnostics、Uppsala、Sweden)を用いてラジオイムノアッセイによって調査した。
【0133】
(統計分析) 実験群の間の差を評価するために、データを一元配置分散分析法(ANOVA)で分析した。平均値の間の差は、スチューデントの両側t検定によって評価した。
【0134】
(栄養食) 異なる治療油(Harlan Tekled社、USA、によって注文生産された)を標準のスナネズミ食に組み込むために、標準のミリング手法を用いた。対照として、2018SC+F高エネルギー食(Tekled Global、Madison、Wis.、USA)を用いた。
【0135】
注文生産食の組成は、食品および栄養含量に関して類似していた。全ての食事は同じ基礎混合物から作られ、可変成分は補給脂肪であった。この基礎混合物は、脂肪源を含まない2018SC+Fの僅かに濃いバージョンであった。脂肪源およびコレステロールを加えたとき、最終製品は脂肪およびコレステロールの成分を除いては元の2018SC+Fと非常に類似していた。
【0136】
食事は、下記のスキームに従って調製された:
(基礎混合物)
タンパク質 23.6%
脂肪 2.4%
炭水化物 68%
灰分+ミネラル+ビタミン類 6.0%
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
(実施例1−一価および多価不飽和脂肪酸食の糖尿病スナネズミの血液脂質含量に及ぼす影響)
本実験は、血漿脂質プロフィールに及ぼす食事A(PS−E+DAG、HOSO油を含む大豆ステロールエステル(PS−E)およびHOSO油に由来するジアシルグリセロール(DAG)を含む)および食事B(PS−E+DAG、アマニ油を含む大豆ステロールエステル(PS−E)およびアマニ油に由来するジアシルグリセロール(DAG)を含み、高含量の多価不飽和脂肪酸を有す)の摂取の影響を研究する。
【0140】
糖尿病の雄のPsammomys obesusスナネズミを、3.5週の飼育期間、示した食事群(各群スナネズミ8〜10匹)に無作為に割り当てた(表1および表2で示す)。実験の飼育期間の終了前に、血漿脂質分析のために血液サンプルを採集した。
【0141】
図1で示すように、異なる食事群の総コレステロール血漿レベルは有意に変動した。対照および食事治療群(食事AおよびB)の間で特筆すべき差が観察されるが、全ての動物は高血糖症および高インスリン血症の症状の類似した基礎レベルを維持した。HMUFAおよびHSFAで飼育した糖尿病のPsammomys obesusは類似した血漿総コレステロール濃度(P値=0.24)を示したが、食事Aおよび食事Bで飼育した他のPsammomys obesus群は飽和脂肪で飼育したスナネズミと比較して総コレステロールレベルが実質的に、かつ有意に減少した(それぞれ35%および42%、P値=0.031、0.028)。
【0142】
これらの結果の高い統計的有意差(ANOVAによって示された、P値=0.003)は、調製物AおよびBが非常に強力な血液コレステロール低下効果を誘導することを示唆する。血漿総コレステロール減少の類似した結果(約43%の減少)が、植物ステロール対食品コレステロール比5:1で4週間頻繁に飼育した雄のモンゴルスナネズミ(Meriones unquiculatus)で報告された(Hayesら(2002)J.Nutr.132:1983〜1988)。
【0143】
同様に、図2で示すように、食事Aまたは食事Bの摂取は、HSFA食で飼育された糖尿病のスナネズミと比較して血漿非HDLコレステロールレベルの顕著で有意な減少を誘導した(それぞれ47%および59%、P値=0.022、0.019)。HSFAおよびHMUFA食摂取群(対照)では、類似した非HDLコレステロール濃度が測定された(P値=0.22)。これらの食事マトリックスの間のANOVA比較は、非常に有意な差(P値=0.001)を示唆した。
【0144】
非HDL−C血清レベルは、血管病徴を必ずしも示さない患者における、心血管合併症の将来のリスクの強力な予測因子と考えられる。非HDL−Cは、National Cholesterol Education ProgramのAdult Treatment Panel IIIによって、上昇トリグリセリド患者における二次的治療標的(LDL−Cに次ぐ)として、最近推奨された。
【0145】
図1および図2は、本発明の調製物Aまたは調製物Bが、飽和脂肪酸または高オレイン酸ヒマワリ油をベースにした食事の摂取と比較して総コレステロールおよび非HDLコレステロールの血漿レベルの減少をもたらす点で、それらの顕著なコレステロール低下効果を強調する。これに反して、スナネズミ試験群のいずれにおいても血漿HDL−コレステロールレベルで有意差は観察されなかった(ANOVA P値=0.11)。
【0146】
図3で例示されている計算された総コレステロール対HDLコレステロール比(総/HDL)およびさらに統計学的に分析された(ANOVA P=0.0005)ものは、異なる食事治療群の間の有意差を示した。HMUFA食摂取群の総/HDL比率は、HSFAで飼育された肥満で糖尿病のPsammomys obesusで見られる比率と同等であった(P値=0.14)。これらの結果にもかかわらず、本発明の食事Aまたは食事Bがこれらのホリネズミに提供されたとき、対照群(HSFA飼育群)と比較して顕著で有意な総/HDLコレステロール比率の減少が測定された(23%、P値<0.012および27%、P値<0.007)。
【0147】
2型糖尿病患者においては、異脂肪血症は上昇したトリグリセリドレベルおよび低下したHDLコレステロールレベルで明らかになる。通常、LDLコレステロール量は2型糖尿病患者および非糖尿病性個人においてあまり異ならないが、一部のLDLは、総コレステロールおよびLDLコレステロールの正常値にもかかわらずアテローム生成のリスクを増加させる可能性がある、より高密度の粒子形態(アポリポタンパク質B)として現れる。
【0148】
場合によっては、糖尿病患者は非HDLコレステロール(LDLとVLDLコレステロール)レベルが上昇する可能性がある。そのような短い期間で非HDLレベルを低下させる食事AおよびBの栄養成分の能力は、リスクを低下させ、CVDを予防および治療することと重要な関連性がある。AおよびBの食品の食事マトリックスの使用は、従来の他の医薬療法と併用してまたは独立して、異脂肪血症およびLDLコレステロールと関連したアテローム生成の治療のために非常に有益であると考えるべきである。
【0149】
食事A(ジアシルグリセロールHOSOマトリックス内で長鎖一価不飽和脂肪酸にエステル化した大豆ステロール)または食事B(ジアシルグリセロールアマニ油マトリックス内で長鎖多価不飽和脂肪酸にエステル化した大豆ステロール)による肥満で糖尿病のPsammomys obesusの食事治療は、前記食事にコレステロールを補ったにもかかわらず、総コレステロールおよび非HDLコレステロール値の有意な減少をもたらした。これらの結果は、単純な栄養習慣の調整によって短い期間に体脂質管理を変更するための、任意の糖尿病患者、肥満者、および高コレステロール関連の任意の合併症を発達させる危険のある対象に有益となる、新しい非医薬的、非合成的、および物理的介入不要の戦術を明らかにする。
【0150】
本発明の栄養製品の成功効率は、グルコース含量が低いか含まれず、脂肪分の均衡がとれ、および予防的剤(医薬用または栄養的な)が添加された、糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人のニーズに対処するためのその特別な組成に基づく。分離された成分のそれぞれは脂質プロフィールに対してある程度の穏やかな影響を及ぼすことができるが、成分の相乗的活性ならびに本発明の食物製品中のそれらの相対的比率が、この製品を糖尿病と関連する脂質アンバランスの状態の治療で非常に有効なものにする原因である。
【0151】
(実施例2「前糖尿病」スナネズミに及ぼす一価不飽和脂肪酸食の影響)
前糖尿病個人は、非糖尿病の個人と比較して高い総コレステロール、LDLコレステロールおよびトリグリセリドレベルと、低いHDLコレステロールレベルを示す可能性がある。この実験は、糖尿病を起こしやすいスナネズミにおける血中脂質レベルおよび脂質管理に及ぼす、コレステロールを含まない食事である食事Cの影響を評価する。
【0152】
60匹の成体雄Psammomys obesusスナネズミを、2.93kcal/gを含んで脂肪含量および脂質含量だけが異なる2つの異なる高エネルギー食に無作為に割付けた(n=30)。食事Cの影響(表2)を、基本ハーラン高エネルギー食(Tekled Global、Madison、Wis.、USA)の影響と比較した。4.5週の試験食飼育の後、スナネズミは一晩(16時間)絶食させてから屠殺した。肝臓および精巣上体の脂肪を採取して秤量した。収集した血液サンプルは、生化学分析のために用いた。
【0153】
Psammomys obesus(栄養的に誘導された2型糖尿病の実験モデル)における肥満および糖尿病の発達に及ぼす食事Cの影響を、齧歯目の標準高エネルギー(HE)食と比較した。
【0154】
以前の刊行物(ZivおよびKalman(2001)、糖尿病の動物モデル、SimaおよびShafrir編、Harwood academic publishers、327〜342、Kalman R.ら(1993)J Basic Clin Physiol Pharmacol.4:57〜68)によると、高血糖症は比較的速くに、HE食の摂取から7〜14日以内に発達する。通常、スナネズミはHE食40〜70日後に、β−細胞機能消失(相D)の結果として死ぬ。我々の研究では、飼育期間末までに、HE食(80.0%)と比較して食事C飼育群(73.3%)では、典型的ではあるが僅かに低い割合の糖尿病動物がいた。この指摘は食事C(97%)を摂取したPsammomys obesusのより高い生存率とさらに関連していたが、HE食で連続飼育したスナネズミは、食餌実験の始まりから4.5週後の動物が屠殺された日までに、いくぶん低い生存率(87%)を示した。
【0155】
食事Cの摂取は、HE食と比較して総コレステロールレベルの大きな減少を誘導した(図4で見られるように23%の減少、P値=0.055)。より顕著で統計学的に有意な減少が、非HDLコレステロールレベルで観察された(図5で見られるように41%の減少、P値=0.026)。
【0156】
HEで飼育したスナネズミと比較して食事Cで飼育したスナネズミにおいて、小さいが非常に有意な総コレステロール/HDL比の減少が観察された(図6で見られるように7%の減少、P値=0.012)。これらの2つの食事を比較したときに弱い傾向だけが認められたので、この減少はHDLコレステロールレベルの並行した減少に帰することはできなかった(P値=0.10)。
【0157】
食事CおよびHEは補助的食品コレステロールを含まないので、調製物A(実施例17を参照)などの予防的成分を含む専門食物製品の効力は、食事性および内因性のコレステロール、特にLDLコレステロールの総コレステロールを実際に低下させることによって明らかになると結論することができる。
【0158】
食事C中の食事性ジアシルグリセロール含量は、以前の報告から予想されるようにスナネズミのトリグリセリド血漿レベルに影響しなかった(Muraseら(2001)J.Lipid Res.42:372〜378;Muraseら(2002)J.Lipid Res.43:1312〜1319)。
【0159】
インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)およびインスリン抵抗性の危険因子として認識される肥満および代謝異常(Matsuzawaら(1995)Ann NY Acad Sci 748:399〜406)は、エネルギー取込みおよびエネルギー消費の間の不均衡の結果であるとわかっている。増加する体脂肪塊は上昇する循環遊離脂肪酸、インスリン、腫瘍壊死因子αおよびレプチンをしばしば伴い、これらの分子が肥満個体でのインスリン抵抗性の発達で重要な役割を演ずる可能性が示唆される。肥満およびインスリン抵抗性の間の関係を説明するために、以下の人体計測パラメータのいくつかを評価した。
【0160】
食事Cの摂取は、HEで飼育したスナネズミと比較して著しく低下したエンドポイント体重をもたらした(図7で見られるように8.3%の低下、P値=0.011)。また、肝臓重量(P値=0.41)はそうではないが精巣上体の白色脂肪組織(WAT)重量は、HE対照群と比較して食事Cで飼育したスナネズミで著しく低下した(図8で見られるように20%の低下、P値=0.011)。精巣上体WATと肝臓重量の比で表される臓器相対サイズの低下の非常に有意な相互関係は、図9で例示する(21%の低下、P値=0.025)。
【0161】
これらの結果によると、調製物Aなどの予防的成分を含む本発明の食物製品は、血清脂質プロフィールに影響を及ぼすだけでなく、体脂肪蓄積および分布にも関与すると結論することができる。
【0162】
食事Cは、対照のHE群と比較して空腹時血漿インスリンレベルに対する有意な影響を示した(図10で見られるように42%の低下、P値=0.0006)。空腹状態下で、Psammomys obesusはより顕著でない高インスリン血症を示したが、全体の高血糖症は引き続き類似していた(P値=0.25)。
【0163】
図11および12で表したように、食事Cで飼育したスナネズミは、HEで飼育したスナネズミと比較して低い血清インスリン/体重指数および低い血清インスリン/血糖指数を示した。したがって、同程度の体重またはグルコースレベルでは、食事Cで飼育した動物は低い血漿インスリンレベルを示した(それぞれ38%の低下、P値=0.0015、および49%の低下、P値=0.0015)。
【0164】
空腹時インスリン低下の重要性は、低下する脂肪組織蓄積およびインスリン抵抗性増加における共同役割との関連で視なければならない。食事Cおよび調製物Aを含む対応する食物製品の代謝アンバランス状況を逆戻りさせる能力は、糖尿病を起こしやすい個人、異なる段階の糖尿病患者および他の脂質アンバランス疾患を患っている他の個人の予防および治療のために適用されなければならないその受益者への影響および効果を証明した。
【0165】
本発明の食物製品、例えば調製物Aを含む製品を用いて達成することができる提案された簡易療法は、その受益者における結果が比較的短い期間で明白になるので、苦しむ個人にとって大きな利益となると予想される。
【0166】
(実施例3:植物ステロールによるヨーグルト飲料)
本発明の果物風味のヨーグルト飲料は主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、高い血液コレステロールレベルをさらに低下させるために、このヨーグルト飲料は大豆植物ステロールで強化され、それらのRDAの100%を提供する。
成分:低温殺菌牛乳、マルチトール、果物ピューレ/濃縮物、粉乳、加工澱粉(E1422、E1442)、天然安定剤(E440)、風味剤、クエン酸、大豆植物ステロール。
栄養価(100ml):タンパク質3.1g、炭水化物16.4g、脂肪1.5g(1.18gの乳脂、0.32gの大豆植物ステロール)、カルシウム110mg、ナトリウム76mg。
各250mlの1回分量は、0.8gの大豆植物ステロール(RDA100%)を含む。
【0167】
(実施例4:大豆イソフラボンおよびタンパク質による大豆飲料)
本発明の天然風味の大豆飲料は主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、高い血液コレステロールおよびLDLコレステロールレベルをさらに低下させるために、この大豆飲料は大豆イソフラボンおよびタンパク質で強化される。イソフラボンは血管の弾力性を保存して、アテローム硬化型カスケードを抑制することができる。大豆タンパク質は心血管保護効果を有することも示され、心疾患のリスクを低下させることもできる。
成分:水、大豆、人工甘味剤、多価アルコール、カルシウム強化剤、酸性度調節剤(E−339、E−452)、塩、香料、安定剤(E−407)、大豆イソフラボン。
栄養価(100ml):タンパク質3.5g、炭水化物3.9g、脂肪1g(その内10%は飽和)、カルシウム150mg、ナトリウム50mg、繊維0.9g。
各250mlの1回分量は、100mgの大豆イソフラボンおよび8.75gの大豆タンパク質(RDAの35%)を含む。
【0168】
(実施例5:ニンニク抽出物によるサラダドレッシング)
本発明のニンニク風味のサラダドレッシングは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、高い血液コレステロールおよびLDLコレステロールレベルならびに高血圧をさらに低下させるために、このサラダドレッシングはニンニク抽出物で強化される。
成分:水、酢、オリーブ油、マスタード、塩、小麦、大豆、スパイス、繊維、植物安定剤(E−405、グアーガム)、加工コーンスターチ、クエン酸、スクラロース、β−カロテン、パセリ、ニンニク抽出物。
栄養価(100ml):タンパク質0.84g、炭水化物3.6g(その内0.7gは食物繊維)、脂肪1.6g(その内12%は飽和)、カルシウム150mg、ナトリウム300mg、ニンニク抽出物800mg。
各1回分量(15mL)は、ほとんどの臨床試験で用いられる一般的な平均レベルである800mgのニンニク抽出物を含む。
【0169】
比較すると、サラダドレッシングの低脂肪バージョンであり、体重減少に寄与し、糖尿病患者に適当でさえあるとされて市販される食事は、20.9g/100gの脂肪を含み、その約30%は飽和態である。
【0170】
(実施例6:ビタミンB6、B12および葉酸による酪農飲物)
本発明の果物風味のミルク飲物は主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、重要なCVD危険因子である血液ホモシステインレベルを低下させるために、このミルク飲物はビタミンB6、B12および葉酸で強化される。
成分:水、低温殺菌牛乳、粉乳、多価アルコール、果物香料、果物濃縮物、天然食品着色剤、安定剤(E−410)、カルシウム(E−341)、塩、ビタミンB6、B12および葉酸。
栄養価(100ml):タンパク質2.5g、炭水化物14.6g、脂肪1.5g(その内15%は飽和)、カルシウム100mg、ナトリウム50mg。
各250mlの1回分量は、B6(0.65mg、RDAの50%)、B12(1.2mcg、RDAの50%)および葉酸(200mg、RDAの50%)を含む。
【0171】
(実施例7:リコペンによるバーベキューソース)
本発明のバーベキュー風味のソースは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、重要なCVD危険因子である酸化損傷を低下させるために、このソースはリコペンで強化される。
成分:水、トマト濃縮物、マルチトール、蒸留酢、塩、マスタード、トマト繊維、天然調味料、スパイス、グアーガム、パプリカ、ペクチン、リコペン。
栄養価(100ml):タンパク質1g、炭水化物36g、脂肪0.4g、ナトリウム500mg。
各15mlの1食分は、25mgのリコペン(420mgの6%リコペン調製物)を含む。
【0172】
(実施例8:アマニ油による酵母入り全粒小麦粉パン)
本発明の酵母入り全粒小麦粉パンは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、このパンの脂肪分画は、パンレシピで慣用される他の植物油脂の代わりにアマニ油を含む。アマニ油は、血液トリグリセリドレベルを低下させて心疾患のリスクを低減する、オメガ3 LC−PUFAの前駆体であるオメガ3リノレン酸の含量が非常に高い。
成分:全粒小麦粉、ライ麦粉水、コーンフラワー、米粉、オートブラン、酵母、大麦麦芽、キビ、小麦グルテン、亜麻種子、ヒマワリ種子、塩、大豆粉、乳化剤(E−472)、酸(E−300、E−330)、保存料、アマニ油。
栄養価(100g):タンパク質12.2g、炭水化物21.1g、脂肪3.1g、ナトリウム410mg、食物繊維13.8g。
各1食分(スライス)は約500mgのアマニ油を含み、約250mgのα−リノレン酸に寄与する。
【0173】
(実施例9:セレニウムによるチョコレート風味のビスケット)
本発明のチョコレート風味のビスケットは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、重要なCVD危険因子である酸化損傷を低下させるために、このビスケットは多くの天然抗酸化酵素過程で重要な役割を果たす重要ミネラルである、セレニウムで強化される。
成分:小麦粉、マルチトール、植物油、澱粉、ココアパウダー、塩、レシチン、膨張剤(重炭酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム)、アセスルファムK、天然抗酸化剤(ローズマリー抽出物)、セレン酸ナトリウム。
栄養価(100g):タンパク質13.3g、炭水化物78g、脂肪5.5g(その内20%は飽和)、ナトリウム280mg。
各1食分(4ビスケット、20g)は、25mcgのセレニウム(RDIの50%)を含む。
【0174】
比較として、「通常の」ビスケットは12g/100gの脂肪を含み、その35%は飽和脂肪酸である。糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用ビスケットは、10g/100gの脂肪を含み、その約45%は飽和脂肪である。
【0175】
(実施例10:PSE+DAGの組合せによるショートブレッドクッキー)
本発明のショートブレッドクッキーは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、クッキーの脂肪分画は、DAGより高いPSEレベルを特徴とし、酸化的ストレスと闘うだけでなく血液コレステロールおよびトリグリセリドレベルを低下させることが臨床的に証明されている、植物ステロールエステル(PSE)およびジグリセリドの組合せで置換される(上記参照)。
成分:小麦粉、マルチトール、ソルビトール、ポリデキストロース、マルトデキストリン、天然香料、濃縮ホエータンパク質、塩、重炭酸ナトリウム、オート麦繊維、乳化剤、アスパルテーム、キサンタンガム、アセスルファムK、カノーラ脂肪酸の植物ステロールエステル、ジグリセリドおよびカノーラ油のトリグリセリド。
栄養価(100g):タンパク質7g、炭水化物80g、脂肪6.6g(その内10%は飽和)、ナトリウム250mg。
各1食分(8クッキー、30g)はカノーラ油内にPSEおよびDAGの組合せ2gを含み、1.3gの植物ステロールエステルおよび200〜400mgのDAGにさらに寄与する。
【0176】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用ビスケットは、22g/100gの脂肪を含み、その約20%は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。飽和脂肪レベルは実際は高い(総脂質の48%)けれども、「通常の」ショートブレッドクッキーでさえ市販の糖尿病患者用ブランド(17.2%)よりも低いレベルの脂肪を含む。
【0177】
(実施例11:ビタミンE+Cおよびβカロテンによるチョコレート被覆されたウエハー)
本発明のチョコレート被覆されたウエハーは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、このウエハーは天然の抗酸化剤、ビタミンE、ビタミンCおよびβカロテンの組合せで強化され、この全ては酸化損傷に起因するCVDリスクの低減を促進する。
成分:マルチトール、粉乳、カカオ脂、ココア塊、植物油、小麦粉、大豆粉、ナッツ、乳化剤、塩、香料、膨張剤、最低30%のミルクチョコレート含有ココア固形分、ビタミンE、ビタミンC、β−カロテン。
栄養価(100g):タンパク質8g、ポリオール39g、炭水化物15g、脂肪15g(その内20%は飽和)、ナトリウム71mg。
各1食分(45gウエハー)は、90mgのビタミンC(RDIの100%)、15mgのビタミンE(RDAの100%)および15mgのβ−カロテン(RDIの100%)を含む。
【0178】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用のチョコレート被覆されたウエハーは、34g/100gの脂肪を含み、その44%は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。「通常」バージョンのチョコレート被覆されたウエハーは、僅かに低いレベルの脂肪(33g/100g)および僅かに低いレベルの飽和脂肪(総脂肪の「僅か」42%)を含む。
【0179】
(実施例12:DHA/EPAによるバニラ風味のサンドイッチクッキー)
本発明のバニラ風味のサンドイッチクッキーは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が比較的低い。さらに、このクッキーは、CVD危険因子の低減を促進し、そのうえ認知能力の維持または改善に寄与するために、オメガ3 LC−PUFA、特にDHAおよびEPAで強化される。
成分:マルチトール、小麦粉、不飽和植物油、膨張剤、塩、レシチン、クエン酸、香料、アセスルファムK、抗酸化剤(ローズマリー抽出物)、DHAおよびEPAが豊富な油。
栄養価(100g):タンパク質6.7g、炭水化物70g、脂肪12g(その内10%は飽和)、ナトリウム157mg。
各1食分(3クッキー、33g)は、冷水魚または藻類抽出物からのオメガ3が豊富な油に由来する220mgのDHAおよびEPA(RDAの33%)を含む。
【0180】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用サンドイッチクッキーは、20g/100gの脂肪を含み、その25%は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDまたは認知能減退のリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。「通常」バージョンのサンドイッチクッキーは、僅かに高いレベルの脂肪(22g/100g)および実際に低いレベルの飽和脂肪(総脂肪の18%)を含む。
【0181】
(実施例13:スタチンによるビタースィートチョコレート)
本発明のビタースィートチョコレートは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が比較的低い。さらに、このチョコレートは重要なCVD危険因子である総コレステロールおよびLDLコレステロールの低下を促進するために、スタチンで強化される。
成分:マルチトール、ココア塊、カカオ脂、乳化剤、香料、スタチン。
栄養価(100g):タンパク質5g、炭水化物61g、脂肪25g(その内40%は飽和)、ナトリウム8mg。
各1食分(20g)は、コレステロール低減効果を維持するためにプラバスタチンまたはロバスタチンなどのスタチン類を低用量、例えば1食分につき2.5mgを含む。そのような有効成分を送達する糖尿病患者用食品の数または種類が非常に少なくおよび/または限定されている場合は、高用量のスタチンを前記食物製品で送達することができる。
【0182】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用ビタースィートチョコレートは、31g/100gの脂肪を含み、その61%は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。「通常」バージョンのビタースィートチョコレートは、実際に僅かに低いレベルの脂肪(28g/100g)および類似レベルの飽和脂肪(総脂肪の60%)を含む。
【0183】
(実施例14:カノーラ油およびポリフェノールによるチョコレートスプレッド)
本発明のチョコレートスプレッドは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が比較的低い。さらに、このチョコレートスプレッドの脂肪分画は高レベルの不飽和脂肪酸を特徴とするカノーラ油を主に利用し、CVD危険因子と闘う強い抗酸化活性を特徴とするポリフェノールでさらに強化される。実施例1で見られるように、食事の主要な脂肪として不飽和の油脂(この場合HMUFA)を単に利用することは、総コレステロール、非HDLコレステロールおよび総コレステロール/HDL比率などのCVD危険因子の有意な改善を促進するのに十分ではなく、それ故に、リスクの低減を示すためにさらなる予防的剤が必要である。
【0184】
成分:マルチトール、植物性油脂(主にカノーラ油)、ヘイゼルナッツ、大豆粉、イヌリン(食物繊維)、ココアパウダー、ダイズレシチン(乳化剤)、香料、ポリフェノール抗酸化剤(ブドウ抽出物)。
栄養価(100g):タンパク質6g、炭水化物49g、脂肪20g(その内10%は飽和)、ナトリウム1mg。
各1食分(25g)は、ブドウ抽出物、ザクロ抽出物、オリーブヒドロキシチロソール、その他などのポリフェノール抗酸化剤を、70mg含む。
【0185】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用チョコレートスプレッドは、38g/100gの脂肪を含み、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。「通常」バージョンのチョコレートスプレッドは、実際に低いレベルの脂肪(25.5g/100g)を含む。
【0186】
(実施例15:大豆タンパク質および植物ステロールによるチョコレート風味のウエハー)
本発明のチョコレート風味のウエハーは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が比較的低い。さらに、このウエハーは均衡のとれた血液脂質プロフィールに相乗的に寄与してCVDのリスクを低減する、大豆タンパク質および木の植物ステロールで強化される。
成分:マルチトール、植物性油脂、小麦粉、大豆粉、ココアパウダー、乳化剤(レシチン)、香料、塩、膨張剤、ベーキングインプルーバ(プロテアーゼ)、大豆タンパク質単離物、木の植物ステロール。
栄養価(100g):タンパク質6g、炭水化物66g、脂肪15g(その内13%は飽和)、ナトリウム60mg。
各1食分(4枚のウエハー)は、100mgの木の植物ステロール(RDAの12.5%)および2.5gの大豆タンパク質(RDAの10%)を含む。様々な食物製品が毎日の栄養を通してこれらの成分を供給するならば、このようなレベルの有効成分は可能である。
【0187】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用チョコレート風味のウエハーは、36g/100gの脂肪を含み、その82%(!!!)は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。「通常」バージョンのチョコレート風味のウエハーは、実際に低いレベルの脂肪(18.4g/100g)および実際に低いレベルの飽和脂肪(総脂肪の28%)を含む。
【0188】
(実施例16:カノーラ油低脂肪バニラチョコレートアイスクリームおよび大豆タンパク質)
本発明の低脂肪バニラチョコレートアイスクリームは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、このアイスクリームの脂肪分画は、主にカノーラ油などの不飽和植物油で構成される。このアイスクリームは、均衡のとれた血液脂質プロフィールに寄与してCVDのリスクを低減する大豆タンパク質で、さらに強化される。
成分:ミルク、ミルク固形物、ポリデキストロース、マルチトール、イヌリン(食物繊維)、ココアパウダー、グリセリン、植物油、乳化剤、安定剤、香料、甘味料(アセスルファムK/スクラロース)、大豆タンパク質。
栄養価(100g):タンパク質10g、炭水化物12.8g、脂肪1.5g(その内20%は飽和)、繊維5g、ナトリウム70mg、カルシウム114mg。
各1食分(150g)は、13.2gの大豆タンパク質(RDAの50%)を含む。
【0189】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用アイスクリームは僅か1.5g/100gの脂肪を含み、その74%(!!!)は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。
【0190】
(実施例17:ホスファチジルセリンによるヨーグルト飲料)
本発明の果物風味のヨーグルト飲料は主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、認知能減退からさらに保護するために、または異なる段階の認知能減退に対処するために、このヨーグルト飲料はホスファチジルセリンで強化され、その最低推奨日用量の100%を提供する。
成分:低温殺菌牛乳、マルチトール、果物ピューレ/濃縮物、粉乳、加工澱粉(E1422、E1442)、天然安定剤(E440)、風味剤、クエン酸、ホスファチジルセリン。
栄養価(100ml):タンパク質3.1g、炭水化物16.4g、脂肪1.5g(1.18gの乳脂、0.32gの大豆植物ステロール)、カルシウム110mg、ナトリウム76mg。
各250mlの1食分は、100mgの大豆由来ホスファチジルセリン(最低推奨日用量の100%)を含む。
【0191】
(実施例18:糖尿病患者のための機能性チョコレートバー)
このバーはチョコレート風味の機能性バーであり、植物ステロールエステルの推奨日用量の50%を提供する。このバーはカノーラ油に溶解した植物ステロールエステルとDAGとの組合せ(調製物A)を含む。前記組合せは、カノーラ油の総脂肪酸プロフィールを有する70重量%の植物ステロールエステルおよび約8重量%のDAGを含む。
バーの典型的組成:植物ステロールエステルおよびDAG(約1g)の組合せ(調製物A)。糖アルコール(マルチトール、マルチトールシロップ)、大豆タンパク質単離物、食物繊維(イヌリン、ポリデキストロース)、カノーラ油、ココアパウダー、カカオ脂、ココア塊、甘味料(スクラロース)、乳化剤、着香料。各バーの総重量は、50gである。
有効成分(g/1食分):植物ステロールエステル(0.65g/1食分)、ジグリセリド(0.1g/1食分)。
【0192】
栄養情報:
【表3】
【0193】
ビタミン類およびミネラル:
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】一価および多価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した糖尿病性Psammomys obesusにおける血漿総コレステロールレベルを示す図略記号:HSFA−10:1飽和脂肪酸高含有、HMUFA−一価不飽和脂肪酸高含有油、T.Chol−総コレステロール、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図2】一価および多価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した糖尿病性Psammomys obesusにおける血漿非HDLコレステロールレベルを示す図略記号:HSFA−10:1飽和脂肪酸高含有、HMUFA−一価不飽和脂肪酸高含有油、Non−HDL Chol.−非高密度リポ蛋白質コレステロール、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図3】一価および多価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した糖尿病性Psammomys obesusにおける血漿総コレステロール/HDL比率を示す図略記号:HSFA−10:1飽和脂肪酸高含有、HMUFA−一価不飽和脂肪酸高含有油、T.Chol.−総コレステロール、HDL−高密度リポ蛋白質コレステロール、Rat.−比率、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図4】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける血漿総コレステロールレベルを示す図略記号:H.E.−高エネルギー、T.Chol.−総コレステロール、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図5】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける血漿非HDLコレステロールレベルを示す図略記号:H.E.−高エネルギー、Non−HDL.Chol.−非高密度リポ蛋白質コレステロール、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図6】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける血漿総コレステロール/HDL比率を示す図略記号:H.E.−高エネルギー、T.Chol.−総コレステロール、HDL−高密度リポ蛋白質コレステロール、Rat.−比率、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図7】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusの体重を示す図略記号:H.E.−高エネルギー、E.P.B.W.−エンドポイント体重、g−グラム。
【図8】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusの精巣上体重を示す図略記号:H.E.−高エネルギー、E.P.E.F.−エンドポイント精巣上体脂肪重、g−グラム。
【図9】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusの精巣上体脂肪/肝臓重量比を示す図略記号:H.E.−高エネルギー、E.F.W.−精巣上体脂肪重、Liv.W.−肝臓重量、Rat.−比率、%−割合。
【図10】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける血漿インスリンレベルを示す図略記号:H.E.−高エネルギー、Ins.−インスリン、micU/ml−ミリリットルあたりのマイクロ単位。
【図11】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける体重と比較した血漿インスリンレベルを示す図略記号:H.E.−高エネルギー、Ins.−インスリン、B.W.−体重、g−グラム、micU/ml−ミリリットルあたりのマイクロ単位。
【図12】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける血漿グルコースレベルと比較した血漿インスリンレベルを示す図略記号:H.E.−高エネルギー、Ins.−インスリン、Glu.−グルコース、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数、micU/ml−ミリリットルあたりのマイクロ単位。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、機能性食品および臨床食品の分野に関する。より具体的には、本発明は、糖尿病患者および糖尿病を起こしやすい集団を対象にする、均衡がとれた機能的な脂肪分を有する新規食物製品を提供する。
【0002】
[発明の背景]
本出願を通して指摘した全ての刊行物は、そこで引用されている全ての参考文献を含め、参照により本明細書に完全に組み込まれている。
【0003】
2型糖尿病は多病因性代謝異常であり、炭水化物、脂肪およびタンパク質代謝の障害を伴う慢性高血糖症を特徴とし、インスリンの部分的または絶対的な欠乏から生じる。体内のインスリンの欠乏の結果、糖尿病になる。
【0004】
糖尿病はありふれた疾患であり、2002年のCenter for Disease Control and Prevention(CDC)の調査によると、アメリカの人口の6.3%が糖尿病に罹っている(成人集団の21.1%)。約130万人の新患者(20歳を超える)が毎年報告され、現在糖尿病を有する人々の約半分だけが診断されると推定される。
【0005】
糖尿病の影響としては、様々な臓器の長期の損傷、機能障害および不全症がある。しばしば、糖尿病の症状はそれほど重度のものではない。しかし、長期の高血糖は、結果として心臓血管疾患(CVD、下記参照)、網膜症(失明)、腎症(腎機能不全)および/または神経障害(足潰瘍、切断、その他)をもたらす。認知機能および他の脳機能の減退促進または組織損傷がしばしば糖尿病によって誘導されるか、またはそれに随伴する。
【0006】
主に肝臓、筋肉および脂肪組織のインスリン抵抗性に起因する2型糖尿病の代謝異常は、血糖値の増加および高インスリン血症(高インスリン血中濃度)につながる。インスリン抵抗性は、実質的に全ての規則的な心血管関連危険因子、特に血圧およびリポタンパクの障害にもつながり、これらはアテローム性動脈硬化症(脂肪代謝異常に基づく過程)の発生率を増加させる。インスリン抵抗性で見られる高インスリンレベルは、アテローム性動脈硬化症の発達を直接促進することもできる。
【0007】
腹部領域、特に内臓脂肪コンパートメントでの脂肪の蓄積は、インスリン抵抗性の発達および糖尿病などの合併症を表すリスク増加と関連する。トリグリセリド(TAG)の脂肪酸分、内臓脂肪組織蓄積およびインスリン抵抗性症候群の代謝要素の間の関係は、広く調査された(Tremblay、A.J.ら(2004)Metabolism 53、310〜317)。
【0008】
脂肪組織は、単にエネルギー貯蔵器官でなく分泌器官でもある。レプチン、レジスチンおよびアディポネクチンを含む脂肪細胞によって生産される調節物質は、インスリン抵抗性の発達に寄与することができる。さらに、肥満で起こる遊離脂肪酸レベルの上昇は、インスリン抵抗性の発達と関連付けられた(Grundy SM.(2004)J Clin Endocrinol Metab、89(6):2595〜2600)。
【0009】
糖尿病患者は、非糖尿病患者より冠状動脈性心疾患(CHD)および脳卒中に罹る可能性が3〜5倍高い。実際、心疾患は糖尿病関連死の主な原因である。
【0010】
酸化的ストレスもCVDおよび2型糖尿病の間の主な状態生理学的な関連を担うことを、多数の研究が示している(Baynes J.W.およびThorpe S.R.(1999)Diabetes 48:1〜9)。フリーラジカルの相対的な増加を表す酸化的ストレスは、高血糖症の直接の帰結である。この代謝アンバランスによって生成する反応性酸素分子は、単球およびマクロファージを活性化して血管平滑筋細胞の増殖および全体的な糖尿病性血管症を誘起する。この過程の主な予後の1つは高レベルの酸化型LDL種の生成であり、それらはスカベンジャー受容体(未変性のLDL受容体ではない)を通してマクロファージに取り込まれ、初期のアテローム性動脈硬化症の証明である泡沫細胞を生成する(Griendling、K.K.およびFitzGerald、G.A.(2003)Circulation 108(17):2034〜40)。
【0011】
インスリン抵抗性および2型糖尿病と関連する異脂肪血症は、トリグリセリド上昇、低レベルHDLコレステロール、小さく、高密度の潜在的によりアテローム生成性のLDLコレステロール粒子の割合の増加を特徴とする。これらの異常は糖尿病が臨床的に診断されるまで長年存在する。トリグリセリドレベル上昇、HDLコレステロール減少およびアテローム生成性LDLコレステロールレベル増加は、全てCVDの危険因子である。
【0012】
いくつかの集団に基づく研究は、2型糖尿病は認知症のリスクも増加させることを示した。認知能減退は、正常な老化および認知症の間の中間段階である。認知症はその初期で最も効果的に遅らせることができるので、糖尿病を初期の認知能減退の修正可能な危険因子として特定することは、非常に重要であろう。近年、2型糖尿病の高齢女性に焦点を当てた大規模研究は、糖尿病ではない女性と比較してこれらの患者で劣った認知機能および実質的な認知能減退の可能性の増加を記載した (Logroscinoら((2004)BMJ.328:548〜553)。
【0013】
年齢を一致させた正常個人と比較してアルツハイマー症(AD)患者の脳で、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含む脂肪酸の差が示された。さらに、低い血清DHAは、ADの発達の重要な危険因子である。Muskietおよび同僚(Muskiet F.A.ら(2004)J Nutr.134:183〜6)は、最近認知機能とのその関係に照らしてもDHAが実際必須脂肪酸であると主張した。実際、オメガ3脂肪酸の食事からの摂取および魚の毎週の摂取が、付随するアルツハイマー病のリスクを減らすことができると他の研究者は述べた。
【0014】
糖尿病は、食事のリノール酸およびα−リノレン酸をγ−リノレン酸、アラキドン酸(AA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびDHAを含む長鎖多価不飽和脂肪酸(PUFA)に変換する酵素であるΔ6およびΔ5デサチュラーゼの活性を減少させることにより必須脂肪酸の代謝を害する。その結果、赤血球および坐骨神経を含むいくつかの組織の膜リン脂質でAAおよびDHAのレベルは減少する。最近、EPAおよびDHAを含む魚油による食事の栄養補助が、糖尿病性神経障害の生理的マーカーである神経伝導速度の糖尿病誘導性低下を部分的に阻止したことが証明された。このことは、糖尿病性神経障害に及ぼすDHAの著しい神経保護効果の証拠を提示した最近の報告で、さらに関連付けされた。さらに、血管合併症の発生率の減少につながり、糖尿病で認知能減退を最小にすることができる、血清トリグリセリド、HDL、脂質過酸化および抗酸化酵素に及ぼす魚油由来のオメガ3脂肪酸栄養補助の有益効果を記載するいくつかの報告がある。
【0015】
ハイリスクの個人の糖尿病の予防の重要性は、近年の糖尿病の有病率の世界的な相当の増加によって強調される。ある集団では、遺伝的感受性が2型糖尿病の発生で重要な役割を演ずるようである。しかし、集団遺伝子プールが非常にゆっくりと移行するならば、現在の流行は、身体活動の減少およびエネルギー摂取の増加を特徴とするライフスタイルの著しい変化を反映している可能性がある。体重減少、運動および食事の変更は、2型糖尿病の高血糖症をしばしば矯正する。したがって、栄養習慣を含む集団の習慣における変更は、糖尿病および糖尿病合併症の発生のリスクを減少させることができる。
【0016】
糖尿病患者は、第1に彼らの高血糖およびグルコース制御に関して、大部分は医薬品を通して治療される。これは、長期の合併症を予防することが目的である。上記のように、長年続く血中グルコースの上昇は、糖尿病の慢性合併症、早期アテローム性動脈硬化症、網膜症、腎症および神経障害を引き起こす。
【0017】
場合によっては、彼らの心血管健康は、彼らの高脂血症、主に高コレステロール血症に関して再び主に医薬品を通して対処される。彼らの高トリグリセリド血症のためには、治療はほとんどまたは全く提供されない。彼らの代謝異常と関連し、さらには誘導される重要な危険因子は、血液の酸化的ストレスである。この危険因子はアテローム性動脈硬化症につながり、高脂血症と併発すると、糖尿病患者の心血管障害の主な死亡原因の1つである。
【0018】
糖尿病患者は肥満、異脂肪血症、心臓血管疾患、高血圧および腎症の予防および治療のために、栄養素摂取量およびライフスタイルを適宜変更するように推奨される。最近、American Diabetes Associationは、糖尿病の慢性合併症を予防および治療するために血糖、脂質プロフィールおよび血圧を含む最適な代謝予後を達成するために、医学的栄養療法の目標を発表した (Franz MJら、Diabetes Care 25:148〜198、2002、American Diabetes Association Position Statement「糖尿病の栄養原則および推奨」(2004))。しかし、糖尿病患者は、一般的にグルコース制御および彼らの高血糖だけに関して厳しい食事を通して治療される。これらの食事は、主に食事のグルコースの量を最低限に低下させるように設計される。ほとんどの場合、これらの食事は心臓の健康を促進するようには設計されていなく、まして主な心血管危険因子と闘うことは考慮されていない。
【0019】
糖尿病患者は、固有の食物製品、特に最小限のグルコースレベルに関して彼らの固有の食事必要量を満たすように設計されたものを提供される。しかし、ほとんどの場合、これらの食物製品は油脂の形の脂質、特にトリグリセリドが豊富である。これらの脂肪は、グルコースの不足および結果として得られる食品の劣った味覚特性を補償するために加えられる。この添加により実際、感覚的に好ましい食物物品ができあがるが、それらは脂肪の豊富な製品をグルコースの豊富な製品と同様に恐れなければならない糖尿病患者に対して、重大な悪影響を及ぼす。
【0020】
さらに、食品工学的理由のために、糖尿病患者のための食物製品で用いられる油脂の多くは、実際は糖尿病患者の急性心血管障害のリスクをさらに高める飽和脂肪である。さらに、多くの場合、糖尿病患者用食品はそれらの対応物である「通常」食物製品よりも高いレベルの脂肪からなる。脂肪レベルのこの差は、最高で60%のさらなる脂肪が糖尿病患者の専用食品に含まれる。
【0021】
したがって、グルコース成分だけでなくその内容の全てが糖尿病集団のために有益である、糖尿病集団を対象にする専用食品に対する需要が大きい。糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人に対して、脂肪分が彼らのニーズに適当である食品を提供することが重要である。前記専用食品は脂肪の均衡がとれ、その脂肪分は糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい人々に有益でなければならない。
【0022】
さらに、糖尿病患者が彼らの専用日常栄養を通して、特に彼らの心血管状態および/またはCVDの発達もしくは進行につながる異なる危険因子に対して保護的健康効果を、さらには積極的な有益健康効果も有するさらなる成分を摂取することができれば有益となる。
【0023】
したがって、本発明の目的はグルコースが低レベルであるか含まれない、均衡のとれた脂質プロフィールを有する食物の製品または物品を提供することであり、この食物は少なくとも1つの糖尿病予防的食事または医薬用物質も含み、それはあまり高いレベルの油脂を含まず、最も重要なことは、それは市販の糖尿病患者食品で現在用いられる量よりもかなり少ない最小限の量の飽和脂肪を含む。本発明の他の用途および目的は、以下の説明で明瞭になる。
【0024】
糖尿病患者の特定の健康ニーズ、特に彼らの心血管ニーズに関する栄養専門家および医学専門家の理解にもかかわらず、また、より健康な油脂のより少ない量での使用を可能にする食品工学の進歩にもかかわらず、本発明者が提示するような食品を生むためにこの3つ(栄養、医療、食品工学)を組み合わせた者はまだいない。さらに、そのような心血管ニーズに対処するために積極的な手法を導入した糖尿病患者用食品はない。
【0025】
糖尿病患者の心血管健康ニーズが多分最も究極かもしれないが、他の集団は本発明の食物製品を摂取して利益を受けることができる。そのような集団には、2型糖尿病および心臓血管疾患を起こしやすいかそれらを発達させる危険性が高い、前糖尿病患者が含まれる。前糖尿病患者は遺伝的背景、過体重、肥満、特に腹部肥満、特定の民族性、空腹時グルコース異常(IFG)または耐糖能異常(IGT)の過去の診断、高血圧、異脂肪血症、妊娠糖尿病の病歴、ならびに高齢者を含む異なる状態を考慮して、2型糖尿病を発達させる危険性の高い個人のことでよい。これらの危険因子のいくつかが同時に存在して、糖尿病状態を発達させるリスクを劇的に上昇させることもある。
【0026】
本発明の食物製品から利益を受けることができる他の集団は、耐糖能異常、高インスリン血症、異脂肪血症、高血圧、内臓肥満、高凝固性および炎症誘発性状態を特徴とするメタボリックシンドローム、すなわちエックス症候群と診断される個人である。上述の全ての症状は、CVD危険因子の群を定義する。
【0027】
同様に、既に血管イベントを患った患者、ならびにメタボリックシンドローム、肥満、過体重、高血圧、異脂肪血症、その他のためにCVDの危険性が高いかそれを起こしやすい個人を含むCVD患者が利益を受ける。代謝異常の多くは心血管健康問題および以降の悪影響および症状に至る可能性があるので、異なる代謝異常を有する他の集団も本発明の食物製品から利益を受けることができる。特に脂肪分の観点から、CVDおよび代謝異常、特に糖尿病の予防または抑制において積極的な効果を有する均衡食を摂取することを望む健康を重視する集団、または糖尿病を起こしやすい対象も、本発明の食物製品から利益を受けることができる。
【0028】
最近の研究は、2型糖尿病への進行を減らすためにIGTの対象における介入の可能性を強調している。例えば、米国のDiabetes Prevention Program(The Diabetes Prevention Program(1999)Diabetes Care 22:623〜634)は、3年の期間にわたるライフスタイル介入(食事および運動を対象)はIGTから糖尿病への進行を58%減少させたが、経口血糖低下薬メトホルミンはリスクをわずか31%減少させたことを証明した(Larkin,M.(2001)Lancet.358(9281):565)。フィンランドの糖尿病予防機関によって実施された他の大規模研究(Sarkkinen E.ら(1996)Eur J Clin Nutr 50(9):592〜8)は、2型糖尿病を起こす危険性の高い人々の非薬理学的ライフスタイル介入は、その疾患の発症を阻止するか、少なくとも遅らせることを証明した。
【0029】
他の研究において、ハイリスクの個人(例えば、耐糖能異常(IGT)の者)を対象にした手法は、2型糖尿病の全ての症例を予防する上で十分ではないことが示された。UKPDSからのデータは、膵臓β−細胞の機能が2型糖尿病の臨床診断の時点で既に実質的に低下していることを示す(UK Prospective Diabetes Study(UKPDS)Group(1998)Lancet 352(9131):837〜853、UK Prospective Diabetes Study Group(1995)Diabetes 44(11):1249〜1258)。したがって、血糖低下薬または機能性/医学的栄養製品による治療的介入は、予防のためにも同様に考慮するべきである。
【0030】
糖尿病患者のための現在の特別食は、医学または健康リスクの観点から必ずしも必要ではないが、単に体重減少/管理を求める集団によっても消費されている。これらの集団は、そのような製品のグルコース/糖非含有の表示を、低脂肪および/または低カロリーという意味において体重減/管理食品であると誤って解釈する。上述の如く、糖尿病集団のために設計および/または推奨される今日利用できる食物製品の全てではないが多くは、実際は高カロリー含有と同様に高レベルの脂肪を、まして飽和脂肪までも有する。多くの場合に、そのような専用食品は対応する「通常」食物製品より高い脂肪含量および/またはカロリー含量を有する(例を参照)。したがって先に述べたように、体重減/管理食品を求める集団も、本発明で記載されているように、均衡のとれさらに低い脂肪含量、より低いレベルの飽和脂肪および他の不健康な脂肪を有し、ならびに任意選択で健康増進成分を含む本発明の食物製品から利益を受けることができる。
【0031】
驚くべきことに、本発明の食物製品は、2型糖尿病の発達に関しても予防効果を有する可能性がある。前記均衡のとれた脂肪分、低レベルグルコース、任意選択で少なくとも1つの有効成分を有する食物製品の摂取は、糖尿病の発症を予防または抑制することができる。そのような本発明の食物製品に基づく食事、またはそのような食物製品に富む食事は、糖代謝およびインスリン分泌さえ調節することができる。そのような食事の摂取は、膵臓β細胞劣化過程の拡大を減少させることができ、また、インスリン抵抗性の減少または復帰につながることさえあるかもしれない。本発明の食物製品に基づく食事は糖血症状態を安定させ、インスリン分泌を制御し、さらには内臓脂肪の蓄積を減らすことができる。腹部脂肪蓄積は、2型糖尿病の進行に伴う根本過程であると考えられる。したがって、腹部の体脂肪蓄積の減少は、糖尿病の発症および進行を予防または延期することができる。
【0032】
[発明の概要]
第1の態様では、本発明は、グルコースの含量が低いか含まれないこと、均衡のとれた脂肪分、糖尿病およびその合併症のいずれか、および/または糖尿病につながる状態に対して予防的である少なくとも1つの食事性または医薬用の物質を含むことを特徴とする、糖尿病患者の健康ニーズに対処するためのまたは健康な個人もしくは糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防するための食物の製品または物品に関する。
【0033】
前記食物製品において、糖尿病予防的食事性または医薬用の物質は、天然脂質、ヒトによって消化されずに体重増加を抑制する合成脂質または模倣脂質、植物エキスおよびそれらに由来する物質、抗酸化剤、動物由来の物質、鉱物ならびに医薬のいずれか1つ、およびそれらの任意の混合物であることができ、前記物質は食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解している。
【0034】
特定の実施形態では、前記食物製品中の脂質はジアシルグリセロール、特に1,3−ジアシルグリセロール、植物ステロールおよび植物ステロールエステル、植物スタノールおよび植物スタノールエステル、ポリコサノール、オメガ3脂肪酸およびそれらの誘導体、特に長鎖多価不飽和脂肪酸(LC−PUFA)、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、特にα−リノレン酸および共役リノレン酸(CLA)、および/またはそれぞれα分枝トリグリセリドまたはオレストラである非消化性合成脂質もしくは脂質模倣物のいずれか1つでよい。
【0035】
前記食物製品中の植物エキスまたはそれに由来する物質の成分は、ニンニク抽出物、大豆タンパク質、大豆イソフラボン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、ビタミンC、ビタミンE、ならびに他のトコフェロール、β−カロテン、ポリフェノール、特にヒドロキシチロソール、葉酸、ビタミンB6およびビタミンB12のいずれか1つでよく、抗酸化剤は、ローズマリー抽出物、リコペン、ゼアキサンチン、セレニウム、亜鉛、ビタミンC、ビタミンEおよび他のトコフェロール、コエンザイムQ10、β−カロテン、ポリフェノール、特にヒドロキシチロソールのいずれか1つであり、動物由来の物質は、ホエータンパク質またはカゼインでよく、鉱物は、カルシウム、セレニウムまたは亜鉛であり、前記医薬成分は、スタチン類、エゼチミブ、脂質プロフィール調節薬または心臓血管疾患に関連した他のバイオマーカーのいずれか1つでよい。
【0036】
本発明の食物製品は少なくとも1つの糖尿病予防的物質を含むことができるが、それは食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解したそれらの任意の混合物を含むこともできる。
【0037】
より特定の実施形態では、前記糖尿病予防的食事性物質は、食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解した植物ステロールおよび/または植物スタノールエステルの1,3−ジアシルグリセリドとの混合物である。
【0038】
特別な実施形態では、前記食物製品は少なくとも1つの医薬、特に糖尿病、糖尿病または任意の糖尿病合併症につながる任意の状態に対して予防的である薬剤をさらに含むことができる。
【0039】
一実施形態では、本発明の食物物品は、特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において、心臓血管疾患(CVD)および/またはその危険因子である高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である。
【0040】
他の実施形態では、前記食物製品は、特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である。
【0041】
特定の実施形態では、本発明の食物製品は、過体重および/または肥満の、および/または糖尿病の、および/または糖尿病を起こしやすい対象における、総コレステロール血清レベルの低減、非HDLコレステロール血清レベルの低減、総コレステロール/HDL比率の低下およびトリグリセリド血清レベルの低減の少なくとも1つにおいて機能的である。
【0042】
他の特定の実施形態では、前記食物製品は、肥満者でおよび/または糖尿病などの代謝アンバランスを有する対象でおよび/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体で体重減少、および/または体重増加の抑制、および/またはインスリン抵抗性の低減において機能的である。
【0043】
特別な実施形態では、前記食物製品は、肥満および/または過体重の対象および/または糖尿病の対象および/または前糖尿病の対象および/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体において、体脂肪分布の変化、白色脂肪組織(WAT)の蓄積を抑制し、内臓脂肪蓄積を低減する機能も有する。
【0044】
広い態様では、本発明の食物製品は、肥満および/または糖尿病の対象で、生命を脅かす長期糖尿病合併症のリスクおよび生活の質の悪化の低減において機能的である。特定の症例では、前記合併症は、マクロ血管、微小血管、神経病学の起源を有し、それは網膜症、腎症、脚に供給する大血管の疾患(下肢動脈疾患)、冠状心臓もしくは動脈疾患、脳血管疾患および神経機能障害、認知機能の減退、または失明、末期腎臓疾患(ESRD)および切断に至る他の任意の状態、心筋梗塞ならびに脳卒中の群から選択される。
【0045】
他の態様において、本発明の食物製品は、インスリン抵抗性の対象で高インスリン血症の改善において機能的である。特定の症例では、前記食物製品は、糖尿病を起こしやすい肥満対象で高インスリン血症の改善、またはインスリン抵抗性の進行の予防において機能的である。
【0046】
他の実施形態では、本発明の食物製品は、急性の認知能減退の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含み、前記活性剤はホスファチジルセリン、イチョウ、ブラーミ(brahmi)(Bacopa monnieri)またはオメガ3含有脂肪のいずれかである。
【0047】
他の実施形態では、本発明の食物製品は、2型糖尿病と関連する急性の目の状態の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含み、前記活性剤はビタミン類、抗酸化剤および他の天然の目の健康増進成分または抽出物である。
【0048】
最後に、本明細書で記載される食物製品は、乳製品、パン製品、調味料、飲料および飲物、スナック類、キャンディ、アイスクリームおよび冷菓デザート、朝食シリアル、栄養バー、スナックバーチョコレート製品、調製食品、穀類製品およびパスタ、スープ、ソースおよびドレッシング、菓子製品、油脂製品、酪農およびミルク飲物、豆乳および大豆酪農様製品、冷凍食物製品、調製食および代用食、食肉加工品、チーズ、ヨーグルト、パンおよびロール、酵母製品、ケーキおよびクッキーおよびクラッカーの1つでよい。
【0049】
[発明の詳細な説明]
糖尿病患者および糖尿病を起こしやすい集団の、彼らのニーズならびに彼らの手当てをされていない健康リスク因子に対処する健康解決手段に真に適当である専用食物物品に対する緊急な必要性に照らし、本発明者らは、新規食物製品プラットホームを開発した。
【0050】
かくして、第1の態様で、本発明はグルコース含量が低いか好ましくはグルコースを含まない食物の製品または物品に関し、その脂肪分は均衡がとれ、少量の不飽和油脂に基づき、糖尿病患者の健康ニーズ、例えば糖尿病および糖尿病合併症につながる状態に対処するための、または健康な個人もしくは糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防するための、少なくとも1つの糖尿病予防的な食事用または医薬用の物質を含むことを特徴とする。
【0051】
本明細書で使用する「糖尿病予防的食事性物質」は、毎日消費することができ、日々の食物供給として提供され、糖尿病患者個人の健康状態を悪化させ、糖尿病に関連したリスク状態を悪化および誘導するいかなる悪影響も有することがなく、糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を促進しない任意の栄養的または食事用の物質であり、この用語は医薬および薬剤も含む。
【0052】
「糖尿病予防的食事製品」は、グルコース含量が低いか全く含まれず、脂肪分の均衡がとれ、好ましくは飽和脂肪またはトランス脂肪などの他の有害な脂肪が低レベルで、これらを予防的成分と共に有することを特徴とする。
【0053】
予防的健康効果は、糖尿病患者および糖尿病を起こしやすい個人に通常存在する異脂肪血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、酸化的ストレス、高インスリン血中濃度、腹部肥満またはCVDに関連した他の危険因子を改善または予防することができることによって達成される。
【0054】
好ましい実施形態では、糖尿病予防的食事性物質は、食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解した植物ステロールおよび/または植物スタノールエステル(PS−E)の1,3−ジグリセリド(DAG)との混合物である。いくつかの好ましい混合物は、PS−EおよびDAGを、好ましくはDAGと比較してより高い含量の植物ステロールエステルと組み合わせることができる。
【0055】
さらに、前記食物製品は、糖尿病患者の健康ニーズに対処するために、または健康な個人もしくは糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防するための医薬有効成分を含むことができる。好ましい一実施形態では、前記医薬有効成分の目的は糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人でよく見られる心血管危険因子、例えば異脂肪血症および/または異常脂質プロフィール(例えば高コレステロール血中濃度)を低下させることである。
【0056】
いくつかの好ましい医薬有効成分としては、それらには限定されないが、スタチン、胆汁酸隔離剤およびエゼチマブがあり、これらは、コレステロール生合成を抑制することにより、胆汁酸の再吸収を予防することにより、または食事および胆汁のコレステロールの吸収を一緒に予防することにより、LDL量を低下させる効果がある。脂質プロフィールを制御することができる任意の他剤、または心臓血管疾患と関連する他のバイオマーカーを考慮してもよい。
【0057】
本発明の食物製品は、付加的な健康効果または代わりに相乗的健康効果を与えることができる、少なくとも1つの食物有効成分および/または少なくとも1つの医薬有効成分を含む。
【0058】
基本的に、糖尿病患者のための特別食品の市場および生産者は、伝統的に砂糖が豊富な食物製品または甘い食品、例えばキャンディ、チョコレート、クッキー、果物ジャム、ケーキ、その他に注目する。これらの製品では、消費者がそのような甘味食品に期待する味覚の品質を取り出すことなく、砂糖を取り出すことを重視する。これは、糖尿病患者の健康ニーズ、特に彼らのインスリン抵抗性に直接関連がないニーズに及ぼす栄養の影響が、基本的に見落としおよび/または無視されていることを再び強調する。したがって本発明の目的は、個人によって消費される食物製品の全範囲に関心を払い、それらを、糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人による摂取により適当なものにすることである。具体的な実施形態では、本発明は高レベルの脂肪、特に飽和脂肪で、糖尿病患者のCVD危険因子に対処するためのいかなる予防的成分も含まず、そのいくつかは低栄養のために成功している、伝統的に生産されている食物製品に関するものである。体重増加および肥満に寄与しない食物製品を求める要求に応じて、現在多くの食物製品は実際、無糖炭水化物、人工甘味剤および他の食品添加物の助けを借り、低脂肪含量で、しかも低カロリー値で設計されることを強調したい。しかし、これらは通常、食物製品の総脂質含量からの高い割合の飽和脂肪を有し、さらに、それらは糖尿病患者と関連する様々な健康リスクに、または糖尿病患者でより顕著な危険因子に、または前糖尿病患者にとってより重要である危険因子に予防的に寄与しない。
【0059】
本明細書で使用するように低グルコース含量とは、0から最高5%のグルコース含量、好ましくは0から最高0.5%のグルコース含量、最も好ましくは0.1%未満を意味する。
【0060】
本明細書で使用するように、均衡のとれた脂肪含量とは約10%未満の脂肪または油の含量を意味する。通常、その食物製品の脂肪分は、糖尿病患者または前糖尿病集団のための特別のものでない、対応する食物製品で見られる脂肪分と類似するか好ましくはそれよりも低い。さらに、その脂肪分は飽和脂肪をわずかしかまたは全然含まず、好ましくは総脂質の約25%未満、より好ましくは10%未満でなければならない。さらに、食事の脂肪成分は一価不飽和または多価不飽和の脂肪酸を、好ましくは全脂肪酸部分の約20%、より好ましくは30%、より好ましくは40%を超えて特別に含むことができる。
【0061】
最も重要なことは、本発明の食物物品の脂質プロフィールは最小限の量の飽和脂肪からなり、糖尿病患者のための食物物品で現在用いられる量、例えば総脂質の最高で50、さらには最高75%の量より確実にかなり低いと考えられる。これは、飽和脂肪レベルの減少を可能にする、通常技術的または食感的理由から必要である現代の食品工学方法および添加物を通して達成することができる。
【0062】
本発明の食物製品は、様々な食事有効成分を含むことができる。好ましくは、前記成分は心血管健康に関連する健康効果に寄与するかCVDの危険因子全般に対処し、また、糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人におけるCVDの治療および/または予防で機能的に活性である。
【0063】
植物ステロールおよび/または植物スタノールは、血液コレステロールレベルを減らすことが臨床的に示された植物のコレステロール誘導体である。それらはコレステロールと構造的に類似しているけれども、それらは人体によって合成されない。それらはヒトの腸によって十分に吸収されなく、腸での食事性および内因性のコレステロールの吸収を減少させる傾向がある。
【0064】
植物ステロールおよび/または植物スタノールには、他のエステル誘導体と同様に脂肪酸エステルなどの様々な誘導体が含まれる。これらの成分は、異なる1日摂取レベルでそれらの健康効果を付与することが明らかにされている。植物ステロールまたはそれらの誘導体の栄養補助に関する現在の推奨は、0.8gの植物ステロールおよびより高レベルのスタノール誘導体の摂取を主張している。異なるステロール誘導体の摂取レベルは、それに従って計算される。植物ステロールおよび/または植物スタノールは、通常、大豆または木材から生産されるが、他の供与源も利用できる(Law M.(2000)BMJ 320:861〜4)。
【0065】
ジグリセリド(DAG)は、油脂としても知られるトリグリセリドのモノ加水分解誘導体である。TAGと比較してDAG、主に1,3−ジグリセリドは、ヒトおよび動物モデルで空腹時および食後の血清TAG濃度を低下させることがこれまでに示されている。大量に消費されると、DAGは体重、総脂質および腹部貯蔵脂肪を低下させる。したがって、DAGの摂取は肥満症治療のために考慮されなければならない(Tada、N.(2004)Curr Opin Clin Nutr Metab Care 7、145〜149)。
【0066】
DAGは調理油としてだけ食物製品として市販され、確かに糖尿病患者の栄養中では使用されなかった。DAGは、主にそれらが個人の毎日の食事脂肪の摂取のほとんどまたは全てを置換するのに用いられる場合に、それらの健康効果を付与することが示された。ほとんどの場合、10g/日、さらには40g/日を超えるレベルが用いられた。非常に低いレベルのDAGが、植物ステロールの脂肪酸エステルとの特定の組合せで、異なるCVD関連の利益を付与することが示された(下記参照)。本発明の食物製品は、実際、DAGを利用してそれらの脂肪分の一部を置換すること、さらには全脂肪分画を置換することまでできる。
【0067】
油および/または脂肪に任意選択で溶解または分散した特定の植物ステロールエステルおよびDAGの組合せ、ならびにそれらの属性は、同時係属の共同所有された国際公開第01/75083号パンフレットおよび国際公開第03/06444号パンフレットで詳細に記載されている。手短に言えば、これらの製剤は、食用油および/または脂肪に溶解または分散した、DAG、主に1,3−DAGおよび植物ステロールおよび/または植物スタノールエステル(PSE)の組合せを含む。好ましくは前記油は、オリーブ油、カノーラ油または魚油である。この組成物は、血液コレステロールおよびトリグリセリドレベルを低減し、血液酸化的ストレスの予防または治療を補助して、アテローム性動脈硬化症カスケードを阻止することが示された。さらに、この組成物は、体の自然防御機構、例えば食物内で油脂が消費されるときその活性が激減するパラオキソンアーゼ1(PON1)酵素を維持および保存することが示された。さらに、油脂中のこれらの植物ステロールエステルおよびDAGの等量は、ApoEノックアウトマウスでPON1の正常な活性レベルを維持した(国際公開第2004/069150号パンフレット)。植物ステロールエステルおよびDAGのこれらの組合せは、本発明の食物製品の脂肪分の一部、大部分または全てを置換するために、容易に用いることができる。本発明の各食料品中の植物ステロールエステルおよびDAGの組合せのレベルを制御して、現在の1日推奨摂取量(RDA)に従って植物ステロールエステルレベルを提供し、特定の食物製品の数食分の摂取を通して、全て植物ステロールエステル/DAGの組合せを含む異なる食物製品の一食分の摂取を通して、または特定の食物製品の一食分で、完全なRDAが少なくとも達成されるようにすることができる。
【0068】
下記の実施例で示されるように、今では驚くべきことにこれらの組合せは、糖尿病患者または前糖尿病患者のためにも有益であることが発見されている。
【0069】
α−リノレン(18:3)酸および特にドコサヘキサエン酸(22:6、DHA)およびエイコサペンタエン酸(20:5、EPA)などのオメガ3脂肪酸は、心血管健康に有益効果を有することが明らかになった。異なる海洋動物および生物、特に冷水魚、ならびに異なる微生物および藻類の供与源から生産されるこれらの脂肪酸は、血液トリグリセリドレベルを低下させて、抗炎症、抗血栓および免疫調節作用を提供することが明らかになった。
【0070】
アマニ油で見られるようなオメガ3リノレン酸も、女性および男性でMIおよび致命的な虚血性心疾患のリスクを低下させる有益効果を有することが明らかにされた。長鎖オメガ3脂肪酸(DHA、EPA)は有益効果を及ぼすことが示され、現在の推奨摂取量は650mg/日を超え、またさらにそれよりも高い。
【0071】
オメガ3脂肪酸および特にそれらの長鎖多価不飽和メンバー(DHAおよびEPA)は、それらの酸化感受性を考慮すると安定性の問題がある。同じ酸化の問題は、前記脂肪酸を含む製品で「魚のような」臭味が問題となる官能性の問題にも関連する。藻類および微生物のオメガ3LC−PUFAは、いくぶん強化された安定性を有して官能性の問題も少ないが、これらも食物製品での使用は容易ではない。最近、上記の問題を解決するために異なる方法が考案された。これらには、異なる食品適合性マトリックスへのオメガ3脂肪酸のカプセル化、ならびに特別な精製および蒸留手法、および特別な抗酸化剤または抗酸化混合物の使用が含まれる。したがって、本発明の食物製品は、これらの有益な食事成分が様々な毎日の食物製品中に十分なレベルで含まれるように設計することができる。
【0072】
酸化損傷に関連した酸化的ストレスおよび他の悪影響は、少なくともある程度は、抗酸化能を有する異なる食事成分によって制御されることが示された。これらの成分としては、植物エキス、例えばローズマリーエキス、リコペン、ゼアキサンチン、ポリフェノール(例えばオリーブ油、ブドウ、ザクロ、その他で見られるヒドロキシチロソール)、ビタミン類(トコフェロール、特にビタミンE、アスコルビン酸)、ミネラル(亜鉛、セレニウムまたはカルシウム)、コエンザイムQ10およびβカロテンを挙げることができる。他の抗酸化剤と同様にこれらの成分の全ては広く調査されて、個人の健康に対して有益効果を及ぼすことが示された。
【0073】
これらの抗酸化剤は、食事の補助食品としても用いられている。これらの2、3、特にビタミンEおよびアスコルビン酸の誘導体は、前記抗酸化剤が食品消費者に対して有益な活性を発揮するために、食品中で食品抗酸化剤として低レベル(0.2重量%未満)で、場合によってはより高いレベルでも用いられている。本明細書で提案されているように、糖尿病患者のCVD健康問題に対処する糖尿病用機能性食品体系の一部として抗酸化剤を糖尿病患者専用食物製品で用いることは、試みられていない。
【0074】
様々な薬草または植物の抽出物、例えば大豆タンパク質、イソフラボン、カロテノイド(β−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン)およびニンニク抽出物が、高血液コレステロールレベル、高血液トリグリセリドレベルなどの異なるCVD危険因子に有益に影響することが示された。本明細書で提案されているように、糖尿病患者のCVD健康問題に対処する糖尿病用機能性食品体系の一部としてそのような植物抽出物を糖尿病患者専用食物製品で用いることは、試みられていない。
【0075】
他の成分または成分の組合せも有益効果を有することが示され、本発明の食物製品の食事成分として用いることができる。例えば、ビタミンB6、ビタミンB12および葉酸の組合せはホモシステインの血中濃度を低下させることがわかったが、高レベルのホモシステインはCVD危険因子またはバイオマーカーと認識されている。
【0076】
さらに、CVD関連の利点を有するいくつかの食事有効成分は、相乗的に作用してさらにCVDのリスクを減らすことが明らかにされた。そのような組合せには、血液コレステロール低下成分植物ステロールおよび大豆タンパク質が含まれる。
【0077】
本発明の食物物品の一実施形態では、前記物品は特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において、CVD危険因子、例えば高コレステロール血症および/または高トリグリセリド血症などの高脂血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である。
【0078】
したがって、本発明の食物物品は、特に糖尿病を患っているかそれを起こしやすい対象の心血管健康に関して、予防的または治療的な健康効果を提供するように調整される。上記のように、糖尿病を起こしやすい対象は、下記基準の少なくとも1つを満たす個人である。(a)糖尿病の家族歴を有する(親または兄弟)、(b)肥満である、(c)糖尿病の高発病率を有する人種または民族性に属す、例えばアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、アメリカインディアン、その他、(d)45才以上である、(e)以前、空腹時グルコース異常(IFG)または耐糖能異常(IGT)と特定された、(f)高インスリン血症を有する、(g)高血圧、すなわち140/90mmHgを超える血圧、(h)異脂肪血症を有する:35mg/dL未満のHDLおよび/または250mg/dLを超えるトリグリセリド、(i)妊娠糖尿病の病歴を有するか4.1kgを超える体重の新生児を出産。
【0079】
対象は、空腹時血漿グルコースが126mg/dl以上であるならば、糖尿病とみなされる。空腹時血漿グルコースの正常範囲は、60〜109mg/dlである。
【0080】
本発明の食物物品の他の実施形態では、前記品はCVD危険因子、例えば高コレステロール血症および/または高トリグリセリド血症を含む高脂血症、メタボリックシンドロームおよび肥満などの糖尿病関連の危険因子と考えられる代謝異常、酸化的ストレスならびにアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である、少なくとも1つの活性剤をさらに含む。前記活性剤は、本発明で記載される食物製品の脂肪構成要素のいくつかまたは好ましくは全てを置換することができる。
【0081】
本明細書で記載される食物製品は、対象、特に糖尿病患者または前糖尿病患者個体を急性のCVDに罹りやすくする、任意の状態に対して有益であると考えるべきである。
【0082】
本明細書に記載されるように、前記活性剤は、植物ステロールおよび/または植物スタノールエステルおよびそれらの誘導体、ジグリセリド(DAG)、植物ステロールエステルおよびDAGの組合せ(特に、油および/または脂肪に任意選択で溶解または分散しているDAGレベルより高い植物ステロールエステルレベルを有する組合せ)、抗酸化剤、天然ハーブおよび植物エキス(例えばニンニク抽出物、大豆タンパク質、大豆イソフラボンまたはリコペン)、オメガ3脂肪酸、ならびに他の食事成分またはその任意の組合せのいずれか1つである。
【0083】
抗酸化剤としては、一般集団の心臓の健康に対してプラスの健康影響を発揮することが知られている、天然または合成の抗酸化剤、例えばポリフェノール、ビタミン類、特にトコフェロール、または亜鉛およびセレニウムなどのミネラル類を挙げることができる。
【0084】
さらに、前記活性剤としては、遊離脂肪酸、エチルエステル、トリグリセリド、リン脂質または他の任意の化学的または機材性の誘導/送達プラットホームの形態のオメガ3脂質を挙げることができる。これらの脂質は、一般集団ならびにCVDを起こしやすい集団において、一般的な心臓の健康徴候にプラスの影響を及ぼすことが示された。
【0085】
上記のように、有効成分は性質が医薬用でもよく、例えばスタチン、胆汁酸隔離剤、エゼチマブ、血液稀釈剤および血圧低下剤でよい。
【0086】
一実施形態では、本発明の食物製品に含まれる活性剤は、以下のパラメータの少なくとも1つを低減させる機能を有する任意の成分であることができる。実施例1および2、図1〜6に例示するように、過体重および/または肥満の、および/または糖尿病の対象、および/または糖尿病を起こしやすい対象における、総コレステロール血清レベル、非HDLコレステロール血清レベル、総コレステロール/HDL比、およびトリグリセリド血清レベル。
【0087】
高い血中コレステロールは、アテローム性動脈硬化症および脳卒中などの心臓および血管病の主要な危険因子である。用語「総コレステロール」は、主要な3種類のコレステロール、すなわち高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)および超低密度リポタンパク質(VLDL)に関する。200mg/dL未満の血液総コレステロール値および100mg/dL以下のLDLコレステロールが、National Heart,lung,and Blood Instituteによって最適であると考えられている。
【0088】
過剰量の血中LDLコレステロールが動脈内に堆積するので、130mg/dL未満のLDLレベルが推奨され、100mg/dLが最適と考えられている。LDL量は、通常、総コレステロール、HDLおよびトリグリセリドの結果からその部分を計算することによって(「LDLカルク」)、または直接測定によって推定される。
【0089】
HDLコレステロールは、動脈に堆積した過剰なコレステロールの除去を助けることによって心疾患から保護すると考えられる。高いHDLレベルは、冠状動脈性心疾患の低い発生率と関連する。35mg/dL以上の血中値が推奨される。
【0090】
総コレステロールとHDLコレステロールとの比率は、アテローム性動脈硬化症を予測するのに有効な数値で、心筋梗塞(MI)の強力な予測因子として確認されている。その数値は、HDLコレステロールで総コレステロールを割ることによって得られる。(高い比率は心臓発作の高いリスクを示し、低い比率は低いリスクを示す)。平均比率は約4.5であり、好ましい比率は2または3または4未満である。
【0091】
トリグリセリドは、体内の主な脂肪貯蔵形態である。一部の人々では、異常に高い血液トリグリセリドレベル(高トリグリセリド血症)は遺伝するが、それは非遺伝的な因子、例えば肥満、過度のアルコール摂取、糖尿病、腎臓疾患および経口避妊薬のようなエストロゲン含有医薬品にしばしば起因する。
【0092】
高レベルのトリグリセリドは、動脈へのプラーク堆積(アテローム形成)の速度を上げて、心筋梗塞に至る血栓症のリスクを増加させることによって、冠状動脈性心疾患(CHD)のリスクを増加させる。望ましいトリグリセリド血中濃度範囲は150〜200mg/dLである。
【0093】
高レベルのトリグリセリドは、低脂肪食および、必要ならば、医薬品で攻撃的に治療しなければならない。高トリグリセリド血症の治療の第1段階は、甘いものの量が制限された低脂肪食、規則的な有酸素運動、過体重の減少、アルコール摂取量の減少およびタバコの禁煙である。糖尿病患者においては、上昇血中グルコースの注意深い調節も重要である。したがって、本発明の栄養製品の摂取は、有益性が高いと考えられる。
【0094】
必要に応じて、フィブレート(例えばゲムフィブロジル)、ニコチン酸およびスタチン誘導体などのさらなる薬剤を、栄養製品に加えることができる。前記薬剤も、全体的な脂質プロフィールに影響を及ぼすことができる。ロピッドはトリグリセリドレベルを減少させるだけでなく、HDLコレステロールレベルおよびLDLコレステロールの粒径を増加させる。ニコチン酸はトリグリセリドレベルを低下させ、HDLコレステロールレベルおよびLDLコレステロールの粒子の大きさを増加させるだけでなく、Lp(a)コレステロールのレベルを低下させる。スタチンは、トリグリセリドならびにLDLコレステロールレベルの減少に、また、HDLコレステロールレベルの上昇に有効である。
【0095】
実施例2および図11で例示されるように、本発明の食物製品は、肥満および/または糖尿病の対象で、体重および/または血清インシュリンレベルを低減する機能も有する。
【0096】
インスリンは、細胞のグルコース取り込みを可能にしてその血中濃度を低下させることによって、体が血中グルコースを代謝して利用することができるようにするペプチドホルモンである。細胞の中では、グルコースはエネルギーのために用いられるか、脂肪の形で保存される。インスリンはより多くの炭水化物およびより少ない脂肪を用いるように働きかけ、糖尿病およびCVDを発達させるリスク状態と考えられる脂肪の代謝アンバランスおよび肥満を促進する。したがって、正常値を超えた場合は常に血液インスリンレベルを制御することが望ましい。正常な空腹時インスリン値は、5〜20mcU/mL(ミリリットルあたりのマイクロ単位)である。
【0097】
詳細には、前記食物製品はインスリン抵抗性の対象で高インスリン血症を改善する(血清インスリンレベルを減らす)機能を有する。2型糖尿病を発達させる主要な状態の1つであり、高血圧、心臓血管疾患および肥満を患っている個人で通常見られるインスリン抵抗性の指標として、高いインスリン血中濃度を用いることができた。通常、グルコース/インスリン比(G/I比)指数がインスリン抵抗性の診断のために用いられ、その低い値は高い程度のインスリン抵抗性を表す。望ましいG/I比は4.5未満である。
【0098】
本発明の食物製品は血清インスリンレベルを低下させるので、G/I比の測定は前記食物製品の治療効果を評価するための簡易検査として用いることができる。
【0099】
より特定された場合では、前記食物製品は、糖尿病を起こしやすい肥満対象で高インスリン血症を改善するかインスリン抵抗性の進行を予防するのに有効である。身体活動および体重減少は、インスリンに対する体の応答を助け、インスリン抵抗性を克服する。本発明の栄養製品を摂取することおよび活動的になることによって達成される体重減少は、2型糖尿病へのインスリン抵抗性状態の進展を予防することができる。
【0100】
栄養習慣を変え体重を緩和することによって、前糖尿病個人を正常な血糖値に戻すことが可能であり、糖尿病のリスクを58パーセント低下させた。
【0101】
他の実施形態では、本発明の食物製品は、糖尿病もしくはメタボリックシンドロームなどの代謝アンバランスを有する肥満対象で、または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体において、体重減少、体重増加の抑制、およびインスリン抵抗性の低減において機能的である。
【0102】
さらに、これらの有効成分は、内臓の組織から末梢組織に脂肪蓄積を移すことによって肥満、過体重、糖尿病、前糖尿病で、または糖尿病または肥満を起こしやすい個人においてメタボリックシンドロームを予防または抑制することにより、あるいは単に糖尿病患者の状態を改善することにより、WAT蓄積を抑制し、体脂肪分布を改造して、内臓脂肪重を低減するのを助けることができる。
【0103】
体重増加および管理ならびに脂肪の分布に対処する食事成分としては、ジグリセリド(DAG)がある。DAGによる毎日の脂肪摂取の置換は、体重減少を促進することが示された。さらに、共役リノレン酸(CLA)も広く研究されて、体重管理に関連する健康効果と関連付けされた。近年では、それらの脂肪酸のアルファ位で置換された新規トリグリセリドアルキルは、消化リパーゼを抑制して満腹感を促進し、結果として全体的な体重減少をもたらすことが示された。そのような食事成分、ならびに体重増加および体重管理に対処し、脂肪分布を調節する他の成分は、全て本発明の適用範囲内である。
【0104】
未処置の糖尿病は進展して、様々な二次疾患合併症を発達させるかもしれない。本発明の食物製品は、肥満および/または糖尿病の対象で、生命を脅かす長期糖尿病合併症のリスクを低減するために用い、生活の質の悪化を改善することを目的とする。
【0105】
糖尿病合併症は、マクロ血管、微小血管および神経学的起源の三大カテゴリーに分類される。糖尿病の人々は、通常心臓疾患および血管病を発達させる。糖尿病は、循環不良に関係する心臓発作、脳卒中および合併症のリスクを増加させる。
【0106】
他の糖尿病合併症としては、腎臓疾患、失明につながる目の問題、糖尿病性神経障害および神経損傷、神経損傷または血流不良から生じ切断につながる多くの異なる足の問題、時々、人が糖尿病を有することの第1の徴候である皮膚障害、胃不全麻痺およびうつ病を挙げることができる。
【0107】
したがって、本発明の食物製品は、網膜症、腎症、脚に供給する大血管の疾患(下肢動脈疾患)、冠状心臓もしくは動脈疾患、脳血管疾患および神経機能障害、または失明、末期腎臓疾患(ESRD)および切断に至る他の任意の状態、心筋梗塞、脳卒中または上記の他の任意の合併症の群から選択される糖尿病合併症のいずれか1つの治療および/または予防のための使用を考慮するべきである。
【0108】
他の実施形態では、本発明の食物製品は、他の糖尿病関連の問題に対処するために、活性剤、食事または医薬用の成分をさらに含む。急性認知能減退の予防および/または治療において機能的である前記食物製品の活性剤は、ホスファチジルセリン、イチョウ、ブラーミ(Bacopa monneri)およびオメガ3含有脂肪のいずれか1つであり、前記急性認知能減退は糖尿病と関連するかそれによって誘導される。
【0109】
いくつかの認知関連の食事成分は、本発明の食物製品で用いることができる。主に大豆リン脂質から生産される主要な脳リン脂質であるホスファチジルセリンは、年輩者およびより若い集団で記憶および他の認知機能を改善することが以前、広範に示された。いくつかの薬草抽出物、例えばイチョウも、類似した認知利点を有すると主張された。オメガ3脂肪酸および抗酸化剤は両方とも心臓の健康の高進と関連付けられたが、それらも認知機能へ及ぼす利点を有する。多くの認知能減退過程は脳細胞および組織への酸化損傷の結果であるので、抗酸化剤は脳の健康と関連付けされる。
【0110】
本発明の他の実施形態では、食物製品は、2型糖尿病と関連する急性の目の状態の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含み、前記活性剤はビタミン類、抗酸化剤および他の天然の目の健康増進成分または抽出物である。
【0111】
本発明の食物製品中の予防的に心臓、脳および目の健康を促進する食事成分または医薬成分の量は、それらの特定のRDAまたは異なる組織の他の推奨に基づいて、または関連した治験の結果に基づいて決めることができる。各成分は、同じ成分を送達する1日摂取量に対して利用できる食品または供与源の種類によって、または特定の食物製品から通常摂取される平均食数によって、一食分にそのRDA一杯まで与えること、あるいは一食分にそのRDAの一部だけを与えることができる。
【0112】
本発明の指導規則は、1日1回または1日のうちの異なる食事を通しての、1つまたは複数の食物製品および/または食物摂取を通してその有益な健康影響を及ぼすために十分なレベルで、有効成分が消費されることである。前記成分の推奨される公式または非公式の1日摂取量の少なくとも5%が、本発明の食物製品によって提供されなければならない。
【0113】
活性食事成分または医薬成分は、食物製品の調製または加工の間のいかなる段階でも、その本体または充填材、被覆物、その他を通して加えることができる。
【0114】
活性食事成分または医薬成分は、その食物製品に対して例えば、食感、安定性、有効期間、官能性および感覚特性および外観に関連した技術的または機能的特性を発揮させることもできる。
【0115】
本明細書で記載されているように本発明の食物製品は、好ましくは、糖尿病を患っているか糖尿病になりやすい、任意の対象による使用のためのものである。そのような食物物品は、糖尿病患者の心血管危険因子の治療または対処のために、彼らの固有の食事の一部として摂取することができる。任意選択で、これらの食品は糖尿病の徴候を予防または抑制するために、前糖尿病個人が用いることができる。
【0116】
本明細書で記載される食物製品は、乳製品、パン製品、調味料、飲料および飲物、スナック類、キャンディ、アイスクリームおよび冷菓デザート、朝食シリアル、栄養バー、チョコレート製品、調製食品、穀類製品およびパスタ、スープ、ソースおよびドレッシング、菓子製品、油脂製品、酪農およびミルク飲物、豆乳および大豆酪農様製品、冷凍食物製品、調製食および代用食、食肉加工品、チーズ、ヨーグルト、パンおよびロール、酵母製品、ケーキおよびクッキーおよびクラッカーのいずれか1つでよい。
【0117】
本発明は請求項によって規定され、その内容は明細書の開示に含まれるものと解釈される。
【0118】
開示および記載したが、加工工程および材料はいくらか変化してもよいので、本発明は本明細書で開示される特定の実施例、加工工程および材料に限定されないことを理解されたい。本発明の範囲は添付の請求項およびその等価物だけによって限定されるので、本明細書で使われる専門用語は特定の実施形態を記載するためだけに用いられ、限定するものではないことも理解されたい。
【0119】
本明細書と添付の請求項で使われているように、単数形「a」、「an」および「the」は、明らかに別の指示がない限り複数の支持物を含むことに注意する必要がある。
【0120】
この明細書および続く請求項を通して、特記しない限り、単語「含む(comprise)」および変形形態「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」は、記載されている完全体もしくは段階、または完全体もしくは段階の群を含むことを意味するが、任意の他の完全体および段階ならびに完全体および段階の群の排除を意味するものではないことを理解されたい。
【実施例】
【0121】
(in vivo実験)
CVDに及ぼす食品中の異なる機能性油脂の影響は、栄養依存性2型糖尿病の実験動物モデルであるPsammomys obesusにおいてCVD危険因子(体重および脂肪重、血液脂質レベル、グルコースおよびインスリンの血中濃度)として知られるいくつかのパラメータを測定することによって推定した。
【0122】
イスラエルのホリネズミPsammomys obesusは草食性のスナネズミであり、拘束されて非精製高エネルギー(HE)の齧歯目用の食事が自由に与えられると、正常血糖および正常インスリン血から進行性の高血糖症および高インスリン血症をもつ肥満の糖尿病動物に至る、不均一なグルコースおよびインスリンレベルを示す傾向がある。これらの動物で発達する肥満および糖尿病の過程は、正常インスリン血症および正常血糖(状態A)、高インスリン血症であるが正常血糖(状態B)、高インスリン血症および高血糖症(状態C)、ならびにβ細胞脱顆粒の結果としての低インスリン血症および重度の高血糖症、および著しく低下する膵臓インスリン量(状態D)の4つの表現型状態を特徴とする。Psammomys obesusスナネズミ動物モデルは中程度の肥満と関連する食餌誘発性糖尿病を発達させる高い傾向を示すので、ヒトの2型糖尿病疾患の理想的な天然モデルであることが多くの研究で示された。このモデルは、高インスリン血症、高血糖症および肥満などの糖尿病に至る代謝変化の発達を測定するために、前糖尿病状態の研究のためにも用いられている(Zimmet P.(2001)Nature 414:782〜7、Ziv E.およびKalman R.によるレビュー(2001)、糖尿病動物モデル(Animal models of diabetes)、SimaおよびShafrir編、Harwood academic publishers、327〜342)。
【0123】
ヒトにおいては、Psammomys obesusモデルの場合と同様に糖尿病は肥満と関連し、食事の栄養価および特性はその疾患の発症および進展で重要である(Shafrir E.およびGutman A.(1993)J Basic Clin Physiol Pharmacol.4:83〜99;Kalman R.ら(1993)J Basic Clin Physiol Pharmacol.4:57〜68)。本実験モデルとしてPsammomys obesusを選択したことは、食品中の機能性油脂が肥満およびインスリン非依存型糖尿病の発達および/または治療で演ずる役割を理解することに寄与する。
【0124】
スナネズミ実験モデルは、血液脂質低下効果を評価するために、ハムスターモデルと比較して僅かに優れていることが知られている。ラットおよびマウスは、それらの血漿および肝臓のコレステロールは食品コレステロールチャレンジに対する応答性が比較的より弱いので、不適当であると思われる。Psammomys obesusモデルでは、インスリン抵抗性および肥満の前の脂肪過多を伴う正常なインスリン感受性から異常なものへの逐次的な移行が、ヒト2型糖尿病感受性集団で観察されるものと類似した様式で起こる。
【0125】
(材料および方法)
動物試験はヘブライ大学のInstitutional Animal Care and Use CommitteeおよびHadassah Medical Organizationに承認された。
【0126】
使用動物:Harlan Laboratories社(Jerusalem、Israel)から得た雄のPsammomys obesusスナネズミ(2.0〜3.5月齢)を、ヘブライ大学施設で飼育した。離乳期間の後、Psammomys obesusは糖尿病誘導の前に2.38kcal/gを含む低エネルギー食(Koffolk社、Petach Tikva、Israel)で維持した。
【0127】
(実験モデル−I)
Psammomys obesusは4週の間2.93kcal/gを含む高エネルギー食(Tekled Global、Madison、Wis.、USA)に切り替え、糖尿病を発症した動物(Psammomys obesusコロニー内の動物の70%)を給餌介入研究のために選択した。非空腹時血糖が180mg/dLを超える動物は、糖尿病とみなされた。
【0128】
糖尿病のスナネズミは群(群あたり8〜10動物)に無作為に割付けして、表2で明記するようにさらに3.5週の間、異なる高エネルギー試験食で飼育した。供給された高脂肪食は、脂肪分が異なる。水および食物は、無制限に供給した。Psammomys obesus血液グルコース濃度および体重は、1日おきに観察した。実験の終りまでに、スナネズミはケタミン(Ketalar;Parke−Davis社、Gwent、United Kingdom)で麻酔して、心臓穿孔によって放血した。血液サンプルはEDTAで湿らせた注射器に収集して、生化学分析のために用いた。
【0129】
(実験モデル−II)
60匹の成体雄Psammomys obesusスナネズミを、2.93kcal/gを含み脂肪および脂質含量だけが異なる2つの高エネルギー食、ハーラン高エネルギー食(Tekled Global、Madison、Wis.、USA)または食事C(表2)、に無作為に割付けた(n=30)。水および食物は、4.5週間無制限に供給した。体重および血液グルコース濃度は、1日おきに観察した。試験食による4.5週の給餌の後、スナネズミから食物を一晩(16時間)奪い、ケタミン(Ketalar;Parke−Davis社、Gwent、United Kingdom)で麻酔して心臓穿孔によって放血し、血液サンプルをEDTAで湿らせた注射器に採集した。肝臓および精巣上体の脂肪を切除して秤量した。心臓から採取された血液は、生化学分析のために用いた。
【0130】
(グルコース分析) 血中グルコース濃度は、酵素グルコース分析装置Glucometer Elite(Bayer、Elkhart、Indiana、USA)を用いて尾静脈から採取された血液サンプルで測定した。
【0131】
(脂質分析) EDTAで処理した血液サンプルから得られた血漿試料(12,000×gで15分間分離)は、総コレステロール、総トリグリセリドおよびHDL−コレステロールレベルを比色法(Boehringer Mannheim、Mannheim、Germany)によって分析した。LDL−コレステロールレベルは、Friedewald方程式を用いて計算した。
【0132】
(インスリン分析) インスリンレベルは、ヒト一次抗体(Phadesph;Kabi Pharmacia Diagnostics、Uppsala、Sweden)を用いてラジオイムノアッセイによって調査した。
【0133】
(統計分析) 実験群の間の差を評価するために、データを一元配置分散分析法(ANOVA)で分析した。平均値の間の差は、スチューデントの両側t検定によって評価した。
【0134】
(栄養食) 異なる治療油(Harlan Tekled社、USA、によって注文生産された)を標準のスナネズミ食に組み込むために、標準のミリング手法を用いた。対照として、2018SC+F高エネルギー食(Tekled Global、Madison、Wis.、USA)を用いた。
【0135】
注文生産食の組成は、食品および栄養含量に関して類似していた。全ての食事は同じ基礎混合物から作られ、可変成分は補給脂肪であった。この基礎混合物は、脂肪源を含まない2018SC+Fの僅かに濃いバージョンであった。脂肪源およびコレステロールを加えたとき、最終製品は脂肪およびコレステロールの成分を除いては元の2018SC+Fと非常に類似していた。
【0136】
食事は、下記のスキームに従って調製された:
(基礎混合物)
タンパク質 23.6%
脂肪 2.4%
炭水化物 68%
灰分+ミネラル+ビタミン類 6.0%
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
(実施例1−一価および多価不飽和脂肪酸食の糖尿病スナネズミの血液脂質含量に及ぼす影響)
本実験は、血漿脂質プロフィールに及ぼす食事A(PS−E+DAG、HOSO油を含む大豆ステロールエステル(PS−E)およびHOSO油に由来するジアシルグリセロール(DAG)を含む)および食事B(PS−E+DAG、アマニ油を含む大豆ステロールエステル(PS−E)およびアマニ油に由来するジアシルグリセロール(DAG)を含み、高含量の多価不飽和脂肪酸を有す)の摂取の影響を研究する。
【0140】
糖尿病の雄のPsammomys obesusスナネズミを、3.5週の飼育期間、示した食事群(各群スナネズミ8〜10匹)に無作為に割り当てた(表1および表2で示す)。実験の飼育期間の終了前に、血漿脂質分析のために血液サンプルを採集した。
【0141】
図1で示すように、異なる食事群の総コレステロール血漿レベルは有意に変動した。対照および食事治療群(食事AおよびB)の間で特筆すべき差が観察されるが、全ての動物は高血糖症および高インスリン血症の症状の類似した基礎レベルを維持した。HMUFAおよびHSFAで飼育した糖尿病のPsammomys obesusは類似した血漿総コレステロール濃度(P値=0.24)を示したが、食事Aおよび食事Bで飼育した他のPsammomys obesus群は飽和脂肪で飼育したスナネズミと比較して総コレステロールレベルが実質的に、かつ有意に減少した(それぞれ35%および42%、P値=0.031、0.028)。
【0142】
これらの結果の高い統計的有意差(ANOVAによって示された、P値=0.003)は、調製物AおよびBが非常に強力な血液コレステロール低下効果を誘導することを示唆する。血漿総コレステロール減少の類似した結果(約43%の減少)が、植物ステロール対食品コレステロール比5:1で4週間頻繁に飼育した雄のモンゴルスナネズミ(Meriones unquiculatus)で報告された(Hayesら(2002)J.Nutr.132:1983〜1988)。
【0143】
同様に、図2で示すように、食事Aまたは食事Bの摂取は、HSFA食で飼育された糖尿病のスナネズミと比較して血漿非HDLコレステロールレベルの顕著で有意な減少を誘導した(それぞれ47%および59%、P値=0.022、0.019)。HSFAおよびHMUFA食摂取群(対照)では、類似した非HDLコレステロール濃度が測定された(P値=0.22)。これらの食事マトリックスの間のANOVA比較は、非常に有意な差(P値=0.001)を示唆した。
【0144】
非HDL−C血清レベルは、血管病徴を必ずしも示さない患者における、心血管合併症の将来のリスクの強力な予測因子と考えられる。非HDL−Cは、National Cholesterol Education ProgramのAdult Treatment Panel IIIによって、上昇トリグリセリド患者における二次的治療標的(LDL−Cに次ぐ)として、最近推奨された。
【0145】
図1および図2は、本発明の調製物Aまたは調製物Bが、飽和脂肪酸または高オレイン酸ヒマワリ油をベースにした食事の摂取と比較して総コレステロールおよび非HDLコレステロールの血漿レベルの減少をもたらす点で、それらの顕著なコレステロール低下効果を強調する。これに反して、スナネズミ試験群のいずれにおいても血漿HDL−コレステロールレベルで有意差は観察されなかった(ANOVA P値=0.11)。
【0146】
図3で例示されている計算された総コレステロール対HDLコレステロール比(総/HDL)およびさらに統計学的に分析された(ANOVA P=0.0005)ものは、異なる食事治療群の間の有意差を示した。HMUFA食摂取群の総/HDL比率は、HSFAで飼育された肥満で糖尿病のPsammomys obesusで見られる比率と同等であった(P値=0.14)。これらの結果にもかかわらず、本発明の食事Aまたは食事Bがこれらのホリネズミに提供されたとき、対照群(HSFA飼育群)と比較して顕著で有意な総/HDLコレステロール比率の減少が測定された(23%、P値<0.012および27%、P値<0.007)。
【0147】
2型糖尿病患者においては、異脂肪血症は上昇したトリグリセリドレベルおよび低下したHDLコレステロールレベルで明らかになる。通常、LDLコレステロール量は2型糖尿病患者および非糖尿病性個人においてあまり異ならないが、一部のLDLは、総コレステロールおよびLDLコレステロールの正常値にもかかわらずアテローム生成のリスクを増加させる可能性がある、より高密度の粒子形態(アポリポタンパク質B)として現れる。
【0148】
場合によっては、糖尿病患者は非HDLコレステロール(LDLとVLDLコレステロール)レベルが上昇する可能性がある。そのような短い期間で非HDLレベルを低下させる食事AおよびBの栄養成分の能力は、リスクを低下させ、CVDを予防および治療することと重要な関連性がある。AおよびBの食品の食事マトリックスの使用は、従来の他の医薬療法と併用してまたは独立して、異脂肪血症およびLDLコレステロールと関連したアテローム生成の治療のために非常に有益であると考えるべきである。
【0149】
食事A(ジアシルグリセロールHOSOマトリックス内で長鎖一価不飽和脂肪酸にエステル化した大豆ステロール)または食事B(ジアシルグリセロールアマニ油マトリックス内で長鎖多価不飽和脂肪酸にエステル化した大豆ステロール)による肥満で糖尿病のPsammomys obesusの食事治療は、前記食事にコレステロールを補ったにもかかわらず、総コレステロールおよび非HDLコレステロール値の有意な減少をもたらした。これらの結果は、単純な栄養習慣の調整によって短い期間に体脂質管理を変更するための、任意の糖尿病患者、肥満者、および高コレステロール関連の任意の合併症を発達させる危険のある対象に有益となる、新しい非医薬的、非合成的、および物理的介入不要の戦術を明らかにする。
【0150】
本発明の栄養製品の成功効率は、グルコース含量が低いか含まれず、脂肪分の均衡がとれ、および予防的剤(医薬用または栄養的な)が添加された、糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人のニーズに対処するためのその特別な組成に基づく。分離された成分のそれぞれは脂質プロフィールに対してある程度の穏やかな影響を及ぼすことができるが、成分の相乗的活性ならびに本発明の食物製品中のそれらの相対的比率が、この製品を糖尿病と関連する脂質アンバランスの状態の治療で非常に有効なものにする原因である。
【0151】
(実施例2「前糖尿病」スナネズミに及ぼす一価不飽和脂肪酸食の影響)
前糖尿病個人は、非糖尿病の個人と比較して高い総コレステロール、LDLコレステロールおよびトリグリセリドレベルと、低いHDLコレステロールレベルを示す可能性がある。この実験は、糖尿病を起こしやすいスナネズミにおける血中脂質レベルおよび脂質管理に及ぼす、コレステロールを含まない食事である食事Cの影響を評価する。
【0152】
60匹の成体雄Psammomys obesusスナネズミを、2.93kcal/gを含んで脂肪含量および脂質含量だけが異なる2つの異なる高エネルギー食に無作為に割付けた(n=30)。食事Cの影響(表2)を、基本ハーラン高エネルギー食(Tekled Global、Madison、Wis.、USA)の影響と比較した。4.5週の試験食飼育の後、スナネズミは一晩(16時間)絶食させてから屠殺した。肝臓および精巣上体の脂肪を採取して秤量した。収集した血液サンプルは、生化学分析のために用いた。
【0153】
Psammomys obesus(栄養的に誘導された2型糖尿病の実験モデル)における肥満および糖尿病の発達に及ぼす食事Cの影響を、齧歯目の標準高エネルギー(HE)食と比較した。
【0154】
以前の刊行物(ZivおよびKalman(2001)、糖尿病の動物モデル、SimaおよびShafrir編、Harwood academic publishers、327〜342、Kalman R.ら(1993)J Basic Clin Physiol Pharmacol.4:57〜68)によると、高血糖症は比較的速くに、HE食の摂取から7〜14日以内に発達する。通常、スナネズミはHE食40〜70日後に、β−細胞機能消失(相D)の結果として死ぬ。我々の研究では、飼育期間末までに、HE食(80.0%)と比較して食事C飼育群(73.3%)では、典型的ではあるが僅かに低い割合の糖尿病動物がいた。この指摘は食事C(97%)を摂取したPsammomys obesusのより高い生存率とさらに関連していたが、HE食で連続飼育したスナネズミは、食餌実験の始まりから4.5週後の動物が屠殺された日までに、いくぶん低い生存率(87%)を示した。
【0155】
食事Cの摂取は、HE食と比較して総コレステロールレベルの大きな減少を誘導した(図4で見られるように23%の減少、P値=0.055)。より顕著で統計学的に有意な減少が、非HDLコレステロールレベルで観察された(図5で見られるように41%の減少、P値=0.026)。
【0156】
HEで飼育したスナネズミと比較して食事Cで飼育したスナネズミにおいて、小さいが非常に有意な総コレステロール/HDL比の減少が観察された(図6で見られるように7%の減少、P値=0.012)。これらの2つの食事を比較したときに弱い傾向だけが認められたので、この減少はHDLコレステロールレベルの並行した減少に帰することはできなかった(P値=0.10)。
【0157】
食事CおよびHEは補助的食品コレステロールを含まないので、調製物A(実施例17を参照)などの予防的成分を含む専門食物製品の効力は、食事性および内因性のコレステロール、特にLDLコレステロールの総コレステロールを実際に低下させることによって明らかになると結論することができる。
【0158】
食事C中の食事性ジアシルグリセロール含量は、以前の報告から予想されるようにスナネズミのトリグリセリド血漿レベルに影響しなかった(Muraseら(2001)J.Lipid Res.42:372〜378;Muraseら(2002)J.Lipid Res.43:1312〜1319)。
【0159】
インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)およびインスリン抵抗性の危険因子として認識される肥満および代謝異常(Matsuzawaら(1995)Ann NY Acad Sci 748:399〜406)は、エネルギー取込みおよびエネルギー消費の間の不均衡の結果であるとわかっている。増加する体脂肪塊は上昇する循環遊離脂肪酸、インスリン、腫瘍壊死因子αおよびレプチンをしばしば伴い、これらの分子が肥満個体でのインスリン抵抗性の発達で重要な役割を演ずる可能性が示唆される。肥満およびインスリン抵抗性の間の関係を説明するために、以下の人体計測パラメータのいくつかを評価した。
【0160】
食事Cの摂取は、HEで飼育したスナネズミと比較して著しく低下したエンドポイント体重をもたらした(図7で見られるように8.3%の低下、P値=0.011)。また、肝臓重量(P値=0.41)はそうではないが精巣上体の白色脂肪組織(WAT)重量は、HE対照群と比較して食事Cで飼育したスナネズミで著しく低下した(図8で見られるように20%の低下、P値=0.011)。精巣上体WATと肝臓重量の比で表される臓器相対サイズの低下の非常に有意な相互関係は、図9で例示する(21%の低下、P値=0.025)。
【0161】
これらの結果によると、調製物Aなどの予防的成分を含む本発明の食物製品は、血清脂質プロフィールに影響を及ぼすだけでなく、体脂肪蓄積および分布にも関与すると結論することができる。
【0162】
食事Cは、対照のHE群と比較して空腹時血漿インスリンレベルに対する有意な影響を示した(図10で見られるように42%の低下、P値=0.0006)。空腹状態下で、Psammomys obesusはより顕著でない高インスリン血症を示したが、全体の高血糖症は引き続き類似していた(P値=0.25)。
【0163】
図11および12で表したように、食事Cで飼育したスナネズミは、HEで飼育したスナネズミと比較して低い血清インスリン/体重指数および低い血清インスリン/血糖指数を示した。したがって、同程度の体重またはグルコースレベルでは、食事Cで飼育した動物は低い血漿インスリンレベルを示した(それぞれ38%の低下、P値=0.0015、および49%の低下、P値=0.0015)。
【0164】
空腹時インスリン低下の重要性は、低下する脂肪組織蓄積およびインスリン抵抗性増加における共同役割との関連で視なければならない。食事Cおよび調製物Aを含む対応する食物製品の代謝アンバランス状況を逆戻りさせる能力は、糖尿病を起こしやすい個人、異なる段階の糖尿病患者および他の脂質アンバランス疾患を患っている他の個人の予防および治療のために適用されなければならないその受益者への影響および効果を証明した。
【0165】
本発明の食物製品、例えば調製物Aを含む製品を用いて達成することができる提案された簡易療法は、その受益者における結果が比較的短い期間で明白になるので、苦しむ個人にとって大きな利益となると予想される。
【0166】
(実施例3:植物ステロールによるヨーグルト飲料)
本発明の果物風味のヨーグルト飲料は主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、高い血液コレステロールレベルをさらに低下させるために、このヨーグルト飲料は大豆植物ステロールで強化され、それらのRDAの100%を提供する。
成分:低温殺菌牛乳、マルチトール、果物ピューレ/濃縮物、粉乳、加工澱粉(E1422、E1442)、天然安定剤(E440)、風味剤、クエン酸、大豆植物ステロール。
栄養価(100ml):タンパク質3.1g、炭水化物16.4g、脂肪1.5g(1.18gの乳脂、0.32gの大豆植物ステロール)、カルシウム110mg、ナトリウム76mg。
各250mlの1回分量は、0.8gの大豆植物ステロール(RDA100%)を含む。
【0167】
(実施例4:大豆イソフラボンおよびタンパク質による大豆飲料)
本発明の天然風味の大豆飲料は主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、高い血液コレステロールおよびLDLコレステロールレベルをさらに低下させるために、この大豆飲料は大豆イソフラボンおよびタンパク質で強化される。イソフラボンは血管の弾力性を保存して、アテローム硬化型カスケードを抑制することができる。大豆タンパク質は心血管保護効果を有することも示され、心疾患のリスクを低下させることもできる。
成分:水、大豆、人工甘味剤、多価アルコール、カルシウム強化剤、酸性度調節剤(E−339、E−452)、塩、香料、安定剤(E−407)、大豆イソフラボン。
栄養価(100ml):タンパク質3.5g、炭水化物3.9g、脂肪1g(その内10%は飽和)、カルシウム150mg、ナトリウム50mg、繊維0.9g。
各250mlの1回分量は、100mgの大豆イソフラボンおよび8.75gの大豆タンパク質(RDAの35%)を含む。
【0168】
(実施例5:ニンニク抽出物によるサラダドレッシング)
本発明のニンニク風味のサラダドレッシングは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、高い血液コレステロールおよびLDLコレステロールレベルならびに高血圧をさらに低下させるために、このサラダドレッシングはニンニク抽出物で強化される。
成分:水、酢、オリーブ油、マスタード、塩、小麦、大豆、スパイス、繊維、植物安定剤(E−405、グアーガム)、加工コーンスターチ、クエン酸、スクラロース、β−カロテン、パセリ、ニンニク抽出物。
栄養価(100ml):タンパク質0.84g、炭水化物3.6g(その内0.7gは食物繊維)、脂肪1.6g(その内12%は飽和)、カルシウム150mg、ナトリウム300mg、ニンニク抽出物800mg。
各1回分量(15mL)は、ほとんどの臨床試験で用いられる一般的な平均レベルである800mgのニンニク抽出物を含む。
【0169】
比較すると、サラダドレッシングの低脂肪バージョンであり、体重減少に寄与し、糖尿病患者に適当でさえあるとされて市販される食事は、20.9g/100gの脂肪を含み、その約30%は飽和態である。
【0170】
(実施例6:ビタミンB6、B12および葉酸による酪農飲物)
本発明の果物風味のミルク飲物は主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、重要なCVD危険因子である血液ホモシステインレベルを低下させるために、このミルク飲物はビタミンB6、B12および葉酸で強化される。
成分:水、低温殺菌牛乳、粉乳、多価アルコール、果物香料、果物濃縮物、天然食品着色剤、安定剤(E−410)、カルシウム(E−341)、塩、ビタミンB6、B12および葉酸。
栄養価(100ml):タンパク質2.5g、炭水化物14.6g、脂肪1.5g(その内15%は飽和)、カルシウム100mg、ナトリウム50mg。
各250mlの1回分量は、B6(0.65mg、RDAの50%)、B12(1.2mcg、RDAの50%)および葉酸(200mg、RDAの50%)を含む。
【0171】
(実施例7:リコペンによるバーベキューソース)
本発明のバーベキュー風味のソースは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、重要なCVD危険因子である酸化損傷を低下させるために、このソースはリコペンで強化される。
成分:水、トマト濃縮物、マルチトール、蒸留酢、塩、マスタード、トマト繊維、天然調味料、スパイス、グアーガム、パプリカ、ペクチン、リコペン。
栄養価(100ml):タンパク質1g、炭水化物36g、脂肪0.4g、ナトリウム500mg。
各15mlの1食分は、25mgのリコペン(420mgの6%リコペン調製物)を含む。
【0172】
(実施例8:アマニ油による酵母入り全粒小麦粉パン)
本発明の酵母入り全粒小麦粉パンは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、このパンの脂肪分画は、パンレシピで慣用される他の植物油脂の代わりにアマニ油を含む。アマニ油は、血液トリグリセリドレベルを低下させて心疾患のリスクを低減する、オメガ3 LC−PUFAの前駆体であるオメガ3リノレン酸の含量が非常に高い。
成分:全粒小麦粉、ライ麦粉水、コーンフラワー、米粉、オートブラン、酵母、大麦麦芽、キビ、小麦グルテン、亜麻種子、ヒマワリ種子、塩、大豆粉、乳化剤(E−472)、酸(E−300、E−330)、保存料、アマニ油。
栄養価(100g):タンパク質12.2g、炭水化物21.1g、脂肪3.1g、ナトリウム410mg、食物繊維13.8g。
各1食分(スライス)は約500mgのアマニ油を含み、約250mgのα−リノレン酸に寄与する。
【0173】
(実施例9:セレニウムによるチョコレート風味のビスケット)
本発明のチョコレート風味のビスケットは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、重要なCVD危険因子である酸化損傷を低下させるために、このビスケットは多くの天然抗酸化酵素過程で重要な役割を果たす重要ミネラルである、セレニウムで強化される。
成分:小麦粉、マルチトール、植物油、澱粉、ココアパウダー、塩、レシチン、膨張剤(重炭酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム)、アセスルファムK、天然抗酸化剤(ローズマリー抽出物)、セレン酸ナトリウム。
栄養価(100g):タンパク質13.3g、炭水化物78g、脂肪5.5g(その内20%は飽和)、ナトリウム280mg。
各1食分(4ビスケット、20g)は、25mcgのセレニウム(RDIの50%)を含む。
【0174】
比較として、「通常の」ビスケットは12g/100gの脂肪を含み、その35%は飽和脂肪酸である。糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用ビスケットは、10g/100gの脂肪を含み、その約45%は飽和脂肪である。
【0175】
(実施例10:PSE+DAGの組合せによるショートブレッドクッキー)
本発明のショートブレッドクッキーは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、クッキーの脂肪分画は、DAGより高いPSEレベルを特徴とし、酸化的ストレスと闘うだけでなく血液コレステロールおよびトリグリセリドレベルを低下させることが臨床的に証明されている、植物ステロールエステル(PSE)およびジグリセリドの組合せで置換される(上記参照)。
成分:小麦粉、マルチトール、ソルビトール、ポリデキストロース、マルトデキストリン、天然香料、濃縮ホエータンパク質、塩、重炭酸ナトリウム、オート麦繊維、乳化剤、アスパルテーム、キサンタンガム、アセスルファムK、カノーラ脂肪酸の植物ステロールエステル、ジグリセリドおよびカノーラ油のトリグリセリド。
栄養価(100g):タンパク質7g、炭水化物80g、脂肪6.6g(その内10%は飽和)、ナトリウム250mg。
各1食分(8クッキー、30g)はカノーラ油内にPSEおよびDAGの組合せ2gを含み、1.3gの植物ステロールエステルおよび200〜400mgのDAGにさらに寄与する。
【0176】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用ビスケットは、22g/100gの脂肪を含み、その約20%は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。飽和脂肪レベルは実際は高い(総脂質の48%)けれども、「通常の」ショートブレッドクッキーでさえ市販の糖尿病患者用ブランド(17.2%)よりも低いレベルの脂肪を含む。
【0177】
(実施例11:ビタミンE+Cおよびβカロテンによるチョコレート被覆されたウエハー)
本発明のチョコレート被覆されたウエハーは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、このウエハーは天然の抗酸化剤、ビタミンE、ビタミンCおよびβカロテンの組合せで強化され、この全ては酸化損傷に起因するCVDリスクの低減を促進する。
成分:マルチトール、粉乳、カカオ脂、ココア塊、植物油、小麦粉、大豆粉、ナッツ、乳化剤、塩、香料、膨張剤、最低30%のミルクチョコレート含有ココア固形分、ビタミンE、ビタミンC、β−カロテン。
栄養価(100g):タンパク質8g、ポリオール39g、炭水化物15g、脂肪15g(その内20%は飽和)、ナトリウム71mg。
各1食分(45gウエハー)は、90mgのビタミンC(RDIの100%)、15mgのビタミンE(RDAの100%)および15mgのβ−カロテン(RDIの100%)を含む。
【0178】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用のチョコレート被覆されたウエハーは、34g/100gの脂肪を含み、その44%は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。「通常」バージョンのチョコレート被覆されたウエハーは、僅かに低いレベルの脂肪(33g/100g)および僅かに低いレベルの飽和脂肪(総脂肪の「僅か」42%)を含む。
【0179】
(実施例12:DHA/EPAによるバニラ風味のサンドイッチクッキー)
本発明のバニラ風味のサンドイッチクッキーは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が比較的低い。さらに、このクッキーは、CVD危険因子の低減を促進し、そのうえ認知能力の維持または改善に寄与するために、オメガ3 LC−PUFA、特にDHAおよびEPAで強化される。
成分:マルチトール、小麦粉、不飽和植物油、膨張剤、塩、レシチン、クエン酸、香料、アセスルファムK、抗酸化剤(ローズマリー抽出物)、DHAおよびEPAが豊富な油。
栄養価(100g):タンパク質6.7g、炭水化物70g、脂肪12g(その内10%は飽和)、ナトリウム157mg。
各1食分(3クッキー、33g)は、冷水魚または藻類抽出物からのオメガ3が豊富な油に由来する220mgのDHAおよびEPA(RDAの33%)を含む。
【0180】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用サンドイッチクッキーは、20g/100gの脂肪を含み、その25%は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDまたは認知能減退のリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。「通常」バージョンのサンドイッチクッキーは、僅かに高いレベルの脂肪(22g/100g)および実際に低いレベルの飽和脂肪(総脂肪の18%)を含む。
【0181】
(実施例13:スタチンによるビタースィートチョコレート)
本発明のビタースィートチョコレートは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が比較的低い。さらに、このチョコレートは重要なCVD危険因子である総コレステロールおよびLDLコレステロールの低下を促進するために、スタチンで強化される。
成分:マルチトール、ココア塊、カカオ脂、乳化剤、香料、スタチン。
栄養価(100g):タンパク質5g、炭水化物61g、脂肪25g(その内40%は飽和)、ナトリウム8mg。
各1食分(20g)は、コレステロール低減効果を維持するためにプラバスタチンまたはロバスタチンなどのスタチン類を低用量、例えば1食分につき2.5mgを含む。そのような有効成分を送達する糖尿病患者用食品の数または種類が非常に少なくおよび/または限定されている場合は、高用量のスタチンを前記食物製品で送達することができる。
【0182】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用ビタースィートチョコレートは、31g/100gの脂肪を含み、その61%は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。「通常」バージョンのビタースィートチョコレートは、実際に僅かに低いレベルの脂肪(28g/100g)および類似レベルの飽和脂肪(総脂肪の60%)を含む。
【0183】
(実施例14:カノーラ油およびポリフェノールによるチョコレートスプレッド)
本発明のチョコレートスプレッドは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が比較的低い。さらに、このチョコレートスプレッドの脂肪分画は高レベルの不飽和脂肪酸を特徴とするカノーラ油を主に利用し、CVD危険因子と闘う強い抗酸化活性を特徴とするポリフェノールでさらに強化される。実施例1で見られるように、食事の主要な脂肪として不飽和の油脂(この場合HMUFA)を単に利用することは、総コレステロール、非HDLコレステロールおよび総コレステロール/HDL比率などのCVD危険因子の有意な改善を促進するのに十分ではなく、それ故に、リスクの低減を示すためにさらなる予防的剤が必要である。
【0184】
成分:マルチトール、植物性油脂(主にカノーラ油)、ヘイゼルナッツ、大豆粉、イヌリン(食物繊維)、ココアパウダー、ダイズレシチン(乳化剤)、香料、ポリフェノール抗酸化剤(ブドウ抽出物)。
栄養価(100g):タンパク質6g、炭水化物49g、脂肪20g(その内10%は飽和)、ナトリウム1mg。
各1食分(25g)は、ブドウ抽出物、ザクロ抽出物、オリーブヒドロキシチロソール、その他などのポリフェノール抗酸化剤を、70mg含む。
【0185】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用チョコレートスプレッドは、38g/100gの脂肪を含み、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。「通常」バージョンのチョコレートスプレッドは、実際に低いレベルの脂肪(25.5g/100g)を含む。
【0186】
(実施例15:大豆タンパク質および植物ステロールによるチョコレート風味のウエハー)
本発明のチョコレート風味のウエハーは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が比較的低い。さらに、このウエハーは均衡のとれた血液脂質プロフィールに相乗的に寄与してCVDのリスクを低減する、大豆タンパク質および木の植物ステロールで強化される。
成分:マルチトール、植物性油脂、小麦粉、大豆粉、ココアパウダー、乳化剤(レシチン)、香料、塩、膨張剤、ベーキングインプルーバ(プロテアーゼ)、大豆タンパク質単離物、木の植物ステロール。
栄養価(100g):タンパク質6g、炭水化物66g、脂肪15g(その内13%は飽和)、ナトリウム60mg。
各1食分(4枚のウエハー)は、100mgの木の植物ステロール(RDAの12.5%)および2.5gの大豆タンパク質(RDAの10%)を含む。様々な食物製品が毎日の栄養を通してこれらの成分を供給するならば、このようなレベルの有効成分は可能である。
【0187】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用チョコレート風味のウエハーは、36g/100gの脂肪を含み、その82%(!!!)は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。「通常」バージョンのチョコレート風味のウエハーは、実際に低いレベルの脂肪(18.4g/100g)および実際に低いレベルの飽和脂肪(総脂肪の28%)を含む。
【0188】
(実施例16:カノーラ油低脂肪バニラチョコレートアイスクリームおよび大豆タンパク質)
本発明の低脂肪バニラチョコレートアイスクリームは主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、このアイスクリームの脂肪分画は、主にカノーラ油などの不飽和植物油で構成される。このアイスクリームは、均衡のとれた血液脂質プロフィールに寄与してCVDのリスクを低減する大豆タンパク質で、さらに強化される。
成分:ミルク、ミルク固形物、ポリデキストロース、マルチトール、イヌリン(食物繊維)、ココアパウダー、グリセリン、植物油、乳化剤、安定剤、香料、甘味料(アセスルファムK/スクラロース)、大豆タンパク質。
栄養価(100g):タンパク質10g、炭水化物12.8g、脂肪1.5g(その内20%は飽和)、繊維5g、ナトリウム70mg、カルシウム114mg。
各1食分(150g)は、13.2gの大豆タンパク質(RDAの50%)を含む。
【0189】
比較では、糖尿病患者のニーズに対処するものとして販売されている市販の糖尿病患者用アイスクリームは僅か1.5g/100gの脂肪を含み、その74%(!!!)は飽和脂肪であり、当然ながら糖尿病関連のCVDのリスクを減らすための他のいかなる予防的成分も含まない。
【0190】
(実施例17:ホスファチジルセリンによるヨーグルト飲料)
本発明の果物風味のヨーグルト飲料は主に糖尿病患者および前糖尿病集団のために設計され、糖尿病の状態と関連する高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症に寄与することがないように、砂糖を含まず、脂肪含量が低い。さらに、認知能減退からさらに保護するために、または異なる段階の認知能減退に対処するために、このヨーグルト飲料はホスファチジルセリンで強化され、その最低推奨日用量の100%を提供する。
成分:低温殺菌牛乳、マルチトール、果物ピューレ/濃縮物、粉乳、加工澱粉(E1422、E1442)、天然安定剤(E440)、風味剤、クエン酸、ホスファチジルセリン。
栄養価(100ml):タンパク質3.1g、炭水化物16.4g、脂肪1.5g(1.18gの乳脂、0.32gの大豆植物ステロール)、カルシウム110mg、ナトリウム76mg。
各250mlの1食分は、100mgの大豆由来ホスファチジルセリン(最低推奨日用量の100%)を含む。
【0191】
(実施例18:糖尿病患者のための機能性チョコレートバー)
このバーはチョコレート風味の機能性バーであり、植物ステロールエステルの推奨日用量の50%を提供する。このバーはカノーラ油に溶解した植物ステロールエステルとDAGとの組合せ(調製物A)を含む。前記組合せは、カノーラ油の総脂肪酸プロフィールを有する70重量%の植物ステロールエステルおよび約8重量%のDAGを含む。
バーの典型的組成:植物ステロールエステルおよびDAG(約1g)の組合せ(調製物A)。糖アルコール(マルチトール、マルチトールシロップ)、大豆タンパク質単離物、食物繊維(イヌリン、ポリデキストロース)、カノーラ油、ココアパウダー、カカオ脂、ココア塊、甘味料(スクラロース)、乳化剤、着香料。各バーの総重量は、50gである。
有効成分(g/1食分):植物ステロールエステル(0.65g/1食分)、ジグリセリド(0.1g/1食分)。
【0192】
栄養情報:
【表3】
【0193】
ビタミン類およびミネラル:
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】一価および多価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した糖尿病性Psammomys obesusにおける血漿総コレステロールレベルを示す図略記号:HSFA−10:1飽和脂肪酸高含有、HMUFA−一価不飽和脂肪酸高含有油、T.Chol−総コレステロール、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図2】一価および多価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した糖尿病性Psammomys obesusにおける血漿非HDLコレステロールレベルを示す図略記号:HSFA−10:1飽和脂肪酸高含有、HMUFA−一価不飽和脂肪酸高含有油、Non−HDL Chol.−非高密度リポ蛋白質コレステロール、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図3】一価および多価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した糖尿病性Psammomys obesusにおける血漿総コレステロール/HDL比率を示す図略記号:HSFA−10:1飽和脂肪酸高含有、HMUFA−一価不飽和脂肪酸高含有油、T.Chol.−総コレステロール、HDL−高密度リポ蛋白質コレステロール、Rat.−比率、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図4】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける血漿総コレステロールレベルを示す図略記号:H.E.−高エネルギー、T.Chol.−総コレステロール、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図5】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける血漿非HDLコレステロールレベルを示す図略記号:H.E.−高エネルギー、Non−HDL.Chol.−非高密度リポ蛋白質コレステロール、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図6】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける血漿総コレステロール/HDL比率を示す図略記号:H.E.−高エネルギー、T.Chol.−総コレステロール、HDL−高密度リポ蛋白質コレステロール、Rat.−比率、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数。
【図7】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusの体重を示す図略記号:H.E.−高エネルギー、E.P.B.W.−エンドポイント体重、g−グラム。
【図8】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusの精巣上体重を示す図略記号:H.E.−高エネルギー、E.P.E.F.−エンドポイント精巣上体脂肪重、g−グラム。
【図9】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusの精巣上体脂肪/肝臓重量比を示す図略記号:H.E.−高エネルギー、E.F.W.−精巣上体脂肪重、Liv.W.−肝臓重量、Rat.−比率、%−割合。
【図10】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける血漿インスリンレベルを示す図略記号:H.E.−高エネルギー、Ins.−インスリン、micU/ml−ミリリットルあたりのマイクロ単位。
【図11】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける体重と比較した血漿インスリンレベルを示す図略記号:H.E.−高エネルギー、Ins.−インスリン、B.W.−体重、g−グラム、micU/ml−ミリリットルあたりのマイクロ単位。
【図12】一価不飽和脂肪酸栄養食で飼育した「前糖尿病」Psammomys obesusにおける血漿グルコースレベルと比較した血漿インスリンレベルを示す図略記号:H.E.−高エネルギー、Ins.−インスリン、Glu.−グルコース、mg/dL−デシリットルあたりのミリグラム数、micU/ml−ミリリットルあたりのマイクロ単位。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0から5%の低グルコース含量、好ましくは0から0.5%のグルコースを有し、より好ましくはグルコースを含まず、
10%未満の均衡のとれた脂肪分を有し、
糖尿病およびその合併症のいずれか、および/または糖尿病につながる状態に予防的である少なくとも1つの食品用または医薬用の物質を含み、
糖尿病患者の健康ニーズに対処し、および/または健康な個人または糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防する食物製品。
【請求項2】
グルコースを含まない請求項1に記載の食物製品。
【請求項3】
砂糖を含まず、
10%未満の均衡のとれた脂肪分を有し、
糖尿病およびその合併症のいずれか、および/または糖尿病につながる状態に予防的である少なくとも1つの食品用または医薬用の物質を含み、
糖尿病患者の健康ニーズに対処し、および/または健康な個人または糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防する食物製品。
【請求項4】
前記脂肪分は総脂肪の25%未満、好ましくは10%未満の飽和脂肪を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項5】
前記糖尿病予防的な食品用または医薬用の物質は、天然脂質、ヒトによって消化されずに体重増加/減少に干渉する合成または模倣の脂質、抗酸化剤および医薬、ならびにその任意の混合物のいずれか1つである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項6】
前記脂質はジアシルグリセロール、特に1,3−ジアシルグリセロール、植物ステロールおよび植物ステロールエステル、植物スタノールおよび植物スタノールエステル、ポリコサノール、オメガ3脂肪酸およびそれらの誘導体、特に長鎖多価不飽和脂肪酸(LC−PUFA)、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、特にα−リノレン酸および共役リノレン酸(CLA)のいずれか1つであり、および/または
前記非消化性合成脂質または脂質模倣物はそれぞれα分枝トリグリセリドまたはオレストラであり、および/または
前記抗酸化剤は、ローズマリー抽出物、リコペン、ゼアキサンチン、セレニウム、亜鉛、ビタミンC、ビタミンEおよび他のトコフェロール、コエンザイムQ10、β−カロテン、ポリフェノール、特にヒドロキシチロソールのいずれか1つであり、および/または
前記医薬は、スタチン類、エゼチミブ、脂質プロフィール調節薬または心臓血管疾患に関連した他のバイオマーカーのいずれか1つおよび/または
それらの混合物のいずれかであり、前記物質は食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解していてもよい請求項5に記載の食物製品。
【請求項7】
前記物質は、食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解した植物ステロールおよび/または植物スタノールエステルの1,3−ジアシルグリセリドとの混合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項8】
前記混合物は食用油または脂肪に分散または溶解している、請求項6に記載の食物製品。
【請求項9】
少なくとも1つの医薬、特に請求項1で定義された薬剤をさらに含む、請求項7または8に記載の食物製品。
【請求項10】
特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において、心臓血管疾患(CVD)および/またはその危険因子である高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項11】
特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項12】
過体重および/または肥満の、および/または糖尿病の、および/または糖尿病を起こしやすい対象で総コレステロール血清レベルを低下させること、非HDLコレステロール血清レベルを低下させること、総コレステロール/HDL比率を低下させること、およびトリグリセリド血清レベルを低下させることの少なくとも1つにおいて機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項13】
肥満者でおよび/または糖尿病などの代謝アンバランスを有する対象でおよび/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体で体重減少、および/または体重増加の抑制、および/またはインスリン抵抗性の低減において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項14】
肥満および/または過体重の対象および/または糖尿病の対象および/または前糖尿病の対象および/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体において、体脂肪分布の変化、WATの蓄積の抑制、内臓脂肪蓄積の低減において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項15】
肥満および/または糖尿病の対象で、生命を脅かす長期糖尿病合併症のリスクおよび生活の質の悪化の低減において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項16】
前記合併症はマクロ血管、微小血管または神経学的起源のものである、請求項15に記載の食物製品。
【請求項17】
前記合併症は網膜症、腎症、脚に供給する大血管の疾患(下肢動脈疾患)、冠状心臓もしくは動脈疾患、脳血管疾患および神経機能障害、認知機能の減退、または失明、末期腎臓疾患(ESRD)および切断に至る他の任意の状態、心筋梗塞および脳卒中の群から選択される、請求項16に記載の食物製品。
【請求項18】
インスリン抵抗性の対象で高インスリン血症の改善において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項19】
糖尿病を起こしやすい肥満対象で高インスリン血症の改善、またはインスリン抵抗性の進行の予防において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項20】
急性の認知能減退の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項21】
前記活性剤はホスファチジルセリン、イチョウ、ブラーミ(Bacopa monnieri)またはオメガ3含有脂肪である、請求項20に記載の食物製品。
【請求項22】
2型糖尿病と関連する急性の目の状態の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含み、前記活性剤はビタミン類、抗酸化剤および他の天然の目の健康増進成分または抽出物である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項23】
乳製品、パン製品、調味料、飲料および飲物、スナック類、キャンディ、アイスクリームおよび冷菓デザート、朝食シリアル、栄養バー、スナックバーチョコレート製品、調製食品、穀類製品およびパスタ、スープ、ソースおよびドレッシング、菓子製品、油脂製品、酪農およびミルク飲物、豆乳および大豆酪農様製品、冷凍食物製品、調製食および代用食、食肉加工品、チーズ、ヨーグルト、パンおよびロール、酵母製品、ケーキおよびクッキーおよびクラッカーのいずれか1つである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項24】
糖尿病患者の栄養でのおよび/または健康な個人または糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項25】
特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において、心臓血管疾患(CVD)および/またはその危険因子である高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項26】
特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人の高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項27】
過体重および/または肥満の、および/または糖尿病の、および/または糖尿病を起こしやすい対象における、総コレステロール血清レベルの低減、非HDLコレステロール血清レベルの低減、総コレステロール/HDL比率の低下およびトリグリセリド血清レベルの低減のうちの少なくとも1つにおいて機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項28】
肥満者および/または糖尿病などの代謝アンバランスを有する対象および/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体における体重減少、および/または体重増加の抑制、および/またはインスリン抵抗性の低減のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項29】
肥満および/または過体重の対象および/または糖尿病の対象および/または前糖尿病の対象および/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体において、体脂肪分布の変化、WATの蓄積を抑制し、内臓脂肪蓄積を低減するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項30】
肥満および/または糖尿病の対象で、生命を脅かす長期糖尿病合併症のリスクおよび生活の質の悪化を低減するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項31】
前記合併症はマクロ血管、微小血管または神経学的起源のものである、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記合併症は網膜症、腎症、脚に供給する大血管の疾患(下肢動脈疾患)、冠状心臓もしくは動脈疾患、脳血管疾患および神経機能障害、認知機能の減退、または失明、末期腎臓疾患(ESRD)および切断に至る他の任意の状態、心筋梗塞および脳卒中の群から選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項33】
インスリン抵抗性の対象で高インスリン血症の改善において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
糖尿病を起こしやすい肥満対象で高インスリン血症の改善、またはインスリン抵抗性の進行の予防において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
前記食物製品は急性の認知能減退の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記活性剤はホスファチジルセリン、イチョウ、ブラーミ(Bacopa monnieri)またはオメガ3含有脂肪である、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記食物製品は2型糖尿病と関連する急性の目の状態の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含み、前記活性剤はビタミン類、抗酸化剤および他の天然の目の健康増進成分または抽出物である、請求項24〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
前記食物製品は乳製品、パン製品、調味料、飲料および飲物、スナック類、キャンディ、アイスクリームおよび冷菓デザート、朝食シリアル、栄養バー、スナックバーチョコレート製品、調製食品、穀類製品およびパスタ、スープ、ソースおよびドレッシング、菓子製品、油脂製品、酪農およびミルク飲物、豆乳および大豆酪農様製品、冷凍食物製品、調製食および代用食、食肉加工品、チーズ、ヨーグルト、パンおよびロール、酵母製品、ケーキおよびクッキーおよびクラッカーのいずれか1つである、請求項24〜37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項1】
0から5%の低グルコース含量、好ましくは0から0.5%のグルコースを有し、より好ましくはグルコースを含まず、
10%未満の均衡のとれた脂肪分を有し、
糖尿病およびその合併症のいずれか、および/または糖尿病につながる状態に予防的である少なくとも1つの食品用または医薬用の物質を含み、
糖尿病患者の健康ニーズに対処し、および/または健康な個人または糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防する食物製品。
【請求項2】
グルコースを含まない請求項1に記載の食物製品。
【請求項3】
砂糖を含まず、
10%未満の均衡のとれた脂肪分を有し、
糖尿病およびその合併症のいずれか、および/または糖尿病につながる状態に予防的である少なくとも1つの食品用または医薬用の物質を含み、
糖尿病患者の健康ニーズに対処し、および/または健康な個人または糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防する食物製品。
【請求項4】
前記脂肪分は総脂肪の25%未満、好ましくは10%未満の飽和脂肪を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項5】
前記糖尿病予防的な食品用または医薬用の物質は、天然脂質、ヒトによって消化されずに体重増加/減少に干渉する合成または模倣の脂質、抗酸化剤および医薬、ならびにその任意の混合物のいずれか1つである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項6】
前記脂質はジアシルグリセロール、特に1,3−ジアシルグリセロール、植物ステロールおよび植物ステロールエステル、植物スタノールおよび植物スタノールエステル、ポリコサノール、オメガ3脂肪酸およびそれらの誘導体、特に長鎖多価不飽和脂肪酸(LC−PUFA)、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、特にα−リノレン酸および共役リノレン酸(CLA)のいずれか1つであり、および/または
前記非消化性合成脂質または脂質模倣物はそれぞれα分枝トリグリセリドまたはオレストラであり、および/または
前記抗酸化剤は、ローズマリー抽出物、リコペン、ゼアキサンチン、セレニウム、亜鉛、ビタミンC、ビタミンEおよび他のトコフェロール、コエンザイムQ10、β−カロテン、ポリフェノール、特にヒドロキシチロソールのいずれか1つであり、および/または
前記医薬は、スタチン類、エゼチミブ、脂質プロフィール調節薬または心臓血管疾患に関連した他のバイオマーカーのいずれか1つおよび/または
それらの混合物のいずれかであり、前記物質は食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解していてもよい請求項5に記載の食物製品。
【請求項7】
前記物質は、食用油または脂肪に任意選択で分散または溶解した植物ステロールおよび/または植物スタノールエステルの1,3−ジアシルグリセリドとの混合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項8】
前記混合物は食用油または脂肪に分散または溶解している、請求項6に記載の食物製品。
【請求項9】
少なくとも1つの医薬、特に請求項1で定義された薬剤をさらに含む、請求項7または8に記載の食物製品。
【請求項10】
特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において、心臓血管疾患(CVD)および/またはその危険因子である高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項11】
特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項12】
過体重および/または肥満の、および/または糖尿病の、および/または糖尿病を起こしやすい対象で総コレステロール血清レベルを低下させること、非HDLコレステロール血清レベルを低下させること、総コレステロール/HDL比率を低下させること、およびトリグリセリド血清レベルを低下させることの少なくとも1つにおいて機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項13】
肥満者でおよび/または糖尿病などの代謝アンバランスを有する対象でおよび/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体で体重減少、および/または体重増加の抑制、および/またはインスリン抵抗性の低減において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項14】
肥満および/または過体重の対象および/または糖尿病の対象および/または前糖尿病の対象および/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体において、体脂肪分布の変化、WATの蓄積の抑制、内臓脂肪蓄積の低減において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項15】
肥満および/または糖尿病の対象で、生命を脅かす長期糖尿病合併症のリスクおよび生活の質の悪化の低減において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項16】
前記合併症はマクロ血管、微小血管または神経学的起源のものである、請求項15に記載の食物製品。
【請求項17】
前記合併症は網膜症、腎症、脚に供給する大血管の疾患(下肢動脈疾患)、冠状心臓もしくは動脈疾患、脳血管疾患および神経機能障害、認知機能の減退、または失明、末期腎臓疾患(ESRD)および切断に至る他の任意の状態、心筋梗塞および脳卒中の群から選択される、請求項16に記載の食物製品。
【請求項18】
インスリン抵抗性の対象で高インスリン血症の改善において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項19】
糖尿病を起こしやすい肥満対象で高インスリン血症の改善、またはインスリン抵抗性の進行の予防において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項20】
急性の認知能減退の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項21】
前記活性剤はホスファチジルセリン、イチョウ、ブラーミ(Bacopa monnieri)またはオメガ3含有脂肪である、請求項20に記載の食物製品。
【請求項22】
2型糖尿病と関連する急性の目の状態の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含み、前記活性剤はビタミン類、抗酸化剤および他の天然の目の健康増進成分または抽出物である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項23】
乳製品、パン製品、調味料、飲料および飲物、スナック類、キャンディ、アイスクリームおよび冷菓デザート、朝食シリアル、栄養バー、スナックバーチョコレート製品、調製食品、穀類製品およびパスタ、スープ、ソースおよびドレッシング、菓子製品、油脂製品、酪農およびミルク飲物、豆乳および大豆酪農様製品、冷凍食物製品、調製食および代用食、食肉加工品、チーズ、ヨーグルト、パンおよびロール、酵母製品、ケーキおよびクッキーおよびクラッカーのいずれか1つである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項24】
糖尿病患者の栄養でのおよび/または健康な個人または糖尿病を起こしやすい個人における糖尿病の発症を予防するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項25】
特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人において、心臓血管疾患(CVD)および/またはその危険因子である高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項26】
特に糖尿病患者または糖尿病を起こしやすい個人の高脂血症、異脂肪血症、酸化的ストレスおよびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項27】
過体重および/または肥満の、および/または糖尿病の、および/または糖尿病を起こしやすい対象における、総コレステロール血清レベルの低減、非HDLコレステロール血清レベルの低減、総コレステロール/HDL比率の低下およびトリグリセリド血清レベルの低減のうちの少なくとも1つにおいて機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品。
【請求項28】
肥満者および/または糖尿病などの代謝アンバランスを有する対象および/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体における体重減少、および/または体重増加の抑制、および/またはインスリン抵抗性の低減のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項29】
肥満および/または過体重の対象および/または糖尿病の対象および/または前糖尿病の対象および/または糖尿病もしくは肥満を起こしやすい個体において、体脂肪分布の変化、WATの蓄積を抑制し、内臓脂肪蓄積を低減するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項30】
肥満および/または糖尿病の対象で、生命を脅かす長期糖尿病合併症のリスクおよび生活の質の悪化を低減するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食物製品の使用。
【請求項31】
前記合併症はマクロ血管、微小血管または神経学的起源のものである、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記合併症は網膜症、腎症、脚に供給する大血管の疾患(下肢動脈疾患)、冠状心臓もしくは動脈疾患、脳血管疾患および神経機能障害、認知機能の減退、または失明、末期腎臓疾患(ESRD)および切断に至る他の任意の状態、心筋梗塞および脳卒中の群から選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項33】
インスリン抵抗性の対象で高インスリン血症の改善において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
糖尿病を起こしやすい肥満対象で高インスリン血症の改善、またはインスリン抵抗性の進行の予防において機能的である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
前記食物製品は急性の認知能減退の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記活性剤はホスファチジルセリン、イチョウ、ブラーミ(Bacopa monnieri)またはオメガ3含有脂肪である、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記食物製品は2型糖尿病と関連する急性の目の状態の予防および/または治療において機能的である活性剤をさらに含み、前記活性剤はビタミン類、抗酸化剤および他の天然の目の健康増進成分または抽出物である、請求項24〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
前記食物製品は乳製品、パン製品、調味料、飲料および飲物、スナック類、キャンディ、アイスクリームおよび冷菓デザート、朝食シリアル、栄養バー、スナックバーチョコレート製品、調製食品、穀類製品およびパスタ、スープ、ソースおよびドレッシング、菓子製品、油脂製品、酪農およびミルク飲物、豆乳および大豆酪農様製品、冷凍食物製品、調製食および代用食、食肉加工品、チーズ、ヨーグルト、パンおよびロール、酵母製品、ケーキおよびクッキーおよびクラッカーのいずれか1つである、請求項24〜37のいずれか一項に記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−509213(P2008−509213A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525448(P2007−525448)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000854
【国際公開番号】WO2006/016357
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(507044206)エンジモテック リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000854
【国際公開番号】WO2006/016357
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(507044206)エンジモテック リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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