説明

糸球体損傷を治療するためのRAGEに関連した方法および組成物

本発明は、糸球体障害の発症を阻害し、治療するための方法、組成物、および製品を提供する。本発明は、RAGEおよび/またはRAGE G82S機能の遮断に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の全体を通して、種々の刊行物を参照する。これらの刊行物についての完全な引用は、図面の簡単な説明の直前にある。これらの刊行物の開示は、本明細書において、本明細書に記載され、且つ特許請求の範囲に記載された本発明の日付と同じ日の技術水準をより完全に記載するために、本明細書の一部として本出願に援用する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
原発性または二次的な巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)は、ヒト被験者では、不十分ながら不可逆的腎瘢痕化および腎不全に進行することが多い糸球体および尿細管間質性線維症によって特徴づけられる疾患の範囲を包含する(1)。二次的なFSGSの症例は、慢性疾患(血行力学的、免疫学的、または代謝的)に直面して発生する可能性がある。しかし、原発性および二次的疾患の両方の場合において、長年の研究にもかかわらず、これらの障害の基礎をなす分子機構は明確に理解されていない。従って、これらの障害を予防/治療する手段に対する病識は、解明されていなかった。
【0003】
しかし、これらの疾患についての合理的な治療標的を同定する際の重要な段階は、動物試験から現れる可能性がある。糸球体線維症および透過性亢進にリンクした経路を刺激する薬剤によるFSGSの発症は、初期の開始イベント、並びに後期のタンパク尿および腎瘢痕化が増幅されるという結果を追跡するための手段として有用である。これに関連して、複数の研究では、腎臓におけるヒトFSGSに類似のプロセスを誘導するために、ラットに対してピューロマイシンまたはアドリアマイシン(ADR)等の薬剤の投与を使用してきた(2-4)。加えて、ラットでのその他の研究には、不可逆的糸球体障害(5)を誘導するための手段として、受動ハイマンス腎炎(Passive Heymann Nephritis)の誘導を含んでいた。全体として、ラットにおけるこれらの研究では、特定の細胞の活性化を疾患誘導によるGSの発生および/または進行に正確にリンクさせることができないために失敗した。
【0004】
FSGS様疾患の研究に関しては、マウスにおいてADRで誘導される毒性が最初に記述されるまで、マウスモデルの不足が存在した(6-7)。2000年に、Wangおよび同僚らは、ADRの投与後42日(6週)までのADRの影響について報告した(9)。雄BALB/cマウス20〜25グラムに、IV注射によってADR 10.5 mg/kgを注射した。これらの研究者は、ADR処置したマウスにおけるイベントの時間経過を慎重に追跡し、以下のことを観察した(9)。
【0005】
第1に、全てのマウスにおいて5日までに顕性のタンパク尿が発症した。タンパク尿は、研究の6週にわたって持続した。35.7%のマウスだけが血尿を発症し、53.6%は白血球尿症を発症した。
【0006】
第2に、ADR処置したマウスでの血清アルブミンのレベルは、ADR処置の1週後に始まって、対照に対して一貫して低かった。
【0007】
第3に、クレアチニン・クリアランスは、時間とともに減少し、ADRの4週後に対照マウスと比較して有意に減少した。
【0008】
第4に、6週までに、尿細管間質膨張を伴う尿細管萎縮および管腔内円柱形成が生じ、皮質に広範に見られた。広範なFGSおよび重篤な間質性線維症および炎症が存在した。多くの糸球体において、全体的な硬化症が観察された。
【0009】
第5に、EMまでに、有足細胞の足突起の消失が生じた。1週では、消失は、部分に分かれていたが、6週には全体的であった。対照マウスでは、どの時点においても、いかなる上皮細胞異常も証明することができなかった。
【0010】
重要なこととして、この研究では、細胞浸潤および炎症を調べられた。
【0011】
第6に、ADR後の初期および後期では、ADR処置したマウスの腎臓において、CD4+およびCD8+ T細胞、並びにマクロファージが有意に増大した。これらの細胞型は、傷害後の間質において、並びに糸球体において両方で見いだされた。炎症細胞の浸潤は、ADR後のごく早期に、最初の24時間以内に確認され、ADRの数週間後まで持続した。これらの知見は、炎症が、少なくとも部分的には、糸球体摂動、線維症、およびアルブミン尿に至る分子経路において早期のトリガー、および/または後期の進行因子として寄与して、腎機能障害を生じさせるように収束するという前提を支持する。
【0012】
これらの研究は、ADRの6週間後でさえも、進行性腎損傷、タンパク尿、およびクレアチニン・クリアランスの減少が疾患の特徴であることを強調した。加えて、ADR後の細胞浸潤の時間経過調査により、疾患プロセスにおける炎症誘発性メカニズムに対する新たな洞察が明らかにされた。その他の研究では、実際に、ADR処置した腎臓への炎症性細胞浸潤が確認された(9)。実際に、ヒトFSGSは、間質における周辺(MPおよびTリンパ球)、周囲糸球体領域および糸球体からの炎症性細胞浸潤とともに、有足細胞のMP様細胞への分化の特徴を示すとの知見(1、10-12)は、FSGSのADRで誘導されるマウスモデルで提案された概念、すなわち、炎症性の刺激は、重要なことにFSGSの病因および/または進行に寄与するらしいとの概念と矛盾しない。
【0013】
ヒト被験者(およびマウスのモデル)における原発性または二次的FSGS症候群における進行性の腎機能障害および瘢痕と平行して、糸球体有足細胞の傷害および枯渇は、最終的には有足細胞「不全」および毛細血管崩壊を生じ、FSGSの発症における重要な工程として関係付けられている(13,14)。ネフローゼ症候群の大部分の場合において、有足細胞足突起の消滅は傷害の初期徴候であると考えられ、これに続いて、空胞化、偽嚢胞形成、GBMからの有足細胞の分離によって特徴付けられる進行性の有足細胞損傷の連続;有足細胞の不可逆的減少/アポトーシスに至るプロセスが生じる(15)。
【0014】
有足細胞が傷害の分子経路において単なる傍観者でなく、むしろ活性な参加者であることの重要な証拠が、TGF-β過剰発現トランスジェニック・マウスでの最近の研究によって強調された。これらのマウスでは、Smad 7の顕著なアップレギュレーションが、ダメージを受けた有足細胞で観察された。TGF-βおよびSmad7は両者とも、培養された有足細胞のアポトーシスに関連していた。前者の場合には、p38 MAPキナーゼおよびカスパーゼ-3の活性化が、TGF-βで誘導されるアポトーシスの重要な中間工程であった。後者の場合には、細胞生存因子NF-κBが核転位を抑制することにより、Smad7で誘導される有足細胞アポトーシスが導かれた(16)。これらの研究は、有足細胞における細胞情報伝達の活性化および遺伝子発現の調整が、FSGSの発症の初期のイベントである可能性があり、従って、本症の病原性に寄与しているかもしれないという概念を強調するものである。
【0015】
糸球体機能障害の発生/進行における有足細胞の重要な役割の概念は、糖尿病においても類似性を有する点に留意することが重要である。糖尿病は高度に複雑な環境であり、ここでは進行型グリケーション最終産物(Advanced Glycation Endproducts)の蓄積/活性化、PKC、特にβーアイソフォームの活性化、並びに高血糖自体等の複数が寄与する経路がこの障害の発症に関係(17-19)。有足細胞が糖尿病の初期に攪乱されること、およびVEGF等のこれら産物が、この障害における細胞の機能障害に寄与し得ることの証拠が蓄積されている(20-25)。FSGSおよびFSGS様障害のように、糸球体障害の発症および進行に対する傍観者 vs. 寄与する薬剤としての有足細胞についての症例は、未だ精力的に試験さすべきものとして残されている。
【0016】
抑制性RAGEは、糖尿病の症状の治療に関係していたが(35)、文献では、RAGEのそのリガンドに対する結合を阻害することが、糸球体障害を治療または予防する際に役割を果たすことができると結論するほどの根拠を提供していない。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、治療対象の糸球体障害の発症を阻害するための方法であって、治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤の予防的に有効な量を投与することを含む方法を提供する。
【0018】
本発明は、治療対象の糸球体障害を治療するための方法であって、治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤の治療上有効な量を投与することを含む方法を更に提供する。
【0019】
本発明は、治療対象の糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿(albunuria)の発症を阻害するための方法であって、治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤の予防的に有効な量を投与することを含む方法を更に提供する。
【0020】
本発明は、治療対象の糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿(albunuria)を治療するための方法であって、治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤の治療上有効な量を投与することを含む方法を更に提供する。
【0021】
本発明は、その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含んでなる製品であって、該パッケージング材料には、治療対象における糸球体障害の発症を阻害するための薬剤に使用することを示すラベルが添付された製品を更に提供する。
【0022】
本発明は、その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含んでなる製品であって、該パッケージング材料には、治療対象における糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿の発症を阻害するための薬剤に使用することを示すラベルが添付された製品を更に提供する。
【0023】
本発明は、その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含んでなる製品であって、該パッケージング材料には、治療対象における糸球体障害を治療するための薬剤に使用することを示すラベルが添付された製品を更に提供する。
【0024】
最後に、本発明は、その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含んでなる製品であって、該パッケージング材料には、治療対象における糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿を治療するための薬剤に使用することを示すラベルが添付された製品を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0025】
<定義>
「薬剤」とは、有機化合物、核酸、ポリペプチド、脂質、および、炭水化物を含むものとするが、これらに限定されない。薬剤は、たとえば、構造および/または機能に関して公知である薬剤、並びに構造または機能に関して公知でないものを含む。
【0026】
「抗体」とは、例として、天然に存在する抗体および天然に存在しない抗体の両方を含むものとする。具体的には、本用語は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体、並びにこれらの抗原結合断片を含む。更に、本用語は、キメラ抗体および完全合成抗体、並びにこれらの抗原結合断片を含む。
【0027】
本明細書に使用される「阻害する」とは、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合に関連して使用されるときは、このような結合を減少させることを意味するものとする。一つの実施形態において、「阻害する」とは、このような結合を除去することを意味するものとする。
【0028】
障害の発症を「阻害する」とは、障害の発症の可能性を少なくすること、または完全に障害の発症を予防することのいずれをも意味するものとする。好ましい実施形態において、障害の発症を阻害することは、その発症を完全に予防することを意味する。
【0029】
「治療対象」とは、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、モルモット、またはウサギ等の任意の動物を意味するものとする。
【0030】
障害を「治療する」とは、障害の進行を緩徐化すること、止めること、または逆転させることを意味するものとする。好ましい実施形態において、障害を治療することは、理想的には、障害自体を除去する程度まで障害の進行を逆転させることを意味する。本明細書に使用される、障害を改善すること、および障害を治療することは、同義である。
【0031】
<発明の実施形態>
本発明は、糸球体障害の発症を阻害し、および治療するための方法を提供する。本発明は、非糖尿病治療対象における糸球体障害を抑制することと、RAGEおよび/またはRAGE G82S機能をブロックすることとの間に相関があるという驚くべき発見に基づく。
【0032】
具体的には、本発明は、治療対象の糸球体障害の発症を阻害するための方法であって、治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤の予防的に有効な量を投与することを含む方法を提供する。
【0033】
本方法の一つの実施形態において、糸球体障害は、毒素の除去が減少されることと関連する。もう一つの実施形態において、糸球体障害は、糸球体硬化症と関連する。更なる実施形態において、糸球体障害は、タンパク尿と関連する。なお更なる実施形態において、糸球体障害は、アルブミン尿と関連する。
【0034】
本方法の好ましい実施形態において、治療対象は、ヒトである。一つの実施形態において、治療対象は糖尿病に罹患している。本方法のもう一つの実施形態において、治療対象は、20年未満の間糖尿病に罹患している。更なる実施形態において、治療対象は、糖尿病に罹患していない。なお更なる実施形態において、治療対象は、化学療法剤を受けているか、または受けようとしている。なお更なる実施形態において、化学療法剤はアドリアマイシンである。なお更なる実施形態において、化学療法剤は以下から選択される:5-フルオロウラシル;アクチノマイシンD;αインターフェロン;ブレオマイシン;シスプラチン;シクロホスファミド;デキサメサゾン;ドキソルビシン;エポエチンアルファ;エトポシド;グリベック;ハーセプチン;インターフェロンα;インターロイキン-2;インターロイキン-11;メトトレキセート;ノイポジェン(Neupogen);ナイトロジェンマスタード;パクリタキセル;プレドニゾロン;プレドニゾン;PROCRIT;リタキシマブ;タモキシフェン;サリドマイド;ビンブラスチン;およびビンクリスチン。更なる化学療法剤も想定され、それらはchemocare. com (http://www.chemocare.com/bio/default.sps)の一覧表に記載されている。
【0035】
本方法の一実施例において、薬剤は、可溶性RAGEである。もう一つの実施形態において、薬剤は、可溶性RAGE G82Sである。更なる実施形態において、薬剤は、RAGEに向けられた抗体である。なお更なる実施形態において、薬剤は、RAGE G82Sに向けられた抗体である。
【0036】
本発明は、治療対象の糸球体障害を治療するための方法であって、治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間と結合を阻害する薬剤の治療上有効な量を投与することを含む方法を更に提供する。
【0037】
本方法の一実施例において、糸球体障害は、毒素の除去が減少されることと関連する。もう一つの実施形態において、糸球体障害は、糸球体硬化症と関連する。更なる実施形態において、糸球体障害は、タンパク尿と関連する。なお更なる実施形態において、糸球体障害は、アルブミン尿と関連する。
【0038】
本方法の好ましい実施形態において、治療対象は、ヒトである。一つの実施形態において、治療対象は、糖尿病に罹患していない。もう一つの実施形態において、治療対象は、化学療法剤を受けているか、または受けようとしている。更なる実施形態において、化学療法剤は、アドリアマイシンである。なお更なる実施形態において、化学療法剤は、以下から選択される:5-フルオロウラシル;アクチノマイシンD;αインターフェロン;ブレオマイシン;シスプラチン;シクロホスファミド;デキサメサゾン;ドキソルビシン;エポエチンアルファ;エトポシド;グリベック;ハーセプチン;インターフェロンα;インターロイキン-2;インターロイキン-11;メトトレキセート;ノイポジェン(Neupogen);ナイトロジェンマスタード;パクリタキセル;プレドニゾロン;プレドニゾン;PROCRIT;リタキシマブ;タモキシフェン;サリドマイド;ビンブラスチン;およびビンクリスチン。更なる化学療法剤が想定されており、それらについてはchemocare. com (http://www.chemocare.com/bio/default.sps)の一覧表に記載されている。
【0039】
本方法の一実施例において、薬剤は、可溶性RAGEである。もう一つの実施形態において、薬剤は、可溶性RAGE G82Sである。更なる実施形態において、薬剤は、RAGEに向けられた抗体である。なお更なる実施形態において、薬剤は、RAGE G82Sに向けられた抗体である。
【0040】
本発明は、治療対象の糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿(albunuria)の発症を阻害するための方法であって、治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤の予防的に有効な量を投与することを含む方法を更に提供する。
【0041】
本方法の好ましい実施形態において、治療対象は、ヒトである。一つの実施形態において、治療対象は、糖尿病に罹患している。本方法のもう一つの実施形態において、治療対象は、20年未満の間糖尿病に罹患している。更なる実施形態において、治療対象は、糖尿病に罹患していない。なお更なる実施形態において、治療対象は、化学療法剤を受けているか、または受けようとしている。なお更なる実施形態において、化学療法剤は、アドリアマイシンである。なお更なる実施形態において、化学療法剤は、以下から選択される:5-フルオロウラシル;アクチノマイシンD;αインターフェロン;ブレオマイシン;シスプラチン;シクロホスファミド;デキサメサゾン;ドキソルビシン;エポエチンアルファ;エトポシド;グリベック;ハーセプチン;インターフェロンα;インターロイキン-2;インターロイキン-11;メトトレキセート;ノイポジェン(Neupogen);ナイトロジェンマスタード;パクリタキセル;プレドニゾロン;プレドニゾン;PROCRIT;リタキシマブ;タモキシフェン;サリドマイド;ビンブラスチン;およびビンクリスチン。更なる化学療法剤も想定され、それらはchemocare. com (http://www.chemocare.com/bio/default.sps)の一覧表に記載されている。
【0042】
本方法の一つの実施形態において、薬剤は、可溶性RAGEである。もう一つの実施形態において、薬剤は、可溶性RAGEG82Sである。更なる実施形態において、薬剤は、RAGEに向けられた抗体である。なお更なる実施形態において、薬剤は、RAGEG82Sに向けられた抗体である。
【0043】
本発明は、治療対象の糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿(albunuria)を治療するための方法であって、治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤の治療上有効な量を投与することを含む方法を更に提供する。
【0044】
本方法の好ましい実施形態において、治療対象は、ヒトである。一つの実施形態において、治療対象は、糖尿病に罹患していない。もう一つの実施形態において、治療対象は、化学療法剤を受けているか、または受けようとしている。更なる実施形態において、化学療法剤は、アドリアマイシンである。なお更なる実施形態において、化学療法剤は、以下から選択される:5-フルオロウラシル;アクチノマイシンD;αインターフェロン;ブレオマイシン;シスプラチン;シクロホスファミド;デキサメサゾン;ドキソルビシン;エポエチンアルファ;エトポシド;グリベック;ハーセプチン;インターフェロンα;インターロイキン-2;インターロイキン-11;メトトレキセート;ノイポジェン(Neupogen);ナイトロジェンマスタード;パクリタキセル;プレドニゾロン;プレドニゾン;PROCRIT;リタキシマブ;タモキシフェン;サリドマイド;ビンブラスチン;およびビンクリスチン。更なる化学療法剤が想定されており、これらについてはchemocare. com (http://www.chemocare.com/bio/default.sps)の一覧表に記載されている。
【0045】
本方法の一つの実施形態において、薬剤は、可溶性RAGEである。もう一つの実施形態において、薬剤は、可溶性RAGE G82Sである。更なる実施形態において、薬剤は、RAGEに向けられた抗体である。なお更なる実施形態において、薬剤は、RAGE G82Sに向けられた抗体である。
【0046】
薬剤の治療的または予防的に有効な量の決定は、動物データに基づいて、ルーチンの計算方法を使用して行うことができる。一つの実施形態において、治療的または予防的に有効な量は、適用できるものとして、約1ng〜1gの間のタンパク質を含む。もう一つの実施形態において、有効な量は、適用できるものとして、約10ng〜100mgの間のタンパク質を含む。更なる実施形態において、有効な量は、適用できるものとして、約100ng〜10mgの間のタンパク質を含む。なお更なる実施形態において、有効な量は、適用できるものとして、約1μg〜1mgの間のタンパク質を含む。なお更なる実施形態において、有効な量は、適用できるものとして、約10μg〜100μgの間のタンパク質を含む。なお更なる実施形態において、有効な量は、適用できるものとして、約10μg〜10mgの間のタンパク質を含む。なお更なる実施形態において、薬剤の有効な量は、薬剤が可溶性RAGEの場合、約2μg/kg/hr〜約100μg/kg/hr(たとえば、約5、10、25、50、または75μg/kg/hr)の割合で治療対象に投与される。
【0047】
本発明において、薬剤を投与することは、当業者に公知の種々の方法およびデリバリー系のいずれを使用して行うこと、または実施することもできる。投与することは、たとえば、静脈内に、経口的に、インプラントを経て、経粘膜的に、経皮的に、筋肉内に、および皮下に行うことができる。多くのルーチン的に使用される薬学的キャリアを使用する以下のデリバリー系は、本組成物を投与するために考えられる多くの実施形態の代表的なものだけである。
【0048】
注射用ドラッグデリバリー系は、溶液、懸濁液、ゲル、微粒子および重合体の注射可能薬物を含み、溶解度変更薬(たとえば、エタノール、プロピレングリコール、およびショ糖)および重合体(たとえば、ポリカプリルアクトン(polycaprylactones)およびPLGAのもの)等の賦形剤を含むことができる。移植可能な系は、ロッドおよびディスクを含み、PLGAおよびポリカプリルアクトン等の賦形剤を含むことができる。
【0049】
経口デリバリー系は、タブレットおよびカプセルを含む。これらは、結合剤(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrilodone)、その他のセルロース材料、およびデンプン)、希釈剤(たとえば、乳糖およびその他の糖、デンプン、リン酸二カルシウム、およびセルロース材料)、崩壊剤(たとえば、デンプン重合体、およびセルロース材料)、および滑沢剤(たとえば、ステアラートおよびタルク)等の賦形剤を含むことができる。
【0050】
経粘膜デリバリー系は、パッチ、タブレット、坐薬、ペッサール、ゲル、およびクリームを含み、可溶化剤および賦活薬(たとえば、プロピレングリコール、胆汁酸塩、およびアミノ酸)、およびその他の媒体(たとえば、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル、および誘導体、並びにヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒアルロン酸等の親水性重合体等の賦形剤を含むことができる。
【0051】
経皮デリバリー系は、たとえば、水性および非水系のゲル、クリーム、多層乳剤、ミクロエマルジョン、リポソーム、軟膏、水性および非水系の溶液、ローション、エアロゾル、炭化水素基剤、並びに粉末を含み、可溶化剤、浸透賦活薬(たとえば、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、およびアミノ酸)、および親水性重合体(たとえば、ポリカルボフィル、およびポリビニルピロリドン(polyvinylpyrolidone)等の賦形剤を含むことができる。一つの実施形態において、薬学的に許容されるキャリアは、リポソームまたは経皮賦活薬である。
【0052】
再構成可能なデリバリー系のための溶液、懸濁液、および粉末は、懸濁剤(たとえば、歯肉、ザンタン(zanthans)、セルロース誘導体、および糖)、湿潤剤(たとえば、ソルビトール)、可溶化剤(たとえば、エタノール、水、PEG、およびプロピレングリコール)、界面活性物質(たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム、スパン、ツイーン、およびセチルピリジン)、防腐剤および抗酸化物(たとえば、パラベン、ビタミンEおよびC、並びにアスコルビン酸)、抗固化薬、コーティング薬、およびキレート薬(たとえば、EDTA)等の媒体を含む。
【0053】
本発明の一つの実施形態において、使用されるデリバリー系は、水単独よりも多くのもの、または緩衝液単独よりも多くのものを含む。
【0054】
本発明は、その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含む製品であって、該パッケージング材料には、治療対象における糸球体障害の発症を阻害するための薬剤に使用することを示すラベルが添付された製品を更に提供する。本発明は、その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含む製品であって、該パッケージング材料には、治療対象における糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿の発症を阻害するための薬剤に使用することを示すラベルが添付された製品を更に提供する。
【0055】
本製品の好ましい実施形態において、治療対象は、ヒトである。一つの実施形態において、治療対象は、糖尿病に罹患している。本方法のもう一つの実施形態において、治療対象は、20年未満の間糖尿病に罹患している。更なる実施形態において、治療対象は、糖尿病に罹患していない。なお更なる実施形態において、治療対象は、化学療法剤を受けているか、または受けようとしている。なお更なる実施形態において、化学療法剤は、アドリアマイシンである。なお更なる実施形態において、化学療法剤は、以下から選択される:5-フルオロウラシル;アクチノマイシンD;αインターフェロン;ブレオマイシン;シスプラチン;シクロホスファミド;デキサメサゾン;ドキソルビシン;エポエチンアルファ;エトポシド;グリベック;ハーセプチン;インターフェロンα;インターロイキン-2;インターロイキン-11;メトトレキセート;ノイポジェン(Neupogen);ナイトロジェンマスタード;パクリタキセル;プレドニゾロン;プレドニゾン;PROCRIT;リタキシマブ;タモキシフェン;サリドマイド;ビンブラスチン;およびビンクリスチン。更なる化学療法剤が想定され、それらはchemocare. com (http://www.chemocare.com/bio/default.sps)の一覧表に記載されている。
【0056】
本製品の一つの実施形態において、薬剤は、可溶性RAGEである。もう一つの実施形態において、薬剤は、可溶性RAGE G82Sである。更なる実施形態において、薬剤は、RAGEに向けられた抗体である。なお更なる実施形態において、薬剤は、RAGE G82Sに向けられた抗体である。
【0057】
本発明は、その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含む製品であって、パッケージング材料には、治療対象における糸球体障害を治療するための薬剤に使用することを示すラベルが添付された製品を更に提供する。最後に、本発明は、その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含む製品であって、該パッケージング材料には、それに対して、治療対象における糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿を治療するための薬剤に使用することを示すラベルが添付された製品を提供する。
【0058】
本製品の好ましい実施形態において、治療対象は、ヒトである。一つの実施形態において、治療対象は、糖尿病に罹患していない。もう一つの実施形態において、治療対象は、化学療法剤を受けているか、または受けようとしている。更なる実施形態において、化学療法剤は、アドリアマイシンである。なお更なる実施形態において、化学療法剤は、以下から選択される:5-フルオロウラシル;アクチノマイシンD;αインターフェロン;ブレオマイシン;シスプラチン;シクロホスファミド;デキサメサゾン;ドキソルビシン;エポエチンアルファ;エトポシド;グリベック;ハーセプチン;インターフェロンα;インターロイキン-2;インターロイキン-11;メトトレキセート;ノイポジェン(Neupogen);ナイトロジェンマスタード;パクリタキセル;プレドニゾロン;プレドニゾン;PROCRIT;リタキシマブ;タモキシフェン;サリドマイド;ビンブラスチン;およびビンクリスチン。更なる化学療法剤が想定されており、それらについてはchemocare. com (http://www.chemocare.com/bio/default.sps)の一覧表に記載されている。
【0059】
本製品の一つの実施形態において、薬剤は、可溶性RAGEである。もう一つの実施形態において、薬剤は、可溶性RAGE G82Sである。更なる実施形態において、薬剤は、RAGEに向けられた抗体である。なお更なる実施形態において、薬剤は、RAGE G82Sに向けられた抗体である。
【0060】
本発明は、以下の実験の詳細の節で例証される。この節は、本発明の理解を助けるために記載するものであり、如何なるいみにおいても、特許請求の範囲に記載した本発明を限定するものではなく、且つそのように限定して解釈されるべきでものではない。
【実験の詳細】
【0061】
<方法>
動物研究:
6週齢の雄BALB/cマウスには、アドリアマイシン(ADR)、10.5 mg/kgの1回経静脈用量を受けさせた。ADRの注射直後に、マウスには、マウス可溶性RAGE(RAGEの細胞外リガンド結合ドメイン)の1日1回の投与を、1日あたり100μg受けさせ、ADR処置時に直ちに開始して、屠殺日まで続けた。
【0062】
形態学的研究:
切開した腎臓を緩衝ホルマリン(10%)中で一晩固定し、次いで光学顕微鏡観察のためにルーチン的に処理した。固定されたパラフィン包埋組織を切断し(厚さ3μm)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(Sigma)で被覆したスライドにマウントし、続いて37℃で一晩インキュベーションした。過ヨウ素酸シッフ(PAS)で染色後に、光学顕微鏡視野をコンピュータにスキャンし、Zeiss顕微鏡およびイメージ分析システム(MediaCybernetics)を使用して、糸球体間質マトリックスおよび糸球体の領域の定量化を行った。糸球体間質の領域を算出するためには、核のない領域だけを含めた。それぞれの動物からの40個の糸球体を染色切片上でランダムに選択した(外側領域から20個および内側領域から20個)。形態計測は、実験プロトコルを隠された研究者によって行った。
【0063】
機能的研究:
それぞれの動物から、代謝ケージを使用して24時間の採尿を得た。尿アルブミンおよびクレアチニンは、Exocell(Philadelphia, PA)からのAlbuwell Mおよびクレアチニン・アッセイ法を使用して、製造業者の説明書に従って決定した。
【0064】
統計解析:
平均±平均の標準誤差(SE)を報告してある。統計的有意性(p<0.05と定義した)は、分散分析によって決定した。示した場合にはStatView 4.0(Abacus Concepts, Inc., Barkeley, CA)を使用してダネットt検定を使用するポスト-ホック(post-hoc)解析を使用した。
【0065】
<結果>
RAGEおよび細胞の活性化:
FSGSの発症における炎症細胞および有足細胞の役割に関して、AGE(RAGE)の受容体の役割を最初に推測した。RAGEは、異なった分子に結合する細胞表面分子の免疫グロブリンスーパーファミリーの多リガンド・メンバーであり(26-27);リガンド-RAGE相互作用により、RAGEを媒介した作用に必要とされる細胞シグナリング経路を活性化する(たとえば、NF-κB;p44/p42、p38およびSAPK/JNK MAPキナーゼ;cdc42/rac;並びにJAK/STATなど)(28-33)。重大なことに、RAGEのサイトゾル尾部の欠失は、培養細胞において、およびインビボにおいてドミナントネガティブな効果を与える。
【0066】
RAGEは、主に糸球体の有足細胞に発現される。
【0067】
本知見は、糸球体におけるRAGE発現の主要部位が、有足細胞であり、恒常性において低レベルであり(34);有足細胞RAGE発現は、ヒトおよびマウスの糖尿病においてアップレギュレートされる(34)ことを証明した。
【0068】
RAGEが、ADRを媒介したFSGSの発症に関与しているかもしれないという概念に取り組むために、6週齢の雄BALB/cマウスに対してADR、10.5 mg/kgの単回注射を投与した。ADR処置したマウスには、マウス可溶性RAGE(RAGEの細胞外リガンド結合ドメイン)の1日1回の投与を、1日あたり100μg受けさせ、ADR処置時に直ちに開始して、屠殺日まで続けた。その他のADR処置したマウスには、媒体、PBSを受けさせた。ADRの2週および6週後には、腎臓重量/体重の比が、PBS処置したマウスに対してsRAGE処置したマウスにおいて有意に減少した。ADRの2週および6週後の糸球体間質領域の調査により、時間依存的な様式で、糸球体間質領域が増大されること、およびPAS染色による糸球体間質マトリックス/糸球体領域画分が増大されることに、ADR投与が関連したことが明らかになった(それぞれ、図1 & 2)。2週および6週において、sRAGEの投与により、PBS治療と比較して有意に糸球体間質領域および糸球体間質/糸球体領域が減少された(それぞれ、図1 & 2)。
【0069】
これらの概念の鍵となる試験は、RAGEの遮断がアルブミン尿の発症を抑制する程度であった。マウスを代謝ケージに配置し、24時間尿を収集した。アルブミンおよびクレアチニンの尿レベルを決定し;結果をμgアルブミン/μgクレアチニンとして報告してある。ADRの2週後に、PBS処置したマウスは、ADRを受けていない食塩水処置したマウスと比較して、尿アルブミン/クレアチニンの〜10倍増加を示した(809.55±365.85対85.78±17.56アルブミン/クレアチニン;p<0.01)(図3)。ADRおよびsRAGEを受けているマウスでは、アルブミン/クレアチニンのレベルが著しく減少された(191.08±49.93;ADRを受けているPBS処置したマウスに対し、p<0.05)(図3)。6週でも、結果は同じように顕著であった。ADRを受けているPBS処置したマウスは、ADRを受けていない対照マウスにおける84.47±49.93に対して、1,362.96±987.97尿アルブミン/クレアチニンを示した;p<0.01(図3)。sRAGEの存在下では、ADRを媒介したアルブミン尿が、249.76±283.19μgアルブミン/クレアチニンに有意に減少していた;PBS/ADRに対し、p<0.01(図3)。
【0070】
まとめると、これらの知見は、RAGE活性化が、重要なことに糸球体障害にリンクしたメカニズムに寄与するという仮説を強く支持する。可溶性RAGEの投与は、糸球体硬化症誘導薬の投与による糸球体障害の形態的および機能的な指標に対して、有意な保護をもたらした。RAGE遮断は、このクラスの疾患において糸球体障害を予防するための新たな手段として提唱される。
【参考文献】
【0071】







【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】BALB/cマウスに対するADRの投与:sRAGEの効果。BALB/cマウスをADRまたは対照(塩類)で処置した。ADR処置したマウスには、sRAGEまたはPBSを受けさせた。ADRの2週後に、腎臓wt/体wt比並びに糸球体間質領域および糸球体間質/糸球体の画分を決定した。N=5マウス/群。統計的考慮を図に示してある。
【図2】BALB/cマウスに対するADRの投与:sRAGEの効果。BALB/cマウスをADRまたは対照(塩類)で処置した。ADR処置したマウスには、sRAGEまたはPBSを受けさせた。ADRの6週後に、腎臓wt/体wt比並びに糸球体間質領域および糸球体間質/糸球体の画分を決定した。N=5マウス/群。統計的考慮を図に示してある。
【図3】RAGEの遮断は、ADRの投与後のアルブミン尿を抑制する。ADRの2週および6週後にて尿アルブミン/クレアチニン比を決定した。N=5マウス/症状。N=5マウス/症状。統計的考慮を図に示してある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療対象の糸球体障害の発症を阻害するための方法であって、前記治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤の予防的に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記糸球体障害が前記治療対象からの減少された毒素の除去と関連する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記糸球体障害が糸球体硬化症と関連する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記糸球体障害がタンパク尿と関連する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記糸球体障害がアルブミン尿と関連する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記治療対象がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記治療対象が糖尿病に罹患している、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記治療対象が20年未満の間糖尿病に罹患している、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記治療対象が糖尿病で悩まさていれない、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記治療対象が化学療法剤を受けているか、または受けようとしている、請求項6記載の方法。
【請求項11】
前記化学療法剤がアドリアマイシンである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記薬剤が可溶性RAGEである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記薬剤が可溶性RAGE G82Sである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記薬剤がRAGEに向けられた抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記薬剤がRAGE G82Sに向けられた抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
治療対象の糸球体障害を治療するための方法であって、前記治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間と結合を阻害する薬剤の治療上有効な量を投与することを含む方法。
【請求項17】
前記糸球体障害が前記治療対象からの毒素の除去が減少されることと関連する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記糸球体障害が糸球体硬化症と関連する、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記糸球体障害がタンパク尿と関連する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記糸球体障害がアルブミン尿と関連する、請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記治療対象がヒトである、請求項16記載の方法。
【請求項22】
前記治療対象が糖尿病に罹患していない、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記治療対象が化学療法剤を受けているか、または受けようとしている、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記化学療法剤がアドリアマイシンである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記薬剤が可溶性RAGEである、請求項16記載の方法。
【請求項26】
前記薬剤が可溶性RAGE G82Sである、請求項16記載の方法。
【請求項27】
前記薬剤がRAGEに向けられた抗体である、請求項16記載の方法。
【請求項28】
前記薬剤がRAGE G82Sに向けられた抗体である、請求項16記載の方法。
【請求項29】
治療対象の糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿(albunuria)の発症を阻害するための方法であって、治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤の予防的に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項30】
前記治療対象がヒトである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記治療対象が糖尿病で悩まされる、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記治療対象が20年未満の間糖尿病に罹患している、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記治療対象が糖尿病に罹患していない、請求項30記載の方法。
【請求項34】
前記治療対象が化学療法剤を受けているか、または受けようとしている、請求項30記載の方法。
【請求項35】
前記化学療法剤がアドリアマイシンである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記薬剤が可溶性RAGEである、請求項29記載の方法。
【請求項37】
前記薬剤が可溶性RAGE G82Sである、請求項29記載の方法。
【請求項38】
前記薬剤がRAGEに向けられた抗体である、請求項29記載の方法。
【請求項39】
前記薬剤がRAGE G82Sに向けられた抗体である、請求項29記載の方法。
【請求項40】
治療対象の糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿(albunuria)を治療するための方法であって、前記治療対象に対して、RAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤の治療上有効な量を投与することを含む方法。
【請求項41】
前記治療対象がヒトである、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記治療対象が糖尿病に罹患していない、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記治療対象が化学療法剤を受けているか、または受けようとしている、請求項41記載の方法。
【請求項44】
前記化学療法剤がアドリアマイシンである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記薬剤が可溶性RAGEである、請求項40記載の方法。
【請求項46】
前記薬剤が可溶性RAGE G82Sである、請求項40記載の方法。
【請求項47】
前記薬剤がRAGE 48に向けられた抗体である、請求項40記載の方法。
【請求項48】
前記薬剤がRAGE G82Sに向けられた抗体である、請求項40記載の方法。
【請求項49】
その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含む製品であって、前記パッケージング材料には、治療対象における糸球体障害の発症を阻害するための薬剤に使用することを示すラベルが添付されている製品。
【請求項50】
その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含む製品であって、前記パッケージング材料には、治療対象における糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿の発症を阻害するための薬剤に使用することを示すラベルが添付されている製品。
【請求項51】
前記治療対象がヒトである、請求項49または50記載の製品。
【請求項52】
前記治療対象が糖尿病に罹患している、請求項51記載の製品。
【請求項53】
前記治療対象が20年未満の間糖尿病に罹患している、請求項52記載の製品。
【請求項54】
前記治療対象が糖尿病に罹患していない、請求項51記載の製品。
【請求項55】
前記治療対象が化学療法剤を受けているか、または受けようとしている、請求項51記載の製品。
【請求項56】
前記化学療法剤がアドリアマイシンである、請求項55記載の製品。
【請求項57】
前記薬剤が可溶性RAGEである、請求項49または50記載の製品。
【請求項58】
前記薬剤が可溶性RAGE G82Sである、請求項49または50記載の製品。
【請求項59】
前記薬剤が可溶性RAGEに向けられた抗体である、請求項49または50記載の製品。
【請求項60】
前記薬剤が可溶性RAGE G82Sに向けられた抗体である、請求項49または50記載の製品。
【請求項61】
その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含む製品であって、前記パッケージング材料には、治療対象における糸球体障害を治療するための薬剤に使用することを示すラベルが添付されている製品。
【請求項62】
その中にRAGEおよび/またはRAGE G82Sとこれらのリガンドとの間の結合を阻害する薬剤を有するパッケージング材料を含む製品であって、前記パッケージング材料には、治療対象における糸球体硬化症、タンパク尿、またはアルブミン尿を治療するための薬剤に使用することを示すラベルが添付されている製品。
【請求項63】
前記治療対象がヒトである、請求項61または62記載の製品。
【請求項64】
前記治療対象が糖尿病に罹患していない、請求項63記載の製品。
【請求項65】
前記治療対象が化学療法剤を受けているか、または受けようとする、請求項63記載の製品。
【請求項66】
前記化学療法剤がアドリアマイシンである、請求項65記載の製品。
【請求項67】
前記薬剤が可溶性RAGEである、請求項61または62記載の製品。
【請求項68】
前記薬剤が可溶性RAGE G82Sである、請求項61または62記載の製品。
【請求項69】
前記薬剤が可溶性RAGEに向けられた抗体である、請求項61または62記載の製品。
【請求項70】
前記薬剤が可溶性RAGE G82Sに向けられた抗体である、請求項61または62記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−504247(P2007−504247A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525468(P2006−525468)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/028712
【国際公開番号】WO2005/023191
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(592104782)ザ・トラスティーズ・オブ・コランビア・ユニバーシティー・イン・ザ・シティー・オブ・ニューヨーク (21)
【氏名又は名称原語表記】THE TRUSTEES OF COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
【Fターム(参考)】