説明

紅茶製造方法

【課題】既存の緑茶用製造プラントにそなえられた製茶機械を、緑茶製造時とは使用法を変えて使用することで、緑茶用品種から高品質な紅茶を安価に製造できるようにする。
【解決手段】緑茶用製造プラントの生葉管理機(C1)を用いて茶葉を減水させて茶葉の萎凋を行なう萎凋工程P1と、緑茶用製造プラントの蒸機(C2)を用いて萎凋工程P1後の茶葉を破砕圧壊する茶葉破砕工程P2と、蒸葉処理機(C3),葉打ち機(C4)および該粗揉機(C5),(C6)のうちの少なくとも一つを用いて茶葉を減水させて萎凋補足を行なう萎凋補足工程P3と、緑茶用製造プラントの揉捻機(C7)を用いて萎凋補足工程P3後の茶葉と空気との混合を促進させて茶葉の発酵を促進させる揉捻加重工程P4とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の緑茶用製造プラント(緑茶工場)を用いて紅茶を製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、紅茶は、茶葉中の酸化酵素の働き等によって、主にタンニンを酸化させた茶である。したがって、紅茶の製造工程には、緑茶の製造工程において通常行なわれる蒸熱(高温の蒸気をあてて茶葉を蒸すこと)や炒り葉(高温の鉄製円筒内で蒸し焼きにする)等の失活(葉内酵素を不活化する)工程がない。なお、茶業界では、この「タンニンの酸化」を「発酵」と呼ぶ。
【0003】
ここで、一般的な紅茶の製造工程、および、一般的な緑茶の製造工程について、それぞれ説明する。
一般的な紅茶の製造工程には、(A1)萎凋,(A2)揉捻,(A3)玉解きおよび篩い分け,(A4)発酵,(A5)乾燥の5工程が含まれている。これらの工程(A1)〜(A5)の詳細は以下のとおりである。
【0004】
(A1)萎凋
萎凋の目的は、茶葉内の水分を減じて茶葉を柔らかくするとともに葉内の化学変化(主として酵素による作用)により香味を高めることである。
萎凋には、(a)自然萎凋,(b)人工萎凋,(c)日干萎凋の3種類があるが、経済効率は、人工萎凋が高い。
【0005】
(A2)揉捻
揉捻の目的は、茶葉の発酵(酸化)が促進されるように、茶葉組織や細胞を破砕して細胞液を搾り出すことである。
この揉捻を行なう揉捻機としては、茶葉を細かく砕く「ブロークン揉捻機」と細かく砕かない「普通揉捻機」との2種類があるが、我が国の緑茶製造工場で一般に使用されている揉捻機は、すべて後者の「普通揉捻機」(図6および図7を参照しながら後述)である。「ブロークン揉捻機」は、紅茶製造のための専用機械である。
【0006】
(A3)玉解き・篩い分け
玉解き・篩い分けの目的は、揉捻によって茶葉が絡み合い小玉状となった状態を解きほぐし、発酵(酸化)が均一に進むようにすることと、揉捻等で温まった茶葉を冷やすことである。また、揉捻により破砕が不十分であった茶葉を、再度、揉捻にかけるために篩い分ける役目もある。
【0007】
(A4)発酵
発酵の目的は、発酵を促進させることよりも紅茶としての香味や水色が適切に発現するように発酵の程度を調節することである。この工程によって、タンニン(主としてカテキン)が酸化・重合するともに、香味の刺激性や収斂味(青草を噛んだ様な味)が減少し、紅茶の品質が決定される。
【0008】
(A5)乾燥
乾燥の目的は、発酵(酸化)の進行を適切な時点で止め、長期間保存できる状態にすることである。この工程においては、茶葉を大量の高温風に曝し、急速に茶温を上げて発酵を止め(荒乾燥という)、引き続き焦げない程度の温風を送り、水分含量5%程度まで茶葉を乾燥させる(本乾燥という)。
【0009】
ついで、一般的な緑茶製造工程と、各工程で用いられる製茶機とについて説明する。
一般的な緑茶の製造工程には、(B1)蒸熱,(B2)粗揉,(B3)揉捻,(B4)中揉,(B5)精揉,(B6)乾燥の6工程が含まれている。これら6工程を行なう緑茶用製造プラント(緑茶工場)における機械配列は、例えば、(C1)生葉管理機,(C2)蒸機,(C3)蒸葉処理機,(C4)葉打ち機,(C5)第1粗揉機,(C6)第2粗揉機,(C7)揉捻機,(C8)第1中揉機,(C9)第2中揉機,(C10)選別機,(C11)精揉機,(C12)乾燥機となっている。そして、各工程(B1)〜(B6)の詳細は以下のとおりである。
【0010】
(B1)蒸熱
蒸熱の目的は、茶葉内の酵素を失活(茶業用語では、殺青という)させ、内容成分の変性を防ぐことである。
この工程では、(C2)蒸機が用いられる。この蒸機(C2)は、図3に示すように、金属網製円筒11内に、攪拌羽根12をそなえた金属棒(シャフト)13を設置したもので、上記円筒11内にボイラー(図示略)から蒸気を送りながら両者を回転させ、上記円筒11内に生葉を通過させることによって高い処理効率と均一な殺青ができるようになっている。
【0011】
なお、蒸熱を行なう前には、(C1)生葉管理機を用いて生葉の品質劣化抑制が行なわれている。この生葉管理機(C1)は、図4に示すように、ベルトコンベア14によって搬送されてくる生葉を収容する金属製の箱(生葉コンテナ)15を有するとともに、このコンテナ15の底面から同コンテナ15内へ送風ファン16によって湿った空気を送り込む構造を有する茶葉保管装置で、このように湿った空気を送り込むことで、コンテナ14によって搬入されたされた生葉の品質劣化を最小限に抑制している。
【0012】
(B2)粗揉
粗揉の目的は、蒸熱した茶葉(以下、蒸葉という)を加熱した空気に曝しながら、適度な圧迫と摩擦により蒸葉を柔らかくし、水分を蒸発させることである。
この工程では、(C5)第1粗揉機、および、(C6)第2粗揉機が用いられる。これらの粗揉機(C5)および(C6)は、いずれも、図5に示すように、半円筒形底部をもつ箱(容器)17をそなえており、その箱17の中を1本の金属棒(シャフト)18が貫通するとともに、この金属棒18に、箱17の底面まで延びる揉み手19と茶葉攪拌のための葉ざらい手(攪拌棒)20とがそなえられている。そして、金属棒18が回転することにより、揉み手19と葉ざらい手20とが、箱17における半円筒形底面との僅かな隙間で蒸葉を圧迫、摩擦し、茶葉内の水分を搾り出し、さらに、その箱17内へ送風ファン21から熱風(温風)が吹き込まれるように構成されている。ここで、(C5)第1粗揉機と(C6)第2粗揉機とは、いずれも図5に示す構造を有しているが、必要に応じて、揉み手19に付勢するバネ力の強さや送風ファン21による風量の設定を変更されて2段連続で用いられる。
【0013】
なお、粗揉を行なう前には、(C3)蒸葉処理機、および、(C4)葉打ち機による処理が行なわれる。蒸葉処理機(C3)は、図5に示す粗揉機(C5),(C6)とほぼ同様に構成されているが、粗揉機(C5),(C6)における揉み手19および葉ざらい手(攪拌棒)20のうちの葉ざらい手(攪拌棒)20のみを有している点で、図5に示す粗揉機(C5),(C6)と異なっている。そして、この蒸葉処理機(C3)は、蒸機(C2)の後段に設置され、蒸機(C2)で茶葉表面に付着した水分(水滴)を、熱風(温風)を送り込みながら撹拌することで除去し、次工程での蒸葉の乾燥効率を高めることを目的としている。また、葉打ち機(C4)も、図5に示す粗揉機(C5),(C6)とほぼ同様に構成されており、粗揉機(C5),(C6)の前段(蒸葉処理機(C4)の後段)に設置される。そして、葉打ち機(C4)は、粗揉機(C5),(C6)による粗揉で効率よく蒸葉の乾燥をできるよう、茶葉を下揉みすることを目的としている。
【0014】
(B3)揉捻
揉捻の目的は、粗揉工程での揉み込みの過不足や蒸葉内水分の不均一を解消することである。
この工程では、(C7)揉捻機が用いられる。この揉捻機(C7)においては、図6に示すように、粗揉の終わった茶葉を金属円筒(もみおけ)22内に詰め、その金属円筒22内の茶葉を蓋23によって加圧しながら金属円筒22を変心回転させることで、蒸葉が一塊となって揉捻盤24に対して強く押し付けられながら揉まれるようになっている。
【0015】
なお、この揉捻機(C7)の金属円筒22や蓋23の上方には、図7に示すように、分銅さお25と、モータ(図示略)によって駆動され分銅さお25に沿って移動する分銅(力点)26とがそなえられている。そして、分銅さお25は、支点27を介しこの支点27まわりに揺動可能に金属円筒22に支持されるとともに、作用点としての蓋23に連結されている。このような構成により、力点としての分銅26を分銅さお25に沿って移動させることにより、茶葉に対して作用する、蓋23による圧力(加重量)が変動・調節されるようになっている。例えば、分銅26が分銅さお25上で図7の右側に移動すると、茶葉に対して作用する、蓋23による圧力は大きくなる一方、分銅26が分銅さお25上で図7の左側に移動すると、茶葉に対して作用する、蓋23による圧力は小さくなる。
【0016】
(B4)中揉
中揉の目的は、揉捻によって不整形で水分状態が均一となった蒸葉を、次段階(精揉)での整形作業に都合の良いように、蒸葉に「よれ形」と「締り」を与えることである。
この工程では、(C8)第1中揉機、および、(C9)第2中揉機が用いられる。これらの中揉機(C8)および(C9)においては、回転する円筒(以下、回転胴という)内に、同じ方向に回転する揉み手がそなえられており、回転胴の内面と揉み手とのすき間を蒸葉が通過する時に、蒸葉が軽く圧迫されながら捩れ、蒸葉から染み出た水分を回転胴の横から送り込む温風によって徐々に乾燥させるように構成されている。
【0017】
(B5)精揉
精揉の目的は、蒸葉内水分を減少させながらの整形することである。
この工程では、(C11)精揉機が用いられる。この精揉機(C11)においては、火炉で温められた揉み釜の底部に波上の揉盤がそなえられ、その上部の揉み手が左右に振幅するようになっている。揉盤と揉み手との間に入った蒸葉は、揉み手の振幅と圧迫によって捩れながら乾燥し、最終的に茶葉水分量は11〜13%程度まで低下することになる。なお、精揉機(C11)に送り込まれる茶葉には、精揉機(C11)の前段における(C10)選別機による選別処理が施されている。
【0018】
(B6)乾燥
乾燥の目的は、70〜80℃の熱風を送り、茶葉水分を3〜4%まで減少させ、香味と保存性を向上させることである。
この工程では、(C12)乾燥機が用いられる。この乾燥機(C12)においては、金属製の箱内に、金属製の網状ベルトが段状に設置されており、その網状ベルト上に広げられた茶葉が移動しながら、火炉から送られる熱風によって乾燥しながら下段に送られ、30〜40分で乾燥し終えるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、茶は、季節性が強い作物(消費者の感覚に旬の意識が強い)で、八十八夜(通常5月2日)に爆発的な需要がある。したがって、茶商は、荒茶(茶工場で製造された茶)を茶市場で買い付ける際、5月2日に商品(新茶)として並べることが出来る日(普通4月30日)以前の買い付けでは、買い付け意欲が強い強相場となるが、それ以降は意欲が低下した弱相場になる。このため、収穫期が強相場となる時期とずれる煎茶産地で製造された茶は、茶市場における取引単価が低くなってしまう。そこで、このような煎茶産地では高付加価値茶の開発、例えば、煎茶産地で栽培されている緑茶用品種(日本国で栽培される茶はほぼ全て緑茶用)と、煎茶産地では既存の緑茶用製造プラント(緑茶工場)とをそのまま活用しながら高品質で安価な紅茶を製造する技術の開発が望まれている。
【0020】
また、我が国において、紅茶専用品種と紅茶用製造プラントとをそなえた紅茶産地はほぼ皆無である。昨今の外国産農産物の偽装等による信用失墜に伴って国産紅茶の需要は増加傾向にあるが、我が国においては上述のような紅茶産地が無いことから、今後、緑茶用品種と緑茶用製造プラントとを活用しながら高品質で安価な紅茶を製造するための技術の開発が望まれている。
【0021】
しかしながら、緑茶用品種は、紅茶用品種とは異なり、発酵(化学的には酸化)しにくい特性があるため、高品質な紅茶になり難く、上述した一般的な紅茶の製造工程によって緑茶用品種から製造された紅茶は、青草を噛んだような香味となり、飲用に耐え難い紅茶となる。
また、一般的な紅茶の製造工程では、専用機械(例えば、上述したような、茶葉を細かく砕く「ブロークン揉捻機」)を必要とする工程(揉捻工程)があり、そのような専用機械などを追加整備することは、採算性が合わないため採用することができない。
【0022】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、既存の緑茶工場(緑茶用製造プラント)にそなえられた製茶機械を、緑茶製造時とは使用法を変えて使用することで、緑茶用品種から高品質な紅茶を安価に製造できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、本発明の紅茶製造方法(請求項1)は、緑茶用製造プラントを用いて紅茶を製造する方法であって、緑茶製造時には、蒸気を送り込みながら、茶葉を収容する金属網製円筒と該円筒内の攪拌羽根付きシャフトとをそれぞれ所定回転数で回転させることにより茶葉内の酵素を失活させる蒸熱工程を実行する、該緑茶用製造プラントの蒸機において、蒸気を送ることなく緑茶製造時の前記所定回転数よりも高い回転数で該円筒と該シャフトとをそれぞれ回転させることにより、茶葉の発酵に先立ち、該蒸機を用いて茶葉を破砕圧壊する茶葉破砕工程を含むことを特徴としている。
【0024】
また、本発明の紅茶製造方法(請求項2)は、緑茶用製造プラントを用いて紅茶を製造する方法であって、
緑茶製造時には生葉を収容するコンテナ内へ湿った空気を送り込むことにより生葉の品質劣化抑制を行なう、該緑茶用製造プラントの生葉管理機において、茶葉を収容する該コンテナ内に乾燥した温風を送風することにより、茶葉の破砕圧壊に先立ち、該生葉管理機を用いて茶葉を減水させて茶葉の萎凋を行なう萎凋工程と、
緑茶製造時には熱風を送り込みながら茶葉を攪拌することにより茶葉表面に付着した水分を除去する、該緑茶用製造プラントの蒸葉処理機と、緑茶製造時には茶葉の下揉みを行なう、該緑茶用製造プラントの葉打ち機と、緑茶製造時には熱風を送り込みながら茶葉を圧迫摩擦することにより茶葉内の水分を蒸発させる粗揉を実行する、該緑茶用製造プラントの粗揉機とのうちの少なくとも一つにおいて、熱風を送り込みながら該萎凋工程後の茶葉を揉み込むことにより、茶葉の発酵に先立ち、該蒸葉処理機,該葉打ち機および該粗揉機のうちの少なくとも一つを用いて茶葉を減水させて萎凋補足を行なう萎凋補足工程とを含むことを特徴としている。
【0025】
また、本発明の紅茶製造方法(請求項3)は、緑茶用製造プラントを用いて紅茶を製造する方法であって、緑茶製造時にはもみおけ内の茶葉を蓋によって加圧しながら該もみおけを変心回転させることにより揉み込みの過不足や蒸葉内水分の不均一を解消する揉捻工程を実行する、該緑茶用製造プラントの揉捻機において、該もみおけ内の茶葉に対する該蓋による圧力を調節して加重と抜重とを交互に繰り返すことにより、該揉捻機を用いて茶葉と空気との混合を促進させて茶葉の発酵を促進させる揉捻加重工程を含むことを特徴としている。
【0026】
さらに、本発明の紅茶製造方法(請求項4)は、緑茶用製造プラントを用いて紅茶を製造する方法であって、
緑茶製造時には生葉を収容するコンテナ内へ湿った空気を送り込むことにより生葉の品質劣化抑制を行なう、該緑茶用製造プラントの生葉管理機において、茶葉を収容する該コンテナ内に乾燥した温風を送風することにより、該生葉管理機を用いて茶葉を減水させて茶葉の萎凋を行なう萎凋工程と、
緑茶製造時には、蒸気を送り込みながら、茶葉を収容する金属網製円筒と該円筒内の攪拌羽根付きシャフトとをそれぞれ所定回転数で回転させることにより茶葉内の酵素を失活させる蒸熱工程を実行する、該緑茶用製造プラントの蒸機において、蒸気を送ることなく緑茶製造時の前記所定回転数よりも高い回転数で該円筒と該シャフトとをそれぞれ回転させることにより、該蒸機を用いて該萎凋工程後の茶葉を破砕圧壊する茶葉破砕工程と、
緑茶製造時には熱風を送り込みながら茶葉を攪拌することにより茶葉表面に付着した水分を除去する、該緑茶用製造プラントの蒸葉処理機と、緑茶製造時には茶葉の下揉みを行なう、該緑茶用製造プラントの葉打ち機と、緑茶製造時には熱風を送り込みながら茶葉を圧迫摩擦することにより茶葉内の水分を蒸発させる粗揉を実行する、該緑茶用製造プラントの粗揉機とのうちの少なくとも一つにおいて、熱風を送り込みながら該茶葉破砕工程後の茶葉を揉み込むことにより、該蒸葉処理機,該葉打ち機および該粗揉機のうちの少なくとも一つを用いて茶葉を減水させて萎凋補足を行なう萎凋補足工程と、
緑茶製造時にはもみおけ内の茶葉を蓋によって加圧しながら該もみおけを変心回転させることにより揉み込みの過不足や蒸葉内水分の不均一を解消する揉捻工程を実行する、該緑茶用製造プラントの揉捻機において、該もみおけ内の茶葉に対する該蓋による圧力を調節して加重と抜重とを交互に繰り返しながら該もみおけを回転させることにより、該揉捻機を用いて該萎凋補足工程後の茶葉と空気との混合を促進させて茶葉の発酵を促進させる揉捻加重工程とを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
上述した本発明の紅茶製造方法(請求項1,4)によれば、緑茶用製造プラントの蒸機において、蒸気を送ることなく緑茶製造時の所定回転数よりも高い回転数で金属網製円筒と攪拌羽根付きシャフトとをそれぞれ回転させることにより、茶葉の発酵に先立ち、蒸機を用いて茶葉が破砕圧壊される(茶葉破砕工程)。通常、緑茶用品種は紅茶用品種に比べ発酵しにくく、さらに、緑茶用揉捻機(普通揉捻機;緑茶用製造プラントの揉捻機)では紅茶用揉捻機(ブロークン揉捻機)に比べ茶葉が破砕されにくいが、蒸機を用いて上述のような茶葉の破砕圧壊を行なうことで、茶葉の発酵に先立ち、茶葉を細かく破砕することができ、したがって、後段の緑茶用揉捻機(普通揉捻機)を用いて茶葉の発酵を行なう際の当該揉捻機による茶葉の破砕不足を補って、茶葉の発酵を促進させることができる。
【0028】
また、本発明の紅茶製造方法(請求項2,4)によれば、緑茶用製造プラントの生葉管理機において、コンテナ内の茶葉に乾燥温風を送風することにより、茶葉の破砕圧壊に先立ち、生葉管理機を用いて茶葉を減水させて茶葉の萎凋(萎凋工程)を行なってから、緑茶用製造プラントの蒸葉処理機,葉打ち機および粗揉機のうちの少なくとも一つにおいて熱風(温風)を送り込みながら萎凋工程後の茶葉を揉み込むことにより、茶葉の発酵に先立ち、蒸葉処理機,葉打ち機および粗揉機のうちの少なくとも一つを用いて茶葉を減水させて萎凋補足(萎凋補足工程)を行なう。通常、萎凋の工程は、紅茶製造時にあって緑茶製造時には無い工程であるので、緑茶用製造プラントを用いて紅茶製造を行なう際には、茶葉の萎凋を効率よく且つ安定的に行なうことが望まれる。短時間で充分な萎凋が得られないと製造効率が上がらないほか、萎凋程度が安定しないと紅茶品質が不安定となってしまう。そこで、生葉管理機を用いて上述のような萎凋を行なった後、蒸葉処理機,葉打ち機および粗揉機のうちの少なくとも一つ(必要や状況に応じてこれらの全てを用いてもよいし1または2を用いてもよい)を用いて上述のような萎凋補足を行なうことで、茶葉の発酵に先立ち、茶葉の萎凋が短時間で充分に行なわれ、したがって、製造効率を高めることができるとともに、紅茶品質を高位安定化させることができる。
【0029】
さらに、本発明の紅茶製造方法(請求項3,4)によれば、緑茶用製造プラントの揉捻機において、もみおけ内の茶葉に対する蓋による圧力を調節して加重と抜重とを交互に繰り返しながらもみおけを回転させることにより、揉捻機を用いて茶葉と空気との混合を促進させて茶葉の発酵を促進させる(揉捻加重工程)。茶葉の発酵は、紅茶製造時にあって緑茶製造時には無い工程であるので、緑茶用製造プラントを用いて紅茶製造を行なう際には、茶葉の発酵を確実に行なうことが望まれる。そこで、緑茶製造時には揉捻機で蓋によって茶葉に適当な負荷を掛けて揉捻処理を行なっているが、紅茶製造時には、揉捻機を用いて上述のような揉捻加重を行なうことで、茶葉と空気(酸素)との混合が促進・改善されることになり、したがって、茶葉の発酵が均等に且つ充分に促進されることになる。なお、後述するごとく、蓋による圧力の加重/抜重は、既存の揉捻機の機能(分銅の移動機能)を用いて容易に実現される。
【0030】
このように、本発明の紅茶製造方法によれば、既存の緑茶工場(緑茶用製造プラント)にそなえられた製茶機械を、緑茶製造時とは使用法を変えて使用することで、紅茶製造専用機械を新たに追加・購入することなく、緑茶用品種から高品質な紅茶を安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態としての紅茶製造方法の作業工程を説明するための工程図、図2は既存の緑茶用製造プラントの機械配列と各機械の紅茶製造時の使用工程と各機械の紅茶製造時の使用方法とを対応付けて示す図である。
図2に示すように、本実施形態の紅茶製造方法を実施する際に用いられる緑茶用製造プラント(緑茶工場)における機械配列は、前述した既存のものと同じで、生葉管理機(C1),蒸機(C2),蒸葉処理機(C3),葉打ち機(C4),第1粗揉機(C5),第2粗揉機(C6),揉捻機(C7),第1中揉機(C8),第2中揉機(C9),選別機(C10),精揉機(C11),乾燥機(C12)となっている。
【0032】
そして、本実施形態の紅茶製造方法の実施時には、図2に示すように、これらの機械配列(C1)〜(C12)のうちの生葉管理機(C1),蒸機(C2),蒸葉処理機(C3),葉打ち機(C4),第1粗揉機(C5),第2粗揉機(C6),揉捻機(C7),乾燥機(C12)が用いられ、図1および図2に示すように、生葉管理機(C1)を用いる萎凋工程P1と、蒸機(C2)を用いる茶葉破砕工程P2と、蒸葉処理機(C3),葉打ち機(C4),第1粗揉機(C5),第2粗揉機(C6)のうちの少なくとも一つを用いる萎凋補足工程P3と、揉捻機(C7)を用いる揉捻加重工程P4と、乾燥機(C12)を用いる乾燥工程P5との5工程が順次実行されることになる。以下、これらの工程P1〜P5について詳細に説明する。
【0033】
〔1〕萎凋工程P1
萎凋工程P1では、生葉管理機(C1)を用いて茶葉を減水させて茶葉の萎凋を行なう。生葉管理機(C1)は、図4を参照しながら前述したように、緑茶製造時には生葉を収容するコンテナ15内へ湿った空気を送り込むことにより生葉の品質劣化抑制を行なうものであるが、本実施形態の紅茶製造時の萎凋工程P1では、茶葉を収容するコンテナ15内に乾燥した温風を送風ファン16によって送風している。ただし、この生葉管理機(C1)だけでは茶葉の充分な萎凋を行なうことは難しいため、本実施形態の紅茶製造方法では、後述する萎凋補足工程P3において茶葉の萎凋補足を行なっている。
【0034】
〔2〕茶葉破砕工程P2
茶葉破砕工程P2では、蒸機(C2)を用いて萎凋工程P1後の茶葉を破砕圧壊する。蒸機(C2)は、図3を参照しながら前述したように、緑茶製造時には、蒸気を送り込みながら、茶葉を収容する金属網製円筒11とこの円筒11内の攪拌羽根12付きシャフト13とをそれぞれ所定回転数で回転させることにより茶葉内の酵素を失活(殺青)させる蒸熱工程を実行するものであるが、本実施形態の紅茶製造時の茶葉破砕工程P2では、蒸気を送ることなく緑茶製造時の前記所定回転数よりも高い回転数で円筒11とシャフト13とをそれぞれ回転させることにより、茶葉の破砕圧壊を行なって、茶葉を細かく破砕することができる。したがって、後段の緑茶用揉捻機[普通揉捻機](C7)を用いて茶葉の発酵を行なう際の当該揉捻機(C7)による茶葉の破砕不足を補って、茶葉の発酵を促進させることができる。
【0035】
このとき、紅茶製造時の円筒11およびシャフト13の回転数は、例えば、利用される蒸機(C2)の最大回転数の70%以上に設定される。蒸機(C2)としては、茶葉の単位時間当たり処理能力や製茶機メーカによって、数十機種が販売されており、その蒸機(C2)の仕様や茶葉の品質によって、緑茶製造時/紅茶製造時の適正回転数は変動する。一例を挙げると、(株)寺田製作所の蒸機には、1時間に蒸すことができる茶葉の量により、300K型(1時間処理量が最大300kg)〜1100K型(1時間処理量が最大1,100kg)までの10機種があり、300K型〜1100K型でのメーカ説明書の標準回転数の最小〜最大値は、金属網製円筒が29〜58rpm、撹拌羽根付きシャフトが185〜525rpmとなっている。例えば、400K型で、メーカ説明書では、緑茶製造時には、金属網円筒の回転数を34〜56rpm(回転/分)の範囲、撹拌羽根付きシャフトの回転数を212〜512rpmの範囲で使用することになっている。実際の緑茶製造では、例えば、金属網円筒の回転数を38〜47rpmの範囲、撹拌羽根付きシャフトの回転数を230〜450rpmの範囲で使用している。これに対して、紅茶製造時には、例えば、金属網円筒の回転数を53rpm前後、撹拌羽根付きシャフトの回転数を490rpm前後に設定する。
【0036】
〔3〕萎凋補足工程P3
萎凋補足工程P3では、蒸葉処理機(C3),葉打ち機(C4),第1粗揉機(C5),第2粗揉機(C6)のうちの少なくとも一つを用いて、茶葉破砕工程P2後の茶葉を減水させて萎凋補足を行なう。蒸葉処理機(C3)は、前述したように、緑茶製造時には熱風を送り込みながら茶葉を攪拌することにより茶葉表面に付着した水分を除去するものであり、葉打ち機(C4)は、前述したように、緑茶製造時には茶葉の下揉みを行なうものであり、第1粗揉機(C5)および第2粗揉機(C6)は、図5を参照しながら前述したように、緑茶製造時には熱風を送り込みながら茶葉を圧迫摩擦することにより茶葉内の水分を蒸発させる粗揉を実行するものである。本実施形態の紅茶製造時の萎凋補足工程P3では、これら4つの機械(C3)〜(C6)のうちの少なくとも一つが、熱風を送り込みながら茶葉破砕工程P2後の茶葉を揉み込んでさらに減水させ、萎凋工程P1での茶葉の萎凋不足を補っている。これにより、茶葉の発酵に先立ち、茶葉の萎凋が短時間で充分に行なわれ、したがって、製造効率を高めることができるとともに、紅茶品質を高位安定化させることができる。なお、気温や湿度によって、機械(C3)〜(C6)の全てを用いてもよいし、1〜3を用いてもよく、状況に応じて機械(C3)〜(C6)から使用するものを選択することが望ましい。
【0037】
〔4〕揉捻加重工程(揉捻・発酵工程)P4
揉捻加重工程P4では、揉捻機[普通揉捻機](C7)を用いて萎凋補足工程P3後の茶葉と空気との混合を促進させて茶葉の発酵を促進させる。揉捻機(C7)は、図6および図7を参照しながら前述したように、緑茶製造時にはもみおけ22内の茶葉を蓋23によって加圧しながらもみおけ22を変心回転させることにより揉み込みの過不足や蒸葉内水分の不均一を解消する揉捻工程を実行するものであるが、本実施形態の紅茶製造時の揉捻加重工程P4では、もみおけ22内の茶葉に対する蓋23による圧力を調節して加重と抜重とを交互に繰り返しながらもみおけ22を回転させる。これにより、茶葉と空気(酸素)との混合が促進・改善されることになり、したがって、茶葉の発酵が均等に且つ充分に促進されることになる。
【0038】
ここで、蓋23による圧力の加重/抜重は、図7を参照しながら前述した既存の揉捻機(C7)の機能つまり分銅26の移動機能と、揉捻機(C7)の制御装置(図示略)にそなえられる電気式タイマ(図示略)とを組み合わせることで容易に実現される。例えば、揉捻機(C7)の前記制御装置における複数の電気式タイマを順次稼動させて、分銅26を分銅さお25上で移動させるモータの稼動・停止を制御し、分銅さお25上での分銅26の位置やその位置での停止時間を決定することで、蓋23による圧力の加重/抜重が行なわれる。そして、この蓋23による加重/抜重の繰り返し動作は、所望の加重/抜重時間と加重量のパターンとに応じてプログラミングされた揉捻機(C7)用プログラムを揉捻機(C7)の前記制御装置(処理部)で実行することで前記複数の電気式タイマを用いて実現される。
【0039】
〔5〕乾燥工程P5
乾燥工程P5では、乾燥機(C12)を用いて、前述した従来の乾燥工程(B6)と同様にして揉捻加重工程(揉捻・発酵工程)P4後の茶葉を乾燥させる。
なお、上述した一般的な紅茶の製造工程では、揉捻工程(A2)と発酵工程(A4)との間に玉解きおよび篩い分け工程(A3)が行なわれている。本実施形態の紅茶製造方法では、乾燥工程P5を行なった後に、玉解きおよび篩い分けを行ない、再度、茶葉を乾燥する手法を採る。
【0040】
以上、詳述したように、上述した工程P1〜P5を含む本発明の紅茶製造方法によれば、既存の緑茶工場(緑茶用製造プラント)にそなえられた製茶機械(C1)〜(C7)を、緑茶製造時とは使用法を変えて使用することで、紅茶製造専用機械(例えばブロークン揉捻機など)を新たに追加・購入することなく、緑茶用品種から高品質な紅茶を安価に製造することができる。
【0041】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態としての紅茶製造方法の作業工程を説明するための工程図である。
【図2】既存の緑茶用製造プラントの機械配列と各機械の紅茶製造時の使用工程と各機械の紅茶製造時の使用方法とを対応付けて示す図である。
【図3】本実施形態の紅茶製造方法で用いられる、既存の緑茶用製造プラント(緑茶工場)における蒸機を模式的に示す斜視図である。
【図4】本実施形態の紅茶製造方法で用いられる、既存の緑茶用製造プラント(緑茶工場)における生葉管理機を模式的に示す側面図である。
【図5】本実施形態の紅茶製造方法で用いられる、既存の緑茶用製造プラント(緑茶工場)における粗揉機を模式的に示す斜視図である。
【図6】本実施形態の紅茶製造方法で用いられる、既存の緑茶用製造プラント(緑茶工場)における揉捻機を模式的に示す斜視図である。
【図7】本実施形態の紅茶製造方法で用いられる、既存の緑茶用製造プラント(緑茶工場)における揉捻機の要部を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
(C1) 生葉管理機
(C2) 蒸機
(C3) 蒸葉処理機
(C4) 葉打ち機
(C5) 第1粗揉機
(C6) 第2粗揉機
(C7) 揉捻機
(C8) 第1中揉機
(C9) 第2中揉機
(C10) 選別機
(C11) 精揉機
(C12) 乾燥機
11 金属網製円筒
12 攪拌羽根
13 金属棒(シャフト)
14 ベルトコンベア
15 生葉コンテナ
16 送風ファン
17 箱(容器)
18 金属棒(シャフト)
19 揉み手
20 葉ざらい手(攪拌棒)
21 送風ファン
22 金属円筒(もみおけ)
23 蓋(作用点)
24 揉捻盤
25 分銅さお
26 分銅(力点)
27 支点
P1 萎凋工程
P2 茶葉破砕工程
P3 萎凋補足工程
P4 揉捻加重工程
P5 乾燥工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑茶用製造プラントを用いて紅茶を製造する方法であって、
緑茶製造時には、蒸気を送り込みながら、茶葉を収容する金属網製円筒と該円筒内の攪拌羽根付きシャフトとをそれぞれ所定回転数で回転させることにより茶葉内の酵素を失活させる蒸熱工程を実行する、該緑茶用製造プラントの蒸機において、蒸気を送ることなく緑茶製造時の前記所定回転数よりも高い回転数で該円筒と該シャフトとをそれぞれ回転させることにより、茶葉の発酵に先立ち、該蒸機を用いて茶葉を破砕圧壊する茶葉破砕工程を含むことを特徴とする、紅茶製造方法。
【請求項2】
緑茶用製造プラントを用いて紅茶を製造する方法であって、
緑茶製造時には生葉を収容するコンテナ内へ湿った空気を送り込むことにより生葉の品質劣化抑制を行なう、該緑茶用製造プラントの生葉管理機において、茶葉を収容する該コンテナ内に乾燥した温風を送風することにより、茶葉の破砕圧壊に先立ち、該生葉管理機を用いて茶葉を減水させて茶葉の萎凋を行なう萎凋工程と、
緑茶製造時には熱風を送り込みながら茶葉を攪拌することにより茶葉表面に付着した水分を除去する、該緑茶用製造プラントの蒸葉処理機と、緑茶製造時には茶葉の下揉みを行なう、該緑茶用製造プラントの葉打ち機と、緑茶製造時には熱風を送り込みながら茶葉を圧迫摩擦することにより茶葉内の水分を蒸発させる粗揉を実行する、該緑茶用製造プラントの粗揉機とのうちの少なくとも一つにおいて、熱風を送り込みながら該萎凋工程後の茶葉を揉み込むことにより、茶葉の発酵に先立ち、該蒸葉処理機,該葉打ち機および該粗揉機のうちの少なくとも一つを用いて茶葉を減水させて萎凋補足を行なう萎凋補足工程とを含むことを特徴とする、紅茶製造方法。
【請求項3】
緑茶用製造プラントを用いて紅茶を製造する方法であって、
緑茶製造時にはもみおけ内の茶葉を蓋によって加圧しながら該もみおけを変心回転させることにより揉み込みの過不足や蒸葉内水分の不均一を解消する揉捻工程を実行する、該緑茶用製造プラントの揉捻機において、該もみおけ内の茶葉に対する該蓋による圧力を調節して加重と抜重とを交互に繰り返しながら該もみおけを回転させることにより、該揉捻機を用いて茶葉と空気との混合を促進させて茶葉の発酵を促進させる揉捻加重工程を含むことを特徴とする、紅茶製造方法。
【請求項4】
緑茶用製造プラントを用いて紅茶を製造する方法であって、
緑茶製造時には生葉を収容するコンテナ内へ湿った空気を送り込むことにより生葉の品質劣化抑制を行なう、該緑茶用製造プラントの生葉管理機において、茶葉を収容する該コンテナ内に乾燥した温風を送風することにより、該生葉管理機を用いて茶葉を減水させて茶葉の萎凋を行なう萎凋工程と、
緑茶製造時には、蒸気を送り込みながら、茶葉を収容する金属網製円筒と該円筒内の攪拌羽根付きシャフトとをそれぞれ所定回転数で回転させることにより茶葉内の酵素を失活させる蒸熱工程を実行する、該緑茶用製造プラントの蒸機において、蒸気を送ることなく緑茶製造時の前記所定回転数よりも高い回転数で該円筒と該シャフトとをそれぞれ回転させることにより、該蒸機を用いて該萎凋工程後の茶葉を破砕圧壊する茶葉破砕工程と、
緑茶製造時には熱風を送り込みながら茶葉を攪拌することにより茶葉表面に付着した水分を除去する、該緑茶用製造プラントの蒸葉処理機と、緑茶製造時には茶葉の下揉みを行なう、該緑茶用製造プラントの葉打ち機と、緑茶製造時には熱風を送り込みながら茶葉を圧迫摩擦することにより茶葉内の水分を蒸発させる粗揉を実行する、該緑茶用製造プラントの粗揉機とのうちの少なくとも一つにおいて、熱風を送り込みながら該茶葉破砕工程後の茶葉を揉み込むことにより、該蒸葉処理機,該葉打ち機および該粗揉機のうちの少なくとも一つを用いて茶葉を減水させて萎凋補足を行なう萎凋補足工程と、
緑茶製造時にはもみおけ内の茶葉を蓋によって加圧しながら該もみおけを変心回転させることにより揉み込みの過不足や蒸葉内水分の不均一を解消する揉捻工程を実行する、該緑茶用製造プラントの揉捻機において、該もみおけ内の茶葉に対する該蓋による圧力を調節して加重と抜重とを交互に繰り返しながら該もみおけを回転させることにより、該揉捻機を用いて該萎凋補足工程後の茶葉と空気との混合を促進させて茶葉の発酵を促進させる揉捻加重工程とを含むことを特徴とする、紅茶製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−232731(P2009−232731A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81710(P2008−81710)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(307045010)
【出願人】(391011700)宮崎県 (63)
【出願人】(506366518)日向農業協同組合 (2)
【Fターム(参考)】