紙容器
【課題】 ストロー挿入口を覆っている合成樹脂フィルムの表面が汚れず、また、紙容器内容物の液体飲料が滲み込んだり、紙容器外部の空気が透過し、紙容器内部の内容物を酸化させるおそれがない紙容器を提供する。
【解決手段】 板紙基材の表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した包材2によって有底の胴部5とその上を閉塞する頂部7とが形成され、頂部7にストロー挿入口15が設けられるようになっている紙容器であって、頂部7となる包材2に、予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12を切り込みにより板紙基材に設け、包材2の裏面には予定ストロー挿入口11を塞ぐ合成樹脂フィルム14を予定ストロー挿入口11の外側に接着又は融着して設け、輪郭線12で囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除くことにより、頂部7にストロー挿入口15が開口して合成樹脂フィルム14がストロー挿入口15に露出するようにした。
【解決手段】 板紙基材の表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した包材2によって有底の胴部5とその上を閉塞する頂部7とが形成され、頂部7にストロー挿入口15が設けられるようになっている紙容器であって、頂部7となる包材2に、予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12を切り込みにより板紙基材に設け、包材2の裏面には予定ストロー挿入口11を塞ぐ合成樹脂フィルム14を予定ストロー挿入口11の外側に接着又は融着して設け、輪郭線12で囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除くことにより、頂部7にストロー挿入口15が開口して合成樹脂フィルム14がストロー挿入口15に露出するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳やジュース等の液体飲料を収容する紙容器であって、その頂部にストロー挿入口が設けられるようになっている紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、頂部にストロー挿入口が設けられるようになっている紙容器として、図12に示すように、頂部7となる包材2にはストロー挿入口15が形成され、包材2の裏面にはストロー挿入口を覆う合成樹脂フィルム14が接着又は融着して設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような構造の紙容器では、ストロー挿入口15を覆っている合成樹脂フィルム14にストロー(図示せず)を突き刺して使用するようになっている。
【0003】
また、頂部にストロー挿入口が設けられるようになっている他の紙容器としては、図13に示すように、頂部7となる包材2の裏面から板紙基材に達し、且つ該板紙基材を貫通しないようにストロー挿入口15となる第1ハーフカット19が設けられ、該第1ハーフカット19を囲んで、前記包材2の表面から前記板紙基材に達し、且つ該板紙基材を貫通しないように第2ハーフカット20が設けられたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。このような構造の紙容器では、表面から第2ハーフカット20で囲まれた部分を引き上げることにより、この第2ハーフカット20を形成する切り込みから板紙基材を層間剥離させ、更に、この層間剥離を第1ハーフカットに進め、前記第1ハーフカットで囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除いてストロー挿入口15が開口するようになっている。
【特許文献1】特開2006−103731号公報
【特許文献2】実公昭60−34572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した図12に示すような紙容器では、ストロー挿入口15を塞いでいる合成樹脂フィルム14が頂部7の表面に露出しているため、ストロー挿入口15を覆っている合成樹脂フィルム14の表面が汚れ易く、また、この合成樹脂フィルム14の表面が汚れていると、合成樹脂フィルム14にストローを突き刺したときストローを介して合成樹脂フィルム14の表面の汚れが紙容器内に入り、内部の液体飲料が汚染されてしまうといった問題がある。
【0005】
また、図13に示すような紙容器では、第1ハーフカット19と第2ハーフカット20とは共に板紙基材まで達しているため、紙容器内容物の液体飲料が第1ハーフカットから板紙基材に滲み込んだ場合、板紙基材を浸透して第2ハーフカットから紙容器外側に滲み出るおそれあるといった問題がある。また、紙容器外部の空気は、これとは逆に、第2ハーフカットから板紙基材を経て第1ハーフカットへと透過するので、紙容器内部の内容物を酸化させるおそれがあるといった問題がある。
【0006】
本発明の目的は、図12に示すような紙容器において、ストロー挿入口を覆っている合成樹脂フィルムの表面が汚れず、また、図13に示すような紙容器においても、紙容器内容物の液体飲料が第1ハーフカットから滲み込んだり、紙容器外部の空気が第1ハーフカットを透過したりするおそれのない紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、板紙基材の表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した包材によって有底の胴部とその上を閉塞する頂部とが形成され、前記頂部にストロー挿入口が設けられるようになっている紙容器であって、前記頂部となる前記包材には、予定ストロー挿入口を形成する輪郭線が切り込みにより板紙基材に設けられ、前記包材の裏面には前記予定ストロー挿入口を塞ぐ合成樹脂フィルムが前記予定ストロー挿入口の外側に接着又は融着して設けられ、前記輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、前記頂部にストロー挿入口が開口して前記合成樹脂フィルムがストロー挿入口に露出するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる前記輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線を越えて前記胴部に張り出して、且つ、前記頂部横罫線に隣接して設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の、前記輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる前記輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記頂部に、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線に隣接して設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の、前記切断糸口端部が存在している前記胴部又は前記頂部の面には、前記切断糸口端部の左右又はその近傍からそれぞれ延びて、隣接している前記頂部横罫線のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の、前記切断糸口端部が存在している前記胴部又は前記頂部の面には、前記切断糸口端部を横切り或いは前記切断糸口端部の先端と一致し且つ隣接している前記頂部横罫線の両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の紙容器によれば、頂部となる包材には、予定ストロー挿入口を形成する輪郭線が切り込みにより板紙基材に設けられ、包材の裏面には予定ストロー挿入口を塞ぐ合成樹脂フィルムが予定ストロー挿入口の外側に接着又は融着して設けられ、輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、頂部にストロー挿入口が開口して合成樹脂フィルムがストロー挿入口に露出するようにしたので、ストロー挿入口を覆っている合成樹脂フィルムの表面が汚れず、また、予定ストロー挿入口の箇所の包材表面が汚れていても、ストロー挿入口を開口させる段階で汚れた包材が除去され、開口したストロー挿入口には汚れのない綺麗な合成樹脂フィルムが露出することになり、露出された合成樹脂フィルムにストローを突き刺すことで、内部の液体飲料を汚染するといった心配はなくなる。また、予定ストロー挿入口を形成する輪郭線から紙容器内容物が滲み込んだり、紙容器外部の空気が透過することもない。
【0013】
請求項2に記載の紙容器によれば、請求項1に記載の、輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、胴部と頂部との境界の頂部横罫線を越えて胴部に張り出して、且つ、前記頂部横罫線に隣接して設けられているので、ストロー挿入口の開口に際し、切断糸口端部に爪を掛けて引き上げることにより切断糸口端部を容易に立ち上げることができ、この立ち上がった切断糸口端部を摘み、更に引き上げることで、切り込みにより形成された輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除き、ストロー挿入口を確実に開口することができる。
【0014】
請求項3に記載の紙容器によれば、請求項1に記載の、輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、頂部に、胴部と頂部との境界の頂部横罫線に隣接して設けられているので、輸送中の振動で隣の紙容器に当たる等により頂部横罫線付近に衝撃を受けても、切断糸口端部が直接衝撃を受けて損傷したり、不用意に立ち上がるおそれが少ない。その一方で、この切断糸口端部も爪を掛けて引き上げることにより立ち上げることができ、立ち上がった切断糸口端部を摘み、更に引き上げて、切り込みにより形成された輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、ストロー挿入口を確実に開口することができる。
【0015】
請求項4に記載の紙容器によれば、請求項2又は3に記載の、切断糸口端部が存在している胴部又は頂部の面には、切断糸口端部の左右又はその近傍からそれぞれ延びて、隣接している頂部横罫線のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられているので、ストロー挿入口の開口に際し、頂部横罫線を押し込むと、山折り状態にあった頂部横罫線が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部が存在する胴部又は頂部の面が補助折線で山折り状態となって突出して切断糸口端部の先端が浮き上がることから、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部を容易に立ち上げることができ、この立ち上がった切断糸口端部を摘み引き上げて、切り込みにより形成された輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、ストロー挿入口を容易に且つ確実に開口することができる。
【0016】
請求項5に記載の紙容器によれば、請求項2又は3に記載の、切断糸口端部が存在している胴部又は頂部の面には、切断糸口端部を横切り或いは前記切断糸口端部の先端と一致し且つ隣接している頂部横罫線の両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられているので、ストロー挿入口の開口に際し、頂部横罫線を押し込むと、山折り状態にあった頂部横罫線が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部が存在する胴部又は頂部の面が補助折線で山折り状態となって突出して切断糸口端部の先端が浮き上がることから、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部を容易に立ち上げることができ、この立ち上がった切断糸口端部を摘み引き上げて、切り込みにより形成された輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、ストロー挿入口を容易に且つ確実に開口することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る紙容器を実施するための最良の形態を、図に示す実施例により詳細に説明する。
【0018】
図1乃至図4は本発明に係る紙容器の第1実施例を示したものであって、図1は第1実施例の紙容器を示す斜視図、図2は図1のA−A線拡大断面図、図3はストロー挿入口を開口した状態を示す斜視図、図4は開口したストロー挿入口にストローを挿入した状態を示す説明図である。
【0019】
図1に示すように、本例は本発明をゲーブルトップ型の紙容器1Aに実施した実施例であり、本例の紙容器1Aは、板紙素材の表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した包材2によって形成されたものであって、4つの平面部3がそれぞれ胴部縦罫線4で直角に繋がった構造の四角形の胴部5と、その上下を閉塞する底部6及び頂部7とで形成されている。頂部7は切妻屋根面8とその両端の妻壁9とによって形成される切妻屋根型となっている。胴部5と頂部7との境界には頂部横罫線10が設けられている。
【0020】
頂部7を構成する切妻屋根面8となる包材2には、予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12がミシン目により板紙基材に設けられている。この場合において、輪郭線12で囲まれた部分がストロー挿入口15となるので、この輪郭線12で囲まれた部分にあっては、少なくともストローの径よりも広い面であることを要すが、それ以外は、輪郭線12の形状は特に限定されるものではない。本例ではこの輪郭線12の形状は、一部に未切断箇所12aを有する細長い略U字状となっており、そして、その略U字状となっている輪郭線12の閉鎖先端部(U字の底部)は輪郭線12の切断糸口端部13となっている。なお、切断糸口端部13の先端13aのみは、ミシン目ではなく連続した切断線により設けられ、切断糸口端部13を立ち上げやすくしている。
【0021】
このように予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12が板紙基材に設けられた包材2の裏面には、前記予定ストロー挿入口11を塞ぐ合成樹脂フィルム14が予定ストロー挿入口11の外側に接着又は融着して設けられている。この合成樹脂フィルム14としては公知の合成樹脂フィルムが使用できる。
【0022】
このように構成された第1実施例の紙容器1Aによれば、切断糸口端部13を立ち上げ、立ち上がった切断糸口端部13を摘んで引き上げることで、切断糸口端部13及び輪郭線12を形成するミシン目を順次破断し、輪郭線12で囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除くことができるので、頂部7にストロー挿入口15が開口し、ストロー挿入口15内の合成樹脂フィルム14が露出する(図3)。
【0023】
このようにしてストロー挿入口15を開口したら、ストロー挿入口15に露出している合成樹脂フィルム14にストロー16を突き刺して使用する。
【0024】
本例にあっては、このような構成としたので、ストロー挿入口15を覆っている合成樹脂フィルム14の表面が汚れず、また、予定ストロー挿入口11の箇所の包材2表面が汚れていても、ストロー挿入口15を開口させる段階で汚れた包材2が除去され、開口したストロー挿入口15には汚れのない綺麗な合成樹脂フィルム14が露出することになり、露出された合成樹脂フィルムにストロー16を突き刺すことで、内部の液体飲料を汚染するといった心配がなくなる。また、予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12から紙容器1Aの内容物が滲み込んだり、紙容器1A外部の空気が透過することもない。
【0025】
図5は本発明に係る紙容器の第2実施例を示した斜視図である。なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0026】
本実施例も、第1実施例と同様に、本発明をゲーブルトップ型の紙容器1Aに実施した実施例であり、本実施例では、頂部7を構成する切妻屋根面8となる包材2の板紙基材に、前記した第1実施例と同様の形状の予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12がミシン目により形成されており、そして、略U字状となっている輪郭線12の閉鎖先端面が輪郭線12の切断糸口端部13となっている。
【0027】
本実施例では、輪郭線12の閉鎖先端部で形成される輪郭線12の切断糸口端部13が、胴部5と頂部7との境界の頂部横罫線10を越えて胴部5に張り出して、且つ、頂部横罫線10に隣接して設けられている。その他の構成は第1実施例と同様であるから第1実施例の説明を援用する。
【0028】
このように構成された第2実施例の紙容器1Aによれば、ストロー挿入口15の開口に際し、胴部5と頂部7との境界の頂部横罫線10を越えて胴部5に張り出している切断糸口端部13の先端13aに爪を掛けて引き上げることにより切断糸口端部13を容易に立ち上げることができ、この立ち上がった切断糸口端部13を摘み、更に引き上げることで、ミシン目で形成された輪郭線12で囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除き、ストロー挿入口15を確実に開口することができる。その他の効果は、第1実施例と同様である。
【0029】
図6乃至図8は本発明に係る紙容器の第3実施例を示したもので、図6は第3実施例の紙容器を示す斜視図、図7は図6に示す切断糸口端部の箇所の拡大図、図8は頂部横罫線10を押し込むことにより変形した第3実施例の紙容器の斜視図である。なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0030】
本実施例も、第1実施例と同様に、本発明をゲーブルトップ型の紙容器1Aに実施した実施例であり、本実施例では、頂部7を構成する切妻屋根面8となる包材2の板紙基材に、前記した第1実施例と同様の形状の予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12がミシン目により形成されており、そして、略U字状となっている輪郭線12の閉鎖先端部が輪郭線12の切断糸口端部13となっている。
【0031】
本実施例では、輪郭線12の閉鎖先端部で形成される輪郭線12の切断糸口端部13が、胴部5と頂部7との境界の頂部横罫線10に隣接して頂部7に形成され、切断糸口端部13が存在している頂部7の面には、切断糸口端部13の左右又はその近傍からそれぞれ延びて、隣接している頂部横罫線10のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線17a,17bが設けられている。切断糸口端部13の先端13aが補助折線17a,17bを繋ぐ仮想線を越える長さLは、20mm以下が好ましい(図7)。
【0032】
さらに、本実施例では、補助折線17a,17bに対応して、胴部5の面にも弧状の補助折線18が設けられており、その両端は、補助折線17a,17bが繋がる頂部横罫線10の両端又はその近傍に繋がっている。その他の構成は第1実施例と同様であるから第1実施例の説明を援用する。
【0033】
このように構成された第3実施例の紙容器1Aによれば、ストロー挿入口15の開口に際し、頂部横罫線10を押し込むと、山折り状態にあった頂部横罫線10が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部13が存在する頂部7の面が補助折線17a,17bで山折り状態となって突出して切断糸口端部13の先端13aが浮き上がる(図8)。この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部13を容易に立ち上げることができ、この立ち上がった切断糸口端部13を摘み引き上げて、ミシン目で形成された輪郭線12で囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除き、ストロー挿入口15を容易に且つ確実に開口することができる。
【0034】
また、本実施例では、補助折線17a,17bに対応して胴部の面にも弧状の補助折線18が設けられており、その両端は、補助折線17a,17bが繋がる頂部横罫線10の両端又はその近傍に繋がっているので、頂部横罫線10を押し込んだとき、胴部5の面も補助折線18で山折れするので、山折り状態にあった頂部横罫線10を容易に凹ませ谷折り状態とすることができる。その他の効果は、第1実施例と同様である。
【0035】
図9、図10は本発明に係る紙容器の第4実施例を示したもので、図9は第4実施例の紙容器を示す斜視図、図10は図9に示す切断糸口端部の箇所の拡大図である。なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0036】
本実施例も、第1実施例と同様に、本発明をゲーブルトップ型の紙容器1Aに実施した実施例であり、本例では、頂部7を構成する切妻屋根面8となる包材2の板紙基材に、前記した第1実施例と同様の形状の予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12がミシン目により形成されており、そして、略U字状となっている輪郭線12の閉鎖先端部が輪郭線12の切断糸口端部13となっている。
【0037】
本実施例では、輪郭線12の閉鎖先端部で形成される輪郭線12の切断糸口端部13が、胴部5と頂部7との境界の頂部横罫線10に隣接して頂部7に形成され、切断糸口端部13が存在している頂部7の面には、切断糸口端部13を横切り或いは切断糸口端部13の先端13aと一致し且つ隣接している頂部横罫線10の両端又はその近傍に繋がる補助折線17が設けられている。切断糸口端部13の先端13aが補助折線17を越える長さLは、20mm以下が好ましい(図10)。
【0038】
さらに、本実施例では、補助折線17に対応して胴部5の面にも弧状の補助折線18が設けられており、その両端は、補助折線17a,17bが繋がる頂部横罫線10の両端又はその近傍に繋がっている。その他の構成は第1実施例、第3実施例と同様であるから第1実施例、第3実施例の説明を援用する。
【0039】
このように構成された第4実施例の紙容器1Aによれば、ストロー挿入口15の開口に際し、頂部横罫線10を押し込むと、山折り状態にあった頂部横罫線10が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部13が存在する頂部7の面が補助折線17で山折り状態となって突出して切断糸口端部13の先端13aが浮き上がることから、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部13を容易に立ち上げることができる。そして、この立ち上がった切断糸口端部13を摘み引き上げて、ミシン目で形成された輪郭線12で囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除き、ストロー挿入口15を容易に且つ確実に開口することができる。その他の効果は、第1実施例、第3実施例と同様である。
【0040】
図11は本発明に係る紙容器の第5実施例を示した斜視図である、なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0041】
図11に示すように、本実施例は本発明を平らな屋根をもつフラットトップ型の紙容器1Bに実施した実施例であり、本実施例の紙容器1Bは、板紙基材の表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した包材2によって形成されたものであって、4つの平面部3がそれぞれ胴部縦罫線4で直角に繋がった構造の四角形の胴部5と、その上下を閉塞する底部6及び頂部7とで形成されている。頂部7は平らに形成されており、胴部5と頂部7との境界には頂部横罫線10が設けられている。
【0042】
本実施例のその他の構成は、前述した第3実施例と同様に構成されている。そして、このような構成の紙容器1Bも、第3実施例と同様の効果を得ることができる。
【0043】
上記第1〜5実施例では、包材2の裏面に接着又は融着して設けられて予定ストロー挿入口11を塞ぐ合成樹脂フィルム14はいずれも、輪郭線12の周辺の部分に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、包材2の裏面に全体的に設けることもできる。
【0044】
また、予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12は2本のハーフカットで構成してもよい。すなわち、予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12として、頂部7となる包材2の裏面から板紙基材に達し、且つ該板紙基材を貫通しない第1ハーフカットと、該第1ハーフカットを囲んで、包材2の表面から板紙基材に達し、且つ該板紙基材を貫通しない第2ハーフカットとを設けてもよい。この場合において、第1ハーフカットで囲まれた部分がストロー挿入口15となり、切断糸口端部13は第2ハーフカット又はその延長部分によって形成される。このように構成された紙容器によれば、切断糸口端部13を立ち上げ、立ち上がった切断糸口端部13を摘んで引き上げることで、切断糸口端部13及び第2ハーフカットを形成する切り込みから、順次板紙基材を層間剥離させ、更に、この層間剥離を第1ハーフカットに進めて包材2を切断して引き上げ、取り除くことができるので、頂部7にストロー挿入口15が開口し、ストロー挿入口15内の合成樹脂フィルム14が露出する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る紙容器の第1実施例を示した斜視図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】ストロー挿入口を開口した状態を示す斜視図である。
【図4】開口したストロー挿入口にストローを挿入した状態を示す説明図である。
【図5】本発明に係る紙容器の第2実施例を示した斜視図である。
【図6】本発明に係る紙容器の第3実施例を示した斜視図である。
【図7】図6に示す切断糸口端部の箇所の拡大図である。
【図8】頂部横罫線10を押し込むことにより変形した第3実施例の紙容器の斜視図である。
【図9】本発明に係る紙容器の第4実施例を示した斜視図である。
【図10】図9に示す切断糸口端部の箇所の拡大図である。
【図11】本発明に係る紙容器の第5実施例を示した斜視図である、
【図12】従来の紙容器の一例の斜視図である。
【図13】従来の紙容器の他の例の斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1A ゲーブルトップ型の紙容器
1B フラットトップ型の紙容器
2 包材
3 平面部
4 胴部縦罫線
5 胴部
6 底部
7 頂部
8 切妻屋根面
9 妻壁
10 頂部横罫線
11 予定ストロー挿入口
12 輪郭線
12a 未切断箇所
13 切断糸口端部
13a 先端
14 合成樹脂フィルム
15 ストロー挿入口
16 ストロー
17、17a、17b 補助折線
18 補助折線
19 第1ハーフカット
20 第2ハーフカット
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳やジュース等の液体飲料を収容する紙容器であって、その頂部にストロー挿入口が設けられるようになっている紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、頂部にストロー挿入口が設けられるようになっている紙容器として、図12に示すように、頂部7となる包材2にはストロー挿入口15が形成され、包材2の裏面にはストロー挿入口を覆う合成樹脂フィルム14が接着又は融着して設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような構造の紙容器では、ストロー挿入口15を覆っている合成樹脂フィルム14にストロー(図示せず)を突き刺して使用するようになっている。
【0003】
また、頂部にストロー挿入口が設けられるようになっている他の紙容器としては、図13に示すように、頂部7となる包材2の裏面から板紙基材に達し、且つ該板紙基材を貫通しないようにストロー挿入口15となる第1ハーフカット19が設けられ、該第1ハーフカット19を囲んで、前記包材2の表面から前記板紙基材に達し、且つ該板紙基材を貫通しないように第2ハーフカット20が設けられたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。このような構造の紙容器では、表面から第2ハーフカット20で囲まれた部分を引き上げることにより、この第2ハーフカット20を形成する切り込みから板紙基材を層間剥離させ、更に、この層間剥離を第1ハーフカットに進め、前記第1ハーフカットで囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除いてストロー挿入口15が開口するようになっている。
【特許文献1】特開2006−103731号公報
【特許文献2】実公昭60−34572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した図12に示すような紙容器では、ストロー挿入口15を塞いでいる合成樹脂フィルム14が頂部7の表面に露出しているため、ストロー挿入口15を覆っている合成樹脂フィルム14の表面が汚れ易く、また、この合成樹脂フィルム14の表面が汚れていると、合成樹脂フィルム14にストローを突き刺したときストローを介して合成樹脂フィルム14の表面の汚れが紙容器内に入り、内部の液体飲料が汚染されてしまうといった問題がある。
【0005】
また、図13に示すような紙容器では、第1ハーフカット19と第2ハーフカット20とは共に板紙基材まで達しているため、紙容器内容物の液体飲料が第1ハーフカットから板紙基材に滲み込んだ場合、板紙基材を浸透して第2ハーフカットから紙容器外側に滲み出るおそれあるといった問題がある。また、紙容器外部の空気は、これとは逆に、第2ハーフカットから板紙基材を経て第1ハーフカットへと透過するので、紙容器内部の内容物を酸化させるおそれがあるといった問題がある。
【0006】
本発明の目的は、図12に示すような紙容器において、ストロー挿入口を覆っている合成樹脂フィルムの表面が汚れず、また、図13に示すような紙容器においても、紙容器内容物の液体飲料が第1ハーフカットから滲み込んだり、紙容器外部の空気が第1ハーフカットを透過したりするおそれのない紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、板紙基材の表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した包材によって有底の胴部とその上を閉塞する頂部とが形成され、前記頂部にストロー挿入口が設けられるようになっている紙容器であって、前記頂部となる前記包材には、予定ストロー挿入口を形成する輪郭線が切り込みにより板紙基材に設けられ、前記包材の裏面には前記予定ストロー挿入口を塞ぐ合成樹脂フィルムが前記予定ストロー挿入口の外側に接着又は融着して設けられ、前記輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、前記頂部にストロー挿入口が開口して前記合成樹脂フィルムがストロー挿入口に露出するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる前記輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線を越えて前記胴部に張り出して、且つ、前記頂部横罫線に隣接して設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の、前記輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる前記輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記頂部に、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線に隣接して設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の、前記切断糸口端部が存在している前記胴部又は前記頂部の面には、前記切断糸口端部の左右又はその近傍からそれぞれ延びて、隣接している前記頂部横罫線のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の、前記切断糸口端部が存在している前記胴部又は前記頂部の面には、前記切断糸口端部を横切り或いは前記切断糸口端部の先端と一致し且つ隣接している前記頂部横罫線の両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の紙容器によれば、頂部となる包材には、予定ストロー挿入口を形成する輪郭線が切り込みにより板紙基材に設けられ、包材の裏面には予定ストロー挿入口を塞ぐ合成樹脂フィルムが予定ストロー挿入口の外側に接着又は融着して設けられ、輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、頂部にストロー挿入口が開口して合成樹脂フィルムがストロー挿入口に露出するようにしたので、ストロー挿入口を覆っている合成樹脂フィルムの表面が汚れず、また、予定ストロー挿入口の箇所の包材表面が汚れていても、ストロー挿入口を開口させる段階で汚れた包材が除去され、開口したストロー挿入口には汚れのない綺麗な合成樹脂フィルムが露出することになり、露出された合成樹脂フィルムにストローを突き刺すことで、内部の液体飲料を汚染するといった心配はなくなる。また、予定ストロー挿入口を形成する輪郭線から紙容器内容物が滲み込んだり、紙容器外部の空気が透過することもない。
【0013】
請求項2に記載の紙容器によれば、請求項1に記載の、輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、胴部と頂部との境界の頂部横罫線を越えて胴部に張り出して、且つ、前記頂部横罫線に隣接して設けられているので、ストロー挿入口の開口に際し、切断糸口端部に爪を掛けて引き上げることにより切断糸口端部を容易に立ち上げることができ、この立ち上がった切断糸口端部を摘み、更に引き上げることで、切り込みにより形成された輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除き、ストロー挿入口を確実に開口することができる。
【0014】
請求項3に記載の紙容器によれば、請求項1に記載の、輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、頂部に、胴部と頂部との境界の頂部横罫線に隣接して設けられているので、輸送中の振動で隣の紙容器に当たる等により頂部横罫線付近に衝撃を受けても、切断糸口端部が直接衝撃を受けて損傷したり、不用意に立ち上がるおそれが少ない。その一方で、この切断糸口端部も爪を掛けて引き上げることにより立ち上げることができ、立ち上がった切断糸口端部を摘み、更に引き上げて、切り込みにより形成された輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、ストロー挿入口を確実に開口することができる。
【0015】
請求項4に記載の紙容器によれば、請求項2又は3に記載の、切断糸口端部が存在している胴部又は頂部の面には、切断糸口端部の左右又はその近傍からそれぞれ延びて、隣接している頂部横罫線のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられているので、ストロー挿入口の開口に際し、頂部横罫線を押し込むと、山折り状態にあった頂部横罫線が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部が存在する胴部又は頂部の面が補助折線で山折り状態となって突出して切断糸口端部の先端が浮き上がることから、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部を容易に立ち上げることができ、この立ち上がった切断糸口端部を摘み引き上げて、切り込みにより形成された輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、ストロー挿入口を容易に且つ確実に開口することができる。
【0016】
請求項5に記載の紙容器によれば、請求項2又は3に記載の、切断糸口端部が存在している胴部又は頂部の面には、切断糸口端部を横切り或いは前記切断糸口端部の先端と一致し且つ隣接している頂部横罫線の両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられているので、ストロー挿入口の開口に際し、頂部横罫線を押し込むと、山折り状態にあった頂部横罫線が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部が存在する胴部又は頂部の面が補助折線で山折り状態となって突出して切断糸口端部の先端が浮き上がることから、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部を容易に立ち上げることができ、この立ち上がった切断糸口端部を摘み引き上げて、切り込みにより形成された輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、ストロー挿入口を容易に且つ確実に開口することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る紙容器を実施するための最良の形態を、図に示す実施例により詳細に説明する。
【0018】
図1乃至図4は本発明に係る紙容器の第1実施例を示したものであって、図1は第1実施例の紙容器を示す斜視図、図2は図1のA−A線拡大断面図、図3はストロー挿入口を開口した状態を示す斜視図、図4は開口したストロー挿入口にストローを挿入した状態を示す説明図である。
【0019】
図1に示すように、本例は本発明をゲーブルトップ型の紙容器1Aに実施した実施例であり、本例の紙容器1Aは、板紙素材の表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した包材2によって形成されたものであって、4つの平面部3がそれぞれ胴部縦罫線4で直角に繋がった構造の四角形の胴部5と、その上下を閉塞する底部6及び頂部7とで形成されている。頂部7は切妻屋根面8とその両端の妻壁9とによって形成される切妻屋根型となっている。胴部5と頂部7との境界には頂部横罫線10が設けられている。
【0020】
頂部7を構成する切妻屋根面8となる包材2には、予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12がミシン目により板紙基材に設けられている。この場合において、輪郭線12で囲まれた部分がストロー挿入口15となるので、この輪郭線12で囲まれた部分にあっては、少なくともストローの径よりも広い面であることを要すが、それ以外は、輪郭線12の形状は特に限定されるものではない。本例ではこの輪郭線12の形状は、一部に未切断箇所12aを有する細長い略U字状となっており、そして、その略U字状となっている輪郭線12の閉鎖先端部(U字の底部)は輪郭線12の切断糸口端部13となっている。なお、切断糸口端部13の先端13aのみは、ミシン目ではなく連続した切断線により設けられ、切断糸口端部13を立ち上げやすくしている。
【0021】
このように予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12が板紙基材に設けられた包材2の裏面には、前記予定ストロー挿入口11を塞ぐ合成樹脂フィルム14が予定ストロー挿入口11の外側に接着又は融着して設けられている。この合成樹脂フィルム14としては公知の合成樹脂フィルムが使用できる。
【0022】
このように構成された第1実施例の紙容器1Aによれば、切断糸口端部13を立ち上げ、立ち上がった切断糸口端部13を摘んで引き上げることで、切断糸口端部13及び輪郭線12を形成するミシン目を順次破断し、輪郭線12で囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除くことができるので、頂部7にストロー挿入口15が開口し、ストロー挿入口15内の合成樹脂フィルム14が露出する(図3)。
【0023】
このようにしてストロー挿入口15を開口したら、ストロー挿入口15に露出している合成樹脂フィルム14にストロー16を突き刺して使用する。
【0024】
本例にあっては、このような構成としたので、ストロー挿入口15を覆っている合成樹脂フィルム14の表面が汚れず、また、予定ストロー挿入口11の箇所の包材2表面が汚れていても、ストロー挿入口15を開口させる段階で汚れた包材2が除去され、開口したストロー挿入口15には汚れのない綺麗な合成樹脂フィルム14が露出することになり、露出された合成樹脂フィルムにストロー16を突き刺すことで、内部の液体飲料を汚染するといった心配がなくなる。また、予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12から紙容器1Aの内容物が滲み込んだり、紙容器1A外部の空気が透過することもない。
【0025】
図5は本発明に係る紙容器の第2実施例を示した斜視図である。なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0026】
本実施例も、第1実施例と同様に、本発明をゲーブルトップ型の紙容器1Aに実施した実施例であり、本実施例では、頂部7を構成する切妻屋根面8となる包材2の板紙基材に、前記した第1実施例と同様の形状の予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12がミシン目により形成されており、そして、略U字状となっている輪郭線12の閉鎖先端面が輪郭線12の切断糸口端部13となっている。
【0027】
本実施例では、輪郭線12の閉鎖先端部で形成される輪郭線12の切断糸口端部13が、胴部5と頂部7との境界の頂部横罫線10を越えて胴部5に張り出して、且つ、頂部横罫線10に隣接して設けられている。その他の構成は第1実施例と同様であるから第1実施例の説明を援用する。
【0028】
このように構成された第2実施例の紙容器1Aによれば、ストロー挿入口15の開口に際し、胴部5と頂部7との境界の頂部横罫線10を越えて胴部5に張り出している切断糸口端部13の先端13aに爪を掛けて引き上げることにより切断糸口端部13を容易に立ち上げることができ、この立ち上がった切断糸口端部13を摘み、更に引き上げることで、ミシン目で形成された輪郭線12で囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除き、ストロー挿入口15を確実に開口することができる。その他の効果は、第1実施例と同様である。
【0029】
図6乃至図8は本発明に係る紙容器の第3実施例を示したもので、図6は第3実施例の紙容器を示す斜視図、図7は図6に示す切断糸口端部の箇所の拡大図、図8は頂部横罫線10を押し込むことにより変形した第3実施例の紙容器の斜視図である。なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0030】
本実施例も、第1実施例と同様に、本発明をゲーブルトップ型の紙容器1Aに実施した実施例であり、本実施例では、頂部7を構成する切妻屋根面8となる包材2の板紙基材に、前記した第1実施例と同様の形状の予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12がミシン目により形成されており、そして、略U字状となっている輪郭線12の閉鎖先端部が輪郭線12の切断糸口端部13となっている。
【0031】
本実施例では、輪郭線12の閉鎖先端部で形成される輪郭線12の切断糸口端部13が、胴部5と頂部7との境界の頂部横罫線10に隣接して頂部7に形成され、切断糸口端部13が存在している頂部7の面には、切断糸口端部13の左右又はその近傍からそれぞれ延びて、隣接している頂部横罫線10のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線17a,17bが設けられている。切断糸口端部13の先端13aが補助折線17a,17bを繋ぐ仮想線を越える長さLは、20mm以下が好ましい(図7)。
【0032】
さらに、本実施例では、補助折線17a,17bに対応して、胴部5の面にも弧状の補助折線18が設けられており、その両端は、補助折線17a,17bが繋がる頂部横罫線10の両端又はその近傍に繋がっている。その他の構成は第1実施例と同様であるから第1実施例の説明を援用する。
【0033】
このように構成された第3実施例の紙容器1Aによれば、ストロー挿入口15の開口に際し、頂部横罫線10を押し込むと、山折り状態にあった頂部横罫線10が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部13が存在する頂部7の面が補助折線17a,17bで山折り状態となって突出して切断糸口端部13の先端13aが浮き上がる(図8)。この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部13を容易に立ち上げることができ、この立ち上がった切断糸口端部13を摘み引き上げて、ミシン目で形成された輪郭線12で囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除き、ストロー挿入口15を容易に且つ確実に開口することができる。
【0034】
また、本実施例では、補助折線17a,17bに対応して胴部の面にも弧状の補助折線18が設けられており、その両端は、補助折線17a,17bが繋がる頂部横罫線10の両端又はその近傍に繋がっているので、頂部横罫線10を押し込んだとき、胴部5の面も補助折線18で山折れするので、山折り状態にあった頂部横罫線10を容易に凹ませ谷折り状態とすることができる。その他の効果は、第1実施例と同様である。
【0035】
図9、図10は本発明に係る紙容器の第4実施例を示したもので、図9は第4実施例の紙容器を示す斜視図、図10は図9に示す切断糸口端部の箇所の拡大図である。なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0036】
本実施例も、第1実施例と同様に、本発明をゲーブルトップ型の紙容器1Aに実施した実施例であり、本例では、頂部7を構成する切妻屋根面8となる包材2の板紙基材に、前記した第1実施例と同様の形状の予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12がミシン目により形成されており、そして、略U字状となっている輪郭線12の閉鎖先端部が輪郭線12の切断糸口端部13となっている。
【0037】
本実施例では、輪郭線12の閉鎖先端部で形成される輪郭線12の切断糸口端部13が、胴部5と頂部7との境界の頂部横罫線10に隣接して頂部7に形成され、切断糸口端部13が存在している頂部7の面には、切断糸口端部13を横切り或いは切断糸口端部13の先端13aと一致し且つ隣接している頂部横罫線10の両端又はその近傍に繋がる補助折線17が設けられている。切断糸口端部13の先端13aが補助折線17を越える長さLは、20mm以下が好ましい(図10)。
【0038】
さらに、本実施例では、補助折線17に対応して胴部5の面にも弧状の補助折線18が設けられており、その両端は、補助折線17a,17bが繋がる頂部横罫線10の両端又はその近傍に繋がっている。その他の構成は第1実施例、第3実施例と同様であるから第1実施例、第3実施例の説明を援用する。
【0039】
このように構成された第4実施例の紙容器1Aによれば、ストロー挿入口15の開口に際し、頂部横罫線10を押し込むと、山折り状態にあった頂部横罫線10が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部13が存在する頂部7の面が補助折線17で山折り状態となって突出して切断糸口端部13の先端13aが浮き上がることから、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部13を容易に立ち上げることができる。そして、この立ち上がった切断糸口端部13を摘み引き上げて、ミシン目で形成された輪郭線12で囲まれた部分の包材2を切断して引き上げ、取り除き、ストロー挿入口15を容易に且つ確実に開口することができる。その他の効果は、第1実施例、第3実施例と同様である。
【0040】
図11は本発明に係る紙容器の第5実施例を示した斜視図である、なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0041】
図11に示すように、本実施例は本発明を平らな屋根をもつフラットトップ型の紙容器1Bに実施した実施例であり、本実施例の紙容器1Bは、板紙基材の表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した包材2によって形成されたものであって、4つの平面部3がそれぞれ胴部縦罫線4で直角に繋がった構造の四角形の胴部5と、その上下を閉塞する底部6及び頂部7とで形成されている。頂部7は平らに形成されており、胴部5と頂部7との境界には頂部横罫線10が設けられている。
【0042】
本実施例のその他の構成は、前述した第3実施例と同様に構成されている。そして、このような構成の紙容器1Bも、第3実施例と同様の効果を得ることができる。
【0043】
上記第1〜5実施例では、包材2の裏面に接着又は融着して設けられて予定ストロー挿入口11を塞ぐ合成樹脂フィルム14はいずれも、輪郭線12の周辺の部分に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、包材2の裏面に全体的に設けることもできる。
【0044】
また、予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12は2本のハーフカットで構成してもよい。すなわち、予定ストロー挿入口11を形成する輪郭線12として、頂部7となる包材2の裏面から板紙基材に達し、且つ該板紙基材を貫通しない第1ハーフカットと、該第1ハーフカットを囲んで、包材2の表面から板紙基材に達し、且つ該板紙基材を貫通しない第2ハーフカットとを設けてもよい。この場合において、第1ハーフカットで囲まれた部分がストロー挿入口15となり、切断糸口端部13は第2ハーフカット又はその延長部分によって形成される。このように構成された紙容器によれば、切断糸口端部13を立ち上げ、立ち上がった切断糸口端部13を摘んで引き上げることで、切断糸口端部13及び第2ハーフカットを形成する切り込みから、順次板紙基材を層間剥離させ、更に、この層間剥離を第1ハーフカットに進めて包材2を切断して引き上げ、取り除くことができるので、頂部7にストロー挿入口15が開口し、ストロー挿入口15内の合成樹脂フィルム14が露出する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る紙容器の第1実施例を示した斜視図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】ストロー挿入口を開口した状態を示す斜視図である。
【図4】開口したストロー挿入口にストローを挿入した状態を示す説明図である。
【図5】本発明に係る紙容器の第2実施例を示した斜視図である。
【図6】本発明に係る紙容器の第3実施例を示した斜視図である。
【図7】図6に示す切断糸口端部の箇所の拡大図である。
【図8】頂部横罫線10を押し込むことにより変形した第3実施例の紙容器の斜視図である。
【図9】本発明に係る紙容器の第4実施例を示した斜視図である。
【図10】図9に示す切断糸口端部の箇所の拡大図である。
【図11】本発明に係る紙容器の第5実施例を示した斜視図である、
【図12】従来の紙容器の一例の斜視図である。
【図13】従来の紙容器の他の例の斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1A ゲーブルトップ型の紙容器
1B フラットトップ型の紙容器
2 包材
3 平面部
4 胴部縦罫線
5 胴部
6 底部
7 頂部
8 切妻屋根面
9 妻壁
10 頂部横罫線
11 予定ストロー挿入口
12 輪郭線
12a 未切断箇所
13 切断糸口端部
13a 先端
14 合成樹脂フィルム
15 ストロー挿入口
16 ストロー
17、17a、17b 補助折線
18 補助折線
19 第1ハーフカット
20 第2ハーフカット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙基材の表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した包材によって有底の胴部とその上を閉塞する頂部とが形成され、前記頂部にストロー挿入口が設けられるようになっている紙容器であって、
前記頂部となる前記包材には、予定ストロー挿入口を形成する輪郭線が切り込みにより板紙基材に設けられ、前記包材の裏面には前記予定ストロー挿入口を塞ぐ合成樹脂フィルムが前記予定ストロー挿入口の外側に接着又は融着して設けられ、前記輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、前記頂部にストロー挿入口が開口して前記合成樹脂フィルムがストロー挿入口に露出するようにしたことを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる前記輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線を越えて前記胴部に張り出して、且つ、前記頂部横罫線に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
前記輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる前記輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記頂部に、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
【請求項4】
前記切断糸口端部が存在している前記胴部又は前記頂部の面には、前記切断糸口端部の左右又はその近傍からそれぞれ延びて、隣接している前記頂部横罫線のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の紙容器。
【請求項5】
前記切断糸口端部が存在している前記胴部又は前記頂部の面には、前記切断糸口端部を横切り或いは前記切断糸口端部の先端と一致し且つ隣接している前記頂部横罫線の両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の紙容器。
【請求項1】
板紙基材の表裏両面に熱可塑性樹脂層を積層した包材によって有底の胴部とその上を閉塞する頂部とが形成され、前記頂部にストロー挿入口が設けられるようになっている紙容器であって、
前記頂部となる前記包材には、予定ストロー挿入口を形成する輪郭線が切り込みにより板紙基材に設けられ、前記包材の裏面には前記予定ストロー挿入口を塞ぐ合成樹脂フィルムが前記予定ストロー挿入口の外側に接着又は融着して設けられ、前記輪郭線で囲まれた部分の包材を切断して引き上げ、取り除くことにより、前記頂部にストロー挿入口が開口して前記合成樹脂フィルムがストロー挿入口に露出するようにしたことを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる前記輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線を越えて前記胴部に張り出して、且つ、前記頂部横罫線に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
前記輪郭線で囲まれた部分を引き上げる糸口となる前記輪郭線又はその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記頂部に、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
【請求項4】
前記切断糸口端部が存在している前記胴部又は前記頂部の面には、前記切断糸口端部の左右又はその近傍からそれぞれ延びて、隣接している前記頂部横罫線のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の紙容器。
【請求項5】
前記切断糸口端部が存在している前記胴部又は前記頂部の面には、前記切断糸口端部を横切り或いは前記切断糸口端部の先端と一致し且つ隣接している前記頂部横罫線の両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の紙容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−286434(P2009−286434A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140938(P2008−140938)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(502394520)日本紙パック株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(502394520)日本紙パック株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
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