説明

紙幣処理機

【課題】収納カセットの空状態での取扱性および保管効率を一層向上できる紙幣処理機の提供を目的とする。
【解決手段】布製でいずれの方向にも変形容易な袋体42と、袋体42の開口部に取り付けられる枠体43と、枠体43の導入口52を開閉するカセットシャッタ53とを有し、カセットシャッタ53が開放された状態で枠体43の導入口52を介して袋体42内に紙幣収納カセット3と、装填された紙幣収納カセット3の枠体43を支持するガイドレール50と、ガイドレール50で支持した紙幣収納カセット3の袋体42の中間部を窄めた状態とする昇降可能な可動ステージ63とを有する処理機本体2とを備えた紙幣処理機であって、可動ステージ63は、前記袋体の中間部に一方から押し付けて袋体42の中間部を窄めた状態とする回転可能な支持ローラ64を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理機に関し、特にその収納構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣処理機において、紙幣を収納する収納カセットを処理機本体に対し着脱可能に構成し、この収納カセットを金庫として用いて紙幣の運搬を行うことが行われているが、収納カセットを蛇腹構造にして伸縮可能に構成し、紙幣の収納量に応じて収納容量を変化させることで、空状態での取扱性および保管効率を向上する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−149088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の収納カセットは、蛇腹構造を採用していることから、伸縮方向の変形は容易であるものの、他の方向への変形は容易ではなく、また、最も縮長させた状態でも十分に小型化できるとは言えなかった。
【0004】
したがって、本発明は、収納カセットの空状態での取扱性および保管効率を一層向上できる紙幣処理機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、布製でいずれの方向にも変形容易な袋体と、該袋体の開口部に取り付けられる枠体と、該枠体の内側の導入口を開閉するスライド式のシャッタとを有し、該シャッタが開放された状態で前記枠体の導入口を介して前記袋体内に紙幣を収納可能な紙幣収納カセットと、装填された前記紙幣収納カセットの前記枠体を支持する支持手段と、該支持手段で支持した前記紙幣収納カセットの前記袋体の中間部を窄めた状態とする昇降可能なエレベータ手段とを有する処理機本体とを備えた紙幣処理機であって、前記エレベータ手段は、前記袋体の中間部に一方から押し付けて該袋体の中間部を窄めた状態とする回転可能なローラを具備することを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記ローラは、回転自在のフリーローラであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、布製でいずれの方向にも変形容易な袋体と、袋体の開口部に取り付けられる枠体と、枠体の内側の導入口を開閉するスライド式のシャッタとを有する紙幣収納カセットを、その枠体において、処理機本体の支持手段に支持させるとともに、処理機本体のエレベータ手段で袋体の中間部を窄めた状態とする。すると、袋体の窄められた部分が収納空間の底部となって導入口から導入された紙幣をその上側に収納する。そして、例えば収納量が多くなるとエレベータ手段が下降することで袋体の窄めた位置つまり収納空間の底部を下げることができ、収納空間を拡大することができる。このように、紙幣の収納量に応じて収納空間の大きさを設定できるため、紙幣の収納状態が乱雑になることなく良好に収納することができる。そして、空の状態の紙幣収納カセットは、袋体が布製でいずれの方向にも変形容易であるため、変形自由度が高くて取扱性に優れることになり、また、一層小さく折り畳むことができることになって保管効率も優れることになる。
しかも、エレベータ手段のローラで窄められた袋体の収納空間の底部を昇降させる際に、ローラが回転することで袋体との摩擦力が軽減されて、円滑に昇降できることになる。
さらに、布製の袋体に対してエレベータ手段のローラを一方から押し付ければよいので、処理機本体への紙幣収納カセットの装着作業を容易に行うことができる。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、エレベータ手段のローラで窄められた袋体の収納空間の底部を下降させる際に、フリーローラであるローラは袋体との摩擦によって摩擦力を軽減するように回転するため、袋体との摩擦力が軽減されて、円滑に下降できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施形態の紙幣収納カセットおよびそれを用いた紙幣処理機を図面を参照して以下に説明する。
図1は紙幣処理機1を示すもので、この紙幣処理機1は、バラの紙幣Sを計数して入金および収納する入金収納処理と、バラの紙幣Sを計数して返却する計数処理とを行うことが可能とされるものである。
【0010】
紙幣処理機1は、図1に概略的に示すように、処理機本体2と、処理機本体2に対し着脱可能に装填される紙幣収納カセット3とを有している。
【0011】
処理機本体2は、機体の前面2A側の上部にバラ紙幣Sが投入される装填部12が設けられ、この装填部12の下側に機体内からリジェクト紙幣が繰り出されるリジェクト部13が設けられている。
【0012】
装填部12は、水平に対し若干後ろ下がりに傾斜してその底をなす台部15を有しており、この台部15上に紙幣Sが上下方向に集積された状態で装填される。なお、台部15を水平に配置しても良い。
【0013】
また、装填部12には、台部15の機体奥側上方に機体左右方向に沿って配設された回動軸16と、この回動軸16に回動可能に支持されて台部15の上側で上下に揺動可能とされ、台部15上に装填された紙幣Sを台部15との間で挟持するビルプレス17とが設けられている。
【0014】
処理機本体2は、装填部12の機体奥側に、このように台部15上に装填されたバラ紙幣Sを、下側のものから一枚ずつ分離して機体内に繰り出す分離繰出部20を有している。この分離繰出部20は、装填部12の台部15に、台部15から上部を一部突出させた状態で機体左右方向に沿う軸回りに回転可能に設けられた蹴出ローラ21と、台部15よりも機体奥側に蹴出ローラ21と平行な軸回りに回転可能に設けられた繰出ローラ22と、この繰出ローラ22の上側に繰出ローラ22と平行な軸回りに回転可能に設けられた分離ローラ23とを有している。分離ローラ23は、図示せぬワンウエイクラッチによって繰出ローラ22側が紙幣Sを機体奥方に移動させる方向の回転、すなわち図1における反時計回り方向の回転が規制され、逆方向の回転のみ許容される。
【0015】
このような分離繰出部20は、台部15上に装填されたバラ紙幣Sの最下のものを蹴出ローラ21で繰出ローラ22と分離ローラ23との間に蹴り出し、この蹴り出し時に最下の紙幣Sに引きずられて繰出ローラ22と分離ローラ23との間に移動した紙幣Sを分離ローラ23で止めて蹴り出された最下の紙幣Sのみを繰出ローラ22で機体内方に繰り出す。
【0016】
処理機本体2は、分離繰出部20の機体奥側に接続され、分離繰出部20から繰り出された紙幣Sを搬送する搬送部25を有している。この搬送部25は、紙幣Sを案内する複数のガイド板と搬送ローラと振分部材等で構成されるもので、分離繰出部20から略水平に沿って機体奥側に延出した後に下側に折り返し略水平に沿って機体手前側に延出してリジェクト部13に接続される搬送路26と、この搬送路26の途中から分岐して前下がりに延出する搬送路27とを有しており、搬送路26には、搬送中の紙幣Sの金種、真偽、正損および搬送異常の識別と計数とを行う識別部28が設けられている。
【0017】
処理機本体2は、搬送部25の搬送路27の端末位置に、識別部28により真紙幣かつ正紙幣で正常搬送と識別された紙幣Sを金種混合で一時貯留させる一時貯留部30が接続されている。この一時貯留部30は、機体前面側から開閉可能な返却扉31と、返却扉31とで平面視枠状をなす壁部32と、機体前後方向に水平にスライドすることで返却扉31および壁部32で囲まれた一時貯留空間33の下部を開閉する一時貯留部シャッタ34と、紙幣Sを下方に押し込む昇降可能な押込部35とを有している。そして、処理機本体2には、各部を制御する制御部36と、操作者による操作入力が行われる操作部37と、操作者への表示を行う表示部38とが設けられている。また、返却扉31には、制御部36でロックおよびロック解除が制御される返却扉ロック部39が設けられている。
【0018】
なお、装填部12には、紙幣Sが分離繰出部20の分離繰出方向に短手方向を沿わせる姿勢で装填されることになり、搬送部25は紙幣Sをその短手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で搬送し、その短手方向を放出方向に沿わせた姿勢で一時貯留部30およびリジェクト部13のいずれかに放出させる。勿論、紙幣Sを長手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で搬送するようにしても良い。
【0019】
そして、紙幣収納カセット3は、処理機本体2の前面2Aに設けられた開閉可能な扉体40を開いた状態で処理機本体2に対し機体前後方向に出し入れされることになり、処理機本体2に装填された状態で一時貯留部30の鉛直下方に配置される。以下、紙幣収納カセット3を処理機本体2に装填された状態をもって説明する。
【0020】
図2に示すように、紙幣収納カセット3は、滑りの良い布製であって長さ方向一側に開口部41を有する略有底角筒状に縫製された袋体42を有している。この袋体42は全体的に布製とされることで、三次元のいずれの方向にも変形容易となっているものの、外力を受けない状態では縫製によって有底角筒状をほぼ維持可能になっている。
【0021】
紙幣収納カセット3は、袋体42の開口部41側の周縁部に取り付けられる金属製または合成樹脂製の枠体43を有している。この枠体43は、平面視が長方形枠状をなすとともに袋体42の開口部41側の周縁部の全周に取り付けられる下部構成体44と、この下部構成体44に開閉可能にヒンジ結合された平面視が長方形枠状の上部構成体46とを有している。上部構成体46は下部構成体44に対して閉状態(当接状態)でロック可能とされている。下部構成体44には、周方向に等間隔で係止突起部47が形成されており、袋体42の開口部41側の周縁部が係止突起部47に係止される。そして、下部構成体44の内側に嵌合固定される角リング状の保持部材48によって、係止突起部47に係止された袋体42の上方移動を規制し、係止突起部47からの外れを規制する。
【0022】
紙幣収納カセット3は、その枠体43が、処理機本体2に機体前後方向に沿う水平状態で固定されたガイドレール50で案内されて処理機本体2内に配置されることになり、ガイドレール50の上面に載置されて水平状態に支持されることになる。
【0023】
上部構成体46には、枠体43の上部に形成された導入口52を開閉するスライド式のカセットシャッタ(シャッタ)53が設けられている。このカセットシャッタ53は、上部構成体46に形成されたガイド溝54に沿って導入口52を機体前後方向の一方から他方まで水平状態でスライドする平板状のスライド体55と、このスライド体55に回動軸56を介して回動自在にヒンジ結合される揺動体57とを有している。
【0024】
上部構成体46には、閉状態のカセットシャッタ53の下側に、一対のフラッパ60がそれぞれ回動軸61を中心に回動可能に設けられている。これらフラッパ60は、それぞれが支持される回動軸61から互いに近接する方向に延出し、平面視で導入口52内に両側から突出する閉状態と、回動軸61を中心に下方に回動して平面視で導入口52内から退避する開状態との間で回動可能とされ、閉状態となるように図示せぬネジリバネで付勢されている。
【0025】
一時貯留部30の鉛直下方位置つまり紙幣収納カセット3が装填される装填空間には、昇降可能な可動ステージ63が設けられている。この可動ステージ63は、図3に示すように、左右方向に延在する本体70の両側部に、それぞれ鉛直方向に延在するガイドレール62,62によって移動が案内されるガイドローラ71を備えている。また、本体70の背面側には上下方向に沿って平行な突条73を備えたガイドプレート74が配置されており、一方、本体70の背面にはガイドプレート74の突条73に対応する凹部75が形成されている。この凹部75が突条73によって案内されるとともにガイドローラ71がガイドレール62に案内されることで、可動ステージ63の本体70が一定姿勢を維持したままガイドレール62及びガイドプレート74の突条73に沿って昇降可能になっている。なお、図2において、図示都合上、ガイドプレート74を省略している。
【0026】
可動ステージ63の本体70の前方には、左右一対の支持部77により回転軸78が回動自在に軸支されている。この回転軸78は、本体70の上縁と略同じ高さ位置に配置され、この回転軸78の軸回りには、それぞれ所定の間隔で一対の支持ローラ64が取付けられている。この支持ローラ64は、その回転軸が本体70の上縁と略同じ高さ位置に配置されるため、支持ローラ64の上部が可動ステージ63の最上部を構成している。また、可動ステージ63は、スプリング(図示略)で上昇方向に付勢されており、昇降可能な上限位置においてはストッパ(図示略)に当接する。
【0027】
以上の紙幣処理機1においては、処理機本体2の前面の扉体40を開いた状態で、カセットシャッタ53が閉状態とされた空の紙幣収納カセット3を処理機本体2内の所定の装填位置に装填する。つまり、紙幣収納カセット3の枠体43をガイドレール50上を摺動させて奥側の所定位置まで移動させる。すると、カセットシャッタ53のロックが解除されるとともに枠体43が処理機本体2にロックされる。
【0028】
ロックが解除されたカセットシャッタ53を処理機本体2の前面2A側に引き出すと、引き出されたカセットシャッタ53は、スライド体55が導入口52から退避する位置に位置すると揺動体57が全体として枠体43よりも外側に位置し、回動軸56を介して回動可能となって下方に延出する姿勢に折り畳まれる。
【0029】
図4は処理機本体2に装填する前の紙幣収納カセット3を示しており、この状態の紙幣収納カセット3を、図5(a)に示すように処理機本体2に装填すると、変形容易な袋体42は、上部の待機位置に位置する可動ステージ63の支持ローラ64が後方から押し付けられ、この支持ローラ64の上側にその一部が載置されることになり、これにより、袋体42は中間部が窄められた状態となる。このとき、袋体42の窄められた窄部67よりも上側が紙幣Sを収納する収納空間68となり、袋体42の窄められた窄部67が収納空間68の底部となる。
【0030】
そして、例えば、紙幣Sの入金収納処理を行う場合には、操作者が装填部12のビルプレス17を持ち上げてこれと台部15との間に紙幣Sを、その短手方向を機体前後方向に沿わせた状態で装填する。このとき、金種混合の装填および単一金種の装填のいずれも可能である。そして、操作者が操作部37に入金開始の操作を入力すると、制御部36が分離繰出部20と搬送部25とを駆動する。すると、装填部12に装填された紙幣Sが最下のものから一枚ずつ機内に繰り出され、搬送部25で搬送される。その途中で識別部28により受け入れ可能と識別された紙幣Sが搬送路27から一時貯留部30内に放出され、それ以外の紙幣Sがリジェクト部13に放出される。なお、リジェクト部13に放出された紙幣Sはそのまま機外へ取り出し可能となる。
【0031】
上記のようにして、装填部12に装填された紙幣Sが、リジェクト部13および一時貯留部30のいずれかに放出されることですべてなくなると、制御部36は、分離繰出部20および搬送部25を停止させて、識別部28の識別結果に基づいて一時貯留部30に一時貯留された紙幣Sの識別結果を表示部38に表示させる。この表示を見て操作者がキャンセル操作を操作部37に入力すると、制御部36は返却扉ロック部39で返却扉31のロックを解除して開放可能とし、操作者が返却扉31を開いて直接一時貯留部30の紙幣Sを取り出すことになる。
【0032】
他方、表示を見て操作者が承認操作を操作部37に入力すると、制御部36は一時貯留部シャッタ34を開作動させることになり、一時貯留空間33から、紙幣Sが下方に落下して、カセットシャッタ53が開放された紙幣収納カセット3の導入口52を通って閉状態の一対のフラッパ60上に載置される。続いて、制御部36は、押込部35を下降させて、一対のフラッパ60上の紙幣Sを、これらフラッパ60を下方に回動させながら押し込む。すると、紙幣Sは、一対のフラッパ60を通過して、可動ステージ63で窄められた窄部67で底部が形成される袋体42の収納空間68の底部または既に収納された紙幣S上に収納される。一対のフラッパ60は紙幣Sが離れることで図示略のネジリバネの付勢力で水平状態に戻る。このとき、袋体42の可動ステージ63で窄められた窄部67より下側に紙幣Sが進入することはない。
【0033】
また、このとき、押込部35の下降による紙幣Sを介しての押圧で、可動ステージ63とその支持ローラ64で窄められて形成される収納空間68の底部とが、図5(b)に示すように押し込む紙幣量に応じて下降することになる。その際に相対的に上昇する袋体42との摩擦で摩擦力を軽減するように回転自在の支持ローラ64が袋体42と接触する側を上向きに移動させるように回転する。これにより、支持ローラ64と、これに対し相対的に上昇する袋体42との摩擦力が軽減される。
【0034】
その後、押込部35が閉状態のフラッパ60間を通過しながら上昇すると、スプリングの付勢力で可動ステージ63とその支持ローラで窄められて形成される収納空間68の底部とが上昇することになるが、この上昇時にも、相対的に下降する袋体42との摩擦で摩擦力を軽減するように回転自在の支持ローラ64が袋体42と接触する相互近接側を下向きに移動させるように回転する。これにより、支持ローラ64と、これに対し相対的に下降する袋体42との摩擦力が軽減される。
【0035】
なお、以上の紙幣処理機1で紙幣Sの計数処理を行う場合は、上記と同様にして、装填部12に装填された紙幣Sがすべてリジェクト部13および一時貯留部30に搬送されたら、一時貯留部30から紙幣収納カセット3に紙幣Sを収納せずに、返却扉31を開いて一時貯留部30の紙幣Sを操作者に返却することになる。
【0036】
上記のようにして紙幣Sを収納した紙幣収納カセット3を処理機本体2から取り出す場合には、まず、操作者は、扉体40を開き、揺動体57を水平に持ち上げて枠体43に押し込むことでカセットシャッタ53を閉じる。すると、カセットシャッタ53が閉状態でロックされるとともに、枠体43の処理機本体2に対するロックが解除されることになり、紙幣収納カセット3が処理機本体2から取り出し可能となる。このようにして処理機本体2から取り出された紙幣収納カセット3から紙幣を取り出す際には、操作者が上部構成体46の下部構成体44に対するロックを解除して上部構成体46をカセットシャッタ53と一体に揺動させて開き、袋体42内から紙幣を取り出すことになる。
【0037】
以上に述べた本実施形態の紙幣処理機1によれば、布製でいずれの方向にも変形容易な袋体42と、袋体42の開口部41に取り付けられる金属製の枠体43と、枠体43の内側の導入口61を開閉するスライド式のカセットシャッタ53とを有する収納カセット3を、その枠体43において、処理機本体2のガイドレール50に支持させるとともに、処理機本体2の可動ステージ63で袋体42の中間部を窄めた状態とする。すると、袋体42の窄められた窄部67が収納空間68の底部となって導入口61から導入された紙幣Sをその上側に収納する。そして、例えば収納量が多くなると押込部35が紙幣Sを介して可動ステージ63を下降させることで袋体42の窄部67つまり収納空間68の底部を下げることができ、収納空間68を拡大することができる。このように、紙幣Sの収納量に応じて収納空間68の大きさを設定できるため、紙幣Sの収納状態が乱雑になることなく良好に収納することができる。そして、空の状態の収納カセット3は、袋体42が布製でいずれの方向にも変形容易であるため、変形自由度が高くて取扱性に優れることになり、また、一層小さく折り畳むことができることになって保管効率も優れることになる。
【0038】
しかも、押込部35が、可動ステージ63と、その支持ローラ64で窄められて形成される収納空間68の底部とを紙幣Sを介して下降させる際に、支持ローラ64は、袋体42との摩擦によって、袋体42と接触する側が袋体42の相対移動方向である上向きに移動するように回転させられることになって、袋体42との摩擦力が軽減されることになり、その結果、円滑に下降することになる。また、押込部35が上昇することで、可動ステージ63と、その支持ローラ64で窄められて形成される収納空間68の底部とをスプリングの付勢力で上昇させる際にも、支持ローラ64は、袋体42との摩擦によって、袋体42と接触する相互近接側が袋体42の相対移動方向である下向きに移動するように回転させられることになって袋体42との摩擦力が軽減されることになり、その結果、円滑に上昇することになる。
【0039】
さらに、紙幣収納カセット3を処理機本体2の扉体40を開いて装填する際に、紙幣収納カセット3の枠体43をガイドレール50に沿って、処理機本体2の前方から後方に向かって装填するだけで、可動ステージ63の支持ローラ64を紙幣収納カセット3の布製の袋体42の後方に押し付けることができるため、紙幣収納カセット3の装填作業を容易に行うことができる。また、処理機本体2から紙幣収納カセット3を取り出す場合は、ガイドレール50に沿って処理機本体2の前方に引っ張るだけでよい為、取り出し作業を容易に行うことができる。
【0040】
なお、上述したこの発明の実施形態では、支持ローラが回動自在に設けられたいわゆるフリーローラである場合について説明したが、例えば、支持ローラが可動ステージ63の昇降に連動して積極的に回転する構成にしてもよい。
また、支持ローラ64を機体に装填された状態の袋体42の後方から押し付ける場合について説明したが、一方向から押し付ける構成であれば、例えば機体に装填された状態の袋体42の側方から押し付けるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態における紙幣処理機の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における処理機本体内部の部分断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における可動ステージの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における装填前の紙幣収納カセットおよびその装填空間の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態における装填空間の側面図であり、(a)は可動ステージが待機位置に位置する場合を示し、(b)は可動ステージが待機位置から下降した場合を示している。
【符号の説明】
【0042】
1 紙幣処理機
2 処理機本体
3 紙幣収納カセット
42 袋体
43 枠体
50 ガイドレール(支持手段)
52 導入口
53 カセットシャッタ(シャッタ)
63 可動ステージ(エレベータ手段)
64 支持ローラ(ローラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布製でいずれの方向にも変形容易な袋体と、該袋体の開口部に取り付けられる枠体と、該枠体の内側の導入口を開閉するスライド式のシャッタとを有し、該シャッタが開放された状態で前記枠体の導入口を介して前記袋体内に紙幣を収納可能な紙幣収納カセットと、
装填された前記紙幣収納カセットの前記枠体を支持する支持手段と、該支持手段で支持した前記紙幣収納カセットの前記袋体の中間部を窄めた状態とする昇降可能なエレベータ手段とを有する処理機本体とを備えた紙幣処理機であって、
前記エレベータ手段は、前記袋体の中間部に一方から押し付けて該中間部を窄めた状態とする回転可能なローラを具備することを特徴とする紙幣処理機。
【請求項2】
前記ローラは、回転自在のフリーローラであることを特徴とする請求項1記載の紙幣処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−64165(P2009−64165A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230364(P2007−230364)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(500267170)ローレル機械株式会社 (86)
【Fターム(参考)】