紙幣処理装置及び金銭処理機
【課題】駆動機構への負荷を低減する。
【解決手段】紙幣ＢＮ１が収納される収納部２０と、収納部２０内に収納された紙幣ＢＮ１を紙幣ＢＮ１の主面に対して垂直方向に移動させる押圧手段と、紙幣ＢＮ１の主面に対向配置され、押圧手段によって移動された、主面が押圧された紙幣ＢＮ１を、回転して所定の搬送方向に繰り出すキックローラ２４と、キックローラ２４の配置位置から搬送方向に離間して配置され、キックローラ２４と同方向に回転し、キックローラ２４により収納部２０から繰り出される紙幣ＢＮ１の主面を摩擦する第１分離ローラ２５と、第１分離ローラ２５に非接触で対向配置され、収納部２０側に回転して、第１分離ローラ２５によって摩擦されて隙間を搬送される紙幣ＢＮ１の裏面を摩擦して、紙幣ＢＮ１を１枚に分離する第２分離ローラ２６と、を有する紙幣処理装置が提供される。
【解決手段】紙幣ＢＮ１が収納される収納部２０と、収納部２０内に収納された紙幣ＢＮ１を紙幣ＢＮ１の主面に対して垂直方向に移動させる押圧手段と、紙幣ＢＮ１の主面に対向配置され、押圧手段によって移動された、主面が押圧された紙幣ＢＮ１を、回転して所定の搬送方向に繰り出すキックローラ２４と、キックローラ２４の配置位置から搬送方向に離間して配置され、キックローラ２４と同方向に回転し、キックローラ２４により収納部２０から繰り出される紙幣ＢＮ１の主面を摩擦する第１分離ローラ２５と、第１分離ローラ２５に非接触で対向配置され、収納部２０側に回転して、第１分離ローラ２５によって摩擦されて隙間を搬送される紙幣ＢＮ１の裏面を摩擦して、紙幣ＢＮ１を１枚に分離する第２分離ローラ２６と、を有する紙幣処理装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は紙幣処理装置及び金銭処理機に関し、特に、紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置、及びこのような紙幣処理装置を備える金銭処理機に関する。
【背景技術】
【０００２】
上位機種と接続されて、入金された紙幣を内部に収納し、上位機種の指令に基づいて、紙幣の出金を行う紙幣処理装置と、硬貨の入出金を行う硬貨処理装置とを備える金銭処理機がスーパーマーケット等に配置されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
金銭処理機に用いられる紙幣処理装置は、例えば次のような構成をしている。
図１１は紙幣処理装置の概念図である。
紙幣処理装置１００は、紙幣が投入される入金口１１０、釣銭紙幣等が払い出される出金口１２０、入出金時に紙幣が搬送される搬送路１３０を備えている。搬送路１３０には、投入された紙幣の真偽を鑑別する鑑別部１４０、鑑別部１４０にて真と鑑別された紙幣の金種を判定する金種判別部１５０が配置されている。さらに、金種判別部１５０で判別された紙幣を金種毎に収納して保管する収納庫１６０、収納された紙幣の金種と枚数とを確認するための精査庫１７０がそれぞれ配置されている。
【０００４】
このような紙幣処理装置１００の紙幣の入金処理では、入金口１１０から投入された紙幣は、搬送路１３０を搬送されて、鑑別部１４０でその真偽が鑑別される。偽札である場合には、投入された紙幣はそのまま出金口１２０から払い出される。真札である場合には、投入された紙幣は搬送路１３０をさらに搬送されて、金種判別部１５０で紙幣の金種が、例えば千円札又は一万円札等と判別される。判別された紙幣は金種に応じて所定の収納庫１６０に搬送されて収納される。
【０００５】
一方、紙幣の釣銭の払い戻しの場合には、上位機種からの指令に基づいて、所定の金種の紙幣が収納庫１６０から搬出されて、搬送路１３０を搬送されて出金口１２０から払い出される。
【０００６】
次に、上記紙幣処理装置１００で紙幣の収納及び搬出が行われる収納庫１６０の詳細について説明する。
図１２は、非動作時の収納庫を説明するための側面図である。
【０００７】
収納庫１６０は、側板２１０ａ及び第１，第２搬送ガイド２１０ｂ，２１０ｃで囲まれて、搬送路１３０が連通して接続された収納部２００を備える。
収納部２００には内部にステージ２２０、及び第１搬送ガイド２１０ｂには押え部材２９０がそれぞれ配置されている。さらに、第１搬送ガイド２１０ｂには、補助キックローラ２３０、キックローラ２４０、搬送ローラ２５０及び引き抜きローラ２７０が配置され、第２搬送ガイド２１０ｃには阻止ローラ２６０及び従動ローラ２８０が配置されている。
【０００８】
ステージ２２０は複数枚の紙幣ＢＮが積層された紙幣ＢＮｓが載置されて、第１搬送ガイド２１０ｂに対して退避及び接近する。
押え部材２９０は第１搬送ガイド２１０ｂに揺動自在に配置されて、ステージ２２０に対して退避及び接近して、ステージ２２０に載置された紙幣ＢＮｓの最上面を押える。
【０００９】
キックローラ２４０は、第１搬送ガイド２１０ｂに軸２４０ａで軸支されて、外周面の一部を収納部２００側に露出して、紙幣ＢＮの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向に回転する。また、キックローラ２４０の外周面の一部に高摩擦部材２４０ｂが配置されている。
【００１０】
補助キックローラ２３０は、キックローラ２４０の配置位置から収納部２００（側板２１０ａ）側に離間して配置されている。また、キックローラ２４０と同様に、第１搬送ガイド２１０ｂに軸２３０ａで軸支されて、外周面の一部を収納部２００側に露出して、紙幣ＢＮの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向に回転する。また、補助キックローラ２３０の外周面の一部に高摩擦部材２３０ｂが配置されている。
【００１１】
搬送ローラ２５０は、第１搬送ガイド２１０ｂに軸２５０ａで軸支されて、外周面の一部を搬送路１３０側に露出して、紙幣ＢＮの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向に回転する。また、搬送ローラ２５０の外周面の一部に高摩擦部材２５０ｂが配置されている。
【００１２】
阻止ローラ２６０は、外周面の一部を搬送路１３０側に露出して、搬送ローラ２５０に周接、かつ対向配置して第２搬送ガイド２１０ｃに軸２６０ａで軸支されている。なお、阻止ローラ２６０は紙幣ＢＮの搬送路１３０側への搬出時には回転せずに、紙幣ＢＮの収納部２００（側板２１０ａ）側への収納時には反時計回り方向に回転する。
【００１３】
引き抜きローラ２７０は、第１搬送ガイド２１０ｂに軸２７０ａで軸支されて、外周面の一部を搬送路１３０側に露出して、紙幣ＢＮの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ回転する。
【００１４】
従動ローラ２８０は、外周面の一部を搬送路１３０側に露出して、引き抜きローラ２７０の外周面に周接、かつ対向配置して第２搬送ガイド２１０ｃに軸２８０ａで軸支され、引き抜きローラ２７０に従動して回転する。
【００１５】
次に上記収納庫１６０の紙幣ＢＮの搬送動作について説明する。
図１３及び図１４は収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図である。
収納庫１６０は非動作時の状態（図１２）において、上位機種から紙幣ＢＮの搬出命令に応じて、所定の動作を開始する。
【００１６】
まず、複数枚の紙幣ＢＮが積層された紙幣ＢＮｓが載置されたステージ２２０が第１搬送ガイド２１０ｂ側に接近して、紙幣ＢＮｓの最上面がキックローラ２４０及び補助キックローラ２３０のそれぞれの外周面に圧接される。なお、紙幣ＢＮの搬出時には押え部材２９０は第１搬送ガイド２１０ｂ側に退避している（図１３）。
【００１７】
次に、キックローラ２４０及び補助キックローラ２３０が図１４中反時計回り（矢印方向）に回転して、各ローラに圧接されていた紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮが搬出方向に摩擦力を受けて繰り出される。収納部２００に紙幣ＢＮｓが収納されているときには、通常、一部の複数枚の紙幣ＢＮがそれらの間に生じる摩擦等により、束になって一緒に搬送される。また、搬送ローラ２５０は阻止ローラ２６０により図１４中矢印Ｚ方向に加圧されている。このため、束になって繰り出された複数枚の紙幣ＢＮは、図１４に示すように、回転する搬送ローラ２５０と停止した阻止ローラ２６０との間を通過するときに、複数枚の紙幣ＢＮのうち最上面の紙幣ＢＮが１枚に分離され、引き抜きローラ２７０及び従動ローラ２８０によって搬送路１３０へと搬送される。
【００１８】
また、収納庫１６０への紙幣ＢＮの収納時は、入金口１１０から投入され、鑑別部１４０及び金種判別部１５０において鑑別及び判別された紙幣ＢＮは判別された金種に対応する収納庫１６０に搬送される。なお、この場合、紙幣ＢＮｓが載置されたステージ２２０は第１搬送ガイド２１０ｂから退避した状態を維持して、収納される紙幣ＢＮの収納スペースを確保する。また、押え部材２９０は、図１２に示したような、非動作時の位置に配置している。
【００１９】
搬送路１３０を搬送された紙幣ＢＮは、引き抜きローラ２７０及び従動ローラ２８０の反時計回り方向及び時計回り方向への回転により収納部２００に収納される。この時、紙幣ＢＮは、押え部材２９０を押し上げて、収納部２００（側板２１０ａ）側に突入して、押え部材２９０の自重によって紙幣ＢＮがステージ２２０側に押えられて収納部２００に載置されて収納される。
【００２０】
このように、上記の搬出動作では、束になって繰り出された複数枚の紙幣ＢＮを１枚に分離して搬出するためには、搬送ローラ２５０に対して阻止ローラ２６０からの圧力により搬出の逆方向に大きな摩擦力を加えるようにした。したがって、搬送ローラ２５０を回転駆動させる駆動機構への阻止ローラ２６０からの摩擦力による負荷が大きくなる。
【００２１】
そこで、阻止ローラ２６０からの駆動機構への負荷を低減するために、紙幣ＢＮが搬出される際に、例えば、阻止ローラ２６０を収納部２００側に回転させる方法が提案されている（例えば、特許文献２参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００２２】
【特許文献１】特開２００７−１１２６０１号公報
【特許文献２】特開平５−０４３０６４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００２３】
しかし、上記特許文献２において、リバースローラは搬送ローラの回転力により回転しないため、リバースローラを回転させる駆動機構に負荷がかかってしまう。
また、図１３の紙幣処理装置１００の収納庫１６０において、大きな負荷がかかった搬送ローラ２５０の駆動機構を回転駆動させるためには駆動機構の大型化が必要となる。
【００２４】
しかし、駆動機構が大型化すると、紙幣処理装置及びこの紙幣処理装置を備える金銭処理機も大型化してしまい、装置の小型化を進められないという問題点があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、駆動機構への負荷を低減した紙幣処理装置、及び、このような紙幣処理装置を備える金銭処理機を備えた金銭処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２５】
上記目的を達成するために、紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置が提供される。
この紙幣処理装置は、前記紙幣が収納される収納部と、前記収納部内に収納された前記紙幣を前記紙幣の主面に対して垂直方向に移動させる押圧手段と、前記紙幣の前記主面に対向配置され、前記押圧手段によって移動されて、前記主面が押圧された前記紙幣を、回転して所定の搬送方向に繰り出す繰り出しローラと、前記繰り出しローラの配置位置から前記搬送方向に離間して配置され、前記繰り出しローラと同方向に回転し、前記繰り出しローラにより前記収納部から繰り出される前記紙幣の前記主面を摩擦する第１ローラと、前記第１ローラに隙間を開けて対向配置され、前記収納部側に回転して、前記第１ローラによって摩擦されて前記隙間を搬送される前記紙幣の裏面を摩擦して、前記紙幣を１枚に分離する第２ローラと、を有する。
【００２６】
また、上記目的を達成するために、紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置を備えた金銭処理機が提供される。
この金銭処理機は、前記紙幣が収納される収納部と、前記収納部内に収納された前記紙幣を前記紙幣の主面に対して垂直方向に移動させる押圧手段と、前記紙幣の前記主面に対向配置され、前記押圧手段によって移動されて、前記主面が押圧された前記紙幣を、回転して所定の搬送方向に繰り出す繰り出しローラと、前記繰り出しローラの配置位置から前記搬送方向に離間して配置され、前記繰り出しローラと同方向に回転し、前記繰り出しローラにより前記収納部から繰り出される前記紙幣の前記主面を摩擦する第１ローラと、前記第１ローラに隙間を開けて対向配置され、前記収納部側に回転して、前記第１ローラによって摩擦されて前記隙間を搬送される前記紙幣の裏面を摩擦して、前記紙幣を１枚に分離する第２ローラと、を有する紙幣処理装置を備える。
【００２７】
このような紙幣処理装置及び金銭処理機によれば、押圧手段が収納部内に収納された紙幣を紙幣の主面に対して垂直方向に移動させ、紙幣の主面に対向配置された繰り出しローラが回転して、押圧手段によって移動され、主面が押圧された紙幣を、所定の搬送方向に繰り出して、繰り出しローラの配置位置から搬送方向に離間して配置された第１ローラが繰り出しローラと同方向に回転し、繰り出しローラにより収納部から繰り出される紙幣の主面を摩擦して、第１ローラに隙間を開けて対向配置された第２ローラが、収納部側に回転して、第１ローラによって摩擦されて隙間を搬送される紙幣の裏面を摩擦して、紙幣を１枚に分離する。
【発明の効果】
【００２８】
上記紙幣処理装置、及び紙幣処理装置を備えた金銭処理機では、駆動機構への負荷が低減される。
【図面の簡単な説明】
【００２９】
【図１】紙幣処理装置の概略構成図である。
【図２】実施の形態の非動作時の収納庫の側面図である。
【図３】図２の収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その１）である。
【図４】図２の収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その２）である。
【図５】図２の収納庫の第１及び第２分離ローラの分離動作を説明するための側面拡大図である。
【図６】図２の収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その３）である。
【図７】図２の収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その４）である。
【図８】図２の収納庫の紙幣の収納動作を説明するための側面図（その１）である。
【図９】図２の収納庫の紙幣の収納動作を説明するための側面図（その２）である。
【図１０】図２の収納庫の紙幣の収納動作を説明するための側面図（その３）である。
【図１１】紙幣処理装置の概念図である。
【図１２】非動作時の収納庫を説明するための側面図である。
【図１３】収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その１）である。
【図１４】収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その２）である。
【発明を実施するための形態】
【００３０】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図１は紙幣処理装置の概略構成図である。
紙幣処理装置１０は、紙幣が投入される入金口１１、釣銭紙幣等を払い出す出金口１２、及び入・出金紙幣が搬送される搬送路１３を備えている。この搬送路１３の途中には、搬送路１３内に進退する振り分けゲート１８ａ、投入された紙幣の真偽を鑑別する鑑別部１４、及び紙幣の金種を判別する金種判別部１５が配置されている。さらに、搬送路１３の途中には、搬送路１３内に進退して搬送紙幣を所定の収納庫１６に振り分ける振り分けゲート１８ｂ，１８ｃ，１８ｄが配置されている。また、搬送路１３を搬送される紙幣の通過、収納庫１６からの紙幣の搬出及び収納を検知するため、要所に複数のセンサ１９が配置されている。
【００３１】
この紙幣処理装置１０には、収納庫１６として、例えば、千円紙幣のみが収納される千円収納庫１６ａ、千円紙幣以外の紙幣（二千円紙幣、五千円紙幣、一万円紙幣）が収納される混合収納庫１６ｂ、及びその混合収納庫１６ｂの五千円紙幣を釣銭として払い出せるように二千円紙幣と一万円紙幣を移送する或いは釣銭として払い出す千円紙幣や五千円紙幣の精査を行うための精査庫１６ｃが配置されている。なお、この他、混合収納庫１６ｂの位置に、五千円紙幣のみが収納される五千円収納庫を配置し、精査庫１６ｃの位置に、投入された二千円紙幣及び一万円紙幣を収納する混合収納庫を配置する構成とすることもできる。
【００３２】
また、紙幣処理装置１０の入・出金口１１，１２側には、収納庫１６に収納された紙幣が移送されて回収される回収庫１７が配置されている。
このような紙幣処理装置１０において、入金口１１に投入された紙幣は、搬送路１３を搬送され、まず鑑別部１４でその真偽が鑑別される。鑑別部１４で真札と鑑別された紙幣は、さらに奥へと搬送され、また、偽札と鑑別された紙幣は、逆方向に搬送されて、振り分けゲート１８ａが搬送路１３内に進入することによって出金口１２側に振り分けられ、出金口１２へと戻される。真札と鑑別された紙幣は、続いて金種判別部１５でその金種が判別される。
【００３３】
上記のように収納庫１６として千円収納庫１６ａ、混合収納庫１６ｂ及び精査庫１６ｃを配置した場合、金種判別部１５で千円紙幣と判別された紙幣は、振り分けゲート１８ｄが搬送路１３内に進入することによって振り分けられ、千円収納庫１６ａに収納される。判別結果が千円紙幣以外の紙幣である場合には、その紙幣は、さらに搬送路１３を搬送されて、混合収納庫１６ｂに収納される。混合収納庫１６ｂに収納された紙幣のうち、釣銭として使用しない、例えば二千円紙幣及び一万円紙幣は、適当なタイミングで精査庫１６ｃに移送される。この場合、混合収納庫１６ｂから搬出された紙幣は、搬送路１３を入金時と逆方向に搬送され、振り分けゲート１８ｃが搬送路１３内に進入することによって振り分けられて、精査庫１６ｃに収納される。
【００３４】
上位機種からの指令等により、釣銭の払い出しが必要になった場合には、所定金額の千円紙幣或いは五千円紙幣がそれぞれ千円収納庫１６ａ又は混合収納庫１６ｂから搬出され、搬送路１３を入金時と逆方向に搬送される。そして、振り分けゲート１８ａが搬送路１３に進入することによって出金口１２側に振り分けられ、出金口１２から払い出される。
【００３５】
千円収納庫１６ａ、混合収納庫１６ｂ及び精査庫１６ｃに収納されている紙幣は、必要に応じて回収庫１７に移送され、回収される。千円収納庫１６ａ、混合収納庫１６ｂ及び精査庫１６ｃから搬出された紙幣は、搬送路１３を入金時と逆方向に搬送され、振り分けゲート１８ｂが搬送路１３内に進入することによって回収庫１７側に振り分けられ、回収庫１７に移送される。なお、精査庫１６ｃの紙幣は、例えば、搬送路１３への搬出後に混合収納庫１６ｂ側に搬送させて一旦停止させ、そこから回収庫１７側に搬送させたり、或いは一旦混合収納庫１６ｂに移送した後に回収庫１７に移送したりすることができる。
【００３６】
なお、混合収納庫１６ｂの位置に五千円収納庫を配置し、精査庫１６ｃの位置に二千円紙幣及び一万円紙幣を収納する混合収納庫を配置した場合には、金種判別部１５での判別結果に応じ、五千円紙幣はさらに搬送されて五千円収納庫に収納され、二千円紙幣及び一万円紙幣は入金時と逆方向に搬送されて混合収納庫に収納されることになる。釣銭の払い出し時には、千円紙幣及び五千円紙幣を収納している収納庫１６からそれぞれ、所定金額分の紙幣が搬出され、出金口１２から払い出される。
【００３７】
このような構成を有する紙幣処理装置１０が、硬貨の入・出金処理を行う硬貨処理装置等とともに搭載されて、ＰＯＳ（Point Of Sales）等の上位機種に接続される金銭処理機が構成される。また、本実施の形態では、搬出及び収納の対象を紙幣とする紙幣処理装置１０について説明するが、その他、証券等の紙葉類を対象としても同様に処理を行うことが可能である。
【００３８】
次に、上記構成を有する紙幣処理装置１０の収納庫１６について説明する。
図２は実施の形態の非動作時の収納庫の側面図である。
収納庫１６は、側板２１ａ及び第１，第２搬送ガイド２１ｂ，２１ｃで囲まれた収納部２０を有しており、搬送路１３が第１，第２搬送ガイド２１ｂ，２１ｃと一体的に接続されて、収納部２０に連通している。なお、図中の矢印Ｘｏは搬出方向を、矢印Ｘｉは収納方向をそれぞれ表す。
【００３９】
収納部２０には、複数枚の紙幣ＢＮが集積した紙幣ＢＮｓが載置されたステージ２２が配置されている。ステージ２２は、ステージ２２の下部に配置されたパンダグラフ（図示を省略）等の押圧手段により第１搬送ガイド２１ｂに対して接近・退避させられる。
【００４０】
また、第１搬送ガイド２１ｂには、キックローラ２４（繰り出しローラ）、補助キックローラ２３、第１分離ローラ２５（第１ローラ）及び搬送ローラ２７が収納部２０側又は搬送路１３側に外周面の一部を露出して配置されている。第２搬送ガイド２１ｃには、第２分離ローラ２６（第２ローラ）及び従動ローラ２８が同様に外周面の一部を露出して配置されている。
【００４１】
キックローラ２４は、移動するステージ２２により紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１の搬出側の先頭部を押圧するように第１搬送ガイド２１ｂに、軸２４ａに軸支されて、紙幣ＢＮの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。なお、キックローラ２４の外周面の一部にゴム等の高摩擦部材２４ｂが配置されている。また、キックローラ２４は、通常の搬送動作で紙幣ＢＮ１にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対のキックローラ２４は、ステージ２２の移動により押圧された紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１を、所定方向に回転することにより摩擦して、搬送方向に繰り出す。なお、キックローラ２４には、モータ等の駆動機構が接続されており、駆動機構は所定の搬送方向にキックローラ２４を回転駆動させる。
【００４２】
補助キックローラ２３は、キックローラ２４の配置位置から収納方向側に離間して第１搬送ガイド２１ｂに、軸２３ａに軸支されてキックローラ２４とともに時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。なお、補助キックローラ２３の外周面の一部に高摩擦部材２３ｂが配置されている。補助キックローラ２３も、通常の搬送動作で紙幣ＢＮ１にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の補助キックローラ２３は、ステージ２２の移動により押圧された紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１を、キックローラ２４と同方向に回転することにより摩擦して、搬送方向に繰り出す。なお、補助キックローラ２３は、キックローラ２４を回転駆動させる駆動機構に、プーリ等の伝達機構により接続されており、キックローラ２４とともに回転駆動する。
【００４３】
第１分離ローラ２５は、キックローラ２４の配置位置から搬出方向側に離間して第１搬送ガイド２１ｂに、軸２５ａに軸支されてキックローラ２４とともに時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。なお、第１分離ローラ２５の外周面の一部に高摩擦部材２５ｂが配置されている。第１分離ローラ２５も、通常の搬送動作で紙幣ＢＮ１にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の第１分離ローラ２５は、キックローラ２４により繰り出された紙幣ＢＮ１をキックローラ２４と同方向に回転して搬出する。また、入金口１１から投入され、又は他の収納庫１６等から搬送された紙幣ＢＮ１をキックローラ２４と同方向に回転して、収納部２０内に収納する。また、第１分離ローラ２５は、駆動機構が接続されており、駆動機構は第１分離ローラ２５を所定の搬送方向に回転駆動させる。その他、第１分離ローラ２５に、キックローラ２４を回転駆動させる駆動機構を、プーリ等の伝達機構を介して接続させて、キックローラ２４とともに回転駆動させるようにしてもよい。なお、第１分離ローラ２５の詳細については後述する。
【００４４】
第２分離ローラ２６は、第１分離ローラ２５に対して接触しておらず、距離Ｈの隙間を開けて対向配置して第２搬送ガイド２１ｃに、軸２６ａに軸支されて収納方向側に反時計回り方向に回転可能に構成されている。なお、第２分離ローラ２６の外周面に高摩擦部材２６ｂが配置されている。また、距離Ｈは搬送対象となる紙幣ＢＮの１枚の厚さであることが望ましい。また、距離Ｈは、紙幣ＢＮの１枚の厚さの８０％〜９０％程度であることがさらに望ましい。第２分離ローラ２６も、通常の搬送動作で紙幣ＢＮ１にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の第２分離ローラ２６は、キックローラ２４により繰り出された紙幣ＢＮ１に、反時計回り方向に回転して収納方向側に摩擦を与える。また、入金口１１から投入され、又は他の収納庫１６等から搬送された紙幣ＢＮ１に、反時計回り方向に回転して収納方向側に摩擦を与える。また、第２分離ローラ２６は、駆動機構が接続されており、駆動機構は第２分離ローラ２６を反時計回り方向に回転駆動させる。または、第２分離ローラ２６を、キックローラ２４を回転駆動させる駆動機構、又は第１分離ローラ２５のみを回転駆動させる駆動機構に、プーリ等の伝達機構により接続させて、反時計回り方向に回転駆動させるようにしてもよい。なお、第２分離ローラ２５の詳細については後述する。
【００４５】
搬送ローラ２７は、第１分離ローラ２５の配置位置からさらに搬出側に離間して第１搬送ガイド２１ｂに、軸２７ａに軸支されてキックローラ２４とともに時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。具体的には、キックローラ２４が一回転したときに、キックローラ２４によって搬送された紙幣ＢＮ１の先端部が達する位置に搬送ローラ２７を配置する。搬送ローラ２７も、通常の搬送動作で紙幣ＢＮ１にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の搬送ローラ２７は、キックローラ２４により繰り出された紙幣ＢＮ１をキックローラ２４とともに反時計回り方向に回転して搬出する。また、入金口１１から投入され、又は他の収納庫１６等から搬送された紙幣ＢＮ１をキックローラ２４とともに時計周り方向に回転して、収納部２０内に収納する。また、搬送ローラ２７は、駆動機構が接続されており、駆動機構により搬送ローラ２７を所定の搬送方向に回転駆動させる。
【００４６】
従動ローラ２８は、一対の搬送ローラ２７に周接するように対向配置して第２搬送ガイド２１ｃに、軸２８ａに軸支されて搬送ローラ２７の回転に従動して時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。従動ローラ２８も、通常の搬送動作で紙幣ＢＮにスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の従動ローラ２８は、キックローラ２４により繰り出された紙幣ＢＮを搬送ローラ２７に従動して時計回り方向に回転して搬出する。また、入金口１１から投入され、又は他の収納庫１６等から搬送された紙幣ＢＮを搬送ローラ２７に従動して反時計周り方向に回転して、収納部２０内に収納する。
【００４７】
また、押え部材２９が第１搬送ガイド２１ｂに揺動自在に配置されて、ステージ２２に対して退避及び接近して、自重によりステージ２２上の紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１をステージ２２側に押える。
【００４８】
このような構成を有する収納庫１６における紙幣ＢＮ１の搬出動作及び収納動作について説明する。なお、上記構成を有する収納庫１６では、上位機種の指令に基づいて、収納庫１６に配置された制御部（図示を省略）により、ステージ２２を押圧する押圧手段、各ローラを回転駆動させる駆動機構、並びに押え部材２９等の動作が制御されて、紙幣ＢＮ１の搬出・収納が行われる。
【００４９】
まず、収納庫１６から紙幣ＢＮ１の搬出について説明する。なお、既述の通り、紙幣ＢＮ１は紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮであり、紙幣ＢＮ２は、紙幣ＢＮ１の下の紙幣ＢＮのことを表す。
【００５０】
図３，図４，図６及び図７は、図２の収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図であり、図５は、図２の収納庫の第１及び第２分離ローラの分離動作を説明するための側面拡大図である。なお、図４，図６及び図７では、押え部材２９は第１搬送ガイド２１ｂ側に退避したままであって、その記載については省略している。また、図５では、第１，第２分離ローラ２５，２６付近の拡大図を示す。
【００５１】
押圧手段（図示を省略）の駆動により移動するステージ２２に載置した紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１の主面がキックローラ２４及び補助キックローラ２３の外周面に圧接される。この時、キックローラ２４及び補助キックローラ２３は紙幣ＢＮ１の搬出方向側の先端部及び中央部にそれぞれ圧接する。また、ステージ２２が第１搬送ガイド２１ｂに接近するとともに、押え部材２９が第１搬送ガイド２１ｂ側に退避する。以後、紙幣ＢＮ１が搬送路１３から搬出されるまでの間、押え部材２９は第１搬送ガイド２１ｂに退避したままの状態である（図３）。
【００５２】
図３に示した状態において、キックローラ２４、補助キックローラ２３、第１，第２分離ローラ２５，２６及び搬送ローラ２７を図４中反時計回り方向（実線矢印方向）に回転させる。なお、搬送ローラ２７に周接する従動ローラ２８は、搬送ローラ２７の反時計回り方向の回転に従動して、図４中時計回り方向（破線矢印方向）に回転する。
【００５３】
この時、紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１は、反時計回り方向に回転するキックローラ２４及び補助キックローラ２３から摩擦力を受けて、搬出方向に繰り出される。そして、繰り出された紙幣ＢＮ１からの摩擦力により、紙幣ＢＮ２以下の複数枚の紙幣ＢＮがそれらの間に生じる摩擦力等により、束になって一緒に搬出方向に搬送される。束になった紙幣ＢＮが紙幣ＢＮ１を先頭にして第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間に突入する（図４）。
【００５４】
第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間に突入した紙幣ＢＮ１の主面は、反時計回り方向に回転する第１分離ローラ２５から搬出方向の摩擦力ｆ１を受ける。一方、紙幣ＢＮ１の裏面は、反時計回り方向に回転する第２分離ローラ２６から収納方向側への摩擦力ｆ２を受ける。この時、摩擦力ｆ１は摩擦力ｆ２よりも大きくなるようにしておくと、紙幣ＢＮ１のみが他の紙幣ＢＮｓから分離されて、第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間を搬送される。また、紙幣ＢＮ２以下の紙幣ＢＮｓは、距離Ｈが紙幣ＢＮの１枚程度であり、また、回転する第２分離ローラ２６により隙間への搬送が防止される。このようにして、紙幣ＢＮｓから分離した１枚の紙幣ＢＮ１のみが搬出方向側に搬送される。なお、摩擦力ｆ１を摩擦力ｆ２よりも大きくするために、例えば、高摩擦部材２５ｂの摩擦係数を高摩擦部材２６ｂよりも大きくし、又は、第１分離ローラ２５の回転速度を第２分離ローラ２６よりも速くすることで実現される（図５）。
【００５５】
このようにして第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間を搬送されて１枚に分離された紙幣ＢＮ１が、反時計回り方向にそれぞれ回転するキックローラ２４、補助キックローラ２３及び第１分離ローラ２５により摩擦力を受けて搬送ローラ２７及び従動ローラ２８が周接する周接部に搬送される（図６）。
【００５６】
紙幣ＢＮ１が搬送ローラ２７及び従動ローラ２８の周接部に突入すると、キックローラ２４及び補助キックローラ２３は回転駆動を停止する。そして、紙幣ＢＮ１は反時計回り方向に回転する搬送ローラ２７及び搬送ローラ２７に従動して時計回り方向に回転する従動ローラ２８から摩擦力を受けて、引き抜かれるように搬出される。この時、キックローラ２４及び補助キックローラ２３は回転駆動が停止されているために、紙幣ＢＮ１から摩擦力を受けても紙幣ＢＮ２は搬出されることはない（図７）。
【００５７】
このようにして収納庫１６から搬出された紙幣ＢＮ１は、出金口１２、並びに回収庫１７等に搬送される。
次に、収納庫１６への紙幣ＢＮ１の収納について説明する。
【００５８】
図８〜図１０は図２の収納庫の紙幣の収納動作を説明するための側面図である。
入金口１１から投入された場合、又は他の収納庫１６から移送された場合等の紙幣ＢＮ１は搬送路１３を搬送されて収納庫１６に収納される。
【００５９】
また、紙幣ＢＮ１の収納時は、紙幣ＢＮｓが載置されたステージ２２は第１搬送ガイド２１ｂから退避して、この状態を維持することで、収納される紙幣ＢＮ１の収納スペースを確保する。また、キックローラ２４、補助キックローラ２３、第１分離ローラ２５及び搬送ローラ２７を図８中時計回り方向（実線矢印方向）に回転させる。また、搬送ローラ２７に周接する従動ローラ２８は、搬送ローラ２７の時計回り方向の回転に従動して、図８中反時計回り方向（実線矢印方向）に回転する。第２分離ローラ２６は、紙幣ＢＮ１の搬出時と同様に、図８中反時計回り方向（破線矢印方向）に回転する。
【００６０】
この状態において、紙幣ＢＮ１は、搬送路１３を搬送されて、搬送ローラ２７及び従動ローラ２８が周接する周接部に達する（図８）。
紙幣ＢＮ１は、搬送ローラ２７及び従動ローラ２８の周接部に突入して、搬送ローラ２７によってさらに収納方向側に搬送される。そして、時計回り方向に回転する第１分離ローラ２５及び反時計回りに回転する第２分離ローラ２６によって摩擦力を受けた紙幣ＢＮ１は、収納部２０内に勢い良く搬送される。この時、紙幣ＢＮ１は押え部材２９を押し上げ、押し上げられた押え部材２９の下方に搬送される（図９）。
【００６１】
紙幣ＢＮ１は押え部材２９の自重により下方へ押圧され、紙幣ＢＮｓの最上面に載置される。紙幣ＢＮｓの最上層に載置された紙幣ＢＮ１はさらに押え部材２９からステージ２２側に押えられて収納部２０に収納される（図１０）。
【００６２】
以上のように、収納庫１６から搬出する紙幣ＢＮ１の主面を第１分離ローラ２５により搬出方向に摩擦し、紙幣ＢＮ１の裏面を第１分離ローラ２５に対して紙幣ＢＮ１の１枚分の厚さ程度の隙間で対向配置した第２分離ローラ２６により収納方向に摩擦した。この時、紙幣ＢＮ１のみが他の紙幣ＢＮｓから容易に分離されて、第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間を搬送される。
【００６３】
なお、図１２で示した収納庫１６０の搬送ローラ２５０と上記収納庫１６の第１分離ローラ２５との紙幣の分離時における負荷トルクを算出した。この時は、搬送ローラ２５０及び第１分離ローラ２５にそれぞれ同質の駆動機構を接続して、さらに、収納庫１６の第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間の距離Ｈを０．１ｍｍ程度とした。
【００６４】
この結果によれば、搬送ローラ２５０では０．０７５Ｎ・ｍであり、第１分離ローラ２５では０．０３５Ｎ・ｍであった。このように負荷トルクを５０％程度低減することができた。
【００６５】
したがって、第１，第２分離ローラ２５，２６の回転を行わせるための負荷を低減することができるため、各ローラを回転させる駆動機構に対する負荷を低減できる。駆動機構は大きな出力を必要としないために、駆動機構を小型化できるため、紙幣処理装置１０の小型化・消費電力低減が可能となる。また、第１，第２分離ローラ２５，２６の外周面の磨耗を低減でき、紙幣処理装置１０の長寿命化が可能となる。
【符号の説明】
【００６６】
１０ 紙幣処理装置
１１ 入金口
１２ 出金口
１３ 搬送路
１４ 鑑別部
１５ 金種判別部
１６ 収納庫
１６ａ 千円収納庫
１６ｂ 混合収納庫
１６ｃ 精査庫
１７ 回収庫
１８ａ，１８ｂ，１８ｃ，１８ｄ 振り分けゲート
１９ センサ
２０ 収納部
２１ａ 側板
２１ｂ 第１搬送ガイド
２１ｃ 第２搬送ガイド
２２ ステージ
２３ 補助キックローラ
２３ａ，２４ａ，２５ａ，２６ａ，２７ａ，２８ａ 軸
２３ｂ，２４ｂ，２５ｂ，２６ｂ 高摩擦部材
２４ キックローラ
２５ 第１分離ローラ
２６ 第２分離ローラ
２７ 搬送ローラ
２８ 従動ローラ
２９ 押え部材
【技術分野】
【０００１】
本発明は紙幣処理装置及び金銭処理機に関し、特に、紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置、及びこのような紙幣処理装置を備える金銭処理機に関する。
【背景技術】
【０００２】
上位機種と接続されて、入金された紙幣を内部に収納し、上位機種の指令に基づいて、紙幣の出金を行う紙幣処理装置と、硬貨の入出金を行う硬貨処理装置とを備える金銭処理機がスーパーマーケット等に配置されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
金銭処理機に用いられる紙幣処理装置は、例えば次のような構成をしている。
図１１は紙幣処理装置の概念図である。
紙幣処理装置１００は、紙幣が投入される入金口１１０、釣銭紙幣等が払い出される出金口１２０、入出金時に紙幣が搬送される搬送路１３０を備えている。搬送路１３０には、投入された紙幣の真偽を鑑別する鑑別部１４０、鑑別部１４０にて真と鑑別された紙幣の金種を判定する金種判別部１５０が配置されている。さらに、金種判別部１５０で判別された紙幣を金種毎に収納して保管する収納庫１６０、収納された紙幣の金種と枚数とを確認するための精査庫１７０がそれぞれ配置されている。
【０００４】
このような紙幣処理装置１００の紙幣の入金処理では、入金口１１０から投入された紙幣は、搬送路１３０を搬送されて、鑑別部１４０でその真偽が鑑別される。偽札である場合には、投入された紙幣はそのまま出金口１２０から払い出される。真札である場合には、投入された紙幣は搬送路１３０をさらに搬送されて、金種判別部１５０で紙幣の金種が、例えば千円札又は一万円札等と判別される。判別された紙幣は金種に応じて所定の収納庫１６０に搬送されて収納される。
【０００５】
一方、紙幣の釣銭の払い戻しの場合には、上位機種からの指令に基づいて、所定の金種の紙幣が収納庫１６０から搬出されて、搬送路１３０を搬送されて出金口１２０から払い出される。
【０００６】
次に、上記紙幣処理装置１００で紙幣の収納及び搬出が行われる収納庫１６０の詳細について説明する。
図１２は、非動作時の収納庫を説明するための側面図である。
【０００７】
収納庫１６０は、側板２１０ａ及び第１，第２搬送ガイド２１０ｂ，２１０ｃで囲まれて、搬送路１３０が連通して接続された収納部２００を備える。
収納部２００には内部にステージ２２０、及び第１搬送ガイド２１０ｂには押え部材２９０がそれぞれ配置されている。さらに、第１搬送ガイド２１０ｂには、補助キックローラ２３０、キックローラ２４０、搬送ローラ２５０及び引き抜きローラ２７０が配置され、第２搬送ガイド２１０ｃには阻止ローラ２６０及び従動ローラ２８０が配置されている。
【０００８】
ステージ２２０は複数枚の紙幣ＢＮが積層された紙幣ＢＮｓが載置されて、第１搬送ガイド２１０ｂに対して退避及び接近する。
押え部材２９０は第１搬送ガイド２１０ｂに揺動自在に配置されて、ステージ２２０に対して退避及び接近して、ステージ２２０に載置された紙幣ＢＮｓの最上面を押える。
【０００９】
キックローラ２４０は、第１搬送ガイド２１０ｂに軸２４０ａで軸支されて、外周面の一部を収納部２００側に露出して、紙幣ＢＮの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向に回転する。また、キックローラ２４０の外周面の一部に高摩擦部材２４０ｂが配置されている。
【００１０】
補助キックローラ２３０は、キックローラ２４０の配置位置から収納部２００（側板２１０ａ）側に離間して配置されている。また、キックローラ２４０と同様に、第１搬送ガイド２１０ｂに軸２３０ａで軸支されて、外周面の一部を収納部２００側に露出して、紙幣ＢＮの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向に回転する。また、補助キックローラ２３０の外周面の一部に高摩擦部材２３０ｂが配置されている。
【００１１】
搬送ローラ２５０は、第１搬送ガイド２１０ｂに軸２５０ａで軸支されて、外周面の一部を搬送路１３０側に露出して、紙幣ＢＮの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向に回転する。また、搬送ローラ２５０の外周面の一部に高摩擦部材２５０ｂが配置されている。
【００１２】
阻止ローラ２６０は、外周面の一部を搬送路１３０側に露出して、搬送ローラ２５０に周接、かつ対向配置して第２搬送ガイド２１０ｃに軸２６０ａで軸支されている。なお、阻止ローラ２６０は紙幣ＢＮの搬送路１３０側への搬出時には回転せずに、紙幣ＢＮの収納部２００（側板２１０ａ）側への収納時には反時計回り方向に回転する。
【００１３】
引き抜きローラ２７０は、第１搬送ガイド２１０ｂに軸２７０ａで軸支されて、外周面の一部を搬送路１３０側に露出して、紙幣ＢＮの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ回転する。
【００１４】
従動ローラ２８０は、外周面の一部を搬送路１３０側に露出して、引き抜きローラ２７０の外周面に周接、かつ対向配置して第２搬送ガイド２１０ｃに軸２８０ａで軸支され、引き抜きローラ２７０に従動して回転する。
【００１５】
次に上記収納庫１６０の紙幣ＢＮの搬送動作について説明する。
図１３及び図１４は収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図である。
収納庫１６０は非動作時の状態（図１２）において、上位機種から紙幣ＢＮの搬出命令に応じて、所定の動作を開始する。
【００１６】
まず、複数枚の紙幣ＢＮが積層された紙幣ＢＮｓが載置されたステージ２２０が第１搬送ガイド２１０ｂ側に接近して、紙幣ＢＮｓの最上面がキックローラ２４０及び補助キックローラ２３０のそれぞれの外周面に圧接される。なお、紙幣ＢＮの搬出時には押え部材２９０は第１搬送ガイド２１０ｂ側に退避している（図１３）。
【００１７】
次に、キックローラ２４０及び補助キックローラ２３０が図１４中反時計回り（矢印方向）に回転して、各ローラに圧接されていた紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮが搬出方向に摩擦力を受けて繰り出される。収納部２００に紙幣ＢＮｓが収納されているときには、通常、一部の複数枚の紙幣ＢＮがそれらの間に生じる摩擦等により、束になって一緒に搬送される。また、搬送ローラ２５０は阻止ローラ２６０により図１４中矢印Ｚ方向に加圧されている。このため、束になって繰り出された複数枚の紙幣ＢＮは、図１４に示すように、回転する搬送ローラ２５０と停止した阻止ローラ２６０との間を通過するときに、複数枚の紙幣ＢＮのうち最上面の紙幣ＢＮが１枚に分離され、引き抜きローラ２７０及び従動ローラ２８０によって搬送路１３０へと搬送される。
【００１８】
また、収納庫１６０への紙幣ＢＮの収納時は、入金口１１０から投入され、鑑別部１４０及び金種判別部１５０において鑑別及び判別された紙幣ＢＮは判別された金種に対応する収納庫１６０に搬送される。なお、この場合、紙幣ＢＮｓが載置されたステージ２２０は第１搬送ガイド２１０ｂから退避した状態を維持して、収納される紙幣ＢＮの収納スペースを確保する。また、押え部材２９０は、図１２に示したような、非動作時の位置に配置している。
【００１９】
搬送路１３０を搬送された紙幣ＢＮは、引き抜きローラ２７０及び従動ローラ２８０の反時計回り方向及び時計回り方向への回転により収納部２００に収納される。この時、紙幣ＢＮは、押え部材２９０を押し上げて、収納部２００（側板２１０ａ）側に突入して、押え部材２９０の自重によって紙幣ＢＮがステージ２２０側に押えられて収納部２００に載置されて収納される。
【００２０】
このように、上記の搬出動作では、束になって繰り出された複数枚の紙幣ＢＮを１枚に分離して搬出するためには、搬送ローラ２５０に対して阻止ローラ２６０からの圧力により搬出の逆方向に大きな摩擦力を加えるようにした。したがって、搬送ローラ２５０を回転駆動させる駆動機構への阻止ローラ２６０からの摩擦力による負荷が大きくなる。
【００２１】
そこで、阻止ローラ２６０からの駆動機構への負荷を低減するために、紙幣ＢＮが搬出される際に、例えば、阻止ローラ２６０を収納部２００側に回転させる方法が提案されている（例えば、特許文献２参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００２２】
【特許文献１】特開２００７−１１２６０１号公報
【特許文献２】特開平５−０４３０６４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００２３】
しかし、上記特許文献２において、リバースローラは搬送ローラの回転力により回転しないため、リバースローラを回転させる駆動機構に負荷がかかってしまう。
また、図１３の紙幣処理装置１００の収納庫１６０において、大きな負荷がかかった搬送ローラ２５０の駆動機構を回転駆動させるためには駆動機構の大型化が必要となる。
【００２４】
しかし、駆動機構が大型化すると、紙幣処理装置及びこの紙幣処理装置を備える金銭処理機も大型化してしまい、装置の小型化を進められないという問題点があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、駆動機構への負荷を低減した紙幣処理装置、及び、このような紙幣処理装置を備える金銭処理機を備えた金銭処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２５】
上記目的を達成するために、紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置が提供される。
この紙幣処理装置は、前記紙幣が収納される収納部と、前記収納部内に収納された前記紙幣を前記紙幣の主面に対して垂直方向に移動させる押圧手段と、前記紙幣の前記主面に対向配置され、前記押圧手段によって移動されて、前記主面が押圧された前記紙幣を、回転して所定の搬送方向に繰り出す繰り出しローラと、前記繰り出しローラの配置位置から前記搬送方向に離間して配置され、前記繰り出しローラと同方向に回転し、前記繰り出しローラにより前記収納部から繰り出される前記紙幣の前記主面を摩擦する第１ローラと、前記第１ローラに隙間を開けて対向配置され、前記収納部側に回転して、前記第１ローラによって摩擦されて前記隙間を搬送される前記紙幣の裏面を摩擦して、前記紙幣を１枚に分離する第２ローラと、を有する。
【００２６】
また、上記目的を達成するために、紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置を備えた金銭処理機が提供される。
この金銭処理機は、前記紙幣が収納される収納部と、前記収納部内に収納された前記紙幣を前記紙幣の主面に対して垂直方向に移動させる押圧手段と、前記紙幣の前記主面に対向配置され、前記押圧手段によって移動されて、前記主面が押圧された前記紙幣を、回転して所定の搬送方向に繰り出す繰り出しローラと、前記繰り出しローラの配置位置から前記搬送方向に離間して配置され、前記繰り出しローラと同方向に回転し、前記繰り出しローラにより前記収納部から繰り出される前記紙幣の前記主面を摩擦する第１ローラと、前記第１ローラに隙間を開けて対向配置され、前記収納部側に回転して、前記第１ローラによって摩擦されて前記隙間を搬送される前記紙幣の裏面を摩擦して、前記紙幣を１枚に分離する第２ローラと、を有する紙幣処理装置を備える。
【００２７】
このような紙幣処理装置及び金銭処理機によれば、押圧手段が収納部内に収納された紙幣を紙幣の主面に対して垂直方向に移動させ、紙幣の主面に対向配置された繰り出しローラが回転して、押圧手段によって移動され、主面が押圧された紙幣を、所定の搬送方向に繰り出して、繰り出しローラの配置位置から搬送方向に離間して配置された第１ローラが繰り出しローラと同方向に回転し、繰り出しローラにより収納部から繰り出される紙幣の主面を摩擦して、第１ローラに隙間を開けて対向配置された第２ローラが、収納部側に回転して、第１ローラによって摩擦されて隙間を搬送される紙幣の裏面を摩擦して、紙幣を１枚に分離する。
【発明の効果】
【００２８】
上記紙幣処理装置、及び紙幣処理装置を備えた金銭処理機では、駆動機構への負荷が低減される。
【図面の簡単な説明】
【００２９】
【図１】紙幣処理装置の概略構成図である。
【図２】実施の形態の非動作時の収納庫の側面図である。
【図３】図２の収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その１）である。
【図４】図２の収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その２）である。
【図５】図２の収納庫の第１及び第２分離ローラの分離動作を説明するための側面拡大図である。
【図６】図２の収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その３）である。
【図７】図２の収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その４）である。
【図８】図２の収納庫の紙幣の収納動作を説明するための側面図（その１）である。
【図９】図２の収納庫の紙幣の収納動作を説明するための側面図（その２）である。
【図１０】図２の収納庫の紙幣の収納動作を説明するための側面図（その３）である。
【図１１】紙幣処理装置の概念図である。
【図１２】非動作時の収納庫を説明するための側面図である。
【図１３】収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その１）である。
【図１４】収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図（その２）である。
【発明を実施するための形態】
【００３０】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図１は紙幣処理装置の概略構成図である。
紙幣処理装置１０は、紙幣が投入される入金口１１、釣銭紙幣等を払い出す出金口１２、及び入・出金紙幣が搬送される搬送路１３を備えている。この搬送路１３の途中には、搬送路１３内に進退する振り分けゲート１８ａ、投入された紙幣の真偽を鑑別する鑑別部１４、及び紙幣の金種を判別する金種判別部１５が配置されている。さらに、搬送路１３の途中には、搬送路１３内に進退して搬送紙幣を所定の収納庫１６に振り分ける振り分けゲート１８ｂ，１８ｃ，１８ｄが配置されている。また、搬送路１３を搬送される紙幣の通過、収納庫１６からの紙幣の搬出及び収納を検知するため、要所に複数のセンサ１９が配置されている。
【００３１】
この紙幣処理装置１０には、収納庫１６として、例えば、千円紙幣のみが収納される千円収納庫１６ａ、千円紙幣以外の紙幣（二千円紙幣、五千円紙幣、一万円紙幣）が収納される混合収納庫１６ｂ、及びその混合収納庫１６ｂの五千円紙幣を釣銭として払い出せるように二千円紙幣と一万円紙幣を移送する或いは釣銭として払い出す千円紙幣や五千円紙幣の精査を行うための精査庫１６ｃが配置されている。なお、この他、混合収納庫１６ｂの位置に、五千円紙幣のみが収納される五千円収納庫を配置し、精査庫１６ｃの位置に、投入された二千円紙幣及び一万円紙幣を収納する混合収納庫を配置する構成とすることもできる。
【００３２】
また、紙幣処理装置１０の入・出金口１１，１２側には、収納庫１６に収納された紙幣が移送されて回収される回収庫１７が配置されている。
このような紙幣処理装置１０において、入金口１１に投入された紙幣は、搬送路１３を搬送され、まず鑑別部１４でその真偽が鑑別される。鑑別部１４で真札と鑑別された紙幣は、さらに奥へと搬送され、また、偽札と鑑別された紙幣は、逆方向に搬送されて、振り分けゲート１８ａが搬送路１３内に進入することによって出金口１２側に振り分けられ、出金口１２へと戻される。真札と鑑別された紙幣は、続いて金種判別部１５でその金種が判別される。
【００３３】
上記のように収納庫１６として千円収納庫１６ａ、混合収納庫１６ｂ及び精査庫１６ｃを配置した場合、金種判別部１５で千円紙幣と判別された紙幣は、振り分けゲート１８ｄが搬送路１３内に進入することによって振り分けられ、千円収納庫１６ａに収納される。判別結果が千円紙幣以外の紙幣である場合には、その紙幣は、さらに搬送路１３を搬送されて、混合収納庫１６ｂに収納される。混合収納庫１６ｂに収納された紙幣のうち、釣銭として使用しない、例えば二千円紙幣及び一万円紙幣は、適当なタイミングで精査庫１６ｃに移送される。この場合、混合収納庫１６ｂから搬出された紙幣は、搬送路１３を入金時と逆方向に搬送され、振り分けゲート１８ｃが搬送路１３内に進入することによって振り分けられて、精査庫１６ｃに収納される。
【００３４】
上位機種からの指令等により、釣銭の払い出しが必要になった場合には、所定金額の千円紙幣或いは五千円紙幣がそれぞれ千円収納庫１６ａ又は混合収納庫１６ｂから搬出され、搬送路１３を入金時と逆方向に搬送される。そして、振り分けゲート１８ａが搬送路１３に進入することによって出金口１２側に振り分けられ、出金口１２から払い出される。
【００３５】
千円収納庫１６ａ、混合収納庫１６ｂ及び精査庫１６ｃに収納されている紙幣は、必要に応じて回収庫１７に移送され、回収される。千円収納庫１６ａ、混合収納庫１６ｂ及び精査庫１６ｃから搬出された紙幣は、搬送路１３を入金時と逆方向に搬送され、振り分けゲート１８ｂが搬送路１３内に進入することによって回収庫１７側に振り分けられ、回収庫１７に移送される。なお、精査庫１６ｃの紙幣は、例えば、搬送路１３への搬出後に混合収納庫１６ｂ側に搬送させて一旦停止させ、そこから回収庫１７側に搬送させたり、或いは一旦混合収納庫１６ｂに移送した後に回収庫１７に移送したりすることができる。
【００３６】
なお、混合収納庫１６ｂの位置に五千円収納庫を配置し、精査庫１６ｃの位置に二千円紙幣及び一万円紙幣を収納する混合収納庫を配置した場合には、金種判別部１５での判別結果に応じ、五千円紙幣はさらに搬送されて五千円収納庫に収納され、二千円紙幣及び一万円紙幣は入金時と逆方向に搬送されて混合収納庫に収納されることになる。釣銭の払い出し時には、千円紙幣及び五千円紙幣を収納している収納庫１６からそれぞれ、所定金額分の紙幣が搬出され、出金口１２から払い出される。
【００３７】
このような構成を有する紙幣処理装置１０が、硬貨の入・出金処理を行う硬貨処理装置等とともに搭載されて、ＰＯＳ（Point Of Sales）等の上位機種に接続される金銭処理機が構成される。また、本実施の形態では、搬出及び収納の対象を紙幣とする紙幣処理装置１０について説明するが、その他、証券等の紙葉類を対象としても同様に処理を行うことが可能である。
【００３８】
次に、上記構成を有する紙幣処理装置１０の収納庫１６について説明する。
図２は実施の形態の非動作時の収納庫の側面図である。
収納庫１６は、側板２１ａ及び第１，第２搬送ガイド２１ｂ，２１ｃで囲まれた収納部２０を有しており、搬送路１３が第１，第２搬送ガイド２１ｂ，２１ｃと一体的に接続されて、収納部２０に連通している。なお、図中の矢印Ｘｏは搬出方向を、矢印Ｘｉは収納方向をそれぞれ表す。
【００３９】
収納部２０には、複数枚の紙幣ＢＮが集積した紙幣ＢＮｓが載置されたステージ２２が配置されている。ステージ２２は、ステージ２２の下部に配置されたパンダグラフ（図示を省略）等の押圧手段により第１搬送ガイド２１ｂに対して接近・退避させられる。
【００４０】
また、第１搬送ガイド２１ｂには、キックローラ２４（繰り出しローラ）、補助キックローラ２３、第１分離ローラ２５（第１ローラ）及び搬送ローラ２７が収納部２０側又は搬送路１３側に外周面の一部を露出して配置されている。第２搬送ガイド２１ｃには、第２分離ローラ２６（第２ローラ）及び従動ローラ２８が同様に外周面の一部を露出して配置されている。
【００４１】
キックローラ２４は、移動するステージ２２により紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１の搬出側の先頭部を押圧するように第１搬送ガイド２１ｂに、軸２４ａに軸支されて、紙幣ＢＮの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。なお、キックローラ２４の外周面の一部にゴム等の高摩擦部材２４ｂが配置されている。また、キックローラ２４は、通常の搬送動作で紙幣ＢＮ１にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対のキックローラ２４は、ステージ２２の移動により押圧された紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１を、所定方向に回転することにより摩擦して、搬送方向に繰り出す。なお、キックローラ２４には、モータ等の駆動機構が接続されており、駆動機構は所定の搬送方向にキックローラ２４を回転駆動させる。
【００４２】
補助キックローラ２３は、キックローラ２４の配置位置から収納方向側に離間して第１搬送ガイド２１ｂに、軸２３ａに軸支されてキックローラ２４とともに時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。なお、補助キックローラ２３の外周面の一部に高摩擦部材２３ｂが配置されている。補助キックローラ２３も、通常の搬送動作で紙幣ＢＮ１にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の補助キックローラ２３は、ステージ２２の移動により押圧された紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１を、キックローラ２４と同方向に回転することにより摩擦して、搬送方向に繰り出す。なお、補助キックローラ２３は、キックローラ２４を回転駆動させる駆動機構に、プーリ等の伝達機構により接続されており、キックローラ２４とともに回転駆動する。
【００４３】
第１分離ローラ２５は、キックローラ２４の配置位置から搬出方向側に離間して第１搬送ガイド２１ｂに、軸２５ａに軸支されてキックローラ２４とともに時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。なお、第１分離ローラ２５の外周面の一部に高摩擦部材２５ｂが配置されている。第１分離ローラ２５も、通常の搬送動作で紙幣ＢＮ１にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の第１分離ローラ２５は、キックローラ２４により繰り出された紙幣ＢＮ１をキックローラ２４と同方向に回転して搬出する。また、入金口１１から投入され、又は他の収納庫１６等から搬送された紙幣ＢＮ１をキックローラ２４と同方向に回転して、収納部２０内に収納する。また、第１分離ローラ２５は、駆動機構が接続されており、駆動機構は第１分離ローラ２５を所定の搬送方向に回転駆動させる。その他、第１分離ローラ２５に、キックローラ２４を回転駆動させる駆動機構を、プーリ等の伝達機構を介して接続させて、キックローラ２４とともに回転駆動させるようにしてもよい。なお、第１分離ローラ２５の詳細については後述する。
【００４４】
第２分離ローラ２６は、第１分離ローラ２５に対して接触しておらず、距離Ｈの隙間を開けて対向配置して第２搬送ガイド２１ｃに、軸２６ａに軸支されて収納方向側に反時計回り方向に回転可能に構成されている。なお、第２分離ローラ２６の外周面に高摩擦部材２６ｂが配置されている。また、距離Ｈは搬送対象となる紙幣ＢＮの１枚の厚さであることが望ましい。また、距離Ｈは、紙幣ＢＮの１枚の厚さの８０％〜９０％程度であることがさらに望ましい。第２分離ローラ２６も、通常の搬送動作で紙幣ＢＮ１にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の第２分離ローラ２６は、キックローラ２４により繰り出された紙幣ＢＮ１に、反時計回り方向に回転して収納方向側に摩擦を与える。また、入金口１１から投入され、又は他の収納庫１６等から搬送された紙幣ＢＮ１に、反時計回り方向に回転して収納方向側に摩擦を与える。また、第２分離ローラ２６は、駆動機構が接続されており、駆動機構は第２分離ローラ２６を反時計回り方向に回転駆動させる。または、第２分離ローラ２６を、キックローラ２４を回転駆動させる駆動機構、又は第１分離ローラ２５のみを回転駆動させる駆動機構に、プーリ等の伝達機構により接続させて、反時計回り方向に回転駆動させるようにしてもよい。なお、第２分離ローラ２５の詳細については後述する。
【００４５】
搬送ローラ２７は、第１分離ローラ２５の配置位置からさらに搬出側に離間して第１搬送ガイド２１ｂに、軸２７ａに軸支されてキックローラ２４とともに時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。具体的には、キックローラ２４が一回転したときに、キックローラ２４によって搬送された紙幣ＢＮ１の先端部が達する位置に搬送ローラ２７を配置する。搬送ローラ２７も、通常の搬送動作で紙幣ＢＮ１にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の搬送ローラ２７は、キックローラ２４により繰り出された紙幣ＢＮ１をキックローラ２４とともに反時計回り方向に回転して搬出する。また、入金口１１から投入され、又は他の収納庫１６等から搬送された紙幣ＢＮ１をキックローラ２４とともに時計周り方向に回転して、収納部２０内に収納する。また、搬送ローラ２７は、駆動機構が接続されており、駆動機構により搬送ローラ２７を所定の搬送方向に回転駆動させる。
【００４６】
従動ローラ２８は、一対の搬送ローラ２７に周接するように対向配置して第２搬送ガイド２１ｃに、軸２８ａに軸支されて搬送ローラ２７の回転に従動して時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。従動ローラ２８も、通常の搬送動作で紙幣ＢＮにスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の従動ローラ２８は、キックローラ２４により繰り出された紙幣ＢＮを搬送ローラ２７に従動して時計回り方向に回転して搬出する。また、入金口１１から投入され、又は他の収納庫１６等から搬送された紙幣ＢＮを搬送ローラ２７に従動して反時計周り方向に回転して、収納部２０内に収納する。
【００４７】
また、押え部材２９が第１搬送ガイド２１ｂに揺動自在に配置されて、ステージ２２に対して退避及び接近して、自重によりステージ２２上の紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１をステージ２２側に押える。
【００４８】
このような構成を有する収納庫１６における紙幣ＢＮ１の搬出動作及び収納動作について説明する。なお、上記構成を有する収納庫１６では、上位機種の指令に基づいて、収納庫１６に配置された制御部（図示を省略）により、ステージ２２を押圧する押圧手段、各ローラを回転駆動させる駆動機構、並びに押え部材２９等の動作が制御されて、紙幣ＢＮ１の搬出・収納が行われる。
【００４９】
まず、収納庫１６から紙幣ＢＮ１の搬出について説明する。なお、既述の通り、紙幣ＢＮ１は紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮであり、紙幣ＢＮ２は、紙幣ＢＮ１の下の紙幣ＢＮのことを表す。
【００５０】
図３，図４，図６及び図７は、図２の収納庫の紙幣の搬出動作を説明するための側面図であり、図５は、図２の収納庫の第１及び第２分離ローラの分離動作を説明するための側面拡大図である。なお、図４，図６及び図７では、押え部材２９は第１搬送ガイド２１ｂ側に退避したままであって、その記載については省略している。また、図５では、第１，第２分離ローラ２５，２６付近の拡大図を示す。
【００５１】
押圧手段（図示を省略）の駆動により移動するステージ２２に載置した紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１の主面がキックローラ２４及び補助キックローラ２３の外周面に圧接される。この時、キックローラ２４及び補助キックローラ２３は紙幣ＢＮ１の搬出方向側の先端部及び中央部にそれぞれ圧接する。また、ステージ２２が第１搬送ガイド２１ｂに接近するとともに、押え部材２９が第１搬送ガイド２１ｂ側に退避する。以後、紙幣ＢＮ１が搬送路１３から搬出されるまでの間、押え部材２９は第１搬送ガイド２１ｂに退避したままの状態である（図３）。
【００５２】
図３に示した状態において、キックローラ２４、補助キックローラ２３、第１，第２分離ローラ２５，２６及び搬送ローラ２７を図４中反時計回り方向（実線矢印方向）に回転させる。なお、搬送ローラ２７に周接する従動ローラ２８は、搬送ローラ２７の反時計回り方向の回転に従動して、図４中時計回り方向（破線矢印方向）に回転する。
【００５３】
この時、紙幣ＢＮｓの最上面の紙幣ＢＮ１は、反時計回り方向に回転するキックローラ２４及び補助キックローラ２３から摩擦力を受けて、搬出方向に繰り出される。そして、繰り出された紙幣ＢＮ１からの摩擦力により、紙幣ＢＮ２以下の複数枚の紙幣ＢＮがそれらの間に生じる摩擦力等により、束になって一緒に搬出方向に搬送される。束になった紙幣ＢＮが紙幣ＢＮ１を先頭にして第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間に突入する（図４）。
【００５４】
第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間に突入した紙幣ＢＮ１の主面は、反時計回り方向に回転する第１分離ローラ２５から搬出方向の摩擦力ｆ１を受ける。一方、紙幣ＢＮ１の裏面は、反時計回り方向に回転する第２分離ローラ２６から収納方向側への摩擦力ｆ２を受ける。この時、摩擦力ｆ１は摩擦力ｆ２よりも大きくなるようにしておくと、紙幣ＢＮ１のみが他の紙幣ＢＮｓから分離されて、第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間を搬送される。また、紙幣ＢＮ２以下の紙幣ＢＮｓは、距離Ｈが紙幣ＢＮの１枚程度であり、また、回転する第２分離ローラ２６により隙間への搬送が防止される。このようにして、紙幣ＢＮｓから分離した１枚の紙幣ＢＮ１のみが搬出方向側に搬送される。なお、摩擦力ｆ１を摩擦力ｆ２よりも大きくするために、例えば、高摩擦部材２５ｂの摩擦係数を高摩擦部材２６ｂよりも大きくし、又は、第１分離ローラ２５の回転速度を第２分離ローラ２６よりも速くすることで実現される（図５）。
【００５５】
このようにして第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間を搬送されて１枚に分離された紙幣ＢＮ１が、反時計回り方向にそれぞれ回転するキックローラ２４、補助キックローラ２３及び第１分離ローラ２５により摩擦力を受けて搬送ローラ２７及び従動ローラ２８が周接する周接部に搬送される（図６）。
【００５６】
紙幣ＢＮ１が搬送ローラ２７及び従動ローラ２８の周接部に突入すると、キックローラ２４及び補助キックローラ２３は回転駆動を停止する。そして、紙幣ＢＮ１は反時計回り方向に回転する搬送ローラ２７及び搬送ローラ２７に従動して時計回り方向に回転する従動ローラ２８から摩擦力を受けて、引き抜かれるように搬出される。この時、キックローラ２４及び補助キックローラ２３は回転駆動が停止されているために、紙幣ＢＮ１から摩擦力を受けても紙幣ＢＮ２は搬出されることはない（図７）。
【００５７】
このようにして収納庫１６から搬出された紙幣ＢＮ１は、出金口１２、並びに回収庫１７等に搬送される。
次に、収納庫１６への紙幣ＢＮ１の収納について説明する。
【００５８】
図８〜図１０は図２の収納庫の紙幣の収納動作を説明するための側面図である。
入金口１１から投入された場合、又は他の収納庫１６から移送された場合等の紙幣ＢＮ１は搬送路１３を搬送されて収納庫１６に収納される。
【００５９】
また、紙幣ＢＮ１の収納時は、紙幣ＢＮｓが載置されたステージ２２は第１搬送ガイド２１ｂから退避して、この状態を維持することで、収納される紙幣ＢＮ１の収納スペースを確保する。また、キックローラ２４、補助キックローラ２３、第１分離ローラ２５及び搬送ローラ２７を図８中時計回り方向（実線矢印方向）に回転させる。また、搬送ローラ２７に周接する従動ローラ２８は、搬送ローラ２７の時計回り方向の回転に従動して、図８中反時計回り方向（実線矢印方向）に回転する。第２分離ローラ２６は、紙幣ＢＮ１の搬出時と同様に、図８中反時計回り方向（破線矢印方向）に回転する。
【００６０】
この状態において、紙幣ＢＮ１は、搬送路１３を搬送されて、搬送ローラ２７及び従動ローラ２８が周接する周接部に達する（図８）。
紙幣ＢＮ１は、搬送ローラ２７及び従動ローラ２８の周接部に突入して、搬送ローラ２７によってさらに収納方向側に搬送される。そして、時計回り方向に回転する第１分離ローラ２５及び反時計回りに回転する第２分離ローラ２６によって摩擦力を受けた紙幣ＢＮ１は、収納部２０内に勢い良く搬送される。この時、紙幣ＢＮ１は押え部材２９を押し上げ、押し上げられた押え部材２９の下方に搬送される（図９）。
【００６１】
紙幣ＢＮ１は押え部材２９の自重により下方へ押圧され、紙幣ＢＮｓの最上面に載置される。紙幣ＢＮｓの最上層に載置された紙幣ＢＮ１はさらに押え部材２９からステージ２２側に押えられて収納部２０に収納される（図１０）。
【００６２】
以上のように、収納庫１６から搬出する紙幣ＢＮ１の主面を第１分離ローラ２５により搬出方向に摩擦し、紙幣ＢＮ１の裏面を第１分離ローラ２５に対して紙幣ＢＮ１の１枚分の厚さ程度の隙間で対向配置した第２分離ローラ２６により収納方向に摩擦した。この時、紙幣ＢＮ１のみが他の紙幣ＢＮｓから容易に分離されて、第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間を搬送される。
【００６３】
なお、図１２で示した収納庫１６０の搬送ローラ２５０と上記収納庫１６の第１分離ローラ２５との紙幣の分離時における負荷トルクを算出した。この時は、搬送ローラ２５０及び第１分離ローラ２５にそれぞれ同質の駆動機構を接続して、さらに、収納庫１６の第１，第２分離ローラ２５，２６の隙間の距離Ｈを０．１ｍｍ程度とした。
【００６４】
この結果によれば、搬送ローラ２５０では０．０７５Ｎ・ｍであり、第１分離ローラ２５では０．０３５Ｎ・ｍであった。このように負荷トルクを５０％程度低減することができた。
【００６５】
したがって、第１，第２分離ローラ２５，２６の回転を行わせるための負荷を低減することができるため、各ローラを回転させる駆動機構に対する負荷を低減できる。駆動機構は大きな出力を必要としないために、駆動機構を小型化できるため、紙幣処理装置１０の小型化・消費電力低減が可能となる。また、第１，第２分離ローラ２５，２６の外周面の磨耗を低減でき、紙幣処理装置１０の長寿命化が可能となる。
【符号の説明】
【００６６】
１０ 紙幣処理装置
１１ 入金口
１２ 出金口
１３ 搬送路
１４ 鑑別部
１５ 金種判別部
１６ 収納庫
１６ａ 千円収納庫
１６ｂ 混合収納庫
１６ｃ 精査庫
１７ 回収庫
１８ａ，１８ｂ，１８ｃ，１８ｄ 振り分けゲート
１９ センサ
２０ 収納部
２１ａ 側板
２１ｂ 第１搬送ガイド
２１ｃ 第２搬送ガイド
２２ ステージ
２３ 補助キックローラ
２３ａ，２４ａ，２５ａ，２６ａ，２７ａ，２８ａ 軸
２３ｂ，２４ｂ，２５ｂ，２６ｂ 高摩擦部材
２４ キックローラ
２５ 第１分離ローラ
２６ 第２分離ローラ
２７ 搬送ローラ
２８ 従動ローラ
２９ 押え部材
【特許請求の範囲】
【請求項１】
紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置において、
前記紙幣が収納される収納部と、
前記収納部内に収納された前記紙幣を前記紙幣の主面に対して垂直方向に移動させる押圧手段と、
前記紙幣の前記主面に対向配置され、前記押圧手段によって移動されて、前記主面が押圧された前記紙幣を、回転して所定の搬送方向に繰り出す繰り出しローラと、
前記繰り出しローラの配置位置から前記搬送方向に離間して配置され、前記繰り出しローラと同方向に回転し、前記繰り出しローラにより前記収納部から繰り出される前記紙幣の前記主面を摩擦する第１ローラと、
前記第１ローラに隙間を開けて対向配置され、前記収納部側に回転して、前記第１ローラによって摩擦されて前記隙間を搬送される前記紙幣の裏面を摩擦して、前記紙幣を１枚に分離する第２ローラと、
を有することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項２】
前記第１ローラと前記第２ローラとの隙間は前記紙幣の１枚の厚さ未満であることを特徴とする請求項１記載の紙幣処理装置。
【請求項３】
前記紙幣の前記主面に対する前記第１ローラの摩擦は、前記紙幣の前記裏面に対する前記第２ローラの摩擦よりも大きいことを特徴とする請求項１記載の紙幣処理装置。
【請求項４】
前記第１ローラの外周面に第１摩擦部材が配置され、前記第２ローラの外周面に摩擦係数が前記第１摩擦部材よりも小さい第２摩擦部材が配置されていることを特徴とする請求項３記載の紙幣処理装置。
【請求項５】
回転速度は、前記第１ローラの方が前記第２ローラよりも速いことを特徴とする請求項３記載の紙幣処理装置。
【請求項６】
紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置を備えた金銭処理機において、
前記紙幣が収納される収納部と、
前記収納部内に収納された前記紙幣を前記紙幣の主面に対して垂直方向に移動させる押圧手段と、
前記紙幣の前記主面に対向配置され、前記押圧手段によって移動されて、前記主面が押圧された前記紙幣を、回転して所定の搬送方向に繰り出す繰り出しローラと、
前記繰り出しローラの配置位置から前記搬送方向に離間して配置され、前記繰り出しローラと同方向に回転し、前記繰り出しローラにより前記収納部から繰り出される前記紙幣の前記主面を摩擦する第１ローラと、
前記第１ローラに隙間を開けて対向配置され、前記収納部側に回転して、前記第１ローラによって摩擦されて前記隙間を搬送される前記紙幣の裏面を摩擦して、前記紙幣を１枚に分離する第２ローラと、
を有する紙幣処理装置を備えたことを特徴とする金銭処理機。
【請求項１】
紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置において、
前記紙幣が収納される収納部と、
前記収納部内に収納された前記紙幣を前記紙幣の主面に対して垂直方向に移動させる押圧手段と、
前記紙幣の前記主面に対向配置され、前記押圧手段によって移動されて、前記主面が押圧された前記紙幣を、回転して所定の搬送方向に繰り出す繰り出しローラと、
前記繰り出しローラの配置位置から前記搬送方向に離間して配置され、前記繰り出しローラと同方向に回転し、前記繰り出しローラにより前記収納部から繰り出される前記紙幣の前記主面を摩擦する第１ローラと、
前記第１ローラに隙間を開けて対向配置され、前記収納部側に回転して、前記第１ローラによって摩擦されて前記隙間を搬送される前記紙幣の裏面を摩擦して、前記紙幣を１枚に分離する第２ローラと、
を有することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項２】
前記第１ローラと前記第２ローラとの隙間は前記紙幣の１枚の厚さ未満であることを特徴とする請求項１記載の紙幣処理装置。
【請求項３】
前記紙幣の前記主面に対する前記第１ローラの摩擦は、前記紙幣の前記裏面に対する前記第２ローラの摩擦よりも大きいことを特徴とする請求項１記載の紙幣処理装置。
【請求項４】
前記第１ローラの外周面に第１摩擦部材が配置され、前記第２ローラの外周面に摩擦係数が前記第１摩擦部材よりも小さい第２摩擦部材が配置されていることを特徴とする請求項３記載の紙幣処理装置。
【請求項５】
回転速度は、前記第１ローラの方が前記第２ローラよりも速いことを特徴とする請求項３記載の紙幣処理装置。
【請求項６】
紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置を備えた金銭処理機において、
前記紙幣が収納される収納部と、
前記収納部内に収納された前記紙幣を前記紙幣の主面に対して垂直方向に移動させる押圧手段と、
前記紙幣の前記主面に対向配置され、前記押圧手段によって移動されて、前記主面が押圧された前記紙幣を、回転して所定の搬送方向に繰り出す繰り出しローラと、
前記繰り出しローラの配置位置から前記搬送方向に離間して配置され、前記繰り出しローラと同方向に回転し、前記繰り出しローラにより前記収納部から繰り出される前記紙幣の前記主面を摩擦する第１ローラと、
前記第１ローラに隙間を開けて対向配置され、前記収納部側に回転して、前記第１ローラによって摩擦されて前記隙間を搬送される前記紙幣の裏面を摩擦して、前記紙幣を１枚に分離する第２ローラと、
を有する紙幣処理装置を備えたことを特徴とする金銭処理機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【公開番号】特開２０１０−１５９１１０（Ｐ２０１０−１５９１１０Ａ）
【公開日】平成２２年７月２２日（２０１０．７．２２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１６３７（Ｐ２００９−１６３７）
【出願日】平成２１年１月７日（２００９．１．７）
【出願人】（０００２３７７１０）富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年７月２２日（２０１０．７．２２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１月７日（２００９．１．７）
【出願人】（０００２３７７１０）富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Ｆターム（参考）】
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