説明

紙幣処理装置及び金銭処理機

【課題】駆動装置の負荷を低減する。
【解決手段】紙幣処理装置では、搬送ベルト22が、並列した搬送面が紙幣の主面に対向配置され、押圧手段に押圧された紙幣の主面を、搬出方向に走行させた搬送面で摩擦し紙幣を搬出して、分離ローラ25が、搬送ベルト22の搬送面と入れ子状に対向配置され、搬送ベルト22で搬出される紙幣の裏面を、回転又は停止して搬出方向の逆方向に摩擦して、紙幣を1枚に分離する。このような搬出動作において、搬送ベルト22を駆動させる駆動装置の負荷を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置、及びこのような紙幣処理装置を備える金銭処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
上位機種と接続されて、入金された紙幣を内部に収納し、上位機種の指令に基づいて、紙幣の出金を行う紙幣処理装置と、硬貨の入出金を行う硬貨処理装置とを備える金銭処理機がスーパーマーケット等に配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
金銭処理機に用いられる紙幣処理装置は、例えば次のような構成をしている。
図12は紙幣処理装置の概念図である。
紙幣処理装置100は、紙幣が投入される入金口110、釣銭紙幣等が払い出される出金口120、入出金時に紙幣が搬送される搬送路130を備えている。搬送路130には、投入された紙幣の真偽を鑑別する鑑別部140、鑑別部140にて真と鑑別された紙幣の金種を判定する金種判別部150が配置されている。さらに、金種判別部150で判別された紙幣を金種毎に収納して保管する収納庫160、収納された紙幣の金種と枚数とを確認するための精査庫170がそれぞれ配置されている。
【0004】
このような紙幣処理装置100の紙幣の入金処理では、入金口110から投入された紙幣は、搬送路130を搬送されて、鑑別部140でその真偽が鑑別される。偽札である場合には、投入された紙幣はそのまま出金口120から払い出される。真札である場合には、投入された紙幣は搬送路130をさらに搬送されて、金種判別部150で紙幣の金種が、例えば千円札または一万円札等と判別される。判別された紙幣は金種に応じて所定の収納庫160に搬送されて収納される。
【0005】
一方、紙幣の釣銭の払い戻しの場合には、上位機種からの指令に基づいて、所定の金種の紙幣が収納庫160から搬出されて、搬送路130を搬送されて出金口120から払い出される。
【0006】
次に、上記紙幣処理装置100で紙幣の収納及び搬出が行われる収納庫160の詳細について説明する。
図13は収納庫を説明するための側面図、図14は収納庫に配置された搬送ローラ及び分離ローラを説明するための図である。なお、図14は、図13において紙幣の搬入方向からの搬送ローラ250及び分離ローラ260の模式図である。
【0007】
収納庫160は、側板200a及び第1,第2搬送ガイド200b,200cで囲まれて、搬送路130が連通して接続された収納部200を備える。
収納部200には内部にステージ210、及び第1搬送ガイド200bには押え部材290がそれぞれ配置されている。さらに、第1搬送ガイド200bには、補助キックローラ230、キックローラ240、搬送ローラ250及び引き抜きローラ270が配置され、第2搬送ガイド200cには分離ローラ260及び従動ローラ280が配置されている。
【0008】
ステージ210は複数枚の紙幣BNが積層された紙幣BNsが載置されている。紙幣BNsが載置されたステージ210は第1搬送ガイド200bに対して退避及び接近する。
押え部材290が第1搬送ガイド200bに揺動自在に配置されている。押え部材290は自重によりステージ210上の紙幣BNsの最上層の紙幣BN1の主面をステージ210側に押える。また、押え部材290は、紙幣BNの搬送に応じて、ステージ210に対して退避及び接近することもできる。
【0009】
キックローラ240は、第1搬送ガイド200bに軸240aで軸支されて、外周面の一部が収納部200側に露出されて、紙幣BN1の搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向に回転する。また、キックローラ240の外周面の一部に高摩擦部材240bが配置されている。
【0010】
補助キックローラ230は、キックローラ240の配置位置から収納部200(側板200a)側に離間して配置されている。また、キックローラ240と同様に、第1搬送ガイド200bに軸230aで軸支されて、外周面の一部が収納部200側に露出されて、紙幣BNの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向に回転する。また、補助キックローラ230の外周面の一部に高摩擦部材230bが配置されている。
【0011】
搬送ローラ250は、第1搬送ガイド200bに軸250aで軸支されて、外周面の一部が搬送路130側に露出されて、紙幣BNの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向に回転する。また、搬送ローラ250の外周面の一部に高摩擦部材250bが配置されている。さらに、搬送ローラ250は、軸250aに所定の間隔をあけて複数軸支されている。
【0012】
分離ローラ260は、外周面の一部を搬送路130側に露出して、搬送ローラ250に周接、かつ対向配置して第2搬送ガイド200cに軸260aで軸支されている。分離ローラ260は紙幣BNの搬出時に停止し、収納時に収納部200(側板200a)側へ時計回り方向に回転する。さらに、分離ローラ260は、複数の搬送ローラ250の間隔にそれぞれ嵌合して、軸260aに軸支されている。
【0013】
引き抜きローラ270は、第1搬送ガイド200bに軸270aで軸支されて、外周面の一部が搬送路130側に露出されて、紙幣BNの搬送方向に応じて時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ回転する。
【0014】
従動ローラ280は、外周面の一部が搬送路130側に露出されて、引き抜きローラ270の外周面に周接、かつ対向配置して第2搬送ガイド200cに軸280aで軸支され、引き抜きローラ270に従動して回転する。
【0015】
次に上記収納庫160の紙幣BNの搬送動作について説明する。
図15及び図16は紙幣の搬出動作を説明するための収納庫の側面図である。
収納庫160は非動作時の状態(図13)において、上位機種から紙幣BNの搬出命令に応じて、所定の動作を開始する。
【0016】
まず、複数枚の紙幣BNが積層された紙幣BNsが載置されたステージ210が第1搬送ガイド200b側に接近して、紙幣BNsの最上層の紙幣BN1がキックローラ240及び補助キックローラ230のそれぞれの外周面に圧接される。なお、紙幣BN1の搬出時には押え部材290は第1搬送ガイド200b側に退避している(図15)。
【0017】
次に、キックローラ240及び補助キックローラ230が図16中時計回り(実線矢印方向)に回転して、各ローラに圧接されていた紙幣BN1が搬出方向に摩擦力を受けて繰り出される。通常、紙幣BN1が搬出方向に摩擦力を受けた場合には、紙幣BN1以下の複数枚の紙幣BNがそれらの間に生じる摩擦等により、束になって紙幣BN1と共に搬送される。
【0018】
また、紙幣BNに対して、搬送ローラ250は図16中時計回り方向に回転する。そして分離ローラ260は回転せずに停止して、第1搬送ガイド200b側に押圧する。このため、束になって繰り出された複数枚の紙幣BNは、図16に示すように、図16中時計回り方向に回転する搬送ローラ250と、回転せずに停止している分離ローラ260との間を通過するときに、紙幣BN1から下層の紙幣BNの搬送が阻止される。そして、最上層の紙幣BN1のみが1枚に分離され、さらに、引き抜きローラ270及び従動ローラ280によって搬送路130へ搬送される。
【0019】
また、分離される最上層の紙幣BN1は、図14に示すように、搬送ローラ250及び分離ローラ260の間の分離部を通過する。この際、紙幣BN1は、搬送ローラ250及び分離ローラ260からそれぞれ押圧されて曲げ癖が付けられながら、1枚に分離される。紙幣BN1は曲げ癖が付けられることにより、剛性が増加し、引き抜きローラ270及び従動ローラ280の間に安定して搬送される。
【0020】
一方、収納庫160への紙幣BN1の収納時は、入金口110から投入され、鑑別部140及び金種判別部150において鑑別及び判別された紙幣BN1は判別された金種に対応する収納庫160に搬送される。なお、この場合、紙幣BNsが載置されたステージ210は第1搬送ガイド200bから退避した状態を維持して、収納される紙幣BN1の収納スペースを確保する。また、押え部材290は、図13に示したような、非動作時の位置に配置している。
【0021】
搬送路130へ搬送された紙幣BN1は、引き抜きローラ270及び従動ローラ280の反時計回り方向及び時計回り方向へのそれぞれの回転により収納部200に収納される。この時、搬送された紙幣BN1は、押え部材290を押し上げて、収納部200(側板200a)側に突入する。このようにして搬送された紙幣BN1は、押え部材290の自重によって、図13に示されるように、主面がステージ210側に押えられて収納部200に載置されて収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2007−112601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上記の搬出動作では、搬送ローラ250は回転して紙幣BN1の主面を搬出方向に摩擦し、分離ローラ260は回転を停止して紙幣BN1の裏面を押圧して搬出の逆方向に摩擦した。束になって繰り出された複数枚の紙幣BN1を1枚に分離するためには、搬送ローラ250は分離ローラ260の摩擦を上回る回転駆動が必要である。このため、搬送ローラ250を回転駆動させるモータ等の駆動装置の負荷が大きくなるという問題点があった。
【0024】
さらに、回転駆動をさせるための負担が大きくなれば、回転出力が大きな、大型の駆動装置を適用する必要がある。このために、紙幣処理機、さらには金銭処理機が大型化してしまうという新たな問題点もあった。
【0025】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、駆動装置への負荷が低減された紙幣処理装置、及びこのような紙幣処理装置を備えた金銭処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために、紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置及びこのような紙幣処理装置を備える金銭処理機が提供される。
この紙幣処理装置及び金銭処理機は、前記紙幣を堆積して収納する収納部と、前記収納部の前記紙幣を前記紙幣の最下面から垂直方向に押圧する押圧手段と、並列した搬送面が前記紙幣の主面に対向配置され、前記押圧手段に押圧された前記紙幣の前記主面を、搬出方向に走行させた前記搬送面で摩擦し前記紙幣を搬出する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの前記搬送面と入れ子状に対向配置され、前記搬送ベルトで搬出される前記紙幣の裏面を、回転又は停止して前記搬出方向の逆方向に摩擦する分離ローラと、を有する。
【0027】
このような紙幣処理装置及び金銭処理機では、収納部が紙幣を堆積して収納し、押圧手段が収納部の紙幣を紙幣の最下面から垂直方向に押圧し、搬送ベルトが、並列した搬送面が紙幣の主面に対向配置され、押圧手段に押圧された紙幣の主面を、搬出方向に走行させた搬送面で摩擦し紙幣を搬出し、分離ローラが、搬送ベルトの搬送面と入れ子状に対向配置され、搬送ベルトで搬出される紙幣の裏面を、回転又は停止して搬出方向の逆方向に摩擦することにより、紙幣が1枚に分離される。
【発明の効果】
【0028】
上記紙幣処理装置及び紙幣処理装置を備えた金銭処理機では、駆動機構への負荷が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】紙幣処理装置の概略構成図である。
【図2】実施の形態の収納庫の側面図である。
【図3】実施の形態の収納庫に配置された搬送ベルト及び分離ローラを説明するための図である。
【図4】紙幣の搬出動作を説明するための図2の収納庫の側面図(その1)である。
【図5】紙幣の搬出動作を説明するための図2の収納庫の側面図(その2)である。
【図6】搬送ベルト及び分離ローラによる分離動作を説明するための図2の収納庫の側面拡大図である。
【図7】紙幣の搬出動作を説明するための図2の収納庫の側面図(その3)である。
【図8】紙幣の収納動作を説明するための図2の収納庫の側面図(その1)である。
【図9】紙幣の収納動作を説明するための図2の収納庫の側面図(その2)である。
【図10】実施の形態における駆動装置の負荷トルクのグラフである。
【図11】駆動装置の負荷トルクのグラフの一例である。
【図12】紙幣処理装置の概念図である。
【図13】収納庫を説明するための側面図である。
【図14】収納庫に配置された搬送ローラ及び分離ローラを説明するための図である。
【図15】紙幣の搬出動作を説明するための収納庫の側面図(その1)である。
【図16】紙幣の搬出動作を説明するための収納庫の側面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は紙幣処理装置の概略構成図である。
紙幣処理装置10は、紙幣が投入される入金口11、釣銭紙幣等を払い出す出金口12、及び入・出金紙幣が搬送される搬送路13を備えている。この搬送路13の途中には、搬送路13内に進退する振り分けゲート18a、投入された紙幣の真偽を鑑別する鑑別部14、及び紙幣の金種を判別する金種判別部15が配置されている。さらに、搬送路13の途中には、搬送路13内に進退して搬送紙幣を所定の収納庫16に振り分ける振り分けゲート18b,18c,18dが配置されている。また、搬送路13を搬送される紙幣の通過、収納庫16からの紙幣の搬出及び収納を検知するため、要所に複数のセンサ19が配置されている。
【0031】
この紙幣処理装置10には、収納庫16として、例えば、千円紙幣のみが収納される千円収納庫16a、千円紙幣以外の紙幣(二千円紙幣、五千円紙幣、一万円紙幣)が収納される混合収納庫16b、及びその混合収納庫16bの五千円紙幣を釣銭として払い出せるように二千円紙幣と一万円紙幣を移送する或いは釣銭として払い出す千円紙幣や五千円紙幣の精査を行うための精査庫16cが配置されている。なお、この他、混合収納庫16bの位置に、五千円紙幣のみが収納される五千円収納庫を配置し、精査庫16cの位置に、投入された二千円紙幣及び一万円紙幣を収納する混合収納庫を配置する構成とすることもできる。
【0032】
また、紙幣処理装置10の入・出金口11,12側には、収納庫16に収納された紙幣が移送されて回収される回収庫17が配置されている。
このような紙幣処理装置10において、入金口11に投入された紙幣は、搬送路13を搬送され、まず鑑別部14でその真偽が鑑別される。鑑別部14で真札と鑑別された紙幣は、さらに奥へと搬送され、また、偽札と鑑別された紙幣は、逆方向に搬送されて、振り分けゲート18aが搬送路13内に進入することによって出金口12側に振り分けられ、出金口12へと戻される。真札と鑑別された紙幣は、続いて金種判別部15でその金種が判別される。
【0033】
上記のように収納庫16として千円収納庫16a、混合収納庫16b及び精査庫16cを配置した場合、金種判別部15で千円紙幣と判別された紙幣は、振り分けゲート18dが搬送路13内に進入することによって振り分けられ、千円収納庫16aに収納される。判別結果が千円紙幣以外の紙幣である場合には、その紙幣は、さらに搬送路13を搬送されて、混合収納庫16bに収納される。混合収納庫16bに収納された紙幣のうち、釣銭として使用しない、例えば二千円紙幣及び一万円紙幣は、適当なタイミングで精査庫16cに移送される。この場合、混合収納庫16bから搬出された紙幣は、搬送路13を入金時と逆方向に搬送され、振り分けゲート18cが搬送路13内に進入することによって振り分けられて、精査庫16cに収納される。
【0034】
上位機種からの指令等により、釣銭の払い出しが必要になった場合には、所定金額の千円紙幣或いは五千円紙幣がそれぞれ千円収納庫16aまたは混合収納庫16bから搬出され、搬送路13を入金時と逆方向に搬送される。そして、振り分けゲート18aが搬送路13に進入することによって出金口12側に振り分けられ、出金口12から払い出される。
【0035】
千円収納庫16a、混合収納庫16b及び精査庫16cに収納されている紙幣は、必要に応じて回収庫17に移送され、回収される。千円収納庫16a、混合収納庫16b及び精査庫16cから搬出された紙幣は、搬送路13を入金時と逆方向に搬送され、振り分けゲート18bが搬送路13内に進入することによって回収庫17側に振り分けられ、回収庫17に移送される。なお、精査庫16cの紙幣は、例えば、搬送路13への搬出後に混合収納庫16b側に搬送させて一旦停止させ、そこから回収庫17側に搬送させたり、或いは一旦混合収納庫16bに移送した後に回収庫17に移送したりすることができる。
【0036】
なお、混合収納庫16bの位置に五千円収納庫を配置し、精査庫16cの位置に二千円紙幣及び一万円紙幣を収納する混合収納庫を配置した場合には、金種判別部15での判別結果に応じ、五千円紙幣はさらに搬送されて五千円収納庫に収納され、二千円紙幣及び一万円紙幣は入金時と逆方向に搬送されて混合収納庫に収納されることになる。釣銭の払い出し時には、千円紙幣及び五千円紙幣を収納している収納庫16からそれぞれ、所定金額分の紙幣が搬出され、出金口12から払い出される。
【0037】
このような構成を有する紙幣処理装置10が、硬貨の入・出金処理を行う硬貨処理装置等と共に搭載されて、POS(Point Of Sales)等の上位機種に接続される金銭処理機が構成される。また、本実施の形態では、搬出及び収納の対象を紙幣とする紙幣処理装置10について説明するが、その他、証券等の紙葉類を対象としても同様に処理を行うことが可能である。
【0038】
次に、上記構成を有する紙幣処理装置10の収納庫16について説明する。
図2は実施の形態の収納庫の側面図、図3は実施の形態の収納庫に配置された搬送ベルト及び分離ローラを説明するための図である。なお、図3は、図2の一点鎖線X−Xにおける断面図である。
【0039】
収納庫16は、側板20a及び第1,第2搬送ガイド20b,20cで囲まれた収納部20を有しており、搬送路13が第1,第2搬送ガイド20b,20cと一体的に接続されて、収納部20に連通している。なお、図中の矢印Xoは搬出方向を、矢印Xiは収納方向をそれぞれ表す。
【0040】
収納部20には、複数枚の紙幣BNが堆積した紙幣BNsが載置されたステージ21が配置されている。ステージ21は、ステージ21の下部に配置されたパンダグラフ(図示を省略)等の押圧手段により第1搬送ガイド20bに対して接近・退避させられる。
【0041】
また、第1搬送ガイド20bには、プーリ23,24及び引き抜きローラ27がそれぞれ軸支されている。また、搬送ベルト22がプーリ23,24に両側を巻きかけられて配置されている。なお、搬送ベルト22の搬送面は収納部20側及び搬送路13側に対向している。第2搬送ガイド20cには、分離ローラ25及び従動ローラ28が搬送路13側に外周面の一部を露出して軸支されている。
【0042】
プーリ23は、移動するステージ21により紙幣BNsの最上層の紙幣BN1の主面が圧接されるように第1搬送ガイド20bに、軸23aに軸支されている。また、プーリ23は、紙幣BN1の搬送方向に応じて軸23aを中心にして、時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。
【0043】
プーリ24は、プーリ23の配置位置から後述する分離ローラ25よりも搬出方向側に離間して、第1搬送ガイド20bに沿って、軸24aに軸支されている。また、プーリ24は、紙幣BN1の搬送方向に応じて軸24aを中心にして、時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。
【0044】
なお、プーリ23,24の少なくとも一方には、モータ等の駆動装置が接続されている。駆動装置は上位機種からの制御に応じてプーリ23,24を所定の搬送方向に回転駆動させる。
【0045】
搬送ベルト22は、例えば、環状であって、両側がプーリ23,24にそれぞれ巻きかけられて、第1搬送ガイド20bに沿って延伸し、張りが与えられ(巻架され)ている。なお、搬送ベルト22の構成部材としては、後述する分離ローラ25よりも大きな摩擦係数を備えた部材であることが好ましい。また、搬送ベルト22の搬送面は収納部20側及び搬送路13側に対向している。なお、搬送ベルト22は、その搬送面の中央部近傍が押圧されると、図2中の破線で示されるように多少撓む程度に巻架されている。搬送ベルト22は、プーリ23,24の回転駆動に応じて、搬送面が搬出方向(矢印Xo)及び収納方向(矢印Xi)にそれぞれ走行可能である。なお、プーリ23,24による搬送ベルト22の動作の詳細については後述する。
【0046】
このような搬送ベルト22は、ステージ21の移動によって紙幣BN1の主面が圧接されてプーリ23,24が搬出方向に回転することにより、紙幣BN1を搬出方向に摩擦して繰り出すことができる。さらに、繰り出した紙幣BN1を後述する引き抜きローラ27まで搬送することができる。また、プーリ23,24に両側を巻架された搬送ベルト22は、図3に示されるように、搬送ベルト22の通常の搬送動作で紙幣BN1にスキューを発生させたり破損させたりしないような一定の間隔で並行に複数(実施の形態では3組)配置されている。
【0047】
分離ローラ25は、第2搬送ガイド20cに、外周面の一部が搬送路13に露出して軸25aに軸支されている。なお、分離ローラ25の構成部材としては、搬送ベルト22よりも小さな摩擦係数を備えた部材であることが好ましい。また、分離ローラ25は、紙幣の搬出時及び収納時に軸25aを中心にして図2中時計回り方向に回転可能、または停止した状態が維持されるように構成されている。さらに、分離ローラ25は、図3に示されるように、並行に配置された搬送ベルト22に入れ子状に互い違いに非接触に重なって(オーバーラップして)配置されている。なお、分離ローラ25と搬送ベルト22とのオーバーラップしている分離部の図3中の重なり量(オーバーラップ量)Aは、0mmを超えている。また、例えば、図14と比較して、分離ローラ25と搬送ベルト22との間隔が比較的広くなるように設計されている。さらに、分離ローラ25も、通常の搬送動作で紙幣BN1にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の分離ローラ25は、搬送ベルト22により繰り出された紙幣BN1の裏面に、時計回り方向に回転(または、停止)して収納方向側に摩擦を与えて、紙幣BN1を1枚に分離する。一方、入金口11から投入され、または他の収納庫16等から搬送された紙幣BN1に、時計回り方向に回転して収納方向側に摩擦を与えて、紙幣BN1を収納部20内に収納する。なお、紙幣BN1の分離の詳細については後述する。
【0048】
また、分離ローラ25は、プーリ23,24とは別の駆動装置が接続されている。駆動装置は、上位機種からの制御に応じて分離ローラ25を時計回り方向に回転駆動させ、または停止した状態が維持される。または、分離ローラ25を、プーリ23,24を回転駆動させる駆動装置に、別のプーリ等の動力伝達機構により接続させて、時計回り方向に回転駆動させるようにしてもよい。
【0049】
引き抜きローラ27は、プーリ24の配置位置からさらに搬出方向側に離間して第1搬送ガイド20bに、軸27aに軸支されている。引き抜きローラ27は、プーリ23,24と共に時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に構成されている。引き抜きローラ27も、通常の搬送動作で紙幣BN1にスキューを発生させたり破損させたりしないように適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の引き抜きローラ27は、搬送ベルト22より繰り出され、搬送ベルト22及び分離ローラ25により1枚に分離された紙幣BN1をプーリ23,24と共に時計回り方向に回転して搬出する。また、入金口11から投入され、または他の収納庫16等から搬送された紙幣BN1をプーリ23,24と共に反時計周り方向に回転して、収納部20内へ搬送する。また、引き抜きローラ27は、駆動装置が接続されており、駆動装置は上位機種からの制御に応じて引き抜きローラ27を所定の搬送方向に回転駆動する。
【0050】
従動ローラ28は、一対の引き抜きローラ27に周接するように対向配置して第2搬送ガイド20cに、軸28aに軸支されて引き抜きローラ27の回転に従動して反時計回り方向及び時計回り方向に回転可能に構成されている。従動ローラ28も、通常の搬送動作で紙幣BN1にスキューを発生させたり破損させたりしないような適切な一定の間隔で一対配置されている。このような一対の従動ローラ28は、搬送ベルト22により繰り出され、分離ローラ25により1枚に分離された紙幣BN1を引き抜きローラ27に従動して反時計回り方向に回転して搬出する。また、入金口11から投入され、または他の収納庫16等から搬送された紙幣BN1を引き抜きローラ27に従動して時計周り方向に回転して、収納部20内へ搬送する。
【0051】
押え部材29は、第1搬送ガイド20bに揺動自在に配置されている。押え部材29は自重によりステージ21上の紙幣BNsの最上層の紙幣BN1の主面をステージ21側に押えることができる。また、押え部材29は、上位機種からの制御に応じて、ステージ21に対して退避及び接近することもできる。
【0052】
このような構成を有する収納庫16における紙幣BN1の搬出動作及び収納動作について説明する。なお、上記構成を有する収納庫16では、上位機種の指令に基づいて、例えば、収納庫16に配置された制御部(図示を省略)により、ステージ21を移動させる押圧手段、各ローラを回転駆動させる駆動装置、並びに押え部材29等の動作が制御されて、紙幣BN1の搬出または収納が行われる。
【0053】
まず、収納庫16から紙幣BN1の搬出について説明する。なお、既述の通り、紙幣BN1は紙幣BNsの最上層の紙幣BNであり、紙幣BN2は、紙幣BN1の下の紙幣BNのことを表す。
【0054】
図4,図5及び図7は、紙幣の搬出動作を説明するための図2の収納庫の側面図であり、図6は、搬送ベルト及び分離ローラによる分離動作を説明するための図2の収納庫の側面拡大図である。なお、図4〜図7では、押え部材29は第1搬送ガイド20b側に退避したままであって、その記載については省略している。また、図6では、ステージ21に載置された紙幣BNs、搬送ベルト22及び分離ローラ25の拡大図を示し、その他の構成の記載については省略している。
【0055】
図2に示された状態において、上位機種からの搬出指令により、指令に応じた金種の紙幣BNsが収納されている収納庫16では、押圧手段(図示を省略)の駆動により移動するステージ21に載置した紙幣BNsが搬送ベルト22の搬送面に対して接近する。ステージ21は、紙幣BN1の主面が搬送ベルト22に圧接されるまで移動する。また、ステージ21が搬送ベルト22側に接近すると共に、押え部材29が第1搬送ガイド20b側に退避する。以後、紙幣BN1が搬送路13から搬出されるまでの間、押え部材29は第1搬送ガイド20bに退避したままの状態である(図4)。
【0056】
図4に示した状態において、プーリ23,24、分離ローラ25及び引き抜きローラ27を図5中時計回り方向(実線矢印方向)に回転させる。プーリ23,24の回転駆動に伴って、搬送ベルト22の搬送面が図5中搬出方向(実線矢印方向)に走行する。なお、引き抜きローラ27に周接する従動ローラ28は、引き抜きローラ27の時計回り方向の回転に従動して、図5中反時計回り方向(破線矢印方向)に回転する。
【0057】
この時、紙幣BNsの最上層の紙幣BN1は、搬送ベルト22の図5中搬出方向に走行する搬送面から摩擦力を受けて、図5中搬出方向に繰り出される。また、繰り出された紙幣BN1からの摩擦力により、紙幣BN2以下複数枚の紙幣BNがそれらの間に生じる摩擦力等により、紙幣BN1と共に束になって搬出方向に搬送される。そして、束になった紙幣BNが紙幣BN1を先頭にして搬送ベルト22と分離ローラ25とがオーバーラップした分離部に挿入される(図5)。
【0058】
分離部に挿入された紙幣BN1の主面は、搬送ベルト22の搬送面から搬出方向の摩擦力を受ける。一方、紙幣BN1の裏面は、時計回り方向に回転する分離ローラ25から収納方向側への摩擦力を受ける。
【0059】
この時、搬送ベルト22からの紙幣BN1の主面に対する摩擦力は分離ローラ25からの紙幣BN1の裏面に対する摩擦力よりも大きくなるようにしておく。さらに、紙幣BN2の搬出方向への搬送力(=搬送ベルト22の搬送面に対する圧接力×紙幣BN1,2間の摩擦係数)が、紙幣BN2の収納方向への阻止力(=分離ローラ25に対する圧接力×紙幣BN2と分離ローラ25との摩擦係数)よりも小さくなるようにしておく。この場合に、紙幣BN1のみが他の紙幣BN2以下の紙幣BNから1枚に分離されて、搬送ベルト22及び分離ローラ25の間の分離部を搬送されるようになる(図6)。
【0060】
このようにして、紙幣BNsから分離された1枚の紙幣BN1のみが搬出方向側に搬送される。なお、搬送ベルト22からの摩擦力を分離ローラ25からの摩擦力よりも大きくするために、搬送ベルト22及び分離ローラ25に適切な摩擦係数を適用させる他に、搬送ベルト22の回転速度を分離ローラ25よりも速くすることで実現される。
【0061】
さらに、搬送ベルト22及び分離ローラ25の分離部に挿入した紙幣BN1は、図3に示されるように、搬送ベルト22及び分離ローラ25により曲げ癖が付けられる。このために、紙幣BN1は、搬送ベルト22により主面側から裏面側に、分離ローラ25により裏面側から主面側に、それぞれ押圧されて、曲げ癖が付けられて、紙幣BN1の強度が増加する。
【0062】
また、搬送ベルト22と分離ローラ25との隙間をそれぞれ図14で示した搬送ローラ250及び分離ローラ260の隙間よりも広くしているために、搬送ベルト22及び分離ローラ25からそれぞれ押圧される紙幣BN1の凹凸(の立ち上がり角度)が小さくなる。特に、搬送ベルト22及び分離ローラ25と紙幣BN1との接触部への負荷を図14の場合と比較して低減できる。このため、搬送ベルト22及び分離ローラ25の間の分離部に紙幣BN1が挿入する前後において、紙幣BN1の腰が弱い場合でも、折れ及び捲りが生じないようになる。
【0063】
この結果、紙幣BN1の折れ曲がりが防止され、安定して搬出されるようになった紙幣BN1の紙詰まりの発生が抑制される。
また、分離部に挿入された紙幣BNの枚数が多い場合に、搬送ベルト22は撓むために、紙幣BN1への負荷を抑えることができ、安定して紙幣BN1を1枚に分離及び搬送することができる。
【0064】
このようにして搬送ベルト22及び分離ローラ25がオーバーラップした分離部を搬送されて1枚に分離された紙幣BN1は、搬出方向に走行する搬送ベルト22の搬送面により摩擦力を受けて引き抜きローラ27及び従動ローラ28が周接する周接部に搬送される(図7)。
【0065】
なお、一枚に分離された紙幣BN1は搬送ベルト22により引き抜きローラ27まで搬送されるために、図14の収納庫160で見られる搬送ローラ250と分離ローラ260との間に発生する紙幣BN1の撓みによる紙詰まりの発生が防止される。
【0066】
紙幣BN1が引き抜きローラ27及び従動ローラ28の周接部に挿入すると、プーリ23,24は回転駆動を停止する。そして、紙幣BN1は時計回り方向に回転する引き抜きローラ27及び引き抜きローラ27に搬送される紙幣BN1に従動して反時計回り方向に回転する従動ローラ28から摩擦力を受けて、引き抜かれるように搬出される。この時、紙幣BN2は紙幣BN1から搬出方向の摩擦力を受けても、搬送ベルト22から抑えられて、収納方向へのより大きな摩擦力を受けるために、紙幣BN1と共に搬出されることが防止される。
【0067】
このようにして収納庫16から搬出された紙幣BN1は、搬送路13を通り、出金口12、または回収庫17等に搬送される。
次に、収納庫16への紙幣BN1の収納について説明する。
【0068】
図8及び図9は紙幣の収納動作を説明するための図2の収納庫の側面図である。
上位機種からの指令等が通知された後に、入金口11から投入され、または他の収納庫16から移送された紙幣BN1は収納庫16に向けて搬送路13を搬送される。
【0069】
なお、上位機種からの指令に基づいて、紙幣BN1の搬送先の収納庫16では、紙幣BNsが載置されたステージ21は第1搬送ガイド20bから退避する。この状態が維持されることにより、収納される紙幣BN1の収納スペースが収納部20に確保される(図8)。また、プーリ23,24及び引き抜きローラ27を図8中反時計回り方向(破線矢印方向)に回転させることにより、搬送ベルト22の搬送面は図8中破線矢印方向に走行する。引き抜きローラ27に周接する従動ローラ28は、引き抜きローラ27の図8中反時計回り方向の回転に従動して、図8中時計回り方向(実線矢印方向)に回転する。
【0070】
このような状態において、引き抜きローラ27と従動ローラ28との間に搬送路13を搬送されてきた紙幣BN1が挿入される。紙幣BN1は、主面が引き抜きローラ27の回転により収納方向側に摩擦されて、搬送ベルト22と分離ローラ25とがオーバーラップした分離部に搬送される。
【0071】
分離部に挿入された紙幣BN1は主面が搬送ベルト22に、裏面が分離ローラ25にそれぞれ収納方向に摩擦されて分離部を通過して、収納部20内に搬送される。この時、紙幣BN1は押え部材29を押し上げ、押し上げられた押え部材29の下方に搬送される(図9)。なお、既述の通り、搬送ベルト22と分離ローラ25とはオーバーラップしているために、紙幣BN1が、紙詰まりが発生されずに分離部を通過すると、紙幣BN1には曲げ癖が付けられる。曲げ癖が付けられて剛性が増加した紙幣BN1は、収納部20に安定して搬送されると共に、押え部材29を確実に押し上げることができる。
【0072】
紙幣BN1の主面は、このようにして押し上げた押え部材29の自重により下方へ押圧されて、紙幣BNsの最上層に載置される。紙幣BNsの最上層に載置された紙幣BN1はさらに押え部材29からステージ21側に押えられて収納部20に収納される(図2)。
【0073】
以下に、このような収納庫16と、例えば図13に示した収納庫160とにおける駆動装置に対する負荷を比較して、その結果について説明する。
図10は実施の形態における駆動装置の負荷トルクのグラフであって、図11は駆動装置の負荷トルクのグラフの一例である。
【0074】
図10及び図11においては、横軸は分離部に挿入された紙幣BNの枚数(枚)であって、縦軸は当該枚数に応じた駆動装置の負荷トルク(N・m)をそれぞれ表している。なお、負荷トルクは、収納部20のプーリ23(またはプーリ24)及び収納部200の搬送ローラ250にそれぞれ同質の駆動装置を接続した場合のものである。また、各グラフの要素に付した数字は、オーバーラップ量(mm)である。なお、図10及び図11において、「◇」印は、オーバーラップせずにローラの回転のみで繰り出す紙幣処理装置の駆動装置の負荷トルクを表しており、挿入枚数の増加に伴って、負荷トルクが増加している。「◆」印は、開発目標であって、ローラのみで繰り出す紙幣処理装置の駆動装置の負荷トルク(「◇」印)の50%を表している。また、図11ではオーバーラップ量が0mmの場合の負荷トルクの記載を省略している。
【0075】
図10によれば、各オーバーラップ量において枚数が増加すれば、負荷トルクが増加している。0枚から3枚に増加することによる負荷トルクの増加量は、最大で約0.04N・m(オーバーラップ量が1mmの場合)、最小で約0.02N・m(オーバーラップ量が0.3mmの場合)である。また、挿入枚数が1枚から3枚に増加することによる負荷トルクの増加量は、各オーバーラップ量において、約0.01N・mから約0.02N・mである。
【0076】
図11でも、各オーバーラップ量において枚数が増加すれば、負荷トルクが増加している。ところが、0枚から3枚に増加することによる負荷トルクの増加量は、最大で約0.05N・m(オーバーラップ量が0.7mmの場合)である。さらに、挿入枚数が1枚から3枚に増加することによる負荷トルクの増加量は、各オーバーラップ量において、約0.02N・mから約0.04N・mである。図10の場合に比べて、負荷トルクの増加量が増加していることが分かる。特に、図11では、挿入枚数が2枚、3枚の時の負荷トルクは図10の挿入枚数2枚、3枚の場合と比較して大きいことが分かる。
【0077】
さらに、図10及び図11の負荷トルクが、ローラのみで繰り出す紙幣処理装置の駆動装置の負荷トルクの50%(「◆」印)と比較すると、図10では、オーバーラップ量が0.5mm及び0.3mmの場合に、挿入枚数が1枚〜3枚であっても、当該50%を下回っている。一方、図11では、挿入枚数が1枚の時は、各オーバーラップ量で当該50%を下回っているが、挿入枚数が2枚、3枚と増加するに連れて、当該50%を超えるオーバーラップ量が現れている。
【0078】
したがって、本実施の形態の収納庫16を利用することによって駆動装置の負荷トルクを低減することができた。特に挿入枚数が増加するほどに負荷トルクを低減することができる。なお、この結果、紙幣処理装置10はオーバーラップせずにローラの回転のみで繰り出す紙幣処理装置と比較して約56%小型化することができた。
【0079】
以上のように、収納庫16は、並列配置された搬送ベルト22と、搬送ベルト22に対して入れ子状に互い違いに非接触に分離部で重なって配置された分離ローラ25とを有する。搬送ベルト22によって搬送された紙幣は分離部に挿入され、分離部を通過しながら、分離ローラ25から搬出時の逆方向に摩擦されて1枚に分離される。この際の搬送ベルト22を駆動させるための駆動装置に対する負荷が低減されるため、出力の小さな駆動装置を用いることができる。この結果、紙幣処理装置の小型化・低消費電力化を図ることができる。
【符号の説明】
【0080】
10 紙幣処理装置
11 入金口
12 出金口
13 搬送路
14 鑑別部
15 金種判別部
16 収納庫
16a 千円収納庫
16b 混合収納庫
16c 精査庫
17 回収庫
18a,18b,18c,18d 振り分けゲート
19 センサ
20 収納部
20a 側板
20b,20c 第1,第2搬送ガイド
21 ステージ
22 搬送ベルト
23,24 プーリ
23a,24a,25a,27a,28a 軸
25 分離ローラ
27 引き抜きローラ
28 従動ローラ
29 押え部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置において、
前記紙幣を堆積して収納する収納部と、
前記収納部の前記紙幣を前記紙幣の最下面から垂直方向に押圧する押圧手段と、
並列した搬送面が前記紙幣の主面に対向配置され、前記押圧手段に押圧された前記紙幣の前記主面を、搬出方向に走行させた前記搬送面で摩擦し前記紙幣を搬出する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの前記搬送面と入れ子状に対向配置され、前記搬送ベルトで搬出される前記紙幣の裏面を、回転又は停止して前記搬出方向の逆方向に摩擦する分離ローラと、
を有することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
前記紙幣の前記主面に対する前記搬送ベルトの摩擦は、前記紙幣の前記裏面に対する前記分離ローラの摩擦よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記搬送ベルトの走行速度は、前記分離ローラの回転速度よりも速いことを特徴とする請求項1記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記搬送ベルトの前記搬送面は撓んでいることを特徴とする請求項1記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
前記紙幣が堆積された前記紙幣の前記裏面に接する第2の紙幣の主面に対する、前記搬送ベルトで搬送される前記紙幣による前記搬送方向への摩擦は、
前記第2の紙幣の裏面に対する前記分離ローラの摩擦による前記逆方向への摩擦よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
紙幣の搬入及び搬出を行う紙幣処理装置を備えた金銭処理機において、
前記紙幣を堆積して収納する収納部と、
前記収納部の前記紙幣を前記紙幣の最下面から垂直方向に押圧する押圧手段と、
並列した搬送面が前記紙幣の主面に対向配置され、前記押圧手段に押圧された前記紙幣の前記主面を、搬出方向に走行させた前記搬送面で摩擦し前記紙幣を搬出する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの前記搬送面と入れ子状に対向配置され、前記搬送ベルトで搬出される前記紙幣の裏面を、回転又は停止して前記搬出方向の逆方向に摩擦する分離ローラと、
を有する紙幣処理装置を備えることを特徴とする金銭処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−6221(P2011−6221A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152654(P2009−152654)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】