説明

紙幣収納装置

【課題】 紙幣収納装置に関する情報を、高い信頼性をもって、視覚的な記録に残せるようにする。
【解決手段】 本発明の紙幣収納装置は、外部機器と無線データ通信を行う無線通信インタフェース1を装備している。制御手段16は、要求に応じて紙幣収納装置関連情報を記憶手段15から読み出し、当該情報を無線通信インタフェース1を介して外部機器に受渡す。そして、当該情報を外部機器にて印刷させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣収納装置に係り、特に、パチンコホール等の遊技ホールに好適な紙幣収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技ホールにおいて、遊技島の端部に装備される紙幣収納装置がある。この紙幣収納装置は、遊技島に投入され当該遊技島の内部を搬送されてきた紙幣を回収し、紙幣の種類毎に選別して収納する。その際、収納した紙幣の枚数等が集計され、店員がその情報を確認できるようになっていた。
【0003】
しかし、従来は紙幣収納装置に設けられた表示部に紙幣の収納枚数等の情報を表示させ、店員がその表示から情報を手書きで写し取って、上司等に報告していた。このため、手書きによる誤記を生ずる場合があった。また、紙幣の枚数等が意図的に改ざんされて報告されるような、不正を生じるおそれがあった。
【0004】
なお、出願人は、上記従来例に関する公知技術文献の存在を知らない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、特に、紙幣収納装置に関する情報を、高い信頼性をもって、視覚的な記録に残せるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、以下の構成を採っている。
【0007】
紙幣収納装置は、任意の紙幣を装置内に取り込む紙幣取込手段と、この紙幣取込手段が取り込んだ紙幣をその種類に応じて選別する紙幣選別手段とを備える。また、この紙幣選別手段が選別した紙幣を種類別に収納する複数の紙幣収納部と、この紙幣収納部を施錠する紙幣金庫と、この紙幣金庫を解錠する解錠システムとを有する。更に、紙幣収納部に収納される紙幣の数,紙幣金庫の解錠履歴又は本願紙幣収納装置の稼働状況等の紙幣収納装置関連情報を記憶した記憶手段とを備える。これに加え、この紙幣収納装置関連情報を外部に出力する出力手段と、これら各要素の動作を制御する制御手段とを有する。
【0008】
このうち、出力手段には、外部機器と無線通信を行う無線通信インタフェースを備える。そして、制御手段が、要求に応じて紙幣収納装置関連情報を記憶手段から読み出し、当該情報を無線通信インタフェースを介して外部機器に受渡すという構成を採っている。これにより、当該情報を当該外部機器にて印刷できるようにする。
【0009】
外部機器を操作する店員等のデータ収集者は、本願紙幣収納装置に対し、紙幣収納装置関連情報の提供を要求する。すると、制御手段は、それまでに記憶手段に蓄積した紙幣収納装置関連情報を記憶手段から読み出し、赤外線等の無線通信インタフェースを介して外部機器に送信する。外部機器は、紙幣収納装置関連情報を受信したのち、当該紙幣収納装置関連情報をハンディータイプのサーマルプリンタ等の印刷手段から印刷出力する。
【0010】
紙幣収納装置関連情報は、紙幣収納装置において外部機器対応の印刷データに変換してから外部機器に受け渡してもよいし、印刷データに変換する前の情報を紙幣収納装置から外部機器に受け渡し、外部機器において印刷データに変換して印刷してもよい。
【0011】
また、無線通信インタフェースの種類としては、赤外線、Bluetooth(登録商標)、無線LAN等が考えられる。紙幣収納装置関連情報は、店舗の秘密情報であるから、紙幣収納装置と外部機器との間で所定の暗号化が施された状態で伝送されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
これによると、紙幣収納装置に蓄積した紙幣収納装置関連情報を電子データとして外部機器に転送し印刷可能とするので、信頼性の高い情報を記帳することができ、従来の誤記による不都合や不正改ざんを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1に示す紙幣収納装置は、任意の紙幣を遊技島から装置内に取り込む紙幣取込手段11と、この紙幣取込手段11が取り込んだ紙幣をその種類に応じて選別する紙幣選別手段12とを備えている。また、この紙幣選別手段12が選別した紙幣を種類別に収納する複数の紙幣収納部と、この紙幣収納部を施錠する紙幣金庫13と、この紙幣金庫13を解錠する解錠システム14とを有する。更に、紙幣収納部に収納される紙幣の数,紙幣金庫の解錠履歴および紙幣収納装置の稼働状況等の紙幣収納装置関連情報を記憶した記憶手段15とを備えている。これに加え、この紙幣収納装置関連情報を外部に出力する出力手段と、これら各要素の動作を制御する制御手段16とを有する。
【0015】
出力手段としては、外部機器と無線データ通信を行う無線通信インタフェース1が装備され、他の出力手段として文字表示パネル等の表示手段17も装備されている。符号18は、紙幣収納装置に指示を入力する操作パネル等の入力手段である。
【0016】
これを更に詳述すると、本実施形態において、無線通信インタフェース1以外の構成要素は、従来品、即ち紙幣収納枚数等の情報を表示手段に表示するタイプの紙幣収納装置と同等に構成することができる。一方、無線通信インタフェース1は、本実施形態において赤外線通信インタフェースを採用している。また、外部機器は、本実施形態において、赤外線通信インタフェースを備えたハンディータイプの携帯型サーマルプリンタである。
【0017】
この無線通信インタフェース1を介して外部機器を利用するために、記憶手段15には、無線通信インタフェース1に対応した無線通信ドライバと、紙幣収納装置関連情報を外部機器に転送するためのデータ転送ソフトウェアとがインストールされている。制御手段16は、これらのプログラムの処理が可能なプロセッサである。
【0018】
本実施形態において、記憶手段15に蓄積される紙幣収納装置関連情報には、次の情報が含まれる。
(1)各紙幣収納部に収納された紙幣の枚数(紙幣収納枚数)
【0019】
紙幣選別手段12は、紙幣取込手段11より送り込まれた紙幣をセンシングし、認識した紙幣の種類に応じて紙幣収納部への経路を分けて紙幣を送り込むが、その際認識した紙幣の種類を制御手段16に通知し、制御手段16において収納紙幣を金種毎にカウントさせる。このカウント枚数を、制御手段16が、記憶手段15に記録する。
(2)紙幣金庫13が解錠された履歴(紙幣金庫解錠履歴)
【0020】
この情報は、制御手段16が、入力手段18から解錠の指示を受けたときに、解錠システム14を解錠状態に設定すると共に、その日時および担当者を時系列に記録する。制御手段16は、日時を知るためのカレンダーおよび時計を備えている。
(3)紙幣収納装置の識別子
【0021】
遊技ホールには複数の遊技島が整列設置されており、紙幣収納装置も島毎に設置されている。これら複数の紙幣収納装置を識別するための識別子である。
【0022】
これらを含む紙幣収納装置関連情報が、制御手段16により逐次、記憶手段15に蓄積されてゆく。
【0023】
そして、制御手段16が、入力手段18又は外部機器から紙幣収納装置関連情報の出力要求を受けると、記憶手段15に格納されたデータ転送ソフトウェアを起動し、当該ソフトウェアの実行に伴って、以下の動作を行う。制御手段16は、それまでに記憶手段15に蓄積された紙幣収納装置関連情報を読み出し、かつ、予め設定された印刷様式を記憶手段15から読み出し、当該印刷様式に紙幣収納装置関連情報を挿し込み、外部機器に対応した印刷データに変換する。そして、変換生成した印刷データを無線通信インタフェース1を介して外部機器に送信する。
【0024】
外部機器は、無線通信インタフェース1から送られた印刷データを赤外線通信インタフェースにより受信し、当該印刷データに基づいて紙幣収納装置関連情報をサーマルプリンタにより印字する。
【0025】
これによると、紙幣収納装置に蓄積した紙幣収納装置関連情報を電子データとして外部機器に転送し印刷可能とするので、信頼性の高い情報を記帳することができ、従来の誤記による不都合や不正改ざんを防止することができる。
【0026】
また、無線通信インタフェースを採用することにより、複数の遊技島の紙幣収納装置の情報を1台の外部機器により取得することができるので、低価格で経済的に実現することができる。特に、紙幣収納装置関連情報に紙幣収納装置の識別子を含めたので、1台の外部機器で複数の紙幣収納装置の情報を印刷しても印刷情報に対応する紙幣収納装置を容易に把握することができる。
【0027】
また、外部機器として赤外線対応の携帯型サーマルプリンタを採用すると、データの取得および印刷を手軽に行うことができる。
【0028】
ここで、本発明の範囲は、上記の実施形態に限られない。本願発明の紙幣収納装置は、必ずしも遊技ホールの遊技島に装備されたものに限られず、遊技島から分離して設置されている紙幣収納装置や、遊技ホール以外の場所で用いられる紙幣収納装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態を示す紙幣収納装置のブロック構成図である。
【符号の説明】
【0030】
1 無線通信インタフェース
11 紙幣取込手段
12 紙幣選別手段
13 紙幣金庫
14 解錠システム
15 記憶手段
16 制御手段
17 表示手段
18 入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の紙幣を装置内に取り込む紙幣取込手段と、この紙幣取込手段が取り込んだ紙幣をその種類に応じて選別する紙幣選別手段と、この紙幣選別手段が選別した紙幣を種類別に収納する複数の紙幣収納部と、この紙幣収納部を施錠する紙幣金庫と、この紙幣金庫を解錠する解錠システムと、前記紙幣収納部に収納される紙幣の数,前記紙幣金庫の解錠履歴又は本件紙幣収納装置の稼働状況等の紙幣収納装置関連情報を記憶した記憶手段と、この紙幣収納装置関連情報を外部に出力する出力手段と、これら各要素の動作を制御する制御手段とを備えた紙幣収納装置において、
前記出力手段が、外部機器と無線通信を行う無線通信インタフェースを備え、
前記制御手段は、要求に応じて前記紙幣収納装置関連情報を前記記憶手段から読み出し、当該情報を前記無線通信インタフェースを介して前記外部機器に受渡し、
当該情報を当該外部機器にて印刷できるようにしたことを特徴とする紙幣収納装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−156760(P2007−156760A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350025(P2005−350025)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(594181468)株式会社TDM (6)
【Fターム(参考)】