説明

紙幣取扱システム

【課題】商品券専用の機器類を用いることなく、係員による商品券の着服を防止する。
【解決手段】紙幣取扱システムは、POSレジスタのような制御端末機CTと、紙幣釣銭機のような紙幣処理機CDとを備える。紙幣処理機CDの制御部U2は、制御端末機CTの制御部U1と通信接続される。その制御部U2は、制御端末機CTから送信されるモード切換コマンドに基づいて、商品券処理モードを起動するように構成されている。この商品券処理モードにおいて紙幣処理機CDは、導入部Aより導入した商品券を搬送手段Tによって搬送して、商品券を収納可能な補助収納部、例えば出金リジェクト部Fに収納する商品券処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばPOSレジスタのような制御端末機と、紙幣釣銭機のような紙幣処理機とを備えた紙幣取扱システムに係り、特に商品券の取り扱いを考慮した紙幣取扱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、商品券による支払いに対応した販売データ処理装置が記載されている。そのデータ処理装置は、商品券キーによって商品券による支払いを宣言した後、置数キーによって入力された商品券の額面および枚数に基づいて預かり処理等を行うように構成されている。
【0003】
特許文献2には、金券類入金処理装置とレジスターとからなる金券類入金システムが記載されている。その入金システムは、商品券上にある券種コードおよび金種コードを読取って入金処理すると共に、入金処理された商品券を処理装置の収納部に収納するよう構成されている。
【特許文献1】特開平05−151459号公報([0008]段落等)
【特許文献2】特開2002−92737号公報([0024]段落等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術には、次のような問題点がある。まず、特許文献1の販売データ処理装置では、商品券についての取り扱いが全て係員の手作業に委ねられ、預かった商品券の収納・保管については全く考慮されていない。このため、係員による商品券の着服を誘発する危険性がある。一方、特許文献2の金券類入金システムでは、預かった商品券の収納・保管まで含めて商品券の取り扱いが全て自動化されているが、商品券読取用の高価な識別部を備えた専用機を用いることが普及の妨げとなっている。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、商品券専用の機器類を用いることなく、係員による商品券の着服を防止できるようなシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、制御端末機と、紙幣処理機とを備えた紙幣取扱システムであって、前記紙幣処理機は、
外部から紙幣を導入する紙幣導入部と、
この導入部より導入された入金紙幣の金種を識別する入金識別手段と、
この入金識別手段による識別結果に応じて、前記入金紙幣を金種別に収納する紙幣収納部と、
この紙幣収納部から取り出された出金紙幣を外部に放出するための紙幣放出部と、
商品券を収納可能な補助収納部と、
前記導入部、前記紙幣収納部、前記放出部、および前記補助収納部の間で紙幣ないし商品券を選択的に搬送する搬送手段と、
前記制御端末機と通信接続された処理機制御部と、
を有し、
前記処理機制御部は、前記制御端末機から送信されるモード切換コマンドに基づいて、前記導入部より導入した商品券を前記搬送手段によって搬送して前記補助収納部に収納する商品券処理を行う商品券処理モードを起動するように構成されている、ことを特徴とする紙幣取扱システムを提供する。
【0007】
この紙幣取扱システムによれば、制御端末機から送信されるモード切換コマンドに基づいて商品券処理モードが起動された紙幣処理機は、商品券処理、すなわち導入部より導入した商品券を搬送手段によって搬送して補助収納部に収納する処理を行う。このようにして、紙幣処理機を利用して商品券の自動的な収納・保管を行うことで、商品券専用の機器類を用いることなく、係員による商品券の着服の可能性を低減させることができる。
【0008】
この紙幣取扱システムにおいて、前記紙幣処理機は、前記商品券処理モードにおいて、前記入金識別手段ないし前記出金識別手段を用いて、前記導入部より導入した商品券の枚数を計数可能に構成され、
前記処理機制御部は更に、前記計数された商品券の枚数データを、前記制御端末機の端末機制御部へ送信するように構成されていることが好ましい。
【0009】
これにより、紙幣処理機に導入された商品券の枚数を制御端末機にて確認することが可能となる。
【0010】
一方、前記制御端末機は、
商品券処理宣言を入力するための宣言入力手段と、
前記紙幣処理機に受け入れさせるべき受入商品券の額面価格を入力するための額面入力手段と、
前記受入商品券の枚数を入力するための枚数入力手段と、
前記紙幣処理機の処理機制御部と通信接続された端末機制御部と、
を有し、
前記端末機制御部は、前記宣言入力手段、前記額面入力手段、および前記枚数入力手段による入力に応じて、前記紙幣処理機の処理機制御部に対する前記モード切換コマンドの送信を行うように構成されていることが好ましい。
【0011】
これにより、紙幣処理機に商品券が導入される前に、商品券について必要な情報が制御端末機に入力されるという処理手順を確立することができる。
【0012】
その場合さらに、前記制御端末機は、
操作者の識別情報を入力するための情報入力手段と、
前記額面入力手段および前記枚数入力手段によって入力された前記受入商品券の額面価格および枚数の履歴を、前記情報入力手段によって入力された前記識別情報と関連付けて記憶する記憶手段と、
を更に有することが好ましい。
【0013】
これにより、商品券処理における各操作者(係員)の管理責任を明確にし、ひいては商品券の着服に対する抑止効果を得ることができる。
【0014】
また、紙幣処理機が計数した商品券の枚数データを制御端末機の端末機制御部へ送信するように構成されている場合において、前記制御端末機は、
前記紙幣処理機に受け入れさせるべき受入商品券の枚数を入力するための枚数入力手段と、
前記紙幣処理機の処理機制御部と通信接続された端末機制御部と、
操作者に対して警告を報知するための報知手段と
を有し、
前記端末機制御部は、前記枚数入力手段によって入力された前記受入商品券の枚数と、前記紙幣処理機の処理機制御部から送信された前記枚数データとを照合し、両者が一致しない場合には前記報知手段に報知を行わせるように構成されていることが好ましい。
【0015】
これにより、操作者(係員)による商品券の着服の可能性の他、操作者の確認ミスや入力ミス等の過誤の可能性についても直ちに報知して注意喚起を図ることができる。
【0016】
前記紙幣処理機は、
前記紙幣収納部から取り出された出金紙幣の金種を識別する出金識別手段と、
この出金識別手段によって正常でないと判別された出金リジェクト紙幣を収納する出金リジェクト部と、
を更に有し、
前記商品券処理モードにおいて、前記出金リジェクト部を前記補助収納部として利用するように構成されていてもよい。
【0017】
これにより、追加的な補助収納部を設ける必要をなくして紙幣処理機の構造を簡素化し、あるいは出金リジェクト部を有する既存の一般的な紙幣処理機を利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1乃至図3は、本発明による紙幣取扱システムの実施の形態を示す図である。
【0019】
以下、本実施形態の全体構成、制御端末機の構成、紙幣処理機の構成および動作、作用効果、並びに変形例について順次説明する。
【0020】
[全体構成]
本実施形態の紙幣取扱システムは、制御端末機CT(例えばPOSレジスタ:販売時点管理機能を有する金銭登録機)と、紙幣処理機BT(例えば自動紙幣釣銭機)とを備えている。制御端末機CTおよび紙幣処理機BTは、それぞれ制御ユニットU1およびU2(端末機制御部および処理機制御部)を有している。
【0021】
紙幣処理機BTの制御ユニット(処理機制御部)U2は、制御端末機CTの制御ユニット(端末機制御部)U1と通信接続されている。その制御ユニットU2は、制御端末機CTから送信されるモード切換コマンドに基づいて、商品券処理モードを起動(通常の紙幣処理モードから商品券処理モードへ移行)するように構成されている。この商品券処理モードにおいて紙幣処理機BTは、後述するように、紙幣繰込ユニット(紙幣導入部)Aより導入した商品券を搬送手段Tによって搬送して出金リジェクト部(補助収納部)Fに収納する商品券処理を行うように構成されている。
【0022】
[制御端末機の構成]
次に、図1に示す制御端末機CTの概略構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、制御端末機CTの制御ユニット(端末機制御部)U1には、表示部9a、操作部9b(を構成する各キー90〜92)、読取部9c、記憶部9d、報知部9e、および通信インターフェイスI1が接続されている。
【0024】
表示部9aは、各種情報を表示するための、例えば液晶ディスプレイ装置からなる。また、操作部9bは、宣言キー90、額面キー91、およびテンキー92を有している。そのうち宣言キー90は、商品券処理宣言を入力するための宣言入力手段としての機能を有している。また額面キー91は、紙幣処理機BTに受け入れさせるべき「受入商品券」の額面価格を入力するための額面入力手段としての機能を有している。またテンキー92は、受入商品券の枚数を入力するための枚数入力手段としての機能を有している。
【0025】
そして、制御ユニットU1は、操作部9bの各キー90,91,92による、商品券処理宣言、受入商品券の額面価格および枚数の入力に応じて、紙幣処理機BTの制御ユニットU2に対する上記モード切換コマンドの送信を行うように構成されている。
【0026】
読取部9cは、操作者(係員)の識別情報を入力するための情報入力手段としての機能を有している。この読取部9cは、例えば操作者のIDカードから磁気記録情報を読み取るカードリーダ等で構成される。
【0027】
記憶部9dは、操作部9bの各キー91,92によって入力された受入商品券の額面価格および枚数の履歴を、読取部9cによって入力された識別情報と関連付けて記憶する記憶手段としての機能を有している。
【0028】
報知部9eは、操作者(係員)に対して警告を報知するための報知手段としての機能を有している。この報知部9eは、例えば視覚的な警告を報知するためのランプ類や聴覚的な警告を報知するためのブザー等で構成される。
【0029】
そして、制御ユニットU1は、テンキー92によって入力された受入商品券の枚数と、紙幣処理機BTの処理機制御部U2から送信された枚数データ(後述)とを照合し、両者が一致しない場合には報知部9eに報知を行わせるように構成されている。
【0030】
[紙幣処理機の構成]
次に、図1〜図3に示す紙幣処理機BTの具体的構成について説明する。
【0031】
図1に示すように、紙幣処理機BTの制御ユニット(処理機制御部)U2には、通信インターフェイスI1が接続されている。そして、制御端末機CTおよび紙幣処理機BTの通信インターフェイスI1およびI2を介して、両者の制御ユニットU1およびU2が相互に通信接続されている。また、制御ユニットU2には、各種の表示や入力操作等を行うための表示操作部11(図3参照)が接続されている。
【0032】
紙幣処理機BTの制御ユニットU2には、その他、図2にも示すような、繰込ユニットA、識別センサ5、紙幣収納部B,C,D、放出ユニットE、および搬送手段T(を構成するモータ2およびガイド部材7a〜7f)が接続されている。
【0033】
紙幣繰込ユニットAは、外部から紙幣を導入する紙幣導入部としての機能を有している。また、識別センサ5は、繰込ユニットAより導入された入金紙幣の金種を識別する入金識別手段としての機能を有している。
【0034】
ここで、紙幣処理機BTは、商品券処理モードにおいて、繰込ユニットAより導入した商品券の枚数を識別センサ5を用いて計数可能に構成されている。そして、制御ユニットU2は、計数された商品券の枚数データを、制御端末機CTの制御ユニットU1へ送信するように構成されている。
【0035】
各紙幣収納部B,C,Dは、識別センサ5による識別結果に応じて、入金紙幣を金種別に収納する機能を有している。例えば、図1に示すように、各紙幣収納部B,C,Dは、それぞれ千円札収納部B、2千円/5千円札収納部C、および万円札収納部Dとして用いられる。
【0036】
放出ユニットEは、各紙幣収納部B,C,Dから取り出された出金紙幣を外部に放出するための紙幣放出部としての機能を有している。上記識別センサ5は、各紙幣収納部B,C,Dから取り出された出金紙幣の金種を識別する出金識別手段としての機能も有している。
【0037】
なお、紙幣処理機BTは、図2および図3に示すような筐体10を備えている。この筐体10の前面には、繰込ユニットAに対応した入金口12と、放出ユニットEに対応した出金口14とが設けられている。図3に示すように、筐体10の前部上面には、上記表示・操作部11が配置されている。
【0038】
図2に示すように、紙幣処理機BTは更に、出金リジェクト部Fおよび回収カセットGを備えている。出金リジェクト部Fは、出金識別手段としての識別センサ5によって正常でないと判別された出金リジェクト紙幣を(外部へ取り出し可能に)収納する機能を有すると共に、商品券を収納可能な補助収納部としての機能を有している。また、回収カセットGは、各紙幣収納部B,C,Dから回収した回収紙幣を収納するためのものである。
【0039】
図1に一部の構成要素2,7a〜7fを示した搬送手段Tは、繰込ユニットA、各紙幣収納部B,C,D、放出ユニットE、出金リジェクト部F、および回収カセットGの間で紙幣を選択的に搬送する機能を有している。より具体的には、図2に示す搬送ドラム1、モータ2、ガイド部材7a〜7f等によって搬送手段Tが構成されている。
【0040】
より具体的には、図2に示すように、紙幣処理機BTの筐体10内に、略中央部に軸線を垂直にして配置された搬送ドラム1と、この搬送ドラム1を回転駆動するモータ2とが配置されている。搬送ドラム1の外周には、環状を成す紙幣の周回搬送路4が形成されている。また、繰込ユニットA、各紙幣収納部B,C,D、放出ユニットE、出金リジェクト部F、および回収カセットGと周回搬送路4との間をそれぞれ接続する紙幣の接続搬送路6a〜6gが形成されている。
【0041】
これらの搬送路4,6a〜6gは、搬送ドラム1の周囲に設けられたガイド板8によって(周回搬送路4については搬送ドラム1外周面との間で)形成されている。また、搬送ドラム1の外周面に対して弾性的に押圧される複数の押圧ローラ3が、搬送ドラム1の周方向に間隔を置いて配置されている。
【0042】
周回搬送路4の右側部分には、上記識別センサ5が配置されている。この識別センサ5は、例えば光学センサとして構成され、互いに周回搬送路4を挟んで対向配置される2つのセンサ部品5a,5bを有している。なお、接続搬送路6eおよび6fが接続される放出ユニットEおよび出金リジェクト部Fの入口部分には、紙幣の集積を補助するためのゴム羽根車9がそれぞれ設けられている。
【0043】
周回搬送路4と各接続搬送路6a〜6gとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換手段7a〜7gが、周回搬送路4に沿って配置されている。これらの切換手段7a〜7gの構成態様は、接続搬送路6a〜6d,6f,6gに対応する揺動式のガイド部材7a〜7d,7f,7gと、接続搬送路6eに対応する並進移動式のガイド部材7eとに分けられる。
【0044】
なお、接続搬送路6fは周回搬送路4に直接接続されているわけではなく、接続搬送路6aを介して接続されている。従って、揺動ガイド部材7fによる周回搬送路4から接続搬送路6fへの搬送経路の切り換えは、揺動ガイド部材7aとの連携においてなされることになる。
【0045】
[紙幣処理機の動作]
次に、以上のように構成された紙幣処理機BTの動作について、通常の紙幣処理モードと商品券処理モードとに大別して簡単に説明する。
【0046】
(1)紙幣処理モード
(1-1)入金処理
入金口12から挿入された入金紙幣は、繰込ユニットAより接続搬送路6aを通じて周回搬送路4へ1枚ずつ繰り出される。周回搬送路4へ繰り出された入金紙幣は、回転ドラム1aの反時計回り(図2)の回転に従って周回搬送路4に沿って搬送される。周回搬送路4を搬送される入金紙幣は、1周する間に識別センサー5によって金種を識別され、対応する金種の紙幣収納部B,C,Dに収納される。
【0047】
入金紙幣の中に汚損等により識別センサー5による金種識別のできない紙幣があった場合、その紙幣は「入金リジェクト紙幣」として、周回搬送路4から接続搬送路6eを通じて放出ユニットEへ送り込まれる。
【0048】
(1-2)出金処理
紙幣処理機BTは、紙幣釣銭機として用いられる場合、出金すべき釣銭の額に応じて以下に例示するような出金動作を行う。なお、釣銭の出金動作に関連するのは、万円札収納部Dを除いた、千円札収納部Bと2千円/5千円札収納部Cのみである。
【0049】
(1-2-1)出金額3千円の場合
この場合、千円札収納部Bから3枚の千円札(出金紙幣)が、接続搬送路6bを通じて周回搬送路4へ1枚ずつ繰り出される。周回搬送路4へ繰り出された出金紙幣は、回転ドラム1aの時計回り(図2)の回転に従って周回搬送路4に沿って搬送され、接続搬送路6eを通じて出金紙幣放出ユニットEへ送り込まれる。放出ユニットEは、3枚の千円札が送り込まれた時点で、それらの紙幣を束の状態で出金口14から突出させるように放出する。出金口14から突出した紙幣は、操作者(係員)によって抜き取られる。
【0050】
なお、千円札収納部Bには千円札しか収納されていないので、この場合は出金紙幣を周回搬送路4で1周以上させて金種識別を行う必要はない。
【0051】
(1-2-2)出金額7千円の場合
この場合、まず2千円/5千円札収納部Cから最初の紙幣1枚だけが繰り出され、周回搬送路4に沿って時計回り(図2)に搬送される。この紙幣は、周回搬送路4を1周以上する間に識別センサー5による金種識別を受けた上で、上記(1-2-1)の場合と同様にして放出ユニットEへ送り込まれる。
【0052】
最初の紙幣の金種が5千円であった場合は、残りの2千円分として千円札収納部Bから千円札が2枚繰り出され、上記(1-2-1)の場合と同様、金種識別を経ることなく放出ユニットEへ送り込まれる。
【0053】
一方、最初の紙幣の金種が2千円であった場合は、2千円/5千円札収納部Cから2番目の紙幣1枚だけが繰り出され、周回搬送路4で金種識別を受ける。この2番目の紙幣の金種が5千円であった場合は、その5千円札が放出ユニットEへ送り込まれた時点で出金動作が完了する。一方、2番目の紙幣の金種が2千円であった場合は、この2千円札が放出ユニットEへ送り込まれると共に、残りの3千円分として千円札収納部Bから千円札が3枚繰り出され、金種識別を経ることなく放出ユニットEへ送り込まれる。
【0054】
(1-2-3)出金リジェクト
出金紙幣の中に斜行等により識別センサー5による金種識別のできない紙幣があった場合、その紙幣は「出金リジェクト紙幣」として、周回搬送路4から接続搬送路6fを通じて出金リジェクト部Fへ送り込まれる。
【0055】
(2)商品券処理モード
入金口12から挿入された商品券は、繰込ユニットAより接続搬送路6aを通じて周回搬送路4へ1枚ずつ繰り出される。周回搬送路4へ繰り出された商品券は、識別センサー5を用いた計数を受けつつ、周回搬送路4から接続搬送路6fを通じて出金リジェクト部Fへ送り込まれる。
【0056】
その際、回転ドラム1aの反時計回り(図2)の回転では、周回搬送路4から接続搬送路6fへ商品券を送り込むことができない。そこで、まず回転ドラム1aの反時計回り(図2)の回転で、商品券を接続搬送路6aから周回搬送路4に導入する。次に、(例えば商品券の後端が識別センサー5を通過した時点で)回転ドラム1aを時計回り(図2)に逆転させることで、商品券を周回搬送路4から接続搬送路6fへ送り込むようにする(スイッチバック方式)。
【0057】
出金リジェクト部Fへ送り込まれて収納された商品券は、例えばリジェクト部Fの満杯時や営業終了後に回収されるまで、出金リジェクト部F内に一時保管される。
【0058】
なお、商品券処理モードにおいては、識別センサー5は専ら計数のために用いられ、識別には用いられないため、商品券以外の紙幣その他の紙葉類であっても同様の処理が行われることになる。
【0059】
[作用効果]
次に、以上のように構成された本実施形態の作用効果について説明する。
【0060】
本実施形態によれば、制御端末機CTから送信されるモード切換コマンドに基づいて商品券処理モードが起動された紙幣処理機BTは、商品券処理、すなわち繰込ユニットAより導入した商品券を搬送手段Tによって搬送して出金リジェクト部Fに収納する処理を行う。このようにして、紙幣処理機BTを利用して商品券の自動的な収納・保管を行うことで、商品券専用の機器類を用いることなく、係員による商品券の着服の可能性を低減させることができる。
【0061】
また、紙幣処理機BTで計数された商品券の枚数データを制御端末機CTへ送信することで、紙幣処理機BTに導入された商品券の枚数を制御端末機CTにて確認することが可能となる。
【0062】
次に、制御端末機CTは、操作部9bの各キー90,91,92による、商品券処理宣言、受入商品券の額面価格および枚数の入力に応じて、紙幣処理機BTに対するモード切換コマンドの送信を行う。これにより、紙幣処理機BTに商品券が導入される前に、商品券について必要な情報が制御端末機CTに入力されるという処理手順を確立することができる。
【0063】
また、制御端末機CTの記憶部9dにおいて、操作部9bの各キー91,92によって入力された受入商品券の額面価格および枚数の履歴が、読取部9cで入力された識別情報と関連付けて記憶される。これにより、商品券処理における各操作者(係員)の管理責任を明確にし、ひいては商品券の着服に対する抑止効果を得ることができる。
【0064】
また、制御端末機CTにおいて、操作部9bのテンキー92によって入力された受入商品券の枚数と、紙幣処理機BTから送信された枚数データとが照合され、両者が一致しない場合には報知部9eによる警告の報知が行われる。これにより、操作者(係員)による商品券の着服の可能性の他、操作者の確認ミスや入力ミス等の過誤の可能性についても直ちに報知して注意喚起を図ることができる。
【0065】
なお、本実施形態では、商品券を収納するための補助収納部として出金リジェクト部Fを利用している。これにより、追加的な補助収納部を設ける必要をなくして紙幣処理機の構造を簡素化し、あるいは出金リジェクト部を有する既存の一般的な紙幣処理機を利用することが可能となる。
【0066】
[変形例]
商品券を収納可能な補助収納部としては、出金リジェクト部Fに代えて、回収カセットGを利用してもよい。また、上記のような利点はなくなるが、追加的に商品券専用の補助収納部を設けてもよい。
【0067】
[追 記]
なお、紙幣処理機BTの商品券処理モードから通常の紙幣処理モードへの復帰は、例えば、次のいずれかの方式で行うようにすることができる。
(1)商品券処理モード中に繰込ユニットAを通じた商品券の導入が途絶えてから一定時間が経過したら、自動的に紙幣処理モードへ復帰させる。
(2)制御端末機CTに、商品券処理の終了宣言を入力するための手段(例えば終了キー)を設ける。そして、制御端末機CTの制御ユニットU1が、終了宣言の入力に応じて、紙幣処理機BTの制御ユニットU2に対して、通常の紙幣処理モードへ復帰させるコマンドの送信を行うようにする。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による紙幣取扱システムの一実施形態を示すブロック図。
【図2】図1に示した紙幣釣銭機の内部構造を示す水平断面図。
【図3】図2に示した紙幣釣銭機の外観を示す斜視図。
【符号の説明】
【0069】
CT 制御端末機
U1 制御ユニット(端末機制御部)
9a 表示部
9b 操作部
90 宣言キー(宣言入力手段)
91 額面キー(額面入力手段)
92 テンキー(枚数入力手段)
9c 読取部(情報入力手段)
9d 記憶部(記憶手段)
9e 報知部(報知手段)
BT 紙幣処理機
A 繰込ユニット(紙幣導入部)
B 千円札収納部(紙幣収納部)
C 2千円/5千円札収納部(紙幣収納部)
D 万円札収納部(紙幣収納部)
E 放出ユニット(紙幣放出部)
F 出金リジェクト部(補助収納部)
G 回収カセット
T 搬送手段
U2 制御ユニット(処理機制御部)
1 搬送ドラム
2 搬送ドラム用モータ
3 押圧ローラ
4 周回搬送路
5 識別センサ(入金識別手段/出金識別手段)
6a〜6g 接続搬送路
10 筐体
11 表示・操作部
12 入金口
14 出金口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御端末機と、紙幣処理機とを備えた紙幣取扱システムであって、前記紙幣処理機は、
外部から紙幣を導入する紙幣導入部と、
この導入部より導入された入金紙幣の金種を識別する入金識別手段と、
この入金識別手段による識別結果に応じて、前記入金紙幣を金種別に収納する紙幣収納部と、
この紙幣収納部から取り出された出金紙幣を外部に放出するための紙幣放出部と、
商品券を収納可能な補助収納部と、
前記導入部、前記紙幣収納部、前記放出部、および前記補助収納部の間で紙幣ないし商品券を選択的に搬送する搬送手段と、
前記制御端末機と通信接続された処理機制御部と、
を有し、
前記処理機制御部は、前記制御端末機から送信されるモード切換コマンドに基づいて、前記導入部より導入した商品券を前記搬送手段によって搬送して前記補助収納部に収納する商品券処理を行う商品券処理モードを起動するように構成されている、ことを特徴とする紙幣取扱システム。
【請求項2】
前記紙幣処理機は、前記商品券処理モードにおいて、前記入金識別手段ないし前記出金識別手段を用いて、前記導入部より導入した商品券の枚数を計数可能に構成され、
前記処理機制御部は更に、前記計数された商品券の枚数データを、前記制御端末機の端末機制御部へ送信するように構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の紙幣取扱システム。
【請求項3】
前記制御端末機は、
商品券処理宣言を入力するための宣言入力手段と、
前記紙幣処理機に受け入れさせるべき受入商品券の額面価格を入力するための額面入力手段と、
前記受入商品券の枚数を入力するための枚数入力手段と、
前記紙幣処理機の処理機制御部と通信接続された端末機制御部と、
を有し、
前記端末機制御部は、前記宣言入力手段、前記額面入力手段、および前記枚数入力手段による入力に応じて、前記紙幣処理機の処理機制御部に対する前記モード切換コマンドの送信を行うように構成されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の紙幣取扱システム。
【請求項4】
前記制御端末機は、
操作者の識別情報を入力するための情報入力手段と、
前記額面入力手段および前記枚数入力手段によって入力された前記受入商品券の額面価格および枚数の履歴を、前記情報入力手段によって入力された前記識別情報と関連付けて記憶する記憶手段と、
を更に有する、ことを特徴とする請求項3記載の紙幣取扱システム。
【請求項5】
前記制御端末機は、
前記紙幣処理機に受け入れさせるべき受入商品券の枚数を入力するための枚数入力手段と、
前記紙幣処理機の処理機制御部と通信接続された端末機制御部と、
操作者に対して警告を報知するための報知手段と
を有し、
前記端末機制御部は、前記枚数入力手段によって入力された前記受入商品券の枚数と、前記紙幣処理機の処理機制御部から送信された前記枚数データとを照合し、両者が一致しない場合には前記報知手段に報知を行わせるように構成されている、ことを特徴とする請求項2記載の紙幣取扱システム。
【請求項6】
前記紙幣処理機は、
前記紙幣収納部から取り出された出金紙幣の金種を識別する出金識別手段と、
この出金識別手段によって正常でないと判別された出金リジェクト紙幣を収納する出金リジェクト部と、
を更に有し、
前記商品券処理モードにおいて、前記出金リジェクト部を前記補助収納部として利用するように構成されている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の紙幣取扱システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−213493(P2007−213493A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35221(P2006−35221)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】