説明

紙幣計数装置及び紙幣計数装置の制御方法

【課題】紙幣計数装置の大規模化を防ぎ且つ識別処理の識別率及び処理速度を向上させる。
【解決手段】紙幣計数装置100は、ホルダに装填された紙幣をめくる紙幣めくり部102と、紙幣めくり部102によってめくられた紙幣を計数する紙幣計数部109と、ホルダに装填された紙幣に光を照射して画像を撮影し、画像データを生成するカメラ104と、カメラ104によって生成された画像データを補正する画像データ補正部106と、画像データ補正部106によって補正された画像データと識別テーブル105Cを照合することによって、ホルダに装填された紙幣の金種を識別する識別部107と、識別部107の識別結果に従って紙幣めくり部102を制御する制御部101と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣計数装置及び当該装置の制御方法に関し、特に、バキューム式紙幣計数装置及び当該装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホルダに装填された紙幣を複数の吸引軸が吸着させる方法で紙幣を1枚ずつめくることによって紙幣を計数する、いわゆるバキューム式紙幣計数装置が知られている。
【0003】
従来のバキューム式紙幣計数装置は、ホルダに装填された紙幣の画像を撮影し、撮影された画像と識別テーブルを照合することによって紙幣の金種を識別する。
【0004】
しかし、従来のバキューム式紙幣計数装置では、ホルダに装填された紙幣の正面に複数の吸引軸が設けられるため、紙幣の画像を撮影するカメラは当該紙幣に対して斜め方向に設けられている。従って、撮影された画像は、カメラから近い部分は大きく、カメラから遠い部分は小さい台形画像となる。
【0005】
また、従来のバキューム式紙幣計数装置では、ホルダに装填された紙幣が所定の位置から上下左右にずれた場合には、台形画像の形状が大きく歪むので、識別率が低くなるという問題がある。
【0006】
これに対して、台形画像用の識別テーブルを用いて紙幣の金種を識別する方法が考えられる。
【0007】
しかし、台形画像用の識別テーブルを用いて識別率を向上させるためには、多様な台形画像に対応した識別テーブルを複数個記憶し、全ての識別テーブルと照合するので、装置が大規模化し且つ識別処理の処理速度が低下するという問題がある。特に、バキューム式紙幣計数装置は、紙幣を高速にめくるので、識別処理の処理速度が低下することは大きな問題である。
【特許文献1】特開平3−196389号公報
【特許文献2】特開2004−310353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、装置の大規模化を防ぎ且つ識別処理の識別率及び処理速度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様によれば、ホルダに装填された紙幣をめくる紙幣めくり部と、前記紙幣めくり部によってめくられた紙幣を計数する紙幣計数部と、前記ホルダに装填された紙幣に光を照射して画像を撮影し、画像データを生成するカメラと、前記カメラによって生成された画像データを補正する画像データ補正部と、前記画像データ補正部によって補正された画像データと識別テーブルを照合することによって、前記ホルダに装填された紙幣の金種を識別する識別部と、前記識別部の識別結果に従って前記紙幣めくり部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする紙幣計数装置が提供される。
【0010】
本発明の第2態様によれば、本発明の第1態様において、前記カメラによって生成された画像データを補正するための補正テーブルを1つ記憶する記憶部を更に備え、前記画像データ補正部は、前記記憶部から前記補正テーブルを読み出し、当該補正テーブルに従って前記カメラによって生成された画像データを補正する紙幣計数装置が提供される。
【0011】
本発明の第3態様によれば、本発明の第2態様において、前記記憶部に記憶された補正テーブルを修正する修正モードを設定する操作部を更に備える紙幣計数装置が提供される。
【0012】
本発明の第4態様によれば、本発明の第2態様において、前記補正テーブルは、台形形状の画像データを長方形形状の画像データに補正するための座標補正パラメータを含み、前記カメラは、台形形状の画像データを生成し、前記画像データ補正部は、前記記憶部から前記補正テーブルを読み出し、当該補正テーブルの座標補正パラメータに従って前記カメラによって生成された台形形状の画像データの各画素の座標を補正する紙幣計数装置が提供される。
【0013】
本発明の第5態様によれば、本発明の第4態様において、前記補正テーブルは、前記台形形状の画像データの濃度を補正するための濃度補正パラメータを更に含み、前記画像データ補正部は、前記記憶部から前記補正テーブルを読み出し、当該補正テーブルの濃度補正パラメータに従って前記カメラによって生成された台形形状の画像データの各画素の濃度を補正する紙幣計数装置が提供される。
【0014】
本発明の第6態様によれば、本発明の第5態様において、前記濃度補正パラメータは、前記カメラによって照射される光の強度に依存する紙幣計数装置が提供される。
【0015】
本発明の第7態様によれば、本発明の第5態様において、前記画像データ補正部は、補正後の1画素が補正前の複数画素に依存するように補正を行う紙幣計数装置が提供される。
【0016】
本発明の第8態様によれば、本発明の第1態様において、前記カメラは、前記ホルダに載置された紙幣の短手方向を主走査方向として当該紙幣の画像を撮影する紙幣計数装置が提供される。
【0017】
本発明の第9態様によれば、ホルダに装填された紙幣をめくる紙幣めくり工程と、前記紙幣めくり工程においてめくられた紙幣を計数する紙幣計数工程と、前記ホルダに装填された紙幣に光を照射して画像を撮影し、画像データを生成する画像データ生成工程と、前記画像データ生成工程において生成された画像データを補正する画像データ補正工程と、前記画像データ補正工程において補正された画像データと識別テーブルを照合することによって、前記ホルダに装填された紙幣の金種を識別する識別工程と、を含み、前記紙幣めくり工程は、前記識別工程の識別結果に従って前記ホルダに装填された紙幣をめくることを特徴とする紙幣計数装置の制御方法が提供される。
【0018】
本発明の第10態様によれば、本発明の第9態様において、前記画像データ補正工程は、補正テーブルに従って前記画像データ生成工程において生成された画像データを補正する紙幣計数装置の制御方法が提供される。
【0019】
本発明の第11態様によれば、本発明の第10態様において、前記補正テーブルを修正する修正モードを設定する操作工程を更に含む紙幣計数装置の制御方法が提供される。
【0020】
本発明の第12態様によれば、本発明の第10態様において、前記補正テーブルは、台形形状の画像データを長方形形状の画像データに補正するための座標補正パラメータを含み、前記画像データ生成工程は、台形形状の画像データを生成し、前記画像データ補正工程は、前記補正テーブルの座標補正パラメータに従って前記画像データ生成工程において生成された台形形状の画像データの各画素の座標を補正する紙幣計数装置の制御方法が提供される。
【0021】
本発明の第13態様によれば、本発明の第12態様において、前記補正テーブルは、前記台形形状の画像データの濃度を補正するための濃度補正パラメータを更に含み、前記画像データ補正工程は、前記補正テーブルの濃度補正パラメータに従って前記画像データ生成工程において生成された台形形状の画像データの各画素の濃度を補正する紙幣計数装置の制御方法が提供される。
【0022】
本発明の第14態様によれば、本発明の第13態様において、前記画像データ補正工程は、補正後の1画素が補正前の複数画素に依存するように補正を行う紙幣計数装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、装置の大規模化を防ぎ且つ識別処理の識別率及び処理速度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例は、本発明の実施の一形態であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0025】
はじめに、本発明の実施例1について説明する。本発明の実施例1は、撮影された台形画像の画像データを補正し、補正された画像データと識別テーブルを用いて紙幣の金種を識別する例である。
【0026】
図1は、本発明の実施例1に係る紙幣計数装置100の構成を示すブロック図である。
【0027】
本発明の実施例1に係る紙幣計数装置100は、制御部101、紙幣めくり部102、紙幣めくり阻止部103、カメラ104、記憶部105、画像データ補正部106、識別部107、操作部108及び紙幣計数部109を備えている。
【0028】
制御部101は、後述の制御プログラム105Aに従って、各部102〜109を制御する制御信号を出力する。
【0029】
紙幣めくり部102は、後述のホルダ1に装填された紙幣を自転しながら公転する複数の吸引軸7に吸着させることによって紙幣を1枚ずつめくる。
【0030】
紙幣めくり阻止部103は、識別部107によって異常が識別された場合に、未吸引の紙幣が吸着されてめくり取られることを阻止する。
【0031】
カメラ104は、後述のホルダ1に装填された紙幣に光を照射し、紙幣の短手方向を主走査方向として紙幣の画像を撮影し、画像データを生成する。後述の発光器10から照射される光線は紙幣に入射し、反射されてカメラ104に入射する。カメラ104は、紙幣に対して斜め方向に設けられているので、カメラ104によって撮影される画像は、カメラ104から遠い部分は相対的に小さく、カメラ104から近い部分は相対的に大きく見える台形形状に歪んでいる。
【0032】
記憶部105は、制御部101のための制御プログラム105A、画像データ補正部106のための1つの補正テーブル105B、識別部107のための識別テーブル105C及び紙幣計数部109の計数結果105Dを記憶する。補正テーブル105Bは、台形画像を長方形画像に補正するための座標補正パラメータ及び台形画像の濃度を補正するための濃度補正パラメータを含む。濃度補正パラメータは、カメラ104の光の強度に依存するパラメータである。識別テーブル105Cは、長方形画像の画像データに従って紙幣の金種を判定するためのパターンを含む。
【0033】
画像データ補正部106は、カメラ104によって生成された画像データを記憶部105に記憶された補正テーブル105Bを用いて補正する。
【0034】
識別部107は、画像データ補正部106によって補正された画像データと識別テーブル105Cを照合することによって、ホルダ1に装填された紙幣の金種を識別する。識別部107は、紙幣の金種が所定の金種でない場合には、紙幣の異常を示す異常信号を制御部101に出力する。
【0035】
操作部108は、複数のキー及び表示パネル(図示せず)を有する。操作部108は、スタートキーが押下されたときには紙幣計数処理モードを設定し、修正キーが押下されたときには修正モードを設定する。操作部108は、記憶部105に記憶された計数結果105Dを表示パネルに表示する。
【0036】
紙幣計数部109は、紙幣めくり部102によってめくられた紙幣を計数し、計数結果105Dを記憶部105に書き込む。
【0037】
図2は、本発明の実施例1に係る紙幣計数装置100の機構部の構造を示す平面図である。
【0038】
紙幣装填位置にあるホルダ1に紙幣束Pが装填され、スタートキーが押下されたときに、真空ポンプが回転を始めると共にホルダ1がガイド6に沿って回転を始め、計数開始位置Aまで回動して停止する。このとき、ホルダ1は、紙幣の最前部の一部分が吸引軸7に接触するようにばね等で付勢される。なお、紙押さえ捧4は、紙幣束Pを1枚ずつめくり取ることを容易にするために設けられている。
【0039】
次に、紙幣Pが吸引軸7の吸引口に接触して吸引口を塞ぎ、吸引軸7の内部の吸引圧が所定の値以上になったときに真空スイッチが動作して出力信号を発し、出力信号に応じてモータが回転することによってロータ9が回転を始め、吸引軸7は自転しつつ公転しながら紙幣を1枚ずつ吸着してめくり取り、Bの位置まで移動させる。
【0040】
また、紙幣Pが吸引軸7の吸引口に接触して吸引口を塞いだときに、紙幣Pの近傍に設けられた発光器10から照射光線12が後述の紙幣面の指定領域QRに向けて照射され、指定領域QRからの反射光線が受光器11によって受光される。例えば、発光器10はLED(Light Emitting Diode)発光器であり、受光器11はCCD(Charge Coupled Device)カメラである。
【0041】
さらに、紙幣の異常が識別された場合には、未吸引の紙幣が吸着されてめくり取られることを阻止するための紙幣めくり阻止部102としてのストッパ18が設けられており、紙幣の異常が検出されたときに、ソレノイド16の励磁によって支点17を中心として回動し、ストッパ18の先端が未吸引の紙幣の端部を押さえ付けるようになっている。
【0042】
図3は、指定領域QRの概略を示す概念図である。
【0043】
前述のように、発光器10によって照射光線12が指定領域QRに照射され、受光器11によって指定領域QRからの反射光線が受光される。また、紙幣の短辺に沿った方向を短手方向といい、紙幣の長辺に沿った方向を長手方向という。
【0044】
図4は、本発明の実施例1に係る紙幣計数処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0045】
本発明の実施例1に係る紙幣計数処理は、操作部108のスタートキーが押下されたときに行われる処理である。なお、本発明の実施例1では、最後にめくられた紙幣をn−1枚目の紙幣とし、記憶部105に記憶されている計数結果105DをC(n−1)とする。
【0046】
はじめに、制御部101は、図2の機構部の制御を開始する(S401)。
【0047】
次に、カメラ104は、ホルダ1に装填された紙幣の画像を撮影し、画像データを生成し、当該画像データを画像データ補正部106に出力する(S402)。
【0048】
次に、画像データ補正部106は、後述の画像データ補正処理(図5を参照)を行う(S403)。
【0049】
次に、識別部107は、後述の識別処理(図8を参照)を行う(S404)。
【0050】
次に、S404において異常信号が出力されなかった場合には(S405−NO)、紙幣めくり部102は、ホルダ1に装填された紙幣を1枚めくる(S406)。
【0051】
次に、紙幣計数部109は、n−1枚目の計数結果C(n−1)に1を加算し、n枚目の計数結果C(n)とする(S407)。このとき、操作部107は、計数結果C(n)を表示パネルに表示する。
【0052】
S402〜S407は、未計数紙幣がなくなるまで繰り返される(S408−YES)。
【0053】
一方、未計数紙幣がなくなった場合には(S408−NO)、制御部101は、機構部の制御を停止する(S409)。
【0054】
他方、S404において異常信号が出力された場合には(S405−YES)、S409に進む。
【0055】
本発明の実施例1に係る紙幣計数処理は、S409の後に終了する。
【0056】
図5は、本発明の実施例1に係る画像データ補正処理(図4のS403)の処理手順を示すフローチャートである。
【0057】
はじめに、画像データ補正部106は、記憶部105から補正テーブル105Bを読み出す(S501)。
【0058】
次に、画像データ補正部106は、補正テーブル105Bに従って、図4のS402においてカメラ104によって出力された台形画像の画像データを長方形画像の画像データに補正する(S502)。このとき、画像データ補正部106は、補正テーブル105Bの座標補正パラメータに従って、図4のS402においてカメラ104によって出力された台形画像の画像データの各画素の座標を補正し、補正テーブル105Bの濃度補正パラメータに従って、図4のS402においてカメラ104によって出力された台形画像の画像データの各画素の濃度を補正する。なお、本発明の実施例1では、濃度補正パラメータを用いる補正は省略されても良い。
【0059】
次に、画像データ補正部106は、S502において補正された画像データを識別部107に出力する(S503)。
【0060】
本発明の実施例1に係る画像データ補正処理(図4のS403)は、S503の後に終了する。
【0061】
図6は、本発明の実施例1に係る補正テーブル105Bの概略を示す概略図である。
【0062】
本発明の実施例1に係る補正テーブル105Bは、画素(1,1)〜(x,y)毎に1つの座標変換パラメータ及び濃度変換パラメータ(k)を含む。従って、補正後の1画素は補正前の1画素に依存する。
【0063】
図7は、本発明の実施例1に係る補正前の画素と補正後の画素の概略を示す概略図である。
【0064】
図7に示されるように、補正後の画素(破線)は、補正前の画素(太線)に比べて座標が変換され、濃度値がk倍となる。なお、濃度補正パラメータを用いる補正が省略された場合には、k=1である。
【0065】
図8は、本発明の実施例1に係る識別処理(図4のS404)の処理手順を示すフローチャートである。
【0066】
はじめに、識別部107は、記憶部105から識別テーブル105Cを読み出す(S801)。
【0067】
次に、識別部107は、図5のS503において画像データ補正部106によって出力された画像データとS801において読み出された識別テーブル105Cを照合する(S802)。
【0068】
次に、S802の照合結果が「異金種」である場合には(S803−YES)、識別部107は、異常信号を制御部101に出力する(S804)。
【0069】
本発明の実施例1に係る識別処理は、S804の後に又はS802の照合結果が「異金種」でない場合(S803−NO)に終了する。
【0070】
本発明の実施例1によれば、台形画像の画像データを長方形画像の画像データに補正した後に紙幣の金種を識別するので、識別率を向上させることができる。
【0071】
また、本発明の実施例1によれば、長方形画像に対応した少数の識別テーブルに対して照合するので、多様な台形画像に対応した多数の識別テーブルが不要になり、ひいては、装置の大規模化を防ぎ且つ識別処理の処理速度を向上させることができる。
【0072】
また、本発明の実施例1によれば、カメラ104の主走査方向を台形画像の台形の底辺と平行な紙幣の短手方向に合せて画像を撮影し、補正前、補正中及び補正後の画像データをシーケンシャルアクセスで参照及び格納するので、ランダムアクセスが不要になり、ひいては、装置の大規模化を防ぎ且つ識別処理の処理速度を向上させることができる。
【実施例2】
【0073】
次に、本発明の実施例2について説明する。本発明の実施例1は、撮影された台形画像の画像データに対して補正テーブルを用いて補正する例であるが、本発明の実施例2は、補正テーブルを修正する例である。なお、本発明の実施例1と同様の内容についての説明は省略する。
【0074】
図9は、本発明の実施例2に係る補正テーブル修正処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0075】
本発明の実施例2に係る修正処理は、操作部108によって修正モードが設定されたときに行われる処理である。
【0076】
はじめに、制御部101は、記憶部105から補正テーブル105Bを読み出す(S901)。
【0077】
次に、制御部101は、操作部108を介して補正テーブル105Bのパラメータの修正値を受け付け、当該受け付けられた修正値に従って補正テーブル105Bのパラメータを更新する(S902)。
【0078】
次に、操作部108の完了キーが押下された場合には(S903−YES)、制御部101は、S902において更新されたパラメータを含む補正テーブル105Bを記憶部105に書き込む(S904)。
【0079】
一方、操作部108の完了キーが押下されなかった場合には(S903−NO)、S902へ戻る。
【0080】
本発明の実施例2に係る修正処理は、S904の後に終了する。
【0081】
本発明の実施例2によれば、記憶部105に予め記憶された補正テーブル105Bのパラメータを修正するので、予め複数の補正テーブル105Bを記憶部105に記憶することなく多様な画像データ補正処理を行うことができる。
【実施例3】
【0082】
次に、本発明の実施例3について説明する。本発明の実施例1,2は、補正後の1画素が補正前の1画素に依存するような画像データ補正処理の例であるが、本発明の実施例3は、補正後の1画素が補正前の複数画素に依存するような画像データ補正処理の例である。なお、本発明の実施例1,2と同様の内容についての説明は省略する。
【0083】
図10は、本発明の実施例3に係る画像データ補正処理(図4のS403)の処理手順を示すフローチャートである。
【0084】
はじめに、画像データ補正部106は、記憶部105から補正テーブル105Bを読み出す(S1001)。
【0085】
次に、画像データ補正部106は、補正テーブル105Bの座標補正パラメータに従って、図4のS402においてカメラ104によって出力された台形画像の画像データの各画素の座標を補正する(S1002)。
【0086】
次に、画像データ補正部106は、同じ座標に補正された複数の補正前画素の濃度値について、補正テーブル105Bの濃度補正パラメータを重みとして用いて加重平均演算を行う(S1003)。
【0087】
次に、画像データ補正部106は、S1003において加重平均演算が行われた画像データを識別部107に出力する(S1004)。
【0088】
本発明の実施例3に係る画像データ補正処理(図4のS403)は、S1004の後に終了する。
【0089】
図11は、本発明の実施例3に係る補正テーブル105Bの概略を示す概略図である。
【0090】
本発明の実施例3に係る補正テーブル105Bは、画素(1,1)〜(x,y)毎に4つの座標変換パラメータ及び濃度変換パラメータ(k)を含む。従って、補正後の1画素は補正前の複数画素に依存する。
【0091】
図12は、本発明の実施例3に係る補正前の画素と補正後の画素の概略を示す概略図である。
【0092】
図12に示されるように、補正後の画素(破線)は、補正前の画素(太線)に比べて座標が変換され、濃度値は、各補正前の画素の濃度値に対して、各濃度変換パラメータを重みとする加重平均によって構成される。
【0093】
本発明の実施例3によれば、複数画素を補正することによって1画素が構成されるような画像データ補正処理を行うので、本発明の実施例1,2に比べて、補正後の精度を向上させることができる。特に、補正された画像データには、縞模様が発生せず、濃度比率が正確に保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施例1に係る紙幣計数装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係る紙幣計数装置100の機構部の構造を示す平面図である。
【図3】指定領域QRの概略を示す概念図である。
【図4】本発明の実施例1に係る紙幣計数処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1に係る画像データ補正処理(図4のS403)の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例1に係る補正テーブル105Bの概略を示す概略図である。
【図7】本発明の実施例1に係る補正前の画素と補正後の画素の概略を示す概略図である。
【図8】本発明の実施例1に係る識別処理(図4のS404)の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2に係る補正テーブル修正処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施例3に係る画像データ補正処理(図4のS403)の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例3に係る補正テーブル105Bの概略を示す概略図である。
【図12】本発明の実施例3に係る補正前の画素と補正後の画素の概略を示す概略図である。
【符号の説明】
【0095】
1 ホルダ
4 紙おさえ捧
6 ガイド
7 吸引軸
9 ロータ
10 発光器
11 受光器
16 ソレノイド
17 支点
18 ストッパ
100 紙幣計数装置
101 制御部
102 紙幣めくり部
103 紙幣めくり阻止部
104 カメラ
105 記憶部
106 画像データ補正部
107 識別部
108 操作部
109 紙幣計数部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダに装填された紙幣をめくる紙幣めくり部と、
前記紙幣めくり部によってめくられた紙幣を計数する紙幣計数部と、
前記ホルダに装填された紙幣に光を照射して画像を撮影し、画像データを生成するカメラと、
前記カメラによって生成された画像データを補正する画像データ補正部と、
前記画像データ補正部によって補正された画像データと識別テーブルを照合することによって、前記ホルダに装填された紙幣の金種を識別する識別部と、
前記識別部の識別結果に従って前記紙幣めくり部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする紙幣計数装置。
【請求項2】
前記カメラによって生成された画像データを補正するための補正テーブルを1つ記憶する記憶部を更に備え、
前記画像データ補正部は、前記記憶部から前記補正テーブルを読み出し、当該補正テーブルに従って前記カメラによって生成された画像データを補正する請求項1に記載の紙幣計数装置。
【請求項3】
前記記憶部に記憶された補正テーブルを修正する修正モードを設定する操作部を更に備える請求項2に記載の紙幣計数装置。
【請求項4】
前記補正テーブルは、台形形状の画像データを長方形形状の画像データに補正するための座標補正パラメータを含み、
前記カメラは、台形形状の画像データを生成し、
前記画像データ補正部は、前記記憶部から前記補正テーブルを読み出し、当該補正テーブルの座標補正パラメータに従って前記カメラによって生成された台形形状の画像データの各画素の座標を補正する請求項2に記載の紙幣計数装置。
【請求項5】
前記補正テーブルは、前記台形形状の画像データの濃度を補正するための濃度補正パラメータを更に含み、
前記画像データ補正部は、前記記憶部から前記補正テーブルを読み出し、当該補正テーブルの濃度補正パラメータに従って前記カメラによって生成された台形形状の画像データの各画素の濃度を補正する請求項4に記載の紙幣計数装置。
【請求項6】
前記濃度補正パラメータは、前記カメラによって照射される光の強度に依存する請求項5に記載の紙幣計数装置。
【請求項7】
前記画像データ補正部は、補正後の1画素が補正前の複数画素に依存するように補正を行う請求項5に記載の紙幣計数装置。
【請求項8】
前記カメラは、前記ホルダに載置された紙幣の短手方向を主走査方向として当該紙幣の画像を撮影する請求項1に記載の紙幣計数装置。
【請求項9】
ホルダに装填された紙幣をめくる紙幣めくり工程と、
前記紙幣めくり工程においてめくられた紙幣を計数する紙幣計数工程と、
前記ホルダに装填された紙幣に光を照射して画像を撮影し、画像データを生成する画像データ生成工程と、
前記画像データ生成工程において生成された画像データを補正する画像データ補正工程と、
前記画像データ補正工程において補正された画像データと識別テーブルを照合することによって、前記ホルダに装填された紙幣の金種を識別する識別工程と、を含み、
前記紙幣めくり工程は、前記識別工程の識別結果に従って前記ホルダに装填された紙幣をめくることを特徴とする紙幣計数装置の制御方法。
【請求項10】
前記画像データ補正工程は、補正テーブルに従って前記画像データ生成工程において生成された画像データを補正する請求項9に記載の紙幣計数装置の制御方法。
【請求項11】
前記補正テーブルを修正する修正モードを設定する操作工程を更に含む請求項10に記載の紙幣計数装置の制御方法。
【請求項12】
前記補正テーブルは、台形形状の画像データを長方形形状の画像データに補正するための座標補正パラメータを含み、
前記画像データ生成工程は、台形形状の画像データを生成し、
前記画像データ補正工程は、前記補正テーブルの座標補正パラメータに従って前記画像データ生成工程において生成された台形形状の画像データの各画素の座標を補正する請求項10に記載の紙幣計数装置の制御方法。
【請求項13】
前記補正テーブルは、前記台形形状の画像データの濃度を補正するための濃度補正パラメータを更に含み、
前記画像データ補正工程は、前記補正テーブルの濃度補正パラメータに従って前記画像データ生成工程において生成された台形形状の画像データの各画素の濃度を補正する請求項12に記載の紙幣計数装置の制御方法。
【請求項14】
前記画像データ補正工程は、補正後の1画素が補正前の複数画素に依存するように補正を行う請求項13に記載の紙幣計数装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−140126(P2009−140126A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314344(P2007−314344)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】