説明

紙積層材料

【課題】アイスクリームや即席ラーメンやスナック菓子などを収容する紙カップ容器20や、コーヒー,ジュースや各種調味料や日本酒,果実酒などを収容する液体用紙容器30などの、耐水性や強度,保形性や各種バリヤー性や熱融着性,密封性などが優れた紙積層材料であって、それぞれの内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱溶融して、それぞれの要所を熱圧着して成型する時に、特に紙材料層3と接着性樹脂層6との間に、多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生しない、層間剥離やピンホールなどが発生する恐れがない紙積層材料を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも外面樹脂層2と紙材料層3とバリヤー層4と内面シーラント層5とを積層した、紙カップ容器20や液体用紙容器30などの紙積層材料の外面樹脂層2に、多数の通気細孔a,a,a,…を設けたことを特徴とする紙積層材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイスクリームや即席ラーメンやスナック菓子などを収容する紙カップ容器20や、コーヒー,ジュースや各種調味料や日本酒,果実酒などを収容する液体用紙容器30などの、熱風で加熱して熱圧着する時に、層間剥離やピンホールなどが発生する恐れがない紙積層材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アイスクリームや即席ラーメンやスナック菓子などを収容する紙積層材料製の、例えば図2に示すような、扇形状の胴面板bのブランクと円形状の底面板cのブランクとの、それぞれの内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱溶融して、要所を熱圧着して成型した上面を開放したカップ状の、内容量が100〜2000mlの紙カップ容器20が、一般に広く用いられている。
【0003】
また従来から、コーヒー,ジュースや各種調味料や日本酒,果実酒などを収容する紙積層材料製の、例えば図3に示すような、上面板群d,d,d,dと側面板e,e,e,eと底面板群f,f,f,fと熱融着片g,g,gとを連設して成るブランクの、内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱溶融して、要所を熱圧着して成型した上面が切妻屋根形の直方体状の、内容量が200〜3000mlの液体用紙容器30が、一般に広く用いられている。
【0004】
この従来の、図2に示す紙カップ容器20や図3に示す液体用紙容器30などの紙積層材料については、例えば図4Aに示すような、耐水性が優れた10〜50μmのポリエチレン(PE)などの外面樹脂層2と、強度,保形性が優れた100〜550g/m2の適宜の紙材料層3と、各種バリヤー性が優れた無機酸化物蒸着(SiOx,AlOx)付の12〜25μmの強靭なポリエステル(PET)などのバリヤー層4と、熱融着性,密封性が優れた30〜100μmの低密度ポリエチレン(LDPE)などの内面シーラント層5とを、
紙材料層3とバリヤー層4との間は、熱溶融性,熱接着性が優れた線状低密度ポリエチレン(LLDPE)などの接着性樹脂層6を熱溶融して、10〜60μmのフィルム状に押出しして積層(エクストルージョンラミと言う)して、(又は後記のウレタン系の接着剤を介して積層して)、また外面樹脂層2と紙材料層3との間及びバリヤー層4と内面シーラント層5との間は、接着強度などが優れた5g/m2程度のウレタン系の接着剤(図示せず)を介して、通常のドライラミネーション方法などで積層した、(又は外面樹脂層2,内面シーラント層5を、前記と同様に熱溶融押出しして積層した)、耐水性や強度,保形性や各種バリヤー性や熱融着性,密封性などが優れた紙積層材料が、一般に広く用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが従来の、図2に示す紙カップ容器20や図3に示す液体用紙容器30などの、図4Aに示す紙積層材料については、耐水性や強度,保形性や各種バリヤー性や熱融着性,密封性などが優れた、一般に広く用いられている紙積層材料であるものの、それぞれの内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱溶融して、それぞれの要所を熱圧着して、上面を開放したカップ状や上面が切妻屋根形の直方体状などに成型する時に、約300℃の熱風の熱が、内面シーラント層5とバリヤー層4と接着性樹脂層6とを介して紙材料層3に到達して、この紙材料層3を少なからず加熱するために、紙材料層3に含有した5〜10%の水分が急激に蒸発して、図4Bに示すように、外面樹脂層2と紙材料層3との間及び紙材料層3と接着性樹脂層6との間に、多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生することが問題であった。
【0006】
すなわち、特に紙材料層3と接着性樹脂層6との間に発生した多数のドーム状の隙間h,h,h,…が、紙材料層3と接着性樹脂層6との層間(図4Bでは水平方向)に拡がることによって、紙積層材料に層間剥離(デラミネーションと言う)が発生して、紙カップ容器20や液体用紙容器30などの成型不良や液漏れなどを起す恐れがあって、
また、特に紙材料層3と接着性樹脂層6との間に発生した多数のドーム状の隙間h,h,h,…の、ドームの頂部(図4Bでは下部)が破裂することによって、紙積層材料のバリヤー層4にピンホール(炙りピンホールと言う)が発生して、紙カップ容器20や液体用紙容器30などの各種バリヤー性(品質保存性)などが低下する恐れがあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、アイスクリームや即席ラーメンやスナック菓子などを収容する紙カップ容器20や、コーヒー,ジュースや各種調味料や日本酒,果実酒などを収容する液体用紙容器30などの、耐水性や強度,保形性や各種バリヤー性や熱融着性,密封性などが優れた紙積層材料であって、それぞれの内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱溶融して、それぞれの要所を熱圧着して成型する時に、特に紙材料層3と接着性樹脂層6との間に、図4Bに示す多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生しない、紙カップ容器20や液体用紙容器30などの層間剥離やピンホールなどが発生する恐れがない紙積層材料を提供することにある。
【0008】
なお、前記の特許文献1に示す、特開2004−42935号(液体紙容器)においては、特に紙材料層3とバリヤー層4との間の積層強度を、接着性樹脂層6にオゾン処理することによって著しく向上させて、層間剥離やピンホールなどの発生を防止した、本願発明の紙積層材料とは、その課題と効果とが同じであっても、その手段が異なる液体紙容器の発明が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の紙積層材料は、少なくとも外面樹脂層2と紙材料層3とバリヤー層4と内面シーラント層5とを積層した、図2に示す紙カップ容器20や図3に示す液体用紙容器30などの紙積層材料であって、図1A,Bに示すように、この紙積層材料の外面樹脂層2に、多数の通気細孔a,a,a,…を設けたことを特徴とする紙積層材料である。
【0010】
本発明の紙積層材料においては、前述した従来と同様の、少なくとも外面樹脂層2と紙材料層3とバリヤー層4と内面シーラント層5とを積層した、紙カップ容器20や液体用紙容器30などの紙積層材料の外面樹脂層2に、図1A,Bに示す多数の通気細孔a,a,a,…を設けたことによって、
それぞれの内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱溶融して、それぞれの要所を熱圧着して、上面を開放したカップ状や上面が切妻屋根形の直方体状などに成型する時に、前述した従来と同様に、約300℃の熱風の熱が、内面シーラント層5とバリヤー層4(と接着性樹脂層6)とを介して紙材料層3に到達して、この紙材料層3を少なからず加熱して、紙材料層3に含有した5〜10%の水分が急激に蒸発したとしても、この急激に蒸発した水分が、外面樹脂層2に設けた多数の通気細孔a,a,a,…から放出されるために、外面樹脂層2と紙材料層3との間及び紙材料層3と接着性樹脂層6との間に、図4Bに示す多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生しない紙積層材料を得ることができる。
【0011】
すなわち、特に紙材料層3と接着性樹脂層6との間に多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生しないために、この隙間h,h,h,…が紙材料層3と接着性樹脂層6との層間に拡がって、紙積層材料に層間剥離が発生して、紙カップ容器20や液体用紙容器30などの成型不良や液漏れなどを起す恐れがない、またドームの頂部が破裂して、紙積層材料のバリヤー層4にピンホールが発生して、紙カップ容器20や液体用紙容器30などの各種
バリヤー性などが低下する恐れがない、耐水性や強度,保形性や各種バリヤー性や熱融着性,密封性などが優れた紙積層材料を得ることができる。
【0012】
加えて、本発明の紙積層材料は、少なくとも外面樹脂層2と紙材料層3とバリヤー層4と内面シーラント層5とを積層した、図2に示す紙カップ容器20や図3に示す液体用紙容器30などの紙積層材料の、図3Bに斜線で示す熱風で加熱して熱圧着する部分と図3Bに網点で示すその近傍の部分との外面樹脂層2に、多数の通気細孔a,a,a,…を設けたことを特徴とする紙積層材料である。
【0013】
本発明の紙積層材料においては、前述した従来と同様の、少なくとも外面樹脂層2と紙材料層3とバリヤー層4と内面シーラント層5とを積層した、紙カップ容器20や液体用紙容器30などの紙積層材料の、内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱圧着する、図3Bに斜線で示す部分と、その近傍の熱風の熱が紙材料層3に到達する、図3Bに網点で示す部分との、外面樹脂層2に、図1A,Bに示す多数の通気細孔a,a,a,…を設けたことによって、
それぞれの内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱溶融して、それぞれの要所を熱圧着して、上面を開放したカップ状や上面が切妻屋根形の直方体状などに成型する時に、前述した図1A,Bに示す紙積層材料と同様に、外面樹脂層2と紙材料層3との間及び紙材料層3と接着性樹脂層6との間に、図4Bに示す多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生しない紙積層材料であって、この多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生する恐れがない部分の耐水性などが優れた外面樹脂層2に、図1A,Bに示す多数の通気細孔a,a,a,…を設けていないために、紙カップ容器20や液体用紙容器30などの耐水性や体裁などを損なう恐れがない紙積層材料を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明の紙積層材料においては、アイスクリームや即席ラーメンやスナック菓子などを収容する紙カップ容器20や、コーヒー,ジュースや各種調味料や日本酒,果実酒などを収容する液体用紙容器30などの、耐水性や強度,保形性や各種バリヤー性や熱融着性,密封性などが優れた紙積層材料の外面樹脂層2に、多数の通気細孔a,a,a,…を設けたことによって、
それぞれの内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱溶融して、それぞれの要所を熱圧着して成型する時に、紙材料層3が少なからず加熱されて、紙材料層3に含有した5〜10%の水分が急激に蒸発したとしても、この急激に蒸発した水分が、外面樹脂層2に設けた多数の通気細孔a,a,a,…から放出されるために、特に紙材料層3と接着性樹脂層6との間に、図4Bに示す多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生しない、紙カップ容器20や液体用紙容器30などの、層間剥離(デラミネーションと言う)やピンホール(炙りピンホールと言う)などが発生する恐れがない紙積層材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の紙積層材料における、外面樹脂層2に設ける多数の通気細孔a,a,a,…については、例えば図1Aに示す極粗い紙やすり状や、また例えば図1Bに示す2〜6mm間隔の針穴状などの、外面樹脂層2を貫通した任意形状の多数の通気細孔a,a,a,…を、ダイヤモンド砂刃を用いた回転ロール工程や多数の打抜針を用いた打抜工程や炭酸ガスレーザーを用いたレーザー照射工程などで、少なくとも紙材料層3に積層した状態の外面樹脂層2に、特に制約なく設けることができる。
【0016】
なお、外面樹脂層2に設けた多数の通気細孔a,a,a,…の気体透過度については、JIS P8117 ガーレ透気抵抗度測定器において、567gの円筒で圧縮された空気100mlが、645mm2の前記紙積層材料を通過する時間を測定した結果が5S〜2
000Sの間となるものが好ましく用いられる。
【実施例1】
【0017】
図1Aは、本発明の実施例1における、紙積層材料の断面説明図である。また図2A,Bは、本発明の実施例1における、紙カップ容器20の斜視図,断面図であって、図2Cは、紙カップ容器20のブランクの平面図である。
【0018】
すなわち、耐水性が優れた40μmのポリエチレン(PE)の外面樹脂層2と、予め表面に美麗な印刷をした強度,保形性が優れた280g/m2のカップ原紙の紙材料層3とを、通常のエクストルージョンラミ工程で、外面樹脂層2を熱溶融してフィルム状に押出しして積層した後に、ダイヤモンド砂刃を用いた回転ロール工程で、図1Aに示す極粗い紙やすり状の、外面樹脂層2を貫通して紙材料層3に達する多数の通気細孔a,a,a,…を設けたところ、この外面樹脂層2に設けた多数の通気細孔a,a,a,…の気体透過度は、JIS P8117法で、平均1800Sであった。
【0019】
次に、前述した外面樹脂層2と紙材料層3とを積層して多数の通気細孔a,a,a,…を設けた紙積層材料と、各種バリヤー性が優れた無機酸化物蒸着(AlOx,300nm)付の12μmの強靭なポリエステル(PET)のバリヤー層4と、熱融着性,密封性が優れた60μmの低密度ポリエチレン(LDPE)の内面シーラント層5とを、
紙積層材料の紙材料層3とバリヤー層4との間は、熱溶融性,熱接着性が優れた線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の接着性樹脂層6を熱溶融して、40μmのフィルム状に押出しして積層(エクストルージョンラミと言う)して、またバリヤー層4と内面シーラント層5との間は、同様にエクストルージョンラミ工程で、内面シーラント層5を熱溶融してフィルム状に押出しして積層して、耐水性や強度,保形性や各種バリヤー性や熱融着性,密封性などが優れた、図1Aに示す実施例1の紙積層材料を作製した。
【0020】
続いて、通常の打抜刃を用いた打抜工程で、図1Aに示す紙積層材料を切断して、図2Cに示す扇形状の胴面板bと円形状の底面板cとから成る紙カップ容器20のブランクを作製した後に、従来と同様の通常のカップ成型工程で、この扇形状の胴面板bのブランクと円形状の底面板cのブランクとの、それぞれの内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱溶融して、要所を熱圧着して上面を開放したカップ状に成型して、熱湯を注いで賞味する即席ラーメンを収容する、図2A,Bに示す内容量が300mlの紙カップ容器20を作製した。
【0021】
この熱湯を注いで賞味する即席ラーメンを収容する紙カップ容器20の、図1Aに示す実施例1の紙積層材料については、前述した従来と同様の通常のカップ成型工程で、約350℃の熱風で、それぞれの内面シーラント層5をスポット的に加熱して熱溶融して、要所を熱圧着して上面を開放したカップ状に成型したにもかかわらず、
この約350℃の熱風の熱が、内面シーラント層5とバリヤー層4と接着性樹脂層6とを介して紙材料層3に到達して、この紙材料層3を少なからず加熱して、紙材料層3に含有した4.8%の水分が急激に蒸発したとしても、この急激に蒸発した水分が、外面樹脂層2に設けた、図1Aに示す極粗い紙やすり状の、外面樹脂層2を貫通して紙材料層3に達する多数の通気細孔a,a,a,…から放出されるために、外面樹脂層2と紙材料層3との間及び紙材料層3と接着性樹脂層6との間に、図4Bに示す多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生しない紙積層材料であって、
特に紙材料層3と接着性樹脂層6との間に多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生しないために、この隙間h,h,h,…が紙材料層3と接着性樹脂層6との層間に拡がって、紙カップ容器20の紙積層材料に層間剥離が発生して成型不良や液漏れなどを起す恐れがない、またドームの頂部が破裂して、紙カップ容器20の紙積層材料のバリヤー層4にピンホールが発生して各種バリヤー性などが低下する恐れがない、耐水性や強度,保形性や
各種バリヤー性や熱融着性,密封性などが優れた紙積層材料を得ることができた。
【実施例2】
【0022】
図1Bは、本発明の実施例2における、紙積層材料の断面説明図である。また図3Aは、本発明の実施例2における、液体紙容器30の斜視図であって、図3Bは、液体紙容器30のブランクの平面図である。
【0023】
すなわち、耐水性が優れた20μmのポリエチレン(PE)の外面樹脂層2と、強度,保形性が優れた350g/m2の液体用上質紙の紙材料層3と、各種バリヤー性が優れた無機酸化物蒸着(SiOx,400nm)付の12μmの強靭なポリエステル(PET)のバリヤー層4と、熱融着性,密封性が優れた60μmの低密度ポリエチレン(LDPE)の内面シーラント層5とを、
紙材料層3とバリヤー層4との間は、接着強度などが優れた5g/m2のウレタン系の接着剤(図示せず)を介して、通常のドライラミネーション方法で積層して、また外面樹脂層2と紙材料層3との間及びバリヤー層4と内面シーラント層5との間は、通常のエクストルージョンラミ工程で、外面樹脂層2と内面シーラント層5とを、それぞれ熱溶融してフィルム状に押出しして積層して、耐水性や強度,保形性や各種バリヤー性や熱融着性,密封性などが優れた、図1Bに示す実施例2の(多数の通気細孔a,a,a,…を設ける前の)紙積層材料を作製した。
【0024】
次に、図1Bに示す紙積層材料の、予めコロナ処理をした外面樹脂層2の表面に、美麗な印刷をして、通常の打抜型を用いた打抜工程で、上面板群d,d,d,dと側面板e,e,e,eと底面板群f,f,f,fと熱融着片g,g,gとを連設して成る、図3Bに示す液体紙容器30のブランクを作製して、
同時に、前述した通常の打抜型を用いた打抜工程で、打抜型に多数の打抜針を装着することによって、図3Bに示す液体紙容器30のブランクの、内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱圧着する斜線で示す部分と、その近傍の熱風の熱が紙材料層3に到達する網点で示す12mm幅の部分との、外面樹脂層2に、図1Bに示す4mm間隔で0.5mmφの針穴状の、外面樹脂層2を貫通して紙材料層3に達する多数の通気細孔a,a,a,…を設けたところ、この外面樹脂層2に設けた多数の通気細孔a,a,a,…の気体透過度は、JIS P8117法で、平均1550Sであった。
【0025】
続いて、従来と同様の液体用紙容器の製箱,充填工程で、500mlのオレンジジュースを収容しながら、図3Bに示す液体紙容器30のブランクの、内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱溶融して、要所を熱圧着して成型して、収容部の縦と横と高さとが70×70×105mmの、図3Aに示す上面が切妻屋根形の直方体状の液体用紙容器30を作製した。
【0026】
この500mlのオレンジジュースを収容した液体用紙容器30の、図1Bに示す実施例2の(外面樹脂層2に多数の通気細孔a,a,a,…を設けた)紙積層材料については、前述した従来と同様の液体用紙容器の製箱,充填工程で、約320℃の熱風で、内面シーラント層5をスポット的に加熱して熱溶融して、要所を熱圧着して上面が切妻屋根形の直方体状に成型したにもかかわらず、
この約320℃の熱風の熱が、内面シーラント層5とバリヤー層4とを介して紙材料層3に到達して、この紙材料層3を少なからず加熱して、紙材料層3に含有した6.2%の水分が急激に蒸発したとしても、前述した実施例1と同様に、この急激に蒸発した水分が、外面樹脂層2に設けた、図1Bに示す4mm間隔で0.5mmφの針穴状の、外面樹脂層2を貫通して紙材料層3に達する多数の通気細孔a,a,a,…から放出されるために、外面樹脂層2と紙材料層3との間及び紙材料層3と接着性樹脂層6との間に、図4Bに示す多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生しない、液体用紙容器30の紙積層材料に層間剥離が発生して成型不良や液漏れなどを起す恐れがない、また液体用紙容器30の紙積層材
料のバリヤー層4にピンホールが発生して各種バリヤー性などが低下する恐れがない、耐水性や強度,保形性や各種バリヤー性や熱融着性,密封性などが優れた紙積層材料を得ることができた。
【0027】
加えて、この図1Bに示す実施例2の紙積層材料については、図3Bに示す液体紙容器30のブランクの、内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱圧着する斜線で示す部分と、その近傍の熱風の熱が紙材料層3に到達する網点で示す12mm幅の部分との、外面樹脂層2に、図1Bに示す4mm間隔で0.5mmφの針穴状の、外面樹脂層2を貫通して紙材料層3に達する多数の通気細孔a,a,a,…を設けたことによって、
内面シーラント層5をスポット的に熱風で加熱して熱溶融して、要所を熱圧着して、上面が切妻屋根形の直方体状に成型した時に、前述したように、外面樹脂層2と紙材料層3との間及び紙材料層3と接着性樹脂層6との間に、図4Bに示す多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生しない紙積層材料であって、この多数のドーム状の隙間h,h,h,…が発生する恐れがない部分の、耐水性が優れた20μmのポリエチレン(PE)の外面樹脂層2に、図1Bに示す4mm間隔で0.5mmφの針穴状の、外面樹脂層2を貫通して紙材料層3に達する多数の通気細孔a,a,a,…を設けていないために、500mlのオレンジジュースを収容した液体用紙容器30の、耐水性や体裁などを損なう恐れがない紙積層材料を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1,実施例2における、図1A,Bは、それぞれの紙積層材料の断面説明図である。
【図2】本発明の実施例1における、図2A,Bは、紙カップ容器20の斜視図,断面図であって、図2Cは、紙カップ容器20のブランクの平面図である。
【図3】本発明の実施例2における、図3Aは、液体紙容器30の斜視図であって、図3Bは、液体紙容器30のブランクの平面図である。
【図4】図4A,Bは、従来の紙積層材料の断面説明図である。
【符号の説明】
【0029】
2 …外面樹脂層
3 …紙材料層
4 …バリヤー層
5 …内面シーラント層
6 …接着性樹脂層
20 …紙カップ容器
30 …液体用紙容器
a …通気細孔
b …胴面板
c …底面板
d …上面板群
e …側面板
f …底面板群
g …熱融着片
h …ドーム状の隙間
斜線 …熱風で加熱して熱圧着する部分
網点 …その近傍の部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも外面樹脂層2と紙材料層3とバリヤー層4と内面シーラント層5とを積層した、紙カップ容器20や液体用紙容器30などの紙積層材料であって、この紙積層材料の外面樹脂層2に、多数の通気細孔a,a,a,…を設けたことを特徴とする紙積層材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−69936(P2007−69936A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257542(P2005−257542)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】