説明

紙葉類の載置装置、紙葉類の載置方法及び紙葉類区分機

【課題】紙葉類を効率よく、かつ、ダメージを与えることなく載置することができ、また、オペレータの負荷を低減することのできる紙葉類の載置装置、紙葉類の載置方法及び紙葉類区分機の提供を目的とする。
【解決手段】紙葉類の載置装置1は、ホッパユニット2、ホッパユニット用移動手段3、郵便物用搬送手段4、回動手段5、及び、制御部などを備えた構成としてあり、紙葉類の載置装置1は、プッシュプレート23を載置部22に対して押出方向へ移動させるとともに、載置部22を押出方向と反対の方向に移動させることによって、立てた状態で重ねられた複数の郵便物11を載置部22から押し出し、立ったまま重なった状態で所定の載置位置へ載置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類の載置装置、紙葉類の載置方法及び紙葉類区分機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宛先が記載された葉書、封筒、カバーに収納された雑誌、箱に収納された書籍、大型封筒などの紙葉類を効率よく区分するために、紙葉類区分機が使用されてきた。
この種の紙葉類区分機は、一般的に、紙葉類を区分けする区分集積装置と、区分集積装置に紙葉類を供給する供給装置とを備えている。供給装置は、一通送り部、搬送部(読取部)、移載部などを備えており、区分けされる紙葉類の宛先を読み取り、搬送箱に移載する。区分集積装置は、屈曲自在なユニバーサルチェーン、このユニバーサルチェーンに複数取り付けられ、紙葉類を収納した状態で搬送する搬送箱、及び、搬送箱を所定の速度で移動させる移動手段などを備えている。この区分集積装置が、搬送箱に移載された紙葉類を搬送し、宛先に応じた集積箱に落下させることによって、各集積箱に宛先に応じて紙葉類が区分けされる。
また、紙葉類区分機においては、処理能力を向上させる様々な技術が開発されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、供給装置が、一通送り部、搬送部、排除部、補正部、移載部、及び、制御部を備えたことを特徴とする紙葉類区分機の技術が開示されている。この制御部は、移載部からの検知信号にもとづいて、紙葉類が、予定していた搬送箱に移載不可能と判断すると、この紙葉類を後続の搬送箱に移載する。
この技術によれば、紙葉類を区分けする処理能力を実質的に向上させることができる。
【0004】
ところで、上述したように、紙葉類区分機は、自動化されており、紙葉類を効率よく区分けすることができる。ただし、紙葉類が、所定の状態(立ったまま重ねられた状態)で、供給装置の一通送り部(通常、吸着ベルト)に供給されている必要がある。この供給が遅れると、紙葉類区分機は、その優れた処理能力を発揮することができない。
また、供給装置は、通常、仕切り板付きコンベアによって紙葉類を一通送り部に自動的に供給するが、その紙葉類は、オペレータによって、立ったまま重ねられた状態で上記のコンベア上に載置される。すなわち、オペレータは、紙葉類を連続的に載置することが要求されており、隙間をあけて紙葉類を載置すると、一通送り部に紙葉類が供給されない時間が発生し、処理数が低下する。
このため、一般的に、オペレータは、作業指導や訓練を受け、所定の目標値(通常、動作分析にもとづいて設定される合理的な目標値)を達成するように作業を行っている。また、オペレータのリーダや管理者は、各オペレータが、所定の目標値を達成するように、作業指導などを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−149207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように、紙葉類区分機は、高速処理が可能であるものの、実際の運用上においては、その効果を十分に、かつ、安定的に発揮することができていなかった。すなわち、高速処理を可能とする紙葉類区分機を導入しても、その効果が出ていないという問題が、紙葉類の仕分けの現場で発生していた。
この理由は、高速処理が可能な紙葉類区分機の供給装置において、オペレータが載置する紙葉類(郵便物)の供給速度が装置の処理速度に間に合わず(すなわち、オペレータが、所定の目標値を達成することができず)、装置の空運転が間欠的に発生していたからであった。
【0007】
次に、上記理由の原因を分析すると、たとえば、載置する紙葉類のほぼ全てが、雑誌や書籍が収納された重く厚い大型封筒などであるとき、オペレータは、重労働を行う必要があった。また、力の弱いオペレータにとっては、複数回に分けて重い紙葉類を載置しなければならなかった。かかる場合、オペレータは、所定の目標値を達成することができなかった。したがって、載置する紙葉類が重い場合であっても、オペレータが重労働を行わなくてもすむようにする必要があった。
【0008】
また、紙葉類の形状や大きさがほぼ同じであり、かつ、紙葉類が数ページの書類の収納された封筒や大型封筒である場合、オペレータは、一回の載置動作で、数十通の紙葉類を載置することができる。これに対し、紙葉類の厚さ、重心位置、形状などが異なる場合、オペレータは、一回の動作で、たとえば、数通の紙葉類を載置していた。かかる場合、オペレータは、所定の目標値を達成することができなかった。したがって、紙葉類の厚さ、重心位置、形状などが異なる場合であっても、一回の動作で、多数の(たとえば、数十の)紙葉類を載置する必要があった。
【0009】
さらに、オペレータは、紙葉類にダメージを与えることなく、紙葉類を載置する必要がある。また、ダメージを回避するには、慎重な動作が要求される。たとえば、オペレータは、リーダなどからダメージに対する注意を受けると、慎重になりすぎ、所定の目標値を達成することができなかった。したがって、紙葉類にダメージを与えることなく、紙葉類を迅速に載置することができる具体的な手段を提供する必要があった。
また、オペレータは人間であるため、載置作業に対する能力も様々であり、また、体調などによっても、作業効率が変動する。すなわち、上記の能力差などにかかわらず、所定の目標値を達成するための具体的な手段を提供する必要があった。
【0010】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、紙葉類を効率よく、かつ、ダメージを与えることなく載置することができ、また、オペレータの負荷を低減することのできる紙葉類の載置装置、紙葉類の載置方法及び紙葉類区分機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の紙葉類の載置装置は、立てた状態で重ねられた複数の紙葉類の載置される載置部、複数の紙葉類を倒れないように支持し、載置部から押し出すように移動させるプッシュプレート、載置部に対してプッシュプレートを移動させるプッシュプレート用移動手段、並びに、載置部及びプッシュプレートを昇降させる昇降手段を有するホッパユニットと、紙葉類がホッパユニットに供給される供給位置と、紙葉類が載置される紙葉類供給装置上の所定の載置位置との間で、ホッパユニットを移動させるホッパユニット用移動手段と、ホッパユニット用移動手段、昇降手段及びプッシュプレート用移動手段を制御する制御部とを備え、ホッパユニット用移動手段が、紙葉類の供給されたホッパユニットを供給位置から所定の載置位置の上方へ移動させ、昇降手段が、載置部及びプッシュプレートを降下させ、プッシュプレート用移動手段が、載置部に対してプッシュプレートを押出方向へ移動させ、プッシュプレートが、立てた状態で重ねられた複数の紙葉類を載置部から押し出すとともに、ホッパユニット用移動手段が、ホッパユニットを押出方向と反対の方向に移動させることによって、立てた状態で重ねられた複数の紙葉類を、立ったまま重なった状態で所定の載置位置へ載置し、プッシュプレート用移動手段が、載置部に対してプッシュプレートを押出方向と反対の方向に移動させ、昇降手段が、載置部及びプッシュプレートを上昇させ、ホッパユニット用移動手段が、ホッパユニットを供給位置へ移動させる構成としてある。
【0012】
また、本発明の紙葉類の載置方法は、立てた状態で重ねられた複数の紙葉類の載置された載置部、及び、複数の紙葉類を倒れないように支持し、載置部から押し出すように移動させるプッシュプレートを、紙葉類が供給された供給位置から、紙葉類が載置される紙葉類供給装置上の所定の載置位置の上方へ移動させ、次に、載置部及びプッシュプレートを降下させ、続いて、プッシュプレートを載置部に対して押出方向へ移動させるとともに、載置部を押出方向と反対の方向に移動させることによって、立てた状態で重ねられた複数の紙葉類を載置部から押し出し、立ったまま重なった状態で所定の載置位置へ載置し、さらに、載置部に対してプッシュプレートを押出方向と反対の方向に移動させ、載置部及びプッシュプレートを、上昇させるとともに供給位置へ移動させる方法としてある。
【0013】
また、本発明の紙葉類区分機は、紙葉類を区分けする区分集積装置と、区分集積装置に紙葉類を供給する紙葉類供給装置と、紙葉類供給装置上の所定の載置位置に、紙葉類を載置する紙葉類の載置装置を備え、紙葉類の載置装置が、立てた状態で重ねられた複数の紙葉類の載置される載置部、複数の紙葉類を倒れないように支持し、載置部から押し出すように移動させるプッシュプレート、載置部に対してプッシュプレートを移動させるプッシュプレート用移動手段、並びに、載置部及びプッシュプレートを昇降させる昇降手段を有するホッパユニットと、紙葉類がホッパユニットに供給される供給位置と、紙葉類が載置される紙葉類供給装置上の所定の載置位置との間で、ホッパユニットを移動させるホッパユニット用移動手段と、ホッパユニット用移動手段、昇降手段及びプッシュプレート用移動手段を制御する制御部とを有し、ホッパユニット用移動手段が、紙葉類の供給されたホッパユニットを供給位置から所定の載置位置の上方へ移動させ、昇降手段が、載置部及びプッシュプレートを降下させ、プッシュプレート用移動手段が、載置部に対してプッシュプレートを押出方向へ移動させ、プッシュプレートが、立てた状態で重ねられた複数の紙葉類を載置部から押し出すとともに、ホッパユニット用移動手段が、ホッパユニットを押出方向と反対の方向に移動させることによって、立てた状態で重ねられた複数の紙葉類を、立ったまま重なった状態で所定の載置位置へ載置し、プッシュプレート用移動手段が、載置部に対してプッシュプレートを押出方向と反対の方向に移動させ、昇降手段が、載置部及びプッシュプレートを上昇させ、ホッパユニット用移動手段が、ホッパユニットを供給位置へ移動させる構成としてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の紙葉類の載置装置、紙葉類の載置方法及び紙葉類区分機によれば、紙葉類を効率よく、かつ、ダメージを与えることなく載置することができ、また、オペレータの負荷を低減することができる。さらに、紙葉類区分機は、実際の運用上において、高速処理が可能となり、その効果を十分に、かつ、安定的に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1a】図1aは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置装置の要部の概略平面図を示している。
【図1b】図1bは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置装置の要部の概略正面図を示している。
【図1c】図1cは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置装置の要部の概略図であり、(a)は側面図を示しており、(b)はA−A矢視図を示している。
【図2a】図2aは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類区分機の紙葉類供給装置の要部の概略平面図を示している。
【図2b】図2bは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類区分機の紙葉類供給装置の要部の概略正面図を示している。
【図2c】図2cは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類区分機の紙葉類供給装置の要部の概略拡大側面図を示している。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置装置の、動作状態を説明するための要部の概略正面図を示している。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置装置の、動作状態を説明するための要部の概略正面図を示している。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置装置の、動作状態を説明するための要部の概略正面図を示している。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[紙葉類の載置装置及び紙葉類区分機の一実施形態]
まず、紙葉類の載置装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1aは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置装置の要部の概略平面図を示している。
また、図1bは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置装置の要部の概略正面図を示している。
さらに、図1cは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置装置の要部の概略図であり、(a)は側面図を示しており、(b)はA−A矢視図を示している。なお、図1b、図1cにおいて、郵便物用搬送手段4などを省略してある。
図1a、図1b、及び、図1cにおいて、本実施形態の紙葉類の載置装置1は、ホッパユニット2、ホッパユニット用移動手段3、郵便物用搬送手段4、回動手段5、及び、制御部(図示せず)などを備えた構成としてある。この紙葉類の載置装置1は、後述するように、紙葉類としての複数の郵便物11を、立ったまま重なった状態で所定の載置位置へ載置する。
また、郵便物11には、葉書、封筒、及び、雑誌や書籍等が収納された大型封筒などが含まれる。なお、紙葉類供給装置6の供給テーブル62上に既に載置されたものは、郵便物10としてある。
【0017】
(ホッパユニット)
ホッパユニット2は、ユニットケース21、載置部22、プッシュプレート23、プッシュプレート用移動手段(モータ24など)、及び、昇降手段(モータ25やリニアベアリング26など)等を有している。このホッパユニット2は、ホッパユニット用移動手段3によってほぼ水平方向に往復移動される。また、本実施形態のホッパユニット2は、回動手段5を介してホッパユニット用移動手段3と連結されている。
【0018】
ユニットケース21は、基部及びケースなどを有しており、モータ24及びモータ25などが収納される。このユニットケース21は、回動手段5の回動軸51を介して、ホッパユニット用移動手段3のベース31に対して回動可能に連結されている。また、ユニットケース21は、上部に運転可能表示灯28が設けられている。ここで、係止棒用センサ567bが係止棒564を検知した後、係止棒用センサ567aが係止棒564を検知すると、紙葉類の載置装置1は、運転スイッチ27による運転開始が可能な状態となる。そして、上記運転可能表示灯28は、運転スイッチ27による運転開始が可能な状態になると、点灯する。
なお、ユニットケース21は、ほぼ直方体状としてあるが、これに限定されるものではなく、様々な形状とすることができる。
【0019】
載置部22は、一対のほぼ矩形板としてあり、立てた状態で重ねられた複数の郵便物11が載置される(図4参照)。また、一対の載置部22は、所定の距離だけ離して設けられており、さらに、一方の載置部22に面取り加工(図2c参照)が施されている。このようにすることによって、図2cに示すように、載置部22は、降下したとき、紙葉類供給装置6の仕切り板622との接触を避けることができる。また、各載置部22は、リニアベアリング26を介して、昇降可能にユニットケース21と連結されている。
【0020】
各載置部22は、押出方向の端部に斜面が形成されている。また、各載置部22は、押出方向の端部に、検知板222が設けられている。
これらの検知板222は、上記斜面と同一面を形成するガイド面を有しており、さらに、検知板222が郵便物10と当接したことを検知する載置済郵便物用センサ223が設けられている。これらの載置済郵便物用センサ223は、検知板222が既に載置されている郵便物10と当接すると、当接検知信号を制御部に出力する。そして、制御部は、当接検知信号を入力すると、モータ34を停止させ、ホッパユニット2は、押出方向への移動を停止する。
【0021】
このようにすると、郵便物11は、斜面及びガイド面を滑り、所定の載置位置へ載置されるので、郵便物11へのダメージを確実に、かつ、効果的に抑制することができる。また、既に載置されている郵便物10の最後尾の位置を載置済郵便物用センサ223が自動的に検知することができるので、郵便物10を押し過ぎてダメージを与えるといった不具合を回避でき、また、郵便物11を最後尾の郵便物10に隙間なく重ねて載置することができる。さらに、オペレータは、正常に動作していることを確認するだけですむので、オペレータにとっては、作業の負荷が大幅に低減される。
【0022】
各載置部22は、上述した斜面より所定の距離だけ押出方向の反対方向に離れた位置に、載置前郵便物用センサ221が設けられている。これらの載置前郵便物用センサ221は、載置される前の郵便物11を検知する。すなわち、後述するように、昇降手段が載置部22及びプッシュプレート23を降下させる前に、制御部が、プッシュプレート用移動手段を制御し、載置部22に対してプッシュプレート23を押出方向へ移動させる。続いて、載置前郵便物用センサ221は、移動してきた郵便物11を検知すると、移動検知信号を制御部に出力する。そして、制御部は、移動検知信号を入力すると、モータ24を停止させ、プッシュプレート23は、押出方向への移動を停止する。
【0023】
このようにすると、載置部22のほぼ先端部に、郵便物11を移動させることができ、動作時間を短縮することができる。また、昇降手段が載置部22及びプッシュプレート23を降下させる前であれば、仕切り板622を避けて郵便物11を載置部22のほぼ先端部に移動させることができる。これにより、既に載置された郵便物10に対して、ほぼ隙間をあけることなく、次の郵便物11を載置することができる。
【0024】
プッシュプレート23は、ほぼ矩形状の板としてあり、載置部22に移動可能に立設されている。このプッシュプレート23は、プッシュプレート用移動手段によって、押出方向及び押出方向と反対の方向に移動される。また、プッシュプレート23は、ほぼ中央の下部に、所定の形状の切欠(図2c参照)が形成されており、降下したとき、紙葉類供給装置6の仕切り板622との接触を避けることができる。このプッシュプレート23は、複数の郵便物11を倒れないように支持し、また、郵便物11を載置部22から押し出すように移動させる。
【0025】
プッシュプレート用移動手段は、各載置部22に設けられており、モータ24やボールねじ、リニアベアリングなど(図示せず)を有している。このプッシュプレート用移動手段は、制御部によって制御され、載置部22に対してプッシュプレート23を押出方向及び押出方向と反対の方向に移動させる。
【0026】
昇降手段は、ユニットケース21に設けられており、モータ25、リニアベアリング26やボールねじ、リニアベアリングなど(図示せず)を有している。この昇降手段は、制御部によって制御され、載置部22及びプッシュプレート23を昇降させる。
【0027】
(ホッパユニット用移動手段)
ホッパユニット用移動手段3は、ベース31、一対のレール32、タイミングベルト33、モータ34、及び、ベース用センサ35などを有している。ベース31は、レール32上に設けられ、タイミングベルト33やモータ34などによって、往復移動する。ベース用センサ35は、押出方向の反対方向の所定の位置(供給位置)に設けられており、ベース31を検知すると、検知信号を制御部に出力する。モータ34は、制御部によって制御され、制御部は、ベース用センサ35からの検知信号を入力すると、ベース用センサ35を停止させる。また、ベース31は、回動手段5を介してホッパユニット2と連結されている。このホッパユニット用移動手段3は、郵便物11がホッパユニット2に供給される供給位置と、郵便物11が載置される紙葉類供給装置6上の所定の載置位置との間で、ホッパユニット2を移動させる。
【0028】
(制御部)
制御部は、プログラマブルロジックコントローラやコンピュータなどの情報処理装置であり、ホッパユニット用移動手段3、昇降手段及びプッシュプレート用移動手段などを制御する。
ここで、好ましくは、制御部は、オペレータが運転スイッチ27を押下している間、後述する一サイクルの載置動作を自動的に行い、かつ、オペレータが運転スイッチ27を放すと、ホッパユニット用移動手段3、昇降手段及びプッシュプレート用移動手段を停止させるとよい。このようにすると、たとえば、オペレータが郵便物11を整列するために、運転スイッチ27を放すと、ホッパユニット用移動手段3、昇降手段及びプッシュプレート用移動手段が停止するので、作業性や安全性を向上させることができる。
【0029】
(回動手段)
回動手段5は、回動軸51、軸受52、付勢手段53、アーム54、取手55、及び、位置決め手段56などを有している。回動軸51は、押出方向と直交する方向に設けられており、一方の端部が、ホッパユニット2のユニットケース21に固定され、他方の端部が、一対の軸受52を介して、ホッパユニット用移動手段3のベース31に回動可能に取り付けられている。また、回動軸51には、カウンタースプリングなどの付勢手段53が設けられており、正面側から見た回動軸51に対して、時計回り方向及び反時計回り方向に付勢する。すなわち、ホッパユニット2を、回動軸51を回動中心として時計回り方向に回動させるとき、付勢手段53は、ホッパユニット2の重量に反する方向に作用し、ホッパユニット2を回動させるオペレータの負荷を軽減する。また、時計回り方向に回動したホッパユニット2を、回動軸51を回動中心として反時計回り方向に回動させるとき、付勢手段53は、ホッパユニット2の重量に反する方向に作用し、ホッパユニット2を回動させるオペレータの負荷を軽減する。したがって、腕力の弱いオペレータであっても、ホッパユニット2を容易に回動させることができる。
【0030】
また、アーム54は、ユニットケース21に立設されており、上端部に取手55が設けられている。また、取手55の上部には、運転スイッチ27が設けられている。このようにすると、オペレータは、右手で取手55を握りながら、右手の親指で運転スイッチ27を押下することができる。
【0031】
位置決め手段56は、レバー561、リンク機構562、ばね563、係止棒564、係止板565、係止孔566a、566b、係止棒用センサ567a、567b、及び、ストッパ568a、568bを有している。レバー561は、一部が、アーム54及び取手55に収容されている。このレバー561は、取手55を握ると回動し、ホッパユニット2の位置決め状態が解除される。このレバー561は、リンク機構562を介して、係止棒564と連結されている。また、係止棒564は、ばね563によって係止板565の方向に付勢されている。係止板565は、ベース31に固定された半円板であり、回動軸51の上方に係止孔566aが穿設され、係止孔566aから時計回り方向に65°回転した位置に、係止孔566bが穿設されている。また、係止孔566a、566bには、係止孔566a、566bに係入された係止棒564を検知する係止棒用センサ567a、567bが取り付けられている。また、係止板565には、回動前のホッパユニット2を支持するストッパ568a、及び、回動されたホッパユニット2を支持するストッパ568bが突設されている。
【0032】
この回動手段5によって、郵便物11をホッパユニット2に供給する際、傾倒した状態で重ねられた複数の郵便物11が、プッシュプレート23に載置され、かつ、載置部22によって支持されるように、オペレータは、容易にホッパユニット2を回動されることができる。
また、本実施形態では、ホッパユニット2を65°回動させる構成としてあるが、回動させる角度は、これに限定されるものではない。
【0033】
(郵便物用搬送手段)
郵便物用搬送手段4は、載置板41、支持板42、及び、キャリープレート43などを有している。載置板41は、回動されたホッパユニット2のプッシュプレート23とほぼ同一平面を形成するように、傾けた状態で設置されている。また、支持板42は、回動されたホッパユニット2の載置部22とほぼ同一平面を形成するように、傾けた状態で設置されている。これにより、傾倒した状態で重ねられた複数の郵便物11が、載置板41に載置され、かつ、支持板42によって支持される。また、キャリープレート43は、ほぼ矩形状の平板としてあり、エアシリンダなどの駆動手段(図示せず)によって、ほぼ平積みの状態(25°傾倒した状態)で重ねられた複数の郵便物11を、回動手段5によって回動されたホッパユニット2に供給する。
なお、郵便物用搬送手段4は、郵便物11をケース等(図示せず)から自動的に取り出し、ほぼ平積みの状態でホッパユニット2に供給する。
【0034】
次に、上記紙葉類の載置装置1を備えた紙葉類区分機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図2aは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類区分機の紙葉類供給装置の要部の概略平面図を示している。
また、図2bは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類区分機の紙葉類供給装置の要部の概略正面図を示している。
さらに、図2cは、本発明の一実施形態にかかる紙葉類区分機の紙葉類供給装置の要部の概略拡大側面図を示している。なお、図2a、図2b、及び、図2cにおいて、区分集積装置などを省略してある。
図2a、図2b、及び、図2cにおいて、本実施形態の紙葉類区分機は、郵便物10を区分けする区分集積装置(図示せず)と、この区分集積装置に郵便物10を供給する紙葉類供給装置6と、この紙葉類供給装置6上の所定の載置位置に、郵便物11を載置する上記の紙葉類の載置装置1を備えている。
なお、たとえば、本実施形態の区分集積装置は、上述した特許文献1に記載された区分集積装置とほぼ同様な構成としてある。したがって、本実施形態の区分集積装置において、その詳細な説明を省略する。
【0035】
(紙葉類供給装置)
本実施形態の紙葉類供給装置6は、たとえば、上述した特許文献1に記載された供給装置とほぼ同様な構成としてある。ただし、紙葉類供給装置6は、特許文献1に記載された供給装置と比べると、複数の仕切り板622が取り付けられたチェーンコンベア621などを有している点などが相違する。なお、紙葉類供給装置6の他の構成は、上記の供給装置とほぼ同様としてある。
したがって、紙葉類供給装置6において、上記の供給装置と同様の構成部分については、その詳細な説明を省略する。
【0036】
紙葉類供給装置6は、供給機構61、及び、供給テーブル62などを有している。供給機構61は、吸着ベルト611、郵便物検知レバー612、及び、供給開始ベルト613、614などを有している。また、供給テーブル62は、複数の仕切り板622が取り付けられたチェーンコンベア621などを有している。この仕切り板622は、ほぼL字形状の平板としてあり、中央部に、吸着ベルト611との接触を回避するために切欠が形成されている。なお、チェーンコンベア621は、供給テーブル62の表面より下方に位置している。
【0037】
チェーンコンベア621の搬送方向は、ホッパユニット2の押出方向と同じ方向としてある。また、紙葉類の載置装置1は、チェーンコンベア621に対応する供給テーブル62上の所定の載置位置に郵便物11を載置し、チェーンコンベア621の仕切り板622は、立ったまま重ねられた状態の郵便物10を搬送方向(吸着ベルト611の方向)に搬送する。さらに、供給機構61は、搬送されてくる郵便物10を一通ずつ取り出し、供給方向を送り出すことができる。
【0038】
また、紙葉類の載置装置1のホッパユニット用移動手段3は、紙葉類供給装置6のチェーンコンベア621とほぼ平行に設けられている。これにより、ホッパユニット2は、仕切り板622が供給テーブル62上に露出する上流側の位置から吸着ベルト611の直前の位置まで移動することができる。
【0039】
次に、上記構成の紙葉類の載置装置1及び紙葉類区分機の動作などについて、図面を参照して説明する。
図3〜5は、図3は、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置装置の、動作状態を説明するための要部の概略正面図を示している。
まず、図3(a)に示すように、紙葉類の載置装置1は、ベース31がベース用センサ35によって検出される位置(上述した供給位置)にあり、かつ、載置部22が水平な状態にある。なお、このとき、係止棒用センサ567aは、係止孔566aに係入された係止棒564を検知している。また、この状態が、紙葉類の載置装置1の初期状態である。
また、チェーンコンベア621と対応する供給テーブル62上の吸着ベルト611側には、郵便物10が立ったまま重ねられた状態で載置されている。さらに、これら郵便物10は、チェーンコンベア621の仕切り板622によって搬送され、また、吸着ベルト611によって、一通ずつ取り出され、供給方向に送り出されている。
【0040】
次に、図3(b)に示すように、ホッパユニット2は、オペレータによって、時計回り方向に65°回動させられる。このとき、オペレータは、右手で取手55を握るとともに、レバー561を取手55の中心軸方向に移動させる。これにより、係止棒564は、リンク機構562を介して、係止板565の係止孔566aから引き抜かれ、ホッパユニット2は、回動可能となる。また、ホッパユニット2が時計回り方向に65°回動させられると、ホッパユニット2がストッパ568bに係止され、続いて、オペレータがレバー561を解放すると、係止棒564は、リンク機構562やばね563を介して、係止板565の係止孔566bに係入され、係止棒用センサ567bが係止棒564を検知する。また、係止棒564が係止孔566bに係入されると、ホッパユニット2は、回動された状態を維持する。したがって、オペレータは、右手を取手55から放すことができる。
【0041】
次に、図3(c)に示すように、ほぼ平積みの状態(25°傾倒した状態)で重ねられた複数の郵便物11が、キャリープレート43によって、回動されたホッパユニット2に供給される。このようにすると、キャリープレート43がホッパユニット2の方向に移動することによって郵便物11が自動的に供給されるので、オペレータの負荷(肉体的な負荷)を低減することができる。
ここで、制御部は、係止棒用センサ567bからの係止棒564を検知した旨の検知信号を入力すると、キャリープレート43をホッパユニット2の方向に移動させる。なお、この構成に限定されるものではなく、たとえば、キャリープレート43を移動させるスイッチ(図示せず)を、オペレータが操作する構成としてもよい。
【0042】
次に、図3(d)に示すように、オペレータは、左手で重ねられた複数の郵便物11を支持し、右手で取手55を握るとともに、レバー561を取手55の中心軸方向に移動させる。これにより、係止棒564は、リンク機構562を介して、係止板565の係止孔566bから引き抜かれ、ホッパユニット2は、回動可能となる。続いて、オペレータは、郵便物11の供給されたホッパユニット2を反時計回り方向に回動させる。
【0043】
次に、図4(a)に示すように、ホッパユニット2が反時計回り方向に回動させられると、ホッパユニット2がストッパ568aに係止され、載置部22がほぼ水平状態になる。続いて、オペレータがレバー561を解放すると、係止棒564は、リンク機構562やばね563を介して、係止板565の係止孔566aに係入され、係止棒用センサ567aが係止棒564を検知する。また、係止棒564が係止孔566aに係入されると、載置部22は、ほぼ水平状態に維持される。
【0044】
ここで、制御部は、係止棒用センサ567aからの係止棒564を検知した旨の検知信号を入力すると、運転可能表示灯28を点灯させる。続いて、オペレータが、取手55を握っている右手で、運転スイッチ27を押下すると、ホッパユニット用移動手段3のモータ34が駆動し、ホッパユニット2が押出方向に移動する。なお、この際、載置部22上に立った状態で重ねられた郵便物11は、左手で支持されているので、押出方向に倒れることはない。また、運転スイッチ27は右手で押下されており、さらに、押下された運転スイッチ27が放されると、紙葉類の載置装置1は停止するので、安全性を向上させることができる。
【0045】
次に、図4(b)に示すように、検知板222が既に供給テーブル62上に載置された郵便物10の最後尾と当接すると、載置済郵便物用センサ223がこの郵便物10を検知し、当接検知信号を制御部に出力する。続いて、制御部は、この当接検知信号を入力すると、モータ34を停止させ、ホッパユニット2を停止させる。すなわち、ホッパユニット用移動手段3は、郵便物11の供給されたホッパユニット2を供給位置から所定の載置位置の上方へ移動させる。なお、この際、載置部22上に立った状態で重ねられた郵便物11は、左手で支持されているので、押出方向に倒れることはない。また、運転スイッチ27は右手で押下されており、さらに、押下された運転スイッチ27が放されると、紙葉類の載置装置1は停止するので、安全性を向上させることができる。
【0046】
次に、図4(c)に示すように、制御部は、モータ24を駆動させ、プッシュプレート23を速度Vp1で押出方向へ移動させる。続いて、載置前郵便物用センサ221が郵便物11を検知すると、移動検知信号を制御部に出力し、この移動検知信号を入力した制御部は、モータ24を停止させる。このようにすると、郵便物11は、載置部22のほぼ先端部側に移動されるので、郵便物11は、既に載置された郵便物10とほぼ隙間を空けることなく、チェーンコンベア621と対応する供給テーブル62上の所定の載置位置に載置されることができる。なお、この際、載置部22上に立った状態で重ねられた郵便物11は、左手で支持されているので、押出方向に倒れることはない。また、運転スイッチ27は右手で押下されており、さらに、押下された運転スイッチ27が放されると、紙葉類の載置装置1は停止するので、安全性を向上させることができる。
【0047】
次に、図4(d)に示すように、制御部は、モータ25を駆動させ、載置部22及びプッシュプレート23を所定の高さ(図2c参照)まで降下させ、停止する。すなわち、昇降手段が、載置部22及びプッシュプレート23を降下させる。なお、載置部22及びプッシュプレート23は、所定の高さまで降下させても、仕切り板622と当接することはない。また、この際、載置部22上に立った状態で重ねられた郵便物11は、左手で支持されているので、押出方向に倒れることはない。また、運転スイッチ27は右手で押下されており、さらに、押下された運転スイッチ27が放されると、紙葉類の載置装置1は停止するので、安全性を向上させることができる。
【0048】
また、載置部22及びプッシュプレート23を降下させるとき、仕切り板622に乗り上げた郵便物11が、降下できない場合がある。かかる場合、オペレータは、右手を取手55及び運転スイッチ27から放すと、紙葉類の載置装置1が停止するので、乗り上げた郵便物11を右手で安全に処理することができる。そして、オペレータが、右手で取手55を握り、運転スイッチ27を押下すると、停止していた紙葉類の載置装置1が再起動する。このように、オペレータは、郵便物11にダメージを与えそうな場合、紙葉類の載置装置1を一時的に停止させて、好ましくない状況を解決することができるので、郵便物11にダメージを与えるといった不具合をほぼ確実に、かつ、容易に回避することができる。
【0049】
次に、図5(a)に示すように、制御部は、モータ34を駆動させ、ホッパユニット2を速度Vu1で押出方向と反対の方向へ移動させ、これとほぼ同時に、モータ24を駆動させ、載置部22に対して、プッシュプレート23を速度Vp1で押出方向へ移動させる。
ここで、通常、速度Vu1=速度Vp1とすることによって、紙葉類供給装置6に対してプッシュプレート23及び郵便物11がそのままの位置で、郵便物11を支えている載置部22のみが、引き抜かれる状態となり、郵便物11が供給テーブル62上の所定の載置位置に載置される。なお、速度Vp1は、スムーズに、かつ、安定した載置を可能とする速度、具体的には50〜100mm/sec程度が望ましい。
【0050】
このようにすることによって、載置部22に載置されていた郵便物11は、立ったまま重ねられた状態で、所定の載置位置に載置される。なお、この際、チェーンコンベア621と対応する供給テーブル62上の所定の載置位置に載置される郵便物11は、左手で支持されているので、押出方向に倒れることはない。また、運転スイッチ27は右手で押下されており、さらに、押下された運転スイッチ27が放されると、紙葉類の載置装置1は停止するので、安全性を向上させることができる。
【0051】
次に、図5(b)に示すように、プッシュプレート23が検知板222の上方まで移動すると、載置部22上に載置されていた郵便物11は、全て供給テーブル62上の所定の載置位置に載置される。すなわち、プッシュプレート用移動手段が、載置部22に対してプッシュプレート23を押出方向へ移動させ、プッシュプレート23が、立てた状態で重ねられた複数の郵便物11を載置部22から押し出すとともに、ホッパユニット用移動手段3が、ホッパユニット2を押出方向と反対の方向に移動させることによって、立てた状態で重ねられた複数の郵便物11を、立ったまま重なった状態で所定の載置位置へ載置する。なお、この際、運転スイッチ27は右手で押下されており、さらに、押下された運転スイッチ27が放されると、紙葉類の載置装置1は停止するので、安全性を向上させることができる。
【0052】
次に、図5(c)に示すように、制御部によって、プッシュプレート用移動手段が、載置部22に対してプッシュプレート23を押出方向と反対の方向に移動させ、昇降手段が、載置部22及びプッシュプレート23を上昇させ、ホッパユニット用移動手段3が、ホッパユニット2を供給位置へ移動させると、運転可能表示灯28が消灯する。
これにより、図5(d)に示すように、一サイクルの載置動作が終了し、紙葉類の載置装置1は、図3(a)に示す初期状態に戻る。
なお、紙葉類の載置装置1は、図3(a)に示す初期状態に戻るまでの間に、押下された運転スイッチ27が放されると、紙葉類の載置装置1は停止するので、安全性を向上させることができる。
【0053】
ここで、上記の一サイクルの載置動作によって載置可能とする郵便物11の数量をXとし、一サイクルの動作時間をYとし、紙葉類供給装置6の一通当たりの処理時間をZとすると、X×Z/Y>1とすることによって、紙葉類供給装置6の有する処理速度以上の数量の郵便物11を載置可能となる。たとえば、紙葉類供給装置6の一通当たりの時間時間を0.3秒とすると、一サイクルの操作で40通以上の郵便物11を12秒未満で載置することによって、紙葉類供給装置6の処理速度に間に合うことができる。
すなわち、紙葉類の載置装置1は、載置部22に載置された郵便物11を、既に載置されている郵便物10の直前まで移動させた後、郵便物11を載置しやすい低い位置に降下させ、載置部22のみを郵便物11の下から引き抜くことによって、大量の郵便物11を一度に載置する一サイクルの動作を半自動で行うことができる。
【0054】
このように、紙葉類の載置装置1によれば、オペレータは、郵便物11を支持する必要はあるものの、郵便物11を持ち上げて移動させる必要がなくなるので、郵便物11が、ほぼ雑誌や書籍が収納された重く厚い大型封筒などであるときであっても、重労働を行う必要がなくなる。また、一サイクルの載置動作で、多数の(たとえば、数十の)郵便物11を載置することができる。また、郵便物11の厚さ、重心位置、形状などが異なる場合であっても、一サイクルの載置動作で、多数の(たとえば、数十の)郵便物11を載置することができる。さらに、上述したように、郵便物11にダメージを与えるといった不具合をほぼ確実に、かつ、容易に回避することができる。
すなわち、紙葉類の載置装置1によれば、オペレータの能力差などにかかわらず、所定の目標値を達成することができる。
【0055】
また、本実施形態の紙葉類区分機の紙葉類供給装置6は、上述したように、紙葉類の載置装置1によって、所定の目標値の郵便物11が、ほぼ連続的に、供給テーブル62上の所定の載置位置に載置される。すなわち、オペレータが、所定の目標値を達成することができず、装置の空運転が間欠的に発生するといった不具合を排除することができるので、実際の運用上において、高速処理が可能な紙葉類区分機の効果を、十分に、かつ、安定的に発揮することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の紙葉類の載置装置1によれば、郵便物11を効率よく、かつ、ダメージを与えることなく載置することができ、また、オペレータの負荷を低減することができる。さらに、本実施形態の紙葉類区分機は、実際の運用上において、高速処理が可能となり、その効果を十分に、かつ、安定的に発揮することができる。
【0057】
[紙葉類の載置方法の一実施形態]
また、本発明は、紙葉類の載置方法の発明としても有効である。
次に、紙葉類の載置方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。また、本実施形態の紙葉類の載置方法は、上述した紙葉類の載置装置1を用いて、紙葉類供給装置6の供給テーブル62上の所定の載置位置へ、立ったまま重なった状態で、郵便物11を載置する方法としてある。
図6は、本発明の一実施形態にかかる紙葉類の載置方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
図6において、まず、紙葉類の載置装置1は、初期状態から、ホッパユニット2が時計回り方向に65°回動され、ほぼ平積みの状態(25°傾倒した状態)で重ねられた複数の郵便物11が、郵便物用搬送手段4からホッパユニット2に供給される(ステップS1(図3(a)〜図3(c)参照))。
【0058】
次に、ほぼ平積みの状態で重ねられた複数の郵便物11は、オペレータの左手で支持され、郵便物11の供給されたホッパユニット2は、オペレータによって、反時計回り方向に回動させられる(ステップS2(図3(d)参照))。
【0059】
次に、運転スイッチ27が押下されると、立てた状態で重ねられた複数の郵便物11の載置された載置部22、及び、複数の郵便物11を倒れないように支持し、載置部22から押し出すように移動させるプッシュプレート23を、郵便物11が供給された供給位置から、郵便物11紙葉類が載置される紙葉類供給装置6の供給テーブル62上の所定の載置位置の上方へ移動させる(ステップS3(図4(a)、図4(b)参照))。
この際、図4(b)に示すように、検知板222が既に供給テーブル62上に載置された郵便物10の最後尾と当接すると、載置済郵便物用センサ223がこの郵便物10を検知する。これにより、ホッパユニット2は停止する。
【0060】
次に、プッシュプレート23が押出方向へ移動され、郵便物11が載置部22のほぼ先端部側に移動する(ステップS4(図4(c)参照))。
この際、図4(c)に示すように、郵便物11が載置部22のほぼ先端部側に移動すると、載置前郵便物用センサ221が移動してきた郵便物11を検知する。これにより、プッシュプレート23は停止する。
【0061】
次に、載置部22及びプッシュプレート23が所定の高さまで降下し、停止する(ステップS5(図4(d)参照))。
【0062】
次に、プッシュプレート23を載置部22に対して押出方向へ移動させるとともに、載置部22を押出方向と反対の方向に移動させることによって、立てた状態で重ねられた複数の郵便物11を載置部22から押し出し、立ったまま重なった状態で所定の載置位置へ載置する(ステップS6(図5(a)、図5(b)参照))。
【0063】
次に、載置部22に対してプッシュプレート23を押出方向と反対の方向に移動させ、載置部22及びプッシュプレート23を、上昇させるとともに供給位置へ移動させる(ステップS7(図5(c)参照))。
続いて、図5(d)に示すように、オペレータが押下された運転スイッチ27を放すと、一サイクルの載置動作が終了する。これにより、紙葉類の載置装置1は、図3(a)に示す初期状態に戻る。
【0064】
このように、本実施形態の紙葉類の載置方法によれば、オペレータは、郵便物11を支持する必要はあるものの、郵便物11を持ち上げて移動させる必要がなくなるので、郵便物11が、ほぼ雑誌や書籍が収納された重く厚い大型封筒などであるときであっても、重労働を行う必要がなくなる。また、一サイクルの載置動作で、多数の(たとえば、数十の)郵便物11を載置することができる。また、郵便物11の厚さ、重心位置、形状などが異なる場合であっても、一サイクルの載置動作で、多数の(たとえば、数十の)郵便物11を載置することができる。さらに、上述したように、郵便物11にダメージを与えるといった不具合をほぼ確実に、かつ、容易に回避することができる。
すなわち、紙葉類の載置装置1によれば、オペレータの能力差などにかかわらず、所定の目標値を達成することができる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の紙葉類の載置方法によれば、郵便物11を効率よく、かつ、ダメージを与えることなく載置することができ、また、オペレータの負荷を低減することができる。
【0066】
以上、本発明の紙葉類の載置装置、紙葉類の載置方法及び紙葉類区分機について、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係る紙葉類の載置装置、紙葉類の載置方法及び紙葉類区分機は、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、紙葉類の載置装置1は、ホッパユニット2をオペレータが手動で回動させる構成としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、ホッパユニット2を回動させる駆動手段(モータやエアシリンダ)などを備える構成としてもよい。
また、紙葉類の載置装置1は、郵便物11を載置する際、ホッパユニット2を右側から左側に移動させる構成としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、ホッパユニット2を左側から右側に移動させる構成としてもよい。
【0067】
さらに、紙葉類の載置装置1は、たとえば、オペレータが載置部22上の郵便物11を支持する必要があり、半自動化された装置としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、載置部22上の郵便物11を支持する支持手段を備えることにより、ほぼ完全に自動化された装置とすることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 紙葉類の載置装置
2 ホッパユニット
3 ホッパユニット用移動手段
4 郵便物用搬送手段
5 回動手段
6 紙葉類供給装置
10、11 郵便物
21 ユニットケース
22 載置部
23 プッシュプレート
24、25 モータ
26 リニアベアリング
27 運転スイッチ
28 運転可能表示灯
31 ベース
32 レール
33 タイミングベルト
34 モータ
35 ベース用センサ
41 載置板
42 支持板
43 キャリープレート
51 回動軸
52 軸受
53 付勢手段
54 アーム
55 取手
56 位置決め手段
61 供給機構
62 供給テーブル
221 載置前郵便物用センサ
222 検知板
223 載置済郵便物用センサ
561 レバー
562 リンク機構
563 ばね
564 係止棒
565 係止板
566a、566b 係止孔
567a、567b 係止棒用センサ
568a、568b ストッパ
611 吸着ベルト
612 郵便物検知レバー
613、614 供給開始ベルト
614 供給開始ベルト
621 チェーンコンベア
622 仕切り板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立てた状態で重ねられた複数の紙葉類の載置される載置部、前記複数の紙葉類を倒れないように支持し、前記載置部から押し出すように移動させるプッシュプレート、前記載置部に対して前記プッシュプレートを移動させるプッシュプレート用移動手段、並びに、前記載置部及び前記プッシュプレートを昇降させる昇降手段を有するホッパユニットと、
前記紙葉類が前記ホッパユニットに供給される供給位置と、前記紙葉類が載置される紙葉類供給装置上の所定の載置位置との間で、前記ホッパユニットを移動させるホッパユニット用移動手段と、
前記ホッパユニット用移動手段、前記昇降手段及び前記プッシュプレート用移動手段を制御する制御部と
を備え、
前記ホッパユニット用移動手段が、前記紙葉類の供給された前記ホッパユニットを前記供給位置から前記所定の載置位置の上方へ移動させ、
前記昇降手段が、前記載置部及び前記プッシュプレートを降下させ、
前記プッシュプレート用移動手段が、前記載置部に対して前記プッシュプレートを押出方向へ移動させ、前記プッシュプレートが、前記立てた状態で重ねられた複数の紙葉類を前記載置部から押し出すとともに、前記ホッパユニット用移動手段が、前記ホッパユニットを前記押出方向と反対の方向に移動させることによって、前記立てた状態で重ねられた複数の紙葉類を、立ったまま重なった状態で前記所定の載置位置へ載置し、
前記プッシュプレート用移動手段が、前記載置部に対して前記プッシュプレートを前記押出方向と反対の方向に移動させ、前記昇降手段が、前記載置部及び前記プッシュプレートを上昇させ、前記ホッパユニット用移動手段が、前記ホッパユニットを前記供給位置へ移動させることを特徴とする紙葉類の載置装置。
【請求項2】
前記載置部の先端近傍に、既に載置された前記紙葉類を検知する載置済紙葉類用センサを備え、前記制御部が、前記載置済紙葉類用センサからの検知信号を入力すると、前記ホッパユニット用移動手段に、前記ホッパユニットの移動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類の載置装置。
【請求項3】
前記載置部の先端近傍に、載置される前の前記紙葉類を検知する載置前紙葉類用センサを備え、前記昇降手段が前記載置部及び前記プッシュプレートを降下させる前に、前記制御部が、前記プッシュプレート用移動手段に、前記載置部に対して前記プッシュプレートを前記押出方向へ移動させ、前記載置前紙葉類用センサからの検知信号を入力すると、前記プッシュプレートの移動を停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙葉類の載置装置。
【請求項4】
前記紙葉類を前記ホッパユニットに供給する際、傾倒した状態で重ねられた複数の紙葉類が、前記プッシュプレートに載置され、かつ、前記載置部によって支持されるように、前記ホッパユニットを回動させる回動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙葉類の載置装置。
【請求項5】
前記回動手段によって回動された前記ホッパユニットに、前記紙葉類を供給する紙葉類用搬送手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の紙葉類の載置装置。
【請求項6】
前記プッシュプレート用移動手段、前記昇降手段、前記ホッパユニット用移動手段、及び、前記制御部による一サイクルの載置動作は、オペレータが運転スイッチを押下し続けている間、自動的に行われ、かつ、前記オペレータが前記運転スイッチを放すと、停止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の紙葉類の載置装置。
【請求項7】
前記紙葉類供給装置が、複数の仕切り板を有するコンベアを備えており、前記コンベア上に、前記所定の載置位置があり、前記載置部及び前記プッシュプレートが、前記仕切り板との接触を避ける形状を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の紙葉類の載置装置。
【請求項8】
立てた状態で重ねられた複数の紙葉類の載置された載置部、及び、前記複数の紙葉類を倒れないように支持し、前記載置部から押し出すように移動させるプッシュプレートを、前記紙葉類が供給された供給位置から、前記紙葉類が載置される紙葉類供給装置上の所定の載置位置の上方へ移動させ、
次に、前記載置部及び前記プッシュプレートを降下させ、
続いて、前記プッシュプレートを前記載置部に対して押出方向へ移動させるとともに、前記載置部を前記押出方向と反対の方向に移動させることによって、前記立てた状態で重ねられた複数の紙葉類を前記載置部から押し出し、立ったまま重なった状態で前記所定の載置位置へ載置し、
さらに、前記載置部に対して前記プッシュプレートを前記押出方向と反対の方向に移動させ、前記載置部及び前記プッシュプレートを、上昇させるとともに前記供給位置へ移動させることを特徴とする紙葉類の載置方法。
【請求項9】
前記載置部及び前記プッシュプレートを、前記供給位置から前記所定の載置位置の上方へ移動させる際、前記載置部の先端近傍に設けられた載置済紙葉類用センサが、既に載置された前記紙葉類を検知すると、前記載置部及び前記プッシュプレートの移動を停止させることを特徴とする請求項8に記載の紙葉類の載置方法。
【請求項10】
紙葉類を区分けする区分集積装置と、
前記区分集積装置に前記紙葉類を供給する紙葉類供給装置と、
前記紙葉類供給装置上の所定の載置位置に、前記紙葉類を載置する紙葉類の載置装置を備え、
前記紙葉類の載置装置が、
立てた状態で重ねられた複数の前記紙葉類の載置される載置部、前記複数の紙葉類を倒れないように支持し、前記載置部から押し出すように移動させるプッシュプレート、前記載置部に対して前記プッシュプレートを移動させるプッシュプレート用移動手段、並びに、前記載置部及び前記プッシュプレートを昇降させる昇降手段を有するホッパユニットと、
前記紙葉類が前記ホッパユニットに供給される供給位置と、前記紙葉類が載置される紙葉類供給装置上の所定の載置位置との間で、前記ホッパユニットを移動させるホッパユニット用移動手段と、
前記ホッパユニット用移動手段、前記昇降手段及び前記プッシュプレート用移動手段を制御する制御部と
を有し、
前記ホッパユニット用移動手段が、前記紙葉類の供給された前記ホッパユニットを前記供給位置から前記所定の載置位置の上方へ移動させ、
前記昇降手段が、前記載置部及び前記プッシュプレートを降下させ、
前記プッシュプレート用移動手段が、前記載置部に対して前記プッシュプレートを押出方向へ移動させ、前記プッシュプレートが、前記立てた状態で重ねられた複数の紙葉類を前記載置部から押し出すとともに、前記ホッパユニット用移動手段が、前記ホッパユニットを前記押出方向と反対の方向に移動させることによって、前記立てた状態で重ねられた複数の紙葉類を、立ったまま重なった状態で前記所定の載置位置へ載置し、
前記プッシュプレート用移動手段が、前記載置部に対して前記プッシュプレートを前記押出方向と反対の方向に移動させ、前記昇降手段が、前記載置部及び前記プッシュプレートを上昇させ、前記ホッパユニット用移動手段が、前記ホッパユニットを前記供給位置へ移動させることを特徴とする紙葉類区分機。
【請求項11】
前記紙葉類の載置装置が、前記載置部の先端近傍に、既に載置された前記紙葉類を検知する載置済紙葉類用センサを有し、前記制御部が、前記載置済紙葉類用センサからの検知信号を入力すると、前記ホッパユニット用移動手段に、前記ホッパユニットの移動を停止させることを特徴とする請求項10に記載の紙葉類区分機。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−275105(P2010−275105A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132487(P2009−132487)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】