説明

紙葉類結束装置

【課題】押印欠けの発生を防止できる紙葉類結束装置を提供する。
【解決手段】紙葉類結束装置は、結束対象の紙葉類を結束帯で結束して結束紙葉類を作成する結束部22と、前記結束紙葉類の結束帯上にスタンプ印を押印する押印部71と、前記紙葉類の種類と、前記結束帯上又は前記紙葉類上への前記スタンプ印の押印位置との関連付けを記憶する記憶部と、前記関連付けを参照し、前記結束対象の紙葉類の種類に対応する前記スタンプ印の押印位置を求め、この求めた押印位置に基づいて、前記スタンプ印の押印時の前記スタンプ印と前記結束帯又は前記結束紙葉類との位置関係を調整する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙葉類を所定枚数単位で結束する紙葉類結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣をはじめとする各種紙葉類を所定枚数ずつ結束帯により結束し、結束後に結束帯に押印を行う紙葉類結束装置が知られている(例えば特許文献1参照)。また、結束帯への押印の印字濃度を検査し、検査結果に基づいて押印時間や押印間隔を調整することで、押印状態を安定させる紙葉類結束装置が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
複数枚の紙葉類を重ねると、インクやセキュリティスレッド等により表面に凹凸が生じる。このような凹凸が生じた箇所を結束帯で結束して押印を行うと、押印欠けが発生し、押印の判読が困難になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−300501号公報
【特許文献2】特開2003−211809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、押印欠けの発生を防止できる紙葉類結束装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による紙葉類結束装置は、結束対象の紙葉類を結束帯で結束して結束紙葉類を作成する結束部と、前記結束紙葉類の結束帯上にスタンプ印を押印する押印部と、前記紙葉類の種類と、前記結束帯上又は前記紙葉類上への前記スタンプ印の押印位置との関連付けを記憶する記憶部と、前記関連付けを参照し、前記結束対象の紙葉類の種類に対応する前記スタンプ印の押印位置を求め、この求めた押印位置に基づいて、前記スタンプ印の押印時の前記スタンプ印と前記結束帯又は前記結束紙葉類との位置関係を調整する制御部と、を備えるものである。
【0007】
本発明の一態様による紙葉類結束装置は、結束対象の紙葉類を結束帯で結束して結束紙葉類を作成する結束部と、前記結束紙葉類の結束帯上にスタンプ印を押印する押印部と、前記紙葉類の種類と、前記結束帯上又は前記紙葉類上への前記スタンプ印の押印不可位置との関連付けを記憶する記憶部と、前記関連付けを参照し、前記結束対象の紙葉類の種類に対応する前記スタンプ印の押印位置を求め、この求めた押印位置に基づいて、前記スタンプ印の押印時の前記スタンプ印と前記結束帯又は前記結束紙葉類との位置関係を調整する制御部と、を備えるものである。
【0008】
本発明の一態様による紙葉類結束装置においては、前記紙葉類は紙幣であり、前記種類は金種を含むことが好ましい。
【0009】
本発明の一態様による紙葉類結束装置においては、前記種類は正損又は券種の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。
【0010】
本発明の一態様による紙葉類結束装置においては、前記種類は表裏及び方向を含むことが好ましい。
【0011】
本発明の一態様による紙葉類結束装置においては、前記制御部は、前記結束紙葉類に含まれる正券と損券の比率、又は新券と旧券の比率に応じて前記スタンプ印の押印位置を求めることが好ましい。
【0012】
本発明の一態様による紙葉類結束装置においては、前記制御部は、前記結束紙葉類に含まれる表券と裏券の比率、又は方向毎の比率に応じて前記スタンプ印の押印位置を求めることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様による紙葉類結束装置においては、前記制御部は、前記求めた押印位置に基づいて、前記スタンプ印に対する前記結束紙葉類の位置を調整することが好ましい。
【0014】
本発明の一態様による紙葉類結束装置においては、前記制御部は、前記求めた押印位置に基づいて、前記結束紙葉類に対する前記スタンプ印の位置を調整することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様による紙葉類結束装置においては、前記制御部は、前記求めた押印位置に基づいて、前記結束部に対して前記結束帯の結束位置を指示することが好ましい。
【0016】
本発明の一態様による紙葉類結束装置においては、前記記憶部は、前記紙葉類の種類と、前記結束帯上への前記スタンプ印の押印不可位置との関連付けをさらに記憶し、前記制御部は、前記紙葉類の種類と前記スタンプ印の押印位置との関連付け、及び前記紙葉類の種類と前記スタンプ印の押印不可位置との関連付けを参照して、前記スランプ印の押印位置を求めることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、結束帯への押印時に、押印欠けの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る紙葉類処理装置の外観斜視図である。
【図2】同第1の実施形態に係る紙葉類処理装置の内部の概略構成図である。
【図3】紙葉類の反転処理を説明する図である。
【図4】同第1の実施形態に係る紙葉類処理装置のブロック構成図である。
【図5】紙葉類の結束処理を説明する図である。
【図6】紙葉類の押印処理を説明する図である。
【図7】紙葉類の種類と押印位置との関連付けの一例を示す図である。
【図8】同第1の実施形態に係る紙葉類処理方法を説明するフローチャートである。
【図9】紙葉類の反転処理を説明する図である。
【図10】ホッパ部の外観斜視図である。
【図11】ホッパ部の外観斜視図である。
【図12】ホッパ部の概略正面図である。
【図13】ホッパ部の概略正面図である。
【図14】ホッパ部の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態に係る紙葉類処理装置の外観斜視図であり、図2はこの紙葉類処理装置の内部の概略構成図である。
【0021】
紙葉類処理装置1は、紙葉類分類装置2と、紙葉類結束装置3とを備えている。紙葉類分類装置2は、紙幣や商品券等の紙葉類を連続入金し、これら入金した紙葉類を種類に応じて分類集積すると共に、その紙葉類の入金枚数を種別毎に計数する。紙葉類結束装置3は、紙葉類分類集積装置2にて分類した特定種類の紙葉類を所定枚数、例えば100枚単位で結束する。また、紙葉類処理装置1は、計数結果等の各種情報を表示する表示装置4を備えている。
【0022】
紙葉類分類装置2は、紙葉類を装置内に投入するホッパ部11と、このホッパ部11に投入した紙葉類を1枚単位で繰り出す繰出部12と、この繰出部12にて繰り出した紙葉類を搬送する搬送ベルト等の搬送部13と、この搬送部13で搬送した紙葉類の種類を識別する識別部14と、識別部14による識別結果、例えば、表裏情報及び方向情報に基づき、搬送部13で搬送した紙葉類を反転する反転部15とを有している。反転部15は、短手方向に搬送される紙葉類を短手方向に反転する第1反転部15Aと、紙葉類を長手方向に反転する第2反転部15Bを有している。紙葉類の反転については後述する。
【0023】
また、紙葉類分類装置2は、紙葉類の種類に応じて搬送部13で搬送した紙葉類を分類集積する4個のスタッカ16A〜16Dと、スタッカ16A〜16Dに集積せず、かつ紙葉類結束装置3へ搬送しないリジェクト紙葉類を集積する2個のリジェクト部17A及び17Bとを有している。スタッカ16A〜16D及びリジェクト部17A、17Bの各々には、紙葉類を1枚単位で集積空間内の所定位置に集積するための羽根車が設けられている。
【0024】
なお、紙葉類の種類とは、例えば、ユーロ紙幣の場合、5ユーロ、10ユーロ、20ユーロ、50ユーロ、100ユーロ、200ユーロ及び500ユーロの7種類の金種の他に、真券・偽券を識別する真偽情報、正券・損券を識別する正損情報や、表裏を識別する表裏情報、上下を識別する方向情報等がある。また、その他の通貨では、金種毎の新券・旧券などの券種を識別する券種情報等もある。
【0025】
また、紙葉類結束装置3は、紙葉類分類装置2内部の搬送路18から本装置内へ特定の紙葉類を搬送する搬送部13と、装置内の上下方向に三段配置され、紙葉類を分類集積する3個の集積部21と、これら3個の集積部21の下方に配置され、集積部21に集積される紙葉類が所定枚数、例えば、100枚に到達した場合、その100枚の結束対象紙葉類を結束帯で結束する結束部22とを有している。
【0026】
さらに、紙葉類結束装置3は、ホッパ部11近傍に配置され、結束部22にて結束された紙葉類、すなわち結束紙葉類をオペレータ側に放出する束放出口23と、集積部21の近傍に配置され、取引終了時に集積部21に集積中の端数紙葉類をオペレータ側に放出する端数返却口24とを有している。
【0027】
また、紙葉類結束装置3は、集積部21に集積中の紙葉類を結束部22又は端数返却口24に把持搬送する結束前搬送部25と、結束部22内の結束対象紙葉類を把持搬送すると共に、結束部22にて結束した結束紙葉類を束放出口23へ搬送する結束後搬送部26とを有している。
【0028】
結束前搬送部25は、集積部21に集積中の結束対象紙葉類の内、100枚の結束対象紙葉類の長手側を把持して、これら100枚の結束対象紙葉類を結束部22内の結束ステージ22A上に搬送すると共に、取引終了時に、集積部21に集積中の結束対象紙葉類の内、集積中の100枚に満たない端数紙葉類を把持して、これら端数紙葉類を端数返却口24へ搬送するものである。尚、結束部22の結束ステージ22Aとは、結束部22の結束作業領域に相当するものである。
【0029】
また、結束後搬送部26は、結束前搬送部25で結束対象紙葉類を結束部22内の結束ステージ22A上に搬送した後、この把持した結束対象紙葉類を移動調整すると共に、結束部22にて結束した結束紙葉類を把持搬送する把持搬送部27と、この把持搬送部27にて把持搬送した結束紙葉類を束放出口23に搬送する放出搬送部28とを有している。
【0030】
把持搬送部27は、結束部22の結束ステージ22A上の作業準備位置に結束対象紙葉類を把持すると、結束ステージ22A上の結束作業位置に結束対象紙葉類の結束位置を位置決め配置すべく、結束対象紙葉類を移動調整する。なお、結束部22は、この結束作業位置に結束対象紙葉類を配置することで、同結束対象紙葉類の結束位置に結束帯を巻回することができるものである。
【0031】
把持搬送部27は、結束部22を通じて結束ステージ22A上の結束作業位置で、結束対象紙葉類を把持したまま、結束対象紙葉類の結束作業が完了すると、この結束紙葉類を放出搬送部28内に搬送する。
【0032】
放出搬送部28は、把持搬送部27にて把持搬送した結束紙葉類を紙葉類結束装置3上部に搬送するリフト部61と、このリフト部61にて紙葉類結束装置3上部に搬送した結束紙葉類を束放出口23方向(装置正面方向)に押し出す押出機構62と、押出機構62で装置正面に押し出した結束紙葉類を収納すると共に、結束紙葉類を束放出口23に放出保持する放出保持機構63とを有している。
【0033】
また、紙葉類処理装置1は、ホッパ部11と接続し、スタッカ16A〜16Dの上方位置に配置された搬送路18A、搬送路18Aと接続し、スタッカ16A〜16Dの配置方向に折り返すように配置した搬送路18B、及び搬送路18Bに接続されると共に、スタッカ16A〜16D及び集積部21に接続される搬送路18Cを含む搬送路18を有している。なお、識別部14は、搬送路18A上に配置され、反転部は、搬送路18B上に配置されているものとする。また、搬送路18Bは、紙葉類処理装置1の搬送路18A及び搬送路18Cに接続する着脱可能なユニットで構成するものである。
【0034】
また、搬送路18上には、搬送路上の分岐箇所、合流箇所や装置間の連結箇所等の搬送紙幣の進入及び通過を検知する検知センサ19を夫々配置するものである。
【0035】
搬送路18Cの最終端には、リジェクト部20が配置されている。
【0036】
また、紙葉類処理装置1内の搬送路18上の分岐箇所には、搬送路18上を搬送する搬送紙葉類を、スタッカ16A〜16D、集積部21、リジェクト部17A、17B、20に振り分ける分岐部13Aが配置されている。分岐部13Aは、検知センサ19を通じて搬送紙葉類の先端の進入を検知すると、図示せぬソレノイドが駆動することで搬送紙葉類を振り分ける。
【0037】
第1反転部15Aは、識別部14が識別した紙葉類の種類である方向情報及び表裏情報に基づいて、紙葉類を短手方向(紙葉類の搬送方向に垂直な軸周り)に表裏反転させることができる。
【0038】
第2反転部15Bは、識別部14が識別した紙葉類の種類である方向情報及び表裏情報に基づいて、紙葉類を長手方向(搬送方向の軸周り)に表裏反転させることができる。第2反転部15Bの手前に設けられた分岐部13Aで反転ルート又は無反転ルートに振り分けられる。
【0039】
反転ルートでは、紙葉類の搬送方向に延在する曲面をもった反転部材15Cと、一部が反転部材15Cの曲面に沿うようにして、反転部材15Aの長手方向に対して斜めに掛けられた、図示せぬ搬送ベルトと、搬送ベルトを駆動する図示せぬ駆動モータと、搬送ベルト及び反転部材15Cで挟まれ、反転部材15Aの曲面に巻き付けられながら、反転部材15Cの長手方向に搬送される紙葉類の表面を摺動案内する図示せぬガイド部とを有している。
【0040】
第2反転部15Bでは、駆動モータで搬送ベルトが駆動されている状態で紙葉類が搬送されると、紙葉類が搬送ベルトと反転部材15Cとの間に挟まれ、搬送ベルトの移動に追従して搬送方向に移動するものである。この際、搬送ベルトは、反転部材15Cの長手方向に対して斜めに沿うように曲面に掛けられているため、紙葉類は、曲面に巻き付けられながら搬送されると共に、自転しながら表裏反転されることになる。また、表裏反転の際、ガイド部で紙葉類の表面を摺動案内させることで、搬送途中における紙葉類の動きを規制しながら紙葉類を確実に表裏反転させることが可能になるものである。
【0041】
図3は、反転部15の反転処理を端的に示す説明図である。
【0042】
識別部14による表裏情報及び方向情報が、図3(a)に示すように、A面(表面)及び上向き(portrait-up)の場合は、第1反転部15A及び第2反転部15Bは反転を行わず、搬送紙葉類をそのまま第3搬送路18Cへ搬送する。
【0043】
また、識別部14による表裏情報及び方向情報が、図3(b)に示すように、B面(裏面)及び下向き(portrait-down)の場合は、第1反転部15Aが短手方向に搬送紙葉類を表裏反転する。
【0044】
また、識別部14による表裏情報及び方向情報が、図3(c)に示すように、B面及び上向きの場合は、第2反転部15Bが長手方向に搬送紙葉類を表裏反転する。
【0045】
また、識別部14による表裏情報及び方向情報が、図3(d)に示すように、A面及び下向きの場合は、第1反転部15Aが短手方向に搬送紙葉類を表裏反転し、その後、第2反転部15Bが長手方向に搬送紙葉類を表裏反転する。
【0046】
このように、第1反転部15A及び第2反転部15Bにより、紙葉類が、表面及び裏面のうち何れか一方の特定面、かつ、上向き及び下向きのうち何れか一方の特定方向を向くように反転することができる。
【0047】
また、集積部21の背面壁部には、結束前搬送部25のハンド部41(図2参照)の集積空間31内への進入を可能とする、例えば3個の切欠部を形成し、切欠部を通じて進入したハンド部41が集積空間31内の結束対象紙葉類の長手側を把持し、その把持した結束対象紙葉類を集積空間31から引抜可能にすべく、その背面壁部の下部は開閉可能なシャッタ構成としている。
【0048】
また、結束前搬送部25は、図2に示すように、集積部21に集積中の結束対象紙葉類の長手側を一括把持するハンド部41を備えた搬送ユニット42と、搬送ユニット42を前後方向(水平方向)に移動させる水平移動機構43と、搬送ユニット42を上下方向(垂直方向)に移動させる垂直移動機構44とを有している。
【0049】
垂直移動機構44は、紙葉類結束装置3内の下端から上端に到る垂直に設置されたガイド軸44Aと、このガイド軸44Aで案内して搬送ユニット42を昇降する駆動ベルト44Bとを有している。
【0050】
結束前搬送部25内の搬送ユニット42は、水平移動機構43内の駆動ベルト43Aを通じて前進又は後退可能なハンド部41を備え、ハンド部41は、例えば、上ハンドの3本の把持爪及び、下ハンドの3本の把持爪同士を対峙し、把持爪同士で集積部21に集積中の結束対象紙幣の長手側を把持するものである。なお、下ハンドは、固定であるのに対し、上ハンドは、駆動ベルトを通じて上下動可能である。
【0051】
搬送ユニット42は、上ハンド及び下ハンドの把持爪同士で結束対象紙葉類の長手側を把持し、把持した結束対象紙葉類を結束部22内の結束ステージ22A上の作業準備位置又は端数返却口24に搬送するものである。
【0052】
結束前搬送部25は、搬送ユニット42を通じて100枚の結束対象紙葉類の長手側を把持した状態で、結束部22内の結束ステージ22A上の作業準備位置に結束対象紙葉類を搬送配置するものである。
【0053】
把持搬送部27は、搬送ユニット42を通じて100枚の結束対象紙葉類の長手側を把持した状態で、結束部22内の結束ステージ22A上の作業準備位置の100枚の結束対象紙葉類の短手側を把持するものである。なお、結束前搬送部25内の搬送ユニット42は、把持搬送部27の結束対象紙葉類の短手側の把持動作に応じて、搬送ユニット42側で把持した結束対象紙葉類の長手側の把持を開放し、待機位置に移動するものである。
【0054】
把持搬送部27は、紙葉類の短手側を一括把持する上下ハンドの把持部27Aを有し、把持部27Aは、結束対象紙葉類の結束位置を結束ステージ22A上の結束作業位置に位置決め配置すべく、作業準備位置から結束対象紙葉類の長手方向に結束対象紙葉類を移動調整するものである。
【0055】
結束部22は、把持搬送部27の把持部27Aを通じて結束対象紙葉類の短手側を把持した状態で、結束対象紙葉類の結束位置を結束ステージ22A上の結束作業位置に位置決め配置すると、結束対象紙葉類の結束位置に結束帯を結束する結束作業を実行するものである。
【0056】
また、結束部22は、結束帯を収容する結束帯リール501と、結束対象紙葉類の結束位置を結束作業位置に位置決め配置した状態で、結束帯リール501から引き出した結束帯の先端を結束対象紙葉類の結束位置に止める結束帯止め部502と、結束対象紙葉類に止めた結束帯を結束帯リール501から引き出し、引き出した結束帯を結束対象紙葉類の結束位置に巻回する旋回アーム503と、結束対象紙葉類の結束位置に巻回した結束帯の他端を切断するカッタ部504と、そのカッタ部504で切断した結束帯の他端を熱溶着するヒータ部505とを有し、結束対象紙葉類を結束帯で結束することで、結束紙葉類を作成するものである。
【0057】
また、把持搬送部27の把持部27Aは、図2に示すように、結束部22を通じて結束対象紙葉類の結束動作が完了すると、この結束紙葉類を作業準備位置に戻し、結束紙葉類搬送路を通じて結束紙葉類を放出搬送部28内のリフト部61内に搬送する。なお、把持搬送部27は、結束紙葉類をリフト部61内に搬送すると、結束紙葉類の短手側の把持を開放するものである。
【0058】
また、把持搬送部27で結束紙葉類を搬送する結束紙葉類搬送路の上部には、図2に示すように、結束紙葉類上面の結束帯上にスタンプ印を押印するスタンプ押印部71を駆動すると共に、このスタンプ押印部71を収納可能にするスタンプ駆動機構72を配置している。
【0059】
把持搬送部27は、結束部22を通じて結束紙葉類の作成が完了すると、結束紙葉類をスタンプ押印部71の下方の待機位置に移動配置する。この待機位置は、結束帯上のスタンプを押したい位置が、スタンプ押印部71の下方にくる位置であり、結束紙葉類上面の結束帯に、スタンプ押印部71の押印面が平行配置する。
【0060】
結束紙葉類がこの待機位置に配置されている状態で、スタンプ押印部71を降下することで、スタンプ押印部71の押印面が結束紙葉類の結束帯に当接し、結束紙葉類上面の結束帯上にスタンプ印が押印される。
【0061】
スタンプ駆動機構72は、スタンプ印の押印が完了すると、スタンプ押印部71を結束紙幣搬送路上から上昇させ、内部に収納する。
【0062】
把持搬送部27は、スタンプ印が押印された結束紙葉類を放出搬送部28内のリフト部61内へ搬送する。
【0063】
リフト部61は、把持搬送部27の把持部27Aにて把持搬送した結束紙葉類を紙葉類結束装置3上部の押出機構62に搬送する。
【0064】
押出機構62は、リフト部61にて紙葉類結束装置3上部に搬送した結束紙葉類を束放出口23方向(装置正面方向)の放出保持機構63に押出搬送する。
【0065】
放出保持機構63は、押出機構62に押出搬送された結束紙葉類を収納する結束紙葉類収納部63Aと、結束紙葉類収納部63A内に収納した結束紙葉類を載置する結束紙葉類ステージ63Bとを有し、押出機構62に押出搬送された結束紙葉類が結束紙葉類ステージ63B上の最上部の結束紙葉類の上に収納できるように、結束紙葉類ステージ63Bの高さを調整する。
【0066】
図4は、紙葉類処理装置1内部の概略構成を示すブロック図である。
【0067】
図4に示す紙葉類処理装置1は、識別部14の他に、紙葉類分類装置2内部のスタッカ側メカ機構110と、紙葉類結束装置3内部の結束側メカ機構120と、紙葉類結束装置3内部のスタンプ側メカ機構130と、様々なコマンドを入力する操作部140と、表示装置4を表示制御する表示制御部150と、スタッカ側メカ機構110、結束側メカ機構120及びスタンプ側メカ機構130を駆動制御する駆動制御部160と、この紙葉類処理装置1全体を制御する制御部170と、紙葉類の種類と、結束紙葉類の結束帯上へのスタンプ印の押印位置との関連付けを記憶する記憶部180と、を有している。
【0068】
スタッカ側メカ機構110は、繰出部12、搬送部13、反転部15、紙葉類分類装置2内部の検知センサ19及び分岐部13Aを有している。
【0069】
結束側メカ機構120は、紙葉類結束装置3内部の検知センサ19、搬送部13、分岐部13A、結束部22、結束前搬送部25、及び結束後搬送部26を有している。なお、結束後搬送部26は、把持搬送部27及び放出搬送部28を有している。
【0070】
スタンプ側メカ機構130は、スタンプ押印部71及びスタンプ駆動機構72を有している。
【0071】
制御部170は、例えば、スタッカ16A〜16D、リジェクト部17A、17B、20、及び集積部21に集積する紙葉類の種別を設定するものである。なお、制御部170は、例えば、スタッカ16Aに5ユーロ紙幣、スタッカ16Bに50ユーロ紙幣、スタッカ16Cに100ユーロ紙幣、スタッカ16Dに200ユーロ紙幣、リジェクト部17Aに500ユーロ紙幣、更に初期設定として、集積部21Aに10ユーロ紙幣、集積部21Bに20ユーロ紙幣、集積部21Cに予備を設定するものである。なお、リジェクト部17Aについては、500ユーロ紙幣のようにまれな種類の紙幣を集積するスタッカとしても使用可能である。
【0072】
また、制御部170は、検知センサ19の検知結果に基づき、搬送路上の紙幣詰まり(ジャム)等の障害を認識することができる。
【0073】
また、制御部170は、集積部21A〜21Cのいずれかに集積中の結束対象紙葉類Pが100枚に到達したか否かを判定する結束枚数判定部171と、結束枚数判定部171にて集積部21A〜21Cに集積中の結束対象紙葉類Pが100枚に到達した場合、100枚に到達した結束対象紙葉類Pの種類を取得する種類取得部172と、結束対象紙葉類Pの種類に応じたスタンプ押印位置を決定する押印位置決定部174と、押印位置決定部174が決定したスタンプ押印位置から結束位置を求めて設定する結束位置設定部176と、押印位置決定部174が決定したスタンプ押印位置にスタンプが押印されるような結束紙葉類の待機位置を求めて設定する待機位置設定部178と、を有している。
【0074】
押印位置決定部174は、種類取得部172にて結束対象紙葉類の種類を取得すると、記憶部180に記憶されている紙葉類の種類と、結束紙葉類の結束帯上又は紙葉類のスタンプ印の押印位置との関連付けを参照して、結束帯上のスタンプ押印位置を決定する。
【0075】
記憶部180に記憶されている関連付けが、紙葉類の種類と結束帯上の押印位置の関連付けの場合は、予め定められた位置で結束した結束帯の押印面の範囲で、押印欠けが発生しない押印位置を記憶している。従って、この場合は、結束位置の調整はせず、結束後に、スタンプ印に対する結束紙葉類の位置を結束方向に調整することで、結束帯上の押印位置を変更する。また、印影が結束帯に収まる範囲で、結束帯の幅方向に微調整することも可能である。
【0076】
一方、記憶部180に記憶されている関連付けが、紙葉類の種類と紙葉類上の押印位置の関連付けの場合は、紙葉類の表面全体の範囲で、押印欠けが発生しない押印位置を記憶している。よって、この場合は、結束位置と結束帯上の押印位置の両方を調整する。具体的には、押印位置決定部174が決定したスタンプ押印位置で押印したときに印影が結束帯上に収まるように結束位置を調整して結束し、結束後に、スタンプ印に対する結束紙葉類の位置を結束方向に調整することで、結束帯上の押印位置を変更することで、押印位置決定部174で決定した紙葉類上の押印位置に押印することができる。
【0077】
以下、後者の場合の実施形態について説明する。
【0078】
結束位置設定部176は、押印位置決定部174が決定したスタンプ押印位置に結束帯が配置されるように、紙葉類長手方向の結束位置を求め、この結束位置を駆動制御部160に設定する。
【0079】
待機位置設定部178は、押印位置決定部174が決定したスタンプ押印位置が、スタンプ押印部71の下方(直下)にくるような結束紙葉類の待機位置を求め、この待機位置を駆動制御部160に設定する。
【0080】
その結果、駆動制御部160は、結束位置設定部176にて設定した結束位置に基づき、結束部22の結束ステージ22A上の結束作業位置に結束対象紙葉類の結束位置を位置決め配置すべく、把持搬送部27の把持部27Aを駆動制御する。
【0081】
また、駆動制御部160は、待機位置設定部178にて設定した結束紙葉類の待機位置に基づき、結束紙葉類を移動配置し、スタンプ押印部71の押印面を、結束紙葉類上面の結束帯に対向配置する。駆動制御部160は、その位置でスタンプ押印部71を降下させることで、押印位置決定部174が決定したスタンプ押印位置において、結束帯上にスタンプ印を押印することができる。
【0082】
また、駆動制御部160は、識別部14にて識別した紙葉類の種類を取得し、搬送路18を搬送中の紙葉類の種類がスタッカ16A〜16D、又は集積部21A〜21Cに設定中の種類と一致する場合、この搬送紙葉類を該当スタッカ16A〜16D、又は集積部21A〜21Cに分類集積すべく、搬送部13及び分岐部12Aを駆動制御する。
【0083】
また、駆動制御部160は、搬送路18を搬送中の紙葉類がスタッカ16A〜16D及び集積部21A〜21Cに設定中の紙葉類以外の場合や、搬送異常等により識別できない紙葉類の場合、この搬送紙葉類をリジェクト部17Aに搬送すべく、搬送部13及び分岐部13Aを駆動制御する。なお、リジェクト部17Aは、紙葉類の種類を設定することができるため、リジェクト部17Aに、設定した種類の紙葉類を集積させるようにしてもよい。
【0084】
駆動制御部160は、例えば、集積部21Aに10ユーロ紙幣、集積部21Bに20ユーロ紙幣を設定し、集積部21Cを予備の集積部としている時に、集積部21Aに集積する結束対象紙葉類が100枚に到達した場合、結束前搬送部25の搬送ユニット42内のハンド部41を通じて集積部21Aに集積中の結束対象紙葉類を引き抜くべく、結束前搬送部25を駆動制御する。
【0085】
制御部170は、集積部21Aに集積する10ユーロ紙幣が100枚に到達した場合、予備の集積部21Cに10ユーロ紙幣が集積されるように切替設定すると共に、搬送ユニット42内のハンド部41を通じて100枚に到達した10ユーロ紙幣が引き抜かれて紙幣集積可能となる集積部21Aを予備の集積部として切替設定する。
【0086】
図5は、結束ステージ22A上の把持搬送部27の動作遷移を端的に示す説明図である。
【0087】
例えば、図5(a)に示すように、把持部27Aで把持した結束対象紙葉類Pの結束位置が結束対象紙葉類Pの中央部の場合、把持部27Aは、結束対象紙葉類Pの結束位置である中央部に結束作業位置を位置決め配置し、結束部22を通じて結束対象紙葉類Pの中央部に結束帯Rを巻回して結束することで、結束紙葉類P1を作成する。
【0088】
また、例えば、図5(b)に示すように、把持部27Aで把持した結束対象紙葉類Pの結束位置が結束対象紙葉類Pの把持側の端部の場合、把持側端部に結束作業位置を位置決め配置し、結束部22を通じて結束対象紙葉類Pの把持側端部に結束帯Rを巻回して結束することで、結束紙幣P1を作成する。
【0089】
また、図5(c)において把持部27Aで把持した結束対象紙葉類Pの結束位置が結束対象紙葉類Pの把持反対側の端部の場合、把持反対側端部に結束作業位置を位置決め配置し、結束部22を通じて結束対象紙葉類Pの把持反対側端部に結束帯Rを巻回して結束することで、結束紙葉類P1を作成するものである。
【0090】
図6は、スタンプ側メカ機構130の動作遷移を端的に示す説明図である。
【0091】
スタンプ側メカ機構130は、スタンプ押印位置に対応する待機位置に基づき、スタンプ押印部71の押印面に対して結束紙葉類P1の結束帯Rを平行配置すべく、把持部27Aを結束紙葉類P1の長手方向及び短手方向に駆動して結束紙葉類P1を移動配置し、(図6(a)参照)、その位置でスタンプ押印部71を降下させる(図6(b)参照)。これにより、結束紙葉類P1上面の結束帯Rとスタンプ押印部71が当接し、結束帯Rにスタンプ印Sが押印される(図6(c)参照)。その後、スタンプ側メカ機構130は、スタンプ押印部71を上昇させ、スタンプ駆動機構72内に収納する(図6(d)参照)。
【0092】
図7は、記憶部180が記憶する、紙葉類の種類と、結束紙葉類の結束帯上へのスタンプ印の押印位置との関連付けの一例を示す図である。例えば、結束対象紙葉類の4隅のいずれか1点を基準点とし、その基準点から短手方向、長手方向にそれぞれどの程度移動した箇所が押印位置となるかを示す。移動距離の表現手法は任意であり、例えば、把持搬送部27のモータのパルス数で表す。
【0093】
例えば、図7に示す例では、結束対象紙葉類が、表面及び上向き(portrait-up)の10ユーロ紙幣である場合、基準点から短手方向に15パルス、長手方向に30パルスの位置を押印位置とする。結束部22は、基準点から長手方向に30パルスの箇所に結束帯を巻回する。そして、把持搬送部27は、基準点から短手方向に15パルス、長手方向に30パルスの位置がスタンプ押印部71の下方に位置するように結束紙葉類を待機位置に移動させる。そして、スタンプ押印部71が下降して結束帯に当接することで押印することができる。
【0094】
記憶部180が記憶している押印位置は、紙葉類のインクやセキュリティスレッド等により表面に生じる凹凸を考慮したものであり、紙葉類を100枚重ねたときに表面が(ほぼ)平坦になる位置である。そのため、結束帯への押印時に、押印欠けの発生を防止することができる。
【0095】
図7は、結束対象紙葉類がユーロ紙幣の場合の、紙幣の表裏・方向・金種と、結束紙葉類の結束帯上へのスタンプ印の押印位置との関連付けの一例を示しているが、記憶部180には、ユーロ以外の通貨についても同じような関連付けを記憶させておくことができる。また、表裏・方向・金種だけでなく、正損、新旧、それらの組み合わせなど、様々な種類について押印位置との関連付けを記憶部180に記憶させておくことが好ましい。
【0096】
次に、紙葉類処理装置1の動作を図8に示すフローチャートを用いて説明する。なお、スタッカ16A〜16Dや集積部21A〜21Cに集積する紙葉類の種類や、リジェクト部17A、17B、20に集積する紙葉類の種類は予め設定されているものとする。また、集積部21A〜21Cのいずれか1つは予備の集積部となっている。
【0097】
(ステップS101)繰出部12が、ホッパ部11に投入された紙葉類を1枚単位で繰り出す。
【0098】
(ステップS102)識別部14が、繰出部12から繰り出された紙葉類の種類を識別する。紙葉類の種類とは、例えば、通貨、金種、表裏、方向、正損、券種(新旧)等である。
【0099】
(ステップS103)識別部14による識別結果の表裏情報及び方向情報に基づいて紙葉類の反転処理を行うか否か判定される。反転処理を行う場合はステップS104へ進み、行わない場合はステップS105へ進む。
【0100】
例えば、スタッカ16A〜16Dや集積部21A〜21Cに集積する紙葉類の表裏や方向を揃える必要があり、識別された紙葉類の表裏や方向が所定のものでなかった場合に、反転処理が行われる。
【0101】
(ステップS104)第1反転部15A及び/又は第2反転部15Bが、紙葉類の表裏を反転する。
【0102】
(ステップS105)紙葉類がスタッカ16A〜16D又は集積部21A〜21Cへ搬送され、集積される。なお、リジェクト紙葉類は、リジェクト部17A、17B、20のいずれかへ搬送され、集積される。
【0103】
(ステップS106)集積部21A〜21Cのいずれかの集積枚数が100枚に達した場合はステップS107へ進み、達していない場合はステップS113へ進む。
【0104】
(ステップS107)集積枚数が100枚になった集積部21A〜21Cに集積されている種類の紙葉類の搬送先が、予備の集積部21A〜21Cに切り替えられる。
【0105】
(ステップS108)結束前搬送部25が、集積枚数が100枚になった集積部21A〜21Cから紙葉類を引き抜き、結束部22へ搬送する。
【0106】
(ステップS109)制御部170が、記憶部180に記憶されている、紙葉類の種類とスタンプ印の押印位置との関連付けを参照して、集積枚数が100枚になった紙葉類のスタンプ押印位置を決定する。また、制御部170が、スタンプ押印位置に基づいて結束位置を決定する。
【0107】
(ステップS110)結束部22が、結束前搬送部25により搬送された紙葉類の、ステップS109で決定した結束位置に、結束帯を巻回して結束処理を行う。
【0108】
(ステップS111)把持搬送部27が、結束処理された結束紙葉類をスタンプ押印部71の下方へ搬送する。把持搬送部27は、ステップS109で決定したスタンプ押印位置が、スタンプ押印部71の直下に位置するように、結束紙葉類を搬送する。
【0109】
結束紙葉類をスタンプ押印部71の下方へ搬送した後、駆動制御部160が、スタンプ押印部71を下降させて、結束帯にスタンプ印を押印する。
【0110】
(ステップS112)把持搬送部27が、スタンプ印が押印された結束紙葉類をリフト部61内へ搬送する。リフト部61は、結束紙葉類を紙葉類結束装置3上部の押出機構62に搬送する。押出機構62は、結束紙葉類を束放出口23方向(装置正面方向)の放出保持機構63に押出搬送する。
【0111】
(ステップS113)ホッパ部11に紙葉類が残っている場合はステップS101に戻り、処理を続行する。
【0112】
一方、ホッパ部11に紙葉類が残っていない場合は、処理を終了する。この場合、結束前搬送部25が、集積部21A〜21Cに集積されている端数紙葉類を端数返却口24へ搬送してもよい。
【0113】
このように、本実施形態によれば、所定方向に揃えた複数枚の紙葉類を重ねることで表面に生じる凹凸を考慮し、表面が(ほぼ)平坦になる箇所にスタンプ印を押印することができる。そのため、結束帯への押印時に、押印欠けの発生を防止することができ、押印を容易に判読することができる。
【0114】
上記実施形態では、紙葉類処理装置1に第1反転部15A及び第2反転部15Bが設けられていたため、装置内に取り込まれた紙葉類の表裏・方向がどのようになっていても、図3に示すように、表裏・方向を揃えることができたが、第1反転部15A又は第2反転部15Bのいずれか一方のみ設けられていてもよい。
【0115】
例えば、第2反転部15Bのみ設けられ、紙葉類の長手方向の表裏反転のみ行われる場合、図9(a)に示すようなA面(表面)及び上向き(portrait-up)の紙葉類は、第2反転部15Bが反転されず、そのまま第3搬送路18Cへ搬送される。
【0116】
また、図9(b)に示すように、B面(裏面)及び下向き(portrait-down)の場合は、第2反転部15Bが長手方向に搬送紙葉類を表裏反転する。
【0117】
また、図9(c)に示すように、B面及び上向きの場合は、第2反転部15Bが長手方向に搬送紙葉類を表裏反転する。
【0118】
また、図9(d)に示すように、A面及び下向きの場合は、第2反転部15Bで反転処理されず、そのまま第3搬送路18Cへ搬送される。
【0119】
これにより、紙葉類をA面及び上向きと、A面及び下向きとに分類することができる。A面及び上向きの紙葉類を集積部21Aに集積し、A面及び下向きを集積部21Bに集積することで、表裏・方向を揃えて紙葉類を分類することができる。
【0120】
また、金種や正損等の他の条件で分類して結束するために、A面及び上向きの紙葉類と、A面及び下向きの紙葉類とを同じ集積部21Aに集積するようにしてもよい。集積部21Aの集積枚数が100枚に到達したとき、結束対象紙葉類は、A面及び上向きの紙葉類と、A面及び下向きの紙葉類との2種類の紙葉類で構成される。
【0121】
このような場合、押印位置決定部174は、識別部14の識別結果から100枚の結束対象紙葉類の内訳、すなわちA面及び上向きの紙葉類の枚数と、A面及び下向きの紙葉類の枚数とを求め、枚数の多い方の種類に基づいてスタンプ印の押印位置を決定する。例えば、A面及び上向きの紙葉類が80枚、A面及び下向きの紙葉類が20枚のとき、制御部170は、記憶部180に記憶されている、紙葉類の種類と、結束紙葉類の結束帯上へのスタンプ印の押印位置との関連付けから、A面及び上向きに対応した押印位置を取得し、駆動制御部160に設定する。
【0122】
あるいはまた、制御部170は、記憶部180に記憶されている、紙葉類の種類と、結束紙葉類の結束帯上へのスタンプ印の押印位置との関連付けから、A面及び上向きに対応した押印位置と、A面及び下向きに対応した押印位置の両方を取得し、A面及び上向きの紙葉類の枚数と、A面及び下向きの紙葉類の枚数との比率から押印位置を決定してもよい。例えば、A面及び上向きの紙葉類が50枚、A面及び下向きの紙葉類が50枚のとき、制御部170は、A面及び上向きに対応した押印位置と、A面及び下向きに対応した押印位置との中間点を押印位置として決定する。
【0123】
同様の方法で、結束対象紙葉類に含まれる、正券と損券の比率、新券と旧券の比率、表券と裏券の比率、又は方向毎の比率や、これらの組み合わせによって、押印位置を決定することができる。
【0124】
このように、結束対象紙葉類に複数種類の紙葉類が混在している場合、スタンプ印の押印位置を、最も枚数の多い種類の紙葉類に対応した押印位置にしたり、各種類の紙葉類に対応した押印位置と枚数の比率とから求めたりすることで、平坦な箇所にスタンプ印を押印することができ、結束帯への押印時に、押印欠けの発生を防止することができる。
【0125】
上記実施形態において、結束帯の結束位置は一定であってもよい。この場合、押印位置決定部174は、結束対象紙葉類の種類に応じて、スタンプ押印位置を紙葉類の短手方向に沿ってのみ変える。
【0126】
上記実施形態では、スタンプ押印位置がスタンプ押印部71の下方に位置するように結束紙葉類を移動させていたが、スタンプ押印部71がスタンプ押印位置の上方に位置するように移動してもよい。
【0127】
(第2の実施形態)上記第1の実施形態では、記憶部180は、紙葉類の種類と、結束紙葉類の結束帯上又は紙葉類上へのスタンプ印の押印位置との関連付けを記憶していたが、紙葉類の種類と、結束帯上又は紙葉類上へのスタンプ印の押印不可位置との関連付けを記憶していてもよい。押印不可位置とは、複数枚の紙葉類を重ねると、表面に凹凸が生じ、押印欠けが発生し易くなる領域である。
【0128】
押印位置決定部174が、紙葉類の種類と、スタンプ印の押印不可位置との関連付けを参照して、スタンプ印の押印位置を決定する2通りの方法について説明する。
【0129】
第1の方法では、1箇所の押印位置を初期設定し、記憶部180等に記憶しておく。初期設定されている押印位置は、例えば結束帯や紙葉類の中央である。押印位置決定部174は、集積部21A〜21Cに集積されている紙葉類の枚数が100枚に到達すると、結束対象紙葉類の種類に基づいて、記憶部180から押印不可位置を取得し、押印位置の初期設定が、この押印不可位置に含まれているか否か判定する。
【0130】
押印位置の初期設定が、この押印不可位置に含まれていない場合は、初期設定のまま、結束処理及び押印処理が行われる。一方、押印位置の初期設定が、この押印不可位置に含まれている場合、押印位置決定部174は、押印不可位置を外れ、かつ初期設定からの移動距離が最短となる位置を押印位置として決定する。
【0131】
第2の方法では、複数箇所の押印位置を、優先順位を付けて初期設定し、記憶部180等に記憶しておく。初期設定されている押印位置は例えば、優先順位の高い順に、紙葉類の中央、中央から短手方向に上に10mmの位置、中央から短手方向に下に10mmの位置、中央から長手方向に右に10mmの位置、中央から長手方向に左に10mmの位置、中央から短手方向に上に20mmの位置、・・・である。
【0132】
押印位置決定部174は、集積部21A〜21Cに集積されている紙葉類の枚数が100枚に到達すると、結束対象紙葉類の種類に基づいて、記憶部180から押印不可位置を取得する。そして、押印位置決定部174は、初期設定されている複数の押印位置で、この押印不可位置に含まれないもののうち、最も優先順位の高いものを押印位置として決定する。
【0133】
このようにして決定した押印位置に基づいて結束処理及び押印処理を行うことでも、結束帯への押印時に、押印欠けの発生を防止することができ、押印を容易に判読することができる。
【0134】
記憶部180は、紙葉類の種類とスタンプ印の押印位置との関連付けと、紙葉類の種類とスタンプ印の押印不可位置との関連付けの両方を記憶していてもよい。
【0135】
この場合、まず、押印位置決定部174が、上記第1の実施形態で説明したように、紙葉類の種類と、結束紙葉類の結束帯上へのスタンプ印の押印位置との関連付けを参照して、結束対象紙葉類の押印位置を仮決定する。
【0136】
次に、押印位置決定部174は、本実施形態で説明したように、紙葉類の種類と、結束帯上へのスタンプ印の押印不可位置との関連付けを参照して、結束対象紙葉類の押印不可位置を求める。
【0137】
そして、仮決定した押印位置が、この押印不可位置に含まれるか否か判定し、含まれている場合は、押印不可位置を外れ、かつ仮決定した押印位置からの移動距離が最短となる位置を押印位置として決定する。
【0138】
(第3の実施形態)図10、図11は、上記第1の実施形態に係る紙葉類処理装置1のホッパ部11の外観斜視図である。
【0139】
図10、図11に示すように、ホッパ部11の両側部には、ホッパ部11において紙葉類を一時保留する保留領域210の幅を規制する幅規制部材220が設けられている。幅規制部材220は、例えば磁石(図示せず)が取り付けられた樹脂で形成され、図11に示すように、位置決め用のピン221が設けられている。ホッパ部11の両側部はステンレス製であり、位置決め用の穴211が設けられている。幅規制部材220は、ピン221及び穴211により位置決めされ、磁石の磁力により、図10に示すように、ホッパ部11の両側部に固定される。
【0140】
このような幅規制部材220をホッパ部11に取り付けることで、繰出部12による繰り出し前に、サイズの小さい紙葉類を中央に寄せておくことができる。そのため、小サイズの紙葉類を結束した場合に、紙葉類の端部が飛び出すことを防止することができる。
【0141】
図12(a)は、幅規制部材220を取り付けたホッパ部11の概略正面図である。図12(a)に示すように、幅規制部材220の下部(繰出部12の近傍)はカットされ、繰出部12の紙葉類載置面との間に隙間が形成されており、ホッパ部11の保留領域210の幅が広がっている。
【0142】
他の実施形態として、図12(b)に示すように、幅規制部材220の下部(繰出部12の近傍)を徐々に細くなるテーパ形状としても良い。要するに、幅規制部材220を取り付けたときの保留領域210の幅を、下部(繰出部12の近傍)のみ広くなるような形状とすれば良い。
【0143】
このことにより、図13(a)に示すようにホッパ部11に大サイズの紙葉類を投入し、端がめくれてしまっても、図13(b)に示すように、ホッパ部11の下部では幅が広がるため、端がめくれることなく、繰出部12により繰り出すことができる。
【0144】
図14は、幅規制部材220を取り付けたホッパ部11の概略平面図(上面図)である。図14に示すように、幅規制部材220の紙葉類投入側はテーパになっている。そのため、幅規制部材220によりホッパ部11の保留領域210の幅が、投入する紙葉類の幅(長手方向の長さ)より小さい場合でも、テーパにより紙葉類をホッパ部11に投入し易くなっている。
【0145】
このように、ホッパ部11の両側部に幅規制部材220を設けることで、小サイズの紙葉類を中央に寄せておき、結束した場合に、紙葉類の端部が飛び出すことを防止することができる。また、大サイズの紙葉類をホッパ部11に容易に投入し、かつ、端がめくれることなく、繰出部12により繰り出すことができる。
【0146】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0147】
1 紙葉類処理装置
2 紙葉類分類集積装置
3 紙葉類結束装置
22 結束部
71 スタンプ押印部
170 制御部
174 押印位置決定部
180 記憶部
11 ホッパ部
12 繰出部
220 幅規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束対象の紙葉類を結束帯で結束して結束紙葉類を作成する結束部と、
前記結束紙葉類の結束帯上にスタンプ印を押印する押印部と、
前記紙葉類の種類と、前記結束帯上又は前記紙葉類上への前記スタンプ印の押印位置との関連付けを記憶する記憶部と、
前記関連付けを参照し、前記結束対象の紙葉類の種類に対応する前記スタンプ印の押印位置を求め、この求めた押印位置に基づいて、前記スタンプ印の押印時の前記スタンプ印と前記結束帯又は前記結束紙葉類との位置関係を調整する制御部と、
を備える紙葉類結束装置。
【請求項2】
結束対象の紙葉類を結束帯で結束して結束紙葉類を作成する結束部と、
前記結束紙葉類の結束帯上にスタンプ印を押印する押印部と、
前記紙葉類の種類と、前記結束帯上又は前記紙葉類上への前記スタンプ印の押印不可位置との関連付けを記憶する記憶部と、
前記関連付けを参照し、前記結束対象の紙葉類の種類に対応する前記スタンプ印の押印位置を求め、この求めた押印位置に基づいて、前記スタンプ印の押印時の前記スタンプ印と前記結束帯又は前記結束紙葉類との位置関係を調整する制御部と、
を備える紙葉類結束装置。
【請求項3】
前記紙葉類は紙幣であり、前記種類は金種を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の紙葉類結束装置。
【請求項4】
前記種類は正損又は券種の少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項3に記載の紙葉類結束装置。
【請求項5】
前記種類は表裏及び方向を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の紙葉類結束装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記結束紙葉類に含まれる正券と損券の比率、又は新券と旧券の比率に応じて前記スタンプ印の押印位置を求めることを特徴とする請求項4又は5に記載の紙葉類結束装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記結束紙葉類に含まれる表券と裏券の比率、又は方向毎の比率に応じて前記スタンプ印の押印位置を求めることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の紙葉類結束装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記求めた押印位置に基づいて、前記スタンプ印に対する前記結束紙葉類の位置を調整することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の紙葉類結束装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記求めた押印位置に基づいて、前記結束紙葉類に対する前記スタンプ印の位置を調整することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の紙葉類結束装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記求めた押印位置に基づいて、前記結束部に対して前記結束帯の結束位置を指示することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の紙葉類結束装置。
【請求項11】
前記記憶部は、前記紙葉類の種類と、前記結束帯上への前記スタンプ印の押印不可位置との関連付けをさらに記憶し、
前記制御部は、前記紙葉類の種類と前記スタンプ印の押印位置との関連付け、及び前記紙葉類の種類と前記スタンプ印の押印不可位置との関連付けを参照して、前記スタンプ印の押印位置を求めることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類結束装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−250745(P2012−250745A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125243(P2011−125243)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】