紙葉類識別ユニット、および紙葉類処理装置
【課題】紙葉類の反射画像を読み取るイメージセンサの各受光素子に対して、感度の劣化に対する補正が適正に行え、信頼性の向上を図った紙葉類識別ユニットを提供する。
【解決手段】感度レベル検出手段は、反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力から感度レベルを検出する。さらに、補正係数更新手段は、第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新以後に、感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの基準値に基づいて補正係数を更新する。感度レベルの基準値は、例えば、前回の補正係数の更新以後に、感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの平均値等とすればよい。
【解決手段】感度レベル検出手段は、反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力から感度レベルを検出する。さらに、補正係数更新手段は、第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新以後に、感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの基準値に基づいて補正係数を更新する。感度レベルの基準値は、例えば、前回の補正係数の更新以後に、感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの平均値等とすればよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送路に沿って搬送されている紙葉類の種別や真偽を識別する紙葉類識別ユニット、および、この紙葉類識別ユニットを適用した紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行等の金融機関は、利用者の入力操作に応じて、入金取引や出金取引等の各種取引を処理する現金自動預け払い機(以下、ATMと言う。)を店舗等に設置している。ATMは、周知のように、入金取引や出金取引等にかかる紙幣について、その真偽や金種を識別する紙幣識別ユニットを設けた、紙幣処理装置を有している。
【0003】
紙幣処理装置は、金種別カートリッジと、入出金口と、を結ぶ紙幣搬送路を有し、この紙幣搬送路に沿って紙幣を搬送する。紙幣識別ユニットは、この紙幣搬送路に沿って搬送している紙幣の画像を読み取るイメージセンサを有する。紙幣識別ユニットは、このイメージセンサを用いて読み取った紙幣の画像を用いて、紙幣の種別や真偽を識別する。
【0004】
なお、紙幣の種別や真偽を、上述した画像だけでなく、その紙幣から読み取った磁気パターンや、検出した厚さ等も用いて識別する紙幣識別ユニットもある。
【0005】
従来の一般的な紙幣識別ユニットは、複数の受光素子を一列に並べたラインセンサをイメージセンサとして備えている。イメージセンサは、複数の受光素子が紙幣搬送路における紙幣の搬送方向に直交する方向(以下、主走査方向と言う。)に並ぶ向きに配置している。紙幣の反射画像は、紙幣搬送路に対して、光源をラインセンサと同じ側に配置して読み取る。また、透過画像は、紙幣搬送路を挟んで光源とラインセンサとを対向させて配置して読み取る。
【0006】
イメージセンサの複数の受光素子には、感度にバラツキがある。このため、受光素子毎に、その出力値に乗じる補正係数を記憶し、イメージセンサの読取画像を、補正係数を用いて補正し、受光素子間の感度のバラツキを抑えた補正画像を得ている。この補正画像により、金種や真偽を識別する。
【0007】
受光素子は、汚れや経年変化等により、その感度が変化(劣化)するので、この変化に応じて補正係数を更新する必要がある。透過画像を読み取るイメージセンサは、利用者を待っている待ち時間等の適当なタイミングで、紙幣搬送路上に紙幣が位置していないときに、各受光素子の出力を検出する。そして、受光素子毎に、検出した出力値を適正値に合わせる補正係数を算出し、ここで算出した値に更新すればよい。
【0008】
一方、反射画像を読み取るイメージセンサは、運用時に識別した紙幣からの反射光を受光したときの各受光素子の出力を、適正値に合わせる補正係数に更新すると、紙幣の汚れ等による影響を受けることになる。この影響を抑えるために、紙幣の四隅などの、汚れが少ないと推定される一部の領域からの反射光を受光した受光素子の出力を、適正値に合わせる補正係数に更新するとともに、この更新した受光素子の更新前後における補正係数の比率に基づき、他の受光素子の補正係数を更新する提案がなされている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−34448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載されている構成は、感度の劣化の度合がラインセンサの各受光素子で一律であるということを前提にしており、受光素子間でバラツキがあることを考慮していなかった。また、一部の受光素子において、埃等の付着によって、出力が下がることもある。
【0011】
したがって、特許文献1の構成では、反射画像を読み取るイメージセンサの各受光素子に対する補正係数を適正に設定することができない。すなわち、金種や真偽の識別に用いる補正画像(識別用画像)の精度が低下する。その結果、紙幣の識別精度を低下させるという問題があった。
【0012】
この発明の目的は、紙葉類の反射画像を読み取るイメージセンサの各受光素子に対して、感度の劣化に対する補正が適正に行え、信頼性の向上を図った紙葉類識別ユニットを提供することにある。
【0013】
また、この紙葉類識別ユニットを適用した紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明にかかる紙葉類識別ユニットは、上記課題を解決し、その目的を達するために以下ように構成した。
【0015】
反射画像読取手段は、搬送路に沿って搬送される紙葉類の反射画像を読み取る。この反射画像読取手段は、搬送路に沿って搬送される紙葉類に対向する一方の側に配置した、紙葉類を照らす第1の光源、および、その反射光を受光する複数の受光素子を、紙葉類の搬送方向に直交する主走査方向に並べた第1のイメージセンサを有する。補正係数記憶手段は、第1のイメージセンサの受光素子毎に、その出力に対する補正係数を記憶する。この補正係数は、第1のイメージセンサの受光素子間の感度のバラツキを補正する係数である。識別用画像生成手段が、反射画像読取手段で読み取った紙葉類の反射画像を、補正係数を用いて補正した識別用画像を生成する。すなわち、識別用画像は、第1のイメージセンサの受光素子間の感度のバラツキを抑えた画像である。そして、識別手段は、生成された識別用画像により、その紙葉類の種別や真偽等を識別する。
【0016】
また、感度レベル検出手段は、反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力から感度レベルを検出する。さらに、補正係数更新手段は、第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新以後に、感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの基準値に基づいて補正係数を更新する。感度レベルの基準値は、例えば、前回の補正係数の更新以後に、感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの平均値等とすればよい。
【0017】
補正係数更新手段は、例えば、第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新時に得た感度レベルの基準値と、前回の補正係数の更新以後に検出した感度レベルの基準値と、に基づいて補正係数を更新すればよい。これにより、前回更新時の感度レベルからの劣化に応じた補正係数の更新が行える。
【0018】
したがって、第1のイメージセンサの受光素子毎にその受光素子の感度の劣化に応じて補正係数を設定することができるので、適正な識別用画像の生成が行える。これにより、紙葉類の識別精度の低下を抑え、信頼性の向上が図れる。
【0019】
また、感度レベル検出手段は、例えば、反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力の平均値を感度レベルとして検出する構成とすればよい。これにより、紙葉類に描かれている文字や図柄等の影響を抑え、受光素子毎に感度レベルを検出し、補正係数を更新することができる。
【0020】
また、感度レベル検出手段については、識別手段が識別した紙葉類の種別が予め定めた対象種別でないとき、感度レベルの検出を行わない構成としてもよい。これにより、各受光素子の補正係数は、対象種別の紙葉類についてのみ検出した感度レベルに基づいて更新される。したがって、紙葉類の種別の違いによる影響を受けることなく、受光素子毎に感度レベルを検出し、補正係数を更新することができる。
【0021】
また、搬送路を挟んで配置した、紙葉類を照らす第2の光源と、前記主走査方向に複数の受光素子を並べた第2のイメージセンサと、を有し、搬送路に沿って搬送される紙葉類の透過画像を読み取る透過画像読取手段設けるとともに、この透過画像読取手段が読み取った透過画像により、その紙葉類の汚れの度合を検出する汚れ検出手段を設ける。そして、感度レベル検出手段が、汚れ検出手段が検出した汚れの度合が予め定めたレベルを超えていたとき、感度レベルの検出を行わない構成としてもよい。これにより、各受光素子の補正係数の更新が、汚れの度合が大きい紙葉類を用いることなく行える。
【0022】
また、汚れ検出手段を、紙葉類を複数に分割した領域毎に、汚れの度合を検出する構成とするとともに、感度レベル検出手段を、いずれかの領域において、汚れ検出手段が検出した汚れの度合が予め定めたレベルを超えていたとき、感度レベルの検出を行わない構成としてもよい。
【0023】
このようにすれば、各受光素子の補正係数の更新が一層適正に行える。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、第1のイメージセンサの受光素子毎にその受光素子の感度の劣化に応じて補正係数を設定することができるので、適正な識別用画像の生成が行える。したがって、紙葉類の識別精度の低下を抑え、信頼性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】現金自動預け払い機の外観を示す概略図である。
【図2】現金自動預け払い機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図3】紙幣処理部の内部構成を示す概略図である。
【図4】紙幣識別部の主要部の構成を示すブロック図である。
【図5】反射画像読取部、および透過画像読取部の概略図である。
【図6】反射画像読取部、および透過画像読取部のラインセンサを示す図である。
【図7】ラインセンサによる紙幣の反射画像、および透過画像の読み取り手順を説明する図である。
【図8】紙幣識別処理を示すフローチャートである。
【図9】更新関連情報記憶処理を示すフローチャートである。
【図10】補正係数更新処理を示すフローチャートである。
【図11】紙幣を複数の領域に分割する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0027】
図1は、現金自動預け払い機の外観を示す概略図であり、図2は、現金自動預け払い機の主要部の構成を示すブロック図である。この現金自動預け払い機1(以下、ATM1と言う。)には、本願発明の実施形態にかかる紙葉類処理装置(後述する紙幣処理部4)が適用されており、さらに、この紙幣処理部には、本願発明の実施形態にかかる紙葉類識別ユニット(後述する紙幣識別部20)が適用されている。ATM1は、金融機関の店舗やコンビニエンスストア等に設置される。ATM1は、利用者の入力操作に応じて、入金取引や出金取引等の各種取引を処理する。ATM1は、主制御部2と、表示・操作部3と、紙幣処理部4と、硬貨処理部5と、カード・明細書処理部6と、通帳処理部7と、生体情報読取部8と、通信部9と、を備えている。主制御部2は、ATM1本体各部の動作を制御し、利用者が要求した取引を処理する。
【0028】
表示・操作部3は、本体正面に設けた表示器3a、およびこの表示器3aの画面上に貼付したタッチパネル3b等を有している。表示・操作部3は、利用者に対する操作案内画面を表示器3aに表示する。また、表示・操作部3は、タッチパネル3bの押下位置を検知することにより、暗証番号や取引内容(取引種別、入出金金額等)にかかる利用者の入力操作を検出する。
【0029】
紙幣処理部4は、入出金紙幣を処理する。本体正面には、入出金紙幣を収納する紙幣入出金口4aを設けている。この紙幣入出金口4aには、シャッタが設けられている。また、紙幣入出金口4aには、入金紙幣、出金紙幣、および返却紙幣の収納場所を区別する仕切り板が設けられている。紙幣処理部4は、このシャッタの開閉により、紙幣入出金口4aに対する紙幣の投入や取り出しを制限する。紙幣処理部4の詳細な構成については、後述する。
【0030】
硬貨処理部5は、本体正面に設けた硬貨入出金口5aと、本体内部に収納されている硬貨カートリッジと、の間に形成された硬貨搬送路に沿って硬貨を搬送する。また、硬貨処理部5は、硬貨搬送路に沿って搬送している硬貨毎に、金種、および真偽を識別する硬貨識別部を有している。
【0031】
カード・明細書処理部6は、本体正面に設けたカード挿入口6aに挿入されたキャッシュカード(以下、単にカードと言う。)を取り込み、このカードの磁気ストライプに記録されているカード情報(金融機関番号、店舗番号、口座番号等)の読み取りや、カード情報の書き換え等を行う。また、挿入されたカードがICカードである場合には、必要に応じて、そのカードのICチップに記録されているデータの読み取りや、書き換えも行う。ICチップには、このカードの所有者である利用者の生体情報(登録情報)等が記録されている。さらに、カード・明細書処理部6は、取引内容を明細書に印字する印字部(不図示)を有する。カード・明細書処理部6は、取引内容を印字した明細書を本体正面に設けた明細書放出口6bに放出する。
【0032】
通帳処理部7は、本体正面に設けた通帳挿入口7aに挿入された通帳を取り込み、この通帳に対して取引履歴を印字する印字部(不図示)を有している。また、通帳処理部7は、取り込んだ通帳のページを捲るページ捲り機構や、通帳に印刷されているページ番号を示すバーコードを読み取るバーコードリーダ、通帳に貼付されている磁気ストライプに記録されている通帳情報(金融機関番号、店舗番号、口座番号等)を読み取る磁気ヘッド等も有している。
【0033】
また、生体情報読取部8は、本体正面に設けた生体情報読取センサ8aを有している。この生体情報読取センサ8aは、利用者の指静脈パターンを読み取る。ここでは、生体情報読取センサ8aとして、指静脈パターンを読み取るセンサを例にしているが、掌静脈、虹彩、網膜等の他の種類の生体情報を読み取るセンサとしてもよい。生体情報読取部8は、生体情報読取センサ8aで読み取った利用者の生体情報(読取情報)と、カードのICチップに記録されている生体情報(登録情報)と、を照合し、その類似度から利用者とカードの所有者とが同一人物であるかどうかを認証する。さらに、通信部9は、ネットワークを介して、金融機関のホスト装置(不図示)との通信を制御する。
【0034】
次に、紙幣処理部4の構成について説明する。図3は、紙幣処理部の内部構成を示す概略図である。紙幣処理部4は、金種別カートリッジ11〜14と、回収カートリッジ15とを内部に収納している。金種別カートリッジ11〜14、および回収カートリッジ15は、本体に対して着脱自在である。金種別カートリッジ11、12は、1万円紙幣を収納する。金種別カートリッジ13は、千円紙幣を収納する。金種別カートリッジ14は、2千円紙幣、および5千円紙幣を収納する。回収カートリッジ15は、取引に使用できないと判断した紙幣を収納する。金種別カートリッジ14に収納している紙幣(2千円紙幣、および5千円紙幣)、および回収カートリッジ15に収納している紙幣は出金紙幣として利用しない。このため、金種別カートリッジ14、および回収カートリッジ15については、紙幣の繰り出し機構を有していない構成であってもよい。
【0035】
また、紙幣処理部4は、入金紙幣等を一時的に収納し、保留する一時保留部16を有している。さらに、入出金口4a、金種別カートリッジ11〜14、回収カートリッジ15、一時保留部16を結ぶ紙幣搬送路17を有している。紙幣処理部4は、この紙幣搬送路17に沿って、紙幣を搬送する紙幣搬送部(不図示)を有している。また、紙幣搬送部は、紙幣搬送路17の分岐点等に設けられているフラッパを制御し、搬送している紙幣の搬送先を制御する。さらに、紙幣処理部4は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の金種、および真偽を識別する紙幣識別部20を有している。紙幣識別部20は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣毎に、その紙幣の反射画像、および透過画像を読み取る。
【0036】
図4は、紙幣識別部の主要部の構成を示すブロック図である。紙幣識別部20は、制御部21と、画像処理部22と、反射画像読取部23と、透過画像読取部24と、記憶部25と、入出力部26と、を備えている。制御部21は、紙幣識別部20の各部の動作を制御する。反射画像読取部23は、紙幣搬送路17を搬送されている紙幣の反射画像を読み取る。透過画像読取部24は、紙幣搬送路17を搬送されている紙幣の透過画像を読み取る。
【0037】
反射画像読取部23は、図5に示すように、紙幣搬送路17の一方の側に配置した、光源23a、およびラインセンサ23bを有する。また、透過画像読取部24は、紙幣搬送路17を挟んで、光源24aと、ラインセンサ24bと、を対向させて配置している。ラインセンサ23b、24bは、図6に示すように、一列に並べた複数の受光素子(ここでは、100個の受光素子とする。)を有する。ラインセンサ23b、24bは、受光素子が紙幣搬送路17における紙幣の搬送方向に対して直交する主走査方向(図5における、紙面に垂直な方向)に並ぶように配置している。図6に示す2桁の数字(「00」〜「99」)は、受光素子の番号を示している。ラインセンサ23bの各受光素子は、光源23aから照射され、搬送されている紙幣表面で反射された光を受光する。ラインセンサ24bの各受光素子は、光源24aから照射され、搬送されている紙幣を透過した光を受光する。
【0038】
反射画像読取部23、および透過画像読取部24は、図7に示すように、紙幣搬送路17を搬送されている紙幣に対して、ラインセンサ23b、24bの各受光素子で、主走査方向の1ライン分の画像を読み取る。反射画像読取部23、および透過画像読取部24は、紙幣搬送部が紙幣を副走査方向(主走査方向に直交する方向であり、紙幣搬送路17における紙幣の搬送方向)に一定量搬送する毎に、繰り返し、主走査方向の1ライン分の画像を読み取る。反射画像読取部23は、ラインセンサ23bの読み取り位置を、紙幣の先端が通過してから、後端が通過するまでの間、主走査方向に1ラインずつ読み取った反射画像をつなぐことにより、紙幣1枚分の反射画像(読取反射画像)を得る。同様に、透過画像読取部24は、ラインセンサ24bの読み取り位置を、紙幣の先端が通過してから、後端が通過するまでの間、主走査方向に1ラインずつ読み取った透過画像をつなぐことにより、紙幣1枚分の透過画像(読取透過画像)を得る。
【0039】
画像処理部22は、反射画像読取部23が読み取った読取反射画像に対して、ラインセンサ23bの各受光素子の感度のバラツキ等に応じた補正を行い、識別用反射画像を生成する。また、画像処理部22は、透過画像読取部24が読み取った読取透過画像に対して、ラインセンサ24bの各受光素子の感度のバラツキ等に応じた補正を行い、識別用透過画像を生成する。上述の補正は、各受光素子の出力A(n)を、その受光素子に対して記憶部25に記憶している補正係数を乗じた値(補正値)に補正する処理である。
【0040】
記憶部25は、ラインセンサ23b、24bの受光素子毎に、補正係数を記憶している。ここでは、ラインセンサ23bの各受光素子の補正係数を、α(n)(nは、受光素子の番号であり、ここでは図6に示した「00」〜「99」)、ラインセンサ24bの各受光素子の補正係数を、β(i)(iは、受光素子の番号であり、ここでは図6に示した「00」〜「99」)とする。
【0041】
上述したように、ラインセンサ23bの受光素子が100個である場合、記憶部25は、ラインセンサ23bについて、100個の補正係数(α(00)〜α(99))を記憶している。同様に、ラインセンサ24bの受光素子が100個である場合、記憶部25は、ラインセンサ24bについて、100個の補正係数(β(00)〜β(99))を記憶している。ラインセンサ23bにかかる補正係数α(n)は、このラインセンサ23bの受光素子間の感度のバラツキを補正するものである。具体的には、各受光素子の受光量が同じである場合、そのときの出力A(n)の大きさ(検出値)を同等の値に変換する係数である。同様に、ラインセンサ24bにかかる補正係数は、このラインセンサ24bの受光素子間の感度のバラツキを補正するものである。
【0042】
紙幣識別部20は、補正係数α(n)、β(i)は、適当なタイミングで更新する機能を有している。補正係数α(n)、β(i)を更新するタイミングは、個別に設定できる。
【0043】
上述の説明から明らかなように、画像処理部22は、ラインセンサ23bで読み取った反射画像における各受光素子の出力A(n)を、その受光素子ついて記憶している補正係数α(n)を乗じた値に補正した識別用反射画像を生成する。また、画像処理部22は、ラインセンサ24bで読み取った透過画像における各受光素子の出力B(i)を、その受光素子について記憶している補正係数β(i)を乗じた値に補正した識別用透過画像を生成する。
【0044】
画像処理部22は、生成した識別用反射画像、および識別用透過画像を用いて、紙幣の金種や真偽を識別する。この識別結果は、入出力部26を介して、紙幣処理部4に通知される。紙幣処理部4は、通知された識別結果に応じて紙幣の搬送先を判断し、紙幣搬送部に指示する。紙幣搬送部は、この指示にしたがって、紙幣を搬送する。
【0045】
また、記憶部25は、上述した補正係数α(n)、β(i)だけでなく、対象種別の紙幣の処理枚数Nのカウント値を記憶する。また、ラインセンサ23bの各受光素子の前回基準値x(n)や、ラインセンサ24bの各受光素子の基準値y(i)等を記憶する。この前回基準値x(n)は、前々回の補正係数α(n)の更新から、前回の補正係数α(n)の更新までの間における、その受光素子の検出値、または、この検出値に補正係数α(n)を乗じた補正値の平均値である。ここでは、補正値の平均値として説明する。また、ラインセンサ23bの受光素子毎に、前回の補正係数α(n)の更新から、現時点までの間における、受光素子の基準値x’(n)の算出に用いる累積値p(n)を記憶する。
【0046】
なお、ラインセンサ24bについては、光源24aとラインセンサ24bとの間に紙幣が位置していないときに、各受光素子の出力B(i)を検出する。そして、受光素子毎に、補正係数β(i)を
補正係数β(i)=出力B(i)/基準値y(i)
により算出し、記憶部25に記憶している補正係数β(i)を更新する。
【0047】
次に、この実施形態にかかるATM1の全体動作について簡単に説明しておく。ここではATM1における入金取引、および出金取引の処理手順について簡単に説明する。
【0048】
入金取引では、ATM1は、入出金口4aに投入された入金紙幣を、1枚ずつ紙幣搬送路17に繰り出し、紙幣識別部20で金種、および真偽を識別する。紙幣処理部4は、その金種、および真券であることが識別された入金紙幣を、一時保留部16に搬送し、収納する。一方、紙幣処理部4は、金種、または、真券であることの少なくとも一方が識別できなかった紙幣を入出金口4aに戻し、利用者に返却する。ATM1は、利用者により、入金金額が確定されると、確定された入金金額を利用者の口座(指定された口座)に入金する入金処理を行う。この入金処理は、利用者の口座番号や入金金額をホスト装置に通知する処理である。また、カード・明細書処理部6で取引内容を印字した明細票の発行、または、通帳処理部7で今回受け付けた通帳への取引内容の印字を行う。
【0049】
紙幣処理部4は、その後、一時保留部16に保留している紙幣を1枚ずつ繰り出し、再度、紙幣識別部20で金種、および真偽を識別する。紙幣処理部4は、紙幣毎に、その紙幣について識別した金種のカートリッジに搬送し、収納する。紙幣処理部4は、金種、または、真券であることの少なくとも一方が識別できなかった紙幣を回収カートリッジ15に搬送し、収納する。
【0050】
また、出金取引では、ATM1は、指定された出金金額に応じて、金種毎に出金する紙幣の枚数を確定する。紙幣処理部4は、金種毎に、金種別カートリッジ11〜13から確定した枚数の紙幣を繰り出し、紙幣識別部20で金種、および真偽を識別する。紙幣処理部4は、金種、および真券であることが識別できた紙幣を、入出金口4aに搬送し、収納する。一方、金種、または、真券であることの少なくとも一方が識別できなかった紙幣を回収カートリッジ15に搬送し、収納する。また、紙幣を回収カートリッジ15に収納する毎に、その紙幣を繰り出した金種別カートリッジ11〜13から、新たに紙幣を1枚繰り出す。
【0051】
ATM1は、出金金額に応じた紙幣を入出金口4aに収納すると、出金金額を利用者の口座(指定された口座)から出金する出金処理を行う。この出金処理は、利用者の口座番号や出金金額をホスト装置に通知する処理である。ATM1は、入出金口4aに設けたシャッタを開し、この入出金口4a内に収納している紙幣を、利用者に対して放出する。また、カード・明細書処理部6で取引内容を印字した明細票の発行、または、通帳処理部7で今回受け付けた通帳への取引内容の印字を行う。
【0052】
ここで、紙幣識別部20における、紙幣の識別処理について説明する。図8は、この紙幣識別処理を示すフローチャートである。紙幣識別部20は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣毎に、この図8に示す処理を実行する。反射画像読取部23が、ラインセンサ23bにより、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣から、主走査方向の1ライン分の反射画像を読み取ると(s1)、この1ライン分の反射画像に対する、識別用反射画像を生成する(s3)。s3では、ラインセンサ23bの受光素子毎に、対応する補正係数α(n)を出力A(n)に乗じた画像を生成する。また、透過画像読取部24が、ラインセンサ24bにより、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣から、主走査方向の1ライン分の透過画像を読み取ると(s2)、この1ライン分の透過画像に対する、識別用透過画像を生成する(s4)。s4では、ラインセンサ23bの受光素子毎に、対応する補正係数β(i)を出力B(i)に乗じた画像を生成する。
【0053】
紙幣識別部20は、1枚の紙幣について、その全体にかかる識別用反射画像、および識別用透過画像の生成が完了すると(s5、s6)、その紙幣の金種、および真偽を識別する(s7)。s7では、金種毎に記憶している反射画像、および透過画像のテンプレートと、今回生成した識別用反射画像、および識別用透過画像と、を照合し、その一致度によって、紙幣の金種、および真偽を識別する。この識別の詳細については、公知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0054】
紙幣識別部20は、s7で金種、または真偽の少なくとも一方が識別できなかったとき、その紙幣を使用不可と判定し(s10)、その旨を紙幣搬送部に通知する。一方、紙幣識別部20は、s7で金種、および真券であることの両方が識別できたとき、その紙幣を使用可と判定し(s8)、その旨を紙幣搬送部に通知する。また、紙幣識別部20は、ラインセンサ23bの各受光素子の補正係数α(n)の更新に用いる更新関連情報記憶処理を行う(s9)。
【0055】
図9は、s9にかかる更新関連情報記憶処理を示すフローチャートである。紙幣識別部20は、その紙幣の金種が1万円紙幣であるかどうかを判定する(s11)。ここでは、補正係数α(n)の更新に用いる紙幣の金種(この発明で言う、対象種別)を1万円紙幣に限定することによって、紙幣に描かれている文字や模様の違いが、補正係数α(n)の更新に用いる更新関連情報に与える影響を抑えている。紙幣識別部20は、s11で1万円紙幣でないと判定すると、本処理を終了する。
【0056】
紙幣識別部20は、その紙幣の金種が1万円紙幣であると判定すると、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の向きが、予め定めた向きであるかどうかを判定する(s12)。紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の向きは、表裏反転、および左右反転にかかる4通りがある。ここでは、紙幣の向きの違いにともなう読取画像の変化が、更新関連情報に与える影響を抑えている。紙幣識別部20は、s11で予め定めた向きでないと判定すると、本処理を終了する。
【0057】
紙幣識別部20は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の向きが予め定めた向きであると判定すると、この紙幣の汚れの度合が、予め定めたレベルを超えているかどうかを判定する(s13)。s13では、この紙幣について生成した識別用透過画像全体の明るさに基づいて判定する。例えば、この識別用透過画像の全画素について、その画素値の平均を算出し、これが予め定めた値(第1の閾値)よりも小さければ、汚れの度合が予め定めたレベルを超えていると判定する。紙幣識別部20は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の汚れの度合が予め定めたレベルを超えていると判定すると、本処理を終了する。これにより、紙幣の汚れが更新関連情報に与える影響を抑えている。
【0058】
上述したs11〜s13にかかる処理の順番は、どのような順番であってもよい。
【0059】
なお、識別用透過画像の全画素について算出した画素値の平均が、別に定めた値(第2の閾値(第2の閾値>第1の閾値)よりも大きいときには、すり切れている紙幣であると判定し、本処理を終了する構成としてもよい。このようにすれば、使い古されて、すり切れている紙幣や、穴が空いている紙幣が更新関連情報に与える影響が抑えられる。
【0060】
紙幣識別部20は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の汚れの度合が予め定めたレベルを超えていない(適正なレベルである。)と判定すると、実行回数Nをカウントしているカウント値Nをインクリメントする(N=N+1)(s14)。この実行回数Nは、以下に示すs15以降の処理を行った紙幣の枚数をカウントしている。
【0061】
紙幣識別部20は、ラインセンサ23bの受光素子毎に、今回作成した識別用反射画像における、副走査方向の補正値(出力A(n)に補正係数α(n)を乗じた値)の総和を、副走査方向のライン数で除した値を感度レベルとして算出する(s15)。すなわち、s15で算出する各受光素子の感度レベルは、今回作成した識別用反射画像における、当該受光素子の補正値の平均値である。
【0062】
なお、ここでは、感度レベルを、補正値の平均値としたが、上述したように、出力A(n)の平均値としてもよい。
【0063】
紙幣識別部20は、ラインセンサ23bの受光素子毎に、記憶している累積値p(n)を、その受光素子についてs14で算出した感度レベル(n)を加算した値に更新する(s16)。すなわち、s16では、ラインセンサ23bの受光素子毎に、記憶部25に記憶している累積値p(n)を、
p(n)=p(n)+感度レベル(n)
に更新する。
【0064】
このように、紙幣識別部20は、特定の金種(1万円紙幣)で、紙幣搬送路17で搬送されている向きが特定の向きで、さらに、汚れの度合が予め定めたレベルを超えていない紙幣について、ラインセンサ23bの受光素子毎に感度レベルを算出する。そして、ラインセンサ23bの受光素子毎に、その受光素子について算出した感度レベル(n)の総和を、累積値p(n)として記憶する。
【0065】
紙幣識別部20は、実行回数Nが予め定めた回数(例えば、1000回)を超えているかどうかを判定する(s17)。紙幣識別部20は、s17で予め定めた回数を超えていないと判定すると、本処理を終了する。一方、s17で予め定めた回数を超えていると判定すると、補正係数更新処理を実行する(s18)。
【0066】
図10は、s18にかかる補正係数更新処理を示すフローチャートである。この補正係数更新処理は、ラインセンサ23bの各受光素子の補正係数α(n)を更新する処理である。まず、ラインセンサ23bの受光素子毎に、今回基準値x’(n)を算出する(s21)。今回基準値x’(n)は、この時点で記憶している累積値p(n)を、実行回数Nで除した値である。すなわち、前回の補正係数α(n)の更新から、現時点(今回の補正係数α(n)の更新時)までの間における、感度レベルの平均である。
【0067】
紙幣識別部20は、ラインセンサ23bの受光素子毎に、s21で算出した今回基準値x’(n)、記憶部25に記憶している前回基準値x(n)を用いて、記憶部25に記憶している補正係数を更新する(s22)。s22では、各受光素子の補正係数α(n)を、
α(n)=α(n)×前回基準値x(n)/今回基準値x’(n)
により算出した値に更新する。
【0068】
また、紙幣識別部20は、記憶部25に記憶している実行回数N、および累積値p(n)をリセットする(s23)。さらに、前回基準値x(n)を、s21で算出したx’(n)に更新する(s24)。
【0069】
このように、この紙幣識別部20は、反射画像を読み取るラインセンサ23bの受光素子毎に、その受光素子の劣化の度合に応じて、補正係数α(n)を更新することができる。したがって、適正な識別用反射画像の生成が行えるので、紙葉類の識別精度の低下が抑えられ、信頼性の向上が図れる。
【0070】
なお、工場出荷時は、前回基準値の初期値を記憶部25に記憶させている。
【0071】
また、紙幣を図11に示すように、複数のブロックに分割し(ここでは、ブロックw1〜w8の8ブロックに分割した例を示している。)、ブロック毎に汚れの度合を検出し、いずれかのブロックにおいて、設定値よりも大きく汚れている紙幣については、補正係数更新処理の対象外紙幣であると判定する構成としてもよい。このようにすれば、一部の受光素子(汚れの度合が大きいブロックを読み取る受光素子)の補正係数α(n)が、不適正な値に設定されるのを防止できる。
【0072】
また、本願発明は、紙幣を識別する紙幣識別ユニットだけでなく、小切手や証券等を識別する装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0073】
4…紙幣処理部
4a…紙幣入出金口
17…紙幣搬送路
20…紙幣識別部
21…制御部
22…画像処理部
23…反射画像読取部
23a…光源
23b…ラインセンサ
24…透過画像読取部
24a…光源
24b…ラインセンサ
25…記憶部
26…入出力部
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送路に沿って搬送されている紙葉類の種別や真偽を識別する紙葉類識別ユニット、および、この紙葉類識別ユニットを適用した紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行等の金融機関は、利用者の入力操作に応じて、入金取引や出金取引等の各種取引を処理する現金自動預け払い機(以下、ATMと言う。)を店舗等に設置している。ATMは、周知のように、入金取引や出金取引等にかかる紙幣について、その真偽や金種を識別する紙幣識別ユニットを設けた、紙幣処理装置を有している。
【0003】
紙幣処理装置は、金種別カートリッジと、入出金口と、を結ぶ紙幣搬送路を有し、この紙幣搬送路に沿って紙幣を搬送する。紙幣識別ユニットは、この紙幣搬送路に沿って搬送している紙幣の画像を読み取るイメージセンサを有する。紙幣識別ユニットは、このイメージセンサを用いて読み取った紙幣の画像を用いて、紙幣の種別や真偽を識別する。
【0004】
なお、紙幣の種別や真偽を、上述した画像だけでなく、その紙幣から読み取った磁気パターンや、検出した厚さ等も用いて識別する紙幣識別ユニットもある。
【0005】
従来の一般的な紙幣識別ユニットは、複数の受光素子を一列に並べたラインセンサをイメージセンサとして備えている。イメージセンサは、複数の受光素子が紙幣搬送路における紙幣の搬送方向に直交する方向(以下、主走査方向と言う。)に並ぶ向きに配置している。紙幣の反射画像は、紙幣搬送路に対して、光源をラインセンサと同じ側に配置して読み取る。また、透過画像は、紙幣搬送路を挟んで光源とラインセンサとを対向させて配置して読み取る。
【0006】
イメージセンサの複数の受光素子には、感度にバラツキがある。このため、受光素子毎に、その出力値に乗じる補正係数を記憶し、イメージセンサの読取画像を、補正係数を用いて補正し、受光素子間の感度のバラツキを抑えた補正画像を得ている。この補正画像により、金種や真偽を識別する。
【0007】
受光素子は、汚れや経年変化等により、その感度が変化(劣化)するので、この変化に応じて補正係数を更新する必要がある。透過画像を読み取るイメージセンサは、利用者を待っている待ち時間等の適当なタイミングで、紙幣搬送路上に紙幣が位置していないときに、各受光素子の出力を検出する。そして、受光素子毎に、検出した出力値を適正値に合わせる補正係数を算出し、ここで算出した値に更新すればよい。
【0008】
一方、反射画像を読み取るイメージセンサは、運用時に識別した紙幣からの反射光を受光したときの各受光素子の出力を、適正値に合わせる補正係数に更新すると、紙幣の汚れ等による影響を受けることになる。この影響を抑えるために、紙幣の四隅などの、汚れが少ないと推定される一部の領域からの反射光を受光した受光素子の出力を、適正値に合わせる補正係数に更新するとともに、この更新した受光素子の更新前後における補正係数の比率に基づき、他の受光素子の補正係数を更新する提案がなされている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−34448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載されている構成は、感度の劣化の度合がラインセンサの各受光素子で一律であるということを前提にしており、受光素子間でバラツキがあることを考慮していなかった。また、一部の受光素子において、埃等の付着によって、出力が下がることもある。
【0011】
したがって、特許文献1の構成では、反射画像を読み取るイメージセンサの各受光素子に対する補正係数を適正に設定することができない。すなわち、金種や真偽の識別に用いる補正画像(識別用画像)の精度が低下する。その結果、紙幣の識別精度を低下させるという問題があった。
【0012】
この発明の目的は、紙葉類の反射画像を読み取るイメージセンサの各受光素子に対して、感度の劣化に対する補正が適正に行え、信頼性の向上を図った紙葉類識別ユニットを提供することにある。
【0013】
また、この紙葉類識別ユニットを適用した紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明にかかる紙葉類識別ユニットは、上記課題を解決し、その目的を達するために以下ように構成した。
【0015】
反射画像読取手段は、搬送路に沿って搬送される紙葉類の反射画像を読み取る。この反射画像読取手段は、搬送路に沿って搬送される紙葉類に対向する一方の側に配置した、紙葉類を照らす第1の光源、および、その反射光を受光する複数の受光素子を、紙葉類の搬送方向に直交する主走査方向に並べた第1のイメージセンサを有する。補正係数記憶手段は、第1のイメージセンサの受光素子毎に、その出力に対する補正係数を記憶する。この補正係数は、第1のイメージセンサの受光素子間の感度のバラツキを補正する係数である。識別用画像生成手段が、反射画像読取手段で読み取った紙葉類の反射画像を、補正係数を用いて補正した識別用画像を生成する。すなわち、識別用画像は、第1のイメージセンサの受光素子間の感度のバラツキを抑えた画像である。そして、識別手段は、生成された識別用画像により、その紙葉類の種別や真偽等を識別する。
【0016】
また、感度レベル検出手段は、反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力から感度レベルを検出する。さらに、補正係数更新手段は、第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新以後に、感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの基準値に基づいて補正係数を更新する。感度レベルの基準値は、例えば、前回の補正係数の更新以後に、感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの平均値等とすればよい。
【0017】
補正係数更新手段は、例えば、第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新時に得た感度レベルの基準値と、前回の補正係数の更新以後に検出した感度レベルの基準値と、に基づいて補正係数を更新すればよい。これにより、前回更新時の感度レベルからの劣化に応じた補正係数の更新が行える。
【0018】
したがって、第1のイメージセンサの受光素子毎にその受光素子の感度の劣化に応じて補正係数を設定することができるので、適正な識別用画像の生成が行える。これにより、紙葉類の識別精度の低下を抑え、信頼性の向上が図れる。
【0019】
また、感度レベル検出手段は、例えば、反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力の平均値を感度レベルとして検出する構成とすればよい。これにより、紙葉類に描かれている文字や図柄等の影響を抑え、受光素子毎に感度レベルを検出し、補正係数を更新することができる。
【0020】
また、感度レベル検出手段については、識別手段が識別した紙葉類の種別が予め定めた対象種別でないとき、感度レベルの検出を行わない構成としてもよい。これにより、各受光素子の補正係数は、対象種別の紙葉類についてのみ検出した感度レベルに基づいて更新される。したがって、紙葉類の種別の違いによる影響を受けることなく、受光素子毎に感度レベルを検出し、補正係数を更新することができる。
【0021】
また、搬送路を挟んで配置した、紙葉類を照らす第2の光源と、前記主走査方向に複数の受光素子を並べた第2のイメージセンサと、を有し、搬送路に沿って搬送される紙葉類の透過画像を読み取る透過画像読取手段設けるとともに、この透過画像読取手段が読み取った透過画像により、その紙葉類の汚れの度合を検出する汚れ検出手段を設ける。そして、感度レベル検出手段が、汚れ検出手段が検出した汚れの度合が予め定めたレベルを超えていたとき、感度レベルの検出を行わない構成としてもよい。これにより、各受光素子の補正係数の更新が、汚れの度合が大きい紙葉類を用いることなく行える。
【0022】
また、汚れ検出手段を、紙葉類を複数に分割した領域毎に、汚れの度合を検出する構成とするとともに、感度レベル検出手段を、いずれかの領域において、汚れ検出手段が検出した汚れの度合が予め定めたレベルを超えていたとき、感度レベルの検出を行わない構成としてもよい。
【0023】
このようにすれば、各受光素子の補正係数の更新が一層適正に行える。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、第1のイメージセンサの受光素子毎にその受光素子の感度の劣化に応じて補正係数を設定することができるので、適正な識別用画像の生成が行える。したがって、紙葉類の識別精度の低下を抑え、信頼性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】現金自動預け払い機の外観を示す概略図である。
【図2】現金自動預け払い機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図3】紙幣処理部の内部構成を示す概略図である。
【図4】紙幣識別部の主要部の構成を示すブロック図である。
【図5】反射画像読取部、および透過画像読取部の概略図である。
【図6】反射画像読取部、および透過画像読取部のラインセンサを示す図である。
【図7】ラインセンサによる紙幣の反射画像、および透過画像の読み取り手順を説明する図である。
【図8】紙幣識別処理を示すフローチャートである。
【図9】更新関連情報記憶処理を示すフローチャートである。
【図10】補正係数更新処理を示すフローチャートである。
【図11】紙幣を複数の領域に分割する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0027】
図1は、現金自動預け払い機の外観を示す概略図であり、図2は、現金自動預け払い機の主要部の構成を示すブロック図である。この現金自動預け払い機1(以下、ATM1と言う。)には、本願発明の実施形態にかかる紙葉類処理装置(後述する紙幣処理部4)が適用されており、さらに、この紙幣処理部には、本願発明の実施形態にかかる紙葉類識別ユニット(後述する紙幣識別部20)が適用されている。ATM1は、金融機関の店舗やコンビニエンスストア等に設置される。ATM1は、利用者の入力操作に応じて、入金取引や出金取引等の各種取引を処理する。ATM1は、主制御部2と、表示・操作部3と、紙幣処理部4と、硬貨処理部5と、カード・明細書処理部6と、通帳処理部7と、生体情報読取部8と、通信部9と、を備えている。主制御部2は、ATM1本体各部の動作を制御し、利用者が要求した取引を処理する。
【0028】
表示・操作部3は、本体正面に設けた表示器3a、およびこの表示器3aの画面上に貼付したタッチパネル3b等を有している。表示・操作部3は、利用者に対する操作案内画面を表示器3aに表示する。また、表示・操作部3は、タッチパネル3bの押下位置を検知することにより、暗証番号や取引内容(取引種別、入出金金額等)にかかる利用者の入力操作を検出する。
【0029】
紙幣処理部4は、入出金紙幣を処理する。本体正面には、入出金紙幣を収納する紙幣入出金口4aを設けている。この紙幣入出金口4aには、シャッタが設けられている。また、紙幣入出金口4aには、入金紙幣、出金紙幣、および返却紙幣の収納場所を区別する仕切り板が設けられている。紙幣処理部4は、このシャッタの開閉により、紙幣入出金口4aに対する紙幣の投入や取り出しを制限する。紙幣処理部4の詳細な構成については、後述する。
【0030】
硬貨処理部5は、本体正面に設けた硬貨入出金口5aと、本体内部に収納されている硬貨カートリッジと、の間に形成された硬貨搬送路に沿って硬貨を搬送する。また、硬貨処理部5は、硬貨搬送路に沿って搬送している硬貨毎に、金種、および真偽を識別する硬貨識別部を有している。
【0031】
カード・明細書処理部6は、本体正面に設けたカード挿入口6aに挿入されたキャッシュカード(以下、単にカードと言う。)を取り込み、このカードの磁気ストライプに記録されているカード情報(金融機関番号、店舗番号、口座番号等)の読み取りや、カード情報の書き換え等を行う。また、挿入されたカードがICカードである場合には、必要に応じて、そのカードのICチップに記録されているデータの読み取りや、書き換えも行う。ICチップには、このカードの所有者である利用者の生体情報(登録情報)等が記録されている。さらに、カード・明細書処理部6は、取引内容を明細書に印字する印字部(不図示)を有する。カード・明細書処理部6は、取引内容を印字した明細書を本体正面に設けた明細書放出口6bに放出する。
【0032】
通帳処理部7は、本体正面に設けた通帳挿入口7aに挿入された通帳を取り込み、この通帳に対して取引履歴を印字する印字部(不図示)を有している。また、通帳処理部7は、取り込んだ通帳のページを捲るページ捲り機構や、通帳に印刷されているページ番号を示すバーコードを読み取るバーコードリーダ、通帳に貼付されている磁気ストライプに記録されている通帳情報(金融機関番号、店舗番号、口座番号等)を読み取る磁気ヘッド等も有している。
【0033】
また、生体情報読取部8は、本体正面に設けた生体情報読取センサ8aを有している。この生体情報読取センサ8aは、利用者の指静脈パターンを読み取る。ここでは、生体情報読取センサ8aとして、指静脈パターンを読み取るセンサを例にしているが、掌静脈、虹彩、網膜等の他の種類の生体情報を読み取るセンサとしてもよい。生体情報読取部8は、生体情報読取センサ8aで読み取った利用者の生体情報(読取情報)と、カードのICチップに記録されている生体情報(登録情報)と、を照合し、その類似度から利用者とカードの所有者とが同一人物であるかどうかを認証する。さらに、通信部9は、ネットワークを介して、金融機関のホスト装置(不図示)との通信を制御する。
【0034】
次に、紙幣処理部4の構成について説明する。図3は、紙幣処理部の内部構成を示す概略図である。紙幣処理部4は、金種別カートリッジ11〜14と、回収カートリッジ15とを内部に収納している。金種別カートリッジ11〜14、および回収カートリッジ15は、本体に対して着脱自在である。金種別カートリッジ11、12は、1万円紙幣を収納する。金種別カートリッジ13は、千円紙幣を収納する。金種別カートリッジ14は、2千円紙幣、および5千円紙幣を収納する。回収カートリッジ15は、取引に使用できないと判断した紙幣を収納する。金種別カートリッジ14に収納している紙幣(2千円紙幣、および5千円紙幣)、および回収カートリッジ15に収納している紙幣は出金紙幣として利用しない。このため、金種別カートリッジ14、および回収カートリッジ15については、紙幣の繰り出し機構を有していない構成であってもよい。
【0035】
また、紙幣処理部4は、入金紙幣等を一時的に収納し、保留する一時保留部16を有している。さらに、入出金口4a、金種別カートリッジ11〜14、回収カートリッジ15、一時保留部16を結ぶ紙幣搬送路17を有している。紙幣処理部4は、この紙幣搬送路17に沿って、紙幣を搬送する紙幣搬送部(不図示)を有している。また、紙幣搬送部は、紙幣搬送路17の分岐点等に設けられているフラッパを制御し、搬送している紙幣の搬送先を制御する。さらに、紙幣処理部4は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の金種、および真偽を識別する紙幣識別部20を有している。紙幣識別部20は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣毎に、その紙幣の反射画像、および透過画像を読み取る。
【0036】
図4は、紙幣識別部の主要部の構成を示すブロック図である。紙幣識別部20は、制御部21と、画像処理部22と、反射画像読取部23と、透過画像読取部24と、記憶部25と、入出力部26と、を備えている。制御部21は、紙幣識別部20の各部の動作を制御する。反射画像読取部23は、紙幣搬送路17を搬送されている紙幣の反射画像を読み取る。透過画像読取部24は、紙幣搬送路17を搬送されている紙幣の透過画像を読み取る。
【0037】
反射画像読取部23は、図5に示すように、紙幣搬送路17の一方の側に配置した、光源23a、およびラインセンサ23bを有する。また、透過画像読取部24は、紙幣搬送路17を挟んで、光源24aと、ラインセンサ24bと、を対向させて配置している。ラインセンサ23b、24bは、図6に示すように、一列に並べた複数の受光素子(ここでは、100個の受光素子とする。)を有する。ラインセンサ23b、24bは、受光素子が紙幣搬送路17における紙幣の搬送方向に対して直交する主走査方向(図5における、紙面に垂直な方向)に並ぶように配置している。図6に示す2桁の数字(「00」〜「99」)は、受光素子の番号を示している。ラインセンサ23bの各受光素子は、光源23aから照射され、搬送されている紙幣表面で反射された光を受光する。ラインセンサ24bの各受光素子は、光源24aから照射され、搬送されている紙幣を透過した光を受光する。
【0038】
反射画像読取部23、および透過画像読取部24は、図7に示すように、紙幣搬送路17を搬送されている紙幣に対して、ラインセンサ23b、24bの各受光素子で、主走査方向の1ライン分の画像を読み取る。反射画像読取部23、および透過画像読取部24は、紙幣搬送部が紙幣を副走査方向(主走査方向に直交する方向であり、紙幣搬送路17における紙幣の搬送方向)に一定量搬送する毎に、繰り返し、主走査方向の1ライン分の画像を読み取る。反射画像読取部23は、ラインセンサ23bの読み取り位置を、紙幣の先端が通過してから、後端が通過するまでの間、主走査方向に1ラインずつ読み取った反射画像をつなぐことにより、紙幣1枚分の反射画像(読取反射画像)を得る。同様に、透過画像読取部24は、ラインセンサ24bの読み取り位置を、紙幣の先端が通過してから、後端が通過するまでの間、主走査方向に1ラインずつ読み取った透過画像をつなぐことにより、紙幣1枚分の透過画像(読取透過画像)を得る。
【0039】
画像処理部22は、反射画像読取部23が読み取った読取反射画像に対して、ラインセンサ23bの各受光素子の感度のバラツキ等に応じた補正を行い、識別用反射画像を生成する。また、画像処理部22は、透過画像読取部24が読み取った読取透過画像に対して、ラインセンサ24bの各受光素子の感度のバラツキ等に応じた補正を行い、識別用透過画像を生成する。上述の補正は、各受光素子の出力A(n)を、その受光素子に対して記憶部25に記憶している補正係数を乗じた値(補正値)に補正する処理である。
【0040】
記憶部25は、ラインセンサ23b、24bの受光素子毎に、補正係数を記憶している。ここでは、ラインセンサ23bの各受光素子の補正係数を、α(n)(nは、受光素子の番号であり、ここでは図6に示した「00」〜「99」)、ラインセンサ24bの各受光素子の補正係数を、β(i)(iは、受光素子の番号であり、ここでは図6に示した「00」〜「99」)とする。
【0041】
上述したように、ラインセンサ23bの受光素子が100個である場合、記憶部25は、ラインセンサ23bについて、100個の補正係数(α(00)〜α(99))を記憶している。同様に、ラインセンサ24bの受光素子が100個である場合、記憶部25は、ラインセンサ24bについて、100個の補正係数(β(00)〜β(99))を記憶している。ラインセンサ23bにかかる補正係数α(n)は、このラインセンサ23bの受光素子間の感度のバラツキを補正するものである。具体的には、各受光素子の受光量が同じである場合、そのときの出力A(n)の大きさ(検出値)を同等の値に変換する係数である。同様に、ラインセンサ24bにかかる補正係数は、このラインセンサ24bの受光素子間の感度のバラツキを補正するものである。
【0042】
紙幣識別部20は、補正係数α(n)、β(i)は、適当なタイミングで更新する機能を有している。補正係数α(n)、β(i)を更新するタイミングは、個別に設定できる。
【0043】
上述の説明から明らかなように、画像処理部22は、ラインセンサ23bで読み取った反射画像における各受光素子の出力A(n)を、その受光素子ついて記憶している補正係数α(n)を乗じた値に補正した識別用反射画像を生成する。また、画像処理部22は、ラインセンサ24bで読み取った透過画像における各受光素子の出力B(i)を、その受光素子について記憶している補正係数β(i)を乗じた値に補正した識別用透過画像を生成する。
【0044】
画像処理部22は、生成した識別用反射画像、および識別用透過画像を用いて、紙幣の金種や真偽を識別する。この識別結果は、入出力部26を介して、紙幣処理部4に通知される。紙幣処理部4は、通知された識別結果に応じて紙幣の搬送先を判断し、紙幣搬送部に指示する。紙幣搬送部は、この指示にしたがって、紙幣を搬送する。
【0045】
また、記憶部25は、上述した補正係数α(n)、β(i)だけでなく、対象種別の紙幣の処理枚数Nのカウント値を記憶する。また、ラインセンサ23bの各受光素子の前回基準値x(n)や、ラインセンサ24bの各受光素子の基準値y(i)等を記憶する。この前回基準値x(n)は、前々回の補正係数α(n)の更新から、前回の補正係数α(n)の更新までの間における、その受光素子の検出値、または、この検出値に補正係数α(n)を乗じた補正値の平均値である。ここでは、補正値の平均値として説明する。また、ラインセンサ23bの受光素子毎に、前回の補正係数α(n)の更新から、現時点までの間における、受光素子の基準値x’(n)の算出に用いる累積値p(n)を記憶する。
【0046】
なお、ラインセンサ24bについては、光源24aとラインセンサ24bとの間に紙幣が位置していないときに、各受光素子の出力B(i)を検出する。そして、受光素子毎に、補正係数β(i)を
補正係数β(i)=出力B(i)/基準値y(i)
により算出し、記憶部25に記憶している補正係数β(i)を更新する。
【0047】
次に、この実施形態にかかるATM1の全体動作について簡単に説明しておく。ここではATM1における入金取引、および出金取引の処理手順について簡単に説明する。
【0048】
入金取引では、ATM1は、入出金口4aに投入された入金紙幣を、1枚ずつ紙幣搬送路17に繰り出し、紙幣識別部20で金種、および真偽を識別する。紙幣処理部4は、その金種、および真券であることが識別された入金紙幣を、一時保留部16に搬送し、収納する。一方、紙幣処理部4は、金種、または、真券であることの少なくとも一方が識別できなかった紙幣を入出金口4aに戻し、利用者に返却する。ATM1は、利用者により、入金金額が確定されると、確定された入金金額を利用者の口座(指定された口座)に入金する入金処理を行う。この入金処理は、利用者の口座番号や入金金額をホスト装置に通知する処理である。また、カード・明細書処理部6で取引内容を印字した明細票の発行、または、通帳処理部7で今回受け付けた通帳への取引内容の印字を行う。
【0049】
紙幣処理部4は、その後、一時保留部16に保留している紙幣を1枚ずつ繰り出し、再度、紙幣識別部20で金種、および真偽を識別する。紙幣処理部4は、紙幣毎に、その紙幣について識別した金種のカートリッジに搬送し、収納する。紙幣処理部4は、金種、または、真券であることの少なくとも一方が識別できなかった紙幣を回収カートリッジ15に搬送し、収納する。
【0050】
また、出金取引では、ATM1は、指定された出金金額に応じて、金種毎に出金する紙幣の枚数を確定する。紙幣処理部4は、金種毎に、金種別カートリッジ11〜13から確定した枚数の紙幣を繰り出し、紙幣識別部20で金種、および真偽を識別する。紙幣処理部4は、金種、および真券であることが識別できた紙幣を、入出金口4aに搬送し、収納する。一方、金種、または、真券であることの少なくとも一方が識別できなかった紙幣を回収カートリッジ15に搬送し、収納する。また、紙幣を回収カートリッジ15に収納する毎に、その紙幣を繰り出した金種別カートリッジ11〜13から、新たに紙幣を1枚繰り出す。
【0051】
ATM1は、出金金額に応じた紙幣を入出金口4aに収納すると、出金金額を利用者の口座(指定された口座)から出金する出金処理を行う。この出金処理は、利用者の口座番号や出金金額をホスト装置に通知する処理である。ATM1は、入出金口4aに設けたシャッタを開し、この入出金口4a内に収納している紙幣を、利用者に対して放出する。また、カード・明細書処理部6で取引内容を印字した明細票の発行、または、通帳処理部7で今回受け付けた通帳への取引内容の印字を行う。
【0052】
ここで、紙幣識別部20における、紙幣の識別処理について説明する。図8は、この紙幣識別処理を示すフローチャートである。紙幣識別部20は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣毎に、この図8に示す処理を実行する。反射画像読取部23が、ラインセンサ23bにより、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣から、主走査方向の1ライン分の反射画像を読み取ると(s1)、この1ライン分の反射画像に対する、識別用反射画像を生成する(s3)。s3では、ラインセンサ23bの受光素子毎に、対応する補正係数α(n)を出力A(n)に乗じた画像を生成する。また、透過画像読取部24が、ラインセンサ24bにより、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣から、主走査方向の1ライン分の透過画像を読み取ると(s2)、この1ライン分の透過画像に対する、識別用透過画像を生成する(s4)。s4では、ラインセンサ23bの受光素子毎に、対応する補正係数β(i)を出力B(i)に乗じた画像を生成する。
【0053】
紙幣識別部20は、1枚の紙幣について、その全体にかかる識別用反射画像、および識別用透過画像の生成が完了すると(s5、s6)、その紙幣の金種、および真偽を識別する(s7)。s7では、金種毎に記憶している反射画像、および透過画像のテンプレートと、今回生成した識別用反射画像、および識別用透過画像と、を照合し、その一致度によって、紙幣の金種、および真偽を識別する。この識別の詳細については、公知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0054】
紙幣識別部20は、s7で金種、または真偽の少なくとも一方が識別できなかったとき、その紙幣を使用不可と判定し(s10)、その旨を紙幣搬送部に通知する。一方、紙幣識別部20は、s7で金種、および真券であることの両方が識別できたとき、その紙幣を使用可と判定し(s8)、その旨を紙幣搬送部に通知する。また、紙幣識別部20は、ラインセンサ23bの各受光素子の補正係数α(n)の更新に用いる更新関連情報記憶処理を行う(s9)。
【0055】
図9は、s9にかかる更新関連情報記憶処理を示すフローチャートである。紙幣識別部20は、その紙幣の金種が1万円紙幣であるかどうかを判定する(s11)。ここでは、補正係数α(n)の更新に用いる紙幣の金種(この発明で言う、対象種別)を1万円紙幣に限定することによって、紙幣に描かれている文字や模様の違いが、補正係数α(n)の更新に用いる更新関連情報に与える影響を抑えている。紙幣識別部20は、s11で1万円紙幣でないと判定すると、本処理を終了する。
【0056】
紙幣識別部20は、その紙幣の金種が1万円紙幣であると判定すると、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の向きが、予め定めた向きであるかどうかを判定する(s12)。紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の向きは、表裏反転、および左右反転にかかる4通りがある。ここでは、紙幣の向きの違いにともなう読取画像の変化が、更新関連情報に与える影響を抑えている。紙幣識別部20は、s11で予め定めた向きでないと判定すると、本処理を終了する。
【0057】
紙幣識別部20は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の向きが予め定めた向きであると判定すると、この紙幣の汚れの度合が、予め定めたレベルを超えているかどうかを判定する(s13)。s13では、この紙幣について生成した識別用透過画像全体の明るさに基づいて判定する。例えば、この識別用透過画像の全画素について、その画素値の平均を算出し、これが予め定めた値(第1の閾値)よりも小さければ、汚れの度合が予め定めたレベルを超えていると判定する。紙幣識別部20は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の汚れの度合が予め定めたレベルを超えていると判定すると、本処理を終了する。これにより、紙幣の汚れが更新関連情報に与える影響を抑えている。
【0058】
上述したs11〜s13にかかる処理の順番は、どのような順番であってもよい。
【0059】
なお、識別用透過画像の全画素について算出した画素値の平均が、別に定めた値(第2の閾値(第2の閾値>第1の閾値)よりも大きいときには、すり切れている紙幣であると判定し、本処理を終了する構成としてもよい。このようにすれば、使い古されて、すり切れている紙幣や、穴が空いている紙幣が更新関連情報に与える影響が抑えられる。
【0060】
紙幣識別部20は、紙幣搬送路17に沿って搬送されている紙幣の汚れの度合が予め定めたレベルを超えていない(適正なレベルである。)と判定すると、実行回数Nをカウントしているカウント値Nをインクリメントする(N=N+1)(s14)。この実行回数Nは、以下に示すs15以降の処理を行った紙幣の枚数をカウントしている。
【0061】
紙幣識別部20は、ラインセンサ23bの受光素子毎に、今回作成した識別用反射画像における、副走査方向の補正値(出力A(n)に補正係数α(n)を乗じた値)の総和を、副走査方向のライン数で除した値を感度レベルとして算出する(s15)。すなわち、s15で算出する各受光素子の感度レベルは、今回作成した識別用反射画像における、当該受光素子の補正値の平均値である。
【0062】
なお、ここでは、感度レベルを、補正値の平均値としたが、上述したように、出力A(n)の平均値としてもよい。
【0063】
紙幣識別部20は、ラインセンサ23bの受光素子毎に、記憶している累積値p(n)を、その受光素子についてs14で算出した感度レベル(n)を加算した値に更新する(s16)。すなわち、s16では、ラインセンサ23bの受光素子毎に、記憶部25に記憶している累積値p(n)を、
p(n)=p(n)+感度レベル(n)
に更新する。
【0064】
このように、紙幣識別部20は、特定の金種(1万円紙幣)で、紙幣搬送路17で搬送されている向きが特定の向きで、さらに、汚れの度合が予め定めたレベルを超えていない紙幣について、ラインセンサ23bの受光素子毎に感度レベルを算出する。そして、ラインセンサ23bの受光素子毎に、その受光素子について算出した感度レベル(n)の総和を、累積値p(n)として記憶する。
【0065】
紙幣識別部20は、実行回数Nが予め定めた回数(例えば、1000回)を超えているかどうかを判定する(s17)。紙幣識別部20は、s17で予め定めた回数を超えていないと判定すると、本処理を終了する。一方、s17で予め定めた回数を超えていると判定すると、補正係数更新処理を実行する(s18)。
【0066】
図10は、s18にかかる補正係数更新処理を示すフローチャートである。この補正係数更新処理は、ラインセンサ23bの各受光素子の補正係数α(n)を更新する処理である。まず、ラインセンサ23bの受光素子毎に、今回基準値x’(n)を算出する(s21)。今回基準値x’(n)は、この時点で記憶している累積値p(n)を、実行回数Nで除した値である。すなわち、前回の補正係数α(n)の更新から、現時点(今回の補正係数α(n)の更新時)までの間における、感度レベルの平均である。
【0067】
紙幣識別部20は、ラインセンサ23bの受光素子毎に、s21で算出した今回基準値x’(n)、記憶部25に記憶している前回基準値x(n)を用いて、記憶部25に記憶している補正係数を更新する(s22)。s22では、各受光素子の補正係数α(n)を、
α(n)=α(n)×前回基準値x(n)/今回基準値x’(n)
により算出した値に更新する。
【0068】
また、紙幣識別部20は、記憶部25に記憶している実行回数N、および累積値p(n)をリセットする(s23)。さらに、前回基準値x(n)を、s21で算出したx’(n)に更新する(s24)。
【0069】
このように、この紙幣識別部20は、反射画像を読み取るラインセンサ23bの受光素子毎に、その受光素子の劣化の度合に応じて、補正係数α(n)を更新することができる。したがって、適正な識別用反射画像の生成が行えるので、紙葉類の識別精度の低下が抑えられ、信頼性の向上が図れる。
【0070】
なお、工場出荷時は、前回基準値の初期値を記憶部25に記憶させている。
【0071】
また、紙幣を図11に示すように、複数のブロックに分割し(ここでは、ブロックw1〜w8の8ブロックに分割した例を示している。)、ブロック毎に汚れの度合を検出し、いずれかのブロックにおいて、設定値よりも大きく汚れている紙幣については、補正係数更新処理の対象外紙幣であると判定する構成としてもよい。このようにすれば、一部の受光素子(汚れの度合が大きいブロックを読み取る受光素子)の補正係数α(n)が、不適正な値に設定されるのを防止できる。
【0072】
また、本願発明は、紙幣を識別する紙幣識別ユニットだけでなく、小切手や証券等を識別する装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0073】
4…紙幣処理部
4a…紙幣入出金口
17…紙幣搬送路
20…紙幣識別部
21…制御部
22…画像処理部
23…反射画像読取部
23a…光源
23b…ラインセンサ
24…透過画像読取部
24a…光源
24b…ラインセンサ
25…記憶部
26…入出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って搬送される紙葉類に対向する一方の側に配置した、紙葉類を照らす第1の光源、および、その反射光を受光する複数の受光素子を、紙葉類の搬送方向に直交する主走査方向に並べた第1のイメージセンサを有し、当該紙葉類の反射画像を読み取る反射画像読取手段と、
前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、その出力に対する補正係数を記憶する補正係数記憶手段と、
前記反射画像読取手段で読み取った紙葉類の反射画像を、前記補正係数記憶手段に記憶している補正係数を用いて補正した識別用画像を生成する識別用画像生成手段と、
前記識別用画像生成手段が生成した識別用画像により、その紙葉類を識別する識別手段と、を備えた紙葉類識別ユニットにおいて、
前記反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力から感度レベルを検出する感度レベル検出手段と、
前記補正係数記憶手段が記憶している、前記第1のイメージセンサの各受光素子の補正係数を更新する補正係数更新手段と、を備え、
前記補正係数更新手段は、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新以後に、前記感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの基準値に基づいて補正係数を更新する、紙葉類識別ユニット。
【請求項2】
前記補正係数更新手段は、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新時に得た感度レベルの基準値と、前回の補正係数の更新以後に検出した感度レベルの基準値と、に基づいて補正係数を更新する、請求項1に記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項3】
前記感度レベル検出手段は、前記反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力の平均値を感度レベルとして検出する、請求項1、または2に記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項4】
前記感度レベル検出手段は、前記識別手段が識別した紙葉類の種別が予め定めた対象種別でないとき、感度レベルの検出を行わない、請求項1〜3のいずれかに記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項5】
前記搬送路を挟んで配置した、紙葉類を照らす第2の光源と、前記主走査方向に複数の受光素子を並べた第2のイメージセンサと、を有し、前記搬送路に沿って搬送される紙葉類の透過画像を読み取る透過画像読取手段と、
前記透過画像読取手段が読み取った透過画像により、その紙葉類の汚れの度合を検出する汚れ検出手段と、を備え、
前記感度レベル検出手段は、前記汚れ検出手段が検出した汚れの度合が予め定めたレベルを超えていたとき、感度レベルの検出を行わない、請求項1〜4のいずれかに記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項6】
前記汚れ検出手段は、紙葉類を複数に分割した領域毎に、汚れの度合を検出し、
前記感度レベル検出手段は、いずれかの領域において、前記汚れ検出手段が検出した汚れの度合が予め定めたレベルを超えていたとき、感度レベルの検出を行わない、請求項5に記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項7】
前記補正係数更新手段は、前回の補正係数の更新以後に、前記感度レベル検出手段が感度レベルを前記第1のイメージセンサの受光素子毎に算出した紙葉類の枚数が、予め定めた枚数に達した後に、前記第1のイメージセンサの各受光素子の補正係数を更新する、請求項1〜6のいずれかに記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項8】
搬送路に沿って紙葉類を搬送する搬送手段と、
前記搬送路に沿って搬送される紙葉類に対向する一方の側に配置した、紙葉類を照らす第1の光源、および、その反射光を受光する複数の受光素子を、紙葉類の搬送方向に直交する主走査方向に並べた第1のイメージセンサを有し、当該紙葉類の反射画像を読み取る反射画像読取手段と、
前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、その出力に対する補正係数を記憶する補正係数記憶手段と、
前記反射画像読取手段で読み取った紙葉類の反射画像を、前記補正係数記憶手段に記憶している補正係数を用いて補正した識別用画像を生成する識別用画像生成手段と、
前記識別用画像生成手段が生成した識別用画像により、その紙葉類を識別する識別手段と、
前記識別手段による識別結果に応じて、前記搬送手段による紙葉類の搬送先を決定する搬送先決定手段と、を備えた紙葉類処理装置において、
前記反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力から感度レベルを検出する感度レベル検出手段と、
前記補正係数記憶手段が記憶している、前記第1のイメージセンサの各受光素子の補正係数を更新する補正係数更新手段と、を備え、
前記補正係数更新手段は、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新以後に、前記感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの基準値に基づいて補正係数を更新する、紙葉類処理装置。
【請求項1】
搬送路に沿って搬送される紙葉類に対向する一方の側に配置した、紙葉類を照らす第1の光源、および、その反射光を受光する複数の受光素子を、紙葉類の搬送方向に直交する主走査方向に並べた第1のイメージセンサを有し、当該紙葉類の反射画像を読み取る反射画像読取手段と、
前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、その出力に対する補正係数を記憶する補正係数記憶手段と、
前記反射画像読取手段で読み取った紙葉類の反射画像を、前記補正係数記憶手段に記憶している補正係数を用いて補正した識別用画像を生成する識別用画像生成手段と、
前記識別用画像生成手段が生成した識別用画像により、その紙葉類を識別する識別手段と、を備えた紙葉類識別ユニットにおいて、
前記反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力から感度レベルを検出する感度レベル検出手段と、
前記補正係数記憶手段が記憶している、前記第1のイメージセンサの各受光素子の補正係数を更新する補正係数更新手段と、を備え、
前記補正係数更新手段は、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新以後に、前記感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの基準値に基づいて補正係数を更新する、紙葉類識別ユニット。
【請求項2】
前記補正係数更新手段は、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新時に得た感度レベルの基準値と、前回の補正係数の更新以後に検出した感度レベルの基準値と、に基づいて補正係数を更新する、請求項1に記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項3】
前記感度レベル検出手段は、前記反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力の平均値を感度レベルとして検出する、請求項1、または2に記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項4】
前記感度レベル検出手段は、前記識別手段が識別した紙葉類の種別が予め定めた対象種別でないとき、感度レベルの検出を行わない、請求項1〜3のいずれかに記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項5】
前記搬送路を挟んで配置した、紙葉類を照らす第2の光源と、前記主走査方向に複数の受光素子を並べた第2のイメージセンサと、を有し、前記搬送路に沿って搬送される紙葉類の透過画像を読み取る透過画像読取手段と、
前記透過画像読取手段が読み取った透過画像により、その紙葉類の汚れの度合を検出する汚れ検出手段と、を備え、
前記感度レベル検出手段は、前記汚れ検出手段が検出した汚れの度合が予め定めたレベルを超えていたとき、感度レベルの検出を行わない、請求項1〜4のいずれかに記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項6】
前記汚れ検出手段は、紙葉類を複数に分割した領域毎に、汚れの度合を検出し、
前記感度レベル検出手段は、いずれかの領域において、前記汚れ検出手段が検出した汚れの度合が予め定めたレベルを超えていたとき、感度レベルの検出を行わない、請求項5に記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項7】
前記補正係数更新手段は、前回の補正係数の更新以後に、前記感度レベル検出手段が感度レベルを前記第1のイメージセンサの受光素子毎に算出した紙葉類の枚数が、予め定めた枚数に達した後に、前記第1のイメージセンサの各受光素子の補正係数を更新する、請求項1〜6のいずれかに記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項8】
搬送路に沿って紙葉類を搬送する搬送手段と、
前記搬送路に沿って搬送される紙葉類に対向する一方の側に配置した、紙葉類を照らす第1の光源、および、その反射光を受光する複数の受光素子を、紙葉類の搬送方向に直交する主走査方向に並べた第1のイメージセンサを有し、当該紙葉類の反射画像を読み取る反射画像読取手段と、
前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、その出力に対する補正係数を記憶する補正係数記憶手段と、
前記反射画像読取手段で読み取った紙葉類の反射画像を、前記補正係数記憶手段に記憶している補正係数を用いて補正した識別用画像を生成する識別用画像生成手段と、
前記識別用画像生成手段が生成した識別用画像により、その紙葉類を識別する識別手段と、
前記識別手段による識別結果に応じて、前記搬送手段による紙葉類の搬送先を決定する搬送先決定手段と、を備えた紙葉類処理装置において、
前記反射画像読取手段が紙葉類の反射画像を読み取ったときに、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、この間の出力から感度レベルを検出する感度レベル検出手段と、
前記補正係数記憶手段が記憶している、前記第1のイメージセンサの各受光素子の補正係数を更新する補正係数更新手段と、を備え、
前記補正係数更新手段は、前記第1のイメージセンサの受光素子毎に、前回の補正係数の更新以後に、前記感度レベル検出手段がその受光素子について検出した感度レベルの基準値に基づいて補正係数を更新する、紙葉類処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−103088(P2011−103088A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258332(P2009−258332)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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