説明

紙製液体容器用積層体及びそれを用いた紙製液体容器

【課題】紙製液体容器用積層体に植物由来の炭末色素を熱可塑性樹脂に練り込んだ層を設けて、当該炭末色素の細孔に添加剤等を吸着させて消臭効果を持たせるとともに、遮光性を付与して、焼却時の残渣とリサイクル時の問題を解決する紙製液体容器を提供する。
【解決手段】最外層より少なくとも熱可塑性樹脂層2、板紙層3、500℃〜1000℃の炭化温度で製炭して粉砕した植物由来の炭末色素を含む着色熱可塑性樹脂層4、最内層に熱可塑性樹脂層5を順次設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳、ミネラルウォーター、お茶、果汁等の液体を充填、封緘する紙製液体容器用の積層体及びそれを用いた紙製液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、チルド流通する牛乳、ミネラルウォーター、お茶、果汁等を充填する容器として図1に示す紙製液体容器が用いられてきた。
【0003】
特に、内容物として果汁等を充填する場合には、光による劣化を防ぎ長期の保存を達成する為に遮光性機能が必要とされ、容器の構成中にアルミニウム層、カーボンブラック練り込み熱可塑性樹脂層を設けた紙製液体容器(例えば、引用文献1、2参照。)が用いられてきた。
【0004】
【特許文献1】特開2000-128145号公報
【特許文献2】特開平6−122444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アルミニウム層を遮光層として設けた紙製液体容器を使用した場合、廃容器を燃焼した際にアルミニウムが塊(残渣)となり焼却炉をいためるといった問題があった。また、アルミニウム層を設けた容器においては、アルミニウム層の内面に最内層となる熱可塑性樹脂層(例えばポリエチレン層)をラミネートで設けるが、アルミニウム層への接着力を得るために高温でラミネートを行う必要があり、高温加熱による発生した臭気が充填保存中の内容物に移行して、その風味に影響を与えるといった問題があった。
【0006】
一方、カーボンブラックを練り込んだ熱可塑性樹脂層を遮光層として設けた場合には、ラミネート時または当該容器加熱シール時に硫黄等の臭気を発生し、当該臭気が充填保存中の内容物に移行して内容物の風味に影響を与えるといった問題があった。
【0007】
さらに、紙製容器をリサイクルする際に、カーボンブラックが多量に含まれていると、カーボンブラックの粒子径が10〜40nmと小さい為、板紙の製造工程における脱墨工程で除去しきれず、最終製品であるリサイクル紙に混入したり、これを抑制するために排水処理に、より多くの工程を設けることが必要となり負荷が大きくなるといった問題があった。
【0008】
その他に、紙製容器の美粧性や遮光性付与の為にチタン含有の熱可塑性樹脂層を板紙層の外側に設ける場合は、紙製液体容器用積層体の製造過程でリール状に巻かれて保管される際に、当該積層体の内面側と外面側が接触して巻かれて保管される為、含有されるチタン表面処理剤や分散剤の揮発成分の臭気が当該積層体の外面から内面へ移行し味覚に影響を与えるといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らはこの様な問題を解決する為に、紙製液体容器用積層体に植物由来の炭末色素を熱可塑性樹脂に練り込んだ層を設けて、当該炭末色素の細孔に添加剤等を吸着させて消臭効果を持たせるとともに、遮光性を付与して、焼却時の残渣とリサイクル時の問題を解決する紙製液体容器を得る方法を得るに至った。
【0010】
従って、本発明は、最外層より少なくとも熱可塑性樹脂層、板紙層、500℃〜1000℃の炭化温度で製炭して粉砕した植物由来の炭末色素を含む着色熱可塑性樹脂層、最内層に熱可塑性樹脂層を順次設けたことを特徴とする紙製液体容器用積層体である。
【0011】
また、前記着色熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂としてオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂を含有し、さらに植物由来の炭末色素を0.5〜5質量%の割合で含有することが好ましい。また、該炭末色素の反射濃度Kが1.4以上であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は請求項1〜3のいずれか1項に記載された紙製液体容器用積層体を用いてなる紙製液体容器である。
【発明の効果】
【0013】
植物由来の炭末色素を熱可塑性樹脂に練り込んだ層を板紙層の内面に設けることによって、一定の波長域(400nm〜800nm)の光線をカットすることができる。例えば坪量が300g/mの板紙の場合、700nmの光線透過率は8%程度しかないが、反射濃度Kが1.4以上の炭末色素をポリエチレンに2%混連して20μmに押し出してラミネート層を形成した場合、700nmの光線透過率は3%以下になる。
【0014】
また、本発明において、板紙層の内面にカーボンブラックや二酸化チタンを熱可塑性樹脂に練り込んだ層を設ける場合において、ラミネート時または当該容器加熱シール時に発生するカーボンブラックや二酸化チタン由来の臭気が、着色熱可塑性樹脂中の炭末色素に吸収され、充填保存中の内容物に移行することがない。さらに、アルミニウム層の内面(最内面)にポリエチレン層を設ける場合においても、高温ラミネート時に発生するポリエチレン臭(分散剤由来の低分子等の臭気)が着色熱可塑性樹脂中の炭末色素に吸収され、充填保存中の内容物の風味に影響を与えることがない。
【0015】
また、使用済のカートンを焼却する際、炭末色素を練り込んだ熱可塑性樹脂層を設けた容器を焼却した場合には残渣とならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の紙製液体容器用積層体は、最外層より少なくとも熱可塑性樹脂層、板紙層、植物由来の炭末色素を含む着色熱可塑性樹脂層、最内層に熱可塑性樹脂層を順次設ける。
本発明においては、ウバメガシ、スギ等の広葉樹、針葉樹や、モウソウ竹等を、400℃〜1000℃の炭化温度で約2〜3時間処理し、その後700〜950℃にて水蒸気又は炭酸ガスを約1〜2時間焼賦活して製炭することにより、一般的に小さく吸着能力が高いメソ孔やマイクロ孔を発達させた黒炭を得、これを一般に用いられる粉砕機等で粉砕して植物性由来の炭末色素として使用する。
【0017】
前記炭末色素は2nm以下のマイクロ孔を持つことが好ましく、その孔の最大径が0.5nm〜1nmであればさらに好ましい。
【0018】
本発明においては、前記炭末色素を熱可塑性樹脂に混練し、これを板紙層上に溶融押出する(溶融押出しラミネーション法)方法等で積層することができる。熱可塑性樹脂に炭末色素を混練するためには、炭末色素のメジアン粒径が3μm〜30μm以下であることが好ましい。メジアン粒径が30μmより大きいとラミネーターのメッシュに詰まったり、熱可塑性樹脂への分散性が悪くなるといった問題が発生する。また均一な濃度の着色層を得るためにはメジアン径は10μm以下であることが好ましい。
【0019】
また、本発明の着色熱可塑性樹脂層においては、前述した炭末色素を質量%で0.5〜5の割合となるように混合することが好ましい(すなわち、竹炭を熱可塑性樹脂に分散して製造したマスターバッチが上記の効果を得る為の、熱可塑性樹脂層中の竹炭の含有割合(質量%)は、0.5〜5である)。炭末色素の含有量が0.5重量%未満であると着色熱可塑性樹脂層の透明性が増し、有効な遮光性の付与が困難になり、また、5重量%を超えると製膜する際に発泡が起こりラミネートしにくくなる。
【0020】
植物由来の炭末色素を熱可塑性樹脂に分散して製造したマスターバッチには、カーボンブラックを加熱した際に発生するような硫黄成分やコークス成分、タール成分といった石油由来の粘着質は観察されず、ラミネート製膜時に臭気を感じるといったことはない。また、炭末色素のマイクロ孔にポリエチレン臭(分解した低分子量のオレフィン由来の低分子等の臭気)が吸着されるため、ポリエチレン臭が移行して充填保存中の内容物の風味に影響を与えるといった問題がなくなる。
【0021】
例えば、LDPE層/板紙層/LDPE層/アルミ箔層/LDPE層の構成を持つ紙製液体容器(以下、「アルミカートン」という。)と、LDPE層/板紙層/LDPE層/アルミ箔層/炭末色素を2%混錬したLDPE層/LDPE層の構成を持つ紙製液体容器(本発明、以下、「炭末色素混練カートン」という。)に純水を充填して2週間保存した後、両カートンから純水を抽出してGC−MSで成分分析を行うと、炭末色素混練カートン中の純水にはアルミカートン中の純水に現れるポリエチレン臭由来物質(低分子量炭化水素やアルデヒド等)のピークがあらわれない。これは、炭末色素の細孔にポリエチレン臭由来物質が吸着されたためと考えられる。
【0022】
なお、カーボンブラックの粒子表面にも細孔は存在するが、熱可塑性樹脂にカーボンブラックを練り込んだ樹脂層を当該容器の遮光層として設ける場合、樹脂の溶融温度(300℃程度)に昇温すると、カーボンブラックの原材料である硫黄成分やコークス成分、タール成分が溶出して臭気となる他、それらが、カーボンブラックの粒子表面にある細孔を塞いでしまい、細孔に吸着されない臭気が残留し、カーボンブラックの吸着能力を生かすことがきない。また、吸着能力が飽和した場合に高温状態で吸着した成分が脱離することもあり、それによって発生する臭気が充填保存中の内容物に移行して内容物の風味に影響を与える問題があることがわかっている。
【0023】
本発明で用いる植物由来の炭末色素の反射濃度Kは1.4以上であることが好ましい。1.4未満の場合、樹脂への着色性が悪くなり、着色熱可塑性樹脂層の透明性が増し、有効な遮光性の付与が困難になる。ここで、Kは、炭末色素そのものを測色し、K=2−logy(y:CIE色度図のy値)の式で求められるものであり、例えば、分光色彩計(SD5000、日本電色工業(株)測定できる。)なお、logyは、I0(入射光)/I(反射光)であり、K値が大きくなるほど反射濃度が濃い。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂層及び着色熱可塑性樹脂層に用いる熱可塑性樹脂は、熱によって溶融し、板紙層と接着性を有する樹脂であれば特に制約はないが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他などの樹脂を使用することができる。
【0025】
これら熱可塑性樹脂の中でも、作業性、経済性などの面から、好ましくはオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂を、より好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)を使用することができる。
なお、接液面に植物由来の炭末色素を含有する熱可塑性樹脂を設けると、内容物自体の成分を直接吸着する可能性がある為、本発明における接液面の熱可塑性樹脂層(最内層)には前記炭末色素を含まない。
【0026】
本発明においては、遮光性を得るために植物由来の炭末色素を熱可塑性樹脂に練り込んだ層(着色熱可塑性樹脂層)を板紙層の内面に設けることによって、一定の波長域(400nm〜800nm)の光線をカットすることができる。板紙自体には、もともと短波長域(350nm以下)における光線の吸収がみられるが、可視光(400nm以上)や長波長域それより長波長域で特に500nm〜800nmにおける光線は透過しやすいという問題がある。例えば坪量が300g/mの板紙の場合、700nmの光線透過率は8%程度しかないが、反射濃度Kが1.4以上の炭末色素をポリエチレンに2%混連して20μmに押し出してラミネート層を形成した場合、700nmの光線透過率は3%以下になる。
【0027】
また、使用済のカートンを焼却する際、アルミニウム層を設けた容器では、燃焼した際にアルミニウムが塊(残渣)となり焼却炉をいためるといった問題があるが、本発明の紙製液体容器用積層体及びこれを用いた紙製液体容器を焼却した場合には、残渣とならない。さらに、本発明で用いる植物由来の炭末色素の粒子径はカーボンブラックより小さく(カーボンブラックの×103程度の大きさ)、比重も小さい(1.1〜1.3g/cm)ため、脱墨工程において取り除きやすく、リサイクル紙に混入しやすく、また、排水処理時の汚染が起こりにくい。
【0028】
前記最外層の熱可塑性樹脂層の表面には、文字、絵柄などの印刷インキ層を通常のグラビアインキ、オフセットインキ、フレキソインキ、シルクスクリーンインキなどを用いて、例えば、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、シルクスクリーン印刷方式を用いて設けることができる。この際、熱可塑性樹脂層の表面をコロナ処理、またはガスフレーム処理などの表面処理を行い、インキの密着性を図ることが好ましい。
【0029】
前記板紙層は、例えば、強サイズ性の晒し、または未晒しの紙基材、或いは純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙などの紙基材、その他などを適宜使用することができる。前記板紙層を形成する紙基材としては、坪量が約80〜600g/m程度の範囲内のものを選択して使用することが好ましい。
【0030】
板紙層に熱可塑性樹脂層や着色熱可塑性樹脂層を設ける方法としては例えばラミネーション方法を採用することができ、板紙層上に直接前述の低密度ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を溶融押出してラミネーションするエクストルージョンラミネーション法(溶融押出しラミネーション法)を使用して、熱可塑性樹脂層等を形成したり、またはラミネーション用接着剤層を介して、熱可塑性樹脂フィルムを積層(ドライラミネーション方法)したりすることができる。
【実施例】
【0031】
以下に本願の発明を詳細に述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、実施例の評価に用いた充填機条件、各評価方法については以下の通りである。
<充填機における液体紙容器製造条件>
各実施例記載の層構成からなる紙製液体容器用積層体を所望のブランクス(図1)に打ち抜きサイド貼りをしてカートンブランクス(図2)を作成した後、当該カートンブランクスを四国化工機製UP−NSC60充填機にて紙製液体容器に成形した(図3)。具体的には、当該充填機においてカートンブランクスの底部を400℃から430℃で約2秒加熱後圧着シールして底部を形成した後、内容物を充填して、カートンブランクスのトップ部分を380℃から410℃で約2秒加熱後圧着シールして紙製液体容器を得た。
<シール性評価>
シール性の評価は、上記にて得られた紙製液体紙容器を染色液(スカーレットムー染色液(エロパック製):アシッドレッド73とエアロゾルQT75の混合液)及び手開き後の目視によって、ピンホールやシールされていない部分がないか確認を行なった。
<官能評価>
官能試験は上記充填機でのトップシール前にミネラルウォーターを約1lずつ充填し、冷蔵庫に7日間保管した後、約20℃の雰囲気内で24時間かけて常温(約20℃)に戻してから官能評価を行った。官能評価の方法としては、それぞれのサンプルの味についてパネラーに1から5段階で順位分け評価をしてもらい、それぞれのサンプルの合計点を集計して、合計点の少ないものを官能評価結果(味の評価)が良いとした。なおパネラーは10名である。
(評価点)
1−樹脂臭がほとんどない
2−わずかに感じる
3−感じる
4−強く感じる
5−非常に強く感じる
パネラーが出した点数の合計が10点以下であれば◎、10を超え20点以下であれば○、20点を超えると×と評価した。
<光線透過度>
光線透過度は、各積層体を積分球付分光光度計(UV−3100PC島津製作所製)で400nm及び700nmでの計測を行なった。
[実施例1]
紙製液体容器用板紙層の外層側となる印刷面側にポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)を押し出しラミネートした後、当該板紙層の印刷面側と反対側(内面側)に竹炭(TET0KA579BLK 東洋インキ製造 K=1.43)をポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)に3%の最終濃度(W/W)になるように調合した竹炭3%入りポリエチレンとポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)とを共押し出しでラミネートを行ない、下記層構成1の紙製液体容器用積層体を得た。
(層構成1)
PE(20μm)/板紙(325g/m)/竹炭3%入りPE(25μm)/PE(7μm)
上記層構成1の紙製液体容器用積層体から上述の充填機における液体紙容器製造条件にて紙製液体容器を作成しシール性評価を行なった後、上述の通りに官能評価試験および光線透過度測定を行なった。
シール性評価は、シール不良等がなく良好であった。
官能試験の結果は10点で、味の評価は1位であった。
全光線透過率は、400nmで<0.5%、700nmで<2.0%であった。
[実施例2]
紙製液体容器用板紙層の外層側となる印刷面側にチタンホワイト(TET1A842WHT 東洋インキ製造製)をポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)に12.5%(W/W)になるように調合したチタン12.5%入りポリエチレンとポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)とを共押し出しでラミネートした後、当該板紙層の印刷面側と反対側(内面側)に竹炭(TET0KA579BLK 東洋インキ製造)をポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)に3%の最終濃度(W/W)になるように調合した竹炭3%入りポリエチレンとポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)とを共押し出しでラミネートを行ない、下記層構成2の紙製液体容器用積層体を得た。
(層構成2)
PE(15μm)/チタン12.5%入りPE(20μm)/板紙(325g/m)/竹炭3%入りPE(25μm)/PE(7μm)
上記層構成2の紙製液体容器用積層体から上述の充填機における液体紙容器製造条件にて紙製液体容器を作成しシール性評価を行なった後、上述の通りに官能評価試験および光線透過度測定を行なった。
シール性評価は、シール不良等がなく良好であった。
官能試験の結果は20点で、味の評価は4位であった。
全光線透過率は、400nmで<0.5%、700nmで<1.0%であった。
[実施例3]
紙製液体容器用板紙層の外層側となる印刷面側にポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)を押し出しラミネートした後、当該板紙層の印刷面側と反対側(内面側)に竹炭(TET0KA579BLK 東洋インキ製造)をポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)に0.4%の最終濃度(W/W)になるように調合した竹炭0.4%入りポリエチレンとポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)とを共押し出しでラミネートを行ない、下記層構成3の紙製液体容器用積層体を得た。
層構成3
PE(20μm)/板紙(325g/m)/竹炭0.4%入りPE(25μm)/PE(7μm)
上記層構成3の紙製液体容器用積層体から上述の充填機における液体紙容器製造条件にて紙製液体容器を作成しシール性評価を行なった後、上述の通りに官能評価試験および光線透過度測定を行なった。
官能試験の結果は13点で、味の評価は2位であった。
シール性評価は、シール不良等がなく良好であった。
官能試験の結果は(13)点で、味の評価は(2)位であった。
全光線透過率は、400nmで<0.5%、700nmで<4.0%であった。
[比較例1]
紙製液体容器用板紙層の外層側となる印刷面側にポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)を押し出しラミネートした後、当該板紙層の印刷面側と反対側(内面側)にカーボンブラック(TET01337BLACK 東洋インキ製造製)をポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)に3%の最終濃度(W/W)になるように調合したカーボンブラック3%入りポリエチレンとポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)とを共押し出しでラミネートを行ない、下記層構成5の紙製液体容器用積層体を得た。
層構成5
PE(20μm)/板紙(325g/m)/カーボンブラック3%入りPE(25μm)/PE(7μm)
上記層構成5の紙製液体容器用積層体から上述の充填機における液体紙容器製造条件にて紙製液体容器を作成しシール性評価を行なった後、上述の通りに官能評価試験および光線透過度測定を行なった。
シール性評価は、シール不良等がなく良好であった。
官能試験の結果は48点で、味の評価は8位であった。
全光線透過率は、400nmで<0.5%、700nmで<1.0%であった。
[比較例2]
紙製液体容器用板紙層の外層側となる印刷面側にポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)を押し出しラミネートした後、当該板紙層の印刷面側と反対側(内面側)に同じくポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)を押し出しラミネートして、下記層構成6の紙製液体容器用積層体を得た。
層構成6
PE(20μm)/板紙(325g/m)/PE(27μm)
上記層構成6の紙製液体容器用積層体から上述の充填機における液体紙容器製造条件にて紙製液体容器を作成しシール性評価を行なった後、上述の通りに官能評価試験および光線透過度測定を行なった。
シール性評価は、シール不良等がなく良好であった。
官能試験の結果は13点で、味の評価は2位であった。
全光線透過率は、400nmで>1.0%、700nmで>6.0%であった。
[比較例3]
紙製液体容器用板紙層の外層側となる印刷面側にポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)を押し出しラミネートした後、当該板紙層の印刷面側と反対側(内面側)にアルミ箔(日本製箔製)とポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)とを共押し出しでラミネートを行なった後、当該アルミ箔層にポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)を押し出しラミネートしたが、アルミ箔とポリエチレンの各層の十分な接着力が得られなかったため、ラミネーターの押し出し温度を20℃高く設定して、下記層構成7の紙製液体容器用積層体を得た。
層構成7
PE(20μm)/板紙(325g/m)/PE(20μm)/アルミ箔(9μm)/PE(25μm)
上記層構成7の紙製液体容器用積層体から上述の充填機における液体紙容器製造条件にて紙製液体容器を作成しシール性評価を行なった後、上述の通りに官能評価試験および光線透過度測定を行なった。
シール性評価は、シール不良等がなく良好であった。
官能試験の結果は30点で、味の評価は5位であった。
(官能評価結果が良くないのは、ラミネート温度を20℃高くしたので、ポリエチレンの分解が起こっている為と考えられる。)
全光線透過率は、400nmで0%、700nmで0%であった。
[比較例4]
紙製液体容器用板紙層の外層側となる印刷面側にチタンホワイト(TET1A842WHT 東洋インキ製造製)をポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)に12.5%(W/W)になるように調合したチタン12.5%入りポリエチレンとポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)とを共押し出しでラミネートした後、当該板紙層の印刷面側と反対側(内面側)にポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)を押し出しでラミネートして、下記層構成8の紙製液体容器用積層体を得た。
層構成8
PE(17μm)/チタン12.5%入りPE(20μm)/板紙(325g/m/PE(25μm)
上記層構成2の紙製液体容器用積層体から上述の充填機における液体紙容器製造条件にて紙製液体容器を作成しシール性評価を行なった後、上述の通りに官能評価試験および光線透過度測定を行なった。
シール性評価は、シール不良等がなく良好であった。
官能試験の結果は40点で、味の評価は6位であった。
全光線透過率は、400nmで<1.0%、700nmで>4.0%であった。
[比較例5]
紙製液体容器用板紙層の外層側となる印刷面側にチタンホワイト(TET1A842WHT 東洋インキ製造製)とカーボンブラック(TET01337BLACK 東洋インキ製造製)をポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)にそれぞれ、最終濃度が12.5%(W/W)、3%(W/W)になるように調合した、チタン12.5%、カーボンブラック3%入りポリエチレンとポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)とを共押し出しでラミネートした後、当該板紙層の印刷面側と反対側(内面側)にポリエチレン(ミラソン201P プライムポリマー製)を押し出しでラミネートして、下記層構成9の紙製液体容器用積層体を得た。
層構成9
PE(20μm)/(チタンホワイト12.5%+カーボンブラック3%)入りPE(25μm)/板紙(325g/m)/PE(25μm)
シール性評価は、シール不良等がなく良好であった。
官能試験の結果は47点で、味の評価は7位であった。
全光線透過率は、400nmで<0.5%、700nmで<0.5%であった。
【0032】
実施例1から比較例7までの結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る紙製液体容器用積層体で形成されたブランクスの一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る紙製液体容器用積層体で形成されたカートンブランクスの一例を示す図である。
【図3】本発明に係る紙製液体容器の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る紙製液体容器用積層体の一例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 紙製液体容器用積層体
2 熱可塑性樹脂層
3 板紙層
4 着色熱可塑性樹脂層
5 熱可塑性樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最外層より少なくとも熱可塑性樹脂層、板紙層、500℃〜1000℃の炭化温度で製炭して粉砕した植物由来の炭末色素を含む着色熱可塑性樹脂層、最内層に熱可塑性樹脂層を順次設けたことを特徴とする紙製液体容器用積層体。
【請求項2】
前記着色熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂としてオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂を含有し、さらに植物由来の炭末色素を0.5〜5質量%の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の紙製液体容器用積層体。
【請求項3】
前記炭末色素の反射濃度Kが1.4以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙製液体容器用積層体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載された紙製液体容器用積層体を用いてなることを特徴とする紙製液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−105182(P2010−105182A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276487(P2008−276487)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(502394520)日本紙パック株式会社 (33)
【Fターム(参考)】