素子接続用基板、その製造方法および発光ダイオード装置
【課題】接続される発光ダイオード素子を封止シートによって確実に封止することができながら、光反射性に優れる、素子接続用基板、その製造方法、および、発光効率に優れる発光ダイオード装置を提供すること。
【解決手段】素子接続用基板1は、発光ダイオード素子17が上に接続されるためのリードフレーム4であって、互いに隙間2を隔てて配置される複数のリード3を備えるリードフレーム4と、隙間2に充填される光反射性の第1絶縁樹脂部5とを備える。
【解決手段】素子接続用基板1は、発光ダイオード素子17が上に接続されるためのリードフレーム4であって、互いに隙間2を隔てて配置される複数のリード3を備えるリードフレーム4と、隙間2に充填される光反射性の第1絶縁樹脂部5とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子接続用基板、その製造方法および発光ダイオード装置、詳しくは、発光ダイオード素子が接続される素子接続用基板、その製造方法および発光ダイオード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード装置は、導体パターンと、それに電気的に接続される発光ダイオード素子と、それの周囲に配置される反射壁とを備えている。そして、そのような発光ダイオード装置では、導体パターンから電力が発光ダイオード素子に供給されて、発光ダイオード素子が発光するとともに、発光した光の一部が、反射壁の内面で反射することにより、発光ダイオードの発光効率を向上させている。
【0003】
例えば、基板と、その上に形成される導電体層と、その上に接続されるLEDチップと、基板の上に、LEDチップの周囲を包囲するように形成されるカバー材と、カバー材の内側においてLEDチップを封止する樹脂モールドとを備えるLEDディスプレイが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、近年、封止シートによって、光半導体素子を埋設して、光半導体素子を封止する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−288341号公報
【特許文献2】特開2011−159874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1のLEDディスプレイのLEDチップを、特許文献2の封止シートによって封止する場合には、封止シートを、LEDチップを被覆するように貼着すると、LEDチップの周囲にカバー材が配置されていることから、封止シートとLEDチップとの間に空気が混入し易く、そのため、LEDチップを確実に封止することができないという不具合がある。
【0007】
他方、特許文献1のカバー材を除いた基板に、封止シートを、LEDチップを被覆するように貼着すれば、封止シートとLEDチップとの間に空気が混入することを抑制することができる一方、LEDディスプレイの発光効率を十分に向上させることができないという不具合がある。
【0008】
本発明の目的は、接続される発光ダイオード素子を封止シートによって確実に封止することができながら、光反射性に優れる、素子接続用基板、その製造方法、および、発光効率に優れる発光ダイオード装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の素子接続用基板は、発光ダイオード素子が厚み方向一方側に接続されるためのリードフレームであって、互いに隙間を隔てて配置される複数のリードを備える前記リードフレームと、前記隙間に充填される光反射性の第1絶縁樹脂部とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の素子接続用基板では、前記第1絶縁樹脂部は、封止樹脂組成物と光反射成分とを含有する反射樹脂組成物から形成されていることが好適である。
【0011】
また、本発明の素子接続用基板は、前記リードフレームの前記厚み方向他方面および/または側面に設けられる第2絶縁樹脂部をさらに備えることが好適である。
【0012】
また、本発明の発光ダイオード装置は、上記した素子接続用基板と、前記リードフレームの前記厚み方向一方面に接続される発光ダイオード素子とを備えることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の発光ダイオード装置は、前記素子接続用基板の前記厚み方向一方側に形成され、前記発光ダイオード素子を封止する封止シートをさらに備えることが好適である。
【0014】
また、本発明の素子接続用基板の製造方法は、互いに隙間を隔てて配置される複数のリードと、前記複数のリードを連結するジョイントとを備えるリードフレームを用意する工程、光反射性の第1絶縁樹脂部を前記隙間に充填する工程、および、前記ジョイントを切断する工程を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の素子接続用基板の製造方法により得られる本発明の素子接続用基板では、第1絶縁樹脂部がリードフレームの隙間に充填されているので、リードフレームの厚み方向一方面と、第1絶縁樹脂部の厚み方向一方面とを、ともに露出させることができる。
【0016】
そのため、発光ダイオード素子をリードフレームの厚み方向一方側に接続すれば、その後、封止シートによって発光ダイオード素子を容易かつ確実に被覆して、発光ダイオード素子を容易かつ確実に封止することができる。
【0017】
また、第1絶縁樹脂部が光反射性を有するので、本発明の素子接続用基板は、光反射性に優れている。そのため、本発明の素子接続用基板を備える発光ダイオード装置では、発光ダイオード素子から発光される光を反射させることができ、そのため、発光効率を向上させることができる。
【0018】
さらに、本発明の素子接続用基板では、複数のリードを隔てる隙間に第1絶縁樹脂部が充填されているので、複数のリードを確実に支持することができる。
【0019】
また、本発明の発光ダイオード装置では、上記した封止シートによって、素子接続用基板に接続される発光ダイオード素子を容易かつ確実に封止することができる。そのため、発光ダイオード装置の信頼性を容易かつ確実に向上させることができる。
【0020】
また、本発明の素子接続用基板の製造方法では、複数のリードが、ジョイントによって連結されたリードフレームの形状を維持しつつ、かかるリードフレームの隙間に第1絶縁樹脂部を確実に充填して、複数のリードを確実に支持することができる。
【0021】
そして、ジョイントを切断することにより、複数のリードからなる所望の回路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の素子接続用基板の一実施形態であり、(a)は、平面図、(b)は、A−A線に沿う正断面図を示す。
【図2】図2は、図1に示す素子接続用基板の製造方法に用いられるジョイント付リードフレームであり、(a)は、平面図、(b)は、B−B線に沿う正断面図を示す。
【図3】図3は、図1に示す素子接続用基板の製造方法に用いられ、隙間に第1絶縁樹脂部が充填されたジョイント付リードフレームであり、(a)は、平面図、(b)は、C−C線に沿う正断面図を示す。
【図4】図4は、本発明の発光ダイオード装置の一実施形態であり、(a)は、平面図、(b)は、D−D線に沿う正断面図を示す。
【図5】図5は、素子接続用基板に封止シートを貼着する工程を説明する正断面図を示す。
【図6】図6は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態(リードフレームの側面が露出する態様)の正断面図を示す。
【図7】図7は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態(リードフレームの下面に第2絶縁樹脂部が形成される態様)の正断面図を示す。
【図8】図8は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態であり、(a)は、平面図、(b)は、E−E線に沿う正断面図を示す。
【図9】図9は、図8に示す素子接続用基板の製造方法に用いられるリードフレームであり、(a)は、平面図、(b)は、F−F線に沿う正断面図を示す。
【図10】図10は、本発明の発光ダイオード装置の他の実施形態であり、(a)は、平面図、(b)は、G−G線に沿う正断面図を示す。
【図11】図11は、図8に示す素子接続用基板を2つに分割する態様であり、(a)は、切断線が示される素子接続用基板の平面図、(b)は、2つに分割された素子接続用基板の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の素子接続用基板の一実施形態、図2は、図1に示す素子接続用基板の製造方法に用いられるジョイント付リードフレーム、図3は、図1に示す素子接続用基板の製造方法に用いられ、隙間に第1絶縁樹脂部が充填されたジョイント付リードフレームを示す。
【0024】
素子接続用基板1に関し、方向について言及する場合には、各図に示した方向矢印を基準とする。
【0025】
図1(a)および図1(b)において、素子接続用基板1は、平面視略矩形平板形状に形成されている。
【0026】
素子接続用基板1は、互いに隙間2(図2(a)および図2(b)参照)を隔てて配置される複数のリード3を備えるリードフレーム4と、隙間2に充填される光反射性の第1絶縁樹脂部5とを備えている。また、素子接続用基板1の側面には、第2絶縁樹脂部6が設けられている。
【0027】
リードフレーム4は、後述する発光ダイオード素子17(図4(a)および図4(b)参照)が上面(厚み方向一方面)に接続されるための導電部材である。
【0028】
リードフレーム4を形成する材料としては、例えば、銅、ニッケル、金、42アロイなどの導電材料が挙げられる。
【0029】
複数のリード3は、前後方向(厚み方向に直交する方向、以下同様)に沿って延びる隙間2によって区画されている。すなわち、複数のリード3は、前後方向に延びる平面視略矩形状をなし、幅方向(左右方向)に互いに間隔を隔てて整列配置されている。
【0030】
具体的には、複数のリード3は、第1リード8と、第1リード8と幅方向に隣接する第2リード9とを備えている。
【0031】
第1リード8は、後方に向かって開放される平面視略コ字形状をなし、具体的には、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)整列配置される第1直線部10と、第1直線部10の前端部(一端部)を接続する第1接続部11とを一体的に備えている。
【0032】
2つの第1直線部10は、前後方向に平行状に延びる略平板形状に形成されている。
また、右側の第1直線部10Bは、幅方向に投影したときに、左側の第1直線部10Aよりやや前側に突出している。
【0033】
左側の第1直線部10Aには、その前後方向途中の幅方向両端面から幅方向両側に突出する第1パッド12が設けられている。また、右側の第1直線部10Bには、その前後方向途中の左端面から左側に突出する第1パッド12が設けられている。
【0034】
第1パッド12は、前後方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。各第1パッド12は、幅方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0035】
第1接続部11は、素子接続用基板1の前端部に配置され、左右方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0036】
第2リード9は、第1リード8を素子接続用基板1の上面において180度回転させた点対称形状をなし、具体的には、前方に向かって開放される平面視略コ字形状に形成されている。第2リード9は、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)整列配置される第2直線部13と、第2直線部13の後端部(他端部)を接続する第2接続部14とを一体的に形成されている。
【0037】
2つの第2直線部13は、前後方向に平行状に延びる略平板形状に形成されている。左側の第2直線部13Bは、幅方向に投影したときに、右側の第2直線部13Aに対して、前側にやや突出している。右側の第2直線部13Aには、その前後方向途中の幅方向両端面から幅方向両側に突出する第2パッド15が設けられている。また、左側の第2直線部13Aには、その前後方向途中の右端面から右側に突出する第2パッド15が設けられている。
【0038】
第2パッド15は、前後方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。各第2パッド15は、幅方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0039】
第2接続部14は、素子接続用基板1の後端部に配置され、左右方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0040】
そして、第1リード8と第2リード9とは、幅方向において、第1直線部10と第2直線部13とが、互いに間隔を隔てて対向配置されている。具体的には、2つの第1直線部10と、2つの第2直線部13とが、右側から左側に向かって、交互に(代わる代わる)配列されている。詳しくは、第1リード8と第2リード9とは、第1直線部10と第2直線部13とが互いに齟齬状に隙間2を隔てて噛合(嵌合)するように、配置されている。これにより、第1パッド12と第2パッド15とは、幅方向に互いに隙間2を隔てて対向配置されている。
【0041】
また、第1リード8における左側の第1直線部10Aと、第2リード9における第2接続部14とは、前後方向に隙間2を隔てて配置されている。第2リード9における右側の第2直線部13Aと、第1リード8における第1接続部11とは、前後方向に間隔を隔てて隙間2を隔てて配置されている。
【0042】
リードフレーム4の寸法および隙間2は、用途および目的に応じて、適宜選択される。リードフレーム4の厚みT1は、例えば、35〜2000μm、好ましくは、200〜1000μmである。また、各第1直線部10および各第2直線部13の幅L1は、例えば、300〜1800μm、好ましくは、800〜1200μmである。また、各第1パッド12および各第2パッド15の前後方向長さL2は、例えば、500〜3500μm、好ましくは、1000〜3000μmであり、各第1パッド12および各第2パッド15の幅L3は、例えば、1000〜5000μm、好ましくは、3500〜4500μmである。各第1パッド12間の前後方向間隔L4、および、各第2パッド15間の前後方向間隔L4は、例えば、3000〜9000μm、好ましくは、5000〜7000μmである。
【0043】
第1接続部11および第2接続部14の幅方向長さL5、および、第1接続部11および第2接続部14の前後方向長さL5は、例えば、15000〜27000μm、好ましくは、18000〜24000μmである。
【0044】
幅方向に対向する第1パッド12および第2パッド15の間の隙間2の幅(幅方向長さ)L8は、例えば、50〜1000μm、好ましくは、100〜400μmである。また、前後方向に隣接する第1パッド12間の第1直線部10と、前後方向に隣接する第2パッド15間の第2直線部13との間の隙間2の幅(幅方向長さ)L9は、例えば、500〜8000μm、好ましくは、1000〜4000μmである。
【0045】
第1絶縁樹脂部5は、例えば、光反射性を得る観点から、反射樹脂組成物から形成されている。
【0046】
反射樹脂組成物は、例えば、封止樹脂組成物と、光反射成分とを含有している。
【0047】
封止樹脂組成物としては、例えば、シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物が挙げられる。
【0048】
シリコーン樹脂組成物は、縮合反応および付加反応(具体的には、ヒドロシリル化反応)をすることができる縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物である。より具体的には、シリコーン樹脂組成物は、加熱によって、縮合反応して、半硬化(Bステージ)状態となることができ、次いで、さらなる加熱によって、付加反応して、硬化(完全硬化)状態となることができる。
【0049】
シリコーン樹脂組成物は、例えば、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物、エポキシ基含有ケイ素化合物、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒および付加触媒を含有する。
【0050】
なお、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物は、縮合原料(縮合反応に供される原料)であり、エチレン系ケイ素化合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンは、付加原料(付加反応に供される原料)である。
【0051】
シラノール基両末端ポリシロキサンは、分子の両末端にシラノール基(SiOH基)を含有するオルガノシロキサンであって、具体的には、下記一般式(1)で示される。
一般式(1):
【0052】
【化1】
【0053】
(一般式(1)中、R1は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、nは、1以上の整数を示す。)
上記一般式(1)中、R1で示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)などが挙げられる。
【0054】
また、上記一般式(1)中、R1で示される1価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基(フェニル基、ナフチル基)などが挙げられる。
【0055】
上記一般式(1)において、R1は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0056】
1価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、透明性、耐熱性および耐光性の観点から、さらに好ましくは、メチル基が挙げられる。
【0057】
上記一般式(1)おいて、nは、好ましくは、安定性および/または取扱性の観点から、1〜10,000の整数、さらに好ましくは、1〜1,000の整数である。
【0058】
なお、上記一般式(1)におけるnは、平均値として算出される。
【0059】
シラノール基両末端ポリシロキサンとしては、具体的には、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン、シラノール基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、シラノール基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0060】
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0061】
また、このようなシラノール基両末端ポリシロキサンのなかでは、好ましくは、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0062】
シラノール基両末端ポリシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0063】
シラノール基両末端ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取扱性の観点から、例えば、100〜1,000,000、好ましくは、200〜100,000である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンで換算されて算出される。後述するシラノール基両末端ポリシロキサン以外の原料の数平均分子量についても、上記と同様にして算出される。
【0064】
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンにおける、シラノール基含量は、例えば、0.002〜25mmol/g、好ましくは、0.02〜25mmol/gである。なお、シラノール基含量は、1H−NMRによるシラノール基とメチル基とのピークの積分比から算出される。
【0065】
シラノール基両末端ポリシロキサンの配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、1〜99.99質量部、好ましくは、50〜99.9質量部、さらに好ましくは、80〜99.5質量部である。
【0066】
エチレン系ケイ素化合物は、エチレン系不飽和炭化水素基、および、シラノール縮合反応における脱離基を併有するシラン化合物であって、具体的には、下記一般式(2)で示される。
一般式(2):
R2−Si(X1)3 (2)
(一般式(2)中、R2は、1価のエチレン系不飽和炭化水素基を示し、X1は、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、またはアセトキシ基を示す。但し、X1は、同一または互いに相異なっていてもよい。)
上記一般式(2)において、R2で示されるエチレン系不飽和炭化水素基としては、置換または非置換のエチレン系不飽和炭化水素基が挙げられ、例えば、アルケニル基、シクロアルケニル基などが挙げられる。
【0067】
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基などの炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
【0068】
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基などの炭素数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
【0069】
エチレン系不飽和炭化水素基としては、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基との反応性の観点から、好ましくは、アルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜5のアルケニル基、とりわけ好ましくは、ビニル基が挙げられる。
【0070】
上記一般式(2)におけるX1は、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(2)におけるSiX1基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。
【0071】
上記一般式(2)において、X1で示されるハロゲン原子としては、例えば、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素などが挙げられる。
【0072】
上記一般式(2)において、X1で示されるアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を有するアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基を有するアルコキシ基(シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基など)などが挙げられる。
【0073】
上記一般式(2)において、X1は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0074】
このような上記一般式(2)のX1のなかでは、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
【0075】
このようなエチレン系ケイ素化合物としては、例えば、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリハロゲン化シラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリフェノキシシラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
【0076】
このようなエチレン系ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0077】
このようなエチレン系ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
【0078】
エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシランなどのビニルトリアルコキシシラン、例えば、アリルトリメトキシシランなどのアリルトリアルコキシシラン、例えば、プロペニルトリメトキシシランなどのプロペニルトリアルコキシシラン、例えば、ブテニルトリメトキシシランなどのブテニルトリアルコキシシラン、例えば、シクロヘキセニルトリメトキシシランなどのシクロヘキセニルトリアルコキシシランなどが挙げられる。
【0079】
また、このようなエチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、ビニルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、ビニルトリメトキシシランが挙げられる。
【0080】
エチレン系ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜10質量部である。
【0081】
エチレン系ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0082】
エポキシ基含有ケイ素化合物は、エポキシ基、および、シラノール縮合反応における脱離基を併有するシラン化合物あって、具体的には、下記一般式(3)で示される。
一般式(3):
R3−Si(X2)3 (3)
(一般式(3)中、R3は、エポキシ構造含有基を示し、X2は、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、またはアセトキシ基を示す。但し、X2は、同一または互いに相異なっていてもよい。)
一般式(3)において、R3で示されるエポキシ構造含有基としては、例えば、エポキシ基、例えば、グリシジルエーテル基、例えば、エポキシシクロヘキシル基などのエポキシシクロアルキル基などが挙げられる。
【0083】
このようなエポキシ構造含有基のなかでは、好ましくは、グリシジルエーテル基が挙げられる。グリシジルエーテル基は、具体的には、下記一般式(4)で示されるグリシドキシアルキル基である。
一般式(4):
【0084】
【化2】
【0085】
(一般式(4)中、R4は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される2価の炭化水素基を示す。)
上記一般式(4)中、R4で示される2価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキレン基(シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)などが挙げられる。
【0086】
また、上記一般式(4)中、R4で示される2価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリーレン基(フェニレン基、ナフチレン基など)などが挙げられる。
【0087】
このような2価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキレン基、さらに好ましくは、プロピレン基が挙げられる。
【0088】
グリシジルエーテル基としては、具体的には、グリシドキシメチル基、グリシドキシエチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシシクロヘキシル基、グリシドキシフェニル基などが挙げられる。
【0089】
このようなグリシジルエーテル基のなかでは、好ましくは、グリシドキシプロピル基が挙げられる。
【0090】
上記一般式(3)におけるX2は、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(3)におけるSiX2基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。
【0091】
上記一般式(3)において、X2で示されるハロゲン原子としては、上記一般式(2)のX1で示されるハロゲン原子と同様のものが挙げられる。
【0092】
上記一般式(3)において、X2で示されるアルコキシ基としては、上記一般式(2)のX1で示されるアルコキシ基と同様のものが挙げられる。
【0093】
上記一般式(3)において、X2は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0094】
このような上記一般式(3)のX2としては、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
【0095】
このようなエポキシ基含有ケイ素化合物としては、例えば、エポキシ基含有トリアルコキシシラン、エポキシ基含有トリハロゲン化シラン、エポキシ基含有トリフェノキシシラン、エポキシ基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
【0096】
このようなエポキシ基含有ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0097】
また、このようなエチレン系ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、エポキシ基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
【0098】
エポキシ基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、例えば、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランなどのグリシドキシアルキルトリメトキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシランなどのグリシドキシアルキルトリエトキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリプロポキシシランなどのグリシドキシアルキルトリプロポキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリイソプロポキシシランなどのグリシドキシアルキルトリプロポキシシランなどが挙げられる。
【0099】
また、このようなエポキシ基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、グリシドキシメチルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランが挙げられる。
【0100】
エポキシ基含有ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜1質量部である。
【0101】
エポキシ基含有ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0102】
エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物の反応性官能基(SiX1基およびSiX2基)に対する、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)のモル比(SiOH/(SiX1+SiX2))は、例えば、20/1〜0.2/1、好ましくは、10/1〜0.5/1、さらに好ましくは、実質的に1/1である。
【0103】
モル比が上記範囲を超える場合には、シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化状物(半硬化物)を得られない場合があり、一方、モル比が上記範囲に満たない場合には、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物の配合割合が過度に多く、そのため、第1絶縁樹脂部5の耐熱性が低下する場合がある。
【0104】
また、モル比が上記範囲内(好ましくは、実質的に1/1)であれば、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)と、エチレン系ケイ素化合物の反応性官能基(SiX1基)およびエポキシ基含有ケイ素化合物の反応性官能基(SiX2基)とを過不足なく縮合反応させることができる。
【0105】
エポキシ基含有ケイ素化合物に対する、エチレン系ケイ素化合物のモル比は、例えば、10/90〜99/1、好ましくは、50/50〜97/3、さらに好ましくは、80/20〜95/5である。
【0106】
モル比が上記した範囲内であれば、硬化物の強度を確保しつつ、接着性を向上できる利点がある。
【0107】
オルガノハイドロジェンシロキサンは、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基(SiH基)を1分子中に有するオルガノシロキサンである。
【0108】
オルガノハイドロジェンシロキサンは、具体的には、水素側鎖含有オルガノポリシロキサン、水素両末端オルガノポリシロキサンなどのオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0109】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンは、主鎖から分岐する側鎖として水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであって、式(5)で表される。
【0110】
【化3】
【0111】
(式中、A〜Dは、構成単位を示し、AおよびDは、末端単位を示し、BおよびCは、繰り返し単位を示す。R5は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、bは、0以上の整数を示し、cは、1以上の整数を示す。)
A〜Dは、水素側鎖含有オルガノポリシロキサンを構成する。
【0112】
式(5)においてR5で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0113】
R5で示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基は、上記式(1)のR1で例示した飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。1価の炭化水素基として、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
【0114】
bは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10,000の整数、さらに好ましくは、2〜5,000の整数、とりわけ好ましくは、5〜100の整数を示す。
【0115】
cは、好ましくは、2以上、また、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10,000の整数、さらに好ましくは、2〜1,000の整数、とりわけ好ましくは、5〜100の整数を示す。
【0116】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンとしては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン−co−メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。
【0117】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、例えば、100〜1,000,000である。
【0118】
また、水素両末端オルガノポリシロキサンは、主鎖の両末端に水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであって、式(6)で表される。
【0119】
【化4】
【0120】
(式中、R6は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、dは、1以上の整数を示す。)
R6で示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基は、上記式(1)のR1で例示した飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。1価の炭化水素基として、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
【0121】
dは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10,000の整数、さらに好ましくは、1〜5,000の整数を示す。
【0122】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンとしては、例えば、ヒドロシリル基両末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0123】
水素両末端オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取扱性の観点から、例えば、100〜1,000,000、さらに好ましくは、100〜100,000である。
【0124】
このようなオルガノハイドロジェンシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0125】
また、このようなオルガノハイドロジェンシロキサンのなかでは、好ましくは、水素側鎖含有オルガノポリシロキサンが挙げられ、さらに好ましくは、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0126】
オルガノハイドロジェンシロキサンの25℃における粘度は、例えば、10〜100,000mPa・s、好ましくは、20〜50,000mPa・sである。なお、粘度は、B型粘度計により測定される。
【0127】
このようなオルガノハイドロジェンシロキサンにおけるヒドロシリル基含量は、例えば、0.1〜15mmol/g、好ましくは、0.5〜10mmol/gである。なお、ヒドロシリル基含量は、1H−NMRによるヒドロシリル基とメチル基とのピークの積分比から算出される。
【0128】
オルガノハイドロジェンシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0129】
オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合は、エチレン系ケイ素化合物のエチレン系不飽和炭化水素基(上記一般式(2)のR2)とオルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)とのモル比にもよるが、例えば、エチレン系ケイ素化合物100質量部に対して、例えば、10〜10,000質量部、好ましくは、100〜1,000質量部である。
【0130】
また、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)に対する、エチレン系ケイ素化合物のエチレン系不飽和炭化水素基(上記一般式(2)のR2)のモル比(R2/SiH)は、例えば、20/1〜0.05/1、好ましくは、20/1〜0.1/1、さらに好ましくは、10/1〜0.1/1、とりわけ好ましくは、10/1〜0.2/1、もっとも好ましくは、5/1〜0.2/1である。また、例えば、1/1未満、0.05/1以上に設定することもできる。
【0131】
モル比が20/1を超える場合には、シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化物を得られない場合があり、モル比が0.05/1に満たない場合には、オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合が過度に多く、そのため、第1絶縁樹脂部5の耐熱性および靭性が不十分となる場合がある。
【0132】
また、モル比が1/1未満、0.05/1以上であれば、シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、モル比が20/1〜1/1であるシリコーン樹脂組成物に比べて、半硬化状態へ迅速に移行させることができる。
【0133】
縮合触媒は、シラノール基と反応性官能基(上記一般式(2)のSiX1基および上記一般式(3)のSiX2基)との縮合反応の反応速度を向上させる物質であれば特に限定されず、例えば、塩酸、酢酸、ギ酸、硫酸などの酸、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズなどの金属などが挙げられる。
【0134】
このような縮合触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0135】
また、このような縮合触媒のなかでは、相溶性および熱分解性の観点から、好ましくは、塩基、さらに好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。
【0136】
このような縮合触媒の配合割合は、シラノール基両末端ポリシロキサン100モルに対して、例えば、0.1〜50モル、好ましくは、0.25〜5モルである。
【0137】
付加触媒は、付加反応、つまり、エチレン系不飽和炭化水素基とヒドロシリル基(SiH基)とのヒドロシリル化反応の反応速度を向上させる物質(ヒドロシリル化触媒)であれば、特に限定されず、例えば、金属触媒が挙げられ、そのような金属触媒としては、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体、白金−アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、例えば、ロジウム触媒などが挙げられる。
【0138】
これら付加触媒のうち、好ましくは、相溶性および透明性の観点から、白金触媒、さらに好ましくは、白金オレフィン錯体が挙げられ、具体的には、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、白金−ジビニルシロキサン錯体などが挙げられる。
【0139】
このような付加触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0140】
また、このような付加触媒のなかでは、相溶性、透明性および触媒活性の観点から、好ましくは、白金触媒、さらに好ましくは、白金−カルボニル錯体が挙げられる。
【0141】
付加触媒の配合割合は、付加触媒の金属量の質量部数として、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して、例えば、1.0×10−4〜1.0質量部、好ましくは、1.0×10−4〜0.5質量部、さらに好ましく、1.0×10−4〜0.05質量部である。
【0142】
なお、上記した縮合触媒および付加触媒は、固体状態のものをそのまま用いてもよく、あるいは、取扱性の観点から、溶媒に溶解または分散させた溶液または分散液として用いることもできる。
【0143】
溶媒としては、例えば、水、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。
【0144】
シリコーン樹脂組成物は、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物、エポキシ基含有ケイ素化合物、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒および付加触媒を配合して、攪拌混合することにより調製される。
【0145】
シリコーン樹脂組成物を調製するには、例えば、上記した原料(縮合原料および付加原料)と、触媒とを一度に配合してもよく、あるいは、各原料および各触媒を異なるタイミングでそれぞれ配合することもできる。さらには、一部の成分を一度に加え、残部の各成分を、異なるタイミングでそれぞれ配合することもできる。
【0146】
このようなシリコーン樹脂組成物の調製方法のなかでは、好ましくは、まず、縮合原料を調製し、その後、調製した縮合原料に縮合触媒を配合して、混合物を調製する。次いで、調製した混合物に、付加原料を配合し、その後、付加触媒を配合する方法が挙げられる。
【0147】
具体的には、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物(つまり、縮合原料)を、上記した割合で撹拌混合した後、縮合触媒を配合し、それらを、例えば、5分間〜24時間攪拌混合して、混合物を調製する。
【0148】
また、配合および攪拌時には、縮合原料の相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に温度調整することもできる。
【0149】
なお、上記混合によって、シラノール基両末端ポリシロキサンのSiOH基と、エチレン系ケイ素化合物のSiX1基およびエポキシ基含有ケイ素化合物のSiX2基との縮合反応の一部が開始されてもよく、縮合反応の進行度は、1H−NMR測定によって、SiOH基に由来するピークの消失程度によって確認することができる。
【0150】
その後、系を、必要により減圧することにより、揮発成分(溶媒など)を除去する。
【0151】
次いで、調製した縮合原料および縮合触媒の混合物に、オルガノハイドロジェンシロキサンを配合して、例えば、1〜120分間攪拌する。
【0152】
配合および攪拌時には、混合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンの相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に温度調整することもできる。
【0153】
その後、系に、付加触媒を配合して、例えば、1〜60分間で攪拌する。
【0154】
これにより、シリコーン樹脂組成物を調製する。
【0155】
シリコーン樹脂組成物は、例えば、液状(オイル状)であって、後述するが、調製後に、光反射成分などが配合されて、封止樹脂組成物として調製された後においても、液状または半固体状の封止樹脂組成物が、隙間2に充填された後、加熱することにより、縮合原料が縮合反応し、Bステージ状態(半硬化状態)となる。その後、さらに加熱することにより、付加原料が付加反応して、Cステージ状態(完全硬化)となる。
【0156】
エポキシ樹脂組成物は、加熱により熱硬化できる樹脂組成物である。
【0157】
エポキシ樹脂組成物としては、特に限定されず、例えば、特開2011−119393号公報に記載のエポキシ樹脂、硬化剤および硬化促進剤を含有する熱硬化性樹脂、例えば、特開2011−60819号公報に記載されるエポキシ樹脂および酸無水物系硬化剤を含有する絶縁樹脂層形成材料などが挙げられる。
【0158】
熱硬化性樹脂におけるエポキシ樹脂、硬化剤および硬化促進剤の配合割合は、例えば、特開2011−119393号公報に記載に準拠して設定される。また、絶縁樹脂層形成材料におけるエポキシ樹脂および酸無水物系硬化剤の配合割合は、例えば、特開2011−60819号公報に記載に準拠して設定される。
【0159】
これら封止樹脂組成物の含有割合は、反射樹脂組成物に対して、例えば、10〜99.5質量%、好ましくは、着色性および反射樹脂組成物のハンドリング性の観点から、30〜98.5質量%、さらに好ましくは、40〜60質量%である。
【0160】
封止樹脂組成物は、単独使用または併用することができる。
【0161】
封止樹脂組成物として、好ましくは、シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0162】
光反射成分は、例えば、白色の化合物であって、そのような白色の化合物としては、具体的には、白色顔料が挙げられる。
【0163】
白色顔料としては、例えば、白色無機顔料が挙げられ、そのような白色無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどの酸化物、例えば、鉛白(炭酸亜鉛)、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、例えば、カオリン(カオリナイト)などの粘土鉱物などが挙げられる。
【0164】
白色無機顔料として、好ましくは、酸化物、さらに好ましくは、酸化チタンが挙げられる。
【0165】
酸化チタンであれば、高い白色度、高い光反射性、優れた隠蔽性(隠蔽力)、優れた着色性(着色力)、高い分散性、優れた耐候性、高い化学的安定性などの特性を得ることができる。
【0166】
そのような酸化チタンは、具体的には、TiO2、(酸化チタン(IV)、二酸化チタン)である。
【0167】
酸化チタンの結晶構造は、特に限定されず、例えば、ルチル型、ブルッカイト型(板チタン石)、アナターゼ(鋭錐石)などであり、好ましくは、ルチル型である。
【0168】
また、酸化チタンの結晶系は、特に限定されず、例えば、正方晶系、斜方晶系などであり、好ましくは、正方晶系である。
【0169】
酸化チタンの結晶構造および結晶系が、ルチル型および正方晶系であれば、第1絶縁樹脂部5が長期間高温に曝される場合でも、光(具体的には、可視光、とりわけ、波長450nm付近の光)に対する反射率が低下することを有効に防止することができる。
【0170】
光反射成分は、粒子状であり、その形状は限定されず、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。光反射成分の最大長さの平均値(球状である場合には、その平均粒径)は、例えば、1〜1,000nm、好ましくは、100〜500nmである。最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
【0171】
光反射成分の含有割合は、反射樹脂組成物に対して、例えば、0.5〜90質量%、好ましくは、着色性、光反射性および反射樹脂組成物のハンドリング性の観点から、1.5〜70質量%、さらに好ましくは、10〜40質量%、とりわけ好ましくは、25〜35質量%である。
【0172】
また、光反射成分の配合割合は、封止樹脂組成物100質量部に対して、例えば、2〜200質量部、好ましくは、10〜90質量部、さらに好ましくは、25〜75質量部である。
【0173】
そして、反射樹脂組成物は、封止樹脂組成物と、光反射成分とを配合して、均一混合することにより調製される。
【0174】
これにより、光反射成分は、封止樹脂組成物中に均一に分散混合される。
【0175】
また、反射樹脂組成物には、無機充填剤をさらに含有させることができる。
【0176】
無機充填剤としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、硫酸バリウム、炭酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、層状マイカ、カーボンブラック、珪藻土、ガラス繊維などが挙げられる。
【0177】
このような無機充填剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0178】
また、このような充填剤のなかでは、好ましくは、シリカ(二酸化ケイ素)が挙げられる。
【0179】
無機充填剤は、粒子状であり、その形状は限定されず、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。無機充填剤の最大長さの平均値(球状である場合には、その平均粒径)は、例えば、1〜1,000nm、好ましくは、100〜500nmである。最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
【0180】
無機充填剤の平均粒径は、例えば、1〜1,000μm、好ましくは、10〜100μmである。最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
【0181】
無機充填剤の含有割合は、反射樹脂組成物に対して、例えば、1〜50質量%、好ましくは、5〜40質量%、さらに好ましくは、15〜30質量%である。
【0182】
また、反射樹脂組成物において、無機充填剤が配合される場合には、封止樹脂組成物100質量部に対して、光反射成分および無機充填剤の総質量部数が、例えば、50〜300質量部、好ましくは、100〜200質量部であり、さらには、光反射成分の、光反射成分および無機充填剤の総質量部数に対する質量比率(光反射成分質量/(光反射成分質量+無機充填剤質量))は、例えば、0.0001〜1、好ましくは、0.01〜1である。
【0183】
また、光反射成分の無機充填剤に対する質量比率(光反射成分質量/無機充填剤質量)は、例えば、0.2〜3.0、好ましくは、0.5〜2.0である。とりわけ、封止樹脂組成物がエポキシ樹脂組成物である場合には、光反射成分の無機充填剤に対する質量比率(光反射成分質量/無機充填剤質量)は、例えば、0.26〜3.0である。
【0184】
上記した無機充填剤は、光反射成分とともに封止樹脂組成物中に均一に分散混合される。
【0185】
このようにして調製される反射樹脂組成物は、液状または半固形状とされる。
【0186】
そして、第1絶縁樹脂部5は、複数のリード3すべての上面と下面とを露出するように、形成されている。
【0187】
具体的には、第1絶縁樹脂部5は、幅方向に対向する第1パッド12および第2パッド15により幅方向に区画される隙間2に充填されている。また、第1絶縁樹脂部5は、前後方向に隣接する各第1パッド12間の第1直線部10と、前後方向に隣接する各第2パッド15間の第2直線部13とにより幅方向に区画される隙間2にも、充填されている。
【0188】
一方、第1絶縁樹脂部5は、第1リード8の第1接続部11と、その後方に対向配置される第1パッド12および第2パッド15とに区画される隙間2には、充填されておらず、かかる隙間2は、空間として区画されている。また、第1絶縁樹脂部5は、第2リード9の第2接続部14と、その前方に対向配置される第1パッド12および第2パッド15とに区画される隙間2にも、充填されておらず、かかる隙間2は、空間として区画されている。
【0189】
第1絶縁樹脂部5の厚みT2は、リードフレーム4の厚みT1と実質的に同一である。
【0190】
第2絶縁樹脂部6は、例えば、第1絶縁樹脂部5と同様の反射樹脂組成物から形成されている。また、第2絶縁樹脂部6を、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などから形成することもできる。製造工程の工数を低減する観点から、好ましくは、第2絶縁樹脂部6を第1絶縁樹脂部5と同様の反射樹脂組成物から形成する。
【0191】
第2絶縁樹脂部6は、前後方向に延びる平面視略平板形状に形成されている。具体的には、第2絶縁樹脂部6は、第1リード8の右側の第1直線部10Aの右側面に沿って形成されるとともに、第2リード9の左側の第2直線部13Bの左側面に沿って形成されている。
【0192】
第2絶縁樹脂部6の厚みT3は、リードフレーム4の厚みT1と実質的に同一である。
【0193】
これにより、リードフレーム4と第1絶縁樹脂部5と第2絶縁樹脂部6とは、上面および下面において、面一に形成されている。
【0194】
次に、この素子接続用基板1を製造する方法について、説明する。
【0195】
まず、この方法では、図2(a)および図2(b)に示すように、複数のリード3がジョイント16によって連結されるリードフレームとしてのジョイント付リードフレーム4’を用意する。
【0196】
つまり、ジョイント付リードフレーム4’は、上記した複数のリード3と、複数のリード3を連結するジョイント16とを一体的に備えている。
【0197】
ジョイント16は、第1リード8と第2リード9とを連結しており、具体的には、各第1直線部10の後端部と、第2接続部14とを連結するともに、各第2直線部13の前端部と、第1接続部11とを連結している。
【0198】
このジョイント付リードフレーム4’には、上記した隙間2が形成されている。
【0199】
ジョイント付リードフレーム4’は、平面視略矩形平板形状をなす、上記した導体材料からなる平板(金属板)を、隙間2に対応する金型を用いるスタンピングによる打抜加工、あるいは、エッチングなどによって隙間2を形成することにより、用意する。
【0200】
次いで、この方法では、図3(a)および図3(b)に示すように、光反射性の第1絶縁樹脂部5を隙間2に充填する。これと同時に、第2絶縁樹脂部6を素子接続用基板1の側面に形成する。
【0201】
例えば、第1絶縁樹脂部5および第2絶縁樹脂部6が同一の反射樹脂組成物から形成される場合には、トランスファー成形、コンプレッション成形、熱プレス成形、ラミネート成形などの成形加工によって、上記した反射樹脂組成物を隙間2に充填して、第1絶縁樹脂部5を形成するとともに、反射樹脂組成物をリードフレーム4の側面に塗布して、第2絶縁樹脂部6を形成する。
【0202】
なお、上記した成形では、反射樹脂組成物を加熱することから、反射樹脂組成物は、シリコーン樹脂組成物を含有する場合には、Bステージ状態(半硬化状態)となる。
【0203】
なお、ジョイント付リードフレーム4’と、ジョイント付リードフレーム4’の隙間2に充填される第1絶縁樹脂部5と、ジョイント付リードフレーム4’の側面に形成される第2絶縁樹脂部6とを備える構造物を、ジョイント16が切断される前の素子接続用基板1として得ることもできる。
【0204】
その後、図3(a)および図3(b)の切断線CL1で示すように、ジョイント16を切断する。
【0205】
ジョイント16を切断するには、例えば、打抜加工、エッチングによって、ジョイント16を除去する。
【0206】
ジョイント16の切断によって、図1(a)および図1(b)に示すように、第1リード8および第2リード9を備えるリードフレーム4が形成される。つまり、第1リード8および第2リード9が互いに電気的に絶縁される回路が形成される。
【0207】
これによって、素子接続用基板1を得ることができる。
【0208】
図4は、本発明の発光ダイオード装置の一実施形態、図5は、素子接続用基板に封止シートを貼着する工程を説明する正断面図を示す。
【0209】
なお、図4(a)において、封止シート19は、リードフレーム4および発光ダイオード素子17の相対配置を明確に示すために、省略している。
【0210】
この素子接続用基板1には、発光ダイオード素子17が接続される。
【0211】
次に、発光ダイオード素子17が素子接続用基板1に接続される発光ダイオード装置18について説明する。
【0212】
図4(a)および図4(b)に示すように、発光ダイオード装置18は、素子接続用基板1と、素子接続用基板1の上面(厚み方向一方面)に接続される発光ダイオード素子17と、発光ダイオード素子17を封止する封止シート19(図4(b)参照)とを備える。
【0213】
発光ダイオード素子17は、複数設けられ、具体的には、第2リード9の第2パッド15の上面(厚み方向一方面)の搭載されている。詳しくは、発光ダイオード素子17の下面は、図示しない導電性接着剤層を介して、第2パッド15の上面に接着している。つまり、発光ダイオード素子17の下面は、第2リード9の上面に電気的に接続されている。
【0214】
一方、発光ダイオード素子17は、その上面に接続されるワイヤー22を介して、第1リード8の第1パッド12の上面に電気的に接続されている。つまり、発光ダイオード素子17の上面は、発光ダイオード素子17が搭載される第2パッド15に幅方向に対向配置される第1パッド12と電気的に接続されている。すなわち、発光ダイオード素子17の上面は、第1リード8の上面に電気的に接続されている。
【0215】
封止シート19は、平面視略矩形状をなし、素子接続用基板1の上(厚み方向一方側)に形成されている。封止シート19としては、例えば、特開2011−159874号公報に記載の封止シートが挙げられる。
【0216】
この発光ダイオード装置18を製造するには、図1(a)および図1(b)に示す素子接続用基板1を用意し、次いで、図4(a)および図4(b)に示すように、発光ダイオード素子17を複数のリード3に接続する。その後、図5に示すように、封止シート19を、厚み方向に投影した時に、少なくとも発光ダイオード素子17およびワイヤー22と重複するように、それらの上側に配置し、続いて、図5の矢印で示すように、封止シート19を、発光ダイオード素子17およびワイヤー22を埋設するように、素子接続用基板1に貼着し、その後、加熱する。この加熱によって、第1樹脂絶縁部5および第2樹脂絶縁部6が、反射性樹脂組成物(封止樹脂組成物)からなる場合には、第1樹脂絶縁部5および第2樹脂絶縁部6がCステージ状態(完全硬化)となる。
【0217】
その後、図4(a)に示すように、第1リード8および第2リード9のそれぞれを、電源配線20を介して、電源21に接続する。
【0218】
これにより、発光ダイオード装置18を得る。
【0219】
そして、上記した方法により得られる素子接続用基板1では、第1絶縁樹脂部5がリードフレーム4の隙間2に充填されているので、リードフレーム4の上面と、第1絶縁樹脂部5の上面とを、ともに露出させることができる。
【0220】
そのため、発光ダイオード素子17をリードフレーム4の上側に接続すれば、その後、封止シート19によって発光ダイオード素子17を容易かつ確実に被覆して、発光ダイオード素子17を容易かつ確実に封止することができる。
【0221】
また、第1絶縁樹脂部5が光反射性を有するので、素子接続用基板1は、光反射性に優れている。そのため、素子接続用基板1を備える発光ダイオード装置18では、発光ダイオード素子17から発光される光を反射させることができ、そのため、発光効率を向上させることができる。
【0222】
さらに、素子接続用基板1では、複数のリード3を隔てる隙間2に第1絶縁樹脂部5が充填されているので、複数のリード3を確実に支持して補強することができる。
【0223】
さらにまた、第2絶縁樹脂部6によって、リードフレーム4の側面を側方から支持して補強することができる。
【0224】
また、発光ダイオード装置18では、上記した封止シート19によって、素子接続用基板1に接続される発光ダイオード素子17を容易かつ確実に封止することができる。そのため、発光ダイオード装置18の信頼性を容易かつ確実に向上させることができる。
【0225】
また、上記した方法では、複数のリード3が、ジョイント16によって連結されたジョイント付リードフレーム4’の形状を維持しつつ、かかるジョイント付リードフレーム4’の隙間2に第1絶縁樹脂部5を確実に充填して、複数のリード3を確実に支持することができる。
【0226】
そして、ジョイント16を切断することにより、複数のリード3からなる所望の回路を形成することができる。
【0227】
図6は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態(リードフレームの側面が露出する態様)の正断面図、図7は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態(リードフレームの下面に第2絶縁樹脂部が形成される態様)の正断面図、図8は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態、図9は、図8に示す素子接続用基板の製造方法に用いられるリードフレーム、図10は、本発明の発光ダイオード装置の他の実施形態、図11は、図8に示す素子接続用基板を2つに分割する態様を示す。
【0228】
以降の図面において、上記と同様の部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0229】
図1の実施形態では、第2絶縁樹脂部6を、リードフレーム4の側面に形成しているが、例えば、図6に示すように、第2絶縁樹脂部6をリードフレーム4の側面に形成せず、リードフレーム4の側面を露出させることもできる。
【0230】
図6において、第1リード8の右側の第1直線部10Bの右側面、および、第2リード9の左側の第2直線部13Bの左側面は、露出している。
【0231】
また、図1および図6の実施形態では、リードフレーム4の下面(厚み方向他方面)を露出させているが、図7に示すように、リードフレーム4の下面を第2絶縁樹脂部6で被覆することもできる。
【0232】
図7において、第2絶縁樹脂部6は、リードフレーム4の側面に加え、下面にも設けられている。すなわち、第2絶縁樹脂部6は、幅方向両端部のリードフレーム4の下面に設けられている。
【0233】
具体的には、リードフレーム4の下面に設けられる第2絶縁樹脂部6は、右側の第1直線部10Bの下面と、右側の第2直線部13Aの下面と、右側の第1直線部10Bおよび右側の第2直線部13Aの間の隙間2に充填される第2絶縁樹脂部6の下面とに連続して形成されている。また、リードフレーム4の下面に設けられる第2絶縁樹脂部6は、左側の第2直線部13Bの下面と、左側の第1直線部10Aの下面と、左側の第2直線部13Bおよび左側の第1直線部10Aの間の隙間2に充填される第2絶縁樹脂部6の下面とに連続して形成されている。
【0234】
リードフレーム4の下面に設けられる第2絶縁樹脂部6の厚みT4は、例えば、50〜2000μm、好ましくは、100〜300μmである。
【0235】
図7の実施形態は、図1と同様の作用効果を奏することができ、さらに、リードフレーム4の下面に設けられる第2絶縁樹脂部6によって、リードフレーム4を下方から支持して補強することもできる。
【0236】
図1(a)および図1(b)の実施形態では、第1リード8および第2リード9のそれぞれに、第1パッド12および第2パッド15のそれぞれを設けているが、例えば、図8(a)および図8(b)に示すように、第1パッド12および第2パッド15を設けることなく、第1リード8および第2リード9を形成することもできる。
【0237】
図8(a)および図8(b)において、素子接続用基板1は、複数のリード3を備えるリードフレーム4と、隙間2に充填される光反射性を有する第1絶縁樹脂部5と、リードフレーム4の側面に形成される第2絶縁樹脂部6とを備えている。
【0238】
複数のリード3は、幅方向中央に配置される第1リード8と、第1リード8の幅方向両外側に隙間2を隔てて対向配置される第2リード9とを備えている。
【0239】
第1リード8は、前後方向に延びる平面視幅広略矩形状に形成されている。
【0240】
第2リード9は、第1リード8より幅狭であって、前後方向に長く延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0241】
第1絶縁樹脂部5は、第1リード8および第2リード9の間に形成される隙間2に充填されている。
【0242】
第2絶縁樹脂部6は、第2リード9の幅方向外側面に形成されている。
【0243】
図8の素子接続用基板1を得るには、例えば、まず、図9(a)および図9(b)に示すリードフレーム4を用意する。なお、リードフレーム4は、第1リード8の前後方向両端部のそれぞれと、第2リード9の前後方向両端部のそれぞれとが、図示しないジョイントによって連結されており、ジョイント付フレーム4’とされている。
【0244】
次いで、図8(a)および図8(b)に示すように、第1絶縁樹脂部5および第2絶縁樹脂部6を反射樹脂組成物から形成する。
【0245】
これにより、素子接続用基板1を得る。
【0246】
そして、この素子接続用基板1には、図10(a)および図10(b)に示すように、発光ダイオード素子17が接続されており、発光ダイオード装置18を構成する。
【0247】
発光ダイオード装置18において、発光ダイオード素子17は、第1リード8の幅方向両端部に設けられ、第1リード8の前後方向に沿って互いに間隔を隔てて配置されている。
【0248】
発光ダイオード素子17は、図示しない導電性接着剤層を介して、第1リード8の上面に接着しており、これによって、第1リード8の上面に電気的に接続されている。
【0249】
一方、発光ダイオード素子17は、その上面に接続されるワイヤー22を介して、第2リード9の上面に電気的に接続されている。つまり、発光ダイオード素子17の上面は、第2リード9の上面と電気的に接続されている。
【0250】
図10(a)および図10(b)に示す実施形態は、図4に示す実施形態と同様の作用効果を奏することができ、さらに、発光ダイオード素子17およびワイヤー22のそれぞれを、第1リード8および第2リード9のそれぞれの上面に接続することもできる。そのため、発光ダイオード装置18では、フレーム3が、上記した形状の第1リード8および第2リード9を備えるので、簡易な構成とすることができる。
【0251】
なお、図8の素子接続用基板1の寸法は適宜選択することができ、例えば、図11に示すように、素子接続用基板1を、図11(a)の1点鎖線で示される切断線CL2に沿って、素子接続用基板1を、前後方向に分断されるように、ダイシングなどの切断加工によって、複数(2つ)に分割することもできる。
【符号の説明】
【0252】
1 素子接続用基板
2 隙間
3 リード
4 リードフレーム
4’ ジョイント付リードフレーム
5 第1絶縁樹脂部
6 第2絶縁樹脂部
16 ジョイント
17 発光ダイオード素子
18 発光ダイオード装置
19 封止シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子接続用基板、その製造方法および発光ダイオード装置、詳しくは、発光ダイオード素子が接続される素子接続用基板、その製造方法および発光ダイオード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード装置は、導体パターンと、それに電気的に接続される発光ダイオード素子と、それの周囲に配置される反射壁とを備えている。そして、そのような発光ダイオード装置では、導体パターンから電力が発光ダイオード素子に供給されて、発光ダイオード素子が発光するとともに、発光した光の一部が、反射壁の内面で反射することにより、発光ダイオードの発光効率を向上させている。
【0003】
例えば、基板と、その上に形成される導電体層と、その上に接続されるLEDチップと、基板の上に、LEDチップの周囲を包囲するように形成されるカバー材と、カバー材の内側においてLEDチップを封止する樹脂モールドとを備えるLEDディスプレイが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、近年、封止シートによって、光半導体素子を埋設して、光半導体素子を封止する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−288341号公報
【特許文献2】特開2011−159874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1のLEDディスプレイのLEDチップを、特許文献2の封止シートによって封止する場合には、封止シートを、LEDチップを被覆するように貼着すると、LEDチップの周囲にカバー材が配置されていることから、封止シートとLEDチップとの間に空気が混入し易く、そのため、LEDチップを確実に封止することができないという不具合がある。
【0007】
他方、特許文献1のカバー材を除いた基板に、封止シートを、LEDチップを被覆するように貼着すれば、封止シートとLEDチップとの間に空気が混入することを抑制することができる一方、LEDディスプレイの発光効率を十分に向上させることができないという不具合がある。
【0008】
本発明の目的は、接続される発光ダイオード素子を封止シートによって確実に封止することができながら、光反射性に優れる、素子接続用基板、その製造方法、および、発光効率に優れる発光ダイオード装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の素子接続用基板は、発光ダイオード素子が厚み方向一方側に接続されるためのリードフレームであって、互いに隙間を隔てて配置される複数のリードを備える前記リードフレームと、前記隙間に充填される光反射性の第1絶縁樹脂部とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の素子接続用基板では、前記第1絶縁樹脂部は、封止樹脂組成物と光反射成分とを含有する反射樹脂組成物から形成されていることが好適である。
【0011】
また、本発明の素子接続用基板は、前記リードフレームの前記厚み方向他方面および/または側面に設けられる第2絶縁樹脂部をさらに備えることが好適である。
【0012】
また、本発明の発光ダイオード装置は、上記した素子接続用基板と、前記リードフレームの前記厚み方向一方面に接続される発光ダイオード素子とを備えることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の発光ダイオード装置は、前記素子接続用基板の前記厚み方向一方側に形成され、前記発光ダイオード素子を封止する封止シートをさらに備えることが好適である。
【0014】
また、本発明の素子接続用基板の製造方法は、互いに隙間を隔てて配置される複数のリードと、前記複数のリードを連結するジョイントとを備えるリードフレームを用意する工程、光反射性の第1絶縁樹脂部を前記隙間に充填する工程、および、前記ジョイントを切断する工程を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の素子接続用基板の製造方法により得られる本発明の素子接続用基板では、第1絶縁樹脂部がリードフレームの隙間に充填されているので、リードフレームの厚み方向一方面と、第1絶縁樹脂部の厚み方向一方面とを、ともに露出させることができる。
【0016】
そのため、発光ダイオード素子をリードフレームの厚み方向一方側に接続すれば、その後、封止シートによって発光ダイオード素子を容易かつ確実に被覆して、発光ダイオード素子を容易かつ確実に封止することができる。
【0017】
また、第1絶縁樹脂部が光反射性を有するので、本発明の素子接続用基板は、光反射性に優れている。そのため、本発明の素子接続用基板を備える発光ダイオード装置では、発光ダイオード素子から発光される光を反射させることができ、そのため、発光効率を向上させることができる。
【0018】
さらに、本発明の素子接続用基板では、複数のリードを隔てる隙間に第1絶縁樹脂部が充填されているので、複数のリードを確実に支持することができる。
【0019】
また、本発明の発光ダイオード装置では、上記した封止シートによって、素子接続用基板に接続される発光ダイオード素子を容易かつ確実に封止することができる。そのため、発光ダイオード装置の信頼性を容易かつ確実に向上させることができる。
【0020】
また、本発明の素子接続用基板の製造方法では、複数のリードが、ジョイントによって連結されたリードフレームの形状を維持しつつ、かかるリードフレームの隙間に第1絶縁樹脂部を確実に充填して、複数のリードを確実に支持することができる。
【0021】
そして、ジョイントを切断することにより、複数のリードからなる所望の回路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の素子接続用基板の一実施形態であり、(a)は、平面図、(b)は、A−A線に沿う正断面図を示す。
【図2】図2は、図1に示す素子接続用基板の製造方法に用いられるジョイント付リードフレームであり、(a)は、平面図、(b)は、B−B線に沿う正断面図を示す。
【図3】図3は、図1に示す素子接続用基板の製造方法に用いられ、隙間に第1絶縁樹脂部が充填されたジョイント付リードフレームであり、(a)は、平面図、(b)は、C−C線に沿う正断面図を示す。
【図4】図4は、本発明の発光ダイオード装置の一実施形態であり、(a)は、平面図、(b)は、D−D線に沿う正断面図を示す。
【図5】図5は、素子接続用基板に封止シートを貼着する工程を説明する正断面図を示す。
【図6】図6は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態(リードフレームの側面が露出する態様)の正断面図を示す。
【図7】図7は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態(リードフレームの下面に第2絶縁樹脂部が形成される態様)の正断面図を示す。
【図8】図8は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態であり、(a)は、平面図、(b)は、E−E線に沿う正断面図を示す。
【図9】図9は、図8に示す素子接続用基板の製造方法に用いられるリードフレームであり、(a)は、平面図、(b)は、F−F線に沿う正断面図を示す。
【図10】図10は、本発明の発光ダイオード装置の他の実施形態であり、(a)は、平面図、(b)は、G−G線に沿う正断面図を示す。
【図11】図11は、図8に示す素子接続用基板を2つに分割する態様であり、(a)は、切断線が示される素子接続用基板の平面図、(b)は、2つに分割された素子接続用基板の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の素子接続用基板の一実施形態、図2は、図1に示す素子接続用基板の製造方法に用いられるジョイント付リードフレーム、図3は、図1に示す素子接続用基板の製造方法に用いられ、隙間に第1絶縁樹脂部が充填されたジョイント付リードフレームを示す。
【0024】
素子接続用基板1に関し、方向について言及する場合には、各図に示した方向矢印を基準とする。
【0025】
図1(a)および図1(b)において、素子接続用基板1は、平面視略矩形平板形状に形成されている。
【0026】
素子接続用基板1は、互いに隙間2(図2(a)および図2(b)参照)を隔てて配置される複数のリード3を備えるリードフレーム4と、隙間2に充填される光反射性の第1絶縁樹脂部5とを備えている。また、素子接続用基板1の側面には、第2絶縁樹脂部6が設けられている。
【0027】
リードフレーム4は、後述する発光ダイオード素子17(図4(a)および図4(b)参照)が上面(厚み方向一方面)に接続されるための導電部材である。
【0028】
リードフレーム4を形成する材料としては、例えば、銅、ニッケル、金、42アロイなどの導電材料が挙げられる。
【0029】
複数のリード3は、前後方向(厚み方向に直交する方向、以下同様)に沿って延びる隙間2によって区画されている。すなわち、複数のリード3は、前後方向に延びる平面視略矩形状をなし、幅方向(左右方向)に互いに間隔を隔てて整列配置されている。
【0030】
具体的には、複数のリード3は、第1リード8と、第1リード8と幅方向に隣接する第2リード9とを備えている。
【0031】
第1リード8は、後方に向かって開放される平面視略コ字形状をなし、具体的には、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)整列配置される第1直線部10と、第1直線部10の前端部(一端部)を接続する第1接続部11とを一体的に備えている。
【0032】
2つの第1直線部10は、前後方向に平行状に延びる略平板形状に形成されている。
また、右側の第1直線部10Bは、幅方向に投影したときに、左側の第1直線部10Aよりやや前側に突出している。
【0033】
左側の第1直線部10Aには、その前後方向途中の幅方向両端面から幅方向両側に突出する第1パッド12が設けられている。また、右側の第1直線部10Bには、その前後方向途中の左端面から左側に突出する第1パッド12が設けられている。
【0034】
第1パッド12は、前後方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。各第1パッド12は、幅方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0035】
第1接続部11は、素子接続用基板1の前端部に配置され、左右方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0036】
第2リード9は、第1リード8を素子接続用基板1の上面において180度回転させた点対称形状をなし、具体的には、前方に向かって開放される平面視略コ字形状に形成されている。第2リード9は、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)整列配置される第2直線部13と、第2直線部13の後端部(他端部)を接続する第2接続部14とを一体的に形成されている。
【0037】
2つの第2直線部13は、前後方向に平行状に延びる略平板形状に形成されている。左側の第2直線部13Bは、幅方向に投影したときに、右側の第2直線部13Aに対して、前側にやや突出している。右側の第2直線部13Aには、その前後方向途中の幅方向両端面から幅方向両側に突出する第2パッド15が設けられている。また、左側の第2直線部13Aには、その前後方向途中の右端面から右側に突出する第2パッド15が設けられている。
【0038】
第2パッド15は、前後方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。各第2パッド15は、幅方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0039】
第2接続部14は、素子接続用基板1の後端部に配置され、左右方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0040】
そして、第1リード8と第2リード9とは、幅方向において、第1直線部10と第2直線部13とが、互いに間隔を隔てて対向配置されている。具体的には、2つの第1直線部10と、2つの第2直線部13とが、右側から左側に向かって、交互に(代わる代わる)配列されている。詳しくは、第1リード8と第2リード9とは、第1直線部10と第2直線部13とが互いに齟齬状に隙間2を隔てて噛合(嵌合)するように、配置されている。これにより、第1パッド12と第2パッド15とは、幅方向に互いに隙間2を隔てて対向配置されている。
【0041】
また、第1リード8における左側の第1直線部10Aと、第2リード9における第2接続部14とは、前後方向に隙間2を隔てて配置されている。第2リード9における右側の第2直線部13Aと、第1リード8における第1接続部11とは、前後方向に間隔を隔てて隙間2を隔てて配置されている。
【0042】
リードフレーム4の寸法および隙間2は、用途および目的に応じて、適宜選択される。リードフレーム4の厚みT1は、例えば、35〜2000μm、好ましくは、200〜1000μmである。また、各第1直線部10および各第2直線部13の幅L1は、例えば、300〜1800μm、好ましくは、800〜1200μmである。また、各第1パッド12および各第2パッド15の前後方向長さL2は、例えば、500〜3500μm、好ましくは、1000〜3000μmであり、各第1パッド12および各第2パッド15の幅L3は、例えば、1000〜5000μm、好ましくは、3500〜4500μmである。各第1パッド12間の前後方向間隔L4、および、各第2パッド15間の前後方向間隔L4は、例えば、3000〜9000μm、好ましくは、5000〜7000μmである。
【0043】
第1接続部11および第2接続部14の幅方向長さL5、および、第1接続部11および第2接続部14の前後方向長さL5は、例えば、15000〜27000μm、好ましくは、18000〜24000μmである。
【0044】
幅方向に対向する第1パッド12および第2パッド15の間の隙間2の幅(幅方向長さ)L8は、例えば、50〜1000μm、好ましくは、100〜400μmである。また、前後方向に隣接する第1パッド12間の第1直線部10と、前後方向に隣接する第2パッド15間の第2直線部13との間の隙間2の幅(幅方向長さ)L9は、例えば、500〜8000μm、好ましくは、1000〜4000μmである。
【0045】
第1絶縁樹脂部5は、例えば、光反射性を得る観点から、反射樹脂組成物から形成されている。
【0046】
反射樹脂組成物は、例えば、封止樹脂組成物と、光反射成分とを含有している。
【0047】
封止樹脂組成物としては、例えば、シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物が挙げられる。
【0048】
シリコーン樹脂組成物は、縮合反応および付加反応(具体的には、ヒドロシリル化反応)をすることができる縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物である。より具体的には、シリコーン樹脂組成物は、加熱によって、縮合反応して、半硬化(Bステージ)状態となることができ、次いで、さらなる加熱によって、付加反応して、硬化(完全硬化)状態となることができる。
【0049】
シリコーン樹脂組成物は、例えば、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物、エポキシ基含有ケイ素化合物、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒および付加触媒を含有する。
【0050】
なお、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物は、縮合原料(縮合反応に供される原料)であり、エチレン系ケイ素化合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンは、付加原料(付加反応に供される原料)である。
【0051】
シラノール基両末端ポリシロキサンは、分子の両末端にシラノール基(SiOH基)を含有するオルガノシロキサンであって、具体的には、下記一般式(1)で示される。
一般式(1):
【0052】
【化1】
【0053】
(一般式(1)中、R1は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、nは、1以上の整数を示す。)
上記一般式(1)中、R1で示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)などが挙げられる。
【0054】
また、上記一般式(1)中、R1で示される1価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基(フェニル基、ナフチル基)などが挙げられる。
【0055】
上記一般式(1)において、R1は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0056】
1価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、透明性、耐熱性および耐光性の観点から、さらに好ましくは、メチル基が挙げられる。
【0057】
上記一般式(1)おいて、nは、好ましくは、安定性および/または取扱性の観点から、1〜10,000の整数、さらに好ましくは、1〜1,000の整数である。
【0058】
なお、上記一般式(1)におけるnは、平均値として算出される。
【0059】
シラノール基両末端ポリシロキサンとしては、具体的には、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン、シラノール基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、シラノール基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0060】
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0061】
また、このようなシラノール基両末端ポリシロキサンのなかでは、好ましくは、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0062】
シラノール基両末端ポリシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0063】
シラノール基両末端ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取扱性の観点から、例えば、100〜1,000,000、好ましくは、200〜100,000である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンで換算されて算出される。後述するシラノール基両末端ポリシロキサン以外の原料の数平均分子量についても、上記と同様にして算出される。
【0064】
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンにおける、シラノール基含量は、例えば、0.002〜25mmol/g、好ましくは、0.02〜25mmol/gである。なお、シラノール基含量は、1H−NMRによるシラノール基とメチル基とのピークの積分比から算出される。
【0065】
シラノール基両末端ポリシロキサンの配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、1〜99.99質量部、好ましくは、50〜99.9質量部、さらに好ましくは、80〜99.5質量部である。
【0066】
エチレン系ケイ素化合物は、エチレン系不飽和炭化水素基、および、シラノール縮合反応における脱離基を併有するシラン化合物であって、具体的には、下記一般式(2)で示される。
一般式(2):
R2−Si(X1)3 (2)
(一般式(2)中、R2は、1価のエチレン系不飽和炭化水素基を示し、X1は、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、またはアセトキシ基を示す。但し、X1は、同一または互いに相異なっていてもよい。)
上記一般式(2)において、R2で示されるエチレン系不飽和炭化水素基としては、置換または非置換のエチレン系不飽和炭化水素基が挙げられ、例えば、アルケニル基、シクロアルケニル基などが挙げられる。
【0067】
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基などの炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
【0068】
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基などの炭素数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
【0069】
エチレン系不飽和炭化水素基としては、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基との反応性の観点から、好ましくは、アルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜5のアルケニル基、とりわけ好ましくは、ビニル基が挙げられる。
【0070】
上記一般式(2)におけるX1は、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(2)におけるSiX1基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。
【0071】
上記一般式(2)において、X1で示されるハロゲン原子としては、例えば、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素などが挙げられる。
【0072】
上記一般式(2)において、X1で示されるアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を有するアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基を有するアルコキシ基(シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基など)などが挙げられる。
【0073】
上記一般式(2)において、X1は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0074】
このような上記一般式(2)のX1のなかでは、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
【0075】
このようなエチレン系ケイ素化合物としては、例えば、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリハロゲン化シラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリフェノキシシラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
【0076】
このようなエチレン系ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0077】
このようなエチレン系ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
【0078】
エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシランなどのビニルトリアルコキシシラン、例えば、アリルトリメトキシシランなどのアリルトリアルコキシシラン、例えば、プロペニルトリメトキシシランなどのプロペニルトリアルコキシシラン、例えば、ブテニルトリメトキシシランなどのブテニルトリアルコキシシラン、例えば、シクロヘキセニルトリメトキシシランなどのシクロヘキセニルトリアルコキシシランなどが挙げられる。
【0079】
また、このようなエチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、ビニルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、ビニルトリメトキシシランが挙げられる。
【0080】
エチレン系ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜10質量部である。
【0081】
エチレン系ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0082】
エポキシ基含有ケイ素化合物は、エポキシ基、および、シラノール縮合反応における脱離基を併有するシラン化合物あって、具体的には、下記一般式(3)で示される。
一般式(3):
R3−Si(X2)3 (3)
(一般式(3)中、R3は、エポキシ構造含有基を示し、X2は、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、またはアセトキシ基を示す。但し、X2は、同一または互いに相異なっていてもよい。)
一般式(3)において、R3で示されるエポキシ構造含有基としては、例えば、エポキシ基、例えば、グリシジルエーテル基、例えば、エポキシシクロヘキシル基などのエポキシシクロアルキル基などが挙げられる。
【0083】
このようなエポキシ構造含有基のなかでは、好ましくは、グリシジルエーテル基が挙げられる。グリシジルエーテル基は、具体的には、下記一般式(4)で示されるグリシドキシアルキル基である。
一般式(4):
【0084】
【化2】
【0085】
(一般式(4)中、R4は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される2価の炭化水素基を示す。)
上記一般式(4)中、R4で示される2価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキレン基(シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)などが挙げられる。
【0086】
また、上記一般式(4)中、R4で示される2価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリーレン基(フェニレン基、ナフチレン基など)などが挙げられる。
【0087】
このような2価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキレン基、さらに好ましくは、プロピレン基が挙げられる。
【0088】
グリシジルエーテル基としては、具体的には、グリシドキシメチル基、グリシドキシエチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシシクロヘキシル基、グリシドキシフェニル基などが挙げられる。
【0089】
このようなグリシジルエーテル基のなかでは、好ましくは、グリシドキシプロピル基が挙げられる。
【0090】
上記一般式(3)におけるX2は、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(3)におけるSiX2基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。
【0091】
上記一般式(3)において、X2で示されるハロゲン原子としては、上記一般式(2)のX1で示されるハロゲン原子と同様のものが挙げられる。
【0092】
上記一般式(3)において、X2で示されるアルコキシ基としては、上記一般式(2)のX1で示されるアルコキシ基と同様のものが挙げられる。
【0093】
上記一般式(3)において、X2は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0094】
このような上記一般式(3)のX2としては、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
【0095】
このようなエポキシ基含有ケイ素化合物としては、例えば、エポキシ基含有トリアルコキシシラン、エポキシ基含有トリハロゲン化シラン、エポキシ基含有トリフェノキシシラン、エポキシ基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
【0096】
このようなエポキシ基含有ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0097】
また、このようなエチレン系ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、エポキシ基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
【0098】
エポキシ基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、例えば、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランなどのグリシドキシアルキルトリメトキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシランなどのグリシドキシアルキルトリエトキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリプロポキシシランなどのグリシドキシアルキルトリプロポキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリイソプロポキシシランなどのグリシドキシアルキルトリプロポキシシランなどが挙げられる。
【0099】
また、このようなエポキシ基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、グリシドキシメチルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランが挙げられる。
【0100】
エポキシ基含有ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜1質量部である。
【0101】
エポキシ基含有ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0102】
エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物の反応性官能基(SiX1基およびSiX2基)に対する、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)のモル比(SiOH/(SiX1+SiX2))は、例えば、20/1〜0.2/1、好ましくは、10/1〜0.5/1、さらに好ましくは、実質的に1/1である。
【0103】
モル比が上記範囲を超える場合には、シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化状物(半硬化物)を得られない場合があり、一方、モル比が上記範囲に満たない場合には、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物の配合割合が過度に多く、そのため、第1絶縁樹脂部5の耐熱性が低下する場合がある。
【0104】
また、モル比が上記範囲内(好ましくは、実質的に1/1)であれば、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)と、エチレン系ケイ素化合物の反応性官能基(SiX1基)およびエポキシ基含有ケイ素化合物の反応性官能基(SiX2基)とを過不足なく縮合反応させることができる。
【0105】
エポキシ基含有ケイ素化合物に対する、エチレン系ケイ素化合物のモル比は、例えば、10/90〜99/1、好ましくは、50/50〜97/3、さらに好ましくは、80/20〜95/5である。
【0106】
モル比が上記した範囲内であれば、硬化物の強度を確保しつつ、接着性を向上できる利点がある。
【0107】
オルガノハイドロジェンシロキサンは、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基(SiH基)を1分子中に有するオルガノシロキサンである。
【0108】
オルガノハイドロジェンシロキサンは、具体的には、水素側鎖含有オルガノポリシロキサン、水素両末端オルガノポリシロキサンなどのオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0109】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンは、主鎖から分岐する側鎖として水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであって、式(5)で表される。
【0110】
【化3】
【0111】
(式中、A〜Dは、構成単位を示し、AおよびDは、末端単位を示し、BおよびCは、繰り返し単位を示す。R5は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、bは、0以上の整数を示し、cは、1以上の整数を示す。)
A〜Dは、水素側鎖含有オルガノポリシロキサンを構成する。
【0112】
式(5)においてR5で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0113】
R5で示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基は、上記式(1)のR1で例示した飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。1価の炭化水素基として、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
【0114】
bは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10,000の整数、さらに好ましくは、2〜5,000の整数、とりわけ好ましくは、5〜100の整数を示す。
【0115】
cは、好ましくは、2以上、また、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10,000の整数、さらに好ましくは、2〜1,000の整数、とりわけ好ましくは、5〜100の整数を示す。
【0116】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンとしては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン−co−メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。
【0117】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、例えば、100〜1,000,000である。
【0118】
また、水素両末端オルガノポリシロキサンは、主鎖の両末端に水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであって、式(6)で表される。
【0119】
【化4】
【0120】
(式中、R6は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、dは、1以上の整数を示す。)
R6で示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基は、上記式(1)のR1で例示した飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。1価の炭化水素基として、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
【0121】
dは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10,000の整数、さらに好ましくは、1〜5,000の整数を示す。
【0122】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンとしては、例えば、ヒドロシリル基両末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0123】
水素両末端オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取扱性の観点から、例えば、100〜1,000,000、さらに好ましくは、100〜100,000である。
【0124】
このようなオルガノハイドロジェンシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0125】
また、このようなオルガノハイドロジェンシロキサンのなかでは、好ましくは、水素側鎖含有オルガノポリシロキサンが挙げられ、さらに好ましくは、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0126】
オルガノハイドロジェンシロキサンの25℃における粘度は、例えば、10〜100,000mPa・s、好ましくは、20〜50,000mPa・sである。なお、粘度は、B型粘度計により測定される。
【0127】
このようなオルガノハイドロジェンシロキサンにおけるヒドロシリル基含量は、例えば、0.1〜15mmol/g、好ましくは、0.5〜10mmol/gである。なお、ヒドロシリル基含量は、1H−NMRによるヒドロシリル基とメチル基とのピークの積分比から算出される。
【0128】
オルガノハイドロジェンシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0129】
オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合は、エチレン系ケイ素化合物のエチレン系不飽和炭化水素基(上記一般式(2)のR2)とオルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)とのモル比にもよるが、例えば、エチレン系ケイ素化合物100質量部に対して、例えば、10〜10,000質量部、好ましくは、100〜1,000質量部である。
【0130】
また、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)に対する、エチレン系ケイ素化合物のエチレン系不飽和炭化水素基(上記一般式(2)のR2)のモル比(R2/SiH)は、例えば、20/1〜0.05/1、好ましくは、20/1〜0.1/1、さらに好ましくは、10/1〜0.1/1、とりわけ好ましくは、10/1〜0.2/1、もっとも好ましくは、5/1〜0.2/1である。また、例えば、1/1未満、0.05/1以上に設定することもできる。
【0131】
モル比が20/1を超える場合には、シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化物を得られない場合があり、モル比が0.05/1に満たない場合には、オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合が過度に多く、そのため、第1絶縁樹脂部5の耐熱性および靭性が不十分となる場合がある。
【0132】
また、モル比が1/1未満、0.05/1以上であれば、シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、モル比が20/1〜1/1であるシリコーン樹脂組成物に比べて、半硬化状態へ迅速に移行させることができる。
【0133】
縮合触媒は、シラノール基と反応性官能基(上記一般式(2)のSiX1基および上記一般式(3)のSiX2基)との縮合反応の反応速度を向上させる物質であれば特に限定されず、例えば、塩酸、酢酸、ギ酸、硫酸などの酸、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズなどの金属などが挙げられる。
【0134】
このような縮合触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0135】
また、このような縮合触媒のなかでは、相溶性および熱分解性の観点から、好ましくは、塩基、さらに好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。
【0136】
このような縮合触媒の配合割合は、シラノール基両末端ポリシロキサン100モルに対して、例えば、0.1〜50モル、好ましくは、0.25〜5モルである。
【0137】
付加触媒は、付加反応、つまり、エチレン系不飽和炭化水素基とヒドロシリル基(SiH基)とのヒドロシリル化反応の反応速度を向上させる物質(ヒドロシリル化触媒)であれば、特に限定されず、例えば、金属触媒が挙げられ、そのような金属触媒としては、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体、白金−アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、例えば、ロジウム触媒などが挙げられる。
【0138】
これら付加触媒のうち、好ましくは、相溶性および透明性の観点から、白金触媒、さらに好ましくは、白金オレフィン錯体が挙げられ、具体的には、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、白金−ジビニルシロキサン錯体などが挙げられる。
【0139】
このような付加触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0140】
また、このような付加触媒のなかでは、相溶性、透明性および触媒活性の観点から、好ましくは、白金触媒、さらに好ましくは、白金−カルボニル錯体が挙げられる。
【0141】
付加触媒の配合割合は、付加触媒の金属量の質量部数として、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して、例えば、1.0×10−4〜1.0質量部、好ましくは、1.0×10−4〜0.5質量部、さらに好ましく、1.0×10−4〜0.05質量部である。
【0142】
なお、上記した縮合触媒および付加触媒は、固体状態のものをそのまま用いてもよく、あるいは、取扱性の観点から、溶媒に溶解または分散させた溶液または分散液として用いることもできる。
【0143】
溶媒としては、例えば、水、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。
【0144】
シリコーン樹脂組成物は、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物、エポキシ基含有ケイ素化合物、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒および付加触媒を配合して、攪拌混合することにより調製される。
【0145】
シリコーン樹脂組成物を調製するには、例えば、上記した原料(縮合原料および付加原料)と、触媒とを一度に配合してもよく、あるいは、各原料および各触媒を異なるタイミングでそれぞれ配合することもできる。さらには、一部の成分を一度に加え、残部の各成分を、異なるタイミングでそれぞれ配合することもできる。
【0146】
このようなシリコーン樹脂組成物の調製方法のなかでは、好ましくは、まず、縮合原料を調製し、その後、調製した縮合原料に縮合触媒を配合して、混合物を調製する。次いで、調製した混合物に、付加原料を配合し、その後、付加触媒を配合する方法が挙げられる。
【0147】
具体的には、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物(つまり、縮合原料)を、上記した割合で撹拌混合した後、縮合触媒を配合し、それらを、例えば、5分間〜24時間攪拌混合して、混合物を調製する。
【0148】
また、配合および攪拌時には、縮合原料の相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に温度調整することもできる。
【0149】
なお、上記混合によって、シラノール基両末端ポリシロキサンのSiOH基と、エチレン系ケイ素化合物のSiX1基およびエポキシ基含有ケイ素化合物のSiX2基との縮合反応の一部が開始されてもよく、縮合反応の進行度は、1H−NMR測定によって、SiOH基に由来するピークの消失程度によって確認することができる。
【0150】
その後、系を、必要により減圧することにより、揮発成分(溶媒など)を除去する。
【0151】
次いで、調製した縮合原料および縮合触媒の混合物に、オルガノハイドロジェンシロキサンを配合して、例えば、1〜120分間攪拌する。
【0152】
配合および攪拌時には、混合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンの相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に温度調整することもできる。
【0153】
その後、系に、付加触媒を配合して、例えば、1〜60分間で攪拌する。
【0154】
これにより、シリコーン樹脂組成物を調製する。
【0155】
シリコーン樹脂組成物は、例えば、液状(オイル状)であって、後述するが、調製後に、光反射成分などが配合されて、封止樹脂組成物として調製された後においても、液状または半固体状の封止樹脂組成物が、隙間2に充填された後、加熱することにより、縮合原料が縮合反応し、Bステージ状態(半硬化状態)となる。その後、さらに加熱することにより、付加原料が付加反応して、Cステージ状態(完全硬化)となる。
【0156】
エポキシ樹脂組成物は、加熱により熱硬化できる樹脂組成物である。
【0157】
エポキシ樹脂組成物としては、特に限定されず、例えば、特開2011−119393号公報に記載のエポキシ樹脂、硬化剤および硬化促進剤を含有する熱硬化性樹脂、例えば、特開2011−60819号公報に記載されるエポキシ樹脂および酸無水物系硬化剤を含有する絶縁樹脂層形成材料などが挙げられる。
【0158】
熱硬化性樹脂におけるエポキシ樹脂、硬化剤および硬化促進剤の配合割合は、例えば、特開2011−119393号公報に記載に準拠して設定される。また、絶縁樹脂層形成材料におけるエポキシ樹脂および酸無水物系硬化剤の配合割合は、例えば、特開2011−60819号公報に記載に準拠して設定される。
【0159】
これら封止樹脂組成物の含有割合は、反射樹脂組成物に対して、例えば、10〜99.5質量%、好ましくは、着色性および反射樹脂組成物のハンドリング性の観点から、30〜98.5質量%、さらに好ましくは、40〜60質量%である。
【0160】
封止樹脂組成物は、単独使用または併用することができる。
【0161】
封止樹脂組成物として、好ましくは、シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0162】
光反射成分は、例えば、白色の化合物であって、そのような白色の化合物としては、具体的には、白色顔料が挙げられる。
【0163】
白色顔料としては、例えば、白色無機顔料が挙げられ、そのような白色無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどの酸化物、例えば、鉛白(炭酸亜鉛)、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、例えば、カオリン(カオリナイト)などの粘土鉱物などが挙げられる。
【0164】
白色無機顔料として、好ましくは、酸化物、さらに好ましくは、酸化チタンが挙げられる。
【0165】
酸化チタンであれば、高い白色度、高い光反射性、優れた隠蔽性(隠蔽力)、優れた着色性(着色力)、高い分散性、優れた耐候性、高い化学的安定性などの特性を得ることができる。
【0166】
そのような酸化チタンは、具体的には、TiO2、(酸化チタン(IV)、二酸化チタン)である。
【0167】
酸化チタンの結晶構造は、特に限定されず、例えば、ルチル型、ブルッカイト型(板チタン石)、アナターゼ(鋭錐石)などであり、好ましくは、ルチル型である。
【0168】
また、酸化チタンの結晶系は、特に限定されず、例えば、正方晶系、斜方晶系などであり、好ましくは、正方晶系である。
【0169】
酸化チタンの結晶構造および結晶系が、ルチル型および正方晶系であれば、第1絶縁樹脂部5が長期間高温に曝される場合でも、光(具体的には、可視光、とりわけ、波長450nm付近の光)に対する反射率が低下することを有効に防止することができる。
【0170】
光反射成分は、粒子状であり、その形状は限定されず、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。光反射成分の最大長さの平均値(球状である場合には、その平均粒径)は、例えば、1〜1,000nm、好ましくは、100〜500nmである。最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
【0171】
光反射成分の含有割合は、反射樹脂組成物に対して、例えば、0.5〜90質量%、好ましくは、着色性、光反射性および反射樹脂組成物のハンドリング性の観点から、1.5〜70質量%、さらに好ましくは、10〜40質量%、とりわけ好ましくは、25〜35質量%である。
【0172】
また、光反射成分の配合割合は、封止樹脂組成物100質量部に対して、例えば、2〜200質量部、好ましくは、10〜90質量部、さらに好ましくは、25〜75質量部である。
【0173】
そして、反射樹脂組成物は、封止樹脂組成物と、光反射成分とを配合して、均一混合することにより調製される。
【0174】
これにより、光反射成分は、封止樹脂組成物中に均一に分散混合される。
【0175】
また、反射樹脂組成物には、無機充填剤をさらに含有させることができる。
【0176】
無機充填剤としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、硫酸バリウム、炭酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、層状マイカ、カーボンブラック、珪藻土、ガラス繊維などが挙げられる。
【0177】
このような無機充填剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0178】
また、このような充填剤のなかでは、好ましくは、シリカ(二酸化ケイ素)が挙げられる。
【0179】
無機充填剤は、粒子状であり、その形状は限定されず、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。無機充填剤の最大長さの平均値(球状である場合には、その平均粒径)は、例えば、1〜1,000nm、好ましくは、100〜500nmである。最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
【0180】
無機充填剤の平均粒径は、例えば、1〜1,000μm、好ましくは、10〜100μmである。最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
【0181】
無機充填剤の含有割合は、反射樹脂組成物に対して、例えば、1〜50質量%、好ましくは、5〜40質量%、さらに好ましくは、15〜30質量%である。
【0182】
また、反射樹脂組成物において、無機充填剤が配合される場合には、封止樹脂組成物100質量部に対して、光反射成分および無機充填剤の総質量部数が、例えば、50〜300質量部、好ましくは、100〜200質量部であり、さらには、光反射成分の、光反射成分および無機充填剤の総質量部数に対する質量比率(光反射成分質量/(光反射成分質量+無機充填剤質量))は、例えば、0.0001〜1、好ましくは、0.01〜1である。
【0183】
また、光反射成分の無機充填剤に対する質量比率(光反射成分質量/無機充填剤質量)は、例えば、0.2〜3.0、好ましくは、0.5〜2.0である。とりわけ、封止樹脂組成物がエポキシ樹脂組成物である場合には、光反射成分の無機充填剤に対する質量比率(光反射成分質量/無機充填剤質量)は、例えば、0.26〜3.0である。
【0184】
上記した無機充填剤は、光反射成分とともに封止樹脂組成物中に均一に分散混合される。
【0185】
このようにして調製される反射樹脂組成物は、液状または半固形状とされる。
【0186】
そして、第1絶縁樹脂部5は、複数のリード3すべての上面と下面とを露出するように、形成されている。
【0187】
具体的には、第1絶縁樹脂部5は、幅方向に対向する第1パッド12および第2パッド15により幅方向に区画される隙間2に充填されている。また、第1絶縁樹脂部5は、前後方向に隣接する各第1パッド12間の第1直線部10と、前後方向に隣接する各第2パッド15間の第2直線部13とにより幅方向に区画される隙間2にも、充填されている。
【0188】
一方、第1絶縁樹脂部5は、第1リード8の第1接続部11と、その後方に対向配置される第1パッド12および第2パッド15とに区画される隙間2には、充填されておらず、かかる隙間2は、空間として区画されている。また、第1絶縁樹脂部5は、第2リード9の第2接続部14と、その前方に対向配置される第1パッド12および第2パッド15とに区画される隙間2にも、充填されておらず、かかる隙間2は、空間として区画されている。
【0189】
第1絶縁樹脂部5の厚みT2は、リードフレーム4の厚みT1と実質的に同一である。
【0190】
第2絶縁樹脂部6は、例えば、第1絶縁樹脂部5と同様の反射樹脂組成物から形成されている。また、第2絶縁樹脂部6を、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などから形成することもできる。製造工程の工数を低減する観点から、好ましくは、第2絶縁樹脂部6を第1絶縁樹脂部5と同様の反射樹脂組成物から形成する。
【0191】
第2絶縁樹脂部6は、前後方向に延びる平面視略平板形状に形成されている。具体的には、第2絶縁樹脂部6は、第1リード8の右側の第1直線部10Aの右側面に沿って形成されるとともに、第2リード9の左側の第2直線部13Bの左側面に沿って形成されている。
【0192】
第2絶縁樹脂部6の厚みT3は、リードフレーム4の厚みT1と実質的に同一である。
【0193】
これにより、リードフレーム4と第1絶縁樹脂部5と第2絶縁樹脂部6とは、上面および下面において、面一に形成されている。
【0194】
次に、この素子接続用基板1を製造する方法について、説明する。
【0195】
まず、この方法では、図2(a)および図2(b)に示すように、複数のリード3がジョイント16によって連結されるリードフレームとしてのジョイント付リードフレーム4’を用意する。
【0196】
つまり、ジョイント付リードフレーム4’は、上記した複数のリード3と、複数のリード3を連結するジョイント16とを一体的に備えている。
【0197】
ジョイント16は、第1リード8と第2リード9とを連結しており、具体的には、各第1直線部10の後端部と、第2接続部14とを連結するともに、各第2直線部13の前端部と、第1接続部11とを連結している。
【0198】
このジョイント付リードフレーム4’には、上記した隙間2が形成されている。
【0199】
ジョイント付リードフレーム4’は、平面視略矩形平板形状をなす、上記した導体材料からなる平板(金属板)を、隙間2に対応する金型を用いるスタンピングによる打抜加工、あるいは、エッチングなどによって隙間2を形成することにより、用意する。
【0200】
次いで、この方法では、図3(a)および図3(b)に示すように、光反射性の第1絶縁樹脂部5を隙間2に充填する。これと同時に、第2絶縁樹脂部6を素子接続用基板1の側面に形成する。
【0201】
例えば、第1絶縁樹脂部5および第2絶縁樹脂部6が同一の反射樹脂組成物から形成される場合には、トランスファー成形、コンプレッション成形、熱プレス成形、ラミネート成形などの成形加工によって、上記した反射樹脂組成物を隙間2に充填して、第1絶縁樹脂部5を形成するとともに、反射樹脂組成物をリードフレーム4の側面に塗布して、第2絶縁樹脂部6を形成する。
【0202】
なお、上記した成形では、反射樹脂組成物を加熱することから、反射樹脂組成物は、シリコーン樹脂組成物を含有する場合には、Bステージ状態(半硬化状態)となる。
【0203】
なお、ジョイント付リードフレーム4’と、ジョイント付リードフレーム4’の隙間2に充填される第1絶縁樹脂部5と、ジョイント付リードフレーム4’の側面に形成される第2絶縁樹脂部6とを備える構造物を、ジョイント16が切断される前の素子接続用基板1として得ることもできる。
【0204】
その後、図3(a)および図3(b)の切断線CL1で示すように、ジョイント16を切断する。
【0205】
ジョイント16を切断するには、例えば、打抜加工、エッチングによって、ジョイント16を除去する。
【0206】
ジョイント16の切断によって、図1(a)および図1(b)に示すように、第1リード8および第2リード9を備えるリードフレーム4が形成される。つまり、第1リード8および第2リード9が互いに電気的に絶縁される回路が形成される。
【0207】
これによって、素子接続用基板1を得ることができる。
【0208】
図4は、本発明の発光ダイオード装置の一実施形態、図5は、素子接続用基板に封止シートを貼着する工程を説明する正断面図を示す。
【0209】
なお、図4(a)において、封止シート19は、リードフレーム4および発光ダイオード素子17の相対配置を明確に示すために、省略している。
【0210】
この素子接続用基板1には、発光ダイオード素子17が接続される。
【0211】
次に、発光ダイオード素子17が素子接続用基板1に接続される発光ダイオード装置18について説明する。
【0212】
図4(a)および図4(b)に示すように、発光ダイオード装置18は、素子接続用基板1と、素子接続用基板1の上面(厚み方向一方面)に接続される発光ダイオード素子17と、発光ダイオード素子17を封止する封止シート19(図4(b)参照)とを備える。
【0213】
発光ダイオード素子17は、複数設けられ、具体的には、第2リード9の第2パッド15の上面(厚み方向一方面)の搭載されている。詳しくは、発光ダイオード素子17の下面は、図示しない導電性接着剤層を介して、第2パッド15の上面に接着している。つまり、発光ダイオード素子17の下面は、第2リード9の上面に電気的に接続されている。
【0214】
一方、発光ダイオード素子17は、その上面に接続されるワイヤー22を介して、第1リード8の第1パッド12の上面に電気的に接続されている。つまり、発光ダイオード素子17の上面は、発光ダイオード素子17が搭載される第2パッド15に幅方向に対向配置される第1パッド12と電気的に接続されている。すなわち、発光ダイオード素子17の上面は、第1リード8の上面に電気的に接続されている。
【0215】
封止シート19は、平面視略矩形状をなし、素子接続用基板1の上(厚み方向一方側)に形成されている。封止シート19としては、例えば、特開2011−159874号公報に記載の封止シートが挙げられる。
【0216】
この発光ダイオード装置18を製造するには、図1(a)および図1(b)に示す素子接続用基板1を用意し、次いで、図4(a)および図4(b)に示すように、発光ダイオード素子17を複数のリード3に接続する。その後、図5に示すように、封止シート19を、厚み方向に投影した時に、少なくとも発光ダイオード素子17およびワイヤー22と重複するように、それらの上側に配置し、続いて、図5の矢印で示すように、封止シート19を、発光ダイオード素子17およびワイヤー22を埋設するように、素子接続用基板1に貼着し、その後、加熱する。この加熱によって、第1樹脂絶縁部5および第2樹脂絶縁部6が、反射性樹脂組成物(封止樹脂組成物)からなる場合には、第1樹脂絶縁部5および第2樹脂絶縁部6がCステージ状態(完全硬化)となる。
【0217】
その後、図4(a)に示すように、第1リード8および第2リード9のそれぞれを、電源配線20を介して、電源21に接続する。
【0218】
これにより、発光ダイオード装置18を得る。
【0219】
そして、上記した方法により得られる素子接続用基板1では、第1絶縁樹脂部5がリードフレーム4の隙間2に充填されているので、リードフレーム4の上面と、第1絶縁樹脂部5の上面とを、ともに露出させることができる。
【0220】
そのため、発光ダイオード素子17をリードフレーム4の上側に接続すれば、その後、封止シート19によって発光ダイオード素子17を容易かつ確実に被覆して、発光ダイオード素子17を容易かつ確実に封止することができる。
【0221】
また、第1絶縁樹脂部5が光反射性を有するので、素子接続用基板1は、光反射性に優れている。そのため、素子接続用基板1を備える発光ダイオード装置18では、発光ダイオード素子17から発光される光を反射させることができ、そのため、発光効率を向上させることができる。
【0222】
さらに、素子接続用基板1では、複数のリード3を隔てる隙間2に第1絶縁樹脂部5が充填されているので、複数のリード3を確実に支持して補強することができる。
【0223】
さらにまた、第2絶縁樹脂部6によって、リードフレーム4の側面を側方から支持して補強することができる。
【0224】
また、発光ダイオード装置18では、上記した封止シート19によって、素子接続用基板1に接続される発光ダイオード素子17を容易かつ確実に封止することができる。そのため、発光ダイオード装置18の信頼性を容易かつ確実に向上させることができる。
【0225】
また、上記した方法では、複数のリード3が、ジョイント16によって連結されたジョイント付リードフレーム4’の形状を維持しつつ、かかるジョイント付リードフレーム4’の隙間2に第1絶縁樹脂部5を確実に充填して、複数のリード3を確実に支持することができる。
【0226】
そして、ジョイント16を切断することにより、複数のリード3からなる所望の回路を形成することができる。
【0227】
図6は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態(リードフレームの側面が露出する態様)の正断面図、図7は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態(リードフレームの下面に第2絶縁樹脂部が形成される態様)の正断面図、図8は、本発明の素子接続用基板の他の実施形態、図9は、図8に示す素子接続用基板の製造方法に用いられるリードフレーム、図10は、本発明の発光ダイオード装置の他の実施形態、図11は、図8に示す素子接続用基板を2つに分割する態様を示す。
【0228】
以降の図面において、上記と同様の部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0229】
図1の実施形態では、第2絶縁樹脂部6を、リードフレーム4の側面に形成しているが、例えば、図6に示すように、第2絶縁樹脂部6をリードフレーム4の側面に形成せず、リードフレーム4の側面を露出させることもできる。
【0230】
図6において、第1リード8の右側の第1直線部10Bの右側面、および、第2リード9の左側の第2直線部13Bの左側面は、露出している。
【0231】
また、図1および図6の実施形態では、リードフレーム4の下面(厚み方向他方面)を露出させているが、図7に示すように、リードフレーム4の下面を第2絶縁樹脂部6で被覆することもできる。
【0232】
図7において、第2絶縁樹脂部6は、リードフレーム4の側面に加え、下面にも設けられている。すなわち、第2絶縁樹脂部6は、幅方向両端部のリードフレーム4の下面に設けられている。
【0233】
具体的には、リードフレーム4の下面に設けられる第2絶縁樹脂部6は、右側の第1直線部10Bの下面と、右側の第2直線部13Aの下面と、右側の第1直線部10Bおよび右側の第2直線部13Aの間の隙間2に充填される第2絶縁樹脂部6の下面とに連続して形成されている。また、リードフレーム4の下面に設けられる第2絶縁樹脂部6は、左側の第2直線部13Bの下面と、左側の第1直線部10Aの下面と、左側の第2直線部13Bおよび左側の第1直線部10Aの間の隙間2に充填される第2絶縁樹脂部6の下面とに連続して形成されている。
【0234】
リードフレーム4の下面に設けられる第2絶縁樹脂部6の厚みT4は、例えば、50〜2000μm、好ましくは、100〜300μmである。
【0235】
図7の実施形態は、図1と同様の作用効果を奏することができ、さらに、リードフレーム4の下面に設けられる第2絶縁樹脂部6によって、リードフレーム4を下方から支持して補強することもできる。
【0236】
図1(a)および図1(b)の実施形態では、第1リード8および第2リード9のそれぞれに、第1パッド12および第2パッド15のそれぞれを設けているが、例えば、図8(a)および図8(b)に示すように、第1パッド12および第2パッド15を設けることなく、第1リード8および第2リード9を形成することもできる。
【0237】
図8(a)および図8(b)において、素子接続用基板1は、複数のリード3を備えるリードフレーム4と、隙間2に充填される光反射性を有する第1絶縁樹脂部5と、リードフレーム4の側面に形成される第2絶縁樹脂部6とを備えている。
【0238】
複数のリード3は、幅方向中央に配置される第1リード8と、第1リード8の幅方向両外側に隙間2を隔てて対向配置される第2リード9とを備えている。
【0239】
第1リード8は、前後方向に延びる平面視幅広略矩形状に形成されている。
【0240】
第2リード9は、第1リード8より幅狭であって、前後方向に長く延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0241】
第1絶縁樹脂部5は、第1リード8および第2リード9の間に形成される隙間2に充填されている。
【0242】
第2絶縁樹脂部6は、第2リード9の幅方向外側面に形成されている。
【0243】
図8の素子接続用基板1を得るには、例えば、まず、図9(a)および図9(b)に示すリードフレーム4を用意する。なお、リードフレーム4は、第1リード8の前後方向両端部のそれぞれと、第2リード9の前後方向両端部のそれぞれとが、図示しないジョイントによって連結されており、ジョイント付フレーム4’とされている。
【0244】
次いで、図8(a)および図8(b)に示すように、第1絶縁樹脂部5および第2絶縁樹脂部6を反射樹脂組成物から形成する。
【0245】
これにより、素子接続用基板1を得る。
【0246】
そして、この素子接続用基板1には、図10(a)および図10(b)に示すように、発光ダイオード素子17が接続されており、発光ダイオード装置18を構成する。
【0247】
発光ダイオード装置18において、発光ダイオード素子17は、第1リード8の幅方向両端部に設けられ、第1リード8の前後方向に沿って互いに間隔を隔てて配置されている。
【0248】
発光ダイオード素子17は、図示しない導電性接着剤層を介して、第1リード8の上面に接着しており、これによって、第1リード8の上面に電気的に接続されている。
【0249】
一方、発光ダイオード素子17は、その上面に接続されるワイヤー22を介して、第2リード9の上面に電気的に接続されている。つまり、発光ダイオード素子17の上面は、第2リード9の上面と電気的に接続されている。
【0250】
図10(a)および図10(b)に示す実施形態は、図4に示す実施形態と同様の作用効果を奏することができ、さらに、発光ダイオード素子17およびワイヤー22のそれぞれを、第1リード8および第2リード9のそれぞれの上面に接続することもできる。そのため、発光ダイオード装置18では、フレーム3が、上記した形状の第1リード8および第2リード9を備えるので、簡易な構成とすることができる。
【0251】
なお、図8の素子接続用基板1の寸法は適宜選択することができ、例えば、図11に示すように、素子接続用基板1を、図11(a)の1点鎖線で示される切断線CL2に沿って、素子接続用基板1を、前後方向に分断されるように、ダイシングなどの切断加工によって、複数(2つ)に分割することもできる。
【符号の説明】
【0252】
1 素子接続用基板
2 隙間
3 リード
4 リードフレーム
4’ ジョイント付リードフレーム
5 第1絶縁樹脂部
6 第2絶縁樹脂部
16 ジョイント
17 発光ダイオード素子
18 発光ダイオード装置
19 封止シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード素子が厚み方向一方側に接続されるためのリードフレームであって、互いに隙間を隔てて配置される複数のリードを備える前記リードフレームと、
前記隙間に充填される光反射性の第1絶縁樹脂部と
を備えることを特徴とする、素子接続用基板。
【請求項2】
前記第1絶縁樹脂部は、封止樹脂組成物と光反射成分とを含有する反射樹脂組成物から形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の素子接続用基板。
【請求項3】
前記リードフレームの前記厚み方向他方面および/または側面に設けられる第2絶縁樹脂部をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の素子接続用基板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の素子接続用基板と、
前記リードフレームの前記厚み方向一方面に接続される発光ダイオード素子と
を備えることを特徴とする、発光ダイオード装置。
【請求項5】
前記素子接続用基板の前記厚み方向一方側に形成され、前記発光ダイオード素子を封止する封止シートをさらに備えることを特徴とする、請求項4に記載の発光ダイオード装置。
【請求項6】
互いに隙間を隔てて配置される複数のリードと、前記複数のリードを連結するジョイントとを備えるリードフレームを用意する工程、
光反射性の第1絶縁樹脂部を前記隙間に充填する工程、および、
前記ジョイントを切断する工程
を備えることを特徴とする、素子接続用基板の製造方法。
【請求項1】
発光ダイオード素子が厚み方向一方側に接続されるためのリードフレームであって、互いに隙間を隔てて配置される複数のリードを備える前記リードフレームと、
前記隙間に充填される光反射性の第1絶縁樹脂部と
を備えることを特徴とする、素子接続用基板。
【請求項2】
前記第1絶縁樹脂部は、封止樹脂組成物と光反射成分とを含有する反射樹脂組成物から形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の素子接続用基板。
【請求項3】
前記リードフレームの前記厚み方向他方面および/または側面に設けられる第2絶縁樹脂部をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の素子接続用基板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の素子接続用基板と、
前記リードフレームの前記厚み方向一方面に接続される発光ダイオード素子と
を備えることを特徴とする、発光ダイオード装置。
【請求項5】
前記素子接続用基板の前記厚み方向一方側に形成され、前記発光ダイオード素子を封止する封止シートをさらに備えることを特徴とする、請求項4に記載の発光ダイオード装置。
【請求項6】
互いに隙間を隔てて配置される複数のリードと、前記複数のリードを連結するジョイントとを備えるリードフレームを用意する工程、
光反射性の第1絶縁樹脂部を前記隙間に充填する工程、および、
前記ジョイントを切断する工程
を備えることを特徴とする、素子接続用基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−115310(P2013−115310A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261702(P2011−261702)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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