説明

紫外線に関して安定化された着香溶液

【課題】真水、化粧水、香水、香料、アフターシェイブローション、又はケアウォーターに使用される、紫外線に関して安定化された着香溶液を提供する。
【解決手段】揮発性アルコールと、香料と、シンナメートの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター、ジベンゾイルメタンの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター、及び前記アルコール中に可溶であって前記フィルター用の溶媒である少なくとも1種の不揮発性油からなる、前記香料を安定化するための混合物とを含む着香溶液であって、安定化混合物は、着香溶液をUV線による劣化から保護するのに十分な量である、着香溶液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性油中に溶解された2種の特定のUVフィルターの混合物によって安定化された香料を含む着香溶液に関する。
【従来技術】
【0002】
着香溶液は一般に、真水、化粧水、香水、香料、アフターシェイブローション、又はケアウォーターの形態であり得る。
【0003】
これらは透明であり、さらに透明なボトル中にパッケージングされる。そのため、これらの製品は、光、紫外線(本出願中で「UV線」又は「UV」ともいう。)及び温度変化に特に曝露される。
【0004】
このとき、日光及びUV線は、これらの溶液に含有される香料及び着色剤等の分子の分解を引き起こす。特に、香料の変化、物質の退色、黄変、ピンク色への変色、綿状沈殿及び沈澱、又は曇りが認められることがあり、これらは、製品に対する消費者の知覚に、且つ、製品がスプレーとしてパッケージングされる場合にはポンプの効率に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
着香溶液をその有効期間にわたりこうした劣化から保護するために、一般に、UVに対して有効であるフィルター(本出願中で「UVフィルター」ともいう。)と抗酸化システムとを溶液中に組み込んで、溶液の安定性を保証する。
【0006】
2種のUVフィルターの使用では香料がUVによる劣化から保護されないことは、従来技術において常に述べられてきた。したがって、香料の安定化を保証するために、UVフィルターの3成分又は4成分混合物が提案されている。
【0007】
例えば、出願FR2 916 346では、n−ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート及びエチルヘキシルメトキシシンナメート 35/65の混合物を1重量%含む化粧水の色及び香りは、UV及び熱に曝露されることで劣化するので、UVからの製品の有効な保護を達成するためにブチルメトキシ−ジベンゾイルメタン型の第3のUVフィルターを添加する必要があることが示されている。
【0008】
さらに、1重量%のエチルヘキシルメトキシシンナメート及び0.3重量%のブチルメトキシジベンゾイルメタンを含む化粧水の色及び香りは、UV及び熱に曝露されることで劣化する。この理由により、国際公開第2006/005846号パンフレットにおいて、UVに曝露される際の退色から化粧用組成物を保護するために、エチルヘキシルメトキシシンナメートに及びブチルメトキシジベンゾイルメタンに第3のフィルターであるサリチル酸エチルヘキシルを添加することが提案された。
【0009】
出願FR2 916 347及びFR2 923 385にも、化粧水の色及び香りの安定性を保証するためのシンナメート及びジベンゾイルメタンを含むフィルターの混合物が記載されている。これらの四成分混合物は、ヒドロキシアミノベンゾフェノンの誘導体又はベンゾトリアゾールの誘導体のいずれかと組み合わせて、シンナメート、ジベンゾイルメタン及びサリチル酸誘導体を含む。
【0010】
しかし、サリチル酸エチルヘキシルは、匂いがあるという欠点を有する。サリチル酸エチルヘキシルはべたつきがあり、発熱性であり、可塑性であり、ゴム様のノート(note)を放出するので、着香溶液(perfuming solution)の安定化へのサリチル酸エチルヘキシルの使用は満足できるものではなく、本出願のために導入されるサリチル酸エチルヘキシルの割合によっては、香料の確実性の低下につながることもある。
【0011】
最後に、布、化粧用組成物及び家庭用品を光、熱及び酸化の作用から保護するために、シンナメート及びジベンゾイルメタンを含むUVフィルターの混合物に、ニトロキシル基又はヒドロキシルアミン基を含む有機化合物、例えばトリス−テトラ−メチルヒドロキシピペリジノール(参照名Tinogard Qの下で市販されている)を添加することが提案されている(国際公開第2005/042828号)。
【0012】
残念なことに、従来技術の特許出願において推奨される安定化用添加剤は、高価で着香溶液の色又は香気を変えやすい原材料であるUVフィルターを大量に含有している。
【0013】
製品をUV線から保護するために香料中のフィルターの量を増加させることも試みられてきたが、この方法では好結果が得られなかった。その理由は、より高い濃度では、皮膚上で気化した香料の被膜がべとつき感(greasy sensation)を残すからであり、規制条件により各UVフィルターの使用レベルに最大限度が課せられるからである。
【発明の目的】
【0014】
したがって、従来技術の安定剤の欠点を有していない着香製品の新しい安定剤、特に、例えば着香製品の香り及び色のような、官能特性を変えないが、日光に又は温度差に曝露される製品を十分に安定化できる安定化混合物を提案する必要性が依然として存在する。
【0015】
また、より費用がかからず、且つ、例えば香料及び化粧水の香り及び色のような、官能特性を変えないが、日光に又は温度差に曝露される製品を十分に安定化できる安定剤が求められている。
【0016】
本出願人らは、驚くべきことに、この目的は、2種の特定のUVフィルターと、不揮発性の、好ましくは極性の油とを組み合わせることによって達成され得ることを発見した。
【0017】
UVの作用に関して着香溶液の十分な安定化を達成するために少なくとも3種のUVフィルターを使用することを提案する従来技術の教示とは対照的に、本発明者らは、予想外にも、香料及び色の十分な安定性を保証しながら、化粧水中に2種のみのUVフィルターを使用できることを見出した。従来技術において推奨される量よりもより少ない量のUVフィルターを、十分な安定性を保証したままで組み込むことも可能である。本発明者らは、驚いたことに、特定の不揮発性油が、着香溶液におけるUVフィルターの有効性を高め得ることを見出した。これらの油は、UVフィルターの溶解性を実際に改善するので、製品の十分な安定化を保証しながら、UVフィルターをより少ない量で組み込むことが可能である。本発明者らは、UVフィルターを2種だけ使用して、UVに曝露される着香溶液を効果的に安定化することすら可能であることを発見した。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、少なくとも1種の揮発性アルコールと、香料と、安定化混合物と、を含む着香溶液であって、前記溶液は、シンナメートの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター、ジベンゾイルメタンの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター、及び前記アルコール中に可溶であって前記フィルター用の溶媒である少なくとも1種の不揮発性油からなり、安定化混合物は、着香溶液の香りをUV線による劣化から保護するのに十分な量である、着香溶液に関する。
【0019】
本発明によるUVフィルターの組合せは、他の既知のフィルターの組合せよりも着色されていないという利点を有する。
【0020】
本発明はまた、着香溶液における、前記溶液の官能特性、特に香り及び場合によっては色をUV線から安定化するための作用剤としての、シンナメートの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターと、ジベンゾイルメタンの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターと、少なくとも1種の不揮発性油と、の組合せの使用に関する。
【0021】
本発明はまた、シンナメートの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターと、ジベンゾイルメタンの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターと、少なくとも1種の不揮発性油と、の組合せを、着香溶液中に組み込むことからなることを特徴とする、着香溶液の官能特性、特に色及び/又は香りを安定化する方法に関する。
【0022】
本発明はさらに、ケラチン性物質について上記で定義したような着香溶液の適用を含む、ケラチン性物質、特に、皮膚、唇、毛髪、頭皮、睫毛、眉毛又は爪に着香する化粧用方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【0023】
第一に、本発明は、少なくとも1種の揮発性アルコールと、香料と、
シンナメートの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター、
ジベンゾイルメタンの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター、及び
前記アルコール中に可溶であって前記フィルター用の溶媒である少なくとも1種の不揮発性油
からなる着香溶液を安定化するための混合物と、を含む着香溶液であって、安定化混合物は、着香溶液の香りをUV線による劣化から保護するのに十分な量である、着香溶液に関する。
【0024】
「着香溶液」とは、香料が溶解されており、ケラチン性物質上への適用後に香料を残す、アルコールを、好ましくは主成分として含有する組成物を意味する。油中水型エマルション及び水中油型エマルションは、この定義から除外される。着香溶液は、半透明又は透明であるのが有利であり、これにより、可視光及びUV線から溶液を保護することがさらにより必要となる。
【0025】
本発明による着香溶液は、真水、化粧水、香水、アフターシェイブローション、メーキャップ落としローション、又はケアウォーターの形態であり得る。
【0026】
本発明による着香溶液は、少なくとも1種の揮発性アルコールを含有する。
【0027】
「揮発性アルコール」とは、本発明の意味では、特に、25℃且つ0.1MPaにおいて、0.13〜40000Pa、好ましくは1.3〜13000Pa、より好ましくは1.3〜8000Paの範囲の、例えば、2000Paを超える、蒸気圧を有する、少なくとも1個のアルコール官能基を含むあらゆる化合物を意味する。
【0028】
本発明による揮発性アルコールは、1〜5個の炭素原子を有する一価アルコールから、特に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0029】
1種又は複数の揮発性アルコールは、溶液の総重量に対して、好ましくは40〜95重量%の範囲の量で、より好ましくは55〜80重量%の範囲の量で存在する。
【0030】
好ましい一実施形態によれば、溶液は、溶液の総重量に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.2〜12重量%の範囲内の量の水を含有する。
【0031】
「香料」とは、25℃で蒸発する、匂い物質又は匂い物質の混合物を意味する。各香料は、香料を適用すると同時に又は香料の容器を開くと同時に最初に拡散する香りである、いわゆるトップノート、全部の香料に相当するミドルノート(トップノート後の数時間の放出)、及び、最も持続性の香りであるベースノート(ミドルノート後の数時間の放出)を有する。ベースノートの持続性は、香料の香りの持続性と一致する。
【0032】
香料は、例えば、販売される着香溶液の成分の一覧に表示されるINCI名が「香料」である化合物から選択できる。香料は、その香りが検出される、室温において少なくとも部分的に揮発性の化合物である。
【0033】
「香料」は、皮膚、毛髪、頭皮、唇又は爪に着香することができるあらゆる有機化合物も意味する。
【0034】
香料(濃縮物ともいう。)の量は、溶液の総重量に対してより好ましくは3〜50重量%、より良好には5〜30重量%、さらに良好には10〜20重量%である。
【0035】
天然又は合成由来の香料及び芳香並びにこれらの混合物が、本発明の着香溶液において香料として使用できる。天然由来の香料及び芳香として、例えば、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、イランイラン)から、茎及び葉(パチョリ、ゼラニウム、プチグレン)から、果実(コリアンダー、アニス、クミン、ネズノミ)から、果実の皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)から、根(アンゼリカ、セロリ、カルダモン、アイリス、ショウブ)から、木(パインウッド、ビャクダン、ユソウボク、ピンクシダー)から、ハーブ及び草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)から、針葉及び枝(エゾマツ、モミ、マツ、ハイマツ)から、樹脂及びバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポパナックス)からの抽出物を挙げることができる。
【0036】
合成由来の香料として、例えば、酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸シトロネリル、ギ酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチルフェニル、プロピオン酸アルキルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリル及びサリチル酸ベンジル、ベンジルエチルエーテル、8〜18個の炭素原子を有する直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアル及びブルゲオナール、アルファ−イソメチルイオノン等のイオノン、並びにメチルセドリルケトン、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、テルピネオール、テルペンを挙げることができる。これらの化合物は、これらの匂い物質のうちの2種以上の混合物の形態であることが多い。
【0037】
さらに、精油、芳香の成分、例えば、セージの、カモミールの、クローブの、レモンバルムの、ミントの、シナモンツリーリーフの、ライムブロッサムの、ネズノミの、ベチベルソウの、オリバナムの、ガルバヌムの、ラボラヌムの及びラバンジンのエッセンスを使用することも可能である。
【0038】
以下のものが、香料として、単独で又は混合して使用されることが好ましい。ベルガモットのエッセンス、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラル、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、アルファ−ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、アンブロキサン、インドール、ヘディオン、サンデリス、レモンのエッセンス、マンダリン及びオレンジのエッセンス、アリルアミングリコレート、シクロベルタル、ラバンジンのエッセンス、セージのエッセンス、ベータダマスコン、ゼラニウムのエッセンス、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド。
【0039】
既知の嗅覚的ノートの中で、例えば、ヘスペライド香料、芳香剤、フローラル香料、ムスク、フルーツ系香料、スパイス系香料、東洋系香料、海洋系香料、アクアティックノート、シプレー香料、樹木系香料、シダ類及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0040】
香料は、溶媒及び/又は賦形剤としてクエン酸トリエチルも含み得る。
【0041】
香料は、一般に、本発明の着香溶液の重量の5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%に相当する。
【0042】
本発明による安定化混合物は、シンナメートの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターと、ジベンゾイルメタンの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルターとを含む。「UVフィルター」とは、280nm〜400nmの波長範囲のUV線を吸収するあらゆる化合物を意味する。
【0043】
着香溶液は、サリチル酸誘導体から選択されるUVフィルターを含まないのが有利である。
【0044】
シンナメートから誘導されるUVフィルターの中では、以下のものが特に挙げられる(完全に網羅しているわけではない)。エチル−2−ヘキシル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミルメトキシシンナメート、シノキセート(2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート)、ジエタノールアミンメトキシシンナメート、グリセリルエチル−2−ヘキサノエート ジ−p−メトキシシンナメート、[4−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル−3−メチルブチル]−3,4,5−トリメトキシシンナメート。
【0045】
上述のシンナメート誘導体の中で、エチル−2−ヘキシル−p−メトキシシンナメート(エチルヘキシルメトキシシンナメート又はオクチルメトキシシンナメートとも呼ばれる。)はとりわけ使用されるであろう。これは、商品名パルソール(PARSOL)MCXの下でDSM NUTRITIONAL PRODUCTSから、商品名ユビヌル(UVINUL)MC80の下でBASFから、且つ商品名ユビヌルA+Bの下でBASFから販売されている。
【0046】
シンナメートの誘導体から選択されるUVフィルターは、安定化混合物の重量の20〜90重量%、好ましくは30〜75重量%に相当する。
【0047】
シンナメートの誘導体から選択されるUVフィルターは、着香溶液の重量の0.3〜0.4重量%に相当する。
【0048】
ジベンゾイルメタンから誘導されるUVフィルターの中では、以下のものが特に挙げられる(完全に網羅しているわけではない)。2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン。
【0049】
上述のジベンゾイルメタンの誘導体の中で、4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン又はブチルメトキシジベンゾイルメタン(BMDBM)とも呼ばれる。)はとりわけ使用されるであろう。これは、DSM NUTRITIONAL PRODUCTSの商品名パルソール1789、又はMERCKの商品名ユーソレックス(EUSOLEX)9020の下で販売されている。
【0050】
ジベンゾイルメタンの誘導体から選択されるUVフィルターは、安定化混合物の重量の5〜75重量%、好ましくは10〜55重量%に相当する。
【0051】
ジベンゾイルメタンの誘導体から選択されるUVフィルターは、着香溶液の重量の0.05〜0.1重量%に相当するのが有利である。着香溶液中のUVフィルターの総量は、着香溶液の重量の好ましくは0.005〜5重量%、より好ましくは0.1〜1重量%に相当する。
【0052】
安定化混合物は、UVフィルターに加えて、少なくとも1種の不揮発性油を含む。
【0053】
「油」とは、本発明の意味では、水に不溶性である脂肪(fat)を意味し、25℃且つ0.1MPaで液体である。「不揮発性油」とは、25℃且つ0.1MPaにおいて、ゼロではなく2.6Pa未満、好ましくは0.13Pa未満の蒸気圧を有するあらゆる油を意味する。本発明の意味では、不揮発性油は、香料ではなく、有機UVフィルターでもない。好ましい一実施形態によれば、不揮発性油は、以前に記載されているいかなる有機UVフィルターとも異なる。
【0054】
不揮発性油は、着香溶液における重量比の点から通常主成分であるアルコール中に25℃で可溶であることが好ましい。油は、香りがないことが好ましい。不揮発性油は、無色であることが好ましい。
【0055】
不揮発性油は、好ましくは熱を出すことなく、アルコールと混和性であることが好ましく、且つ前記フィルター用の溶媒である。アルコール中での不揮発性油の溶解性は、混和性の測定のための以下のプロトコルによって評価することができる。選択したアルコール(80重量%)をビーカー中で計量し、次いで、選択した油(20重量%)をビーカーに添加する。5分間撹拌し、次いで、全てを120mlのピルボックス中にパッケージングする。25℃で24時間放置する。
【0056】
24時間置いた後に、この混合物が視覚的に透明且つ均質であれば、油はアルコールと混和性であると考えられる。
【0057】
油は、少なくとも1個の、好ましくは少なくとも2個の酸素原子又は共役二重結合を含むという意味で、極性であることが好ましい。
【0058】
一実施形態によれば、油は、1個以下の脂肪族環を含有する炭化水素油である。油は、好ましくは脂肪族油であり、すなわち、ヒュッケルの芳香族性の規則に従っている環状系を含まないという意味で芳香族でない。
【0059】
「脂肪族」とは、非芳香族化合物を意味する。「脂肪族のエステル、エーテル、アルコール又は酸」とは、炭素原子、水素原子及びそれぞれCOO、COC、OH又はCOOH基からなる化合物を意味する。「水酸化脂肪族エステル」とは、COO基及び少なくとも1個のOH基、好ましくは単一のOH基を含む炭化水素化合物を意味する。
【0060】
他の実施形態によれば、油は、少なくとも1個の芳香族炭素含有基を含むシリコーン油である。
【0061】
「脂肪族エステル」とは、炭素原子、水素原子及び少なくとも1個のCOO基からなる化合物を意味する。「モノエステル」とは、1個のCOO基を含む化合物を意味し、「ジエステル」とは、2個のCOO基を含む化合物を意味する。
【0062】
「水酸化エステル」とは、少なくとも1個のCOO基及び少なくとも1個のOH基を含む化合物を意味する。
【0063】
他の一実施形態では、脂肪族のモノエステル及びジエステルから選択されるエステルが好ましい。水酸化エステルは、非芳香族であることが好ましい。
【0064】
不揮発性油は、脂肪族のモノエステル及びジエステル、非水酸化芳香族エステル、脂肪族カーボネート及びフェニル化シリコーンから選択するのが好ましい。
【0065】
本発明の着香溶液中に使用可能な極性油としては、例えば以下のものが挙げられる。
脂肪族のモノエステル及びジエステル、特に、i)直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、好ましくは飽和の、8〜20個の炭素原子を含む脂肪族カルボン酸のモノエステル、及び3〜20個の炭素原子を含む脂肪族一価アルコールのモノエステル、ii)4〜10個の炭素原子を含む脂肪族ジカルボン酸及び一価アルコールの脂肪族ジエステル;
安息香酸のモノエステル及び8〜20個の炭素原子を含む脂肪族アルコールのモノエステル、エチル−2−ヘキシルベンゾエート、オクチル−2−ドデシルベンゾエート、イソステアリルベンゾエート、C12〜C15アルキルベンゾエート;
アルキル基が8〜18個の炭素原子を含有するジアルキルカーボネート、例えば、ジカプリリルカーボネート、ジ(エチル−2−ヘキシル)−カーボネート;
水酸化脂肪族のモノエステル又はジエステル、例えば、i)3〜20個の炭素原子を含む水酸化脂肪族のモノカルボン酸又はジカルボン酸のエステル、及び6〜20個の炭素原子を含む脂肪族一価アルコールのエステル、例えば、乳酸イソステアリル、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル、又はii)ポリオールの、特に、ジオール及びトリオールの、脂肪族のモノエステル及びジエステル、例えば、3〜20個の炭素原子を含む脂肪族モノカルボン酸のエステル、及び3〜20個の炭素原子を含む脂肪族のジオール又はトリオールのエステル;
8〜26個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の脂肪族アルコール、例えば、オクチルドデカノール、オクチルデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール;
7〜29個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸又はイソステアリン酸;
2〜24個の炭素原子を有する、ペンダント状に又はシリコーン鎖の末端に、少なくとも1個のアルコキシ基又はフェニル基を有するシリコーン油、特に、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、及びポリメチルフェニルシロキサン;及び
これらの混合物。
【0066】
脂肪族のモノエステル及びジエステルの中で、10〜25個の炭素原子、好ましくは14〜22個の炭素原子を含むエステルが好ましく、例えば、イソノナン酸のエステル、例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、デシル−2−ヘキシルイソノナノエート、イソノナン酸イソステアリル、イソノナン酸セテアリル、イソノナン酸トリデシル等が好ましい。
【0067】
さらに、ミリスチン酸イソプロピル、エチル−2−ヘキシルパルミテート、オクチル−2−ドデシルステアレート、オクチル−2−ドデシルエルケート、イソステアリン酸イソステアリル、オクチルドデシルステアロイルステアレート、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリリノール酸トリイソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オクタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソブチル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、エチル−2−ヘキシルイソステアレート、イソステアリン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ヘプタン酸ステアリル、ステアリン酸イソプロピル、ネオペンタン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、オクタン酸セチル(又はオクタン酸パルミチル)、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル(又はドデカン酸ヘキシル)、ラウリン酸エチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸ミリスチル、ヘキシルデシルジメチルオクタノエート、イソステアリン酸イソセチル、ヘキシル−2−デシルミリステート、ヘプチル−2−ウンデシルパルミテート、セチル2−エチルヘキサノエートを挙げることもできる。
【0068】
ジカルボン酸のエステルの中で、さらに、ジ(エチル−2−ヘキシル)セバケート、セバシン酸ジイソプロピル、ジ(エチル−2−ヘキシル)スクシネート、ジ(ヘキシル−2−デシル)アジペート、ジ(ヘプチル−2−ウンデシル)アジペートを挙げることもできる。
【0069】
ポリオールのモノエステル及びジエステルの中で、6〜20個の炭素原子を有する脂肪酸とのアルキレングリコールのジエステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコール;ジカプリン酸/ジカプリル酸ブチレングリコール、ジカプリン酸/ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジピバル酸トリプロピレングリコール;並びにヘプタン酸グリセリル、オクタン酸グリセリル、及びデカン酸グリセリル等のグリセリルモノアルカノエートを挙げることもできる。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、不揮発性油は、10〜25個の炭素原子、好ましくは14〜22個の炭素原子を含む不揮発性脂肪族エステルである。脂肪族エステルは、脂肪族のC〜C18のモノカルボン酸又はジカルボン酸と、C〜C20の一価アルコール及びC〜Cの多価アルコールから選択されるアルコールとの非水酸化エステルから選択できる。
【0071】
不揮発性油は、安定化混合物の重量の好ましくは1〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%、特に約15重量%に相当する。
【0072】
不揮発性油は、着香溶液の好ましくは0.001〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%に相当する。
【0073】
一実施形態によれば、安定化混合物は、2種以下のUVフィルターを含むことが好ましい。好ましい安定化混合物は、オクチルメトキシシンナメートと、ブチルメトキシジベンゾイルメタンと、リンゴ酸ジイソステアリル、フェニルトリメチコン、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、C12〜C15−アルキルベンゾエート及びイソノナン酸イソノニルを含む群から選択される不揮発性油とからなる。
【0074】
より好ましい安定化混合物は、オクチルメトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン及びジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコールからなる。オクチルメトキシシンナメートは、安定化混合物の60〜80重量%に相当するのが有利である。ブチルメトキシジベンゾイルメタンは、安定化混合物の10〜20重量%に相当するのが有利であり、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコールは、安定化混合物の10〜20重量%に相当するのが有利である。
【0075】
安定化混合物は、着香溶液の重量の0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量%、さらにより好ましくは0.1〜2重量%に相当する。
【0076】
本発明による溶液は、脂溶性色素、水溶性色素、又は水性アルコール溶液中に溶解性の色素等の少なくとも1種の色素をさらに含み得る。
【0077】
本発明によるUVフィルターの組合せはまた、これらの色素に対する光若しくは温度の反応、又は前記色素の分解の結果として生じる香料又はその誘導体の相互作用のいずれかと直接関係したいかなる変色も避けるために、これらの色素に関して保護の役割を果たす。
【0078】
水溶性色素又は水性アルコール溶液中に溶解性の色素は、例えば、カラメル、イエロー5、アシッドブルー9/ブルー1、グリーン5、グリーン3/ファーストグリーンFCF3、オレンジ4、レッド4/フードレッド1、イエロー6、アシッドレッド33/フードレッド12、レッド40、コチニールカルミン(CI15850、CI75470)、Ext.バイオレット2、レッド6〜7、フェロシアン化第二鉄、ウルトラマリン、アシッドイエロー3/イエロー10、アシッドブルー3、イエロー10である。脂溶性色素は、例えば、スーダンレッド、D&Cレッド17、D&Cグリーン6、ベータ−カロテン、大豆油、スーダンブラウン、D&Cイエロー11、D&Cバイオレット2、D&Cオレンジ5、キノリンイエロー、アンナットである。
【0079】
色素は、一般に、着香溶液の重量の0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%に相当する。
【0080】
本発明の着香溶液は、香料の分野において通常用いられる任意の添加剤、特に、抗酸化剤から選択される添加剤をさらに含み得る。抗酸化剤の中で、例えば、アスコルビン酸、ジ−tert−ブチル−p−ヒドロキシトルエン(BHT又は2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールとも呼ばれる)、BHA(tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール)、ビタミンE等のトコフェロール、酢酸トコフェリル等のトコフェロールの誘導体、没食子酸及びその誘導体を挙げることができる。
【0081】
本発明による溶液は、着香された組成物の分野で一般に用いられる既知の方法によって製造できる。
【0082】
本発明による着香溶液は、ボトルの形態でパッケージングできる。着香溶液は、加圧装置によって微細な液滴の形態で適用できる。本発明による装置は、当業者によく知られており、非エアロゾルポンプ又は「アトマイザー」、噴射剤を含むエアロゾル容器、並びに噴射剤として圧縮空気を使用するエアロゾルポンプを備える。
【0083】
本発明による、エアロゾルにパッケージングされた組成物は、例えば、フッ化水素処理された化合物、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n−ブタン、プロパン、トリクロロフルオロメタンのような、従来の噴射剤を一般に含む。
【0084】
本発明による着香溶液は、特に水性アルコール溶液の形態である。
【0085】
本発明はさらに、着香溶液をUV線によるその香りの劣化から保護するための、シンナメートから誘導される少なくとも1種のUVフィルターと、ジベンゾイルメタンから誘導される少なくとも1種のUVフィルターと、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、フェニルトリメチコン、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソノニル及びジカプリルカーボネートから選択される少なくとも1種の油とを含む、上記のような安定化混合物の使用に関する。
【0086】
着香溶液は、少なくとも1種の色素をさらに含有し得る。その場合には、安定化混合物が、着香溶液をUV線によるその色の劣化から保護する。
【0087】
安定化混合物は、着香溶液の重量の好ましくは0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%に相当する。
【0088】
着香溶液に関して記載した特徴は、本発明による安定化混合物の使用に適用可能である。
【0089】
したがって、本発明の他の目的、特徴及び利点は、実施例を読むことで当業者に明らかになる。これらの実施例は、単に実例として示すものであり、決して本発明の範囲を限定するものではない。実施例は、本発明の重要な部分を形成し、したがって、一般的に適用される。
【0090】
さらに、以下の実施例において、全ての百分率は重量パーセントで示され、温度は他に明記がない限り摂氏度で表され、圧力は大気圧である。
【実施例】
【0091】
A.着香溶液の調製:
着香溶液(芳香剤ともいう。)を以下の組成で調製した。
【0092】
【表1】

【0093】
濃縮物1番は、主にヘディオンからなっており、濃縮物2番は、主にバラエッセンスからなっており、濃縮物3番は、主にジャスミンアブソリュートからなっていた。これらの芳香剤のそれぞれに、本発明によるフィルター及び不揮発性油の混合物を、以下の4種の組成物のうちの1種を有するように組み込んだ。
【0094】
【表2】

【0095】
エタノール及び水をビーカー内で冷却してYstralで5分間撹拌しながら混合した。次いで、この水−アルコール混合物に、エタノール中又は水中のいずれか該当する方の溶液の形態の、色素を加えて、5分間撹拌した。
【0096】
抗酸化剤BHT、BMDBM、オクチルメトキシシンナメート及び不揮発性油を、0.1と5重量%との間で芳香剤中の混合物の量を変えて、シャーレ内で磁気的に撹拌しながら70℃で混合した。
【0097】
次いで、この混合物を、放置して冷却させて、磁気的に撹拌しながら香料を添加した。
【0098】
次いで、シャーレの内容物を、この着色した水−アルコール溶液と撹拌しながら10分間混合し、噴霧性を試験するために香料アトマイザー中にパッケージングし、ストーブ安定性用に25mlまで満たした30mlのピルボックス中にパッケージングし、次いで、サンテスト及び嗅覚試験用に60mlのガラスボトル中にパッケージングした。
【0099】
B.着香溶液の安定性及び官能評価:
次いで、上記の4種の混合物のうちの1種を添加した、3種の芳香剤のそれぞれの熱安定性、低温安定性及びUV線に対する安定性を、以下のプロトコルに従って評価した。
【0100】
(4℃及び45℃のストーブ中での溶液の均質性の安定性)
芳香剤を25mlまで入れた、30mlのピルボックスを、45℃のストーブ中及び4℃の冷蔵庫中に3ヶ月間入れる。相分離又は曇り若しくは顕著な沈着がなければ、その溶液は安定である(適合している結果)。
【0101】
(UVに対する色及び香りの安定性)
芳香剤を55mlまで入れた60mlのガラスボトルに入れた、混合物のL色座標を、照射前に、Minolta 3600D CM POS0118分光比色計によって測定した。
【0102】
それぞれ1種の芳香剤を入れたこれらのボトルを、以下の条件で12時間、ボトルが完全にUVに曝露されるように直立で置く。
【0103】
それぞれの試料に、サンテスト(Suntest)(商標)装置、モデルCPS中で照射を行う。使用されるUV源は、765W/mの電力で300と800nmとの間で放射するキセノンランプである。このキセノンランプには、「UV特殊ガラス」と組み合わせられた「ショートカットオフ」石英フィルターが付いている。試料は、(冷却プレート及び/又は空気調節プレートを使用して)25℃の温度で維持される。
【0104】
12時間の照射後、着香溶液のL座標を再び測定した。標準の測定条件(D65光源及び10°観測者)において、デルタEによって表される、2つの測定値の間の相違が、5未満、好ましくは1未満であれば、溶液の色は、安定であると考えられる(適合している結果)。
【0105】
上記の条件におけるUV線に対する曝露の前及び後の着香溶液の香りを、嗅覚の専門家によってさらに評価する。
【0106】
この試験結果は、嗅覚の専門家が、UV線に対する曝露後の香りの強度においていかなる有意な相違も検出しなければ、適合していると考えられる。
【0107】
(皮膚上に残されるべとつき感(官能評価))
芳香剤を、アトマイザーで噴霧することによって頸部に適用した。この目的は、一度アルコール及び水が蒸発した後に皮膚上に残されるあらゆる残留性のべとつき感を検出することであった。
【0108】
評価は、皮膚上の又は視覚観察(残留性のべとついた被膜又は衣類の変色)における、残留性のべとつき感に基づく。
【0109】
例えば、芳香剤2番及び10重量%の混合物2、3又は4を含有する溶液は、専門家によってべたつき過ぎと判断される。
【0110】
この試験結果は、専門家が不快な感覚を認めず、べとつきの観察もなければ適合していると考えられる。
【0111】
これらの多様な評価の結果を以下の表3〜8で報告する。括弧中の記述は、その適合性を変えることなく得られた結果の特徴を述べている。斜体の記述は、結果を不適合とする観察を描写している。
【0112】
【表3】

【0113】
【表4】

【0114】
【表5】

【0115】
【表6】

【0116】
【表7】

【0117】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の揮発性アルコールと、香料と、
シンナメートの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター、
ジベンゾイルメタンの誘導体から選択される少なくとも1種のUVフィルター、及び
脂肪族モノエステル及びジエステル、非水酸化芳香族エステル、脂肪族カーボネート並びにフェニル化シリコーンから選択される少なくとも1種の不揮発性油
からなる着香溶液を安定化するための混合物と、を含む着香溶液であって、安定化混合物が、着香溶液の香りをUV線による劣化から保護するのに十分な量である、着香溶液。
【請求項2】
揮発性アルコールが、1〜5個の炭素原子を有する一価アルコールから、特に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の着香溶液。
【請求項3】
1種又は複数の揮発性アルコールが、前記溶液の総重量に対して40〜95重量%の範囲の量で、より好ましくは55〜80重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の着香溶液。
【請求項4】
シンナメートの誘導体から選択されるUVフィルターが、エチル−2−ヘキシル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミルメトキシシンナメート、シノキセート(2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート)、ジエタノールアミンメトキシシンナメート、グリセリルエチル−2−ヘキサノエート ジ−p−メトキシシンナメート又は[4−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル−3−メチルブチル]−3,4,5−トリメトキシシンナメートであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着香溶液。
【請求項5】
シンナメートの誘導体から選択されるUVフィルターが、安定化混合物の重量の20〜90重量%、好ましくは30〜75重量%に相当することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着香溶液。
【請求項6】
シンナメートの誘導体から選択されるUVフィルターが、着香溶液の重量の0.3〜0.4重量%に相当することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の着香溶液。
【請求項7】
ジベンゾイルメタンの誘導体から選択されるUVフィルターが、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン又は2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の着香溶液。
【請求項8】
ジベンゾイルメタンの誘導体から選択されるUVフィルターが、安定化混合物の重量の5〜75重量%、好ましくは10〜55重量%に相当することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の着香溶液。
【請求項9】
ジベンゾイルメタンの誘導体から選択されるUVフィルターが、着香溶液の重量の0.05〜0.1重量%に相当することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の着香溶液。
【請求項10】
不揮発性油が、イソノナン酸イソノニル、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、フェニルトリメチコン、リンゴ酸ジイソステアリル、C12〜C15アルキルベンゾエート、ジカプリルカーボネートから選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の着香溶液。
【請求項11】
不揮発性油が、着香溶液の0.001〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%に相当することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の着香溶液。
【請求項12】
安定化混合物が、シンナメートの誘導体から選択される1種のUVフィルター及びジベンゾイルメタンの誘導体から選択される1種のUVフィルターの、2種以下のUVフィルターを含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の着香溶液。
【請求項13】
安定化混合物が、着香溶液の重量の0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量%、さらにより好ましくは0.1〜2重量%に相当することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の着香溶液。
【請求項14】
着香溶液中のUVフィルターの総量が、着香溶液の重量の0.005〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%に相当することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の着香溶液。
【請求項15】
着香溶液をUV線によるその香りの劣化から保護するための、シンナメートから誘導される少なくとも1種のUVフィルターと、ジベンゾイルメタンから誘導される少なくとも1種のUVフィルターと、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、フェニルトリメチコン、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソノニル及びジカプリルカーボネートから選択される少なくとも1種の油とを含む安定化混合物の使用。

【公開番号】特開2013−28601(P2013−28601A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−163005(P2012−163005)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】