説明

紫外線吸収特性を有する化合物

紫外線吸収剤として有用な新規化合物、および該化合物を用いて処理された紡織繊維材料の日光防護率(SPF)を向上させる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収剤(UVA)として有用な新規化合物および本新規化合物を用いて処理して紡織繊維材料の日光防護率(SPF=sun protection factor)を向上させる方法に関する。
【0002】
波長280乃至400nmの放射線によって外皮が褐色化することは公知である。また、波長280乃至320nmの光線(UV−B照射線とよばれる)が皮膚の褐色化(skin tanning)を抑制できる紅斑または日焼け(skin burning)を起こすことも公知である。
波長320乃至400nmの放射線(UV−A照射線とよばれる)は皮膚褐色化をもたらすが、また同時に、特に長時間日光にさらされた敏感な皮膚に対して、皮膚障害(skin damage) を惹起する可能性があることも公知である。このような皮膚障害の例は皮膚弾性の喪失、皺の発生、紅斑反応の開始の促進および光毒反応(phototoxic reaction) または光アレルギー反応の誘起を含む。
日光を過度にあびて、このような障害を受ける危険から皮膚を有効に保護する手段は、日光のUV−A成分およびUV−B成分を、それらが皮膚表面に到達する前に、吸収する手段を包含する必要があることは明らかである。
【0003】
従来、日光中の紫外線成分による潜在的障害から人間の皮膚を保護するためには、紫外線吸収剤を含有する製剤を皮膚に直接塗布する方法が行なわれてきた。世界の、たとえばオーストラリアおよびアメリカのような陽光が豊かな地域においては、オゾン層破壊の結果に対する心配と相まって、日光への過度の曝露による潜在的危険についての意識が大いに高まっている。無防備に過度に日光に曝されることによって起こる皮膚傷害のきわめて悲惨な例は、皮膚の黒色腫あるいは皮膚ガンの発生である。
日光に対する皮膚の保護レベルを高めるという願望の1つの局面は、皮膚の直接的保護のほかに取るべき追加的手段への研究である。たとえば、皮膚を衣類で蔽って、日光線に直接曝されないようにして皮膚を保護することが考えられている。
ほとんどの天然および合成繊維材料は、日光の紫外成分を少なくとも部分的に透過する。したがって、単に衣類を着けているだけでは、その下の皮膚を紫外線よる障害から十分に保護することにはならない。濃色の着色染料を含有するおよび/または緻密に織られた組織を有するような衣類は、その下の皮膚をある程度保護するであろうが、そのような衣類は着用者の個人的快適さの点からみて、陽光の強い地域においては実用的ではない。
【0004】
したがって、染色されていないか、または淡色に染色された軽量の夏物を含めて、衣類の下の皮膚を紫外線から保護する必要がある。染料の種類によっては、濃色に染色された衣料で蔽われている皮膚でも紫外線に対する保護が必要となる場合もありうる。
このような軽量の夏物衣料は通常200g/m以下の密度であり、製造原料の繊維の種類にもよるが、その日光防護率(SPF) の評価は1.5乃至20である。
【0005】
日焼け防止手段(日焼け止めクリームまたは衣類)のSPF評価値は、当該日焼け防止手段を身につけている平均的人間が平均的日光被曝条件下において日焼け症にかかるまでの時間の倍数として定義できる。たとえば、普通の人が標準的露出条件下において通常30分後には日焼け症にかかる場合、SPFの評価が5である日焼け防止手段は、その保護時間(日焼け症にかかるまでの時間)を30分から2時間30分までに延長できる。平均的な日焼け症にかかるまでの時間が最も短い、たとえば、日中の一番熱い時間帯において、平均的色白の肌をもつ人では日焼け罹患までの時間がわずか15分間であるような、特に日差しの強い地域に住む人達にとっては、少なくとも20のSPF価を持つことが軽量の衣料に対して要望される。
たとえば、WO94/4515号明細書から、一般に軽量の繊維材料に特定の紫外線吸収剤を付与することによって、その処理された繊維材料のSPF評価の向上が達成されうることは公知である。しかしながら、これによって達成されるSPF評価の増加は、さほど大きくない。
【0006】
今回、容易に製造することができ、しかもそれによって処理された紡織繊維材料に予測外に大幅に向上されたSPF評価を与える新規化合物が見いだされた。
すなわち、本発明は下記式の化合物を提供する。
【化1】

〔式中、
mは1または2であり、
Aは下記式のものから選択された残基であり、
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

{上記各式中、
Rは、場合によっては1個または2個のC-C アルキル基によって置換されたフェニル、好ましくはトリルまたはキシリルであるか、または1個または2個のC-C18アルコキシ基によって置換されたフェニルであるか、またはRは下記式のいずれかの基であり、
【化7】

XはF、Cl またはNHCH OHであり、
はF、Cl またはNHCH OHであるか、または下記式のいずれかの基であり、
【化8】

(ここにおいて、BとMとは後記の意味を有し、そしてalkyl はアルキルである
)}、
Bは -O- , -NH- または -SO-であり、
Dは下記式のいずれかの基である
【化9】

{ここにおいて、および上記において、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノー、ジ−、トリ−またはテトラ−C-C アルキルアンモニウム、またはC-C アルキル基とC-C ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ置換またはトリ置換されたアンモニウムであり、好ましくはナトリウムである}、あるいはまた、Aが式(5)または(6)の残基である場合には、Dは下記式のいずれかの基でありうる
【化10】

(式中、BとMとは前記の意味を有し、alkyl はアルキルであり、そしてnは0または1である、ただし少なくとも1個のSO M基が存在することを条件とする)か、あるいはまた下記式の基でありうる
【化11】

(式中、X、X およびMは前記の意味を有する)}、ただし下記の化合物は除外される:
(a)Aが式(2)、(3)または(4)の残基であり、Bが -O- であり、そしてDが下記式
【化12】

のいずれかの基である化合物;
(b)4−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物;
(c)2−(2−ヒドロキシ−4−グリシジルオキシ)−4、6−(2、4−ジメチルフェニル)−1、3、5−トリアジン化合物〕。
【0007】
好ましい式(1)の化合物の例は下記式の化合物である:
【化13】

(式中、
Rは前記の意味を有し、
は下記式
【化14】

のいずれかの基である);
【化15】

(式中、D は前記の意味を有する);
【化16】

(式中、D は前記の意味を有する);
【化17】

【化18】

【化19】

(式中、XはFまたはCl であり、
BとMとは前記の有し、alkyl はアルキルであり、そして好ましくは
XがCl 、BがNH、そしてMがNa である);
【化20】

[式中、
nは前記の意味を有する、ただし少なくとも1個のSO M基が存在することを条件とする、
XはFまたはCl であり、
はF、Cl または下記式のいずれかの基である
【化21】

(式中、BとMとは前記の意味を有し、alkyl はアルキルである)];
【化22】

[式中、
各Xは同種であって、FまたはCl であり、
各X は同種であって、F、Cl または下記式のいずれかの基である
【化23】

(式中、BとMとは前記の意味を有し、alkyl はアルキルである)];
【化24】

(式中、Mは前記の意味を有する、ただし好ましくはNa である)。
【0008】
式(1)の化合物は、公知の反応条件下において、式A-(BH)m(式中、A、Bおよびmは前記の意味を有する)の化合物を、mモルの化合物L−D(ここにおいて、Dは前記の意味を有し、そしてLは脱離する基または原子、好ましくはハロゲン原子、特に塩素原子である)と反応させることによって製造することができる。
出発物質のA-(BH)mおよびL−Dは公知化合物であり、容易に入手することができる。
【0009】
さらに、本発明は紡織繊維材料の処理方法を提供する。本発明の処理方法は、当該紡織繊維材料を、該紡織繊維材料の重量を基準にして、0.05乃至3.0重量%の1種またはそれ以上の式(1)の化合物を用いて処理することを特徴とする。
本発明の方法によって処理される紡織繊維は、天然または合成繊維または両者の混合物でありうる。天然繊維の例は、植物性繊維たとえば木綿、ビスコース、亜麻、レーヨン、リネン、好ましくは木綿、ならびに動物性繊維たとえばウール、モヘヤー、カシミヤ、アンゴラ、シルク、好ましくはウールである。合成繊維の例はポリエステル、ポリアミドまたはポリアクリロニトリル繊維である。
本発明の方法によって処理される紡織繊維は、好ましくは200g/m以下の密度を有し、そして前もって濃色に染色されていない繊維である。
【0010】
本発明の方法に使用される式(1)の化合物のいくつかは水に難溶性であり、分散された形態で使用される必要がある。この目的のためには、それらの化合物を適当な分散剤と共に、都合よくは石英球とインペラーとを使用して、1乃至2ミクロンの粒径にまで摩砕すればよい。
【0011】
かかる水に難溶性の式(1)の化合物のための分散剤として、以下のものがあげられる:
・・アルキレンオキシド付加物の酸エステルまたはその塩、たとえばエチレンオキシドの4乃至40モルとフェノールの1モルとの重付加物の酸エステルまたはその塩、エチレンオキシドの6乃至30モルと4−ノニルフェノールの1モルまたはジノニルフェノールの1モル、または特に前もってフェノールの1モルにスチレンの1乃至3モルを付加して製造された化合物1モルとの付加物のリン酸エステル;
・・ポリスチレンスルホナート;
・・脂肪酸タウリド;
・・アルキル化ジフェニルオキシド−モノ−またはジ−スルホナート;
・・ポリカルボン酸エステルのスルホナート;
・・脂肪アミン、脂肪酸アミド、脂肪酸または脂肪アルコール(いずれも8乃至22個の炭素原子を有するもの)に、あるいは三価乃至六価C-C アルカノールに、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの1乃至60モル、好ましくは2乃至30モルを付加した付加生成物を、有機ジカルボン酸または無機多塩基酸によって酸エステルに変換したもの;
・・リグニンスルホナート;
および特に、
・・ホルムアルデヒド縮合物、たとえばリグニンスルホナートおよび/またはフェノールとホルムアルデヒドとの縮合生成物;ホルムアルデヒドと芳香族スルホン酸との縮合物、たとえばジトリルエーテルスルホナートとホルムアルデヒドとの縮合生成物;ナフタレンスルホン酸および/またはナフトール−またはナフチルアミンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物;フェノールスルホン酸および/またはスルホン化ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびフェノールまたはクレゾールとホルムアルデヒドおよび/または尿素との縮合生成物;またはジフェニルオキシド−ジスルホン酸誘導体とホルムアルデヒドとの縮合生成物。
【0012】
使用される式(1)の化合物の種類に応じて、中性、アルカリ性または酸性浴中において処理を実施するのが有利である。本発明の方法は、通常20乃至140℃の温度において、たとえば、その水性浴の沸騰点またはその近辺の温度、たとえば約90℃の温度において実施される。
本発明の方法においては、式(1)の化合物は溶液または有機溶剤中のエマルジョンの形でも使用することができる。たとえば、染色機中におけるいわゆる溶剤染色(パッド・サーモフィックス法)あるいは吸尽染色法を採用することができる。
本発明の方法が繊維加工処理または仕上げ処理と組み合わせられる場合には、そのような組み合わせ処理を、所望のSPF向上が達成される濃度で式(1)剤を含有している適切な安定調合物を使用して実施するのが有利である。
【0013】
場合によっては、後処理によって式(1)の化合物が完全に効果を発揮する。この場合の後処理は、化学処理(たとえば、酸を使用する処理)、熱処理または熱/化学組合せ処理を含む。
多くの場合、式(1)の化合物を助剤または増量剤と混合して使用するのが有利である。たとえば、無水硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム十水和物、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アルカリ金属リン酸塩たとえばオルトリン酸ナトリウムまたはカリウム、ピロリン酸ナトリウムまたはカリウム、またはトリポリリン酸ナトリウムまたはカリウム、あるいはアルカリ金属ケイ酸塩たとえばケイ酸ナトリウムと混合して使用するのが有利である。
本発明の方法においては、式(1)の化合物のほかに、さらに少量部の1種またはそれ以上のアジュバンドを使用することができる。アジュバンドとしては以下のものが例示される。乳化剤、香料、染料、乳白剤、蛍光増白剤、殺菌剤、非イオン界面活性剤、布ケアー成分、特に布柔軟剤、しみ除去成分またはしみ防止成分または防水剤、ゲル化防止剤たとえばアルカリ金属の亜硝酸塩または硝酸塩、特に硝酸ナトリウム、および腐食防止剤たとえばケイ酸ナトリウム。
これらの選択的なアジュバンドのそれぞれの量は、被処理繊維の1重量%を超過すべきではない。
【0014】
本発明の方法は、皮膚の保護をもたらすほかに、さらに本発明によって処理された繊維製品の有効寿命をも延長する。特に、処理された紡織繊維材料の引裂き強度および/または耐光堅牢度が向上される。
したがって、本発明はさらに、紡織繊維材料のSPF評価を向上させる方法をも提供し、本方法の特徴は、該紡織繊維材料の重量を基準にして、0.05乃至3.0重量%の1種またはそれ以上の式(1)の化合物を用いて当該紡織繊維材料を処理することである。
本発明はさらに、本発明の方法によって処理された繊維からつくられた編織物ならびにかかる編織物から製造された衣料品にも関する。
これら編織物および該編織物から製造された衣料品は、通常20およびそれ以上のSPF評価を有する。これに対して、たとえば未処理の木綿は一般的に2乃至4のSPF評価を有するにすぎない。
以下の実施例によって本発明をさらに説明する。
【0015】
実施例1
【化25】

2−(2、4−ジヒドロキシフェニル)−4、6−ジフェニル−1、3、5−トリアジの13.1gを、炭酸カリウムの7.3gおよびエピクロヒドリンの100mlと共に、110℃において5時間攪拌する。この反応混合物を25℃に冷却した後、エタノールの150mlで希釈する。これによって沈殿した生成物を濾別し、洗浄し、80℃において真空乾燥する。しかして上記構造式(101)の化合物を理論値の88.1%に相当する収量で得た。この生成物は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2719
計算値% C 72.53; H 4.82; N 10.57
測定値% C 72.3 ; H 4.9 ; N 10.4
【0016】
実施例2
【化26】

実施例1に記載した方法によって、ただし2−(2、4−ジヒドロキシフェニル)−4、6−ジフェニル−1、3、5−トリアジンの代わりに2−(2、4−ジヒドロキシフェニル)−4、6−ジ(4’−2’−エチルヘキソキシ)フェニル−1、3、5−トリアジンを使用して、上記構造式(102)の化合物を理論値の86.3%に相当する収量で得た。この生成物は下記の重量元素分析を示した:
分析:C4051
計算値% C 73.78; H 7.86; N 6.43
測定値% C 73.3 ; H 8.05; N 6.13
【0017】
実施例3
【化27】

実施例1に記載した方法によって、ただし2−(2、4−ジヒドロキシフェニル)−4、6−ジフェニル−1、3、5−トリアジンの代わりに2−(2、4−ジヒドロキシフェニル)−4、6−ジ(4’−ドデコキシ)フェニル−1、3、5−トリアジンを使用して、上記構造式(103)の化合物を理論値の86.3%に相当する収量で得た。この生成物は下記の重量元素分析を示した:
分析:C4867
計算値% C 75.26; H 8.82; N 5.49
測定値% C 75.1 ; H 8.8 ; N 5.5
【0018】
実施例4
【化28】

実施例1に記載した方法によって、ただし2−(2、4−ジヒドロキシフェニル)−4、6−ジフェニル−1、3、5−トリアジンの代わりに2−(2、4−ジヒドロキシフェニル)−4、6−ジキシリル−1、3、5−トリアジンを使用して、上記構造式(104)の化合物を理論値の85%に相当する収量で得た。この生成物は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2827
計算値% C 74.15; H 6.00; N 9.26
測定値% C 74.3 ; H 6.2 ; N 9.3
式(104)の化合物は公知化合物であり、欧州特許第526399号明細書の実施例6に記載されている。
【0019】
実施例5
【化29】

(A) 2−(2、4−ジヒドロキシフェニル)−4、6−ジフェニル−1、3、5−トリアジンの28.5g,水酸化カリウムの9.4g,クロロアセトアミドの31.2gおよびエタノールの650mlの混合物を、70℃において16時間攪拌する。冷却後、沈殿を濾別し、水洗し、メチルセロソルブから2回再結晶する。
淡いベージュ色の生成物(105a)17.5gを得た。これは理論値の52.5%に相当する。この生成物は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2318
計算値% C 67.73; H 4.66; N 13.74
測定値% C 67.9 ; H 4.7 ; N 13.6
【化30】

(B)上記化合物(105a)8gを、ジメチルアセトアミドの250ml中において攪拌し、そしてこの混合物をカセイソーダの30%溶液5滴の添加によってアルカリ性にする。36%ホルマリン溶液20mlを添加した後、反応混合物を70℃に加熱し、そしてこの温度において4時間攪拌する。この反応混合物を1.5リットルの水に注ぎ入れ、生じた固体生成物を濾別する。ジオキサンから再結晶した後に、淡黄色の生成物4.8gを得た。この収量は理論値の56%に相当する。この生成物(105b)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2720 ・0.33HO
計算値% C 66.30; H 4.75; N 12.86
測定値% C 66.3 ; H 4.9 ; N 12.7
【0020】
実施例6
【化31】

実施例5に記載した方法によって、ただし2−(2、4−ジヒドロキシフェニル)−4、6−ジフェニル−1、3、5−トリアジンの代わりに2、4−ジヒドロキシベンゾフェノンを使用して、化合物(106)を理論値の56%に相当する収量で得た。この生成物は下記の重量元素分析を示した:
分析:C1615NO・0.55HO
計算値% C 58.4 ; H 4.9 ; N 4.26; HO 2.99
測定値% C 58.4 ; H 5.5 ; N 4.1 ; HO 2.99
【0021】
実施例7
【化32】

下記式の化合物6.3gを60℃の水150mlに溶解し、そしてカセイソーダの30%溶液10滴で処理する。
【化33】

37%ホルムアルデヒド溶液32.4gを滴下し、60乃至65℃において2時間半攪拌した後、塩溶液150mlを添加し、この混合物を10℃に冷却する。反応混合物を濾過して固体生成物7gを得た。この収量は理論値の93%に相当する。
この生成物(107)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C272612Na10 ・1CHOH. 7.5HO
計算値% C 33.47; H 4.93; N 18.00; S 6.87; Na 4.93
測定値% C 33.4 ; H 4.7 ; N 17.5 ; S 6.7 ; Na 5.0
【0022】
実施例8
【化34】

塩化シアヌールの3.4gを、アセトン100mlと水50mlとの混合物中において攪拌する。この混合物を−10℃に冷却し、そして水50ml中の4−アミノスチルベン−2−スルホン酸ナトリウム塩5.5gの溶液を30分間かけて添加し、続いて炭酸ナトリウムの1モル溶液10mlを添加する。
得られた混合物を−5乃至−10℃において2時間攪拌し、そして固体を濾別し、乾燥して、白色の生成物6.8gを得た。この収量は理論値の74%に相当する。
この生成物(108)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C1711Cl Na O S・1.26HO
計算値% C 43.63; H 2.91; N 11.97; S 6.85;Cl 15.15; HO 4.85
測定値% C 43.7 ; H 3.0 ; N 12.0 ; S 6.8 ;Cl 15.0 ; HO 4.85
【0023】
実施例9
【化35】

実施例8に記載した方法にしたがって、ただし4−アミノスチルベン−2−スルホン酸の代わりに4−アミノスチルベン−2、2’−ジスルホン酸ナトリウム塩を使用した。理論値の55%の収量に相当する15.5gの式(109)の化合物を得た。
この化合物(109)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C1710Cl Na S・4.63HO
計算値% C 32.37; H 3.03; N 8.88;S10.17;Cl 11.24; HO 13.22
測定値% C 32.4 ; H 3.0 ; N 8.9 ;S10.0 ;Cl 11.5 ; HO 13.23
【0024】
実施例10
【化36】

(A)実施例8に記載した操作により、濾過工程前に、白色分散物として化合物(108)を製造した。
(B)この分散物に固体の4−アミノ−エチルベンゾエートの3gを添加し、続いて炭酸ナトリウムの1モル溶液10mlを添加した。得られた淡黄色懸濁物を25℃において18時間攪拌し、固体生成物を濾別し、乾燥して、理論値の83%の収量に相当する8.6gの式(110)の白色化合物を得た。
この化合物(110)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2621Cl N Na O S・3.84HO ・ 0.14 NaCl
計算値% C 47.9 ; H 4.4 ;N10.75;S 4.9 ;Cl 6.21 ; HO 10.61
測定値% C 47.9 ; H 4.4 ;N10.8 ;S 4.8 ;Cl 6.5 ; HO 10.76
【0025】
実施例11
【化37】

(A)実施例8に記載した操作により、濾過工程前に、白色分散物として化合物(108)を製造した。
(B)実施例10の(B)に記載した操作をくり返した。ただし4−アミノ−エチルベンゾエートと代わりに4−アミノ−アセトフェノンを使用した。これによって、理論値の49%の収量に相当する4.8gの式(111)の白色化合物を得た
この化合物(111)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2519Cl N Na O S・3.96 HO ・ 0.16 NaCl
計算値% C 48.0 ; H 4.31;N11.2 ;S 5.12;Cl 6.59; HO 11.40
測定値% C 48.0 ; H 4.4 ;N11.3 ;S 5.1 ;Cl 6.4 ; HO 11.42
【0026】
実施例12
【化38】

(A)実施例9に記載した操作により、濾過工程前に、白色分散物として化合物(109)を製造した。
(B)実施例10の(B)に記載した操作により式(109)の化合物を4−アミノ−エチルベンゾエートと反応させて、理論値の78.6%の収量に相当する31.9gの式(112)の黄色化合物を得た。
この化合物(112)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2620Cl N Na・ 6 HO ・ 0.5 NaCl
計算値% C 38.4 ; H 3.94;N 8.6 ;S 7.8 ;Cl 6.5 ; HO 13.28
測定値% C 38.9 ; H 3.9 ;N 9.2 ;S 7.7 ;Cl 6.6 ; HO 12.67
【0027】
実施例13
【化39】

実施例12に記載した操作をくり返した。ただし(B)において、4−アミノ−エチルベンゾエートの代わりに4−アミノ−アセトフェノンを使用した。これによって、理論値の49%の収量に相当する6.3gの化合物(113)を得た

この化合物(113)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2518Cl N Na ・ 4.61HO
計算値% C 41.19; H 3.76;N 9.61;S 8.80;Cl 4.86 ; HO 11.39
測定値% C 41.4 ; H 3.8 ;N 9.7 ;S 8.6 ;Cl 5.3 ; HO 11.39
【0028】
実施例14
【化40】

実施例12に記載した操作をくり返した。ただし(B)において、4−アミノ−エチルベンゾエートの代わりに4−アミノ−ピリミジンを使用した。これによって、理論値の61%の収量に相当する9.2gの化合物(114)を得た。
この化合物(114)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2114Cl N Na ・ 6 HO ・ 0.33NaCl
計算値% C 34.37; H 3.55;N13.37;S 8.7 ;Cl 6.4 ; HO 14.7
測定値% C 34.4 ; H 3.6 ;N13.9 ;S 8.5 ;Cl 6.3 ; HO 15.1
【0029】
実施例15
【化41】

実施例12に記載した操作をくり返した。ただし(B)において、4−アミノ−エチルベンゾエートの代わりにスルファニール酸を使用した。これによって、理論値の57.9%の収量に相当する16.9gの化合物(115)を得た。
この化合物(115)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2515Cl N Na ・ 10.67 HO ・ 3.5 NaCl
計算値% C 25.7 ; H 3.11;N 6.0 ;S 8.22;Cl 13.7 ; HO 16.45
測定値% C 25.7 ; H 3.2 ;N 6.5 ;S 8.5 ;Cl 13.7 ; HO 16.4
【0030】
実施例16
【化42】

実施例12に記載した操作をくり返した。ただし(B)において、4−アミノ−エチルベンゾエートの代わりに2−(4−アミノフェニルスルホニル)−エチル硫酸水素塩を使用した。これによって、理論値の60%の収量に相当する19.5gの化合物(116)を得た。
この化合物(116)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2521Cl N Na12 ・ 8 HO ・ 0.41 NaSO
計算値% C 29.50; H 3.63;N 6.88;S13.86;Cl 3.49 ; HO 14.15
測定値% C 29.5 ; H 3.50;N 7.0 ;S13.7 ;Cl 3.7 ; HO 14.38
【0031】
実施例17
【化43】

実施例8に記載した操作により、塩化シアヌールの18.4gをアセトンの120mlと水100mlとの混合物中において攪拌した。この混合物を−10℃に冷却し、そして水50ml中の4、4’−ジアミノスチルベン−2、2’−ジスルホン酸二ナトリウム塩25.4gの溶液を30分間かけて添加し、続いて炭酸ナトリウムの1モル溶液を添加した。
得られた混合物を−5乃至−10℃において2時間攪拌し、そして固体を濾別し、乾燥して、理論値の67.9%の収量に相当する24.1gの白色生成物(117)を得た。
この化合物(117)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2010Cl Na ・ 5 HO
計算値% C 30.01; H 2.51;N14.00;S 8.01;Cl 17.62;
測定値% C 30.0 ; H 2.6 ;N14.0 ;S 7.8 ;Cl 17.6。
【0032】
実施例18
【化44】

濾過工程の前に、実施例17で得られた式(17)の化合物の白色懸濁物に、実施例10に記載した方法で4−アミノ−エチルベンゾエートを添加した。
これによって、理論値の92%の収量に相当する44.5gの化合物(118
)を得た。
この化合物(118)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C3830Cl10Na10 ・ 6.5 HO・1 NaCl
計算値% C 40.0 ; H 3.77;N12.28;Cl 9.34; HO 10.26
測定値% C 40.0 ; H 3.8 ;N12.3 ;Cl 9.2 ; HO 10.0。
【0033】
実施例19
【化45】

実施例18に記載した操作により、ただし4−アミノ−エチルベンゾエートの代わりに4−アミノ−アセトフェノンを使用して、理論値の94.6%の収量に相当する29.1gの化合物(119)を得た。
この化合物(119)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C3626Cl10Na ・ 16HO ・ 0.6 NaCl
計算値% C 35.15; H 4.71;N11.38;Cl 7.50 ;S 5.20 ; HO 10.26
測定値% C 35.1 ; H 4.8 ;N11.5 ;Cl 7.7 ;S 5.2 ; HO 23.5
【0034】
実施例20
【化46】

実施例18に記載した操作により、ただし4−アミノ−エチルベンゾエートの代わりに2(4−アミノフェニルスルホニル)−エチル硫酸水素塩を使用して、理論値の73.1%の収量に相当する46.2gの化合物(120)を得た。
この化合物(120)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C3630Cl10Na18 ・ 12.05HO ・ 18.2 NaCl
計算値% C 17.10; H 2.14;N 5.53; S7.59 ;Cl 28.33; HO 8.58
測定値% C 17.1 ; H 2.1 ;N 5.6 ; S7.5 ;Cl 28.6 ; HO 8.58
【0035】
実施例21
【化47】

実施例18に記載した操作により、ただし4−アミノ−エチルベンゾエートの代わりに4−アミノピリミジンを使用して、理論値の79%の収量に相当する16.4gの化合物(121)を得た。
この化合物(121)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2618Cl14Na ・7.3HO ・ 0.7 NaCl・1 CHCOCH
計算値% C 33.42; H 3.75;N18.85;Cl 9.20 ; S 6.15
測定値% C 33.3 ; H 3.5 ;N19.0 ;Cl 9.3 ; S 6.1
【0036】
実施例22
【化48】

実施例8に記載した操作により、ただし4−アミノ−スチルベン−2−スルホン酸ナトリウム塩の代わりに、化学量論的必要割合のスルファニール酸と4−アミノエチルベンゾエートとの混合物を使用して、理論値の87%の収量に相当する41gの化合物(122)を得た。
この化合物(122)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C1815Cl N Na O S ・ 3.67 HO
計算値% C 40.19; H 4.19;N13.02;Cl 6.59 ;S 5.96; HO 12.29
測定値% C 40.4 ; H 4.2 ;N13.1 ;Cl 6.59 ;S 6.1 ; HO 12.3
【0037】
実施例23
【化49】

実施例8に記載した操作により、ただし4−アミノ−スチルベン−2−スルホン酸ナトリウム塩の代わりに、化学量論的必要割合のスルファニール酸と4−アミノアセトフェノンとの混合物を使用して、理論値の91%の収量に相当する20.1gの化合物(123)を得た。
この化合物(123)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C1713Cl N Na O S ・ 4 HO・ 0.25NaCl
計算値% C 38.64; H 3.97;N13.24;Cl 8.38 ;S 6.06; HO 13.62
測定値% C 39.1 ; H 4.0 ;N13.5 ;Cl 8.6 ;S 6.0 ; HO 13.31
【0038】
実施例24
【化50】

実施例8に記載した操作により、ただし4−アミノ−スチルベン−2−スルホン酸ナトリウム塩の代わりに、化学量論的必要割合の2−(4−アミノフェニルスルホニル)エチル硫酸水素塩と4−アミノ−エチルベンゾエートとの混合物を使用して、理論値の73%の収量に相当する9.3gの式(124)の化合物を得た。
この化合物(124)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2019Cl N Na O ・ 3.5HO・ 4.5NaCl
計算値% C 25.40; H 2.75;N 7.41;S 6.77; HO 6.60
測定値% C 25.4 ; H 2.6 ;N 7.4 ;S 6.2 ; HO 6.5
【0039】
実施例25
【化51】

実施例8に記載した操作により、ただし4−アミノ−スチルベン−2−スルホン酸ナトリウム塩の代わりに、化学量論的必要割合の2−アミノピリミジンとスルファニール酸との混合物を使用して、理論値の86%の収量に相当する17.2gの式(125)の化合物を得た。
この化合物(125)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C13 Cl N Na O S ・ 4.55HO
計算値% C 32.28; H 3.77;N20.27;S 6.63;Cl 7.33; HO 16.95
測定値% C 32.3 ; H 3.8 ;N20.3 ;S 6.5 ;Cl 7.5 ; HO 16.93
【0040】
実施例26
【化52】

実施例8に記載した操作により、ただし4−アミノ−スチルベン−2−スルホン酸ナトリウム塩の代わりに、化学量論的必要割合の2−(4−アミノフェニルスルホニル)エチル硫酸水素塩と4−アミノアセトフェノンとの混合物を使用して、理論値の83%の収量に相当する8.9gの式(126)の化合物を得た。
この化合物(126)は下記の重量元素分析を示した:
分析:C1817Cl N Na O ・ 3.38HO
計算値% C 36.10; H 4.00;N11.70;S10.71;Cl 5.92; HO 10.17
測定値% C 37.0 ; H 4.1 ;N11.8 ;S10.3 ;Cl 5.8 ; HO 10.18
【0041】
実施例27
【化53】

実施例8と同様に操作を実施して、上記化合物(127)を製造した。この化合物は下記の重量元素分析を示した:
分析:C2018Cl Na O S ・ 1.83HO・ 0.8NaCl
計算値% C 41.31; H 3.78;N 9.64;S 5.51;Cl 11.00; HO 5.68
測定値% C 41.3 ; H 3.7 ;N 9.6 ;S 5.3 ;Cl 11.7 ; HO 6.03
【0042】
実施例28
【化54】

実施例8と同様に操作を実施して、上記化合物(128)を製造した。この化合物は下記の重量元素分析を示した:
分析:C1812Cl Na O S ・ 4 HO・3.35NaCl
計算値% C 29.23; H 2.71;N 7.58;S 4.33;Cl 20.9 ; HO 9.37
測定値% C 29.2 ; H 2.7 ;N 7.6 ;S 4.3 ;Cl 17.3 ; HO 9.76
【0043】
実施例29
【化55】

実施例18と同様に操作を実施して、上記化合物(129)を製造した。この化合物は下記の重量元素分析を示した:
分析:C3824Cl Na12 ・ 11.69 HO
計算値% C 38.80; H 4.06;N 9.53;S 5.45;Cl 6.03 ; HO 17.90
測定値% C 38.2 ; H 4.0 ;N 9.4 ;S 5.3 ;Cl 6.2 ; HO 17.91
【0044】
実施例30
【化56】

実施例18と同様に操作を実施して、上記化合物(130)を製造した。この化合物は下記の重量元素分析を示した:
分析:C3426Cl10Na ・ 7.60 HO
計算値% C 40.01; H 4.07;N13.72;S 6.28;Cl 6.95 ; HO 13.42
測定値% C 41.1 ; H 3.8 ;N14.3 ;S 5.8 ;Cl 7.5 ; HO 13.41
【0045】
実施例31−33
漂白木綿クレトンの複数の試料を、その木綿基質に活性成分が1重量%の濃度で付与されるように下記成分を含有している水性浴を用いてバジング処理した(絞り率は80%):
40%酢酸 2g/l
実施例1、3または4の生成物 250g/l
実施例1、3、4の生成物は水に不溶性であるので、5%(w/w)水性分散物として添加された。この水性分散物は、脱イオン水中においてガラスビーズの存在下で実施例1、3または4の生成物5%をPluronic F 108( 80%エチレンオキシド含有プロピレングリコール)1%と共に摩砕することによって得られる。
パジングはアルカリ性pH(ソーダによってpH10乃至11に調整)または酸性pH(酢酸によってpH4乃至4.5に調整)において実施した。処理された木綿試料の乾燥は80℃において2分間実施し、続いて170℃において1分間サーモフィックスにかけた。
日光保護率(SPF)は、ウルブリヒトボウル(ulbricht bowl) を具備した二重格子分光光度計を使用して、試料布片を透過した紫外線を測定することによって決定した。SPFの計算は、B.L.DiffeyとJ.RobsonとによりJ.Soc.Cosm.Chem. 40(1989),pp 130-131に記載された方法によって実施した。
処理された木綿試料の洗濯堅牢性を評価するため、下記組成(重量%)の標準ECE洗剤7g/l を含有する水性浴中において各試料を1回、5回または10回洗濯した:
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム 8.0%
獣脂アルコールテトラデカンエチレングリコールエーテル(EO14モル)
2.9%
ナトリウムセッケン 3.5%
トリポリリン酸ナトリウム 43.8%
ケイ酸ナトリウム 7.5%
ケイ酸マグネシウム 1.9%
カルボキシメチルセルロース 1.2%
EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸) 0.2%
硫酸ナトリウム 21.2%
水 100%まで。
洗濯はいずれも60℃において15分間、1:10の浴比で行った。
得られた結果を次の表1に示す。
【表1】

【0046】
実施例34
漂白木綿クレトンの複数の試料を、その木綿基質に活性成分が1重量%の濃度で付与されるように、下記成分を含有している水性浴を用いてバジング処理した(絞り率は80%):
40%酢酸 2g/l
実施例2の生成物 12.5g/l
実施例2の生成物は水に不溶性であるので、100%(w/w)水性分散物として添加された。この水性分散物は、脱イオン水中においてガラスビーズの存在下で実施例2の生成物100%を Pluronic F 108 の1%と共に摩砕することによって得られる。
その他の操作は実施例31乃至33に記載の通りであった。
得られた結果を次の表2に示す。
【表2】

【0047】
実施例35
漂白木綿クレトンの複数の試料を、その木綿基質に活性成分が1重量%の濃度で付与されるように、下記成分を含有している水性浴を用いてバジング処理した(絞り率は80%):
Mg Cl 15g/l
実施例5bの生成物 250g/l
実施例5bの生成物は水に不溶性であるので、5%(w/w)水性分散物として添加された。この水性分散物は、脱イオン水中においてガラスビーズの存在下で実施例5bの生成物5%を Pluronic F 108 の1%と共に摩砕することによって得られる。
その他の操作は実施例31乃至33に記載の通りであった。
得られた結果を次の表3に示す。
【表3】

【0048】
実施例36と37
漂白木綿クレトンの複数の試料を、その木綿基質に、それぞれ木綿基質を基準にして、活性成分が1重量%(実施例5bの生成物)または活性成分が0.2重量%(実施例6の化合物)の濃度で付与されるように、下記成分を含有している水性浴を用いてバジング処理した(絞り率は80%):
NH Cl 5g/l
実施例5bまたは6の生成物 250g/l
実施例5bおよび6の生成物は水に不溶性であるので、いずれも5%(w/w)水性分散物として添加された。この水性分散物は、脱イオン水中においてガラスビーズの存在下で実施例5bまたは6の生成物5%を Pluronic F 108 の1%と共に摩砕することによって得られる。
その他の操作は実施例31乃至33に記載の通りであった。
得られた結果を次の表4に示す。
【表4】

【0049】
実施例38
漂白木綿クレトンの複数の試料を、その木綿基質に活性成分が0.1重量%または0.5重量%の濃度で付与されるように、下記成分を含有している水性浴を用いてバジング処理した(絞り率は80%):
Mg Cl 5g/l
実施例7の生成物 250g/l
実施例7の生成物は水に不溶性であるので、5%(w/w)水性分散物として添加された。この水性分散物は、脱イオン水中においてガラスビーズの存在下で実施例7の生成物5%を Pluronic F 108 の1%と共に摩砕することによって得られる。
その他の操作は実施例31乃至33に記載の通りであった。
得られた結果を次の表5に示す。
【表5】

【0050】
実施例39−51
漂白木綿クレトンの複数の試料を、その木綿基質に活性成分が0.1重量%または0.2重量%の濃度で付与されるように、下記成分を含有している水性浴を用いてバジング処理した(絞り率は80%):
NaSO 10g/l
当該実施例の生成物 50g/l
当該実施例の生成物は水に不溶性であるので、5%(w/w)水性分散物として添加された。この水性分散物は、脱イオン水中においてガラスビーズの存在下で当該実施例の生成物5%を Pluronic F 108 の1%と共に摩砕することによって得られる。
その他の操作は実施例31乃至33に記載の通りであった。
得られた結果を次の表6に示す。
【表6】

【0051】
実施例52−55
漂白木綿クレトンの複数の試料を、その木綿基質に活性成分が0.2重量%の濃度で付与されるように、下記成分を含有している水性浴を用いてバジング処理した(絞り率は80%):
Na HCOH 4g/l
尿素 50g/l
当該実施例の生成物 50g/l
当該実施例の生成物は水に不溶性であるので、5%(w/w)水性分散物として添加された。この水性分散物は、脱イオン水中においてガラスビーズの存在下で当該実施例の生成物5%を Pluronic F 108 の1%と共に摩砕することによって得られる。
その他の操作は、サーモフィックスを130℃において2分間行なった点を除き、実施例31乃至33に記載と同様であった。
得られた結果を次の表7にまとめて示す。
【表7】

表1乃至7の試験結果は、本発明により処理された木綿試料のSPF評価が実質的に向上されていること、および本発明により処理された木綿試料が洗濯に対して堅牢であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物
【化1】

〔式中、
mは1または2であり、
Aは下記式のものから選択された残基であり、
【化2】

【化3】

【化4】

または
【化5】

{上記各式中、
XはF、Cl またはNHCH OHであり、
はF、Cl またはNHCH OHであるか、または下記式のいずれかの基であり、
【化6】

(ここにおいて、BとMとは後記の意味を有し、そしてalkyl はアルキルである)
}、
Bは -O- , -NH- または -SO-であり、
Dは下記式のいずれかの基である
【化7】

{ここにおいて、および上記において、Mは水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノ−、ジ−、トリ−またはテトラ−C-C アルキルアンモニウム、またはC-C アルキル基とC-C ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ置換またはトリ置換されたアンモニウムである]
、あるいはまた、Aが式(5)または(6)の残基である場合には、Dは下記式のいずれかの基でありうる
【化8】

(式中、B、Mおよび alkylは前記の意味を有し、そしてnは0または1である
、ただし少なくとも1個のSO M基が存在することを条件とするか、あるいはまた下記式の基でありうる
【化9】

(式中、X、X およびMは前記の意味を有する)}、ただし下記の化合物は除外される:
Aが式(3)または(4)の残基であり、Bが -O- であり、そしてDが下記式
【化10】

のいずれかの基である場合、
(i)4−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物〕。
【請求項2】
式(1)の化合物が下記式を有する請求項1記載の化合物
【化11】

(式中、D は下記式
【化12】

のいずれかの基である)。
【請求項3】
式(1)の化合物が下記式を有する請求項1記載の化合物
【化13】

(式中、D は請求項2において定義した通りである)。
【請求項4】
式(1)の化合物が下記式を有する請求項1記載の化合物
【化14】

(式中、
XはFまたはCl であり、
B、Mおよび alkylは請求項1において定義した通りである)。
【請求項5】
式(1)の化合物が下記式を有する請求項1記載の化合物
【化15】

(式中、
XはFまたはCl であり、
B、Mおよび alkylは請求項1において定義した通りである)。
【請求項6】
式(1)の化合物が下記式を有する請求項1記載の化合物
【化16】

(式中、XはFまたはCl であり、
BとMは請求項1において定義した通りである)。
【請求項7】
XがCl であり、BがNHであり、そしてMがNa である請求項4乃至6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
式(1)の化合物が下記式を有する請求項1記載の化合物
【化17】

(式中、Mは請求項1において定義した通りである)。
【請求項9】
式A-(BH)m(式中、A、Bおよびmは請求項1において定義した通りである)の化合物を、化合物L−D(式中、Dは請求項1において定義した通りであり、そしてLは脱離する基または原子である)のmモルと反応させる式(1)の化合物の製造方法。
【請求項10】
紡織繊維材料の処理方法において、当該紡織繊維材料を、該紡織繊維材料の重量を基準にして0.05乃至3.0重量%の、1種またはそれ以上の請求項1記載の式(1)の化合物を用いて処理することを特徴とする方法。
【請求項11】
紡織繊維材料のSPF評価を向上させる方法において、当該紡織繊維材料を、該繊維材料の重量を基準にして0.05乃至3.0重量%の、1種またはそれ以上の請求項1記載の式(1)の化合物を用いて処理することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載された方法によって処理された繊維から製造された編織物。

【公開番号】特開2007−186516(P2007−186516A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23782(P2007−23782)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【分割の表示】特願平7−157769の分割
【原出願日】平成7年6月23日(1995.6.23)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】