説明

紫外線放射を用いた水殺菌装置

紫外線放射が、流管10内の水5を殺菌するように用いられる。その場合、流管10は紫外線放射用流体充填光導体に作用し、また、紫外線放射が全内部反射を介して流管を通して伝播する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有毒化合物内の化学的結合物を分解しかつ病原菌を非活性化するために強力な紫外線照射を用いた浄水装置に関する。方法は、空気の浄化を含む任意の大量輸送にも適用されうる。これらの装置は、自然に生じる毒または戦争において使用される生物学的および化学的薬剤から生じる毒を含有する流体を浄化するために適用されうる。
【背景技術】
【0002】
水を殺菌するために紫外線(UV)低圧水銀灯の最初の利用は、1901年フランスのマルセーユにおいてであった。しかし、1955年までは、UV殺菌が携帯水に対してヨーロッパでは広く適用されてはいなかった。その年に、UV殺菌設備がスイス、オーストリア、ノルウェーにおいて装備された。塩素処理中のハロゲン化炭水化物生成の発見に続いて、UV殺菌がそれ以来多くのヨーロッパ諸国で一般化した。
【0003】
1916年8月29日に発行された米国特許第1,196,481号は、水を浄化するために十分な紫外線光線(主として254nm波長)を発生する水銀灯の使用を記載していた。延長された電弧連続使用水銀灯のUV効能によって確立されたこの基本的取組みは、1965年5月4日に発行されたEllnerの米国特許第3,182,193号、1984年11月13日に発行されたMaarschalkerweerdの米国特許第4,482,809号、1991年12月3日に発行されたMoyherの米国特許第5,069,782号、1995年2月28日に発行されたTiedeの米国特許第5,393,419号、2000年8月8日に発行されたAndersonの米国特許第6,099,799号等において多年に亘って改良されてきた。最近技術の多くは、バッフル、UV透明コイル、および制御された乱流の使用を通じてUV投与量均等性を改善すること、所定容積におけるランプ数の増加によって高流量用UV強度を増加すること、ならびにテフロン(登録商標)被覆、ワイパー機構および追加乱流の使用を通じて保守を改善することなどの市場実行可能性に関連された見地によって改善した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のUV水殺菌装置は、放射が水を通過し、反射面に当たり、反射後に水を通過するように、水をUV放射に曝している。反射面は著しい量の放射を吸収する。このような装置の効率を改善すべき長年の要請がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、管の一端を介して水を送りかつ他端から管を通る高強度ランプからの紫外線(UV)エネルギを結合する水またはその他の流体を殺菌するための装置および方法である。水またはその他の流体は、空気間隙が低率の被覆加工として作用する管を包囲した状態で、液体光導体のコアのように作用する。管それ自体は、UV級石英ガラス等の非UV吸収材料から構成される。有利には、全内部反射(TIR)に基づく光導体技術の使用が、すべての入力UV放射が水中で散乱されることを保証する。好ましくは、管は、多角形断面であり、それは光導体内で光束を最少にするために当該技術において知られている。
【0006】
多帯域に対する本発明の実施例は、水吸収係数の広範囲をすべて最高実用効率で効率的に処理する。本発明の一観点に基づいて、これらの帯域の1つは、水が流れかつこれらの帯域の他方がこれらの管と包囲外管との間に画定される管の一部分のみの周りに同心UV管材料によって同心状に画定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1を参照すれば、本発明に基づく紫外線(UV)水殺菌装置の基本的構成が示されている。その装置は、中央光導体として作用する流体入口管10、流体入口管10の下方部分の周りにありかつ同心間隙15を画定する光被覆管20、流体格納容器30、流体出口管50、フラッシュランプ等の高強度UVランプ40を含む。
【0008】
図2を参照すれば、流体格納容器30は、紫外線ミラー31として形成された内面を含む。例えば、流体格納容器30はアルミニウムから構成されてもよく、内面は磨きアルミニウムでもよい。殺菌されるべき水等の流体5が入口端11を通り流体入口管10に入る。流体入口管10は、例えば、UV級石英ガラスから製造されてもよい。
【0009】
流体5は、流体入口管10を通り高強度UVランプ40に向かって移動し、出口端12において流体入口管10を出る。流体5の流れは、流体格納容器30の下端の一部を形成する紫外線(UV)窓下面36に当たる。次に、流体5の流れは、流体格納容器30の上端に配置された流体出口管50に向き直される。
【0010】
流体5は、流体格納容器30内に収容される。流体格納容器30は内側管33を含む。内側管33は、UV級石英ガラスから構成されてもよく、UVミラー31を画定する反射内面を有する外側アルミニウム殻内に収容されてもよい。その場合、空気間隙32が外側殻と内側管33との間に形成される。次いで、外側管30の両端部は、紫外線窓下面36および紫外線窓上面37によって閉じられる。
【0011】
紫外線(UV)水殺菌装置の好ましい向きは垂直であるので、流体5の流れはプラグ流れに近似しかつ流体出口管50の位置が最高点またはその付近にあり、好ましくない気泡を迅速かつ効率的に除去できる。流体5に現れる気泡はUV放射に対する散乱部位を形成し、それにより装置の効率を低下させる。これらのUV散乱部位は、流体格納容器内面からの反射を生じる最適角度よりも小さい角度でUV放射が向けられることになる。紫外線ミラー31は、アルミニウム管から構成されたとき、約86%の反射となる。これらのUV散乱部位なしでは、すべての反射が光導体の全内部反射(TIR)のために無損出になるので、紫外線放射は流体5内でほとんど消散される。
【0012】
図3を参照すれば、光導体100の領域は、水等の流体5、UV級石英ガラス等の流体入口管10、空気間隙または真空間隙等の同心間隙15から形成される。同心間隙15は、光導体100を作動させるために、流体5から液圧的に絶縁されている。光導体の動作は、流体5の屈折率よりも小さい同心間隙の屈折率に基づく。光スペクトラムのUV領域における石英ガラスおよび水の屈折率が、下記の表1に示される。
【0013】
【表1】

【0014】
表1:石英ガラスおよび水の屈折率
表1に示すように、水は、光スペクトラムの紫外線(UV)部分においてUV級石英ガラスとほぼ同じ屈折率を有する。
【0015】
紫外線(UV)放射は、図2に示すように、高強度紫外線ランプ40から伝播され、紫外線入口穴35を通過し、紫外線窓下面36に入る。第1UV光線71は、紫外線窓下面36を出て、屈折によって曲げられ、流体5に入り、第2UV光線72を画定する。第2UV光線72は、流体5に接触している流体入口管10の内面に入射角1で突き当たる。その場合、入射角1は内面13に直角な面に関して測定される。第2UV光線72が流体入口管10の側壁に入ったとき、それは屈折によって曲げられ、新たな内部反射角2で向き直されて、第3UV光線73を画定する。
【0016】
角度2の値は、入射角1および流体5の屈折率、ならびに流体入口管10が構成されているUV級石英ガラス等の材料の関数である。第3UV光線73は流体入口管10の材料を進行し、同心間隙15に接触している流体入口管10の外面に突き当たる。第3UV光線73は流体入口管10の側壁に反射されて、流体入口管10の材料および同心間隙15の屈折率がSnellの法則によって規定されるような一定の条件を満たすとき、第4UV光線74を画定する。同心間隙15の屈折率は、同心間隙に収容されている材料によって、または材料が同心間隙15内に収容されていない場合、真空の屈折率によって規定される。
【0017】
本発明の特徴は、光導体100の領域が流体入口管10の長さの少なくとも一部に対して存在することである。したがって、入射角2が流体5、流体入口管10が構成される材料、および同心間隙15の屈折率に基づいて所定の範囲に限定されることが要求される。本発明の好適実施例においては、流体入口管10はUV級石英ガラスから構成され、殺菌されるべき流体5は水であり、同心間隙15は真空を格納する。
【0018】
[変更実施例]
変更実施例は、本発明の精神または範囲から逸脱せずに創作されてもよい。例えば、ここに記載された方法は水の流れだけではなく、呼吸できる空気等の浄化を必要とするその他の流体にも適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例に基づく紫外線放射(UV)を用いた水殺菌装置を示す。
【図2】図1のUV殺菌装置の断面図を示す。
【図3】図1のUV殺菌装置内の光導体照射帯域を示し、紫外線放射が全内部反射(TIR)を用いていかにして収容されるかを示す。
【符号の説明】
【0020】
5 (殺菌されるべき)流体
10 流体入口管
11 入口端(流体入口管)
12 出口端(流体入口管)
13 内面(流体入口管)
14 外面(流体入口管)
15 同心間隙(入口管と光被覆管との間)
20 光被覆管
30 流体格納容器
31 紫外線ミラー(流体格納容器内面)
32 空気間隙(流体格納容器)
33 (流体格納容器の)内側管
35 紫外線入口穴
36 紫外線窓下面
37 紫外線窓上面
40 高強度紫外線ランプ
50 流体出口管
71 (紫外線窓下面を出る)第1UV光線
72 (流体を出る)第2UV光線
73 (流体入口管内面に入る)第3UV光線
74 (流体入口管内面を出る)第4UV光線
75 (流体に入る)第5UV光線
100 (流体、流体入口管、および同心間隙から形成された)光導体
1 入射角(流体入口管内面における屈折)
2 内部反射角(流体入口管外面における反射)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を殺菌する装置であって、
壁、少なくとも1つの入口、少なくとも1つの出口、光透過窓を有していて、流体が前記入口から入り前記出口から出るチャンバと、
前記窓に隣接して配置されていて、紫外線(UV)放射を前記チャンバに伝播させる紫外線放射源とを備え、
前記紫外線放射が全内部反射を介して前記チャンバを通して実質的に案内され、
前記チャンバは内側透過管を備え、該内側透過管はそこから所定の間隙で離間された外側格納容器によって包囲され、ならびに
前記内側透過管および間隙が前記チャンバの壁を画定する、
流体殺菌装置。
【請求項2】
前記流体は電磁スペクトルの紫外線領域においてn1の屈折率を有し、
前記壁は電磁スペクトルの紫外線領域においてn2の正味屈折率を有し、ならびに
前記n2が前記n1よりも小さい、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外側格納容器は金属からなり、内側反射壁面が前記内側透過管を包囲する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記内側反射壁面は前記全内部反射との干渉を回避するのに十分な距離で前記内側透過管から離間され、前記内側反射壁面は前記内側透過管壁を逃げる任意の紫外線放射を前記内側透過管へ実質的に反射して戻す、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記内側透過管はUV級石英ガラスからなる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記間隙は真空を備えている、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記間隙は流体を包囲して、前記透過管内の流体の屈折率よりも小さい屈折率を保証する、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記間隙内の流体は空気である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
流体を殺菌する装置であって、
壁、少なくとも1つの入口、少なくとも1つの出口、光透過窓を有していて、流体が前記入口から入り前記出口から出るチャンバと、ならびに
前記窓に隣接して配置されていて、紫外線(UV)放射を前記チャンバに伝播させる紫外線放射源とを備え、
前記紫外線放射が全内部反射を介して前記チャンバを通して実質的に案内され、
前記チャンバは中空螺旋コイルを備えている、
流体殺菌装置。
【請求項10】
前記コイルは、5:1よりも大きい曲げ半径対断面平均半径比を有している、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記紫外線放射源からの放射が非UV吸収結合プリズムを介して前記コイルに結合される、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
携帯浄水装置であって、
未処理水を受け入れるための入口を有する容器と、および
紫外線処理水を供給するための別個の出口とを備え、
紫外線放射が全内部反射を介して前記水に実質的に相互作用する、
携帯浄水装置。
【請求項13】
前記容器用キャップをさらに備え、前記コイル状にされた管材料が前記キャップ内に配置されている、請求項12に記載の浄水装置。
【請求項14】
水が前記容器から沈殿物フィルタを通り前記コイル状にされた管材料に入る、請求項13に記載の浄水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−503347(P2008−503347A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518227(P2007−518227)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/022031
【国際公開番号】WO2006/002222
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】