紫外線照射装置並びにそれを用いた便器構造及び浴槽構造
【課題】殺菌等の作用をより十分に発揮可能な紫外線照射装置並びにその紫外線照射装置を好適に用いた便器構造及び浴槽構造を提供する。
【解決手段】紫外線照射装置10は、紫外線を照射可能な紫外線LED3と、この紫外線LED3と一体に紫外線を透光可能な透光性材料によって形成され、紫外線LED3が照射する紫外線が内部に入射され、かつ紫外線を外部に出射可能な出射部5aが少なくとも一部に形成された透光性部材5と、出射部5aの表面に形成され、紫外線を透光可能であるとともに光触媒を含む防汚層7とを備えている。
【解決手段】紫外線照射装置10は、紫外線を照射可能な紫外線LED3と、この紫外線LED3と一体に紫外線を透光可能な透光性材料によって形成され、紫外線LED3が照射する紫外線が内部に入射され、かつ紫外線を外部に出射可能な出射部5aが少なくとも一部に形成された透光性部材5と、出射部5aの表面に形成され、紫外線を透光可能であるとともに光触媒を含む防汚層7とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置並びにそれを用いた便器構造及び浴槽構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の紫外線照射装置が開示されている。この紫外線照射装置は、紫外線を照射可能な紫外線ランプ等の紫外線光源と、この紫外線光源と一体に形成された光ファイバとからなるものである。光ファイバは、紫外線を透光可能なコアと、コアの表面に形成され、コアよりも低い屈折率のクラッドとからなる。コアの内部には紫外線光源が照射する紫外線が入射されるようになっている。クラッドにはコアの一部を露出させる出射部が形成されており、クラッドは、出射部以外の部分でコアを伝わる紫外線を外部に漏れ難くしているとともに、出射部によってコアを伝わる紫外線を外部に出射する。
【0003】
この紫外線照射装置が家具等の裏や隙間に設けられれば、出射部から出射する紫外線によってその家具等の裏や隙間を殺菌、消毒等することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−13723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の紫外線照射装置は、長期に亘って使用されたり、汚染のひどい場所で使用されたりしたような場合、出射部の表面が有機物によって汚染され、出射部から紫外線を出射し難くなり、殺菌等の作用を十分に行うことができない。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、殺菌等の作用をより十分に発揮可能な紫外線照射装置を提供することを解決すべき課題としている。また、本発明は、その紫外線照射装置を好適に用いた便器構造及び浴槽構造を提供することも解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紫外線照射装置は、紫外線を照射可能な紫外線光源と、該紫外線光源と一体に該紫外線を透光可能な透光性材料によって形成され、該紫外線光源が照射する該紫外線が内部に入射され、かつ該紫外線を外部に出射可能な出射部が少なくとも一部に形成された透光性部材と、該出射部の表面に形成され、該紫外線を透光可能であるとともに光触媒を含む防汚層とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この紫外線照射装置は、種々の場所で用いられる場合、透光性部材の内部に紫外線光源が照射する紫外線が入射され、その透光性部材の少なくとも一部に形成された出射部から出射する紫外線によってそれらの場所を殺菌等することができる。
【0009】
ここで、この紫外線照射装置は出射部の表面に防汚層が形成されている。防汚層は、紫外線を透光可能であるため、透光性部材を伝わる紫外線を出射部から自己内に伝え、外部に出射する。この際、防汚層が光触媒を含むため、出射部の表面側の防汚層が有機物によって汚染されたとしても、光触媒をその紫外線で励起してその有機物を分解することができる。このため、この紫外線照射装置は、出射部から紫外線を安定して出射できる。
【0010】
したがって、この紫外線照射装置は、殺菌等の作用をより十分に発揮可能である。
【0011】
紫外線光源は、紫外線を照射可能なものであればよく、公知の紫外線ランプの他、紫外線LEDを採用することができる。紫外線は光触媒を効果的に励起可能な380nmの波長のものであることが好ましい。紫外線照射装置の小型化、省電力化、耐久性のためには紫外線LEDを採用することが好ましい。
【0012】
透光性部材は紫外線光源と一体に形成されている。透光性部材は、棒状であってもよく、板状であってもよく、リング状であってもよい。透光性部材は、シリコーンゴム、アクリル、ガラス等の紫外線を透光可能な透光性材料によって形成される。透光性部材は、紫外線光源が照射する紫外線が内部に入射され、かつ紫外線を外部に出射可能な出射部が少なくとも一部に形成されている。出射部としては、透光性部材の表面に形成したドット、メッシュ又はストライプ状の粗面を採用することができる。
【0013】
防汚層は出射部の表面に形成される。防汚層は、紫外線を透光可能であるとともに、二酸化チタン等の光触媒を含む。具体的には、紫外線の透光性を損なわない範囲で光触媒を混合したシリコーンゴム、アクリル、ポリカーボネート、エポキシ等により防汚層を形成することができる。
【0014】
出射部は、紫外線光源からの距離が大きくなるほど紫外線を出射し易くされていることが好ましい。紫外線は紫外線光源からの距離が小さい出射部から出射するため、このようにすることによって紫外線光源からの距離が大きな出射部からも好適に紫外線を出射させることができる。
【0015】
透光性部材及び防汚層は変形可能であることが好ましい。この場合、場所に応じて紫外線照射装置を変形させて使用することが可能になる。このため、透光性部材及び防汚層はシリコーンゴムを主成分として形成されていることが好ましい。
【0016】
紫外線光源は電磁給電によって紫外線を照射可能なものであることが好ましい。この場合、紫外線光源に外部からの通電を行うための端子を紫外線照射装置に設ける必要がなくなり、漏電の懸念を払拭することができる。
【0017】
本発明の便器構造は、床面に便器本体を載置した便器構造において、床面と便器本体との間に上記紫外線照射装置が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この便器構造は、上記紫外線照射装置が床面と便器本体との間に設けられているため、床面と便器本体との間を好適に殺菌等することができる。
【0019】
本発明の浴槽構造は、上縁が壁面に当接するように浴槽を施工した浴槽構造において、上縁の内部に上記紫外線照射装置が設けられていることを特徴とする。
【0020】
この浴槽構造は、上記紫外線照射装置が浴槽の上縁の内部に設けられているため、壁面と浴槽の上縁との間を好適に殺菌等することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例1〜7及びこれらを種々の場所に適用した適用例1〜22を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施例1)
実施例1の紫外線照射装置10は、図1に示すように、棒状をなす本体部1と、本体部1の両端に設けられた一対のコネクタ2とからなる。
【0023】
本体部1は、図2にその一部を示すように、透光性部材5と防汚層7とからなり、変形可能なものである。透光性部材5は、シリコーンゴム、アクリル、ガラス、ポリカーボネート、エポキシ等の透光性材料によって形成されている。この透光性部材5の表面には、光触媒である二酸化チタンを混合したシリコーンゴム、アクリル、ポリカーボネート、エポキシ等により防汚層7が形成されている。透光性部材5の一端には凹部5bが形成されている。
【0024】
コネクタ2は、ハウジング2aと、二次コイル2bと、紫外線光源としての紫外線LED3とからなる。ハウジング2aは透光性部材5及び防汚層7の一端部を覆うようにその一端部に固定されている。二次コイル2bは、ハウジング2a内の一端側に収納されている。紫外線LED3は380nmの波長の紫外線を照射可能なものである。また、紫外線LED3は透光性部材5の凹部5bと嵌合しており、透光性部材5と一体に形成されている。紫外線LED3のピン端子3aは二次コイル2bと電気的に接続されている。
【0025】
透光性部材5の表面には、図3に示すように、粗面によって出射部5aが形成されている。出射部5aは、紫外線LED3からの距離が大きくなるほど紫外線を出射し易くされている。例えば、図4に示すように、紫外線LED3からの距離L1において第1出射部5cが形成され、紫外線LED3からの距離が距離L1より大きい距離L2において第2出射部5dが形成され、紫外線LED3からの距離が距離L2より大きい距離L3において第3出射部5eが形成されている。第2出射部5dは第1出射部5cより細かい粗面に形成され、第3出射部5eは第2出射部5dより細かい粗面に形成されている。こうして、第1〜3出射部5c、5d、5eでは、互いに略同量の紫外線が出射されるようになっている。
【0026】
実施例1の紫外線照射装置10は、図2に示すように、プラグ4がコネクタ2に接続されることにより、紫外線LED3が紫外線を照射可能とされる。
【0027】
プラグ4は、ハウジング4aと一次コイル4bとを備える。ハウジング4aは、プラグ4をコネクタ2に接続した状態でハウジング2aの一端側に嵌合するものである。一次コイル4bは、ハウジング4a内に収納され、プラグ4をコネクタ2に接続した状態で二次コイル2bと対向するように位置している。また、一次コイル4bは、一対のリード線4cにより外部の図示しない電源と電気的に接続されている。
【0028】
上記プラグ4をコネクタ2に接続し、図示しない電源によりリード線4cを介して一次コイル4bに通電すれば、紫外線LED3は、電磁給電されて紫外線を照射する。そして、図3に示すように、その紫外線は透光性部材5の内部に入射され、防汚層7を透光しつつ出射部5aから外部に出射される。
【0029】
(実施例2)
実施例2の紫外線照射装置20は、図5にその一部を示すように、本体部1と、本体部1の両端に設けられた一対のコネクタ12とからなる。
【0030】
コネクタ12は、ハウジング12aと、一対の受電端子12bと、実施例1と同様の紫外線光源としての紫外線LED3とからなる。ハウジング12aは透光性部材5及び防汚層7の一端部を覆うようにその一端部に固定されている。受電端子12bは、有底筒状をなし、開口を外部に露出させつつハウジング12aに固定されている。他の構成は実施例1の紫外線照射装置10と同様である。
【0031】
実施例2の紫外線照射装置20は、プラグ14がコネクタ12に接続されることにより、紫外線LED3が紫外線を照射可能である。
【0032】
プラグ14は、プラグ本体14aと、プラグ本体14aに突設された一対のピン端子14bとを備える。プラグ本体14aは、プラグ14をコネクタ12に接続した状態でコネクタ12の一端に当接するものである。ピン端子14bは、プラグ14をコネクタ12に接続した状態で受電端子12bと嵌合し、受電端子12bと電気的に接続されるものである。また、ピン端子14bは、プラグ本体14a内部において一対のリード線14cと電気的に接続され、これらリード線14cにより外部の図示しない電源と電気的に接続されている。
【0033】
上記プラグ14をコネクタ12に接続し、図示しない電源によりリード線14c、ピン端子14b、受電端子12b及びピン端子3aを介して紫外線LED3に通電する。こうして、紫外線LED3は紫外線を照射する。そして、実施例1と同様、その紫外線は透光性部材5の内部に入射され、防汚層7を透光しつつ出射部5aから外部に出射される。
【0034】
(実施例3)
実施例3の紫外線照射装置30は、図6に示すように、リング状をなす本体部6と、本体部6に設けられたコネクタ21とからなる。
【0035】
コネクタ21は、ハウジング21aと、一対の受電端子21bと、紫外線光源としての紫外線LED3とからなる。ハウジング21aは、透光性部材5及び防汚層7の両端部を覆うように固定されている。他の構成は実施例1、2の紫外線照射装置10、20と同様である。
【0036】
実施例3の紫外線照射装置30も、実施例2と同様のプラグ14をコネクタ21に接続し、紫外線LED3に通電することにより、紫外線LED3が紫外線を照射する。そして、その紫外線は透光性部材5の内部に入射され、防汚層7を透光しつつ出射部から外部に出射される。
【0037】
以下、紫外線照射装置10、20、30を用いた便器構造及び浴槽構造等について説明する。
【0038】
(適用例1)
図8に示すように、上記紫外線照射装置10、20、30は、床面Fに便器本体50を載置した便器構造において、床面Fと便器本体50との間に設けられ得る。なお、便器本体50には便座52、便蓋53等が設けられている。
【0039】
この場合、図9に示すように、紫外線照射装置10、20、30を便器本体50の下面50aに設けられる。この際、紫外線照射装置10、20、30は、透光性部材5及び防汚層7が変形可能であるため、好適に床面Fと便器本体50との間に設けられる。そして、紫外線を出射部5aから床面Fと便器本体50との間に出射することができる。
【0040】
この際、紫外線照射装置10、20、30の防汚層7は、紫外線を透光可能であるため、透光性部材5を伝わる紫外線を出射部5aから自己内に伝え、外部に出射する。そして、防汚層7が光触媒を含むため、出射部5aの表面側の防汚層7が有機物によって汚染されたとしても、光触媒をその紫外線で励起してその有機物を分解することができる。このため、これらの紫外線照射装置10、20、30は、出射部5aから紫外線を安定して出射できる。
【0041】
特に、紫外線照射装置10、20、30の紫外線LED3は380nmの波長の紫外線を照射するため、光触媒を効果的に励起することができる。また、紫外線照射装置10、20、30は、出射部5aは紫外線LED3からの距離が大きくなるほど紫外線を出射し易くされているため、紫外線LED3から遠い出射部5aからも好適に紫外線を出射させることができる。
【0042】
したがって、この便器構造であれば床面Fと便器本体50との間を好適に殺菌等することができる。
【0043】
また、紫外線照射装置10、20、30は、紫外線光源として紫外線LED3を採用しているため、小型化、省電力化、耐久性において有利である。
【0044】
また、紫外線照射装置10は、紫外線LED3が電磁給電によって紫外線を照射するため、紫外線LED3に外部からの通電を行うための端子を設ける必要がなくなり、漏電の懸念を払拭することができる。
【0045】
(適用例2)
図10に示すように、上記紫外線照射装置10、20、30は、上縁60aが壁面Wに当接するように浴槽60を施工した浴槽構造において、上縁60aの内部に設けられ得る。
【0046】
この場合、紫外線は壁面Wと浴槽60の上縁60aとの間に出射され得る。したがって、この浴槽構造であれば、壁面Wと浴槽60の上縁60aとの間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0047】
(適用例3)
図11に示すように、上記紫外線照射装置10、20、30は、洋風便器70の便蓋71の裏面にも設けられ得る。なお、洋風便器70は便器本体73、便座72、便蓋71等を備える。
【0048】
この場合、図12(a)に示すように、紫外線は便蓋71と便器本体73の便鉢との間に出射される。このため、便蓋71と便器本体73の便鉢との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0049】
(適用例4)
適用例3と同様の構成において、図12(b)に示すように、ミラー74が便蓋71の裏面に延設されている場合、便蓋71と便座72との間も好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0050】
(適用例5)
図13に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、便器本体73のリム73aの下面にも設けられ得る。なお、リム73aとしては、図(a)に示すように、リム73a内に通水路を有するものと、図(b)に示すように、通水路を有さないものとがあり得る。
【0051】
この場合も、紫外線は便器本体73内のリム73aの下側等に出射され、便器本体73の便鉢を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0052】
(適用例6)
図14に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、洋風便器80の便器洗浄タンク81にも設けられ得る。便器洗浄タンク81は、便器本体73の後部に載置されるともに陶磁器製のタンク本体85と蓋86とからなる。
【0053】
紫外線照射装置10、20、30をタンク本体85内に設けることにより、便器洗浄タンク81内の水を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0054】
(適用例7)
図15に示すように、洋風便器80の便器洗浄タンク81において、紫外線照射装置10、20、30は、タンク本体85内の上縁の内側や蓋86の内面にも設けられ得る。
【0055】
これらの場合、タンク本体85と蓋86との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0056】
(適用例8)
図16に示すように、紫外線照射装置10、20は、カウンタ100の下面にも設けられ得る。このカウンタ100は板状をなし、屋内の壁面WにL字部材100aによって固定されている。
【0057】
この場合、図(a)に示すように、紫外線照射装置10、20をカウンタ100の下面における壁面Wから遠い側に設ければ、壁面W及びカウンタ100の下面を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0058】
(適用例9)
また、適用例8において、図(b)に示すように、紫外線照射装置10、20をカウンタ100の下面における壁面Wに近い側に設ければ、屋内及びカウンタ100の下面を好適に殺菌等することもできる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0059】
(実施例4、適用例10)
図17に示すように、カウンタ自体を紫外線照射装置100にすることも可能である。紫外線照射装置100は下面側に出射部5aを有することが好ましい。
【0060】
この場合、紫外線LED3が紫外線を照射すれば、その紫外線が透光性部材5に入射されて防汚層7を透光しつつ出射部5aから壁面W及び屋内に出射される。このため、壁面W、屋内及び紫外線照射装置100の下面を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0061】
(適用例11)
図18に示すように、紫外線照射装置10、20は手摺り120にも設けられ得る。
【0062】
この場合、図(b)に示すように、紫外線照射装置10、20を手摺り120の壁面W側に設ければ、壁面Wを好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0063】
(適用例12)
手摺り120と同様の構成を有するタオル掛けに紫外線照射装置10、20を設けることも可能である。
【0064】
この場合、タオル掛けに掛けられたタオル及び壁面Wを好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0065】
(適用例13)
紫外線照射装置10、20、30は、図19(a)に示すタオル掛け130にも設けられ得る。このタオル掛け130は、リング部130aと、壁面Wに固定されてリング部130aを保持するための保持部130bとからなる。
【0066】
紫外線照射装置10、20、30をリング部130aとして用いれば、リング部130aに掛けられるタオル及び壁面Wを好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0067】
(実施例5、適用例14)
適用例12のタオル掛け130において、保持部自体を紫外線照射装置130bとすることができる。紫外線照射装置130bは全周に出射部5aを有することが好ましい。
【0068】
この場合、図19(b)に示すように、リング部130aに掛けられたタオル及び壁面Wを好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0069】
(適用例15)
図20に示すように、紫外線照射装置10、20、30は浴槽141の風呂蓋140に一体的に設けられ得る。
【0070】
この場合、図21に示すように、紫外線照射装置10、20、30の出射部5aを浴槽141側に向けつつ、紫外線照射装置10、20、30の出射部5a付近以外を風呂蓋140の浴槽141側に嵌め込むように設ければ、出射部5aから出射される紫外線により浴槽141内を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0071】
(適用例16)
図22(a)に示すように、紫外線照射装置10、20、30は洗面器150にも設けられ得る。
【0072】
この場合、図22(b)に示すように、紫外線照射装置10、20、30を洗面器150のスカート部内に設ければ、洗面器150の裏面、排水管及び床面を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0073】
(適用例17)
図23に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、洗面化粧台90にも設けられ得る。洗面化粧台90は、洗面器91、天板94等を備える。
【0074】
この場合、紫外線照射装置10、20、30を天板94の下面に設置することにより、パッキン93及び洗面器91の内面を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0075】
(適用例18)
図24に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、便器本体160の内部にも設けられ得る。
【0076】
この場合、床面と便器本体160との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0077】
(適用例19)
図25に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、床面Fから離れて固定される小便器170のスカート部内に設けることも可能である。
【0078】
この場合、床面Fと小便器170との間を好適に殺菌等することができる。特に、小便器170の下方に位置するタイル40が光触媒を含むものである場合、その光触媒を紫外線によって活性化し、より高い防汚効果を発揮することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0079】
(適用例20)
図26に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、トイレ室に設置する補助部材180にも設けられ得る。補助部材180は、洋風便器181付近に設置され、高齢者や身体障害者が用便時に楽な姿勢をとるためのものである。この補助部材180は、アーム185、背もたれ部186、支持部187等を備える。アーム185は用便時に手を掛けるためのものである。背もたれ部186は用便時に背中をもたれさせるためのものである。支持部187は床面Fから上方に延びてアーム185や背もたれ部186を支持するものである。
【0080】
この場合、紫外線照射装置10、20、30をアーム185の下面に設置することにより、床面と洋風便器181との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。なお、紫外線照射装置10、20、30を背もたれ部186の下端や支持部187に設けてもよい。これらの場合にも同様の効果を奏する。
【0081】
(実施例6、適用例21)
図27及び図28に示すように、洋風便器190に用いられるベースプレート自体を紫外線照射装置191とし得る。ベースプレートは便器本体195に便座193及び便蓋194等からなる便座便蓋装置197を固定するためのものである。
【0082】
この場合、便器本体195と便座便蓋装置197との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0083】
(実施例7、適用例22)
図29に示すように、洋風便器190のボルト自体を紫外線照射装置196とすることもできる。ボルトは、便器本体195に便座便蓋装置197を固定するためのものである。
【0084】
この場合、図27に示すように、便器本体195と便座便蓋装置197との間を好適に殺菌等することができるとともに、便鉢195の後ろ側において、床面と便器本体195との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0085】
以上において、本発明を実施例1〜7及び適用例1〜22に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜7及び適用例1〜22に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、便器構造、浴槽構造、高齢者用又は身体障害者用の補助部材、洗面器、洗面化粧台、カウンタ、手摺り、タオル掛け等の種々のものに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施例1の紫外線照射装置の斜視図である。
【図2】実施例1の紫外線照射装置の要部拡大断面図である。
【図3】実施例1の紫外線照射装置に係り、図2の矢視III−IIIの断面図である。
【図4】実施例1の紫外線照射装置の一部平面図である。
【図5】実施例2の紫外線照射装置の要部拡大断面図である。
【図6】実施例3の紫外線照射装置の斜視図である。
【図7】実施例3の紫外線照射装置の要部拡大断面図である。
【図8】適用例1の便器構造の側面図である。
【図9】適用例1の便器構造の要部拡大断面図である。
【図10】適用例2の浴槽構造の要部断面図である。
【図11】適用例3の便器構造の側面図である。
【図12】図(a)は適用例3の便器構造の要部拡大断面図であり、図(b)は適用例4の便器構造の要部拡大断面図である。
【図13】適用例5の便器構造の要部拡大断面図である。
【図14】適用例6の便器構造の側面図である。
【図15】適用例7の便器構造に係り、便器洗浄タンクの要部斜視図である。
【図16】適用例8、9に係る断面図である。図(a)は適用例8の断面図であり、図(b)は適用例9の断面図である。
【図17】実施例4及び適用例10に係る拡大断面図である。
【図18】適用例11、12に係り、図(a)は手摺りの斜視図、図(b)は手摺り等の拡大断面図である。
【図19】適用例13並びに実施例5及び適用例14に係り、図(a)はタオル掛けの斜視図、図(b)はタオル掛けの要部拡大断面図である。
【図20】適用例15に係る浴槽構造の斜視図である。
【図21】適用例15に係り、風呂蓋の要部拡大断面図である。
【図22】適用例16に係り、図(a)は洗面器の斜視図であり、図(b)は洗面器の要部拡大断面図である。
【図23】適用例17に係り、洗面化粧台の要部断面図である。
【図24】適用例18の便器構造に係り、便器本体の断面図である。
【図25】適用例19の便器構造の斜視図である。
【図26】適用例20に係り、トイレ用の補助部材及び便器本体の斜視図である。
【図27】実施例6、7及び適用例21、22の便器構造に係り、洋風便器の一部分解斜視図である。
【図28】実施例6及び適用例21の便器構造に係り、便器本体等の要部拡大断面図である。
【図29】実施例7及び適用例22の便器構造に係り、ボルトの要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0088】
3…紫外線光源(紫外線LED)
5…透光性部材
5a…出射部
7…防汚層
F…床面
50、73、160、170、195…便器本体(170…小便器)
W…壁面
60、141…浴槽
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置並びにそれを用いた便器構造及び浴槽構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の紫外線照射装置が開示されている。この紫外線照射装置は、紫外線を照射可能な紫外線ランプ等の紫外線光源と、この紫外線光源と一体に形成された光ファイバとからなるものである。光ファイバは、紫外線を透光可能なコアと、コアの表面に形成され、コアよりも低い屈折率のクラッドとからなる。コアの内部には紫外線光源が照射する紫外線が入射されるようになっている。クラッドにはコアの一部を露出させる出射部が形成されており、クラッドは、出射部以外の部分でコアを伝わる紫外線を外部に漏れ難くしているとともに、出射部によってコアを伝わる紫外線を外部に出射する。
【0003】
この紫外線照射装置が家具等の裏や隙間に設けられれば、出射部から出射する紫外線によってその家具等の裏や隙間を殺菌、消毒等することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−13723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の紫外線照射装置は、長期に亘って使用されたり、汚染のひどい場所で使用されたりしたような場合、出射部の表面が有機物によって汚染され、出射部から紫外線を出射し難くなり、殺菌等の作用を十分に行うことができない。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、殺菌等の作用をより十分に発揮可能な紫外線照射装置を提供することを解決すべき課題としている。また、本発明は、その紫外線照射装置を好適に用いた便器構造及び浴槽構造を提供することも解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紫外線照射装置は、紫外線を照射可能な紫外線光源と、該紫外線光源と一体に該紫外線を透光可能な透光性材料によって形成され、該紫外線光源が照射する該紫外線が内部に入射され、かつ該紫外線を外部に出射可能な出射部が少なくとも一部に形成された透光性部材と、該出射部の表面に形成され、該紫外線を透光可能であるとともに光触媒を含む防汚層とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この紫外線照射装置は、種々の場所で用いられる場合、透光性部材の内部に紫外線光源が照射する紫外線が入射され、その透光性部材の少なくとも一部に形成された出射部から出射する紫外線によってそれらの場所を殺菌等することができる。
【0009】
ここで、この紫外線照射装置は出射部の表面に防汚層が形成されている。防汚層は、紫外線を透光可能であるため、透光性部材を伝わる紫外線を出射部から自己内に伝え、外部に出射する。この際、防汚層が光触媒を含むため、出射部の表面側の防汚層が有機物によって汚染されたとしても、光触媒をその紫外線で励起してその有機物を分解することができる。このため、この紫外線照射装置は、出射部から紫外線を安定して出射できる。
【0010】
したがって、この紫外線照射装置は、殺菌等の作用をより十分に発揮可能である。
【0011】
紫外線光源は、紫外線を照射可能なものであればよく、公知の紫外線ランプの他、紫外線LEDを採用することができる。紫外線は光触媒を効果的に励起可能な380nmの波長のものであることが好ましい。紫外線照射装置の小型化、省電力化、耐久性のためには紫外線LEDを採用することが好ましい。
【0012】
透光性部材は紫外線光源と一体に形成されている。透光性部材は、棒状であってもよく、板状であってもよく、リング状であってもよい。透光性部材は、シリコーンゴム、アクリル、ガラス等の紫外線を透光可能な透光性材料によって形成される。透光性部材は、紫外線光源が照射する紫外線が内部に入射され、かつ紫外線を外部に出射可能な出射部が少なくとも一部に形成されている。出射部としては、透光性部材の表面に形成したドット、メッシュ又はストライプ状の粗面を採用することができる。
【0013】
防汚層は出射部の表面に形成される。防汚層は、紫外線を透光可能であるとともに、二酸化チタン等の光触媒を含む。具体的には、紫外線の透光性を損なわない範囲で光触媒を混合したシリコーンゴム、アクリル、ポリカーボネート、エポキシ等により防汚層を形成することができる。
【0014】
出射部は、紫外線光源からの距離が大きくなるほど紫外線を出射し易くされていることが好ましい。紫外線は紫外線光源からの距離が小さい出射部から出射するため、このようにすることによって紫外線光源からの距離が大きな出射部からも好適に紫外線を出射させることができる。
【0015】
透光性部材及び防汚層は変形可能であることが好ましい。この場合、場所に応じて紫外線照射装置を変形させて使用することが可能になる。このため、透光性部材及び防汚層はシリコーンゴムを主成分として形成されていることが好ましい。
【0016】
紫外線光源は電磁給電によって紫外線を照射可能なものであることが好ましい。この場合、紫外線光源に外部からの通電を行うための端子を紫外線照射装置に設ける必要がなくなり、漏電の懸念を払拭することができる。
【0017】
本発明の便器構造は、床面に便器本体を載置した便器構造において、床面と便器本体との間に上記紫外線照射装置が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この便器構造は、上記紫外線照射装置が床面と便器本体との間に設けられているため、床面と便器本体との間を好適に殺菌等することができる。
【0019】
本発明の浴槽構造は、上縁が壁面に当接するように浴槽を施工した浴槽構造において、上縁の内部に上記紫外線照射装置が設けられていることを特徴とする。
【0020】
この浴槽構造は、上記紫外線照射装置が浴槽の上縁の内部に設けられているため、壁面と浴槽の上縁との間を好適に殺菌等することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例1〜7及びこれらを種々の場所に適用した適用例1〜22を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施例1)
実施例1の紫外線照射装置10は、図1に示すように、棒状をなす本体部1と、本体部1の両端に設けられた一対のコネクタ2とからなる。
【0023】
本体部1は、図2にその一部を示すように、透光性部材5と防汚層7とからなり、変形可能なものである。透光性部材5は、シリコーンゴム、アクリル、ガラス、ポリカーボネート、エポキシ等の透光性材料によって形成されている。この透光性部材5の表面には、光触媒である二酸化チタンを混合したシリコーンゴム、アクリル、ポリカーボネート、エポキシ等により防汚層7が形成されている。透光性部材5の一端には凹部5bが形成されている。
【0024】
コネクタ2は、ハウジング2aと、二次コイル2bと、紫外線光源としての紫外線LED3とからなる。ハウジング2aは透光性部材5及び防汚層7の一端部を覆うようにその一端部に固定されている。二次コイル2bは、ハウジング2a内の一端側に収納されている。紫外線LED3は380nmの波長の紫外線を照射可能なものである。また、紫外線LED3は透光性部材5の凹部5bと嵌合しており、透光性部材5と一体に形成されている。紫外線LED3のピン端子3aは二次コイル2bと電気的に接続されている。
【0025】
透光性部材5の表面には、図3に示すように、粗面によって出射部5aが形成されている。出射部5aは、紫外線LED3からの距離が大きくなるほど紫外線を出射し易くされている。例えば、図4に示すように、紫外線LED3からの距離L1において第1出射部5cが形成され、紫外線LED3からの距離が距離L1より大きい距離L2において第2出射部5dが形成され、紫外線LED3からの距離が距離L2より大きい距離L3において第3出射部5eが形成されている。第2出射部5dは第1出射部5cより細かい粗面に形成され、第3出射部5eは第2出射部5dより細かい粗面に形成されている。こうして、第1〜3出射部5c、5d、5eでは、互いに略同量の紫外線が出射されるようになっている。
【0026】
実施例1の紫外線照射装置10は、図2に示すように、プラグ4がコネクタ2に接続されることにより、紫外線LED3が紫外線を照射可能とされる。
【0027】
プラグ4は、ハウジング4aと一次コイル4bとを備える。ハウジング4aは、プラグ4をコネクタ2に接続した状態でハウジング2aの一端側に嵌合するものである。一次コイル4bは、ハウジング4a内に収納され、プラグ4をコネクタ2に接続した状態で二次コイル2bと対向するように位置している。また、一次コイル4bは、一対のリード線4cにより外部の図示しない電源と電気的に接続されている。
【0028】
上記プラグ4をコネクタ2に接続し、図示しない電源によりリード線4cを介して一次コイル4bに通電すれば、紫外線LED3は、電磁給電されて紫外線を照射する。そして、図3に示すように、その紫外線は透光性部材5の内部に入射され、防汚層7を透光しつつ出射部5aから外部に出射される。
【0029】
(実施例2)
実施例2の紫外線照射装置20は、図5にその一部を示すように、本体部1と、本体部1の両端に設けられた一対のコネクタ12とからなる。
【0030】
コネクタ12は、ハウジング12aと、一対の受電端子12bと、実施例1と同様の紫外線光源としての紫外線LED3とからなる。ハウジング12aは透光性部材5及び防汚層7の一端部を覆うようにその一端部に固定されている。受電端子12bは、有底筒状をなし、開口を外部に露出させつつハウジング12aに固定されている。他の構成は実施例1の紫外線照射装置10と同様である。
【0031】
実施例2の紫外線照射装置20は、プラグ14がコネクタ12に接続されることにより、紫外線LED3が紫外線を照射可能である。
【0032】
プラグ14は、プラグ本体14aと、プラグ本体14aに突設された一対のピン端子14bとを備える。プラグ本体14aは、プラグ14をコネクタ12に接続した状態でコネクタ12の一端に当接するものである。ピン端子14bは、プラグ14をコネクタ12に接続した状態で受電端子12bと嵌合し、受電端子12bと電気的に接続されるものである。また、ピン端子14bは、プラグ本体14a内部において一対のリード線14cと電気的に接続され、これらリード線14cにより外部の図示しない電源と電気的に接続されている。
【0033】
上記プラグ14をコネクタ12に接続し、図示しない電源によりリード線14c、ピン端子14b、受電端子12b及びピン端子3aを介して紫外線LED3に通電する。こうして、紫外線LED3は紫外線を照射する。そして、実施例1と同様、その紫外線は透光性部材5の内部に入射され、防汚層7を透光しつつ出射部5aから外部に出射される。
【0034】
(実施例3)
実施例3の紫外線照射装置30は、図6に示すように、リング状をなす本体部6と、本体部6に設けられたコネクタ21とからなる。
【0035】
コネクタ21は、ハウジング21aと、一対の受電端子21bと、紫外線光源としての紫外線LED3とからなる。ハウジング21aは、透光性部材5及び防汚層7の両端部を覆うように固定されている。他の構成は実施例1、2の紫外線照射装置10、20と同様である。
【0036】
実施例3の紫外線照射装置30も、実施例2と同様のプラグ14をコネクタ21に接続し、紫外線LED3に通電することにより、紫外線LED3が紫外線を照射する。そして、その紫外線は透光性部材5の内部に入射され、防汚層7を透光しつつ出射部から外部に出射される。
【0037】
以下、紫外線照射装置10、20、30を用いた便器構造及び浴槽構造等について説明する。
【0038】
(適用例1)
図8に示すように、上記紫外線照射装置10、20、30は、床面Fに便器本体50を載置した便器構造において、床面Fと便器本体50との間に設けられ得る。なお、便器本体50には便座52、便蓋53等が設けられている。
【0039】
この場合、図9に示すように、紫外線照射装置10、20、30を便器本体50の下面50aに設けられる。この際、紫外線照射装置10、20、30は、透光性部材5及び防汚層7が変形可能であるため、好適に床面Fと便器本体50との間に設けられる。そして、紫外線を出射部5aから床面Fと便器本体50との間に出射することができる。
【0040】
この際、紫外線照射装置10、20、30の防汚層7は、紫外線を透光可能であるため、透光性部材5を伝わる紫外線を出射部5aから自己内に伝え、外部に出射する。そして、防汚層7が光触媒を含むため、出射部5aの表面側の防汚層7が有機物によって汚染されたとしても、光触媒をその紫外線で励起してその有機物を分解することができる。このため、これらの紫外線照射装置10、20、30は、出射部5aから紫外線を安定して出射できる。
【0041】
特に、紫外線照射装置10、20、30の紫外線LED3は380nmの波長の紫外線を照射するため、光触媒を効果的に励起することができる。また、紫外線照射装置10、20、30は、出射部5aは紫外線LED3からの距離が大きくなるほど紫外線を出射し易くされているため、紫外線LED3から遠い出射部5aからも好適に紫外線を出射させることができる。
【0042】
したがって、この便器構造であれば床面Fと便器本体50との間を好適に殺菌等することができる。
【0043】
また、紫外線照射装置10、20、30は、紫外線光源として紫外線LED3を採用しているため、小型化、省電力化、耐久性において有利である。
【0044】
また、紫外線照射装置10は、紫外線LED3が電磁給電によって紫外線を照射するため、紫外線LED3に外部からの通電を行うための端子を設ける必要がなくなり、漏電の懸念を払拭することができる。
【0045】
(適用例2)
図10に示すように、上記紫外線照射装置10、20、30は、上縁60aが壁面Wに当接するように浴槽60を施工した浴槽構造において、上縁60aの内部に設けられ得る。
【0046】
この場合、紫外線は壁面Wと浴槽60の上縁60aとの間に出射され得る。したがって、この浴槽構造であれば、壁面Wと浴槽60の上縁60aとの間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0047】
(適用例3)
図11に示すように、上記紫外線照射装置10、20、30は、洋風便器70の便蓋71の裏面にも設けられ得る。なお、洋風便器70は便器本体73、便座72、便蓋71等を備える。
【0048】
この場合、図12(a)に示すように、紫外線は便蓋71と便器本体73の便鉢との間に出射される。このため、便蓋71と便器本体73の便鉢との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0049】
(適用例4)
適用例3と同様の構成において、図12(b)に示すように、ミラー74が便蓋71の裏面に延設されている場合、便蓋71と便座72との間も好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0050】
(適用例5)
図13に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、便器本体73のリム73aの下面にも設けられ得る。なお、リム73aとしては、図(a)に示すように、リム73a内に通水路を有するものと、図(b)に示すように、通水路を有さないものとがあり得る。
【0051】
この場合も、紫外線は便器本体73内のリム73aの下側等に出射され、便器本体73の便鉢を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0052】
(適用例6)
図14に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、洋風便器80の便器洗浄タンク81にも設けられ得る。便器洗浄タンク81は、便器本体73の後部に載置されるともに陶磁器製のタンク本体85と蓋86とからなる。
【0053】
紫外線照射装置10、20、30をタンク本体85内に設けることにより、便器洗浄タンク81内の水を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0054】
(適用例7)
図15に示すように、洋風便器80の便器洗浄タンク81において、紫外線照射装置10、20、30は、タンク本体85内の上縁の内側や蓋86の内面にも設けられ得る。
【0055】
これらの場合、タンク本体85と蓋86との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0056】
(適用例8)
図16に示すように、紫外線照射装置10、20は、カウンタ100の下面にも設けられ得る。このカウンタ100は板状をなし、屋内の壁面WにL字部材100aによって固定されている。
【0057】
この場合、図(a)に示すように、紫外線照射装置10、20をカウンタ100の下面における壁面Wから遠い側に設ければ、壁面W及びカウンタ100の下面を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0058】
(適用例9)
また、適用例8において、図(b)に示すように、紫外線照射装置10、20をカウンタ100の下面における壁面Wに近い側に設ければ、屋内及びカウンタ100の下面を好適に殺菌等することもできる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0059】
(実施例4、適用例10)
図17に示すように、カウンタ自体を紫外線照射装置100にすることも可能である。紫外線照射装置100は下面側に出射部5aを有することが好ましい。
【0060】
この場合、紫外線LED3が紫外線を照射すれば、その紫外線が透光性部材5に入射されて防汚層7を透光しつつ出射部5aから壁面W及び屋内に出射される。このため、壁面W、屋内及び紫外線照射装置100の下面を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0061】
(適用例11)
図18に示すように、紫外線照射装置10、20は手摺り120にも設けられ得る。
【0062】
この場合、図(b)に示すように、紫外線照射装置10、20を手摺り120の壁面W側に設ければ、壁面Wを好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0063】
(適用例12)
手摺り120と同様の構成を有するタオル掛けに紫外線照射装置10、20を設けることも可能である。
【0064】
この場合、タオル掛けに掛けられたタオル及び壁面Wを好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0065】
(適用例13)
紫外線照射装置10、20、30は、図19(a)に示すタオル掛け130にも設けられ得る。このタオル掛け130は、リング部130aと、壁面Wに固定されてリング部130aを保持するための保持部130bとからなる。
【0066】
紫外線照射装置10、20、30をリング部130aとして用いれば、リング部130aに掛けられるタオル及び壁面Wを好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0067】
(実施例5、適用例14)
適用例12のタオル掛け130において、保持部自体を紫外線照射装置130bとすることができる。紫外線照射装置130bは全周に出射部5aを有することが好ましい。
【0068】
この場合、図19(b)に示すように、リング部130aに掛けられたタオル及び壁面Wを好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0069】
(適用例15)
図20に示すように、紫外線照射装置10、20、30は浴槽141の風呂蓋140に一体的に設けられ得る。
【0070】
この場合、図21に示すように、紫外線照射装置10、20、30の出射部5aを浴槽141側に向けつつ、紫外線照射装置10、20、30の出射部5a付近以外を風呂蓋140の浴槽141側に嵌め込むように設ければ、出射部5aから出射される紫外線により浴槽141内を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0071】
(適用例16)
図22(a)に示すように、紫外線照射装置10、20、30は洗面器150にも設けられ得る。
【0072】
この場合、図22(b)に示すように、紫外線照射装置10、20、30を洗面器150のスカート部内に設ければ、洗面器150の裏面、排水管及び床面を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0073】
(適用例17)
図23に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、洗面化粧台90にも設けられ得る。洗面化粧台90は、洗面器91、天板94等を備える。
【0074】
この場合、紫外線照射装置10、20、30を天板94の下面に設置することにより、パッキン93及び洗面器91の内面を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0075】
(適用例18)
図24に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、便器本体160の内部にも設けられ得る。
【0076】
この場合、床面と便器本体160との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0077】
(適用例19)
図25に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、床面Fから離れて固定される小便器170のスカート部内に設けることも可能である。
【0078】
この場合、床面Fと小便器170との間を好適に殺菌等することができる。特に、小便器170の下方に位置するタイル40が光触媒を含むものである場合、その光触媒を紫外線によって活性化し、より高い防汚効果を発揮することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0079】
(適用例20)
図26に示すように、紫外線照射装置10、20、30は、トイレ室に設置する補助部材180にも設けられ得る。補助部材180は、洋風便器181付近に設置され、高齢者や身体障害者が用便時に楽な姿勢をとるためのものである。この補助部材180は、アーム185、背もたれ部186、支持部187等を備える。アーム185は用便時に手を掛けるためのものである。背もたれ部186は用便時に背中をもたれさせるためのものである。支持部187は床面Fから上方に延びてアーム185や背もたれ部186を支持するものである。
【0080】
この場合、紫外線照射装置10、20、30をアーム185の下面に設置することにより、床面と洋風便器181との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。なお、紫外線照射装置10、20、30を背もたれ部186の下端や支持部187に設けてもよい。これらの場合にも同様の効果を奏する。
【0081】
(実施例6、適用例21)
図27及び図28に示すように、洋風便器190に用いられるベースプレート自体を紫外線照射装置191とし得る。ベースプレートは便器本体195に便座193及び便蓋194等からなる便座便蓋装置197を固定するためのものである。
【0082】
この場合、便器本体195と便座便蓋装置197との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0083】
(実施例7、適用例22)
図29に示すように、洋風便器190のボルト自体を紫外線照射装置196とすることもできる。ボルトは、便器本体195に便座便蓋装置197を固定するためのものである。
【0084】
この場合、図27に示すように、便器本体195と便座便蓋装置197との間を好適に殺菌等することができるとともに、便鉢195の後ろ側において、床面と便器本体195との間を好適に殺菌等することができる。他の作用効果は適用例1と同様である。
【0085】
以上において、本発明を実施例1〜7及び適用例1〜22に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜7及び適用例1〜22に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、便器構造、浴槽構造、高齢者用又は身体障害者用の補助部材、洗面器、洗面化粧台、カウンタ、手摺り、タオル掛け等の種々のものに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施例1の紫外線照射装置の斜視図である。
【図2】実施例1の紫外線照射装置の要部拡大断面図である。
【図3】実施例1の紫外線照射装置に係り、図2の矢視III−IIIの断面図である。
【図4】実施例1の紫外線照射装置の一部平面図である。
【図5】実施例2の紫外線照射装置の要部拡大断面図である。
【図6】実施例3の紫外線照射装置の斜視図である。
【図7】実施例3の紫外線照射装置の要部拡大断面図である。
【図8】適用例1の便器構造の側面図である。
【図9】適用例1の便器構造の要部拡大断面図である。
【図10】適用例2の浴槽構造の要部断面図である。
【図11】適用例3の便器構造の側面図である。
【図12】図(a)は適用例3の便器構造の要部拡大断面図であり、図(b)は適用例4の便器構造の要部拡大断面図である。
【図13】適用例5の便器構造の要部拡大断面図である。
【図14】適用例6の便器構造の側面図である。
【図15】適用例7の便器構造に係り、便器洗浄タンクの要部斜視図である。
【図16】適用例8、9に係る断面図である。図(a)は適用例8の断面図であり、図(b)は適用例9の断面図である。
【図17】実施例4及び適用例10に係る拡大断面図である。
【図18】適用例11、12に係り、図(a)は手摺りの斜視図、図(b)は手摺り等の拡大断面図である。
【図19】適用例13並びに実施例5及び適用例14に係り、図(a)はタオル掛けの斜視図、図(b)はタオル掛けの要部拡大断面図である。
【図20】適用例15に係る浴槽構造の斜視図である。
【図21】適用例15に係り、風呂蓋の要部拡大断面図である。
【図22】適用例16に係り、図(a)は洗面器の斜視図であり、図(b)は洗面器の要部拡大断面図である。
【図23】適用例17に係り、洗面化粧台の要部断面図である。
【図24】適用例18の便器構造に係り、便器本体の断面図である。
【図25】適用例19の便器構造の斜視図である。
【図26】適用例20に係り、トイレ用の補助部材及び便器本体の斜視図である。
【図27】実施例6、7及び適用例21、22の便器構造に係り、洋風便器の一部分解斜視図である。
【図28】実施例6及び適用例21の便器構造に係り、便器本体等の要部拡大断面図である。
【図29】実施例7及び適用例22の便器構造に係り、ボルトの要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0088】
3…紫外線光源(紫外線LED)
5…透光性部材
5a…出射部
7…防汚層
F…床面
50、73、160、170、195…便器本体(170…小便器)
W…壁面
60、141…浴槽
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射可能な紫外線光源と、該紫外線光源と一体に該紫外線を透光可能な透光性材料によって形成され、該紫外線光源が照射する該紫外線が内部に入射され、かつ該紫外線を外部に出射可能な出射部が少なくとも一部に形成された透光性部材と、該出射部の表面に形成され、該紫外線を透光可能であるとともに光触媒を含む防汚層とを備えていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記出射部は、前記紫外線光源からの距離が大きくなるほど前記紫外線を出射し易くされている請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記透光性部材及び前記防汚層は変形可能である請求項1又は2記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記紫外線光源は電磁給電によって前記紫外線を照射可能なものである請求項1乃至3のいずれか1項記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
床面に便器本体を載置した便器構造において、
前記床面と前記便器本体との間に請求項1乃至4のいずれか1項記載の紫外線照射装置が設けられていることを特徴とする便器構造。
【請求項6】
上縁が壁面に当接するように浴槽を施工した浴槽構造において、
前記上縁の内部に請求項1乃至4のいずれか1項記載の紫外線照射装置が設けられていることを特徴とする浴槽構造。
【請求項1】
紫外線を照射可能な紫外線光源と、該紫外線光源と一体に該紫外線を透光可能な透光性材料によって形成され、該紫外線光源が照射する該紫外線が内部に入射され、かつ該紫外線を外部に出射可能な出射部が少なくとも一部に形成された透光性部材と、該出射部の表面に形成され、該紫外線を透光可能であるとともに光触媒を含む防汚層とを備えていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記出射部は、前記紫外線光源からの距離が大きくなるほど前記紫外線を出射し易くされている請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記透光性部材及び前記防汚層は変形可能である請求項1又は2記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記紫外線光源は電磁給電によって前記紫外線を照射可能なものである請求項1乃至3のいずれか1項記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
床面に便器本体を載置した便器構造において、
前記床面と前記便器本体との間に請求項1乃至4のいずれか1項記載の紫外線照射装置が設けられていることを特徴とする便器構造。
【請求項6】
上縁が壁面に当接するように浴槽を施工した浴槽構造において、
前記上縁の内部に請求項1乃至4のいずれか1項記載の紫外線照射装置が設けられていることを特徴とする浴槽構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2007−27553(P2007−27553A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210022(P2005−210022)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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