説明

紫外線照射装置

【課題】紫外線放電ランプの長手方向の照度が均一で、配光特性も良好な紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】本発明は、管状の紫外線放電ランプ111と、紫外線放電ランプを収容し、紫外線放電ランプの発光部分から出射される光線を取り出す光線取出し口109を有するランプ収容器110と、ランプ収容器の光線取出し口における紫外線放電ランプの長手方向の中心部分に対応する位置に設置された、光線取出し口に対する面積比で5〜15%の遮光を行う遮光板115とを備えた紫外線照射装置を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線を放電発光させる紫外線放電ランプとして、水銀や金属ハロゲン化物を封入した放電ランプが検討されている。中でも水銀、鉄、スズ、タリウムを封入したメタルハライドランプは、半導体や液晶ディスプレイの接着工程等で多く用いられるようになっている。
【0003】
このようなメタルハライドランプを紫外線の光源として装着する紫外線照射装置は、メタルハライドランプから出射される光線を取り出す光線取出し口を有し、メタルハライドランプをその収納部位から長手方向に引き出すランプ引出し機構を備えたランプ収容器内に該メタルハライドランプを収容し、光線取出し口から放射される紫外線を被照射物に上方から照射する構成である。
【0004】
従来、このような紫外線照射装置にあっては、被照射物の被照射面に均一に照射するように面均斉度を整えるために、装置の照度が高いエリア、すなわちメタルハライドランプにおいてアークが最も太くなる部分であるランプ長手方向中心部に対応する位置に遮光用メッシュ板を挿入し、遮光することによってその照度の高いエリアを他のエリアと同等の照度にし、面均斉度を改善する対策をとっていた。上記従来の紫外線照射装置の構成は、ランプ発光長が1m未満のランプに対しては有効な対策であった。
【0005】
ところが、近年、被照射物の大型化に伴い、該装置に装着される紫外線放電ランプも長尺化が図られ、発光長が1m以上の紫外線放電ランプを用いることが普通となり、それを収容するランプ収容器の光線取出し口も大型化するようになっている。このような大型化されたランプ収容器では、光線取出し口の中央部分に従来のように遮光用メッシュ板を挿入するだけでは対応できない問題点があった。
【特許文献1】特開2006-35436号公報
【特許文献2】特許第3482442号公報
【特許文献3】特開2002-292825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、紫外線放電ランプの長手方向の照度の均一化が図れ、また配光特性も良好な紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、放電媒体が封入され、対峙する一対の電極が設置された光線透過性誘電体製の管状の紫外線放電ランプと、前記紫外線放電ランプを収容し、該紫外線放電ランプの発光部分から出射される光線を取り出す光線取出し口を有するランプ収容器と、前記ランプ収容器の光線取出し口における前記紫外線放電ランプの長手方向の中心部分に対応する位置に設置された、前記光線取出し口に対する面積比で5〜15%の遮光を行う遮光板とを備えた紫外線照射装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の紫外線照射装置によれば、ランプ収容器の光線取出し口における紫外線放電ランプの長手方向の中心部分に対応する位置に、該光線取出し口に対する面積比で5〜15%の遮光を行う遮光板を設置したことで、アークが最も太くなる部分であるランプ長手方向中心部に対応する位置に遮光用メッシュ板を挿入し、遮光することによってその照度の高いエリアを他のエリアと同等の照度にして面均斉度を向上させ、ランプ長手方向の配光特性を改善し、装置全体としての配光特性も向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の1つの実施の形態の紫外線照射装置100を示しており、処理室101内の被照射物10に紫外線を照射するために複数体の紫外線照射ユニット102を並べて設置し、これら複数体の紫外線照射ユニット102の下方に波長380nm以上の波長領域の可視光線、紫外線の透過を抑制するフィルタ103を配置している。
【0010】
図2、図3に示すように、各紫外線照射ユニット102は、下方に光線取出し口109を開口させたランプ収容器110の内部中央部に配置された紫外線放電ランプ111と、ランプ収容器110内で紫外線放電ランプ111の側方及び上方を覆い、当該紫外線放電ランプ111からの紫外線をほぼ平行光線にして下方に反射させるように配置された逆U字断面の反射面を持つ主反射体112と、紫外線放電ランプ111の下方に両側に斜めに配置された補助反射板113とから構成されている。主反射体112には、500nm以上の光線を透過することが可能なコールドミラーが用いられる。補助反射板113には、365nmにおける正反射率90%を有する高輝度アルミニウム板が用いられる。
【0011】
紫外線放電ランプ111は、例えば、紫外線透過性を有する石英管製の発光管の内部にタングステン(W)製等の電極が配置された外管径27mm、肉厚1.5mm、発光長Lが1000mm、ランプ電圧1100V、ランプ電圧値11Aのメタルハライドランプが利用される。発光管の内部には、アルゴン(Ar)ガス等の希ガス、水銀(Hg)、そして波長領域300〜400nmにおいて水銀のスペクトル以外に少なくとも1つの発光を有するハロゲン化金属が封入されている。例えば、発光管の内部に水銀とハロゲン化金属を封入したメタルハライドランプ、気密性容器の内部に水銀と少量の希ガスと共に、ハロゲン化タリウムを封入したタリウムランプを用いることができる。
【0012】
紫外線照射ユニット102のランプ収容器110における光線取出し口109には、紫外線放電ランプ111の長手方向の中心部分に対応する位置に、図4に示す遮光板115が設置してある。この遮光板115には、所定割合の光を通過させるために光通過孔115Aが後述する割合で形成された、365nmにおける正反射率90%を有する高輝度アルミニウム板製であり、光取出し口109の開口面積に対して光通過孔115Aの全面積を除いた遮光板実部の面積(図4において斜線を施した部分の面積)が5%〜15%になるようにこれらの光通過孔115Aを形成してある。
【0013】
本実施の形態の紫外線照射装置によれば、紫外線放電ランプ111を点灯させて被照射物10の位置で照度分布を測定するとき、均斉度が改善され、良好な配光特性が得られる。
【実施例】
【0014】
紫外線放電ランプ111として、タングステン(W)製等の電極が配置された外管径27mm、肉厚1.5mm、発光長Lが1000mm、ランプ電圧1100V、ランプ電圧値11Aのメタルハライドランプを採用し、これに対して、150mm×150mmの上記高輝度アルミニウム製の遮光板をランプ中心軸から155mm離れた位置においてランプ長手方向の中心部分に対応する位置に設置し、その遮光面積と照度均斉度との関係を測定した。つまり、ランプ収容器102の光線取出し口109におけるメタルハライドランプ111の長手方向の中心部分に対応する位置に、光線取出し口109に対する遮光面積が異なる複数種の遮光板115を設置し、被照射物10の位置でランプ長手方向の照度分布を測定し、均斉度を次の式によって求めた。結果は、図5のグラフのようになった。
【0015】
(均斉度)=(最高照度値−最低照度値)/(最高照度値+最低照度値)×100%
この均斉度は数値が低いほど良好となるが、10%以下の均斉度を示したのは開口面積に対する遮光板の遮光面積の面積比が5〜15%のところであった。遮光板を設置しない場合には18.0%の均斉度であった。
【0016】
また、ランプ長手方向の照度分布は、図6に示すものとなった。図6において曲線aは遮光板を設置しない場合の分布、曲線bは上記面積比が10%の場合の分布、曲線cは上記面積比が20%の場合の分布を示している。この図6のグラフからも、面積比10%前後では良好な配光特性を示すことが確認できる。
【0017】
尚、紫外線放電ランプ111と遮光板115との距離によって同じ遮光板115であっても遮光面積比は変化する。すなわち、図7に示すように遮光板115が紫外線放電ランプ111から155mm離れている場合、15%の遮光面積比、また7.5%の遮光面積比を示す遮光板それぞれについて、ランプ111に対する距離を変化させると遮光面積比は図8のように変化するので、設計においては、ランプ111から遮光板115までの距離に応じて上記遮光面積比が5〜15%になるのに適当な数だけ光孔115Aの孔あけ加工を行う必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の1つの実施の形態の紫外線照射装置の断面図。
【図2】上記実施の形態における紫外線照射ユニットのランプ軸に直交する断面での断面図。
【図3】上記実施の形態における紫外線照射ユニットのランプ軸に平行な断面での断面図。
【図4】上記実施の形態において使用する遮光板の平面図。
【図5】上記実施の形態における遮光板の遮光面積比と紫外線照射ユニットの紫外線照度の均斉度の関係を示すグラフ。
【図6】上記実施の形態における遮光板の遮光面積比と紫外線照射ユニットの照度の配光特性との関係を示すグラフ。
【図7】上記実施の形態における紫外線放射ランプと遮光板との距離関係を示す正面図。
【図8】上記実施の形態における紫外線放射ランプと遮光板との距離の変化に対する遮光板の遮光面積比の変化の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0019】
100 紫外線照射装置
102 紫外線照射ユニット
109 光線取出し口
110 筐体
111 紫外線放電ランプ
112 主反射体
113 補助反射板
115 遮光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電媒体が封入された管状の紫外線放電ランプと、
前記紫外線放電ランプを収容し、該紫外線放電ランプの発光部分から出射される光線を取り出す光線取出し口を有するランプ収容器と、
前記ランプ収容器の光線取出し口における前記紫外線放電ランプの長手方向の中心部分に対応する位置に設置された、前記光線取出し口に対する面積比で5〜15%の遮光を行う遮光板とを備えた紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−279396(P2008−279396A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127514(P2007−127514)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】