説明

紫外線照射装置

【課題】無電極ランプが点灯される両端部に配置のランプハウスと内側配置のランプハウスとのRFスクリーンの開口率を変え、配光分布の高均斉度化を図る。
【解決手段】マグネトロン13からマイクロ波を発生させ、バルブ内に紫外線を放射させる放電媒体が封入された無電極ランプ26が配置されたランプハウス25からなる複数の紫外線照射部10A〜10D内に放射する。無電極ランプ26は、マイクロ波が放電媒体を励起させて紫外線を放射し、反射板281,282によりはランプハウス25の照射窓30から、被照射体に照射させるようにした。紫外線照射部10A,10Dの照射窓30に配置されるRFスクリーン31の網目は、紫外線照射部10B,10Cの照射窓30に配置されるRFスクリーン29の網目に比べて、赤外線がカットでき、マイクロ波が漏洩しない範囲内で粗いものを使用した。これにより、配光分布の均斉度の向上を図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ波によって励起を行い、紫外線を発光させる無電極ランプを用いた紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマイクロ波で無電極ランプから紫外線を放射させる紫外線照射装置は、印刷関連でのインク乾燥、半導体関連の微細露光、液晶関連の接着剤硬化等の用途に用いられる。このようなマイクロ波給電式無電極ランプが搭載された紫外線照射装置を、無電極ランプの中心軸が同一線上となるように、複数台連結させることで照射エリアの長尺化が図られている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−53014公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の技術は、無電極ランプの放電媒体をマイクロ波で励起させ紫外線を放射させるランプハウスを、無電極ランプの中心軸が同一線上となるよう複数台配置させ照射エリアの長尺化を図るものである。
【0005】
しかしながら、無電極ランプの中心軸が同一線上となるよう複数台配置させ照射エリアの長尺化した場合の配光分布では、両端に位置する無電極ランプの照度に対し内側に位置する無電極ランプの照度に対し、その値が低くなることからランプ長方向において均斉度が得られない、という問題があった。
【0006】
この発明の目的は、無電極ランプが点灯される両端部に配置のランプハウスと中心部に配置のランプハウスとのRFスクリーンの開口率を変え、各ランプハウスから得られる配光分布に高均斉度化が得られた紫外線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、この発明の紫外線照射装置は、放電媒体が封入され、該放電媒体をマイクロ波で励起させることで紫外線を発光させる無電極ランプと、前記無電極ランプを収納し、外部に紫外線を照射可能とするランプハウスと、前記ランプハウスから照射された紫外線を制限するとともに、前記マイクロ波の漏洩を防止するため、紫外線照射面下に設置されたRFカットフィルタと、から紫外線照射部を構成し、前記無電極ランプの中心軸が同一線上となるよう複数台の紫外線照射部を配置した場合は、配光分布の均斉度均一化のために、前記RFフィルタの網目を設置場所によって変更したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、両端部に配置されているランプハウスと中心部に配置するランプハウスのRFスクリーンの開口率を変えたことにより、各ランプハウスから得られる配光分布に高均斉度を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の紫外線照射装置に関する一実施形態について説明するためのシステム構成図である。
【図2】図1の要部の構成図である。
【図3】図1の要部の構成図である。
【図4】図1の要部の構成図である。
【図5】図2の要部の上面図である。
【図6】図1の要部の底面図である。
【図7】図1の実施形態で用いる無電極ランプの一例について説明するための構成図である。
【図8】この発明の効果について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1〜図9は、この発明の紫外線照射装置に関する第1の実施形態について説明するための、図1は概略的な構成図、図2は図1の要部の構成図、図3は図1の要部の構成図、図4は図1の要部の構成図、図5は図2の要部の上面図、図6は図1の要部の底面図である
図1において、11は、高圧電源12およびこの高圧電源12で駆動してマイクロ波を発生させるマグネトロン13とから構成される点灯装置である。点灯装置11は電磁的にシールド可能な材料で形成された筐体14に収納される。マグネトロン13の出力は、コネクタ15に送られる。
【0012】
図2は、マグネトロン13とコネクタ15間の具体的な構成例を示している。高圧電源12に基づきマグネトロン13のアンテナANTから発せられたマイクロ波は、導波管16、同軸/導波管変換部17を介してコネクタ15に供給されている。
【0013】
図3は、同軸/導波管変換部17の具体的な構成例を示している。同軸/導波管変換部17は、アンテナANTから発生するマイクロ波を、点灯装置11の出力として電磁的なシールドが可能な材料で筒状に形成された導波管16から電磁的に結合されたコネクタ15に送信する。さらに、マイクロ波はコネクタ15から同軸ケーブル18の一端にそれぞれ送信する。コネクタ15は、それぞれ導波管16との接合部に切られたネジにねじ込む操作により、機械的および電磁的な結合が行われる。
【0014】
図1、図2、図4において、同軸ケーブル18を介して送られくるマイクロ波は、コネクタ19を介して分配器20に供給する。分配器20は、導電性の例えばアルミニウム製の箱状の形状をしている。分配器20では、マイクロ波をコネクタ21a〜21dにそれぞれ送信する。
【0015】
さらに、マイクロ波は、コネクタ21a〜21dから対応の同軸ケーブル22a〜22dの一端にそれぞれ送信する。マイクロ波は、同軸ケーブル22a〜22dの他端からコネクタ23、整合器24a〜24dを介して紫外線照射部10A〜10Dにそれぞれ供給する。
【0016】
ここで、10A〜10Dは、それぞれマイクロ波給電により無電極ランプから放射された紫外線を照射する紫外線照射部である。紫外線照射部10A〜10Dは、同じような構成をしており、以下、基本的な紫外線照射部については紫外線照射装置10Aについて説明し、紫外線照射部10B〜10Dについての説明に置き換え、異なる構成部分については紫外線照射部10B〜10Dについても説明する。
【0017】
図1、図2において、紫外線照射部10Bの25は電磁シールド機能を有するランプハウスであり、このランプハウス25内の下方中央部には、無電極ランプ26の長手方向の両端が取り付け配置してある。さらに、ランプハウス25の上部には、ランプハウス25の内部に、例えば、空気を送風することにより、無電極ランプ26等を冷却させる冷却用ファン27が設置されている。
【0018】
無電極ランプ26の背面側には反射板281,282が設置される。また、反射板281,282の反射面側と被照射体(図示せず)との間には、RFスクリーン29がランプハウス25の下方に開けられた照射窓30に設けられている。RFスクリーン29は、照射窓30の全面を覆う格好でランプハウス25の底部にネジ等の固定手段で固定されている。
【0019】
RFスクリーン29は、赤外線をカットするIRカットフィルタ、それに金属線をメッシュ状に編み込んだり、金属板にパンチング加工したりすることにより形成することで、マグネトロン13の例えば2.45GHzの発振周波数によるマイクロ波が漏洩しない程度に、且つ紫外光を十分通過させることが可能な程度の大きさの網目を持つRFスクリーンから構成する。
【0020】
図6にも示すように、4台の紫外線照射部10A〜10Dのうち紫外線照射部10B,10Cは、同じような網目の大きさのを使用する。両端に位置する紫外線照射部10A,10Dは、赤外線がカットでき、マイクロ波が漏洩しない範囲内で、RFスクリーン29より網目の粗いRFスクリーン31を使用している。
【0021】
つまり、両端に位置する紫外線照射部10A,10Dは、これらの間に位置する紫外線照射部10B,10Cに比べて強いマイクロ波を受けることとなる。換言すれば、紫外線照射部10A,10Dの照度は、紫外線照射部10B,10Cよりもやや明るい状態となる。
【0022】
RFスクリーン29は、紫外線照射部10B,10Cの共通のものを使用することが考えられるが、無電極ランプ26の交換を考えると、それぞれ個別のものを使用した場合が得策である。
【0023】
ここで、図7を参照して無電極ランプ26の構成例について説明する。261は、紫外光を透過させる石英ガラス製の長さが240mm程度の円筒形状のバルブである。バルブ261は、外径は例えば17mm程度である。バルブ261の発光空間262内には、不活性ガスとそれに水銀と鉄を主成分とするマイクロ波で放電させる放電媒体を封入する。バルブ261の両端にはバルブ261を支持する支持部263,264がバルブ261と一体的に形成される。
【0024】
図8は、この発明と従来の無電極ランプの中心軸が同一線上となるよう複数台の紫外線照射部を配置させ、照射エリアの長尺化した場合の配光分布の比較をしたものである。このときの各紫外線照射部の無電極ランプに放射させるマイクロ波は、同じ値であることを条件とする。
【0025】
従来の場合は、両端に位置する紫外線照射部の隣の紫外線照射部の無電極ランプがない無電極ランプは、相手との無電極ランプとの照度との差をつけることがないばかりか、ランプハウスによる紫外線の吸収が発生する。
【0026】
このため図8の破線で示すように、配光分布の両端の照度が低下する。この低下分を加味した装置を使用する場合は、その分だけ良好な照射エリアが狭いものとなり、効率の悪いものとなる。
【0027】
この発明の場合は、無電極ランプの中心軸が同一線上となるよう複数台の紫外線照射部のうち、両端に位置する紫外線照射部10A,10DのRFスクリーン31を、紫外線照射部10B,10CのRFスクリーン29より網目の粗いRFスクリーン31を使用している。
【0028】
紫外線照射部10A,10Dのそれぞれ単独で発生させる網目の粗いRFスクリーン31を通過した照度は、紫外線照射部10B,10Cがそれぞれ単独で発生させる網目の細かいRFスクリーン29を通過した照度よりもやや上げることとなる。このため、図8に実線に示すように配光分布の両端の照度低下を抑えることができる。両端の低下分を加味する必要がないことから、その分だけ良好な照射エリアが広くなり、より大きな被照射体に対する紫外線照射への対応が可能となる。
【0029】
この発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、例えば点灯装置は、複数台のランプハウスを共通のものとしたが、ランプハウス毎に個別に設けても構わない。また、各紫外線照射部に個別の点灯装置を設けた場合は、点灯装置の制御を行い無電極ランプの照度を制御し、図8の実線で示す配光分布を形成させる場合でも、同じような効果を奏する。
【0030】
さらに、上記した実施形態では、4台の紫外線照射部を例に挙げたが、3台以上の紫外線照射部の無電極ランプの中心軸が同一線上に配置される場合であれば、この発明の考えを適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
10A〜10D 紫外線照射部
11 点灯装置
12 高圧電源
13 マグネトロン
14 筐体
ANT アンテナ
25 ランプハウス
26 無電極ランプ
27 冷却用ファン
281,282 反射板
29,31 RFスクリーン
30 照射窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電媒体が封入され、該放電媒体をマイクロ波で励起させることで紫外線を発光させる無電極ランプと、
前記無電極ランプを収納し、外部に紫外線を照射可能とするランプハウスと、
前記ランプハウスから照射された紫外線を制限するとともに、前記マイクロ波の漏洩を防止するため、紫外線照射面下に設置されたRFカットフィルタと、から紫外線照射部を構成し、
前記無電極ランプの中心軸が同一線上となるよう複数台の紫外線照射部を配置した場合は、配光分布の均斉度均一化のために、前記RFフィルタの網目を設置場所によって変更したことを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記紫外線照射部は、少なくとも3台の紫外線照射部の前記無電極ランプの中心軸が同一線上に配置されたものであることを特徴とする請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記無電極ランプの中心軸が同一線上となるよう配置された複数台の紫外線照射部は、両端に位置する前記RFフィルタの網目を粗くしたことを特徴とする請求項1または2記載の紫外線照射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−45807(P2011−45807A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194817(P2009−194817)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】