説明

紫外線照射装置

【課題】照射特性の自由度を高くすることができる紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】それぞれ円筒形状であって中心軸同士を互いに平行とした複数本の冷却管2と、各冷却管2に対してそれぞれ1個ずつ取り付けられた光源ブロック1とを備える。各光源ブロック1は、それぞれ、冷却管2を囲む筒形状のベース12と、冷却管2の軸方向に平行に直線状に並べてベース12に固定されそれぞれ紫外線を放射する複数個の発光ダイオード11とを有する。ベース12は、冷却管2周りに回転可能とされている。光源ブロック1が相互に連結される場合に比べ、各光源ブロック1の回転可能な角度を大きくして照射特性の自由度を高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被照射物への紫外線の照射に用いられる紫外線照射装置が提供されている。紫外線照射装置は、例えば印刷機において、紫外線硬化型のインク(いわゆるUVインク)による印字が施された被照射物としての印刷物への紫外線の照射に用いられる。
【0003】
この種の紫外線照射装置は、一般に、被照射物が載置される載置面上の細長い領域(以下、「照射領域」と呼ぶ。)に対して紫外線を照射するものであって、照射領域の長手方向に直交する方向(照射領域の幅方向)に被照射物を搬送するベルトコンベアのような適宜の搬送手段とともに用いられる。
【0004】
さらに、紫外線照射装置として、図4に示すように、それぞれ紫外線を照射する複数個の光源ブロック1をヒンジ状の連結部材4を介して相互に連結したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような紫外線照射装置によれば、各光源ブロック1を回転させることで、照射領域の幅や、照射領域における紫外線の照度のピーク値といった特性(以下、「照射特性」と呼ぶ。)を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−41879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように複数個の光源ブロック1をヒンジ状の連結部材4を介して相互に連結した場合、連結部材4の構造や光源ブロック1同士の干渉などにより、各光源ブロック1の回転可能な範囲が制限されるから、照射特性の自由度が低くなってしまう。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、照射特性の自由度を高くすることができる紫外線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の紫外線照射装置は、それぞれ円柱形状又は円筒形状であって中心軸同士を互いに平行とした複数本の回転軸と、各前記回転軸に対してそれぞれ1個ずつ取り付けられた光源ブロックとを備え、各光源ブロックは、それぞれ、前記回転軸を囲む筒形状のベースと、前記回転軸の軸方向に平行に直線状に並べて前記ベースに固定されてそれぞれ紫外線を放射する複数個の発光ダイオードとを有し、前記ベースは、前記回転軸周りに回転可能とされていることを特徴とする。
【0009】
この紫外線照射装置において、各前記回転軸は、それぞれ、円筒形状であって内側が冷媒の流路となる冷却管であることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各光源ブロックがそれぞれ別々の回転軸回りに回転可能となっているので、光源ブロックが相互に連結される場合に比べ、各光源ブロックの回転可能な角度を大きくして照射特性の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図2】同上によって実現可能な照度分布の例を示す説明図である。
【図3】同上の変更例を示す説明図である。
【図4】従来例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
本実施形態は、図1に示すように、それぞれ紫外線を放射する4個の光源ブロック1と、光源ブロック1から紫外線を照射される被照射物(図示せず)が載置される平面である載置面30を有して各光源ブロック1をそれぞれ保持する保持体(図示せず)とを備える。以下、上下左右は図1を基準とし、図1の紙面に直交する方向を前後方向と呼ぶ。つまり、載置面30は左右方向と前後方向とに平行であって上方に向けられている。
【0014】
各光源ブロック1は、それぞれ、前後方向に直線状に配列されて紫外線を放射する複数個の発光ダイオード11を有する。
【0015】
さらに、各光源ブロック1は、それぞれ、1本ずつの冷却管2を囲む筒状のベース12を有し、各発光ダイオード11と各発光ダイオード11への配線(図示せず)とはそれぞれベース12に保持されている。各冷却管2は、それぞれ、円筒形状であって、軸方向を前後方向として保持体に対して固定され、内側に冷媒(例えば水)を流されることで光源ブロック1の冷却に寄与するものである。各発光ダイオード11の冷却の観点から、ベース12の材料としてはなるべく熱伝導率が高い材料(例えば銅)が用いられることが望ましい。
【0016】
また、各光源ブロック1は、それぞれ、回転軸としての冷却管2の中心軸周りに回転可能となっており、この回転に伴って、発光ダイオード11からの紫外線の照射方向も変化する。例えば、発光ダイオード11の光軸の向きを実線矢印A1で示す向きとした場合、載置面30上での照度分布は図2に曲線L1で示すようなものとなり、発光ダイオード11の光軸の向きを破線矢印A2で示す向きとした場合、載置面30上での照度分布は図2に曲線L2で示すようなものとなる。図2において縦軸は照度であり、横軸は載置面30と対称面10との交線(以下、「基準軸」と呼ぶ。)を0として右方向を正の向きとした位置xである。
【0017】
ここで、各冷却管2は、それぞれ、載置面30よりも上側において、載置面30に直交する所定の対称面10に関して対称に配置されている。そして、本実施形態では、載置面30上を左右方向の一方側に搬送されて上記の対称面10付近に達した被照射物(図示せず)に対して紫外線を照射することが想定されている。被照射物は例えばUVインクによる印字がなされた印刷物である。
【0018】
また、上記の基準軸までの距離は、外側の2個の冷却管2では内側の2個の冷却管2よりも大きくされている。
【0019】
上記構成によれば、各光源ブロック1がそれぞれ別々の冷却管2回りに回転可能となっているので、光源ブロック1が相互に連結される場合に比べ、各光源ブロック1の回転可能な角度を大きくして照射特性の自由度を高くすることができる。
【0020】
また、冷却管2が固定されて回転軸として用いられているので、冷却管2が光源ブロック1とともに可動とされる場合に比べ、光源ブロック1の回転操作に必要な操作力を小さくすることができる。
【0021】
なお、各光源ブロック1の形状や個数は図1のようなものに限られず、例えば図3に示すように、各光源ブロック1をそれぞれ円筒形状としたり光源ブロック1の個数を3個としてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 光源ブロック
2 冷却管(回転軸)
11 発光ダイオード
12 ベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ円柱形状又は円筒形状であって中心軸同士を互いに平行とした複数本の回転軸と、
各前記回転軸に対してそれぞれ1個ずつ取り付けられた光源ブロックとを備え、
各光源ブロックは、それぞれ、前記回転軸を囲む筒形状のベースと、前記回転軸の軸方向に平行に直線状に並べて前記ベースに固定されてそれぞれ紫外線を放射する複数個の発光ダイオードとを有し、
前記ベースは、前記回転軸周りに回転可能とされていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
各前記回転軸は、それぞれ、円筒形状であって内側が冷媒の流路となる冷却管であることを特徴とする請求項1記載の紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−240021(P2012−240021A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115534(P2011−115534)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】