説明

紫外線照射装置

【課題】仮想円筒上に配置された各ランプ保護管に1本又は複数本の紫外線ランプを軸方向にずらして収容してなる直交流型の紫外線照射装置において、紫外線ランプの紫外線強度を精度よく計測して監視できるようにする。
【解決手段】仮想円筒上に配置された各ランプ保護管に1本又は複数本の紫外線ランプを軸方向にずらして収容してなる直交流型の紫外線照射装置であって、監視用紫外線強度計32を強度計保護管31が流路中心面19と交差する中心位置に受光部32aを位置させて挿入し、受光部32aを包囲して遮光筒32cを設け、遮光筒32cの筒壁に軸方向及び周方向に分散させて紫外線を受光部に導く複数の導光孔36を穿設し、各導光孔36は各紫外線ランプ14に設定された受光長から照射される紫外線を、各紫外線ランプ14の位置に応じて受光部32aに導く位置に設けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象流体に紫外線を照射して種々の処理を行う紫外線照射装置に係り、具体的には、直交流型の紫外線照射装置の紫外線ランプ配置、紫外線ランプの紫外線強度の監視、紫外線強度計の校正、及びランプ保護管や強度計保護管に付着する汚れを除去する洗浄技術に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線照射装置は、紫外線ランプを収容した槽あるいは容器内に対象流体を流通させて紫外線を照射し、例えば上水、飲料、食品などの対象流体に含まれる菌などの微生物の死滅化あるいは不活化の処理に用いられる。その他、紫外線照射装置は、下水などの対象流体の脱色、微生物の死滅化あるいは不活化、有機物などの化学物質の分解又は合成、あるいは、対象流体に含まれる物質の酸化促進、TOCの分解、半導体の洗浄水の製造に用いられる。
【0003】
例えば、微生物の不活化などに用いる紫外線ランプは、表1に示すように、低圧水銀ランプ又は中圧水銀ランプが用いられる。低圧水銀ランプは、水銀封入圧が2Pa以下(通常は、0.2〜1.6Pa程度)であり、微生物の不活化に適する波長が253.7nmの紫外線の放射効率が高い。一方、中圧水銀ランプは、水銀封入圧が4×10〜4×10Paであり、低圧水銀ランプよりも253.7nmの波長の放射効率は低い。しかし、中圧水銀ランプは大電力化(高出力化)できるから、253.7nmの波長成分の放射量を十分確保できるので、微生物の不活化に用いられている(例えば、非特許文献1)。また、低圧水銀ランプの場合は、外周面にフッ素樹脂被膜が施された石英ガラス管などの透明なランプ保護管内に収容して用いられるが、中圧水銀ランプはランプ表面温度が高いため、耐熱性が低いフッ素樹脂被膜を施さないで用いられる。
【0004】
【表1】

【0005】
紫外線ランプは、電気入力が同じであっても点灯累積時間で紫外線強度が劣化する。そこで、紫外線ランプの紫外線強度を監視して、劣化した場合は調光器により紫外線ランプの電気入力を増加し、あるいは紫外線ランプを交換する必要がある。通常、紫外線照射装置に円筒状に配置された複数の紫外線ランプを全て見通すことができる位置に、紫外線強度計の受光部を設置して紫外線強度を計測することが行われている。
【0006】
例えば、特許文献1には、複数の紫外線ランプを全て見通す位置に1個の紫外線強度計を配置し、複数の紫外線ランプの合計紫外線強度を計測して監視している。また、各紫外線ランプの紫外線強度を個別に監視するため、複数の紫外線ランプを見通す位置に1個の監視用紫外線強度計を配置し、個別監視用紫外線強度計の受光部を覆って遮光筒を二重に設け、一方の遮光筒の各紫外線ランプに対応する位置に紫外線を受光部に導く導光孔をそれぞれ穿設し、他方の遮光筒に監視対象の紫外線ランプを選択する1個のランプ選択孔を穿設し、他方の遮光筒を移動してランプ選択孔を各導光孔に順次重ね合わせて、個々の紫外線ランプの紫外線強度を個別に監視することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−50830号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】UV Disinfection Guidance Manual For the Final LT2ESWTR, US EPA,November 2006, P(2-17), Table2.1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来技術において、紫外線照射領域における紫外線強度を高くするためには、低圧あるいは中圧に拘わらず、紫外線ランプの出力を大きくする他、紫外線ランプの本数を増やして対応している。しかし、対象流体を紫外線ランプ軸に直交させて流通する、いわゆる直交流型の紫外線照射装置の場合、対象流体に直交する流路断面(例えば、矩形又は円形)の幅内に、紫外線ランプの発光長を収めなければならない。
【0010】
しかも、一般に大型の紫外線照射装置の場合、対象流体は円筒状の管路により紫外線ランプが収納された円筒状の容器に導入される。そのため、円筒状に配置された紫外線ランプのうち円形流路断面の円弧部の弦に配置される紫外線ランプは、流路断面から外れる部分が生じるので対象流体への照射効率が低下する。そこで、発光長の短い紫外線ランプを用いて目標の紫外線照射量を確保することが考えられる。しかし、発光長あたりの出力を大きくすると、例えば1個の紫外線ランプが切れた場合に、装置全体の紫外線照射量が大きく減少してしまうという問題がある。つまり、大出力の紫外線ランプを例えば6本設けた場合、1本の紫外線ランプが切れると全体の照射能力は、水の偏流のために切れたランプの場所によって違いが生じるが、概ね5/6(約83%)に低下するリスクがある。このようなリスクを減少でき、かつ紫外線ランプの経時劣化(例えば、約20%)を考慮して装置性能を保証するために、紫外線ランプを余分に設置することが考えられる。しかし、余分に設置した紫外線ランプの分、ランニングコストが増加するという問題がある。
【0011】
このような問題について検討した結果、本発明の発明者らは、次に述べるように、直交流型の紫外線照射装置における紫外線ランプの配置を工夫して、紫外線ランプが切れたときのリスクを減少し、かつ、照射性能を向上することを提案している(特願2011−234556号)。すなわち、円筒状の容器内に容器軸に平行に、かつ容器軸を中心軸とする仮想円筒の周方向に分散して紫外線ランプを収容する透明な複数のランプ保護管を配置し、容器軸に直交する方向に対象流体を流通させるようにしたいわゆる直交流型の紫外線照射装置を構成する。特に、各ランプ保護管にそれぞれ1本又は複数本の紫外線ランプを収容して、各ランプ保護管に収容する紫外線ランプを、流通管路の中心を通りランプ保護管の軸に直交する流路中心面を基準に、保護管軸方向に位置をずらし、例えば互いに対称に設置する。また、円形流路断面の円弧部に1又は2本程度の紫外線ランプを設置し、中央部には2本以上の紫外線ランプを設置する。そして、1本又は奇数本の紫外線ランプを設置する場合は、真中の紫外線ランプの中心を流路中心面に合わせて設置する。さらに、ランプ保護管の本数及びランプ保護管に収容する紫外線ランプの本数の如何によって、装置全体の紫外線強度が目標値を超える場合は、対称に配置する紫外線ランプを適宜間引いて、全体としての紫外線照射量を満たすように配置する。
【0012】
一方、紫外線照射装置においては、紫外線照射量を常時監視して運用管理することが要求される。しかし、仮想円筒上に分散して配置される各ランプ保護管に、1本又は複数本の紫外線ランプを収容すると、全ての紫外線ランプから照射される合計紫外線強度を精度よく計測できないという問題がある。つまり、通常、紫外線強度を常時監視する紫外線強度計は、受光部を石英ガラスなどにより形成された強度計保護管内に収容して仮想円筒の中心軸に設置される。従来は、発光長が同じ紫外線ランプを並べて配置しているから、紫外線強度計の受光部を紫外線ランプが配置された仮想円筒の中心軸上の中心部に設置すれば、全紫外線ランプの合計紫外線強度を精度よく計測できる。しかし、1本又は複数本の紫外線ランプを軸方向にずらして収容すると、紫外線強度計の受光部と各紫外線ランプ間の距離が区々となる。各紫外線ランプから紫外線強度計間の距離が異なると、対象流体による紫外線の減衰量に違いが生じるため、各紫外線ランプの合計紫外線強度を精度よく計測する工夫が必要になる。
【0013】
また、紫外線強度計の受光部は、一般に、紫外線を可視光に変換する変換材料を石英ガラスなどの管体に充填して形成され、変換された可視光を光ファイバーで外部に引き出して光電変換素子で電気信号に変換することにより、紫外線強度を計測する。このような受光部の変換材料は、紫外線に暴露される時間に応じて変換性能が劣化することから、常時監視用の紫外線強度計は経時劣化に応じて計測値を校正する必要がある。そこで、従来は、定期的に紫外線強度計の受光部を抜き出し、代わりに劣化していない、あるいは劣化が小さい校正用の受光部を挿入して合計紫外線強度を計測し、その計測値を校正データとして常時監視用の紫外線強度計の計測値を校正するようにしている。
【0014】
しかし、校正データを取得するための作業に手間がかかることから、自動で校正データを取得して監視用の紫外線強度計の計測値を校正することが望まれている。しかも、上述したように、各ランプ保護管に1本又は複数本の紫外線ランプを軸方向にずらして収容すると、監視用と校正用の紫外線強度計の受光部の位置によっては、精度のよい校正データを取得することができないという問題がある。
【0015】
本発明が解決しようとする第1の課題は、仮想円筒上に配置された各ランプ保護管に1本又は複数本の紫外線ランプを軸方向にずらして収容してなる直交流型の紫外線照射装置において、紫外線ランプの紫外線強度を精度よく計測して監視できるようにすることにある。
また、本発明が解決しようとする第2の課題は、第1の課題に加えて、監視用紫外線強度計の校正データを精度よく容易に取得できるようにすることにある。
さらに、本発明が解決しようとする第3の課題は、第1と第2の課題に加えて、複数の紫外線ランプの紫外線強度を個別に監視できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の第1の課題を解決するため、本発明の第1の態様は、円筒状の容器と、前記容器軸を中心軸とする仮想円筒の周方向に分散して前記容器内に設けられた透明な複数のランプ保護管と、前記各ランプ保護管内に収容された紫外線ランプと、前記仮想円筒と同軸に前記容器内に設けられた透明な強度計保護管と、該強度計保護管内に挿入された受光部を有する監視用紫外線強度計と、前記容器軸に直交する筒壁の対向する位置に設けられ、対象流体の流通管路が接続される流入口及び流出口とを備えてなる紫外線照射装置において、前記ランプ保護管には1又は複数の前記紫外線ランプが収容され、前記各ランプ保護管に収容される前記紫外線ランプの発光部が、前記流通管路の中心を通り前記ランプ保護管の軸に直交する流路中心面を基準に、前記ランプ保護管の軸方向に位置をずらして収容され、前記監視用紫外線強度計は、前記強度計保護管が前記流路中心面と交差する中心位置に受光部を位置させて挿入され、前記受光部を包囲して円筒状の遮光筒が設けられ、該遮光筒は軸方向及び周方向に分散させて紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が筒壁に穿設され、該各導光孔は前記各紫外線ランプの発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を、前記各紫外線ランプの位置に応じて前記受光部に導く位置に設けられていることを特徴とする。
【0017】
すなわち、紫外線照射装置の全体の紫外線の総出力を同じにする場合、あるいは全体の紫外線照射量を同じにする場合、1本のランプ保護管内に発光長の短い低出力の紫外線ランプを複数本収容することにより、紫外線ランプの本数を多く配置することができる。これにより、紫外線ランプが切れたときのリスクを低減することができる。特に、本発明では、各ランプ保護管に収容される1又は複数の紫外線ランプの発光部を、流通管路の中心を通りランプ保護管の軸に直交する流路中心面を基準にランプ保護管の軸方向に位置をずらして収容することを1つの特徴とする。このようなランプ配置にすると、紫外線ランプのランプ軸に直交流となる対象流体は、円筒状に配置された複数の紫外線ランプから紫外線の照射を受けるので、ランプ配置の自由度が増す。したがって、円筒状に配設されたランプ保護管に収容する紫外線ランプの本数を適宜変えることにより、目標の合計紫外線照射強度を得ることができるので、紫外線照射性能を向上できる。例えば、円形流路断面の円弧部の弦に配置されるランプ保護管の紫外線ランプを例えば1本又は2本にし、円形流路断面の中央部に配置される他のランプ保護管に収容する紫外線ランプを適宜増やして、全体としての紫外線照射量を満たすことができる。また、紫外線ランプを保護管軸方向に位置をずらして設置する場合、流路中心面に対して互いに対称に配置することが好ましい。
【0018】
また、本発明のランプ配置によれば、ランプ保護管の本数及びランプ保護管に収容する紫外線ランプの本数を変更して、流路中心面に対して位置をずらして、あるいは紫外線ランプを間引いて、全体としての紫外線照射量を満たすように配置して、目標とする紫外線照射量を調整することができる。なお、本発明は、低圧水銀ランプを用いて構成することができるが、出力が大きい中圧水銀ランプを用いて構成することにより、一層、優れた効果を奏することができる。
【0019】
本発明の第1の態様において、監視用の紫外線強度計の受光部を強度計保護管が流路中心面と交差する中心位置に位置させて、かつ、受光部を包囲する円筒状の遮光筒を設け、その遮光筒は、軸方向及び周方向に分散させて紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が筒壁に穿設され、各導光孔は各紫外線ランプの発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を、各紫外線ランプの位置に応じて受光部に導く位置に設けられていることを特徴とする。
【0020】
つまり、紫外線ランプは、発光長にわたって複数の点光源が配列されていると看做すことができるから、設定された受光長から照射される紫外線強度を計測することにより、各紫外線ランプの紫外線強度を計測できる。したがって、本発明によれば、各紫外線ランプに設定された受光長にそれぞれ対応させた位置及び口径に導光孔が穿設されているので、紫外線ランプをランプ保護管の任意の位置に配置しても、また同一のランプ保護管に複数本配置しても、受光部は全ての紫外線ランプから照射される紫外線を受光できる。これにより、本発明によれば、全ての紫外線ランプの合計紫外線強度を精度よく監視できる。
【0021】
また、本発明の第2の課題を解決するため、本発明の第2の態様は、前記第1の態様において、前記強度計保護管に前記監視用紫外線強度計が挿入された反対側の端部から校正用紫外線強度計が挿入され、該校正用紫外線強度計の受光部を前記監視用紫外線強度計の受光部から離した位置に固定され、該校正用紫外線強度計の受光部を包囲する円筒状の第1遮光筒が設けられ、該第1遮光筒を包囲する円筒状の第2遮光筒が軸方向移動可能に設けられ、前記第1遮光筒は軸方向及び周方向に分散させて紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が筒壁に穿設され、該各導光孔は前記各紫外線ランプの発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を、前記各紫外線ランプの位置に応じて前記受光部に導く位置及び径に設定され、前記第2遮光筒は前記第1遮光筒の全ての前記導光孔を覆う第1位置と全て露出させる第2位置の間で移動可能に設けられてなることを特徴とする。
【0022】
このように構成されることから、本発明の第2の態様によれば、校正用紫外線強度計を監視用紫外線強度計の強度計保護管に常時挿入しておいても、通常時は第2遮光筒を第1位置に位置させて第1遮光筒の導光孔を全て覆うことにより、校正用紫外線強度計の受光部の紫外線暴露時間を極小化できる。また、校正データを計測する際は、第2遮光筒を第2位置に移動させて第1遮光筒の全ての導光孔を露出させることにより、全ての紫外線ランプの合計紫外線強度を計測できるから、監視用紫外線強度計の合計紫外線強度を校正する校正データを容易に取得できる。
【0023】
なお、本発明の第2の態様において、第2遮光筒は、校正用紫外線強度計の受光部を完全に覆う長さを有すればよいから、第2遮光筒を第1位置と第2位置に移動する移動機構の位置決め精度は要求されない。したがって、第1遮光筒を包囲して強度計保護管内に設け、第2遮光筒に連結した駆動部材を外部に引き出し、駆動部材を手動又はモータ等を用いた直線運動機構などにより移動するように構成できる。また、第1遮光筒を包囲して第2遮光筒を強度計保護管の外周に装着し、その第2遮光筒を後述するランプ保護管の洗浄機構の移動駆動機構により移動させるようにすれば、格別な移動機構を設ける必要がないので、装置構成を簡単化できる。
【0024】
また、本発明の第3の課題を解決するため、本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記強度計保護管に前記監視用紫外線強度計が挿入された反対側の端部から校正用紫外線強度計が挿入され、該校正用紫外線強度計の受光部は前記監視用紫外線強度計の受光部から離した位置に固定され、該校正用紫外線強度計の受光部を包囲して固定された第1遮光筒と筒軸周りに回転可能な第2遮光筒とが二重に設けられ、第1遮光筒の筒壁にランプ軸方向が異なる位置と周方向位置が異なる前記各紫外線ランプにそれぞれ対応させて紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が穿設され、第2遮光筒の筒壁にランプ軸方向が異なる位置の前記紫外線ランプに対応させて複数のランプ選択孔が穿設され、前記第2遮光筒の回転角度を変えて前記導光孔と前記ランプ選択孔が重ね合わさる位置に対応した1個の前記紫外線ランプから照射される紫外線を前記受光部に導入可能に形成し、前記第1遮光筒と前記第2遮光筒のうち前記受光部側に設けられる遮光筒に穿設される前記導光孔又は前記ランプ選択孔は、それぞれ前記ランプ保護管に収容された1又は複数の前記紫外線ランプの発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を前記受光部に導く位置に設けられていることを特徴とする。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様及び第2の態様に加えて、複数の紫外線ランプの紫外線強度を個別に監視できるという効果が得られる。すなわち、第2遮光筒の回転角度を順次変えると、導光孔とランプ選択孔が重ね合わさる位置が変わり、その位置に対応した1個の紫外線ランプから照射される紫外線の強度を個別に計測することができる。これにより、監視用紫外線強度計による常時監視において、合計の紫外線強度が急に低下したとき、あるいは低下の度合いが比較的大きいなどの不具合が発生したとき、校正用紫外線強度計により各紫外線ランプの個別の紫外線強度を計測して、紫外線ランプの球切れ、急速な性能劣化などを診断できる。
【0026】
また、本発明の第3の態様によれば、校正データを取得する時は、同様にして計測した各紫外線ランプの個別の紫外線強度を積算ないし合計した合計紫外線強度データを校正データとして取得することができる。そして、監視用紫外線強度計により計測された合計紫外線強度と校正データとを比較して、監視用紫外線強度計の受光部の経年劣化を校正した合計紫外線強度の計測データを求めることができる。
【0027】
また、本発明の第3の課題を解決するため、本発明の第4の態様は、第1の態様において、前記強度計保護管に第1遮光筒が固定して設けられ、該第1遮光筒の両端から前記監視用紫外線強度計と校正用紫外線強度計とが挿入され、前記監視用紫外線強度計と前記校正用紫外線強度計は、それぞれの受光部が、前記強度計保護管が前記流路中心面と交差する前記中心位置と該中心位置から挿入方向に沿って後退した位置との間で移動可能に設けられ、前記第1遮光筒の前記中心位置に対応する筒壁に、ランプ軸方向が異なる位置と周方向位置が異なる前記紫外線ランプにそれぞれ対応させて紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が穿設され、前記監視用紫外線強度計が軸方向に移動可能に設けられ、当該監視用紫外線強度計の前記受光部を包囲する第2遮光筒が当該受光部に固定して設けられ、該第2遮光筒の筒壁にランプ軸方向が異なる位置の前記紫外線ランプに対応させて紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が穿設され、前記校正用紫外線強度計の前記受光部を包囲する第3遮光筒が前記受光部に固定して設けられ、前記校正用紫外線強度計の前記受光部が軸周りに回転可能にかつ軸方向に移動可能に設けられ、該第3遮光筒の筒壁にランプ軸方向が異なる位置の前記紫外線ランプに対応させて紫外線を導く複数のランプ選択孔が穿設され、前記監視用紫外線強度計の前記受光部を軸方向に移動させる第1駆動機構と前記校正用紫外線強度計の前記受光部を軸周りに回転させる第2駆動機構及び軸方向に移動させる第3駆動機構とが設けられ、監視時は、前記監視用紫外線強度計の前記受光部を前記中心位置に位置させて全ての前記紫外線ランプから照射される合計紫外線強度を計測し、校正データ取得時は、前記監視用紫外線強度計の前記受光部を後退させて、前記校正用紫外線強度計の前記受光部を前記中心位置に位置させ、前記第3遮光筒を回転させて前記ランプ選択孔が前記第1遮光筒の前記導光孔に重ね合わさせられる位置に対応した1個の紫外線ランプから照射される紫外線を前記受光部に導入可能に形成され、前記第2遮光筒の前記導光孔と前記第3遮光筒の前記ランプ選択孔は、それぞれ前記ランプ保護管にそれぞれ収容された1又は複数の前記紫外線ランプの発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を前記受光部に導く位置に設けられていることを特徴とする。
【0028】
すなわち、本発明の第4の態様は、第3の態様と異なり、監視用紫外線強度計と校正用紫外線強度計の計測位置を同一位置にしたことを特徴とする。これにより、両者の紫外線強度計で計測される計測値の対比を精度良く行うことができるから、校正精度が向上するという効果が得られる。
【0029】
本発明の第5の態様は、第2の態様又は第4の態様の変形例と考えることができる。つまり、前記強度計保護管に前記監視用紫外線強度計が挿入された反対側の端部から校正用紫外線強度計が挿入され、該校正用紫外線強度計の受光部が前記監視用紫外線強度計の受光部から離した位置に固定され、該校正用紫外線強度計の受光部を包囲する円筒状の第1遮光筒が設けられ、該第1遮光筒を包囲する円筒状の第2遮光筒が軸方向移動可能に設けられ、前記第1遮光筒の筒壁に軸方向及び周方向に分散させて、前記各紫外線ランプの発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が穿設され、該各導光孔は前記各ランプ保護管の位置に応じて前記受光長から照射される紫外線を前記受光部に導く径に設定され、前記第2遮光筒は筒壁の軸方向及び周方向にずらして前記第1遮光筒の前記導光孔の位置に対応する位置に複数のランプ選択孔を穿設して形成され、かつ、軸方向に移動可能に設けられてなることを特徴とする。これによれば、第2遮光筒の軸方向位置をずらすと、第1遮光筒の導光孔と第2遮光筒のランプ選択孔が重なる組合せは、それぞれ1個の紫外線ランプに対応する。したがって、校正用紫外線強度計によって個別の紫外線ランプの紫外線強度を監視又は計測することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の第1の態様によれば、仮想円筒上に配置された各ランプ保護管に1本又は複数本の紫外線ランプを軸方向にずらして収容してなる直交流型の紫外線照射装置において、紫外線ランプの紫外線強度を精度よく計測して監視できるという効果がある。
また、本発明の第2の態様によれば、第1の態様の効果に加えて、監視用紫外線強度計の校正データを精度よく容易に取得できるという効果がある。
さらに、本発明の第3乃至5の態様によれば、第1,2の態様の効果に加えて、複数の紫外線ランプの紫外線強度を個別に監視できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態1の紫外線照射装置を模式的に示した正面断面図である。
【図2】図1の実施形態の矢視II−IIから見た図である。
【図3】図1の実施形態の紫外線ランプの配置を説明する模式図である。
【図4】図1の実施形態の監視用紫外線強度計と校正用紫外線強度計の受光部周りの詳細構成図である。
【図5】図1の実施形態の洗浄機構の特徴であるワイパーの詳細構成図である。
【図6】本発明の紫外線照射装置の実施形態2の監視用紫外線強度計と校正用紫外線強度計の受光部周りの詳細構成図である。
【図7】本発明の紫外線照射装置の実施形態3の監視用紫外線強度計と校正用紫外線強度計の受光部周りの詳細構成図である。
【図8】本発明の紫外線照射装置の実施形態4の監視用紫外線強度計と校正用紫外線強度計の受光部周りの詳細構成図である。
【図9】本発明の紫外線照射装置の実施形態6に係る紫外線ランプ配置を模式的に示した図であり、(a)は図1と同様に対象流体の流入方向から見た正面図、(b)は断面図である。
【図10】本発明の紫外線照射装置の実施形態7に係る紫外線ランプ配置を模式的に示した図であり、(a)は図1と同様に対象流体の流入方向から見た正面図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の紫外線照射装置を実施形態に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態の構成を説明する。本実施形態の紫外線照射装置は、円筒状の容器1と、容器1の筒壁に筒軸に直交させて流入管2と流出管3が筒壁の対向する位置に連結されている。これにより、対象流体が容器1の筒軸に直交する方向に容器1内に流通されるようになっている。流入管2と流出管3には、それぞれフランジ4,5を備えた対象流体の流入口6及び流出口7が設けられている。フランジ4,5は、対象流体を容器1に流入あるいは容器1から排出する図示していない流通管路が連結可能に形成されている。
【0033】
容器1内には、容器軸に平行に延在させて配置された透明な複数のランプ保護管13が収容され、各ランプ保護管13内にはそれぞれ直状の紫外線ランプ14が挿入されている。ランプ保護管13の両端は、容器1の管体10の両端近傍に設けられた一対のエンドプレート11に形成された貫通孔15に挿入されて支持されている。また、容器1の図において左右の両端のフランジ12には、図示していないカバープレートが装着されるようになっている。カバープレートには、各ランプ保護管13を挿入可能な貫通孔が形成され、貫通孔に挿入された各ランプ保護管13はグランドパッキンなどのシール機構によって水密にシールされている。また、各紫外線ランプ14は、両端に形成された口金部16に装着された例えばセラミック製の鍔17を介してランプ保護管13の内面に支持されている。
【0034】
また、各紫外線ランプ14には、図示していない耐熱性のPTFE被膜ケーブルを介して、ランプ保護管13の端部又は外部に設けられた安定器及び調光器から電気入力が供給されるようになっている。本実施形態の紫外線ランプ14は、両端の口金部16に電気入力を供給する例を示したが、本発明は、これに限らず、紫外線ランプ14のいずれか一方の片側の口金部16から電気入力を供給する形式の紫外線ランプにも適用できる。
【0035】
本実施形態では、容器軸に平行に延在させて複数n(図示例は、n=9)本のランプ保護管13が配置されている。複数のランプ保護管13は、図3に示すように、容器軸を軸心とする仮想円筒18の周方向に沿って等間隔に配置されている。各ランプ保護管13には、本実施形態では同一の公称出力(例えば、電気入力120W/cm、発光長25cmの中圧水銀ランプ)を有する紫外線ランプ14が、1本ずつ収容されている。
【0036】
本実施形態では、複数の紫外線ランプ14をA群14−(A)とB群14−(B)とに分け、周方向の任意位置(例えば、図3の「0°」位置)を基準として、紫外線ランプ14の発光長の中心位置を時計回り及び反時計回りに交互に、軸方向位置をA位置とB位置に振り分けて配置している。ここで、説明のため、9本の紫外線ランプ14に、図3に示すように、基準位置(0°)から時計回りに、紫外線ランプ14−1(A),14−2(B),14−3(A)、・・・、14−9(B)の識別符号を付して示す。本実施形態では、紫外線ランプ14−1,14−3、14−5、14−6、14−8がA位置の紫外線ランプ14−(A)に分けられ、紫外線ランプ14−2,14−4、14−7、14−9がB位置の紫外線ランプ14−(B)に振り分けられている。
【0037】
紫外線ランプ14−(A)と14−(B)は、図1に示すように、流入口6と流出口7の中心を通り、かつランプ軸(容器軸)に直交する面(以下、流路中心面という。)19に対して、発光長の中心を対称にずらして配置されている。なお、図1では、繁雑を避けるため、図3に示す仮想円筒18の流入口6側に配置された紫外線ランプ14−1(A)、14−9(B)のみを示している。また、図1と図3から分かるように、紫外線ランプ14−(A)と14−(B)は、仮想円筒18の周方向に沿って、ランプ軸方向に位置をずらしてジグザグに配置されている。なお、紫外線ランプ14の発光長は紫外線が照射される有効長であり、発光長の中心は、通常は紫外線ランプ14の中心と看做すことができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、流路中心面19に対して、A群の紫外線ランプ14−(A)とB群の紫外線ランプ14−(B)を保護管軸方向にずらし、かつ発光長の中心を流路中心面19に対して互いに対称に配置したことから、対象流体の流れ方向における紫外線ランプの重なりを少なくすることができる。しかも、紫外線ランプ14をランプ軸方向に広く分散できるから、紫外線照射領域を流通する対象流体が受ける紫外線の密度を均等化して、照射性能を上げることができる。
【0039】
このように構成される本実施形態1の紫外線照射装置の基本動作について説明する。対象流体は、図2に示す流入口6から矢印8の方向から容器1内に流入され、複数本のランプ保護管13が並べられた紫外線照射領域を流通して、流出口7から排出される。対象流体は、紫外線照射領域を流通する際に、ランプ保護管13内に収容された紫外線ランプ14から放射される紫外線の照射を受けて処理される。例えば、対象流体が上水、飲料、食品などの場合は、それらの流体中に含まれる菌などの微生物が死滅化あるいは不活化される。また、対象流体が、下水などの排水の場合は、流体の脱色、微生物の死滅化あるいは不活化、有機物などの化学物質の分解又は合成、あるいは、対象流体に含まれる物質の酸化促進、TOCの分解処理を行う。さらに、純水などを流通させて半導体の洗浄水を製造することができる。
【0040】
次に、本実施形態の洗浄機構について説明する。洗浄機構21は、紫外線ランプ14のランプ保護管13及び後述する強度計保護管31の外表面に付着した汚れを除去する装置であり、必要に応じて設けられる。洗浄機構21は、一対のエンドプレート11の間に渡して設けられた3本の走行レール22と、各走行レール22上を走行可能に設けられた3組の走行台車23と、3組の走行台車23に支持されたリング状のワイパー保持部材24を含んで構成されている。ワイパー保持部材24のリング内径は、円筒状に配列された複数のランプ保護管13の外周径よりも大きく形成されている。そして、ワイパー保持部材24のリング内径側から各ランプ保護管13及び強度計保護管31の外周面を包囲するワイパー25がそれぞれ張り出して設けられている。
【0041】
また、洗浄機構21は、一対のエンドプレート11の間に渡して回転可能に軸受26に支持された送りねじロッド27と、送りねじロッド27に螺合された内ねじを有する円筒状のナット28とを含んで構成されている。ナット28は、ナット保持部材29を介してリング状のワイパー保持部材24に支持されている。送りねじロッド27の一端27aは、エンドプレート11とフランジ12に装着される図示していないカバープレートを貫通させて外部に引き出され、図示していない駆動モータにより回転可能に形成されている。カバープレートには送りねじロッド27の一端27aを水密シールする部材が設けられている。
【0042】
ここで、本実施形態の洗浄機構21の特徴であるワイパー25の構成について、図5を参照して説明する。ワイパー25は、図5(c)に示すように、ランプ保護管13と強度計保護管31の外周に遊嵌するリング状のブラシ部25aと、ブラシ部25aの外周縁を緩く保持する環状溝を有するブラシ保持部材であるブラシカバー25bとを備えている。ブラシ部25aは、図5(a)に示すように、リング状のベース部材25cの内周面に金属製のブラシ25dを保持させて形成されている。ブラシ25dは例えばステンレスの細線(例えば、0.8〜1.0mm径)を用いて形成され、ブラシ部25aの内径はランプ保護管13又は強度計保護管31の外径と同等又は若干小径に形成されている。ベース部材25cとブラシ25dの固定は、周知の種々の方法を適用することができる。また、直線状のベース部材25cにブラシ25dを固定し、ブラシ25dを内周面側にしてベース部材25cを螺旋状に巻き付け加工した後に切断し、切断面25eを突き合わせてリング状のブラシ部25aを製造することができる。一方、ブラシカバー25bは、図5(b)に示すように、リング平板25fの外周縁を絞り加工で起立させた縁部25gを有する一対のカバー部材25hを形成する。そして、同図(c)に示す組立図のように、リング状のブラシ部25aを一対のカバー部材25hに内包させて縁部25gの先端面を突き合わせ接着して、ワイパー25を形成することができる。
【0043】
ここで、本実施形態では、リング状のベース部材25cの外径を、ブラシカバー25bの縁部25gの内周面の径よりも小径とし、ブラシカバー25bの内面とブラシ部25aの外周面との間に隙間を形成し、ブラシ部25aがブラシカバー25b内で径方向に自由に移動できるようにしている。
【0044】
このように構成される本実施形態の洗浄機構21の動作を説明する。洗浄機構21は、図示していない駆動モータによって送りねじロッド27を正転させると、ナット28に支持されているワイパー保持部材24は、走行台車23を介して走行レール22に沿って、退避位置Cから図1において右方向に移動する。この移動により、ワイパー保持部材24に保持されたワイパー25がランプ保護管13の外表面に沿って摺動され、ランプ保護管13の外表面に付着している汚れを掻き落としながら前進端位置Dに至る。そして、駆動モータを逆回転させて送りねじロッド27を逆転させると、ワイパー25が前進端位置Dから逆方向に移動して、ランプ保護管13の外表面に付着している汚れを掻き落としながら退避位置Cに戻って、1回の洗浄操作が終了する。なお、必要に応じて、洗浄操作を複数回繰り返して、ランプ保護管13の外表面に強力に、又は多量に付着している汚れを除去することができる。また、洗浄機構21を退避位置Cに戻すのは、対象流体の流入口6と流出口7を結ぶ紫外線照射領域から、走行台車23、ワイパー保持部材24、ワイパー25、ナット28などの部材を退避させて、紫外線照射及び対象流体の流れを妨げないようにするためである。
【0045】
特に、本実施形態の洗浄機構21によれば、ブラシ部25aがブラシカバー25b内で全周にわたって径方向に自由に移動できることから、例えば、ランプ保護管13を石英ガラス管で構成する場合、製作公差が比較的大きいが、製作公差を吸収することができる。また、ランプ保護管13又は強度計保護管31が撓み等によりワイパー保持部材24との相対位置がずれても、ブラシ部25aが移動して相対位置のずれを吸収できるから、ランプ保護管13又は強度計保護管31の損傷を防ぐことができる。また、ブラシ25dを金属製の細線で形成したことから、ランプ表面温度が高い中圧水銀ランプを紫外線ランプ14に適用することが可能になる。
【0046】
次に、本実施形態の特徴である監視用紫外線強度計及び校正用紫外線強度計の構成について、図1〜図4を参照して説明する。図に示すように、仮想円筒18上に配置されたランプ保護管13及び紫外線ランプ14の仮想円筒18の中心軸に、強度計保護管31が一対のエンドプレート11に渡して設けられている。強度計保護管31は透明な石英ガラス管などを用いて形成され、両端はフランジ12に装着される図示していないカバープレートを貫通させて外部に引き出されている。強度計保護管31内には、図1において右側の端部から監視用紫外線強度計32が挿入され、左側端部から校正用紫外線強度計33が挿入されている。
【0047】
監視用紫外線強度計32は、挿入方向の先端に設けられた受光部32aと、受光部32aを支持する支持ロッド32bと、図4に示すように、受光部32aの外周を包囲して設けられた遮光筒32cと、遮光筒32cを支持ロッド32bに固定する固定部材32dと、受光部32aに結合された図示していない光ファイバーを備えて形成されている。監視用紫外線強度計32は、紫外線の受光部32aの中心を、強度計保護管31が流路中心面19と交差する中心位置に位置させて設置されている。
【0048】
また、校正用紫外線強度計33は、挿入方向の先端に設けられた受光部33aと、受光部33aを支持する支持ロッド33bと、図4に示すように、受光部33aの外周を包囲して設けられた第1遮光筒である遮光筒33cと、遮光筒33cを支持ロッド33bに固定する固定部材33dと、受光部33aに結合された図示していない光ファイバーを備えて形成されている。校正用紫外線強度計33は、紫外線の受光部33aの中心を、監視用紫外線強度計32の受光部32aの位置から離れた流路断面内に位置させて設置されている。また、遮光筒33cを包囲する円筒状の第2遮光筒である遮光筒34が、強度計保護管31の外周に軸方向移動可能に設けられている。
【0049】
受光部32aと受光部33aは、同一の構成を有して形成され、紫外線を可視光に変換する変換材料を石英ガラスなどの管体32e、33eに充填して形成されている。そして、管体32e、33eの外周面の全方位から入射される紫外線を受光して変換可能になっている。変換材料により変換された可視光は光ファイバーを介して、中空に形成された支持ロッド32b、33b内を通して外部に引き出され、図示していない光電変換素子で電気信号に変換し、演算処理装置にて紫外線強度を計測して監視するようになっている。
【0050】
遮光筒32cと遮光筒33cは、それぞれ例えばアルミ製などの遮光性を有する管体の端部を封止して形成され、固定部材32dと固定部材33dを介して止めネジ等により支持ロッド32b、33bの先端に固定されている。遮光筒32cには、軸方向及び周方向に分散させて紫外線を受光部32aに導く複数の導光孔36、すなわち紫外線ランプの本数に合わせて複数の導光孔36が筒壁に穿設されている。本実施形態では、9本の紫外線ランプ14−1(A)〜14−9(B)に合わせて、9個の導光孔36−1(A)〜36−9(B)が、A群とB群に対応させて軸方向の2か所に分散され、かつ図3の0°位置を基準に周方向に分散して穿設されている。すなわち、各導光孔36は、図1に示す紫外線ランプ14−(A)又は14−(B)の発光長中心を基準に設定された受光長Lsから照射される紫外線を、受光部32aに導く位置に穿設されている。特に、各導光孔36の孔径は、図1に示すように、各紫外線ランプ14の位置に応じて、受光長Lsから照射される紫外線を受光可能な大きさに設定されている。
【0051】
本実施形態では、A群の紫外線ランプ14−(A)とB群の紫外線ランプ14−(B)は、流路中心面19に対して互いに対称な位置に配置し、監視用紫外線強度計32の受光部32aを流路中心面19の位置に配置しているから、受光部32aから見て紫外線ランプ14−(A)、14−(B)の受光長Lsまでの距離が同一距離になる。そのため、その間に存在する対象流体による紫外線の減衰量が同じになるから、精度良く合計紫外線強度を計測することができる。
【0052】
同様に、遮光筒33cには、軸方向及び周方向に分散させて紫外線を受光部33aに導く複数の導光孔37が紫外線ランプの本数に合わせて筒壁に穿設されている。本実施形態では、9本の紫外線ランプ14−1(A)〜14−9(B)に合わせて、9個の導光孔37−1(A)〜37−9(B)が、A群とB群に対応させて軸方向の2か所に分散され、かつ図3の0°位置を基準に周方向に分散して穿設されている。また、導光孔37は、導光孔36と同様に、紫外線ランプ14−(A)又は14−(B)の発光長中心を基準に設定された受光長Lsから照射される紫外線を、受光部33aに導く位置に穿設されている。本実施形態では、受光部33aとA群の各紫外線ランプ14−(A)の受光長Lsの両端までの距離と、受光部33aとB群の各紫外線ランプ14−(B)の受光長Lsの両端までの距離が同じではない。したがって、各導光孔37の孔径は、A群の各紫外線ランプ14−(A)用と、B群の各紫外線ランプ14−(B)用に対応させて受光長Lsの両端から照射される紫外線を透過して受光部33aに導く大きさに設定されている。つまり、本実施形態では、校正用紫外線強度計33の受光部33aが流路中心面19から離れた位置に固定して設けられているから、各導光孔37は、導光孔36とは軸方向の位置及び孔径が異なることになる。なお、一般に、受光部と紫外線ランプの受光長との間の距離が異なると、対象流体の紫外線透過率によって計測される紫外線強度が影響を受ける。そこで、対象流体の透過率スペクトルを計測し、受光部と紫外線ランプの受光長との間の距離を考慮して、紫外線強度の計測値を演算で補正することができる。このように演算による補正をする場合は、紫外線ランプから受光部に導かれる紫外線強度を補正できるから、本実施形態の各導光孔37の孔径を同一に形成することができる。
【0053】
また、遮光筒34には導光孔は穿設されていないが、遮光筒32cの全ての導光孔36を覆う第1位置と全て露出させる第2位置の間で移動可能に設けられている。本実施形態では、遮光筒34の一端を洗浄機構のワイパー保持部材24に支持させることにより、洗浄機構21の移動機構を用いれば、図1の退避位置Cと前進端位置Dの間で移動可能に構成することができる。
【0054】
このように構成される監視用紫外線強度計32による紫外線強度の計測動作について説明する。監視用紫外線強度計32は図1に示す位置に固定して設けられているから、図4(b)に示したように、A群の紫外線ランプ14に対応させて遮光筒32cに穿設された導光孔36−1(A)、36−3(A)、36−5(A),36−6(A),36−8(A)と、B群の紫外線ランプ14に対応させて遮光筒32cに穿設された導光孔36−2(B)、36−4(B)、36−7(B),36−9(B)とを通って、各紫外線ランプ14の受光長Lsの部分から照射される紫外線が受光部32aに入射される。受光部32aで変換された可視光はグラスファイバーを介して演算処理装置を備えて構成される強度計測機に入力され、全部の紫外線ランプ14の合計紫外線強度として計測される。その計測値を適宜、演算処理装置に取り込むとともにメモリに記録し、紫外線照射装置全体の紫外線強度変化を監視することができる。
【0055】
紫外線強度変化の管理は、合計紫外線強度の計測値の低下の度合い等を監視して、紫外線ランプ14の性能が全体的に劣化したのか、対象流体の濁度が一次的に高くなったのかなど、を診断して対応する。なお、一部の紫外線ランプ14が玉切れを起こした場合は、各紫外線ランプ14の電気入力を監視して診断できるから、監視用紫外線強度計32で計測するまでもない。また、本実施形態では、全部の紫外線ランプ14の合計紫外線強度を計測しているから、一部の紫外線ランプ14の性能劣化により合計紫外線強度が低下した場合は判別できない。この場合は、後述する実施形態3、4に説明するように、紫外線ランプ14の紫外線強度を個別に計測するようにすれば、交換すべき紫外線ランプ14を特定できる。
【0056】
次に、校正用紫外線強度計33により紫外線強度を計測して、監視用紫外線強度計32の校正データを取得する動作について説明する。校正用紫外線強度計33は、図1に示すように、監視用紫外線強度計32の受光部32aの位置から離れた位置に、その受光部33aを位置させて固定されている。また、校正用紫外線強度計33の受光部33aは、監視用紫外線強度計32の受光部32aと同一の変換材料を用いて紫外線を可視光に変換しているから、紫外線に長い時間暴露されると変換特性が劣化してしまう。そこで、通常時は、導光孔が穿設されていない遮光筒34によって、遮光筒33cに穿設された導光孔37を全て覆う位置に保持される。この遮光筒34は、洗浄機構21のワイパー保持部材24に支持されているから、校正データを取得しない通常時は、洗浄機構21の退避位置Cに対応する位置に保持されている。
【0057】
校正データを取得する場合は、洗浄機構21を前進端位置Dに移動させる。これにより、遮光筒34が校正用紫外線強度計33の受光部33aを覆う位置から前進端位置Dに対応する位置に移動して、遮光筒33cに穿設された導光孔37を全て露出させる。これにより、監視用紫外線強度計32と同様、図4(a)に示したように、A群の紫外線ランプ14―(A)に対応させて遮光筒33cに穿設された導光孔37−1(A)、37−3(A)、37−5(A),37−6(A),37−8(A)と、B群の紫外線ランプ14−(B)に対応させて遮光筒33cに穿設された導光孔37−2(B)、37−4(B)、37−7(B),37−9(B)とを通って、各紫外線ランプ14の受光長Lsの部分から照射される紫外線が受光部33aに入射される。受光部33aで変換された可視光はグラスファイバーを介して図示していない強度計測機及び演算処理装置に入力され、全部の紫外線ランプ14の合計紫外線強度の計測値が求められ、校正データとしてメモリ等に記録する。
【0058】
ここで、校正データは、監視用紫外線強度計32により計測される合計紫外線強度に対応するから、校正データ取得時と同時に又は前後に計測された監視用紫外線強度計32の計測値と比較して、監視用紫外線強度計32の計測値を校正データに一致させる校正係数又は校正関数を求め、監視用紫外線強度計32の計測値を校正することができる。これらの計測動作は、全て自動で行うようにすることができる。また、本実施形態によれば、通常時は受光部33aが遮光筒34によって紫外線が遮られており、計測時のみ受光部33aに紫外線が導入されるので紫外線の暴露時間が極めて短いため、容器1内に常時装着しておいても、受光部33aの変換材料の劣化が少ない。なお、校正データを従来と同様に取得する場合は、本実施形態の校正用紫外線強度計33及び関連部品である例えば、遮光筒33、遮光筒34は全て省略することができる。
【0059】
なお、本実施形態の校正用紫外線強度計33の受光部33aの位置は、A群の紫外線ランプ14−(A)とB群の紫外線ランプ14−(B)に対して等距離の位置ではない。したがって、受光部33aから見て紫外線ランプ14−(A)、14−(B)の受光長Lsまでの距離が異なるため、その間に存在する対象流体による紫外線の減衰量が異なるので、合計紫外線強度を必ずしも精度よく計測することができない。しかし、紫外線照射装置の初期運転時に、監視用紫外線強度計32と校正用紫外線強度計33の合計紫外線強度を同一条件でそれぞれ計測し、それらの比率を補正比率として校正データに含めて記録しておけば、精度よく校正することができる。
【0060】
(実施形態2)
本発明の紫外線照射装置の実施形態2について説明する。本実施形態が実施形態1と異なる点は、校正用紫外線強度計の構成にある。そこで、本実施形態の校正用紫外線強度計の主要部の構成を図6に示して説明する。その他の点は、実施形態1と同一であることから、図示を省略する。
【0061】
本実施形態は、図1に記載の紫外線照射装置における校正用紫外線強度計33を用いて、複数の紫外線ランプ14の紫外線強度を個別に計測できるようにしたことにある。すなわち、図6に示すように、校正用紫外線強度計33は、実施形態1の第1遮光筒である遮光筒33cに代えて遮光筒43が用いられ、遮光筒43の外周に同軸に第2遮光筒である遮光筒44が固定して設けられ、二重の遮光筒43,44を備えて構成されている。また、支持ロッド33bは図示していない回転機構によって回転可能に設けられ、これによって遮光筒43が遮光筒44に対して回転駆動される点が相違する。その他の部品は、実施形態1と同一構成を有することから同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
遮光筒43には、A群の紫外線ランプ14−(A)に対応する軸方向位置に1個のランプ選択孔43aが穿設され、B群の紫外線ランプ14−(B)に対応する軸方向位置に1個のランプ選択孔43bが穿設されている。これらのランプ選択孔43a,43bは遮光筒43の周方向に180°位相をずらして設けられている。すなわち、各ランプ選択孔43a,43bは、A群の紫外線ランプ14−(A)又はB群の紫外線ランプ14−(B)の受光長Lsから照射される紫外線を受光部33aに導く軸方向位置に穿設され、かつ、それらの孔径は、受光長Lsから照射される紫外線を受光可能な大きさに設定されている。
【0063】
一方、遮光筒44には、9本の紫外線ランプ14−1(A)〜14−9(B)に合わせて、9個の導光孔44−1(A)〜44−9(B)が、A群とB群に対応させて軸方向の2か所に分散され、かつ図3の0°位置を基準に周方向に分散して穿設されている。すなわち、各導光孔44−1(A)〜44−9(B)は、それぞれ対応する紫外線ランプ14−1(A)〜14−9(B)の受光長Lsからの紫外線を、遮光筒43のランプ選択孔43a又は43bを通して受光部33aに導くようになっている。なお、これらの導光孔44−1(A)〜44−9(B)は、遮光筒43を回転して計測対象の紫外線ランプ14−1(A)〜14−9(B)を選択した位置において、ランプ選択孔43a又は43bに紫外線を導けばよい。したがって、各導光孔44−1(A)〜44−9(B)の孔径の精度は要求されないので大きめの孔径にすることができる。
【0064】
このように構成される本実施形態によれば、実施形態1と同様に監視用紫外線強度計32を用いて全部の紫外線ランプ14の合計紫外線強度を常時計測することができる。また、校正用紫外線強度計33を用いれば、以下に述べるように、各紫外線ランプ14−1(A)〜14−9(B)の紫外線強度を個別に計測するとともに、その計測値に基づいて校正データを取得することができる。まず、支持ロッド33bを図示矢印45のようにいずれかの方向に回転して、例えば、遮光筒43のランプ選択孔43aを遮光筒44の導光孔44−1(A)に合わせる。これにより、紫外線ランプ14―1(A)の受光長Lsから紫外線がランプ選択孔43aを通して受光部33aに導かれる。また、遮光筒43のランプ選択孔43bを遮光筒44の導光孔44−4(B)に合わせると、紫外線ランプ14―4(B)の受光長Lsから紫外線がランプ選択孔43bを通して受光部33aに導かれる。このようにして、遮光筒43をいずれかの方向に1回転する間に、ランプ選択孔43a又は43bによって1個の紫外線ランプ14が順次選択され、選択された紫外線ランプ14の受光長Lsから照射される紫外線のみが受光部33aに導かれ、紫外線ランプ14の個別の紫外線強度を計測することができる。また、個別の紫外線強度の計測値を積算又は合計することにより、合計紫外線強度を求めることができ、これを校正データとして記録する。
【0065】
本実施形態によれば、校正用紫外線強度計33の受光部33aを包囲して固定された第1遮光筒である遮光筒44と、筒軸周りに回転可能な第2遮光筒である遮光筒43とを二重に設け、遮光筒44の筒壁に各紫外線ランプ14にそれぞれ対応する複数の導光孔44−1(A)〜44−9(B)が穿設され、遮光筒43の筒壁にランプ軸方向が異なる位置の紫外線ランプ14−(A)と14−(B)に対応する複数(2つ)のランプ選択孔43a,43bを穿設したことから、遮光筒43の回転角度を変えることにより、ランプ選択孔43a,43bが導光孔44−1(A)〜44−9(B)とが重ね合わさる位置に対応した1個の紫外線ランプ14から照射される紫外線の強度を個別に計測することができる。これにより、監視用紫外線強度計32による常時監視において、合計の紫外線強度が急に低下したとき、あるいは低下の度合いが比較的大きいなどの不具合が発生したとき、校正用紫外線強度計33により各紫外線ランプ14の個別の紫外線強度を計測して、紫外線ランプ14の球切れ、急速な性能劣化などを診断できる。
【0066】
(実施形態3)
図7に、本発明の紫外線照射装置の実施形態3の特徴部の構成を示す。本実施形態が実施形態1、2と異なる点は、監視用紫外線強度計及び校正用紫外線強度計の構成にある。そこで、本実施形態の監視用紫外線強度計32及び校正用紫外線強度計33の主要部の構成を図7を参照して説明する。その他の点は、実施形態1,2と同一であることから、図示及び説明を省略する。
【0067】
本実施形態の監視用紫外線強度計32及び校正用紫外線強度計33は、強度計保護管31内に同軸に収容して固定された遮光筒50内に、図示矢印51,52の軸方向にそれぞれ前進後退可能に挿入されている。これら監視用紫外線強度計32及び校正用紫外線強度計33を軸方向に前進後退させる駆動機構については図示していないが、それぞれの支持ロッド32b、33bの端部を強度計保護管31外に引き出し、その端部に取り付けたラック歯車にモータ軸に連結された歯車を噛み合わせて構成することができる。また、校正用紫外線強度計33は、図示矢印53に示すように、支持ロッド32bを図示していない回転駆動機構を介してステッピングモータ等の回転角度位置を高精度で制御可能なモータで回転可能に形成されている。
【0068】
監視用紫外線強度計32の受光部32a、遮光筒32c、固定部材32d等は、実施形態1の図4(b)と同一に形成されている。また、校正用紫外線強度計33の受光部33a、遮光筒33c、固定部材33d等は、実施形態2の図6と同一に形成されている。本実施形態の遮光筒50は、強度計保護管31内に位置を固定して設けられたアルミ製の筒体であり、図6と同様に導光孔44が穿設されている。特に、本実施形態の遮光筒50は、A群の紫外線ランプ14−(A)対応させて穿設された導光孔44−1(A)〜44−8(A)の軸方向位置と、B群の紫外線ランプ14−(B)対応させて穿設された導光孔44−2(B)〜44−9(B)の軸方向位置の中間点を、紫外線照射装置の流路中心面19の位置に合わせて固定している。
【0069】
このように構成されることから、本実施形態の監視用紫外線強度計32と校正用紫外線強度計33を用いて、以下に述べるように、紫外線照射装置の全部の紫外線ランプ14の合計紫外線強度と、各紫外線ランプ14の個別の紫外線強度と、監視用紫外線強度計32の校正データとを計測することができる。まず、通常時は、校正用紫外線強度計33を図1又は7において左側に後退させる。この後退量は、図7において受光部32aと受光部33aの位置を、少なくとも流路中心面19に互いに置き換えられればよい。これにより、受光部33aは遮光筒50の導光孔44から外れ、受光部33aに導光される紫外線が遮断されるから、受光部33aの変換材料の劣化が抑制される。この状態にて、監視用紫外線強度計32を前進させて受光部32aを流路中心面19の位置に合わせる。これにより、各紫外線ランプ14から照射される紫外線が遮光筒50の導光孔44と遮光筒32cの導光孔36を通して受光部32aに導かれ、全部の紫外線ランプ14の合計紫外線強度を計測することができる。
【0070】
一方、校正データ取得時は、監視用紫外線強度計32を図1又は図7において右側に後退させ、校正用紫外線強度計33を前進させて受光部33aの位置を流路流中心面19の位置に合わせる。これにより、各紫外線ランプ14から照射される紫外線が遮光筒50の導光孔44から受光部33aに導くことが可能になる。しかし、遮光筒33cのランプ選択孔43a、43bの位置によっては、受光部33aに達する紫外線が遮光される。次に、支持ロッド33bを介して遮光筒33cを回転させ、ランプ選択孔43a、43bのいずれか一方と導光孔44の1つが重なり合うと、1つの紫外線ランプ14の受光長Lsから照射される紫外線が受光部33aに導かれ、その1つの紫外線ランプ14の個別紫外線強度を計測することができる。このようにして、遮光筒33cを回転させて計測対象の1つの紫外線ランプ14を順次選択して、全ての紫外線ランプ14の紫外線強度を個別に計測する。
【0071】
ここで、校正用紫外線強度計33は、通常時は受光部33aが遮光筒50によって紫外線が遮られており、計測時のみ受光部33aに紫外線が導入されるので紫外線の暴露時間が極めて短いため、容器1内に常時装着しておいても、受光部33aの変換材料の劣化が少ない。したがって、校正用紫外線強度計33によって計測された各紫外線ランプ14の紫外線強度を積算又は合計することにより、監視用紫外線強度計32の合計紫外線強度の計測値の校正データを取得できる。
【0072】
すなわち、本実施形態は、強度計保護管31に第1遮光筒である遮光筒50が固定して設けられ、この遮光筒50の両端から監視用紫外線強度計32と校正用紫外線強度計33とが挿入され、それらの紫外線強度計32,33はそれぞれ受光部32a、32bが強度計保護管31の流路中心面19の位置と、その位置から挿入方向に沿って後退した位置との間で移動可能に設けられている。また、第1遮光筒である遮光筒50の筒壁にランプ軸方向が異なる位置と周方向位置が異なる各紫外線ランプ14にそれぞれ対応させ、流路中心面19から軸方向に振り分けてA群の導光孔44―(A)とB群の導光孔44―(B)が周方向に分散して穿設されている。また、監視用紫外線強度計32の受光部32aを包囲する第2遮光筒である遮光筒32cが受光部32aに固定して設けられ、かつその受光部32aが支持ロッド32bを介して軸方向に移動可能に設けられている。遮光筒32cの筒壁には、ランプ軸方向が異なる位置の各紫外線ランプ14に対応させて複数の導光孔36が穿設されている。一方、校正用紫外線強度計33の受光部33aを包囲する第3遮光筒である遮光筒33cが受光部33aを支持する支持ロッド33bに固定して設けられている。また、校正用紫外線強度計33の受光部33aが軸周りに回転可能にかつ軸方向に移動可能に設けられ、遮光筒33cの筒壁にランプ軸方向が異なる位置の各紫外線ランプ14−(A)、14−(B)に対応させて複数(図示例では2個)のランプ選択孔43a、43bが穿設されている。さらに、監視用紫外線強度計32の受光部32aを軸方向に移動させる第1駆動機構(図示せず。)と、校正用紫外線強度計33の受光部33aを軸周りに回転させる第2駆動機構(図示せず。)及び軸方向に移動させる第3駆動機構(図示せず。)とが設けられている。
【0073】
そして、監視時は、監視用紫外線強度計32の受光部32aを流路中心面19に位置させて全ての紫外線ランプ14から照射される合計紫外線強度を計測する。校正データ取得時は、監視用紫外線強度計33の受光部33aを後退させて、校正用紫外線強度計33の受光部33aを流路中心面19に位置させ、遮光筒33cを回転させてランプ選択孔43a、43bが遮光筒50の導光孔44のいずれか1つに重ね合わさせられる位置に対応した1個の紫外線ランプ14から照射される紫外線を受光部33aに導入可能に形成されている。特に、遮光筒32cの導光孔36と遮光筒33cのランプ選択孔43a、43bは、それぞれランプ保護管13に収容された1又は複数の紫外線ランプ14の発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を受光部32a、33aに導く位置及び孔径に設定されている。
【0074】
特に、本実施形態によれば、監視用紫外線強度計32と校正用紫外線強度計33は、いずれも流路中心面19において各紫外線ランプ14−(A)と14−(B)の紫外線強度を計測している点で、実施形態1,2と相違する。つまり、受光部32aと各紫外線ランプ14−(A)と14−(B)の受光長までの距離と、受光部33aと各紫外線ランプ14−(A)と14−(B)の受光長までの距離が等距離であるから、対象流体の透過率に拘わらず同一の条件で各紫外線ランプの紫外線強度を計測できる。これにより、本実施形態によれば、実施形態1,2に比べて、精度よく合計紫外線強度と、個別の紫外線強度と、校正データを関係付けて計測することができる。
【0075】
(実施形態4)
図8に、本発明の紫外線照射装置の実施形態4の特徴部の構成を示す。本実施形態は実施形態3の変形例であり、校正用紫外線強度計33の遮光筒の構成が相違する。そこで、本実施形態の監視用紫外線強度計32及び校正用紫外線強度計33の主要部の構成を図8に示して説明する。その他の点は、実施形態1、3と同一であることから、図示を省略する。
【0076】
図8に示すように、本実施形態が図7の実施形態3と相違する点は、まず、図6の校正用紫外線強度計33の遮光筒33cの複数のランプ選択孔43a、43bに代えて、図4の実施形態1の複数の導光孔37を採用したことにある。また、図6の校正用紫外線強度計33の遮光筒44に代えて、図4の実施形態1の遮光筒34に代えてランプ選択孔61を有する遮光筒60を強度計保護管31の外周に装着したことにある。また、遮光筒60は図8の矢印63に示すように軸方向移動可能に設け、洗浄機構21のワイパー保持部材24に支持させて設けられている。すなわち、遮光筒33cには、図8(a)に示すように、複数(図示例では9個)の導光孔37−1(A)〜37−9(B)が穿設されている。そして、遮光筒60には、遮光筒33cの導光孔37の周方向位置に対応させて、軸方向に位置をずらして複数(図示例では9個)のランプ選択孔61−1〜61−9が穿設されている。そして、洗浄機構21を移動させて遮光筒60を図示矢印63の方向に移動させることにより、ランプ選択孔61−1〜61−9と導光孔37−1(A)〜37−9(B)が重なり合う位置の紫外線ランプ14が選択され、選択された紫外線ランプ14の受光長から照射される紫外線が受光部33aに受光されて、紫外線強度を個別に計測するようになっている。
【0077】
このように構成されることから、実施形態3と同様に、監視用紫外線強度計32と校正用紫外線強度計33の受光部32a、33aをそれぞれ流路中心面19の位置に移動して,紫外線強度を計測できる。そのため、A群とB群の紫外線ランプから見た対称位置における紫外線強度を計測できるから計測精度を高くできる。つまり、受光部32aと各紫外線ランプ14−(A)と14−(B)の受光長までの距離と、受光部33aと各紫外線ランプ14−(A)と14−(B)の受光長までの距離が等距離であるから、対象流体の透過率に拘わらず同一の条件で各紫外線ランプの紫外線強度を計測できる。これにより、本実施形態によれば、実施形態3と同様、精度よく合計紫外線強度と、個別の紫外線強度と、校正データを関係付けて計測することができる。また、精度の高い校正データを取得できるなどの効果に加え、遮光筒60の移動に洗浄機構21を用いていることから、実施形態3よりも移動機構を簡素化できる。
【0078】
(実施形態5)
図示していないが、図1、図4の実施形態1の遮光筒34に代えて、実施形態4の遮光筒60を適用することができる。これによれば、実施形態1の効果に加えて、実施形態2と同様に、紫外線強度を個別に計測することができ、かつ校正データを取得することができる。
【0079】
以上説明したように、本発明の各実施形態では、紫外線出力の総量の要求値を満たすように、同一の公称出力(電気入力120W/cm、発光長25cm)の中圧水銀ランプを9本用いた例を示した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、紫外線出力の総量の要求値に合わせ、紫外線照射領域における照射性能を考慮して、適宜、公称出力が異なる紫外線ランプを適宜組み合わせて構成することができる。
【0080】
また、複数の紫外線ランプ14を仮想円筒18上に等間隔で配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、紫外線照射領域を流通する対象流体が受ける紫外線の照射密度を均等化することを満たすために、仮想円筒18上に不等間隔で配置することを妨げるものではない。また、紫外線ランプ14に、低圧銀ランプを用いて構成することができる。
【0081】
また、実施形態1〜5では、周方向の同一位置に1本ずつの紫外線ランプ14を配置した例を示したが、本発明はこれに限らず、以下に述べるように、周方向の異なる位置ごとに、1又は複数の紫外線ランプ14を配置することができる。
【0082】
(実施形態6)
図9に、本発明の紫外線ランプ配置が異なる実施形態6を示す。本実施形態6が実施形態1と異なる点は、ランプ保護管と紫外線ランプの配置構成にあり、その他の構成は実施形態1と同一であるから記載を適宜省略して示している。同図(a)は、本実施形態の紫外線ランプ配置構成を、対象流体の管路2の流入口6側から見た図であり、同図(b)は実施形態1の図3と同様にランプ軸に直交する断面図である。本実施形態の紫外線ランプ配置構成は、対象流体の管路2の管径が実施形態1よりも大きい(例えば600〜1000mm)、比較的中型の紫外線照射装置に適する例である。
【0083】
図9に示すように、本実施形態の複数(図示例では、6本)のランプ保護管13は、1本の紫外線ランプ14が収容された第1のランプ保護管13(図示例では、2本)と、複数本(図示例は、2本)の紫外線ランプ14が収容された第2のランプ保護管13II(図示例では、4本)が備えられている。第1のランプ保護管13内の紫外線ランプ14は、紫外線ランプ14の軸方向中心、つまり発光長の中心を実施形態1で説明した流路中心面19に位置させて対称に配置している。第2のランプ保護管13II内の複数本(図示例は、2本)の紫外線ランプ14a,14bは、同様に流路中心面19に対して対称にずらして配置されている。
【0084】
このように、本実施形態によれば、第2のランプ保護管13IIに収容する複数本(図示例は、2本)の紫外線ランプ14a,bを流路中心面19に対して、保護管軸方向に互いに対称に配置したことから、流入管2の紫外線照射領域に流れる対象流体に対する紫外線照射量を均等化できる。また、流路断面における紫外線ランプ14a,bをランプ軸方向に広く分散できるから照射密度を向上でき、管路2に流れる対象流体が受ける紫外線の照射性能を高めることができる。
【0085】
本実施形態では、第2のランプ保護管13IIに収容される複数本の紫外線ランプ14a,bを流路中心面19に対して対称にずらして配置したが、本発明はこれに限られるものではない。要は、第2のランプ保護管13IIに収容する複数本の紫外線ランプ14a,bを保護管軸方向(ランプ軸方向)に分散して配置すればよい。例えば、図9(b)の流れ方向の前後に重なって配置される複数本のランプ保護管13IIに収容される紫外線ランプ14a,bは、互いに保護管軸方向の発光長の重なりを少なくするように、保護管軸方向に位置をずらして収容することが好ましい。
【0086】
また、本実施形態では、ランプ保護管13の本数が6本の例を示したが、本発明はこれに限らず、本数を増やすことにより、あるいは1本の保護管に収容する紫外線ランプ14の本数を減らすことにより、装置の全体の紫外線照射量を増減調整することができ、設計の自由度を向上することができる。例えば、1本の保護管に収容する紫外線ランプ14の本数を実施形態1のように適宜減らすことにより、装置の全体の紫外線照射量を満たし、かつ、紫外線の照射密度を適宜調整することができる。さらに、ランプ保護管13の本数を増やす一方で、1本の保護管に収容する紫外線ランプ14の本数を適宜減らすことができる。
【0087】
(実施形態7)
図10に、本発明の紫外線照射装置の実施形態7の紫外線ランプ配置構成を示す。本実施形態が実施形態1と異なる点は、ランプ保護管と紫外線ランプの配置構成にあり、その他の構成は実施形態1と同一であるから記載を適宜省略して示している。同図(a)は、本実施形態の紫外線ランプ配置構成を、対象流体の管路2の流入口6側から見た図であり、同図(b)は実施形態1の図3と同様にランプ軸に直交する断面図である。本実施形態の紫外線ランプ配置構成は、対象流体の流入管2の管径が実施形態1及び実施形態6よりも大きい(例えば1000mm以上)の比較的大型の紫外線照射装置に適する。
【0088】
図10に示すように、本実施形態の複数(図示例では、8本)のランプ保護管13は、複数本(図示例では、2本)の紫外線ランプ14が収容された第1のランプ保護管13(図示例では、2本)と、複数本(図示例は、3本)の紫外線ランプ14が収容された第2のランプ保護管13II(図示例では、6本)が備えられている。第1のランプ保護管13内の紫外線ランプ14は、紫外線ランプ14の発光長の中心を実施形態1で説明した流路中心面19に対して対称に配置されている。第2のランプ保護管13II内の複数本(図示例は、3本)の紫外線ランプ14a,14b、14cは、同様に流路中心面19に対して対称にずらして配置されている。
【0089】
このように、本実施形態によれば、第2のランプ保護管13に収容する複数本(図示例は、3本)の紫外線ランプ14a,b、cを流路中心面19に対して、保護管軸方向に互いに対称に配置したことから、対象流体の流入管2に流れる対象流体に対する紫外線照射量を均等化できる。また、流路断面における紫外線ランプ14a,b、cをランプ軸方向に広く分散できるから照射密度を向上でき、管路2に流れる対象流体が受ける紫外線の照射性能を上げることができる。
【0090】
本実施形態では、第2のランプ保護管13IIに収容される複数本の紫外線ランプ14a,b、cを流路中心面19に対して対称にずらして配置したが、本発明はこれに限られるものではない。要は、第2のランプ保護管13IIに収容する複数本の紫外線ランプ14a,b、cを保護管軸方向(ランプ軸方向)に分散して配置すればよい。例えば、図10(b)の流れ方向の前後に重なって配置される複数本のランプ保護管13IIに収容される紫外線ランプ14a,b、cは、互いに保護管軸方向の発光長の重なりを少なくするように、保護管軸方向に位置をずらして収容することが好ましい。
【0091】
なお、上記の各実施形態において、紫外線照射装置の容器1の軸を横向きに配置し、これに対して対象流体の流入管2を横向きに配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、いずれか一方を縦向きに配置してもよい。
【0092】
また、ランプ配置を変えた実施形態6,7において、図示を省略したが、ランプ保護管13及び強度計保護管31の外表面に付着する汚れを除去するための洗浄装置を必要に応じて設けることができる。また、各紫外線ランプ14の個々の紫外線強度又は全体の紫外線強度を測定する監視用紫外線強度計及び校正用紫外線強度計を必要に応じて設けることができる。図9の実施形態6に監視用紫外線強度計及び校正用紫外線強度計を設ける場合は、実施形態1〜5の構成をそのまま転用することができる。
【0093】
また、図10の実施形態7に監視用紫外線強度計及び校正用紫外線強度計を設ける場合は、実施形態1〜5の構成をそのまま転用することができる。また、監視用紫外線強度計を軸方向位置が異なる紫外線ランプ14を複数の群に分け、群ごとの紫外線ランプ14の中心位置に受光部を移動させて群ごとの合計紫外線強度を計測して合計することができる。また、校正用紫外線強度計の場合は、例えば、図7の実施形態3の校正用紫外線強度計を適用し、軸方向位置が異なる紫外線ランプ14の複数の群の中心位置に受光部を移動させて、個別に紫外線ランプの紫外線強度を計測するとともに、校正データを取得することができる。
【0094】
さらに、各紫外線ランプ14は、通常、両端にフィラメントを備えて形成され、それらのフィラメントに電気を供給するケーブルが、紫外線ランプ14の両端から引き出された電極端子に接続される。しかし、両端のフィラメントに接続される電極端子を紫外線ランプ14の片側から引き出した形式のものを用いてもよい。後者の形式の紫外線ランプ14は、1本のランプ保護管13に2本の紫外線ランプ14を収容する場合、紫外線ランプ14に電力を供給するケーブルが高温の紫外線ランプ14に接触することがないので好ましい。なお、1本のランプ保護管13に3本以上の紫外線ランプ14を収容する場合は、ケーブルが高温の紫外線ランプ14に接触することがあるので、耐熱性が高いガラス繊維被覆ケーブルや金属被覆ケーブルを用いればよい。
【符号の説明】
【0095】
1 容器
2 流入管
6 流入口
7 流出口
10 管体
11 エンドプレート
13 ランプ保護管
14 紫外線ランプ
18 仮想円筒
19 流路中心面
21 洗浄機構
22 走行レール
23 走行台車
24 ワイパー保持部材
25 ワイパー
31 強度計保護管
32 監視用紫外線強度計
32a 受光部
32b 支持ロッド
32c 遮光筒
33 校正用紫外線強度計
33a 受光部
33b 支持ロッド
33c 遮光筒
34 遮光筒
36 導光孔
37 導光孔
43 遮光筒
43a,43b ランプ選択孔
44 導光孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の容器と、前記容器軸を中心軸とする仮想円筒の周方向に分散して前記容器内に設けられた透明な複数のランプ保護管と、前記各ランプ保護管内に収容された紫外線ランプと、前記仮想円筒と同軸に前記容器内に設けられた透明な強度計保護管と、該強度計保護管内に挿入された受光部を有する監視用紫外線強度計と、前記容器軸に直交する筒壁の対向する位置に設けられ、対象流体の流通管路が接続される流入口及び流出口とを備えてなる紫外線照射装置において、
前記ランプ保護管には1又は複数の前記紫外線ランプが収容され、前記各ランプ保護管に収容される前記紫外線ランプの発光部が、前記流通管路の中心を通り前記ランプ保護管の軸に直交する流路中心面を基準に、前記ランプ保護管の軸方向に位置をずらして収容され、前記監視用紫外線強度計は、前記強度計保護管が前記流路中心面と交差する中心位置に受光部を位置させて挿入され、前記受光部を包囲して円筒状の遮光筒が設けられ、該遮光筒は軸方向及び周方向に分散させて紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が筒壁に穿設され、該各導光孔は前記各紫外線ランプの発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を、前記各紫外線ランプの位置に応じて前記受光部に導く位置に設けられていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紫外線照射装置において、
前記強度計保護管に前記監視用紫外線強度計が挿入された反対側の端部から校正用紫外線強度計が挿入され、該校正用紫外線強度計の受光部を前記監視用紫外線強度計の受光部から離した位置に固定され、該校正用紫外線強度計の受光部を包囲する円筒状の第1遮光筒が設けられ、該第1遮光筒を包囲する円筒状の第2遮光筒が軸方向移動可能に設けられ、前記第1遮光筒は軸方向及び周方向に分散させて紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が筒壁に穿設され、該各導光孔は前記各紫外線ランプの発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を、前記各紫外線ランプの位置に応じて前記受光部に導く位置及び径に設定され、前記第2遮光筒は前記第1遮光筒の全ての前記導光孔を覆う第1位置と全て露出させる第2位置の間で移動可能に設けられてなることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項3】
請求項1に記載の紫外線照射装置において、
前記強度計保護管に前記監視用紫外線強度計が挿入された反対側の端部から校正用紫外線強度計が挿入され、該校正用紫外線強度計の受光部は前記監視用紫外線強度計の受光部から離した位置に固定され、該校正用紫外線強度計の受光部を包囲して固定された第1遮光筒と筒軸周りに回転可能な第2遮光筒とが二重に設けられ、第1遮光筒の筒壁にランプ軸方向が異なる位置と周方向位置が異なる前記各紫外線ランプにそれぞれ対応させて紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が穿設され、第2遮光筒の筒壁にランプ軸方向が異なる位置の前記紫外線ランプに対応させて複数のランプ選択孔が穿設され、前記第2遮光筒の回転角度を変えて前記導光孔と前記ランプ選択孔が重ね合わさる位置に対応した1個の前記紫外線ランプから照射される紫外線を前記受光部に導入可能に形成し、前記第1遮光筒と前記第2遮光筒のうち前記受光部側に設けられる遮光筒に穿設される前記導光孔又は前記ランプ選択孔は、それぞれ前記ランプ保護管に収容された1又は複数の前記紫外線ランプの発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を前記受光部に導く位置に設けられていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項4】
請求項1に記載の紫外線照射装置において、
前記強度計保護管に第1遮光筒が固定して設けられ、該第1遮光筒の両端から前記監視用紫外線強度計と校正用紫外線強度計とが挿入され、前記監視用紫外線強度計と前記校正用紫外線強度計は、それぞれの受光部が、前記強度計保護管が前記流路中心面と交差する前記中心位置と該中心位置から挿入方向に沿って後退した位置との間で移動可能に設けられ、
前記第1遮光筒の前記中心位置に対応する筒壁に、ランプ軸方向が異なる位置と周方向位置が異なる前記紫外線ランプにそれぞれ対応させて紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が穿設され、
前記監視用紫外線強度計が軸方向に移動可能に設けられ、当該監視用紫外線強度計の前記受光部を包囲する第2遮光筒が当該受光部に固定して設けられ、該第2遮光筒の筒壁にランプ軸方向が異なる位置の前記紫外線ランプに対応させて紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が穿設され、
前記校正用紫外線強度計の前記受光部を包囲する第3遮光筒が前記受光部に固定して設けられ、前記校正用紫外線強度計の前記受光部が軸周りに回転可能にかつ軸方向に移動可能に設けられ、該第3遮光筒の筒壁にランプ軸方向が異なる位置の前記紫外線ランプに対応させて複数のランプ選択孔が穿設され、
前記監視用紫外線強度計の前記受光部を軸方向に移動させる第1駆動機構と前記校正用紫外線強度計の前記受光部を軸周りに回転させる第2駆動機構及び軸方向に移動させる第3駆動機構とが設けられ、
監視時は、前記監視用紫外線強度計の前記受光部を前記中心位置に位置させて全ての前記紫外線ランプから照射される合計紫外線強度を計測し、
校正データ取得時は、前記監視用紫外線強度計の前記受光部を後退させて、前記校正用紫外線強度計の前記受光部を前記中心位置に位置させ、前記第3遮光筒を回転させて前記ランプ選択孔が前記第1遮光筒の前記導光孔に重ね合わさせられる位置に対応した1個の紫外線ランプから照射される紫外線を前記受光部に導入可能に形成され、
前記第2遮光筒の前記導光孔と前記第3遮光筒の前記ランプ選択孔は、それぞれ前記ランプ保護管にそれぞれ収容された1又は複数の前記紫外線ランプの発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を前記受光部に導く位置に設けられていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項5】
請求項1に記載の紫外線照射装置において、
前記強度計保護管に前記監視用紫外線強度計が挿入された反対側の端部から校正用紫外線強度計が挿入され、該校正用紫外線強度計の受光部が前記監視用紫外線強度計の受光部から離した位置に固定され、該校正用紫外線強度計の受光部を包囲する円筒状の第1遮光筒が設けられ、該第1遮光筒を包囲する円筒状の第2遮光筒が軸方向移動可能に設けられ、前記第1遮光筒の筒壁に軸方向及び周方向に分散させて、前記各紫外線ランプの発光長中心を基準に設定された受光長から照射される紫外線を前記受光部に導く複数の導光孔が穿設され、該各導光孔は前記各ランプ保護管の位置に応じて前記受光長から照射される紫外線を前記受光部に導く位置に設けられ、前記第2遮光筒は筒壁の軸方向及び周方向にずらして前記第1遮光筒の前記導光孔の位置に対応する位置に複数のランプ選択孔を穿設して形成され、かつ、軸方向に移動可能に設けられてなることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の紫外線照射装置において、
前記容器の両端間に渡して設けられた複数本の走行レールと、前記走行レール上を走行可能に設けられた複数の走行台車と、前記走行台車に支持されたワイパー保持部材と、前記ワイパー保持部材に支持されて前記各ランプ保護管と前記強度計保護管の外周面に嵌合されたワイパーと、前記走行台車を走行させて前記ワイパーを前記ランプ保護管と前記強度計保護管の外周面に摺動させる洗浄駆動機構とを備え、
前記ワイパーは、前記ランプ保護管と前記強度計保護管の外周に遊嵌する内径を有する円盤状に形成されたブラシ部と、該ブラシ部の外周縁を緩く保持する環状溝を有するブラシ保持部材とを備えて形成され、該ブラシ保持部材を介して前記ワイパー保持部材に支持されてなることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項7】
請求項2に記載の紫外線照射装置において、
前記容器の両端間に渡して設けられた複数本の走行レールと、前記走行レール上を走行可能に設けられた複数の走行台車と、前記走行台車に支持されたワイパー保持部材と、前記ワイパー保持部材に支持されて前記各ランプ保護管と前記強度計保護管の外周面に嵌合されたワイパーと、前記走行台車を走行させて前記ワイパーを前記ランプ保護管と前記強度計保護管の外周面に摺動させる洗浄駆動機構とを備え、
前記ワイパーは、前記ランプ保護管と前記強度計保護管の外周に遊嵌する内径を有する円盤状に形成されたブラシ部と、該ブラシ部の外周縁を緩く保持する環状溝を有するブラシ保持部材とを備えて形成され、該ブラシ保持部材を介して前記ワイパー保持部材に支持されてなり、
前記第2遮光筒は、前記強度計保護管の外周を包囲して設けられ、かつ、前記ワイパー保持部材に支持させて設けられ、前記洗浄駆動機構により前記第1位置と前記第2位置の間で移動されることを特徴とする紫外線照射装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−103180(P2013−103180A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249050(P2011−249050)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(591023985)千代田工販株式会社 (15)
【Fターム(参考)】