説明

紫外線硬化発泡体

【課題】長期使用によっても変色し難く、ガスケットやパッキン等のシール材や、家具や情報機器等の足ゴムなどの衝撃緩衝材として好適な紫外線硬化発泡体の提供を目的とする。
【解決手段】オリゴマー、紫外線重合開始剤を含み、発泡させた紫外線硬化性樹脂原料Pを紫外線照射手段41で硬化させた紫外線硬化発泡体Aにおいて、前記オリゴマーを、脂肪族または脂環式イソシアネートと、ポリオールと、イソシアネート基を有するアクリル酸エステル系単量体から合成される、不飽和二重結合官能基数2、分子量8,000〜31,000のウレタンアクリレートオリゴマーとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガスケットやパッキン等のシール材や、家具や情報機器等の足ゴムなどの衝撃緩衝材として好適な紫外線硬化発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、精密機器等を机や床等に安定に設置するために、精密機器等には足ゴムが取り付けられることがある。足ゴムとして、ポリウレタンフォームやゴムあるいはシリコンフォーム等からなるものが使用されている。また、それらの中でも、ポリウレタンフォームは歪みが小さく、また着色も容易なため、足ゴムとして好適なものである。
【0003】
ところで、近年、デザイン性向上等の観点から、白色の情報機器には白色の足ゴムが求められるようになった。白色の足ゴムは、使用中に変色し難い材料で構成する必要があり、芳香族イソシアネートを用いる芳香族ポリウレタンフォームは変色し易いため、白色足ゴムの材料として使用することができず、一方、脂肪族イソシアネートを用いる脂肪族ポリウレタンフォームは、イソシアネートとポリオールの反応性が低いため、製造にコストが嵩むなどの理由により白色足ゴムの材料としては好ましいものではなかった。
【0004】
また、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム20〜60重量%とエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体20〜50重量%とスチレン系ブロック共重合体20〜50重量%とからなる足ゴムが提案されている(特許文献1)。しかし、この足ゴムは未発泡品であって緩衝性が無く、しかも着色に関する配慮が無く、長期使用後の変色について検討されていなかった。
【0005】
また、ラジカル重合を応用した放射線硬化発泡体も提案されている(特許文献2)が、ラジカル重合では架橋密度が急激に高くなるため、柔軟性が要求される足ゴムには使用されていなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平6−287376号公報
【特許文献2】特開平7−258978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は前記の点に鑑みなされたものであって、長期使用によっても変色し難く、ガスケットやパッキン等のシール材や、家具や情報機器等の足ゴムなどの衝撃緩衝材として好適な紫外線硬化発泡体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、オリゴマー、紫外線重合開始剤を含む紫外線硬化性樹脂原料を発泡させて紫外線で硬化させた紫外線硬化発泡体において、前記オリゴマーが、脂肪族または脂環式イソシアネートと、ポリオールと、イソシアネート基を有するアクリル酸エステル系単量体から合成されるウレタンアクリレートオリゴマーであることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記ウレタンアクリレートオリゴマーが不飽和二重結合官能基数2、分子量が8,000〜31,000であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、オリゴマー、紫外線重合開始剤を含む紫外線硬化性樹脂原料を発泡させて紫外線で硬化させた紫外線硬化発泡体において、前記オリゴマーが、脂肪族または脂環式イソシアネートと、ポリオールと、イソシアネート基を有するアクリル酸エステル系単量体から合成されるウレタンアクリレートオリゴマーであるとしたことにより、変色し難く、ガスケットやパッキン等のシール材や、家具や情報機器等の足ゴムなどの衝撃緩衝材として好適な柔軟性を有する発泡体を得ることができる。
【0011】
以下この発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の紫外線硬化発泡体は、オリゴマー、紫外線重合開始剤を含む紫外線硬化性樹脂原料を発泡させて紫外線で硬化させたものである。
【0012】
前記オリゴマーは、脂肪族または脂環式イソシアネートと、ポリオールと、イソシアネート基を有するアクリル酸エステル系単量体から合成されるウレタンアクリレートオリゴマーが用いられる。
【0013】
脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート等を挙げることができ、また脂環式イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等を挙げることができる。
【0014】
ポリオールは、ポリエーテルポリオールが好ましい。使用可能なポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール等を開始剤として、エチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等を付加反応させることにより得られる2官能のポリエーテルポリオール、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどを開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等を付加反応させることにより得られる3官能のポリエーテルポリオール等を挙げることができる。
【0015】
イソシアネート基を有するアクリル酸エステル系単量体としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート等を挙げることができる。
【0016】
前記ウレタンアクリレートオリゴマーは、不飽和二重結合官能基数2、分子量8,000〜31,000が好ましい。不飽和二重結合官能基数2未満では架橋構造が形成されず樹脂化できなくなり、一方3以上では架橋密度が高く、剛直となって柔軟性が損なわれる。また、分子量8,000未満の場合には柔軟性がなくなり、一方、分子量31,000を超える場合には発泡困難となる。
【0017】
前記ウレタンアクリレートオリゴマーの製造は、前記脂肪族または脂環式イソシアネートと、ポリオールと、イソシアネート基を有するアクリル酸エステル系単量体から、公知のプレポリマー製造方法と同様の方法で製造される。具体的には、所定温度(例えば80℃)に加熱したタンクに前記ポリオールを所定量投入し、窒素を充填した状態で攪拌しながら、イソシアネートとイソシアネート基を有するアクリル酸エステル系単量体とを所定量投入して反応させることにより行われる。その際、前記オリゴマーの不飽和二重結合官能基数が2、分子量が8,000〜31,000となるようにイソシアネート、ポリオール、及びイソシアネート基を有するアクリル酸エステル系単量体が選択される。本発明における不飽和二重結合官能基とは、光重合性炭素−炭素二重結合を有する官能基をいい、例えば、メタクリレート基、アクリレート基などが挙げられる。
【0018】
紫外線重合開始剤は、オリゴマーの重合反応を開始させるものであり、紫外線によりフリーラジカルを生成する。紫外線重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン系、アミノアセトフェノン系、アシルアセトフェノン系、オキシムアセトフェノン系等を用いることができる。例えば、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、α、α−ジエトキシアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、メチルフェニルグリオキシレート、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−o−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−o−エトキシカルボニルオキシム等を挙げることができる。
【0019】
その他、整泡剤、適宜の着色剤等が紫外線硬化性樹脂原料に含まれる。整泡剤は、発泡時に気泡の安定化、気泡の微細化等を行うものであり、界面活性剤を挙げることができる。また、着色剤は、前記紫外線硬化発泡体に求められる色のものが用いられる。例えば、紫外線硬化発泡体を白色とする場合には白色の着色剤が用いられる。
【0020】
本発明の紫外線硬化発泡体は、歪み(JIS K 6400準拠)を0.5〜4.0%、ΔYI(イエローインデックス、色差)を0〜0.15としたものが好ましい。歪みが0.5%未満の場合には紫外線硬化発泡体が柔らかすぎ、一方、歪みが4.0%を超える場合には硬くなりすぎ、緩衝性が必要とされる足ゴムやガスケット、パッキン等の衝撃緩衝材としては適さなくなる。また、ΔYIが0.15を超える場合には、紫外線硬化発泡体の変色が大きくなって、紫外線硬化発泡体を特に白色のような変色が目立ちやすい色の製品の材料として使用することができなくなる。なお、ΔYI(色差)は変色試験後のYI値(イエローインデックス)と変色試験前のYI値の差であり、JIS Z 8722に基づいて測定した値である。
【0021】
図1に前記紫外線硬化発泡体のための製造装置を示す。図示の製造装置10は、プラスチックフィルムの供給・巻き取り手段と、紫外線硬化性樹脂原料の発泡・塗布手段と、紫外線照射手段と、紫外線硬化発泡体の巻き取り手段とよりなる。
【0022】
プラスチックフィルムの供給・巻き取り手段は、プラスチックフィルム11が巻かれたプラスチックフィルム供給ロール13からプラスチックフィルム11を巻き戻して上方へ供給し、供給側下側ロール14で略水平方向へ向きを変えて所定距離供給した後に巻き取り側下側ロール15で下方へ向きを変え、紫外線硬化発泡体Aの下面から剥がしてプラスチックフィルム巻き取りロール16で巻き取るように構成されている。
【0023】
本発明の発泡体に関して発泡方法にはいくつかの方法がある。例えば、発泡剤として、低沸点有機溶媒を用い、紫外線硬化性樹脂原料と混合攪拌し、加熱することで発泡剤を気化させて発泡体を得る方法(物理的発泡剤による方法)や、紫外線硬化性樹脂原料を機械的に攪拌して気泡混入することによって発泡させる方法(機械的発泡による方法)がある。特に、上記機械的発泡法が、足ゴム材料として所望の硬度、密度を得るうえで好ましい。上記各種発泡方法により、発泡倍率は1.2倍〜50倍とすることができる。発泡倍率は、得られた発泡体の密度の逆数で求められる。以下の説明では紫外線硬化性樹脂原料の発泡・塗布手段に機械的発泡を用いた例を示す。
【0024】
紫外線硬化性樹脂原料の発泡・塗布手段は、前記略水平方向に供給される前記プラスチックフィルム11の上面に発泡後の紫外線硬化性樹脂原料Pを吐出する機械発泡装置21で構成される。前記機械発泡装置21は、外部から供給される不活性ガスを紫外線硬化性樹脂原料に混合攪拌して紫外線硬化性樹脂原料を機械発泡(起泡)させることが可能なオークスミキサー、ホバートミキサー等の各種ミキサーを備え、機械発泡後の紫外線硬化性樹脂原料Pを、前記略水平方向に供給されているプラスチックフィルム11の上面に吐出可能となっている。なお、前記機械発泡装置21としては、攪拌によって紫外線硬化性樹脂原料にガスを巻き込んで紫外線硬化性樹脂原料を発泡(起泡)させることができ、かつ発泡(起泡)状態で吐出可能なものであれば、制限なくする使用することができる。不活性ガスは、常温常圧で気体状態のものであって、紫外線硬化性樹脂を劣化させないものであれば、特に限定されない。例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム等の無機ガスや、フロンガス、低分子量の炭化水素等の有機ガスが挙げられる。不活性ガスの供給量は適宜決定されるが、窒素ガスの場合の供給量は1〜10L/minが好ましい。
【0025】
前記プラスチックフィルム11に吐出された紫外線硬化性樹脂原料Pを所定厚みに塗布するためのドクターナイフ34が、前記機械発泡装置21と紫外線照射手段41間に設けられている。前記ドクターナイフ34の下端は、前記プラスチックフィルム11との間隔が、目的とする紫外線硬化発泡体Aの厚みと略等しくされている。
【0026】
前記プラスチックフィルム11は巻き取られた後繰り返し使用することが可能である。前記プラスチックフィルム11は、特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、ビニルポリイソプレン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂からなるプラスチックフィルムを用いることができる。さらに、これらの樹脂の混合物からなるプラスチックフィルム、あるいはこれらの樹脂の積層フィルムであってもよい。前記プラスチックフィルム11の厚みは50〜100μm程度が好ましい。
【0027】
紫外線照射手段41は、紫外線を照射可能な紫外線ランプ等を備えるもので構成され、前記ドクターナイフ34で所定厚みにされた機械発泡後の紫外線硬化性樹脂原料Pの上面に、紫外線を照射可能なように設けられている。
【0028】
紫外線硬化発泡体の巻き取り手段は、前記プラスチックフィルム11の略水平供給方向前方(進行方向側)において、前記巻き取り側下側ロール15の上方に設けられた発泡体向き変更用ロール41と、前記発泡体向き変更用ロール41により上方へ向きを変えた紫外線硬化発泡体Aを巻き取る紫外線硬化発泡体巻き取りロール43とで構成されている。
【0029】
前記製造装置10を用いる紫外線硬化発泡体の製造について説明する。まず、前記プラスチックフィルム供給ロール13からプラスチックフィルム11を前記機械発泡装置21へ向けて供給し、前記機械発泡装置21から機械発泡後の紫外線硬化性樹脂原料Pを、前記プラスチックフィルム11の上面に吐出、塗布する。
【0030】
前記プラスチックフィルム11の上面に塗布された機械発泡後の紫外線硬化性樹脂原料Pは、前記ドクターナイフ34によって所定厚みにされる。
【0031】
次に、前記機械発泡後の紫外線硬化性樹脂原料Pは、前記前記紫外線照射手段41へ移動し、前記紫外線照射手段41によって紫外線が照射される。前記紫外線の照射によって前記機械発泡後の紫外線硬化性樹脂原料Pが硬化し、シート状の紫外線硬化発泡体Aになる。
【0032】
前記紫外線の照射により紫外線硬化発泡体Aとした後、前記プラスチックフィルム11を前記プラスチックフィルム巻き取りロール16で巻き取って前記紫外線硬化発泡体Aの下面から剥がすと共に、前記紫外線硬化発泡体Aを紫外線硬化発泡体巻き取りロール43で巻き取る。これによって、前記紫外線硬化発泡体Aが連続的に製造される。前記紫外線硬化発泡体巻き取りロール43に巻き取られた前記紫外線硬化発泡体Aは、その後、裁断や打ち抜き等によって用途に応じた寸法や形状にされる。
【実施例】
【0033】
以下、具体的な実施例を比較例と共に示す。図1に示した製造装置10を用いて実施例1および比較例を製造した。まず、表1および表2に示す配合の紫外線硬化性樹脂原料に窒素ガスを5L/minの供給量で吹き込み、液比重を0.5にした。この紫外線硬化性樹脂原料を、オークスミキサー(機械発泡装置21)により攪拌して発泡(起泡)させ、発泡後の紫外線硬化性樹脂原料Pを前記プラスチックフィルム11上に厚み2mmで塗布し、その後に前記のように紫外線を照射して、実施例および比較例の紫外線硬化発泡体を得た。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示したオリゴマー1〜7は表2に示す配合からなる。表2において、ポリオール1は分子量10,000、官能基数2のポリエーテルポリオール、品番:プレミノール4011、旭硝子(株)製、ポリオール2は分子量4,000、官能基数2のポリエーテルポリオール、品番:プレミノール4002、旭硝子(株)製である。脂肪族イソシアネートはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、分子量166、脂環式イソシアネートはイソホロンジイソシアネート(IPDI)、分子量221、芳香族イソシアネートはクルードMDI、分子量360、イソシアネート基を有するアクリル酸エステル系単量体は2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、分子量155.15、品番:カレンズMOI、昭和電工(株)製である。
【0036】
【表2】

【0037】
また、表1に示すオリゴマー8は、ウレタンアクリレートオリゴマー、分子量4,200、不飽和二重結合官能基数2、品番:UA−W2、新中村化学(株)製、紫外線重合開始剤は、ヒドロキシアセトフェノン、分子量164.2、品番:Darocur1173、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、整泡剤はシリコン系、品番:B8110、デグサジャパン(株)製である。
【0038】
前記プラスチックフィルム11は、ポリエチレンテレフタレート、厚み50μm、前記紫外線照射手段41は、メタルハライドランプ、品番:アキュアーライト、アイグラフィックス製、前記プラスチックフィルム11の供給速度(移動速度)は10m/分、前記ドクターナイフ34とプラスチックフィルム11間の間隔は2.0mmである。
【0039】
実施例および比較例(比較例3を除く)の紫外線硬化発泡体に対して、密度(JIS K 7222:1999準拠、単位[g/cm])、硬さ(圧縮速度1m/min、圧縮率25%の応力、単位[MPa])、歪み(JIS K 6400準拠、[%])を測定した。なお、比較例3については、機械発泡しなかったため、密度等の物性を測定することができなかった。また、実施例および比較例(比較例3を除く)について、変色試験を行い、JIS Z 8722に基づくΔYIを求めた。その際、変色試験前のYI値をYI値測定機(COLOUR COMPUTER SM−4、スガ試験器(株)製)で測定し、また、変色試験後のYI値を同一のYI値測定機で測定し、変色試験後のYI値と変色試験前のYIの差からΔYIを計算した。変色試験は、試験片(寸法2×50×150mm)を63℃のフェードメーター(品名:キセノンフェードメーター、スガ試験器(株)製)に5時間放置することにより行い、その後にYI値を測定した。密度等の物性値およびΔYI値は、表1の下部に示すとおりである。
【0040】
表1から理解されるように、各実施例は、硬さおよび歪みが足ゴム等の衝撃緩衝材として好適な範囲であり、しかもΔYI値が小さく、変色し難いものである。それに対して、比較例1はオリゴマーに、脂肪族イソシアネートおよび脂環式イソシアネートの何れも含まれていないため、歪みが大きく、足ゴムやパッキン等の衝撃緩衝材としては適さないものである。比較例2はオリゴマーのイソシアネートが芳香族系からなるため、変色が激しく、白色等の足ゴムなどには不向きなものである。比較例3は、オリゴマーの分子量が大きすぎるため、機械発泡させることができなかった。比較例4は、オリゴマーの分子量が小さすぎるため、歪みが大きく、足ゴムやパッキン等の衝撃緩衝材としては適さないものである。
【0041】
なお、前記実施例および比較例は、変色試験結果を明確にするため、着色剤を添加していないものとしたが、紫外線硬化発泡体に求められる色に応じて着色剤が適宜添加される。着色剤の量は、適宜決定される。例えば、表1および表2に示した前記実施例1〜3の配合において、白色の着色剤として物質名:酸化チタン、品番:UT white4973、山陽色素(株)製を、オリゴマー100重量部に対して0.1〜5重量部添加した例を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】紫外線硬化発泡体を連続的に製造する製造装置の概略正面図である。
【符号の説明】
【0043】
11 プラスチックフィルム
21 機械発泡装置
41 紫外線照射手段
A 紫外線硬化発泡体
P 機械発泡後の紫外線硬化性樹脂原料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴマー、紫外線重合開始剤を含む紫外線硬化性樹脂原料を発泡させて紫外線で硬化させた紫外線硬化発泡体において、
前記オリゴマーが、脂肪族または脂環式イソシアネートと、ポリオールと、イソシアネート基を有するアクリル酸エステル系単量体から合成されるウレタンアクリレートオリゴマーであることを特徴とする紫外線硬化発泡体。
【請求項2】
前記ウレタンアクリレートオリゴマーが不飽和二重結合官能基数2、分子量8,000〜31,000であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化発泡体。

【図1】
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【公開番号】特開2008−156544(P2008−156544A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348954(P2006−348954)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【出願人】(000127307)株式会社イノアック技術研究所 (73)
【Fターム(参考)】