説明

紫外線硬化装置

【課題】小型軽量の紫外線硬化装置を提供する。
【解決手段】取っ手を有する略直方体形状のケース8内に、ACモジュール用回路基板12と安定器モジュール用回路基板14とを対向配置し、ACモジュール用回路基板には所要の回路部品及びプリント配線を形成してACモジュール11を構成し、安定器モジュール用回路基板には所要の回路部品及びプリント配線を形成して安定器モジュール13を構成し、前記ケース内の前記一対の面以外の面にはスタータ15を取り付け、かつ、前記ケース内にマイコン制御手段を取り付け、光源装置の光源と前記スタータとをケーブルを介して接続し、光源装置にも取っ手を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紫外線硬化樹脂の表面に紫外線を照射して前記樹脂を硬化させる紫外線硬化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線硬化装置は、レンズ等の接着、各種塗装、コーティング、マーキング、壁や床の補修、その他様々な分野及び用途に用いられている。
特開2001−150460公報には、施工面に塗布した紫外線硬化樹脂の表面に光源から紫外線を照射して前記樹脂を硬化させる紫外線硬化装置が開示されている。紫外線硬化装置は、光源(高圧放電ランプ)と、この光源に電力を供給する装置本体との間をケーブルで接続して構成されている。
【0003】
一般に、紫外線硬化装置の装置本体は、交流電源に接続されるACモジュールと、これに接続した安定器モジュールを有するが、従来の安定器モジュールは鉄心にコイルを巻いて構成されていた(銅鉄型と称されている)ため大型で、重量も重く、寸法も重量も、装置本体の大部分を安定器モジュールが占めていた。
【0004】
特開2001−150460公報には安定器モジュールについての詳細な説明はないが、600ワット用紫外線硬化装置の装置本体の寸法が縦29cm、横65cm、高さ25cmと記載され、また、装置本体にはキャスターを付けて引いて移動すると記載されていることから、やはり、大型で、重量も重い銅鉄型安定器モジュールを用いているものと思われる。
【0005】
特開2001−150460公報には、隅部や狭い場所でも使用できる紫外線硬化装置を提供することを目的とすると記載しているが、装置本体を片手で持ち、他方の手で光源装置を持って作業が行なえるほどの小型軽量化を達成しているものではない。
【特許文献1】特開2001−150460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された紫外線硬化装置はまだまだ大型であり重量も重いので、装置本体にキャスターを付けて引いて移動しなければならず、例えば浴室のような狭い場所での壁や床面の補修作業等を行なうには、装置本体を作業現場へ搬入したり置き場所を確保したりすることが困難であった。また、狭い作業現場まで装置本体を搬入できないときは、装置本体と光源とを接続するケーブルを長くしなければならないが、制御操作は装置本体側で行なわねばならないため、一人で作業することが困難でもあった。
本発明はこのような事情に鑑み、装置本体を片手で持ち、他方の手で光源装置を持って使用できる程度に小型かつ軽量な紫外線硬化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る紫外線硬化装置は、略直方体形状のケースに取っ手を設け、ケース内の対向する一対の面には、その一方にACモジュール用回路基板、他方に安定器モジュール用回路基板を取り付け、ACモジュール用回路基板には回路部品を取り付けるとともにプリント配線を形成して、これら回路部品とプリント配線によりACモジュールを構成し、適宜交流電源を供給するものとする。安定器モジュール用回路基板にも回路部品を取り付けるとともにプリント配線を形成して、これら回路部品とプリント配線により安定器を構成し、前記ACモジュールに接続する。またケース内の前記一対の面以外の面にはスタータを取り付け、前記安定器モジュールに接続する。更にケース内には、前記ACモジュール、安定器モジュール及びスタータを制御するマイコン制御手段を取り付け、前記スタータとケース外部の光源装置の光源とをケーブルを介して接続し、かつ光源装置にも取っ手を設けるものとする。
【0008】
前記各回路基板は、各々前記ケースの内面との間に通気用の隙間をあけて配置すると良い。
【0009】
前記両回路基板は、形状及び寸法を同一にすると良い。
【0010】
前記ケースには空冷ファンを設け、内部に冷却用の通気路を生じさせるようにすると良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る紫外線硬化装置は、略直方体形状のケース内の一つの面にはACモジュール用回路基板を取り付け、この基板に回路部品を取り付け、プリント配線を形成してACモジュールを構成し、ケース内の対向面には安定器モジュール用回路基板を取り付け、この基板に回路部品を取り付け、プリント配線を形成して安定器モジュールを構成し、ケース内にはスタータ及びマイコン制御手段も取り付けて、スタータとケース外部の光源装置の光源とをケーブルを介して接続するものとすると、紫外線硬化装置のACモジュール、安定器モジュール、スタータ及びマイコン制御手段は小型のケース内に組み込んで軽量に構成することができ、ケースの取っ手を片手で持ち、他方の手で光源装置の取っ手を持って容易に作業を行なうことができる。因みに、本発明の紫外線硬化装置では、1Kw用でも、ACモジュール、安定器モジュール、スタータ及びマイコン制御手段を、一辺15cm以下の略立方体のケース内に組み込むことができ、重量も2Kg以下にすることが可能となる。
【0012】
ACモジュール及び安定器モジュールの各回路基板とケースの内面との間に各々通気用の隙間をあけて配置すると、使用時の加熱を抑えることができる。
【0013】
また両回路基板の形状及び寸法を同一にすると、互換性が得られ、ケース内への組み込みも容易になる。
【0014】
ケースに空冷ファンを設け、内部に冷却用の通気路を生じさせるようにすると、ケース内の加熱を一層効率よく抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は携帯用の紫外線硬化装置を示す。
図中1は装置本体、2は光源装置であり、光源装置2の光源3としては、高圧水銀ランプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプが使用できるが、ここでは高圧水銀ランプを使用するものとする。光源装置2には取っ手4が設けられている。装置本体1と光源装置2とはケーブル5を介して接続され、また、装置本体1はケーブル6を介して壁面のACコンセント7に接続される。
【0016】
図2は装置本体1を分解して示すもので、ケース8は、コ字形をなす金属板製の前部ハーフケース9と後部ハーフケース10を組み合わせて、稜の長さが約13.6cmの略立方体形状に形成されている。そして後部ハーフケース10の、互いに対向する左右側板内面には、交流・直流変換用のACモジュール11の基板12と安定器モジュール13の基板14が、空冷効果を高めるため、各々ハーフケース10の内面との間に通気用の隙間をあけて取り付けられている。基板12、14は、形状及び寸法を同一に、即ちいずれも一辺の長さが約12cmの正方形状に形成され、部品の共通化を図っている。また前部ハーフケース9には、底板内面(上面)にスタータ15が、縦、横、高さ寸法が各々約7.5cm、5cm、3cmのプラスチックケースに収納された状態で取り付けられるとともに、前板には、冷却用の通気路を生じさせる空冷ファン16、上板外面には取っ手17が各々取り付けられ、底板には通気用のスリット18が設けられている。
【0017】
図3に示す如く、ACモジュール11の基板12にはプリント配線(図示せず)が施され、かつ各種回路部品を取り付けて、ACモジュール11が構成されている。ACモジュール11を構成する回路部品としては、入力コネクタ19と、入力ダイオード20と、入力ノイズフィルタ構成部品21と、チョークコイル22と、カレントトランス23と、力率改善コントロールIC24やドライバIC25等を含むコントロール回路部品26と、スイッチングトランジスタ27と、出力ダイオード28と、出力コンデンサ29と、出力コネクタ30等がある。チョークコイル22及びコントロール回路部品26等により、力率改善モジュールが構成されている。入力コネクタ19は、ケーブル6を介して、例えば一般家庭の壁面のACコンセント7に接続される。
【0018】
図4に示す如く、安定器モジュール13の基板14にはプリント配線(図示せず)が施され、かつ各種回路部品を取り付けて、安定器モジュール13が構成されている。安定器モジュール13を構成する回路部品としては、入力コネクタ31と、入力パスコン32と、カレントトランス33と、スイッチングトランジスタ(Hブリッジ)34と、ドライバIC35、フリップフロップIC36、電源コントロールIC37等を含むコントロール回路部品38と、乗算器IC39等がある。
【0019】
また、安定器モジュール13の基板14には、補助電源トランス40を含む補助電源回路部品41が取り付けられ、更に、マイコン制御手段を構成するマイコンIC42、出力チョーク43、出力フィルタ44及び出力コネクタ45等が取り付けられている。入力コネクタ31はACモジュール11の出力コネクタ29に接続され、出力コネクタ45には前記スタータ15が接続され、スタータ15には、前記ケーブル5を介して光源装置2の光源(高圧水銀ランプ)3が接続される。
【0020】
このように、ケース8内にACモジュール11、安定器モジュール13、スタータ43、マイコンIC(マイコン制御手段)42及び空冷ファン15等を組み込んで構成される装置本体1の大きさは、ケース8自体の大きさ、即ち稜の長さが約13.6cmの略立方体に相当し、装置本体1の重量は、出力1Kwの高圧水銀ランプを光源3として使用するものであっても約1.8Kgと、いたって軽量となる。また、出力1Kwの高圧水銀ランプを光源3として備えた光源装置2の重量は、約1.5Kgである。
【0021】
図5は安定器モジュール13のブロックダイアグラムを示すもので、ドライバIC35、プリップフロップIC36及び電源コントロールIC37等により定電圧制御インバータ回路46が構成されている。
安定器モジュール13には前記スタータ15を介して光源装置2の光源(高圧水銀ランプ)3が接続されている。図6は、ACモジュール11、安定器モジュール13及びスタータ15相互間の接続関係を示すものである。
【0022】
以上の如く構成された紫外線硬化装置によれば、装置本体1が1.8Kg程度、光源装置2が1.5Kg程度にすぎないので、片手で装置本体1を持ち、他方の手で光源装置2を持って壁や床面の補修その他の作業が容易に行なえる。したがって、例えば一般家庭の浴室のような狭い場所での壁や床面の補修も容易に行なうことができ、装置本体1を常時携帯できるので制御操作も一人で難なく行なえる。
【0023】
また、ACモジュール11は力率改善モジュールを有するので、出力1Kwの高圧水銀ランプを光源3とする紫外線硬化装置でも12アンペア程度で足り、一般家庭の電源で使用することができる。
【0024】
また、光源3として特に高圧水銀ランプを使用すると、強い紫外線が得られるので、効率の良い作業が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】携帯用紫外線硬化装置の斜視図。
【図2】装置本体を分解して示す斜視図。
【図3】ACモジュールの実装図。
【図4】安定器モジュールの実装図。
【図5】安定器モジュールのブロックダイアグラム。
【図6】は、ACモジュール、安定器モジュール及びスタータ相互間の接続関係を示す図。
【符号の説明】
【0026】
3 光源
4 取っ手
5 ケーブル
8 ケース
11 ACモジュール
12 ACモジュール用回路基板
13 安定器モジュール
14 安定器モジュール用回路基板
15 スタータ
16 空冷ファン
42 マイコン制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化樹脂の表面に紫外線を照射して前記樹脂を硬化させる紫外線硬化装置において、
取っ手を有する略直方体形状のケース(8)と、
このケース内の対向する一対の面の一方に取り付けられたACモジュール用回路基板(12)、この基板上に取り付けられた回路部品及び該基板に形成されたプリント配線により構成され、適宜交流電源を供給される交流・直流変換用のACモジュール(11)と、
前記ケース内の前記一対の面の他方に取り付けられた安定器モジュール用回路基板(14)、この基板上に取り付けられた回路部品及び該基板に形成されたプリント配線により構成され、前記ACモジュールに接続された安定器モジュール(13)と、
前記ケース内の前記一対の面以外の面に取り付けられ、前記安定器モジュールに接続されたスタータ(15)と、
前記ケース内に取り付けられ、前記ACモジュール、安定器モジュール及びスタータを制御するマイコン制御手段(42)と、
前記ケースの外部にあって、ケーブル(5)を介して前記スタータに接続され、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する光源(3)と取っ手(4)とを有する光源装置と
を具備したことを特徴とする紫外線硬化装置。
【請求項2】
前記各回路基板は、各々前記ケースの内面との間に通気用の隙間をあけて配置されることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化装置。
【請求項3】
前記両回路基板の形状及び寸法を同一にしたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化装置。
【請求項4】
前記ケースは、内部に冷却用の通気路を生じさせる空冷ファン(16)を有することを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−154515(P2009−154515A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341921(P2007−341921)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(508028841)
【Fターム(参考)】