説明

紫外線遮断性を有する透明包装袋

【課題】酸素バリア性と紫外線遮断性とを併せ持ち、且つ、輸送工程中でのピンホールの発生を抑えた包装材料を用いた透明な外装用の包装袋を提供すること。
【解決手段】重ね合わせた積層フィルムの三方がシールされ、開口から内容物を充填した後、開口をシールして封止するようになっている包装袋において、波長310nmでの積層フィルムの光線透過率が1%以下であり、かつ積層フィルムが少なくとも基材フィルムと、ポリオレフィン樹脂を用いた押出しラミネート方式によって該基材フィルムに貼り合わされたバリアフィルム層と、該バリアフィルム層と貼り合わされたシーラントフィルム層とからなる積層フィルムを用いたことを特徴とする紫外線遮断性を有する透明包装袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素バリア性と紫外線遮断性を有する積層包装材料を用いた、厚みと重みのある物を梱包、輸送した際に、ピンホールの発生し難い包装袋に関し、医療、医薬品や、食品などの分野において、酸素や紫外線の浸入により品質が容易に劣化するような内容物の包装に利用する事ができる包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用薬液等の充填容器として従来より使用されているガラス壜は、重い、衝撃による破損の危険がある、嵩張って輸送、保管に不便である等の欠点があり、近時はガラス壜に代え、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のプラスチックからなる軟質の袋ないし袋状容器を使用することも多くなっている。
さらに、ハンドリング(取り扱い)性の良さや、容器の軽量化、ゴミの減容化などの観点から、柔軟なプラスチック製の一次容器に充填されたものが増えている(特許文献1参照)。
【0003】
これらの容器に充填される内容液の中でも、とくにアミノ酸液や糖、電解質液などの薬剤は、酸素によって著しく変質し、ビタミンは近紫外光によって容易に劣化してしまうものも多い。
他方、これらの薬剤を直接体内に注入することもあることから、これら薬剤と直接接触する袋状容器は、それからの成分の溶出で薬剤に悪影響を与えることがないよう、無添加のプラスチックを使用した容器を用いることが多い。
【0004】
しかしながら、無添加のプラスチックで形成された軟質の袋ないし袋状容器は、それ自身ではガラス壜のような、薬液の変質を防止するために必要な高度のガスバリアー性を保証し難い。
そのため、たとえば輸液バッグを大気中に放置しておくと、太陽光及び蛍光灯中の近紫外光、あるいは大気中の酸素が輸液バッグを透過し経時的に薬剤を変質させる。
そこで近年は薬液を充填密封した一次容器をバリア性の高い外装袋で2次包装することが行われている。
【0005】
この方法においても、医薬品、食品、化粧品などを収納した包装体の輸送時に包装袋同士や包装袋と外箱の段ボール等が振動により接触し、それに伴って包装袋にピンホールがあいたり、包装袋に傷が付くことにより外観が損なわれるのみならず収納された内容物の劣化を招来することがある等の問題は避けられなかった。
【0006】
この問題に対する対策として、特許文献4においては、輸液バッグの薬液の変質を防止するための輸液バッグ保存用ガスバリアー性外装袋の改良として、 外装袋の形状を、その左右両縁の幅が袋の底辺に向かつて狭くなる形状とすることにより、収納される輸液バッグのがたつきを抑制防止し、ガスバリアー性を安定に維持させる保存用外装袋が提案されている。
【0007】
また、特許文献5に提示されている外装袋では、外装袋の左右の接着代に形成された膨出部の袋内幅が下方に向かって漸減していることによる袋の水平断面開口サイズの絞り効果として、頂部開口から袋内を降下する輸液バッグを、傾きのない姿勢で袋底の中央位置に着座せしめる。すなわち、輸液バッグは袋内を傾いた姿勢で降下してきても、膨出部を通過することにより、その傾きが是正されて袋底の中央に着座収納され、従って外装袋にゆがみを生ずることもなく、頂辺縁部の確実な接合封止を妨げられることもない外装袋が
提示されている。
【0008】
しかも、その膨出部の頂部における開口絞り効果として、外装袋内に収納された輸液バッグをその位置に強制保持する。そのために、包装体の運搬、その他の取扱い過程における輸液バッグの振動、揺れ等のガタツキや、袋の底部の屈曲変形疲労(いずれも、外装袋のピンホールの発生とガスバリアー性喪失の原因となる)が抑制防止されるとされている。
しかしながら、この方法によるとフィルムの角部の成型に伴って発生する切除片が製品ラインから完全に取り除かれずに製品中に異物として混入する恐れがあり品質保証上で不安を残している。
【0009】
特許文献6においては、重ね合わせたガスバリアー性フィルムの三方がシールされ、開口から輸液バッグを収納した後、該開口をシールして封止するようになっている輸液バッグ保存用外装袋において、三方シールが、前記フィルムの角部領域を外して形成されてなる輸液バッグ保存用外装袋が提示されている。
しかしながら、この方法では角部のみ未シールとなっているため、製袋時や充填時のシールにおいてピッチずれが生じた場合、未シール部の大きさにばらつきが生じて所期の効果が得られない可能性が高い。
【0010】
特許文献7においては、振動などに基づく屈曲によるピンホールの発生を防止して、その内容物保存性を高めるために、延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体にアルミニウムを真空蒸着したフィルム、接着剤層、線状低密度ポリエチレンをこの順に積層した包装材料が提案されている。
【0011】
この包装材料はアルミニウム蒸着された延伸エチレン−ビニルアルコール共重合フィルム層を有するため、高い遮光性と酸素バリア性を有し、包装材料全体としてスティッフネスが柔らかくなるために屈曲におけるピンホールの発生を防止する耐ピンホール性も向上するとされている。
【0012】
さらに、特許文献8においては、酸素バリア性と遮光性とを併せ持ち、且つ包材が屈曲疲労しても、耐ピンホール性に優れ、遮光性を維持できる遮光包材として、延伸ポリプロピレンフィルム、黒色ポリオレフィンフィルム、蒸着ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルムが順次積層されており、各層間に接着層を設けた、屈曲劣化が少なく耐ピンホール性に優れた遮光包材が提案されている。
【0013】
特許文献7,8に提案されているこれらの外装袋には、バリア性が要求されるため、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)コートを施したプラスチックフィルムや、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)フィルム、PVA(ポリビニルアルコール)フィルム、酸化アルミニウムや酸化珪素などを蒸着したPET(ポリエステルテレフタレート)フィルム、酸化アルミニウムや酸化珪素などを蒸着した延伸ナイロンフィルム、EVOH層や、MXD6ナイロン層を中間層に有するバリアナイロンなどが用いられた積層包装材料も併用することが可能である(特許文献2,3参照)が、これら酸素バリアフィルムは透明であって遮光性がないため、アルミニウムが蒸着されたプラスチックフィルムやアルミニウム箔あるいは黒色フィルムを併用して遮光性を付与している。
光線の浸入による内容液の劣化を防止するために可視光線に対して不透明なこれらの材料を積層しているために、これらの外装袋に収納された内容物を外側から目視確認することが妨げられて、内容物の種類や異常を外観からは容易には判別することが出来なかった。
【0014】
たとえば、アミノ酸や、糖、電解液、ビタミン等からなる高カロリー輸液が充填された
輸液バッグを輸液バッグ外装袋に入れて保護し、更にダンボールに積載梱包して輸送される場合に、輸送工程中の振動により、輸液バッグ外装袋にピンホールが生じることがあり、この場合には酸素バリア性や遮光性が維持できなくなることが起こる。
輸送工程中の振動により生じるこれらの内容物の異常を容易に判断するためには外装袋は可視光に対してある程度透明であることが望ましい。
【0015】
さらに外装袋としては、輸送工程中で生成するピンホールの主原因であると考えられる袋の屈曲疲労によるピンホールと包装材料同士が摩耗する事による摩耗ピンホールを防止する対策が要求されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平10−314272号公報
【特許文献2】特開平9−262943号公報
【特許文献3】特許第3202541号公報
【特許文献4】実開平6−077737号公報
【特許文献5】実公平8−6770号公報
【特許文献6】特開2005−59566号公報
【特許文献7】特開2006−193196号公報
【特許文献8】特開2008−246693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、以上のような従来技術の問題を解決するために成されたものであり、外観を損ねることなく、層構成や加工方法を工夫することで、酸素バリア性と紫外線遮断性とを併せ持ち、且つ、輸送工程中でのピンホールの発生を抑えた包装材料を用いた透明な外装用の包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の請求項1に係る発明は、重ね合わせた積層フィルムの三方がシールされ、開口から内容物を充填した後、開口をシールして封止するようになっている包装袋において、波長310nmでの積層フィルムの光線透過率が1%以下であり、かつ積層フィルムが少なくとも基材フィルムと、ポリオレフィン樹脂を用いた押出しラミネート方式によって該基材フィルムに貼り合わされたバリアフィルム層と、該バリアフィルム層と貼り合わされたシーラントフィルム層とからなる積層フィルムを用いたことを特徴とする紫外線遮断性を有する透明包装袋である。
【0019】
本発明の請求項2に係る発明は、重ね合わせた積層フィルムの三方がシールされ、開口から内容物を充填した後、開口をシールして封止するようになっている包装袋において、波長310nmでの積層フィルムの光線透過率が1%以下であり、かつ積層フィルムが少なくとも紫外線吸収剤を含有するインキを塗工した基材フィルムと、ポリオレフィン樹脂を用いた押出しラミネート方式によって該基材フィルムに貼り合わされた、無機酸化物が透明蒸着された延伸フィルムとからなるバリアフィルム層と、該バリアフィルム層と貼り合わされた未延伸ポリオレフィン樹脂からなるシーラントフィルム層とからなる積層フィルムを用いたことを特徴とする紫外線遮断性を有する透明包装袋である。
【0020】
本発明の請求項3に係る発明は、基材フィルムとバリアフィルム層とは、ポリオレフィン樹脂を用いた押し出しラミネートによって積層され、バリアフィルム層とシーラントフィルム層とはウレタン系接着剤を用いたドライラミネートによって積層されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の紫外線遮断性を有する透明包装袋である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1〜3の発明に係る紫外線遮断性を有する透明包装袋は、重ね合わせた積層フィルムの三方がシールされ、開口から内容物を充填した後、開口をシールして封止するようになっている包装袋において、波長310nmでの積層フィルムの光線透過率が1%以下であることによって近紫外領域の光線を遮断して内容物の光線による変質を防止することが出来る。
【0022】
この近紫外領域の光線遮断を、アルミニウム蒸着層や黒色フィルム等の可視光に対して不透明な層を用いることなく、紫外線吸収剤を含有するインキを塗工した延伸ポリプロピレン樹脂フィルムのような基材フィルムを含む積層フィルムを用いることによって内容物の目視確認も必要な程度可能となる紫外線遮断性を有する透明包装袋とすることが出来る。
【0023】
この積層フィルムの紫外線遮断の程度としては、波長310nmでの光線透過率が1%以下であることが望ましく、この程度はインキ中の紫外線吸収剤の種類や含有量およびインキの膜厚によって容易に制御できる。さらには積層フィルムを構成するインキ以外の各層に紫外線吸収性を持たせても良い。
【0024】
また本発明に係る紫外線遮断性を有する透明包装袋は、酸化アルミニウム等の無機酸化物の透明蒸着された延伸ナイロンフィルム等のバリアフィルム層を有するため、高い酸素バリア性を有し、外部からの酸素や水蒸気等のガスの浸入による内容物の変質を防止することが可能である。初期の酸素バリア性の程度としては酸素透過率が10.0ml/m/day/MPa(JIS K7126準拠、温度30℃、湿度70%RH)以下であることが望ましい。
【0025】
積層フィルムが延伸ポリプロピレンフィルムのような適度の可撓性を有する基材フィルムと、低密度ポリエチレン樹脂のようなポリオレフィン樹脂を用いた押出しラミネート方式によって基材フィルムに貼り合わされたバリアフィルム層を備えることによって、包装材料全体としてスティッフネスが柔らかくなるために屈曲における耐ピンホール性も向上する。このため、振動などに基づく屈曲によるピンホールの発生を防止して、その内容物保存性を高めることが可能となる。
【0026】
以上のように、本発明の紫外線遮断性を有する透明包装袋によれば酸素バリア性と近紫外領域の遮光性とを併せ持ち、且つ、輸送工程中でのピンホールの発生を抑えた耐ピンホール性を持つ包装材料を用いた透明な外装用の包装袋を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の紫外線遮断性を有する透明包装袋に用いる積層フィルムの断面説明図である。
【図2】外装袋として本発明の紫外線遮断性を有する透明包装袋を用いて内容物を収容した状態を示す断面説明図である。
【図3】従来の紫外線遮断性を有する透明包装袋に用いる積層フィルムの一例の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明を実施するための形態について例を挙げて具体的に説明する。
図1は本発明の紫外線遮断性を有する透明包装袋に用いる積層フィルムの断面説明図である。袋にしたときの外側が図の上方になるように示してある。
その構成は、外側から基材フィルム(A)、紫外線吸収性インキ層(G)、押出しポリ
オレフィン樹脂層(B)、バリアフィルム層(C)、接着層(D)、シーラントフィルム層(E)からなる。
また、図2は外装袋として本発明の紫外線遮断性を有する透明包装袋を用いて内容物を収容した状態を示す断面説明図である。
図3は従来の紫外線遮断性を有する透明包装袋に用いる積層フィルムの一例の断面説明図である。参考に示した。
【0029】
基材フィルム(A)としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などのポリエステル樹脂の二軸延伸フィルムのほか、ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)樹脂などのポリアミド樹脂の二軸延伸フィルム、そして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどをとくに好適に使用することができる。
基材フィルム(A)は、外装袋として用いる場合の支持体となると共に、外装袋全体の柔軟性を損なうことのないものを選択する必要がある。
厚みが20μm〜50μmのフィルムであって、2軸延伸プロピレンフィルム、1軸延伸ポリプロピレンフィルムであれば上市されているフィルムは概ねこの条件を充足する。
【0030】
基材フィルム(A)の内面に設けられる紫外線吸収性インキ層(G)は通常の紫外線吸収剤を含むグラビア印刷用の透明インキ(メジウム、レジューサーを含む)が使用出来る。
紫外線吸収剤としては例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、ホルムアミジン系、オキザニリド系等から適宜選ぶことが出来る。
【0031】
可視光に対する必要な透明性の程度に応じて、紫外線吸収剤の種類や添加量とインキ層の膜厚を適宜設定できるが、透明インキは全面に塗工するのが基本である。
また、紫外線吸収性インキ層(G)の遮光性は、UV可視吸光光度計によって測定した光線透過率が320nmの波長において1%以下であることが望ましい。
【0032】
押出しポリオレフィン樹脂層(B)は基材フィルム(A)とバリアフィルム層(C)とを接着するもので、たとえば低密度ポリエチレン樹脂をそれらのフィルム(A)又は(C)のいずれか一方に溶融押し出しコートし、固化しないうちに他方のフィルム(C)又は(A)を積層して接着させる。このような押し出しポリオレフィン樹脂層(B)としては、上市されている低密度ポリエチレン樹脂から適宜選択することが出来る。
押出し樹脂層の厚みは10μm〜30μm程度が望ましい。なお、この押出しポリオレフィン樹脂層(B)を溶融押し出しコートするに先立って、フィルムの押し出し面にアンカーコート層(AC)を設けても良い。
【0033】
バリアフィルム層(C)としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどのフィルムのほか、シリカ、アルミナなどの無機酸化物の透明蒸着層やポリ塩化ビニリデンの塗膜層を設けた二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどを使用することができる。これらのバリアフィルム層は、包装材料に酸素バリア性を付与するものであり、包装材料全体の柔軟性を損なうことがないよう留意する必要がある。
バリアフィルムのガスバリア性は、JIS K7126による酸素透過率が10.0ml/m2/day/MPa(30℃,70%RH)以下であれば良い。厚みは12μm〜30μmが望ましい。
【0034】
接着層(D)はバリアフィルム層(C)とシーラントフィルム層(E)とを接着するもので、上市されている2液硬化型ウレタン系接着剤であればとくに制限はなく、厚みは3
μm程度が望ましい。また接着層(D)は押出しポリオレフィン樹脂たとえば低密度ポリエチレン樹脂を用いた溶融押出し層でもよい。押出し樹脂層の厚みは10μm〜30μm程度が望ましい。なお、溶融押し出しコートするに先立って、フィルムの押し出し面にアンカーコート層(AC)を設けても良い。
【0035】
シーラントフィルム層(E)は、包装袋を製袋する際のヒートシールで接着する層となるもので、熱融着性をもつポリオレフィン系フィルムが通常使われる。厚みは40μm〜100μm程度が望ましい。
シーラントフィルム層には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のほか、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレンまたはその共重合体などを使用することができる。
シーラントフィルム層の積層は、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法で積層する方法、或いは、上記の樹脂を押し出しコートして積層する方法などを採ることができる。但し、内容物がシーラント層に浸透しやすいものの場合は、ドライラミネーション法で積層することが好ましい。
【0036】
そして、この積層フィルムを3方シール袋、4方シール袋などに製袋して本発明に係る紫外線遮断性を有する透明包装袋とすることができる。製袋は、シーラントフィルム層(E)を内側として相互に重ね合わせ、必要な部位をヒートシールすることにより通常の工程で可能である。図2は、このようにして製袋された外装袋に内容物(F)として液体を収納した袋(2)を収容した状態を示す説明図である。
【実施例】
【0037】
<実施例1>
基材フィルムとして厚み30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ(株)、商品名:UB−1)を使用し、グラビア印刷機で紫外線吸収性インキ(東洋インキ製造(株)、商品名:N532LPUVクリア)を膜厚1μmで全面に塗工し、押出しラミネート機を用いて、インキ面にバリア層である厚み15μmのアルミナ蒸着ナイロンフィルム(凸版印刷(株)、商品名:GL−AEY)と厚み15μmの低密度ポリエチレン樹脂を介して貼り合わせた積層フィルムを作成した。
【0038】
この積層フィルムのバリア層面にドライラミネート機を用いてウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)、A−525/A−52)を乾燥膜厚3μmで塗工し、シーラントフィルム層として厚み60μmの直鎖上低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)、商品名:TUX−FCX)を積層して、本発明の紫外線遮断性を有する透明包装袋に用いる透明包装材料を作成した。
【0039】
<実施例2>
基材フィルムとして厚み30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ(株)、商品名:UB−1)を使用し、グラビア印刷機で紫外線吸収性インキ(DICグラフィックス(株)、商品名:UVカットメジューム)を膜厚1μmで全面に塗工し、押出しラミネート機を用いて、インキ面にバリア層である厚み15μmのアルミナ蒸着ナイロンフィルム(凸版印刷(株)、商品名:GL−AEY)と厚み15μmの低密度ポリエチレン樹脂を介して貼り合わせた積層フィルムを作成した。
【0040】
この積層フィルムのバリア層面に、押出しラミネート機を用いて厚み15μmの低密度ポリエチレン樹脂を介して、シーラントフィルム層として厚み60μmの直鎖上低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)、商品名:TUX−FCX)を貼り合わせた、本発明の紫外線遮断性を有する透明包装袋に用いる透明包装材料を作成した。
【0041】
<比較例1>
基材フィルムとして厚み30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ(株)、商品名:UB−1)を使用し、グラビア印刷機で紫外線吸収性インキ(東洋インキ製造(株)、商品名:N532LPUVクリア)を膜厚1μmで全面に塗工し、ドライラミネート機を用いて、インキ面にバリア層である厚み15μmのアルミナ蒸着ナイロンフィルム(凸版印刷(株)、商品名:GL−AEY)と乾燥厚み3μmのウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)、A−525/A−52)を介して貼り合わせた積層フィルムを作成した。
【0042】
この積層フィルムのバリア層面にドライラミネート機を用いてウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)、A−525/A−52)を乾燥膜厚3μmで塗工し、シーラントフィルム層として厚み60μmの直鎖上低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)、商品名:TUX−FCX)を積層して、紫外線遮断性を有する透明包装袋に用いる透明包装材料を作成した。
【0043】
<比較例2>
基材フィルムとして厚み30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ(株)、商品名:UB−1)を使用し、グラビア印刷機で紫外線吸収性インキ(東洋インキ製造(株)、商品名:N532LPUVクリア)を膜厚1μmで全面に塗工し、ドライラミネート機を用いて、インキ面にバリア層である厚み15μmのアルミナ蒸着ナイロンフィルム(凸版印刷(株)、商品名:GL−AEY)と乾燥厚み3μmのウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)、A−525/A−52)を介して貼り合わせた積層フィルムを作成した。
【0044】
この積層フィルムのバリア層面に、押出しラミネート機を用いて厚み15μmの低密度ポリエチレン樹脂を介して、シーラントフィルム層として厚み60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)、商品名:TUX−FCX)を貼り合わせた、紫外線遮断性を有する透明包装袋に用いる透明包装材料を作成した。
【0045】
上記の実施例1,2および比較例1,2で作成した、紫外線遮断性を有する透明包装袋に用いる透明包装材料を使用して寸法310mm幅265mm高さの三方シール袋を30袋用意して外装袋とし、1Lの内容液を詰めた内装袋を各外装袋に詰めた後密封して包装体とした。
実施例および比較例において作成した包装材料のUV可視吸光光度計によって測定した光線透過率はいずれも320nmの波長において1%以下であった。
上記の包装体を3箱の段ボール箱に各10袋づつ詰めて以下の方法で振動試験を行った。
【0046】
<振動試験>
振動試験機:(株)振研製 二方向切替式振動試験装置
振動条件:±4G(11Hz)、合計60分(垂直方向30分+縦15分+横15分)
評価方法:310mm×265mmの外装袋を作成し、1Lの内容液を詰めた内装袋を包装し、現行品と同様の方法で積載・梱包し、上記条件で振動試験を行い、浸透液にてピンホール数を数えた(10袋/1段ボール)。
この結果を表1に示す。
【表1】

【0047】
上記結果から、実施例1、2で作成した包装材料を用いた包装袋では比較例1,2で作成した包装材料を用いた包装袋と比べて振動試験におけるピンホールが低減している事が
分かる。実際の輸送工程におけるピンホール発生割合はppmオーダーであり、JIS規格に即した振動試験方法だとピンホール数は全ての構成でゼロである。更には、実施例のような構成であればピンホール発生袋数が少なく、且つ高い酸素バリア性を有した包装袋の提供が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の紫外線遮断性を有する透明包装袋は、外部からの酸素、及び近紫外光の進入によって容易に劣化してしまう内容物に用いる一次包装体に対して、劣化を防止出来るバリア性を持った外装袋、たとえば輸液バッグ外装袋に用いて有用である。
【符号の説明】
【0049】
1…紫外線遮断性を有する透明包装袋
2…内装袋
A…基材フィルム(延伸ポリプロピレンフィルム)
B…押出しポリオレフィン樹脂層(低密度ポリエチレン層)
C…バリアフィルム層(無機酸化物蒸着フィルム)
D…接着層
E…シーラントフィルム層(未延伸ポリオレフィンフィルム)
F…内容液
G…紫外線吸収性インキ層
B’…ドライラミ接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせた積層フィルムの三方がシールされ、開口から内容物を充填した後、開口をシールして封止するようになっている包装袋において、波長310nmでの積層フィルムの光線透過率が1%以下であり、かつ積層フィルムが少なくとも基材フィルムと、ポリオレフィン樹脂を用いた押出しラミネート方式によって該基材フィルムに貼り合わされたバリアフィルム層と、該バリアフィルム層と貼り合わされたシーラントフィルム層とからなる積層フィルムを用いたことを特徴とする紫外線遮断性を有する透明包装袋。
【請求項2】
重ね合わせた積層フィルムの三方がシールされ、開口から内容物を充填した後、開口をシールして封止するようになっている包装袋において、波長310nmでの積層フィルムの光線透過率が1%以下であり、かつ積層フィルムが少なくとも紫外線吸収剤を含有するインキを塗工した基材フィルムと、ポリオレフィン樹脂を用いた押出しラミネート方式によって該基材フィルムに貼り合わされた、無機酸化物が透明蒸着された延伸フィルムとからなるバリアフィルム層と、該バリアフィルム層と貼り合わされた、未延伸ポリオレフィン樹脂からなるシーラントフィルム層とからなる積層フィルムを用いたことを特徴とする紫外線遮断性を有する透明包装袋。
【請求項3】
基材フィルムとバリアフィルム層とは、ポリオレフィン樹脂を用いた押し出しラミネートによって積層され、バリアフィルム層とシーラントフィルム層とはウレタン系接着剤を用いたドライラミネートによって積層されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の紫外線遮断性を有する透明包装袋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−183659(P2012−183659A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46646(P2011−46646)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】