説明

紫外線量検出方法、紫外線センサーおよび紫外線センサー付き携帯電子機器

【課題】比較的簡単な構成で、紫外線の確認と紫外線量を測定可能にする技術を提供する。
【解決手段】紫外線を受けたとき変色するとともに受けた紫外線量に応じて変色濃度が変化する調光レンズ3を、筐体1−1に設けた開口部からその表面が外面に露出するように配置することにより、該表面から受けた紫外線による調光レンズ3の変色状態から紫外線が強いか弱いかの判断を可能にする。また、調光レンズ3を挟んで光源4と光センサー5を配置し、光源4で発光した一定光量の光を、調光レンズ3を介して光センサー5で受光する。光センサー5で受光される受光量は調光レンズ3の変色濃度に応じて変化するので、光センサー5での受光量を測定することにより紫外線強度の正確なデータを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線センサー、および該紫外線センサーを備えた携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線は人間の肌に有害であり、そのため外出中タイムリーに紫外線の強度を知ることによって、紫外線が強い場合には出来るだけ肌の露出を避けて紫外線から保護することが求められている。そのため紫外線量を検知する商品としての需要があり、例えば、その一部に紫外線の強度に応じて色が変化する材料(特許文献1等参照)を用いることにより紫外線量を知ることの出来るブレスレットなどの製品、あるいは紫外線の強度に応じて色が変わる紫外線センサーフィルムが貼付された帽子、キーホルダ等が、特許文献2等において提案されている。
【0003】
また、いつも携帯する携帯電話機等の携帯電子機器に、紫外線を受光し、紫外線の強度に応じた電気信号を発生する紫外線センサーと、この紫外線センサーに接続されて、前記電気信号に応じた表示信号を発生する表示装置を備え、紫外線センサーから出力される電気信号を入力して、紫外線の強度情報を携帯電子機器が備えている表示装置に表示させることにより、紫外線量をユーザーに知らせる技術も、特許文献3〜4等において提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2635196号
【特許文献2】特開2007−278904号公報
【特許文献3】特開2001−336977号公報
【特許文献4】特開2004−226409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の、紫外線の強度に応じて色(濃度)が変わる紫外線センサーを用いた従来の紫外線強度検知方法では、紫外線センサーの色(濃度)を観るだけで紫外線が強いか弱いかの大まかな判断をすることが可能であるが、紫外線の強さが具体的にどの程度の値を示しているかを正確に判断することは困難である。
【0006】
一方、特許文献3〜4に記載の、紫外線の強度に応じた電気信号を発生する紫外線センサーから出力される電流を測定することにより紫外線量を測定する方法によれば、表示部に表示されたデータを確認することにより実際の紫外線量を正確に知ることが可能であるが、そのために、紫外線の強度に応じた電気信号を発生する比較的高価な紫外線センサーを用いる必要がある。
【0007】
また、表示部には紫外線情報以外にも様々な画像情報が表示されるため、紫外線情報を常時表示部に表示させるように設定すると、他の画像情報を表示している際に目障りとなることがあり、また、紫外線の強さを確認する際に表示操作を行うように設定すると、紫外線確認を忘れる、あるいは表示設定切換操作が面倒となって紫外線確認が行われなくなる虞がある。
【0008】
本発明の目的は、比較的簡単な構成で上述した課題を解決することが可能な、紫外線の確認と紫外線量を測定するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の紫外線量検出方法は、紫外線を受けたとき変色するとともに受けた紫外線量に応じて変色濃度が変化する調光レンズの表面で前記紫外線を受けるステップ、前記調光レンズの側面に一定光量の光を照射するステップ、前記調光レンズを透過した前記光源からの光を受光するステップ、受光した前記光の受光量から前記紫外線の強度を算出するステップからなることを特徴とする。
【0010】
本発明の紫外線センサーは、その表面で紫外線を受けるように配置され、紫外線を受けたとき変色するとともに受けた紫外線量に応じて変色濃度が変化する調光レンズと、該調光レンズの側面から該調光レンズに一定光量の光を照射する光源と、該調光レンズを透過した前記光源からの光量を検出する光センサーと、該光センサーにより検出された前記光量から前記紫外線量を算出する紫外線量算出手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の紫外線センサー付き携帯電子機器は、携帯電子機器筐体に設けられた開口部からその表面を露出させることにより目視可能に配置され、紫外線を受けたとき変色するとともに受けた紫外線量に応じて変色濃度が変化する調光レンズと、前記携帯電子機器筐体内部に配置され、前記調光レンズの側面から該調光レンズに一定光量の光を照射する光源、および該調光レンズを透過した前記光源からの光量を検出する光センサーと、該光センサーにより検出された前記光量から前記紫外線量を算出する紫外線量算出手段と、該算出した紫外線量に基づいて紫外線の強度を示す情報を前記携帯電子機器に設けられた表示部を用いて表示する紫外線情報表示手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明のプログラムは、コンピュータを、その表面で紫外線を受けたとき変色するとともに受けた紫外線量に応じて変色濃度が変化する調光レンズの側面に配置された光源から該調光レンズ側面に一定光量の光を照射する手段、前記調光レンズを介して前記光源からの光を光センサーで受光する手段、該光センサーで受光した受光量から前記紫外線量を算出する手段、該算出した紫外線量情報を表示する手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、目視可能な調光レンズの色(濃度)を観ることによって、即座に紫外線の大まかな強さを判断することができるとともに、調光レンズの側面から照射した一定光量の光を、該調光レンズを介して受光し、その受光量から前記紫外線の強度を算出することによって紫外線の強度を測定する構成としているので、紫外線強度を常時簡単に判断する機能と正確な紫外線強度情報を求める機能を比較的簡単な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態を示す紫外線センサー付き携帯電子機器の斜視図である。
【図2】本実施形態の紫外線センサー付き携帯電子機器の要部を示す断面図である。
【図3】本実施形態の紫外線センサー付き携帯電子機器の要部を示すブロック図である。
【図4】本実施形態において紫外線量の自動通知を行う場合の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態を示す紫外線センサー付き携帯電子機器の斜視図である。本実施形態では折り畳み型の携帯電話機に本発明の紫外線センサー機能が付加された構成となっている。
【0016】
携帯電話機1は、キー操作部、送話部や電池等が収容されている第1の筐体と、表示部や受話部等が収容されている第2の筐体からなり、図1では、これら第1の筐体と第2の筐体が折り畳まれている状態を示している。そして本実施形態では、第2の筐体の折り畳んだ際に外側となる面に、背面表示部2と、紫外線を受けたとき変色するとともに受けた紫外線量に応じて変色濃度が変化する調光レンズ3を露出するための開口部が設けられている。
【0017】
調光レンズ3は、紫外線により着色(変色)する材料で出来ており、紫外線量が多ければより濃い色となり、紫外線量が少ない環境下では色は薄くなる性質を持っている。つまり、紫外線量が多い環境下では、レンズは濃い色となって光の透過率が低くなり、紫外線量が少ない環境下では、レンズは薄い色となって光の透過率が高くなる。
【0018】
この調光レンズ3は、紫外線の強度に応じて色(濃度)が変化する材料を混入した透明樹脂、あるいはガラス等によって構成することが出来る。従って、ユーザーは第2の筐体の背面から露出されている調光レンズ3の変色状態を見ることにより大まかな紫外線強度を判断することができる。
【0019】
図2は、本実施形態の紫外線センサー付き携帯電子機器における調光レンズ3が配置されている位置周辺の要部を示す断面図である。
【0020】
調光レンズ3は第2の筐体内部の基板6に実装され、その外表面は、第2の筐体1−1の背面側に設けられた開口部から外面に露出されるように配置されており、この外表面で受けた周囲からの紫外線により調光レンズ3が変色する。調光レンズ3の変色状態は、ユーザーが調光レンズ3の外表面から目視することが出来、ユーザーは、調光レンズ3の変色状態から紫外線が強いか弱いかの判断をすることが可能となる。
【0021】
また、基板6には調光レンズ3を挟んで相対向するように配置された光源4と光センサー5が実装されており、光源4で発光した一定光量の光を、調光レンズ3を介して光センサー5で受光する構造となっている。即ち、光源4は一定の明るさで発光されるが、調光レンズ3は上記の通り紫外線量によって着色濃度が変化するため、光源4からの光の透過率も変化する。
【0022】
そのため、光センサー5で受光される光源4からの受光量は調光レンズ3の変色濃度に応じて変化し、光センサー5での受光量を測定することにより調光レンズ3が受けている紫外線の強度を検知することができる。
【0023】
図3は、本実施形態の紫外線センサー付き携帯電子機器の要部を示すブロック図であり、光源4、調光レンズ3、光センサー5、背面表示部2、CPU7で構成されている。光源4はCPU7からの指示で発光する機能、光センサー5は調光レンズ3を透過した光源4からの光を受光してその受光量をCPU7に送る機能、背面表示部2は紫外線データを表示する機能、CPU7は光源4への発光指示、背面表示部2への表示指示、及び光センサー5からの受光量データ取り込みと紫外線量を算出する機能をそれぞれ持っている。
【0024】
なお、CPU7は、この携帯電子機器が備えている各種機能プログラムの実行を制御する中央演算処理装置(Central Processing Unit)であり、本実施形態における紫外線強度測定もCPU7で実行制御される各種機能プログラムの中の一つである。また、背面表示部2も、CPU7から表示指示される各種情報が表示され、本実施形態における紫外線データの表示もその中の一つである。
【0025】
以下、本実施形態の動作について、図1〜図3を参照して説明する。
【0026】
例えば外出中にユーザーが携帯電子機器1を使用する際に、携帯電子機器筐体の背面に配置されている調光レンズ3の変色濃度を観察することにより、紫外線の大まかな強さを判断することが出来る。調光レンズ3の変色濃度から紫外線の強さが気になるときには、携帯電子機器のキー操作部から、ユーザー操作によって紫外線量の検知指示を行う。
【0027】
CPU7は、ユーザー操作による紫外線量検知指示を受けて、光源4を発光制御し、その時の光センサー5で受光された受光量を取り込んで紫外線量を算出する。次に、算出した紫外線量データを背面表示部2に表示することで、ユーザーに現在の紫外線量を通知する。ユーザーは、背面表示部2に表示された紫外線量データから正確な紫外線強度を知ることが出来る。
【0028】
図4は、他の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0029】
上記実施形態では、紫外線量の検知指示はユーザーによる操作としているが、本実施形態では、ユーザー操作が無くても、紫外線量が予め設定された通知量よりも多いときには、紫外線量の自動通知を行うように構成している。以下、本実施形態の動作について説明する。
【0030】
本実施形態においても、ユーザーが携帯電子機器1を使用する際に、携帯電子機器筐体の背面に配置されている調光レンズ3の変色濃度を観察することにより、紫外線の大まかな強さを判断することが出来る。
【0031】
ユーザー操作により紫外線量の自動通知機能がONに設定されると、CPU7は、待ち受け状態にて、予め設定された間隔(例えば、10分間隔、30分間隔など)で、光源4に対して発光指示を行い、その時の光センサー5で受光された受光量を取り込んで紫外線量を算出することにより紫外線量を自動測定する。
【0032】
測定した紫外線量が、予め設定された量を超えていなければ、待ち受け状態に戻る。測定した紫外線量が、予め設定された量を超えていれば、予め設定された手段(例えば、着信ランプ、スピーカー、バイブレータなど)にてユーザーに通知し、背面表示部2に紫外線量を表示してユーザーに紫外線量を通知する。
【0033】
これにより、特にユーザー操作無しに自動で紫外線量を測定し、測定紫外線量がユーザーにより設定された紫外線量を超えていれば、音声着信やメール着信と同様に光や音、振動でユーザーに紫外線量が多いことを知らせ、表示部に紫外線量を表示することで、実際の紫外線量をユーザーに通知することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0034】
上記実施形態では、携帯電子機器として折り畳み式の携帯電話機に本発明の紫外線センサーを備えた場合について説明したが、折り畳み式の携帯電話機であることは本発明の要件ではなく、また、PDA、あるいはゲーム機等、各種の携帯型電子機器の筐体に対して本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 携帯電話機
2 背面表示部
3 調光レンズ
4 光源
5 光センサー
6 基板
7 CPU


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を受けたとき変色するとともに受けた紫外線量に応じて変色濃度が変化する調光レンズの表面で前記紫外線を受けるステップ、前記調光レンズの側面に一定光量の光を照射するステップ、前記調光レンズを透過した前記光源からの光を受光するステップ、受光した前記光の受光量から前記紫外線の強度を算出するステップからなることを特徴とする紫外線量検知方法。
【請求項2】
前記調光レンズは、携帯電子機器筐体に設けられた開口部からその表面を露出させて目視可能に配置されており、前記算出した紫外線の強度を前記携帯電子機器筐体に設けられた表示部に表示するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の紫外線量検知方法。
【請求項3】
その表面で紫外線を受けるように配置され、紫外線を受けたとき変色するとともに受けた紫外線量に応じて変色濃度が変化する調光レンズと、該調光レンズの側面から該調光レンズに光を照射する光源と、該調光レンズを透過した前記光源からの光量を検出する光センサーと、該光センサーにより検出された前記光量から前記紫外線量を算出する紫外線量算出手段とを備えていることを特徴とする紫外線センサー。
【請求項4】
携帯電子機器筐体に設けられた開口部からその表面を露出させることにより目視可能に配置され、紫外線を受けたとき変色するとともに受けた紫外線量に応じて変色濃度が変化する調光レンズと、前記携帯電子機器筐体内部に配置され、前記調光レンズの側面から該調光レンズに光を照射する光源、および該調光レンズを透過した前記光源からの光量を検出する光センサーと、該光センサーにより検出された前記光量から前記紫外線量を算出する紫外線量算出手段と、該算出した紫外線量に基づいて紫外線の強度を示す情報を前記携帯電子機器に設けられた表示部を用いて表示する紫外線情報表示手段と、を有することを特徴とする紫外線センサー付き携帯電子機器。
【請求項5】
前記紫外線量算出手段は、紫外線量検知指示を受けたとき、前記光源に対して発光を指示する機能を有していることを特徴とする請求項4に記載の紫外線センサー付き携帯電子機器。
【請求項6】
前記紫外線量算出手段は、紫外線量の自動通知指示を受けたとき、前記光源に対して予め設定された間隔で発光を指示する機能と、発光毎に前記光センサーで受光された受光量から算出された前記紫外線量が予め設定された値よりも大きいとき予め設定された手段でユーザーに通知する機能を有していることを特徴とする請求項4に記載の紫外線センサー付き携帯電子機器。
【請求項7】
前記予め設定された手段は、前記携帯電子機器が備えている、着信ランプ、スピーカー、バイブレータの内の少なくとも一つを駆動する手段により構成されていることを特徴とする請求項6に記載の紫外線センサー付き携帯電子機器。
【請求項8】
コンピュータを、その表面で紫外線を受けたとき変色するとともに受けた紫外線量に応じて変色濃度が変化する調光レンズの側面に配置された光源から該調光レンズ側面に光を照射する手段、前記調光レンズを介して前記光源からの光を光センサーで受光する手段、該光センサーで受光した受光量から前記紫外線量を算出する手段、該算出した紫外線量情報を表示する手段として機能させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−243252(P2010−243252A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90262(P2009−90262)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】