説明

細菌多様性を増大させるためのラクトバチルス・プランタルムの使用

プラセボと比較して増大した多様性指数を生じることを目的としてラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株を個体に投与することによって消化管の多様性を増大させるための組成物を製造するための前記菌株の使用と、低細菌多様性(LBD)を発生することに対して健康な個体を予防的に治療するため、1つまたは複数の生理的撹乱状態、大腸細菌過剰増殖(LIBO)または小腸細菌過剰増殖(SIBO)を発生することに対してLBDを有する個体を予防的に治療するため、1つまたは複数の生理的撹乱状態を発生することに対してLIBOまたはSIBOを有する個体を予防的に治療するための組成物を製造するためのラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株の使用と、前記多様性を増大させるための方法とが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消化管の多様性を増大させるための組成物を製造するためのラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の1つの菌株の使用、および予防的治療のための組成物を製造するためのラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
高多様性(様々な種類の生物体の変化)が地球生態系および局部的なより限定された生態系にとって有益であり、個々の人間にとっても有益であることは、生物学において一般的に一致した意見である。高多様性は、生態系が健康的な均衡状態にあることを示す。対照的に、不均衡または撹乱した生態系、もしくは病的な生態系は少数の生物体の「過剰増殖」を開始し、これは、系を支配してさらなる撹乱および新しい病的状態を生じる。これは、ヒトの腸の生態系にも当てはまる。
【0003】
ヒトの消化(GI)管の細菌叢は複雑な生態系である。細菌叢の組成および活性は、栄養、免疫系の発達および絶え間ない調整、ならびにコロニー形成耐性に寄与するために、ヒトの健康において重要な役割を果たす。GI管は、口から肛門まで延在する特殊な管と見なすことができる。これは、口、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸および回腸)、および大腸(盲腸、結腸および直腸)を含むいくつかの明確な解剖学的領域に分割される。胃および小腸の上側の3分の2(十二指腸および空腸)における細菌濃度は、胃の酸性度、内容物の短い通過時間、胆汁および膵液の分泌のために比較的低い。濃度は通常、胃または腸の内容物1mlあたり10〜10の範囲のコロニー形成単位(cfu)の細菌であり、これらの領域における典型的な常在細菌の例はストレプトコッカス(Streptococcus)およびラクトバチルス(Lactobacillus)である。小腸(回腸)の末端部分は普通は10〜10cfu/mlの濃度を有し、通常、結腸中で見られる細菌と同じ種類の細菌、すなわち様々な種類のファーミキューテス(Firmicutes)、バクテロイデス(Bacteriodetes)、フソバクテリウム(Fusobacteria)、ベルコミクロビウム(Verrucomicrobia)、プロテオバクテリア(Proteobacteria)およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)によって支配される(WANG, M., AHRNE, S., JEPPSSON, B. & MOLIN, G. (2005). Comparison of bacterial diversity along the human intestinal tract by direct cloning and sequencing of 16S rRNA genes. FEMS Microbial Ecology 54: 219-231)。最も高い細菌濃度は、通過時間がより長い(60時間に至るまで)ために大腸において見られる。細菌バイオマスは糞便の固形分の40〜55%を構成し、生きた細菌の濃度は、通常、腸管内容物1gあたり約1010〜1011cfuであると推定されている。撹乱されている均衡のとれた健康な結腸では、細菌多様性もその最大値である。しかしながら、極めて高い細菌濃度のために、結腸は、生きた細菌または細菌の毒性部分が粘膜関門を通過して、腸間膜リンパ節および他の腸外部位(脾臓、肝臓、腎臓、腹膜腔および血流など)に入るトランスロケーションに対して、最も脆弱なGI管の部分でもある。低細菌多様性(LBD)は、トランスロケーションを導き得る大腸細菌過剰増殖(LIBO)および小腸過剰増殖(SIBO)の危険性を高める。
【0004】
クローン病患者では消化管の多様性が低いことは当技術分野において実証されている[Manichanh C., Rigottier-Gois L., Bonnaud E., Gloux K., Pelletier E., Frangeul L., Nalin R., Jarrin C., Chardon P., Marteau P., Roca J., and Dore J. (2006) Reduced diversity of faecal microbiota in Crohn's disease revealed by a metagenomic approach. Gut 55:205-211][Ott S.J. Musfeldt M., Wenderoth D.F., Hampe J., Brant O., Folsch U.R., Timmis K.N., and Schreiber S. (2004) Reduction in diversity of the colonic mucosa associated bacterial microflora in patients with active inflammatory disease. Gut 53:685-693]。
【0005】
さらに、消化管において低多様性を有する新生児はアレルギーになる危険性がより高いことが実証されている[Wang, M., Karlsson, C., Olsson, C., Adlerberth, I., Wold, A., Strachan, D.P., Martricardi, P.M., Aberg, N., Perkin, M.R., Tripodi, S., Hesselmar, B., Saalman, R., Molin, G. & Ahrne, S. (2008). Reduced diversity in the early fecal microbiota of infants developing atopic eczema: Low diversity in early microbiota of infants developing atopy. Journal of Allergy and Clinical Immunology 121:129-134。
【0006】
さらに、消化管において「過剰増殖」(低多様性)を患っている雌ラットは、ハプトグロビンレベルが高く、未熟な腸を有する子を産むことが実証されている[FAK, F., Ahrne, S., Molin, G., Jeppsson, B. & Westrom, B (2008). Microbial manipulation of the rat dam changes bacterial colonization and alters properties of the gut in her offspring. American Journal of Physiology - Gastrointestinal and Liver Physiology 294: 148-154。
【0007】
従って、人間および他の哺乳類では、消化管内の低多様性といくつかの生理的撹乱状態との間には関係があると思われる。
【0008】
抗生物質の使用によって消化管内の細菌多様性が低くなることが知られている。抗生物質は世界中で広く使用されているため、この消化管内の低多様性の問題を克服する(前記低多様性は人類の総体的な健康に影響を与える)ための新規の方法を提供することが、当技術分野において実に必要とされている。
【0009】
さらに、先進国における人類のライフスタイルは、例えばストレスおよび過体重を考慮すると、心血管疾患などの多くの不健康な撹乱および状態を引き起こすことが一般に知られている。これらの撹乱および状態を有する人々は、多くの場合、消化管内の低細菌多様性を有することが知られている。
【0010】
従って、当技術分野では、個体の消化管内の低多様性に関連するあるいは起因する生理的撹乱状態の問題を克服することが必要とされている。
【0011】
国際公開第01/11077A2号パンフレットには、抗菌薬または生菌剤、例えばビフィドバクテリウム種またはラクトバチルス種を投与することによって、あるいは運動改善薬を用いることにより腸管の運動性を標準化することによって、過敏性腸症候群および小腸細菌過剰増殖(SIBO)によって生じる他の障害を診断または治療する方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の問題は本発明によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、1つの態様において、プラセボと比較して増大した多様性指数差を生じることを目的としてラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株を個体に投与することによって消化管の細菌多様性を増大させるための組成物を製造するための前記菌株の使用に関する。
【0014】
本発明は、さらなる態様において、低細菌多様性(LBD)を発生することに対して健康な個体を予防的に治療するため、生理的撹乱状態、大腸細菌過剰増殖(LIBO)または小腸細菌過剰増殖(SIBO)を発生することに対してLBDを有する個体を予防的に治療するため、生理的撹乱状態を発生することに対してLIBOまたはSIBOを有する個体を予防的に治療するための組成物を製造するためのラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株の使用に関する。
【0015】
本発明はさらに、ラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株を個体に投与して、プラセボと比較して増大した多様性指数差を生じることによって、消化管の細菌多様性を増大させるための方法に関する。
【0016】
また本発明は、細菌多様性を改善および/または増大させ、腸における小腸細菌過剰増殖(SIBO)および大腸細菌過剰増殖(LIBO)を根絶することによって、任意選択により小腸細菌過剰増殖(SIBO)および/または大腸細菌過剰増殖(LIBO)によって誘発される、個体の消化(GI)管内の低細菌多様性(LBD)に基づいた生理的撹乱状態の1つまたは複数の治療にも関する。
【0017】
さらに、本発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の増大した多様性指数差を生じる際に使用するため、および/または請求項14〜25のいずれか一項に記載の予防的治療において使用するためのラクトバチルス・プランタルム菌株にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ヒト粘膜から増幅されたHaeIII消化16S rRNA遺伝子のT−RFLPプロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明によると、ラクトバチルス・プランタルムの単一の菌株の投与が消化管の多様性を増大させる、すなわちただ1つの菌株を与えることによって消化管内の様々な種類の細菌の総数が増大することは全く予想外である。従って、投与した菌株の量の増大だけでなく、他の細菌の種類の増大も観察される。さらに、前記単一のラクトバチルス・プランタルム菌株の投与およびコロニー形成は、これまでは個体の消化管内で増殖することができなかった新しい細菌群の増殖を開始させる。これは、当技術分野において提言されていること(様々な細菌株の混合物だけが消化管内の細菌株の混合物、すなわち増大した多様性を提供することができると提言されている)とは対照的である。従って、当技術分野では多くの場合、生物学的多様性がそれにより低下されるという推定を考慮して、単一の菌株だけを与えることは反対される。別の形で表現すると、様々な種類の細菌の混合物を与えるための主な論拠は、これらの混合物が多様性の要件を満たすことである。
【0020】
そのため、本発明によると、ラクトバチルス・プランタルムの単一の菌株だけの投与が、増大した多様性を提供することは全く予想外である。
【0021】
上記のように、1つまたは複数の様々な生理的撹乱状態を有する個体は、以下に定義されるように、撹乱状態の理由であるかあるいは撹乱状態によって引き起こされるかのいずれかであるLBD(低細菌多様性)を同時に示すことが多い。LDB自体は普通の病状とは見なされないが、時が経つと、様々な疾患を含む生理的撹乱状態、もしくはLIBO(大腸細菌過剰増殖)またはSIBO(小腸細菌過剰増殖)を導き得る。LIBOおよびSIBOは必ずしもLBDの結果ではないが、そうであることが多い。LIBOまたはSIBOを有する個体は自動的に消化管内のLBDも有する。LIBOおよびSIBOもそれ自体は普通の病状とは見なされないが、それぞれ、以下に記載されるような様々な疾患、例えばトランスロケーションを含むいくつかの生理的撹乱状態を発生するかなりの危険性を伴っている。あるいは、LIBOおよびSIBOは、様々な生理的撹乱状態の結果であることもある。本発明に従う組成物は、LBDを発生することに対する予防的治療のために、健康な個体に投与することができる。さらに、前記組成物は、1つまたは複数の生理的撹乱状態、SIBOまたはLIBOを発生することに対する予防的治療のために、LBDの原因に関係なくLBDを有する個体に投与することもできる。さらには、前記組成物は、1つまたは複数の生理的撹乱状態、例えばトランスロケーションを発生することに対する予防的治療のために、LIBOまたはSIBOを有する(その原因に関係なく)個体に投与することもできる。さらなる実施形態では、消化管内の細菌多様性を増大させ、それにより個体の全体的な健康状態を改善し、任意選択により、前記1つまたは複数の生理的撹乱状態の効果を軽減することを目的として、LDBおよび/またはSIBOおよび/またはLIBOを有し、同時に上記の生理的撹乱状態の1つまたは複数も患っている個体は、前記組成物による投与を受けることができる。
【0022】
本発明に関連して観察される増大した多様性は、切断のために酵素HaeIIIを使用し、以下に記載されるシャノン−ウィーナー(Shannon-Weaner)の指数およびシンプソン(Simpson)の指数を計算して、周知のT−RFLP法によって測定される多様性指数の形で測定することができる。シャノン−ウィーナーの指数が使用される場合、前記増大した多様性指数差は少なくとも0.15、好ましくは0.30、より好ましくは0.45、さらにより好ましくは0.60である。
【0023】
シンプソンの多様性指数が使用される場合、前記増大した多様性指数差は少なくとも0.02、好ましくは0.04、より好ましくは0.06、さらにより好ましくは0.08である。
【0024】
多様性指数差(Didiff_total)の計算は、第1のステップで、ラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株を含有する製品を摂取する個体の多様性の差(Didiff)を計算することによって実施され、すなわち、菌株の摂取後の多様性指数の値(Diafter_product)は、摂取前の多様性指数の値(Dibefore_product)が差し引かれ、これは、製品を摂取する個体の数である(nproduct)によって除される。その後、上記の第1のステップで得られた値は、プラセボについて得られた多様性差(Diplacebo_total=Diafter_placebo−Dibefore_placebo)を、プラセボを摂取する個体の数であるnplaceboによって除した値が差し引かれる。多様性指数差の式は、次の通りである:
Didiff_total=Σ(Diafter_product−Dibefore_product)/(nproduct)−Σ(Diafter_placebo−Dibefore_placebo)/(nplacebo
【0025】
多様性指数は当然ながら他の既知の手段によっても測定されてもよく、当業者はこのような他の既知の手段が何であり得るか十分に理解している。さらに、切断のために使用される酵素HaeIIIは、任意の他の既知の酵素によって置き換えられてもよい。
【0026】
本発明に従って消化管内に提供される増大した多様性指数を考慮して、人類の総体的な健康はより良くなるであろう。多くの生理的な撹乱が低多様性指数に関連することは、既に上記で議論した。ラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株を固体または液体製剤、例えば以下に記載される食品の形態で容易に摂取できることによって、個体が健康を保つことが容易である。
【0027】
さらに、本明細書において提供される増大した多様性指数は、現代社会および福祉国家の悪影響を打ち消す。例えば、上記のように、世界中で摂取される大量の抗生物質は、GI管内の均衡を破壊する。この破壊された均衡は、本発明に従うラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株を与えることによって再び正常および健康になるであろう。
【0028】
さらに、現代社会の多くの生理的撹乱状態は、本発明に従うラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株の連続的な摂取によって阻止され得ると確信される。
【0029】
本発明の実施形態において、前記組成物は液体製剤または固体製剤であり、前記固体製剤は、錠剤、吸引錠剤(sucking tablet)、甘味剤(sweet)、咀嚼錠剤(chewing tablet)、チューインガム、カプセル剤、サシェ(sachet)、粉剤、顆粒剤、被覆粒子および被覆錠剤、腸溶性錠剤およびカプセル剤、ならびに溶融ストリップおよびフィルムからなる群から選択され、前記液体製剤は、経口溶剤、懸濁剤、乳剤およびシロップ剤からなる群から選択される。本発明の組成物は、従来の任意の手段に従って投与することができる。しかしながら、菌株は好ましくは経口投与される。
【0030】
本発明の実施形態では、前記組成物は担体材料を含み、前記担体材料は、オートミール粥、乳酸発酵食品、難消化性デンプン(resistant starch)、食物繊維、炭水化物、タンパク質、および糖化タンパク質からなる群から独立して選択される。
【0031】
本発明の実施形態では、前記組成物は、医療用食品、機能性食品、栄養補助食品、栄養製品または食品調製物である。従って、ラクトバチルス・プランタルム菌株は多数の異なる形態で個体に与えることができる。前記食品調製物は、飲料、ヨーグルト、ジュース、アイスクリーム、パン、ビスケット、シリアル、健康バー(health bar)、およびスプレッドからなる群から選択することができる。従って、組成物を食品の形態で毎日容易に摂取できることが十分に理解される。従って、人類の総体的な健康は、本発明に従う組成物の使用によってより良くなるであろう。
【0032】
ラクトバチルス・プランタルムの菌株は、約1×10〜約1×1014、好ましくは約1×10〜約1×1012、より好ましくは約1×10〜約1×1011CFU(菌株)の量で組成物中に存在する。
【0033】
本明細書を通して使用される「プラセボと比較して増大した多様性の差」という語句は、ラクトバチルス・プランタルム菌株が投与された個体の細菌多様性の変化を、ラクトバチルス・プランタルム菌株を含まないが同様の製品が研究中に投与された他の個体と比較したことを意味する。これらの種類の研究は盲検であり、すなわち、研究中、志願者も研究および分析結果を取り扱う人物も、どの個体がプラセボを得て、どの個体が治療製品を得たのかを知らない。これは、誤差および誤った結果の多くの原因を除外する。
【0034】
本明細書を通して使用される「大腸細菌過剰増殖(LIBO)」という語句は、1つまたは少しの細菌の種類が大腸の細菌叢を高度に支配する、すなわち他の種類の細菌の大多数よりもかなり多くの数で存在することを意味する。
【0035】
本明細書を通して使用される「小腸細菌過剰増殖(SIBO)」という語句は、1つまたは少しの細菌の種類が小腸の細菌叢を高度に支配する、すなわち他の種類の細菌の大多数よりもかなり多くの数で存在することを意味する。
【0036】
本明細書を通して使用される「低細菌多様性(LDB)」という語句は、シャノン−ウィーナーの多様性指数に従って少なくとも0.15の多様性指数差、またはシンプソンの多様性指数に従って少なくとも0.02の多様性指数差によって定義され得る、個体の消化管における不均衡な細菌組成を意味する。本明細書において使用されることがある「多様性」という用語は、「細菌多様性」を意味するものであることに注意すべきである。
【0037】
本明細書を通して使用される「生理的撹乱状態」という語句は、胃腸障害、例えばトランスロケーション、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群などの、LDBの存在および/もしくはLIBOまたはSIBOの存在に関連するまたはこれらに起因する望ましくない健康状態、抗生物質の摂取による望ましくない状態を意味する。さらに、LDB、SIBOおよびLIBOは、冠状動脈障害、非アルコール性脂肪性肝疾患、2型糖尿病、アレルギー、アトピー性湿疹および自己免疫の発生のためのマイナス要因であり得る。
【0038】
本明細書を通して使用される「消化管の多様性を増大させるため」という語句は、消化管内の増大した微生物叢が、様々な種類の細菌の存在の形態で得られることを意味する。これは、特定の陰性細菌の「過剰増殖」の危険性が低減され、個体のより良好な全体的な健康が導かれることを意味する。従って、GI管内の特定の細菌の過剰増殖は、本発明に従って低減される。これにより、望ましい均衡が提供される。
【0039】
多様性指数は、切断のために酵素HaeIIIを使用し、シャノン−ウィーナー指数およびシンプソンの多様性を計算して、T−RFLP法によって測定される。
【0040】
上記のように、本発明は、細菌多様性を改善および/または増大させ、腸における小腸細菌過剰増殖(SIBO)および大腸細菌過剰増殖(LIBO)を根絶することによって、任意選択により小腸細菌過剰増殖(SIBO)および/または大腸細菌過剰増殖(LIBO)によって誘発される、個体の消化(GI)管内の低細菌多様性(LBD)に基づいた生理的撹乱状態の1つまたは複数の治療にも関する。LBDは、ラクトバチルス・プランタルム299、DSM6595、ラクトバチルス・プランタルム299v、DSM9843、ラクトバチルス・プランタルムHEAL−9、DSM15312、ラクトバチルス・プランタルムHEAL−19、DSM15313、およびラクトバチルス・プランタルムHEAL−99、DSM15316からなる群から選択されるラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株の摂取によって治療される。
【0041】
L.プランタルムは正当に命名された約90の種または亜種を含む、巨大で比較的多様なラクトバチルス属の細菌種である。伝統的に、ラクトバチルス種は、その発酵能力に応じて3つの機能的な群:偏性ホモ発酵性(obligately homofermentative)(群I)、通性ヘテロ発酵性(facultatively heterofermentative)(群II)および偏性ヘテロ発酵性(obligately heterofermentative)(群III)に分けられている。群Iはヘキソースを乳酸に排他的に発酵させるが、グルコナートまたはペントースを発酵させることができない。一方、群IIもヘキソースを乳酸に発酵させるが、さらにペントースおよび/またはグルコナートも発酵させることができる。群IIIは、ヘキソースを乳酸、酢酸および/またはエタノール、ならびに二酸化炭素に発酵させる。L.プランタルムは通性ヘテロ発酵性である。L.プランタルムの基準株は、ATCC 14917である。
【0042】
L.プランタルムは、多くの他のラクトバチルス種とは以下の点で異なる:
1)L.プランタルムは比較的大きいゲノムを有し、これは、多くの異なる条件を採用する能力を示す。
2)L.プランタルムは多くの異なる炭水化物を発酵させる著しい能力を有する。
3)L.プランタルムはマンガンに対して高い増殖要求性を有し、高い細胞間レベルのマンガンを蓄積することができる。マンガンは、酸素ラジカルのHへの還元によって酸素毒性に対するL.プランタルムの防御を提供する。生成したHは、次に、マンガン補因子偽カタラーゼ(manganese cofactored pseudocatalase)によってOおよび水へ転換され得る。
4)L.プランタルムは低pHに対して高い耐性を有する。pHが通常4.0よりも低い乳酸発酵食品中でL.プランタルムは自然に優位を占めることが多く、ヒトの胃の酸性条件を通過しても生き残るという事実は、酸性条件に対するその高い耐性を示す。
5)L.プランタルムはタンナーゼ活性を有することができ、フェノール酸を代謝することもできる。
【0043】
L.プランタルムは、ほとんどの乳酸発酵食品において、特に食品が植物材料に基づく場合には、例えば、塩漬けオリーブ、ケイパー(ケイパーベリー)、ザワークラウト、塩漬けガーキン(salted gherkin)、サワードウ、ナイジェリアのオギ(ogi)(トウモロコシまたはソルガムから製造)、エチオピアのコチョ(kocho)(エンセテ・ベントリコーサム(Ensete ventricosum)からのデンプンから製造)、テフ(エラグロスティス・テフ(Eragrostis tef))およびキャッサバから製造されるエチオピアのサワードウにおいて、自然に多数生じることが多い。従って、植物起源の乳酸発酵製品を消費する個体は、大量のL.プランタルムも消費することは明白である。さらに、L.プランタルムは、グレープジュースおよびワイン中で生じる。L.プランタルムは、ヒトの口から直腸までの消化管粘膜において生じることが多い[Molin, G., Jeppsson, B., Ahrne, S., Johansson, M.-L., Nobaek, S., Stahl, M., and Bengmark, S. (1993). Numerical taxonomy of Lactobacillus spp. associated with healthy and diseased mucosa of the human intestines, J. Appl. Bacteriol. 74: 314-323、Ahrne, S., Nobaek, S., Jeppsson, B., Adlerberth, I., Wold, A., and Molin, G. (1998). The normal Lactobacillus flora of healthy human rectal and oral mucosa, J. Appl. Microbiol. 85: 88-94]。従って、L.プランタルム種がヒトの食物およびヒトの腸に関連して唯一の立場を有することは明白であり、ヒトが最初から乳酸発酵食品を食べているという観点において、植物材料が閉鎖領域、例えば地面の穴の中に押し込まれるとこれは自然の過程なので、これらの環境で自然に優位を占める生物体は、ヒトの腸内で果たす重要な役割も有することが理解できる。
【実施例】
【0044】
多様性の測定
末端制限断片長多型(terminal restriction fragment length polymorphism、T−RFLP)解析は、蛍光で末端標識化されたPCR産物の制限エンドヌクレアーゼ消化に基づいた群集フィンガープリント法であり、既知および未知の細菌群の両方についての情報が明らかになる。T−RFLPパターンは一連のステップで作られる。簡単には、群集のDNAがサンプルから直接抽出される。関心のある遺伝子は、1つが蛍光標識化されたプライマーを用いてPCR増幅される。精製の後、PCR産物は、制限エンドヌクレアーゼ(通常は4−塩基カッター)により消化される。消化産物は蛍光標識化DNAサイズ標準物と混合され、次に、蛍光標識化された末端の断片のみが可視化されるように、断片は、レーザー検出器を備えたゲルまたは毛細に基づいた系のいずれかを用いて電気泳動法によって分離される。このような解析からの出力は、2つの形態である:1)細菌群集のプロファイルを様々な高さの一連のピークとして示す電気泳動図、2)最も重要なことに、各ピークのサイズ(塩基対における)および高さ(または面積)を含む、自動断片解析プログラムから作成される表。サンプル間のT−RFLPプロファイルは、統計的方法を用いて数値的に比較することができる。微生物群集を比較するためにいくつかの統計的方法が適用されている。
【0045】
生態学的研究における微生物群集のT−RFLP解析は、ここ数年ますます使用されるようになった。これは再現可能であり、高解像度を与える。
【0046】
結果
被験者およびサンプル採取
被験者は全て良好な身体状態であるが、十分に管理され明確な心血管疾患を有する男性であった。彼らに、4週間の試験溶液の摂取の前後に軟性S状結腸鏡検査を受けさせた。さらなる解析のために、下部S状結腸の粘膜から標準的なやり方でバイオプシーをとった。
【0047】
多様性評価には、ランダムな二重盲検のプラセボ対照研究に含まれるより大きい被験者コホートから得られる16人の志願者を含めた。9人の被験者は1日あたり100mlの治療製品を4週間消費し、これは、1日当たり1011コロニー形成単位のL.プランタルムの毎日の摂取に相当した。7人の被験者は、同様であるが細菌を含まない製品を1日あたり100mlで4週間消費した。
【0048】
DNA抽出
粘膜のバイオプシーを超音波浴内で5分間処置し、次に2分間ボルテックスした。サンプルをUV処理1.5mlチューブに移し、9000rpmで7分間遠心分離した。380μlの緩衝液G2および30μlのProteinas K(Qiagen(Hilden, Germany))をペレットに添加した。サンプルを完全に溶解するまで56℃の水浴中で処置した。Eppendorf Mixer(モデル5432、Eppendorf(Hamburg, Germany))において、4℃で45分間12〜15個のガラスビーズ(直径2mm)と一緒に振とうさせることによって、懸濁液をさらに崩壊させた。5000rpmで1分間の遠心分離の後、上澄みを2つの異なる2mlのサンプルチューブ(各チューブ200μl)に移した。さらに、EZ1 DNA Tissue CardおよびEZ1 DNA Tissue Kitを有するBioRobot(登録商標)EZ1(Qiagen(Hilden, Germany))において、製造業者の使用説明書に従って精製を行った。DNAを200μlで溶出した。
【0049】
PCR増幅、精製、および濃度測定
5’末端がCy5で蛍光標識された普遍的な順方向プライマーCy5−ENV1(5’−AGA GTT TGA TII TGG CTC AG−3’)および逆方向プライマーENV2(5’−CGG ITA CCT TGT TAC GAC TT−3’)(それぞれ、8〜27bpおよび1511−1492bpでアニールする)によって、16S rRNA遺伝子を増幅した。PCR反応混合物は、0.2μMの各プライマー、0.2mMの各デオキシリボヌクレオチドトリホスファート(Roche Diagnostics(Indianapolis, IN))、5μlの10×PCR反応緩衝液(100mMのTris−HCl、500mMのKCl、pH8.3)、2.5U/μlのTaqポリメラーゼ(Roche Diagnostics(Mannheim, Germany))および0.2〜10μlのテンプレートを、50μlの最終体積中に含有した。以下のプログラム:94℃で3分間の1サイクルの後、94℃で1分間、50℃で45秒間および72℃で2分間を32サイクル、72℃で7分間のさらなる延長を用いて、Eppendorf Mastercycler(Hamburg, Germany)において増幅を行った。
【0050】
臭化エチジウムによる染色の後、1×TBE緩衝液(89mMのTris、89mMのホウ酸、2.5mMのEDTA)中の1.5%(w/v)アガロースゲルにおいて、PCR産物(5μl)を検証した
【0051】
3回の反応からのPCR産物を貯蔵して、PCRの偏りを低下させ、T−RFLP解析のために十分なDNAを得た。MinElute PCR精製キット(Qiagen(Hilden, Germany))によって、製造業者のプロトコルに従って単位複製配列を精製および濃縮した。溶出は、30μlの無菌蒸留水を用いて行った。
【0052】
DataMax for Windows(登録商標)を有するFlouroMax-2(ISA Jobin Yvon - Spex Instruments S.A., Inc.(New Jersey))によって、二本鎖DNAと相互作用をするQuant-iT TM PicoGreen(登録商標)(Invitrogen(Eugen, Oregon, USA))を用いて、精製DNAの濃度を分光蛍光分析法で測定した。Quant-iT TM PicoGreen(登録商標)は、製造業者の使用説明書に従って使用した。励起は、480nmで実施した。
【0053】
T−RFLP解析
10μlの総体積で、15Uの制限エンドヌクレアーゼHaeIII(Sigma-Aldrich(St Louis, USA))とは別に、200ngの一定分量の精製PCR産物を37℃において16時間消化した。消化の後、65℃で15分間加熱することによって酵素を不活性化した。消化物を、1μlの内部サイズ標準物および4μlのホルムアミド負荷染料(3.3μlの脱イオンホルムアミド、5%w/vのDextran Blueを有する0.7μlの25mMのEDTA)と混合し、ポリアクリルアミドゲルに負荷する前に、混合物を94℃で3分間変性させ、即座に氷の上に置いた。
【0054】
内部サイズ標準物は、Cy5−ENV1プライマー(上記のように、20bp)と、プライマー685r(5’−TCT ACG CAT TTC ACC GCT AC−3’、大腸菌(E. coli)ナンバリング705〜685)およびCy5−ENV1を用いて大腸菌ATCC 11775から増幅した697bpのPCR産物とを含有した。ALFexpress Sizer 50-500(GE Healthcare(Uppsala, Sweden))およびCy5標識化された697bpのPCR産物からなる外部サイズ標準物もサンプル含有ポリアクリルアミドゲルに負荷して、T−RFの長さを評価した。蛍光標識化断片を分離し、7%のReproGel Long Read ゲル(GE Healthcare(Uppsala, Sweden))を有するALFexpress II DNA配列決定装置によって、以下の条件:1500V、60mA、および55℃下で700分間検出した。
【0055】
統計解析
ALFwin TM断片アナライザー1.03プログラム(Amersham Biosciences(Uppsala, Sweden))を用いることによって、蛍光標識化T−RFのピーク面積を評価した。所与のT−RFLPパターン内の各T−RFの相対存在量は、20〜697bpの間の断片長内で検出される全てのT−RFの合計ピーク面積で除したそれぞれのT−RFのピーク面積として計算した。シンプソン(D)およびシャノン−ウィーナー(H’)指数は、式:
【数1】

を用いて計算した。式中、pは群集のi番目のピークの相対存在量である(Magurran A, 1996), Ecological diversity and its measurement, Chapman and Hall, London。シンプソンの指数の元の式の代わりにシンプソンの多様性指数(1−D)を使用すると、指数の値が多様性の増大と共に上昇することが保証される。それぞれの個体に対して、処置の前後にサンプルの指数を計算した。処置後の指数から処置前の指数を差し引くことによって、多様性の差を得た。プロバイオティック群およびプラセボ群における個体間の細菌多様性の差は、Mann-Whitney Rank Sum Test(SigmaStat、Systat Software(Point Richmond, USA))を用いて検出した。<0.05のp値は統計的に有意であると考えた。
【0056】
T−RFLPプロファイルからデータを解析する場合、プラセボを受けた個体と比較して、L.プランタルム299vで4週間処置した個体の腸管内の微生物叢の多様性において統計的な有意差が見られた。切断酵素として制限エンドヌクレアーゼHaeIIIを使用し、シャノン指数により測定される多様性の平均差は、プロバイオティック群については0.2305803であり、プラセボ群については−0.3929243であった(p=0.026)。
【0057】
シンプソンの多様性指数の計算は、L.プランタルム299vを与えることによってより高い多様性を確認した。切断酵素としてHaeIIIを使用し、結果は統計的に有意であった。シンプソンの多様性指数による平均差は、プロバイオティック群については0.0367907であり、プラセボ群については0.04792であった(p=0.026)。
【0058】
【表1】

【0059】
上記の結果は、ラクトバチルス・プランタルムの単一の菌株を投与したときに(すなわちラクトバチルス・プランタルム菌株が与えられた個体と、プラセボが与えられた個体との間で)ヒトの腸の細菌多様性が増大することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラセボと比較して増大した多様性指数差を生じることを目的としてラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株を個体に投与することによって消化管の多様性を増大させるための組成物を製造するための前記菌株の使用。
【請求項2】
前記増大した多様性指数差が、酵素としてHaeIIIを用い、シャノン−ウィーナーの指数およびシンプソンの多様性指数を用いてT−RFLP法によって測定される請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記ラクトバチルス・プランタルムが、ラクトバチルス・プランタルム299、DSM6595、ラクトバチルス・プランタルム299v、DSM9843、ラクトバチルス・プランタルムHEAL−9、DSM15312、ラクトバチルス・プランタルムHEAL−19、DSM15313、およびラクトバチルス・プランタルムHEAL−99、DSM15316からなる群から選択される請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
シャノン−ウィーナーの指数が使用される場合に、前記増大した多様性指数差が少なくとも0.15、好ましくは0.30、より好ましくは0.45、さらにより好ましくは0.60である請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
シンプソンの多様性指数が使用される場合に、前記増大した多様性指数差が少なくとも0.02、好ましくは0.04、より好ましくは0.06、さらにより好ましくは0.08である請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記組成物が、液体製剤または固体製剤である請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記固体製剤が、錠剤、吸引錠剤、甘味剤、咀嚼錠剤、チューインガム、カプセル剤、サシェ、粉剤、顆粒剤、被覆粒子および被覆錠剤、腸溶性錠剤およびカプセル剤、ならびに溶融ストリップおよびフィルムからなる群から選択される請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記液体製剤が、経口溶剤、懸濁剤、乳剤およびシロップ剤からなる群から選択される請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記組成物が、担体材料を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記組成物が、医療用食品、機能性食品、栄養補助食品、栄養製品または食品調製物である請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記担体材料が、オートミール粥、乳酸発酵食品、難消化性デンプン、食物繊維、炭水化物、タンパク質、および糖化タンパク質からなる群から独立して選択される請求項9または10に記載の使用。
【請求項12】
前記食品調製物が、飲料、ヨーグルト、ジュース、アイスクリーム、パン、ビスケット、シリアル、健康バー、およびスプレッドからなる群から選択される請求項10に記載の使用。
【請求項13】
前記菌株が、約1×10〜約1×1014CFU、好ましくは約1×10〜約1×1012、より好ましくは約1×10〜約1×1011の量で組成物中に存在する請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
低細菌多様性(LBD)を発生することに対して健康な個体を予防的に治療するため、1つまたは複数の生理的撹乱状態、大腸細菌過剰増殖(LIBO)または小腸細菌過剰増殖(SIBO)を発生することに対してLBDを有する個体を予防的に治療するため、1つまたは複数の生理的撹乱状態を発生することに対してLIBOまたはSIBOを有する個体を予防的に治療するための組成物を製造するためのラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株の使用。
【請求項15】
トランスロケーションが前記生理的撹乱状態の1つである請求項14に記載の使用。
【請求項16】
細菌多様性を改善および/または増大させ、腸における小腸細菌過剰増殖(SIBO)および大腸細菌過剰増殖(LIBO)を根絶することによって、任意選択により小腸細菌過剰増殖(SIBO)および/または大腸細菌過剰増殖(LIBO)によって誘発される、個体の消化(GI)管内の低細菌多様性(LBD)に基づいたあるいは関連した前記生理的撹乱状態の1つまたは複数を治療するための組成物を製造するための請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記ラクトバチルス・プランタルムが、ラクトバチルス・プランタルム299、DSM6595、ラクトバチルス・プランタルム299v、DSM9843、ラクトバチルス・プランタルムHEAL−9、DSM15312、ラクトバチルス・プランタルムHEAL−19、DSM15313、およびラクトバチルス・プランタルムHEAL−99、DSM15316からなる群から選択される請求項14に記載の使用。
【請求項18】
前記組成物が、液体製剤または固体製剤である請求項15〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記固体製剤が、錠剤、吸引錠剤、甘味剤、咀嚼錠剤、チューインガム、カプセル剤、サシェ、粉剤、顆粒剤、被覆粒子および被覆錠剤、腸溶性錠剤およびカプセル剤、ならびに溶融ストリップおよびフィルムからなる群から選択される請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記液体製剤が、経口溶剤、懸濁剤、乳剤およびシロップ剤からなる群から選択される請求項18に記載の使用。
【請求項21】
前記組成物が、担体材料を含む請求項14〜20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記医薬組成物が、医療用食品、機能性食品、栄養補助食品、栄養製品または食品調製物である請求項14〜21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記担体材料が、オートミール粥、乳酸発酵食品、難消化性デンプン、食物繊維、炭水化物、タンパク質、および糖化タンパク質からなる群から独立して選択される請求項21または22に記載の使用。
【請求項24】
前記食品調製物が、飲料、ヨーグルト、ジュース、アイスクリーム、パン、ビスケット、シリアル、健康バー、およびスプレッドからなる群から選択される請求項22に記載の使用。
【請求項25】
前記菌株が、約1×10〜約1×1014CFU、好ましくは約1×10〜約1×1012、より好ましくは約1×10〜約1×1011の量で組成物中に存在する請求項14〜24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
プラセボと比較して増大した多様性指数差を生じることを目的として個体にラクトバチルス・プランタルムの1つの菌株を投与することによって消化管の多様性を増大させるための方法。
【請求項27】
前記増大した多様性指数が、酵素としてHaeIIIを用い、シャノン−ウィーナーの指数およびシンプソンの多様性指数を用いてT−RFLP法によって測定される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の増大した多様性指数差を生じる際に使用するため、および/または請求項14〜25のいずれか一項に記載の予防的治療において使用するためのラクトバチルス・プランタルム菌株。

【図1】
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【公表番号】特表2010−520234(P2010−520234A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551968(P2009−551968)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/SE2008/000170
【国際公開番号】WO2008/105715
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(509243300)プロビ アーベー (2)
【Fターム(参考)】