説明

細菌感染に対する抗微生物療法

本開示は、細菌による病理発生を治療するための化合物および方法を提供するとともに、S.アウレウス(S. aureus)の色素がビルレンス因子でありかつ抗微生物療法の新規な標的になる可能性を有することを実証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌感染に対する抗微生物療法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
オグストン(Ogston)(1881年)は、外科的膿瘍から膿の形態で回収された細菌のブドウ状クラスターを記述するスタフィロコッカス(Staphylococcus)属という用語(staphylo=ブドウ(ギリシャ語))を考案した。その後まもなく、ローゼンバッハ(Rosenbach)(1884年)は、この病原体を純粋培養物の形態で分離し、通常は皮膚表面にコロニーを形成するそれほどビルレントでないブドウ球菌類と対比されるその特徴的な表面色素沈着にちなんでS.アウレウス(S. aureus)(金色(ラテン語))という種名を提案した。
【0003】
抗微生物療法の時代もその60年目に入ると、感染性疾患の罹患率および死亡率は大幅に減少した。しかしながら、耐性微生物の出現は、現在かなりの割合に達しており、医学界に大きな課題を投げかけている。第一選択の抗生物質療法に対してますます不応答性になってきている際立ったグラム陽性細菌性病原体S.アウレウス(S. aureus)では、厄介な傾向がとくに顕在化している。S.アウレウス(S. aureus)は、命にかかわる急性細菌感染の原因としておそらく世界中で最も多く見受けられるものであり、単純なせつ腫または膿痂疹から劇症敗血症または毒素性ショック症候群に至るまでさまざまな重症度の多様な一連の疾患を引き起こしうる。S.アウレウス(S. aureus)は、菌血症、病院関連(院内)感染、皮膚・軟組織感染、創傷感染、および骨・関節感染の唯一の主原因である。それは、心内膜炎および食中毒の病因として最も多く見受けられるものの1つである。
【0004】
24,000例を超える侵襲性細菌分離株の全国的前向き調査によると、メチシリン耐性を有する疾患関連S.アウレウス(S. aureus)(MRSA)菌株は、1995年では22%であったが現在では57%に増大している。MRSAは、現在、院内感染でだけでなく市中感染でも頻繁に同定されている。この本格的な公衆衛生上の危機に対処するために、新規なクラスの抗生物質を探索する緊急の必要性が存在する。10種未満の抗細菌性骨格をベースとする類似体の合成を半世紀にわたり行ってきた結果、100種超の抗細菌剤の開発および販売に結びついたが、オキサゾリジノン核を除いて、出現する耐性問題に対処する新しい骨格は、過去30年間現れなかった。
【0005】
典型的な抗生物質法では、細胞壁生合成、タンパク質合成、DNA複製、RNAポリメラーゼ、または代謝経路のような本質的細胞機能を標的にすることにより、細菌の死滅または増殖抑制が試みられる。これらの細胞機能の多くは、哺乳動物細胞にとっても本質的なものであり、微生物中の標的と宿主細胞中の対応物(複数可)との間のわずかな分子的差異を必要とするので、こうした従来療法は、毒性の危険性がより高い。第2に、同一の本質的標的を反復使用するということは、細菌が治療期間中に特定の抗生物質に対して耐性を生じた場合、同一の標的に作用する他の薬剤に対して、細菌が他方の薬剤に暴露されなかったとしても、同時に交差耐性になる可能性があることを意味する。第3に、従来療法では、細菌に対して「生死にかかわる」チャレンジを行うので、抗微生物剤に対して耐性を生じる強い選択圧が加わる。最後に、多くの現在の抗生物質は、非常に広範にわたる活性を有し、正常フローラの多くの成分を根絶する副作用があるので、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)結腸炎や二次菌類感染(たとえばカンジダ(Candida)属)のような望ましくない合併症を引き起こす。
【0006】
MRSAの出現により、S.アウレウス(S. aureus)感染の経験的療法におけるメチシリンおよび関連抗生物質(オキサシリン、ジクロキサシリン)ならびにセファロスポリン類(cephalosporings)すべて(たとえば、セファゾリン、セファレキシン)の臨床的有用性が損なわれた。MRSAは、多くの場合、マクロライド類(たとえば、エリスロマイシン)、β−ラクタマーゼ阻害剤の組合せ(たとえば、ユナシン(Unasyn)、オーグメンチン(Augmentin))、およびフルオロキノロン類(たとえば、シプロフロキサシン)に対して有意な耐性レベルを有し、ときには、クリンダマイシン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール(sulfamethoxisol)(バクトリム(Bactrim))、およびリファンピンに対して耐性である。重篤なS.アウレウス(S. aureus)感染では、静脈内投与バンコマイシン(Vancomycin)は最後の手段であるが、これまでにも、MRSAの治療に一般に使用される静脈内投与抗生物質バンコマイシンに対するS.アウレウス(S. aureus)の耐性に関する驚くべき報告が存在する。
【0007】
リネゾリド(ザイボックス(Zyvox))やキヌプリスチン/ダルフォプリスチン(シナシッド(Synercid))(両方とも、リボソームサブユニットに結合する伝統的標的を利用してRNA合成を阻害する)のような新しい抗MRSA剤は、きわめて高価である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
カロテノイド類は、微生物のビルレンス因子/耐性因子として機能することが本発明により実証される。一特定例では、S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドは、その抗酸化性に基づいて好中球媒介死滅を障害し疾患の病理発生を促進するビルレンス因子であること、2)該生物は、カロテノイド色素産生の薬理学的阻害により酸化剤媒介死滅や血液媒介死滅の影響をより受けやすくなるという証拠、および(3)スクアレン合成阻害剤によりスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の色素産生を妨害することが可能でありかつスクアレン合成阻害によりスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の病原性をin vivoで低下させることが可能であるという証拠が本発明により実証される。
【0009】
本発明は、式IまたはII:
【化1】

【0010】
〔式中、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、両端を含めて1〜10の整数であり、
各Dおよび各Eは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、金属、アンモニウム、およびそれらのエステルよりなる群から選択され、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
は、−S−、−SO−、−SO−、−O−、−N(R19)−、または−C(R20)(R21)−である{ここで、R19、R20、およびR21は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択される}〕
【化2】

【0011】
〔式中、
xは、0、1、2、または3であり、
yは、両端を含めて1〜10の整数であり、
各Gおよび各Jは、独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、金属、アンモニウム、およびそれらのエステルよりなる群から選択され、
10は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR10およびR11は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
11は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR11およびR10は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはR11およびR12は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
12は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR12およびR11は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはR12およびR13は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
13は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR13およびR12は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
14、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
は、−S−、−SO−、−SO−、−O−、−N(R22)−、または−C(R23)(R24)−である{ここで、R22、R23、およびR24は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択される}〕
により表される化合物を包含する化合物を提供する。
【0012】
他の態様では、mは、0または1であり、nは、両端を含めて1〜5の整数であり、各Dおよび各Eは、独立して、H、アルキル、置換アルキル、およびハロから選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択され、
19、R20、およびR21は、それぞれ独立して、H、アルキル、および置換アルキルよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、アルカリ金属であり、
xは、0または1であり、
yは、両端を含めて1〜5の整数であり、
各Gおよび各Jは、独立して、H、アルキル、置換アルキル、およびハロから選択され、
10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択され、
22、R23、およびR24は、それぞれ独立して、H、アルキル、および置換アルキルよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、アルカリ金属である。
【0013】
さらに他の態様では、mは、1であり、nは、3であり、各Dおよび各Eは、Hであり、Rは、H、F、またはベンジルであり、Rは、H、F、またはCFであり、Rは、H、F、Cl、CF、t−ブチル、n−プロピル、またはベンジルであり、Rは、HまたはFであり、R、R、R、およびRは、それぞれ、Hであり、Rは、HまたはFであり、M、M、およびMは、それぞれ、カリウムであり、Lは、−O−、−NH−、またはCHであり、xは、0または1であり、yは、3であり、各Gおよび各Jは、Hであり、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ、Hであり、R12は、HまたはCHであり、M、M、およびMは、それぞれ、カリウムであり、Lは、−O−である。
【0014】
本発明はまた、以下の構造を含む化合物を提供する。そのような化合物は、デヒドロスクアレンシンターゼ活性の有用な阻害剤である。
【化3】

【0015】
以上のいずれについてもその製薬上許容される塩、プロドラッグ、およびエナンチオマーもまた、本発明に包含される。
【0016】
本発明はまた、細菌内におけるカロテノイドの産生および/または活性を阻害する薬剤を、感染を受けた被験者に投与することを含む、細菌感染の予防方法または治療方法を提供する。一実施形態では、細菌感染は、スタフィロコッカス(Staphylococcus)感染である。他の実施形態では、細菌は、スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus sp.)である。このほかのさらなる実施形態では、細菌は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)である。
【0017】
本発明はまた、式IまたはII(Formula I or those)で示される化合物を、感染を受けた被験者に投与することを含む、細菌感染の予防方法または治療方法を提供する。ただし、式IおよびIIで示される化合物は、スクアレンシンターゼを阻害する。
【0018】
本発明はまた、スクアレンシンターゼを発現する微生物をスクアレンシンターゼ阻害剤に接触させることによる、MRSAの予防方法、治療方法、または有効治療の改良方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
詳細な説明
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「a」、「an(and)」、および「the」は、文脈上明らかに異なる場合を除いて、複数形の指示対象を包含する。したがって、たとえば、「化合物」の指示内容は、複数のそのような化合物を包含し、「細胞」の指示内容は、当業者に公知の1つ以上の細胞を包含し、他の場合も同様である。
【0020】
とくに定義がないかぎり、本明細書中で用いられる科学技術用語はすべて、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同一の意味を有する。開示された方法および組成物を実用する際に本明細書に記載のものと類似したまたは等価な方法および材料を使用しうるが、代表的な方法、装置、および材料を本明細書に記載する。
【0021】
以上でおよび本文全体を通して論じられる出版物は、本出願の出願日前に開示されたものとして提供されているにすぎない。本明細書の記載内容は、先行開示が理由でそのような開示に先行する権利が本発明者らに与えられないことを容認するとみなされるべきものではない。
【0022】
S.アウレウス(S. aureus)の色素に関するその後の研究により、一連のカロテノイド化合物を産生する複雑な生合成経路が解明された。食用の果実類および野菜類で産生される類似のカロテノイド化合物は、それらのフリーラジカル捕捉性および非常に優れた一重項酸素クエンチ能に基づいて強力な抗酸化剤として十分に認識されている。細菌性病原体により産生されるこれらの抗酸化カロテノイド化合物は、病原体が感染時にオキシダティブバーストから自己を保護するのを支援することが本発明により実証される。S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイド色素のような細菌性ビルレンス因子を標的にする新しいクラスの抗生物質は、利用されてこなかった手段である。
【0023】
微生物感染の治療に有用な方法および組成物を提供する。一態様では、本発明は、カロテノイド化合物を産生する微生物による微生物感染の治療に有用な組成物および方法を提供する。たとえば、メチシリン耐性およびバンコマイシン耐性の菌株により引き起こされる感染をはじめとするS.アウレウス(S. aureus)感染の治療に有用な方法および組成物を本発明により提供する。本発明に係る方法および組成物は、単独でまたはそのような感染を治療するための従来の抗微生物剤および抗生物質と組み合わせて使用可能である。そのほかに、本明細書に開示される方法および組成物は、免疫無防備宿主において、異物感染、カテーテル感染、もしくは血管内感染、慢性骨髄炎(chronic osteomyeletis)、院内感染もしくは術後感染、再発性皮膚感染、またはS.アウレウス(S. aureus)感染のような状況下で使用可能である。
【0024】
主要なヒト病原体スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(S.アウレウス(S. aureus))は、通常は皮膚表面にコロニーを形成するそれほどビルレントでないブドウ球菌類(たとえば、S.エピデルミディス(S. epidermidis))と対比されるその特徴的なゴールデンイエロー色素沈着にちなんで命名された(aureus=金色(ラテン語))。S.アウレウス(S. aureus)の色素に関するその後の研究により、一連のカロテノイド化合物を産生する複雑な生合成経路が解明された。食用の果実類および野菜類で産生される類似のカロテノイド化合物は、それらのフリーラジカル捕捉性および非常に優れた一重項酸素クエンチ能に基づいて強力な抗酸化剤として十分に認識されている。S.アウレウス(S. aureus)の色素は、類似の性質を有する。本発明では、S.アウレウス(S. aureus)が宿主の生得的免疫系の酸化剤媒介クリアランス機序に耐えるようにその金色カロテノイド色素を利用しうるかどうかを調べた。たとえば、好中球およびマクロファージは、それらが貪食した細菌を死滅させるペルオキシド、漂白剤、および一重項酸素のような反応性分子の「オキシダティブバースト」を引き起こすことにより、細菌を死滅させる。
【0025】
カロテノイド色素により付与される金色は、ヒト病原体スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の名称の由来となった特性である。突然変異誘発と異種発現とを組み合わせた分子遺伝学的分析により、この顕著な特徴的表現型が、実際に、その抗酸化性を介して食細胞媒介死滅から細菌を保護する役割を果たすビルレンス因子であることを明らかにした。現代では、この重要な疾患因子の効果的抑制は、市中および院内のいずれにおいても抗微生物剤耐性の急速な進化により損なわれている。カロテノイド生成を阻害すると、病原体が効果的に通常の宿主の生得的免疫防御によるクリアランスをより受けやすくなり、厄介なS.アウレウス(S. aureus)感染を治療する治療手段が提供されることが、本発明により実証される。
【0026】
カロテノイド類は、主要なクラスの天然色素である。600種を超えるさまざまなカロテノイド化合物が、細菌、菌類、藻類、植物、および動物で同定されている(Staub, O., In: Pfander, H. (ed.), Key to Carotenoids, 2nd ed., Birkhuser Verlag, Basel)。それらは、光合成における補助色素として、抗酸化剤として、ヒトおよび動物におけるビタミンの前駆体として、さらには光防御および種特異的着色のための色素として機能する。カロテノイド類は、たとえば、医薬品、食品着色剤、および動物用飼料、さらには栄養補助剤に関連して、以前から関心が払われてきた。これらの天然物が癌および慢性疾患の予防に重要な役割を果たしうること(主にそれらの抗酸化性に基づく)が見いだされ、しかもつい最近、それらが癌細胞との特異的相互作用に基づいて有意な腫瘍抑制活性を呈することが見いだされたことから、それらの医薬としての可能性に関心が高まってきた(Bertram, J. S. , Nutr. Rev., 1999;57:182-191; Singh, et al., Oncology, 1998;12:1643-168; Rock, C. L., Pharmacol. Ther., 1997;75:185-197; Edge, et al., J. Photochem. Photobiol., 1997;41:189-200)。
【0027】
カロテノイドは、生合成経路を形成するようにさまざまな生物に由来する生合成遺伝子を組み合わせることにより、組換え微生物中で産生可能である。現在、24種のカロテノイド生成酵素に対して150種を超える遺伝子(crt)が、多種多様なカロテノイド化合物を工学的に作製するために使用可能な細菌、植物、藻類、および菌類から単離されている。たとえば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)は、鮮橙色色素スタフィロキサンチンを含有する。この色素は、宿主免疫系の反応性酸素種による攻撃から細菌を保護すると考えられる。この色素は、デヒドロスクアレンを生成するように2分子のファルネシル二リン酸を縮合するデヒドロスクアレンシンターゼをはじめとする一連の酵素により産生される。デヒドロスクアレンシンターゼの遺伝子は動物には不在であるので、これらの色素はヒトおよび他の動物により産生されない。しかしながら、ヒトおよび他の動物は、スクアレンシンターゼ遺伝子を含有する。注目すべき点として、ヒトスクアレンシンターゼ酵素の阻害剤は、S.アウレウス(S. aureus)における色素(スタフィロキサンチン)生成を妨害し、in vitroおよびin vivoの両方で免疫系細胞による死滅の増大を引き起こすことが本発明により実証される。
【0028】
カロテノイド生成遺伝子のクローニングのために、種々の技術が適用されてきた(Hirschberg, J., In: Carotenoids: Biosynthesis and Metabolism, Vol. 3, Carotenoids, G. Britton, Ed. Basel: Birkhuser Verlag, 148-194, 1998)。さまざまな微生物性および植物性のカロテノイド生成遺伝子のクローニングのために、エルウィニア(Erwinia)属に由来するカロテノイド生成遺伝子を発現するE.コリ(E. coli)における機能的色相補性が利用され、好結果が得られている(Verdoes et al., Biotech. and Bioeng., 1999, 63:750; Zhu et al., Plant and Cell Physiology, 1997, 38:357; Kajiwara et al., Plant Mol. Biol., 1995, 29:343; Pecker et al., Plant Mol. Biol., 1996, 30:807; plant carotenoid biosynthesis is reviewed in Hirschberg et al., Pure and Applied Chemistry, 1997, 69:215 1; Cunningham and Gantt, Ann. Rev. of Plant Physiol. and Plant Mol. Biol., 1998, 49:557)。
【0029】
初期カロテノイド生合成酵素であるGGDPシンターゼ、フィトエンシンターゼ、およびフィトエンデサチュラーゼをコードする遺伝子は、クローニングされたカロテノイド生成遺伝子全体の過半数を占める。カロテン(植物、シアノバクテリア、藻類)(Bartley et al., Eur. J. of Biochem. , 1999, 259:396)、ノイロスポレン(ロドバクター(Rhodobacter)属)(Raisig et al., J. Biochem., 1996, 119:559)、リコペン(ほとんどの真性細菌および菌類)(Verdoes, et al., Biotech. and Bioeng., 1999, 63:750; RuizHidalgo et al., Mol. & Gen. Genetics, 1997, 253:734)、または3,4−ジデヒドロリコペン(ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa))(Schmidhauser et al., Mol. and Cell Biol., 1990, 10:5064)を産生するように、それぞれ、2、3、4、または5個の二重結合をフィトエンに導入するさまざまなフィトエンデサチュラーゼ遺伝子が利用可能である。クローニングされたカロテノイド生合成遺伝子の例は、以下のとおりである。
【0030】
crtE: R.カプスラタス(R. capsulatus)およびE.ウレドボラ(E. uredovora)に由来するGGPPシンターゼ
crtB: R.カプスラタス(R. capsulatus)およびE.ウレドボラ(E. uredovora)に由来するフィトエンシンターゼ
crtI: E.ウレドボラ(E. uredovora)およびE.ヘルビコラ(E. herbicola)に由来するフィトエンデサチュラーゼ
crtY: E.ウレドボラ(E. uredevora)およびE.ヘルビコラ(E. herbicola)に由来するリコペンシクラーゼ
crtA: R.カプスラタス(R. capsulatus)およびR.スファエロイデス(R. spaeroides)に由来するスフェロイデンモノオキシゲナーゼ
crtO: シネコシスティス属の種(Synechocistis sp.)に由来するβ−C4−ケトラーゼ(オキシゲナーゼ)
crtW: アルカリゲネス属の種(Algaligenes sp.)、A.アウランティアカム(A. aurantiacum)に由来するβ−C4−ケトラーゼ
crtD: R.カプスラタス(R. capsulatus)およびR.スファエロイデス(R. spaeroides)に由来するメトキシノイロスポレンデサチュラーゼ
crtX: E.ウレドボラ(E. uredovora)およびE.ヘルビコラ(E. herbicola)に由来するゼアキサンチングルコシルトランスフェラーゼ
crtZ: E.ウレドボラ(E. uredovora)およびE.ヘルビコラ(E. herbicola)に由来するβ−カロテンヒドロキシラーゼ
crtU: S.グリセウス(S. griseus)に由来するβ−カロテンデサチュラーゼ
crtM: S.アウレウス(S. aureus)に由来するデヒドロスクアレンシンターゼ
crtN: S.アウレウス(S. aureus)に由来するデヒドロスクアレンデサチュラーゼ。
【0031】
カロテノイド色素産生は、マクロファージ媒介死滅に対するB群連鎖球菌(GBS)の耐性に寄与することが本発明により実証される。GBSは、ヒト新生児の肺炎、敗血症、および髄膜炎のような侵襲性細菌感染の主原因である。カロテノイド色素の産生に必要な遺伝子(CylE)が同定されている。この色素は、疾患の病理発生に重要な細胞損傷性および炎症誘発性を有する溶血素/細胞溶解素トキシンを生物が産生するのに必要とされる。侵襲性感染症に関連付けられる他の細菌性および菌類性のヒト病原体が、抗酸化性を有するカロテノイド色素またはメラニン様色素を産生することから(たとえば、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcesens))、共通の病原性要素が示唆されるとともに、食細胞媒介クリアランス機序に対抗する色素産生の選択有利性の可能性が明らかにされる。
【0032】
したがって、抗微生物療法のために色素産生を標的にする手段は、色素(たとえば、酸化防御を引き起こすカロテノイド色素または他の色素)を産生する生物に拡張可能である。特定的には、アスペルギルス属の種(Aspergillus sp.)は、免疫無防備被験者(たとえば、癌化学療法)の死亡率の重要な原因であり、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)は、嚢胞性繊維症の死亡率の重要な原因である。アスペルギルス(Aspergillus)属およびバークホルデリア(Burkholderia)属はいずれも、通常、多剤耐性であり、既存の抗生物質療法に対して抵抗性がある。
【0033】
標的化遺伝子欠失の分子遺伝学的手段(非色素沈着性S.アウレウス(S. aureus)突然変異体を作製するため)およびクローニング技術(他の細菌中でS.アウレウス(S. aureus)の色素を発現するため)を用いて、本発明は、カロテノイド(cartenoid)色素(たとえば、S.アウレウス(S. aureus)疾患の病理発生における色素)の重要性のスクリーニングおよび同定に有用な「生物試薬」を提供する。たとえば、S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイド色素は、ペルオキシドおよび一重項酸素から細菌を保護し、マウス血液中およびヒト血液中における死滅ならびに精製ヒト好中球による死滅に対する耐性を高めることが、本発明に係る方法を用いて実証された。カロテノイド色素は、in vivoで細菌生存能および疾患進行を増大させることが、S.アウレウス(S. aureus)膿瘍形成のマウスモデルを用いて実証された。好中球の酸化剤産生が障害されたマウスを用いた対照実験から、カロテノイド色素産生は、その抗酸化性に基づいてS.アウレウス(S. aureus)のビルレンスに寄与することが明らかにされた。
【0034】
S.アウレウス(S. aureus)の色素産生を薬理学的に阻害することにより、細菌が酸化剤の影響をより受けやすくなり、血液中における細菌生存能が障害されたことが、本発明により実証される。さらに、スクアレン合成阻害剤によりスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の色素産生を妨害することが可能であり、スクアレン合成阻害によりスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の病原性をin vivoで低下させることが可能であることが、本発明により実証される。
【0035】
食細胞が病原体を排除する重要な機序の1つは、NADPHオキシダーゼにより発生される反応性酸素種の放出を介するものである。S.アウレウス(S. aureus)により発現されるようなカロテノイド類は、こうした防御分子に対抗する保護機能の役割を果たすことが本発明により実証される。たとえば、ΔCrtM突然変異体は、WT型S.アウレウス(S. aureus)菌株の10〜100倍の効率で過酸化水素により死滅し、100〜1,000倍の効率で一重項酸素により死滅した。同様に、S.ピオゲネス(S. pyogenes)中でブドウ球菌性色素を異種発現させたところ、一重項酸素による致死率が1/100〜1/1,000に減少した。
【0036】
本発明は、微生物感染を治療するためにおよび抗微生物活性を増大させるためにカロテノイド生成を阻害した方法および薬剤を提供する。たとえば、一態様では、混合機能オキシダーゼ阻害剤2−ジエチルアミノエチル−2,2−ジフェニル−バレレート(SKF、525−A、カルビオケム(Calbiochem)社製)によりS.アウレウス(S. aureus)における色素生成が阻害されることが明らかにされ、該作用剤の存在下で増殖されたS.アウレウス(S. aureus)のWT型菌株においてカロテノイド産生の用量依存的減少が実証された。S.アウレウス(S. aureus)の色素生成を妨害することにより、それに応じて一重項酸素媒介死滅に対する生物の感受性が用量依存的に増加し、ヒト全血中におけるその生存能力が減少した。対照として、ΔCrtM突然変異体を並行実験でSKF525−Aに暴露させたが、酸化剤感受性に関しても血中生存能に関しても有意な影響はみられなかった。
【0037】
本発明は、カロテノイド類の産生および/または活性を阻害することにより細菌感染を治療するのに有用な方法および組成物を提供する。より特定的には、本発明は、スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus sp.)のカロテノイド化合物の活性および/または産生を阻害する薬剤に被験者を接触させることを含む、細菌感染(たとえば、スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus sp.)の細菌感染)を有する被験者を治療する方法を提供する。一態様では、薬剤は、小分子、ポリヌクレオチド(たとえば、リボザイムもしくはアンチセンス分子)、ポリペプチド(たとえば、抗体)、またはペプチド模倣体である。本発明の一態様では、薬剤は、カロテノイド生成を阻害する薬理剤である。たとえば、薬剤は、2−ジエチルアミノエチル−2,2−ジフェニル−バレレート(SKF、525、カルビオケム(Calbiochem)社製)、2,4−ジクロロ−6−フェニルフェノキシエチルアミン、2,4−ジクロロ−6−フェニルフェノキシエチルジエチルアミン、およびピペロニルブトキシドのような混合機能オキシダーゼ阻害剤でありうる。さらに他の態様では、薬剤は、スクアレンシンテターゼ阻害剤を含みうる。本発明で使用するのに好適なスクアレンシンテターゼ阻害剤としては、U.S. Pat. No. 5,712,396に開示されるα−ホスホノ−スルホネート類、Biller et al, J. Med. Chem., 1988, Vol. 31, No. 10, pp 1869-1871に開示されるもの、たとえば、イソプレノイド(ホスフィニル−メチル)ホスホネート類、さらには、他の公知のスクアレンシンテターゼ阻害剤、たとえば、U.S. Pat. Nos. 4,871,721および4,924,024ならびにBiller, S. A., Neuenschwander, K., Ponpipom, M. M., and Poulter, C. D., Current Pharmaceutical Design, 2, 1-40 (1996)に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのほかに、本発明で使用するのに好適な他のスクアレンシンテターゼ阻害剤としては、P. Ortiz de Montellano et al, J. Med. Chem., 1977, 20, 243-249に開示されるテルペノイドピロリン酸類、Corey and Volante, J. Am. Chem. Soc., 1976, 98, 1291-1293に開示されるファルネシル二リン酸類似体Aおよびプレスクアレンピロリン酸(PSQ−PP)類似体、McClard, R. W. et al, J.A.C.S., 1987, 109, 5544に報告されるホスフィニルホスホネート類、ならびにCapson, T. L., PhD dissertation, June, 1987, Dept. Med. Chem. U of Utah, Abstract, Table of Contents, pp 16, 17, 40-43, 48-51, Summaryに報告されるシクロプロパン類が挙げられる。
【0038】
小分子crtM阻害剤としては、以下のものならびにそれらの誘導体および塩が挙げられる。本開示に係るcrtM阻害剤は、以下の一般式を有する。
【0039】
本発明は、微生物感染を治療するための化合物およびそのような化合物の使用方法を提供する。本発明に係る化合物は、式IまたはII:
【化4】

【0040】
〔式中、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、両端を含めて1〜10の整数であり、
各Dおよび各Eは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、金属、アンモニウム、およびそれらのエステルよりなる群から選択され、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
は、−S−、−SO−、−SO−、−O−、−N(R19)−、または−C(R20)(R21)−である{ここで、R19、R20、およびR21は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択される}〕
【化5】

【0041】
〔式中、
xは、0、1、2、または3であり、
yは、両端を含めて1〜10の整数であり、
各Gおよび各Jは、独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、金属、アンモニウム、およびそれらのエステルよりなる群から選択され、
10は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR10およびR11は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
11は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR11およびR10は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはR11およびR12は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
12は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR12およびR11は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはR12およびR13は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
13は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR13およびR12は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
14、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
は、−S−、−SO−、−SO−、−O−、−N(R22)−、または−C(R23)(R24)−である{ここで、R22、R23、およびR24は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択される}〕
により表される。
【0042】
本発明の他の態様では、mは、0または1であり、
nは、両端を含めて1〜5の整数であり、
各Dおよび各Eは、独立して、H、アルキル、置換アルキル、およびハロから選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択され、
19、R20、およびR21は、それぞれ独立して、H、アルキル、および置換アルキルよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、アルカリ金属であり、
xは、0または1であり、
yは、両端を含めて1〜5の整数であり、
各Gおよび各Jは、独立して、H、アルキル、置換アルキル、およびハロから選択され、
10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択され、
22、R23、およびR24は、それぞれ独立して、H、アルキル、および置換アルキルよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、アルカリ金属である。
【0043】
さらに他の態様では、mは、1であり、
nは、3であり、
各Dおよび各Eは、Hであり、
は、H、F、またはベンジルであり、
は、H、F、またはCFであり、
は、H、F、Cl、CF、t−ブチル、n−プロピル、またはベンジルであり、
は、HまたはFであり、
、R、R、およびRは、それぞれ、Hであり、
は、HまたはFであり、
、M、およびMは、それぞれ、カリウムであり、
は、−O−、−NH−、またはCHであり、
xは、0または1であり、yは、3であり、
各Gおよび各Jは、Hであり、
10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ、Hであり、
12は、HまたはCHであり、
、M、およびMは、それぞれ、カリウムであり、
は、−O−である。
【0044】
特定の実施形態では、本化合物は、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(4−フルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
(1S)カリウム1−スルホナト−4−(3−フェノキシフェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(4−クロロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(3,4−ジフルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−フェノキシフェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(3−フルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(4−フェニルメチルフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−フェニルアミノフェニル)−ブチルホスホネート(potassium 1-sulfonato-4-(3-phenaminophenyl)-butyl phosphonate)、
カリウム1−スルホナト−4−(2−フルオロ−5−(4−フルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−フェニルメチルフェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(2−フルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(4−プロピルフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(4−フェノキシフェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(4−フェニルフェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(4−(4−メチルフェニル)フェニル)−ブチルホスホネート、および
カリウム1−スルホナト−4−(3−(2−フェニルメチルフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート
よりなる群から選択される。
【0045】
アルキル基は、直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を包含する。アルキル基は、1〜20個の炭素原子を有するものを包含する。アルキル基は、1〜3個の炭素原子を有する小さいアルキル基を包含する。アルキル基は、4〜10個の炭素原子を有する中程度の長さのアルキル基を包含する。アルキル基は、10個超の炭素原子を有する長いアルキル基、特定的には10〜20個の炭素原子を有するものを包含する。環状アルキル基は、1個以上の環を有するものを包含する。環状アルキル基は、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10員の炭素環を有するもの、特定的には3、4、5、6、もしくは7員の環を有するものを包含する。環状アルキル基中の炭素環は、アルキル基をも有しうる。環状アルキル基は、二環式および三環式のアルキル基を包含しうる。アルキル基は、場合により、置換アルキル基を包含する。置換アルキル基は、とくに、アリール基(場合により、これも置換されていてもよい)で置換されたものを包含する。特定のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、分岐状ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、分岐状ヘキシル基、およびシクロヘキシル基が挙げられる(これらはすべて、場合により置換されていてもよい)。シクロペンチル環という用語は、任意の不飽和度を有する5個の炭素よりなる環を意味する。シクロヘキシル環という用語は、任意の不飽和度を有する6個の炭素よりなる環を意味する。
【0046】
アルケニル基は、直鎖状、分岐状、および環状のアルケニル基を包含する。アルケニル基は、1、2個、もしくはそれ以上の二重結合を有するものまたは二重結合のうちの2個以上が共役二重結合であるものを包含する。アルケニル基は、2〜20個の炭素原子を有するものを包含する。アルケニル基は、2〜3個の炭素原子を有する小さいアルケニル基を包含する。アルケニル基は、4〜10個の炭素原子を有する中程度の長さのアルケニル基を包含する。アルケニル基は、10個超の炭素原子を有する長いアルケニル基、特定的には10〜20個の炭素原子を有するものを包含する。環状アルケニル基は、1個以上の環を有するものを包含する。環状アルケニル基は、二重結合が環中または環に結合されたアルケニル基中に存在するものを包含する。環状アルケニル基は、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10員の炭素環を有するもの、特定的には3、4、5、6、もしくは7員の環を有するものを包含する。環状アルケニル基中の炭素環は、アルキル基をも有しうる。環状アルケニル基は、二環式および三環式のアルケニル基を包含しうる。アルケニル基は、場合により置換されていてもよい。置換アルケニル基は、とくに、アルキル基またはアリール基(場合により、これらの基も置換されていてもよい)で置換されたものを包含する。特定のアルケニル基としては、エテニル、プロパ−1−エニル、プロパ−2−エニル、シクロプロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ブタ−2−エニル、シクロブタ−1−エニル、シクロブタ−2−エニル、ペンタ−1−エニル、ペンタ−2−エニル、分岐状ペンテニル、シクロペンタ−1−エニル、ヘキサ−1−エニル、分岐状ヘキセニル、シクロヘキセニルが挙げられる(これらはすべて、場合により置換されていてもよい)。
【0047】
アリール基は、1個以上の5もしくは6員の芳香環またはヘテロ芳香環を有する基を包含する。アリール基は、1個以上の縮合芳香環を含有しうる。ヘテロ芳香環は、環中に1個以上のN、O、またはS原子を含みうる。ヘテロ芳香環は、1、2、もしくは3個のNを有するもの、1もしくは2個のOを有するもの、または1もしくは2個のSを有するものを包含しうる。アリール基は、場合により置換されていてもよい。置換アリール基は、とくに、アルキル基またはアルケニル基(場合により、これらの基も置換されていてもよい)で置換されたものを包含する。特定のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ピリジニル基、およびナフチル基が挙げられる(これらはすべて、場合により置換されていてもよい)。
【0048】
アリールアルキル基は、1個以上のアリール基で置換されたアルキル基である(ただし、アルキル基は、場合により追加の置換基を有していてもよく、アリール基は、場合により置換されていてもよい)。特定のアルキルアリール基は、フェニル置換アルキル基、たとえば、フェニルメチル基である。
【0049】
アルキルアリール基は、1個以上のアルキル基で置換されたアリール基である(ただし、アルキル基は、場合により追加の置換基を有していてもよく、アリール基は、場合により置換されていてもよい)。特定のアルキルアリール基は、メチルフェニルのようなアルキル置換フェニル基である。
【0050】
R1〜R5の2個以上が一緒になって形成されうる環は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいシクロアルケニル基または芳香族基でありうる。環は、3、4、5、6、7個、もしくはそれ以上の炭素を含有しうる。環は、芳香環中の1、2、もしくは3個の炭素がN、O、またはSで置き換えられたヘテロ芳香環でありうる。環は、環中の1個以上のCH2基がO、N、NH、またはSで置き換えられたヘテロアルキルまたはヘテロアルケニルでありうる。
【0051】
アルキル基、アルケニル基、およびアリール基のいずれについてもそれらに場合により存在していてもよい置換は、次の置換基:ハロゲン、−−CN基、−−COOR基、−−OR基、−−COR基、−−OCOOR基、−−CON(R)2基、−−OCON(R)2基、−−N(R)2基、−−NO2基、−−SR基、−−SO2R基、−−SO2N(R)2基、または−−SOR基のうちの1つ以上による置換を包含する。アルキル基に場合により存在していてもよい置換は、1個以上のアルケニル基、アリール基、またはその両方による置換を包含する(ただし、アルケニル基またはアリール基は、場合により置換されていてもよい)。アルケニル基に場合により存在していてもよい置換は、1個以上のアルキル基、アリール基、またはその両方による置換を包含する(ただし、アルキル基またはアリール基は、場合により置換されていてもよい)。アリール基に場合により存在していてもよい置換は、1個以上のアルキル基、アルケニル基、またはその両方によるアリール環の置換を包含する(ただし、アルキル基またはアルケニル基は、場合により置換されていてもよい)。
【0052】
アルキル基、アルケニル基、およびアリール基に場合により存在していてもよい置換基は、とくに
−−COOR〔式中、Rは、水素またはアルキル基もしくはアリール基であり、より特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、またはフェニル基である(ただし、これらはすべて、場合により置換されていてもよい)〕、
−−COR〔式中、Rは、水素またはアルキル基もしくはアリール基であり、より特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、またはフェニル基である(ただし、これらの基はすべて、場合により置換されていてもよい)〕、
−−CON(R)〔式中、各Rは、互いに他のRと独立して、水素またはアルキル基もしくはアリール基であり、より特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、またはフェニル基であり(ただし、これらの基はすべて、場合により置換されていてもよい)、RおよびRは、1個以上の二重結合を含有していてもよい環を形成しうる〕、
−−OCON(R)〔式中、各Rは、互いに他のRと独立して、水素またはアルキル基もしくはアリール基であり、より特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、またはフェニル基であり(ただし、これらの基はすべて、場合により置換されていてもよい)、RおよびRは、1個以上の二重結合を含有していてもよい環を形成しうる〕、
−−N(R)〔式中、各Rは、互いに他のRと独立して、水素、またはアルキル基、アシル基、もしくはアリール基であり、より特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、もしくはフェニル基、またはアセチル基であり(ただし、これらはすべて、場合により置換されていてもよい)、あるいはRおよびRは、1個以上の二重結合を含有していてもよい環を形成しうる〕、
−−SR、−−SOR、または−−SOR〔式中、Rは、アルキル基またはアリール基であり、より特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基であり(ただし、これらはすべて、場合により置換されていてもよい)、−−SRの場合、Rは、水素でありうる〕、
−−OCOOR〔式中、Rは、アルキル基またはアリール基である〕、
−−SON(R)〔式中、Rは、水素、アルキル基、またはアリール基であり、RおよびRは、環を形成しうる〕、
−−OR〔式中、R=H、アルキル、アリール、またはアシル、たとえば、Rは、−−OCOR*{ここで、R*は、水素またはアルキル基もしくはアリール基であり、より特定的には、R*は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、またはフェニル基である(ただし、これらの基はすべて、場合により置換されていてもよい)}を生成するアシルでありうる〕
を包含する。
【0053】
特定の置換アルキル基としては、ハロアルキル基、特定的にはトリハロメチル基、より特定的にはトリフルオロメチルが挙げられる。特定の置換アリール基としては、モノハロ置換、ジハロ置換、トリハロ置換、テトラハロ置換、およびペンタハロ置換されたフェニル基、モノハロ置換、ジハロ置換、トリハロ置換、テトラハロ置換、ペンタハロ置換、ヘキサハロ置換、およびヘプタハロ置換されたナフタレン基、3もしくは4−ハロ置換フェニル基、3もしくは4−アルキル置換フェニル基、3もしくは4−アルコキシ置換フェニル基、3もしくは4−RCO置換フェニル基、5もしくは6−ハロ置換ナフタレン基が挙げられる。より特定的には、置換アリール基としては、アセチルフェニル基、特定的には4−アセチルフェニル基、フルオロフェニル基、特定的には3−フルオロフェニル基および4−フルオロフェニル基、クロロフェニル基、特定的には3−クロロフェニル基および4−クロロフェニル基、メチルフェニル基、特定的には4−メチルフェニル基、ならびにメトキシフェニル基、特定的には4−メトキシフェニル基が挙げられる。
【0054】
製薬上許容される塩は、製薬上許容されるアニオンおよび/またはカチオンを含む。製薬上許容されるカチオンとしては、とくに、アルカリ金属カチオン(たとえば、Li+、Na+、K+)、アルカリ土類金属カチオン(たとえば、Ca2+、Mg2+)、非毒性重金属カチオン、ならびにアンモニウム(NH)および置換アンモニウム〔N(R’){式中、R’は、水素、アルキル、または置換アルキルである(すなわち、メチル、エチル、またはヒドロキシエチルを包含する)}、特定的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、およびトリエタノールアンモニウムカチオン〕が挙げられる。製薬上許容されるアニオンとしては、とくに、ハリド類(たとえば、Cl−、Br−)、スルフェート、アセテート類(たとえば、アセテート、トリフルオロアセテート)、アスコルベート類、アスパルテート類、ベンゾエート類、シトレート類、およびラクテートが挙げられる。
【0055】
本発明に係る化合物は、プロドラッグの形態を有しうる。本発明に係る化合物のプロドラッグは、本発明に係る方法に有用である。生物活性、医薬活性、もしくは治療活性な形態の本発明に係る化合物を提供するようにin vivoで変換される化合物はいずれも、プロドラッグである。プロドラッグの種々の例および形態は、当技術分野で周知である。プロドラッグの例は、とくに、Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985), Methods in Enzymology, Vol. 42, at pp. 309-396, edited by K. Widder, et. al. (Academic Press, 1985); A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krosgaard-Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5, "Design and Application of Prodrugs," by H. Bundgaard, at pp. 113-191, 1991); H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, Vol. 8, p.1-38 (1992); H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 77, p. 285 (1988); and Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392に見いだされる。
【0056】
本発明はまた、以下の構造を含む化合物を提供する。そのような化合物は、デヒドロスクアレンシンターゼ活性の有用な阻害剤(crtM阻害剤)である。本発明に係る方法および組成物は、それらのエナンチオマー、製薬上許容される塩、および誘導体を包含する。
【0057】
CrtM阻害剤の構造およびその阻害活性(μM)
【化6】

【0058】
他のcrtM阻害剤としては、EP Patent Nos. 595635および710665、U.S. Patent No. 5610314および5618964(それらの開示内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されるものが挙げられる。他の有用な化合物としては、以下のChemical Abstractレジストリー番号を有するものが挙げられる。
【0059】
157127−07−6P、157162−75−9P、157238−96−5P、157238−97−6P、157238−98−7P、157124−45−3P、157124−46−4P、157124−47−5P、157124−48−6P、157124−49−7P、157124−50−0P、157124−51−1P、157124−52−2P、157124−53−3P、157124−54−4P、157124−55−5P、157124−56−6P、157124−57−7P、157124−58−8P、157124−59−9P、157124−60−2P、157124−61−3P、157124−62−4P、157124−63−5P、157124−64−6P、157124−65−7P、157124−66−8P、157124−67−9P、157124−68−0P、157124−69−1P、157124−70−4P、157124−71−5P、157124−72−6P、157124−73−7P、157124−74−8P、157124−75−9P、157124−76−0P、157124−77−1P、157124−78−2P、157124−79−3P、157124−80−6P、157124−81−7P、157124−82−8P、157124−83−9P、157124−84−0P、157124−85−1P、157124−86−2P、157124−87−3P、157124−88−4P、157124−89−5P、157124−90−8P、157124−91−9P、157124−92−0P、157124−93−1P、157124−94−2P、157124−95−3P、157124−96−4P、157124−97−5P、157124−98−6P、157124−99−7P、157125−00−3P、157125−01−4P、157125−02−5P、157125−03−6P、157125−04−7P、157125−05−8P、157125−06−9P、157125−07−0P、157125−08−1P、157125−09−2P、157125−10−5P、157125−11−6P、157125−12−7P、157125−13−8P、157125−14−9P、157125−15−0P、157125−16−1P、157125−17−2P、157125−18−3P、157125−19−4P、157125−20−7P、157125−21−8P、157125−22−9P、157125−23−0P、157125−24−1P、157125−25−2P、157125−26−3P、157125−27−4P、157125−28−5P、157125−29−6P、157125−30−9P、157125−31−0P、157125−32−1P、157125−33−2P、157125−34−3P、157125−35−4P、157125−36−5P、157125−37−6P、157125−38−7P、157125−39−8P、157125−40−1P、157125−41−2P、157125−42−3P、157125−43−4P、157125−44−5P、157125−45−6P、157125−46−7P、157125−47−8P、157125−48−9P、157125−49−0P、157125−50−3P、157125−51−4P、157125−52−5P、157125−53−6P、157125−54−7P、157125−55−8P、157125−56−9P、157125−57−0P、157125−58−1P、157125−59−2P、157125−60−5P、157125−61−6P、157125−62−7P、157125−63−8P、157125−64−9P、157125−65−0P、157125−66−1P、157125−67−2P、157125−68−3P、157125−69−4P、157125−70−7P、157125−71−8P、157125−72−9P、157125−73−0P、157125−74−1P、157125−75−2P、157125−76−3P、157125−77−4P、157125−78−5P、157125−79−6P、157125−80−9P、157125−81−0P、157125−82−1P、157125−83−2P、157125−84−3P、157125−85−4P、157125−86−5P、157125−87−6P、157125−88−7P、157125−89−8P、157125−90−1P、157125−91−2P、157125−92−3P、157125−93−4P、157125−94−5P、157125−95−6P、157125−96−7P、157125−97−8P、157125−98−9P、157125−99−0P、157126−00−6P、157126−01−7P、157126−02−8P、157126−03−9P、157126−04−0P、157126−05−1P、157126−06−2P、157126−07−3P、157126−08−4P、157126−09−5P、157126−10−8P、157126−11−9P、157126−12−0P、157126−13−1P、157126−14−2P、157126−15−3P、157126−16−4P、157126−17−5P、157126−19−7P、157126−20−0P、157126−21−1P、157126−74−4P、157162−74−8P、178060−82−7P、178060−83−8P、78060−80−5P、178060−81−6P、157126−19−7P、188525−87−3P、188525−91−9P、188525−94−2P、188525−98−6P、188526−02−5P、188526−06−9P、188525−87−3P、188525−91−9P、188525−94−2P、188525−98−6P、188526−02−5P、および188526−06−9P(それらはいずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)。
【0060】
そのほかに、ホスホノスルフィン酸スクアレンシンターゼ阻害剤、たとえば、U.S. Patent No. 5447922に開示されるもの、および次のChemical Abstractレジストリー番号のものを本発明に係る方法で使用することが可能である:172152−68−5P、172152−69−5P、172152−70−5P、172152−71−5P、172152−72−5P、172152−73−5P、172152−74−5P、172152−75−5P、172152−76−5P、172152−77−5P、172152−78−5P、172152−79−5P、172152−80−5P、172152−81−5P、172152−82−5P、172152−83−5P、172152−84−5P、172152−85−5P、および172152−86−2P。
【0061】
図1について説明する。微生物を酸化的損傷に対して感受性にするために、crtMのほかに追加の酵素的段階を阻害することが可能である。たとえば、crtNの阻害剤を単独でまたはcrtMの阻害剤と組み合わせて使用することが可能である。たとえば、ジフェニルアミンならびにジフェニルアミンの誘導体および類似体、たとえば、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸、およびロベンザリットジナトリウムを用いて、スタフィロキサンチン産生を阻害することが可能である。さらに他の例として、ビスホスホネート類は、スタフィロキサンチンの産生における前段階の酵素であるファルネシル二リン酸シンターゼの阻害剤として周知である。カロテノイド化合物を産生する微生物を酸化的損傷に対して感受性にするために、阻害剤をcrtM阻害剤と組み合わせて使用してCrtM阻害剤と相乗的に作用させることが可能である。
【0062】
製薬上許容される塩は、製薬上許容されるアニオンおよび/またはカチオンを含む。製薬上許容されるカチオンとしては、とくに、アルカリ金属カチオン(たとえば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属カチオン(たとえば、Ca2+、Mg2+)、非毒性重金属カチオン、ならびにアンモニウム(NH)および置換アンモニウム〔N(R’){式中、R’は、水素、アルキル、または置換アルキルである(すなわち、メチル、エチル、またはヒドロキシエチルを包含する)}、特定的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、およびトリエタノールアンモニウムカチオン〕が挙げられる。製薬上許容されるアニオンとしては、とくに、ハリド類(たとえば、Cl、Br)、スルフェート、アセテート類(たとえば、アセテート、トリフルオロアセテート)、アスコルベート類、アスパルテート類、ベンゾエート類、シトレート類、およびラクテートが挙げられる。
【0063】
本発明に係る化合物は、プロドラッグの形態を有しうる。本発明に係る化合物のプロドラッグは、本発明に係る方法に有用である。生物活性、医薬活性、もしくは治療活性な形態の本発明に係る化合物を提供するようにin vivoで変換される化合物はいずれも、プロドラッグである。プロドラッグの種々の例および形態は、当技術分野で周知である。プロドラッグの例は、とくに、Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985), Methods in Enzymology, Vol. 42, at pp. 309-396, edited by K. Widder, et. al. (Academic Press, 1985); A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krosgaard-Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5, ”Design and Application of Prodrugs,” by H. Bundgaard, at pp. 113-191, 1991); H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, Vol. 8, p.1-38 (1992); H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 77, p. 285 (1988); and Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392に見いだされる。
【0064】
本発明はまた、細菌内におけるカロテノイド化合物の産生および/または活性を阻害する薬剤を、感染を受けた被験者に投与することを含む、細菌感染の予防方法または治療方法を提供する。一実施形態では、細菌感染は、スタフィロコッカス(Staphylococcus)感染である。他の実施形態では、細菌は、スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus sp.)である。このほかのさらなる実施形態では、細菌は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)である。
【0065】
本発明に関連する範囲内で、阻害性核酸を用いて細菌のカロテノイド生合成経路の発現をモジュレートすることにより、有用な治療方法が提供される。たとえば、本発明では、カロテノイド生合成経路の酵素をコードするいくつかの遺伝子、たとえば、crtMおよびcrtNが同定される。他の選択肢として(またはそれに追加して)、C30カロテノイド類の合成を引き起こすcrtM/crtN遺伝子をノックアウトすることが望ましいこともある。通常の分子生物学的技術を用いることにより、阻害性核酸分子、たとえば、野生型細菌(たとえば、スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus sp.))により産生されるcrtNおよび/またはcrtM核酸と相互作用しうるアンチセンス分子を作製することが可能である。
【0066】
他の態様では、カロテノイド生成阻害剤は、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド(たとえば、アンチセンスRNA、リボザイムRNA、またはsiRNA)を包含する。たとえば、アンチセンス技術は、標的遺伝子の配列が既知である場合、遺伝子をダウンレギュレートする方法である。スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus sp.)のカロテノイド遺伝子をはじめとする多数のカロテノイド遺伝子が当技術分野で公知である。この態様では、所望の遺伝子(たとえば、crtMおよび/またはcrtN)に由来する核酸セグメントをクローニングし、RNAのアンチセンス鎖が転写されるようにプロモーターに機能しうる形で連結させる。次に、この構築物を標的細胞中に導入し、RNAのアンチセンス鎖を産生させる。アンチセンスRNAは、対象タンパク質をコードするmRNAの蓄積を妨害することにより遺伝子発現を阻害する。したがって、crtMおよび/またはcrtNに対するアンチセンス分子は、病原性微生物におけるカロテノイド類の合成を低減させ、それにより、微生物は、食細胞により酸化的損傷を受けやすくなる。当業者であれば、特定の遺伝子の発現を減少させるためにアンチセンス技術の使用に特定の要件を伴うことはわかるであろう。たとえば、アンチセンス遺伝子の適切な発現レベルを得るには、当業者に公知のさまざまなレギュレート性エレメントを利用してさまざまなキメラ遺伝子を使用することが必要になることもある。
【0067】
本明細書中で用いられる場合、単離された核酸とは、in vivoで産生された核酸に自然に会合するタンパク質、脂質、および他の核酸を実質的に含んでいないものである。典型的には、核酸は、重量基準で、少なくとも70%、80%、90%、もしくはそれ以上の純度であり、in vitroで核酸を合成する従来の方法がin vivo法の代わりに使用可能である。本明細書中で用いられる場合、「核酸」または「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」とは、個別断片の形態のまたはより大きい遺伝子構築物(たとえば、アンチセンス分子などをコードする核酸にプロモーターを機能しうる形で連結させたもの)の成分としてのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのポリマーを意味する。多数の遺伝子構築物(たとえば、プラスミドおよび他の発現ベクター)が当技術分野で公知であり、それらを用いて無細胞系または原核もしくは真核(たとえば、酵母、昆虫、もしくは哺乳動物)の細胞において本開示に係る所望の核酸を産生することが可能である。本開示に係る核酸は、本開示に係るペプチドを産生する従来の分子生物学的方法で容易に使用可能である。
【0068】
アンチセンス核酸、リボザイム、またはsiRNAを含むポリヌクレオチドは、「発現ベクター」中に挿入可能である。「発現ベクター」という用語は、遺伝子構築物、たとえば、アンチセンス分子などを含有するように工学的に作製可能なプラスミド、ウイルス、または当技術分野で公知の他の媒体を意味する。発現ベクターは、典型的には、複製起点およびプロモーター、さらにはトランスフォーム細胞の表現型選択を可能にする遺伝子を含有する。誘導プロモーターおよび構成プロモーターをはじめとする種々のプロモーターを本開示で利用することが可能である。発現ベクターは、典型的には、宿主細胞/標的細胞に適合する種に由来するレプリコン部位および制御配列を含有する。
【0069】
本開示に係るポリヌクレオチドによる宿主細胞/標的細胞のトランスフォーメーションまたはトランスフェクションは、当業者に公知の従来技術を用いて実施可能である。たとえば、宿主細胞がE.コリ(E. coli)である場合、当技術分野で公知のCaCl法、MgCl法、またはRbCl法を用いて、DNA取込みの可能なコンピテント細胞を作製することが可能である。他の選択肢として、エレクトロポレーションやマイクロインジェクションのような物理的手段を使用することが可能である。エレクトロポレーションでは、高電圧電気インパルスによりポリヌクレオチドを細胞内に移入することが可能である。このほかに、当技術分野で周知の方法を用いて、ポリヌクレオチドをプロトプラスト融合により宿主細胞中に導入することが可能である。真核細胞をトランスフォームするのに好適な方法、たとえば、エレクトロポレーションおよびリポフェクションもまた公知である。
【0070】
本開示に包含される宿主細胞または標的細胞は、阻害性核酸分子を発現するように本開示に係るポリヌクレオチドを使用可能な任意の細胞である。この用語は、宿主細胞/標的細胞の任意の後代をも包含する。有用な宿主細胞/標的細胞としては、細菌細胞、菌類細胞(たとえば、酵母細胞)、植物細胞、および動物細胞が挙げられる。たとえば、宿主細胞は、哺乳動物細胞のような高等真核細胞もしくは酵母細胞のような下等真核細胞でありうるか、または宿主細胞は、細菌細胞のような原核細胞でありうる。宿主細胞中への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、またはエレクトロポレーションにより実施可能である(Davis, L., Dibner, M., Battey, I., Basic Methods in Molecular Biology (1986))。適切な宿主の代表例としては、酵母のような真菌細胞、ドロソフィラ(Drosophila)S2やスポドプテラ(Spodoptera)Sf9のような昆虫細胞、CHO、COS、またはBowes黒色腫のような動物細胞、植物細胞などが挙げられうる。適切な宿主の選択は、本明細書に記載の教示から当業者の実施可能な範囲内にあると考えられる。
【0071】
宿主細胞は、真核宿主細胞(たとえば哺乳動物細胞)でありうる。一態様では、宿主細胞は、細胞培養で増殖するように適合化された哺乳動物の産生細胞である。当業界で一般に使用されるそのような細胞の例は、CHO細胞、VERO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、CV1細胞(Cos;Cos−7を包含する)、MDCK細胞、293細胞、3T3細胞、C127細胞、骨髄腫細胞系(特定的にはネズミ科動物)、PC12細胞、およびW138細胞である。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、いくつかの複合組換えタンパク質、たとえば、サイトカイン、凝固因子、および抗体の産生に広く使用されている(Brasel et al., Blood 88:2004-2012, 1996; Kaufman et al., J.Biol Chem 263: 6352-6362, 1988; McKinnon et al., J Mol Endocrinol 6:231-239, 1991; Wood et al., J. Immunol 145:3011-3016, 1990)。ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)欠損変異型細胞系(Urlaub et al., Proc Natl Acad Sci USA 77:4216-4220, 1980)は、効率的なDHFR選択性かつDHFR増幅性の遺伝子発現系によりこれらの細胞において高レベルの組換えタンパク質発現が可能であるので、一般に使用されるCHO宿主細胞系である(Kaufman, Meth Enzymol 185:527-566, 1990)。そのほかに、これらの細胞は、付着培養物または懸濁培養物として操作が容易であり、比較的良好な遺伝的安定性を呈する。CHO細胞およびその中で発現される組換えタンパク質は、広範に特徴付けられており、臨床向けの製造に使用することが監督官庁により承認されている。
【0072】
そのような阻害剤(たとえば、小分子(2−ジエチルアミノエチル−2,2−ジフェニル−バレレートおよび阻害性核酸))の活性は、本明細書に記載のアッセイ(in vitroアッセイおよびin vivoアッセイの両方)のような当業者に公知の従来の方法を用いて測定可能である。たとえば、本発明の一態様では、感染の治療に有用な薬剤のスクリーニング方法は、阻害剤と微生物とが相互作用しうる条件下でカロテノイド産生を阻害する阻害剤を微生物に接触させることと、作用因子のペルオキシド、一重項酸素、またはオキシダティブバーストに微生物を接触させることと、阻害剤の存在下および不在下における微生物の生存能を測定することと、を含み、この場合、生存能の減少は、抗微生物活性を増大させる薬剤の指標となる。
【0073】
本開示はまた、阻害有効量のカロテノイド生合成阻害剤(すなわち、カロテノイド生成阻害剤)に細菌を接触させることにより細菌の増殖を阻害する方法を提供する。「接触」という用語は、薬剤が微生物を阻害、死滅、もしくは溶解しうるように、または微生物が酸化的破壊を受けやすくなるように、微生物(たとえば細菌)を薬剤に暴露することを意味する。生物とカロテノイド生合成を阻害する薬剤との接触は、たとえば、薬剤を細菌培養物に添加するかまたは細菌汚染表面を薬剤に接触させることにより、in vitroで実施可能である。
【0074】
他の選択肢として、接触は、たとえば、細菌感染を受けた被験者または感染を受けやすい被験者に薬剤を投与することにより、in vitroで実施可能である。in vivoの接触は、非経口的なものも局所的なものも包含する。「阻害量」または「阻害有効量」とは、たとえば静菌効果もしくは殺菌効果を引き起こすか、特定の細菌細胞タイプの着色を低下させるか、または細菌により産生される特定のカロテノイドの量を減少させるのに十分な薬剤の量を意味する。カロテノイド阻害剤を用いることにより影響を受ける可能性のある細菌としては、グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌の両方が挙げられる。影響を受ける可能性のある細菌としては、たとえば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)(A群)、ストレプトコッカス属の種(Streptococcus sp.)(ビリダンス群)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)(B群)、S.ボビス(S. bovis)、ストレプトコッカス(Streptococcus)属(嫌気性種)、ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae)、およびエンテロコッカス属の種(Enterococcus sp.);グラム陰性球菌、たとえば、ナイセリア・ゴノロエアエ(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、およびブランハメラ・カタラリス(Branhamella catarrhalis);グラム陽性桿菌、たとえば、バシラス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、P.アクネス(P. acne)、コリネバクテリウム・ジフテリアエ(Corynebacterium diphtheriae)および類ジフテリア菌(好気性および嫌気性)であるコリネバクテリウム属の種(Corynebacterium sp.)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、エンテロバクター属の種(Enterobacter sp.)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirablis)および他の種、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、クレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)、サルモネラ(Salmonella)属、シゲラ(Shigella)属、セラチア(Serratia)属、ならびにカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)が挙げられる。特定的には、本発明に係る方法および組成物は、反応性酸素種(たとえば、NADPHオキシダーゼにより産生される種)を防除するカロテノイド化合物を合成する任意の病原体に対して有用である。1種以上のこうした細菌が感染すると、菌血症、肺炎、髄膜炎、骨髄炎、心内膜炎、静脈洞炎、関節炎、尿路感染症、破傷風、壊疽、結腸炎、急性胃腸炎、膿痂疹、座瘡、acne posacue、創傷感染、熱傷後感染(born infections)、筋膜炎、気管支炎、さらにはさまざまな膿瘍、院内感染症、および日和見感染症のような疾患を引き起こす可能性がある。細菌の増殖を阻害する方法はまた、1種以上の抗生物質と組み合わされたペプチドに細菌を接触させることを含みうる。
【0075】
カロテノイド阻害剤により菌類生物に影響を及ぼすことも可能である。(たとえば、ミクロスポラム・カニス(Microsporum canis)および他のミクロスポラム属の種(Microsporum sp.);ならびにトリコフィトン属の種(Trichophyton sp.)、たとえば、T.ルブラム(T. rubrum)、およびT.メンタグロフィテス(T. mentagrophytes))、酵母(たとえば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、C.トロピカリス(C. Tropicalis)、または他のカンジダ属の種(Candida sp.))、サッカロミセス・セレビ
シアエ(Saccharomyces cerevisiae)、トルロプシス・グラブラタ(Torulopsis glabrata)、エピデルモフィトン・フロッコサム(Epidermophyton floccosum)、マラセジア・フルフル(Malassezia furfur)(ピティロスポロン・オルビクラレ(Pityropsporon orbiculare)、またはP.オバレ(P. ovale))、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、および他のアスペルギルス属の種(Aspergillus sp.)、接合菌綱(Zygomycetes)(たとえば、リソ゛フ゜ス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属)、パラコクシジオイデス・ブラシリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、ブラストミセス・デルマティティデス(Blastomyces dermatitides)、ヒストプラスマ・カプスラタム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、およびスポロトリクス・シェンキイ(Sporothrix schenckii)。
【0076】
カロテノイド生合成阻害剤(たとえば、crtM阻害剤、crtN阻害剤、およびそれらの組合せ)は、たとえば酸化的攻撃に対する耐性を付与するカロテノイド類の産生を阻害するのに有効な量で、ヒトまたは非ヒト動物をはじめとする任意の宿主に投与可能である。一態様では、投与は、細菌、ウイルス、および/または菌類の増殖の阻害を引き起こす。したがって、本方法および本組成物は、抗微生物剤、抗ウイルス剤、および/または抗菌類剤として有用である。
【0077】
当技術分野で公知のさまざまな方法のいずれかを用いて、カロテノイド阻害剤を単独でまたは他の抗生物質と組み合わせて投与することが可能である。たとえば、注射によりまたは時間をかけて漸進的注入により、非経口的に投与を行うことが可能である。薬剤(複数種可)は、静脈内に、腹腔内に、筋肉内に、皮下に、腔内に、吸入により、または経皮的に、投与可能である。
【0078】
他の態様では、カロテノイド生合成阻害剤は、単独でまたは局所投与(たとえば、ローション剤、クリーム剤、スプレー剤、ゲル剤、または軟膏剤として)に供される他の抗生物質/抗菌類剤と組み合わせて、製剤化可能である。そのような局所製剤は、眼、皮膚、および粘膜(たとえば、口腔、膣)における微生物、菌類、および/またはウイルスの存在または感染を治療または阻害するのに有用である。市販されている製剤の例としては、局所ローション剤、クリーム剤、石鹸、ワイプ剤などが挙げられる。毒性を低下させるかまたは生物学的利用能を増大させるために、リポソーム中に組み込んで製剤化することが可能である。他の送達方法としては、マイクロスフェア中もしくはプロテイノイド中へのカプセル化を必要とする経口法、エアロゾル送達(たとえば、肺への送達)、または経皮送達(たとえば、イオントホレシスもしくは経皮エレクトロポレーションによる送達)が挙げられる。他の投与方法は当業者に公知であろう。
【0079】
カロテノイド阻害剤を含む組成物の非経口投与製剤としては、滅菌された水性もしくは非水性の溶液剤、サスペンジョン剤、およびエマルジョン剤が挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(たとえば、オリーブ油)、および注射可能な有機エステル、たとえば、エチルオレエートである。水性担体の例としては、水、生理食塩水、および緩衝化媒体、アルコール性/水性溶液、ならびにエマルジョンまたはサスペンジョンが挙げられる。非経口媒体の例としては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース+塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル、および固定油が挙げられる。静脈内媒体としては、体液および栄養素の補充液、電解質補充液(たとえば、リンゲルデキストロースをベースとするもの)などが挙げられる。保存剤および他の添加剤、たとえば、他の抗微生物剤、抗酸化剤、キレート化剤(cheating agents)、不活性ガスなどを組み込むことも可能である。
【0080】
本開示は、細菌関連障害、ウイルス関連障害、および/または菌類関連障害を阻害する方法を提供する。この方法は、そのような障害を有するかまたは有する危険性のある被験者に、治療上有効量のカロテノイド生合成阻害剤(たとえば、crtMおよび/またはcrtNの阻害剤)を単独でまたは他の抗微生物剤と組み合わせて、接触または投与することにより行われる。「阻害」という用語は、障害の徴候または症状(たとえば、皮疹、潰瘍など)を予防または改善することを意味する。改善可能な疾患徴候の例としては、被験者の血中TNFレベルの増加、発熱、低血圧症、好中球減少、白血球減少、血小板減少、播種性血管内凝固、成人呼吸窮迫症候群、ショック、および臓器不全が挙げられる。本開示で治療可能な被験者の例としては、グラム陰性細菌またはグラム陽性細菌の感染により生じるエンドトキシン血症のような毒素血症に罹患する危険性があるかまたは罹患している被験者が挙げられる。他の例としては、皮膚炎を有する被験者、さらにはグラム陽性細菌もしくはグラム陰性細菌、ウイルス、または菌類の皮膚感染またはそれらの感染を受けやすい皮膚損傷を有する被験者が挙げられる。候補被験者の例としては、E.コリ(E. coli)、ナイセリア・メニンギティデス(Neisseria meningitides)、ブドウ球菌、または肺炎球菌の感染を受けている被験者が挙げられる。他の被験者としては、銃創、腎不全もしくは肝不全、外傷、火傷、免疫無防備感染(たとえば、HIV感染)、造血性新形成、多発性骨髄腫、キャッスルマン病、または心臓粘液腫に罹患している被験者が挙げられる。医薬技術分野の当業者であれば、従来の基準を手軽に利用して本開示に係る治療に適した被験者を同定することが可能である。
【0081】
治療上有効量は、被験者の症状を軽減するのに十分な量として測定可能である(たとえば、皮膚炎または皮疹の場合には皮膚潰瘍の重症度頻度を測定することにより)。典型的には、被験者は、疾患または障害の症状を少なくとも50%、90%、または100%軽減するのに十分な量の本発明に係る治療組成物で治療される。一般的には、最適投与量は、障害および因子、たとえば、被験者の体重、細菌感染、ウイルス感染、または菌類感染のタイプ、体重、性別、ならびに症状の度合いに依存するであろう。それにもかかわらず、好適な投与量は、当業者であれば容易に決定可能である。典型的には、好適な投与量は、0.5〜40mg/kg(体重)、たとえば1〜8mg/kg(体重)である。
【0082】
すでに述べたように、本発明に係る組成物および方法は、追加の(たとえば、カロテノイド生合成阻害剤に追加される)治療剤(たとえば、TNF阻害剤、抗生物質など)の使用を含みうる。カロテノイド生合成阻害剤、他の治療剤、および/または抗生物質は、同時に投与可能であるが、逐次投与も可能である。好適な抗生物質としては、アミノグリコシド類(たとえば、ゲンタマイシン)、β−ラクタム類(たとえば、ペニシリン類およびセファロスポリン類)、キノロン類(たとえば、シプロフロキサシン)、ならびにノボビオシンが挙げられる。一般的には、抗生物質は、殺菌量、抗ウイルス量、および/または抗菌類量で投与される。それらの効果はまた、フラボヘモグロビンの阻害剤(Helmick et al., Imidazole antibiotics inhibit the nitric oxide dioxygenase function of microbial flavohemoglobin. Antimicrob Agents Chemother, 2005,49(5):1837-43, and Sud et al., Action of antifungal imidazoles on Staphylococcus aureus, Antimicrob Agents Chemother, 1982, 22(3):470-4)との共投与を行ってマクロファージによるNO媒介S.アウレウス(S. aureus)死滅の効力を増大させることにより、増強可能であり、場合により、1種のスクアレンシンターゼ阻害剤と、1種のフラボヘモグロビン(酸化窒素ジオキシゲナーゼ)阻害剤、たとえば、アゾール(ミコナゾール、エコナゾール、クロトリマゾール(clortrimazole)、およびケトコナゾール)と、以上に記載したような1種の抗生物質と、を含む三種組合せ療法を、治療の必要な患者に適用することも可能である。
【0083】
カロテノイド生合成阻害剤を利用する本発明に係る方法および組成物は、抗生物質耐性細菌株の増殖問題に対処したり炭疽、疫病、コレラ、胃腸炎、多剤耐性結核(MDR TB)のようなバイオテロリズム因子により引き起こされる疾患をはじめとする感染性疾患の発症を治療および/または予防したりするのに好適な広域スペクトル抗微生物剤として有用である。
【0084】
本開示に係るカロテノイド生成阻害剤を含む医薬組成物は、担体、賦形剤、および添加剤または助剤を用いて被験者に投与するのに好適な形態をとりうる。よく使用される担体または助剤としては、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール、および他の糖、タルク、乳タンパク質、ゼラチン、デンプン、ビタミン、セルロースおよびその誘導体、動物油および植物油、ポリエチレングリコール、ならびに溶媒、たとえば、滅菌水、アルコール、グリセロール、および多価アルコールが挙げられる。静脈内媒体としては、体液および栄養素の補充液が挙げられる。保存剤としては、抗微生物剤、キレート化剤、および不活性ガスが挙げられる。他の製薬上許容される担体としては、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 15th ed., Easton: Mack Publishing Co., 1405-1412, 1461-1487 (1975)およびThe National Formulary XIV., 14th ed., Washington: American Pharmaceutical Association (1975)(それらの内容は参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されるように、水溶液、非毒性賦形剤、たとえば、塩、保存剤、緩衝剤などが挙げられる。医薬組成物の種々の成分のpHおよび正確な濃度は、当技術分野の通常の技術に従って調整される。Goodman and Gilman’s, The Pharmacological Basis for Therapeutics (7th ed.)を参照されたい。
【0085】
本開示に係る医薬組成物は、局所投与または全身投与が可能である。「治療上有効な用量」とは、細菌感染の症状を予防、治癒、または少なくとも部分的に阻止するのに必要とされる本開示に係る薬剤の量のことである。この使用に有効な量は、当然ながら、疾患の重症度ならびに被験者の体重および一般的状態に依存するであろう。典型的には、in vitroで使用される投与量から医薬組成物のin situ投与に有用な量に関して有用な指針を得ることが可能であり、動物モデルを用いて感染の治療に有効な投与量を決定することが可能である。種々の要件については、たとえば、Langer, Science, 249: 1527, (1990); Gilman et al. (eds.) (1990)(いずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
【0086】
本明細書中で用いられる場合、「治療上有効量の投与」とは、組成物がその意図された治療機能を発揮できるように本開示に係る医薬組成物を被験者に投与または適用する方法を包含するものとする。治療上有効量は、被験者における感染の度合い、個人の年齢、性別、および体重のような因子によって異なるであろう。最適治療応答が得られるように投与療法を調整することが可能である。たとえば、いくつかの分割用量を毎日投与しうるか、または治療状況の緊急性に応じて比例的に用量を減少させうる。
【0087】
医薬組成物は、便利な方法で、たとえば、注射(皮下、静脈内など)、経口投与、吸入、経皮適用、または直腸内投与により、投与可能である。投与経路に応じて、酵素、酸、および医薬組成物を不活性化する他の自然条件の作用から医薬組成物を保護する材料で医薬組成物をコーティングすることが可能である。医薬組成物はまた、非経口投与または腹腔内投与も可能である。グリセロール中、液体ポリエチレングリコール中、およびそれらの混合物中、ならびに油中に組み込んで、ディスパージョン剤を調製することも可能である。通常の貯蔵条件下および使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防止する保存剤を含有しうる。
【0088】
注射用途に好適な医薬組成物としては、滅菌された水性の溶液剤(水溶性の場合)またはディスパージョン剤、および滅菌された注射可能な溶液またはディスパージョンを即時調製するための滅菌粉末剤が挙げられる。いずれの場合も、組成物は、滅菌状態でなければならず、かつ容易なシリンジ注入が可能な程度に流動性でなければならない。担体は、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール(polyetheylene glycol)など)、それらの好適な混合物、ならびに植物油を含有する溶媒または分散媒でありうる。適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのようなコーティング剤を用いることにより、ディスパージョンの場合には所要の粒子サイズを保持することにより、および界面活性剤を用いることにより、保持可能である。微生物作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗菌類剤、たとえば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成可能である。多くの場合、典型的には、等張化剤、たとえば、糖、ポリアルコール、たとえば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムが組成物中に組み込まれるであろう。吸収を遅らせる薬剤、たとえば、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチンを組成物中に組み込むことにより、注射可能な組成物を長時間にわたり吸収させるようにすることが可能である。
【0089】
滅菌注射溶液剤は、必要量の医薬組成物を単独でまたは所要により以上に列挙した成分と組み合わせて適切な溶媒中に組み込んでから濾過滅菌を行うことにより調製可能である。一般的には、ディスパージョン剤は、基剤としての分散媒と以上に列挙したものから選ばれる所要の他の成分とを含有する滅菌媒体中に医薬組成物を組み込むことにより調製される。
【0090】
医薬組成物は、たとえば、イナートな希釈剤または同化可能な可食性担体と共に、経口投与可能である。医薬組成物および他の成分はまた、硬質シェルもしくは軟質シェルのゼラチンカプセル中に閉じ込めるか、錠剤中に圧縮するか、または個人の食事に直接組み込むことも可能である。経口治療投与に供する場合、医薬組成物は、賦形剤と共に組み込んで、摂取可能な錠剤、バッカル錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、サスペンジョン剤、シロップ剤、ウェーファー剤などの形態で使用可能である。そのような組成物および調製物は、少なくとも1重量%の活性化合物を含有することが望ましい。組成物および調製物のパーセントは、当然ながら、さまざまでありうるが、便宜上、ユニット重量の約5%〜約80%でありうる。
【0091】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などはまた、次のもの:結合剤、たとえば、トラガカントガム(gum gragacanth)、アカシア、トウモロコシデンプン、またはゼラチン;賦形剤、たとえば、リン酸二カルシウム;崩壊剤、たとえば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸など;滑沢剤、たとえば、マグネシウムステアレート;および甘味剤、たとえば、スクロース、ラクトース、もしくはサッカリン、または風味剤、たとえば、ペパーミント、ウインターグリーンオイル、もしくはチェリーフレーバーをも含有するしうる。投与ユニット製剤がカプセル剤である場合、以上のタイプの材料のほかに、液体担体を含有しうる。コーティング剤として、または他の形で投与ユニットの物理的形態を改変するために、種々の他の材料を存在させることが可能である。たとえば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤は、シェラック、糖、またはその両方でコーティングすることが可能である。シロップ剤またはエリキシル剤は、作用剤、すなわち、甘味剤としてスクロース、保存剤としてメチルパラベンおよびプロピルパラベン、染料、ならびに風味剤、たとえば、チェリーフレーバーまたはオレンジフレーバーを含有しうる。当然ながら、いかなる投与ユニット製剤の場合にもその調製に使用される材料はいずれも、医薬的に純粋かつ利用される量で実質的に非毒性/生体適合性であることが望ましい。そのほかに、医薬組成物は、持続放出性の調製物および製剤に組み込むことが可能である。
【0092】
したがって「製薬上許容される担体」とは、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤および抗菌類剤、等張化剤および吸収遅延剤などを包含するものとする。医薬活性物質用のそのような媒体および作用剤の使用は、当技術分野で周知である。いかなるの従来の媒体または作用剤の場合にもそれが医薬組成物と不適合でないかぎり、治療組成物および治療方法におけるその使用が可能であると考えられる。補助的活性化合物もまた、組成物中に組み込むことが可能である。
【0093】
投与が容易になるようにかつ投与量が均一になるように、投与ユニット製剤の形態で非経口組成物を製剤化することがとくに有利である。本明細書中で用いられる「投与ユニット製剤」とは、治療される個人に対するユニット投与量として適切な物理的に個別のユニットを意味し、所定量の医薬組成物を含有する各ユニットは、所要の医薬担体と一体化させて所望の治療効果が得られるように計算される。本開示に係る投与ユニット製剤の仕様は、医薬組成物の特性および達成される特定の治療効果に関連付けられる。
【0094】
主要な医薬組成物は、許容される投与ユニットで好適な製薬上許容される担体と共に有効量で便利かつ効果的な投与に供すべく配合される。補助的活性成分を含有する組成物の場合、投与量は、該成分の通常の用量および投与方式を参照して決定される。
【0095】
細菌生物(たとえば、スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus sp.))におけるカロテノイド生成を阻害するのに有用な作用剤は、一般に使用される抗生物質および/または抗微生物剤と組み合わせて使用可能である。したがって、本発明に係る医薬組成物は、カロテノイド生成阻害剤と1種以上の追加の抗微生物剤または抗生物質とを含みうる。
【実施例】
【0096】
以下の実施例は、本発明を例示するものとして提供されており、なんらその限定要件を構成するものとみなされるべきものではない。
【0097】
実施例
S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドの生合成経路は、デヒドロスクアレンシンターゼおよびデヒドロスクアレンデサチュラーゼをそれぞれコードする遺伝子crtMおよびcrtNの本質的機能を含む。S.アウレウス(S. aureus)の色素の生物活性をプローブするために、crtMの対立遺伝子交換により金色着色性ヒト臨床分離株のアイソジェニック突然変異体を作製した。ΔCrtM突然変異体は、非色素沈着性であり、440、462、および491nMの波長における野生型のカロテノイドの特徴的な三重ピークスペクトルプロファイルが欠如していた。WT型およびΔCrtM型のS.アウレウス(S. aureus)間には、増殖速度、定常期密度、表面電荷、浮遊性、および疎水性のいずれに関しても差は観測されなかった。S.アウレウス(S. aureus)のcrtMおよびcrtNはいずれも、4,4’−ジアポノイロスポレンの産生に十分である。機能獲得分析を容易にするために、S.アウレウス(S. aureus)のものと類似した疾患スペクトルに関連付けられるヒト病原体である非色素沈着性ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)中で、両方の遺伝子を発現させた。pCrtMNプラスミドでトランスフォームした場合、S.ピオゲネス(S. pyogenes)は、カロテノイド化合物のスペクトル特性を有する黄色色素沈着を獲得した。同一のpCrtMNベクターでS.アウレウス(S. aureus)ΔCrtM突然変異体を相補した場合にも、部分的に色素沈着を回復した。
【0098】
イソプレン生合成経路は、感染性疾患に対して有効な薬剤を開発するための(U.S. Patent application 20030032578)、さらには橙色色素(カロテノイド)生成を妨害する除草剤の開発における(U.S. Patent 5,756,423)、重要な標的である。
【0099】
カロテノイド産生の有用な阻害剤としては、種々の小分子阻害剤が挙げられる。たとえば、式Iで示される小分子は、カロテノイド産生の阻害に有用な分子の一般式を提供する。
【0100】
本発明は、微生物感染を治療するための化合物およびそのような化合物の使用方法を提供する。本発明に係る化合物は、式IまたはII:
【化7】

【0101】
〔式中、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、両端を含めて1〜10の整数であり、
各Dおよび各Eは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、金属、アンモニウム、およびそれらのエステルよりなる群から選択され、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
は、−S−、−SO−、−SO−、−O−、−N(R19)−、または−C(R20)(R21)−である{ここで、R19、R20、およびR21は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択される}〕
【化8】

【0102】
〔式中、
xは、0、1、2、または3であり、
yは、両端を含めて1〜10の整数であり、
各Gおよび各Jは、独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、金属、アンモニウム、およびそれらのエステルよりなる群から選択され、
10は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR10およびR11は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
11は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR11およびR10は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはR11およびR12は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
12は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR12およびR11は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはR12およびR13は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
13は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR13およびR12は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
14、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
は、−S−、−SO−、−SO−、−O−、−N(R22)−、または−C(R23)(R24)−である{ここで、R22、R23、およびR24は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択される}〕
により表される。
【0103】
CrtM阻害剤の構造およびその阻害活性(μM)
【化9】

【0104】
多くの感染は、色素を含有する細菌により引き起こされる。たとえば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)は、鮮橙色色素スタフィロキサンチンを含有する。この色素は、宿主免疫系の反応性酸素種による攻撃から細菌を保護すると考えられる。この色素は、デヒドロスクアレンを生成するように2分子のファルネシル二リン酸を縮合するデヒドロスクアレンシンターゼをはじめとする一連の酵素により産生される。デヒドロスクアレンシンターゼの遺伝子は動物には不在であるので、これらの色素はヒトおよび他の動物により産生されない。しかしながら、ヒトおよび他の動物は、スクアレンシンターゼ遺伝子を含有する。注目すべき点として、ヒトスクアレンシンターゼ酵素の阻害剤は、S.アウレウス(S. aureus)における色素(スタフィロキサンチン)生成を妨害し、in vitroおよびin vivoの両方で免疫系細胞による死滅の増大を引き起こすことが確認されている。
【0105】
式IIIで示される化合物をMagnin et al., α-Phosphonosulfonic acids: Potent and selective inhibitors of squalene synthase, J. Med. Chem. 39 (1996) 657-660に記載されるように調製し、S.アウレウス(S. aureus)増殖阻害に関しておよび色素生成に関して試験した。式IIIで示される化合物は、細胞増殖に関しては検出可能な効果を有していなかったが、色素生成に関しては強力な効果を有していた(表1/図1)。
【表1】

【0106】
細菌、マウス、ヒトCGD患者、および化学試薬: アトピー性皮膚炎の子供の皮膚から野生型S.アウレウス(S. aureus)菌株(Pig1)を分離した。ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)菌株5448は、十分に特徴付けられた血清型のM1T1臨床分離株である。CD1およびC57Bl/6マウスは、チャールス・リバー(Charles River)社から購入した。gp91Phox−/−マウスは、Veteran’s Administration Medical Center, San Diegoで飼育されたものであり、実験の3日前までにトリメトプリム/スルファメトキサゾールによる予防を行って維持した。S.アウレウス(S. aureus)およびS.ピオゲネス(S. pyogenes)は、トッド・ヒューウィットブロス(Todd−Hewitt broth)(THB)中またはTHB寒天(Difco, Detroit, MI)上で増殖させた。とくに指示がないかぎり、実験はすべて、色素沈着表現型が容易に確認される時点のS.アウレウス(S. aureus)の36〜48時間定常期培養物またはS.ピオゲネス(S. pyogenes)の24時間定常期培養物に由来する細菌を用いて行った。
【0107】
ヒトCGD患者: 患者は、gp47phox欠損(エキソン2のホモ接合ΔGT欠失)を有する18歳の女性であった。試験時、彼女は良好な健康状態であり、彼女の唯一の医薬は、皮下注射により週3回投与されるインターフェロン−γ(50mcg/m)であった。
【0108】
カロテノイド欠損S.アウレウス(S. aureus)突然変異体ΔCrtMの作製。正確に述べると、S.ピオゲネス(S. pyogenes)またはストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)用として報告されているPCRに基づく方法に小変更を施して、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)カセットによるS.アウレウス(S. aureus)crtM遺伝子のインフレーム対立遺伝子交換を行った。S.アウレウス(S. aureus)菌株N31521のゲノムと相互参照されて発表されたS.アウレウス(S. aureus)crtMN配列に基づいて、プライマーをデザインした。プライマーcrtMupF 5’-TTAGGAAGTGCATATACTTCAC-3’(配列番号1)およびcrtMstartR 5’-GGTGGTATATCCAGTGATTTTTTTCTCCATACTAGTCCTCCTATATTGAAATG-3’(配列番号2)を用いてcrtMの上流の約500bpをPCRにより増幅するとともに、約プライマーcrtMendF 5’-TACTGCGATGAGTGGCAGGGCGGGGCGTAACAAAGTATTTAGTATTGAAGC-3’(配列番号3)およびcrtMdownR 5’-GGCACCGTTATACGATCATCGT-3’(配列番号4)を用いてcrtMのすぐ下流の500bpの配列を増幅した。cat遺伝子の5’および3’末端に対応する25bpの5’伸長部を用いて、それぞれ、crtMstartRおよびcrtMendFプライマーを構築した。次に、プライマーcrtMupFおよびcrtMdownRを用いた第2ラウンドのPCRで、完全なcat遺伝子の650bpアンプリコン(pACYC184に由来する)を鋳型として、上流および下流PCR産物を結合した。catによるcrtMのインフレーム置換を含む得られたPCRアンプリコンを温度感受性ベクターpHY304中にサブクローニングしてノックアウトプラスミドを作製した。最初に、このベクターを許容S.アウレウス(S. aureus)菌株RN4220(ポール・サラム(Paul Sullam)博士により提供された)中にエレクトロポレーションによりトランスフォームし、次に、S.アウレウス(S. aureus)菌株Pig1中にトランスフォームした。トランスフォーマントを30℃で増殖させ、プラスミド複製のために非許容温度(40℃)に変更し、そして示差的な抗生物質選択および色素表現型を用いて候補突然変異体を同定した。catの標的化挿入と最終突然変異体ΔCrtMから単離された染色体DNA中のcrtMの不在とを実証するPCR反応により、crtM対立遺伝子の対立遺伝子交換を一義的に確認した。
【0109】
相補性および異種発現の試験。プライマーCrtF 5’-CAGTCTAGAAATGGCATTTCAATATAGGAG-3’(配列番号5)およびCrtR 5’-ATCGAGATCTCTCACATCTTTCTCTTAGAC-3’(配列番号6)を用いて、WT型S.アウレウス(S. aureus)菌株Pig1の染色体からコンティグCrtM+crtN遺伝子を増幅した。断片をシャトル発現ベクターpDCerm19中に定方向クローニングし、そして組換えプラスミド(pCrtMN)を用いてエレクトロポレーションによりS.アウレウス(S. aureus)ΔCrtM突然変異体およびS.ピオゲネス(S. pyogenes)菌株5448をトランスフォームした。
【0110】
S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドのスペクトルプロファイル。WT型S.アウレウス(S. aureus)Pig1およびそのアイソジェニックΔCrtM突然変異体の定常期(48時間)培養物をメタノール抽出に付した。MBA2000年分光光度計(パーキン・エルマー(Perkin Elmer)社製)を用いて抽出物の吸光度プロファイルを測定した。
【0111】
酸化剤感受性アッセイ。PBS(S.アウレウス(S. aureus))およびTHB(S.ピオゲネス(S. pyogenes))のいずれかで、酸化剤に対する感受性の試験を行った。1.5%の最終濃度になるように過酸化水素(H)を添加し、2×0個の細菌を37℃で1時間インキュベートし、次に、1,000U/mlのカタラーゼ(シグマ(Sigma)社製)を添加して残留Hをクエンチした。生存cfuを計数するために、希釈液をTHA上にプレーティングした。一重項酸素アッセイでは、1〜6μg/mlのメチレンブルーの存在下または不在下で、かつ100ワット光源から正確に10cmの位置で、24ウェル培養プレートの個別ウェル中、37℃で、10個のS.アウレウス(S. aureus)または4×10個のS.ピオゲネス(S. pyogenes)をインキュベートした。1〜3時間後、希釈液をTHA上にプレーティングすることにより細胞生存能力を評価した。フォイルでラップされたかまたはメチレンブルーの不在下で露光された以外は同等に処理された対照プレートは、細菌死滅の証拠を示さなかった。
【0112】
全血媒介死滅アッセイ。細菌をPBSで2回洗浄し、25μl PBSで10cfuの接種量になるように希釈し、そしてヘパリン処理された管中で75μlのあらたに採取されたヒト血液またはマウス血液と混合した。攪拌しながら37℃で管を4時間インキュベートし、その時、生存cfuを計数するために希釈液をTHA上にプレーティングした。
【0113】
好中球細胞内生存能アッセイ。製造業者の使用説明書に従ってヒストパック(Histopaque)グラジエント(シグマ(Sigma)社製)を用いて健常ヒトボランティア由来の好中球を精製した。細胞内生存能アッセイを次のように行った。細菌培養物をPBSで2回洗浄し、100μl RPMI+10%FCSで4.5×10cfuの濃度に希釈し、そして同一の媒体中で3×10個の好中球と混合し(感染多重度MOI=15:1)、700×gで5分間遠心し、次に、5% COインキュベーター中37℃でインキュベートした。10分後、ゲンタマイシン(ギブコ(Gibco)社製)(S.アウレウス(S. aureus)の場合は400μg/mlおよびS.ピオゲネス(S. pyogenes)の場合は100μg/mlの最終濃度)を添加して細胞外細菌を死滅させた。指定の時間点で、サンプルウェルの内容物を取り出し、遠心により好中球をペレット化し、そして洗浄により抗生物質培地を除去した。次に、0.02%トリトン−Xで好中球を溶解し、THA上にプレーティングすることによりcfuを計算した。10%自己ヒト血清と共に細菌接種物を氷上で15分間プレインキュベートすることを含む工程を追加して、いくつかのアッセイを反復した。
【0114】
皮下感染のネズミ科動物モデル。10〜16週齢のCD−1マウスまたはgp91Phox−/−マウスの片側の側腹(ランダムに選択)に細菌の試験菌株を皮下注射し、同時に、直接比較のために異なる菌株を反対側の側腹に皮下注射した。S.アウレウス(S. aureus)およびS.ピオゲネス(S. pyogenes)の限局的皮下感染を行うために、既定のプロトコルに従って、指定の接種量で、滅菌されたサイトデックス(Cytodex)ビーズ(アマーシャム(Amersham)社製)と1:1で混合されたPBSにより、細菌培養物の洗浄、希釈、および再懸濁を行った。発生する潰瘍の最大の長さ×幅により評価される病変サイズを毎日記録した。累積病変サイズは、所定の日の各処理グループのすべて動物の病変サイズの総和である。8日目(S.アウレウス(S. aureus))または5日目(S.ピオゲネス(S. pyogenes))、動物を安楽死させ、皮膚病変を切除し、PBS中でホモジナイズし、そして定量培養のためにTHA上にプレーティングした。
【0115】
統計。対応のないスチューデントt検定(unpaired Students t test)により、酸化剤感受性、血液媒介死滅、および好中球内生存能の実験差の有意性を評価した。対応のあるスチューデントt検定(paired Students t test)により、マウスin vivoチャレンジ試験の結果を評価した。
【0116】
保証。動物実験はすべて、UCSD動物使用管理委員会(The UCSD Committee on the Use and Care of Animals)により承認されものであり、容認された獣医学的基準を用いて実施された。ヒト血液を用いる実験は、二重追跡UCSD人間研究保護プログラム(The Dual Tracked UCSD Human Research Protection Program)/CHSD IRBにより承認されたものであった。ヒト被験者から事前のインフォームドコンセントを得た。
【0117】
浮遊性、表面電荷、および疎水性のアッセイ。浮遊性を測定するために、各1mlの70%、60%、および50%パーコール(Percoll)の逐次的オーバーレイグラジエントを5mlガラス試験管中に作製した。1mlの一晩細菌培養物をパーコール(Percoll)層上に配置し、スイングバケット遠心機により500×gで管を8分間遠心し、そして種々のパーコール(Percoll)界面相への細菌の移動を記録した。表面電荷を測定するために、遠心により細菌を採取し、モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液(20mM、pH=7.0)で洗浄した。1mlの培養物を0.5ml MOPS中に再懸濁させ、OD600を測定した。0.5mg/mlの最終濃度のシトクロムC(Sigma, St. Louis, MO)と共に15分間にわたり室温で細菌細胞をインキュベートした。サンプルを遠心し(13,000×g、5分間)、上清中に残存するシトクロムCの量を530nmで定量した。OD600=1.0の培養物あたりの結合を反映するように、シトクロムCの値を調整した。疎水性を測定するために、0.5mlのS.アウレウス(S. aureus)培養物を洗浄し、1.0mlのPBS中に再懸濁させ、300μlのn−ヘキサデカンを細胞懸濁液の上に層状化し、そして管を60秒間ボルテックスした。サンプルを室温で30分間インキュベートし、相分離させた。水性相を取り出し、水性相のOD600対PBS中の培養物のOD600の比を測定した。
【0118】
プロテアーゼ感受性およびカテリシジン感受性のアッセイ。ヒト好中球のエラスターゼおよびカテプシンGをカルビオケム(Calbiochem)社から購入した。抗微生物性ペプチドmCRAMPは、ルイジアナ州立大学タンパク質施設(The Louisiana State University Protein Facility)(所長マーサ・ジュバン(Martha Juban)氏)で合成されたものである。S.アウレウス(S. aureus)培養物を10mMリン酸緩衝剤(pH7.2)+0.5% LBで約1×10CFU/mlに希釈(1:2,000)した。90μlのこの細菌懸濁液を96ウェルプレート中の複製ウェルに添加した。カテプシンG(20および100mU/ml)、ヒト好中球エラスターゼ(12.5および50μg/ml)、ならびにネズミ科動物CRAMP(0.4〜3μM)の希釈液を10mMリン酸緩衝液で調製し、10μlの量でウェルに添加し;10mMリン酸緩衝液を単独で陰性対照として使用した。37℃で2時間インキュベートした後、各ウェルの25μlアリコートをPBSで逐次希釈し、THB上にプレーティングした。各実験を二重反復方式で繰返し行った。
【0119】
食作用取込みアッセイ。製造業者のガイドラインに従って、室温で15分間かけて、バクライト(BacLight)TMキット(Invitrogen, Carlsbad, CA)の成分であるSYTOR9により、S.アウレウス(S. aureus)を標識した。標識化細菌を3回洗浄して過剰の色素を除去し、次に、氷上で10分間かけて10%自己ヒト血清であらかじめオプソニン化した。細菌を3×106個の精製ヒト好中球にMOI=15で添加し、37℃で5分間インキュベートし、次に、500×gで6分間遠心して好中球をペレット化した。上清を廃棄し、細胞ペレットを0.1mg/mlのエチジウムブロミドのPBS溶液15ml中に再懸濁させて細胞外細菌の蛍光をクエンチした。蛍光顕微鏡観察下で直接可視化することにより、細胞内細菌を有する好中球のパーセントを計数した。実験を二重反復方式で繰返し行った。UCSDディジタルイメージング中核施設(UCSD Digital Imaging Core Facility)のデルタビジョンデコンボルーション顕微鏡システム(Delta Vision Deconvolution Microscope System)(ニコンTE−200顕微鏡(Nikon TE−200 Microscope))を用いて、代表的な画像をキャプチャーした。
【0120】
S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドの生合成経路は、デヒドロスクアレンシンターゼおよびデヒドロスクアレンデサチュラーゼをそれぞれコードする遺伝子crtMおよびcrtNの本質的機能を含む(図1a)。S.アウレウス(S. aureus)の色素の生物活性をプローブするために、crtMの対立遺伝子交換により金色着色性ヒト臨床分離株のアイソジェニック突然変異体を作製した(図1a)。既報に一致して、野生型(WT型)菌株の色素沈着は、増殖の初期定常期に顕在化して増大し続けた後、36〜48時間でプラトーに達した(図1b)。ΔCrtM突然変異体は、非色素沈着性であり、440、462、および491nMの波長における野生型のカロテノイドの特徴的な三重ピークスペクトルプロファイルが欠如していた(図1b)。WT型およびΔCrtM型のS.アウレウス(S. aureus)間には、増殖速度、定常期密度、表面電荷、浮遊性、および疎水性のいずれに関しても差は観測されなかった(図5a〜d)。S.アウレウス(S. aureus)のcrtMおよびcrtNはいずれも、4,4’−ジアポノイロスポレンの産生に十分である。機能獲得分析を容易にするために、S.アウレウス(S. aureus)のものと類似した疾患スペクトルに関連付けられるヒト病原体である非色素沈着性ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)中で、両方の遺伝子を発現させた。pCrtMNプラスミドでトランスフォームした場合、S.ピオゲネス(S. pyogenes)は、カロテノイド化合物の分光特性を有する黄色色素沈着を獲得した(図1b)。pCrtMNベクターでS.アウレウス(S. aureus)ΔCrtM突然変異体を相補した場合にも、完全に色素沈着を回復した(図1b)。
【0121】
食細胞が病原体を排除する重要な機序の1つは、NADPHオキシダーゼにより発生される反応性酸素種の放出を介するものである。S.アウレウス(S. aureus)により発現されるようなカロテノイド類は、こうした防御分子に対抗する保護機能の役割を果たしうることが示唆された。これを実験的に試験するために、in vitroにおける酸化剤に対するWT型およびΔCrtM型のS.アウレウス(S. aureus)の感受性を比較した。図1cおよび1dに示されるように、ΔCrtM突然変異体は、WT型S.アウレウス(S. aureus)菌株と比較して、より効率的に過酸化水素および一重項酸素により死滅した。pCrtMNで相補することにより、ΔCrtM突然変異体は、一重項酸素媒介死滅に耐える能力を回復した(図1d)。同様に、S.ピオゲネス(S. pyogenes)中でブドウ球菌色素を異種発現させることにより、一重項酸素(図1e)に対する感受性が著しく低減された。
【0122】
次に、2つのex vivoアッセイ系:ヒト全血中またはマウス全血中の生存能および精製ヒト好中球との共培養を用いて、S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドの観測された抗酸化活性が生得的免疫媒介クリアランスに対する増大された細菌耐性に対応するかどうかを調べた。WT型S.アウレウス(S. aureus)は、ヒト好中球細胞内(図2a、図6f)および正常なマウスまたはヒトドナーの全血中(図2b、e)において、非色素沈着性ΔCrtMよりも有意に良好に生存した。WT型S.アウレウス(S. aureus)およびΔCrtM突然変異体の取込みは同等であったので(図6a)、前者の効果は、食作用の速度差では説明がつかなかった。また、WT型および突然変異型の菌株の取込みはニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元アッセイで類似の結果を生じたので(図6b)、好中球オキシダティブバーストの大きさの変化に帰属しうる差でもなかった。pCrtMNでS.アウレウス(S. aureus)ΔCrtM突然変異体を相補することにより、マウス全血による死滅に対する耐性を回復した(図2b)。同様に、ブドウ球菌カロテノイドを発現する色素沈着性S.ピオゲネス(S. pyogenes)は、親菌株と対比してヒト好中球内において増大された生存能を示した(図2c)。
【0123】
S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイド発現と増大された食細胞耐性との関連がその抗酸化性の直接的な帰結であることを確認するために、オキシダティブバースト阻害剤ジフェニレンヨードニウム(DPI)の存在下でアッセイを繰り返した。オキシダティブバーストをDPIにより阻害した時、WT型およびΔCrtM型のS.アウレウス(S. aureus)は、ヒト好中球内(図2d)およびマウス血液中(図6d)で同等に生存した。gp47Phox−/−は、慢性肉芽腫症(CGD)患者に一般に見いだされる食細胞オキシダティブバースト機能の遺伝的欠陥であり、gp91Phox−/−マウスは、ヒトX連鎖CGDのモデルになる。非色素沈着性ΔCrtM型S.アウレウス(S. aureus)に対するWT型の生存優位性は、正常なヒトおよびマウス(CD1またはC57Bl/6)の血液中でのみ顕在化し、NADPHオキシダーゼ活性の欠如したヒトgp47phox−/−患者やgp91Phox−/−マウスの血液中では顕在化しなかった(図2e、f)。
【0124】
反応性酸素種による病原体の明瞭な好中球媒介死滅は、主に、カリウム流出入の変化により媒介される顆粒プロテアーゼの活性化を反映している可能性があることが最近報告された。カテプシンGの抗微生物作用に対するWT型およびΔCrtM型のS.アウレウス(S. aureus)の感受性には差はなく、両方の菌株は、S.アウレウス(S. aureus)ですでに観測されているようにヒト好中球エラスターゼに対して耐性であった(図6d)。生得的免疫防御に重要な哺乳動物好中球の他のエフェクター分子は、カテリシジンファミリーの抗微生物性ペプチドである。カロテノイド欠損S.アウレウス(S. aureus)突然変異体は、WT型菌株と比較した場合、ネズミ科動物カテリシジンmCRAMPによる死滅に対して同様に感受性であった(図6e)。これらの結果から、好中球媒介死滅に対する耐性におけるS.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドのフリーラジカル捕捉的抗酸化性の主要な役割が裏付けられる。
【0125】
in vitroおよびex vivoの結果から、S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドは、酸化剤耐性および食細胞内生存能を増大させるのに必要かつ十分であることが実証される。疾患の病理発生に関するこれらの観察結果の有意性を評価するために、ネズミ科動物皮下チャレンジモデルを開発した。この試験では、個別動物の片側の側腹へのWT型S.アウレウス(S. aureus)菌株の注射および反対側の側腹へのΔCrtM突然変異体の注射を同時に行った。WT注射(10cfu)の部位では、マウスは、かなり大きい膿瘍病変を生じて4日目までに80mmの累積サイズに達し、対側の側腹上へのカロテノイド欠損突然変異体の等価接種物の注射では、観察可能な病変を生じなかった(図3a)。2つの異なるチャレンジ用量(10cfu対10cfu)における皮膚病変の定量培養では、個別マウスにおいて生存するWT型S.アウレウス(S. aureus)の数がΔCrtM突然変異体と比較して有意に多いことが終始一貫して実証された(図3a)。in vivoでS.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドにより提供される保護の機序に抗酸化効果が欠かせないことを確証するために、gp91Phox−/−マウスで皮下感染実験を繰り返した。宿主NADPHオキシダーゼ機能の不在下では、WT型およびΔCrtM突然変異型のS.アウレウス(S. aureus)は、類似の累積サイズの病変を生じ、膿瘍の定量培養で生存優位性は検出されなかった(図3b)。次に、CrtMNを発現するS.ピオゲネス(S. pyogenes)により引き起こされる感染の経過をベクターのみでトランスフォームされた対照と比較することにより、S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドは、細菌のビルレンスを増大させるのに十分であることが確認された。図3cでは、カロテノイド発現性菌株により生じた病変は、WT型菌株により生じた病変よりも有意に大きくかつ多数の生存細菌を含有していた。in vivo実験で得られた生データを表2に提供する。
【表2】

【0126】
ゴールデンイエロー色素により細菌に提供される保護作用を仮定すれば、カロテノイド生成を阻害する薬理剤により、S.アウレウス(S. aureus)は、免疫媒介クリアランスを受けやすくなる可能性がある。混合機能オキシダーゼ阻害剤2−ジエチルアミノエチル−2,2−ジフェニル−バレレート(SKF525−A、カルビオケム(Calbiochem)社製)は、S.アウレウス(S. aureus)において色素生成を阻害することがすでに明らかにされたが、それらの実験では、δカロテノイド中間体の中程度の残留蓄積が認められた。図4aに示されるに、この作用剤の存在下で増殖されたS.アウレウス(S. aureus)のWT型菌株で色素産生の用量依存的減少が得られた。S.アウレウス(S. aureus)の色素生成を妨害することにより、一重項酸素媒介死滅に対する生物の感受性が用量依存的に増加し(図4b)、ヒト全血中におけるWT型S.アウレウス(S. aureus)の生存能力が減少した。対照として、ΔCrtM突然変異体を並行実験でSKF525−Aに暴露させたが、酸化剤感受性に関しても血中生存能に関しても有意な影響はみられなかった(図4b、c)。
【0127】
カロテノイド色素により付与される金色は、ヒト病原体スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の名称の由来となった特性である。突然変異誘発と異種発現とを組み合わせた分子遺伝学的分析を行うことにより、この顕著な特徴的表現型が、実際に、その抗酸化性を介して食細胞媒介死滅から細菌を保護する役割を果たすビルレンス因子であることを明らかにした。現代では、この重要な疾患因子の効果的抑制は、市中および院内のいずれにおいても抗微生物剤耐性の急速な進化により損なわれている。原理的には、カロテノイド生成を阻害すれば、病原体が効果的に通常の宿主の生得的免疫防御によるクリアランスをより受けやすくなり、厄介なS.アウレウス(S. aureus)感染を治療する新規な治療手段が提供されうる。
【0128】
そのほかに、WT型S.アウレウス(S. aureus)は、ヒトドナーまたは正常マウスの全血中およびヒト好中球細胞内で、非色素沈着性ΔCrtMよりも有意に良好に生存した。WT型S.アウレウス(S. aureus)およびΔCrtM突然変異体の取込みは同等であったので、後者の効果は、食作用の速度差では説明がつかなかった。また、WT型および突然変異型の菌株の取込みはニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元アッセイで類似の結果を生じたので、好中球オキシダティブバーストの大きさの変化に帰属しうる差でもなかった。pCrtMNでS.アウレウス(S. aureus)ΔCrtM突然変異体を相補することにより、マウス全血またはヒト好中球による死滅に対する耐性を回復した。同様に、ブドウ球菌カロテノイドを発現する色素沈着性S.ピオゲネス(S. pyogenes)は、親菌株と対比してヒト好中球内において増大された生存能を示した。
【0129】
S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイド発現と増大された食細胞耐性との関連がその抗酸化性の直接的な帰結であることを確認するために、オキシダティブバースト阻害剤ジフェニレンヨードニウム(DPI)の存在下でアッセイを繰り返した。オキシダティブバーストをDPIにより阻害した時、WT型およびΔCrtM型のS.アウレウス(S. aureus)は、ヒト好中球内およびマウス血液中で同等に生存した。gp91Phox−/−マウスは、食細胞のオキシダティブバースト機能の遺伝的欠陥であるヒトX連鎖慢性肉芽腫症のモデルになる。非色素沈着性ΔCrtM型S.アウレウス(S. aureus)に対するWT型の生存優位性は、正常マウス(CD1またはC57Bl/6)の血液中でのみ顕在化し、NADPHオキシダーゼ活性の欠如したgp91Phox−/−マウスの血液中では顕在化しなかった。
【0130】
反応性酸素種による病原体の明瞭な好中球媒介死滅は、主に、カリウム流出入の変化により媒介される顆粒プロテアーゼの活性化を反映している可能性があることが最近報告された。カテプシンGの抗微生物作用に対するWT型およびΔCrtM型のS.アウレウス(S. aureus)の感受性には差は確認されず、両方の菌株は、S.アウレウス(S. aureus)ですでに観測されているようにヒト好中球エラスターゼに対して耐性であった。生得的免疫防御に重要な哺乳動物好中球の他のエフェクター分子は、カテリシジンファミリーの抗微生物性ペプチドである。カロテノイド欠損S.アウレウス(S. aureus)突然変異体は、WT型菌株と比較した場合、ネズミ科動物カテリシジンmCRAMPによる死滅に対して同様に感受性であった。これらの結果から、好中球媒介死滅に対する耐性におけるS.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドのフリーラジカル捕捉的抗酸化性の主要な役割が裏付けられる。
【0131】
in vitroおよびex vivoの結果から、S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドは、酸化剤耐性および食細胞内生存能を増大させるのに必要かつ十分であることが実証される。疾患の病理発生に関するこれらの観察結果の有意性を評価するために、皮下チャレンジに対するネズミ科動物モデルを開発した。この試験では、個別動物の片側の側腹へのWT型S.アウレウス(S. aureus)菌株の注射および反対側の側腹へのΔCrtM突然変異体の注射を同時に行った。WT注射の部位で、マウスは、かなり大きい皮下膿瘍を生じ、対側の側腹上へのカロテノイド欠損突然変異体の等価接種物の注射では、観察可能な膿瘍を生じなかった。皮膚病変の定量培養では、個別マウスにおいて生存するWT型S.アウレウス(S. aureus)の数がΔCrtM突然変異体と比較して有意に多いことが終始一貫して実証された。in vivoでS.アウレウス(S. aureus)のカロテノイドにより提供される保護の機序に抗酸化効果が欠かせないことを確証するために、gp91Phox−/−マウスで皮下感染実験を繰り返した。宿主NADPHオキシダーゼ機能の不在下では、WT型およびΔCrtM突然変異型のS.アウレウス(S. aureus)は、類似の累積サイズの病変を生じ、膿瘍の定量培養で生存優位性は検出されなかった。そのうえさらに、S.ピオゲネス(S. pyogenes)感染は、膿瘍形成ではなくネクローシス潰瘍の発生に関連付けられたが、カロテノイド発現性菌株により生じた病変は、WT型菌株により生じた病変よりも有意に大きくかつ多数の生存細菌を含有していた。
【0132】
ゴールデンイエロー色素により細菌に提供される保護作用を考慮して、カロテノイド生成を阻害する薬理剤を試験に付して、S.アウレウス(S. aureus)が該作用剤により免疫媒介クリアランスを受けやすくなるかどうかを調べた。混合機能オキシダーゼ阻害剤2−ジエチルアミノエチル−2,2−ジフェニル−バレレート(SKF、525−A、カルビオケム(Calbiochem)社製)によりS.アウレウス(S. aureus)における色素生成が阻害されることがすでに明らかにされ、該作用剤の存在下で増殖されたS.アウレウス(S. aureus)のWT型菌株においてカロテノイド産生の用量依存的減少が実証された。S.アウレウス(S. aureus)の色素生成を妨害することにより、それに応じて一重項酸素媒介死滅に対する生物の感受性が用量依存的に増加し、ヒト全血中におけるその生存能力が減少した。対照として、ΔCrtM突然変異体を並行実験でSKF525−Aに暴露させたが、酸化剤感受性に関しても血中生存能に関しても有意な影響はみられなかった。
【0133】
スタフィロキサンチン生合成で最初に行われる段階(FPP→プレスクアレン二リン酸→デヒドロスクアレン、図1a)がコレステロールおよびエルゴステロールの生合成(図1b)の最初の段階(FPP→プレスクアレン二リン酸→スクアレン)に著しく類似して起こるので、コレステロール低下療法との関連でまたは抗寄生生物剤(シャーガス病の原因物質であるトリパノソーマ・クルーズ(Trypanosoma cruzi)におけるエルゴステロール生合成を阻害する)として開発されたスクアレンシンターゼの既知の阻害剤もまた、CrtM(すなわちデヒドロスクアレンシンターゼ)を阻害することにより色素生成および侵襲能力を妨害しうる。スタフィロキサンチン生合成の阻害に関して一連の既知のSQS阻害剤を試験した。阻害剤の1つ(racBMS−187745)は、約1μMのIC50を有してとくに強力な効果を示した(図7)。式III(およびその類似体)は、コレステロール低下剤として第II相ヒト臨床試験の段階に入っているので、この作用剤は、S.アウレウス(S. aureus)におけるスタフィロキサンチンビルレンス因子生成を阻害する新しいリード化合物として関心が寄せられる可能性があることは明らかである。式IIIが実際にCrtMを阻害するかどうか確認するために、S.アウレウス(S. aureus)の酵素をE.コリ(E. coli)中で発現させ、タンパク質を単離した。組換えCrtMは、酵素活性でありかつ約1.5nMのKに対応する600nMのIC50を有する式IIにより強力に阻害されることが判明したことから、CrtMは、S.アウレウス(S. aureus)においてこのホスホノスルホネート薬剤の標的であることが強く支持される。
【0134】
式IIIによるスタフィロキサンチン生合成の阻害は、S.アウレウス(S. aureus)感染に対して純粋にビルレンス因子に基づく療法になりうる。2mMまでの式IIIと共にインキュベートした場合、培養下で48時間にわたりS.アウレウス(S. aureus)の増殖特性および生存能のいずれかにも影響を及ぼさなかった。しかしながら、100μMの式IIIと共にインキュベートした後、得られた非色素沈着性S.アウレウス(S. aureus)では、1.5%過酸化水素による死滅に対する感受性は、PBS対照で処理された通常は色素沈着性のS.アウレウス(S. aureus)の約15倍であり、新たに単離されたヒト全血中での生存能は、約1/4であった。予想どおり、式IIIは、3つのヒト細胞系(MCF−7、NCI−H460、およびSF−268)の増殖に影響を及ぼさなかった。なぜなら、コレステロール生合成のみが標的化され、コレステロールは、一般的には血清(または食事)の中に豊富に存在するからである。
【0135】
酸化剤媒介および血液媒介(好中球媒介)クリアランスに対するS.アウレウス(S. aureus)の感受性を増大させる式IIIによる処理のin vitro能力を仮定して、in vivo試験を行った。腹腔内チャレンジを行って、1グループのマウス(n=14)は、10.5mgで1日2回処理し(−1、0、1、および2日目)、第2のグループ(n=13)は、PBS対照の等価量の注射で処理した。72時間で屠殺を行って、1で処理されたマウスの腎臓中のS.アウレウス(S. aureus)細菌カウント数は、対照グループのものよりも有意に低く(P<0.001)、検出閾値未満のcfuであったは13匹中8匹であり、これに対して、対照グループでは14匹中2匹であった。
【0136】
その結果から、ヒトスクアレンシンターゼの阻害による高コレステロール血症の治療のために開発された薬剤もまた、S.アウレウス(S. aureus)デヒドロ−スクアレンシンターゼ(CrtM)を失活させて、該細菌の重要なビルレンス因子であるスタフィロキサンチンの産生を妨害することが示される。これは、従来の抗生物質に対してますます耐性が高くなってきているこの主要なヒト病原体に対するラショナルドラッグデザインの新規な薬理学的リード物質および基礎を提供する。直接的な殺細菌性を有していないが、その代わりに、病原体が通常の宿主の生得的免疫媒介クリアランスを受けやすくなるように機能する抗感染症剤の有用性もまた、データから示される。そのような抗感染症剤は、耐性の進化に対してより少ない選択圧を及ぼし、作用の特異性を増大させて、通常のヒト微生物叢に対する望ましくない活性を低減させることが期待される。
【0137】
いくつかの実施形態および特徴について以上で説明してきたが、本開示の教示または添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、記載の実施形態および特徴に修正および変更を加えうることは、当業者であればわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1A】図1A〜Eは、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のカロテノイド色素およびその抗酸化機能の遺伝子操作を示している。A)S.アウレウス(S. aureus)のカロテノイド生成の生化学的経路および対立遺伝子交換によるcrtM(デヒドロスクアレンシンターゼをコードする)の突然変異誘発。
【図1B−E】図1A〜Eは、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のカロテノイド色素およびその抗酸化機能の遺伝子操作を示している。B)ΔcrtM突然変異体におけるS.アウレウス(S. aureus)の色素沈着の排除;ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)におけるS.アウレウス(S. aureus)の4,4’−ジアポノイロスポレン(4'4'-diaponeurosporene)色素の異種発現。pCrtMNで相補してWT型の耐性レベルを回復した場合と対比したときのC)過酸化水素またはD)一重項酸素による死滅に対するS.アウレウス(S. aureus)ΔCrtM突然変異体の感受性の増大。E)4,4’−ジアポノイロスポレン(4'4'-diaponeurosporene)を発現するS.ピオゲネス(S. pyogenes)の一重項酸素感受性の減少。エラーバーは、示された変数の標準偏差を表し、図示された結果は、少なくとも3回の実験に対応する。
【図2A−F】図2A〜Fは、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のカロテノイド色素が好中球中および全血中における酸化剤媒介死滅に対する耐性を付与することを示している。A)単離されたヒト好中球との共培養およびB)ネズミ科動物全血との共培養におけるWT型およびΔCrtM型のS.アウレウス(S. aureus)の生存能。(B)には、ベクターのみまたはpCrtMNで相補されたΔCrtM型の全血中生存能も図示されている。(C)マウス全血中におけるストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)の生存能に及ぼすcrtMNのプラスミド発現の影響。D)WT型およびΔCrtM突然変異型のS.アウレウス(S. aureus)のヒト好中球共培養時の生存能に及ぼすオキシダティブバースト阻害剤DPIの影響。E)正常患者およびNADPHオキシダーゼ機能の欠如したgp47phox−/−患者またはF)野生型CD1およびC57Bl/6マウスならびにgp91Phox−/−マウスの血液中におけるWT型およびΔCrtM突然変異型のS.アウレウス(S. aureus)の相対生存能。少なくとも3回の実験に対応する結果。CGDヒト患者由来の血液を用いたアッセイは2回行った。
【図3A−C】図3A〜Cは、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のカロテノイドが皮下膿瘍モデルにおいてビルレンスに寄与することを示している。比較される2種の細菌株をマウスの対向する側腹に皮下注射した。線グラフは、指定の細菌株により発生された合計累積皮膚病変サイズを示している。散布図上のドット=各個別マウスの皮膚病変から回復された色素沈着性菌株と非色素沈着性菌株とのcfu比。写真画像は、各処理グループの代表的なマウスを示している。A)CD1マウスにおける野生型(WT)対ΔCrtM突然変異型のS.アウレウス(S. aureus)、B)gp91Phox−/−マウスにおけるWT型対ΔCrtM突然変異型のS.アウレウス(S. aureus)、およびC)ブドウ球菌4,4’−ジアポノイロスポレン(4'4'-diaponeurosporene)のストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)+/−発現。
【図4】図4は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の色素産生を阻害すると酸化剤感受性および食細胞媒介クリアランスが増加することを示している。野生型およびΔCrtM突然変異型のS.アウレウス(S. aureus)を指定の濃度のSKF525−Aの存在下または不在下で培養した。A)色素沈着表現型、B)一重項酸素感受性、およびC)ネズミ科動物全血中生存能に及ぼす観測された影響が示されている。図示された結果は、少なくとも3回の実験に対応する。
【図5A−D】図5A〜Dは、S.アウレウス(S. aureus)crtM遺伝子の対立遺伝子交換を行ったときの多形効果の欠如を示している。A)WT型S.アウレウス(S. aureus)対ΔcrtM突然変異体の定常期培養物中の生存細菌の定常期濃度の類似性および新しいTHB培地中における細菌の後続の増殖速度の類似性。B)パーコール(Percoll)中への移動により評価される浮遊密度、C)n−ヘキサデカン(N-hexadecane)中への分配により測定される疎水性、およびD)シトクロムC結合により測定される表面電荷に関する、WT型S.アウレウス(S. aureus)とΔcrtM突然変異体との間の測定可能な差の欠如。
【図6A−C】図6A〜Fは、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のカロテノイド色素の抗食細胞性に関するさらなる分析結果を示している。A)WT型およびΔcrtM突然変異型のS.アウレウス(S. aureus)は、同等の速度でヒト好中球により貪食される。代表的な試験のデコンボルーション蛍光顕微鏡観察により、細胞内(緑色)および細胞外(赤色)の生物が示される。B)WT型およびΔcrtM突然変異型のS.アウレウス(S. aureus)は、ニトロブルーテトラゾリウム還元により測定した場合、同程度のヒト好中球オキシダティブバーストを引き起こす。C)正常マウス血液中におけるWT型およびΔCrtM突然変異型のS.アウレウス(S. aureus)の生存能に及ぼすオキシダティブバースト阻害剤ジフェニレンヨードニウム(DPI)の影響。
【図6D−F】図6A〜Fは、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のカロテノイド色素の抗食細胞性に関するさらなる分析結果を示している。D)顆粒プロテアーゼカテプシンGおよびヒト好中球エラスターゼまたはE)ネズミ科動物カテリシジンmCRAMPによる死滅に対するWT型およびΔCrtM突然変異型のS.アウレウス(S. aureus)菌株の感受性。F)WT型S.アウレウス(S. aureus)とΔCrtM突然変異型S.アウレウス(S. aureus)との間の好中球細胞内生存能の差は、自己血清によりあらかじめオプソニン化を行った実験でも、それを行わない実験(たとえば図6A)と類似している。
【図7】図7は、37℃で2日間振盪した後のS.アウレウス(S. aureus)の色素沈着を示している。
【図8】図8は、S.アウレウス(S. aureus)の全血媒介死滅に及ぼす40mcM(40mM)の式IIIで示される化合物の影響を示している。S.アウレウス(S. aureus)の全血媒介死滅が大きく向上し、40μMで約3倍に向上した(ED50 約20μM)。
【図9A】図9A〜Bは、S.アウレウス(S. aureus)皮膚感染のin vivoマウスモデルにおいて式IIIで示される化合物の存在下で明らかな有害作用を伴うことなく(A)200μMまたは(B)1000μMで病変サイズが大きく減少したことを示している。
【図9B】図9A〜Bは、S.アウレウス(S. aureus)皮膚感染のin vivoマウスモデルにおいて式IIIで示される化合物の存在下で明らかな有害作用を伴うことなく(A)200μMまたは(B)1000μMで病変サイズが大きく減少したことを示している。
【図10】図10は、マウスにおける全身的(腹腔内)チャレンジモデルを用いた追加の試験で色素が細菌に延命効果を付与したことを示している。ここで、cfuカウント数は、腎臓で測定される。
【図11】図11は、S.アウレウス(S. aureus)全身感染に及ぼす式IIIで示される化合物の投与の影響を示している。
【図12A】図12A〜Bは、未処理のマウスでは4日後に脾臓(A)または腎臓(B)に検出可能な細菌を有していたのは6匹中4匹であったことを示している。式IIIで示される化合物で処理されたマウスではどちらかの臓器に検出可能な細菌を有していたのは6匹中0匹であった。
【図12B】図12A〜Bは、未処理のマウスでは4日後に脾臓(A)または腎臓(B)に検出可能な細菌を有していたのは6匹中4匹であったことを示している。式IIIで示される化合物で処理されたマウスではどちらかの臓器に検出可能な細菌を有していたのは6匹中0匹であった。
【図13】図13は、式IVを含むより親油性の誘導体から得られたデータを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カロテノイドを発現する微生物による微生物感染を予防または治療する方法であって、該微生物を該カロテノイドの産生を阻害する少なくとも1種の作用剤に接触させて、該微生物を酸化的損傷に対してより感受性にすることを含む、上記方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種の作用剤がcrtM(デヒドロスクアレンシンターゼ)またはcrtN(デヒドロスクアレンデサチュラーゼ)を阻害し、この作用剤がカロテノイドの産生を低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種の作用剤がスクアレンシンテターゼ阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種の作用剤が、式IまたはII:
【化1】

〔式中、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、両端を含めて1〜10の整数であり、
各Dおよび各Eは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、金属、アンモニウム、およびそれらのエステルよりなる群から選択され、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
は、−S−、−SO−、−SO−、−O−、−N(R19)−、または−C(R20)(R21)−である{ここで、R19、R20、およびR21は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択される}〕
【化2】

〔式中、
xは、0、1、2、または3であり、
yは、両端を含めて1〜10の整数であり、
各Gおよび各Jは、独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、金属、アンモニウム、およびそれらのエステルよりなる群から選択され、
10は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR10およびR11は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
11は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR11およびR10は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはR11およびR12は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
12は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR12およびR11は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはR12およびR13は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
13は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR13およびR12は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
14、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
は、−S−、−SO−、−SO−、−O−、−N(R22)−、または−C(R23)(R24)−である{ここで、R22、R23、およびR24は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択される}〕
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
mが、0または1であり、
nが、両端を含めて1〜5の整数であり、
各Dおよび各Eが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、およびハロから選択され、
が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択され、
19、R20、およびR21が、それぞれ独立して、H、アルキル、および置換アルキルよりなる群から選択され、
、M、およびMが、それぞれ独立して、アルカリ金属であり、
xが、0または1であり、
yが、両端を含めて1〜5の整数であり、
各Gおよび各Jが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、およびハロから選択され、
10が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR10およびR11が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
11が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR11およびR10が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、またはR11およびR12が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
12が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR12およびR11が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、またはR12およびR13が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
13が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR13およびR12が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
14、R15、R16、R17、およびR18が、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択され、
22、R23、およびR24が、それぞれ独立して、H、アルキル、および置換アルキルよりなる群から選択され、
、M、およびMが、それぞれ独立して、アルカリ金属である、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種の作用剤が、
【化3】

よりなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記crtN阻害剤が、ジフェニルアミン、ジフェニルアミン誘導体、およびそれらの類似体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ジフェニルアミン誘導体が、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸、またはロベンザリットジナトリウムである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の作用剤がビスホスホネートである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カロテノイドがスタフィロキサンチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の作用剤が少なくとも2種の作用剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも2種の作用剤が、crtN阻害剤、crtM阻害剤、ファルネシル二リン酸シンターゼ阻害剤、およびそれらの任意の組合せよりなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
式IまたはII:
【化4】

〔式中、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、両端を含めて1〜10の整数であり、
各Dおよび各Eは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、金属、アンモニウム、およびそれらのエステルよりなる群から選択され、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
は、−S−、−SO−、−SO−、−O−、−N(R19)−、または−C(R20)(R21)−である{ここで、R19、R20、およびR21は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択される}〕
【化5】

〔式中、
xは、0、1、2、または3であり、
yは、両端を含めて1〜10の整数であり、
各Gおよび各Jは、独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
、M、およびMは、それぞれ独立して、金属、アンモニウム、およびそれらのエステルよりなる群から選択され、
10は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR10およびR11は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
11は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR11およびR10は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはR11およびR12は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
12は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR12およびR11は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、またはR12およびR13は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
13は、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR13およびR12は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜7員の環もしくは置換された4〜7員の環を形成するように連結していてもよく、
14、R15、R16、R17、およびR18は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択され、
は、−S−、−SO−、−SO−、−O−、−N(R22)−、または−C(R23)(R24)−である{ここで、R22、R23、およびR24は、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボキシル、アルコキシカルボニル、およびハロよりなる群から選択される}〕
により表される化合物。
【請求項14】
mが、0または1であり、
nが、両端を含めて1〜5の整数であり、
各Dおよび各Eが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、およびハロから選択され、
が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択され、
19、R20、およびR21が、それぞれ独立して、H、アルキル、および置換アルキルよりなる群から選択され、
、M、およびMが、それぞれ独立して、アルカリ金属であり、
xが、0または1であり、
yが、両端を含めて1〜5の整数であり、
各Gおよび各Jが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、およびハロから選択され、
10が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR10およびR11が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
11が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR11およびR10が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、またはR11およびR12が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
12が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR12およびR11が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、またはR12およびR13が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
13が、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択されるか、またはR13およびR12が、それらが結合している炭素と一緒になって、フラン環、置換フラン環、ピラン環、置換ピラン環、ピロール環、置換ピロール環、ピリジン環、置換ピリジン環、芳香環、もしくは置換芳香環、シクロペンチル環、置換シクロペンチル環、シクロヘキシル環、もしくは置換シクロヘキシル環を形成するように連結していてもよく、
14、R15、R16、R17、およびR18が、それぞれ独立して、H、アリール、置換アリール、アルキル、置換アルキル、およびハロよりなる群から選択され、
22、R23、およびR24が、それぞれ独立して、H、アルキル、および置換アルキルよりなる群から選択され、
、M、およびMが、それぞれ独立して、アルカリ金属である、
請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
mが、1であり、
nが、3であり、
各Dおよび各Eが、Hであり、
が、H、F、またはベンジルであり、
が、H、F、またはCFであり、
が、H、F、Cl、CF、t−ブチル、n−プロピル、またはベンジルであり、
が、HまたはFであり、
、R、R、およびRが、それぞれ、Hであり、
が、HまたはFであり、
、M、およびMが、それぞれ、カリウムであり、
が、−O−、−NH−、またはCHであり、
xが、0または1であり、
yが、3であり、
各Gおよび各Jが、Hであり、
10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18が、それぞれ、Hであり、
12が、HまたはCHであり、
、M、およびMが、それぞれ、カリウムであり、
が、−O−である、
請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
カリウム1−スルホナト−4−(3−(4−フルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(3,5−ジフルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
(1S)カリウム1−スルホナト−4−(3−フェノキシフェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(4−クロロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(3,4−ジフルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−フェノキシフェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(3−フルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(4−フェニルメチルフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−フェニルアミノフェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(2−フルオロ−5−(4−フルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−フェニルメチルフェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(2−フルオロフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(4−プロピルフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(4−フェノキシフェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(4−フェニルフェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(3−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート、
カリウム1−スルホナト−4−(4−(4−メチルフェニル)フェニル)−ブチルホスホネート、および
カリウム1−スルホナト−4−(3−(2−フェニルメチルフェノキシ)−フェニル)−ブチルホスホネート
よりなる群から選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
感染を受けた被験者に請求項13、14、または15に記載の化合物を投与することを含む、微生物感染を予防または治療する方法。
【請求項18】
前記微生物感染がスタフィロコッカス(Staphylococcus)感染である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記細菌感染がスタフィロコッカス属の種(Staphylococcus sp.)により引き起こされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus sp.)がスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
スクアレンシンターゼを発現する微生物を式IまたはIIで示される化合物に接触させることにより、MRSAを予防するか、治療するか、またはその有効な治療を改善する方法。
【請求項22】
微生物を阻害有効量のスクアレンシンターゼ阻害剤に接触させることを含む、微生物の増殖を阻害する方法。
【請求項23】
前記接触がin vitroにおけるものである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記接触が、微生物を有する疑いのある表面上におけるものである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記微生物がカロテノイドを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記微生物が細菌である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記接触がin vivoにおけるものである、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記in vivo接触が局所投与によるものである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記細菌がグラム陽性である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記細菌がスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)またはS.エピデルミディス(S. epidermidis)である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記細菌がグラム陰性である、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記細菌が、E.コリ(E. coli)、P.アエルギノサ(P. aeruginosa)、およびS.ティフィムリウム(S. typhimurium)よりなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記スクアレンシンターゼ阻害剤が、少なくとも1種の抗生物質と組み合わせて投与される式IまたはIIである、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記抗生物質が、アミノグリコシド類、ペニシリン類、セファロスポリン類、カルバペネム類、モノバクタム類、キノロン類、テトラサイクリン類、グリコペプチド類、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ニトロフラントイン、リファンピン、およびムピロシンよりなる群から選択されるクラスに属する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記抗生物質が、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート/エチルサクシネート/グルセプテート/ラクトビオネート/ステアレート、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、ピペラシリン、セファロチン、セファゾリン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフロキシム、セフォニシド、セフメタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメト、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキシム、セフスロジン、イミペネム、アズトレオナム、フレロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、シノキサシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、バンコマイシン、およびテイコプラニンよりなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記スクアレンシンターゼ阻害剤が、少なくとも1種の抗生物質とフラボヘモグロビンの阻害剤と組み合わせて投与される式IまたはIIである、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記フラボヘモグロビンが、ミコナゾール、エコナゾール、クロトリマゾール、およびケトコナゾールよりなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記抗生物質が、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン(t-obramycin)、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート/エチルサクシネート/グルセプテート/ラクトビオネート/ステアレート、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、ピペラシリン、セファロチン、セファゾリン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフロキシム、セフォニシド、セフメタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメト、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキシム、セフスロジン、イミペネム、アズトレオナム、フレロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、シノキサシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、バンコマイシン、およびテイコプラニンよりなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
スクアレンシンターゼ阻害剤と製薬上許容される担体とを含む組成物。
【請求項40】
前記組成物が、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、またはスプレー剤である、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物が、局所投与に供されるものである、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
前記阻害剤が式IまたはIIの式を有する、請求項39に記載の組成物。

【図1A】
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【図1B−E】
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【図2A−F】
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【図3A−C】
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【図4】
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【図5A−D】
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【図6A−C】
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【図6D−F】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−541210(P2009−541210A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509888(P2009−509888)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/011466
【国際公開番号】WO2007/133712
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(500445295)ザ レジェンツ オブ ザ ユニヴァースティ オブ カリフォルニア (28)
【出願人】(508308880)ユニバーシティ オブ イリノイズ アット アーバナ−シャンペーン (1)
【Fターム(参考)】