組み合わされた光学的読み取り呼出し方法及びデバイスを用いたフライ油の品質のモニタリング
油試料の複数のパラメータを光学的にモニタする方法及びデバイスが開示される。一実施形態において、本方法及びデバイスは、油の遊離脂肪酸含有量及び全極性化合物の含有量の観点から食用油又はフライ油の品質を判定するために使用され得る。本方法は、遊離脂肪酸含有量を評価するのに光吸収/反射特性を用い、全極性化合物の含有量を評価するのに光学的な蛍光を用い、両測定は、単一試料基材及び単一測定デバイスを使用する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
油(例えば食用油、フライ油、油脂、ショートニング、等)は、特に酸素及び/又は水の存在下で高温に曝されると、酸化反応が起こる可能性があり、その結果油の劣化が生じる。したがって、油が依然として使用に適しているかどうかを判定するために、レストランの厨房では油の品質が頻繁にモニタされる。これまで、油の品質を評価するために様々な異なるパラメータが使用されてきた。
【0002】
油の品質を評価するのにしばしば用いられる1つのパラメータは、油の全極性化合物の含有量である。例えば、Onwumere et al.は米国特許第7,132,079号の中で、油の試料を廃棄するかどうかを油中の極性化合物の存在に基づいて判定する方法を開示している。例えば、Mittal et al.は米国特許第5,818,731号の中で、油の品質を測定する方法及び装置を開示している。この方法の一部は、測定されたキャパシタンスと参照キャパシタンスとの比較を含み、その変化を油の極性分子成分の量の増加と関連付ける。
【0003】
油の品質を評価するのにしばしば用いられる別のパラメータは、油の遊離脂肪酸の含有量である。例えば、Mlinar及びNeumayerは米国特許第4,654,309号で、液体の遊離脂肪酸含有量を試験するための物品を開示している。遊離脂肪酸そのものが、油試料の全極性化合物の含有量の一部分を構成する場合があり、又は、全極性化合物の含有量の検査において測定可能であり得る、かかる化合物の前駆体であり得る。したがって、遊離脂肪酸テストと極性化合物テストとは完全に独立していない場合がある。しかしながら、両テストは当該技術分野において用いられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、油(例えば、食用油又はフライ油)の品質を評価するための方法及びデバイスが開示される。この方法は、油の遊離脂肪酸含有量、及び油の全極性化合物の含有量、又はその両方に基づいた、油の品質の表示を適用することができる。単一試験でこのような表示を提供する際に(例えば、信号読み取り呼出しデバイス及び試料基材を使用して)、この方法は、2つの異なる試験を行うよりも簡易かつ安価であり得、油の品質をより簡単かつ確実に確認する能力を提供することができる。
【0005】
この方法はまた、評価される油供給物から大量の試料を取り出す必要がない点で有利であり、本方法は、読み取り呼出しデバイスを油の中へ一時的に挿入する必要も、又はこのようなデバイス油の中に恒久的に定置する必要もない。
【0006】
本方法は、本明細書に記載のような光学データの定量的測定に基づいて油の品質の表示を提供するために、光学的読み取り呼出しデバイスを使用するという点で更に有利であり、これにより、主観的測定(例えば、目視検査)に依存する方法を超える改善を提供することができる。
【0007】
本方法は、試料基材及び読み取り呼出しデバイスを利用する。試料基材は、油の遊離脂肪酸含有量に反応性である光学特性を有する少なくとも1つの第1のテストゾーンと、油の全極性化合物の含有量に反応性である光学特性を有する少なくとも1つの第2のテストゾーンとを有する。一実施形態では、複数の第1のテストゾーンが提供され、読み取り呼出しデバイスは、複数の第1のテストゾーンを読み取り呼出しして、そこから信号を受信する手段を含む。一実施形態では、複数の第2のテストゾーンが提供され、読み取り呼出しデバイスは、複数の第2のテストゾーンを読み取り呼出しして、そこから信号を受信する手段を含む。
【0008】
デバイスは、少なくとも1つの第1のテストゾーンから受け取った信号に基づいて、油の遊離脂肪酸の含有量の観点から油の品質の表示を提供し、かつ、少なくとも1つの第2のテストゾーンから受け取った信号に基づいて、油の全極性化合物の含有量の観点から油の品質の表示を提供するように構成され得る。
【0009】
一実施形態では、油の遊離脂肪酸の含有量に反応性である第1のテストゾーンの光学特性は、吸収/反射特性である。特定の実施形態では、光学特性は反射率である。一実施形態では、この構成は、第1のテストゾーンに酸塩基指示薬を提供することによって達成される。
【0010】
一実施形態では、油の全極性化合物の含有量に反応性である第2のテストゾーンの光学特性は、蛍光である。
【0011】
本明細書に開示される方法は、遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物の量(例えば、濃度)に基づいて、油の品質の表示を提供することができる。表示は、遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物の濃度の実際の数値であることができ、あるいは、実際の数値にダイレクトに等しくはないが、その値に関連付けられるパラメータであることができ、ユーザーが油の品質(例えば、油がまだ使用に適しているかどうか)を確認できるようにするのに役立つことができる。遊離脂肪酸の含有量及び全極性化合物の含有量に基づく油の品質の個別の表示を提供することができ、あるいは、遊離脂肪酸含有量及び全極性化合物の含有量の両方に基づく単一表示を提供することができる。
【0012】
したがって、一態様において、油試料の複数のパラメータを光学的にモニタする方法が本明細書において開示され、この方法は、油吸収試料基材を提供する工程であって、試料基材が、油の第1のパラメータに反応性である第1の光学特性を含む複数の第1のテストゾーンと、油の第2のパラメータに反応性である第2の光学特性を含む少なくとも1つの第2のテストゾーンと、を包含する、工程と、油の試料が、第1のテストゾーンのそれぞれの少なくとも一部分及び少なくとも1つの第2のテストゾーンの少なくとも一部分と接触するように、油を試料基材と接触させる工程と、第1のテストゾーンから一連の第1の信号を受信するために、第1の光学的方法によって第1のテストゾーンを読み取り呼出しする工程と、第1のテストゾーンからの一連の第1の信号を結合信号へと組み合わせる工程と、結合信号を油の第1のパラメータと相関させる工程と、第2の信号を受信するために、第2の光学的方法によって少なくとも1つの第2のテストゾーンを読み取り呼出しする工程であって、第2の光学的方法が第1の光学的方法と異なる、工程と、第2の信号を油の第2のパラメータと相関させる工程と、を含む。
【0013】
特定の態様において、第1のテストゾーンの読み取り呼出しは反射率の測定を含む。
【0014】
別の特定の態様において、少なくとも1つの第2のテストゾーンの読み取り呼出しは蛍光の測定を含む。
【0015】
別の態様において、油試料少なくとも2つのパラメータを測定するシステムが開示され、このシステムは、油吸収試料基材であって、試料基材が油の第1のパラメータに反応性である第1の光学特性を含む複数の第1のテストゾーンと、油の第2のパラメータに反応性である第2の光学特性を含む少なくとも1つの第2のテストゾーンと、を包含する、油吸収試料基材と、光学的読み取り呼出しデバイスであって、デバイスが、第1の光学的機構によって試料基材の第1のテストゾーンのそれぞれを読み取り呼出しして、そこから一連の第1の信号を受信する手段と、第2の異なる光学的機構によって試料基材の少なくとも1つの第2のテストゾーンを読み取り呼出しして、そこから第2の信号を受信する手段と、を含み、デバイスが、第1のテストゾーンからの一連の第1の信号を結合信号へと組み合わせる手段と、結合信号を油の第1のパラメータと相関させる手段とを更に含み、デバイスが、第2の信号を液体試料の第2のパラメータと相関させる手段を更に含む、光学的読み取り呼出しデバイスと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】代表的な試料基材の平面図。
【図1b】代表的な試料基材の側断面図。
【図2】代表的な光学的読み取り呼出しデバイスの概略斜視図。
【図3】代表的な光学的読み取り呼出しデバイスの一部分の底面図。
【図4】光源、光検知器、及び試料基材の代表的な配置状態の断面図。
【図5】光学的読み取り呼出しデバイスの一実施形態のブロック図。
【図6】様々な遊離脂肪酸濃度の油試料を含む試料基材の光反射率のプロット。
【図7】様々な遊離脂肪酸濃度の油試料を含む試料基材の光反射率のプロット。
【図8】様々な遊離脂肪酸濃度の油試料を含む試料基材の光反射率のプロット。
【図9】様々な遊離脂肪酸濃度の油試料を含む試料基材の光反射率のプロット。
【図10】様々な条件下での試料基材からの反射光に応答する光検知器のプロット。
【図11】様々な全極性化合物濃度の油試料を含む試料基材の蛍光のプロット。
【0017】
図面及び図面中の要素は、注記しない限り、一定の縮尺には従っていない。図において、類似の参照番号は、全体を通して類似の特徴を示すために使用される。「最上部」、「最下部」、「上部」、「下部」、「上」、「下」、「前部」、「後部」、並びに「第1」及び「第2」などの用語が本開示中で使用され得るが、これらの用語は相対的な意味においてのみ使用されることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書には、食用油(一般に、例えば、フライ油、植物油、ショートニング、タロー、グリース等とも呼ばれる)の品質を評価する方法及び装置が開示される。本方法は、試料基材1(例えば、使用後に処分することができるストリップ)、及び読み取り呼出しデバイス30に依存する。
【0019】
図1a及び1bを参照すると、試料基材1は、多孔質の油吸収材料5から構成される。これと関連して、用語「油吸収」は、材料が、材料の内部の多孔質の中に油を吸収することが可能(例えば、油で濡れる及び/又は油が浸透することが可能)であることを意味する。様々な実施形態において、材料5は、紙、不織布、開放気泡フォーム、織物等を含む。
【0020】
試料基材1は、少なくとも1つの第1のテストゾーン10を含み、この部分の光学特性は、油試料の遊離脂肪酸含有量に反応性である。一実施形態では、図1a及び1bの代表的な構造に示されるように、複数の第1のテストゾーン10a、10b等が設けられている。一実施形態において、光学特性は、本明細書でより詳細に説明がなされるような反射特性である。
【0021】
一実施形態では、第1のテストゾーン10には酸塩基指示薬が存在するので、第1のテストゾーン10の光学特性は、油中の遊離脂肪酸の存在に反応性である。この指示薬は、pHの変化に応答して色が変化することが可能な(したがって、1つ以上の波長で光反射率変化を示すことが可能な)任意の分子、又は分子の組み合わせを含んでもよい。好適な指示薬には、例えば、m−クレゾールパープル、ニュートラルレッド、チモールブルー、フェノールレッド、及びクレゾールレッドが挙げられる。
【0022】
一実施形態において、第1のテストゾーン10は塩基化合物を更に含み、この塩基化合物は、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどを含む、任意の有機又は無機塩基化合物であってもよい。各第1のテストゾーン10の塩基化合物の量はさまざまであってよく、特定のテストゾーンが所定量の酸に反応性となるような量に選択されてもよい。したがって、図1a及び1bの代表的な構造では、異なる量の塩基を、異なる第1のテストゾーン10a、10b、10c、及び10dに提供することができる。かかる配置状態では、第1のテストゾーン10aは、例えば、第1のテストゾーン10bと異なる量の遊離脂肪酸に反応性である(又は、選択的に区切られたゾーン10a及び10bは、同量の遊離脂肪酸に違った反応を示してもよい)などであってよい。このようにして、広範囲の遊離脂肪酸濃度に反応性である試料基材1が提供され得る。様々な実施形態では、少なくとも2つ、3つ、4つ、又は5つのテストゾーン10が使用されてもよい。様々な実施形態では、およそ、例えば、0.1%〜0.5%の遊離脂肪酸、0.5%〜1.0%の遊離脂肪酸、1.0%〜1.5%の遊離脂肪酸、1.5%〜2.0%の遊離脂肪酸、2.0%〜2.5%の遊離脂肪酸、2.5%〜3.5%の遊離脂肪酸、3.5%〜5.0%の遊離脂肪酸、又は5.0%〜7.0%の遊離脂肪酸を含有する油に反応性であるゾーンが使用されてもよい。必要に応じて、別のテストゾーンが含むのと同様の(又は同一)量の塩基を含む(即ち、同量の遊離脂肪酸に同様に反応する)1つ以上の追加のテストゾーンが設けられてもよい。かかる配置状態は、例えば、システムに冗長性を含めるのが所望である場合に用いられてもよい。
【0023】
一実施形態では、第1のテストゾーン10は、酸塩基指示薬及び塩基化合物を可溶化することが可能な、不揮発性のpH中性湿潤剤を更に含む。好適な湿潤剤には、例えば、Dow Chemicalから表記「Carbowax 200」「Carbowax 400」「Carbowax 600」及び「Carbowax 1500」で入手可能なもののような、ジヒドロキシ−脂肪族系のポリエチレングリコール化合物が挙げられる。
【0024】
理論又は機構によって制限されることなく、油試料中の遊離脂肪酸の量に反応して光反射率の変化を示す第1のテストゾーン10の能力は、油試料が指示薬/塩基/湿潤剤の混合物と接触すると、油試中に存在し得る酸性成分の一部又は全てが、指示薬/塩基/湿潤剤混合物に分配されて、その酸塩基平衡に影響を及ぼし、その結果、酸塩基指示薬が変化した光吸収/反射特性を示すという事実に起因すると仮定されている。必要なのは酸塩基指示薬が酸性成分の存在に反応することができる条件で存在することだけであるので、指示薬/塩基/湿潤剤混合物は真の水溶液を形成してもよく、又はしなくてもよい(例えば、系に存在し得る外来の水の量に依存する)ことに本明細書では留意されたい。
【0025】
一実施形態では、湿潤剤、塩基化合物、及び酸塩基指示薬(並びに、任意に、水又は有機溶媒などの揮発性溶媒)を混合して浸透混合物を提供し、浸透混合物が試料基材1の多孔質材料5の内部に浸透する(含浸する)ように、試料基材1の選択領域に浸透混合物を浸透させ(例えば、コーティング、ディッピング等により)、試料基材を乾燥させることによって(必要であれば)、試料基材1上に少なくとも1つの第1のテストゾーン10を形成する。
【0026】
複数の第1のテストゾーン10を使用してもよく、不連続のゾーンを含んでもよい(即ち、第1のテストゾーン10でない領域20によって物理的に分離されていてもよい)。例えば、複数のゾーンを使用する場合(例えば、塩基化合物の濃度の異なる複数のゾーン)、それぞれの浸透混合物が移動して(例えば、試料基材1の多孔質材料5を通って横方向に逃がすことにより)互いに接触する機会を最小限に抑えることが有用である。したがって、一実施形態では、それらの間に(含浸した材料を包含していない)領域20を残すように、含浸剤混合物は十分に間隔を離して堆積される。
【0027】
更なる実施形態では、浸透混合物の移動を最小限に抑える又は防止するように、試料基材1の選択領域20(1又は複数)の少なくとも部分21を(試料基材1に浸透混合物を浸透させる前に)処理することができる。このようなバリア処理は、試料基材1の表面及び/又は試料基材1の内部(即ち、基材1を含む多孔質材料5の隙間の表面)に適用されることができ、例えば、プラズマ処理、蒸着等を、多孔質材料5の表面エネルギー(即ち、湿潤性)を減少させるのに役立つ方法で含んでもよい。
【0028】
特定の実施形態では、バリア処理は、バリア材前駆体を試料基材1の主表面の一方又は両方の上に堆積させること(例えば、コーティング)と、その上に堆積したバリア材を保持することと、を含む。一実施形態では、バリア材前駆体は、試料基材材料5の多孔質の内部空間内に浸透して、その内部表面をコーティングする。様々な実施形態において、好適なバリア材には、(堆積及び固化されると)、例えば、30ダイン/cm未満、25ダイン/cm未満、又は20ダイン/cm未満の非常に低い表面エネルギーを含む材料が挙げられる。好適な材料には、シリコーン、フルオロシリコーン等が挙げられる。
【0029】
かかる低表面エネルギーのバリア処理は、特定の位置21(例えば、図1a及び1bに示される例示の配置状態のように、1つ以上の第1のテストゾーン10の境)に提供され得る。このようなバリア処理は、浸透プロセスの間及びその後に、浸透混合物がその望ましい位置から移動する機会を最小限に抑えるのに役立ち得る。更には、試験中に、試験結果を損なう可能性がある、テストゾーン(例えば、10a)から隣接するテストゾーン(例えば、10b)への油試料の移動の機会を最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0030】
したがって、一実施形態において、本明細書に開示される方法は、基材上に少なくとも1つの未処理領域を残した状態で、基材の少なくとも1つの領域を処理して、バリア領域21を形成することを含む。次に、浸透溶液を未処理領域の少なくとも一部分上に堆積させて、少なくとも1つの第1のテストゾーン10を形成することができる。一実施形態では、基材の少なくとも2つの領域の間に未処理領域を残した状態でこれら領域を処理して、バリア領域21を形成する。次に、バリア領域21の間の未処理領域の少なくとも一部分に浸透溶液を堆積させて、少なくとも1つのテストゾーン10を形成することができる。一実施形態では、上記プロセスが実施された後、バリア処理で処理されておらず、かつ浸透溶液を含浸させてもいない少なくとも1つの領域が残る。
【0031】
試料基材1(例えば、酸/塩基指示薬と塩基化合物と湿潤剤とを含む試験領域)の製造方法は、Mlinar及びNeumayerによって米国特許第4,654,309号の中で更に詳細に記載されている。
【0032】
そのため、要約すると、試料基材1上には、少なくとも1つの第1のテストゾーン10と、第1のテストゾーン10でない少なくとも1つの領域20(即ち、指示薬/塩基/湿潤剤混合物を含まない)とが提供される。本発明者らは、かかる領域20を、油試料の全極性化合物含有量の試験を実施するために使用することができる第2のテストゾーン20として使用することができることを発見した。即ち、本発明者らは、油の全極性化合物含有量の有効な試験の基準を提供するように油の全極性化合物含有量が試料基材の蛍光特性を変化させることができるように、第2のテストゾーン20が油を吸収することができることを見出した。
【0033】
理論又は機構によって制限されることなく、このような領域20では、吸収された油から使用可能な蛍光信号が得られるのに十分なだけ油が試料基材1の多孔質材料5を貫通することができるという事実は、有利であり得る。例えば、油が基材の外側表面上の薄膜内だけに存在することができる場合には(油が基材の内部の多孔質に入ることができない場合、及び/又はバリアコーティングが基材の内部を完全に充填している場合のように)、第2のテストゾーン20上に存在する油試料の大部分は、基材の外側表面上の層として存在する。そのような層では、油は、読み取り呼出しされるのに適切な蛍光信号を提供することができない可能性がある、及び/又は、油層の厚さは可変であり得るので(基材が保持される角度、油を流すために基材を保持する時間の長さ、温度、及び/又は油の粘度等によって左右される)信頼度の高い再現可能な信号を得ることができない可能性がある。
【0034】
少なくとも1つの第2のテストゾーン20の蛍光は、いくつかのアプローチのいずれかによって提供され得る。一実施形態では、第2のテストゾーン20に蛍光指示薬が提供される。このような指示薬は、分子の蛍光が極性化合物の存在に敏感である任意の分子であることができる。このような指示薬は、多孔質支持材料5、存在する場合にはバリア材等に束縛(例えば付着)されることによって提供され得る。又は、蛍光指示添加剤は、油試料自体に添加されてもよい。例えば、少量の蛍光指示添加剤を油試料に添加する(例えば撹拌して入れる)ことができる。代替的なアプローチでは、かかる蛍光指示添加剤は第2のテストゾーン上に置かれるが、束縛又は付着されなくてもよい。したがって、油試料が第2のテストゾーンに接触すると、蛍光指示添加剤は遊離することができる、及び/又は油中に溶解することができる。
【0035】
一実施形態では、蛍光指示薬は第2のテストゾーン20に提供されず、蛍光指示薬は油試料にも添加されない。したがって、この場合、蛍光信号は、油自体から、及び/若しくは油に含まれている極性化合物から、並びに/又は、油及び/又は極性化合物と基材の多孔質材料との相互作用から、得られる。この場合、蛍光信号は、蛍光指示薬からの蛍光信号の測定値ではなく、自己蛍光を含む。
【0036】
少なくとも1つの第2のテストゾーン20は、単一ゾーンとして、又は(図1a及び図1bの代表的な実施形態と同様に)複数のゾーンとして存在することができる。複数のゾーンが存在する場合、これらは不連続(例えば、例えば第1のテストゾーン10によって互いに分離されている)であってもよい。あるいは、複数のテストゾーン20は、試料基材1の連続した領域を含むことができる(即ち、読み取り呼出しを広い連続した領域内の異なるゾーンで行うことができる)。複数のテストゾーン20が存在する場合、使用される読み取り呼出しデバイス(本明細書において詳細に後述される)の特定の設計によっては、テストゾーン20の全てがかならずしも読み取り呼出しされなくてもよい。
【0037】
試料基材1は、様々な構造で製造され得る。例えば、試料基材1の1つの好都合な構造は矩形のストリップであり、本明細書においては用語「ストリップ」が試料基材1に関して使用されてもよいが、試料基材1は、正方形、円形等の任意の好都合な形状又は構造であり得ることが理解される。一実施形態において、試料基材1は、基材の前及び後主表面に関して対称であるように構成され得る。このような場合、基材の主表面の一方又は両方に油試料を塗布することができ、及び/又は、テストゾーン10及び20の光学的読み取り呼出しのために、基材の主表面のいずれかをデバイス30に向けた状態で基材を定置してもよい。
【0038】
試料基材1はまた、本明細書で後述されるように、参照ゾーンを含むことができ、1つ以上のマーク(即ち、例えば、印刷又はレーザマーキングによって得られる機構)を含むことができる。このようなマークは、ユーザーによって視覚的に検出可能であってもよく、及び/又は読み取り呼出しデバイス30(本明細書で詳細に後述される)によって検出可能であってもよい。このようなマークは、ユーザーが、第1のテストゾーン10を読み取り呼出しすることができるように試料基材1を読み取り呼出しデバイス30に対して位置決めする(即ち、位置合わせされる)ときに、試料基材1の位置を視覚的に観察する際の、ユーザーの利便性のためのものであってもよい。あるいは、このようなマークは機械読み取り可能であってもよく、その結果、読み取り呼出しデバイス30はこのマークを使って、読み取り呼出しデバイス30に対する試料基材1の適切な位置決めに関するフィードバックをユーザーに提供することができる。
【0039】
このような機構は、デバイス30のユーザー、又はデバイス30自体が、試料基材が不正確に、例えば、デバイス30に対して上下逆に又は逆さに位置決めされた時点を検出できるようにしてもよい。(特定の実施形態ではこのような機構は必要ではない場合があり、例えば、基材が基材の長辺に関して対称である実施形態では、「前」又は「後ろ」を示す機構は必要ではない場合がある。)このような機構はまた、特定の試料基材1がデバイス30と互換性があることを確認するため、例えば、試料基材をデバイス30と共に満足に使用できるようにする仕様、許容誤差等に従って特定の試料基材1が設計及び/又は製造されていることを確認するために、ユーザー又はデバイスによって使用されてもよい。
【0040】
本明細書に開示される方法は、油試料がテストゾーン10及びテストゾーン20の一部又は全ての少なくとも一部分と接触するように(これは、試料基材1を油の中に浸す、基材の上に油試料を堆積させるなどによって行われてもよい)、油試料を試料基材1と接触させ、続いて、少なくとも1つの第1のテストゾーン10の光吸収/反射特性、及び少なくとも1つの第2のテストゾーン20蛍光特性を読み取り呼出しすることを伴う。
【0041】
まず、第1のテストゾーン10に関しては、酸塩基指示薬が存在するので、テストゾーン10は、油試料中の遊離脂肪酸の量に応じて異なる光吸収/反射特性を示すことができる。このような光吸収/反射特性は、材料が入射光線を受けると、一部の光は吸収されることができ、一部は再放射(例えば反射)されることができ、一部は透過されることができる、という事実に関連するあらゆる測定可能な特性を含む。あらゆるこのような観測可能な特性は、本明細書に開示される方法及びデバイスで使用(即ち、測定)され得る。一実施形態では、使用される特定の測定値は反射率である。他の実施形態では、使用される特定の測定値は、吸収率又は透過率である。
【0042】
したがって、要約すれば、少なくとも1つの第1のテストゾーン10に光を向けることと、そこからの反射光を測定することとを伴う光学的読み取り呼出し動作が行われる。光学的読み取り呼出しは、その代表的な設計が図2に描かれている、光学的読み取り呼出しデバイス30によって行われる。このようなデバイスの1つの機能は、反射率試験のためにテストゾーン10上に向けられる光を生成することである。したがって、図3を参照すると、デバイス30は、試料基材1の少なくとも1つの第1のテストゾーン10に光を向けるための少なくとも1つの光源31を備える。一実施形態では、デバイス30は、試料基材1がテストゾーン10を含むのよりも少ない光源31を備える(特定の実施形態では、1つの光源31が使用される)。かかる実施形態では、少なくとも1つの光源31を使用して、光を2つ以上の第1のテストゾーン10の上に向ける。これは、複数のテストゾーン10に同時に光を向けるための共通光源を使用することによって行うことができる。あるいは、これは、光源31からの光を順次複数のテストゾーン10に向けることによって、例えば、光源31と試料基材10を相対移動させることによって行うことができる。
【0043】
代替的実施形態では、複数の第1のテストゾーン10に光を向けるために複数の光源31が使用される。特定の実施形態では、同じ数の光源31及びテストゾーン10が使用される。例えば、図1及び図3に示される代表的な設計では、デバイス30は4つの光源31a、31b、31c、及び31dを備え、試料基材1は4つのテストゾーン10a、10b、10c、及び10dを含む。一実施形態では、光源31は、ゾーン10の空間配置状態に対応するように空間的に配置される(即ち、試料基材1とデバイス30を相対移動させることなく、光源31から対応するテストゾーン10へと光を向けることができるように、光源31とテストゾーン10とを位置合わせする)。例えば、第1のテストゾーン10を所定の中心間距離で線形形式で配置し、光源31を同一形式で配置してもよい。光源31は、全てが同時又はほぼ同時に作動するように構成されることができ、又は、順々に作動するように構成されてもよい。
【0044】
光源31は、電球(例えば白熱電球)等を含む様々な光源のいずれかを含んでもよい。一実施形態では、光源31は、本方法において特に有利であり得る発光ダイオード(LED)を含む。様々な実施形態では、特定の波長域(例えば、緑、青、赤、IR等)の光を放射するLEDを使用することができる。特定の実施形態では、白色LED(即ち、可視スペクトルの少なくともかなりの部分を網羅する波長の放射線を放射するLED)を使用する。使用することができる1つの代表的なLEDは、Super Bright LEDs(St.Louis,Missouri)から表記「RL5−W5020」で入手可能である。更なる構造では、異なるテストゾーンを読み取り呼出しするための光源として、異なる波長のLEDを使用することができる。
【0045】
図3を参照すると、デバイス30は、少なくとも1つの第1のテストゾーン10からの反射光を測定するための少なくとも1つの光検知器32を更に備える。一実施形態では、デバイス30は、試料基材1が第1のテストゾーン10を含むのよりも少ない光検知器32を備える(特定の実施形態では、1つの光検知器32が使用される)。かかる実施形態では、テストゾーンの読み取り呼出しは、2つ以上の第1のテストゾーン10からの光を測定するための1つの光検知器の使用を伴う。これは、例えば、個々のテストゾーン10からの光を順次測定することによって行うことができる。
【0046】
代替的実施形態では、複数の光検知器32は、複数の第1のテストゾーン10から反射される光を入射するように配列される。特定の実施形態では、同じ数の光検知器32及びテストゾーン10が使用される。例えば、図1及び図4に示される代表的な設計では、デバイス30は4つの光検知器32a、32b、32c、及び32dを備え、試料基材1は4つのテストゾーン10a、10b、10c、及び10dを含む。一実施形態では、光検知器32は、第1のテストゾーン10の空間配置状態に対応するように空間的に配置される。(例えば、試料基材1とデバイス30を相対移動させる必要なく光が光検知器32で受光されることができるように。)
【0047】
光検知器32は、例えば、光電子増倍管、光電池、電荷結合素子等のような入射光子の数を測定することが可能な様々なデバイスのいずれかを含んでもよい。光検知器32は、検出された光子の数に比例し(例えば、テストゾーン10から入射した反射光の強度及び強さに比例し)、デバイス30によって更に処理されることができる信号(例えば、電圧)を提供する働きをする。一実施形態では、光検知器32はフォトダイオードを含む。様々な実施形態では、光検知器32は、特定の、比較的狭い波長域の光(例えば、上述の緑、青、赤、又はIR波長域)を検出するように構成されることができ、又は、光検知器32は比較的広波長にわたる光を検出するように構成されることができる。特定の実施形態では、光検知器32は、可視スペクトルのかなりの部分にわたる光、例えば、約400nm〜約800nmの波長域の光を検出するように構成されたフォトダイオードを含む。特定の実施形態では、光検知器32で検出可能な光の波長は、光源31によって放射される光と実質的に同じ範囲を網羅するように選択される。使用することができる代表的な光検知器は、Hamamatsu Photonics(Hamamatsu City,Japan)から表記「S9345」で入手可能なフォトダイオードである。
【0048】
一実施形態では、デバイス30は、反射率によって、基材1の少なくとも1つの第2のテストゾーン20を光学的に読み取り呼出し可能であるように構成された、少なくとも1つの組み合わされた光源31と光検知器32の一組を備える。光源/光検知器の一組31/32は、所与の第1のテストゾーン10を適切な信号強度、精度等で読み取り呼出し可能であるように構成されなければならない。したがって、光源31は、光源31の光出力の少なくとも一部が第1のテストゾーン10に向けられることができるように第1のテストゾーン10の近くに設置されることが可能なように、デバイス30の中に構成されることができる。図3及び図4を参照すると、一実施形態において、光源31はデバイス30のカバー33の後方に位置決めされ、カバー33は、光源31から放射された光が第1のテストゾーン10に向けられることができるように、光透過性部分34(カバー33に開いた穴であってもよい)を光源31の上に含む。
【0049】
光検知器32は、第1のテストゾーン10に光を向けるために光源31を使用すると、第1のテストゾーン10からの反射信号を受信することができるようにデバイス30の中に構成される。例えば、図3及び図4の代表的な設計に示されるように、光検知器32を光源31の横に近接して位置決めするのが有用であり得る。様々な実施形態では、光検知器32は、光源31から最大約5mm、10mm、又は15mmの位置に位置決めされてもよい。更に、光源31及び光検知器32を共通のプリント基板38上に実装するのが有利であり、これにより、(図4に示されるように)光源31及び光検知器32を実質的に同一平面内にある構造とすることができる。このような場合、光検知器32はまた、デバイス30のカバー33の後方に設置されてもよく、カバー33は、第1のテストゾーン10から反射した光の少なくとも一部が光検知器32によって検出されることができるように、光透過性部分35(カバー33に開けられた穴であってもよい)を光検知器32の上に含む。
【0050】
様々な実施形態では、光源31、光検知器32、並びに/又は光透過性部分34及び/若しくは35は、光源31からの光を最も効率的に第1のテストゾーン10に向け、そこからの反射光を光検知器32で収集し、それと同時に、光検知器32に入射する周辺光を(又は隣接する光源からの光)を最小限に抑えように構成されてもよい。したがって、光検知器32が光源31に隣接して配置され、かつ光源31と第1のテストゾーン10との間の直接路に対してわずかに軸外とされる(例えば、図4に示されるような)代表的な構造では、光検知器32に通常は到達する光のあらゆる部分を遮断しないように、光透過性部分35は、角度を付けられることができ、又は光検知器32の感光面よりいくぶん大きく作られることができる(例えば、図3に示されるように)。同様に、光透過性部分34も、必要に応じて同じように構成されることができる。
【0051】
光透過性部分34及び/又は35は、可視光スペクトルのほぼ全てに対して光学的に透明であることができる。あるいは、部分34及び/又は35の一方又は両方は、不必要な波長の光を遮断すると同時に望ましい波長の光の通過を可能にするために、光学フィルタを備えることができる。かかるフィルタは、波長依存性であるのに加えて、角度依存性(例えば、周辺光を遮断するために)であることができる。
【0052】
したがって、要約すると、光源/光検知器の一組31/32は、試料基材1に対してデバイス30が適切に位置決めされると、光源31から放射された光の少なくとも一部は第1のテストゾーン10に衝突することができ、第1のテストゾーン10から反射された光の少なくとも一部は光検知器32によって検出されることができるように構成されてもよい。光源31によって放射された光の全てかかなりの部分は、かならずしも第1のテストゾーン10に向けられる必要はない。同じように、光検知器32は、第1のテストゾーン10から反射された光の全てかかなりの部分、を捕捉する必要はない。必要なのは、信号が光検知器32によって生成されて、本明細書に記載のように処理されることができるように、十分な光が光源31から第1のテストゾーン10へと向けられ、かつそこからの十分な反射光が光検知器32によって測定されることだけである。
【0053】
前述したように、本発明者らは、油試料の全極性化合物含有量の試験を行うために、第2のテストゾーン20を使用することができることを発見した。したがって、上記の反射率測定値に加えて、少なくとも1つの第2のテストゾーン20に光を向けることと、そこから放射される蛍光を測定することとを伴う、光学的読み取り呼出し動作もまた行われる。具体的には、ゾーン20の(蛍光を介する)光学的読み取り呼出しは、ゾーン10の(反射率による)光学的読み取り呼出しに用いられるのと同じ光学的読み取り呼出しデバイス30によって行われる。したがって、図3を参照すると、デバイス30は、試料基材1の少なくとも1つのテストゾーン20に光を向けるための少なくとも1つの光源41と、少なくとも1つのテストゾーン20から放射される蛍光を測定するための少なくとも1つの光検知器42と、備える。
【0054】
1つのテストゾーン20を読み取り呼出しすることができ、又は、複数のテストゾーン20を読み取り呼出しすることができる。複数のテストゾーン20が読み取り呼出しされる場合、反射率の読み取り呼出しに使用される光源31及び光検知器32に関して先に述べた考えられる配置状態と同様の方法で、複数の光源41及び/又は光検知器42を使用することができる。特定の実施形態では、光源31及び光検知器32が第1のテストゾーン10の空間配置状態に対応し、光源41及び光検知器42が第2のテストゾーン20の空間配置状態に対応するように、少なくとも1つの光源41及び少なくとも1つの光検知器42は、光源31及び光検知器32と組み合わされて空間的に配置される。例えば、図1及び図3に示される代表的な配置状態では、デバイス30は、反射率読み取り呼出し用の4つの光源31a、31b、31c、及び31dと、蛍光読み取り呼出し用の1つの光源41と、を備える。試料基材1は、光源31からの光を受光する4つのテストゾーン10a、10b、10c、及び10dと、光源41からの光を受光する1つの第2のテストゾーン20とを有する。したがって、一実施形態では、試料基材1とデバイス30を相対移動させることなく光を第1のゾーン10の全て及び少なくとも1つの第2のゾーン20に向けることができるように、光源31及び41は、ゾーン10及び20の空間配置状態に対応するように空間的に配置される。光源41は、光源31と同時に又はほぼ同時に作動するように構成されることができ、あるいは、光源41は、光源31が作動していない期間に作動するように構成されることができる。
【0055】
光源41は、光源31に関して上述したもののような様々な光源のいずれかを含んでもよい。蛍光読み取り呼出しにおける使用に関しては、光源41は狭い波長域の光を放射するのが有利であり得る。これは、例えば、狭い波長域の光を放射するLEDを使用することによって達成されてもよい。あるいは、かなり広帯域の光源を用いるが、光がテストゾーン20に向けられる前に波長を狭くするためのフィルタを備えることによって達成されてもよい。
【0056】
既に言及されたように、デバイス30はまた、第2のテストゾーン20から放射される蛍光を測定するための少なくとも1つの光検知器42も備える。複数のテストゾーン20が読み取り呼出しされる場合、単一光検知器を使用することができ、又は、反射率検出に使用される光検知器32に関して記載されたのと同様の様々な構造で複数の光検知器を使用することができる。光検知器42は、光検知器32に関して上述したもののような、入射光子の数を測定することが可能な様々なデバイスのいずれかを含んでもよい。この場合もやはり上述したように、光検知器42は、特定の比較的狭い波長域の光を検出するように選択され又は構成され得る。このような能力は、蛍光を介する読み取り呼出しにおいて特に有用であり得る、即ち、例えば、光検知器42を、第2のテストゾーン20よって放射された異なる波長域の光は検出せず、異なる波長域の周辺光は検出せず、等であるが、第2のテストゾーン20によって放射された特定の波長域の蛍光を検出できるようにするときに有用であり得る。
【0057】
一実施形態では、光源41及び光検知器42は、蛍光を介して、基材1上の少なくとも1つの第2のテストゾーン20を光学的に読み取り呼出し可能であるように構成された組み合わされた一組を含む。光源/光検知器の一組41/42は、適切な信号強度、精度等で、及び周辺光、反射光からの干渉が最小の状態で、所与の第2のテストゾーン20を読み取り呼出し可能であるように構成されなければならない。光源41は、光源41の光出力の少なくとも一部が第2のテストゾーン20に向けられることができるように第2のテストゾーン20の近くに設置されることが可能なように、デバイス30の中に構成されることができる。図3及び図4を参照すると、一実施形態において、光源41はデバイス30のカバー33の後方に位置決めされ、カバー33は、光源41から放射された光が第2のテストゾーン20に向けられることができるように、光源41の上に光透過性部分44を含む。
【0058】
光検知器42は、第2のテストゾーン20に光を向けるために光源41を使用する際に第2のテストゾーン20からの反射信号を受信することができるように、デバイス30の中に構成される。デバイス30の中では、光検知器42は、光源41に近接して、例えば図3に示される一般的な方法で設置され得る。一実施形態では、光検知器42はデバイス30のカバー33の後方に設置され、カバー33は、第2のテストゾーン20から放射された蛍光の少なくとも一部が光検知器42によって検出されることが可能なように、光検知器42の上に光透過性部分45を含む。光透過性部分45は、光透過性部分35(図4に示される)と同様の方法で角度を付けされることができ、又は、光検知器42に到達する周辺光の量を最小限にした状態で、光検知器42に通常は到達する放射された蛍光のあらゆる部分を遮断しないように、(図3に示されるように)光検知器42の感光面よりいくぶん大きく作られることができる。同様に、光源41の上の光透過性部分44も、必要に応じて同じように構成されることができる。
【0059】
光検知器42によって受光される第2のテストゾーン20から反射する光の量を最小限に抑えた状態で、光検知器42によって受光される第2のテストゾーン20からの蛍光照射光の量を最大にするように、デバイス30を構成するのが有用であり得る。これはいくつかの方法によって行われ得る。例えば、本明細書で既に言及されたように、光源41及び光検知器42のいずれか又は両方は、かなり狭い波長域の光を放射/検出(それぞれ)することができる。例えば、光源41は、480mm付近を中心とする比較的狭い周波数帯の光を放射してもよい。光検知器42は、520nm付近を中心とする比較的狭い周波数帯の光を放射してもよい。このように、第2のテストゾーン20によって放射される約520nmの波長の蛍光は光検知器42によって検出されてもよく、テストゾーン20から反射される約480mmの波長の光は光検知器42よって検出されなくてもよい。このような波長に基づくフィルタリングはまた、光源41の上に所望の波長域のみを透過する光透過性部分44を、及び/又は光検知器42の上に所望の波長域のみを透過する光透過性部分45を設けることによって達成され得る。例えば、特定の波長の光のみを通過させるフィルタ(膜、コーティング等を含んでもよい)を使用してもよい(例えば、帯域通過フィルタ、単色フィルタ、干渉フィルタ、干渉反射体等)。あるいは、類似作用を得るためにロングパスフィルタ及びショートパスフィルタの組み合わせを使用することができる。このようなフィルタは、波長依存性であることに加え、角度依存性(例えば、周辺光を遮断するために)であることができる。
【0060】
光源41及び光検知器42の物理的配置状態によって、放射された蛍光の検出を最大にし、周辺光及び/又は反射光の検出を最小限に抑えることも可能であり得る。したがって、図3には一般的に同一平面内にある構造で構成されているとして概略的に示されているが、光源41及び光検知器42は、角度付けされた構造でデバイス30上に位置決めされることができる。当該技術分野において既知の様々なこのような構造が可能である。反射光及び/又は周辺光と比べて検出される蛍光の量を最大にする共焦点原理を用いて光源及び光検知器を構成することもまた可能であり得る。
【0061】
したがって、要約すると、光源/光検知器の一組41/42は、試料基材1に対してデバイス30が適切に位置決めされると、光源41から放射された光の少なくとも一部が第2のテストゾーン20上に衝突し、その結果第2のテストゾーン20から蛍光が放射され、かつ第2のテストゾーンから放射された蛍光の少なくとも一部が光検知器42によって検出され得るように、構成されてもよい。光源41から放射された光の全てかかなりの部分は、かならずしも第2のテストゾーン20に向けられる必要はない。同様に、光検知器42は、第2のテストゾーン20から放射される蛍光の全てかかなりの部分を捕捉する必要はない。必要なのは、十分な光が光源41から第2のテストゾーン20へと向けられ、反射光及び/又は周辺光からの干渉が十分小さい状態で、そこから放射される十分な蛍光が光検知器42によって測定され、その結果光検知器42によって信号が生成されることができ、本明細書に記載の通りに処理されることができる、ということだけである。
【0062】
本明細書に開示されるデバイス及び方法は、光ファイバー・ケーブル、レンズアレイ、フィルタホイール等のような構成要素の使用を最小限に抑えるので、反射率及び蛍光を介した正確な光学的読み取り呼出しを、最小限の空間利用、及び最小限のコストで可能とすることができる。特に、本明細書に開示されるデバイス及び方法は、可動部をほとんど又は全く必要としなくてもよいデバイス30の製造を可能にする。本明細書に開示されるこのようなデバイス30は、光分析装置、光学式濃度計、蛍光光度計等などのデバイスよりもずっと安価であり得る。
【0063】
一実施形態(図1及び図3に示される)では、デバイス3は0、光源/光検知器の組み合わされた一組31a/32a、31b/32b等を含み、この組み合わされた一組は、組み合わされた一組31a/32a、31b/32b等が第1のテストゾーン10a、10b等と適切に位置合わせされることができるように空間的に配置される。デバイス30は、光源/光検知器の一組31/32が第1のテストゾーン10と適切に位置合わせされるのと同時に、少なくとも1つの第2のテストゾーン20と適切に位置合わせされる少なくとも1つの組み合わされた一組である光源/光検知器41/42、を更に備える。したがって、この実施形態では、試料基材1とデバイス30を相対移動させる必要なしに、試料基材1の複数の第1のテストゾーン10は反射率によって読み取り呼出しされることができ、第2のテストゾーン20は蛍光によって読み取り呼出しされることができる。
【0064】
図2及び図3に示される代表的な構造では、光源31/41及び光検知器32/42は、デバイス30の「下部」、即ち、ディスプレー画面36を有する「上部」側と反対側のデバイス30の主要側上に示されている。それらの相対的な意味で用いられる用語である上部及び下部に加え、光源31/41及び光検知器32/42は、別の方法としては、例えば、デバイス30の画面36と同じ側に、又はデバイス30に組み込まれる空洞内に位置決めされてもよいことを理解すべきである。図2に示されるデバイス30の外観(2つのほぼ平坦な主表面を備える概ね細長い外観)は1つの代表的な構造にすぎないことに留意すべきである。多くの他の構造が可能であり、制御機器、ディスプレー画面、光源及び/又は光検知器は、かかるデバイスの様々な位置に位置決めされてもよい。
【0065】
光学モニタでは、温度変化、光源31/41の変化する出力、光検知器32/42の変化する応答、背景光レベル等を考慮に入れるために、参照能力を有することが有用であり得る。したがって、様々な実施形態では、(上記の第1のテストゾーン10及び第2のテストゾーン20に加えて)参照ゾーンを試料基材1に含めることができる。かかる参照ゾーンは、様々な選択された波長において、又は選択された波長域にわたって、既知の反射率、又は蛍光を呈する材料を含んでもよい。したがって、デバイス30は、かかる参照ゾーンを読み取り呼出しするように構成され得る1つ以上の追加的な光源/光検知器の一組を備えることができる。
【0066】
特に、試料基材及び/又は試料基材に吸収される油の温度が反射率及び/又は蛍光信号に及ぼす推定される影響に関しては、温度のあらゆる影響に基づいて信号を調整、修正等することが望ましい場合は、試料基材10の温度を判定することが可能な赤外線温度センサを含むことも可能である。
【0067】
別の実施形態では、油試料に使用される試料基材1に1つ以上の参照ゾーンを含ませることに加えて、又は含ませる代わりに、1つ以上の参照ゾーンを含む参照ストリップが提供されてもよい。この場合、本明細書に開示される方法及びデバイスは、参照ストリップをデバイス30に近接させることができ、光源/光検知器の一組が参照ストリップの参照ゾーンを測定することができ、デバイス30の性能を評価することができ、任意の必要な調整、再較正等を行うことができるように構成されてもよい。本明細書に開示される方法及びデバイスはまた、デバイス30が1つ以上の第1のテストゾーン10及び/若しくは第2のテストゾーン20、及び/又は1つ以上の参照ゾーンを読み取り呼出しするように、参照油試料(即ち、既知量の遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物を含む油試料)を試料基材(標準的な試料基材1又は上記の参照ストリップ)に接触させることができるように構成されてもよい。この読み取り呼出しの結果は、参照油試料中の遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物の既知の値と比較されることができ、こうしてデバイス30は、必要であると考えられるときに、調整、較正等されることができる。
【0068】
一実施形態では、このような光反射率及び/又は蛍光測定の際にデバイス30によって受け取られる信号は、(例えば、光検知器32/42に入射した光に応答して光検知器32/42によって生成されるような)電圧の形態である。即ち、このような光検知器は、第1のテストゾーン10からの光信号を電圧などの信号に変換してもよく、この信号は、その後、操作、処理等されることができる。デバイス30は、マイクロコントローラによる処理を簡略化するためにデジタル形式の電圧信号を提供することが可能な、1つ以上のアナログ−デジタル変換器を更に備えることができる。複数の光源31、複数の第1のテストゾーン10及び/又は複数の光検知器32の場合、典型的には、読み取り呼出された個々の第1のテストゾーン10のそれぞれに対応する別個の電圧信号が、それぞれの光検知器32によって提供される。
【0069】
第1のテストゾーン10に関し、本発明者らは、本明細書に開示される方法及びデバイスを用いて第1のテストゾーン10を読み取り呼出しすると、そこから信号が得られることを見出した。本発明者らは、いわゆる白色光LED光源を比較的広帯域のフォトダイオード光検知器と組み合わせて使用して得られた信号(例えば、様々な波長の光子の寄与を反映している信号)は、油試料中の遊離脂肪酸の量に伴う十分な変化を呈することができ、有用であることを、更に見出した。具体的には、本明細書に開示されるデバイス及び方法は、閾値を越える遊離脂肪酸を有する油にテストゾーンが接触した場合に、第1のテストゾーン10の光反射率の変化の検出を可能とする。(所与の第1のテストゾーン10の応答をトリガするのに必要な遊離脂肪酸の具体的な閾値は、例えば、ゾーンの指示薬/湿潤剤/塩基混合物中に含まれる塩基の量に応じて変化し得ることは言うまでもない。)
【0070】
テストゾーンの閾値を超える遊離脂肪酸値を含有する油試料に第1のテストゾーン10が暴露されると、テストゾーンの光反射率の変化が検出され得る。一例として、本明細書に開示されるような第1のテストゾーン10が「低」濃度の遊離脂肪酸(即ち、遊離脂肪酸の濃度がこのテストゾーンの閾値を下回っている)を含有する油試料に暴露されると、フォトダイオード光検知器は、結果として、読み取り呼出しの際に(例えば、図10のデータに見られるような)比較的「低い」電圧信号を放射する。このような状態は、目視検査で青に見える第1のテストゾーン10に通常対応する。このようなテストゾーンが「高い」濃度(このテストゾーンの閾値を上回る)の遊離脂肪酸を含有する油試料に暴露されると、フォトダイオード光検知器は、結果として、読み取り呼出しの際に(図10に見られるように)比較的「高い」電圧信号を放射する。このような状態は、目視検査で黄色に見える第1のテストゾーン10に通常対応する。
【0071】
本発明者らは、反射率試験を実施において、遊離脂肪酸の「中間」濃度が検出可能であり得、この中間濃度はかならずしも「青」と「黄色」との間の状態として目視で観察できないにもかかわらず、フォトダイオード検出器は結果として「高」と「低」信号の中間であり、かつ(デバイス30によって)これらと区別可能である(図10に示されるような)「中間」信号を放射することを発見した。
【0072】
したがって、要約すると、本明細書に開示される方法及びデバイスによって、第1のテストゾーン10の読み取り呼出しは、別の方法で(例えば、目視検査)で得られる可能性のある以上の、油試料の遊離脂肪酸の含有量に関する情報を提供することが可能であり得る。個々の第1のテストゾーン10のより高感度な測定値を得ることができる能力は、複数のテストゾーン10(異なる濃度の塩基を含んでいてもよく、したがって、異なる遊離脂肪酸閾値を含んでもよい)の提供と組み合わされて、より正確、高感度、及び/又は精密な油の品質の評価を可能とすることができる。
【0073】
複数の第1のテストゾーン10の読み取り呼出しに基づいて、遊離脂肪酸含有量の表示を生成する際、デバイス30は、第1のテストゾーン10の全てから(例えば、光検知器32の全てから)受け取った信号を使用してもよい。特定の実施形態では、デバイス30は、全ての光検知器32からの全ての信号の混合である結合信号を使用する(例えば、処理する)。特定の実施形態では、様々な光検知器からの信号は集積される(即ち、積算される又は足し合わされる)。本発明者らは、様々な濃度の遊離脂肪酸を含有する油に複数の第1のテストゾーン10が暴露されると、複数の光検知器からの集積信号は油中の遊離脂肪酸の濃度と良好に相関し、油の品質の表示を提供する際にデバイス30によって使用され得ることを見出した。このような集積信号を、それぞれの光検知器が「中間」濃度の遊離脂肪酸の検出に対応する信号を提供することが可能であり得るという事実と組み合わせて使用することにより、例えば非実際的に多数の個別の第1のテストゾーン10を使用する必要なしに、向上した精度を提供することが可能である。
【0074】
全極性化合物の含有量の表示を生成する際、デバイス30は、1つ以上の第2のテストゾーン20(例えば、光検知器42)から受け取った信号を使用する。これは、油試料が第2のテストゾーン20に吸収されると、油試料中の全極性化合物の増加は、第2のテストゾーン20の油含有多孔質材料5から放射される蛍光の量を増加させる、という本発明者らの発見によって可能となる。例えば、図11は、油含有テストゾーンが約470nmの入射光線に曝されると、油試料中の全極性化合物の濃度が高いほど、約520nmで放射される蛍光の量が増加することを示している。例えば評価される油の種類に応じて、示される例に加えて多くの他の励起波長及び/又は放射波長を用いてもよいことは言うまでもない。
【0075】
上記の集積工程とは別に、光検知器32によって第1のテストゾーン10から受け取られた信号は、所望により、デバイス30の電気回路網に存在するアルゴリズムに従って数学的に操作(個別に又は組み合わされて)されることができる。同様に、光検知器42によって第2のテストゾーン20から受け取られた信号も同じように処理されることができる。したがって、デバイス30は、このような所望の信号処理を実行するのに必要な、更には光源31/41及び/又は光検知器32/42等を制御するのに必要な構成要素、電気回路網等を備えてもよい。図5のブロック図を参照すると、デバイス30は、光源31/41を作動させることができ、光検知器32/42を作動させる(及び光検知器32/42から信号を受け取る)ことができ、光検知器32/42から受け取った信号を処理、操作等することができ、記憶装置に様々なデータ及びパラメータを保持することができ、画面36と通信することができ、デバイス30のユーザーから入力を受信することができ、かつ、必要に応じて他の機能を実施することができる、マイクロコントローラ37を備えてもよい。特定の実施形態では、デバイス30は、本明細書に記載の用途に特に適している場合がある、PIC(プログラマブルインターフェースコントローラ、又はプログラマブルインテリジェントコンピュータとして様々に知られている)として知られる種類のマイクロコントローラを備えることができる。デバイス30の様々な構成要素(光源31/41、光検知器32/42、ディスプレー画面36、マイクロコントローラ37、及び以下に記載の他の構成要素)を、1つ以上のプリント基板に結合することができ、及び/又はその上に物理的に搭載することができる。デバイス30は、情報を入力するためのキーパッド、ボタン、又はタッチスクリーンインターフェース、電源(例えば、電池又は電気コード)等の様々な他の機能を有することができる。
【0076】
本明細書に開示されるデバイス及び方法によって読み取り呼出しされた場合、特定の種類の油が(例えば、油中の遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物の量と無関係に)異なる信号を示すことが分かった場合には、デバイス30は、油の種類に基づいてデバイス30が自動的に調整又は補償することができるように、ユーザーが試験される油の識別(種類)を入力することができる機構を備えることができる。加えて、調理用に新しいバッチの油が導入されると、デバイス30の記憶装置内に記憶されかつ油の特定の種類及び/又はバッチに対応する基準(参照)反射信号及び/又は基準(参照)蛍光信号を得るために油が試験されるように、デバイス30を構成することも可能である。その後、記憶された基準信号は、油のそのバッチの独自の特性に基づいてデバイス30が自動的に調整又は補償することができるように、後で油が読み取り呼出しされるときに使用されることができる。
【0077】
したがって、要約すると、読み取り呼出しデバイス30は、第1のテストゾーン10から受け取った信号から、油試料の油の品質の表示を生成することができ、この表示は、(例えば、油試料の遊離脂肪酸含有量に基づいて)油試料の遊離脂肪酸含有量に関連付けられる。読み取り呼出しデバイス30はまた、第2のテストゾーン20から受け取った信号から、油試料の油の品質の表示を生成することができ、この表示は、(例えば、油試料の全極性化合物の含有量に基づいて)油試料の全極性化合物の含有量に関連付けられる。その後、表示は、(例えば、視覚信号又は音声信号によって)デバイス30のユーザーに伝達されることができる。一実施形態において、表示は、遊離脂肪酸含有量及び全極性化合物の含有量の実際の数値であることができる。あるいは、表示は、遊離脂肪酸含有量又は全極性化合物の含有量の数値ではないがかかる数値と相関しており、かつ、ユーザーが油の品質(例えば、油がまだ使用に適しているかどうか)を確認できるようにするのに役立つ、パラメータであることができる。例えば、デバイス30は、その高さが遊離脂肪酸の量を示す棒グラフが表示されるスクリーン36を有してもよい。あるいは、信号(例えば、赤、黄色、及び緑色光)のセットを使用して、遊離脂肪酸含有量の観点から油の品質を示してもよい。あるいは、デバイス30は、遊離脂肪酸含有量に基づいて(音声信号又は視覚信号によって)合否を示すバイナリ・フォーマットで油の品質情報をユーザーに提示してもよい。表示は、全極性化合物の含有量に関しても同様に示されてもよい。
【0078】
つまり、一方は遊離脂肪酸含有量に関連し、他方は全極性化合物の含有量に関連する、油の品質の2つの個別の表示がユーザーに提示されてもよい。あるいは、遊離脂肪酸及び全極性化合物の含有量の表示は、遊離脂肪酸及び全極性化合物の両方からの寄与を考慮に入れた、油の品質の単一表示に組み合わせられてもよい。
【0079】
このような表示を生成する際、デバイス30が光検知器32からの上記組み合わされた(例えば、集積された)信号を油の遊離脂肪酸含有量と相関させることができる(例えば、電子記憶装置、ファームウェア、又はソフトウェアの中の例えばルックアップテーブルに保存された)情報を、デバイス30が含んでいると役に立つ場合がある。同様に、このような情報が、マイクロコントローラ37に光検知器42からの上記信号を油の全極性化合物の含有量と相関させることができる情報が、デバイス30の中に含まれていると役に立つ場合がある。このような情報は、デバイス30の電子記憶装置内に固定値として存在することができる。あるいは、このような情報は、例えば、デバイス30によって1つ以上の標準材料を既知量の遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物で読み取り呼出しするために、あるいは、1つ以上の標準材料を既知の反射率及び/又は蛍光特性(例えば、参照ゾーン、参照ストリップ、参照油試料等)で読み取り呼出しするために、定期的に更新及び/又は変更されることができる。
【0080】
デバイス30は、試料基材がむき出しの状態で(例えば、カウンターの上に横たえて、手で保持して等)試料基材1が読み取り呼出しされ得る方法で構成されてもよい。迷光又は背景光の影響を最小限に抑えることが有用である場合、これを達成するために様々な方法を採用することができる。例えば、読み取り呼出しするために試料基材1をチャンバの内部に設置することができるように、デバイス30は、部分的に又は実質的に囲まれたチャンバ(いずれの図にも示されず)を含むように構成されてもよい。これは、例えば、光源31と光検知器32とを含み、その中に試料基材10を挿入することができる空洞をデバイス30内に設けることによって行うことができ、あるいは、試料基材10が読み取り呼出しに適切な位置に設置された後で周辺光を遮断するようにカバーを位置決めすることができるように、カバー(例えば、兆番付きのカバー、摺動自在なカバー等)を設けることができる。具体的には、試料基材1が表面上に位置決めされた状態(例えば、テーブルの上に横たわった状態)で読み取り呼出しされる場合、デバイス30は、この表面に近付けられると、又はこの表面と接触して定置されると、部分的に又は実質的に囲まれたチャンバを形成するスカート又はフランジ(いずれの図にも示されず)を含むことができる。
【0081】
様々な実施形態において、最良に機能させるために、試料基材1とデバイス30との間のレジストレーション(位置合わせ)を達成することが望ましくあり得る。即ち、最も正確な光学的読み取り呼出しを提供するために、第1のテストゾーン10が光源31及び光検知器32と整列させられて、第2のテストゾーン20が光源41及び光検知器42と整列させられるように、試料基材1をデバイス30に対して正確に位置決めするのが望ましくあり得る。このようなレジストレーションは様々な方法で達成されてもよい。例えば、試料基材1の縁部又は他の部分を、読み取り呼出しデバイス30自体又は別個の保持固定具に設けられてもよいホルダー(例えば、クリップ、ポスト、スタブ等)に対して位置決めする、又はその中に保持する、物理的なレジストレーション方法を用いてもよい。
【0082】
レジストレーションは、物理的方法ではなく光学的手段によって達成されることもできる。このように、試料基材1は、レジストレーションの目的でユーザー及び/又はデバイス30によって認識され得る1つ以上の機構を有することができる。例えば、試料基材1は、デバイス30に対する試料基材1の適切なレジストレーションを達成する際にユーザーが使用してもよいしるしを含むことができる。あるいは、デバイス30は、このようなしるしを認識できるようにする光学的認識能力を含んでもよい。このような場合、試料基材1との適切なレジストレーションをデバイス30が検出すると、デバイス30は、デバイスによる試料基材1の読み取り呼出しの準備が整っていることをユーザーに通知する(例えば、光信号、音響信号等によって)ことができる。あるいは、デバイス30は、適切なレジストレーションが達成されたことをデバイス30が認識すると、光学的読み取り呼出しが自動的に開始されるように構成されてもよい。
【実施例】
【0083】
(実施例1)
3M Companyから表記「3M Shortening Monitor Test Strips」で入手可能であり、米国特許第4,654,309号の実施例4に記載の方法と同様の方法で製造されたと思われる試験ストリップを入手した。
【0084】
約40%のひまわり油(最低70%のオレイン酸)、約30%のパーム油、及び約30%の硬化菜種油(全て重量%)で構成される食用油を得た。食用油はフライドポテトを調理するのに約2カ月の期間使用され、その期間にわたってこの油から少量の試料を定期的に取り出した。
【0085】
これら試料を以下の手順で試験した。ほとんどの試料は室温で固体であるので、各試料(プラスチック製のジャーに入っている150cc)を電子レンジで60秒、又は試料が溶解して液体を形成するまで加熱した。次に、試験ストリップの中に浸し、続いてペーパータオルの上にいて余剰油を除去した。次に、ストリップの4つのテストゾーン(即ち、ストリップを受け取ったときに見かけが青であったゾーン)のそれぞれの光反射率をQuadScan Reflectance Photometer(型式100、KGW Enterprises(Elkhart,IN)より入手可能)を使用して測定した。ゾーンを特定波長域、即ち、波長域約400〜510nmに対応する青の波長、波長域586〜660nmに対応する緑の波長、825〜855nmに対応する赤外(IR)波長、を読み取り呼出しするために、光学フィルタを使用した。
【0086】
光度計の読み取り呼出しユニットがテストゾーンのそれぞれを連続して読み取り呼出しするように、試験ストリップを反射率光度計に対して移動させて4つのテストゾーンの光反射率を測定した。(テストゾーンの間の空白領域を含む試験ストリップ全体にわたって読取値を得たが、テストゾーンの間の空白領域からの読取値は使用しなかった。)このプロセスの間、ストリップを周辺光から遮断した。典型的には、各ストリップに関して、4つのテストゾーンからの反射率読取値を共に平均化した。したがって、図6〜図9のプロットでは、各データ点は、典型的には、試験ストリップの4つのテストゾーンの平均反射率を表している。
【0087】
様々な試料に関し、製品の説明書に従い、3M Shortening Monitor Stripsの標準的(視覚的な)用法によって遊離脂肪酸の濃度を推定した。製品の説明書によると、視覚的に得た結果は次のカテゴリーのうちの1つに分類される。遊離脂肪酸含有量が2%未満、遊離脂肪酸含有量が2%〜3.5%未満、遊離脂肪酸含有量が3.5%〜5.5%未満、遊離脂肪酸含有量が5.5%〜7%未満、又は遊離脂肪酸含有量が7%超過。(異なる波長域の読み取り呼出しを介して得た)測定された反射率を、製品の視覚的な用法によって推定された遊離脂肪酸含有量に対してプロットしたプロット(図6〜図9)を生成した。データのこれら一般的グループ分けの中(例えば、遊離脂肪酸含有量3.5〜5.5%のグループ、遊離脂肪酸含有量5.5〜7.0%のグループ等の中)では、個々の油試料を推定遊離脂肪酸含有量に従って少なくとも定性的にランク付けすることもまた可能であった。これは、例えば、特定の油試料が使用されたのが分かっている時間の長さに従って(これは遊離脂肪酸含有量を増加させると予想される)、若しくは、国際標準試験法ISO8 420に従って測定した場合の全極性化合物の含有量に従って(遊離脂肪酸はこの含有量の一部を占めるので、少なくとも一般に相関していると予想される)、又は、視覚的に観察されたテストゾーンの輝度又は強度に従って、行うことができる。このように、図6〜図9のデータの一般的グループ分けの中で、各グループ内のデータは、低い推定遊離脂肪酸含有量の試料はグループの左側に向かい、高い推定遊離脂肪酸含有量の試料はグループの右側に向かうように配置されている。しかしながら、遊離脂肪酸の特定濃度の定量化が試みられたと推察すべきではない。
【0088】
説明の便宜上、データは4つのプロットに分割される。図6は赤外波長域の読み取り呼出しからのデータを包含し、図7は赤の波長域の読み取り呼出しからのデータを包含し、図8は緑の波長域の読み取り呼出しからのデータを包含し、図9は青の波長域の読み取り呼出しからのデータを包含している。広くは、反射率データは、これらの実験において、赤又は緑の波長域における読み取り呼出しは、青又は赤外波長域における読み取り呼出しよりも大きな応答を提供したことを示している。
【0089】
(実施例2)
3M Companyから表記「3M Shortening Monitor Test Strips」で入手可能であり、米国特許第4,654,309号の実施例4に記載の方法と同様の方法で製造されたと思われる試験ストリップを入手した。
【0090】
4つの光検知器であるフォトダイオード(Si PIN型)を、Hamamatsu Photonics(Hamamatsu City,Japan)から表記「S9345」で得た。個々のフォトダイオードを、PD−0、PD−1、PD−2,及びPD−3と標示した。
【0091】
発光ダイオード(Super−White型(GaN))を、SuperBright LEDs,Inc(St.Louis,Missouri)から表記「RL5−W5020」で得た。
【0092】
3M Companyから表記「3M Shortening Monitor Test Strips」で入手可能であり、米国特許第4,654,309号の実施例4に記載の方法と同様の方法で製造されたと思われる試験ストリップを入手した。
【0093】
様々な試験ストリップのテストゾーンを、「少ない」量、即ち、これらのテストゾーンでは、典型的な人間のユーザーに認められる視覚変化(青色から黄色へ)をトリガしない量、の遊離脂肪酸を含有する油試料と接触させた。次に、LEDからの光をテストゾーンに向け、フォトダイオードによってそこからの反射光を測定して、テストゾーンを読み取り呼出しした(LED及びフォトダイオードは、製造業者の推奨に従って、及び当該技術分野において周知の方法によって、構成されかつ操作された)。4つの個別のフォトダイオードに関し、得られた出力電圧が図10に示されている(「少ない遊離脂肪」と標示されている)。
【0094】
他のテストゾーンを「多い」量の遊離脂肪酸を含有する油試料、即ち、これらのテストゾーンでは、典型的な人間のユーザーに認められる視覚変化(青色から黄色へ)をトリガする量の遊離脂肪酸を含有する油試料と接触させた。次に、上記のようにLED及びフォトダイオードを使用してテストゾーンを読み取り呼出しし、フォトダイオードから得られた出力電圧を図10に示した(「多い遊離脂肪酸」と標示されている)。
【0095】
他のテストゾーンを「中間」量の遊離脂肪酸を含有する油試料に接触させた。これは、これらのテストゾーンでは、典型的な人間のユーザーに認められる視覚変化(青色から黄色へ)を確実にトリガしない量であると考えられた。次に、上記のようにLED及びフォトダイオードを使用してテストゾーンを読み取り呼出しし、フォトダイオードから得られた出力電圧を図10に示した(「中間の遊離脂肪酸」と標示されている)。
【0096】
図10に示されるように、上記の方法及び装置を使用したテストゾーンの読み取り呼出しにより、「低い」状態(即ち、テストゾーンが視覚的に青く見える)に対応する信号と区別されることができ、かつ「高い」状態(即ち、テストゾーンが視覚的に黄色く見える)に対応する信号と区別されることができる「中間の」信号を得ることができた。
【0097】
(実施例3)
3M Companyから表記「3M Shortening Monitor Test Strips」で入手可能であり、米国特許第4,654,309号の実施例4に記載の方法と同様の方法で製造されたと思われる試験ストリップを入手した。
【0098】
約40%のひまわり油(最低70%のオレイン酸)、約30%のパーム油、及び約30%の硬化菜種油(全て重量%)で構成される食用油を得た。食用油はフライドポテトを調理するのに約2カ月の期間使用され、その期間にわたってこの油から少量の試料を定期的に取り出した。
【0099】
これら試料を以下の手順で試験した。ほとんどの試料は室温で固体であるので、各試料(プラスチック製のジャーに入っている150cc)を電子レンジで60秒、又は試料が溶解して液体を形成するまで加熱した。次に、試験ストリップを各油試料に浸し、続いてペーパータオルの上にて余剰油を除去した。試験ストリップの様々な油含有「空白」領域上(即ち、遊離脂肪酸に敏感な含浸材料を有さない領域上)で、ESE XYZ Stage Scanner(Embedded System Engineering GmBH(Stockach,Germany))を、励起波長約470nm及び放射波長約520nmで使用して、蛍光測定を行った。
【0100】
各油試料に関し、各試験ストリップの異なる空白領域で複数の読取値を得た。これら複数の読取値の平均を報告した。典型的には、各油試料に関して、いくつかのストリップをこの手順で試験した。これらのデータは図11に示されており、油の(国際標準試験法ISO8 420に概説されているのと同様の手順で判定した)全極性化合物濃度の関数としてプロットされた。
【0101】
上記の試験及び試験結果は予測ではなく例示のみを意図したものであり、試験方法が変われば異なる結果が生じ得ると考えられる。前述の詳細な説明及び実施例は理解を明確化するためにのみ提示されている。それらから無用の限定を解するべきでない。特に、本開示の中の見出し及び/又は小見出しは読むための便宜上の目的で提供されており、不要な限定は導かれない。
【0102】
これで、本発明について、そのいくつかの実施形態に関連して説明した。本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態において変更を行うことができることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された厳密な詳細及び構造に限定されるべきではなく、それよりもむしろ、特許請求の範囲の文言によって説明される構造、及びそれらの構造の等価物によって限定される。
【背景技術】
【0001】
油(例えば食用油、フライ油、油脂、ショートニング、等)は、特に酸素及び/又は水の存在下で高温に曝されると、酸化反応が起こる可能性があり、その結果油の劣化が生じる。したがって、油が依然として使用に適しているかどうかを判定するために、レストランの厨房では油の品質が頻繁にモニタされる。これまで、油の品質を評価するために様々な異なるパラメータが使用されてきた。
【0002】
油の品質を評価するのにしばしば用いられる1つのパラメータは、油の全極性化合物の含有量である。例えば、Onwumere et al.は米国特許第7,132,079号の中で、油の試料を廃棄するかどうかを油中の極性化合物の存在に基づいて判定する方法を開示している。例えば、Mittal et al.は米国特許第5,818,731号の中で、油の品質を測定する方法及び装置を開示している。この方法の一部は、測定されたキャパシタンスと参照キャパシタンスとの比較を含み、その変化を油の極性分子成分の量の増加と関連付ける。
【0003】
油の品質を評価するのにしばしば用いられる別のパラメータは、油の遊離脂肪酸の含有量である。例えば、Mlinar及びNeumayerは米国特許第4,654,309号で、液体の遊離脂肪酸含有量を試験するための物品を開示している。遊離脂肪酸そのものが、油試料の全極性化合物の含有量の一部分を構成する場合があり、又は、全極性化合物の含有量の検査において測定可能であり得る、かかる化合物の前駆体であり得る。したがって、遊離脂肪酸テストと極性化合物テストとは完全に独立していない場合がある。しかしながら、両テストは当該技術分野において用いられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、油(例えば、食用油又はフライ油)の品質を評価するための方法及びデバイスが開示される。この方法は、油の遊離脂肪酸含有量、及び油の全極性化合物の含有量、又はその両方に基づいた、油の品質の表示を適用することができる。単一試験でこのような表示を提供する際に(例えば、信号読み取り呼出しデバイス及び試料基材を使用して)、この方法は、2つの異なる試験を行うよりも簡易かつ安価であり得、油の品質をより簡単かつ確実に確認する能力を提供することができる。
【0005】
この方法はまた、評価される油供給物から大量の試料を取り出す必要がない点で有利であり、本方法は、読み取り呼出しデバイスを油の中へ一時的に挿入する必要も、又はこのようなデバイス油の中に恒久的に定置する必要もない。
【0006】
本方法は、本明細書に記載のような光学データの定量的測定に基づいて油の品質の表示を提供するために、光学的読み取り呼出しデバイスを使用するという点で更に有利であり、これにより、主観的測定(例えば、目視検査)に依存する方法を超える改善を提供することができる。
【0007】
本方法は、試料基材及び読み取り呼出しデバイスを利用する。試料基材は、油の遊離脂肪酸含有量に反応性である光学特性を有する少なくとも1つの第1のテストゾーンと、油の全極性化合物の含有量に反応性である光学特性を有する少なくとも1つの第2のテストゾーンとを有する。一実施形態では、複数の第1のテストゾーンが提供され、読み取り呼出しデバイスは、複数の第1のテストゾーンを読み取り呼出しして、そこから信号を受信する手段を含む。一実施形態では、複数の第2のテストゾーンが提供され、読み取り呼出しデバイスは、複数の第2のテストゾーンを読み取り呼出しして、そこから信号を受信する手段を含む。
【0008】
デバイスは、少なくとも1つの第1のテストゾーンから受け取った信号に基づいて、油の遊離脂肪酸の含有量の観点から油の品質の表示を提供し、かつ、少なくとも1つの第2のテストゾーンから受け取った信号に基づいて、油の全極性化合物の含有量の観点から油の品質の表示を提供するように構成され得る。
【0009】
一実施形態では、油の遊離脂肪酸の含有量に反応性である第1のテストゾーンの光学特性は、吸収/反射特性である。特定の実施形態では、光学特性は反射率である。一実施形態では、この構成は、第1のテストゾーンに酸塩基指示薬を提供することによって達成される。
【0010】
一実施形態では、油の全極性化合物の含有量に反応性である第2のテストゾーンの光学特性は、蛍光である。
【0011】
本明細書に開示される方法は、遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物の量(例えば、濃度)に基づいて、油の品質の表示を提供することができる。表示は、遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物の濃度の実際の数値であることができ、あるいは、実際の数値にダイレクトに等しくはないが、その値に関連付けられるパラメータであることができ、ユーザーが油の品質(例えば、油がまだ使用に適しているかどうか)を確認できるようにするのに役立つことができる。遊離脂肪酸の含有量及び全極性化合物の含有量に基づく油の品質の個別の表示を提供することができ、あるいは、遊離脂肪酸含有量及び全極性化合物の含有量の両方に基づく単一表示を提供することができる。
【0012】
したがって、一態様において、油試料の複数のパラメータを光学的にモニタする方法が本明細書において開示され、この方法は、油吸収試料基材を提供する工程であって、試料基材が、油の第1のパラメータに反応性である第1の光学特性を含む複数の第1のテストゾーンと、油の第2のパラメータに反応性である第2の光学特性を含む少なくとも1つの第2のテストゾーンと、を包含する、工程と、油の試料が、第1のテストゾーンのそれぞれの少なくとも一部分及び少なくとも1つの第2のテストゾーンの少なくとも一部分と接触するように、油を試料基材と接触させる工程と、第1のテストゾーンから一連の第1の信号を受信するために、第1の光学的方法によって第1のテストゾーンを読み取り呼出しする工程と、第1のテストゾーンからの一連の第1の信号を結合信号へと組み合わせる工程と、結合信号を油の第1のパラメータと相関させる工程と、第2の信号を受信するために、第2の光学的方法によって少なくとも1つの第2のテストゾーンを読み取り呼出しする工程であって、第2の光学的方法が第1の光学的方法と異なる、工程と、第2の信号を油の第2のパラメータと相関させる工程と、を含む。
【0013】
特定の態様において、第1のテストゾーンの読み取り呼出しは反射率の測定を含む。
【0014】
別の特定の態様において、少なくとも1つの第2のテストゾーンの読み取り呼出しは蛍光の測定を含む。
【0015】
別の態様において、油試料少なくとも2つのパラメータを測定するシステムが開示され、このシステムは、油吸収試料基材であって、試料基材が油の第1のパラメータに反応性である第1の光学特性を含む複数の第1のテストゾーンと、油の第2のパラメータに反応性である第2の光学特性を含む少なくとも1つの第2のテストゾーンと、を包含する、油吸収試料基材と、光学的読み取り呼出しデバイスであって、デバイスが、第1の光学的機構によって試料基材の第1のテストゾーンのそれぞれを読み取り呼出しして、そこから一連の第1の信号を受信する手段と、第2の異なる光学的機構によって試料基材の少なくとも1つの第2のテストゾーンを読み取り呼出しして、そこから第2の信号を受信する手段と、を含み、デバイスが、第1のテストゾーンからの一連の第1の信号を結合信号へと組み合わせる手段と、結合信号を油の第1のパラメータと相関させる手段とを更に含み、デバイスが、第2の信号を液体試料の第2のパラメータと相関させる手段を更に含む、光学的読み取り呼出しデバイスと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】代表的な試料基材の平面図。
【図1b】代表的な試料基材の側断面図。
【図2】代表的な光学的読み取り呼出しデバイスの概略斜視図。
【図3】代表的な光学的読み取り呼出しデバイスの一部分の底面図。
【図4】光源、光検知器、及び試料基材の代表的な配置状態の断面図。
【図5】光学的読み取り呼出しデバイスの一実施形態のブロック図。
【図6】様々な遊離脂肪酸濃度の油試料を含む試料基材の光反射率のプロット。
【図7】様々な遊離脂肪酸濃度の油試料を含む試料基材の光反射率のプロット。
【図8】様々な遊離脂肪酸濃度の油試料を含む試料基材の光反射率のプロット。
【図9】様々な遊離脂肪酸濃度の油試料を含む試料基材の光反射率のプロット。
【図10】様々な条件下での試料基材からの反射光に応答する光検知器のプロット。
【図11】様々な全極性化合物濃度の油試料を含む試料基材の蛍光のプロット。
【0017】
図面及び図面中の要素は、注記しない限り、一定の縮尺には従っていない。図において、類似の参照番号は、全体を通して類似の特徴を示すために使用される。「最上部」、「最下部」、「上部」、「下部」、「上」、「下」、「前部」、「後部」、並びに「第1」及び「第2」などの用語が本開示中で使用され得るが、これらの用語は相対的な意味においてのみ使用されることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書には、食用油(一般に、例えば、フライ油、植物油、ショートニング、タロー、グリース等とも呼ばれる)の品質を評価する方法及び装置が開示される。本方法は、試料基材1(例えば、使用後に処分することができるストリップ)、及び読み取り呼出しデバイス30に依存する。
【0019】
図1a及び1bを参照すると、試料基材1は、多孔質の油吸収材料5から構成される。これと関連して、用語「油吸収」は、材料が、材料の内部の多孔質の中に油を吸収することが可能(例えば、油で濡れる及び/又は油が浸透することが可能)であることを意味する。様々な実施形態において、材料5は、紙、不織布、開放気泡フォーム、織物等を含む。
【0020】
試料基材1は、少なくとも1つの第1のテストゾーン10を含み、この部分の光学特性は、油試料の遊離脂肪酸含有量に反応性である。一実施形態では、図1a及び1bの代表的な構造に示されるように、複数の第1のテストゾーン10a、10b等が設けられている。一実施形態において、光学特性は、本明細書でより詳細に説明がなされるような反射特性である。
【0021】
一実施形態では、第1のテストゾーン10には酸塩基指示薬が存在するので、第1のテストゾーン10の光学特性は、油中の遊離脂肪酸の存在に反応性である。この指示薬は、pHの変化に応答して色が変化することが可能な(したがって、1つ以上の波長で光反射率変化を示すことが可能な)任意の分子、又は分子の組み合わせを含んでもよい。好適な指示薬には、例えば、m−クレゾールパープル、ニュートラルレッド、チモールブルー、フェノールレッド、及びクレゾールレッドが挙げられる。
【0022】
一実施形態において、第1のテストゾーン10は塩基化合物を更に含み、この塩基化合物は、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどを含む、任意の有機又は無機塩基化合物であってもよい。各第1のテストゾーン10の塩基化合物の量はさまざまであってよく、特定のテストゾーンが所定量の酸に反応性となるような量に選択されてもよい。したがって、図1a及び1bの代表的な構造では、異なる量の塩基を、異なる第1のテストゾーン10a、10b、10c、及び10dに提供することができる。かかる配置状態では、第1のテストゾーン10aは、例えば、第1のテストゾーン10bと異なる量の遊離脂肪酸に反応性である(又は、選択的に区切られたゾーン10a及び10bは、同量の遊離脂肪酸に違った反応を示してもよい)などであってよい。このようにして、広範囲の遊離脂肪酸濃度に反応性である試料基材1が提供され得る。様々な実施形態では、少なくとも2つ、3つ、4つ、又は5つのテストゾーン10が使用されてもよい。様々な実施形態では、およそ、例えば、0.1%〜0.5%の遊離脂肪酸、0.5%〜1.0%の遊離脂肪酸、1.0%〜1.5%の遊離脂肪酸、1.5%〜2.0%の遊離脂肪酸、2.0%〜2.5%の遊離脂肪酸、2.5%〜3.5%の遊離脂肪酸、3.5%〜5.0%の遊離脂肪酸、又は5.0%〜7.0%の遊離脂肪酸を含有する油に反応性であるゾーンが使用されてもよい。必要に応じて、別のテストゾーンが含むのと同様の(又は同一)量の塩基を含む(即ち、同量の遊離脂肪酸に同様に反応する)1つ以上の追加のテストゾーンが設けられてもよい。かかる配置状態は、例えば、システムに冗長性を含めるのが所望である場合に用いられてもよい。
【0023】
一実施形態では、第1のテストゾーン10は、酸塩基指示薬及び塩基化合物を可溶化することが可能な、不揮発性のpH中性湿潤剤を更に含む。好適な湿潤剤には、例えば、Dow Chemicalから表記「Carbowax 200」「Carbowax 400」「Carbowax 600」及び「Carbowax 1500」で入手可能なもののような、ジヒドロキシ−脂肪族系のポリエチレングリコール化合物が挙げられる。
【0024】
理論又は機構によって制限されることなく、油試料中の遊離脂肪酸の量に反応して光反射率の変化を示す第1のテストゾーン10の能力は、油試料が指示薬/塩基/湿潤剤の混合物と接触すると、油試中に存在し得る酸性成分の一部又は全てが、指示薬/塩基/湿潤剤混合物に分配されて、その酸塩基平衡に影響を及ぼし、その結果、酸塩基指示薬が変化した光吸収/反射特性を示すという事実に起因すると仮定されている。必要なのは酸塩基指示薬が酸性成分の存在に反応することができる条件で存在することだけであるので、指示薬/塩基/湿潤剤混合物は真の水溶液を形成してもよく、又はしなくてもよい(例えば、系に存在し得る外来の水の量に依存する)ことに本明細書では留意されたい。
【0025】
一実施形態では、湿潤剤、塩基化合物、及び酸塩基指示薬(並びに、任意に、水又は有機溶媒などの揮発性溶媒)を混合して浸透混合物を提供し、浸透混合物が試料基材1の多孔質材料5の内部に浸透する(含浸する)ように、試料基材1の選択領域に浸透混合物を浸透させ(例えば、コーティング、ディッピング等により)、試料基材を乾燥させることによって(必要であれば)、試料基材1上に少なくとも1つの第1のテストゾーン10を形成する。
【0026】
複数の第1のテストゾーン10を使用してもよく、不連続のゾーンを含んでもよい(即ち、第1のテストゾーン10でない領域20によって物理的に分離されていてもよい)。例えば、複数のゾーンを使用する場合(例えば、塩基化合物の濃度の異なる複数のゾーン)、それぞれの浸透混合物が移動して(例えば、試料基材1の多孔質材料5を通って横方向に逃がすことにより)互いに接触する機会を最小限に抑えることが有用である。したがって、一実施形態では、それらの間に(含浸した材料を包含していない)領域20を残すように、含浸剤混合物は十分に間隔を離して堆積される。
【0027】
更なる実施形態では、浸透混合物の移動を最小限に抑える又は防止するように、試料基材1の選択領域20(1又は複数)の少なくとも部分21を(試料基材1に浸透混合物を浸透させる前に)処理することができる。このようなバリア処理は、試料基材1の表面及び/又は試料基材1の内部(即ち、基材1を含む多孔質材料5の隙間の表面)に適用されることができ、例えば、プラズマ処理、蒸着等を、多孔質材料5の表面エネルギー(即ち、湿潤性)を減少させるのに役立つ方法で含んでもよい。
【0028】
特定の実施形態では、バリア処理は、バリア材前駆体を試料基材1の主表面の一方又は両方の上に堆積させること(例えば、コーティング)と、その上に堆積したバリア材を保持することと、を含む。一実施形態では、バリア材前駆体は、試料基材材料5の多孔質の内部空間内に浸透して、その内部表面をコーティングする。様々な実施形態において、好適なバリア材には、(堆積及び固化されると)、例えば、30ダイン/cm未満、25ダイン/cm未満、又は20ダイン/cm未満の非常に低い表面エネルギーを含む材料が挙げられる。好適な材料には、シリコーン、フルオロシリコーン等が挙げられる。
【0029】
かかる低表面エネルギーのバリア処理は、特定の位置21(例えば、図1a及び1bに示される例示の配置状態のように、1つ以上の第1のテストゾーン10の境)に提供され得る。このようなバリア処理は、浸透プロセスの間及びその後に、浸透混合物がその望ましい位置から移動する機会を最小限に抑えるのに役立ち得る。更には、試験中に、試験結果を損なう可能性がある、テストゾーン(例えば、10a)から隣接するテストゾーン(例えば、10b)への油試料の移動の機会を最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0030】
したがって、一実施形態において、本明細書に開示される方法は、基材上に少なくとも1つの未処理領域を残した状態で、基材の少なくとも1つの領域を処理して、バリア領域21を形成することを含む。次に、浸透溶液を未処理領域の少なくとも一部分上に堆積させて、少なくとも1つの第1のテストゾーン10を形成することができる。一実施形態では、基材の少なくとも2つの領域の間に未処理領域を残した状態でこれら領域を処理して、バリア領域21を形成する。次に、バリア領域21の間の未処理領域の少なくとも一部分に浸透溶液を堆積させて、少なくとも1つのテストゾーン10を形成することができる。一実施形態では、上記プロセスが実施された後、バリア処理で処理されておらず、かつ浸透溶液を含浸させてもいない少なくとも1つの領域が残る。
【0031】
試料基材1(例えば、酸/塩基指示薬と塩基化合物と湿潤剤とを含む試験領域)の製造方法は、Mlinar及びNeumayerによって米国特許第4,654,309号の中で更に詳細に記載されている。
【0032】
そのため、要約すると、試料基材1上には、少なくとも1つの第1のテストゾーン10と、第1のテストゾーン10でない少なくとも1つの領域20(即ち、指示薬/塩基/湿潤剤混合物を含まない)とが提供される。本発明者らは、かかる領域20を、油試料の全極性化合物含有量の試験を実施するために使用することができる第2のテストゾーン20として使用することができることを発見した。即ち、本発明者らは、油の全極性化合物含有量の有効な試験の基準を提供するように油の全極性化合物含有量が試料基材の蛍光特性を変化させることができるように、第2のテストゾーン20が油を吸収することができることを見出した。
【0033】
理論又は機構によって制限されることなく、このような領域20では、吸収された油から使用可能な蛍光信号が得られるのに十分なだけ油が試料基材1の多孔質材料5を貫通することができるという事実は、有利であり得る。例えば、油が基材の外側表面上の薄膜内だけに存在することができる場合には(油が基材の内部の多孔質に入ることができない場合、及び/又はバリアコーティングが基材の内部を完全に充填している場合のように)、第2のテストゾーン20上に存在する油試料の大部分は、基材の外側表面上の層として存在する。そのような層では、油は、読み取り呼出しされるのに適切な蛍光信号を提供することができない可能性がある、及び/又は、油層の厚さは可変であり得るので(基材が保持される角度、油を流すために基材を保持する時間の長さ、温度、及び/又は油の粘度等によって左右される)信頼度の高い再現可能な信号を得ることができない可能性がある。
【0034】
少なくとも1つの第2のテストゾーン20の蛍光は、いくつかのアプローチのいずれかによって提供され得る。一実施形態では、第2のテストゾーン20に蛍光指示薬が提供される。このような指示薬は、分子の蛍光が極性化合物の存在に敏感である任意の分子であることができる。このような指示薬は、多孔質支持材料5、存在する場合にはバリア材等に束縛(例えば付着)されることによって提供され得る。又は、蛍光指示添加剤は、油試料自体に添加されてもよい。例えば、少量の蛍光指示添加剤を油試料に添加する(例えば撹拌して入れる)ことができる。代替的なアプローチでは、かかる蛍光指示添加剤は第2のテストゾーン上に置かれるが、束縛又は付着されなくてもよい。したがって、油試料が第2のテストゾーンに接触すると、蛍光指示添加剤は遊離することができる、及び/又は油中に溶解することができる。
【0035】
一実施形態では、蛍光指示薬は第2のテストゾーン20に提供されず、蛍光指示薬は油試料にも添加されない。したがって、この場合、蛍光信号は、油自体から、及び/若しくは油に含まれている極性化合物から、並びに/又は、油及び/又は極性化合物と基材の多孔質材料との相互作用から、得られる。この場合、蛍光信号は、蛍光指示薬からの蛍光信号の測定値ではなく、自己蛍光を含む。
【0036】
少なくとも1つの第2のテストゾーン20は、単一ゾーンとして、又は(図1a及び図1bの代表的な実施形態と同様に)複数のゾーンとして存在することができる。複数のゾーンが存在する場合、これらは不連続(例えば、例えば第1のテストゾーン10によって互いに分離されている)であってもよい。あるいは、複数のテストゾーン20は、試料基材1の連続した領域を含むことができる(即ち、読み取り呼出しを広い連続した領域内の異なるゾーンで行うことができる)。複数のテストゾーン20が存在する場合、使用される読み取り呼出しデバイス(本明細書において詳細に後述される)の特定の設計によっては、テストゾーン20の全てがかならずしも読み取り呼出しされなくてもよい。
【0037】
試料基材1は、様々な構造で製造され得る。例えば、試料基材1の1つの好都合な構造は矩形のストリップであり、本明細書においては用語「ストリップ」が試料基材1に関して使用されてもよいが、試料基材1は、正方形、円形等の任意の好都合な形状又は構造であり得ることが理解される。一実施形態において、試料基材1は、基材の前及び後主表面に関して対称であるように構成され得る。このような場合、基材の主表面の一方又は両方に油試料を塗布することができ、及び/又は、テストゾーン10及び20の光学的読み取り呼出しのために、基材の主表面のいずれかをデバイス30に向けた状態で基材を定置してもよい。
【0038】
試料基材1はまた、本明細書で後述されるように、参照ゾーンを含むことができ、1つ以上のマーク(即ち、例えば、印刷又はレーザマーキングによって得られる機構)を含むことができる。このようなマークは、ユーザーによって視覚的に検出可能であってもよく、及び/又は読み取り呼出しデバイス30(本明細書で詳細に後述される)によって検出可能であってもよい。このようなマークは、ユーザーが、第1のテストゾーン10を読み取り呼出しすることができるように試料基材1を読み取り呼出しデバイス30に対して位置決めする(即ち、位置合わせされる)ときに、試料基材1の位置を視覚的に観察する際の、ユーザーの利便性のためのものであってもよい。あるいは、このようなマークは機械読み取り可能であってもよく、その結果、読み取り呼出しデバイス30はこのマークを使って、読み取り呼出しデバイス30に対する試料基材1の適切な位置決めに関するフィードバックをユーザーに提供することができる。
【0039】
このような機構は、デバイス30のユーザー、又はデバイス30自体が、試料基材が不正確に、例えば、デバイス30に対して上下逆に又は逆さに位置決めされた時点を検出できるようにしてもよい。(特定の実施形態ではこのような機構は必要ではない場合があり、例えば、基材が基材の長辺に関して対称である実施形態では、「前」又は「後ろ」を示す機構は必要ではない場合がある。)このような機構はまた、特定の試料基材1がデバイス30と互換性があることを確認するため、例えば、試料基材をデバイス30と共に満足に使用できるようにする仕様、許容誤差等に従って特定の試料基材1が設計及び/又は製造されていることを確認するために、ユーザー又はデバイスによって使用されてもよい。
【0040】
本明細書に開示される方法は、油試料がテストゾーン10及びテストゾーン20の一部又は全ての少なくとも一部分と接触するように(これは、試料基材1を油の中に浸す、基材の上に油試料を堆積させるなどによって行われてもよい)、油試料を試料基材1と接触させ、続いて、少なくとも1つの第1のテストゾーン10の光吸収/反射特性、及び少なくとも1つの第2のテストゾーン20蛍光特性を読み取り呼出しすることを伴う。
【0041】
まず、第1のテストゾーン10に関しては、酸塩基指示薬が存在するので、テストゾーン10は、油試料中の遊離脂肪酸の量に応じて異なる光吸収/反射特性を示すことができる。このような光吸収/反射特性は、材料が入射光線を受けると、一部の光は吸収されることができ、一部は再放射(例えば反射)されることができ、一部は透過されることができる、という事実に関連するあらゆる測定可能な特性を含む。あらゆるこのような観測可能な特性は、本明細書に開示される方法及びデバイスで使用(即ち、測定)され得る。一実施形態では、使用される特定の測定値は反射率である。他の実施形態では、使用される特定の測定値は、吸収率又は透過率である。
【0042】
したがって、要約すれば、少なくとも1つの第1のテストゾーン10に光を向けることと、そこからの反射光を測定することとを伴う光学的読み取り呼出し動作が行われる。光学的読み取り呼出しは、その代表的な設計が図2に描かれている、光学的読み取り呼出しデバイス30によって行われる。このようなデバイスの1つの機能は、反射率試験のためにテストゾーン10上に向けられる光を生成することである。したがって、図3を参照すると、デバイス30は、試料基材1の少なくとも1つの第1のテストゾーン10に光を向けるための少なくとも1つの光源31を備える。一実施形態では、デバイス30は、試料基材1がテストゾーン10を含むのよりも少ない光源31を備える(特定の実施形態では、1つの光源31が使用される)。かかる実施形態では、少なくとも1つの光源31を使用して、光を2つ以上の第1のテストゾーン10の上に向ける。これは、複数のテストゾーン10に同時に光を向けるための共通光源を使用することによって行うことができる。あるいは、これは、光源31からの光を順次複数のテストゾーン10に向けることによって、例えば、光源31と試料基材10を相対移動させることによって行うことができる。
【0043】
代替的実施形態では、複数の第1のテストゾーン10に光を向けるために複数の光源31が使用される。特定の実施形態では、同じ数の光源31及びテストゾーン10が使用される。例えば、図1及び図3に示される代表的な設計では、デバイス30は4つの光源31a、31b、31c、及び31dを備え、試料基材1は4つのテストゾーン10a、10b、10c、及び10dを含む。一実施形態では、光源31は、ゾーン10の空間配置状態に対応するように空間的に配置される(即ち、試料基材1とデバイス30を相対移動させることなく、光源31から対応するテストゾーン10へと光を向けることができるように、光源31とテストゾーン10とを位置合わせする)。例えば、第1のテストゾーン10を所定の中心間距離で線形形式で配置し、光源31を同一形式で配置してもよい。光源31は、全てが同時又はほぼ同時に作動するように構成されることができ、又は、順々に作動するように構成されてもよい。
【0044】
光源31は、電球(例えば白熱電球)等を含む様々な光源のいずれかを含んでもよい。一実施形態では、光源31は、本方法において特に有利であり得る発光ダイオード(LED)を含む。様々な実施形態では、特定の波長域(例えば、緑、青、赤、IR等)の光を放射するLEDを使用することができる。特定の実施形態では、白色LED(即ち、可視スペクトルの少なくともかなりの部分を網羅する波長の放射線を放射するLED)を使用する。使用することができる1つの代表的なLEDは、Super Bright LEDs(St.Louis,Missouri)から表記「RL5−W5020」で入手可能である。更なる構造では、異なるテストゾーンを読み取り呼出しするための光源として、異なる波長のLEDを使用することができる。
【0045】
図3を参照すると、デバイス30は、少なくとも1つの第1のテストゾーン10からの反射光を測定するための少なくとも1つの光検知器32を更に備える。一実施形態では、デバイス30は、試料基材1が第1のテストゾーン10を含むのよりも少ない光検知器32を備える(特定の実施形態では、1つの光検知器32が使用される)。かかる実施形態では、テストゾーンの読み取り呼出しは、2つ以上の第1のテストゾーン10からの光を測定するための1つの光検知器の使用を伴う。これは、例えば、個々のテストゾーン10からの光を順次測定することによって行うことができる。
【0046】
代替的実施形態では、複数の光検知器32は、複数の第1のテストゾーン10から反射される光を入射するように配列される。特定の実施形態では、同じ数の光検知器32及びテストゾーン10が使用される。例えば、図1及び図4に示される代表的な設計では、デバイス30は4つの光検知器32a、32b、32c、及び32dを備え、試料基材1は4つのテストゾーン10a、10b、10c、及び10dを含む。一実施形態では、光検知器32は、第1のテストゾーン10の空間配置状態に対応するように空間的に配置される。(例えば、試料基材1とデバイス30を相対移動させる必要なく光が光検知器32で受光されることができるように。)
【0047】
光検知器32は、例えば、光電子増倍管、光電池、電荷結合素子等のような入射光子の数を測定することが可能な様々なデバイスのいずれかを含んでもよい。光検知器32は、検出された光子の数に比例し(例えば、テストゾーン10から入射した反射光の強度及び強さに比例し)、デバイス30によって更に処理されることができる信号(例えば、電圧)を提供する働きをする。一実施形態では、光検知器32はフォトダイオードを含む。様々な実施形態では、光検知器32は、特定の、比較的狭い波長域の光(例えば、上述の緑、青、赤、又はIR波長域)を検出するように構成されることができ、又は、光検知器32は比較的広波長にわたる光を検出するように構成されることができる。特定の実施形態では、光検知器32は、可視スペクトルのかなりの部分にわたる光、例えば、約400nm〜約800nmの波長域の光を検出するように構成されたフォトダイオードを含む。特定の実施形態では、光検知器32で検出可能な光の波長は、光源31によって放射される光と実質的に同じ範囲を網羅するように選択される。使用することができる代表的な光検知器は、Hamamatsu Photonics(Hamamatsu City,Japan)から表記「S9345」で入手可能なフォトダイオードである。
【0048】
一実施形態では、デバイス30は、反射率によって、基材1の少なくとも1つの第2のテストゾーン20を光学的に読み取り呼出し可能であるように構成された、少なくとも1つの組み合わされた光源31と光検知器32の一組を備える。光源/光検知器の一組31/32は、所与の第1のテストゾーン10を適切な信号強度、精度等で読み取り呼出し可能であるように構成されなければならない。したがって、光源31は、光源31の光出力の少なくとも一部が第1のテストゾーン10に向けられることができるように第1のテストゾーン10の近くに設置されることが可能なように、デバイス30の中に構成されることができる。図3及び図4を参照すると、一実施形態において、光源31はデバイス30のカバー33の後方に位置決めされ、カバー33は、光源31から放射された光が第1のテストゾーン10に向けられることができるように、光透過性部分34(カバー33に開いた穴であってもよい)を光源31の上に含む。
【0049】
光検知器32は、第1のテストゾーン10に光を向けるために光源31を使用すると、第1のテストゾーン10からの反射信号を受信することができるようにデバイス30の中に構成される。例えば、図3及び図4の代表的な設計に示されるように、光検知器32を光源31の横に近接して位置決めするのが有用であり得る。様々な実施形態では、光検知器32は、光源31から最大約5mm、10mm、又は15mmの位置に位置決めされてもよい。更に、光源31及び光検知器32を共通のプリント基板38上に実装するのが有利であり、これにより、(図4に示されるように)光源31及び光検知器32を実質的に同一平面内にある構造とすることができる。このような場合、光検知器32はまた、デバイス30のカバー33の後方に設置されてもよく、カバー33は、第1のテストゾーン10から反射した光の少なくとも一部が光検知器32によって検出されることができるように、光透過性部分35(カバー33に開けられた穴であってもよい)を光検知器32の上に含む。
【0050】
様々な実施形態では、光源31、光検知器32、並びに/又は光透過性部分34及び/若しくは35は、光源31からの光を最も効率的に第1のテストゾーン10に向け、そこからの反射光を光検知器32で収集し、それと同時に、光検知器32に入射する周辺光を(又は隣接する光源からの光)を最小限に抑えように構成されてもよい。したがって、光検知器32が光源31に隣接して配置され、かつ光源31と第1のテストゾーン10との間の直接路に対してわずかに軸外とされる(例えば、図4に示されるような)代表的な構造では、光検知器32に通常は到達する光のあらゆる部分を遮断しないように、光透過性部分35は、角度を付けられることができ、又は光検知器32の感光面よりいくぶん大きく作られることができる(例えば、図3に示されるように)。同様に、光透過性部分34も、必要に応じて同じように構成されることができる。
【0051】
光透過性部分34及び/又は35は、可視光スペクトルのほぼ全てに対して光学的に透明であることができる。あるいは、部分34及び/又は35の一方又は両方は、不必要な波長の光を遮断すると同時に望ましい波長の光の通過を可能にするために、光学フィルタを備えることができる。かかるフィルタは、波長依存性であるのに加えて、角度依存性(例えば、周辺光を遮断するために)であることができる。
【0052】
したがって、要約すると、光源/光検知器の一組31/32は、試料基材1に対してデバイス30が適切に位置決めされると、光源31から放射された光の少なくとも一部は第1のテストゾーン10に衝突することができ、第1のテストゾーン10から反射された光の少なくとも一部は光検知器32によって検出されることができるように構成されてもよい。光源31によって放射された光の全てかかなりの部分は、かならずしも第1のテストゾーン10に向けられる必要はない。同じように、光検知器32は、第1のテストゾーン10から反射された光の全てかかなりの部分、を捕捉する必要はない。必要なのは、信号が光検知器32によって生成されて、本明細書に記載のように処理されることができるように、十分な光が光源31から第1のテストゾーン10へと向けられ、かつそこからの十分な反射光が光検知器32によって測定されることだけである。
【0053】
前述したように、本発明者らは、油試料の全極性化合物含有量の試験を行うために、第2のテストゾーン20を使用することができることを発見した。したがって、上記の反射率測定値に加えて、少なくとも1つの第2のテストゾーン20に光を向けることと、そこから放射される蛍光を測定することとを伴う、光学的読み取り呼出し動作もまた行われる。具体的には、ゾーン20の(蛍光を介する)光学的読み取り呼出しは、ゾーン10の(反射率による)光学的読み取り呼出しに用いられるのと同じ光学的読み取り呼出しデバイス30によって行われる。したがって、図3を参照すると、デバイス30は、試料基材1の少なくとも1つのテストゾーン20に光を向けるための少なくとも1つの光源41と、少なくとも1つのテストゾーン20から放射される蛍光を測定するための少なくとも1つの光検知器42と、備える。
【0054】
1つのテストゾーン20を読み取り呼出しすることができ、又は、複数のテストゾーン20を読み取り呼出しすることができる。複数のテストゾーン20が読み取り呼出しされる場合、反射率の読み取り呼出しに使用される光源31及び光検知器32に関して先に述べた考えられる配置状態と同様の方法で、複数の光源41及び/又は光検知器42を使用することができる。特定の実施形態では、光源31及び光検知器32が第1のテストゾーン10の空間配置状態に対応し、光源41及び光検知器42が第2のテストゾーン20の空間配置状態に対応するように、少なくとも1つの光源41及び少なくとも1つの光検知器42は、光源31及び光検知器32と組み合わされて空間的に配置される。例えば、図1及び図3に示される代表的な配置状態では、デバイス30は、反射率読み取り呼出し用の4つの光源31a、31b、31c、及び31dと、蛍光読み取り呼出し用の1つの光源41と、を備える。試料基材1は、光源31からの光を受光する4つのテストゾーン10a、10b、10c、及び10dと、光源41からの光を受光する1つの第2のテストゾーン20とを有する。したがって、一実施形態では、試料基材1とデバイス30を相対移動させることなく光を第1のゾーン10の全て及び少なくとも1つの第2のゾーン20に向けることができるように、光源31及び41は、ゾーン10及び20の空間配置状態に対応するように空間的に配置される。光源41は、光源31と同時に又はほぼ同時に作動するように構成されることができ、あるいは、光源41は、光源31が作動していない期間に作動するように構成されることができる。
【0055】
光源41は、光源31に関して上述したもののような様々な光源のいずれかを含んでもよい。蛍光読み取り呼出しにおける使用に関しては、光源41は狭い波長域の光を放射するのが有利であり得る。これは、例えば、狭い波長域の光を放射するLEDを使用することによって達成されてもよい。あるいは、かなり広帯域の光源を用いるが、光がテストゾーン20に向けられる前に波長を狭くするためのフィルタを備えることによって達成されてもよい。
【0056】
既に言及されたように、デバイス30はまた、第2のテストゾーン20から放射される蛍光を測定するための少なくとも1つの光検知器42も備える。複数のテストゾーン20が読み取り呼出しされる場合、単一光検知器を使用することができ、又は、反射率検出に使用される光検知器32に関して記載されたのと同様の様々な構造で複数の光検知器を使用することができる。光検知器42は、光検知器32に関して上述したもののような、入射光子の数を測定することが可能な様々なデバイスのいずれかを含んでもよい。この場合もやはり上述したように、光検知器42は、特定の比較的狭い波長域の光を検出するように選択され又は構成され得る。このような能力は、蛍光を介する読み取り呼出しにおいて特に有用であり得る、即ち、例えば、光検知器42を、第2のテストゾーン20よって放射された異なる波長域の光は検出せず、異なる波長域の周辺光は検出せず、等であるが、第2のテストゾーン20によって放射された特定の波長域の蛍光を検出できるようにするときに有用であり得る。
【0057】
一実施形態では、光源41及び光検知器42は、蛍光を介して、基材1上の少なくとも1つの第2のテストゾーン20を光学的に読み取り呼出し可能であるように構成された組み合わされた一組を含む。光源/光検知器の一組41/42は、適切な信号強度、精度等で、及び周辺光、反射光からの干渉が最小の状態で、所与の第2のテストゾーン20を読み取り呼出し可能であるように構成されなければならない。光源41は、光源41の光出力の少なくとも一部が第2のテストゾーン20に向けられることができるように第2のテストゾーン20の近くに設置されることが可能なように、デバイス30の中に構成されることができる。図3及び図4を参照すると、一実施形態において、光源41はデバイス30のカバー33の後方に位置決めされ、カバー33は、光源41から放射された光が第2のテストゾーン20に向けられることができるように、光源41の上に光透過性部分44を含む。
【0058】
光検知器42は、第2のテストゾーン20に光を向けるために光源41を使用する際に第2のテストゾーン20からの反射信号を受信することができるように、デバイス30の中に構成される。デバイス30の中では、光検知器42は、光源41に近接して、例えば図3に示される一般的な方法で設置され得る。一実施形態では、光検知器42はデバイス30のカバー33の後方に設置され、カバー33は、第2のテストゾーン20から放射された蛍光の少なくとも一部が光検知器42によって検出されることが可能なように、光検知器42の上に光透過性部分45を含む。光透過性部分45は、光透過性部分35(図4に示される)と同様の方法で角度を付けされることができ、又は、光検知器42に到達する周辺光の量を最小限にした状態で、光検知器42に通常は到達する放射された蛍光のあらゆる部分を遮断しないように、(図3に示されるように)光検知器42の感光面よりいくぶん大きく作られることができる。同様に、光源41の上の光透過性部分44も、必要に応じて同じように構成されることができる。
【0059】
光検知器42によって受光される第2のテストゾーン20から反射する光の量を最小限に抑えた状態で、光検知器42によって受光される第2のテストゾーン20からの蛍光照射光の量を最大にするように、デバイス30を構成するのが有用であり得る。これはいくつかの方法によって行われ得る。例えば、本明細書で既に言及されたように、光源41及び光検知器42のいずれか又は両方は、かなり狭い波長域の光を放射/検出(それぞれ)することができる。例えば、光源41は、480mm付近を中心とする比較的狭い周波数帯の光を放射してもよい。光検知器42は、520nm付近を中心とする比較的狭い周波数帯の光を放射してもよい。このように、第2のテストゾーン20によって放射される約520nmの波長の蛍光は光検知器42によって検出されてもよく、テストゾーン20から反射される約480mmの波長の光は光検知器42よって検出されなくてもよい。このような波長に基づくフィルタリングはまた、光源41の上に所望の波長域のみを透過する光透過性部分44を、及び/又は光検知器42の上に所望の波長域のみを透過する光透過性部分45を設けることによって達成され得る。例えば、特定の波長の光のみを通過させるフィルタ(膜、コーティング等を含んでもよい)を使用してもよい(例えば、帯域通過フィルタ、単色フィルタ、干渉フィルタ、干渉反射体等)。あるいは、類似作用を得るためにロングパスフィルタ及びショートパスフィルタの組み合わせを使用することができる。このようなフィルタは、波長依存性であることに加え、角度依存性(例えば、周辺光を遮断するために)であることができる。
【0060】
光源41及び光検知器42の物理的配置状態によって、放射された蛍光の検出を最大にし、周辺光及び/又は反射光の検出を最小限に抑えることも可能であり得る。したがって、図3には一般的に同一平面内にある構造で構成されているとして概略的に示されているが、光源41及び光検知器42は、角度付けされた構造でデバイス30上に位置決めされることができる。当該技術分野において既知の様々なこのような構造が可能である。反射光及び/又は周辺光と比べて検出される蛍光の量を最大にする共焦点原理を用いて光源及び光検知器を構成することもまた可能であり得る。
【0061】
したがって、要約すると、光源/光検知器の一組41/42は、試料基材1に対してデバイス30が適切に位置決めされると、光源41から放射された光の少なくとも一部が第2のテストゾーン20上に衝突し、その結果第2のテストゾーン20から蛍光が放射され、かつ第2のテストゾーンから放射された蛍光の少なくとも一部が光検知器42によって検出され得るように、構成されてもよい。光源41から放射された光の全てかかなりの部分は、かならずしも第2のテストゾーン20に向けられる必要はない。同様に、光検知器42は、第2のテストゾーン20から放射される蛍光の全てかかなりの部分を捕捉する必要はない。必要なのは、十分な光が光源41から第2のテストゾーン20へと向けられ、反射光及び/又は周辺光からの干渉が十分小さい状態で、そこから放射される十分な蛍光が光検知器42によって測定され、その結果光検知器42によって信号が生成されることができ、本明細書に記載の通りに処理されることができる、ということだけである。
【0062】
本明細書に開示されるデバイス及び方法は、光ファイバー・ケーブル、レンズアレイ、フィルタホイール等のような構成要素の使用を最小限に抑えるので、反射率及び蛍光を介した正確な光学的読み取り呼出しを、最小限の空間利用、及び最小限のコストで可能とすることができる。特に、本明細書に開示されるデバイス及び方法は、可動部をほとんど又は全く必要としなくてもよいデバイス30の製造を可能にする。本明細書に開示されるこのようなデバイス30は、光分析装置、光学式濃度計、蛍光光度計等などのデバイスよりもずっと安価であり得る。
【0063】
一実施形態(図1及び図3に示される)では、デバイス3は0、光源/光検知器の組み合わされた一組31a/32a、31b/32b等を含み、この組み合わされた一組は、組み合わされた一組31a/32a、31b/32b等が第1のテストゾーン10a、10b等と適切に位置合わせされることができるように空間的に配置される。デバイス30は、光源/光検知器の一組31/32が第1のテストゾーン10と適切に位置合わせされるのと同時に、少なくとも1つの第2のテストゾーン20と適切に位置合わせされる少なくとも1つの組み合わされた一組である光源/光検知器41/42、を更に備える。したがって、この実施形態では、試料基材1とデバイス30を相対移動させる必要なしに、試料基材1の複数の第1のテストゾーン10は反射率によって読み取り呼出しされることができ、第2のテストゾーン20は蛍光によって読み取り呼出しされることができる。
【0064】
図2及び図3に示される代表的な構造では、光源31/41及び光検知器32/42は、デバイス30の「下部」、即ち、ディスプレー画面36を有する「上部」側と反対側のデバイス30の主要側上に示されている。それらの相対的な意味で用いられる用語である上部及び下部に加え、光源31/41及び光検知器32/42は、別の方法としては、例えば、デバイス30の画面36と同じ側に、又はデバイス30に組み込まれる空洞内に位置決めされてもよいことを理解すべきである。図2に示されるデバイス30の外観(2つのほぼ平坦な主表面を備える概ね細長い外観)は1つの代表的な構造にすぎないことに留意すべきである。多くの他の構造が可能であり、制御機器、ディスプレー画面、光源及び/又は光検知器は、かかるデバイスの様々な位置に位置決めされてもよい。
【0065】
光学モニタでは、温度変化、光源31/41の変化する出力、光検知器32/42の変化する応答、背景光レベル等を考慮に入れるために、参照能力を有することが有用であり得る。したがって、様々な実施形態では、(上記の第1のテストゾーン10及び第2のテストゾーン20に加えて)参照ゾーンを試料基材1に含めることができる。かかる参照ゾーンは、様々な選択された波長において、又は選択された波長域にわたって、既知の反射率、又は蛍光を呈する材料を含んでもよい。したがって、デバイス30は、かかる参照ゾーンを読み取り呼出しするように構成され得る1つ以上の追加的な光源/光検知器の一組を備えることができる。
【0066】
特に、試料基材及び/又は試料基材に吸収される油の温度が反射率及び/又は蛍光信号に及ぼす推定される影響に関しては、温度のあらゆる影響に基づいて信号を調整、修正等することが望ましい場合は、試料基材10の温度を判定することが可能な赤外線温度センサを含むことも可能である。
【0067】
別の実施形態では、油試料に使用される試料基材1に1つ以上の参照ゾーンを含ませることに加えて、又は含ませる代わりに、1つ以上の参照ゾーンを含む参照ストリップが提供されてもよい。この場合、本明細書に開示される方法及びデバイスは、参照ストリップをデバイス30に近接させることができ、光源/光検知器の一組が参照ストリップの参照ゾーンを測定することができ、デバイス30の性能を評価することができ、任意の必要な調整、再較正等を行うことができるように構成されてもよい。本明細書に開示される方法及びデバイスはまた、デバイス30が1つ以上の第1のテストゾーン10及び/若しくは第2のテストゾーン20、及び/又は1つ以上の参照ゾーンを読み取り呼出しするように、参照油試料(即ち、既知量の遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物を含む油試料)を試料基材(標準的な試料基材1又は上記の参照ストリップ)に接触させることができるように構成されてもよい。この読み取り呼出しの結果は、参照油試料中の遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物の既知の値と比較されることができ、こうしてデバイス30は、必要であると考えられるときに、調整、較正等されることができる。
【0068】
一実施形態では、このような光反射率及び/又は蛍光測定の際にデバイス30によって受け取られる信号は、(例えば、光検知器32/42に入射した光に応答して光検知器32/42によって生成されるような)電圧の形態である。即ち、このような光検知器は、第1のテストゾーン10からの光信号を電圧などの信号に変換してもよく、この信号は、その後、操作、処理等されることができる。デバイス30は、マイクロコントローラによる処理を簡略化するためにデジタル形式の電圧信号を提供することが可能な、1つ以上のアナログ−デジタル変換器を更に備えることができる。複数の光源31、複数の第1のテストゾーン10及び/又は複数の光検知器32の場合、典型的には、読み取り呼出された個々の第1のテストゾーン10のそれぞれに対応する別個の電圧信号が、それぞれの光検知器32によって提供される。
【0069】
第1のテストゾーン10に関し、本発明者らは、本明細書に開示される方法及びデバイスを用いて第1のテストゾーン10を読み取り呼出しすると、そこから信号が得られることを見出した。本発明者らは、いわゆる白色光LED光源を比較的広帯域のフォトダイオード光検知器と組み合わせて使用して得られた信号(例えば、様々な波長の光子の寄与を反映している信号)は、油試料中の遊離脂肪酸の量に伴う十分な変化を呈することができ、有用であることを、更に見出した。具体的には、本明細書に開示されるデバイス及び方法は、閾値を越える遊離脂肪酸を有する油にテストゾーンが接触した場合に、第1のテストゾーン10の光反射率の変化の検出を可能とする。(所与の第1のテストゾーン10の応答をトリガするのに必要な遊離脂肪酸の具体的な閾値は、例えば、ゾーンの指示薬/湿潤剤/塩基混合物中に含まれる塩基の量に応じて変化し得ることは言うまでもない。)
【0070】
テストゾーンの閾値を超える遊離脂肪酸値を含有する油試料に第1のテストゾーン10が暴露されると、テストゾーンの光反射率の変化が検出され得る。一例として、本明細書に開示されるような第1のテストゾーン10が「低」濃度の遊離脂肪酸(即ち、遊離脂肪酸の濃度がこのテストゾーンの閾値を下回っている)を含有する油試料に暴露されると、フォトダイオード光検知器は、結果として、読み取り呼出しの際に(例えば、図10のデータに見られるような)比較的「低い」電圧信号を放射する。このような状態は、目視検査で青に見える第1のテストゾーン10に通常対応する。このようなテストゾーンが「高い」濃度(このテストゾーンの閾値を上回る)の遊離脂肪酸を含有する油試料に暴露されると、フォトダイオード光検知器は、結果として、読み取り呼出しの際に(図10に見られるように)比較的「高い」電圧信号を放射する。このような状態は、目視検査で黄色に見える第1のテストゾーン10に通常対応する。
【0071】
本発明者らは、反射率試験を実施において、遊離脂肪酸の「中間」濃度が検出可能であり得、この中間濃度はかならずしも「青」と「黄色」との間の状態として目視で観察できないにもかかわらず、フォトダイオード検出器は結果として「高」と「低」信号の中間であり、かつ(デバイス30によって)これらと区別可能である(図10に示されるような)「中間」信号を放射することを発見した。
【0072】
したがって、要約すると、本明細書に開示される方法及びデバイスによって、第1のテストゾーン10の読み取り呼出しは、別の方法で(例えば、目視検査)で得られる可能性のある以上の、油試料の遊離脂肪酸の含有量に関する情報を提供することが可能であり得る。個々の第1のテストゾーン10のより高感度な測定値を得ることができる能力は、複数のテストゾーン10(異なる濃度の塩基を含んでいてもよく、したがって、異なる遊離脂肪酸閾値を含んでもよい)の提供と組み合わされて、より正確、高感度、及び/又は精密な油の品質の評価を可能とすることができる。
【0073】
複数の第1のテストゾーン10の読み取り呼出しに基づいて、遊離脂肪酸含有量の表示を生成する際、デバイス30は、第1のテストゾーン10の全てから(例えば、光検知器32の全てから)受け取った信号を使用してもよい。特定の実施形態では、デバイス30は、全ての光検知器32からの全ての信号の混合である結合信号を使用する(例えば、処理する)。特定の実施形態では、様々な光検知器からの信号は集積される(即ち、積算される又は足し合わされる)。本発明者らは、様々な濃度の遊離脂肪酸を含有する油に複数の第1のテストゾーン10が暴露されると、複数の光検知器からの集積信号は油中の遊離脂肪酸の濃度と良好に相関し、油の品質の表示を提供する際にデバイス30によって使用され得ることを見出した。このような集積信号を、それぞれの光検知器が「中間」濃度の遊離脂肪酸の検出に対応する信号を提供することが可能であり得るという事実と組み合わせて使用することにより、例えば非実際的に多数の個別の第1のテストゾーン10を使用する必要なしに、向上した精度を提供することが可能である。
【0074】
全極性化合物の含有量の表示を生成する際、デバイス30は、1つ以上の第2のテストゾーン20(例えば、光検知器42)から受け取った信号を使用する。これは、油試料が第2のテストゾーン20に吸収されると、油試料中の全極性化合物の増加は、第2のテストゾーン20の油含有多孔質材料5から放射される蛍光の量を増加させる、という本発明者らの発見によって可能となる。例えば、図11は、油含有テストゾーンが約470nmの入射光線に曝されると、油試料中の全極性化合物の濃度が高いほど、約520nmで放射される蛍光の量が増加することを示している。例えば評価される油の種類に応じて、示される例に加えて多くの他の励起波長及び/又は放射波長を用いてもよいことは言うまでもない。
【0075】
上記の集積工程とは別に、光検知器32によって第1のテストゾーン10から受け取られた信号は、所望により、デバイス30の電気回路網に存在するアルゴリズムに従って数学的に操作(個別に又は組み合わされて)されることができる。同様に、光検知器42によって第2のテストゾーン20から受け取られた信号も同じように処理されることができる。したがって、デバイス30は、このような所望の信号処理を実行するのに必要な、更には光源31/41及び/又は光検知器32/42等を制御するのに必要な構成要素、電気回路網等を備えてもよい。図5のブロック図を参照すると、デバイス30は、光源31/41を作動させることができ、光検知器32/42を作動させる(及び光検知器32/42から信号を受け取る)ことができ、光検知器32/42から受け取った信号を処理、操作等することができ、記憶装置に様々なデータ及びパラメータを保持することができ、画面36と通信することができ、デバイス30のユーザーから入力を受信することができ、かつ、必要に応じて他の機能を実施することができる、マイクロコントローラ37を備えてもよい。特定の実施形態では、デバイス30は、本明細書に記載の用途に特に適している場合がある、PIC(プログラマブルインターフェースコントローラ、又はプログラマブルインテリジェントコンピュータとして様々に知られている)として知られる種類のマイクロコントローラを備えることができる。デバイス30の様々な構成要素(光源31/41、光検知器32/42、ディスプレー画面36、マイクロコントローラ37、及び以下に記載の他の構成要素)を、1つ以上のプリント基板に結合することができ、及び/又はその上に物理的に搭載することができる。デバイス30は、情報を入力するためのキーパッド、ボタン、又はタッチスクリーンインターフェース、電源(例えば、電池又は電気コード)等の様々な他の機能を有することができる。
【0076】
本明細書に開示されるデバイス及び方法によって読み取り呼出しされた場合、特定の種類の油が(例えば、油中の遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物の量と無関係に)異なる信号を示すことが分かった場合には、デバイス30は、油の種類に基づいてデバイス30が自動的に調整又は補償することができるように、ユーザーが試験される油の識別(種類)を入力することができる機構を備えることができる。加えて、調理用に新しいバッチの油が導入されると、デバイス30の記憶装置内に記憶されかつ油の特定の種類及び/又はバッチに対応する基準(参照)反射信号及び/又は基準(参照)蛍光信号を得るために油が試験されるように、デバイス30を構成することも可能である。その後、記憶された基準信号は、油のそのバッチの独自の特性に基づいてデバイス30が自動的に調整又は補償することができるように、後で油が読み取り呼出しされるときに使用されることができる。
【0077】
したがって、要約すると、読み取り呼出しデバイス30は、第1のテストゾーン10から受け取った信号から、油試料の油の品質の表示を生成することができ、この表示は、(例えば、油試料の遊離脂肪酸含有量に基づいて)油試料の遊離脂肪酸含有量に関連付けられる。読み取り呼出しデバイス30はまた、第2のテストゾーン20から受け取った信号から、油試料の油の品質の表示を生成することができ、この表示は、(例えば、油試料の全極性化合物の含有量に基づいて)油試料の全極性化合物の含有量に関連付けられる。その後、表示は、(例えば、視覚信号又は音声信号によって)デバイス30のユーザーに伝達されることができる。一実施形態において、表示は、遊離脂肪酸含有量及び全極性化合物の含有量の実際の数値であることができる。あるいは、表示は、遊離脂肪酸含有量又は全極性化合物の含有量の数値ではないがかかる数値と相関しており、かつ、ユーザーが油の品質(例えば、油がまだ使用に適しているかどうか)を確認できるようにするのに役立つ、パラメータであることができる。例えば、デバイス30は、その高さが遊離脂肪酸の量を示す棒グラフが表示されるスクリーン36を有してもよい。あるいは、信号(例えば、赤、黄色、及び緑色光)のセットを使用して、遊離脂肪酸含有量の観点から油の品質を示してもよい。あるいは、デバイス30は、遊離脂肪酸含有量に基づいて(音声信号又は視覚信号によって)合否を示すバイナリ・フォーマットで油の品質情報をユーザーに提示してもよい。表示は、全極性化合物の含有量に関しても同様に示されてもよい。
【0078】
つまり、一方は遊離脂肪酸含有量に関連し、他方は全極性化合物の含有量に関連する、油の品質の2つの個別の表示がユーザーに提示されてもよい。あるいは、遊離脂肪酸及び全極性化合物の含有量の表示は、遊離脂肪酸及び全極性化合物の両方からの寄与を考慮に入れた、油の品質の単一表示に組み合わせられてもよい。
【0079】
このような表示を生成する際、デバイス30が光検知器32からの上記組み合わされた(例えば、集積された)信号を油の遊離脂肪酸含有量と相関させることができる(例えば、電子記憶装置、ファームウェア、又はソフトウェアの中の例えばルックアップテーブルに保存された)情報を、デバイス30が含んでいると役に立つ場合がある。同様に、このような情報が、マイクロコントローラ37に光検知器42からの上記信号を油の全極性化合物の含有量と相関させることができる情報が、デバイス30の中に含まれていると役に立つ場合がある。このような情報は、デバイス30の電子記憶装置内に固定値として存在することができる。あるいは、このような情報は、例えば、デバイス30によって1つ以上の標準材料を既知量の遊離脂肪酸及び/又は全極性化合物で読み取り呼出しするために、あるいは、1つ以上の標準材料を既知の反射率及び/又は蛍光特性(例えば、参照ゾーン、参照ストリップ、参照油試料等)で読み取り呼出しするために、定期的に更新及び/又は変更されることができる。
【0080】
デバイス30は、試料基材がむき出しの状態で(例えば、カウンターの上に横たえて、手で保持して等)試料基材1が読み取り呼出しされ得る方法で構成されてもよい。迷光又は背景光の影響を最小限に抑えることが有用である場合、これを達成するために様々な方法を採用することができる。例えば、読み取り呼出しするために試料基材1をチャンバの内部に設置することができるように、デバイス30は、部分的に又は実質的に囲まれたチャンバ(いずれの図にも示されず)を含むように構成されてもよい。これは、例えば、光源31と光検知器32とを含み、その中に試料基材10を挿入することができる空洞をデバイス30内に設けることによって行うことができ、あるいは、試料基材10が読み取り呼出しに適切な位置に設置された後で周辺光を遮断するようにカバーを位置決めすることができるように、カバー(例えば、兆番付きのカバー、摺動自在なカバー等)を設けることができる。具体的には、試料基材1が表面上に位置決めされた状態(例えば、テーブルの上に横たわった状態)で読み取り呼出しされる場合、デバイス30は、この表面に近付けられると、又はこの表面と接触して定置されると、部分的に又は実質的に囲まれたチャンバを形成するスカート又はフランジ(いずれの図にも示されず)を含むことができる。
【0081】
様々な実施形態において、最良に機能させるために、試料基材1とデバイス30との間のレジストレーション(位置合わせ)を達成することが望ましくあり得る。即ち、最も正確な光学的読み取り呼出しを提供するために、第1のテストゾーン10が光源31及び光検知器32と整列させられて、第2のテストゾーン20が光源41及び光検知器42と整列させられるように、試料基材1をデバイス30に対して正確に位置決めするのが望ましくあり得る。このようなレジストレーションは様々な方法で達成されてもよい。例えば、試料基材1の縁部又は他の部分を、読み取り呼出しデバイス30自体又は別個の保持固定具に設けられてもよいホルダー(例えば、クリップ、ポスト、スタブ等)に対して位置決めする、又はその中に保持する、物理的なレジストレーション方法を用いてもよい。
【0082】
レジストレーションは、物理的方法ではなく光学的手段によって達成されることもできる。このように、試料基材1は、レジストレーションの目的でユーザー及び/又はデバイス30によって認識され得る1つ以上の機構を有することができる。例えば、試料基材1は、デバイス30に対する試料基材1の適切なレジストレーションを達成する際にユーザーが使用してもよいしるしを含むことができる。あるいは、デバイス30は、このようなしるしを認識できるようにする光学的認識能力を含んでもよい。このような場合、試料基材1との適切なレジストレーションをデバイス30が検出すると、デバイス30は、デバイスによる試料基材1の読み取り呼出しの準備が整っていることをユーザーに通知する(例えば、光信号、音響信号等によって)ことができる。あるいは、デバイス30は、適切なレジストレーションが達成されたことをデバイス30が認識すると、光学的読み取り呼出しが自動的に開始されるように構成されてもよい。
【実施例】
【0083】
(実施例1)
3M Companyから表記「3M Shortening Monitor Test Strips」で入手可能であり、米国特許第4,654,309号の実施例4に記載の方法と同様の方法で製造されたと思われる試験ストリップを入手した。
【0084】
約40%のひまわり油(最低70%のオレイン酸)、約30%のパーム油、及び約30%の硬化菜種油(全て重量%)で構成される食用油を得た。食用油はフライドポテトを調理するのに約2カ月の期間使用され、その期間にわたってこの油から少量の試料を定期的に取り出した。
【0085】
これら試料を以下の手順で試験した。ほとんどの試料は室温で固体であるので、各試料(プラスチック製のジャーに入っている150cc)を電子レンジで60秒、又は試料が溶解して液体を形成するまで加熱した。次に、試験ストリップの中に浸し、続いてペーパータオルの上にいて余剰油を除去した。次に、ストリップの4つのテストゾーン(即ち、ストリップを受け取ったときに見かけが青であったゾーン)のそれぞれの光反射率をQuadScan Reflectance Photometer(型式100、KGW Enterprises(Elkhart,IN)より入手可能)を使用して測定した。ゾーンを特定波長域、即ち、波長域約400〜510nmに対応する青の波長、波長域586〜660nmに対応する緑の波長、825〜855nmに対応する赤外(IR)波長、を読み取り呼出しするために、光学フィルタを使用した。
【0086】
光度計の読み取り呼出しユニットがテストゾーンのそれぞれを連続して読み取り呼出しするように、試験ストリップを反射率光度計に対して移動させて4つのテストゾーンの光反射率を測定した。(テストゾーンの間の空白領域を含む試験ストリップ全体にわたって読取値を得たが、テストゾーンの間の空白領域からの読取値は使用しなかった。)このプロセスの間、ストリップを周辺光から遮断した。典型的には、各ストリップに関して、4つのテストゾーンからの反射率読取値を共に平均化した。したがって、図6〜図9のプロットでは、各データ点は、典型的には、試験ストリップの4つのテストゾーンの平均反射率を表している。
【0087】
様々な試料に関し、製品の説明書に従い、3M Shortening Monitor Stripsの標準的(視覚的な)用法によって遊離脂肪酸の濃度を推定した。製品の説明書によると、視覚的に得た結果は次のカテゴリーのうちの1つに分類される。遊離脂肪酸含有量が2%未満、遊離脂肪酸含有量が2%〜3.5%未満、遊離脂肪酸含有量が3.5%〜5.5%未満、遊離脂肪酸含有量が5.5%〜7%未満、又は遊離脂肪酸含有量が7%超過。(異なる波長域の読み取り呼出しを介して得た)測定された反射率を、製品の視覚的な用法によって推定された遊離脂肪酸含有量に対してプロットしたプロット(図6〜図9)を生成した。データのこれら一般的グループ分けの中(例えば、遊離脂肪酸含有量3.5〜5.5%のグループ、遊離脂肪酸含有量5.5〜7.0%のグループ等の中)では、個々の油試料を推定遊離脂肪酸含有量に従って少なくとも定性的にランク付けすることもまた可能であった。これは、例えば、特定の油試料が使用されたのが分かっている時間の長さに従って(これは遊離脂肪酸含有量を増加させると予想される)、若しくは、国際標準試験法ISO8 420に従って測定した場合の全極性化合物の含有量に従って(遊離脂肪酸はこの含有量の一部を占めるので、少なくとも一般に相関していると予想される)、又は、視覚的に観察されたテストゾーンの輝度又は強度に従って、行うことができる。このように、図6〜図9のデータの一般的グループ分けの中で、各グループ内のデータは、低い推定遊離脂肪酸含有量の試料はグループの左側に向かい、高い推定遊離脂肪酸含有量の試料はグループの右側に向かうように配置されている。しかしながら、遊離脂肪酸の特定濃度の定量化が試みられたと推察すべきではない。
【0088】
説明の便宜上、データは4つのプロットに分割される。図6は赤外波長域の読み取り呼出しからのデータを包含し、図7は赤の波長域の読み取り呼出しからのデータを包含し、図8は緑の波長域の読み取り呼出しからのデータを包含し、図9は青の波長域の読み取り呼出しからのデータを包含している。広くは、反射率データは、これらの実験において、赤又は緑の波長域における読み取り呼出しは、青又は赤外波長域における読み取り呼出しよりも大きな応答を提供したことを示している。
【0089】
(実施例2)
3M Companyから表記「3M Shortening Monitor Test Strips」で入手可能であり、米国特許第4,654,309号の実施例4に記載の方法と同様の方法で製造されたと思われる試験ストリップを入手した。
【0090】
4つの光検知器であるフォトダイオード(Si PIN型)を、Hamamatsu Photonics(Hamamatsu City,Japan)から表記「S9345」で得た。個々のフォトダイオードを、PD−0、PD−1、PD−2,及びPD−3と標示した。
【0091】
発光ダイオード(Super−White型(GaN))を、SuperBright LEDs,Inc(St.Louis,Missouri)から表記「RL5−W5020」で得た。
【0092】
3M Companyから表記「3M Shortening Monitor Test Strips」で入手可能であり、米国特許第4,654,309号の実施例4に記載の方法と同様の方法で製造されたと思われる試験ストリップを入手した。
【0093】
様々な試験ストリップのテストゾーンを、「少ない」量、即ち、これらのテストゾーンでは、典型的な人間のユーザーに認められる視覚変化(青色から黄色へ)をトリガしない量、の遊離脂肪酸を含有する油試料と接触させた。次に、LEDからの光をテストゾーンに向け、フォトダイオードによってそこからの反射光を測定して、テストゾーンを読み取り呼出しした(LED及びフォトダイオードは、製造業者の推奨に従って、及び当該技術分野において周知の方法によって、構成されかつ操作された)。4つの個別のフォトダイオードに関し、得られた出力電圧が図10に示されている(「少ない遊離脂肪」と標示されている)。
【0094】
他のテストゾーンを「多い」量の遊離脂肪酸を含有する油試料、即ち、これらのテストゾーンでは、典型的な人間のユーザーに認められる視覚変化(青色から黄色へ)をトリガする量の遊離脂肪酸を含有する油試料と接触させた。次に、上記のようにLED及びフォトダイオードを使用してテストゾーンを読み取り呼出しし、フォトダイオードから得られた出力電圧を図10に示した(「多い遊離脂肪酸」と標示されている)。
【0095】
他のテストゾーンを「中間」量の遊離脂肪酸を含有する油試料に接触させた。これは、これらのテストゾーンでは、典型的な人間のユーザーに認められる視覚変化(青色から黄色へ)を確実にトリガしない量であると考えられた。次に、上記のようにLED及びフォトダイオードを使用してテストゾーンを読み取り呼出しし、フォトダイオードから得られた出力電圧を図10に示した(「中間の遊離脂肪酸」と標示されている)。
【0096】
図10に示されるように、上記の方法及び装置を使用したテストゾーンの読み取り呼出しにより、「低い」状態(即ち、テストゾーンが視覚的に青く見える)に対応する信号と区別されることができ、かつ「高い」状態(即ち、テストゾーンが視覚的に黄色く見える)に対応する信号と区別されることができる「中間の」信号を得ることができた。
【0097】
(実施例3)
3M Companyから表記「3M Shortening Monitor Test Strips」で入手可能であり、米国特許第4,654,309号の実施例4に記載の方法と同様の方法で製造されたと思われる試験ストリップを入手した。
【0098】
約40%のひまわり油(最低70%のオレイン酸)、約30%のパーム油、及び約30%の硬化菜種油(全て重量%)で構成される食用油を得た。食用油はフライドポテトを調理するのに約2カ月の期間使用され、その期間にわたってこの油から少量の試料を定期的に取り出した。
【0099】
これら試料を以下の手順で試験した。ほとんどの試料は室温で固体であるので、各試料(プラスチック製のジャーに入っている150cc)を電子レンジで60秒、又は試料が溶解して液体を形成するまで加熱した。次に、試験ストリップを各油試料に浸し、続いてペーパータオルの上にて余剰油を除去した。試験ストリップの様々な油含有「空白」領域上(即ち、遊離脂肪酸に敏感な含浸材料を有さない領域上)で、ESE XYZ Stage Scanner(Embedded System Engineering GmBH(Stockach,Germany))を、励起波長約470nm及び放射波長約520nmで使用して、蛍光測定を行った。
【0100】
各油試料に関し、各試験ストリップの異なる空白領域で複数の読取値を得た。これら複数の読取値の平均を報告した。典型的には、各油試料に関して、いくつかのストリップをこの手順で試験した。これらのデータは図11に示されており、油の(国際標準試験法ISO8 420に概説されているのと同様の手順で判定した)全極性化合物濃度の関数としてプロットされた。
【0101】
上記の試験及び試験結果は予測ではなく例示のみを意図したものであり、試験方法が変われば異なる結果が生じ得ると考えられる。前述の詳細な説明及び実施例は理解を明確化するためにのみ提示されている。それらから無用の限定を解するべきでない。特に、本開示の中の見出し及び/又は小見出しは読むための便宜上の目的で提供されており、不要な限定は導かれない。
【0102】
これで、本発明について、そのいくつかの実施形態に関連して説明した。本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態において変更を行うことができることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された厳密な詳細及び構造に限定されるべきではなく、それよりもむしろ、特許請求の範囲の文言によって説明される構造、及びそれらの構造の等価物によって限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油試料の複数のパラメータを光学的にモニタする方法であって、
油吸収試料基材を提供する工程であって、
前記試料基材が、前記油の第1のパラメータに反応性である第1の光学特性を含む複数の第1のテストゾーンと、前記油の第2のパラメータに反応性である第2の光学特性を含む少なくとも1つの第2のテストゾーンと、を包含する、工程と、
前記油の試料が、前記第1のテストゾーンのそれぞれの少なくとも一部分及び前記少なくとも1つの第2のテストゾーンの少なくとも一部分と接触するように、前記油を前記試料基材と接触させる工程と、
前記第1のテストゾーンから一連の第1の信号を受信するために、第1の光学的方法によって前記第1のテストゾーンを読み取り呼出しする工程と、
前記第1のテストゾーンからの前記一連の第1の信号を結合信号へと組み合わせる工程と、
前記結合信号を前記油の前記第1のパラメータと相関させる工程と、
第2の信号を受信するために、第2の光学的方法によって前記少なくとも1つの第2のテストゾーンを読み取り呼出しする工程であって、
前記第2の光学的方法が前記第1の光学的方法と異なる、工程と、
前記第2の信号を前記油の前記第2のパラメータと相関させる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のテストゾーンの前記読み取り呼出し工程が反射率の測定を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のテストゾーンがそれぞれ、光吸収/反射特性が前記油の前記第1のパラメータに反応性である指示薬を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記指示薬が酸塩基指示薬である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2のテストゾーンの前記読み取り呼出しが蛍光の測定を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記蛍光の測定が自己蛍光の測定を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記油試料が蛍光指示添加剤を含まない、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記一連の第1の信号を組み合わせる工程が、前記第1の信号を共に集積信号へと積算する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のテストゾーンの前記読み取り呼出し、及び前記少なくとも1つの第2のテストゾーンの前記読み取り呼出しが、同じ読み取り呼出しデバイスによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のテストゾーンの前記読み取り呼出しが、前記第1のテストゾーンのそれぞれに対して別個の光源/光検知器の一組を使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のパラメータが前記油の前記遊離脂肪酸含有量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、前記油の前記油品質の表示を報告する追加工程を含み、前記表示が前記油の前記遊離脂肪酸含有量と関連付けられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のパラメータが前記油の前記全極性化合物の含有量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記油の前記油品質の表示を報告する追加工程を含み、前記表示が前記油の前記全極性化合物の含有量と関連付けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のパラメータが前記油の前記遊離脂肪酸含有量を含み、前記第2のパラメータが前記油の前記全極性化合物の含有量を含み、前記方法が、前記油の前記油品質の表示を報告する工程を更に含み、前記表示が、前記油の前記遊離脂肪酸含有量及び前記油の前記全極性化合物の含有量と関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
油試料の少なくとも2つのパラメータを測定するためのシステムであって、
油吸収試料基材であって、
前記試料基材が前記油の第1のパラメータに反応性である第1の光学特性を含む複数の第1のテストゾーンと、前記油の第2のパラメータに反応性である第2の光学特性を含む少なくとも1つの第2のテストゾーンと、を包含する、油吸収試料基材と、
光学的読み取り呼出しデバイスであって、
前記デバイスが、第1の光学的機構によって前記試料基材の前記第1のテストゾーンのそれぞれを読み取り呼出しして、そこから一連の第1の信号を受信する手段と、第2の異なる光学的機構によって前記試料基材の前記少なくとも1つの第2のテストゾーンを読み取り呼出しして、そこから第2の信号を受信する手段と、を含み、
前記デバイスが、前記第1のテストゾーンからの前記一連の第1の信号を結合信号へと組み合わせる手段と、前記結合信号を前記油の前記第1のパラメータと相関させる手段とを更に含み、
前記デバイスが、前記第2の信号を前記液体試料の前記第2のパラメータと相関させる手段を更に含む、光学的読み取り呼出しデバイスと、
を含む、システム。
【請求項17】
前記第1のパラメータが前記油の前記遊離脂肪酸含有量であり、前記第2のパラメータが前記油の前記全極性化合物の含有量である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記デバイスが前記油の前記油品質の第1の表示を報告するように構成され、前記第1の表示が前記油の前記遊離脂肪酸含有量と関連付けられ、前記デバイスがまた、前記油の前記油品質の第2の表示を報告するように構成され、前記第2の表示が前記油の前記全極性化合物の含有量と関連付けられる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記デバイスが前記油の前記油品質の表示を報告するように更に構成され、前記表示が前記油の前記遊離脂肪酸含有量、及び前記油の前記全極性化合物の含有量と関連付けられる、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の光学的機構が反射率であり、前記第2の光学的機構が蛍光である、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記デバイスが、前記複数の第1のテストゾーンのそれぞれの第1のテストゾーンの前記読み取り呼出しのための別個の光源/光検知器の一組を含み、前記デバイスが、前記少なくとも1つの第2のテストゾーンの前記読み取り呼出しのための追加の光源/光検知器の一組を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記デバイスが、前記試料基材及び前記読み取り呼出しデバイスを相対移動させずに、前記複数の第1のテストゾーン及び前記少なくとも1つの第2のテストゾーンを全て読み取り呼出しすることができるように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記デバイスが、手持ちデバイス、携帯デバイス、又はカウンタートップデバイスのうちの少なくとも1つである、請求項22に記載のシステム。
【請求項1】
油試料の複数のパラメータを光学的にモニタする方法であって、
油吸収試料基材を提供する工程であって、
前記試料基材が、前記油の第1のパラメータに反応性である第1の光学特性を含む複数の第1のテストゾーンと、前記油の第2のパラメータに反応性である第2の光学特性を含む少なくとも1つの第2のテストゾーンと、を包含する、工程と、
前記油の試料が、前記第1のテストゾーンのそれぞれの少なくとも一部分及び前記少なくとも1つの第2のテストゾーンの少なくとも一部分と接触するように、前記油を前記試料基材と接触させる工程と、
前記第1のテストゾーンから一連の第1の信号を受信するために、第1の光学的方法によって前記第1のテストゾーンを読み取り呼出しする工程と、
前記第1のテストゾーンからの前記一連の第1の信号を結合信号へと組み合わせる工程と、
前記結合信号を前記油の前記第1のパラメータと相関させる工程と、
第2の信号を受信するために、第2の光学的方法によって前記少なくとも1つの第2のテストゾーンを読み取り呼出しする工程であって、
前記第2の光学的方法が前記第1の光学的方法と異なる、工程と、
前記第2の信号を前記油の前記第2のパラメータと相関させる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のテストゾーンの前記読み取り呼出し工程が反射率の測定を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のテストゾーンがそれぞれ、光吸収/反射特性が前記油の前記第1のパラメータに反応性である指示薬を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記指示薬が酸塩基指示薬である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2のテストゾーンの前記読み取り呼出しが蛍光の測定を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記蛍光の測定が自己蛍光の測定を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記油試料が蛍光指示添加剤を含まない、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記一連の第1の信号を組み合わせる工程が、前記第1の信号を共に集積信号へと積算する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のテストゾーンの前記読み取り呼出し、及び前記少なくとも1つの第2のテストゾーンの前記読み取り呼出しが、同じ読み取り呼出しデバイスによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のテストゾーンの前記読み取り呼出しが、前記第1のテストゾーンのそれぞれに対して別個の光源/光検知器の一組を使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のパラメータが前記油の前記遊離脂肪酸含有量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、前記油の前記油品質の表示を報告する追加工程を含み、前記表示が前記油の前記遊離脂肪酸含有量と関連付けられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のパラメータが前記油の前記全極性化合物の含有量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記油の前記油品質の表示を報告する追加工程を含み、前記表示が前記油の前記全極性化合物の含有量と関連付けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のパラメータが前記油の前記遊離脂肪酸含有量を含み、前記第2のパラメータが前記油の前記全極性化合物の含有量を含み、前記方法が、前記油の前記油品質の表示を報告する工程を更に含み、前記表示が、前記油の前記遊離脂肪酸含有量及び前記油の前記全極性化合物の含有量と関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
油試料の少なくとも2つのパラメータを測定するためのシステムであって、
油吸収試料基材であって、
前記試料基材が前記油の第1のパラメータに反応性である第1の光学特性を含む複数の第1のテストゾーンと、前記油の第2のパラメータに反応性である第2の光学特性を含む少なくとも1つの第2のテストゾーンと、を包含する、油吸収試料基材と、
光学的読み取り呼出しデバイスであって、
前記デバイスが、第1の光学的機構によって前記試料基材の前記第1のテストゾーンのそれぞれを読み取り呼出しして、そこから一連の第1の信号を受信する手段と、第2の異なる光学的機構によって前記試料基材の前記少なくとも1つの第2のテストゾーンを読み取り呼出しして、そこから第2の信号を受信する手段と、を含み、
前記デバイスが、前記第1のテストゾーンからの前記一連の第1の信号を結合信号へと組み合わせる手段と、前記結合信号を前記油の前記第1のパラメータと相関させる手段とを更に含み、
前記デバイスが、前記第2の信号を前記液体試料の前記第2のパラメータと相関させる手段を更に含む、光学的読み取り呼出しデバイスと、
を含む、システム。
【請求項17】
前記第1のパラメータが前記油の前記遊離脂肪酸含有量であり、前記第2のパラメータが前記油の前記全極性化合物の含有量である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記デバイスが前記油の前記油品質の第1の表示を報告するように構成され、前記第1の表示が前記油の前記遊離脂肪酸含有量と関連付けられ、前記デバイスがまた、前記油の前記油品質の第2の表示を報告するように構成され、前記第2の表示が前記油の前記全極性化合物の含有量と関連付けられる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記デバイスが前記油の前記油品質の表示を報告するように更に構成され、前記表示が前記油の前記遊離脂肪酸含有量、及び前記油の前記全極性化合物の含有量と関連付けられる、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の光学的機構が反射率であり、前記第2の光学的機構が蛍光である、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記デバイスが、前記複数の第1のテストゾーンのそれぞれの第1のテストゾーンの前記読み取り呼出しのための別個の光源/光検知器の一組を含み、前記デバイスが、前記少なくとも1つの第2のテストゾーンの前記読み取り呼出しのための追加の光源/光検知器の一組を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記デバイスが、前記試料基材及び前記読み取り呼出しデバイスを相対移動させずに、前記複数の第1のテストゾーン及び前記少なくとも1つの第2のテストゾーンを全て読み取り呼出しすることができるように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記デバイスが、手持ちデバイス、携帯デバイス、又はカウンタートップデバイスのうちの少なくとも1つである、請求項22に記載のシステム。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2011−514967(P2011−514967A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549772(P2010−549772)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/035645
【国際公開番号】WO2009/111370
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/035645
【国際公開番号】WO2009/111370
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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