説明

組み込まれたケイ素および細胞培養技術を用いて組み立てられたハイスループット細胞ベースアッセイ

本発明は、生体分子、細胞などの種と相互作用が可能で、それによって多孔質材料の表面または多孔質表面をコーティングする接着層に対して種を接着または固定化することができる多孔質材料(例えば、膜)を伴う物品および方法に関する。多孔質材料は、種の配置および空間的分布を材料の表面にわたって制御して種を付着することができ得る。そのような物品および方法は、例えば、バイオアッセイ、バイオセンサー、または生体細胞の培養に有用であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、生体分子および/または生体細胞の研究に使用するための物品および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
細胞ベースの器具は、細胞増殖と、細胞遊走と、トキシン、病原体、薬物、または他の細胞などの作用物質に対する細胞応答とを含む細胞の挙動を研究するための、ハイスループット医薬品試験システムに多数使用されてきた。膜などの材料が細胞培養環境の中で使用されることにより、種々の応用例に用途を見出し得る細胞ベースの器具の開発が加速している。多数のシステムで高分子膜の使用が採用されており、そこでは細胞が膜の表面にまたは膜の細孔内に接着することができ、細胞の挙動が研究できる。多数の公知である高分子膜では、細孔サイズおよび細孔分布の両方を制御するのが困難である恐れがあり、細胞の挙動を正確にモニタする能力に制約がある。細孔サイズおよび細孔分布の制御をより厳密に達成する1つの方法は、複数層の高分子膜を用いることでもよいが、複合膜の厚さが増大し(例えば、少なくとも40ミクロン)、柔軟性が減少するという結果をもたらす。これは、例えば、複合膜の反対面上の細胞間の相互作用を伴う研究に弊害をもたらす恐れがある。逆に、厚さが減少した高分子膜は、望ましくなく低い機械的強度によって特徴付けられることが多い。そのうえ、多数の従来型高分子膜に対する細胞の接着を、制御およびモニタするのが困難である恐れがある。細胞は細孔に接着し得るが、細孔間の箇所に接着する可能性もあり、それは規則正しく並んだ組織の増殖を妨害し得るか、または、そうでなければ、ある種の応用例にとって望ましくない恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、改良された方法および材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、ある種の実施形態においては、膜を備えた細胞培養および/または細胞アッセイ用に構成された装置に関する。膜は、主に無機材料を含んでいてもよく、第1の面および対向する第2の面、ならびに膜の第1の面から第2の面までを貫通する複数の細孔を備える。
【0005】
本発明はまた、細胞培養および/または細胞アッセイ用の物品であって、第1の面および対向する第2の面を有する膜;膜の第1の面から第2の面までを貫通する複数の細孔、および細孔を介して対向する第2の面と接触している環境に暴露され、複数の細孔の少なくとも一部を閉塞するように、膜の第1の面上に配置された細胞接着性材料層を備えた物品に関する。
【0006】
別の態様では、本発明は、第1の面、対向する第2の面、および膜の第1の面と第2の面との間を貫通する複数の細孔を備えた膜を用意すること;細胞が実質的に細孔を密封し、流体が膜を通して膜の第1の面と第2の面との間を流れるのを実質的に妨げるように細孔のサイズを決定した膜上に細胞を配置すること;膜の第1の面を第1の流体に、膜の第2の面を第2の流体に暴露することを含み、流体の交換が、膜を通して第1の面と第2の面との間で起こらず、または膜表面積1cm、1時間当たり流体1cm未満の割合で起こる方法を提供する。
【0007】
本発明はまた、第1の面および対向する第2の面、ならびに膜の第1の面と第2の面との間を貫通する複数の細孔を備えた膜を用意すること;少なくとも膜の第1の面に細胞を提示すること;およびこうした細胞の少なくとも1つの、細孔を介した第1の面から第2の面への遊走を決定することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
添付図面は模式的であり、スケールに合わせて描かれることを意図していない。図中、種々の図に例示された同一のまたは実質的に類似した各構成要素は、典型的には、単一の番号または記号により表される。明確さを期すために、当業者に本発明を理解させるために例示が必ずしも必要ではない場合には、全ての構成要素が全ての図で標識されているわけではなく、本発明の各実施形態の全ての構成要素が示されているわけでもない。
【0009】
(詳細な説明)
本発明は、多孔質であり得る材料、特に膜を伴う物品と方法に関し、種々の応用例、特に、細胞の培養および/または細胞を伴うアッセイを伴う応用例に有用であり得る。本発明のある種の材料(例えば、膜または膜(複数可)を含む多構成要素材料)は、生体分子(細胞の表面に存在してもよい)などの種と相互作用が可能で、それによって種は、材料の表面に接着し、または材料と結合することができる。幾つかの実施例では、本発明の材料は、種の配置および空間的分布を材料の表面にわたって制御し得る可能性がある。そのような材料および方法は、例えば、バイオアッセイ、バイオセンサー、または生体細胞の培養に有用であり得る。
【0010】
本発明の物品および装置は、生体分子および/または生体細胞の研究に有用な膜を備えていてもよい。既に公知である典型的な細胞研究用のシステムは、平均細孔サイズの制御が不良なだけでなく、細孔の空間的分布が無作為である膜を採用することが多い。この研究で、そのような材料を使用し、かつ膜の表面に付着した細胞などの種を使用すると、一貫性のないおよび/または解釈が困難な結果が生じる恐れがある。対照的に、本発明は、ある種の実施形態では、細孔サイズおよび細孔の空間的分布の両方を制御して製作することができる膜を提供する。その結果、膜に対する細胞などの種の固定化を、ある場合には細孔の空間的分布に基づいて制御することもできる。例えば、膜の細孔は、実質的に大多数の種が細孔間の区域ではなく、細孔内の、細孔と同一の広がりを有する、または細孔と重複した領域内にのみ接着するように、表面への種の接着を導くことができる。接着した種の空間的制御は、数多くの応用例で有利であり得る。例えば、表面上の細胞の接着を制御することは、以下でより詳細に記載するように、組織工学で有用であり得る。さらに、本発明の膜は、他の従来型の膜と比較して、薄く(例えば、厚さが40ミクロン未満)、柔軟性を有し、膜の対向する面上の種間の接触を促進することができる。
【0011】
本発明は、ある種の実施形態において、細胞培養および/または細胞アッセイに使用するための膜を備えた物品を提供し、そのような物品は、第1の面および対向する第2の面、ならびに膜の第1の面から第2の面までを貫通する複数の細孔を有する膜を備え、膜は主に無機材料を含む。
【0012】
本明細書で使用する場合、「無機材料」という用語には、その通常の意味が付与され、有機材料ではない任意のものを意味する。「有機材料」もまた、この文脈におけるその通常の意味に従って使用され、すなわち、1つまたは複数の炭素−水素結合を含有する分子で構成される材料である。例えば、無機材料は、少なくとも1つの金属原子(例えば、1〜17族から選択される金属原子)を含む材料および/またはその化合物を含んでもよいが、それらに限定されず、そのような化合物は水素に結合した炭素原子を含む官能基を典型的には含有しない。無機材料の幾つかの例には、セラミックス、ガラス、および金属が含まれていてもよい。ある場合には、無機材料は、金属酸化物または金属窒化物を含む。特定の実施形態では、無機材料は、窒化ケイ素(SiN)であってもよい。無機材料は、不透明、半不透明性半透明、または透明であってもよく、ガス透過性、半透過性、またはガス不透過性であってもよい。ある場合には、無機材料は、約400nmより長い波長で光学的に透過性であるように選択してもよい。無機材料はまた、細胞および/または生体分子と適合するように選択してもよい。本発明に従って使用可能である多種多様で好適な無機材料は、本明細書で提供される手引きおよび教示が与えられれば、当業者にとって直ちに明白になり、または当業者ならば過度の実験をせずに選択することができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、本発明の膜は、単一層の材料(例えば、無機材料)を含んでいてもよい。ある種の実施形態では、膜は、第1の面と第2の面との間で測定された約30ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、厚さは、約20ミクロン未満、約10ミクロン未満、または約5ミクロン未満であり得る。
【0014】
幾つかの実施形態では、膜は、例えば、平均細孔サイズからのサイズの逸脱が約10%(ある場合にはわずか約5%)を超える細孔が全細孔の約5%以下であるように、比較的均等な細孔サイズの分布を有するように構築される。本明細書で使用する場合、「細孔サイズ」は、顕微鏡的に、例えば、可視光顕微鏡法または走査型電子顕微鏡法(SEM)のいずれか一方または両方を使用して決定することが可能で、細孔の円周上の2点を結びかつ細孔開口部の幾何学的中心を通った、膜の表面に平行な最短線の長さを指す。
【0015】
当業者に公知である微細加工技術を使用して、細孔の断面形状(円形状、楕円形状、三角形状、不規則形状、正方形状または長方形状など)、数、および寸法は、特定の応用例に適するように変化させることができる。好適なまたは潜在的に好適である種々の微細加工技術は、例えば、Silicon processing for the VLSI Era、第2版、第1巻、S. WolfおよびR. N. Tauber、Lattice Press、Sunset Beach、CA(2000年);M. J. Bowden、「A Perspective on resist Materials for fine line lithography」、Materials for Microlithogranhy, Advances in chemistry Series, # 266、American Chemical Society、Washington,D.C.、第3章、39〜117頁(1984年)に収録;D. Nyyssonen、「Optical Linewidth Measurement on Patterned Wafers」、SPIE proceedings、第480巻、Integrated Circuit Metrology、65頁(1984年);およびJ.D. Cuthbert、「Optical Projection Printing」、Solid State Technology、59頁、1977年8月;において考察され、これらの各々は参照により組み込まれる。例えば、細孔は本質的に円形状の断面形状を有していてもよい。ある場合には、細孔は、膜が暴露され得る種の最小断面寸法より小さい最小直径を有していてもよい。ある場合では、細孔サイズは、膜が暴露され得る種よりずっと大きく選択してもよい。さらに、細孔の空間的分布は、少なくとも約50%の細孔が直近の隣接した細孔から約25ミクロン未満に配置されるように、公知の技術を使用して制御することができる。幾つかの実施形態では、細孔は、約2〜3%以下のサイズ偏差で約0.2ミクロンから約100ミクロンの平均細孔サイズを有することができる。ある種の実施形態では、最小細孔サイズは、少なくとも約1ミクロンである。典型的には、細孔の空間的分布は、直近の隣接した細孔間の距離が約1〜50ミクロンであり得るものであってよい。各々の場合には、上記で参照した、隣接している細孔を隔てる距離は、特定の細孔の円周周辺とその直近の隣接した細孔の円周周辺を結ぶ最短距離を指す。
【0016】
フォトリソグラフィーが発明の膜を加工する技術として使用される実施形態では、細孔サイズは、使用する特定のリソグラフィーマスクの設計上/描画上の特徴的サイズによって決定され得る。細孔の間隔は使用する材料と採用するリソグラフィー用具との組合せによって決定され得る。優位的な機械的安定性を有する膜を加工するには、細孔の間隔は、直近の隣接した細孔間の距離が約2ミクロン以上であり得るものであってよい。膜の厚さは、基質材料上に堆積する薄膜の厚さに依存し、例えば、約200nmから約2ミクロンまで幅広く変化し得る。
【0017】
幾つかの実施形態では、膜は、ある種の実施形態では細胞接着層および細胞でコーティングされているが、少なくとも約1mmの面積を有し、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも30%の光透過率を示す少なくとも1つの部分を含んでいてもよく;他の実施形態では、そのような部分(複数可)中で、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも40%または少なくとも50%の光透過率を示し得る。1つの実施形態では、SiN膜は、UV光の透過を遮蔽することができ、UV光は細胞膜の変性および細胞死を引き起こす恐れがあるため、例えば環境検出システムに有利であり得る。UV光が膜によってシステムから本質的に濾波され得るため、このことによって、そのようなデバイスの構成を単純化することができる。
【0018】
本発明の膜はまた、膜の表面にまたは膜の表面をコーティングする材料に、様々な種の接着を可能にすることができ、またはそのように改変してもよい。例えば、細胞および/またはタンパク質などの生体分子を、例えば細孔の側壁に沿った区域または膜の表面上の細孔間の区域を含む膜の種々の部分に対して固定化することができる。幾つかの実施例では、そのような種は、他の区域ではなく膜のある区域に優先的に接着することができる。例えば、そのような種の実質的に全てが、細孔間の区域にではなく、膜の細孔と同一の広がりを有する領域内に、細孔内に、または細孔と重複して接着することができる。種が細孔と同一の広がりを有する領域内に、細孔内にまたは細孔と重複して接着したとき、種の少なくとも一部分が、膜の側面と平行な平面で細孔の断面区域に渡って膜と結合または付着した材料に付着するように、細孔のサイズを決定することができる。ある場合には、種は、そのような細孔の断面区域と同一の広がりを有する領域内のみに接着することができる。ある場合には、さらに以下に記載し図2Bに例示するように、種は、例えば細胞などの種が実質的に細孔を密封するように、そのような細孔の断面区域の実質的な大部分と同一の広がりを有する領域内に接着することができる。
【0019】
本発明の幾つかの物品は、膜の少なくとも1つの面に対して付着、固定化、またはそうでなければ結合した細胞または他の生物学的種などの特定の種を、優先的に誘引および/または結合させるように選択された接着性材料を含んでいてもよい。例えば、膜の他方の面が細胞を含有する培地に暴露しているとき、膜の少なくとも1つの細孔に渡る、ある場合には膜の少なくとも1つの細孔を閉塞する層内に含有および/または存在することにより細胞に暴露された細胞接着性材料を含む領域内に細胞が接着できるように、膜の面の一方の表面上に配置された細胞接着性材料を含んでいてもよい(例えば、図1を参照)。ある種の実施形態では、接着性材料は細胞接着性材料である。本明細書で使用する場合、「細胞接着性材料」という用語は、細胞が接着する可能性のある任意の化学的または生物学的材料を指してもよい。ある種の実施形態では、そのような細胞接着性材料は、膜の少なくとも1つ面の表面に付着した連続層として構成される。そのような細胞接着性材料層は、例えばコラーゲンもしくは多糖類とコラーゲンの混合物、抗体、細胞表面受容体に対するリガンド、抗原、レクチン、インテグリン、セレクチン、プロテインAもしくはプロテインGなどの細菌由来親和性分子、その誘導体、その混合物、またはコラーゲン、ゼラチン、アガロース、アクリルアミド、キトサン、セルロース、デキストラン、アルギン酸塩、カラゲナンなどのゲルもしくは他の層形成材料と結合した上記任意ものなど、生体細胞の膜またはその構成要素に特異的または非特異的に結合することができると当技術分野において公知の様々な種の任意のものを含んでいてもよい。
【0020】
1つの実施形態では、細胞接着性材料層は、細孔を介して膜の対向する第2の面に(すなわち、膜の第2の面に接触している環境に)暴露されるように、膜の第1の面上に配置してもよい。図1は、本発明のそのような実施形態の一例を示す。図1aは、複数の細孔20を備えた膜10を示す。接着性材料層30は、膜の対向する第2の面への細孔と同一の広がりを有する領域に暴露されるように、膜の第1の面上に形成および配置することができる(図1b)。膜の第2の面を細胞40に暴露すると、細胞40が、暴露した接着性材料30に接着し、複合物品46を形成することができる。接着性材料は、細胞または細胞表面に結合している種(例えば、受容体、イムノグロブリンなど)などの特定の標的種に優先的に結合するように選択してもよい。図1cに例示されているような本発明のシステムは、細胞を表面に接着したままで検査することができ、多数の細胞型の生存率は細胞接着に依存する可能性があるため、細胞挙動の研究に有用であり得る。例えばコラーゲンに接着した細胞は、例えば、長時間にわたるインキュベーションにおいてそれら細胞の分化状態を維持することができる。
【0021】
他の実施形態では、細胞接着性材料は、膜の任意の部分上にまたは膜の任意の部分に沿って配置されてもよい。例えば、細胞接着性材料層は、細孔内で細胞の接着を達成するために、細孔の側壁に沿って配置してもよい。細胞接着性材料層はまた、細孔開口部の表面にのみ配置してもよい。あるいは、細胞接着性材料層は、膜の細孔間の表面上にのみ配置してもよい。この層は、膜上の単一の箇所にまたは膜上の箇所の組合せに配置してもよい。当業者は、特定の応用例に適合するように細胞接着性材料層の配置を選択できよう。
【0022】
ある場合には、単一の細孔に、単一の細孔内に、または単一の細孔と同じ広がりを有する領域内に単一細胞のみを接着させるように、細孔のサイズを決定することができ、それによって、物理的に単離された複数の単一細胞が膜の表面上に配列されることを可能にし、そこでは、表面上の細胞の空間的分布が細孔の空間的分布に相関する。これは、細胞が膜表面上の種々の箇所に無差別に接着する可能性がある多数の従来型システムと比べて有利であり得る。ある場合には、使用中に、細孔の少なくとも50%が単一細胞を各細孔に付着させることができる。ある場合には、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%である。
【0023】
本発明の物品は、細胞および/または他の生物学的実体の研究用に構成されたデバイスに組み込まれていてもよい。例えば、ある種の実施形態では、本明細書に記載された膜はマルチチャンバ装置内で使用してもよく、その装置は、第1および第2のコンパートメントが膜によって分離され、例えば流体を含有するように構築および配置された、第1のコンパートメントおよび第2のコンパートメントを少なくとも備える。すなわち、このデバイスは、少なくとも1つのコンパートメントを含有してもよく、コンパートメントは壁によって囲まれ、少なくとも1つの壁は膜を備える。このコンパートメントには、流体環境などの、膜が暴露され得る環境を含有することが可能であってもよい。この装置はさらに、膜に隣接して配置された流体の、各コンパートメント内での含有を容易にするように構築および配置された構成要素を備えていてもよい。例えば、この装置は、流体を膜に接触させて配置することを可能にする、種々のインレット、アウトレット、ポンプなどを備えていてもよい。図2Aは、本発明のそのような実施形態の例示的な例を示す。既に記載のように、膜10および細胞接着性材料30ならびに接着した細胞40を備えた複合層46は、この層がチャンバ60とチャンバ90を分離するように、デバイス50内に配置されている。流路70、80、および100は、デバイス内へ流体および/または他の構成要素を導入し、またはデバイスから流体および/または他の構成要素を除去するために使用してもよい。細胞40は、細胞40の頂部分42および底部分44がそれぞれ、膜の対向する面上に存在する異なる環境に暴露し得るように、細孔20上または細孔20内に接着できる。細胞の頂部分42は、膜の上部表面22と接触している一方の環境に暴露され得るが、細胞の底部分44は、膜および/または細胞接着性材料の底部表面24と接触している別の環境に暴露され得る。
【0024】
幾つかの実施形態では、膜を備えた本発明のデバイスは、組織増殖のモニタおよび制御を可能にするように構成することができる。マトリックス表面への細胞接着の重要な局面を制御できず、規則性が不良な組織形成を生じさせるある種の従来型の組織増殖および工学用のプラットフォームとは異なり、本発明のある種の実施形態により提供されるある種のプラットフォームは、細胞増殖を導くための確定した構造を有し、高度に規則的で、かつ生理学的に正しい組織の産生を促進させ得る。また、そのような発明の材料は、組織の増殖および発生に影響する要因および条件の研究に役立ち得る。幾つかの実施形態では、本発明の膜を備えた物品は、表面上に接着した細胞の規則的配列を形成する能力を有することができ、それは細胞および組織の定方向増殖を促進することができる。
【0025】
表面上に接着した細胞の間隔を制御する能力は、生物学的作用物質および/または生体分子に対する細胞の応答、および/または個別の細胞応答、または細胞間シグナル伝達、または他の細胞間相互作用を研究するための、種々の応用例に特に有用であり得る。幾つかの実施形態では、膜は、接着した細胞の規則的配列を含むことができ、すなわち単一細胞が膜の表面にわたって単一細孔と同一の広がりを有する領域に付着することができ、ある場合では、膜の少なくとも1つの面が生体分子および/または生物学的作用物質に暴露された際に、生体分子および/または生物学的作用物質への細胞の暴露の影響を迅速にスクリーニングすることができる。幾つかの実施形態では、細胞の第1のセットは膜表面に接着することができ、膜の少なくとも1つの面上で、癌細胞など細胞の第2のセットを含む環境に暴露され得る。細胞の第1のセット(例えば、接着した細胞)と細胞の第2のセットとの間の細胞間相互作用は、ある場合では、接着した細胞の特定の部分でモニタすることができる。本発明のある種の膜は、膜が十分に薄く(例えば、40ミクロン未満の厚さ)、膜の対向する面上の細胞が細孔を介して互いに接触できるため、細胞間相互作用の研究に特に有用であり得る。
【0026】
本発明の膜を備えた物品に接着した細胞はまた、例えば、細胞上の抗体、抗原、増殖および制御因子などの有効性および/または細胞毒性、またはそれらのある種の機能を、例えばスクリーニングするために、他の生体分子および/または生物学的作用物質(例えば、タンパク質、抗体など)に暴露されてもよい。さらに、細胞の挙動、機序、およびプロセスも研究が可能である。例えば、膜を備えた物品の底部表面24の、生物学的作用物質を含む環境への暴露は、ある場合には、特に細胞の底部分44(図2B)での、生物学的作用物質に対する細胞応答の研究を可能にし得る。
【0027】
上述したように、ある場合には、本発明の物品は、例えば細胞培養用の、マルチチャンバ灌流システム中に組み込まれてもよい。図2Aは、そのような応用例のために構成された本発明の例示的実施形態を示す。本明細書に記載のように細胞接着性材料層でコーティングされた膜を備えた物品46は、この物品がチャンバ60とチャンバ90を分離するように、デバイス50中に配置されている。流路70は、流体および/または他の構成要素が物品の上部表面22に接触するように、チャンバ60に流体および/または他の構成要素を導入するために使用してもよい。流路100は、流体および/または他の構成要素が物品の底部表面24に接触するように、チャンバ90にまたはチャンバ90から流体および/または他の構成要素を導入および/または除去するために使用してもよい。
【0028】
幾つかの実施形態では、膜を介した流体の交換は、細胞接着層30および/または細胞40の存在により実質的に妨げることができる。例えば、流体の交換は、膜を介して膜の第1の面と第2の面との間で起こらず、または膜表面積1cm、1時間当たり流体1cm未満の割合で起こってもよい。図2Aに示された例示的実施形態では、膜/細胞接着層/付着細胞の複合体は、チャンバ60とチャンバ90の間の実質的な流体の交換を妨げることができる。
【0029】
幾つかの実施形態は、膜上に配置された細胞を含むことができ、細胞が細孔と同一の広がりを有する領域に、細孔内の領域に、または細孔と重複した領域に固定化されたとき、細胞がそのような細孔を実質的に密封できるように、細孔のサイズを決定する。例えば、細孔は、接着した細胞によって覆われる、かつ/または密封されるほど十分に小さくあり得るサイズを有することが可能で、細胞の少なくとも一部分が、膜の表面(例えば表面22)に平行な平面にとられた細孔の断面区域と同一の広がりを有する領域の実質的な大部分に接着することができる。
【0030】
図2Bに示すように、細孔20が実質的に密封されて、例えば膜の両面間の流体の交換または拡散が、細胞40自体を介して起こる場合を除き、妨げられるように、細胞40は、細孔20の領域内で細胞接着層30に接着することができる。ある場合には、細胞は、細胞との相互作用による膜を通したある種の交換(例えば、細胞を通した/介する拡散および/または能動輸送)しか可能にしない場合がある。例えば、膜の1つの面は、細胞が細胞膜を介して吸収し、細胞生存および増殖を促進し得る種を含む環境に暴露していてもよい。同様に、細胞はまた、細胞膜を介して他方のチャンバ中に種々の種を排出することができる。1つの例示的な実施形態では、細胞40は、細孔20の領域内で細胞接着層30に接着したとき、頂部分42および底部分44が、(図2Aに例示したような)2チャンバシステム中の異なる液状環境に暴露され得るように、頂部分42(例えば、頂端膜)および底部分44(例えば、基底膜)を備えていてもよい。そのような1つの実施形態では、流路70は、酸素、窒素、二酸化炭素、栄養素、培地などをチャンバ60中に運搬するために使用してもよく、それらの1つまたは複数が細胞の細胞部分42(例えば、頂端膜)を介して細胞中に輸送され得る。次いで、老廃物は、細胞部分44(例えば、基底膜)によって細胞からチャンバ90中に分泌され得る。流路100は、老廃物をデバイス50の外部に輸送するために使用されてもよい。したがって、長期の細胞培養の期間を通じて、高い細胞生存率が維持され得る。
【0031】
本発明の別の態様は、細胞遊走を研究するための方法を提供する。細胞遊走は、例えば細胞が、特異的な部位に向かって特定の方向に運動することが必要であり得る、創傷治癒、組織形成(例えば修復、胚発生などの発生など)、疾患進行(例えば、癌の進行)、および/または免疫応答の研究に重要であり得る。例えば、創傷治癒(例えば、皮膚性または血管性創傷治癒)の初期段階は、損失または損傷細胞を置換する細胞分裂ではなく、創傷区域中への細胞遊走を伴う可能性がある。本発明の方法は、本明細書に記載したように膜の第1の面に細胞を提示すること、および細胞の、細孔を介した膜の第1の面から膜の第2の面への遊走を決定することを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、この方法は、膜の表面に細胞を接着させること、および例えば、少なくとも2つの細孔間で表面を横切る細胞の遊走を決定することを含んでいてもよい。細胞の遊走は、当業者に公知の方法により決定することができる。ある例では、細胞は、膜の第1の面から細孔に進入可能であり、細胞遊走は、膜の第2の面から細孔を出る細胞数を測定することによりモニタすることができる。
【0032】
ある場合には、本発明の膜は、細胞遊走誘導または阻害作用物質を含んでいてもよく、「細胞遊走作用物質」は、ある区域を横切る、例えば創傷区域中への細胞の遊走を促進または阻害する可能性のある、任意の化学的または生物学的種であってよい。細胞遊走作用物質は、1つまたは複数のポリヌクレオチド、タンパク質、糖質、脂質、有機分子、合成または天然の薬剤、および/または当業者に公知である他の細胞遊走作用物質を含んでいてもよい。細胞遊走研究のために使用される本発明の膜は、細孔の側壁、細孔の入り口、膜の1つまたは複数の面の表面、または膜の他の任意の部分もしくは部分群に沿って配置され、場合によって付着している細胞遊走作用物質を含んでいてもよい。ある場合には、細孔のサイズは、細孔内への細胞の進入および/または細孔を介した細胞の遊走を促進するように、十分に大きくてもよい。
【0033】
本発明の膜は、ある種の実施形態では無機材料を主に含んでいてもよく、またはある種の実施形態では無機材料から本質的になっていてもよく、または他の実施形態では無機材料からなっていてもよい。無機材料は、例えば、任意の好適な金属酸化物(複数可)および/または金属窒化物(複数可)であってもよい。ある場合には、無機材料は、SiN、SiO、Al、TiO、および/またはTiNを含んでいてもよい。特定の実施形態では、無機材料はSiNを含む。前述したように、無機材料は、特定の応用例に適合するように選択することができる。例えば、無機材料は、細胞との生体適合性に基づいて選択することができ、すなわち無機材料は、実質的に無毒であり得る。ある場合には、無機材料は、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも30%の光透過率を示すことができる。
【0034】
膜は、前述したように、当技術分野で公知の、任意の各種好適な微細加工技術を使用して形成され得る。例えば、微細打抜き、フォトリソグラフィー、エッチング、ステンシル印刷、または他のシリコン微細加工技術などである。ある種の実施形態では、例えば、膜が細胞培養および/または細胞アッセイ用に構成された装置内で使用されるある種の実施形態では、フォトリソグラフィー技術を使用すれば、有利には膜を形成することができる。幾つかの実施形態では、膜または膜の前駆体は、金属窒化物層を形成するために、当技術分野で公知の方法により窒化され得る。例えば、窒化皮膜は、窒素環境(例えば、アンモニアなど)への暴露に際し、または、化学気相堆積法、パルスレーザー堆積法、真空プラズマスプレー法、湿式スプレー法、スパッタ法、蒸発法、分子ビームエピキタシ法などの任意の化学的および/または物理的堆積プロセスにより、シリコンウェハ上に形成され得る。
【0035】
幾つかの実施形態では、生物学的種は、膜、および/または膜に付着した、またはそうでなければ膜に対して固定された、または膜と結合した接着層に接着することができる。生物学的種は、細胞、またはタンパク質およびペプチドなどの生体分子、抗体などを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、生物学的種は、哺乳類細胞または細菌細胞などの細胞であってもよい。ある場合には、肝細胞または足場依存性の細胞もしくは細胞株を研究することができる。
【0036】
本発明の、これらの、および他の実施形態の機能および利点は、下記の実施例からより詳しく理解し得る。以下の実施例は、本発明のある種の実施形態を例示するが、本発明の全範囲を例証しない。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
サイズが約3ミクロンから約30ミクロン(SEM経由で測定)までの範囲にある細孔と、約3ミクロンから約18ミクロンまでの範囲にある細孔間隔とを有する窒化ケイ素膜を、以下に記載のように、公知の技術を使用して微細加工した。まず、Radio Corporation of America(RCA)社洗浄技術を使用して4インチシリコン<100>ウェハを洗浄し、窒素中で回転乾燥して、シリコンウェハの表面上に存在し得る任意の汚染物質を取り除いた。次に、ジクロロシランおよびアンモニア(それぞれ95sccm、16sccmで)の雰囲気ガス流動中で、低応力窒化物の層(1μm)を、800℃、200mtorrで成長させた。堆積した窒化ケイ素皮膜の測定された応力は、伸張性を有した(180MPa)。窒化ケイ素皮膜の厚さはFilmetrics社製干渉計で測定し、皮膜の平均の厚さは、全ウェハについて2%未満で変化した。窒化物膜上の細孔は、まずAZ7220フォトレジストをウェハ上で回転させることにより、ウェハの前面上にパターン形成した。次に、クロムマスクを介してフォトレジストをEVG620接触式アライナで露光し、露光したウェハをShipeley社製MIF−300現像機で現像した。ウェハをハードベークした後、窒化ケイ素皮膜を、50mTorrの圧力で、10sccmのOおよび100sccmのCHFで、Alcatel社製誘導結合型プラズマエッチャを使ってエッチングした。同一のリソグラフィーおよびエッチングプロセスを使用して、背面エッチング窓をパターン形成した。80℃のN−メチルピロリドン(NMP)の超音波漕中で、フォトレジストを剥ぎ取った。最後に、ウェハを脱イオン水ですすぎ、回転乾燥した。ウェットエッチング用の片面エッチング保持器中にウェハを位置させることにより、窒化ケイ素膜上の細孔を暴露した。この膜を、90℃の25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)中でエッチングした。最後に、ウェハを脱イオン水およびメタノールですすぎ、空気乾燥した。細胞パターン形成のために以下の実施例4で使用された膜は、比較的均等な細孔サイズ分布を有し、細孔は約18ミクロンの細孔サイズおよび約8ミクロンの細孔間隔を有した。
【0038】
(実施例2)
コラーゲン溶液(0.012NのHCl中の1.5重量%のペプシン可溶化1型ウシ皮膚コラーゲンの滅菌溶液(Vitrogen(登録商標)コラーゲンインソルーション(Collagen In Solution)、Nutacon BV、オランダ))を、実施例1に記載されたように加工された微細加工化多孔質窒化ケイ素膜の一方の面に接触させることにより、コラーゲンの細胞接着層を形成した。加工された窒化ケイ素表面上での、水およびコラーゲン溶液の接触角度は、それぞれ49.2°および48.4°であった。親水性表面は、コラーゲン溶液が窒化膜上で均一に拡散して、膜表面上の均一な層としてゲル化するのを可能にした。
【0039】
(実施例3)
パターン形成されていない窒化ケイ素膜を介した光透過率を、Agilent社製8453型UV−可視分光光度計を使用して測定した。図3は、(a)ガラス(曲線A)、(b)コラーゲンをコーティングしたガラス(曲線B)、(c)窒化ケイ素膜(曲線C)、(d)コラーゲンのゲル層がコーティングされた窒化ケイ素膜に接着した細胞(曲線D)を介した光透過率を示す。光透過率は、窒化ケイ素薄膜内の光干渉のため、波長の変化と共に変動した。細胞/コラーゲン/パターン形成されていない窒化ケイ素膜を含有する堆積物を介した光透過率は、パターン形成されていない窒化ケイ素膜を介した光透過率よりほんの少し低いだけであった。したがって、細胞およびコラーゲンの存在による光吸収は、有意ではなかった。しかしながら、堆積物の厚さが増大するため、変動に位相変位が観察された。細胞層/コラーゲン/窒化ケイ素膜を介した光透過率は、500〜1000nmの波長では50%より高いことが見出され、このプラットフォームは、標準的な蛍光技術で非侵襲的に細胞を評価およびモニタするために使用され得ることが実証された。
【0040】
(実施例4)
実施例1に記載されたように加工された窒化ケイ素膜を、一方の面上にコラーゲンでコーティングし、細胞を、図1に模式的に示したように、コーティングされた膜に接着した。パターン形成された窒化ケイ素膜を、最初にこの膜を120℃で1時間オートクレーブすることによって、細胞培養用に準備した。次に、40μlの1.5mg/mlコラーゲン溶液を、4℃で膜の背面上にピペットで注下した。コラーゲンは、O恒温器中で1時間、37℃でゲル化させた。続いて、膜を裏返し、50μlの初代肝細胞懸濁液(10細胞/ml)で被覆した。この細胞を、ヘパトザイムSFM培地(Hepatozyme SFM culture medium)(Gibco Laboratories、カリフォルニア)中で45分間、暴露されたコラーゲン上に接種した。次いで、膜を培地中で洗い、2mlの培地で満たされた12ウェルプレート中に位置させた。
【0041】
膜の表面は微細パターン化されているため、数多くの細胞を一段階で窒化ケイ素膜上に配置することができた。本技術を実証するため、膜の裏面上にコーティングされたコラーゲンを持つ細孔配列(約18ミクロンの平均細孔サイズを持つ、1mm×1mmの細孔配列)を、膜の前面上の細胞懸濁液に暴露した。暴露されたコラーゲン上に細胞を接着させ、4時間置いた。細胞が多孔質窒化ケイ素膜上に接種された膜の前面の光学顕微鏡写真は、細胞がそれら自身を細孔の上方に配置したことを示す(図4)。約80%の細孔が、細孔当たり1つの単一細胞で被覆されたことを観察した。近隣細胞と接触していたより大きな細胞は、互いに接着して細胞連鎖を形成した。培養5日後、肝細胞は、窒化ケイ素膜をコーティングしたコラーゲン層に固定化されたままであった。これらの結果は、本技術が、多数の単一細胞型バイオセンサーを生み出すハイスループットプロセスを開発するために使用できることを示す。
【0042】
(実施例5)
次いで、実施例4に記載されたプロセスに従って調製した、接着した細胞を有する膜を、走査型電子顕微鏡法(SEM)を使用して研究した。最初に、2%のグルタルアルデヒド中で一晩細胞を固定する(膜に対して固定される)ことにより、SEM試料を調製した。次に、濃度が増加する(10%段階で30%〜100%)一連のエタノール溶液中に引き続いて浸漬させることにより、細胞を脱水した。次いで、Tousimis社製臨界点乾燥機を使用して細胞を持つ膜を乾燥させ、プラチナを試料表面にスパッタした。図5のSEM顕微鏡写真は、窒化ケイ素膜の裏面上にコラーゲンゲルがコーティングされた微細加工化細孔の上部に配置された単一細胞を示す。コラーゲンゲルは、細孔を介して窒化ケイ素膜の前面に浸透せず、細孔上方/内に単一細胞を正確に配置するのを可能にした。
【0043】
本発明の幾つかの実施形態が本明細書に記載および例示されているが、当業者は、機能を実施するためのおよび/または本明細書に記載の結果または利点を得るための、様々な他の手段および構造を直ちに想定であろう。そうした変異、改変、および改良の各々は、本発明の範囲内であると見なされる。より一般的には、本明細書に記載された全てのパラメータ、材料、反応条件、および構成は例示的であることが意図され、実際のパラメータ、材料、反応条件、および構成は、本発明の教示内容が使用される具体的な用途に依存すると、当業者は直ちに理解しよう。当業者は、本明細書に記載された本発明の具体的な実施形態に相当するものを数多く認識し、または定常を越えないほどの実験を使用して確定することができよう。それゆえ、前述の実施形態は例示のためのみに提示され、添付の特許請求の範囲およびそれに相当するものの範囲内において、本発明は具体的な記載とは異なって実行され得ると理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載の各個別の特性、システム、材料、および/または方法を対象とする。加えて、2つ以上のそのような特性、システム、材料、および/または方法の任意の組合せは、そうした特性、システム、材料、および/または方法が相互に矛盾しない限り、本発明の範囲内に含まれる。本請求項において(上記明細書においても同様に)、「備える」、「含む」、「運搬する」、「有する」、「含有する」、「で構成される」、「で作られている」、「で形成される」、「伴う」などの、全ての移行句または内包語句は、開放的に、すなわち、「含むが限定されない」という意味に解釈されるべきであり、それゆえ、追加項目と同様にその後に列挙する項目およびそれに相当するものを包含する。「からなる」および「から本質的になる」という移行句または内包語句のみが、それぞれ閉鎖的または半閉鎖的語句として解釈されるべきである。本明細書および本請求項において使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、それに反すると明記されていない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0044】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「および/または」という語句は、結合される要素、すなわち、ある場合には接続的に存在し、別の場合には非接続的に存在する要素の「いずれか一方または両方」を意味すると理解されるべきである。他の要素は、「および/または」節によって具体的に特定された要素以外に、具体的に特定されたそれらの要素に関連している、または関連していないにかかわらず、任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、1つの実施形態では、Aのみを(B以外の要素を任意選択で含む);別の実施形態では、Bのみを(A以外の要素を任意選択で含む);さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(他の要素を任意選択で含む);等を指し得る。本明細書および本請求項において使用される場合、「または」は、上記で定義されたような「および/または」と同一の意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストにある項目を分割する際に、「または」または「および/または」は、包括的であるとして、すなわち、数多くのまたは列挙された要素の少なくとも1つ(1つより多くのものも含むが)と、任意選択で列挙されていない追加項目とを包括するとして、解釈されるべきである。「〜の1つのみ」または「〜の正確に1つ」など、それに反すると明記された用語のみが、数多くのまたは列挙された要素の正確に1つの要素を包括することを指す。一般的に、本明細書で使用する場合、「または」という用語は、「いずれか一方」、「〜の1つ」、「〜の1つのみ」または「〜の正確に1つ」などの、排他性の用語が先行する場合のみ、排他的代替性(すなわち「一方または他方であるが両方ではない」)を示すと解釈されるべきである。
【0045】
1つまたは複数の要素リストに関して、本明細書および本請求項において使用される場合、「少なくとも1つ」という語句は、他に指示がない限り、要素リストの1つまたは複数の任意の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素リスト内に具体的に列挙された1つ1つ全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、要素リスト中の要素の任意の組合せを除外しないと理解されるべきである。この定義はまた、具体的に特定されたそれらの要素に関連する、または関連しないにかかわらず、「少なくとも1つ」という語句が指す要素リスト内で具体的に特定された要素以外に、要素が任意選択で存在してもよいことも許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または、同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態では、Bが存在せずに、複数を任意選択で含む、少なくとも1つのA(かつB以外の要素を任意選択で含む);別の実施形態では、Aが存在せずに、複数を任意選択で含む、少なくとも1つのB(かつA以外の要素を任意選択で含む);さらに別の実施形態では、複数を任意選択で含む、少なくとも1つのA、および複数を任意選択で含む、少なくとも1つのB(かつ他の要素を任意選択で含む)等を指し得よう。
【0046】
特許および公開出願を含む、本明細書で引用された全ての参照文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書と、参照により組み込まれた、かつ/または本明細書に参照された文書とが、矛盾する開示内容および/または技術用語の不統一な使用を含み、かつ/または、それらが本明細書での使用または定義と異なって、組み込まれた/参照された文書が用語を使用または定義する場合、本明細書が優先する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態に従った細胞ベースの器具を模式的に例示する。
【図2A】図2Aは、本発明の1つの実施形態に従った2チャンバシステムを模式的に例示する。
【図2B】図2Bは、本発明の1つの実施形態に従った、膜内の細孔に接着した細胞を例示する。
【図3】図3は、(a)ガラス基材、(b)コラーゲン付きのガラス基材、(c)窒化ケイ素膜、および(d)コラーゲンおよびコラーゲンに接着した細胞付きの窒化ケイ素膜、を介した光透過スペクトラムを示す。
【図4】図4は、コラーゲンでコーティングされた多孔質窒化ケイ素膜上に接種された細胞の光学顕微鏡写真を示す。
【図5】図5は、窒化ケイ素膜の裏面からコラーゲンゲルでコーティングされた微細加工化細孔の上部に配置された単一の細胞のSEM顕微鏡写真を示す。
【図1A】

【図1B】

【図1C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜を備えた装置であって、該膜は、
第1の面;
対向する第2の面;および
該膜の第1の面から第2の面までを貫通する複数の細孔を備え、
該膜は主に無機材料を含み、
該装置は細胞培養用および/または細胞アッセイ実施用に構成された、装置。
【請求項2】
流体を含有するように構築および配置され、前記膜によって分離されている、第1および第2のコンパートメント;および
前記膜に隣接して配置された流体の、各コンパートメント内での含有を容易にするように構築および配置された構成要素
をさらに備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記細孔を介して前記対向する第2の面から暴露されるように前記膜の第1の面上に配置された細胞接着性材料層
をさらに備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記細胞接着性材料層が前記複数の細孔の少なくとも一部を閉塞する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記細胞接着性材料層が前記複数の細孔の本質的に全てにおいてを閉塞する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記細胞接着性材料層がコラーゲンを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記無機材料が金属酸化物および/または金属窒化物である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記無機材料が窒化ケイ素である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約30ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約20ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約10ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約5ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の細孔の平均細孔サイズからのサイズの逸脱が約10%を超える細孔が、全細孔の約5%以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の細孔の平均細孔サイズからのサイズの逸脱が約5%を超える細孔が、全細孔の約5%以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記細孔の少なくとも約50%が、直近の隣接する細孔から約25ミクロン未満に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記膜が、少なくとも1つの部分を含み、該部分は、少なくとも約1mmの面積を有し、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも30%の光透過率を示す、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記膜が、少なくとも1つの部分を含み、該部分は、少なくとも約1mmの面積を有し、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも40%の光透過率を示す、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記膜が、少なくとも1つの部分を含み、該部分は、少なくとも約1mmの面積を有し、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも50%の光透過率を示す、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記膜の第2の面上に配置され、前記細胞接着性材料層に付着した細胞をさらに含み、前記膜上での前記細胞の空間的分布が前記細孔の空間的分布によって導かれるように、各付着細胞が単一細孔と結合している、請求項3に記載の装置。
【請求項20】
細胞培養および/または細胞アッセイ用の物品であって、
第1の面および対向する第2の面を有する膜;
該膜の第1の面から第2の面までを貫通する複数の細孔、および
該細孔を介して対向する第2の面と接触する環境に暴露され、該複数の細孔の少なくとも一部を閉塞するように、該膜の第1の面上に配置された該細胞接着性材料層
を備えた物品。
【請求項21】
前記細胞接着性材料層が前記複数の細孔の本質的に全てにおいてを閉塞する、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約30ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項20に記載の物品。
【請求項23】
前記複数の細孔の平均細孔サイズからのサイズの逸脱が約10%を超える細孔が、全細孔の約5%以下である、請求項20に記載の物品。
【請求項24】
前記細孔の少なくとも約50%が、直近の隣接する細孔から約25ミクロン未満に配置されている、請求項20に記載の物品。
【請求項25】
少なくとも約1mmの面積を有し、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも30%の光透過率を示す前記膜の少なくとも一部を備えた少なくとも1つの部分を含む、請求項20に記載の物品。
【請求項26】
第1の面、対向する第2の面、および膜の第1の面と第2の面との間を貫通する複数の細孔を含む膜を用意すること;
該膜上に該細胞を配置することであって、ここで、細胞が実質的に該細孔を密封し、流体が該膜を通して該膜の第1の面と第2の面との間を流れるのを実質的に妨げるように該細孔がサイズ決定される、こと;
該膜の第1の面を第1の流体に、該膜の第2の面を第2の流体に暴露することを含み、流体の交換が、該膜を通して第1の面と第2の面との間で起こらないか、または膜表面積1cmあたり1時間当たり流体1cm未満の割合で起こる方法。
【請求項27】
前記膜が主に無機材料を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記膜が、前記細孔を介して対向する第2の面から前記細胞に暴露されるように前記第1の面上に配置された細胞接着性材料層をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞接着性材料層が前記複数の細孔の少なくとも一部を閉塞する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞接着性材料層が前記複数の細孔の本質的に全てにおいてを閉塞する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞接着性材料層がコラーゲンを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記膜が主に無機材料を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記無機材料が金属酸化物および/または金属窒化物である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記無機材料が窒化ケイ素である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約30ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約20ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約10ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約5ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記複数の細孔の平均細孔サイズからのサイズの逸脱が約10%を超える細孔が、全細孔の約5%以下である、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
前記複数の細孔の平均細孔サイズからのサイズの逸脱が約5%を超える細孔が、全細孔の約5%以下である、請求項26に記載の方法。
【請求項41】
前記細孔の少なくとも約50%が、直近の隣接する細孔から約25ミクロン未満に配置されている、請求項26に記載の方法。
【請求項42】
前記膜が、少なくとも1つの部分を含み、該部分は、少なくとも約1mmの面積を有し、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも30%の光透過率を示す、請求項26に記載の方法。
【請求項43】
前記膜が、少なくとも1つの部分を含み、該部分は、少なくとも約1mmの面積を有し、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも40%の光透過率を示す、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記膜が、少なくとも1つの部分を含み、該部分は、少なくとも約1mmの面積を有し、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも50%の光透過率を示す、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記膜に前記細胞を付着させることをさらに含み、前記膜上での前記細胞の空間的分布が前記細孔の空間的分布によって導かれるように、各細胞を単一細孔上に付着させる、請求項26に記載の方法。
【請求項46】
第1の種が前記細胞の第1の部分を介して前記細胞に入ることができ、第2の種が前記細胞の第2の部分を介して前記細胞から出ることができるように、前記細胞の第1の部分が第1の流体に暴露され、前記細胞の第2の部分が第2の流体に暴露される、請求項26に記載の方法。
【請求項47】
第1の面および対向する第2の面、ならびに前記膜の第1の面と第2の面との間を貫通する複数の細孔を有する膜を用意すること;
該膜の少なくとも第1の面に細胞を提示すること;および
こうした細胞の少なくとも1つの、前記細孔を介した第1の面から第2の面への遊走を決定することを含む方法。
【請求項48】
前記膜が主に無機材料を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記膜が細胞接着性材料層と接触している、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞接着性材料層が前記複数の細孔の少なくとも一部を閉塞する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記細胞接着性材料層が前記複数の細孔の本質的に全てにおいてを閉塞する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記細胞接着性材料層がコラーゲンを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記膜が主に無機材料を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記無機材料が金属酸化物および/または金属窒化物である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記無機材料が窒化ケイ素である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約30ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約20ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項58】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約10ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項59】
前記膜が、前記第1の面と第2の面との間で測定された約5ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つの部分を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項60】
前記複数の細孔の平均細孔サイズからのサイズの逸脱が約10%を超える細孔が、全細孔の約5%以下である、請求項47に記載の方法。
【請求項61】
前記複数の細孔の平均細孔サイズからのサイズの逸脱が約5%を超える細孔が、全細孔の約5%以下である、請求項47に記載の方法。
【請求項62】
前記細孔の少なくとも約50%が、直近の隣接する細孔から約25ミクロン未満に配置されている、請求項47に記載の方法。
【請求項63】
前記膜が、少なくとも1つの部分を含み、該部分は、少なくとも約1mmの面積を有し、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも30%の光透過率を示す、請求項47に記載の方法。
【請求項64】
前記膜が、少なくとも1つの部分を含み、該部分は、少なくとも約1mmの面積を有し、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で少なくとも40%の光透過率を示す、請求項47に記載の方法。
【請求項65】
前記膜が、少なくとも1つの部分を含み、該部分は、少なくとも約1mmの面積を有し、約400nmから約800nmまでの波長の範囲内の少なくとも1つの波長で、少なくとも50%の光透過率を示す、請求項47に記載の方法。
【請求項66】
前記膜に前記細胞を付着させることをさらに含み、前記膜上での前記細胞の空間的分布が前記細孔の空間的分布によって導かれるように、各細胞を単一細孔上に付着させる、請求項47に記載の方法。

【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−521951(P2009−521951A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549499(P2008−549499)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/049082
【国際公開番号】WO2007/081543
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508201466)エージェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチ (13)
【Fターム(参考)】