説明

組成物

蜂蜜および超吸収性材料を含んでなる組成物。病巣を治療する方法であって、蜂蜜および超吸収性材料を含んでなる組成物を病巣に適用する工程を含んでなる方法。本発明の組成物を製造する方法であって:(a)少なくとも1つのタイプの蜂蜜を提供する工程;(b)少なくとも1つの超吸収性材料を提供する工程;ならびに(c)蜂蜜と超吸収性材料とを組み合わせる工程を含んでなる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、より詳細には、病巣の治療に使用するために適切である蜂蜜を含有する組成物に関する。
【0002】
明らかに先行して刊行された文書の列挙または考察により、必ずしも、これらの文書を、最新の技術の一部であるか、または共通の一般的知識であると承認すべきではない。
【背景技術】
【0003】
病巣の治療では、手当用品を、一般的に長期間、病巣に適用することは有用である。多数の異なるタイプの広範な手当用品が使用されており、そして手当用品の選択は、病巣の性質および場所、感染の存在または危険性および産生される滲出物の量を含む多くの因子、ならびに手当用品の適合性およびその粘着特性のような因子、およびまた、患者の可動性および敏捷性のような患者に関連する因子に依存する。
【0004】
手当用品の適用の主な理由は、病巣の治癒を容易にし、そして加速すること;悪臭を防止すること;痛みを最小限にすること;感染を予防および無効にすること;滲出物を吸収すること、ならびに瘢痕組織を減少させることである。
【0005】
病巣の治癒は、しばしば、感染によって悪化し、治療を困難にする。病巣の感染を浄化するために局所的および全身的の両方で使用される広範な製品(ヨウ素製剤などを含む)が存在する一方、感染性病巣の主な治療介入は、全身性抗生物質の使用である。しかし、現存の抗細菌治療は、多様な有効性を有し得、そしていくつかは、組織の障害および治癒プロセスの遅延を引き起こすことが示されている。これに対し、蜂蜜は、対応する組織障害を伴わずに治癒プロセスを実際に促進するようである。歴史的に、蜂蜜は、治癒特性を有することが同定されている。しかし、最近、所定の蜂蜜の抗微生物特性および病巣管理におけるそれらの潜在的使用が注目されている。
【0006】
New Zealandでは、レプトスペルマム・スコパリウム(Leptospermum scoparium)から誘導されるマヌカ樹木に基づく蜂蜜製品において同定される「独特のマヌカ因子」(UMF)活性、ならびにオーストラリア植物種レプトスペルマム・ポリガフォリウム(Leptospermum polygalifolium)およびレプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)から生成される他の活性型蜂蜜製品において同定される活性は、感染病巣に関して有用であることが示されている。それでもなお、通常の蜂蜜にもまた、非感染病巣に対する応用があり得る。
【0007】
いくつかの特定の蜂蜜(特に、マヌカ蜂蜜)の有益な特性には、その抗細菌性、非過酸化活性、ならびにその過酸化活性の両方が含まれる。これらの蜂蜜の非過酸化抗細菌活性は、様々な種類の細菌の増殖を阻害すること、および細菌増殖の所望されない副産物(bi−product)の産生を制限することが示されている。少なくとも10%非過酸化活性(10%フェノール当量)を伴う蜂蜜では、そのような治療価値が実証されている。さらに、少なくとも12%非過酸化活性を伴うマヌカ蜂蜜は、抗炎症特性を有し、典型的に、1グラムあたり5カウント未満のコロニー形成単位(CFU)にまで発熱物質の計数を減少させる。少なくとも12%非過酸化活性を有し、低い粒状性および軽微な毒性(例えば、実質的に毒性が認められない)を有するマヌカ蜂蜜は、医療用蜂蜜と称される。そのような医療用蜂蜜は、例えば、一般細菌数によって決定されるように、バイオバーデンが低い。
【0008】
蜂蜜の病巣への適用は、先行技術内において公知である一方、病巣に適用される手当用品に関する蜂蜜の使用はなお、開発途上である。
【0009】
手当用品を病巣に適用する場合、手当用品自体が病巣に接着しないことが重要である。手当用品をはがす時に、例えば皮膚置換などにおいて、治癒しつつあるが完治していない場合があり、その皮膚の表面が手当用品に接着し、そして手当用品をはがす時にはがれてしまうことがある。理解できるように、これは、全体的に治癒プロセスおよび回復を遅延させる。さらに、治癒プロセスは、通常、感染が病巣から浄化されないかぎり生じない。
【0010】
医療用マヌカ蜂蜜のようなUMF蜂蜜を含む蜂蜜に基づく製品は、適切な手当用品と併せて使用される場合、病巣の管理において役割を果たす。蜂蜜に基づく手当用品は、本来的に、病巣症例においてそれらが使用される多くの特性を有する。これらの特性は:a)過剰な滲出物の浸透圧吸収;ならびにb)本来の過酸化(抗細菌)活性;(病巣床部の酸化による病巣浄化および救済の両方である);ならびにc)病巣床部への有益な栄養素の供給を含む。
【0011】
蜂蜜は、ある領域に適用することができる一方、蜂蜜は通常、流動性であるため、適用を特定の場所に固定することが困難である。(現存する包帯またはガーゼのような)吸収性材料を使用しても、蜂蜜の病巣領域への適用およびその維持にかかわる本来の問題を首尾よく行えていない。滲出性病巣がこの問題を悪化させるのであれば、上記の問題を克服する形態で蜂蜜と併せて適切な手当用品を生成する必要性が認められる。
【0012】
加えて、病巣治癒を容易にするために、蜂蜜は、好適な粘度(蜂蜜の特定の処理を介して達成されたかどうかにかかわらない)である、および/または濃縮された有益な特性を含むことが好ましい。
【0013】
湿潤病巣の管理における蜂蜜の使用に利点を提供する(空気中から水分を吸収することが可能な)蜂蜜の吸湿性の特徴を最大限に利用することもまた、有益である。
【0014】
従って、a)非感染ならびに感染病巣を含む病巣の管理に関して;b)湿潤病巣管理の実践の要件を満たすため;c)取り出す場合、全体的な治癒を遅延し得る手当用品の使用とは対照的に、治癒隔壁を促進するため;ならびにd)活性型蜂蜜および/または好適な特性を伴う蜂蜜をより高い割合で含有する蜂蜜に基づく製品を含む、使用し得る蜂蜜に基づく手当用品の使用を開発することは有利である。
【0015】
現代のハイドロコロイド創傷手当用品は、湿潤性手当用品として現在好適であり、そして蜂蜜に基づく組成物におけるハイドロコロイドの使用については、先に記載されている。国際公開第03/047642号パンフレットは、蜂蜜およびカルボキシメチルセルロース(CMC)のような改善されたセルロース高分子を含んでなる創傷手当用品を開示しており、そして国際公開第07/045931号パンフレットは、蜂蜜ならびにカルボキシメチルセルロースおよびその塩のようなセルロース誘導体を含んでなる組成物を開示している。米国特許公開第2006/0099166号明細書は、蜂蜜に基づく皮膚製剤を開示しており、ここで、蜂蜜は、アクリル単量体またはその誘導体に基づく水性高分子ゲル内に捕捉される;しかし、超吸収性ポリマーを使用することについては、言及または示唆されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
先行技術の手当用品および組成物は、多くの創傷に典型的である過剰の創傷滲出物を吸収および含有する能力に限界がある。例えば、感染した創傷および細菌がコロニー化した創傷は、周囲の組織および新たに形成した細胞への障害を引き起こす高いレベルの創傷滲出物、漏出を伴う。従って、より高いレベルの滲出物を吸収および含有することができる手当用品の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くべきことに、そして意外にも、本発明者らは、高い吸収能と蜂蜜の治療効果とを組み合わせて、病巣内の細菌負荷を減少または排除し、それによって病巣治癒を容易にする、蜂蜜および超吸収性材料を含んでなる組成物を考案した。超吸収性材料は、蜂蜜を含有する格子構造を形成する。高滲出物の病巣創傷上に配置する場合、滲出物は、浸透圧勾配により選択的に浸透性であり得る超吸収性材料を通過する。同時に、滲出物が流入し、そして蜂蜜を保持するより弱い分子間力を破壊する時に置き換えられることによって、蜂蜜は、超吸収性材料から押し出される。滲出物は、より強い(水素)結合によって、膨潤性の超吸収性材料内に保持される。それ故、組成物は、作用して、蜂蜜の制御型放出を送達する一方、病巣の治癒に有害な過剰な病巣滲出物を吸収する。
【0018】
本発明の第1の態様は、蜂蜜および超吸収性材料を含んでなる組成物を提供する。
【0019】
蜂蜜の抗微生物活性は、(i)例えば、病巣のような感染部位に添加する場合、過酸化水素を発生するその能力、即ち、過酸化に基づく抗微生物活性;および(ii)蜂蜜における植物由来の添加物、即ち、非過酸化に基づく抗微生物活性を介して仲介される。
【0020】
蜂蜜における過酸化に基づく抗微生物活性は、蜂由来のすべての蜂蜜中の酵素グルコースオキシダーゼの活性から誘導され、そして適用部位における希釈時に過酸化水素の産生を生じる。この活性は、カタラーゼ感受性である。それ故、蜂蜜が病巣に適用される場合、その過酸化に基づく抗微生物活性は、適用部位において組織によって(例えば、細菌によって)産生され、そして過酸化水素を分解する酵素カタラーゼによって減弱される。過酸化に基づく抗微生物活性はまた、抗微生物活性をさらに減少させる、感染部位においてカタラーゼを含有する血液および血清などの体液による希釈に対して特に感受性である。
【0021】
蜂蜜の非過酸化に基づく抗微生物活性は、天然の蜂蜜が作製されるプロセス中に蜂蜜に組み入れられる植物に基づく添加物から誘導される。これらの添加物は、過酸化に基づく抗微生物活性に関連する制限によって妨げられない。それ故、治療目的により有用であり、カタラーゼの影響に、より非感受性であるため、非過酸化に基づく抗微生物活性を伴う蜂蜜がより望ましい。非過酸化活性を伴う蜂蜜を活性型と言い、そして非過酸化活性を示さない蜂蜜を非活性型と言う。
【0022】
蜂蜜の抗微生物特性は、フェノール当量に関して測定される。蜂蜜のフェノール当量は、例えば、国際公開第07/009185号パンフレットに記載の寒天拡散法を使用して決定し、そしてMicrobiology Standard Methods Manual for the New Zealand Dairy Industry(1982)に記載の阻害物質に対するパンチプレートアッセイから適応することができる。簡単に説明すると、テンプレートとして準ラテン方格を使用し、100μlの微生物、例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus. aureus)を播種した寒天シートを切り込んで、64ウェルを作製する。サンプルがプレート上に無作為に配置されることを確実にするために、準ラテン方格を使用し、交差部の直上部で白色の磁器用鉛筆を使用して、交差部を典型的に番号付けした。一次蜂蜜溶液を、ユニバーサル容器(universal)中で、10gのよく混合された蜂蜜を10mlの蒸留水に添加することによって調製し、そして37℃で30分間置いて、混合を促進させる。二次溶液を調製するために、全活性試験では、1mlの一次蜂蜜溶液を、ビジュー容器(bijou)中1mlの蒸留水に添加し、そして非過酸化活性試験では、1mlの一次蜂蜜溶液を、1mlのカタラーゼ溶液に添加する(全活性から非過酸化活性を差し引くことによって、過酸化活性を決定することができる)。典型的に、2%、3%、4%、5%、6%、および7%の標準物質を、水中フェノールBDH A.R.の10%w/v溶液から調製するが、より高いフェノール濃度の標準物質もまた、生成することができる。各標準物質を、例えば、2つのウェルに配置して、2回測定で試験する。サンプルおよび標準物質の適用後、プレートを、典型的に、個々のラック上で、即ち、相互に積み重ねずに、典型的に18時間、37℃でインキュベートする。プレートを、黒色の準ラテン方格に戻して置き、管の内径を測定するために使用される端片の尖端を使用して、デジタルキャリパーにより阻害ゾーンの直径を測定する。各ウェルの周りの澄明なゾーンの平均粒子径を計算し、そして平方する。標準物質を使用して、澄明なゾーンの平均粒子径の平方に対するフェノール%の標準的なグラフをプロットする。例えば、Cricket Graphソフトウェアを使用して、最も適合する直線部分を適合し、そしてこの線の式を使用して、澄明なゾーンの直径の平均の測定値の平方から、それぞれ希釈された蜂蜜サンプルの活性を計算する。次いで、この数字に、蜂蜜の密度に依存する希釈倍率を乗じて、最終当量のフェノール濃度(%w/v)を得る。例えば、マヌカ蜂蜜の密度が1.35g/mlであるとすると、この数字に、4.69の倍率を乗じる。
【0023】
本発明の組成物において使用する蜂蜜が活性型蜂蜜である場合、特にここでは、組成物は、細菌などが感染した部位に対して使用されることが好適である。活性型蜂蜜は、グラム陽性、グラム陰性の嫌気性および好気性細菌を含む広域スペクトルの細菌に対して有効であることが実証されている。しかし、非活性型蜂蜜もまた、単独で、または活性型蜂蜜との組み合わせのいずれかで使用することができる。
【0024】
活性型蜂蜜は、最適な治療価値である10%フェノール当量を要する。従って、本発明の組成物中の蜂蜜は、少なくとも10%、例えば、少なくとも11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%もしくは20%のフェノール含有量を伴う溶液と同等な抗微生物活性を有することが好ましい。しかし、ある範囲の他の蜂蜜もまた、多かれ少なかれある程度の活性特性を実証し得、そしてまた、本発明と共に使用し得る。
【0025】
活性型蜂蜜の例として、独特な非過酸化活性(抗微生物活性)、ならびに過酸化活性(酸化および/または浄化活性)が実証されているレプトスペルマム(Leptospermum)属の植物(特に、マヌカ、レワレワなど)から誘導されるものが挙げられる。例えば、マヌカ蜂蜜は、非過酸化に基づく抗微生物活性を有するNew Zealandの植物レプトスペルマム・スコパリウム(Leptospermum scoparium)から誘導される蜂蜜の1つのタイプである。類似の蜂蜜が、レプトスペルマム・ポリガフォリウム(Leptospermum polygalifolium)およびレプトスペルマム・サブテニュー(Leptospermum subtenue)から生成されている。
【0026】
好適な実施形態では、蜂蜜はマヌカ蜂蜜である。マヌカは、マオリ族の許可を得てのみ使用することができるマオリ族の言葉である。さらに、マヌカUMFは、Active Manuka Honey Association(AMHA)によって管理されており、そしてAMHAライセンス契約番号によってのみ使用することができる。それ故、蜂蜜は、AMHAによって承認されたUMF(登録商標)マヌカ蜂蜜であってもよい。マヌカ蜂蜜は、レプトスペルマム・スコパリウム(Leptospermum scoparium)植物由来の花粉を含有し、そして例えば、少なくとも10%のフェノール含有量を伴う溶液と同等な非過酸化活性を示す蜂蜜であることが理解されよう。しかし、好ましくは、少なくとも10%、例えば、少なくとも11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%当量のフェノール濃度を有する他の活性型蜂蜜を使用することもできる。
【0027】
特に好適な実施形態では、蜂蜜は、少なくとも12%当量のフェノール濃度を有し、低い粒状性および軽微な毒性(例えば、実質的に毒性が認められない)を有する医療用蜂蜜である。上記のように、そのような医療用蜂蜜は、バイオバーデンが低い。医療用蜂蜜は、典型的に、50μmでろ過して、花粉以外の粒子を取り出し、そして例えば、1S09935USP87に記載のような細胞障害性試験を使用して、毒性を評価することができる。特に好適な実施形態では、蜂蜜は医療用マヌカ蜂蜜である。
【0028】
多くの蜂蜜は、活性特性が実証されていないが、それにもかかわらず、特に、非感染湿潤性病巣の管理目的のために組成物を使用するために、単独または活性型蜂蜜と併せて使用して、本発明の組成物を生成することが理解される。非活性型蜂蜜の過酸化活性は、新たに収穫されたときが最も高い。従って、蜂蜜の過酸化活性は、新たに収穫された蜂蜜の過酸化活性にほぼ類似する場合が好ましい。好ましくは、蜂蜜の過酸化活性は、新たに収穫された蜂蜜の活性の少なくとも60%、例えば、活性の少なくとも70%、80%または90%、より好ましくは、新たに収穫された蜂蜜の活性の少なくとも95%または99%である。
【0029】
蜂蜜の組み合わせを使用して、本発明の組成物を生成することができることが理解されよう。しかし、非活性型蜂蜜の過酸化活性は、高濃度の遷移金属カチオンのため、活性型蜂蜜と混和した場合、迅速に分解されると考えられる。従って、活性型蜂蜜が他の活性型蜂蜜と組み合わされ、そして非活性型蜂蜜が他の非活性型蜂蜜と組み合わされる場合が好ましい。
【0030】
本発明者らは、「超吸収性材料」とは、水分子との水素結合を介して水溶液を吸収および保持し、そして脱イオンおよび蒸留した水において、その乾燥重量の少なくとも25倍、例えば、その乾燥重量の800倍までを吸収することができる任意の材料を意味するものとみなす。材料が水を吸収する能力は、水溶液のイオン濃度の因子である。水溶液中の価カチオンの存在は、材料が水分子に結合する能力を妨害する。0.9%生理食塩溶液中に置く場合、超吸収性材料の吸収性は、典型的に、その乾燥重量の約50倍にまで低下する。典型的に、本発明の組成物において使用される超吸収性材料は、脱イオンおよび蒸留した水中の場合、その乾燥重量の少なくとも25、50、75、100、150、200または250倍を吸収し、より典型的には、その乾燥重量の少なくとも300、350、400、450、500、550、600、650、700、750または800倍を吸収する。病巣床部における場合、超吸収性材料が、その重量の少なくとも25、50、75、100、200または250倍を吸収する場合が好ましい。材料が超吸収性であるかどうかを決定するのに適切な試験は、AATCC Test Method79−2007,Absorbency of Textilesである。
【0031】
好ましくは、超吸収性材料は、超吸収性ポリマー(SAP)である。
【0032】
SAPは、ポリアクリル酸ナトリウム塩(時々、架橋ポリアクリル酸ナトリウムと称される)を形成させるための、開始剤の存在下で水酸化ナトリウムと共に混和されたアクリル酸の重合から、一般に作製される。しかしまた、他の単量体を使用してもよい。例えば、OASIS Super−absorbent fibre(OASIS SAF(登録商標))は、アクリル酸、アクリル酸メチルおよび少量の特定のアクリレート/メタクリレート系単量体(SAMM)の架橋三元共重合体であり、ここで、アクリル酸は、部分的に、アクリル酸のナトリウム塩に中和される。高分子鎖間の架橋は、アクリル酸中の酸性基とヒドロキシプロピルメタクリレート中の水酸基との間の反応によるエステル基として形成される。
【0033】
本発明における使用に適切なSAPとして、架橋ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、架橋カルボキシ−メチル−セルロース、ポリビニルアルコール共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、架橋ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルのデンプングラフト共重合体およびOASIS SAF(登録商標)が挙げられる。
【0034】
好ましくは、SAPは、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド共重合体およびOASIS SAF(登録商標)のような中和されたアクリル酸の高分子である。OASIS SAF(登録商標)は、編織繊維の外観および改善された触感の特徴を有する一方、極めて柔らかい触感の布を生成する可能性を付与する。それは白色、無臭であり、そして吸収性顆粒状材料(AGM)に極めて類似の化学を有する。そのような顆粒状吸収剤と比較して、OASIS SAF(登録商標)は、取り扱い、包含、および利用可能な処理経路が容易である点で有益である。特に好適な実施形態では、SAPは、約2mmの厚さで重量が150g/mであるTechnical Absorbents Ltd,Grimsby,Lincs,UK(Product Reference2577)より利用可能なOASIS SAF(登録商標)であるが、いずれのOASIS SAF(登録商標)のタイプを使用してもよく、そして重量が100〜350g/mの間のタイプが利用可能であることが留意される。
【0035】
SAPを生成する方法は、当該技術分野において周知であり、そしていずれの適切な方法を使用してもよい。一般的に、高分子は、溶液重合または懸濁重合のいずれかによって生成される。溶液に基づく重量は、最も一般的な方法であり、水に基づく単量体溶液を使用して、一塊の反応物質の重合ゲルを生成する。重合自体の反応エネルギー(発熱反応)は、多くのプロセスを駆動し、それによって、製造コストを最小限にする。反応物質の高分子ゲルを細断し、乾燥し、そしてその最終粒度に粉砕される。最終粒度を作製した後、SAPの性能の特徴を増強するためのあらゆる処置が行われる。懸濁重合は、より高い程度の生成制御および重合工程中のプロダクトエンジニアリングを付与する。このプロセスでは、水に基づく反応物質を炭化水素に基づく溶媒に懸濁する。最終的な結果として、懸濁重合は、反応容器中で主な高分子粒子を作製するのであって、反応後の段階で、機械的に作製するのではない。性能の増強は、反応段階中または直後に誘導することができる。
【0036】
粒子に加えて、SAPはまた、繊維として生成してもよい。OASIS SAF(登録商標)の製造は、水中での高分子化、それに続く、高分子を乾燥および硬化するための熱気流中の水性高分子溶液の押し出し成形を含んでなり、それによって、不溶性高分子繊維を生成する。原材料から高分子への極めて高い変換率が達成される。水分を繊維に添加して、処理を促進させてもよく、そして繊維は、ある範囲の繊維長に正確に切断される。また、OASIS Super Absorbent技術を使用して、フィラメント糸(OASIS−FIL)および高分子溶液(OASIS−PS)を生成することができ、本発明の組成物では、それらのいずれを使用してもよい。
【0037】
SAPの全体の吸収性および膨潤能は、高分子に対する架橋のタイプおよび程度によって制御される。低密度の架橋SAPは、一般的に、より高い吸収能を有し、そして大きな程度で膨潤する。これらのタイプのSAPはまた、より柔らかく、かつより付着性のゲルを形成する。高い架橋密度の高分子は、より低い吸収能および膨潤を示す。ゲル強度は、より堅固であり、そして適度の圧力下では粒子形状を維持することができる。組成物の要求された吸収性に依存して、低いおよび高い密度の架橋SAPの両方を使用することができる。それ故、組成物を使用して、多量の滲出物を伴う病巣を治療する場合、低い密度の架橋SAPが好適であるが、滲出物の産生が最小限である病巣では、高い密度の架橋SAPを使用してもよい。
【0038】
病巣への適用が容易であるため、組成物が半固体の撓みやすいシートの形態である、即ち、シートが可撓性である場合が好ましい。例えば、組成物は、指の圧力によって形状に成形するか、もしくは曲げてもよく、またはそれを簡単に掛けて、そして手当用品によって覆われる領域の形状に順応させてもよい。好ましくは、組成物は、それが、好適な治癒を実行するために、病巣の表面に密接に接触することができるようなものである。組成物が半固体で撓み易いかどうかを試験するために、編織材のドレープを評価するために開発された片持ち梁試験を使用してもよく、これは、当該技術分野において周知である。この試験では、縁にかけた場合、それ自体の重量下で曲がる布の長さを介して、ドレープを測定する。材料がより撓む場合、材料は、それ自体を支持する能力がより低い。典型的に、撓みやすいシートは、例えば、縁の上に配置された15mm以下のシートを支持することが可能である。また、より最近設計された3次元測定技術を使用して、柔軟性を決定してもよく、これは、当該技術分野において公知である。
【0039】
本発明者らは、「シート」が、フィルム、ストリップ、パッチまたはロープの形態を含むものとみなす。
【0040】
蜂蜜を、超吸収性材料と組み合わせて、半固体の撓みやすいシートを形成させてもよい。例えば、SAPおよび蜂蜜の撓みやすいシートは、温間押し出しによって生成させることができる。製造の1つの方法では、SAPおよび蜂蜜を、フィードスロート(円筒体の後方部付近の開口部)へのホッパーフィードを介して組み合わせることができ、ここで、それらは、例えば、成分を効果的に混合するスクリューと接触させることによって、混合される。適切な押し出し成形機を、図1に例示する。混合物を調節するためのポジティブフィード制御を有することが望ましい。スクリューは、典型的に、120rpmで回転し、そして混合物を、蜂蜜に対して所望されるプロセス温度(典型的に、35℃〜50℃、例えば、35℃〜45℃の間)に加熱される円筒体に押し込む。加熱プロファイルは、3つ以上の独立したPID制御加熱ゾーンが、円筒体の温度を、後方部(ここで、混合物が進入する)から前方部へ徐々に増加する円筒体に対して、通常、設定される。円筒体における温度調節は、強制空冷鋳込みヒータージャケットによって成され得、そして塔または水道の水(mains water)との熱交換における閉ループの蒸留水が、しばしば使用される。円筒体を通過した後、混合物が型に進入する。型は、最終製品に、そのプロファイルを付与し、そして混合物が究極的に円筒プロファイルから製品プロファイル形状に流動するように設計される。製品は、例えば、熱交換または冷風の吹き付けによって、冷却される。冷却はまた、1組の冷却ロール(圧延ロール)を介して製品を引くことによって、達成してもよい。これらのロールは、必要な冷却を送達するだけではなく、シートの厚さおよび表面の感触(構造化されたロールの場合)を決定する。冷却段階/延圧段階の直前に、混合物と、構造を強化するのに適切な材料、例えば、合成もしくは天然由来の不織地、織地、編地または他の編織材、あるいは高分子フィルム、例えば、ポリウレタン、ポリプロピレンまたはポリエチレンフィルムとを組み合わせることもまた可能である。
【0041】
あるいは、超吸収性材料を含んでなる半固体の撓みやすいシートに、蜂蜜を含浸させてもよい。
【0042】
蜂蜜を含浸させようとするシートは、層構造であってもよい。例えば、それは、超吸収性粒子(例えば、超吸収性粉末または結晶)の少なくとも1つが散在しているセルロース圧縮材料(例えば、ティッシュペーパー)の少なくとも1つの層を含んでなり得る。典型的に、重量が1平方メートルあたり10〜35gの間であるティッシュペーパーが使用される。しかし、他の適切な材料を使用して、例えば、ポリエステルのような超吸収性粒子が散在している支持層構造を提供してもよい。層の数は、典型的に、同じ単量体の同じ程度の架橋が与えられたシートの吸収能を決定する。
【0043】
一例は、Gelok International,P.O.Box69,Pine Lake Industrial Park,Dunbridge,Ohio43414−0069USAから入手可能なGelokである。Gelok製品は、典型的に、2つのセルロースシート間の複合ポリアクリレート積層構造−超吸収高分子ベースからなる。吸収性の程度は、使用した高分子の量によって決定される。他の材料をコアに添加して、多様な新たな性能の特徴を生成してもよい。基質の特徴もまた、天然の生分解(流すことが可能(flushability))のためのエアレイドティッシュまたは耐久性のためのポリエステル不織地のような他の材料のしようによって、確認することができる。
【0044】
あるいは、蜂蜜を含浸させようとするシートは、非層構造であってもよい。例えば、シートは、非層構造において超吸収性材料およびセルロース繊維を含んでなり得る。そのようなシート構造の生成については、欧州特許第0255654号明細書に記載されており、そして次の工程を含んでなる:(a)気流中において、セルロース繊維と超吸収性ポリマーとの密接な混合物の懸濁物を形成する工程;(b)前記懸濁物を、紙のシートを乾式成形するための単一または複数のヘッド部に供給する工程;(c)セルロース繊維と超吸収性ポリマーとの前記密接な混合物を、紙のシートを乾式成形するための可動ウェブ上に置く工程;および(d)そのようにして置かれた繊維および高分子の層を、樹脂分散(そのタイプの樹脂分散は、紙シートの乾燥成形に使用される)によって共に結合し、そして超吸収性ポリマーとセルロース繊維との混合によって構成されるシートが乾燥形成されるように紙シートを延圧する工程。そのようなシートは、吸収性、耐性および吸収された液体の分配の特徴を有し、これらの特徴は、層構造を含んでなる複合シートの特徴より良好と考えられる。しかし、セルロース繊維が、SAPに加えて液体を吸収するため、これらのシートは、一般的に、より湿潤性であり、そのため、病巣の治療に関して、上記の層化シートほど好適ではない。
【0045】
連続(ロールからロールへの)ディップコーティングによって、蜂蜜を含浸させてもよい。この方法では、所望の幅に予め切断した超吸収性シートのロールを、暖かい蜂蜜(典型的に、35℃〜50℃、例えば、35℃〜45℃の間)の浸漬タンクを介して、典型的に、一定速度で引き出し、その後、それを巻いてロール状にする。含浸させようとするシートは、蜂蜜のタンクにおいて表面の直ぐ下方に存在するだけでよいことが理解される。過剰な蜂蜜を取り出すためのブレード部を、ニップローラーと組み合わせて、タンクの出口点において一定圧を生じる。シートへの蜂蜜の含浸の程度は、潜没時間およびローラー圧下時間によって決定される。従って、タンク内の蜂蜜レベルおよびローラー圧下時間を調節することが重要である。タンク中の蜂蜜のレベルは、レベルが減少した時に、より多くの蜂蜜を浴槽に圧送することによって、維持される。典型的な滞留時間は、含浸させる材料に依存して、2〜6秒間の範囲である。速度は、材料の長さに沿った引張強度によって決定される。タンクから離れて、そしてニップローラーを通過した後、巻いてロール形態にする前に、含浸シートを乾燥する。ロールをさらに処理して、創傷手当用品として使用する長さに切断する。例えば、出現のバッチプロセスのような含浸の他の方法もまた使用し得ることも理解されよう。
【0046】
典型的に、シートの形態にある場合の組成物の厚さは、0.25mm〜10mmの範囲にある;例えば、シートは、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mmまたは10mmの厚さであってもよい。好ましくは、シートは、5mm、4mmまたは3mm未満の厚さであり、より好ましくは、2mm未満の厚さである。
【0047】
蜂蜜は、好ましくは、蜂蜜が超吸収性材料に飽和せず、それによって、病巣の液体成分を吸収する能力を残すように、超吸収性材料と組み合わされる。飽和は、液体の添加時に、超吸収性材料がもはや重量を増加しない点として定義される。それ故、蜂蜜は、さらなる蜂蜜の添加時に、材料がそれ以上重量増加しなかった場合、超吸収性材料に飽和する。より多くの液体を吸収するその能力が完全に使用される場合にのみ、超吸収性材料はゲルになることが理解される。好ましくは、蜂蜜は、材料の吸収能の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%または45%のような超吸収性材料の吸収能の5%〜50%の間を利用する。特に好適な実施形態では、蜂蜜は、材料の吸収能の10%未満、例えば、材料の吸収能の9%、8%、7%または6%を利用する。吸収能は、典型的に、飽和をもたらす最大用量率について測定される。例えば、超吸収性材料の所与の片について、10gの蜂蜜が最大用量率である場合、5gの蜂蜜が含有される時に材料の吸収能の50%が利用される。また、超吸収性材料を含んでなる含浸シートの吸収能と非含浸シートの吸収能との比較を使用して、吸収能の利用を評価することができる。
【0048】
いずれにせよ、蜂蜜が、超吸収性材料が液体を吸収する能力のすべてを利用しないように、蜂蜜は、超吸収性材料と組み合わされることが理解される。典型的に、蜂蜜は、超吸収性材料(例えば、繊維)を被覆し、そして吸収率を減少させるが、蜂蜜は、例えば、滲出物によって希釈されるため、吸収の能力は保存される。
【0049】
好ましくは、超吸収性材料は、水中の場合、その乾燥重量の少なくとも10倍、より好ましくは、その乾燥重量の少なくとも20、30、40または50倍を吸収することが可能であるように、蜂蜜は、超吸収性材料と組み合わされる。例えば、蜂蜜を、4:1の重量比で超吸収性材料と組み合わせる場合、超吸収性材料は、典型的に、水中の場合、その乾燥重量の10倍を吸収する。
【0050】
超吸収性材料がその構造内で蜂蜜を保持する能力が、材料の質量、密度およびタイプならびに使用する含浸方法に依存する。蜂蜜対超吸収性材料の重量比は、主に、組成物のシートの面積/サイズに依存する。飽和をもたらさない典型的な用量の蜂蜜は0.2g/cmであり、そのため、5cm×5cmのシートでは、用量は、5gの蜂蜜であり、そして10cm×10cmのシートでは、用量は、20gの蜂蜜である。それ故、シートは、0.1g/cm〜0.3g/cmの間、例えば、0.15g/cm〜3g/cmの間を含有してもよい。しかし、使用する超吸収性材料およびシートの厚さに依存して、要求される吸収能の利用を生じるこの範囲以外の他の用量も使用できることが理解されよう。
【0051】
典型的に、蜂蜜対超吸収性材料の重量比は、少なくとも2:1、例えば、少なくとも3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1および9:1、より典型的には、少なくとも10:1、例えば、少なくとも15:1、20:1、25:1および30:1である。しかし、例えば、超吸収性材料が粉末形態である場合、蜂蜜対超吸収性材料の重量比は、40:1または50:1まで、そしてなお、100:1、150:1または200:1までであってもよいことが理解される。
【0052】
組成物は、さらに薬剤を含んでなり得る。例えば、組成物は、任意の1つ以上の製薬、ゲル化剤、粘度改変剤、例えば、グリセリン、ビタミン、ホルモン、抗生物質、カチオン、または植物抽出物をさらに含んでなり得る。さらなる薬剤を添加する場合、医学に対する適合または意図される用途、経時的な安定性、蜂蜜との適合性ならびに所望される生理学的および治療特性を有する組成物を形成する能力に関するそのような因子を考慮しなければならないことが理解されよう。
そのような因子は、もちろん、意図される目的の使用の用件によって決定される。
【0053】
本発明者らは、蜂蜜および超吸収性材料を含んでなる組成物が、創傷液と接触する場合、液が吸収され、そして蜂蜜が、創傷へ放出されることを示した。それ故、組成物を使用して、蜂蜜の制御型放出を送達する一方、過剰量では、治癒に有害な滲出物を病巣から吸収する。さらに、蜂蜜および特定の活性型蜂蜜は、本発明の組成物が、例えば、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、例えば、黄色ブドウ球菌(S.aureus)およびメチシリン(methiciliin)耐性黄色ブドウ球菌(S.aureus)(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(Enterococcus)(VRE)を含む腸球菌(Enterococcus)、エシェリキア(Escherichia)、例えば、大腸菌(E.coli)、シュードモナス(Pseudomonas)例えば、緑膿菌(P.aeruginosa)、アシネトバクター(Acinetobacter)、例えば、A.バウマリ(A.baumarii)、ヘリコバクター(Helicobacter)例えば、H.ピロリ(H.pylori)およびナイセリア(Neisseria)、例えば、髄膜炎菌(N.meningitides)によって引き起こされる感染に対して有効であると考えられるように、抗微生物特性を有することが公知である。抗生物質耐性細菌は、本発明の組成物を使用する治療に特に従順であると考えられる。
【0054】
治癒に好適であることが公知である湿潤性創傷環境が維持されるように、蜂蜜含有組成物を、直接病巣に配置して、接触させることができることが望ましい。
しかし、(例えば、手当用品において)蜂蜜と、繊維のようなマトリックス材料とを組み合わせると、取り扱いが困難な接着性の製品が生じる。例えば、Advancis Medical由来のAlgivonおよびComvita由来のApi−Nateのような蜂蜜を含浸させたアルギン酸塩手当用品もしくは他のゲル形成繊維手当用品、または適用前に蜂蜜が直接塗布される任意の繊維質手当用品(例えば、Robinson Healthcare由来のGamgeeおよびConvatec由来のAquacel)は、接着性であり、取り扱いが困難である。さらに、蜂蜜含有組成物内の繊維が、混合される場合、例えば、超吸収性高分子繊維およびポリエステル(OASIS(登録商標)SAF)、またはそれらが、全体的に非ゲル化繊維(例えば、ポリエステル、ポリアミドもしくはポリプロピレン)からなる場合、非ゲル化繊維は、蜂蜜が滲出物によって十分に希釈される時、病巣床部に粘着する傾向を有する。おそらく、これは、治癒プロセス中の正常な状態として、病巣が乾燥し始める時に発生する。粘着した手当用品をはがすことは、痛みを伴い得、そして細胞の消失によって新たな組織形成が破壊され、それによって、病巣の治癒が破壊および遅延される。
【0055】
本発明者らは、今回、蜂蜜およびマトリックス材料を含んでなる組成物(例えば、蜂蜜を含浸させた繊維手当用品)の表面を、ゲル化剤、乾燥剤で被覆することによって、非ゲル化繊維の創傷への粘着の問題を克服する、接着性がより少なくかつ取り扱いがより容易な組成物が生成されることを実証した。ゲル化剤の被覆は、そのような組成物(例えば、蜂蜜を含浸させた繊維に基づく手当用品)が病巣床部に粘着する可能性を減少させるゲル化した材料の表面を作製する。ゲル化剤は、蜂蜜の接着性によって、蜂蜜含有組成物の表面上に保持され、そして成物の接着性がより少なくかつ取り扱いがより容易であるように、表面に対する蜂蜜の暴露を最小限にする隔壁を形成する。
【0056】
従って、本発明の第2の態様は、蜂蜜およびマトリックス材料を含んでなる組成物であって、ゲル化剤で被覆されている、組成物を提供する。
【0057】
病巣床部では、ゲル化剤の被覆は、最初に、滲出物を吸収し、そして組成物の表面上に非粘着性ゲル層を形成する。ゲル化剤は浸透性であるため、それは、液体の組成物への吸収を防止しないが、吸収率を減少させ得る。そのような遅延された吸収は、それが、蜂蜜の置き換えの割合を減少させ、そして組成物の潜在的磨耗時間を引き延ばす点で有利であり得る。蜂蜜は、ゲル化剤および滲出物によって形成されるゲル層に拡散し、そしてゲルの形態で病巣に対して利用可能になる。この活性な表面ゲルは、蜂蜜ゲルまたはハイドロコロイド−蜂蜜ゲルと考えられ得る。
【0058】
蜂蜜の性能については、本発明の第1の態様に関連して、上記で定義したとおりである。蜂蜜は、好ましくは、マヌカ蜂蜜のような活性型蜂蜜であり、そして典型的に、医療用蜂蜜である。
【0059】
本発明者らは、「マトリックス材料」が、病巣を治療するために使用することができる形態で共に蜂蜜を保持することができる任意の材料の意味を含むものとみなす。典型的に、マトリックス材料は、固体または半固体形態で共に蜂蜜を保持する。
【0060】
それ故、蜂蜜およびマトリックス材料を含んでなる組成物は、病巣手当用品としての使用に適切な組成物であることが理解されよう。例えば、それは、蜂蜜を含浸させた手当用品であってもよく、この場合、マトリックス材料は、手当用品に使用するために適切であるいずれの材料であってもよい。
【0061】
マトリックス材料は、合成もしくは天然由来の任意の不織地(例えば、フェルト)、織地、編地または他の編織材、あるいは高分子フィルム、例えば、ポリウレタン、ポリプロピレンまたはポリエチレンフィルムであってもよい。それは、ゲル化材料(例えば、超吸収性ポリマーのような繊維)および非ゲル化材料(例えば、ポリエステル、ポリアミドもしくはポリプロピレンのような繊維)のいずれか一方、または両方を含有してもよい。特に好適な実施形態では、マトリックス材料は、アルギン酸塩、より好ましくは、ガーゼ(例えば、編地ビスコースガーゼ)である。
【0062】
一実施形態では、蜂蜜およびマトリックス材料を含んでなる本発明の第2の態様の組成物は、ゲル化剤で被覆された本発明の第1の態様の組成物である。それ故、本発明は、蜂蜜および超吸収性材料を含んでなる組成物であって、ゲル化剤で被覆されている、組成物を提供する。しかし、マトリックス材料および蜂蜜を含んでなるいずれの組成物も、蜂蜜を含浸させた上記のマトリックス材料のいずれかのように、ゲル化剤で被覆され得る。
【0063】
本発明の第1の態様の組成物に関して、本発明の第2の態様の組成物が、シートの形態である場合が好ましい。好ましくは、シートは、適合性の病巣手当用品として使用され得る半固体の撓みやすいシートである。
【0064】
本発明者らは、「被覆された」は、組成物の表面がゲル化剤の層で覆われるという意味を含むものとみなす。好ましくは、組成物は、究極的にゲル化剤で被覆される。
【0065】
典型的に、ゲル化剤の層は、500μm未満の厚さであり、より典型的には、400μm、300μm、200μmまたは100μm未満の厚さであり、なおより典型的には、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、5μm、1μmまたは0.1μm未満の厚さである。
【0066】
本発明者らは、「ゲル化剤」が、液体の非存在下で、ゲルではない薬剤であって、この薬剤は、液体の存在下でゲルを形成することが可能であるという意味を含むものとみなす。この方法では、滲出物のような液体への暴露時に、ゲル層は、組成物の表面上で形成され、組成物が病巣床部に粘着する可能性を減少させる。ゲル化剤は、典型的に、食品、製薬および化粧品産業において使用され、調製物の一貫性または物理特性(例えば、濃密にされた食品)を制御し、そしてそのようないずれの薬剤も、本発明に使用することができることが理解される。好ましくは、ゲル化剤は、親水性のゲル化剤である。
【0067】
簡便には、摩擦係数(COF)を使用して、蜂蜜およびマトリックス材料を含んでなる非被覆型(即ち、ゲル化剤で被覆されていない)(UM)と被覆型(例えば、ゲル化剤で被覆されている)(CM)組成物とを比較し、これは、当該技術分野において周知である。例えば、ガラスのシート上に配置し、そして45度に傾斜させたUMは、蜂蜜の接着性により静止状態を保持するが、被覆型材料は、ガラスから滑り落ちる。ゲル化剤による被覆は、典型的に、少なくとも10倍、より典型的には、少なくとも50または100倍、COFを減少させる。UMおよびCMの両方のCOFは、液体の吸収後に変化するが、変化の割合は、マトリックス材料の性質および吸収される液他の量に関連する。しかし、CMは、潤滑剤として作用する表面ゲル化効果により、UMより迅速にそのCOFを減少させる。吸収が、時間経過と共に進行する場合、蜂蜜は、マトリックス内で希釈され、そしてCOFが変化する。マトリックス材料に依存して、UMおよびCMのCOFの差異は、等しい(ゲル化繊維マトリックスの場合)か、または増加するかのいずれかであり、例えば、蜂蜜自体が繊維上で潤滑剤として作用する時に滲出物によって、蜂蜜が希釈される場合、ガーゼ手当用品は、そのCOFを増加する。
蜂蜜またはゲル化剤のいずれかの非存在下で、非ゲル化マトリックス材料は、マトリックスと新たな組織とを統合させる新たな細胞増殖のためのマトリックスを提供する能力を有することが理解されよう。このことは、手当用品が、病巣床部に接着してはがすのが困難となる場合、明らかである。病巣床部に粘着した手当用品を容易にはがすために、しばしば、手当用品を(例えば、滅菌生理食塩溶液で)再水和させる必要がある。
【0068】
ゲル化剤の特定の例として、カラギーナン誘導体、セルロースポリマー、超吸収性ポリマー、アルギン酸塩およびハイドロ−繊維が挙げられる。好ましくは、ゲル化剤はセルロースポリマーであり、最も好ましくは、ゲル化剤はカルボキシ−メチル−セルロースである。
【0069】
ゲル化剤は、粉末またはシートまたは顆粒のような任意の形態を取り得ることが理解されよう。
【0070】
簡便には、ゲル化剤は、粉末または顆粒、例えば、超吸収性ポリマー、アルギン酸塩もしくはカルボキシ−メチル−セルロース粉末であり、蜂蜜含有組成物の表面を容易に被覆することができる。
【0071】
当該技術分野において公知の任意の適切な方法を使用して、本発明の組成物をゲル化剤粉末または顆粒で被覆してもよい。好ましくは、連続被覆法が使用される。表面被覆のための1つの方法は、簡単な「ダスティング」機械装置であり、漏斗に所望される被覆粉末または顆粒を充填し、そして振盪させて、粉末または顆粒を一定の割合で送達する篩(メッシュ)を介して、粉末または顆粒を送達する。被覆重量を、組成物(例えば、含浸させた材料)が篩を通過する速度を変動することによって、制御する。一連のローラーは、組成物(例えば、含浸させた材料)を180度回転させることができ、そして第2のダスティングヘッドが提供されて、組成物の他方の側を被覆する。もう1つの被覆方法は、ローラーが回転する時、制御された量の粉末または顆粒を送達するグラビアローラーを介して、漏斗から粉末または顆粒を移すことである。これはまた、組成物のいずれの側にも適用することができる。あるいは、粉末または顆粒噴霧法を使用してもよく、ここで、粉末または顆粒が、組成物(例えば、含浸させた材料)に噴霧される。
【0072】
あるいは、ゲル化剤は、シート、例えば、カルボキシ−メチルセルロースのような高分子を形成するゲルのシートであってもよく、または高分子およびさらなるゲル化剤(例えば、アルギン酸塩)の組み合わせのシートであってもよい。そのようなシートは、BioFilm Limited,Glasgow,UKより利用可能である。
【0073】
シートの形態の場合、本発明の組成物を、例えば、積層プロセスによって、ゲル化剤シートで被覆してもよく、ここで、ゲル化剤のシートを、蜂蜜含有組成物シート上に堆積させ、そして蜂蜜の接着性により表面に粘着させる。
【0074】
好ましくは、蜂蜜およびマトリックス材料を含んでなる組成物をゲル化剤で被覆すると、接着性が減少し、そして被覆後、少なくとも1、2、3、4、5または6箇月間、例えば、少なくとも7、8、9、10または11箇月間の期間、より好ましくは、被覆後、少なくとも1、2、3、4、5または6年間、取り扱いが改善される。
【0075】
上記で考察したように、本発明の組成物を使用して、蜂蜜の病巣への制御型放出を送達することができることが理解される。
【0076】
従って、本発明の第3の態様は、本発明の第1または第2の態様の組成物を含んでなる手当用品を提供する。そのような手当用品は、病巣の治療に適切であることが理解されよう。
【0077】
本発明者らは、「手当用品」が、病巣に適用することができる任意の覆いを含むものとみなす。本発明者らは、「病巣」が、感染および非感染擦傷、切断、咬傷、熱傷、創傷、潰瘍、膿傷、手術創、腫瘤形成性潰瘍および褥瘡を含むものとみなす。病巣は、好ましくは、例えば、皮膚への障害または損傷から生じる外部の病巣である。
【0078】
好ましくは、手当用品は、半個体の覆い、例えば、病巣への適用し易さのために撓みやすい、可撓性および適合性である覆いである。
【0079】
典型的に、手当用品は、好ましくは、シートの形態(例えば、半固体の撓みやすいシート)で、液体浸透性材料内に収容されている本発明の第1または第2の態様の組成物、即ち、液体の浸透性に対して耐性が実証されていない組成物を含んでなる。典型的に、手当用品は、すべての側が共に接続されている液体浸透性材料の2つのシート間に収容される。
【0080】
液体浸透性材料は、合成もしくは天然由来の任意の不織地、織地、編地または他の編織材、あるいは高分子フィルム、例えば、ポリウレタン、ポリプロピレンまたはポリエチレンフィルムであってもよい。不織布は、典型的に、小さな繊維を、共に、シートまたはウェブの形態で置き、次いで、それらを機械的に(フェルトの場合、繊維間摩擦がより強力な布を生じるように、鋸歯状の針と互いに咬み合わせることによって)、粘着剤により、または熱的に(粉末、ペースト、もしくは溶融高分子の形態で)結合剤を適用し、そして温度を上昇することによりウェブ上に結合剤を溶融することによって)結合させることにより、製造される。
【0081】
好ましくは、液体浸透性材料は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレンまたはポリエチレンのような高分子に基づく不織地材料である。不織材料は、一般に、吸収性手当用品パッドにおいて使用され、より経済的であり、容易に溶接され、そして広範な重量および表面処置において難なく利用可能であるため、それらは好適である。さらに、適切な熱延圧(calendared)仕上げを伴う不織地材料は、病巣床部に対して低い粘着性を示す。しかしまた、織地布を使用してもよい。
【0082】
液体浸透性材料の繊維密度は、好ましくは、100〜200、例えば、150〜180gsm(gm−2)の範囲にあるが、より軽いまたはより重い布を使用することも可能であり得る。しかし、例えば、70gsm以下のより軽い重量に布では、液体に対して実質的に不浸透性の手当用品を生成することはより困難であり得ることが理解されよう。
【0083】
手当用品は、液体の水に対して実質的に不浸透性であるが、水蒸気に対して浸透性である場合が好ましい。本発明者らは、「不浸透性」とは、液体の水(または生理食塩溶液のような水性液体)が構造を通して全体的には浸透せず、対向面に出現するわけではないことを意味するものとみなす。それ故、液体の水は、手当用品の一方の側を通過し、そして水蒸気が手当用品の他方の側から出現してもよい。これは、手当用品を(1996Addendum to the British Pharmacopoeia,p1943に記載の)「Paddington Cup test」に供することによって、試験することができ、ここで、生理食塩溶液が、1対のフランジ間に固締されたサンプルシートの上面に適用され、そして生理食塩水が24時間内にシートを通過するかどうかが決定される。具体的には、手当用品は、100cmあたり少なくとも600gの24時間水蒸気透過率および100cmあたり少なくとも500gの24時間全液体処理容量を達成することが可能である場合が好ましい。
【0084】
この方法では、手当用品は、湿潤条件においてその構造完全性を保持し、液体の水に対する隔壁を形成することが可能であり、そしてなお液体の水を吸収し、かつ安定した割合で実質的な量の水蒸気を透過するため、それは、滲出性病巣の治癒を支援する湿潤性病巣手当用品としての使用に適する。液体吸収性および水蒸気透過性の両方とも、病巣治癒において重要である。吸収された液体は、他の病巣液体成分および破砕物、ならびに水を含む。水蒸気透過性は、手当用品の進行中の特性であり、ここで、液体の吸収(吸収性)が、最大レベルを達成する特性である。
【0085】
手当用品が、ゲル化剤で被覆された組成物を含んでなるのもである場合、組成物の取り扱いがかなり改善されるため、それが、液体浸透性材料内に収容される必要がないことが理解されよう。
【0086】
手当用品を適切に保持するために、手当用品は、典型的に、手当用品と統合しているか、または併せて使用される包帯(平坦または管状)、付着性包帯、テープおよび/または粘着性ストリップのようなさらなる要素を含んでなる。例えば、手当用品は、粘着性の縁取りを含んでなり得る。手当用品は、それが液体浸透性材料に収容されていようとなかろうと、そのようなさらなる要素を含んでなり得ることが理解されよう。
【0087】
病巣が最小限の滲出物を有する場合、手当用品は、病巣床部と半固体の撓みやすいシートとの間に非粘着性の接触層を含んでなる場合が好ましい。
【0088】
病巣への適用では、感染の危険性を回避するために、任意の組成物または手当用品は無菌状態であることが重要である。それ故、一実施形態では、本発明の組成物または手当用品は無菌状態にある。当該技術分野において公知のいずれの滅菌方法を使用してもよく、例えば、γ線照射または電子線照射を使用してもよい。典型的に、手当用品には、25kGy以上、または滅菌を達成するのに十分なそれより低い量が照射される。さらなる実施形態では、本発明の組成物または手当用品は、滅菌パケット内に含有される。
【0089】
一実施形態では、本発明の組成物または手当用品は、手当用品の無菌的取り扱いを容易にするために一方の側または両側に適用される裏打ち(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)のようなプラスチック製の裏打ち)を含んでなる。この方法では、病巣上に手当用品を配置する場合、手当用品を直接取り扱う必要性がより少なく、そして滅菌手当用品または組成物の潜在的混入が減少する。
【0090】
しかし、裏打ちは、ゲル化剤で被覆された組成物に必ずしも必要ではないかもしれないが、但し、これらの組成物を直接扱うことは容易であるため、良好な無菌的技術が適応されることが理解される。
【0091】
本発明の組成物および手当用品は、好ましくは、生体適合性であることが理解されよう。本発明者らは、「生体適合性」とは、組成物または手当用品が、そのレシピエントにおいて任意の所望されない局所または全身効果を誘発しないことを意味するものとみなす。例えば、組成物または手当用品は、いずれの毒性または有害な効果も有するべきではない。
【0092】
本発明の第4の態様は、医薬に使用するための本発明の第1もしくは第2の態様に従う組成物または本発明の第3の態様に従う手当用品を提供する。
【0093】
本発明の第5の態様は、本発明の第1もしくは第2の態様に従う組成物または本発明の第3の態様に従う手当用品を病巣に適用することを含んでなる、病巣を治療する方法を提供する。
【0094】
本発明はまた、病巣を治療するための医薬品の製造における本発明の第1もしくは第2の態様に従う組成物または本発明の第3の態様に従う手当用品の使用を含む。
【0095】
本発明はまた、病巣の治療に使用するための本発明の第1もしくは第2の態様に従う組成物または本発明の第3の態様に従う手当用品を含む。
【0096】
本発明の第6の態様は、本発明の第1の態様に従う組成物を製造する方法であって:
(a)少なくとも1つのタイプの蜂蜜を提供する工程;
(b)少なくとも1つの超吸収性材料を提供する工程;ならびに
(c)蜂蜜と超吸収性材料とを組み合わせる工程
を含んでなる、方法を提供する。
【0097】
蜂蜜および超吸収性材料の性能については、本発明の第1の態様に関連して、上記で定義したとおりである。
【0098】
一実施形態では、工程(c)は、少なくとも1つのタイプの蜂蜜と少なくとも1つの超吸収性材料とを組み合わせて、上記のような半固体の撓みやすいシートの形態の手当用品を形成させることを含んでなる。典型的に、蜂蜜と超吸収性材料とを組み合わせて、上記の温間押し出し法によってシートを形成させるが、しかしまた、冷間押し出し法を使用してもよいことが理解されよう。
【0099】
代替実施形態では、工程(c)は、少なくとも1つの超吸収性材料を含んでなる半固体の撓みやすいシートに、少なくとも1つのタイプの蜂蜜を含浸させることを含んでなる。少なくとも1つの超吸収性材料を含んでなる半固体の撓みやすいシートは、任意のそのようなシートであってもよい。例えば、シートは、超吸収性粒子が散在するセルロース圧縮材料の層もしくはポリエステルの層を含んでなり得るか、またはそれは、上記の非層構造において超吸収性材料とセルロース繊維との混合物を含んでなり得る。シートに蜂蜜を含心させる典型的な方法についてはまた、上記で定義したとおりである。
【0100】
半固体の撓みやすいシートの組成物の性能、例えば、その厚さについては、本発明の第1の態様に関連して、上記で定義したとおりである。
【0101】
蜂蜜組成物において使用される蜂蜜の活性特性のいずれかを保存または維持するために、組成物の製造に関係する温度は、好ましくは、低いレベルで(もしくは極めて短い時間、高温度で)維持されるべきであることが理解されよう。高温度への長期の暴露は、活性型蜂蜜の活性特性を破壊する。それ故、典型的に、蜂蜜および超吸収性材料は、35℃〜50℃の間、例えば、35℃〜45℃の間の温度で組み合わされる。組成物が1つ以上の粘度低減剤、例えば、グリセリンを含有する場合、比較的低い温度を使用してもよいことが理解されよう。しかし、粘度が高い場合、均質な組成物を達成するために、比較的高い温度を使用する必要があり得る。
【0102】
本発明の第7の態様は、本発明の第2の態様に従う組成物を製造する方法であって、蜂蜜およびマトリックス材料を含んでなる組成物を、ゲル化剤で被覆する工程を含んでなる、方法を提供する。
【0103】
蜂蜜およびマトリックス材料ならびにゲル化剤を含んでなる組成物の性能については、組成物をゲル化剤で被覆する典型的な方法である本発明の第2の態様に関連して、上記で定義したとおりである。
【0104】
本発明の第3の態様の手当用品が、本発明の第1または第2の態様の組成物を単独で含んでなる場合、その製造方法は、組成物の製造方法と同じであることが理解されよう。しかし、そうではない場合、さらなる工程が必要である。
【0105】
従って、本発明の第8の態様は、本発明の第3の態様の実施形態に従う手当用品を製造する方法を提供し、ここで、組成物が収容され、本方法は:
(a)本発明の第1または第2の態様の組成物を提供する工程;および
(b)組成物を液体浸透性材料内に収容する工程
を含んでなる。
【0106】
好ましくは、組成物は、シート(例えば、半固体の撓みやすいシート)の形態である。
【0107】
液体浸透性材料の性能については、本発明の第2または第3の態様に関連して、上記で定義したとおりである。
【0108】
組成物の収容は、典型的に、半固体の撓みやすいシートの形態である場合、サシェを形成するための液体浸透性材料によって、本発明の第1または第2の態様の組成物を封入することに関係する。これは、液体浸透性材料、例えば、不織地材料の2つの層の間の中央に組成物のシートを配置し、すべての側において材料を溶接するのに十分な縁取りを可能にして、組成物を含有するサシェを形成することによって、達成することができる。溶接は、多くの方法、但しおそらくは、熱または超音波手段によって達成することができる。このプロセスは、ロール供給された液体浸透性材料、例えば、不織地および手動または自動機械による組成物シートの配置によって、連続的に行うことができることが理解されよう。縁を密封した後、切断プロセスによってサシェを分離してもよい。異なる液体浸透性材料、例えば、異なる不織地が、サシェの2つの側を形成することが好ましい。好ましくは、サシェの病巣と密接に接触する側は、軽量および高液体浸透性であり、病巣滲出物の迅速な浸透性を可能にする。対向側の材料、即ち、裏地材は、好ましくは、積層された液体浸透性材料、例えば、水分および水蒸気の通過を可能にする能力を伴う不織地材料であるが、液体の通過に対して耐性である。あるいは、裏地材は、高分子ベースであり得る。この方法では、サシェの2つの側を形成する異なる液体浸透性材料は、異なる程度の液体浸透性を有し得ることが理解されよう。例えば、サシェの病巣に接触する側を形成する材料は、裏地材(例えば、水蒸気に対してのみ浸透性であり得る)の液体浸透性より高い液体浸透性を有してもよい(例えば、それは、液体浸透性を有し得る)。
【0109】
一実施形態では、本方法は、皮膚に接触するのに適切な粘着剤で手当用品を被覆する工程をさらに含んでなる。例えば、手当用品が上記のサシェの形態である場合、サシェの裏地を粘着剤で被覆してもよく、そして裏地材を、すべての側における病巣接触材料と重複させてもよい。典型的に、重複部は、1cm〜5cmの範囲、最も典型的には、2〜3cmで存在する。すべての側において粘着性の縁取りを伴うこのタイプの手当用品は、一般に、アイランド(island)手当用品と称される。例えば、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤を含むいずれの適切な粘着剤を使用してもよい。
【0110】
本発明の第6、第7および第8の実施形態では、本方法は、例えば、γ線照射または電子線照射によって組成物または手当用品を滅菌する工程をさらに含んでなる。
【0111】
本発明の第6、第7および第8の態様のもう1つの実施形態では、本方法は、滅菌パケット内に組成物または手当用品を含有させる工程をさらに含んでなる。
【0112】
本発明は、マヌカ蜂蜜を含浸させ、カルボキシ−メチル−セルロースを振り掛けたOASIS SAF2577(登録商標)を含んでなる手当用品を提供する。
【0113】
本発明は、マヌカ蜂蜜を含浸させ、カルボキシ−メチル−セルロースを振り掛けた編地ビスコースガーゼを含んでなる手当用品を提供する。
【0114】
ここで、以下の図面および実施例の助けによって、より詳細に本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】蜂蜜と超吸収性材料とを組み合わせて、半固体の撓みやすいシートを形成させることができる押し出し成形機の断面図。
【図2】CMC被覆蜂蜜/超吸収性組成物のゲル化および吸収特性。
【実施例】
【0116】
実施例1:
蜂蜜/超吸収性材料手当用品を使用する創傷の治療
本発明の手当用品を下方に向けて、病巣面上に配置する;手当用品は、大きな創傷領域を覆うために、並べて配置することもできる。滲出物が最小限しか存在しない場合、非粘着性病巣床部接触層を、蜂蜜/超吸収性材料組成物シートと病巣床部との間に使用すべきである。病巣床部内の組織タイプおよび滲出物レベルに依存して、好適な固定方法は、平坦または管状の包帯、付着性包帯および/または適切なテープであり得る。手当用品は、圧迫療法のもとで使用してもよい。
【0117】
創傷の滲出物レベル、任意の周囲の間質液および浮腫に依存して、手当用品は、最初、毎日変更する必要があり得るが、7日間まで延長および定位置で放置することができる。吸収された液体の量が、選択された固定方法によって、手当用品の連続支持に有害である場合、手当用品を変更する必要がある。吸収された液体の重量が患者にとって不快になるか、または容量に到達する場合、手当用品を変更すべきである。
【0118】
実施例2:
蜂蜜/超吸収性組成物の液体取り込みおよび抗微生物特性
試験を行って、蜂蜜含浸OASIS SAF(登録商標)材料の水の取り込みおよび抗微生物活性を評価したが、その結果を以下の表1に示す。
【0119】
方法
抗細菌活性:
12.6mmODコルクボーラーを使用して、円形の手当用品を調製し、ペトリディッシュおよび試験管(13mm直径)において調製した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)播種寒天上に配置した。手当用品の円形物を寒天の表面に配置し、そして1晩インキュベートした。
【0120】
水の取り込み:
各手当用品の2cm平方の片を、7.5×7.5cm平方のカーテンボイル(curtain voile)上に配置した。手当用品およびボイルを、トレイ中の湿らせたペーパータオル上に配置し、もう1つのトレイで覆って、湿度を維持し、そして室温で放置した。重量の増加がそれ以上検出されなくなるまで、間隔を置いて、ボイルおよび手当用品を秤量した。
【0121】
各場合において、手当用品は、マヌカ蜂蜜を含浸させたOASIS SAF(登録商標)シートであり、そして4つの手当用品を試験した。
【0122】
結果
【0123】
【表1】

【0124】
表1から明らかなように、手当用品は、寒天プレートおよび試験管の両方において黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のゾーンを澄明にし、それらの抗細菌活性を実証した。さらに、すべての手当用品は、水の取り込みが可能であることが示された。
【0125】
実施例3:
蜂蜜を含浸させたCMC被覆OASIS SAF(登録商標)2577の分析
蜂蜜を含浸させ、そしてCMCを被覆したOASIS SAF(登録商標)2577上で、試験を行った。
【0126】
100mlの水に浸漬する前に、100cmのOASIS SAF(登録商標)2577(乾燥重量1.5g)に、マヌカ蜂蜜を含浸させ(含浸重量25g)、そして2種のCMC(図2中試験2Aおよび2B)のうちの一方で被覆した。浸漬から1時間および3時間目に重量を記録した。
【0127】
CMCによる被覆により、水の存在下でゲル層の形成がもたらされ、このゲル層は蜂蜜によって変色したことが認められ、手当用品の表面上のゲル層に蜂蜜が存在することが示された。これは、手当用品からの蜂蜜が放出されていることを示す(図2)。図2は、吸収特性および表面のゲル化を明確に例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蜂蜜および超吸収性材料を含んでなる組成物。
【請求項2】
前記超吸収性材料は高分子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記高分子は、架橋ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、架橋カルボキシ−メチル−セルロース、ポリビニルアルコール共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、架橋ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルのデンプングラフト共重合体およびOASIS SAF(登録商標)のいずれかである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
半固体の撓みやすいシートの形態である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記シートは、超吸収性材料の少なくとも1つの層が散在しているセルロース圧縮材料またはポリエステルの少なくとも1つの層を含んでなる、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記セルロース圧縮材料はティッシュペーパーである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記シートは、非層構造中に超吸収性材料およびセルロース繊維の混合物を含んでなる、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記シートの厚さは0.25mm〜10mmの間である、請求項4〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記シートの厚さは1mm未満である、請求項4〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記蜂蜜は、前記超吸収性材料に飽和していない、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記蜂蜜は、5%〜50%の間の前記超吸収性材料の吸収能を利用する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記蜂蜜は、10%未満の前記超吸収性材料の吸収能を利用する、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
前記蜂蜜の抗微生物活性は、少なくとも10%のフェノール含有量を伴う溶液と同等である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記蜂蜜の過酸化活性は、新たに収穫された蜂蜜の過酸化活性にほぼ類似する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記蜂蜜はマヌカ蜂蜜である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
蜂蜜およびマトリックス材料を含んでなる組成物であって、ゲル化剤で被覆されている、組成物。
【請求項17】
前記蜂蜜は、請求項13〜15のいずれか一項において定義されているとおりである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記マトリックス材料は、合成もしくは天然由来の不織地、織地、編地または他の編織材、あるいは高分子フィルムのいずれかである、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項19】
前記マトリックス材料は、高分子に基づく不織地材料である、請求項16〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記高分子に基づく不織地材料は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレンまたはポリエチレンのいずれかである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記マトリックス材料はガーゼである、請求項16〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
ゲル化剤で被覆された組成物は、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物である、請求項16〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記ゲル化剤は、粉末または顆粒またはシートの形態である、請求項16〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記ゲル化剤は、超吸収性ポリマー、アルギン酸塩またはカルボキシ−メチル−セルロースのいずれか1つ以上である、請求項16〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記ゲル化剤はカルボキシ−メチル−セルロースである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる手当用品。
【請求項27】
前記組成物は、液体浸透性材料内に収容されている、請求項26に記載の手当用品。
【請求項28】
前記液体浸透性材料は、合成もしくは天然由来の不織地、織地、編地または他の編織材、あるいは高分子フィルムのいずれかである、請求項27に記載の手当用品。
【請求項29】
前記液体浸透性材料は、高分子に基づく不織地材料である、請求項27または28に記載の手当用品。
【請求項30】
前記高分子に基づく不織地材料は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレンまたはポリエチレンのいずれかである、請求項29に記載の手当用品。
【請求項31】
滅菌されている、請求項1〜25のいずれか一項に記載の組成物または請求項26〜30のいずれか一項に記載の手当用品。
【請求項32】
滅菌パケット内に含有されている、請求項1〜25のいずれか一項に記載の組成物または請求項26〜31のいずれか一項に記載の手当用品。
【請求項33】
医薬に使用するための請求項1〜25、31および32のいずれか一項に記載の組成物または請求項26〜32のいずれか一項に記載の手当用品。
【請求項34】
請求項1〜25、31および32のいずれか一項に記載の組成物または請求項26〜32のいずれか一項に記載の手当用品を病巣に適用する工程を含んでなる、病巣を治療する方法。
【請求項35】
病巣を治療するための医薬品の製造における請求項1〜25、31および32のいずれか一項に記載の組成物または請求項26〜32のいずれか一項に記載の手当用品の使用。
【請求項36】
病巣の治療に使用するための請求項1〜25、31および32のいずれか一項に記載の組成物または請求項26〜32のいずれか一項に記載の手当用品。
【請求項37】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって:
(a)少なくとも1つのタイプの蜂蜜を提供する工程;
(b)少なくとも1つの超吸収性材料を提供する工程;および
(c)蜂蜜と超吸収性材料とを組み合わせる工程
を含んでなる、方法。
【請求項38】
工程(c)は、少なくとも1つのタイプの蜂蜜と少なくとも1つの超吸収性材料とを組み合わせて、半固体の撓みやすいシートを形成させることを含んでなる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
工程(c)は、少なくとも1つの超吸収性材料を含んでなる半固体の撓みやすいシートに、少なくとも1つのタイプの蜂蜜を含浸させることを含んでなる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記シートは、請求項5〜7のいずれか一項において定義されているとおりである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
シートは、請求項8または9において定義されているとおりである、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
請求項16〜25のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、蜂蜜およびマトリックス材料を含んでなる組成物を、ゲル化剤で被覆する工程を含んでなる、方法。
【請求項43】
蜂蜜およびマトリックス材料を含んでなる組成物は、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ゲル化剤は、請求項23〜25のいずれか一項において定義されているとおりである、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
請求項27に記載の手当用品を製造する方法であって:
(a)請求項1〜25および31のいずれか一項に記載の組成物を提供する工程;
(b)ならびに組成物を液体浸透性材料内に収容する工程
を含んでなる、方法。
【請求項46】
前記液体浸透性材料は、請求項28〜30のいずれか一項において定義されているとおりである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記組成物または手当用品を滅菌する工程をさらに含んでなる、請求項37〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物または手当用品を滅菌パケット内に含有させる工程をさらに含んでなる、請求項37〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記超吸収性材料は、請求項2または3において定義されているとおりである、請求項37〜41および45〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記蜂蜜は、請求項10〜15のいずれか一項において定義されているとおりである、請求項37〜49のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−522021(P2011−522021A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512200(P2011−512200)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001407
【国際公開番号】WO2009/147402
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510321859)マヌカ メディカル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】