説明

組立式焚き火台

【課題】 堅牢で、組立が容易で、かつ分解した際の収納スペースが小さい組立式焚き火台を提供すること。
【解決手段】 ほぼ台形の形状を有する4枚の側板1a、1bを、それぞれの側板1a、1bの斜辺近傍に設けられた、係合用L字型突起と係合用スリットを係合させて組立、四角錐台を倒立させた形状の焚き火台として、底板6と火床板7を設置する。前記の各部材をほぼ2mmまたはそれ以上の厚みを有する剛板で構成することで、機械的に十分な堅牢さを確保できる。また、対向する一対の側板の少なくとも一方には、底辺と平行に調理器を載置するための棒を挿通するためのスリットを設け、上に鍋などの調理器を載置可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に野外での調理に適し、運搬の際には分解してコンパクトに収納可能で、使用の際には簡単に組立及び設置が可能な組立式焚き火台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭単位、職場単位、地域単位のレクレーションやキャンプなどで、野外でバーベキューなどの料理を楽しむための焚き火台が、種々の形式で製造販売されている。このような焚き火台は常設で用いることがないので、非使用時は折りたたむなどの方法でコンパクトにして、物置などに収納しておくのが一般的である。
【0003】
このような焚き火台の例として、特許文献1には、W字型に折りたたみが可能な焚き火台が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されている焚き火台を含め、市販品の多くは、厚みが1mm以下の薄い鋼板で構成され、折りたたみ可能とするため蝶番を用いているため、必ずしも十分な堅牢さを有せず、折りたたんだ状態でも、かなりの収納スペースを要するのが実状である。
【0004】
このような焚き火台では、焚き火台の上に金網を載せたり、金属の棒を並べたりして、肉、魚、野菜などの食材を焼くというのが一般的な使用方法であり、多人数用の鍋や湯沸かしポットなどの重量のある調理器を載せて用いるのには、必ずしも適していない。また、前記の脆弱性のため、重量のかさむ固形の燃料を用いると焚き火台が変形することがある。このため、鍋や釜を用いたり、重量のかさむ固形燃料を用いたりする際は、地面に穴を掘るか、適当な大きさの石を組立てて焚き火台を構成するか、据え付け型のかまどを用いる必要がある。
【0005】
【特許文献1】 特開2004−205105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、堅牢で、組立が容易で、かつ分解した際の収納スペースが小さい組立式焚き火台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記の課題解決のため、焚き火台の全体の構成や組立方法を再検討した結果なされたものである。
【0008】
即ち、本発明は、ほぼ台形の4枚の側板と、ほぼ正方形の底板とを、四角錐台に組み立てて倒立させた形状で、少なくとも1枚の前記側板の対向する平行な辺の短い方の近傍には通気用開口部が設けられ、前記底板の上部に前記底板と一定の距離をおいてほぼ平行に設置され、複数の通気用貫通孔を有する2枚の火床板を有することを特徴とする組立式焚き火台である。
【0009】
また、本発明は、前記側板、前記底板、前記火床板が、厚さがほぼ2mmまたはそれ以上の鋼板からなることを特徴とする、前記の組立式焚き火台である。
【0010】
また、本発明は、前記側板の斜辺側に、ほぼL字型の係合用突起と係合用スリットの少なくともいずれかが、少なくとも1箇所設けられてなることを特徴とする、前記の組立式焚き火台である。
【0011】
また、本発明は、前記側板のうち、対向する少なくとも1組に、底辺と平行に調理器を載置するための棒を挿通するためのスリットが、少なくとも1組設けられていることを特徴とする、前記の組立式焚き火台である。
【0012】
また、本発明は、前記スリットに、前記棒の位置決め用の凹部が複数設けられていることを特徴とする、前記の組立式焚き火台である。
【0013】
また、本発明は、前記2枚の火床板の、前記複数の前記通気用貫通孔が、同一サイズで同一ピッチで設けられ、前記組立式焚き火台を設置した際に上になる側の、前記火床板は、幅また長さの少なくとも一方が、下になる側の前記火床板よりも、前記通気用貫通孔のサイズの分だけ短いことを特徴とする、前記の組立式焚き火台である。
【0014】
また、本発明は、前記底板に複数の貫通孔が設けられ、前記底板の前記貫通孔と、前記側板の前記スリットと、前記火床板の前記通気用貫通孔を同一の箇所に配置してボルトを挿通し、前記ボルトにナットを螺合することにより、収納に適した形態に各部材を固定可能であることを特徴とする、前記の組立式焚き火台である。
【発明の効果】
【0015】
本発明による組立式焚き火台は、一方の側板に設けられたほぼL字型の係合用突起を、他方の側板に設けられた係合用スリットに挿入し、四角錐台の形状に構成し、底板と火床板を載置するだけで、極めて容易に組み立てることができ、分解した際の収納スペースが小さくて済む。しかも、各部材はほぼ2mmまたはそれ以上の剛板からなるので、機械的に堅牢で、調理器を載置するための棒を、側板に挿通可能としているので、鍋や湯沸かしポットを上に置いて用いることも可能である。
【0016】
また、火床板は2枚からなり、それぞれに同一サイズ、同一ピッチで通気用貫通孔が設けられ、上に載置される側の火床板は、通気用貫通孔の大きさ分だけ、縦横いずれかの長さが短く設計されている。このため、上側の火床板の位置をずらすことにより、上下の通気用貫通孔の重なり方を調整でき、これによって火床板の上への空気の流入量を調整できるので、燃料の燃焼状態の制御が可能になる。
【0017】
また、側板、火床板には、予めスリットや貫通孔が設けられているので、さらに底板の適当な位置にも貫通孔を設けることで、それらの貫通孔やスリットを同一の位置になるように各部材を重ね合わせ、ボルトを挿通して、ナットを螺合することができる。これによって、分解した際の焚き火台をコンパクトにまとめて固定できるので、収納の際の利便性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態を、図を参照しながら説明する。
【0019】
図1は本発明に係る組立式焚き火台を組み立てた状態を示す斜視図である。図1において1a、1bは側板、6は底板、7は火床板、9は調理器の載置棒である。この組立式焚き火台は、図1に示したにように、組み立てた後の形状が四角錐台を倒立させた形状となるように、側板1a、1bを、それぞれに設けられた係合用L字型突起を、係合用スリットに嵌合し、底板6と、火床板7を単に載せるだけで組み立てることができる。また、調理器の載置棒9は、鋼製の丸棒の両端を曲げただけの簡単な構造で、図1に示したように、対向する1対の側板1bに設けられたスリットに挿通して使用する。
【0020】
図2は、側板を示す図で、図2(a)は、一方の1対の側板、図2(b)は他方の1対の側板である。図2において、1a、1bは側板、2は係合用L字型突起、3は係合用スリット、4は通気用開口部、5a、5b、5cは調理器の載置棒を挿通するためにスリットである。
【0021】
図2に示したように本発明の組立式焚き火台においては、ほぼ台形をした一方の側板1aの斜辺に係合用L字型突起が設けられ、突起の先端部が側板1aの組立の際に下になる方向に突出しているので、他方の側板1bの係合用スリット3に嵌合させると、自重で係合用L字型突起2が係合用スリット3に嵌入するので、確実な係合が可能となる。
【0022】
また、図2に示した例では、スリット5a,5b,5cを一定の間隔で3箇所設けてあり、調理器の載置棒9の上に載せた調理器と火との距離を一定の範囲で調整可能となっている。そして、これらのスリット5a,5b,5cには、両端部とその間にほぼ等間隔で凹部が設けられているので、調理器の載置棒9の位置決めが可能である。なお、前記のように調理器に載置棒9の両端には曲げ加工が施してあるので、図面の紙面に対して垂直な方向の位置決めも可能である。
【0023】
また、図2に示した例では、側板1bに、通気用開口部4が設けてあるが、この通気用開口部4は、対向する1対の側板の少なくとも一方に設ければよく、側板1a側に設けることも可能である。この通気用開口部4により、燃焼に必要な空気を燃料に供給できる。
【0024】
図3は、底板を示す図である。図3において、6は底板である。本発明の組立式焚き火台においては、側板1a、1bを係合させただけでは、隣接する側板となす角度が必ずしも90°にならず、形状が不安定となるが、底板6を設置することで、前記角度が90°に固定される。
【0025】
図4は、火床板を示す図で、図4(a)は下側の火床板、図4(b)は上側の火床板である。図4において、7aは下側の火床板、7bは上側の火床板、8a、8bは通気用貫通孔である。そして、図4に示すように、2枚の火床板7a、7bには、同一形状、かつ同一ピッチの通気用貫通孔8a、8bが設けられ、図における縦方向の寸法が、上側の火床板7bの方が、下側の火床板7aよりも、通気用貫通孔のサイズの分だけ、小さくなっている。
【0026】
図5は2枚の火床板7a、7bを重ねた状態を示す図で、図5(a)は2枚の火床板7a、7bの図における上辺を揃えた状態、図5(b)は上側の火床板7bを下側の火床板7aのほぼ中央に配置した状態である。つまり図5(a)の状態では、通気用貫通孔8a、8bがまったく重なり合わないので、火床板7a、7bの上に空気が流れず、図5(b)の状態では、通気用貫通孔8a、8bの面積のほぼ半分が重なり合い、その分だけ火床板7a、7bの上の方に空気が流れる状態となる。本実施例の組立式焚き火台においては、これによって火加減を調整できる。
【0027】
また、底板6と火床板7a、7bには、上記の機能の他、焚き火台を置いた地面と火との距離を一定に保持し、地面が受ける輻射熱を減少する機能も有する。
【0028】
図6は、焚き火台を構成する各部材を重ね合わせ、各部材に設けられている貫通孔やスリットを用いて、ボルト及びナットにより固定した状態を示す図である。この例では、2組のボルトとナットを用いている。このように各部材を固定することにより、運搬の際にも、収納の際にも、1箇の荷物として、取り扱いが可能となり、常備用に保管できる。
【0029】
以上に説明したように、本発明によれば、機械的に堅牢で、かつ組立分解が容易で、しかも、収納スペースが少なくて済む、組立式焚き火台を提供することが可能となり、屋外での調理方法の選択肢を拡げることができる。また、本発明の組立式焚き火台は地震などの災害発生時にも、炊き出しや夜間のかがり火にも活用され、また漁り火用に転用する等、多目的に応用対応できる。
【0030】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含み、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】 組立式焚き火台を組み立てた状態を示す斜視図。
【図2】 側板を示す図、図2(a)は、一方の1対の側板、図2(b)は他方の1対の側板。
【図3】 底板を示す図。
【図4】 火床板を示す図、図4(a)は下側の火床板、図4(b)は上側の火床板
【図5】 2枚の火床板7a、7bを重ねた状態を示す図、図5(a)は2枚の火床板の図における上辺を揃えた状態、図5(b)は上側の火床板を下側の火床板のほぼ中央に配置した状態。
【図6】 焚き火台を構成する各部材を重ね合わせ、各部材に設けられている貫通孔やスリットを用いて、ボルト及びナットにより固定した状態を示す図。
【符号の説明】
【0032】
1a,1b 側板
2 係合用L字型突起
3 係合用スリット
4 通気用開口部
5a,5b,5c スリット
6 底板
7,7a,7b 火床板
8a,8b 通気用貫通孔
9 調理器の載置棒
10 ボルト及びナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ台形の4枚の側板と、ほぼ正方形の底板とを、四角錐台に組み立てて倒立させた形状で、少なくとも1枚の前記側板の対向する平行な辺の短い方の近傍には通気用開口部が設けられ、前記底板の上部に前記底板と一定の距離をおいてほぼ平行に設置され、複数の通気用貫通孔を有する2枚の火床板を有することを特徴とする組立式焚き火台。
【請求項2】
前記側板、前記底板、前記火床板は厚さがほぼ2mmまたはそれ以上の剛板からなることを特徴とする、請求項1に記載の組立式焚き火台。
【請求項3】
前記側板の斜辺側に、ほぼL字型の係合用突起と係合用スリットの少なくともいずれかが、少なくとも1箇設けられてなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の組立式焚き火台。
【請求項4】
前記側板のうち、対向する少なくとも1組には、調理器を載置するための棒を挿通するためのスリットが、底辺と平行に、少なくとも1組設けられていることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の組立式焚き火台。
【請求項5】
前記スリットには、前記棒の位置決め用の凹部が複数設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の組立式焚き火台。
【請求項6】
前記2枚の火床板の、前記複数の前記通気用貫通孔は、同一サイズで同一ピッチで設けられ、前記組立式焚き火台を設置した際に上になる側の、前記火床板は、幅また長さの少なくとも一方が、下になる側の前記火床板よりも、前記通気用貫通孔のサイズの分だけ短いことを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の組立式焚き火台。
【請求項7】
前記底板に複数の貫通孔が設けられ、前記底板の前記貫通孔と、前記側板の前記スリットと、前記火床板の前記通気用貫通孔を同一の箇所に配置してボルトを挿通し、前記ボルトにナットを螺合することにより、収納に適した形態に各部材を固定可能であることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の組立式焚き火台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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