組織を修復するための機器及び方法
【課題】組織の欠損の関節鏡下修復術のための縫合糸固定装置及び方法を提供する。
【解決手段】組織の欠損の、ノットレスの関節鏡下修復術に好適なアセンブリ及び方法が、2つの固定部材を含み、それらの固定部材は、連続ループをなす縫合糸の2本のリムによって結合される。固定部材のうち一方に近接する、予備形成された係止スライド式の縫合糸ノットとされ得る一方向制限要素が、修復部の張力調整をもたらす。
【解決手段】組織の欠損の、ノットレスの関節鏡下修復術に好適なアセンブリ及び方法が、2つの固定部材を含み、それらの固定部材は、連続ループをなす縫合糸の2本のリムによって結合される。固定部材のうち一方に近接する、予備形成された係止スライド式の縫合糸ノットとされ得る一方向制限要素が、修復部の張力調整をもたらす。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、広義には、組織を修復するための装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、組織の欠損の関節鏡下修復術のための縫合糸固定装置及び方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
多様な傷害及び状態により、軟組織の損傷を修復すること、又は骨及び/若しくは周囲の組織へ軟組織を再付着することが必要となる。例えば、肩回旋筋腱板が上腕骨から部分的に又は完全に断裂する(回旋筋腱板断裂)など、それ以外の点では健康な組織が骨から断裂した場合、組織を骨に再付着させ、治癒及び自然な再付着を生じさせるために、しばしば手術が必要となる。これらの外科的修復を実施するための多数の装置及び方法が開発されているが、より良い結果をもたらす方法のいくつかは、縫合糸アンカー、又は一般的に「縫合糸固定部材」の使用を含むものであり、この「縫合糸固定部材」は通常、1つ以上の縫合糸付着機構を有する、アンカー本体と、縫合糸アンカーを組織若しくは骨の中に、又は組織若しくは骨に隣接して保持するための組織又は骨係合機構とを有している。特定の傷害に応じて、縫合糸の1つ以上のセグメントに連結された、あるいは縫合糸の1つ以上のセグメントで相互に連結された1つ以上の縫合糸アンカーが修復を実施するために使用され得る。
【0003】
単一の種類の組織の実体において、例えば膝の半月板において断裂が生じる場合(半月板断裂)にもまた、外科手術が必要となることがある。そのような断裂を修復する一方法は、ある長さの縫合糸を組織に通し、縫合糸を結束することによって、断裂を縫合して閉鎖することである。縫合糸はまた、そのような組織の断裂を修復するために、1つ以上の縫合糸アンカーと共に使用され得る。縫合糸は、修復手技の間に外科医によって結ばれたノットを用いて、あるいは、外科医が外科手術の間にノットを結ぶことを必要とせずに1つ以上のアンカーと1本以上の縫合糸が連結され張力をかけられ得る「ノットレス」の装置及び方法を用いて、縫合糸アンカー及び組織に締結されることができる。ノットレス式の固定は、内視鏡又は関節鏡による修復など、低侵襲外科手術に特に有用なものであり、低侵襲外科手術において、外科医は、小径のカニューレ又は内視鏡チューブに通して挿入された器具を使用して、手術部位にて縫合糸を遠隔式で操作しなければならず、これにより、結び付けのプロセスは困難でかつ時間を要するものとなり得る。
【0004】
アンカーが組織内に配置されるときに縫合糸を定位置に自動的に固定するアンカー、アンカーが配置された後に縫合糸をアンカーに制御可能に固定できるアンカー構成要素、縫合糸を1方向にのみスライドして通過させることができる装置、並びに外科医が簡素な器具を使用することによって、あるいはノットから延びる1つ以上の縫合糸のストランドに張力をかけることによって締め付けられ得る既成のノットを含めて、様々な方法が、ノットレス式の固定をもたらすために用いられている。
【0005】
断裂した組織を修復するための多数の縫合糸固定システムが開発されてきたが、現行の装置は欠点を伴うものである。いくつかのノット又は他のアンカー構成要素は、修復された組織の表面、特に、大腿骨と半月板との間の境界など、体重を支持する、骨との接触点(surface facing weight bearing contact with bone)に面する表面の上に「そびえ立ち」、例えば関節をなす関節組織の運動及び治癒を妨げることがあり、あるいは、アンカーに対する若しくは組織の近くのノットの位置が、完全に外科医の制御下にないことがあり、場合によっては修復が最適でないものとなる。傷害を修復するために2つ以上の縫合糸アンカーが縫合糸で結合される手術において、アンカーを互いに連結する縫合糸に沿って位置する任意のノット又は結合された縫合糸セグメントは、外科的修復の極限強さを制限するかあるいは外科手術による外傷の一因となる応力点となり得る。
【0006】
したがって、断裂又は損傷した組織を修復するための改善された方法及び装置、特に、縫合糸アンカーを使用して、断裂した又はそれ以外の形で損傷した組織を関節鏡下で修復するのに好適な方法及び装置が求められている。また、修復されている組織に損傷を与える危険性を低減し、関節の運動及び治癒に対する干渉を排除するように薄型をなす方法及び装置が依然として求められている。
【0007】
〔発明の概要〕
したがって、本発明は、損傷した組織を修復するための縫合糸固定装置及び方法の実施形態を提供する。本発明による機器は、第1の固定部材及び第2の固定部材を備え、第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれは、第1の表面と、その反対側の第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部及び第2の貫通開口部とを有する。可撓性要素が、第1の固定部材と第2の固定部材とを結合し、その可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、その長さは、第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、第1の表面から第2の表面へと第1の固定部材の第1の開口部を貫き、第2の表面から第1の表面へと第2の固定部材の第1の開口部を貫き、第1の表面から第2の表面へと第2の固定部材の第2の開口部を貫き、第2の表面から第1の表面へと第1の固定部材の第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる。第1の固定部材は、その第1の表面及び第2の表面との間に画定された第3の貫通開口部を更に備える。スライド係止式のノットが、第1の端部セクションと第2の端部セクションとの間に形成され、第1の端部セクションは、ノットを通じてスライド可能に配置され、ノットから、第1の表面から第2の表面へと第3の開口部を貫いて延びる。
【0008】
本発明の一態様において、第1の固定部材を貫く第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部は、第1の表面及び第2の表面に沿って実質的に直線状に配列される。好ましくは、第1の固定部材及び第2の固定部材は、それぞれの表面上の隣接する開口部の間に、丸みを付けられた表面を備えて、丸みを付けられた表面に沿って可撓性要素をスライドさせる。本発明の一態様において、開口部のそれぞれは、実質的に円形の横断面を有する。別法として、開口部のうちの1つ以上は、細長い横断面を有する。好ましくは、第1の固定部材に対して第2の端部セクションに加えられる張力は、第1の固定部材と第2の固定部材とを結合する可撓性部材に沿って、第1の固定部材と第2の固定部材との間の距離を縮めるのに効果的なものである。
【0009】
本発明の一態様において、第1の固定部材及び第2の固定部材は、それぞれの第1の表面及び第2の表面のそれぞれに、実質的に直線状の溝を更に備え、その溝は、それぞれの表面の第1の端部からそれぞれの表面の反対側の端部へと延び、第2の表面の溝は、第1の表面の溝と実質的に平行である。送出装置は、細長い送出部材を有し、その送出部材内で、可撓性要素によって結合された第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれの少なくとも一部分が、長手方向にかつスライド可能に受容され、好ましくは、それらの溝は送出部材のスロットとスライド可能に係合する。
【0010】
好ましくは、可撓性要素は縫合糸を含む。本発明の一態様において、可撓性要素はポリエチレンを含む。本発明の別の態様において、可撓性要素は、ポリエチレンと生体吸収性ポリマーとを含み、好ましくは、生体吸収性ポリマーは、ポリジオキサノンを含む。
【0011】
好ましくは、スライド係止式のノットは、バントラインノットである。
【0012】
好ましくは、カニューレを備える送出装置が提供され、そのカニューレは、近位端部及び遠位端部と、その遠位端部から近位端部に向かって延びる、カニューレの壁内の長手方向のスロットとを有し、カニューレは、スロットに沿った対向する長手方向の縁部によって画定される。第1の固定装置及び第2の固定装置は、スロットの縁部が第1の固定装置及び第2の固定装置のそれぞれの溝にスライド係合する状態で、スロットに沿ってカニューレ内に受容される。好ましくは、配置ロッドがカニューレ内に配置され、ハンドルがカニューレの近位端部に機械的に結合し、また、第1の固定装置及び第2の固定装置のうち一方をカニューレの遠位端部からスライドさせて排出するために、手動で作動可能な部材がハンドルと結合されて、配置ロッドをカニューレ内で遠位側に並進させる。
【0013】
本発明による機器は、第1の固定部材及び第2の固定部材を備える。第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれは、第1の表面及びその反対側の第2の表面と、第1の固定装置の第1の表面と第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部と、第2の固定装置の第1の表面と第2の表面との間に画定された1つ以上の貫通開口部とを有する。可撓性要素が、第1の固定部材と第2の固定部材とを結合する。その可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、その長さは、第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、第1の表面から第2の表面へと第1の固定部材の第1の開口部を貫き、第2の表面から第1の表面へと第2の固定部材の1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つを貫き、第2の表面から第1の表面へと第1の固定部材の第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる。スライド係止式のノットが、第1の端部セクションと第2の端部セクションとの間に形成され、第2の端部セクションは、ノットから、第1の表面から第2の表面へと第3の開口部を貫いて延びる。
【0014】
本発明による機器は、第1の固定部材及び第2の固定部材との間に延びる縫合糸の2つの連続セクションによって結合された第1の固定部材及び第2の固定部材を備える。第1の固定部材は、第1の表面、及びその反対側の第2の表面を有する。2つの縫合糸セクションは互いに連続し、第2の固定部材を貫通する開口部を貫いてスライド可能である。縫合糸の2つのセクションのそれぞれは、第2の表面から第1の表面へとそれぞれ第1の固定部材の第1の貫通開口部及び第2の貫通開口部を貫いて延びる。スライド係止式のノットが、第1の表面に隣接する縫合糸の2つの連続セクションを結合する。第3の貫通開口部が、第1の表面と第2の表面との間に延び、縫合糸の2つの連続セクションのうち一方は、ノットから、第1の表面から第2の表面へと第3の開口部を貫いて延びる。
【0015】
本発明による機器は、体組織内の欠損の修復をもたらす。この機器は、第1の表面及びその反対側の第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部とを有する、第1の固定部材を備える。第2の固定部材は、1つ以上の貫通開口部を有する。第1の固定部材及び第2の固定部材は、連続長の縫合糸によって結合され、その縫合糸は、第1の固定部材の第1の面に実質的に隣接して配置されたスライド係止式のノットによって結合されたループを画定する。ループは、ノットから順に、第1の固定部材の第1の開口部、第2の固定部材の1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つ、第1の固定部材の第2の開口部をスライド可能に貫いて延び、ノットに戻る。連続長の縫合糸の端部セクションが、ノットから、第1の面から第2の面へと第1の固定部材の第3の開口部を貫いて延びる。第1の固定部材に対して端部セクションに張力をかけると、ループが効果的に縮められる。
【0016】
好ましくは、ノットはバントラインノットであり、また好ましくは、第2の表面は、修復されている組織と接触するように適合され、ノットは、第1の表面に隣接して維持される。
【0017】
本発明による方法は、体組織内の欠損の修復をもたらす。その方法は、第1の送出経路に沿って、組織の第1の表面領域上の第1の箇所へと組織に第1の固定部材を通す工程であって、第1の固定部材は、対向する第1の表面及び第2の表面を有し、スライド係止式の縫合糸ノットが第1の表面に隣接し、この縫合糸ノットが縫合糸を含み、縫合糸の3本のリム(limbs)が、第2の表面から送出経路に沿って延び、縫合糸の3本のリムはそれぞれ、ノットをなす縫合糸と連続し、3本のリムのうちの最初の2本が共に、第2の固定部材にスライドして連結された縫合糸の連続ループをなし、そのループは、あるループ長を有する、工程と、縫合糸の3つのセクションのうちの少なくとも1つに張力をかけて、第2の表面を第1の箇所にて組織にもたれさせて配置する工程と、第2の送出経路に沿って、組織の第2の表面領域上の第2の箇所へと組織に第2の固定部材を通す工程と、縫合糸の第3のリムに張力をかけて、第1の固定部材と第2の固定部材との間のループ長を縮める工程と、を含む。
【0018】
好ましくは、縫合糸の第3のリムに張力をかけることにより、第2の箇所にて組織にもたれさせて第2の固定部材が配置され、また圧縮力が加えられて組織の欠損が減じられる。
【0019】
好ましくは、第1の固定部材は、第1の面と第2の面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部を備え、第1のリム、第2のリム、及び第3のリムのそれぞれは、それぞれの開口部を通じて配置され、第2の固定部材は2つの貫通開口部を備え、ループは両方の開口部をスライドして通過する。
【0020】
本発明の一態様において、第1の箇所及び第2の箇所は、組織の単一の表面上にある。本発明の別の態様において、第1の箇所及び第2の箇所は、組織の対向する表面上にある。
【0021】
請求する本発明による機器は、対向する第1の表面及び第2の表面を有する、第1の固定部材を備える。スライド係止式の縫合糸ノットが、第1の表面に隣接して位置する。この縫合糸ノットは縫合糸を含み、その縫合糸の3本のリムが第2の表面から延び、ノットをなす縫合糸と連続し、リムのそれぞれは、第1の表面と第2の表面との間のそれぞれの貫通開口部を通じて配置される。3本のリムのうちの最初の2本は、第2の固定部材にスライドして連結された縫合糸の連続ループをなす。そのループは、あるループ長を有する。ノットは、第1の固定部材に対して第3のリムに加えられた張力がそのループ長を縮めるのに効果的となるように構成される。
【0022】
本発明による機器は、対向する第1の表面及び第2の表面を有する、第1の固定部材を備え、第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部が、第1の表面及び第2の表面の間に延び、縫合糸の第1のリム、第2のリム、及び第3のリムがそれぞれ、第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部を通じて配置される。第1のリム及び第3のリムはそれぞれ、第1の開口部及び第3の開口部を通じてスライド可能に配置され、第1のリム及び第2のリムは互いに連続して、第2の表面から延びる、縫合糸ループを形成する。第2の固定部材は、ループを有する内部を貫通する1つ以上の開口部を有し、ループは、第2の固定部材を貫通するその1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つに通してスライド可能に配置される。制限要素が第1の固定部材に結び付けられ、縫合糸を第1の方向にはスライド可能に通過させるが、反対の第2の方向には通過させないように適合される。第1のリム及び第3のリムは、第1の表面に隣接する制限部材を通過するものと連続する。第1の固定部材に対して第3のリムに加えられる張力は、それぞれ第3の開口部及び第1の開口部を通じて第3のリム及び第1のリムをスライドさせることによってループ長を縮めるのに効果的なものである。
【0023】
本発明の機器は、第1の固定部材及び第2の固定部材を備え、少なくとも1つの開口部が第2の固定部材を貫通する。縫合糸の2本のリムが、第1の固定部材から延びる縫合糸の連続ループを形成し、そのループの一部分は、第2の固定部材を貫通する少なくとも1つの開口部を通じてスライド可能に配置される。第1の固定部材は制限要素を備え、2本のリムのうち一方の延長部は、第1の長手方向にスライドして進むように、その制限要素を通じて配置されるが、反対の第2の長手方向にスライドすることを制限される。2本のリム及び延長部は、第1の固定部材の共通表面から延びる。
【0024】
本発明による機器は、ある表面を有する、体組織の修復をもたらす。この機器は第1の固定部材及び第2の固定部材を備え、第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれは、その組織の表面と接触して配置されるように適合された接触表面をそれぞれ有する。縫合糸の連続ループが、第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれの接触表面の間に延び、このループは、ある長さを有し、第2の固定部材を貫通する1つ以上の開口部を通じてスライド可能に配置される。第1の固定部材に対して張力リムに加えられる張力が、ループの長さを縮めるのに効果的となるように、縫合糸の張力リムが、第1の固定部材の接触表面から延びる。
【0025】
好ましくは、張力リムは、ループをなす縫合糸と連続する。本発明の一態様において、第1の固定部材は係止スライド式のノットを備え、張力リムは、その係止スライド式のノットを通じて配置される。好ましくは、スライド式のノットは、第1の固定部材の非接触表面に隣接して配置され、非接触表面は、接触表面に対向し、かつ接触表面の反対側にある。好ましくは、張力リムは、縫合糸に沿って第1の長手方向に、スライドしてノットを通過することができ、反対の長手方向に、スライドしてノットを通過することを制限される。
【0026】
本発明による方法は、半月板の欠損の修復をもたらす。半月板は、関連する大腿骨に面する第1の表面と、大腿骨から離れかつ脛骨から離れる、対向する第2の表面とを有する。その方法は、欠損に隣接した第1の箇所にて第2の表面にもたれさせて第1の固定部材を配置する工程と、欠損に隣接した第2の箇所にて第2の表面にもたれさせて第2の固定部材を配置する工程と、欠損の全体にわたって第1の固定部材と第2の固定部材との間に可撓性部材を配列する工程であって、可撓性部材は、半月板を通過し、あるループをなし、第2の固定部材は、そのループに、スライド可能に付けられ、そのループは、第2の表面を越えて第1の固定部材に隣接して可撓性部材に付けられたスリップ式のノットを備える、工程と、スリップ式のノットを通じて可撓性部材の一部分に張力をかけて、ループを縮め、欠損を閉鎖する工程と、を含む。
【0027】
好ましくは、第1の固定部材は、第1の面と第2の面とを有し、スリップ式のノットは、第1の面に接し、また、この方法は、半月板の第2の表面にもたれさせて第2の面を配置する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明について、添付の特許請求の範囲の詳細事項と共に説明する。本発明の上記の及び更なる態様は、添付の図面と共に以下の説明を参照することによって、更に理解され得る。添付の図面において、同様の参照符号は、様々な図における同様の構造要素及び特徴を示すものである。図面は必ずしも一定の尺度ではなく、むしろ本発明の原理を説明することが重視されている。
【図1】体組織に埋め込まれた、本発明の組織修復アセンブリの例示的な実施形態の横断面図。
【図2A】本発明の送出装置に配置された、本発明の組織修復アセンブリの例示的な実施形態の側面図。
【図2B】図2Aに示す送出器具の遠位部分の側面図。
【図2C】図2Aに示す送出器具の遠位部分の平面図。
【図3A】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図3B】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図3C】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図3D】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図3E】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図3F】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図4A】縫合糸を受容するための3つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の例示的な実施形態の平面図。
【図4B】縫合糸を受容するための3つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の例示的な実施形態の端面図。
【図4C】縫合糸を受容するための3つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の例示的な実施形態の側面図。
【図5A】縫合糸を受容するための2つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の別の実施形態の平面図。
【図5B】縫合糸を受容するための2つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の別の実施形態の端面図。
【図5C】縫合糸を受容するための2つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の別の実施形態の側面図。
【図6】図4A〜4C及び図5A〜5Cの固定部材を用いた本発明の組織修復アセンブリの斜視図。
【図7】縫合糸を受容するための3つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の別の実施形態の側面図。
【図8】縫合糸を受容するための2つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の別の実施形態の側面図。
【図9】縫合糸を受容するための1つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の更なる実施形態の側面図。
【図10】図6の線10−10に沿った破断図。
【図11A】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【図11B】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【図11C】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【図11D】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【図11E】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【図11F】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【0029】
〔詳細な説明〕
本発明の装置及び方法により、外科医は、縫合糸の連続セグメントで相互に連結された2つの固定部材を使用して、一貫してかつ確実に組織の断裂及び分離を修復することが可能となる。本発明の装置を使用する外科手術は、外科医が縫合糸ノットを結ぶ必要もなく実施されるものであり、関節鏡又は内視鏡による修復術を実施するのに特に好適である。本発明を用いて実施される修復術では、固定装置を相互に連結する縫合糸に沿って、ノット、縫合糸の継ぎ目、又は他の潜在的な応力点が残ることがなく、手術後の損傷を特に受けやすい組織領域、例えば、関節をなす組織表面から離してノットが再現的に配置される。理解されたいこととして、本明細書にて開示する特定の装置及び方法は、例示的なものであって本発明を限定するものではなく、例えば、膝の半月板などの軟組織の実質的な傷害を修復するための、本明細書にて説明する実施形態は、別の種類の軟組織における部分的な若しくは完全な断裂を修復するために、又はある種類の組織の別の組織からの部分的な若しくは完全な分離、例えば、腱若しくは靱帯の骨からの分離を修復するために、同様に応用され得る。
【0030】
図を更に詳しく参照すると、図1は、組織102の欠損104を修復するために体組織102に埋め込まれた本発明の組織修復アセンブリ100の例示的な実施形態の横断面図を概略的に示している。例示的な実施形態において、組織102は膝の半月板であり、欠損104は半月板断裂である。別の実施形態において、組織102は別の種類の体組織である。更に別の実施形態において、欠損104は、2つの異なる種類の体組織の間の分離である。
【0031】
修復アセンブリ100は、第1の固定部材106と、第2の固定部材108と、連続的な可撓性要素110とを備えており、連続的な可撓性要素110は、第1の固定部材106と第2の固定部材108とを相互に連結し、第1の固定部材106及び第2の固定部材108を貫いて延びていることが分かる。可撓性要素110は、埋込み及び外科的修復を行う上での使用に好適な任意の種類の可撓性要素を含み得るものであり、以下、「縫合糸」と呼ばれる。縫合糸110は、絹などの天然材料、及びポリエチレンテレフタレート(PET)又は他のポリエステル材料などの合成材料を使用して製作された縫合糸を含めて、任意の種類の縫合糸とされることができる。縫合糸110は、生体吸収性、部分的に生体吸収性、又は非吸収性とされることができ、円形の横断面又は別の横断面を有することができる。一実施形態において、縫合糸110は、部分的に生体吸収性であり、非吸収性の構成成分としてのポリエチレンと、生体吸収性の構成成分としてのポリジオキサノンとを含んでいる。
【0032】
第1の固定部材106は、第1の組織接触表面112と、第1のバック表面114と、第1の組織接触表面112と第1のバック表面114との間の第1の貫通開口部116、第2の貫通開口部118、及び第3の貫通開口部120とを備えていることが分かる。第2の固定部材108は、第2の組織接触表面122と、第2のバック表面124と、組織接触表面122とバック表面124との間の第1の貫通開口部126及び第2の貫通開口部128とを備えていることが分かる。ある実施形態において、それぞれの貫通開口部のうちの1つ以上が、縫合糸110をスライド可能に通すように適合される。更なる実施形態において、それぞれの第1のアンカー106及び第2のアンカー108を貫く隣接する開口部の間のそれぞれの組織接触表面及びバック表面は、それぞれの開口部を貫きそれぞれの開口部の間にわたる縫合糸110のスライド性を最適化するように丸みを付けられる。一実施形態において、開口部のそれぞれの横断面は丸いものである。別の実施形態において、開口部のうちの1つ以上は、その1つ以上の開口部を、それぞれの固定部材を貫く隣接する開口部と連結する線に対して垂直な方向に長くなっている。
【0033】
縫合糸110は、第1の固定部材106のバック表面114に隣接する係止スライド式のノット120を備えていることが分かる。縫合糸は、係止スライド式のノット130から延びる連続的なループセクション132を備えており、ループセクション132は、第1のリム134と第2のリム136とを備えていることが分かる。第1のリム134は、バック表面114から組織接触表面112へと、係止スライド式のノット130から第1の固定部材106の第1の開口部116に向かい、その第1の開口部116を貫き、組織接触表面122からバック表面124へと、第2の固定部材108のそれぞれの第1の開口部126に向かい、その第1の開口部126を貫いて延びていることが分かる。第2の固定部材108のバック表面124から引き続き、第1のリム134は、ループ132の第2のリム136と連続しており、第2の固定部材108のバック表面124から組織接触表面122へと第2の開口部128を貫き、第1の固定部材106の第2の開口部118に向かい、その第2の開口部118を貫いて、係止スライド式のノット130に戻り、ループ132を完結していることが分かる。ある実施形態において、ループ132は、第1の固定部材106及び第2の固定部材108のそれぞれを貫くそれぞれの第1の開口部及び第2の開口部のそれぞれを通じて、スライド可能に配置される。
【0034】
ある実施形態において、第2のリム136は、係止スライド式のノット130に固定式で連結され、第1のリム134は、係止スライドノット130を貫いて、張力リム138に、かつ張力リム138と連続して、スライド可能に延び、張力リム138は、係止スライド式のノット130から、第1のアンカー106のバック側114から組織接触面112へと第3の開口部140に向かい、第3の開口部140を貫いて延びる。第1の固定部材の第1の開口部、係止スライド式のノット130及び第3の開口部120を通じてループ132から縫合糸をスライドさせて引き出すために、第1のアンカー106に対して張力リム138に張力を加えることが効果的であり、伝達された張力が、第2の固定部材108の第2の開口部128及び第1の開口部126それぞれを通じて第2のリム136の一部分をスライドさせて更に引き寄せるとき、ループ132が縮められる。ある実施形態において、ループ132を縮めることにより、組織102内の欠損104を閉鎖するための圧縮力が加えられる。留意されたいこととして、図1に説明の目的で、様々な縫合糸リム134、136及び138が、組織102を貫いて互いから横方向に離間して示されているが、組織修復アセンブリ100を使用する実際の組織修復術において、様々な縫合糸リム134、136、138は、互いに隣接する実質的に共通の経路に従って組織102を貫く。
【0035】
図2Aは、本発明の送出装置150に配置された組織修復アセンブリ100の例示的な実施形態の側面図を概略的に示しており、この送出装置150は、遠位端部152及び近位端部154を有している。送出装置150は、近位ハンドル158から遠位側に延びる、実質的に管状の遠位送出部材156を備えていることが分かる。図2B及び2Cは、組織修復アセンブリ100が配置された送出部材156の遠位部分のより詳細な図を、それぞれ側面図及び上面図で示している。
【0036】
第1の固定部材106及び第2の固定部材108は、縫合糸110の少なくとも一部分がそれらの間に延びる状態で、送出部材156に沿ってかつ少なくとも部分的に送出部材156の内側で、スライド可能に保持されていることが分かる。送出装置150はまた、送出部材156内で遠位側にスライド可能な少なくとも1本の配置ロッド160を備えていることが分かり、この配置ロッド160は、第1の固定部材106及び第2の固定部材108を送出部材156から遠位側に逐次的に排出するためのものである。ハンドル158は、少なくとも1つの手動作動式トリガー162を備えているのが分かり、この手動作動式トリガー162は、少なくとも1本の配置ロッド160のうちの1つを遠位側にスライドさせるように作動可能である。一実施形態において、図2Aに示すように、送出部材156は、その長さに沿って湾曲部164を備える。別の実施形態(図示せず)において、送出部材156は、ハンドル158と遠位端部152との間で実質的に直線状である。
【0037】
ある実施形態において、第1の固定部材106及び第2の固定部材108のそれぞれは、送出部材156の長手方向スロット166内にスライド可能に保持され、スロット166は、遠位端部152からハンドル158に向かって近位側に延び、第1の固定部材106及び第2の固定部材108をスライド可能に保持するための、対向する長手方向の縁部168を有する。図示のように、配置ロッド160は、初期には、ロッド160がスライドする送出部材156の遠位端部において、ルーメンの外側にて第2の固定部材108の下方で動く(rides)。第1の固定部材106が配置された後に、第2のトリガー163が係合され、それにより、第2の配置ロッド161は遠位側に移動し、第2の固定部材108をスロットに沿ってルーメン内の発射位置(初期には第1の固定部材106によって占められていた位置)へと押し込み、トリガー162が係合されたときにロッド160によって直ちに配置されるようにする。図示のように、送出部材156は、遠位側にて組織穿刺先端部170で終端している。別法として、送出部材156は、遠位側にて鈍い先端部で終端する。ある実施形態において、第1の固定部材106及び第2の固定部材108のそれぞれは、送出部材156と共に、組織の中に又は組織を貫いて挿入するために、それぞれの固定部材の横断面積が最小となる方向で、送出部材156上に保持される。
【0038】
弾性チューブ172が図2Aに示されており、送出部材156を囲んで配置されている。好ましくは、弾性チューブ172は、弾性のある透明なシリコーン材料から製作される。チューブ172は、明確にするため、図2B及び2Cでは省略されている。弾性チューブは、送出部材156の一部分に沿って送出部材を囲んで配置されており、第1の固定部材106及び第2の固定部材108の、送出部材156に沿った箇所、並びにそれらの間の縫合糸の少なくとも一部分を取り巻いていることが分かる。弾性チューブ172と、その中に保持された固定部材106、108及び縫合糸との間の摩擦により、第1の固定部材106及び第2の固定部材108は、それぞれの固定部材が組織に送出される前に、送出部材156に沿った所定の長手方向の位置にて保持される。同様に、弾性チューブ172は、送出部材に沿って縫合糸を維持することにより、組織修復アセンブリ100に対する縫合糸の管理をもたらす。弾性チューブ172の遠位端部174は、第1の固定部材106と第2の固定部材108とのうち一方又は双方を配置する前に、組織の中に送出部材156を挿入することに対して、柔軟な送り止め(soft depth stop)をもたらす。
【0039】
図3A〜3Fは、本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態を示している。まず図3Aを参照すると、送出部材156、その中に保持された組織修復アセンブリ100は、第1の組織表面182及び第2の組織表面184を有する、損傷した体組織180を通じて、第2の組織表面184の第1の箇所186に送られていることが分かり、この第1の箇所186で、第1の固定部材106は、送出部材156の遠位端部からスライドして排出されており、第1の固定部材106が第1の箇所186に近接して配置されていることが分かる。損傷した体組織180は、組織の欠損188を含んでいることが分かる。ある実施形態において、第1の箇所186は、修復が完成すると欠損188に圧縮力が加わるように、外科医によって選択される。ある実施形態において、組織の欠損188は半月板断裂であり、圧縮力は、その断裂を閉鎖するのに有効なものである。留意されたいこととして、図3A〜図3Fにおいて説明の目的で、また図1に関して上に記載したように、個々の固定部材から延びる様々な縫合糸リムが、第1の組織表面182と第2の組織表面184との間で組織180を通じて互いから横方向に離れて示されているが、実際の組織修復術において、それぞれの縫合糸リムは、組織102を通じて互いに隣接する実質的に共通の経路をたどる。
【0040】
別法として、第1の固定部材106は、損傷した体組織180の物質内に、又は別の体組織の表面内に若しくはその表面に隣接して、送出部材156から排出されることができる。組織の欠損188の性質及び箇所に応じて、外科医は、直接組織の欠損188を通じて、組織の欠損188に隣接して、あるいは、配置された組織修復アセンブリ100が組織の欠損188の全体にわたって圧縮力を効果的に加える、組織の別の領域を通じて、配置部材156を第1の箇所186に送るように選択してもよい。
【0041】
ここで図3Bを参照すると、送出部材156は、損傷した体組織180から後退されており、第1の固定部材106が第1の箇所186に近接して残されていることが分かる。第1の固定部材106は、送出部材156にスライド可能に保持されている間、組織を穿刺するために最小の横断面積を呈する。使用時に、第1の固定部材106は、組織接触表面112が第1の箇所186にて第2の組織表面184に引っかかるように回転し、第1の固定装置106の横断面積を最大にして、損傷した組織180を貫く引き抜きに抵抗する。
【0042】
ここで図3Cを参照すると、送出部材156、及びその上に依然として保持された第2の固定部材108は、2度目に、損傷した体組織180を貫いて第2の組織表面184の第2の箇所190に送られていることが分かり、ここで、第2の固定部材108は、送出部材156の遠位端部からスライドして排出されており、第2の固定部材が第2の箇所190に近接して配置されていることが分かる。外科医が第2の箇所190及び組織を貫く送出部材156の経路を選択する基準は、第1の箇所186及びそれに関連する組織を貫く経路を選択するために用いられる基準と対応する。好ましくは、第1の箇所186及び第2の箇所190のそれぞれは、修復が完成すると組織の欠損188に圧縮力が加わるように、外科医によって選択される。第2の固定部材108は、損傷した体組織188の物質内に、又は別の体組織の表面内に若しくはその表面に隣接して、送出部材156から排出されることができる。
【0043】
図3Dを参照すると、送出部材156は、損傷した体組織188から後退されており、第2の固定部材108は第2の箇所に近接して残され、第1の縫合糸リム134と第2のリム136と、を備える、縫合糸ループ132の一部分は、第1の組織表面182の架橋セクション192に隣接して配置した状態に残されていることが分かる。第2の固定部材108は、送出部材156にスライド可能に保持されている間、組織を穿刺するために最小の横断面積を呈する。送出部材156から放出されると、張力が第1のリム134と第2のリム136のうち一方又は双方に加えられたことに応答して、第2の固定部材108は、組織接触表面122が第2の箇所190にて第2の組織表面184に引っかかるように回転し、第2の固定装置108の横断面積を最大にして、損傷した組織180を貫く引き抜きに抵抗する。
【0044】
ここで図3Eを参照すると、張力リム138は、第1の固定部材106に対して張力をかけられており、縫合糸ループ132を縮め、圧縮力を組織の欠損188に加えていることが分かる。図示のように、組織の欠損188は半月板断裂であり、圧縮力は、断裂を閉鎖するのに有効なものである。縫合糸ループ132の、第1の組織表面182の架橋セクション192に隣接する部分は、張力をかけた後も依然として実質的に第1の組織表面182上にある。好ましくは、張力をかけることにより、ループ132をなす縫合糸は、第1の組織表面182を局所的に圧縮することになり、そのため、縫合糸が、第1の組織表面182の残部の上に露出することはなく、十分な張力を用いると、ループ132をなす縫合糸は、第1の組織表面182の下方の損傷した組織180の中に嵌り込み、そのため、縫合糸が、第1の組織表面182の残部の上に露出することはない。
【0045】
ここで図3Fを参照すると、張力リム138は、第1の組織表面182にて、又は第1の組織表面182の下方で切り取られており、張力リム138が第1の組織表面182を越えた状態に残されていないことが分かる。図示のように、損傷した組織180は膝の半月板であり、組織の欠損は半月板断裂であり、第1の組織表面182は、関節をなす半月板の表面であり、第2の組織表面184は、半月板の周縁であり、第1の固定部材106及び第2の固定部材108のそれぞれは、周囲の半月板嚢に配置されている。他の実施形態において、本発明の2つ以上の組織修復アセンブリが、組織の欠損を修復するために、又は組織内の物理的に隣接する欠損を修復するために使用される。
【0046】
外科医による、それぞれ第1の固定部材106及び第2の固定部材108に対する第1の箇所及び第2の箇所の決定は、限定するものではないが、欠損を含んだ組織の種類、欠損の性質及び程度、組織における欠損の箇所、並びに、手術部位の近くに存在し得る他の組織及び他の欠損との近接性を含めて、多数の要素に依存する。それぞれ第1の固定部材及び第2の固定部材に対する第1の箇所及び第2の箇所は、損傷した組織の単一の連続表面上とされ得る。あるいは、第1の箇所及び第2の箇所は、組織の表面に沿った、組織の欠損の両側である。第1の箇所及び第2の箇所は、反対側の組織表面上とされることができ、組織の欠損はそれらの表面の間にある。第1の箇所及び第2の箇所は、異なる組織上とされ得る。
【0047】
図4A〜4Cはそれぞれ、本発明の三口型固定部材200の例示的な実施形態の平面図、端面図及び側面図を概略的に示している。ある実施形態において、三口型固定部材200は、本明細書で上に開示した組織修復アセンブリ100の第1の固定部材106である。三口型固定部材200は、第1の表面204と、第2の表面206と、3つの貫通開口部とを有する、第1の本体202を備えており、3つの貫通開口部は、第1の表面204と第2の表面206との間で本体202を貫く第1の開口部208と、第2の開口部210と、第3の開口部212とを含んでいる。ある実施形態において、三口型固定部材200は第1の固定部材106であり、その第1の表面204は組織接触表面112であり、その第2の表面206はバック表面114である。三口型固定部材200は、その第1の表面204と第2の表面206との間の平面214に対して対称的である。別法として、第1の表面204と第2の表面206は、平面214に対して非対称とされ得る。
【0048】
3つの貫通開口部208、210、212のそれぞれ、並びにそれらに隣接しかつそれらの間にある、それぞれの第1の表面204及び第2の表面206のうち一方又は双方は、開口部を貫き開口部の間にわたる縫合糸のスライド性を最適化するように、滑らかに丸みを付けられている。3つの貫通開口部208、210、212のうちの1つ以上は、その1つ以上の開口部を3つの貫通開口部のうちの隣接する1つと相互に連結する線に対して垂直な方向に細長くなっている。その1つ以上の開口部を細長くすることにより、それぞれの開口部を貫いた縫合糸のスライド性が向上する。また、第1の本体202は、その第1の表面204及び第2の表面206のそれぞれに長手方向の溝216を備えていることが分かる。それぞれの溝216は、送出部材156の長手方向のスロット166の縁部168のうちの1つとスライド係合して、三口型固定部材200を送出部材156内に保持するように適合されている。
【0049】
図5A〜5Cはそれぞれ、本発明の二口型固定部材220の更なる実施形態の上面図、端面図及び側面図を概略的に示している。ある実施形態において、二口型固定部材220は、本明細書で上に開示した組織修復アセンブリ100の第2の固定部材108である。構造において三口型固定部材200と同様に、二口型固定部材220は、第1の表面224と、第2の表面226と、2つの貫通開口部とを有する、第2の本体222を備えており、2つの貫通開口部は、その第1の表面224と第2の表面226との間で第2の本体222を貫く第1の開口部228と第2の開口部230とを含んでいることが分かる。二口型固定部材220は第2の固定部材108であり、その第1の表面224は組織接触表面122であり、その第2の表面226はバック表面124である。二口型固定部材220は、その第1の表面224と第2の表面226との間の平面232に関して対称的である。別法として、その第1の表面224と第2の表面226は、平面232に関して非対称的である。
【0050】
二口型固定部材の第1の貫通開口部228及び第2の貫通開口部230、並びにそれらの貫通開口部に隣接しかつそれらの貫通開口部の間にある第1の表面224と第2の表面226のうち一方又は双方は、それらの開口部を貫き、それらの開口部の間にわたる縫合糸のスライド性を最適化するように、滑らかに丸みを付けられている。2つの貫通開口部228、230のうち一方又は双方は、それぞれの開口部を貫いた縫合糸のスライド性を向上させるために、2つの貫通開口部228、230を相互に連結する線に対して垂直な方向に細長くされることができる。第2の本体222はまた、その第1の表面224及び第2の表面226のそれぞれに、対応する長手方向の溝234を備えていることが分かる。そのそれぞれの溝234は、送出部材156の長手方向のスロット166の縁部168のうちの1つとスライド係合して、二口型固定部材220を送出部材156内に保持するように適合されている。
【0051】
三口型固定部材200及び二口型固定部材220は、任意の生体適合性材料から製作されることができ、互いに同じ組成物又は異なる組成物であることができる。一実施形態において、固定部材200、220の少なくとも一方は非吸収性である。更なる一実施形態において、固定部材200、220の少なくとも一方は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリマーで製作される。別の実施形態において、固定部材200、220の少なくとも一方は生体吸収性である。
【0052】
図6は、三口型固定部材200と二口型固定部材220と、を備える、本発明の組織修復アセンブリ250の例示的な実施形態の斜視図を概略的に示している。この組織修復アセンブリは、本明細書で上に開示した組織修復アセンブリ100と同じ構造を有しており、縫合糸110は、係止スライド式のノット130と、第1のリム134と、第2のリム136と、張力リム138とを備え、第1のリム134と第2のリム136は縫合糸ループ132をなしている。
【0053】
縫合糸110の係合部分は、縫合糸110に沿った、以下で「ポスト」252とする箇所にて、第1の開口部208と第3の開口部212との間で、第1の固定部材200の第2の表面206に実質的に隣接して、係止スライド式のノット130を貫いてスライドして配置されており、ポスト252は、縫合糸110に沿って第1のリム134と張力リム136との間にスライド可能な遷移部を備えている。三口型固定部材200に対して張力リム138に張力をかけてループ132を縮めると、係止スライド式のノット130は、その中でポスト252を係止して、ループ132が再び延長されることを実質的に防止する。係止スライド式のノットは、外科手術の分野において周知である。係止スライド式のノットは、バントラインスライドノットであり、外科手術の分野、並びに海洋学などの他の分野で既知の係止スライド式のノットの一種である。好ましくは、この係止スライド式のノットは、係止スライド式のノット130から延びる縫合糸の尾部256を安定化させるために、ストッパノット254を更に備える。別法として、ストッパノット254は、単一の8の字形のノットを含むことができる。
【0054】
三口型固定部材200及び二口型固定部材220は、好ましくはそれぞれPEEK材料から製作されており、縫合糸110は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)とポリジオキサノン(PDS)とを含んだ、部分的に生体吸収性のある高強度な縫合糸である。より好ましくは、UHMWPE及びPDSの縫合糸は、Depuy Mitek(Raynham,Massachusetts)によって販売されているOrthocord(商標)という縫合糸である。
【0055】
図7〜図9は、本発明の組織修復アセンブリをなし得る固定部材の様々な別の実施形態の上面図を概略的に示している。図7は、三口型固定部材260の別の実施形態の上面図を示しており、この実施形態は、図7に示す三口型固定部材260では、本体268を第1の表面224と第2の表面272との間で貫く3つの開口部262、264、266のそれぞれが、横断面において円形であることを除いて、図4A〜4C及び図6の固定部材200に似ている。同様に、図8は、二口型固定部材274の別の実施形態の上面図を示しており、この実施形態は、図8に示す二口型固定部材274では、本体280を第1の表面282と第2の表面284との間で貫く2つの開口部276、278のそれぞれが、横断面において円形であることを除いて、図5A〜5C及び図6の固定部材220に似ている。
【0056】
図9は、本発明の単口型固定部材286の実施形態を概略的に示している。単口型固定部材286は、二口型固定部材274及び三口型固定部材260と似ているが、本体290をその第1の表面292と第2の表面294との間で貫く単一の開口部288のみを有していることが分かる。三口型固定部材200と二口型固定部材220と、を備える、組織修復アセンブリ250に関して言えば、別の実施形態において、二口型固定部材220は、単口型固定部材286と置き換えられ、三口型固定部材200と単口型固定部材286との間で延びる縫合糸ループは、単一の開口部288を通じて配置される。
【0057】
更なる実施形態において、本発明の組織修復アセンブリを備える固定部材は、組織修復アセンブリの構造内に縫合糸を配置するために使用される貫通開口部に加えて、1つ以上の貫通開口部を備える。更なる別の実施形態において、実質的に三口型である固定部材から延びる縫合糸ループは、その縫合糸ループに沿って2つ以上の固定部材を備え、それらの固定部材のそれぞれを通じて縫合糸ループが配置される。
【0058】
本発明の組織固定アセンブリにおいて、縫合糸は、縫合糸の3本のリムが延びる固定部材に関連付けられた係止スライド式の要素(制限要素)を貫いて、実質的に、1つの長手方向のみに通される。制限要素は、縫合糸が好ましい長手方向に通過でき、かつ反対の長手方向に通ることを制限される、任意の種類の制限要素とされ得る。様々な実施形態において、制限要素は、係止スライド式の縫合糸ノットである。別の実施形態において、制限要素は、棘のある縫合糸(barbed suture)を通すように適合された、固定部材内の1つ以上の開口部を備え、その縫合糸は、1つ以上の開口部を貫いて、好ましいスライド方向を有する。更に別の実施形態において、制限要素は、固定部材自体を貫くか又は固定部材自体の周りにある一方向の通路である。
【0059】
図10は、図6の組織修復アセンブリ250の一部分の横断側面図を概略的に示しており、係止スライド式のノット130が第2の表面206に引っかけられた状態で、三口型固定部材200、及びそれを通じて配置された縫合糸110の一部分の横断面図が示されている。三口型固定部材200を貫く3つの開口部208、210、212の内表面、並びに第1の表面204及び第2の表面206の、それらの開口部208、210、212の間の部分はそれぞれ、それらを貫き、それらに沿った縫合糸110のスライド性を最適化するように丸みを付けられていることが分かる。
【0060】
本発明の組織修復アセンブリは、特定の組織の欠損を修復するのに好適な任意の寸法及び配分の固定部材、使用する縫合糸の寸法及び種類の選択、並びに固定部材に対する縫合糸の経路指定の変更を含めて、多様な構成で組み立てられることができる。次に、本発明の組織修復アセンブリを組み立てるために使用される固定部材に必要な貫通開口部の数が、縫合糸の経路指定に基づいて選択される。図11A〜11Fは、本発明の組織修復アセンブリの様々な別の実施形態を概略的に示しているが、これらの実施形態は、2つの固定部材の間の縫合糸の経路指定と、それぞれの固定部材を貫いて設けられた開口部の数とのうち一方又は双方に関して、本明細書で上に説明した実施形態とは構成において異なっている。留意されたいこととして、本明細書で開示した固定部材のいずれかを貫いて設けられた開口部の総数は、本発明の意図又は範囲から逸脱することなく、特定の縫合糸の経路指定に必要な開口部の数を超えることができる。
【0061】
図11Aは、第1の固定部材302と第2の固定部材304と、を備える、第1の別の実施形態の組織修復アセンブリ300を示している。図11Aの組織修復アセンブリ300はまた、ある長さの縫合糸306と、制限要素308とを備えていることが分かる。制限要素308は、縫合糸306で形成された係止スライド式のノットである。この長さの縫合糸306は、第2のリム312と連続する第1のリム310を更に備え、第1のリム310と第2のリム312は共に、第1の固定部材302を第2の固定部材304に連結する縫合糸ループ314をなしている。第2のリム312は、制限部材308に実質的に固定して連結されている。第2のリム312は、制限部材308を貫いて延びており、また、本明細書で上に開示したように、ストッパノット318で終端された縫合糸の尾部316と連続している。第1のリム310は、制限部材308を通じてスライドさせて経路を定められ、張力リム320と連続している。本明細書で開示する様々な実施形態において、縫合糸は、様々な固定部材を貫く1つ以上の開口部を通じて経路を定められる。それぞれの固定部材を組織内に配置するために、かつアセンブリを通じて縫合糸をスライドさせて組織の欠損に接近するために、縫合糸は一般に、アセンブリの操作を円滑なものにするように、1つ以上の開口部を通じてスライドさせて経路を定められる。
【0062】
図11A〜図11Fのそれぞれに示す様々な別の実施形態は、上記の長さの縫合糸306と、それらの構成要素を備えているが、第1の固定部材と第2の固定部材の周り及びそれらの間の経路指定において異なっている。第1の別の実施形態の組織修復アセンブリ300に関して図11Aに示すように、第1の固定部材302は、第1の固定部材302を貫く第1の開口部322と、第2の開口部324と、第3の開口部326とを備えていることが分かる。第2の固定部材304は、第2の固定部材304を貫く2つの開口部328、330を備えていることが分かる。縫合糸ループ314は、第2の固定部材304の2つの開口部328、330のそれぞれを通じて経路を定められていることが分かる。第1のリム310は、第1の固定部材302の第1の開口部322を通じて制限要素308へと経路を定められていることが分かる。第2のリム312は、第1の固定部材302の第3の開口部326を通じて制限要素308へと経路を定められていることが分かる。張力リム320は、制限要素308から第1の固定部材302の第2の開口部324を通じて経路を定められていることが分かる。第1の固定部材302に対して張力リム320に加えられる張力は、制限部材308を通じて縫合糸を引き出し、それによってループ314の寸法を減少させるのに効果的なものである。図11Aの実施形態では、張力リム320は、固定部材302の中央の開口部を通じて経路を定められるのに対し、先に開示した組織修復アセンブリ100、250では、異なる位置にある開口部を通じて経路を定められることを除き、組織修復アセンブリ300は、本明細書で上に開示した組織修復アセンブリ100、250に似ていることが分かる。
【0063】
図11Bは、図11Aの実施形態の第1の固定部材302と第2の固定部材304と、を備える、組織修復アセンブリ332の第2の別の実施形態を示しているが、この実施形態は、第1の固定部材302の周りの、及び第1の固定部材302に通した縫合糸の経路指定において、かつ制限要素308の構造において異なっている。図11Bの組織修復アセンブリ332の実施形態において、制限要素308は、縫合糸の尾部316によって第1の固定要素302に取り付けられた係止スライド式の縫合糸ノットであり、縫合糸の尾部316は、第1の固定装置302の第3の開口部326を通じて経路を定められ、その第3の開口部326を通じてストッパノット318によって固定されている。縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のそれぞれは、第1の固定部材302の第1の開口部322及び第2の開口部324のうち一方を通じて経路を定められていることが分かる。更に、図11Bの実施形態において、張力リム320は、図11Aに示す組織修復アセンブリ300の第1の別の実施形態に関して説明したように、第1の固定部材302の開口部を通じて経路を定められるのではなく、第1の固定部材302の周りに経路を定められていることが分かる。
【0064】
図11Cは、組織修復アセンブリ334の第3の別の実施形態を示している。図11Cの組織修復アセンブリ334は、第1の固定部材336を備えており、第1の固定部材336は、それを貫く第1の開口部338と第2の開口部340とを有していることが分かる。組織修復アセンブリ334はまた、第2の固定部材342を備えており、第2の固定部材342は、それを貫く単一の開口部344を有していることが分かる。縫合糸ループ314は、第2の固定部材342の単一の開口部344を通じて経路を定められていることが分かり、更に縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のそれぞれは、第1の固定部材336の第1の開口部338及び第2の開口部340のうち一方を通じて経路を定められていることが分かる。図11Bの実施形態に関して説明した縫合糸の経路指定と同様に、張力リム320は、第1の固定部材336の周りに経路を定められていることが分かる。
【0065】
組織修復アセンブリ346の第4の別の実施形態が、図11Dに示されている。図11Dに示す組織修復アセンブリ346は、図11Dに示す実施形態では、張力リム320が、制限要素314から第1の固定部材336の第2の開口部340を通じて経路を定められるということを除いて、図11Cに示す組織修復アセンブリ334に似ている。加えて、縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のうち一方は、第1の固定部材336の第1の開口部338を通じて経路を定められていることが分かり、縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のもう一方は、第1の固定部材336の周りに経路を定められていることが分かる。
【0066】
図11Eは、第1の固定部材350と第2の固定部材352と、を備える、組織修復アセンブリ348の第5の別の実施形態を示しており、第1の固定部材350及び第2の固定部材352はそれぞれ、それらを貫く単一の開口部354、356を有している。この実施形態において、縫合糸ループ320は、第2の固定部材352の単一の開口部356を通じて経路を定められていることが分かる。縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のうち一方は、第1の固定部材350の単一の開口部354を通じて経路を定められていることが分かり、縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のもう一方は、第1の固定部材350の周りに経路を定められていることが分かる。加えて、張力リム320は、第1の固定部材350の周りに経路を定められていることが分かる。
【0067】
図11Fは、第1の固定部材360と第2の固定部材362と、を備える、組織修復アセンブリ358の第6の別の実施形態を示しており、第1の固定部材360及び第2の固定部材362はそれぞれ、それらを貫く2つの開口部364、366、368、370を有している。縫合糸ループ314は、第2の固定部材362の2つの開口部368、370のそれぞれを通じて経路を定められていることが分かり、第1の縫合糸リム310及び第2の縫合糸リム312のそれぞれは、直接、制限部材308に経路を定められており、制限部材308は、第1の固定部材360と第2の固定部材362との間にて第1の固定部材360に隣接して配置されている。制限部材308は、縫合糸の尾部316によって第1の固定部材360に取り付けられた係止スライド縫合糸ノットであり、縫合糸の尾部316は、第1の固定部材360の2つのそれぞれの開口部364、366のうち一方の開口部366を通じて経路を定められ、また開口部366を通じてストッパノット318によって固定されている。張力リム320は、第1の固定装置360の2つのそれぞれの開口部364、366のうちのもう一方の開口部364を通じて経路を定められていることが分かる。
【0068】
留意されたいこととして、本発明の意図及び範囲内で更なる実施形態を提供するために、本明細書で開示した実施形態のいずれにおいても、それぞれの第2の固定部材の実施形態のいずれかが、それぞれの第1の固定部材、関連する制限要素、及び縫合糸の経路指定の実施形態のいずれかと組み合わされることができる。
【0069】
本発明の組織修復アセンブリ及び方法は、いくつかの利点を有している。本発明の組織修復アセンブリを使用した半月板修復手技は、完全な組織の修復をもたらすことができ、この修復において、膝の半月板の関節をなす表面(大腿骨に面する表面)に縫合糸のみが残り、硬質な物体又はノットは残ることがなく、したがって、治癒が支援され、患者が術後に膝関節を曲げたとき、半月板に接触する関節軟骨が損傷を受ける可能性が最小限となる。また、好都合にも、損傷した組織及び関連する組織の欠損に対して任意の向きで修復が実施され得る。本発明の組織修復アセンブリは、2つの組織固定部材の相対位置を制限する固定長の縫合糸を含んでいないため、この組織修復アセンブリにより、更なる柔軟性が外科医にもたらされる。例えば、本発明の組織修復アセンブリを使用して実施される修復では、2つの固定部材の間の最小距離が制限されない。重要なことに、本発明の組織修復アセンブリを使用すると、半月板修復のすべてを、半月板の関節側から実施することができ、外科手術による周囲組織への外傷を最小限にする手法となる。
【0070】
別の利点として、本発明の組織修復アセンブリを使用して実施される修復の強度及び安定性は、縫合糸の2本の途切れのない連続的なリムによってもたらされ、そのリムは、第1のアンカー部材と第2のアンカー部材との間に、リムに沿って、継ぎ目、ノット、又は保持具を含まない。更に有利にも、固定箇所に完全に架かる2本の縫合糸を設けることにより、固定箇所に架かる単一の、ノット付きの、又は接合された縫合糸セグメントと比べて、修復される組織への力の分布がより優れたものとなる。
【0071】
本発明の組織修復アセンブリはまた、半月板の修復、部分的な肩回旋筋腱板断裂の接近、及び、2つの組織又は1つの組織内の損傷が外科的接近を必要とする任意の他の軟組織の修復を含めて、その応用において非常に用途の広いものである。加えて、送出部材の挿入のために、骨に1つ以上の孔を事前に穴あけすることにより、組織修復アセンブリは、軟組織を骨に固着させるために使用され得る。
【0072】
本発明について、特定の好ましい実施形態に関連して具体的に示し説明してきたが、形式及び細部における様々な変更が、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされうることが、当業者には理解されよう。
【0073】
〔実施の態様〕
(1) 第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、第1の表面と、その反対側の第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部及び第2の貫通開口部とを有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び第2の固定部材を結合する可撓性要素であって、前記可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、前記長さは、前記第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第1の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第2の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第2の固定部材の前記第2の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる、可撓性要素と、
前記第1の表面と第2の表面との間に画定された第3の貫通開口部を更に備える前記第1の固定部材と、
前記第1の端部セクションと前記第2の端部セクションとの間に形成されたスライド係止式のノットであって、前記第1の端部セクションは、前記ノットを通じてスライド可能に配置され、前記第1の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、スライド係止式のノットと、を備える、機器。
(2) 前記第1の固定部材を貫く前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部が、前記第1の表面及び第2の表面に沿って実質的に直線状に配列される、実施態様1に記載の機器。
(3) 前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材が、それぞれの表面上の隣接する開口部の間に、丸みを付けられた表面を備えて、前記丸みを付けられた表面に沿って前記可撓性要素をスライドさせる、実施態様1に記載の機器。
(4) 前記開口部のそれぞれが、実質的に円形の横断面を有する、実施態様1に記載の機器。
(5) 前記開口部のうちの1つ以上が、細長い横断面を有する、実施態様1に記載の機器。
(6) 前記第1の固定部材に対して前記第2の端部セクションに加えられる張力が、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材とを結合する前記可撓性部材に沿って、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間の距離を縮めるのに効果的なものである、実施態様1に記載の機器。
(7) 前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれが、それぞれの前記第1の表面及び第2の表面のそれぞれに、実質的に直線状の溝を更に備え、前記溝は、それぞれの前記表面の第1の端部からそれぞれの前記表面の対向する端部へと延び、前記第2の表面の前記溝は、前記第1の表面の前記溝と実質的に平行である、実施態様1に記載の機器。
(8) 細長い送出部材を有する送出装置を更に備え、前記細長い送出部材内で、前記可撓性要素によって結合された前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれの少なくとも一部分が、長手方向に、かつスライド可能に受容される、実施態様1に記載の機器。
(9) 前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれが、それぞれの前記第1及び第2の表面のそれぞれに、実質的に直線状の溝を更に備え、前記溝は、それぞれの前記表面の第1の端部からそれぞれの前記表面の対向する端部へと延び、前記第2の表面の前記溝は、前記第1の表面の前記溝と実質的に平行であり、前記溝は前記送出部材のスロットとスライド可能に係合する、実施態様8に記載の機器。
(10) 前記可撓性要素が、縫合糸を含む、実施態様1に記載の機器。
【0074】
(11) 前記可撓性要素が、ポリエチレンを含む、実施態様1に記載の機器。
(12) 前記可撓性要素が、ポリエチレン及び生体吸収性ポリマーを含む、実施態様1に記載の機器。
(13) 前記生体吸収性ポリマーが、ポリジオキサノンを含む、実施態様12に記載の機器。
(14) 前記スライド係止式のノットが、バントラインノットである、実施態様1に記載の機器。
(15) 送出装置を更に備え、該送出装置が、
カニューレを備え、該カニューレは、近位端部及び遠位端部と、前記カニューレの壁内の長手方向のスロットとを有し、前記スロットは、前記遠位端部から前記近位端部に向かって延び、前記カニューレは、前記スロットに沿った対向する長手方向の縁部を備え、前記カニューレは、前記縁部が前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置のそれぞれの前記溝にスライド係合した状態で、前記スロットに沿って前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置を受容するように適合される、実施態様7に記載の機器。
(16) 前記カニューレ内に配置された配置ロッドと、前記カニューレの前記近位端部に機械的に結合されたハンドルと、前記ハンドルと関連付けられた手動で作動可能な部材とを更に備え、前記作動可能な部材は、前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置のうち一方を前記カニューレの前記遠位端部からスライドさせて排出するために、前記配置ロッドを前記カニューレ内で遠位側に並進させるように作動可能である、実施態様15に記載の機器。
(17) 第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、第1の表面及びその反対側の第2の表面と、前記第1の固定装置の前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部と、前記第2の固定装置の前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された1つ以上の貫通開口部とを有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び第2の固定部材を結合する可撓性要素であって、前記可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、前記長さは、前記第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第1の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第2の固定部材の前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つを貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる、可撓性要素と、
前記第1の端部セクションと前記第2の端部セクションとの間に形成されたスライド係止式のノットであって、前記第2の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、スライド係止式のノットと、を備える、機器。
(18) 前記1の固定部材を貫く前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部が、前記第1の表面及び第2の表面に沿って実質的に直線状に配列される、実施態様17に記載の機器。
(19) 前記開口部のそれぞれが、実質的に円形の横断面を有する、実施態様18に記載の機器。
(20) 前記開口部のうちの1つ以上が、隣接する開口部の間の実質的に直線状の線に対して直角な方向に細長い横断面を有する、実施態様17に記載の機器。
【0075】
(21) 前記第1の固定部材に対して前記第2の端部セクションに加えられる張力が、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間の距離を縮めるのに効果的なものである、実施態様17に記載の機器。
(22) 送出装置を更に備え、前記可撓性要素によって結合された前記第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれの少なくとも一部分が、前記送出装置内でスライド可能に受容される、実施態様17に記載の機器。
(23) 前記可撓性要素が、縫合糸を含む、実施態様17に記載の機器。
(24) 前記可撓性要素が、ポリエチレンを含む、実施態様17に記載の機器。
(25) 前記可撓性要素が、少なくとも部分的に生体吸収性である、実施態様17に記載の機器。
(26) 前記スライド係止式のノットが、バントラインノットである、実施態様17に記載の機器。
(27) 第1の固定部材及び第2の固定部材を備え、前記第1の固定部材は、第1の表面と、その反対側の第2の表面とを有し、前記第1の固定部材及び第2の固定部材は、それらの間に延びる縫合糸の2つの連続セクションによって結合され、前記2つの連続セクションは、互いに連続し、前記第2の固定部材を貫く開口部を貫いてスライド可能であり、縫合糸の前記2つのセクションのそれぞれは、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材のそれぞれの第1及び第2の貫通開口部を貫いて延び、スライド係止式のノットは、縫合糸の前記2つの連続セクションを前記第1の表面に隣接して接合し、第3の貫通開口部は、前記第1の表面と前記第2の表面との間にあり、縫合糸の前記2つの連続セクションのうち一方は、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、機器。
(28) 体組織内の欠損を修復するための機器において、
第1の表面と、その反対側の第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部とを有する第1の固定部材と、1つ以上の貫通開口部を有する第2の固定部材とを備え、前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材は、連続長の縫合糸によって結合され、前記縫合糸は、前記第1の固定部材の前記第1の面に実質的に隣接して配置されたスライド係止式のノットによって結合されたループを画定し、前記ループは、前記ノットから、順に、前記第1の固定部材の前記第1の開口部、前記第2の固定部材の前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つ、前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫いて、スライド可能に延び、前記ノットに戻り、前記連続長の縫合糸の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の面から前記第2の面へと前記第3の開口部を貫いて延び、
前記ノットは、前記第1の固定部材に対して前記端部セクションに張力をかけることが、前記ループを短縮するのに効果的となるように構成される、機器。
(29) 前記ノットが、バントラインノットである、実施態様28に記載の機器。
(30) 前記第2の表面が、修復されている前記組織と接触するように適合され、前記ノットが、前記第1の表面に隣接して維持される、実施態様28に記載の機器。
【0076】
(31) 体組織内の欠損を修復するための方法において、
第1の送出経路に沿って、前記組織を貫いて前記組織の第1の表面領域上の第1の箇所へと、第1の固定部材を通す工程であって、前記第1の固定部材は、対向する第1の表面及び第2の表面を有し、スライド係止式の縫合糸ノットが前記第1の表面に隣接し、前記縫合糸ノットは縫合糸を含み、縫合糸の3本のリムが、前記第2の表面から前記送出経路に沿って延び、縫合糸の前記3本のリムはそれぞれ、前記ノットを含んだ前記縫合糸と連続し、前記3本のリムのうちの最初の2本が共に、第2の固定部材にスライドして連結された縫合糸の連続ループをなし、前記ループは、あるループ長を有する、工程と、
縫合糸の前記3つのセクションのうちの少なくとも1つに張力をかけて、前記第2の表面を前記第1の箇所にて前記組織にもたれさせて配置する工程と、
第2の送出経路に沿って、前記組織を貫いて前記組織の第2の表面領域上の第2の箇所へと、前記第2の固定部材を通す工程と、
縫合糸の前記第3のリムに張力をかけて、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間の前記ループ長を縮める工程と、を含む、方法。
(32) 縫合糸の前記第3のリムに張力をかけることにより、前記第2の固定部材が前記第2の箇所にて前記組織にもたれて配置される、実施態様31に記載の方法。
(33) 前記第3のリムに張力をかけることにより、圧縮力が加えられて、前記組織の欠損が減じられる、実施態様31に記載の方法。
(34) 前記第1の固定部材が、前記第1の面と前記第2の面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部を備え、前記第1のリム、第2のリム、及び第3のリムのそれぞれは、対応する前記開口部を通じて配置される、実施態様31に記載の方法。
(35) 前記第2の固定部材が、2つの貫通開口部を備え、前記ループが、両方の開口部をスライドして通過する、実施態様31に記載の方法。
(36) 前記第1の箇所及び前記第2の箇所が、前記組織の単一の表面上にある、実施態様31に記載の方法。
(37) 前記第1の箇所及び前記第2の箇所が、前記組織の対向する表面上にある、実施態様31に記載の方法。
(38) 対向する第1の表面及び第2の表面を有する第1の固定部材と、前記第1の表面に隣接するスライド係止式の縫合糸ノットとを備え、前記縫合糸ノットは、縫合糸を含み、縫合糸の3本のリムは、前記第2の表面から延び、縫合糸の前記3本のリムのそれぞれは、前記ノットを含んだ前記縫合糸と連続し、前記3本のリムのそれぞれは、前記第1の表面と前記第2の表面との間のそれぞれの貫通開口部を通じて配置され、前記3本のリムのうちの最初の2本が共に、第2の固定部材にスライドして連結された縫合糸の連続ループをなし、前記ループは、あるループ長を有し、前記ノットは、前記第1の固定部材に対して前記第3のリムに加えられる張力が、前記ループ長を縮めるのに効果的なものとなるように構成される、機器。
(39) 対向する第1の表面及び第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部とを有する第1の固定部材と、
それぞれ前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部を通じて配置された縫合糸の第1のリム、第2のリム、及び第3のリムであって、前記第1のリム及び前記第3のリムは、前記第1の開口部及び第3の開口部を通じてスライド可能に配置され、前記第1のリム及び前記第2のリムは、互いに連続して、前記第2の表面から延びる縫合糸ループを形成する、縫合糸の第1のリム、第2のリム、及び第3のリムと、
内部を貫通する1つ以上の開口部を有する第2の固定部材であって、前記ループは、前記第2の固定部材を貫通する前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つに通してスライド可能に配置される、第2の固定部材と、
前記第1の固定部材に結び付けられた制限要素であって、前記制限部材は、縫合糸をスライド可能に第1の方向には通過させるが、反対の第2の方向には通過させないように適合され、前記第1のリム及び前記第3のリムは、それらのうち一方と連続して、前記第1の表面に隣接する前記制限部材を通過する、制限要素と、を備え、
前記第1の固定部材に対して前記第3のリムに加えられる張力は、それぞれ前記第3の開口部及び第1の開口部を通じて前記第3のリム及び前記第1のリムをスライドさせることによって、前記ループ長を縮めるのに効果的なものである、機器。
(40) 第1の固定部材と第2の固定部材とを備え、少なくとも1つの開口部が前記第2の固定部材を貫き、縫合糸の2本のリムが、前記第1の固定部材から延びる縫合糸の連続ループをなし、前記ループの一部分が、前記第2の固定部材を貫く前記少なくとも1つの開口部を通じてスライド可能に配置され、前記第1の固定部材が制限要素を備え、前記2本のリムのうちの一方の延長部が、前記制限要素を、第1の長手方向にスライドして通過するように配置されるが、反対の第2の長手方向にスライドすることを制限され、前記2本のリム及び前記延長部が、前記第1の固定部材の共通表面から延びる、機器。
【0077】
(41) ある表面を有する体組織を修復するための機器において、
第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、前記組織の表面と接触して配置されるように適合された接触表面をそれぞれ有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれの接触表面の間に延びる縫合糸の連続ループであって、ある長さを有し、前記第2の固定部材を貫く1つ以上の開口部を通じてスライド可能に配置される、縫合糸の連続ループと、
前記第1の固定部材の前記接触表面から延びる縫合糸の張力リムと、を備え、
前記第1の固定部材に対して前記張力リムに加えられる張力が、前記ループの前記長さを縮めるのに効果的なものである、機器。
(42) 前記張力リムが、前記ループをなす前記縫合糸と連続する、実施態様41に記載の機器。
(43) 前記第1の固定部材が、係止スライド式のノットを備え、前記張力リムが、前記係止スライド式のノットを通じて配置される、実施態様42に記載の機器。
(44) 前記スライド式のノットが、前記第1の固定部材の非接触表面に隣接して配置され、前記非接触表面は、前記接触表面に対向し、かつ前記接触表面の反対側にある、実施態様43に記載の機器。
(45) 前記張力リムが、前記縫合糸に沿って第1の長手方向に前記ノットをスライドして通過することができ、反対の長手方向に前記ノットを通じてスライドすることを制限される、実施態様43に記載の機器。
(46) 半月板の欠損を修復する方法であって、前記半月板は、関連する大腿骨に面する第1の表面と、前記大腿骨から離れかつ脛骨から離れた、反対側の第2の表面とを有する、方法において、
前記欠損に隣接した第1の箇所にて第1の固定部材を前記第2の表面にもたれさせて配置する工程と、
前記欠損に隣接した第2の箇所にて第2の固定部材を前記第2の表面にもたれさせて配置する工程と、
前記欠損の全体にわたって前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間に可撓性部材を配列する工程であって、前記可撓性部材は、前記半月板を通過し、あるループをなし、前記第2の固定部材は、前記ループに、スライド可能に取り付けられ、前記ループは、前記第2の表面を越えて前記第1の固定部材に隣接して前記可撓性部材に固着されたスリップ式のノットを備える、工程と、
前記スリップ式のノットを通じて前記可撓性部材の一部分に張力をかけて、前記ループを縮め、前記欠損を閉鎖する工程と、を含む、方法。
(47) 前記第1の固定部材が、第1の面と第2の面とを有し、前記スリップ式のノットは、前記第1の面に接し、前記方法は、前記第2の面を前記半月板の前記第2の表面にもたれさせて配置する工程を含む、実施態様1に記載の方法。
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、広義には、組織を修復するための装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、組織の欠損の関節鏡下修復術のための縫合糸固定装置及び方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
多様な傷害及び状態により、軟組織の損傷を修復すること、又は骨及び/若しくは周囲の組織へ軟組織を再付着することが必要となる。例えば、肩回旋筋腱板が上腕骨から部分的に又は完全に断裂する(回旋筋腱板断裂)など、それ以外の点では健康な組織が骨から断裂した場合、組織を骨に再付着させ、治癒及び自然な再付着を生じさせるために、しばしば手術が必要となる。これらの外科的修復を実施するための多数の装置及び方法が開発されているが、より良い結果をもたらす方法のいくつかは、縫合糸アンカー、又は一般的に「縫合糸固定部材」の使用を含むものであり、この「縫合糸固定部材」は通常、1つ以上の縫合糸付着機構を有する、アンカー本体と、縫合糸アンカーを組織若しくは骨の中に、又は組織若しくは骨に隣接して保持するための組織又は骨係合機構とを有している。特定の傷害に応じて、縫合糸の1つ以上のセグメントに連結された、あるいは縫合糸の1つ以上のセグメントで相互に連結された1つ以上の縫合糸アンカーが修復を実施するために使用され得る。
【0003】
単一の種類の組織の実体において、例えば膝の半月板において断裂が生じる場合(半月板断裂)にもまた、外科手術が必要となることがある。そのような断裂を修復する一方法は、ある長さの縫合糸を組織に通し、縫合糸を結束することによって、断裂を縫合して閉鎖することである。縫合糸はまた、そのような組織の断裂を修復するために、1つ以上の縫合糸アンカーと共に使用され得る。縫合糸は、修復手技の間に外科医によって結ばれたノットを用いて、あるいは、外科医が外科手術の間にノットを結ぶことを必要とせずに1つ以上のアンカーと1本以上の縫合糸が連結され張力をかけられ得る「ノットレス」の装置及び方法を用いて、縫合糸アンカー及び組織に締結されることができる。ノットレス式の固定は、内視鏡又は関節鏡による修復など、低侵襲外科手術に特に有用なものであり、低侵襲外科手術において、外科医は、小径のカニューレ又は内視鏡チューブに通して挿入された器具を使用して、手術部位にて縫合糸を遠隔式で操作しなければならず、これにより、結び付けのプロセスは困難でかつ時間を要するものとなり得る。
【0004】
アンカーが組織内に配置されるときに縫合糸を定位置に自動的に固定するアンカー、アンカーが配置された後に縫合糸をアンカーに制御可能に固定できるアンカー構成要素、縫合糸を1方向にのみスライドして通過させることができる装置、並びに外科医が簡素な器具を使用することによって、あるいはノットから延びる1つ以上の縫合糸のストランドに張力をかけることによって締め付けられ得る既成のノットを含めて、様々な方法が、ノットレス式の固定をもたらすために用いられている。
【0005】
断裂した組織を修復するための多数の縫合糸固定システムが開発されてきたが、現行の装置は欠点を伴うものである。いくつかのノット又は他のアンカー構成要素は、修復された組織の表面、特に、大腿骨と半月板との間の境界など、体重を支持する、骨との接触点(surface facing weight bearing contact with bone)に面する表面の上に「そびえ立ち」、例えば関節をなす関節組織の運動及び治癒を妨げることがあり、あるいは、アンカーに対する若しくは組織の近くのノットの位置が、完全に外科医の制御下にないことがあり、場合によっては修復が最適でないものとなる。傷害を修復するために2つ以上の縫合糸アンカーが縫合糸で結合される手術において、アンカーを互いに連結する縫合糸に沿って位置する任意のノット又は結合された縫合糸セグメントは、外科的修復の極限強さを制限するかあるいは外科手術による外傷の一因となる応力点となり得る。
【0006】
したがって、断裂又は損傷した組織を修復するための改善された方法及び装置、特に、縫合糸アンカーを使用して、断裂した又はそれ以外の形で損傷した組織を関節鏡下で修復するのに好適な方法及び装置が求められている。また、修復されている組織に損傷を与える危険性を低減し、関節の運動及び治癒に対する干渉を排除するように薄型をなす方法及び装置が依然として求められている。
【0007】
〔発明の概要〕
したがって、本発明は、損傷した組織を修復するための縫合糸固定装置及び方法の実施形態を提供する。本発明による機器は、第1の固定部材及び第2の固定部材を備え、第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれは、第1の表面と、その反対側の第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部及び第2の貫通開口部とを有する。可撓性要素が、第1の固定部材と第2の固定部材とを結合し、その可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、その長さは、第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、第1の表面から第2の表面へと第1の固定部材の第1の開口部を貫き、第2の表面から第1の表面へと第2の固定部材の第1の開口部を貫き、第1の表面から第2の表面へと第2の固定部材の第2の開口部を貫き、第2の表面から第1の表面へと第1の固定部材の第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる。第1の固定部材は、その第1の表面及び第2の表面との間に画定された第3の貫通開口部を更に備える。スライド係止式のノットが、第1の端部セクションと第2の端部セクションとの間に形成され、第1の端部セクションは、ノットを通じてスライド可能に配置され、ノットから、第1の表面から第2の表面へと第3の開口部を貫いて延びる。
【0008】
本発明の一態様において、第1の固定部材を貫く第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部は、第1の表面及び第2の表面に沿って実質的に直線状に配列される。好ましくは、第1の固定部材及び第2の固定部材は、それぞれの表面上の隣接する開口部の間に、丸みを付けられた表面を備えて、丸みを付けられた表面に沿って可撓性要素をスライドさせる。本発明の一態様において、開口部のそれぞれは、実質的に円形の横断面を有する。別法として、開口部のうちの1つ以上は、細長い横断面を有する。好ましくは、第1の固定部材に対して第2の端部セクションに加えられる張力は、第1の固定部材と第2の固定部材とを結合する可撓性部材に沿って、第1の固定部材と第2の固定部材との間の距離を縮めるのに効果的なものである。
【0009】
本発明の一態様において、第1の固定部材及び第2の固定部材は、それぞれの第1の表面及び第2の表面のそれぞれに、実質的に直線状の溝を更に備え、その溝は、それぞれの表面の第1の端部からそれぞれの表面の反対側の端部へと延び、第2の表面の溝は、第1の表面の溝と実質的に平行である。送出装置は、細長い送出部材を有し、その送出部材内で、可撓性要素によって結合された第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれの少なくとも一部分が、長手方向にかつスライド可能に受容され、好ましくは、それらの溝は送出部材のスロットとスライド可能に係合する。
【0010】
好ましくは、可撓性要素は縫合糸を含む。本発明の一態様において、可撓性要素はポリエチレンを含む。本発明の別の態様において、可撓性要素は、ポリエチレンと生体吸収性ポリマーとを含み、好ましくは、生体吸収性ポリマーは、ポリジオキサノンを含む。
【0011】
好ましくは、スライド係止式のノットは、バントラインノットである。
【0012】
好ましくは、カニューレを備える送出装置が提供され、そのカニューレは、近位端部及び遠位端部と、その遠位端部から近位端部に向かって延びる、カニューレの壁内の長手方向のスロットとを有し、カニューレは、スロットに沿った対向する長手方向の縁部によって画定される。第1の固定装置及び第2の固定装置は、スロットの縁部が第1の固定装置及び第2の固定装置のそれぞれの溝にスライド係合する状態で、スロットに沿ってカニューレ内に受容される。好ましくは、配置ロッドがカニューレ内に配置され、ハンドルがカニューレの近位端部に機械的に結合し、また、第1の固定装置及び第2の固定装置のうち一方をカニューレの遠位端部からスライドさせて排出するために、手動で作動可能な部材がハンドルと結合されて、配置ロッドをカニューレ内で遠位側に並進させる。
【0013】
本発明による機器は、第1の固定部材及び第2の固定部材を備える。第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれは、第1の表面及びその反対側の第2の表面と、第1の固定装置の第1の表面と第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部と、第2の固定装置の第1の表面と第2の表面との間に画定された1つ以上の貫通開口部とを有する。可撓性要素が、第1の固定部材と第2の固定部材とを結合する。その可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、その長さは、第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、第1の表面から第2の表面へと第1の固定部材の第1の開口部を貫き、第2の表面から第1の表面へと第2の固定部材の1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つを貫き、第2の表面から第1の表面へと第1の固定部材の第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる。スライド係止式のノットが、第1の端部セクションと第2の端部セクションとの間に形成され、第2の端部セクションは、ノットから、第1の表面から第2の表面へと第3の開口部を貫いて延びる。
【0014】
本発明による機器は、第1の固定部材及び第2の固定部材との間に延びる縫合糸の2つの連続セクションによって結合された第1の固定部材及び第2の固定部材を備える。第1の固定部材は、第1の表面、及びその反対側の第2の表面を有する。2つの縫合糸セクションは互いに連続し、第2の固定部材を貫通する開口部を貫いてスライド可能である。縫合糸の2つのセクションのそれぞれは、第2の表面から第1の表面へとそれぞれ第1の固定部材の第1の貫通開口部及び第2の貫通開口部を貫いて延びる。スライド係止式のノットが、第1の表面に隣接する縫合糸の2つの連続セクションを結合する。第3の貫通開口部が、第1の表面と第2の表面との間に延び、縫合糸の2つの連続セクションのうち一方は、ノットから、第1の表面から第2の表面へと第3の開口部を貫いて延びる。
【0015】
本発明による機器は、体組織内の欠損の修復をもたらす。この機器は、第1の表面及びその反対側の第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部とを有する、第1の固定部材を備える。第2の固定部材は、1つ以上の貫通開口部を有する。第1の固定部材及び第2の固定部材は、連続長の縫合糸によって結合され、その縫合糸は、第1の固定部材の第1の面に実質的に隣接して配置されたスライド係止式のノットによって結合されたループを画定する。ループは、ノットから順に、第1の固定部材の第1の開口部、第2の固定部材の1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つ、第1の固定部材の第2の開口部をスライド可能に貫いて延び、ノットに戻る。連続長の縫合糸の端部セクションが、ノットから、第1の面から第2の面へと第1の固定部材の第3の開口部を貫いて延びる。第1の固定部材に対して端部セクションに張力をかけると、ループが効果的に縮められる。
【0016】
好ましくは、ノットはバントラインノットであり、また好ましくは、第2の表面は、修復されている組織と接触するように適合され、ノットは、第1の表面に隣接して維持される。
【0017】
本発明による方法は、体組織内の欠損の修復をもたらす。その方法は、第1の送出経路に沿って、組織の第1の表面領域上の第1の箇所へと組織に第1の固定部材を通す工程であって、第1の固定部材は、対向する第1の表面及び第2の表面を有し、スライド係止式の縫合糸ノットが第1の表面に隣接し、この縫合糸ノットが縫合糸を含み、縫合糸の3本のリム(limbs)が、第2の表面から送出経路に沿って延び、縫合糸の3本のリムはそれぞれ、ノットをなす縫合糸と連続し、3本のリムのうちの最初の2本が共に、第2の固定部材にスライドして連結された縫合糸の連続ループをなし、そのループは、あるループ長を有する、工程と、縫合糸の3つのセクションのうちの少なくとも1つに張力をかけて、第2の表面を第1の箇所にて組織にもたれさせて配置する工程と、第2の送出経路に沿って、組織の第2の表面領域上の第2の箇所へと組織に第2の固定部材を通す工程と、縫合糸の第3のリムに張力をかけて、第1の固定部材と第2の固定部材との間のループ長を縮める工程と、を含む。
【0018】
好ましくは、縫合糸の第3のリムに張力をかけることにより、第2の箇所にて組織にもたれさせて第2の固定部材が配置され、また圧縮力が加えられて組織の欠損が減じられる。
【0019】
好ましくは、第1の固定部材は、第1の面と第2の面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部を備え、第1のリム、第2のリム、及び第3のリムのそれぞれは、それぞれの開口部を通じて配置され、第2の固定部材は2つの貫通開口部を備え、ループは両方の開口部をスライドして通過する。
【0020】
本発明の一態様において、第1の箇所及び第2の箇所は、組織の単一の表面上にある。本発明の別の態様において、第1の箇所及び第2の箇所は、組織の対向する表面上にある。
【0021】
請求する本発明による機器は、対向する第1の表面及び第2の表面を有する、第1の固定部材を備える。スライド係止式の縫合糸ノットが、第1の表面に隣接して位置する。この縫合糸ノットは縫合糸を含み、その縫合糸の3本のリムが第2の表面から延び、ノットをなす縫合糸と連続し、リムのそれぞれは、第1の表面と第2の表面との間のそれぞれの貫通開口部を通じて配置される。3本のリムのうちの最初の2本は、第2の固定部材にスライドして連結された縫合糸の連続ループをなす。そのループは、あるループ長を有する。ノットは、第1の固定部材に対して第3のリムに加えられた張力がそのループ長を縮めるのに効果的となるように構成される。
【0022】
本発明による機器は、対向する第1の表面及び第2の表面を有する、第1の固定部材を備え、第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部が、第1の表面及び第2の表面の間に延び、縫合糸の第1のリム、第2のリム、及び第3のリムがそれぞれ、第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部を通じて配置される。第1のリム及び第3のリムはそれぞれ、第1の開口部及び第3の開口部を通じてスライド可能に配置され、第1のリム及び第2のリムは互いに連続して、第2の表面から延びる、縫合糸ループを形成する。第2の固定部材は、ループを有する内部を貫通する1つ以上の開口部を有し、ループは、第2の固定部材を貫通するその1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つに通してスライド可能に配置される。制限要素が第1の固定部材に結び付けられ、縫合糸を第1の方向にはスライド可能に通過させるが、反対の第2の方向には通過させないように適合される。第1のリム及び第3のリムは、第1の表面に隣接する制限部材を通過するものと連続する。第1の固定部材に対して第3のリムに加えられる張力は、それぞれ第3の開口部及び第1の開口部を通じて第3のリム及び第1のリムをスライドさせることによってループ長を縮めるのに効果的なものである。
【0023】
本発明の機器は、第1の固定部材及び第2の固定部材を備え、少なくとも1つの開口部が第2の固定部材を貫通する。縫合糸の2本のリムが、第1の固定部材から延びる縫合糸の連続ループを形成し、そのループの一部分は、第2の固定部材を貫通する少なくとも1つの開口部を通じてスライド可能に配置される。第1の固定部材は制限要素を備え、2本のリムのうち一方の延長部は、第1の長手方向にスライドして進むように、その制限要素を通じて配置されるが、反対の第2の長手方向にスライドすることを制限される。2本のリム及び延長部は、第1の固定部材の共通表面から延びる。
【0024】
本発明による機器は、ある表面を有する、体組織の修復をもたらす。この機器は第1の固定部材及び第2の固定部材を備え、第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれは、その組織の表面と接触して配置されるように適合された接触表面をそれぞれ有する。縫合糸の連続ループが、第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれの接触表面の間に延び、このループは、ある長さを有し、第2の固定部材を貫通する1つ以上の開口部を通じてスライド可能に配置される。第1の固定部材に対して張力リムに加えられる張力が、ループの長さを縮めるのに効果的となるように、縫合糸の張力リムが、第1の固定部材の接触表面から延びる。
【0025】
好ましくは、張力リムは、ループをなす縫合糸と連続する。本発明の一態様において、第1の固定部材は係止スライド式のノットを備え、張力リムは、その係止スライド式のノットを通じて配置される。好ましくは、スライド式のノットは、第1の固定部材の非接触表面に隣接して配置され、非接触表面は、接触表面に対向し、かつ接触表面の反対側にある。好ましくは、張力リムは、縫合糸に沿って第1の長手方向に、スライドしてノットを通過することができ、反対の長手方向に、スライドしてノットを通過することを制限される。
【0026】
本発明による方法は、半月板の欠損の修復をもたらす。半月板は、関連する大腿骨に面する第1の表面と、大腿骨から離れかつ脛骨から離れる、対向する第2の表面とを有する。その方法は、欠損に隣接した第1の箇所にて第2の表面にもたれさせて第1の固定部材を配置する工程と、欠損に隣接した第2の箇所にて第2の表面にもたれさせて第2の固定部材を配置する工程と、欠損の全体にわたって第1の固定部材と第2の固定部材との間に可撓性部材を配列する工程であって、可撓性部材は、半月板を通過し、あるループをなし、第2の固定部材は、そのループに、スライド可能に付けられ、そのループは、第2の表面を越えて第1の固定部材に隣接して可撓性部材に付けられたスリップ式のノットを備える、工程と、スリップ式のノットを通じて可撓性部材の一部分に張力をかけて、ループを縮め、欠損を閉鎖する工程と、を含む。
【0027】
好ましくは、第1の固定部材は、第1の面と第2の面とを有し、スリップ式のノットは、第1の面に接し、また、この方法は、半月板の第2の表面にもたれさせて第2の面を配置する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明について、添付の特許請求の範囲の詳細事項と共に説明する。本発明の上記の及び更なる態様は、添付の図面と共に以下の説明を参照することによって、更に理解され得る。添付の図面において、同様の参照符号は、様々な図における同様の構造要素及び特徴を示すものである。図面は必ずしも一定の尺度ではなく、むしろ本発明の原理を説明することが重視されている。
【図1】体組織に埋め込まれた、本発明の組織修復アセンブリの例示的な実施形態の横断面図。
【図2A】本発明の送出装置に配置された、本発明の組織修復アセンブリの例示的な実施形態の側面図。
【図2B】図2Aに示す送出器具の遠位部分の側面図。
【図2C】図2Aに示す送出器具の遠位部分の平面図。
【図3A】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図3B】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図3C】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図3D】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図3E】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図3F】本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態の横断面図。
【図4A】縫合糸を受容するための3つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の例示的な実施形態の平面図。
【図4B】縫合糸を受容するための3つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の例示的な実施形態の端面図。
【図4C】縫合糸を受容するための3つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の例示的な実施形態の側面図。
【図5A】縫合糸を受容するための2つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の別の実施形態の平面図。
【図5B】縫合糸を受容するための2つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の別の実施形態の端面図。
【図5C】縫合糸を受容するための2つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の別の実施形態の側面図。
【図6】図4A〜4C及び図5A〜5Cの固定部材を用いた本発明の組織修復アセンブリの斜視図。
【図7】縫合糸を受容するための3つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の別の実施形態の側面図。
【図8】縫合糸を受容するための2つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の別の実施形態の側面図。
【図9】縫合糸を受容するための1つの貫通開口部を有する、本発明の固定部材の更なる実施形態の側面図。
【図10】図6の線10−10に沿った破断図。
【図11A】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【図11B】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【図11C】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【図11D】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【図11E】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【図11F】本発明の組織修復アセンブリの更なる実施形態の破断平面図。
【0029】
〔詳細な説明〕
本発明の装置及び方法により、外科医は、縫合糸の連続セグメントで相互に連結された2つの固定部材を使用して、一貫してかつ確実に組織の断裂及び分離を修復することが可能となる。本発明の装置を使用する外科手術は、外科医が縫合糸ノットを結ぶ必要もなく実施されるものであり、関節鏡又は内視鏡による修復術を実施するのに特に好適である。本発明を用いて実施される修復術では、固定装置を相互に連結する縫合糸に沿って、ノット、縫合糸の継ぎ目、又は他の潜在的な応力点が残ることがなく、手術後の損傷を特に受けやすい組織領域、例えば、関節をなす組織表面から離してノットが再現的に配置される。理解されたいこととして、本明細書にて開示する特定の装置及び方法は、例示的なものであって本発明を限定するものではなく、例えば、膝の半月板などの軟組織の実質的な傷害を修復するための、本明細書にて説明する実施形態は、別の種類の軟組織における部分的な若しくは完全な断裂を修復するために、又はある種類の組織の別の組織からの部分的な若しくは完全な分離、例えば、腱若しくは靱帯の骨からの分離を修復するために、同様に応用され得る。
【0030】
図を更に詳しく参照すると、図1は、組織102の欠損104を修復するために体組織102に埋め込まれた本発明の組織修復アセンブリ100の例示的な実施形態の横断面図を概略的に示している。例示的な実施形態において、組織102は膝の半月板であり、欠損104は半月板断裂である。別の実施形態において、組織102は別の種類の体組織である。更に別の実施形態において、欠損104は、2つの異なる種類の体組織の間の分離である。
【0031】
修復アセンブリ100は、第1の固定部材106と、第2の固定部材108と、連続的な可撓性要素110とを備えており、連続的な可撓性要素110は、第1の固定部材106と第2の固定部材108とを相互に連結し、第1の固定部材106及び第2の固定部材108を貫いて延びていることが分かる。可撓性要素110は、埋込み及び外科的修復を行う上での使用に好適な任意の種類の可撓性要素を含み得るものであり、以下、「縫合糸」と呼ばれる。縫合糸110は、絹などの天然材料、及びポリエチレンテレフタレート(PET)又は他のポリエステル材料などの合成材料を使用して製作された縫合糸を含めて、任意の種類の縫合糸とされることができる。縫合糸110は、生体吸収性、部分的に生体吸収性、又は非吸収性とされることができ、円形の横断面又は別の横断面を有することができる。一実施形態において、縫合糸110は、部分的に生体吸収性であり、非吸収性の構成成分としてのポリエチレンと、生体吸収性の構成成分としてのポリジオキサノンとを含んでいる。
【0032】
第1の固定部材106は、第1の組織接触表面112と、第1のバック表面114と、第1の組織接触表面112と第1のバック表面114との間の第1の貫通開口部116、第2の貫通開口部118、及び第3の貫通開口部120とを備えていることが分かる。第2の固定部材108は、第2の組織接触表面122と、第2のバック表面124と、組織接触表面122とバック表面124との間の第1の貫通開口部126及び第2の貫通開口部128とを備えていることが分かる。ある実施形態において、それぞれの貫通開口部のうちの1つ以上が、縫合糸110をスライド可能に通すように適合される。更なる実施形態において、それぞれの第1のアンカー106及び第2のアンカー108を貫く隣接する開口部の間のそれぞれの組織接触表面及びバック表面は、それぞれの開口部を貫きそれぞれの開口部の間にわたる縫合糸110のスライド性を最適化するように丸みを付けられる。一実施形態において、開口部のそれぞれの横断面は丸いものである。別の実施形態において、開口部のうちの1つ以上は、その1つ以上の開口部を、それぞれの固定部材を貫く隣接する開口部と連結する線に対して垂直な方向に長くなっている。
【0033】
縫合糸110は、第1の固定部材106のバック表面114に隣接する係止スライド式のノット120を備えていることが分かる。縫合糸は、係止スライド式のノット130から延びる連続的なループセクション132を備えており、ループセクション132は、第1のリム134と第2のリム136とを備えていることが分かる。第1のリム134は、バック表面114から組織接触表面112へと、係止スライド式のノット130から第1の固定部材106の第1の開口部116に向かい、その第1の開口部116を貫き、組織接触表面122からバック表面124へと、第2の固定部材108のそれぞれの第1の開口部126に向かい、その第1の開口部126を貫いて延びていることが分かる。第2の固定部材108のバック表面124から引き続き、第1のリム134は、ループ132の第2のリム136と連続しており、第2の固定部材108のバック表面124から組織接触表面122へと第2の開口部128を貫き、第1の固定部材106の第2の開口部118に向かい、その第2の開口部118を貫いて、係止スライド式のノット130に戻り、ループ132を完結していることが分かる。ある実施形態において、ループ132は、第1の固定部材106及び第2の固定部材108のそれぞれを貫くそれぞれの第1の開口部及び第2の開口部のそれぞれを通じて、スライド可能に配置される。
【0034】
ある実施形態において、第2のリム136は、係止スライド式のノット130に固定式で連結され、第1のリム134は、係止スライドノット130を貫いて、張力リム138に、かつ張力リム138と連続して、スライド可能に延び、張力リム138は、係止スライド式のノット130から、第1のアンカー106のバック側114から組織接触面112へと第3の開口部140に向かい、第3の開口部140を貫いて延びる。第1の固定部材の第1の開口部、係止スライド式のノット130及び第3の開口部120を通じてループ132から縫合糸をスライドさせて引き出すために、第1のアンカー106に対して張力リム138に張力を加えることが効果的であり、伝達された張力が、第2の固定部材108の第2の開口部128及び第1の開口部126それぞれを通じて第2のリム136の一部分をスライドさせて更に引き寄せるとき、ループ132が縮められる。ある実施形態において、ループ132を縮めることにより、組織102内の欠損104を閉鎖するための圧縮力が加えられる。留意されたいこととして、図1に説明の目的で、様々な縫合糸リム134、136及び138が、組織102を貫いて互いから横方向に離間して示されているが、組織修復アセンブリ100を使用する実際の組織修復術において、様々な縫合糸リム134、136、138は、互いに隣接する実質的に共通の経路に従って組織102を貫く。
【0035】
図2Aは、本発明の送出装置150に配置された組織修復アセンブリ100の例示的な実施形態の側面図を概略的に示しており、この送出装置150は、遠位端部152及び近位端部154を有している。送出装置150は、近位ハンドル158から遠位側に延びる、実質的に管状の遠位送出部材156を備えていることが分かる。図2B及び2Cは、組織修復アセンブリ100が配置された送出部材156の遠位部分のより詳細な図を、それぞれ側面図及び上面図で示している。
【0036】
第1の固定部材106及び第2の固定部材108は、縫合糸110の少なくとも一部分がそれらの間に延びる状態で、送出部材156に沿ってかつ少なくとも部分的に送出部材156の内側で、スライド可能に保持されていることが分かる。送出装置150はまた、送出部材156内で遠位側にスライド可能な少なくとも1本の配置ロッド160を備えていることが分かり、この配置ロッド160は、第1の固定部材106及び第2の固定部材108を送出部材156から遠位側に逐次的に排出するためのものである。ハンドル158は、少なくとも1つの手動作動式トリガー162を備えているのが分かり、この手動作動式トリガー162は、少なくとも1本の配置ロッド160のうちの1つを遠位側にスライドさせるように作動可能である。一実施形態において、図2Aに示すように、送出部材156は、その長さに沿って湾曲部164を備える。別の実施形態(図示せず)において、送出部材156は、ハンドル158と遠位端部152との間で実質的に直線状である。
【0037】
ある実施形態において、第1の固定部材106及び第2の固定部材108のそれぞれは、送出部材156の長手方向スロット166内にスライド可能に保持され、スロット166は、遠位端部152からハンドル158に向かって近位側に延び、第1の固定部材106及び第2の固定部材108をスライド可能に保持するための、対向する長手方向の縁部168を有する。図示のように、配置ロッド160は、初期には、ロッド160がスライドする送出部材156の遠位端部において、ルーメンの外側にて第2の固定部材108の下方で動く(rides)。第1の固定部材106が配置された後に、第2のトリガー163が係合され、それにより、第2の配置ロッド161は遠位側に移動し、第2の固定部材108をスロットに沿ってルーメン内の発射位置(初期には第1の固定部材106によって占められていた位置)へと押し込み、トリガー162が係合されたときにロッド160によって直ちに配置されるようにする。図示のように、送出部材156は、遠位側にて組織穿刺先端部170で終端している。別法として、送出部材156は、遠位側にて鈍い先端部で終端する。ある実施形態において、第1の固定部材106及び第2の固定部材108のそれぞれは、送出部材156と共に、組織の中に又は組織を貫いて挿入するために、それぞれの固定部材の横断面積が最小となる方向で、送出部材156上に保持される。
【0038】
弾性チューブ172が図2Aに示されており、送出部材156を囲んで配置されている。好ましくは、弾性チューブ172は、弾性のある透明なシリコーン材料から製作される。チューブ172は、明確にするため、図2B及び2Cでは省略されている。弾性チューブは、送出部材156の一部分に沿って送出部材を囲んで配置されており、第1の固定部材106及び第2の固定部材108の、送出部材156に沿った箇所、並びにそれらの間の縫合糸の少なくとも一部分を取り巻いていることが分かる。弾性チューブ172と、その中に保持された固定部材106、108及び縫合糸との間の摩擦により、第1の固定部材106及び第2の固定部材108は、それぞれの固定部材が組織に送出される前に、送出部材156に沿った所定の長手方向の位置にて保持される。同様に、弾性チューブ172は、送出部材に沿って縫合糸を維持することにより、組織修復アセンブリ100に対する縫合糸の管理をもたらす。弾性チューブ172の遠位端部174は、第1の固定部材106と第2の固定部材108とのうち一方又は双方を配置する前に、組織の中に送出部材156を挿入することに対して、柔軟な送り止め(soft depth stop)をもたらす。
【0039】
図3A〜3Fは、本発明による、組織の欠損を修復するための方法の例示的な実施形態を示している。まず図3Aを参照すると、送出部材156、その中に保持された組織修復アセンブリ100は、第1の組織表面182及び第2の組織表面184を有する、損傷した体組織180を通じて、第2の組織表面184の第1の箇所186に送られていることが分かり、この第1の箇所186で、第1の固定部材106は、送出部材156の遠位端部からスライドして排出されており、第1の固定部材106が第1の箇所186に近接して配置されていることが分かる。損傷した体組織180は、組織の欠損188を含んでいることが分かる。ある実施形態において、第1の箇所186は、修復が完成すると欠損188に圧縮力が加わるように、外科医によって選択される。ある実施形態において、組織の欠損188は半月板断裂であり、圧縮力は、その断裂を閉鎖するのに有効なものである。留意されたいこととして、図3A〜図3Fにおいて説明の目的で、また図1に関して上に記載したように、個々の固定部材から延びる様々な縫合糸リムが、第1の組織表面182と第2の組織表面184との間で組織180を通じて互いから横方向に離れて示されているが、実際の組織修復術において、それぞれの縫合糸リムは、組織102を通じて互いに隣接する実質的に共通の経路をたどる。
【0040】
別法として、第1の固定部材106は、損傷した体組織180の物質内に、又は別の体組織の表面内に若しくはその表面に隣接して、送出部材156から排出されることができる。組織の欠損188の性質及び箇所に応じて、外科医は、直接組織の欠損188を通じて、組織の欠損188に隣接して、あるいは、配置された組織修復アセンブリ100が組織の欠損188の全体にわたって圧縮力を効果的に加える、組織の別の領域を通じて、配置部材156を第1の箇所186に送るように選択してもよい。
【0041】
ここで図3Bを参照すると、送出部材156は、損傷した体組織180から後退されており、第1の固定部材106が第1の箇所186に近接して残されていることが分かる。第1の固定部材106は、送出部材156にスライド可能に保持されている間、組織を穿刺するために最小の横断面積を呈する。使用時に、第1の固定部材106は、組織接触表面112が第1の箇所186にて第2の組織表面184に引っかかるように回転し、第1の固定装置106の横断面積を最大にして、損傷した組織180を貫く引き抜きに抵抗する。
【0042】
ここで図3Cを参照すると、送出部材156、及びその上に依然として保持された第2の固定部材108は、2度目に、損傷した体組織180を貫いて第2の組織表面184の第2の箇所190に送られていることが分かり、ここで、第2の固定部材108は、送出部材156の遠位端部からスライドして排出されており、第2の固定部材が第2の箇所190に近接して配置されていることが分かる。外科医が第2の箇所190及び組織を貫く送出部材156の経路を選択する基準は、第1の箇所186及びそれに関連する組織を貫く経路を選択するために用いられる基準と対応する。好ましくは、第1の箇所186及び第2の箇所190のそれぞれは、修復が完成すると組織の欠損188に圧縮力が加わるように、外科医によって選択される。第2の固定部材108は、損傷した体組織188の物質内に、又は別の体組織の表面内に若しくはその表面に隣接して、送出部材156から排出されることができる。
【0043】
図3Dを参照すると、送出部材156は、損傷した体組織188から後退されており、第2の固定部材108は第2の箇所に近接して残され、第1の縫合糸リム134と第2のリム136と、を備える、縫合糸ループ132の一部分は、第1の組織表面182の架橋セクション192に隣接して配置した状態に残されていることが分かる。第2の固定部材108は、送出部材156にスライド可能に保持されている間、組織を穿刺するために最小の横断面積を呈する。送出部材156から放出されると、張力が第1のリム134と第2のリム136のうち一方又は双方に加えられたことに応答して、第2の固定部材108は、組織接触表面122が第2の箇所190にて第2の組織表面184に引っかかるように回転し、第2の固定装置108の横断面積を最大にして、損傷した組織180を貫く引き抜きに抵抗する。
【0044】
ここで図3Eを参照すると、張力リム138は、第1の固定部材106に対して張力をかけられており、縫合糸ループ132を縮め、圧縮力を組織の欠損188に加えていることが分かる。図示のように、組織の欠損188は半月板断裂であり、圧縮力は、断裂を閉鎖するのに有効なものである。縫合糸ループ132の、第1の組織表面182の架橋セクション192に隣接する部分は、張力をかけた後も依然として実質的に第1の組織表面182上にある。好ましくは、張力をかけることにより、ループ132をなす縫合糸は、第1の組織表面182を局所的に圧縮することになり、そのため、縫合糸が、第1の組織表面182の残部の上に露出することはなく、十分な張力を用いると、ループ132をなす縫合糸は、第1の組織表面182の下方の損傷した組織180の中に嵌り込み、そのため、縫合糸が、第1の組織表面182の残部の上に露出することはない。
【0045】
ここで図3Fを参照すると、張力リム138は、第1の組織表面182にて、又は第1の組織表面182の下方で切り取られており、張力リム138が第1の組織表面182を越えた状態に残されていないことが分かる。図示のように、損傷した組織180は膝の半月板であり、組織の欠損は半月板断裂であり、第1の組織表面182は、関節をなす半月板の表面であり、第2の組織表面184は、半月板の周縁であり、第1の固定部材106及び第2の固定部材108のそれぞれは、周囲の半月板嚢に配置されている。他の実施形態において、本発明の2つ以上の組織修復アセンブリが、組織の欠損を修復するために、又は組織内の物理的に隣接する欠損を修復するために使用される。
【0046】
外科医による、それぞれ第1の固定部材106及び第2の固定部材108に対する第1の箇所及び第2の箇所の決定は、限定するものではないが、欠損を含んだ組織の種類、欠損の性質及び程度、組織における欠損の箇所、並びに、手術部位の近くに存在し得る他の組織及び他の欠損との近接性を含めて、多数の要素に依存する。それぞれ第1の固定部材及び第2の固定部材に対する第1の箇所及び第2の箇所は、損傷した組織の単一の連続表面上とされ得る。あるいは、第1の箇所及び第2の箇所は、組織の表面に沿った、組織の欠損の両側である。第1の箇所及び第2の箇所は、反対側の組織表面上とされることができ、組織の欠損はそれらの表面の間にある。第1の箇所及び第2の箇所は、異なる組織上とされ得る。
【0047】
図4A〜4Cはそれぞれ、本発明の三口型固定部材200の例示的な実施形態の平面図、端面図及び側面図を概略的に示している。ある実施形態において、三口型固定部材200は、本明細書で上に開示した組織修復アセンブリ100の第1の固定部材106である。三口型固定部材200は、第1の表面204と、第2の表面206と、3つの貫通開口部とを有する、第1の本体202を備えており、3つの貫通開口部は、第1の表面204と第2の表面206との間で本体202を貫く第1の開口部208と、第2の開口部210と、第3の開口部212とを含んでいる。ある実施形態において、三口型固定部材200は第1の固定部材106であり、その第1の表面204は組織接触表面112であり、その第2の表面206はバック表面114である。三口型固定部材200は、その第1の表面204と第2の表面206との間の平面214に対して対称的である。別法として、第1の表面204と第2の表面206は、平面214に対して非対称とされ得る。
【0048】
3つの貫通開口部208、210、212のそれぞれ、並びにそれらに隣接しかつそれらの間にある、それぞれの第1の表面204及び第2の表面206のうち一方又は双方は、開口部を貫き開口部の間にわたる縫合糸のスライド性を最適化するように、滑らかに丸みを付けられている。3つの貫通開口部208、210、212のうちの1つ以上は、その1つ以上の開口部を3つの貫通開口部のうちの隣接する1つと相互に連結する線に対して垂直な方向に細長くなっている。その1つ以上の開口部を細長くすることにより、それぞれの開口部を貫いた縫合糸のスライド性が向上する。また、第1の本体202は、その第1の表面204及び第2の表面206のそれぞれに長手方向の溝216を備えていることが分かる。それぞれの溝216は、送出部材156の長手方向のスロット166の縁部168のうちの1つとスライド係合して、三口型固定部材200を送出部材156内に保持するように適合されている。
【0049】
図5A〜5Cはそれぞれ、本発明の二口型固定部材220の更なる実施形態の上面図、端面図及び側面図を概略的に示している。ある実施形態において、二口型固定部材220は、本明細書で上に開示した組織修復アセンブリ100の第2の固定部材108である。構造において三口型固定部材200と同様に、二口型固定部材220は、第1の表面224と、第2の表面226と、2つの貫通開口部とを有する、第2の本体222を備えており、2つの貫通開口部は、その第1の表面224と第2の表面226との間で第2の本体222を貫く第1の開口部228と第2の開口部230とを含んでいることが分かる。二口型固定部材220は第2の固定部材108であり、その第1の表面224は組織接触表面122であり、その第2の表面226はバック表面124である。二口型固定部材220は、その第1の表面224と第2の表面226との間の平面232に関して対称的である。別法として、その第1の表面224と第2の表面226は、平面232に関して非対称的である。
【0050】
二口型固定部材の第1の貫通開口部228及び第2の貫通開口部230、並びにそれらの貫通開口部に隣接しかつそれらの貫通開口部の間にある第1の表面224と第2の表面226のうち一方又は双方は、それらの開口部を貫き、それらの開口部の間にわたる縫合糸のスライド性を最適化するように、滑らかに丸みを付けられている。2つの貫通開口部228、230のうち一方又は双方は、それぞれの開口部を貫いた縫合糸のスライド性を向上させるために、2つの貫通開口部228、230を相互に連結する線に対して垂直な方向に細長くされることができる。第2の本体222はまた、その第1の表面224及び第2の表面226のそれぞれに、対応する長手方向の溝234を備えていることが分かる。そのそれぞれの溝234は、送出部材156の長手方向のスロット166の縁部168のうちの1つとスライド係合して、二口型固定部材220を送出部材156内に保持するように適合されている。
【0051】
三口型固定部材200及び二口型固定部材220は、任意の生体適合性材料から製作されることができ、互いに同じ組成物又は異なる組成物であることができる。一実施形態において、固定部材200、220の少なくとも一方は非吸収性である。更なる一実施形態において、固定部材200、220の少なくとも一方は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリマーで製作される。別の実施形態において、固定部材200、220の少なくとも一方は生体吸収性である。
【0052】
図6は、三口型固定部材200と二口型固定部材220と、を備える、本発明の組織修復アセンブリ250の例示的な実施形態の斜視図を概略的に示している。この組織修復アセンブリは、本明細書で上に開示した組織修復アセンブリ100と同じ構造を有しており、縫合糸110は、係止スライド式のノット130と、第1のリム134と、第2のリム136と、張力リム138とを備え、第1のリム134と第2のリム136は縫合糸ループ132をなしている。
【0053】
縫合糸110の係合部分は、縫合糸110に沿った、以下で「ポスト」252とする箇所にて、第1の開口部208と第3の開口部212との間で、第1の固定部材200の第2の表面206に実質的に隣接して、係止スライド式のノット130を貫いてスライドして配置されており、ポスト252は、縫合糸110に沿って第1のリム134と張力リム136との間にスライド可能な遷移部を備えている。三口型固定部材200に対して張力リム138に張力をかけてループ132を縮めると、係止スライド式のノット130は、その中でポスト252を係止して、ループ132が再び延長されることを実質的に防止する。係止スライド式のノットは、外科手術の分野において周知である。係止スライド式のノットは、バントラインスライドノットであり、外科手術の分野、並びに海洋学などの他の分野で既知の係止スライド式のノットの一種である。好ましくは、この係止スライド式のノットは、係止スライド式のノット130から延びる縫合糸の尾部256を安定化させるために、ストッパノット254を更に備える。別法として、ストッパノット254は、単一の8の字形のノットを含むことができる。
【0054】
三口型固定部材200及び二口型固定部材220は、好ましくはそれぞれPEEK材料から製作されており、縫合糸110は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)とポリジオキサノン(PDS)とを含んだ、部分的に生体吸収性のある高強度な縫合糸である。より好ましくは、UHMWPE及びPDSの縫合糸は、Depuy Mitek(Raynham,Massachusetts)によって販売されているOrthocord(商標)という縫合糸である。
【0055】
図7〜図9は、本発明の組織修復アセンブリをなし得る固定部材の様々な別の実施形態の上面図を概略的に示している。図7は、三口型固定部材260の別の実施形態の上面図を示しており、この実施形態は、図7に示す三口型固定部材260では、本体268を第1の表面224と第2の表面272との間で貫く3つの開口部262、264、266のそれぞれが、横断面において円形であることを除いて、図4A〜4C及び図6の固定部材200に似ている。同様に、図8は、二口型固定部材274の別の実施形態の上面図を示しており、この実施形態は、図8に示す二口型固定部材274では、本体280を第1の表面282と第2の表面284との間で貫く2つの開口部276、278のそれぞれが、横断面において円形であることを除いて、図5A〜5C及び図6の固定部材220に似ている。
【0056】
図9は、本発明の単口型固定部材286の実施形態を概略的に示している。単口型固定部材286は、二口型固定部材274及び三口型固定部材260と似ているが、本体290をその第1の表面292と第2の表面294との間で貫く単一の開口部288のみを有していることが分かる。三口型固定部材200と二口型固定部材220と、を備える、組織修復アセンブリ250に関して言えば、別の実施形態において、二口型固定部材220は、単口型固定部材286と置き換えられ、三口型固定部材200と単口型固定部材286との間で延びる縫合糸ループは、単一の開口部288を通じて配置される。
【0057】
更なる実施形態において、本発明の組織修復アセンブリを備える固定部材は、組織修復アセンブリの構造内に縫合糸を配置するために使用される貫通開口部に加えて、1つ以上の貫通開口部を備える。更なる別の実施形態において、実質的に三口型である固定部材から延びる縫合糸ループは、その縫合糸ループに沿って2つ以上の固定部材を備え、それらの固定部材のそれぞれを通じて縫合糸ループが配置される。
【0058】
本発明の組織固定アセンブリにおいて、縫合糸は、縫合糸の3本のリムが延びる固定部材に関連付けられた係止スライド式の要素(制限要素)を貫いて、実質的に、1つの長手方向のみに通される。制限要素は、縫合糸が好ましい長手方向に通過でき、かつ反対の長手方向に通ることを制限される、任意の種類の制限要素とされ得る。様々な実施形態において、制限要素は、係止スライド式の縫合糸ノットである。別の実施形態において、制限要素は、棘のある縫合糸(barbed suture)を通すように適合された、固定部材内の1つ以上の開口部を備え、その縫合糸は、1つ以上の開口部を貫いて、好ましいスライド方向を有する。更に別の実施形態において、制限要素は、固定部材自体を貫くか又は固定部材自体の周りにある一方向の通路である。
【0059】
図10は、図6の組織修復アセンブリ250の一部分の横断側面図を概略的に示しており、係止スライド式のノット130が第2の表面206に引っかけられた状態で、三口型固定部材200、及びそれを通じて配置された縫合糸110の一部分の横断面図が示されている。三口型固定部材200を貫く3つの開口部208、210、212の内表面、並びに第1の表面204及び第2の表面206の、それらの開口部208、210、212の間の部分はそれぞれ、それらを貫き、それらに沿った縫合糸110のスライド性を最適化するように丸みを付けられていることが分かる。
【0060】
本発明の組織修復アセンブリは、特定の組織の欠損を修復するのに好適な任意の寸法及び配分の固定部材、使用する縫合糸の寸法及び種類の選択、並びに固定部材に対する縫合糸の経路指定の変更を含めて、多様な構成で組み立てられることができる。次に、本発明の組織修復アセンブリを組み立てるために使用される固定部材に必要な貫通開口部の数が、縫合糸の経路指定に基づいて選択される。図11A〜11Fは、本発明の組織修復アセンブリの様々な別の実施形態を概略的に示しているが、これらの実施形態は、2つの固定部材の間の縫合糸の経路指定と、それぞれの固定部材を貫いて設けられた開口部の数とのうち一方又は双方に関して、本明細書で上に説明した実施形態とは構成において異なっている。留意されたいこととして、本明細書で開示した固定部材のいずれかを貫いて設けられた開口部の総数は、本発明の意図又は範囲から逸脱することなく、特定の縫合糸の経路指定に必要な開口部の数を超えることができる。
【0061】
図11Aは、第1の固定部材302と第2の固定部材304と、を備える、第1の別の実施形態の組織修復アセンブリ300を示している。図11Aの組織修復アセンブリ300はまた、ある長さの縫合糸306と、制限要素308とを備えていることが分かる。制限要素308は、縫合糸306で形成された係止スライド式のノットである。この長さの縫合糸306は、第2のリム312と連続する第1のリム310を更に備え、第1のリム310と第2のリム312は共に、第1の固定部材302を第2の固定部材304に連結する縫合糸ループ314をなしている。第2のリム312は、制限部材308に実質的に固定して連結されている。第2のリム312は、制限部材308を貫いて延びており、また、本明細書で上に開示したように、ストッパノット318で終端された縫合糸の尾部316と連続している。第1のリム310は、制限部材308を通じてスライドさせて経路を定められ、張力リム320と連続している。本明細書で開示する様々な実施形態において、縫合糸は、様々な固定部材を貫く1つ以上の開口部を通じて経路を定められる。それぞれの固定部材を組織内に配置するために、かつアセンブリを通じて縫合糸をスライドさせて組織の欠損に接近するために、縫合糸は一般に、アセンブリの操作を円滑なものにするように、1つ以上の開口部を通じてスライドさせて経路を定められる。
【0062】
図11A〜図11Fのそれぞれに示す様々な別の実施形態は、上記の長さの縫合糸306と、それらの構成要素を備えているが、第1の固定部材と第2の固定部材の周り及びそれらの間の経路指定において異なっている。第1の別の実施形態の組織修復アセンブリ300に関して図11Aに示すように、第1の固定部材302は、第1の固定部材302を貫く第1の開口部322と、第2の開口部324と、第3の開口部326とを備えていることが分かる。第2の固定部材304は、第2の固定部材304を貫く2つの開口部328、330を備えていることが分かる。縫合糸ループ314は、第2の固定部材304の2つの開口部328、330のそれぞれを通じて経路を定められていることが分かる。第1のリム310は、第1の固定部材302の第1の開口部322を通じて制限要素308へと経路を定められていることが分かる。第2のリム312は、第1の固定部材302の第3の開口部326を通じて制限要素308へと経路を定められていることが分かる。張力リム320は、制限要素308から第1の固定部材302の第2の開口部324を通じて経路を定められていることが分かる。第1の固定部材302に対して張力リム320に加えられる張力は、制限部材308を通じて縫合糸を引き出し、それによってループ314の寸法を減少させるのに効果的なものである。図11Aの実施形態では、張力リム320は、固定部材302の中央の開口部を通じて経路を定められるのに対し、先に開示した組織修復アセンブリ100、250では、異なる位置にある開口部を通じて経路を定められることを除き、組織修復アセンブリ300は、本明細書で上に開示した組織修復アセンブリ100、250に似ていることが分かる。
【0063】
図11Bは、図11Aの実施形態の第1の固定部材302と第2の固定部材304と、を備える、組織修復アセンブリ332の第2の別の実施形態を示しているが、この実施形態は、第1の固定部材302の周りの、及び第1の固定部材302に通した縫合糸の経路指定において、かつ制限要素308の構造において異なっている。図11Bの組織修復アセンブリ332の実施形態において、制限要素308は、縫合糸の尾部316によって第1の固定要素302に取り付けられた係止スライド式の縫合糸ノットであり、縫合糸の尾部316は、第1の固定装置302の第3の開口部326を通じて経路を定められ、その第3の開口部326を通じてストッパノット318によって固定されている。縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のそれぞれは、第1の固定部材302の第1の開口部322及び第2の開口部324のうち一方を通じて経路を定められていることが分かる。更に、図11Bの実施形態において、張力リム320は、図11Aに示す組織修復アセンブリ300の第1の別の実施形態に関して説明したように、第1の固定部材302の開口部を通じて経路を定められるのではなく、第1の固定部材302の周りに経路を定められていることが分かる。
【0064】
図11Cは、組織修復アセンブリ334の第3の別の実施形態を示している。図11Cの組織修復アセンブリ334は、第1の固定部材336を備えており、第1の固定部材336は、それを貫く第1の開口部338と第2の開口部340とを有していることが分かる。組織修復アセンブリ334はまた、第2の固定部材342を備えており、第2の固定部材342は、それを貫く単一の開口部344を有していることが分かる。縫合糸ループ314は、第2の固定部材342の単一の開口部344を通じて経路を定められていることが分かり、更に縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のそれぞれは、第1の固定部材336の第1の開口部338及び第2の開口部340のうち一方を通じて経路を定められていることが分かる。図11Bの実施形態に関して説明した縫合糸の経路指定と同様に、張力リム320は、第1の固定部材336の周りに経路を定められていることが分かる。
【0065】
組織修復アセンブリ346の第4の別の実施形態が、図11Dに示されている。図11Dに示す組織修復アセンブリ346は、図11Dに示す実施形態では、張力リム320が、制限要素314から第1の固定部材336の第2の開口部340を通じて経路を定められるということを除いて、図11Cに示す組織修復アセンブリ334に似ている。加えて、縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のうち一方は、第1の固定部材336の第1の開口部338を通じて経路を定められていることが分かり、縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のもう一方は、第1の固定部材336の周りに経路を定められていることが分かる。
【0066】
図11Eは、第1の固定部材350と第2の固定部材352と、を備える、組織修復アセンブリ348の第5の別の実施形態を示しており、第1の固定部材350及び第2の固定部材352はそれぞれ、それらを貫く単一の開口部354、356を有している。この実施形態において、縫合糸ループ320は、第2の固定部材352の単一の開口部356を通じて経路を定められていることが分かる。縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のうち一方は、第1の固定部材350の単一の開口部354を通じて経路を定められていることが分かり、縫合糸の第1のリム310及び第2のリム312のもう一方は、第1の固定部材350の周りに経路を定められていることが分かる。加えて、張力リム320は、第1の固定部材350の周りに経路を定められていることが分かる。
【0067】
図11Fは、第1の固定部材360と第2の固定部材362と、を備える、組織修復アセンブリ358の第6の別の実施形態を示しており、第1の固定部材360及び第2の固定部材362はそれぞれ、それらを貫く2つの開口部364、366、368、370を有している。縫合糸ループ314は、第2の固定部材362の2つの開口部368、370のそれぞれを通じて経路を定められていることが分かり、第1の縫合糸リム310及び第2の縫合糸リム312のそれぞれは、直接、制限部材308に経路を定められており、制限部材308は、第1の固定部材360と第2の固定部材362との間にて第1の固定部材360に隣接して配置されている。制限部材308は、縫合糸の尾部316によって第1の固定部材360に取り付けられた係止スライド縫合糸ノットであり、縫合糸の尾部316は、第1の固定部材360の2つのそれぞれの開口部364、366のうち一方の開口部366を通じて経路を定められ、また開口部366を通じてストッパノット318によって固定されている。張力リム320は、第1の固定装置360の2つのそれぞれの開口部364、366のうちのもう一方の開口部364を通じて経路を定められていることが分かる。
【0068】
留意されたいこととして、本発明の意図及び範囲内で更なる実施形態を提供するために、本明細書で開示した実施形態のいずれにおいても、それぞれの第2の固定部材の実施形態のいずれかが、それぞれの第1の固定部材、関連する制限要素、及び縫合糸の経路指定の実施形態のいずれかと組み合わされることができる。
【0069】
本発明の組織修復アセンブリ及び方法は、いくつかの利点を有している。本発明の組織修復アセンブリを使用した半月板修復手技は、完全な組織の修復をもたらすことができ、この修復において、膝の半月板の関節をなす表面(大腿骨に面する表面)に縫合糸のみが残り、硬質な物体又はノットは残ることがなく、したがって、治癒が支援され、患者が術後に膝関節を曲げたとき、半月板に接触する関節軟骨が損傷を受ける可能性が最小限となる。また、好都合にも、損傷した組織及び関連する組織の欠損に対して任意の向きで修復が実施され得る。本発明の組織修復アセンブリは、2つの組織固定部材の相対位置を制限する固定長の縫合糸を含んでいないため、この組織修復アセンブリにより、更なる柔軟性が外科医にもたらされる。例えば、本発明の組織修復アセンブリを使用して実施される修復では、2つの固定部材の間の最小距離が制限されない。重要なことに、本発明の組織修復アセンブリを使用すると、半月板修復のすべてを、半月板の関節側から実施することができ、外科手術による周囲組織への外傷を最小限にする手法となる。
【0070】
別の利点として、本発明の組織修復アセンブリを使用して実施される修復の強度及び安定性は、縫合糸の2本の途切れのない連続的なリムによってもたらされ、そのリムは、第1のアンカー部材と第2のアンカー部材との間に、リムに沿って、継ぎ目、ノット、又は保持具を含まない。更に有利にも、固定箇所に完全に架かる2本の縫合糸を設けることにより、固定箇所に架かる単一の、ノット付きの、又は接合された縫合糸セグメントと比べて、修復される組織への力の分布がより優れたものとなる。
【0071】
本発明の組織修復アセンブリはまた、半月板の修復、部分的な肩回旋筋腱板断裂の接近、及び、2つの組織又は1つの組織内の損傷が外科的接近を必要とする任意の他の軟組織の修復を含めて、その応用において非常に用途の広いものである。加えて、送出部材の挿入のために、骨に1つ以上の孔を事前に穴あけすることにより、組織修復アセンブリは、軟組織を骨に固着させるために使用され得る。
【0072】
本発明について、特定の好ましい実施形態に関連して具体的に示し説明してきたが、形式及び細部における様々な変更が、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされうることが、当業者には理解されよう。
【0073】
〔実施の態様〕
(1) 第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、第1の表面と、その反対側の第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部及び第2の貫通開口部とを有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び第2の固定部材を結合する可撓性要素であって、前記可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、前記長さは、前記第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第1の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第2の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第2の固定部材の前記第2の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる、可撓性要素と、
前記第1の表面と第2の表面との間に画定された第3の貫通開口部を更に備える前記第1の固定部材と、
前記第1の端部セクションと前記第2の端部セクションとの間に形成されたスライド係止式のノットであって、前記第1の端部セクションは、前記ノットを通じてスライド可能に配置され、前記第1の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、スライド係止式のノットと、を備える、機器。
(2) 前記第1の固定部材を貫く前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部が、前記第1の表面及び第2の表面に沿って実質的に直線状に配列される、実施態様1に記載の機器。
(3) 前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材が、それぞれの表面上の隣接する開口部の間に、丸みを付けられた表面を備えて、前記丸みを付けられた表面に沿って前記可撓性要素をスライドさせる、実施態様1に記載の機器。
(4) 前記開口部のそれぞれが、実質的に円形の横断面を有する、実施態様1に記載の機器。
(5) 前記開口部のうちの1つ以上が、細長い横断面を有する、実施態様1に記載の機器。
(6) 前記第1の固定部材に対して前記第2の端部セクションに加えられる張力が、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材とを結合する前記可撓性部材に沿って、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間の距離を縮めるのに効果的なものである、実施態様1に記載の機器。
(7) 前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれが、それぞれの前記第1の表面及び第2の表面のそれぞれに、実質的に直線状の溝を更に備え、前記溝は、それぞれの前記表面の第1の端部からそれぞれの前記表面の対向する端部へと延び、前記第2の表面の前記溝は、前記第1の表面の前記溝と実質的に平行である、実施態様1に記載の機器。
(8) 細長い送出部材を有する送出装置を更に備え、前記細長い送出部材内で、前記可撓性要素によって結合された前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれの少なくとも一部分が、長手方向に、かつスライド可能に受容される、実施態様1に記載の機器。
(9) 前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれが、それぞれの前記第1及び第2の表面のそれぞれに、実質的に直線状の溝を更に備え、前記溝は、それぞれの前記表面の第1の端部からそれぞれの前記表面の対向する端部へと延び、前記第2の表面の前記溝は、前記第1の表面の前記溝と実質的に平行であり、前記溝は前記送出部材のスロットとスライド可能に係合する、実施態様8に記載の機器。
(10) 前記可撓性要素が、縫合糸を含む、実施態様1に記載の機器。
【0074】
(11) 前記可撓性要素が、ポリエチレンを含む、実施態様1に記載の機器。
(12) 前記可撓性要素が、ポリエチレン及び生体吸収性ポリマーを含む、実施態様1に記載の機器。
(13) 前記生体吸収性ポリマーが、ポリジオキサノンを含む、実施態様12に記載の機器。
(14) 前記スライド係止式のノットが、バントラインノットである、実施態様1に記載の機器。
(15) 送出装置を更に備え、該送出装置が、
カニューレを備え、該カニューレは、近位端部及び遠位端部と、前記カニューレの壁内の長手方向のスロットとを有し、前記スロットは、前記遠位端部から前記近位端部に向かって延び、前記カニューレは、前記スロットに沿った対向する長手方向の縁部を備え、前記カニューレは、前記縁部が前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置のそれぞれの前記溝にスライド係合した状態で、前記スロットに沿って前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置を受容するように適合される、実施態様7に記載の機器。
(16) 前記カニューレ内に配置された配置ロッドと、前記カニューレの前記近位端部に機械的に結合されたハンドルと、前記ハンドルと関連付けられた手動で作動可能な部材とを更に備え、前記作動可能な部材は、前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置のうち一方を前記カニューレの前記遠位端部からスライドさせて排出するために、前記配置ロッドを前記カニューレ内で遠位側に並進させるように作動可能である、実施態様15に記載の機器。
(17) 第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、第1の表面及びその反対側の第2の表面と、前記第1の固定装置の前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部と、前記第2の固定装置の前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された1つ以上の貫通開口部とを有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び第2の固定部材を結合する可撓性要素であって、前記可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、前記長さは、前記第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第1の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第2の固定部材の前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つを貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる、可撓性要素と、
前記第1の端部セクションと前記第2の端部セクションとの間に形成されたスライド係止式のノットであって、前記第2の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、スライド係止式のノットと、を備える、機器。
(18) 前記1の固定部材を貫く前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部が、前記第1の表面及び第2の表面に沿って実質的に直線状に配列される、実施態様17に記載の機器。
(19) 前記開口部のそれぞれが、実質的に円形の横断面を有する、実施態様18に記載の機器。
(20) 前記開口部のうちの1つ以上が、隣接する開口部の間の実質的に直線状の線に対して直角な方向に細長い横断面を有する、実施態様17に記載の機器。
【0075】
(21) 前記第1の固定部材に対して前記第2の端部セクションに加えられる張力が、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間の距離を縮めるのに効果的なものである、実施態様17に記載の機器。
(22) 送出装置を更に備え、前記可撓性要素によって結合された前記第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれの少なくとも一部分が、前記送出装置内でスライド可能に受容される、実施態様17に記載の機器。
(23) 前記可撓性要素が、縫合糸を含む、実施態様17に記載の機器。
(24) 前記可撓性要素が、ポリエチレンを含む、実施態様17に記載の機器。
(25) 前記可撓性要素が、少なくとも部分的に生体吸収性である、実施態様17に記載の機器。
(26) 前記スライド係止式のノットが、バントラインノットである、実施態様17に記載の機器。
(27) 第1の固定部材及び第2の固定部材を備え、前記第1の固定部材は、第1の表面と、その反対側の第2の表面とを有し、前記第1の固定部材及び第2の固定部材は、それらの間に延びる縫合糸の2つの連続セクションによって結合され、前記2つの連続セクションは、互いに連続し、前記第2の固定部材を貫く開口部を貫いてスライド可能であり、縫合糸の前記2つのセクションのそれぞれは、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材のそれぞれの第1及び第2の貫通開口部を貫いて延び、スライド係止式のノットは、縫合糸の前記2つの連続セクションを前記第1の表面に隣接して接合し、第3の貫通開口部は、前記第1の表面と前記第2の表面との間にあり、縫合糸の前記2つの連続セクションのうち一方は、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、機器。
(28) 体組織内の欠損を修復するための機器において、
第1の表面と、その反対側の第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部とを有する第1の固定部材と、1つ以上の貫通開口部を有する第2の固定部材とを備え、前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材は、連続長の縫合糸によって結合され、前記縫合糸は、前記第1の固定部材の前記第1の面に実質的に隣接して配置されたスライド係止式のノットによって結合されたループを画定し、前記ループは、前記ノットから、順に、前記第1の固定部材の前記第1の開口部、前記第2の固定部材の前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つ、前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫いて、スライド可能に延び、前記ノットに戻り、前記連続長の縫合糸の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の面から前記第2の面へと前記第3の開口部を貫いて延び、
前記ノットは、前記第1の固定部材に対して前記端部セクションに張力をかけることが、前記ループを短縮するのに効果的となるように構成される、機器。
(29) 前記ノットが、バントラインノットである、実施態様28に記載の機器。
(30) 前記第2の表面が、修復されている前記組織と接触するように適合され、前記ノットが、前記第1の表面に隣接して維持される、実施態様28に記載の機器。
【0076】
(31) 体組織内の欠損を修復するための方法において、
第1の送出経路に沿って、前記組織を貫いて前記組織の第1の表面領域上の第1の箇所へと、第1の固定部材を通す工程であって、前記第1の固定部材は、対向する第1の表面及び第2の表面を有し、スライド係止式の縫合糸ノットが前記第1の表面に隣接し、前記縫合糸ノットは縫合糸を含み、縫合糸の3本のリムが、前記第2の表面から前記送出経路に沿って延び、縫合糸の前記3本のリムはそれぞれ、前記ノットを含んだ前記縫合糸と連続し、前記3本のリムのうちの最初の2本が共に、第2の固定部材にスライドして連結された縫合糸の連続ループをなし、前記ループは、あるループ長を有する、工程と、
縫合糸の前記3つのセクションのうちの少なくとも1つに張力をかけて、前記第2の表面を前記第1の箇所にて前記組織にもたれさせて配置する工程と、
第2の送出経路に沿って、前記組織を貫いて前記組織の第2の表面領域上の第2の箇所へと、前記第2の固定部材を通す工程と、
縫合糸の前記第3のリムに張力をかけて、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間の前記ループ長を縮める工程と、を含む、方法。
(32) 縫合糸の前記第3のリムに張力をかけることにより、前記第2の固定部材が前記第2の箇所にて前記組織にもたれて配置される、実施態様31に記載の方法。
(33) 前記第3のリムに張力をかけることにより、圧縮力が加えられて、前記組織の欠損が減じられる、実施態様31に記載の方法。
(34) 前記第1の固定部材が、前記第1の面と前記第2の面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部を備え、前記第1のリム、第2のリム、及び第3のリムのそれぞれは、対応する前記開口部を通じて配置される、実施態様31に記載の方法。
(35) 前記第2の固定部材が、2つの貫通開口部を備え、前記ループが、両方の開口部をスライドして通過する、実施態様31に記載の方法。
(36) 前記第1の箇所及び前記第2の箇所が、前記組織の単一の表面上にある、実施態様31に記載の方法。
(37) 前記第1の箇所及び前記第2の箇所が、前記組織の対向する表面上にある、実施態様31に記載の方法。
(38) 対向する第1の表面及び第2の表面を有する第1の固定部材と、前記第1の表面に隣接するスライド係止式の縫合糸ノットとを備え、前記縫合糸ノットは、縫合糸を含み、縫合糸の3本のリムは、前記第2の表面から延び、縫合糸の前記3本のリムのそれぞれは、前記ノットを含んだ前記縫合糸と連続し、前記3本のリムのそれぞれは、前記第1の表面と前記第2の表面との間のそれぞれの貫通開口部を通じて配置され、前記3本のリムのうちの最初の2本が共に、第2の固定部材にスライドして連結された縫合糸の連続ループをなし、前記ループは、あるループ長を有し、前記ノットは、前記第1の固定部材に対して前記第3のリムに加えられる張力が、前記ループ長を縮めるのに効果的なものとなるように構成される、機器。
(39) 対向する第1の表面及び第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部とを有する第1の固定部材と、
それぞれ前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部を通じて配置された縫合糸の第1のリム、第2のリム、及び第3のリムであって、前記第1のリム及び前記第3のリムは、前記第1の開口部及び第3の開口部を通じてスライド可能に配置され、前記第1のリム及び前記第2のリムは、互いに連続して、前記第2の表面から延びる縫合糸ループを形成する、縫合糸の第1のリム、第2のリム、及び第3のリムと、
内部を貫通する1つ以上の開口部を有する第2の固定部材であって、前記ループは、前記第2の固定部材を貫通する前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つに通してスライド可能に配置される、第2の固定部材と、
前記第1の固定部材に結び付けられた制限要素であって、前記制限部材は、縫合糸をスライド可能に第1の方向には通過させるが、反対の第2の方向には通過させないように適合され、前記第1のリム及び前記第3のリムは、それらのうち一方と連続して、前記第1の表面に隣接する前記制限部材を通過する、制限要素と、を備え、
前記第1の固定部材に対して前記第3のリムに加えられる張力は、それぞれ前記第3の開口部及び第1の開口部を通じて前記第3のリム及び前記第1のリムをスライドさせることによって、前記ループ長を縮めるのに効果的なものである、機器。
(40) 第1の固定部材と第2の固定部材とを備え、少なくとも1つの開口部が前記第2の固定部材を貫き、縫合糸の2本のリムが、前記第1の固定部材から延びる縫合糸の連続ループをなし、前記ループの一部分が、前記第2の固定部材を貫く前記少なくとも1つの開口部を通じてスライド可能に配置され、前記第1の固定部材が制限要素を備え、前記2本のリムのうちの一方の延長部が、前記制限要素を、第1の長手方向にスライドして通過するように配置されるが、反対の第2の長手方向にスライドすることを制限され、前記2本のリム及び前記延長部が、前記第1の固定部材の共通表面から延びる、機器。
【0077】
(41) ある表面を有する体組織を修復するための機器において、
第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、前記組織の表面と接触して配置されるように適合された接触表面をそれぞれ有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれの接触表面の間に延びる縫合糸の連続ループであって、ある長さを有し、前記第2の固定部材を貫く1つ以上の開口部を通じてスライド可能に配置される、縫合糸の連続ループと、
前記第1の固定部材の前記接触表面から延びる縫合糸の張力リムと、を備え、
前記第1の固定部材に対して前記張力リムに加えられる張力が、前記ループの前記長さを縮めるのに効果的なものである、機器。
(42) 前記張力リムが、前記ループをなす前記縫合糸と連続する、実施態様41に記載の機器。
(43) 前記第1の固定部材が、係止スライド式のノットを備え、前記張力リムが、前記係止スライド式のノットを通じて配置される、実施態様42に記載の機器。
(44) 前記スライド式のノットが、前記第1の固定部材の非接触表面に隣接して配置され、前記非接触表面は、前記接触表面に対向し、かつ前記接触表面の反対側にある、実施態様43に記載の機器。
(45) 前記張力リムが、前記縫合糸に沿って第1の長手方向に前記ノットをスライドして通過することができ、反対の長手方向に前記ノットを通じてスライドすることを制限される、実施態様43に記載の機器。
(46) 半月板の欠損を修復する方法であって、前記半月板は、関連する大腿骨に面する第1の表面と、前記大腿骨から離れかつ脛骨から離れた、反対側の第2の表面とを有する、方法において、
前記欠損に隣接した第1の箇所にて第1の固定部材を前記第2の表面にもたれさせて配置する工程と、
前記欠損に隣接した第2の箇所にて第2の固定部材を前記第2の表面にもたれさせて配置する工程と、
前記欠損の全体にわたって前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間に可撓性部材を配列する工程であって、前記可撓性部材は、前記半月板を通過し、あるループをなし、前記第2の固定部材は、前記ループに、スライド可能に取り付けられ、前記ループは、前記第2の表面を越えて前記第1の固定部材に隣接して前記可撓性部材に固着されたスリップ式のノットを備える、工程と、
前記スリップ式のノットを通じて前記可撓性部材の一部分に張力をかけて、前記ループを縮め、前記欠損を閉鎖する工程と、を含む、方法。
(47) 前記第1の固定部材が、第1の面と第2の面とを有し、前記スリップ式のノットは、前記第1の面に接し、前記方法は、前記第2の面を前記半月板の前記第2の表面にもたれさせて配置する工程を含む、実施態様1に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、第1の表面と、その反対側の第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部及び第2の貫通開口部とを有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び第2の固定部材を結合する可撓性要素であって、前記可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、前記長さは、前記第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第1の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第2の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第2の固定部材の前記第2の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる、可撓性要素と、
前記第1の表面と第2の表面との間に画定された第3の貫通開口部を更に備える前記第1の固定部材と、
前記第1の端部セクションと前記第2の端部セクションとの間に形成されたスライド係止式のノットであって、前記第1の端部セクションは、前記ノットを通じてスライド可能に配置され、前記第1の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、スライド係止式のノットと、を備える、機器。
【請求項2】
前記第1の固定部材を貫く前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部が、前記第1の表面及び第2の表面に沿って実質的に直線状に配列される、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材が、それぞれの表面上の隣接する開口部の間に、丸みを付けられた表面を備えて、前記丸みを付けられた表面に沿って前記可撓性要素をスライドさせる、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記開口部のそれぞれが、実質的に円形の横断面を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記開口部のうちの1つ以上が、細長い横断面を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記第1の固定部材に対して前記第2の端部セクションに加えられる張力が、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材とを結合する前記可撓性部材に沿って、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間の距離を縮めるのに効果的なものである、請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれが、それぞれの前記第1の表面及び第2の表面のそれぞれに、実質的に直線状の溝を更に備え、前記溝は、それぞれの前記表面の第1の端部からそれぞれの前記表面の対向する端部へと延び、前記第2の表面の前記溝は、前記第1の表面の前記溝と実質的に平行である、請求項1に記載の機器。
【請求項8】
細長い送出部材を有する送出装置を更に備え、前記細長い送出部材内で、前記可撓性要素によって結合された前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれの少なくとも一部分が、長手方向に、かつスライド可能に受容される、請求項1に記載の機器。
【請求項9】
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれが、それぞれの前記第1及び第2の表面のそれぞれに、実質的に直線状の溝を更に備え、前記溝は、それぞれの前記表面の第1の端部からそれぞれの前記表面の対向する端部へと延び、前記第2の表面の前記溝は、前記第1の表面の前記溝と実質的に平行であり、前記溝は前記送出部材のスロットとスライド可能に係合する、請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記可撓性要素が、縫合糸を含む、請求項1に記載の機器。
【請求項11】
前記可撓性要素が、ポリエチレンを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項12】
前記可撓性要素が、ポリエチレン及び生体吸収性ポリマーを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項13】
前記生体吸収性ポリマーが、ポリジオキサノンを含む、請求項12に記載の機器。
【請求項14】
前記スライド係止式のノットが、バントラインノットである、請求項1に記載の機器。
【請求項15】
送出装置を更に備え、該送出装置が、
カニューレを備え、該カニューレは、近位端部及び遠位端部と、前記カニューレの壁内の長手方向のスロットとを有し、前記スロットは、前記遠位端部から前記近位端部に向かって延び、前記カニューレは、前記スロットに沿った対向する長手方向の縁部を備え、前記カニューレは、前記縁部が前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置のそれぞれの前記溝にスライド係合した状態で、前記スロットに沿って前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置を受容するように適合される、請求項7に記載の機器。
【請求項16】
前記カニューレ内に配置された配置ロッドと、前記カニューレの前記近位端部に機械的に結合されたハンドルと、前記ハンドルと関連付けられた手動で作動可能な部材とを更に備え、前記作動可能な部材は、前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置のうち一方を前記カニューレの前記遠位端部からスライドさせて排出するために、前記配置ロッドを前記カニューレ内で遠位側に並進させるように作動可能である、請求項15に記載の機器。
【請求項17】
第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、第1の表面及びその反対側の第2の表面と、前記第1の固定装置の前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部と、前記第2の固定装置の前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された1つ以上の貫通開口部とを有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び第2の固定部材を結合する可撓性要素であって、前記可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、前記長さは、前記第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第1の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第2の固定部材の前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つを貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる、可撓性要素と、
前記第1の端部セクションと前記第2の端部セクションとの間に形成されたスライド係止式のノットであって、前記第2の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、スライド係止式のノットと、を備える、機器。
【請求項18】
前記1の固定部材を貫く前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部が、前記第1の表面及び第2の表面に沿って実質的に直線状に配列される、請求項17に記載の機器。
【請求項19】
前記開口部のそれぞれが、実質的に円形の横断面を有する、請求項18に記載の機器。
【請求項20】
前記開口部のうちの1つ以上が、隣接する開口部の間の実質的に直線状の線に対して直角な方向に細長い横断面を有する、請求項17に記載の機器。
【請求項21】
前記第1の固定部材に対して前記第2の端部セクションに加えられる張力が、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間の距離を縮めるのに効果的なものである、請求項17に記載の機器。
【請求項22】
送出装置を更に備え、前記可撓性要素によって結合された前記第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれの少なくとも一部分が、前記送出装置内でスライド可能に受容される、請求項17に記載の機器。
【請求項23】
前記可撓性要素が、縫合糸を含む、請求項17に記載の機器。
【請求項24】
前記可撓性要素が、ポリエチレンを含む、請求項17に記載の機器。
【請求項25】
前記可撓性要素が、少なくとも部分的に生体吸収性である、請求項17に記載の機器。
【請求項26】
前記スライド係止式のノットが、バントラインノットである、請求項17に記載の機器。
【請求項27】
第1の固定部材及び第2の固定部材を備え、前記第1の固定部材は、第1の表面と、その反対側の第2の表面とを有し、前記第1の固定部材及び第2の固定部材は、それらの間に延びる縫合糸の2つの連続セクションによって結合され、前記2つの連続セクションは、互いに連続し、前記第2の固定部材を貫く開口部を貫いてスライド可能であり、縫合糸の前記2つのセクションのそれぞれは、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材のそれぞれの第1及び第2の貫通開口部を貫いて延び、スライド係止式のノットは、縫合糸の前記2つの連続セクションを前記第1の表面に隣接して接合し、第3の貫通開口部は、前記第1の表面と前記第2の表面との間にあり、縫合糸の前記2つの連続セクションのうち一方は、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、機器。
【請求項28】
体組織内の欠損を修復するための機器において、
第1の表面と、その反対側の第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部とを有する第1の固定部材と、1つ以上の貫通開口部を有する第2の固定部材とを備え、前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材は、連続長の縫合糸によって結合され、前記縫合糸は、前記第1の固定部材の前記第1の面に実質的に隣接して配置されたスライド係止式のノットによって結合されたループを画定し、前記ループは、前記ノットから、順に、前記第1の固定部材の前記第1の開口部、前記第2の固定部材の前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つ、前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫いて、スライド可能に延び、前記ノットに戻り、前記連続長の縫合糸の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の面から前記第2の面へと前記第3の開口部を貫いて延び、
前記ノットは、前記第1の固定部材に対して前記端部セクションに張力をかけることが、前記ループを短縮するのに効果的となるように構成される、機器。
【請求項29】
前記ノットが、バントラインノットである、請求項28に記載の機器。
【請求項30】
前記第2の表面が、修復されている前記組織と接触するように適合され、前記ノットが、前記第1の表面に隣接して維持される、請求項28に記載の機器。
【請求項31】
対向する第1の表面及び第2の表面を有する第1の固定部材と、前記第1の表面に隣接するスライド係止式の縫合糸ノットとを備え、前記縫合糸ノットは、縫合糸を含み、縫合糸の3本のリムは、前記第2の表面から延び、縫合糸の前記3本のリムのそれぞれは、前記ノットを含んだ前記縫合糸と連続し、前記3本のリムのそれぞれは、前記第1の表面と前記第2の表面との間のそれぞれの貫通開口部を通じて配置され、前記3本のリムのうちの最初の2本が共に、第2の固定部材にスライドして連結された縫合糸の連続ループをなし、前記ループは、あるループ長を有し、前記ノットは、前記第1の固定部材に対して前記第3のリムに加えられる張力が、前記ループ長を縮めるのに効果的なものとなるように構成される、機器。
【請求項32】
対向する第1の表面及び第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部とを有する第1の固定部材と、
それぞれ前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部を通じて配置された縫合糸の第1のリム、第2のリム、及び第3のリムであって、前記第1のリム及び前記第3のリムは、前記第1の開口部及び第3の開口部を通じてスライド可能に配置され、前記第1のリム及び前記第2のリムは、互いに連続して、前記第2の表面から延びる縫合糸ループを形成する、縫合糸の第1のリム、第2のリム、及び第3のリムと、
内部を貫通する1つ以上の開口部を有する第2の固定部材であって、前記ループは、前記第2の固定部材を貫通する前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つに通してスライド可能に配置される、第2の固定部材と、
前記第1の固定部材に結び付けられた制限要素であって、前記制限部材は、縫合糸をスライド可能に第1の方向には通過させるが、反対の第2の方向には通過させないように適合され、前記第1のリム及び前記第3のリムは、それらのうち一方と連続して、前記第1の表面に隣接する前記制限部材を通過する、制限要素と、を備え、
前記第1の固定部材に対して前記第3のリムに加えられる張力は、それぞれ前記第3の開口部及び第1の開口部を通じて前記第3のリム及び前記第1のリムをスライドさせることによって、前記ループ長を縮めるのに効果的なものである、機器。
【請求項33】
第1の固定部材と第2の固定部材とを備え、少なくとも1つの開口部が前記第2の固定部材を貫き、縫合糸の2本のリムが、前記第1の固定部材から延びる縫合糸の連続ループをなし、前記ループの一部分が、前記第2の固定部材を貫く前記少なくとも1つの開口部を通じてスライド可能に配置され、前記第1の固定部材が制限要素を備え、前記2本のリムのうちの一方の延長部が、前記制限要素を、第1の長手方向にスライドして通過するように配置されるが、反対の第2の長手方向にスライドすることを制限され、前記2本のリム及び前記延長部が、前記第1の固定部材の共通表面から延びる、機器。
【請求項34】
ある表面を有する体組織を修復するための機器において、
第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、前記組織の表面と接触して配置されるように適合された接触表面をそれぞれ有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれの接触表面の間に延びる縫合糸の連続ループであって、ある長さを有し、前記第2の固定部材を貫く1つ以上の開口部を通じてスライド可能に配置される、縫合糸の連続ループと、
前記第1の固定部材の前記接触表面から延びる縫合糸の張力リムと、を備え、
前記第1の固定部材に対して前記張力リムに加えられる張力が、前記ループの前記長さを縮めるのに効果的なものである、機器。
【請求項35】
前記張力リムが、前記ループをなす前記縫合糸と連続する、請求項34に記載の機器。
【請求項36】
前記第1の固定部材が、係止スライド式のノットを備え、前記張力リムが、前記係止スライド式のノットを通じて配置される、請求項35に記載の機器。
【請求項37】
前記スライド式のノットが、前記第1の固定部材の非接触表面に隣接して配置され、前記非接触表面は、前記接触表面に対向し、かつ前記接触表面の反対側にある、請求項36に記載の機器。
【請求項38】
前記張力リムが、前記縫合糸に沿って第1の長手方向に前記ノットをスライドして通過することができ、反対の長手方向に前記ノットを通じてスライドすることを制限される、請求項36に記載の機器。
【請求項1】
第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、第1の表面と、その反対側の第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部及び第2の貫通開口部とを有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び第2の固定部材を結合する可撓性要素であって、前記可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、前記長さは、前記第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第1の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第2の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第2の固定部材の前記第2の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる、可撓性要素と、
前記第1の表面と第2の表面との間に画定された第3の貫通開口部を更に備える前記第1の固定部材と、
前記第1の端部セクションと前記第2の端部セクションとの間に形成されたスライド係止式のノットであって、前記第1の端部セクションは、前記ノットを通じてスライド可能に配置され、前記第1の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、スライド係止式のノットと、を備える、機器。
【請求項2】
前記第1の固定部材を貫く前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部が、前記第1の表面及び第2の表面に沿って実質的に直線状に配列される、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材が、それぞれの表面上の隣接する開口部の間に、丸みを付けられた表面を備えて、前記丸みを付けられた表面に沿って前記可撓性要素をスライドさせる、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記開口部のそれぞれが、実質的に円形の横断面を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記開口部のうちの1つ以上が、細長い横断面を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記第1の固定部材に対して前記第2の端部セクションに加えられる張力が、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材とを結合する前記可撓性部材に沿って、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間の距離を縮めるのに効果的なものである、請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれが、それぞれの前記第1の表面及び第2の表面のそれぞれに、実質的に直線状の溝を更に備え、前記溝は、それぞれの前記表面の第1の端部からそれぞれの前記表面の対向する端部へと延び、前記第2の表面の前記溝は、前記第1の表面の前記溝と実質的に平行である、請求項1に記載の機器。
【請求項8】
細長い送出部材を有する送出装置を更に備え、前記細長い送出部材内で、前記可撓性要素によって結合された前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれの少なくとも一部分が、長手方向に、かつスライド可能に受容される、請求項1に記載の機器。
【請求項9】
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれが、それぞれの前記第1及び第2の表面のそれぞれに、実質的に直線状の溝を更に備え、前記溝は、それぞれの前記表面の第1の端部からそれぞれの前記表面の対向する端部へと延び、前記第2の表面の前記溝は、前記第1の表面の前記溝と実質的に平行であり、前記溝は前記送出部材のスロットとスライド可能に係合する、請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記可撓性要素が、縫合糸を含む、請求項1に記載の機器。
【請求項11】
前記可撓性要素が、ポリエチレンを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項12】
前記可撓性要素が、ポリエチレン及び生体吸収性ポリマーを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項13】
前記生体吸収性ポリマーが、ポリジオキサノンを含む、請求項12に記載の機器。
【請求項14】
前記スライド係止式のノットが、バントラインノットである、請求項1に記載の機器。
【請求項15】
送出装置を更に備え、該送出装置が、
カニューレを備え、該カニューレは、近位端部及び遠位端部と、前記カニューレの壁内の長手方向のスロットとを有し、前記スロットは、前記遠位端部から前記近位端部に向かって延び、前記カニューレは、前記スロットに沿った対向する長手方向の縁部を備え、前記カニューレは、前記縁部が前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置のそれぞれの前記溝にスライド係合した状態で、前記スロットに沿って前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置を受容するように適合される、請求項7に記載の機器。
【請求項16】
前記カニューレ内に配置された配置ロッドと、前記カニューレの前記近位端部に機械的に結合されたハンドルと、前記ハンドルと関連付けられた手動で作動可能な部材とを更に備え、前記作動可能な部材は、前記第1の固定装置及び前記第2の固定装置のうち一方を前記カニューレの前記遠位端部からスライドさせて排出するために、前記配置ロッドを前記カニューレ内で遠位側に並進させるように作動可能である、請求項15に記載の機器。
【請求項17】
第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、第1の表面及びその反対側の第2の表面と、前記第1の固定装置の前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部と、前記第2の固定装置の前記第1の表面と前記第2の表面との間に画定された1つ以上の貫通開口部とを有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び第2の固定部材を結合する可撓性要素であって、前記可撓性要素は、第1の端部と、第2の端部と、それらの間のある長さとを有し、前記長さは、前記第1の端部から順に、縫合糸の第1の端部セクションに沿って、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第1の固定部材の前記第1の開口部を貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第2の固定部材の前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つを貫き、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫き、縫合糸の第2の端部セクションに沿って延びる、可撓性要素と、
前記第1の端部セクションと前記第2の端部セクションとの間に形成されたスライド係止式のノットであって、前記第2の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、スライド係止式のノットと、を備える、機器。
【請求項18】
前記1の固定部材を貫く前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部が、前記第1の表面及び第2の表面に沿って実質的に直線状に配列される、請求項17に記載の機器。
【請求項19】
前記開口部のそれぞれが、実質的に円形の横断面を有する、請求項18に記載の機器。
【請求項20】
前記開口部のうちの1つ以上が、隣接する開口部の間の実質的に直線状の線に対して直角な方向に細長い横断面を有する、請求項17に記載の機器。
【請求項21】
前記第1の固定部材に対して前記第2の端部セクションに加えられる張力が、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材との間の距離を縮めるのに効果的なものである、請求項17に記載の機器。
【請求項22】
送出装置を更に備え、前記可撓性要素によって結合された前記第1の固定部材及び第2の固定部材のそれぞれの少なくとも一部分が、前記送出装置内でスライド可能に受容される、請求項17に記載の機器。
【請求項23】
前記可撓性要素が、縫合糸を含む、請求項17に記載の機器。
【請求項24】
前記可撓性要素が、ポリエチレンを含む、請求項17に記載の機器。
【請求項25】
前記可撓性要素が、少なくとも部分的に生体吸収性である、請求項17に記載の機器。
【請求項26】
前記スライド係止式のノットが、バントラインノットである、請求項17に記載の機器。
【請求項27】
第1の固定部材及び第2の固定部材を備え、前記第1の固定部材は、第1の表面と、その反対側の第2の表面とを有し、前記第1の固定部材及び第2の固定部材は、それらの間に延びる縫合糸の2つの連続セクションによって結合され、前記2つの連続セクションは、互いに連続し、前記第2の固定部材を貫く開口部を貫いてスライド可能であり、縫合糸の前記2つのセクションのそれぞれは、前記第2の表面から前記第1の表面へと前記第1の固定部材のそれぞれの第1及び第2の貫通開口部を貫いて延び、スライド係止式のノットは、縫合糸の前記2つの連続セクションを前記第1の表面に隣接して接合し、第3の貫通開口部は、前記第1の表面と前記第2の表面との間にあり、縫合糸の前記2つの連続セクションのうち一方は、前記ノットから、前記第1の表面から前記第2の表面へと前記第3の開口部を貫いて延びる、機器。
【請求項28】
体組織内の欠損を修復するための機器において、
第1の表面と、その反対側の第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部とを有する第1の固定部材と、1つ以上の貫通開口部を有する第2の固定部材とを備え、前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材は、連続長の縫合糸によって結合され、前記縫合糸は、前記第1の固定部材の前記第1の面に実質的に隣接して配置されたスライド係止式のノットによって結合されたループを画定し、前記ループは、前記ノットから、順に、前記第1の固定部材の前記第1の開口部、前記第2の固定部材の前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つ、前記第1の固定部材の前記第2の開口部を貫いて、スライド可能に延び、前記ノットに戻り、前記連続長の縫合糸の端部セクションは、前記ノットから、前記第1の面から前記第2の面へと前記第3の開口部を貫いて延び、
前記ノットは、前記第1の固定部材に対して前記端部セクションに張力をかけることが、前記ループを短縮するのに効果的となるように構成される、機器。
【請求項29】
前記ノットが、バントラインノットである、請求項28に記載の機器。
【請求項30】
前記第2の表面が、修復されている前記組織と接触するように適合され、前記ノットが、前記第1の表面に隣接して維持される、請求項28に記載の機器。
【請求項31】
対向する第1の表面及び第2の表面を有する第1の固定部材と、前記第1の表面に隣接するスライド係止式の縫合糸ノットとを備え、前記縫合糸ノットは、縫合糸を含み、縫合糸の3本のリムは、前記第2の表面から延び、縫合糸の前記3本のリムのそれぞれは、前記ノットを含んだ前記縫合糸と連続し、前記3本のリムのそれぞれは、前記第1の表面と前記第2の表面との間のそれぞれの貫通開口部を通じて配置され、前記3本のリムのうちの最初の2本が共に、第2の固定部材にスライドして連結された縫合糸の連続ループをなし、前記ループは、あるループ長を有し、前記ノットは、前記第1の固定部材に対して前記第3のリムに加えられる張力が、前記ループ長を縮めるのに効果的なものとなるように構成される、機器。
【請求項32】
対向する第1の表面及び第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間の第1の貫通開口部、第2の貫通開口部、及び第3の貫通開口部とを有する第1の固定部材と、
それぞれ前記第1の開口部、第2の開口部、及び第3の開口部を通じて配置された縫合糸の第1のリム、第2のリム、及び第3のリムであって、前記第1のリム及び前記第3のリムは、前記第1の開口部及び第3の開口部を通じてスライド可能に配置され、前記第1のリム及び前記第2のリムは、互いに連続して、前記第2の表面から延びる縫合糸ループを形成する、縫合糸の第1のリム、第2のリム、及び第3のリムと、
内部を貫通する1つ以上の開口部を有する第2の固定部材であって、前記ループは、前記第2の固定部材を貫通する前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つに通してスライド可能に配置される、第2の固定部材と、
前記第1の固定部材に結び付けられた制限要素であって、前記制限部材は、縫合糸をスライド可能に第1の方向には通過させるが、反対の第2の方向には通過させないように適合され、前記第1のリム及び前記第3のリムは、それらのうち一方と連続して、前記第1の表面に隣接する前記制限部材を通過する、制限要素と、を備え、
前記第1の固定部材に対して前記第3のリムに加えられる張力は、それぞれ前記第3の開口部及び第1の開口部を通じて前記第3のリム及び前記第1のリムをスライドさせることによって、前記ループ長を縮めるのに効果的なものである、機器。
【請求項33】
第1の固定部材と第2の固定部材とを備え、少なくとも1つの開口部が前記第2の固定部材を貫き、縫合糸の2本のリムが、前記第1の固定部材から延びる縫合糸の連続ループをなし、前記ループの一部分が、前記第2の固定部材を貫く前記少なくとも1つの開口部を通じてスライド可能に配置され、前記第1の固定部材が制限要素を備え、前記2本のリムのうちの一方の延長部が、前記制限要素を、第1の長手方向にスライドして通過するように配置されるが、反対の第2の長手方向にスライドすることを制限され、前記2本のリム及び前記延長部が、前記第1の固定部材の共通表面から延びる、機器。
【請求項34】
ある表面を有する体組織を修復するための機器において、
第1の固定部材及び第2の固定部材であって、それぞれが、前記組織の表面と接触して配置されるように適合された接触表面をそれぞれ有する、第1の固定部材及び第2の固定部材と、
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材のそれぞれの接触表面の間に延びる縫合糸の連続ループであって、ある長さを有し、前記第2の固定部材を貫く1つ以上の開口部を通じてスライド可能に配置される、縫合糸の連続ループと、
前記第1の固定部材の前記接触表面から延びる縫合糸の張力リムと、を備え、
前記第1の固定部材に対して前記張力リムに加えられる張力が、前記ループの前記長さを縮めるのに効果的なものである、機器。
【請求項35】
前記張力リムが、前記ループをなす前記縫合糸と連続する、請求項34に記載の機器。
【請求項36】
前記第1の固定部材が、係止スライド式のノットを備え、前記張力リムが、前記係止スライド式のノットを通じて配置される、請求項35に記載の機器。
【請求項37】
前記スライド式のノットが、前記第1の固定部材の非接触表面に隣接して配置され、前記非接触表面は、前記接触表面に対向し、かつ前記接触表面の反対側にある、請求項36に記載の機器。
【請求項38】
前記張力リムが、前記縫合糸に沿って第1の長手方向に前記ノットをスライドして通過することができ、反対の長手方向に前記ノットを通じてスライドすることを制限される、請求項36に記載の機器。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【公開番号】特開2011−25036(P2011−25036A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−165578(P2010−165578)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165578(P2010−165578)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
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