説明

組織修復のためのデバイスおよび方法

【課題】組織修復のためのデバイスおよび組織修復のための方法を提供し、特に、遠位端に電磁放射(例えば、紫外光)を伝達し得るカテーテル、および遠位端に電磁放射(例えば、紫外光)を伝達し得るカテーテルを用いる方法を、提供すること。
【解決手段】カテーテルの壁に配置される、少なくとも1つの電磁放射の供給源を含む、単一管腔カテーテル。カテーテルの壁に配置される、少なくとも1つの電磁放射の供給源を含む、単一管腔カテーテルと、光重合可能な材料の供給源とを含む、アセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
組織修復のためのデバイスおよび方法が記載される。特に、遠位端に電磁放射(例えば
、紫外光)を伝達し得るカテーテルが記載される。これらのカテーテルを用いる方法もま
た記載される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
カテーテルを用いて、ヒト身体の遠隔領域に接近することが増加しており、そうするこ
とにおいて、これらの部位に診断薬剤または治療薬剤を送達する。特に、これらの治療部
位への経路として循環系を用いるカテーテルが特に有用である。例えば、それらの遠位先
端部上にバルーンを有するカテーテルを用いる血管形成術(PTA)により循環系の疾患
を処置することがありふれている。同様に、これらのカテーテルを用い、処置に先立って
問題の観察を可能にするために、PTA手順の前にその部位に放射線不透過性薬剤を送達
することが普通である。さらに、血管閉塞性デバイスもまた、これらのカテーテルを通じ
て送達される。このような血管閉塞性デバイスには、例えば、参考としてそれらの全体が
援用される、Ritchartらによる米国特許第4,994,069号(血管閉塞性コ
イル);Guglielmiらによる米国特許第5,122,136号(電気的に離脱可
能な血管閉塞性コイル);Cheeらによる米国特許第5,226,911号および第5
,304,194号(付着繊維を備えた血管閉塞性コイル);Palermoによる米国
特許第5,250,071号(機械的に離脱可能なコイル);Engelsonによる米
国特許第5,261,916号(機械的に離脱可能なコイル);Twyfordらによる
米国特許第5,304,195号(機械的に離脱可能なコイル);およびPalermo
による米国特許第5,312,415号(機械的に離脱可能なコイル)がある。これらの
デバイスの各々は、比較的剛直な直径を有し、そして送達カテーテルの管腔を通じて押さ
れなければならない。
【0003】
これらの材料およびその他の材料の送達のためのカテーテルは、例えば、米国特許第4
,739,768号;同第6,165,163号;同第6,159,187号および同第
6,090,099号に記載されている。これらのカテーテルの大部分は、ガイドワイヤ
とともに用いられるように設計されている。ガイドワイヤは、代表的には、非常に考慮さ
れた設計の単純なワイヤであり、これはカテーテルのための斥候である。カテーテルは、
血管系を通過するとき、ガイドワイヤ上に適合し、そしてそれに沿ってスライドする。言
い換えると、ガイドワイヤを用いて、担当医の要請により血管系を通る適切な経路を選択
し、そして一旦適正な経路が確立されると、カテーテルは、ガイドワイヤに沿ってスライ
ドする。
【0004】
しばしば、カテーテルを用いて標的部位に複数の成分を送達することが所望されるので
、複数管腔カテーテルもまた記載されている。例えば、動脈瘤をシールするために、血管
閉塞性コイル、2つの部分の系(例えば、フィブリンを基礎にした接着剤のような接着系
)、UV硬化可能な材料などを含む複数部材料が、これら成分の送達用の複数管腔カテー
テルを必要とする。さらに、複数成分系を送達するために設計されたカテーテルの多くは
また、例えば、インサイチュでフィブリン接着材料を混合するための、少なくとも1つの
混合チャンバーを必要とする。複数管腔カテーテルは、例えば、Martinらによる米
国特許第5,797,869号;Goldらによる同第4,636,346号;Hard
yらによる同第4,840,622号;DeMelloらによる同第4,863,442
号;およびPomeranzによる同第5,078,702号に記載されている。
【0005】
UVのような放射の伝達および放射のために配置された光ファイバを提供するカテーテ
ルもまた記載されている。米国特許第5,860,948号は、2管腔カテーテル装置を
備えるカテーテルを記載し、ここで、この管腔の1つは、流体入口ポートおよび光ファイ
バに連絡している。
【0006】
しかし、これらのデバイスまたは文献のいずれも、本明細書に記載の構成を有するカテ
ーテルを記載していない。特に、いずれも、ガイドワイヤのため、および柔軟な光硬化可
能な材料の配置の両方のために用いられる単一管腔カテーテルを記載していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
従って、本発明は、新規なデバイス、ならびにこれらのデバイスを用いる方法および製
造する方法を含む。
【0008】
1つの局面では、本発明は、カテーテルの壁内に配置された電磁放射(例えば、紫外光
)の少なくとも1つの供給源を含む単一管腔カテーテルを含む。特定の実施形態では、電
磁放射の供給源は、例えば、カテーテルの遠位端において、カテーテルに一体化されてい
る。他の実施形態では、電磁放射の供給源は、カテーテルの壁内の伝達デバイスを備える
。次いで、この伝達デバイスは、カテーテルの外部にある電磁放射の供給源に作動可能に
連結され得る。この電磁放射伝達は、1つ以上の光ファイバケーブル;1つ以上の光伝達
流体;1つ以上の光伝達ワイヤまたはそれらの組み合わせを備え得る。さらに、本発明は
、例えば、互いに隣接するか、またはカテーテル本体の1つ以上の異なる側面上の、カテ
ーテルの壁内に配置された(例えば、一体化伝達デバイスをもつ一体化供給源または外部
供給源)電磁放射の複数の供給源を含み得る。
【0009】
好適な実施形態では、本明細書に記載の任意のデバイスおよびアセンブリは、ポリエチ
レングリコールジアクリレート;加水分解可能なオリゴマー(例えば、オリゴ(d,l−
乳酸))およびオリゴ(グリコール酸)で伸長され、そしてアクリレート基で終結するポ
リ(エチレングリコール)中央ブロック分子;ならびに(例えば、トリエタノールアミン
、N−ビニルピロリドン、および/またはエオシンYで開始される)ポリエチレングリコ
ールテトラアクリレートのような、光重合可能な材料の供給源と組み合わせて用いられる
。好ましくは、光重合可能な材料は、標的部位における配置に適切であり、そして、ここ
で、カテーテルの壁中に配置された電磁放射の供給源から発せられる電磁放射が、この光
重合可能な材料がカテーテルから押し出されるとき、これを重合させる。
【0010】
別の局面では、本発明は、本明細書中に記載のデバイスの任意の1つ;光重合可能な材
料;および電磁放射(例えば、紫外光)の供給源を含む、ベッセル中に材料を配置するこ
とにおける使用のためのアセンブリ含む。従って、特定の実施形態では、電磁放射の供給
源が、このアセンブリの遠位端でカテーテルの壁内に配置され、その一方、別の実施形態
では、電磁放射の供給源は、カテーテルの壁内に配置されそして電磁放射の外部供給源に
作動可能に連結された、少なくとも1つの電磁放射伝達デバイス(例えば、1つ以上の光
ファイバーケーブル;1つ以上の光伝達流体;および/または1つ以上の光伝達ワイヤ)
を含む。
【0011】
別の実施形態では、本明細書に記載の任意のアセンブリは、1つ以上のさらなる生体活
性材料(単数または複数)および/または1つ以上の移植可能なデバイス(例えば、血管
閉塞性デバイス、ステント、フィルターなど)をさらに備える。
【0012】
別の局面では、本発明は、動脈瘤を閉塞する方法を包含し、これは、その必要がある被
験体に、本明細書に記載の任意のカテーテルまたはアセンブリを用いて重合可能な材料を
投与する工程を包含する。
・本発明はさらに、以下を提供し得る:
・(項目1)
カテーテルの壁に配置される、少なくとも1つの電磁放射の供給源を含む、単一管腔カ
テーテル。
・(項目2)
項目1に記載のカテーテルであって、ここで、上記少なくとも1つの電磁放射の供給
源が、上記カテーテルの遠位端に配置される、カテーテル。
・(項目3)
項目1に記載のカテーテルであって、ここで、上記電磁放射の供給源が、上記カテーテ
ルの壁内に配置され、そして、上記電磁放射の外部供給源に作動可能に連結された、少なく
とも1つの電磁放射伝達デバイスを含む、カテーテル。
・(項目4)
上記電磁放射伝達が、1つ以上の光フィバーケーブルを含む、項目3に記載のカテー
テル。
・(項目5)
上記電磁放射伝達デバイスが、1つ以上の光伝達流体を含む、項目3に記載のカテー
テル。
・(項目6)
上記電磁放射伝達デバイスが、1つ以上の光伝達ワイヤを含む、項目3に記載のカテ
ーテル。
・(項目7)
上記電磁放射が、紫外光である、項目1〜項目6のいずれか1項に記載のカテーテ
ル。
・(項目8)
項目1〜項目7のいずれか1項に記載のカテーテルであって、少なくとも2つの電
磁放射伝達デバイスが、上記カテーテルの複数の側面に配置される、カテーテル。
・(項目9)
項目1〜項目8のいずれか1項に記載のカテーテルと、光重合可能な材料の供給源
を含む、アセンブリ。
・(項目10)
項目9に記載のアセンブリであって、上記光重合可能な材料が、標的部位における配
置に適切であり、ここで、上記カテーテルの壁に配置された電磁放射の供給源から放出さ
れた電磁放射は、上記光重合可能な材料が上記カテーテルから押し出されるとき、上記光重合可
能な材料を重合する、アセンブリ。
・(項目11)
項目9に記載のアセンブリであって、ここで、上記光重合可能な材料が、ポリエチレ
ングリコールジアクリレート;加水分解可能なオリゴマーで伸長され、そして、アクリレ
ート基で終結するポリ(エチレングリコール)中央ブロック分子;ならびにポリエチレン
グリコールテトラアクリレートからなる群より選択される、アセンブリ。
・(項目12)
項目11に記載のアセンブリであって、ここで、上記加水分解可能なオリゴマーが、
例えば、オリゴ(d,1−乳酸)およびオリゴ(グリコール酸)からなる群より選択され
る、アセンブリ。
・(項目13)
項目11に記載のアセンブリであって、ここで、上記ポリエチレングリコールテトラ
アクリレートの重合が、トリエタノールアミン、N−ビニルピロリドンおよびエオシンY
で開始される、アセンブリ。
・(項目14)
血管中で材料を配置させる際に使用するためのアセンブリであって、上記アセンブリは、
以下:
(a)項目1〜項目8のいずれか1項に記載のカテーテル;
(b)光重合可能な材料;および
(c)電磁放射の供給源
を含む、アセンブリ。
・(項目15)
項目14に記載のアセンブリであって、上記電磁放射の供給源が、上記アセンブリの遠
位端で、上記カテーテルの壁内に配置される、アセンブリ。
・(項目16)
項目14に記載のアセンブリであって、上記電磁放射の供給源が、上記カテーテルの
壁内に配置され、そして、電磁放射の外部供給源に作動可能に連結される、少なくとも1
つの電磁放射伝達デバイスを含む、アセンブリ。
・(項目17)
上記電磁放射伝達デバイスが、1つ以上の光ファイバーケーブルを含む、項目16に
記載のアセンブリ。
・(項目18)
上記電磁放射伝達デバイスが、1つ以上の光伝達流体を含む、項目16に記載のアセ
ンブリ。
・(項目19)
上記電磁放射伝達デバイスが、1つ以上の光伝達ワイヤを含む、項目16に記載のア
センブリ。
・(項目20)
上記電磁放射が、紫外光である、項目14〜項目19のいずれか1項に記載のアセ
ンブリ。
・(項目21)
少なくとも1つのさらなる生体活性材料をさらに含む、項目9〜項目19のいずれ
か1項に記載のアセンブリ。
・(項目22)
動脈瘤を閉塞する方法であって、上記方法は、動脈瘤を閉塞することが必要な被験体に、
項目1〜項目8のいずれか1項に記載のカテーテルを使用して、光重合可能な材料を
投与する工程を包含する、方法。
・(項目23)
項目22に記載の方法であって、上記方法は、上記カテーテルの管腔を介して、上記被
験体に少なくとも1つの血管閉塞デバイスを施す工程をさらに包含する、方法。
・(項目24)
項目22または項目23に記載の方法であって、上記方法は、上記カテーテルの管腔
を介して、上記被験体に少なくとも1つの生体活性材料を投与する工程をさらに包含する
、方法。
【0013】
本発明のこれらの実施形態およびその他の実施形態は、本明細書の開示を考慮して当業
者が容易に思いつく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の記載)
本発明は、カテーテルの壁内に電磁放射を伝達するための1つ以上の手段を有する単一
管腔カテーテルを含む。従って、この単一管腔のカテーテルを用いて、光重合可能な材料
(これは、これらがカテーテルから押し出されるとき重合され得る);機械的デバイス(
例えば、血管閉塞性デバイス、ステント、フィルターなど);生体活性材料(例えば、サ
イトカイン、増殖因子など)またはこれら材料の組合せを含むがこれらに限定されない、
広範な種類の閉塞材および他の材料を送達し得る。本明細書で用いる用語「重合する」ま
たは「硬化する」は、架橋、鎖伸長などの任意の形態をいう。従って、「光重合可能な」
は、電磁放射の付加に際し、架橋、伸長または硬化され得る任意の材料をいう。
【0015】
本明細書に記載の単一管腔カテーテルは、種々の可撓性および/または組成の1つ以上
のセクションを含み得る。可撓性のカテーテルは、例えば、米国特許第6,165,16
3号;同第6,159,187号;同第6,090,099号;および同第4,739,
768号(それらの全体が参考として援用される)に記載され、そして各々は、神経学的
適用および末梢血管適用に特に適切である。次いで、明らかに、本明細書に記載のこれら
カテーテルはまた、心臓への接近および処置で遭遇し得るようなあまり過酷であなサービ
スに適切である。
【0016】
さらなる生体活性材料がまた、これらのカテーテルおよび硬化材料とともに用いられ得
る。本明細書に記載のカテーテルは、広範な種類の血管適応症および神経血管適応症にお
ける使用を見出し、そして特に動脈瘤を処置することに有用である。これらのデバイスを
製造および使用する方法もまた、本発明の1つの局面である。
【0017】
本発明の利点は、制限されずに、(i)単一管腔のカテーテルを用いて光重合可能な材
料をインサイチュに送達する能力を提供すること;(ii)材料が送達カテーテルから押
し出されるとき、それらを重合(硬化)する能力を提供すること;(iii)多くの複数
部硬化系に必要な混合チャンバーの必要性をなくすこと;(iv)硬化可能な材料の送達
に加え、機械的デバイスおよび/またはその他の生体活性材料(単数または複数)の送達
を可能にすること;ならびに(v)曲がりくねった血管における使用に適切な、単一管腔
を通じて、複数成分(例えば、硬化可能な系の成分;機械的デバイス;ガイドワイヤ;生
体活性材料)を送達し得るカテーテルを提供すること、を含む。
【0018】
本明細書に引用される上記または下記のすべての刊行物、特許および特許出願は、それ
らの全体が参考として本明細書に援用される。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられるとき、単数形態「a」、「an」、
および「the」は、文脈が明瞭に他であることを示さなければ、複数の指示対象を含む
。従って、例えば、「光重合可能な材料」への言及は、2つ以上のこのような材料などの
混合物を含む。
【0020】
図1は、本発明によるカテーテル1の1つの実施形態を示す。示されるのは、単一管腔
5を備えるカテーテル1である。この管腔5は、重合可能な材料(例えば、光硬化可能な
材料);デバイス類(例えば、血管閉塞性コイル、保持デバイス、フィルターなど);お
よび/またはその他の生体活性材料を受容、保持および押出し得る。少なくとも1つの電
磁伝達手段(例えば、光ファイバーケーブル、光伝達流体など)15が、カテーテルの壁
内にその外周縁に沿って配置されている。好ましくは、2つの伝達手段15がカテーテル
の対向する側壁上に配置されるが、2より多くの手段もまたを用いることができ、しかも
これらはカテーテル壁内で互いに任意の関係で配置され得ることは明瞭である。さらに、
図には示されていないが、これら伝達デバイスはカテーテルの壁に配置されるので、それ
らは、従って、好ましくはカテーテルが構築される材料である、物理的障壁材料により、
カテーテルの管腔5から分離されている。このカテーテルの遠位端10は、電磁放射伝達
デバイス(単数または複数)により伝達される電磁放射が、カテーテルの遠位端を丁度過
ぎて発せられるように構成される。このようにして、光硬化可能な材料は、カテーテルか
ら押し出された直後硬化される。この構成は、多くの2部硬化系で必要な混合工程をなく
する。
【0021】
カテーテルの代表的な寸法は:全長60〜200cm;平均外径約1.0〜5.0Fr
ench(0.013〜0.65インチ);平均内径約0.008〜約0.42インチで
ある。明らかなことであるが、これらの寸法が、本発明にとって特に重要ではなく、そし
て処置される病気および身体内のその部位の関数として種々に選択される。これらカテー
テルは、それらの潤滑性を増加するために、内側および外側の両方が被覆されるか、また
は他のように処理され得る。このような処理は、シリコーン油、またはより好ましくは、
親水性ポリマーを含み得る。
【0022】
任意の適切な光重合可能な材料が、それが被験体中に移植されたとき有害でない限り、
用いられ得る。好ましくは、この材料は、電磁放射、好ましくはUVエネルギーの付与に
際し重合(硬化)する。光重合可能な材料の非限定的な例は、ポリエチレングリコールジ
アクリレート、または、加水分解可能なオリゴマー(例えば、オリゴ(d,l−乳酸)ま
たはオリゴ(グリコール酸)で伸長されそしてアクリレート基で終結するポリ(エチレン
グリコール)中央ブロック分子を含む他の分子が挙げられる。光重合可能な生体適合性の
水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコールテトラアクリレート(Ms18,500)が
挙げられ、そして、これは、トリエタノールアミン、N−ビニルピロリドン、およびエオ
シンYのような開始剤を用いて生物学的に適合する条件下、アルゴンレーザを用いて光重
合され得る。このような材料はまた、それらが電磁放射(例えば、光)の付与に際し、優
先的に吸収および重合するように、容易に設計かつ製造され得る。その他の適切な材料は
、例えば、その全体が参考として本明細書中に援用される、米国特許第5,860,94
8号に記載されている。1つ以上の材料もまた、種々の組合せで用いられ得る。
【0023】
好ましくは、光重合可能な材料は、カテーテルの管腔を通じる輸送のために流体中に分
散される。被験体に有害でない任意の流体が用いられ得る。好適な実施形態では、この流
体は、電磁放射の伝達、および、カテーテルからの押出しに際し、材料(単数または複数
)を硬化するための電磁放射の能力を妨害しないように選択される。例えば、UV放射の
場合には、生理食塩水の溶液が適切である。
【0024】
従って、電磁放射(例えば、光)の付与により硬化する任意の材料が、エネルギー供給
源に曝す量および持続時間が被験体に有害でない限り、本発明における使用に適切である
。可視光スペクトルは、約7000Åにおける低エネルギーの赤から、約4000Åにお
ける高エネルギーの紫まで広がる。さらに、非可視光波長、例えば、γ線;紫外光(約4
000Å〜約600Åの範囲の波長、および約10eVのエネルギー);赤外線(約70
00Å〜1mmの範囲の波長および10−3eV〜約1eVのエネルギー);マイクロ波
(約1mm〜3cmの波長および約10−5eV〜0.001eVのエネルギー);極超
短波(UHF、約10−7eV〜10−5eVの範囲のエネルギー)および電波(約10
−12eV〜約10−8eVのエネルギー)もまた用いることができる。
【0025】
電磁放射を伝達し、そして/または放射するための1つ以上の手段が、カテーテル中に
、好ましくはカテーテルの壁中に位置付けられる。従って、電磁放射の供給源は、カテー
テルの外部であり得るか、あるいは、カテーテルに組み込まれ得る。いずれの場合におい
ても、電磁放射の供給源が、操作者によって容易に制御される(例えば、オン−オフ、電
磁放射の型、量など)ことが所望される。電磁放射の任意の供給源を使用して、光重合可
能(photopholymerizable)な材料を重合し得る。電磁放射の供給源
の非限定的な例としては、レーザー(例えば、アルゴンレーザー)などが挙げられる。特
定の好ましい実施形態において、エネルギーの外部供給源は、UV光(例えば、200n
m〜350nmの範囲の波長)を放射する。
【0026】
従って、上記したように、特定の実施形態において、カテーテルは、このカテーテルの
遠位端に電磁放射を伝達するための手段を備える。電磁放射伝達デバイスの非限定的な例
としては、光ファイバーケーブル、光伝達流体、光伝達ワイヤなどが挙げられる。他の適
切な伝達手段またはデバイスは、当業者に公知である。特定の実施形態おいて、カテーテ
ル中の伝達手段の全ては同一であり、例えば、1つ以上の光ファイバーケーブルである。
他の実施形態において、異なる電磁伝達デバイスまたは電磁伝達手段の組合せが使用され
る。さらに、容易に理解されるように、電磁放射の供給源がカテーテルの外部である場合
、この電磁放射の供給源は、エネルギーがカテーテルの長さを伝達し得るように、カテー
テルに作動可能に連結される。
【0027】
なお他の実施形態において、電磁放射の供給源は、それ自身がカテーテル内に配置され
、例えば、レーザーまたは他の電磁放射が、このカテーテルの遠位末端に配置される。こ
れらの実施形態において、操作者が、供給源から放射された電磁放射の放出および/また
は量を制御する能力を保持することが、好ましい。これは、例えば、操作者が出力を制御
し得るように、カテーテルアセンブリの外部にあって、なおこの操作者にアクセス可能で
ある制御機構(例えば、電源)に、電磁放射の供給源を作動可能に連結することによって
、達成され得る。
【0028】
光重合可能な材料は、単独でか、または1つ以上の移植可能なデバイス(例えば、血管
閉塞デバイス、ステント、フィルターなど)、1つ以上のさらなる生体活性材料、または
、移植可能なデバイスとさらなる生体活性材料の組合せと組合せて使用され得る。適切な
移植可能デバイスは、当業者に公知である。用語「生体活性」は、インビボで効果を示す
任意の薬剤をいい、例えば、血栓剤、治療剤などである。生体活性材料の非限定的な例と
しては、以下が挙げられる:サイトカイン;微量金属(例えば、銅);血栓形成を安定化
するか、または血餅溶解を阻害する分子(例えば、タンパク質またはタンパク質の機能的
フラグメントであって、第XIII因子、a−抗プラスミン、プラスミノゲンアクチベ
ーターインヒビター−1(PAI−1)が挙げられるがこれらに限定されない);抗生物
質;DMSOなど。単独でか、または本発明の実施と組合せて使用され得るサイトカイン
の非限定的な例としては、塩基性線維芽細胞増殖因子(βFGF)、血小板由来増殖因子
(PDGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TG
F−β)などが挙げられる。サイトカインは、様々な製造供給源から市販されており、例
えば、以下である:Genzyme(Framingham,MA)、Genentec
h(South San Francisco,CA)、Amgen(Thousand
Oaks,CA)、R&D Systems and Immunex(Seattl
e,WA)。さらに、生物活性ポリペプチドは、組換え的に合成され得る。なぜならば、
多くのこれらの分子の配列がまた、例えば、GenBankデータベースから利用可能で
あるからである。野生型と類似の生物活性を有する分子または精製されたサイトカイン、
および血栓安定化タンパク質(例えば、組換え的に生成されたか、またはその変異体)、
ならびにこれらの分子をコードする核酸は、本発明の精神および範囲内で使用されること
が意図されることは、必ずしも明示的に述べられているわけではないが、意図される。さ
らに、本発明の実施において有用な生体活性材料の量および濃度は、熟達した操作者によ
って容易に決定され得、そして、材料、濃度または投薬量の任意の組合せが、これらが被
験体に対して有害でない限り、使用され得ることが理解される。
【0029】
ガイドワイヤまたは流れが指向されたデバイスを含む、従来のカテーテル挿入技術およ
びナビゲーション技術を使用して、本明細書中で記載したカテーテルのいずれかを用いて
部位に接近する。この機構は、標的部位に移植可能なデバイスを配置するために、カテー
テルを全体的に通って完全に進み得るが、これはなおも、移植可能なデバイスの脱離を可
能にするために、このカテーテルの遠位末端から突き出るその送達機構の十分な遠位端部
分も有するような機構である。末梢手術や神経手術での使用について、送達機構は、通常
は約100cm〜200cm長で、より通常は130cm〜180cm長である。この送
達機構の直径は、通常は、0.25mm〜約0.90mmの範囲である。簡単に言うと、
本明細書中に記載される液体の塞栓デバイスおよび/または閉塞デバイスは、代表的には
、送達カテーテルへの導入のために、キャリアにロードされ、そして、以下に概説した手
順を使用して、選択された部位に導入される。この手順は、種々の疾患を標的化する際に
使用され得る。例えば、動脈瘤の処置において、動脈瘤自体は、塞栓の形成を引き起こす
塞栓剤(例えば、機械的デバイスおよび/または液体塞栓剤、ならびに生体活性材料)で
満たされ得、その後、移植されたデバイスの周囲に形成された新生血管形成化膠原材料に
より、少なくとも部分的に交換される。
【0030】
選択された部位は、特に選択されたカテーテルおよび/またはガイドワイヤの収集を使
用して、脈管系を通って到達される。この部位が遠隔部位(例えば、脳)中である場合、
この部位への到達方法は、いくらか限定されることは明らかである。1つの広範に許容さ
れる手順は、米国特許第4,994,069号(Ritchartら)中に見出される。
これは、米国特許第4,739,768号(Engelson)中で見出されるような、
細い血管内カテーテルを利用する。第1に、大きなカテーテルが、脈管構造中の入口部位
を通って導入される。代表的には、これは、鼡径部中の大腿動脈を通る。ときどき選択さ
れる他の入口部位は、頸部中に見出され、そして、この型の医療を実施する医師によって
、一般的に周知である。いったん導入器が所定の適切な位置に配置されると、次いで、ガ
イド(guiding)カテーテルを使用して、入口部位から処置されるべき部位付近の
領域への安全な通路を提供する。例えば、ヒト脳における部位の処置の際、大腿動脈での
入口部位から、心臓まで延びる巨大な動脈を通って上流に、心臓周辺の大動脈弓を通って
、そして大動脈の上側から延びる動脈の1つを通って下流に延びるガイドカテーテルが、
選択される。次いで、本明細書中で記載されたガイドワイヤおよび神経血管のカテーテル
は、ガイドカテーテルを介して位置付けられる。一旦、このカテーテルの遠位端がその部
位に位置付けられると(しばしば、放射線不透過性マーカー材料および蛍光透視の使用を
介して、その遠位端に位置付けることによる)、このカテーテルは、取り除かれる。例え
ば、ガイドワイヤを使用してカテーテルを位置付ける場合、このガイドワイヤは、カテー
テルから引き出され、次いで、アセンブリ(例えば、液体の塞栓性デバイスおよび/また
は移植可能なデバイスを遠位端に備える)が、そのカテーテルを通って進む。
【0031】
塞栓材料および/または他の材料は、カテーテルの遠位端を通過し進み、そして所望の
末端部位に正確に位置付けられるか、または押し出される。これらは、重力、形状、大き
さ、容量またはそれらの組合せにより所定の位置に維持される。さらに、これらの成分(
例えば、光重合可能な材料;血管閉塞部材;保持デバイス;および/または他の生体活性
材料)が、カテーテルから放出される順序は、本発明の実施に対して重要ではなく、操作
者によって決定され得る。
【0032】
上記の手順およびデバイス、ならびに本発明に従ってそれらを使用する方法の改変は、
機械分野および外科分野の当業者に明白である。これらのバリエーションは、添付の特許
請求の範囲内であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明によるカテーテル1の1つの実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載される発明。

【図1】
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【公開番号】特開2008−296032(P2008−296032A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184258(P2008−184258)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【分割の表示】特願2002−569007(P2002−569007)の分割
【原出願日】平成14年3月5日(2002.3.5)
【出願人】(596164238)ボストン・サイエンティフィク・サイムド・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】