説明

組織及び臓器移植片のためのバイオリアクター並びに操作方法

単回使用の単一または複数の移植片バイオリアクターと環境制御システムが、組織、臓器、または移植片の増殖に必要な条件を複製するよう設計され、その一方で、組織の増殖を拡大する際の課題、単回使用のまたは使い捨ての形式への適応、および、細胞培養条件の完全な環境制御を提供する独立型ユニットとしての操作に対処する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
この出願は、2009年4月3日に出願された米国仮出願第61/161,585号及び2009年4月3日に出願された米国仮出願第61/166,567号のアメリカ合衆国法典第35巻第119条(e)項の利益を主張し、その全体を参考までに本明細書に取り入れた。
【背景技術】
【0002】
細胞培養は、例えば、核酸と抗体などの多くの生物学的製品を製造するうえで不可欠な工程である。プロセスは、代謝や細胞の増殖に欠かせない栄養素と、細胞が付着する固体支持体とを備え、該固体支持体が液体培地に浸漬する液体培地を含む容器に細胞(接種)の少数の添加により開始することができる。コンフルエンス(confluence)に達するまで、温度、pH及び二酸化炭素濃度の条件が制御され、細胞の増殖を促進する。
【0003】
三次元マトリックス上の単一の組織または組織移植片の小規模の培養増殖が記載されている。組織または移植片を形成する細胞を培養用バイオリアクターの使用は、以前、硬質プラスチックまたはガラス製バイオリアクターの液体培地に懸濁した固体または多孔性支持体上の細胞の培養に限定されていた。
【0004】
従来のバイオリアクターは、典型的には、静止した再利用可能なタンクまたは容器として設計されている。使い捨てや単回使用のバイオリアクターは、非使い捨ての支持構造体によって支持されているプラスチックの滅菌バッグを利用し得る。
【0005】
生体から採取した細胞、組織又は臓器のエクスビボでの拡大に使用するための可撓性の壁、使い捨てのバイオリアクターシステム、細胞、組織、移植片、または臓器で要求される酸素、熱、混合及びpH制御を提供するために設計されたシステムを開発するためのニーズある。エクスビボで拡大された製品は、その後、それを必要とする患者に移植することができる。移植された組織は、患者で以前に損傷または病変組織の再生をサポートするために細胞集団を補充することができる。一つの例示的な使用は、生体から採取した血管細胞の増殖である。血管移植片の形のエクスビボで拡大された血管細胞は、それを必要とする患者に移植することができる。移植された血管移植片は、患者の以前に、破損した又は疾病した血管の再生をサポートすることができる。
【0006】
組み換え組織がますます医療の多くの分野での疾患の治療に使用されているものの、人工組織の種類が多いため、臨床的生産は、科学技術の初期の発見で使用されていた最初のベンチトップのプロセスに密接に準拠している。組み換え組織の生産の大規模かつ自動的な制御の限定は、商品の高コスト化と臨床結果を損なう可能性がある製品のばらつきにつながっている。したがって、制御可能で拡大可能でかつ手頃な組織の生産のための革新的な手法に緊急のニーズがある。
【0007】
ほとんどの市販の血管移植片は、拡大したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの合成材料から生産されている。未解決の一つの課題は、動静脈(AV)透析移植片として使用した場合、すべての合成移植片が高い合併症率に苦しんでいることである。これらの合併症は、感染症、血栓症、および移植片閉塞につながるネオ内膜肥厚を含めることができる。合成AV移植片の合併症の発生率は非常に高いので、平均的移植片は、開いているかブロックされていないという状態である開存性を維持するために、その移植片の有効期間中に複数の介入を必要とする。移植片開存を維持するための高いコストのみならず、移植片感染に伴う高い罹患率は、透析のためのより良いAV移植片のための緊急の必要性があることを示している。
【0008】
このように、培養をサポートしている使い捨てのバイオリアクターシステムの継続的な臨床上の必要性は、労働力を最小限に抑え、不妊を中断のリスクを軽減し、設計された組織、臓器、および移植片のスケールアップ生産を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、組織、臓器、または移植片を含む細胞の増殖に必要な条件を複製する、好ましくは、単回使用の単一または複数の移植片バイオリアクターに関するものである。技術革新が、1)このような血管や臓器などの生体組織に類似した形状で細胞を増殖させる課題、2)可撓性を有する壁、単回使用、すなわち、使い捨てのバイオリアクターの形式への適応、3)流加培地の細胞への低剪断動径分布、4)バイオリアクター内で増殖する組織への拍動流の安定かつ均一な送達、5)培養条件のために必要な完全な環境制御を提供する独立型ユニットとしての操作、6)組織の増殖を拡大する際の課題、および、7)接種量を最小限に抑えるためにバイオリアクターを縮小する能力に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はとりわけ、次の単独または組み合わせを含む。1つの態様において、本発明は、大型で独立型の使い捨てのバイオリアクターのシステムで、または、使い捨てのバイオリアクターと流体連通した使い捨ての培養バッグで、動物またはヒト由来の細胞のエクスビボでの拡大を達成するための、新規の培養システムの発見に関する。
【0011】
[使い捨てのバイオリアクターと流体連通する使い捨ての培養バッグ]
1つの実施形態において、本発明は、組織、臓器または移植片の培養のための単回使用のバイオリアクターシステムであって、当該バイオリアクターシステムは、チャンバーを有する使い捨ての細胞培養バッグ、複数の細胞の付着とその増殖のための表面を含み、前記使い捨ての細胞培養バッグの前記チャンバー内に配された生体適合性の足場、前記生体適合性の足場の表面で組織、臓器、または移植片を周期的に移動させるためのモーションシステム、流体通路を介して前記使い捨ての細胞培養バッグのチャンバーと流体連通する使い捨てのバイオリアクターを備え、前記使い捨てのバイオリアクターは、溶存酸素センサ、ガス供給システム、pH制御システム、および、温度制御システムを備え、前記ガス供給システム、前記pH制御システム、および、前記温度制御システムの各々は、前記バイオリアクターシステム内で細胞培養の環境パラメータを制御するように構成されるとともに、前記バイオリアクターシステムで流体媒体と動作可能に連通するように構成され、前記流体媒体は細胞増殖のための培地を含み、前記使い捨てのバイオリアクターは、さらに、前記使い捨てのバイオリアクターと前記バイオリアクターシステムの使い捨ての細胞培養バッグの前記チャンバーとの間の前記流体経路を介して、流体媒体の循環を作り出すために配された循環ポンプを備える。
【0012】
[大規模培養用の独立型、単回使用のバイオリアクターシステム]
別の実施形態において、組織、臓器や移植片の大規模培養のための独立型で単回使用のバイオリアクターシステムは、使い捨てのバイオリアクターを備え、前記使い捨てのバイオリアクターは、少なくとも1つのポートを有するチャンバーを備えるバイオリアクター、複数の細胞の付着とその増殖のための少なくとも1つの表面を含み、前記使い捨てのバイオリアクターの前記チャンバー内に配された生体適合性の足場、前記生体適合性の足場の少なくとも1つの表面で組織、臓器、または移植片を周期的に移動させるためのモーションシステム、前記使い捨てのバイオリアクターの少なくとも1つのポートに動作可能なように接続されるとともに、前記チャンバーの内側で流体媒体を循環させるため、新しい流体媒体を前記チャンバーに送り込むため、および、前記チャンバーから費された媒体を除去するために配された再循環ポンプを備え、前記流体媒体は、溶存酸素センサ、ガス供給システム、pH制御システム、および、温度制御システムを備え、前記ガス供給システム、前記pH制御システム、および、前記温度制御システムの各々は、前記使い捨てのバイオリアクターのチャンバーに動作可能なように接続され、前記ガス供給システム、前記pH制御システム、および、前記温度制御システムの各々は、前記使い捨てのバイオリアクターのチャンバー内で細胞培養の環境パラメータを制御するように構成される。
【0013】
[単回使用の、単一の組織、臓器、および、移植片のためのバイオリアクター]
さらに別の実施形態では、単一の組織、臓器、または移植片の培養のための単回使用の、単一の組織、臓器、および、移植片のためのバイオリアクターは、表面上にチャンバーと双方向の単一ポートとを有する、流体媒体を保持するための使い捨ての細胞培養バッグを備え、前記ポートは、サンプリング、接種、媒体の流入、媒体の除去、洗浄、および、貯蔵、並びにこれらの組み合わせから選択された機能のために構成され、前記バイオリアクターは、さらに、間に経路を有するとともに、複数の細胞の付着とその成長のための外部表面を備えた、前記チャンバー内に配される生体適合性の足場、前記足場の経路内に置かれたチューブ支持構造体、圧縮機、テンショナー、およびツイスターから選択されるとともに、前記チューブ支持構造体に張力、圧縮力、または捻り力を与えるために配された、前記チューブ支持構造体の少なくとも1つの端部に取り付けられた装置、前記バイオリアクターで細胞培養の温度を制御するように構成されるとともに、前記バイオリアクターで前記流体媒体と動作可能に連通するように構成された、温度制御システムを備え、前記流体媒体は細胞増殖のための媒体を含み、および、前記バイオリアクターはさらに、前記チューブ支持構造体を介して流体を循環させるために配されたポンプを備える。
【0014】
本発明はまた、動物またはヒト由来の細胞をエクスビボで拡大する方法に関するものであり、前記方法は、磁気的に結合した攪拌機で攪拌した流体媒体に生体適合性の足場を浸しながら、前後に記載のバイオリアクターシステム内の生体適合性の足場を、動物またはヒト由来の複数の細胞に播種する工程、前記生体適合性の足場に前記細胞を付着させる工程、前記生体適合性の足場の表面で付着させた細胞を周期的に移動させる工程、および、 十分な環境条件下で、および、組織、移植片、または臓器を形成するために前記細胞がエクスビボで拡大することができるのに十分な時間にわたって、動物またはヒト由来の複数の細胞を前記流体媒体に連続的に浸すために、細胞増殖のための前記流体媒体を循環させる工程を含む。
【0015】
本発明の上記および他の目的、特徴および利点は、添付図面に示されるとおりの本発明の例示的実施形態の以下のより詳細な説明から明らかであろう。図面において、参照符号は、異なる図面や実施形態を通して、同一または類似の部分を参照している。図面は必ずしも縮尺されていない。その代わりに本発明の原理を強調して示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、支持構造体の灌流ループが組み込まれ、インサイツ攪拌機を有する本発明の実施形態による、単回使用、単一または複数の移植片バイオリアクターの概略図である。
【図2】図2は、支持構造体の灌流ループはないが、機械システムを用いて周期的に支持構造体を膨張と圧縮をする機械的な膨張及び圧縮システムと、インサイツ攪拌機を含む、本発明の第2の実施形態に係る、単回使用、単一または複数の移植片バイオリアクターの模式図である。
【図3A】図3Aは本発明の別の実施形態による、コンセントレータ・クレードルのバイオリアクターの部分断面図である。
【図3B】図3Bは、接種集中を容易にするための凹所をもつ可撓性を有する変形可能なバイオリアクターの容器の長手方向の断面を示す。
【図4】図4は、第3の実施形態に従って、磁気的に結合した攪拌器によって攪拌された共通のタンクやバイオリアクターから供給される成長培地である、個々の血管移植片を含む、複数の単回使用のバイオリアクター容器または細胞培養バッグの概略図である。
【図5】図5は、別の実施形態に係る貫通する拍動流を支持チューブで単一の移植片を増殖させるための細胞培養バッグ又はバイオリアクターの縮尺した側面図である。
【図6】図6は、支持構造体の灌流ループはないが、機械的システムを使用して支持構造体を圧縮するためのピンチバルブの配列を含む本発明の別の実施形態による、磁気的に結合された攪拌機で攪拌され、単回使用、単一または複数の移植片バイオリアクターの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好ましい実施形態の説明は以下の通りである。それは、本発明の特定の実施形態が例示されものであり、本発明を限定するものではないことは理解される。本発明は、さらに詳細な説明を以下に示しつつ、その最も広い総合的な態様で記載されている。本発明の構成及び方法の他の詳細はさらに、特許請求の範囲で指摘される。
【0018】
この明細書の説明および特許請求の範囲を通して、「備える(comprise)」という用語及び「含む(contain)」という用語並びにこれらの変形は、「含むがこれに限定されない」ことを意味し、他の部分、添加物、成分、整数もしくは工程を除外することが意図されていない(及び除外しない)。この明細書の説明および特許請求の範囲を通して、単数形は、他の文脈が要求しない限り複数形を包含する。特に、不定冠詞が使われているところでは、明細書は、文脈により別の定めがある場合を除き、単数形と同様に複数形を予期していると理解されるべきである。
【0019】
本明細書には、自家移植片と同種移植片を含む外科的移植片の調製に使用するための細胞、組織や臓器を増殖する装置及び方法が記載されている。自家移植片は、レシピエントの健康な臓器から、レシピエント自身の組織から例えば調製した移植片である。同種移植片は遺伝的に同一ではない個人間の組織の移植片である。同種移植片は、例えば、死体の臓器や生体に関連する個人から得られた組織から調製することができる。
【0020】
本発明はまた、必要に応じて活性化し、移動することができる細胞、例えば間葉系幹細胞、間葉系細胞を拡大する方法に関する。間葉系幹細胞は、脂肪細胞、軟骨、骨、腱及び靭帯などの細胞、筋肉細胞、皮膚細胞および神経細胞を含むさまざまな細胞を形成することができる成体幹細胞である。例えば、拡大間葉系幹細胞は、糖尿病を患っている患者にランゲルハンス島細胞を移植するといった、内分泌組織を再生成するために使用することができる。他の例において、筋肉へのダメージは非常にゆっくりとしているが、開示されたシステムで拡大された間葉系幹細胞が損傷した筋肉組織において活性化し、移植されると、そのような傷は非常に速く治癒するであろう。
【0021】
開示された複数の組織、臓器、および移植片バイオリアクターの3つの可能な構成の変形形態の非限定的な例は、以下のすべての目的を達成する。それぞれが複数の組織、臓器、および移植片の増殖のための大規模な使い捨ての表面を提供する。それぞれには、ガス供給システムやガス散布システム、pH制御システムと複数の組織、臓器、および移植片の酸素供給、pH値、および温度要求を満たすために温度制御システムを提供する。それぞれには、バッチ、フェドバッチ方式または灌流方式で動作する能力を有する。
【0022】
以下の実施形態では、通常、血管組織、血管、他の組織、および/または臓器などの移植片材料を形成する、細胞を培養するための生体適合性の足場であるサポート構造の筐体に、一般的に関連している。バイオリアクターの容器システムは、増殖を促進するために制御された環境モジュール(CEM)を含むことができる。それは、シード接種、操作および/またはバイオリアクターからの組織/移植片の収穫のための滅菌または滅菌に近い滅菌環境を提供する。例えば、環境コンテインメントシステムについて、Galliherらによる米国特許出願公開第2008/0139865A1号公報、システム及び製造方法について、Hodgeらによる米国特許出願公開第2005/0226794A1号公報を参照されたい。両方の公報の教示は、その全体が参照により本明細書に採り入れられている。CEMは、播種、培養、操作、または収穫若しくはこれらすべてのパラメータの間のバイオリアクターの環境汚染の可能性を回避または最小限に抑えるために適切なレベルで温度、湿度、微生物、及び粒子数をカウントするか、またはこれらのパラメータのすべてを制御することができる。
【0023】
本発明の1つの実施形態では、生体適合性の足場は、内部通路と、媒体における組織の付着と増殖のための表面を有する。モーションシステムは、さらに支持構造体で組織を周期的に動かすために提供される。
【0024】
好ましい実施形態では、バイオリアクターのバッグの中で増殖している組織のための増殖条件を監視するためにセンサが提供される。センサは、温度、pH、溶存酸素、及び二酸化炭素のセンサが含まれる。
【0025】
一般に、モーションシステムは、例えば、血管移植片に必要な増殖条件を提供するために、支持構造体内に拍動圧力変動を生じることがある。1つの実施形態では、このモーションシステムは、周期的に支持構造体を膨張して圧縮するための膨張及び圧縮システムを備えている。他のケースでは、モーションシステムは、支持構造体の通路を通って流体を周期的にポンピングするためのポンプで構成されている。このようなシステムは、複数の支持構造体の間にポンプで汲み上げ流体を分配するための分流器を含める必要がある。圧力調整バルブシステムは、複数の支持構造体の間の流れおよび/または圧力を制御するためにも便利である。別の例では、ピンチバルブシステムは、支持構造体内の圧力を変化させるために支持構造体を圧縮することに使用される。
【0026】
好ましくは、バイオリアクターの容器をバッグに接種材料を導入するためのバイオリアクターの容器のバッグには1つまたは複数のポートが存在する。接種材料のクレードルは、接種材料の小さな体積で支持構造体の濃度を容易にする可撓性で変形可能なバイオリアクターの容器のバッグをサポートするのに便利である。
【0027】
現在、バイオリアクターの容器のバッグは、単回使用のバッグで、使用する前に、移植片の最終的なパッケージングを含むことができる。
【0028】
血管移植片を拡張するときは、生体適合性の足場は、1つまたは複数の血管移植片を増殖させる1つ以上のチューブが含まれている。他のアプリケーションでは、移植片は足場上に増殖した1つ以上の臓器または組織移植片などがある。
【0029】
一般的には、別の態様によれば、本発明は、組織、臓器、または移植片を形成する細胞を培養するための方法を特徴とする。方法は、容器のバッグ内に少なくとも1つの足場を設けて、細胞増殖用培地を含有するバイオリアクターの容器のバッグを提供することを含む。足場は固体の構造でありうる、または内側の通路と、組織の付着や組織を形成する細胞の増殖のための表面を有しうる。組織が足場に増殖するにつれ、足場が周期的に適切な増殖を促進するために移動される。
【0030】
バイオリアクターシステムは、バッチ方式、またはフェドバッチ方式で動作させることができ、新たな培地を定期的に磁気的な結合攪拌機で攪拌されるバイオリアクターに添加される。また、バイオリアクターは、一定の体積を維持するために、バイオリアクターに新たに生成した培地を供給しながら、使い捨てのバイオリアクターの壁の多孔性の膜またはディスクを通して、あるいは多孔性のチューブやフレームワークを介して媒体を取り出すことにより連続的に灌流することができる。
【0031】
フェドバッチ方式または灌流方式の操作のいずれかのために、新たな培地を一定の体積に維持するために、新たな媒体を定期的または連続的に添加しながら、バイオリアクターの壁における多孔性の表面を通して、あるいは多孔性のチューブのフレームワークを通して費やされた媒体または液体を回収することができる。洗浄溶液またはバッファが、同様の方法でバイオリアクターに適用することができる。
【0032】
図を参照すると、図1は、本発明の原理に従って構築されたバイオリアクターシステム(100)を示す。
【0033】
[足場]
図1に示された実施形態において、足場は複数の組織、臓器、および移植片を形成するための使い捨てのバイオリアクターで水平に配置されている。他の実施形態では、生体適合性の足場は垂直方向の位置または対角位置に配置することができる。さらに他のフレームワークの構成も可能である。
【0034】
本明細書中で使用される用語「生体適合性の足場」、「生体適合性フレームワーク」、「生体適合性マトリックス」、「生体適合性基質」、「生体適合性チューブ」、「支持構造体」、「足場」、「フレームワーク」、「マトリックス」、「基質」、又は「チューブ」(例えば、シリコーンチューブ)、同義に、交互に使用し、細胞集団の成膜に適している材料のことをいい、そして細胞の増殖と拡大をできるようにされている。生体適合性基質は、組織、臓器、または移植片に対する毒性または有害な影響が発生することはなく、1つの実施形態では、生体適合性基質の交換が必要な目的の臓器に成形することが可能な表面を持つポリマーである。基質はまた交換が必要な臓器の一部に成形することができます。細胞の培養集団は、細胞間相互作用に必要なあらかじめ決められた間質距離を提供する三次元足場に増殖させることができる。1つの実施形態では、生体適合性マトリックスは、生分解性である。生体適合性ポリマー足場の非限定的な例として、細胞ロースエーテルなどの材料から形成されたポリマー、細胞ロース、細胞ロースエステル、フッ素化ポリエチレン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリベンゾオキサゾール、ポリカーボネート、ポリシアノアリルエーテル、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフルオロエチレン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリオキサジアゾール、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリチオエーテル、ポリトリアゾール、ポリウレタン、ポリビニル、ポリフッ化ビニリデン、再生細胞ロース、シリコン、及びこれらの共重合体、又はそれらの物理的なブレンドなどの材料から形成されるポリマーであり得る。高分子足場は、生体適合性および/または生分解性材料で被覆することができる。当業者は限られた実験で、どの基質が特定のアプリケーションに適しているかを決定することができる。
【0035】
足場は、例えば、種々の薬剤のいずれかを含浸することができる、適切な増殖因子、幹細胞因子(SCF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)、軟骨細胞増殖因子(CGF)、神経増殖因子(NGF)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、足場増殖因子(SGF)、骨芽細胞由来増殖因子(BDGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、サイトカイン増殖因子(CGF)、幹細胞因子(SCF)、コロニー刺激因子(CSF)、増殖分化因子(GDF)、インテグリン変調因子(IMF)、カルモジュリン(CaM)、チミジンキナーゼ(TK)、腫瘍壊死因子(TNF)、増殖ホルモン(GH)、骨形態形成タンパク質(BMP)、インターフェロン、インターロイキン、サイトカイン、インテグリン、コラーゲン、エラスチン、フィブリリン、フィブロネクチン、ラミニン、グリコサミノグリカン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸(CS)、ヒアルロン酸(HA)、ビトロネクチン、プロテオグリカン、トランスフェリン、サイトタクチン、テネイシン、およびリンフォカインなどのさまざまな薬剤によって含浸され得る。
【0036】
足場は分化剤によって含浸され得る。分化剤は、インビトロで細胞に添加または哺乳動物に導入されたとき、細胞または組織のライフサイクルの特定の段階を示す1又は2以上のマーカーの発現を含む細胞または組織の表現型の変化を引き起こす任意の化合物である。
【0037】
足場、フレームワークまたはチューブの外側は細胞が付着して増殖することのできる表面を提供する。本明細書において使用される「付着する」という用語は、足場又は細胞に直接付着した細胞を言い、それ自体又は他の細胞に付着される。フレームワークまたはチューブは、その化学的組成や気孔率に応じて、気体や液体の透過性がある。液体に多孔性がある場合、新たなまたは使用済みの培地は、チューブの壁を通して交換することができる。また、多孔質または非多孔質チューブは廃棄物を除去したり、フレームワークに増殖する組織、臓器および移植片に新たな培地を輸送するために使用することができる。バイオリアクターの接種は、多孔質チューブやフレームワークを介して達成することができる。フレームワークまたはチューブがガス透過性の場合、酸素の供給と二酸化炭素の除去は、フレームワークまたはチューブを介して実行され得る。
【0038】
本発明の実施形態に係る足場での使用に適している非限定的な多孔質材料の例は、グルタルアルデヒドといくつかの架橋をしたコラーゲン及びコンドロイチン硫酸塩から調製した多孔性マトリックスである。別の例としては、ポリ乳酸またはポリ乳酸(PLA)の高分子ポリマーなどの生体吸収性材料である。
【0039】
移植片材料は、1つまたは複数の足場や容器(110)内に含まれている支持構造体(130)上に増殖させる。1つの実施形態では、容器(110)は、複数の支持構造体(130a)、(130b)、(130c)・・・(130x)、(130y)が含まれる。
【0040】
本発明の1つの実施形態では、足場(130)は、その内部通路を貫通している。1つの実施形態では、足場はシリコーンチューブなどの中空チューブであり、増殖培地または流体媒体に浸漬されたり、容器のバッグ(110)を介して循環しているチューブ状の培地足場を形成する。
【0041】
支持構造体やチューブ(130)の外側には細胞が付着して増殖する上で適切な足場のための表面を提供する。例えば、米国特許第6,537,567号と米国特許第6,962,814号参照。米国特許第6,537,567号と米国特許第6,962,814号の教示はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。1つの実施形態では、生体適合性の足場は、中空チューブの外表面でポリグリコール酸(PGA)などのメッシュの材料または多孔性材料を有する中空チューブを備えており、細胞が付着して増殖することができるチューブ(130)上を被覆する足場、ジャケットやソックス等を形成している。
【0042】
増殖している臓器や他の組織の場合には、中空マンドレル、円柱、球、および立方体や任意の形状などの内部通路と他の支持構造体が使用され、臓器の増殖を促進し、内部通路を有している。
【0043】
[テンションシステム]
足場、チューブ、または支持構造体(130)の接合部でのポートとバイオリアクターのバッグ(110)は、特別に設計され、強化され、チューブテンショナー(105)を活性化することにより、支持構造体(130)へ引張力を付与せしめ、その結果、支持構造体(130)で拡大されている臓器/移植片は、正確かつまっすぐになる。バイオリアクターのバッグ(110)の可撓性の壁は、剛性を有する血管移植片のバイオリアクターの場合と同様に、バイオリアクターの壁へのチューブの接続不良の危険性なしに支持構造体(130)への引張力の付与を容易にする。
【0044】
図2は本発明のさらなる実施形態を概略的に示し、隆起したフレーム(216)、(218)が容器(110)内に提供される。当該隆起したフレーム(216)、(218)は、バイオリアクターの容器(110)内の定義された位置に足場(130)を保持するため、及びチューブのよじれや曲がりを防ぐために機能する。チューブテンショナー(105)は、また図2に示される。他のアプリケーションのためのいくつかの実施形態において、フレーム(216)、(218)は、テンションシステムの必要性をなくし得る。他の実施形態において、他のフレーム(216)、(218)は、そのような平面や球面組織などの他の組織のための異なる形状を持つバイオリアクターの容器(110)の内部に提供される。
【0045】
チューブを通して流量を制御するポンプ(160)を介してチューブ内の圧力の制御:図1に戻ると、ポンプ(160)を介したチューブ内の圧力の制御は、チューブの均一な膨張と拍動を提供する。これは、入力ライン(154)内の分チューブ又はマニホールド(150)、(152)、(154)と、出力ライン(156)内のピンチバルブ(182)とによって達成される。当該分チューブ又はマニホールド(150)、(152)、(154)とピンチバルブ(182)は、流体圧力と力によって付与れるバイオリアクター内の異なる移植片間の流量と圧力の違いを排除するために設計される。
【0046】
チューブの圧縮を介するチューブ内の圧力の制御:図1及び図6に示され、かつ以下に記載されるように、別の実施形態において、チューブ内の圧力の制御は、図1の(182)及び図6の(610)のピンチバルブを介してチューブの密閉端に圧縮を適用することにより、ポンプなしで達成することができる。この圧縮は拍動的に圧力を増減して、インビボの収縮期および拡張期血圧の変動をシミュレートし、それによって周期的に移植片内で可撓性のチューブを加圧し、そしてチューブを通して流体を汲み上げることによって達成される同じ種類の加圧と膨張を達成する。プロセス制御装置(114)は、チューブの周期的な圧縮を制御するために使用される。
【0047】
チューブの膨張を介したチューブ内の圧力の制御:後述する別の実施形態において、圧力の制御は、チューブの密閉端に膨張を適用することにより、ポンプなしで達成され得る。
【0048】
[折りたたみバッグ]
バイオリアクター(100)、血管組織、血管、他の組織、および/または臓器などの移植片材料を形成する培養細胞のマトリックスなどの生物学的活性物質を含むための容器(110)を備えている。好ましい実施形態では、容器(110)は、可撓性がある折りたたみバッグである。
【0049】
本発明の1つの実施形態において、容器(110)は、容器(110)の機械的支持を保護し、提供するジャケット付、冷却/加熱シュラウドやタンク(図示せず)などのインキュベータの環境に収容される。
【0050】
よりよい無菌制御は可撓性がある折りたたみバッグ(110)を使用することによって提供される。バイオセーフティキャビネット内の危険な開放的手動操作を必要としない完全にガンマ線を照射したプラスチックまたはポリマーバイオリアクターのバッグの使用が好ましい。使用の容易さの向上は、高分子の、単回の使用または使い捨てのシステムによって提供される。当該システムは破損の影響を受けにくく(ガラスのバイオリアクターであるので)、当該システムは単回使用のシステムであるため、洗浄不要である。バイオリアクターのバッグの可撓性のある壁はバッグの折りたたみを可能にし、その結果、足場がバッグの底に下降し、接種細胞の足場への集中した直接的送達を可能にする。完成した移植片は、好ましくは、それらが増殖されたのと同じバイオリアクターのバッグに入れられ、洗浄され、保存され得る。バッグは、移植片を環境へ露出することなく、ユースポイントに出荷することができる。
【0051】
[センサ]
一連のセンサ(112)は、容器(110)内に、そして潜在的に容器(110)に隣接して環境を監視するために使用される。一例において、センサ(112)は、容器(110)内の流体のpHを監視するためのpHセンサ(112A)、容器(110)内に含まれる流体の温度を監視するための温度センサ(112B)、流体内の酸素を監視するための溶存酸素センサ(112C)、及び二酸化炭素の濃度を測定するための二酸化炭素センサ(112D)などのインサイツでの単回使用するセンサである。他の例では、グルコースおよび乳酸塩及び/またはアンモニアセンサは、さらにグルコースおよび/または液体のための乳酸とアンモニア濃度を測定するために用意される。
【0052】
一例において、センサ(112)は容器(110)の内部と、滅菌接続ポートを介して連通している。他の例では、センサ(112)は、ガンマ線照射の前にバイオリアクターの容器をバッグに予め組み立てられて提供され、再使用できないが、容器のバッグ(110)と共に破棄される。
【0053】
他の実装では、異なるセンサまたは追加のセンサは、容器(110)内の材料を監視するために使用され、そうでなければ容器(110)内で行われている生物学的プロセスの進捗を評価するために使用される。
【0054】
センサ(112)は、フィードバック制御を介して容器(110)内の成長パラメータを調節するプロセス制御装置(114)によって監視される。プロセス制御装置(114)は、一般的に培養し、容器(110)内で培養され、拡大されている細胞、組織、移植片および/または臓器の成長を最適化するために、容器(110)内の状態を監視し、バイオリアクターシステム(100)を制御する。
【0055】
[流体の供給および流体媒体分配]
増殖培地、または流体媒体は、増殖培地の供給タンク(118)からの培地の送りポート(116)を介して容器(110)内に含まれる流体や他の物質に追加される。1つの実施形態では、培地の送りポート(116)は、容器(110)内に含まれている分配システム(125)で終了する。1つの実施形態において、分配システム(125)は、ラジアルフローで、インサイツの流体媒体の流通システムであり、当該システムは、補給成長の媒体溶液が、容器内で低せん断で、放射状に足場全体に分配されることを保証する。本明細書において、「ラジアルフロー」とは、流れが足場(130)の軸にほぼ垂直になることを意味する。さらに、インサイツで攪拌機(186)は、さらに好ましい実施形態において、容器(110)内の培地を分配し、混合するために提供される。
【0056】
増殖培地と任意の廃棄物は、媒体の排出ポート(120)を介して容器(110)から排出し、及び培地や他の材料をリザーバ(122)に搬送するか、又は増殖培地の供給タンク(118)に戻す。
【0057】
供給及び排出ポート(116)、(120)は、また通常、例えば、接種、供給材料(feed)、インデューサ、栄養素、およびpH調整流体、およびその洗浄洗濯と脱細胞化流体などの流体を搬送する。いくつかの例において、ポート(116)、(120)は、流体の流入及び/または流出を可能にする単一または複数の双方向ポートである。
【0058】
図1の実施形態において、チューブ状支持構造体(130a)、(130b)、(130c)、・・・(130x)、(130y)の両端は、第1マニホールド(150)と第2マニホールド(152)で終了する。マニホールド(150)、(152)はチューブフロー分配器であり、入力ライン(154)及びポンプ(160)に接続する出力ライン(156)を介して再循環チューブの灌流のループに接続される。
【0059】
血管移植片のタイプの組織を増殖する場合、足場上での細胞の付着と拡張が発生しながら、液体がチューブ(130a)、(130b)、(130c)、・・・(130x)、(130y)の内部など支持構造体(130)内の通路を通ってポンプで送られながら成長する。液体は、適切な成長を可能にするような血管移植片などの細胞マトリックスで循環モーションを作成するために必要な拍動を提供する。この拍動は、シリコーンチューブの内部に送り込まれた流体の圧力を増減することによって、支持構造体(130)に拍動作用を加えて、プロセス制御装置(114)によって制御される拍動ポンプ(160)の作動により達成される。これは、チューブ(130)の外側表面上の血管細胞の適切な成長に不可欠であり、また非血管組織や臓器の成長のために重要である。追加の流体は、またポンプ(160)内のポートまたは入力若しくは出力ライン(154)、(156)を使用して再循環チューブ内への供給を介して支持構造体(130)に、または支持構造体(130)から供給することができる。他のケースでは、透過性の場合、流体に直接チューブを灌流することができる。
【0060】
支持構造体(130)内と、チューブ(130a)、(130b)、(130c)、・・・(130x)、(130y)の間の圧力の制御及び均等化は、さらに入口側の分流器(180)と出口側のピンチバルブ(182)の配列を含むことにより改善される。支持構造体(130)の異なるチューブ(130a)〜(130y)に亘る流量と圧力の差異を排除するか、または最小限に抑えるために、分流器(180)とピンチバルブ(182)の配列が機能する。このように、バイオリアクターの容器(110)内の移植片の各々は同一の流体圧力と力にさらされている。
【0061】
pH制御と二酸化炭素の制御は、バイオリアクターのバッグ(110)のベントスペース(140)のガス抜き(gassing)を介して、または支持構造体(チューブ)(130)を通して再循環流体通過のポート(188)を介したガス抜き、若しくは両方のガス抜きを介して、本発明のいくつかの実施形態で達成される。バイオリアクター容器(160)上の双方向の追加のポートを介して、またはポート(188)での透過性の再循環チューブへの酸またはアルカリ又は緩衝液の追加若しくはその両方が、pHを制御するために利用することができる。
【0062】
溶存酸素の制御は、次のいずれかまたはすべてによって達成される。すなわち、ポート(140)を介してバイオリアクターのバッグのベントスペースのガス抜き、ポート(188)で、支持構造体(130)を通過する再循環液体のガス抜き又は攪拌機の近くや下部のバイオリアクター内へのガスの散布。
【0063】
グルコースや成長培地は、いくつかの実施形態では、直接容器のポート(116)を介して容器(110)内に補足され、そして乳酸とアンモニアの制御は、容器内部の培養媒体の補充によって達成される。他のケースでは、これらの栄養素は、ポート(188)を介して添加することにより足場の多孔質チューブの部品を介して足場上に成長している細胞又は組織を介して供給されるか、または灌流される。
【0064】
いくつかの実施形態では、セプタム(septum)注入ポートなどの1以上の注入ポート(170)が、容器(110)に提供される。これらは、支持構造体(130)の表面に開始細胞を接種するために使用される。単回使用のバイオリアクターバッグ(110)が可撓性の性質を有するため、接種細胞を、セプタムポート(170)を介して直接、支持構造体(130)に注入しやすくなる。細胞の支持構造体(130)との接触は、無菌ベントフィルターを介して空気を除去するために、このバッグ(110)を部分的に真空にすることによって強化される。細胞付着が生じるまで、これによって支持構造体上に直接、接種液を集中させる。細胞付着後、容器(110)を補充し、支持構造体(130)上の細胞の増殖に使用可能なサイズにまで膨張させる。
【0065】
[チューブを介して流体をポンプで汲み上げることのない、モーションシステムのための代替設計]
図2は、足場上での組織や移植片のためのモーションシステムを構成する代替設計を示しているが、図1に記載のチューブ灌流ループ(154)、(156)およびポンプ(160)を介した流体媒体の再循環を必要とすることなく、および、支持構造体内の経路を介して任意の流体をポンプで汲み上げることはない。類似の参照番号は、図に示した実施形態と同様の構成要素と関連機能を表すために使用されている。
【0066】
この設計では、支持構造体(130)は、バッグ(110)の外側に突出する支持構造体(130)の部分(212a)、(212b)で、バイオリアクター容器バッグ(110)の内部に取り付けられる。
【0067】
例示された実施形態において、支持構造体部分(212a)は、フレーム部材(216)、(218)を介して往復モータ(214)に機械的に接続される。クランプ(218)は、チューブ(130)の端部に固定され、フレーム(216)が膨張モーター(214)によって前後に移動するように、フレーム(216)をクランプに接続する。この例では、モータ(214)の回転運動が往復運動に変換され、この往復運動が容器(110)内の支持構造体(130)の周期的な圧縮と膨張をもたらす。この動きは、プロセス制御装置(114)の制御下において支持構造体(130)上で増殖または拡大する細胞や組織を、周期的に移動させる。このように、支持構造体(130)上で増殖する組織、臓器、または移植片に動きを加えることで、バイオリアクター容器(110)内の移植片を操作する。脈動方法での圧縮と圧力の増減は、インビボの収縮期および拡張期血圧の変動をシミュレートし、それによって、移植片内で可撓性チューブを周期的に加圧するとともに、チューブを介して流体をポンプで汲み上げることによって達成される同じ型の加圧と膨張を実現する。
【0068】
他の実施形態では、モータ(214)は、バイオリアクター内で臓器移植片を操作するために、支持構造体(130)にねじり運動などの動きを加えるリニアモータまたは他の機械である。
【0069】
[細胞培養播種方法]
図3Aは、支持構造体(130)の接種時に容器バッグ(110)を支持するためのクレードル機構(115)を示す横方向の断面図である。バイオリアクターバッグ(110)はクレードル(310)上に配される。他の実装では、クレードル(310)とバッグ(110)は、垂直に移動して互いに接触する。クレードルは、容器(110)の中心線に沿ってくぼみ(110d)を形成する「V」字形の断面を有する。
【0070】
図3Bは、長手方向の容器(110)の断面を示す。容器(110)は、容器(110)の小さな領域で比較的少量の接種材料(312)の集中をさらに促進する拡張領域を含む。
【0071】
作業中に、接種液がセプタムポート(170)(図1、2、および6を参照)などを介して注入されると、チューブ(130A)、(130B)、(130C)などの支持構造体は、手動でくぼみ(110D)に下がり、このことが支持構造体(130)周辺の接種液(312)の集中を引き起こす。支持構造体(130)への細胞付着後、バイオリアクター容器(110)は、その恒久的なチャンバーまたは外部の支持体に取り付けられ、作業量まで充填され、細胞を増殖させるために空気で膨らませる。
【0072】
さらなる実施形態では、接種材料は膨張したバイオリアクター容器(110)に直接加えられ、その後、バイオリアクター容器(110)内で培養物を攪拌後に細胞は足場表面で捕捉される。
【0073】
[組織、臓器、または移植片の採取]
血管や臓器移植片の増殖後、バイオリアクター(110)を空にし、脱細胞溶液(decellularizing solution)で満たす。この脱細胞溶液は、移植片から全ての細胞を取り除くことで、外科的な血管移植片として使用するために移植片を免疫学的に中性にする。
【0074】
最終的な臓器や移植片の採取は、バイオリアクターバッグ(110)の「ジップロック」タイプの開口部によって容易になり、この開口部は、十分に増殖した移植片の除去のために便利な場所に置かれる。この特徴は、臓器または移植片を汚染する可能性のあるナイフやハサミでバイオリアクターの表面を切り開く必要がない。別の実施形態では、バイオリアクター(110)は、外科医が開くまでバイオリアクターとその中身の無菌性を保持する外側ライナで包まれている。
【0075】
完成した移植片の包装は、脱細胞液洗浄液(a decellurization liquid wash)を含み、その後、保存可能期間を改善するとともに腐敗を防ぐために窒素やアルゴンなどの不活性ガスを含む。
【0076】
[使い捨ての細胞培養バッグ/バイオリアクターのチャンバーと流体流通する使い捨てのバイオリアクター]
図4は、本発明の原理に従って構築されたバイオリアクター(100)の別の実施形態を示す。
【0077】
一般的に、この実施形態は、例えば、組織、血管移植片、または、臓器の足場の各々に対する別々の細胞培養バッグまたはバイオリアクター容器(110A)、(110B)、(110C)を含む。細胞培養バッグまたはバイオリアクター容器(110)の各々は、一般的な増殖培地供給タンク(118)を介して増殖培地に供給される。培地供給タンク(118)は、センサと、酸素、温度、および、pH制御のための制御システムと、撹拌またはかき混ぜ機構(186)を含む使い捨てのバイオリアクターであってもよい。
【0078】
示された例では、バイオリアクター容器または細胞培養バッグ(110A)は、移植片Gを含む。同様に、バイオリアクター容器(110b)は、支持構造体(130)の周囲に移植片Gを含む。最後に、第3のバイオリアクター(110C)がさらに提供される。
【0079】
細胞培養バッグまたは別のバイオリアクター(110)の各々は、対応する培地注入ポート(116)を含む。例えば、バイオリアクター容器(110b)は、専用の培地注入部(116B)を介して増殖培地を供給される。1つの例において、示されているように、培地は、好ましくは、バイオリアクターまたは培地タンク(118)から、移植片Gが増殖または拡大する支持構造体またはチューブに供給される。
【0080】
培地は即時排出ポート(120)を介して容器(110)の各々から戻される。例えば、容器(110b)は、排出ポート(120b)を介して増殖培地タンクまたはバイオリアクター(118)に運ばれる移植片Gを囲むリザーバ内に増殖培地を含む。
【0081】
増殖培地タンク(118)は、好ましくは、タンク(118)に含まれる増殖培地を監視するための一連のセンサを含む。示された例では、酸素、二酸化炭素、および、制御温度センサ(112a)が、pHセンサの(112b)と一緒に提供される。
【0082】
好ましくは、モータ(214)は、容器(110)の各々で移植片Gの各々にむすび付けられる。1つの実装例では、モータ(214)は、周期的に伸張して、移植片Gの各々にむすび付けられた支持構造体(130)を圧縮するように操作可能である。例えば、モーター(214b)は、周期的に伸張し、バイオリアクター容器(110b)内に支持構造体(130)を格納する。
【0083】
作業時、移植片Gの各々は、それぞれ、容器(110a)、(110b)、(110c)の各々にある別の移植片とは別に増殖する。このことによって、移植片Gを別々に収穫し、移植のためにそれらの別々の細胞培養バッグまたはバイオリアクター容器(110)で搬送することができる。本発明のこの実施形態は、移植片の除去と再包装に伴うリスクを軽減する。外科医がバイオリアクター容器(110)を切断するか、または、「ジップロック」タイプの閉鎖機構を介して移植片にアクセスするかのいずれによって移植片を取り除くまで、移植片に触れる必要はない。
【0084】
図5は、バイオリアクターシステム(100)の別の実施形態の側面図である。この実施形態では、使い捨てのバイオリアクター(図示せず)は、使い捨ての細胞培養バッグ(110)のチャンバーと流体連通している。接種ポート(170)は、2つの管腔外培地排出ポート(120)の間にあるバッグ(110)の側に示されている。この例では、管腔外培地流入ポート(図示せず)は、バッグの反対側(図示せず)に位置している。単一の足場、支持構造体、または、チューブ(130)は、支持フレーム(105)によって機械的に保持される。コレット(510)(512)は、チューブ(130)を保持するとともに、リニアスライド(214)を備えた張力装置(520)にチューブを接続するための支持部(105)に提供される。
【0085】
右側に示された支持部(105)は、張力装置(520)の下部フレームにこの支持部を接続するリニアスライド(214)上にある。このリニアスライド(214)を機械的に移動させることで、チューブ(130)に張力を与えることができる。
【0086】
1つの実施形態では、リニアスライドをモータ手段に接続することができる。該モータ手段は左右に周期的に移動することで、容器(110)に含まれる支持構造体(130)を周期的に膨張及び圧縮させ、それによって、支持構造体(130)と支持構造体(130)上で増殖または拡大する組織とに拍動運動を提供する。
【0087】
チューブ(130)内のチャネルまたは管腔は、左側で管腔内拍動流の流入口(154)に、右側で管腔内拍動流の流出口(156)に流体接続されている。管腔内の拍動流に使用される流体は任意の適切な液体であってもよく、または、特定の実施形態では流体培体であってもよい。拍動ポンプ(図示せず)は、チューブ(130)内の管腔を通って液体をポンプで汲み上げる際に使用することができる。使い捨てのバイオリアクターと使い捨ての細胞培養またはバイオリアクターバッグ(110)の内部またはチャンバーとの間の流体経路を介して流体媒体を循環させるために、循環ポンプ(図示せず)を使用することができる。
【0088】
図6は別の実施形態をさらに示す。類似の参照番号は、図1と2に関して記載および図示された実施形態に類似する構成要素と関連機能を示すために使用されている。
【0089】
この実施形態では、支持構造体上の細胞マトリクスのためのモーションシステムは、空気ピンチバルブ配列(610)によって提供される。このバルブ配列は、支持構造体の1つの端部、特に、チューブ(130a)、(130b)、(130c)...(130x)、(130y)の各々に位置する。チューブは、両端で密封される。バルブ配列(610)は、プロセス制御装置(114)の制御下で、チューブ(130a)、(130b)、(130c)...(130x)、(130y)の各々を断続的に平坦化する。これはその圧力を増加させ、それによってチューブ(130)上で増殖する組織に対して動きが提供される。
【0090】
[本発明の実施形態に係るバイオリアクターの幾つかの特徴]
組織、臓器または移植片の培養のための単回使用のバイオリアクターシステムは、例えば、チャンバーを有する使い捨ての細胞培養バッグ、複数の細胞の付着と細胞の増殖のための表面を有する生体適合性の足場を有し、この足場は細胞培養バッグのチャンバー内に配され、該バイオリアクターシステムはさらに、生体適合性の足場の表面上で組織、臓器、または移植片を周期的に移動させるためのモーションシステム、流体経路を介して細胞培養バッグのチャンバーと流体連通する使い捨てのバイオリアクターを備え、該使い捨てのバイオリアクターは、溶存酸素センサ、ガスの散布に使用される多孔質フリットまたは膜であり得るガス供給システム、pHと温度を制御するための制御システムを備え、ガス供給システムとpHと温度を制御するための制御システムの各々は、バイオリアクターシステムで細胞培養物の環境パラメータを制御するように構成され、バイオリアクターシステムで流体媒体と有効に流体連通し、流体媒体は、細胞増殖のための培地と、使い捨てのバイオリアクターおよび使い捨ての細胞培養バッグのチャンバーの間の流体経路を介して流体媒体を循環させるために置かれた循環ポンプとを備える。使い捨ての細胞培養バッグは、図4と5に示すように、バイオリアクター、例えば、バイオリアクター(110)としても説明されることが可能である。
【0091】
このバイオリアクターシステムでは、モーションシステムは、足場内で複数の拍動圧力変動を生成する。モーションシステムは、足場を周期的に膨張および圧縮するための膨張および圧縮システムを含んでもよい。
【0092】
バイオリアクターシステムは、細胞培養バッグに接種材料を導入するための少なくとも1つのポートを含んでもよい。
【0093】
使い捨ての細胞培養バッグのチャンバーと使い捨てのバイオリアクターとの流体連通は、使用中も継続し、循環ポンプは連続的な灌流方式で流体経路を介して流体媒体を循環させ、または、細胞培養バッグのチャンバーとの流体連通は、バッチ方式またはフェドバッチ方式などで使用されている間は、定期的であってもよい。
【0094】
使い捨てのバイオリアクターの足場は、内部通路を有する中空チューブを含んでもよく、モーションシステムは、使い捨ての細胞培養バッグと結びついた関連する拍動ポンプを含んでもよい。この拍動ポンプは、中空チューブ内で複数の拍動圧力の変動を生じさせるように、内部通路を介して周期的に流体をポンプで汲み上げるために構成される。いくつかの実施形態では、流体経路を介して流体媒体を循環させる循環ポンプは、拍動型ポンプであってもよく、内部通路を通って流体媒体を周期的にポンプで汲み上げてもよい。
【0095】
単回使用のバイオリアクターシステムは、中空チューブの外部表面に、メッシュ材料または多孔性材料、例えば、PGAを含んでもよい。中空チューブは、中空チューブを介して使い捨ての細胞培養バッグの接種を可能にするために十分な多孔性を有してもよい。チューブまたは足場は、使い捨ての細胞培養バッグのチャンバー内で水平または垂直に配されてもよい。
【0096】
注目すべきは、本発明の実施形態に係る使い捨てのバイオリアクターは、独立型のバイオリアクターであってもよく、または、該バイオリアクターは、組織の増殖のための足場を有し、足場を収容するチャンバーがセンサや環境制御部を有する別のバイオリアクターと流体接続するように、バイオリアクターまたは細胞培養バッグであってもよいということである。本明細書に記載の使い捨てのバイオリアクターの実施形態のいずれにおいても、複数のポンプがあってもよい。本明細書に記載のポンプは、循環ポンプ、再循環ポンプ、または拍動ポンプであってもよい。しかしながら、ポンプの任意のタイプが本発明の範囲内であるため、特定の実施形態で説明したポンプの種類は、任意の特定の型に限定されてはならない。さらに、1つの実施形態に係る使い捨てのバイオリアクターのいずれかが、磁気的に結合した攪拌装置を含んでもよい。
【0097】
非血管移植片または組織について、支持構造体は中空である必要がないということにも注意すべきである。1つの実施形態において、支持構造体、および/または支持構造体の中心は、生体吸収性材料または生分解性材料で作られてもよい。
【0098】
[細胞または組織を拡大する方法]
本発明は、動物またはヒト由来の細胞をエクスビボで拡大する方法にも関する。この方法は、生体適合性の足場を流体媒体に浸しながら、動物またはヒト由来の複数の細胞で、本明細書に記載のバイオリアクターシステムのいずれかに生体適合性の足場を播種する工程と、生体適合性の足場に細胞を付着させる工程と、生体適合性の足場の表面上で付着させた細胞を周期的に移動させる工程と、十分な環境条件下で、および、細胞がエクスビボで拡大して組織、移植片、または臓器を形成するのに十分な時間にわたって、動物またはヒト由来の複数の細胞を流体媒体で継続的に浸すために、細胞の増殖のための流体媒体を循環させる工程とを含む。
【0099】
一部の構造および組み合わせの様々な新規な詳細や他の利点を含む本発明の上記および他の特徴は、添付の図面を参照に特に詳細に記載され、特許請求の範囲で指摘される。当然のことながら、本発明を具体化する特定の方法および装置は、例として示されたものであり、本発明の限定として示されたものではない。
【0100】
[例:本発明の実施形態による、可撓性を有する使い捨てのバイオリアクターシステムにおける、ヒトの1つまたは複数の血管移植片の培養(SMVG):]
ヒト血管平滑筋細胞(SMC)を、死んだヒトの大動脈の一部から移植片培養によって単離した。可撓性を有するバイオリアクターでSMVG培養のために、通路2のヒトSMCを用いた。
【0101】
直径6mmのSMC分化のためのチューブ状のポリマー足場は、ポリグリコール酸繊維の不織布メッシュから作られ、ポリエチレンテレフタレート(PETまたはダクロン)チューブの一部に、いずれかの端部で付着させた。ダクロン端部部分を有するポリマー足場を膨張性のシリコンチューブに装着し、足場のチューブを引っ張ることが可能なコネクタに取り付けた。
【0102】
個々の使い捨てのバイオリアクターまたは細胞培養バッグ(図4と5を参照)は、高密度ポリエチレンのシートから構成され、細胞接種を可能にする接続ポートに合わせた。使い捨てのバイオリアクターは、ポリマーの足場と、バイオリアクターの可撓性の壁部に組み込まれたテンションコネクタに接続したシリコンチューブとを含むように作られた。このように、テンションコネクタがバイオリアクターに伸張することで、ポリマー足場とシリコンチューブを吊り下げ、コネクタは、張力装置によって保持されるバイオリアクター外部にも伸張することで、バイオリアクターの足場内部に張力を提供した。
【0103】
可撓性を有するバイオリアクターを、培地の灌流のための流入ポートと排出ポートを含むように同様に作った。閉塞性コネクタを、バイオリアクターの外側に伸張するすべてのチューブとポートに合わせ、ガンマ線照射でバイオリアクターを滅菌した。
【0104】
滅菌後、20%ヒト血清、アミノ酸、および、アスコルビン酸添加を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、ヒトSMCを標準組織培養フラスコで培養した。 SMCをトリプシン処理によってフラスコから除去し、1mL当たり5万セルまでの培地に濃縮した。10mLの培地を、接種ポートを介して、可撓性を有する滅菌したバイオリアクターバッグに接種した。
【0105】
ポリマー性の足場を、可撓性を有するバイオリアクター内のくぼみに手動でずらし、これによって、足場を、SMC懸濁液を含む細胞培地と直接接触させることができる(図3aおよび3b)。この方法では、20−30分だけ、高い効率でポリマー足場上に培地を直接接種した。
【0106】
この接種工程の後、バイオリアクターバッグを培地で満たし、培地の供給を継続するために灌流システムに接続した。このシステムからの結果は、ポリマーメッシュを細胞で効率的に接種することが可能であり、バイオリアクターシステムは、培養期間にわたって細胞培養のために無菌のままであるということを示す。
【0107】
同等物
本発明は、その好ましい態様を参照にとりわけ例示および記載されてきたが、当業者には当然のことながら、形態および詳細における様々な変更が本明細書でなされ、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の原理と特徴は様々な数多くの実施形態で用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織、臓器または移植片の培養のための単回使用のバイオリアクターシステムであって、
前記バイオリアクターシステムは、
チャンバーを有する使い捨ての細胞培養バッグ、
複数の細胞の付着とその増殖のための表面を含み、前記使い捨ての細胞培養バッグの前記チャンバー内に配された生体適合性の足場、
前記生体適合性の足場の表面で組織、臓器、または移植片を周期的に移動させるためのモーションシステム、
流体通路を介して前記使い捨ての細胞培養バッグの前記チャンバーと流体連通する使い捨てのバイオリアクターを備え、
前記使い捨てのバイオリアクターは、
溶存酸素センサ、
ガス供給システム、
pH制御システム、および、
温度制御システムを備え、
前記ガス供給システム、前記pH制御システム、および前記温度制御システムの各々は、前記バイオリアクターシステム内で細胞培養の環境パラメータを制御するように構成されるとともに、前記バイオリアクターシステムで流体媒体と動作可能に連通するように構成され、前記流体媒体は細胞増殖のための培地を含み、
前記使い捨てのバイオリアクターは、さらに、
前記使い捨てのバイオリアクターと前記バイオリアクターシステムの使い捨ての細胞培養バッグの前記チャンバーとの間の前記流体経路を介して、流体媒体の循環を作り出すために配された循環ポンプを備える、ことを特徴とする単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項2】
前記ガス供給システムがガススパージャーであることを特徴とする請求項1に記載の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項3】
前記モーションシステムは、前記生体適合性の足場内部で複数の拍動圧力の変動を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項4】
前記モーションシステムは、前記生体適合性の足場を周期的に膨張および圧縮するための膨張および圧縮システムを備えることを特徴とする請求項1に記載の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項5】
前記使い捨ての細胞培養バッグに接種材料を導入するために、前記使い捨ての細胞培養バッグに1以上のポートをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項6】
前記使い捨ての細胞培養バッグを支持する接種クレードルをさらに備え、
前記接種クレードルは、前記使い捨ての細胞培養バッグが折り畳まれたり、前記生体適合性の足場が接種材料の下にさがったりする際に、前記使い捨ての細胞培養バッグ内部の接種材料が前記生体適合性の足場に集中して増加するような形状をしており、前記接種材料の集中の増加が、前記複数の細胞の前記生体適合性の足場への付着を容易にすることを特徴とする請求項1に記載の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項7】
前記使い捨てのバイオリアクターの、前記使い捨ての細胞培養バッグのチャンバーとの流体連通は使用中にも継続するように構成され、
前記循環ポンプは、継続的な潅流方式で流体経路を介して流体媒体を循環させるために位置付けされることを特徴とする請求項1に記載の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項8】
前記使い捨てのバイオリアクターの、前記使い捨ての細胞培養バッグのチャンバーとの流体連通は、使用中も定期的なものであり、前記システムはバッチ方式またはフェドバッチ方式のために構成されることを特徴とする請求項1に記載の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項9】
前記生体適合性の足場は、間を通る内部経路を有する中空チューブを備え、前記モーションシステムは前記使い捨ての細胞培養バッグにむすび付けられた拍動ポンプを備え、前記拍動ポンプは、前記中空チューブ内部で複数の拍動圧力の変動を生じさせるように、前記内部経路を介して流体を周期的にポンプで汲み上げるために構成されることを特徴とする請求項1に記載の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項10】
前記中空チューブの外部表面にメッシュ材料または多孔性材料をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項11】
前記中空チューブは、前記中空チューブを介した使い捨ての細胞培養バッグの接種を可能にするために十分な多孔性を有することを特徴とする請求項9に記載の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項12】
前記生体適合性の足場は、前記使い捨ての細胞培養バッグのチャンバー内で水平または垂直に配されることを特徴とする請求項1に記載の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項13】
組織、臓器または移植片の大規模な培養のための独立型の単回使用のバイオリアクターシステムであって、
前記バイオリアクターシステムは、
少なくとも1つのポートを有するチャンバーを備えるバイオリアクター、
複数の細胞の付着とその増殖のための少なくとも1つの表面を含み、前記使い捨てのバイオリアクターの前記チャンバー内に配された生体適合性の足場、
前記生体適合性の足場の少なくとも1つの表面で組織、臓器、または移植片を周期的に移動させるためのモーションシステム、
前記使い捨てのバイオリアクターの少なくとも1つのポートに動作可能なように接続されるとともに、前記チャンバーの内側で流体媒体を循環させるため、新しい流体媒体を前記チャンバーに送り込むため、および、前記チャンバーから費された媒体を除去するために配された再循環ポンプを備え、
前記流体媒体は、
溶存酸素センサ、
ガス供給システム、
pH制御システム、および、
温度制御システムを備え、
前記ガス供給システム、前記pH制御システム、および前記温度制御システムの各々は、前記使い捨てのバイオリアクターのチャンバーに動作可能なように接続され、前記ガス供給システム、前記pH制御システム、および前記温度制御システムの各々は、前記使い捨てのバイオリアクターのチャンバー内で細胞培養の環境パラメータを制御するように構成される、ことを特徴とする独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項14】
少なくとも2つのポートを備え、
少なくとも1つのポートは、ガスの散布のための前記ガス供給システムに付着するよう構成された多孔性表面を含むことを特徴とする請求項13に記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項15】
前記モーションシステムは、前記生体適合性の足場内部で複数の拍動圧力の変動を生じさせることを特徴とする請求項13に記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項16】
前記モーションシステムは、前記生体適合性の足場を周期的に膨張および圧縮するための膨張および圧縮システムを備えることを特徴とする請求項13に記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項17】
前記生体適合性の足場は、間を通る内部経路を有する中空チューブを備え、前記モーションシステムは前記使い捨ての細胞培養バッグにむすび付けられた拍動ポンプを備え、前記拍動ポンプは、前記中空チューブ内部で複数の拍動圧力の変動を生じさせるように、前記内部経路を介して流体を周期的にポンプで汲み上げるために構成されることを特徴とする請求項13に記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項18】
前記中空チューブの外部表面にメッシュ材料または多孔性材料をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項19】
前記中空チューブは、前記中空チューブを介した使い捨ての細胞培養バッグの接種を可能にするために十分な多孔性を有することを特徴とする請求項17に記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項20】
前記生体適合性の足場は、前記使い捨ての細胞培養バッグのチャンバー内で水平または垂直に配されることを特徴とする請求項13に記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項21】
前記生体適合性の足場内の圧力を変化させるために前記生体適合性の足場の一部を圧搾するピンチバルブシステムをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項22】
少なくとも2つの生体適合性の足場を備え、
前記モーションシステムは、前記少なくとも2つの生体適合性の足場の間で前記再循環ポンプによって汲み上げられた流体媒体を分布させるための分流器をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項23】
少なくとも2つの生体適合性の足場を備え、
前記モーションシステムは、前記少なくとも2つの生体適合性の足場の間で流れおよび/または圧力を制御する圧力調整器バルブシステムをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項24】
前記生体適合性の足場は前記中空チューブ上で成長した1以上の血管移植片を含むことを特徴とする請求項17に記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項25】
前記生体適合性の足場は、少なくとも1つの組織移植片または臓器移植片を含むことを特徴とする請求項1、13、または、17のいずれか1つに記載の独立型の単回使用のバイオリアクターシステム。
【請求項26】
組織、臓器または移植片を培養するための単回使用の単一組織、臓器または移植片のためのバイオリアクターであって、
前記バイオリアクターは、
表面上にチャンバーと双方向の単一ポートとを有する、流体媒体を保持するための使い捨ての細胞培養バッグを備え、
前記ポートは、サンプリング、接種、媒体の流入、媒体の除去、洗浄、および、貯蔵、並びにこれらの組み合わせから選択された機能のために構成され、
前記バイオリアクターは、さらに、
間に経路を有するとともに、複数の細胞の付着とその成長のための外部表面を備えた、前記チャンバー内に配される生体適合性の足場、
前記足場の経路内に置かれたチューブ支持構造体、
圧縮機、テンショナー、およびツイスターから選択されるとともに、前記チューブ支持構造体に張力、圧縮力、または捻り力を与えるために配された、前記チューブ支持構造体の少なくとも1つの端部に取り付けられた装置、
前記バイオリアクターで細胞培養の温度を制御するように構成されるとともに、前記バイオリアクターで前記流体媒体と動作可能に連通するように構成された、温度制御システムを備え、
前記流体媒体は細胞増殖のための媒体を含み、および、
前記バイオリアクターはさらに、
前記チューブ支持構造体を介して流体を循環させるために配されたポンプを備える、ことを特徴とする単回使用の単一組織、臓器または移植片のためのバイオリアクター。
【請求項27】
前記ポンプが拍動ポンプであることを特徴とする請求項26に記載の単回使用の単一組織、臓器または移植片のためのバイオリアクター。
【請求項28】
動物またはヒト由来の細胞をエクスビボで拡大する方法であって、
前記方法は、
生体適合性の足場を流体媒体に浸しながら、請求項1、13、および、26のいずれかに記載のバイオリアクターシステム内の生体適合性の足場を、動物またはヒト由来の複数の細胞に播種する工程、
前記生体適合性の足場に前記細胞を付着させる工程、
前記生体適合性の足場の表面で付着させた細胞を周期的に移動させる工程、および、
十分な環境条件下で、および、組織、移植片、または臓器を形成するために前記細胞がエクスビボで拡大することができるのに十分な時間にわたって、動物またはヒト由来の複数の細胞を前記流体媒体に連続的に浸すために、細胞増殖のための前記流体媒体を循環させる工程を含む、ことを特徴とする方法。

【図3A】
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【図3B】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−522519(P2012−522519A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503767(P2012−503767)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/029942
【国際公開番号】WO2010/115185
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(508230743)エクセレレックス インク. (11)
【出願人】(511237911)ヒューマサイト,インク. (1)
【Fターム(参考)】