説明

組電池およびその製造方法

【課題】一例として、より不都合の生じにくい構成の組電池を得る。
【解決手段】実施形態にかかる組電池は、ケースと、電池と、押部材と、バスバーと、カバーと、を備える。ケースは、開口部および収容部を有した。複数の電池は、収容部内に収容され、それぞれ端子を有し、当該端子が同じ側の端部に位置された状態で重ねられた。押部材は、収容部内で複数の電池の重なり方向の一方側に位置され、当該重なり方向の他方側に向けて複数の電池を弾性的に押す。バスバーは、端子を電気的に接続した。カバーは、ケースに固定され、開口部を覆った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、組電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厚さ方向に重ねた複数の電池(単位電池)を二枚のエンドプレートと拘束バンドとで一体化した組電池が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−313013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の組電池では、一例として、電池の膨張や収縮等で組電池の外形寸法が変化するため取り扱いが面倒になるなどの問題が生じる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態にかかる組電池は、ケースと、電池と、押部材と、バスバーと、カバーと、を備える。ケースは、開口部および収容部を有した。複数の電池は、収容部内に収容され、それぞれ端子を有し、当該端子が同じ側の端部に位置された状態で重ねられた。押部材は、収容部内で複数の電池の重なり方向の一方側に位置され、当該重なり方向の他方側に向けて複数の電池を弾性的に押す。バスバーは、端子を電気的に接続した。カバーは、ケースに固定され、開口部を覆った。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、一実施形態にかかる組電池の一例が示された斜視図である。
【図2】図2は、一実施形態にかかる組電池の一例が示された分解斜視図である。
【図3】図3は、図1のXY平面に沿った面における組電池の断面図である。
【図4】図4は、図1のYZ平面に沿った面における組電池の断面図である。
【図5】図5は、一実施形態にかかる組電池の組み立てにおける一工程の一例が示された斜視図である。
【図6】図6は、一実施形態にかかる組電池の組み立てにおける図5より後の一工程の一例が示された斜視図である。
【図7】図7は、一実施形態にかかる組電池の組み立てにおける図6より後の一工程の一例が示された斜視図である。
【図8】図8は、一実施形態にかかる組電池の組み立てにおける図7より後の一工程の一例が示された斜視図である。
【図9】図9は、一実施形態にかかる組電池の組み立てにおける図8より後の一工程の一例が示された斜視図である。
【図10】図10は、一実施形態にかかる組電池に含まれる押部材の一変形例が示された斜視図である。
【図11】図11は、一実施形態にかかる組電池に含まれる押部材の別の変形例が示された斜視図である。
【図12】図12は、一実施形態にかかる組電池に含まれる押部材のさらに別の変形例が示された斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の例示的な実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が省略される。また、各図では、説明の便宜上、方向(X方向、Y方向、Z方向)が示されている。X方向、Y方向、およびZ方向は、相互に直交している。
【0008】
組電池1は、直列または並列に接続された複数の電池4(単電池、単位電池、図1,2等参照)を有し、一例としては、二次電池(蓄電池、充電式電池)として構成されうる。また、組電池1は、種々の装置や、機械、設備等に設置されうる。一例として、組電池1は、自動車(車両)等の移動体や家庭用のテレビや商用のPOS(point of sales)システムに電力を供給する定置型の電源装置に搭載されうる。
【0009】
図1,2に例示されるように、組電池1は、ケース2とカバー(蓋、覆部)3とを備えている。ケース2は、本実施形態では、一例として、直方体状に構成され、一方向(本実施形態ではY方向、図2の上方)に開放されている。ケース2は、底壁(第一の壁部)2aと、相互に対向した二つの側壁(第二の壁部、立壁)2bと、相互に対向した二つの端壁(第三の壁部、立壁)2cと、を有している。底壁2aは、矩形状(例えば長方形状)の板状に形成されている。また、底壁2aは、XZ平面に沿って延びている。側壁2bは、矩形状(例えば長方形状)の板状に形成されている。また、側壁2bは、底壁2aの短手方向(Z方向)の端部に接続され、底壁2aと交叉する方向(本実施形態では一例として直交する方向、Y方向、XY平面)に沿って延びている。端壁2cは、矩形状(例えば長方形状)の板状に形成され、底壁2aの長手方向(X方向)の端部に接続されている。また、端壁2cは、底壁2aと交叉する方向(本実施形態では一例として直交する方向、Y方向、YZ平面)に沿って延びている。また、側壁2bは、隣接する端壁2cと接続されている。ケース2には、底壁2a、二つの側壁2b、および二つの端壁2cによって、直方体状の収容部2dが形成されている。収容部2dの開口部(縁部、開口縁、開口端)2eは、カバー3で覆われる。ケース2は、一例としては、金属材料(鉄系材料等)で構成される。
【0010】
側壁2bには、開口部(第二の開口部)2fが設けられている。開口部2fは、例えば、矩形状の貫通孔として形成されうる。また、本実施形態では、一例として、それぞれの側壁2bに、複数(本実施形態では三つ)の開口部2fが設けられている。この開口部2fによって、ケース2がより軽量に構成されるとともに、収容部2dの通気性が高められている。なお、開口部2fは、端壁2cや底壁2aに設けることも可能である。
【0011】
また、側壁2bには、ケース2と支持部材10とを結合する結合具としてのねじ13が通る開口部(例えば貫通孔)2gが設けられている。本実施形態では、一例として、それぞれの側壁2bに、複数(本実施形態では四つ)の開口部2gが設けられている。なお、開口部2gは、端壁2cに設けることも可能である。
【0012】
カバー3は、矩形状(例えば長方形状)の板状に形成されている。本実施形態では、カバー3の周縁部と、開口部2eとが、結合する。一例として、カバー3の周縁部と、開口部2eとが、スナップフィット機構(図示されず)を介して結合される。カバー3は、一例としては、合成樹脂材料で構成される。また、本実施形態では、一例として、基板12が、インサート成形によって、カバー3内に埋められている。換言すれば、基板12が、カバー3を構成する材料で覆われている。なお、基板12または基板12に設けられた部品(例えば端子等)の少なくとも一部は、カバー3から露出することができる。
【0013】
ケース2には、複数の電池4が収容されている。電池4は、本実施形態では、一例として、扁平な直方体状の外観を呈している。電池4は、その厚さ方向(本実施形態ではX方向)の視線では、矩形状(例えば長方形状)の外観を呈している。そして、複数の電池4は、収容部2d内で、電池4の厚さ方向に重ねられた状態に配置されている。電池4には、端子4bが設けられている。端子4bは、複数の電池4で同じ側の端部(本実施形態では、長手方向の端部、Y方向の端部、開口部2e側の端部)4aに設けられている。そして、複数の電池4は、端子4bが同じ側の端部4aに位置された状態で、重ねられている。本実施形態では、複数の電池4の重なり方向は、複数の電池4を厚さ方向に重ねる方向である収容部2dの長手方向(X方向)である。すなわち、複数の電池4の重なり方向は、収容部2dの開放方向(Y方向)とは交叉している(直交している)。
【0014】
また、本実施形態では、収容部2d内では、エンドプレート(部材、端部材、板状部材)6,9が、複数の電池4を厚さ方向に挟んでいる。エンドプレート6,9は、収容部2dの重なり方向に沿った寸法と、収容部2dに収容される収容物(例えば電池4等)の積層された寸法との差を調整する所謂スペーサやシム等として機能することができる。なお、エンドプレート6,9のうち少なくともいずれか一方(例えば、収容部2d内に後で挿入するもの)は、くさび状に構成することができるし、複数に分割して構成することもできる。エンドプレート6,9は、例えば、金属材料や合成樹脂材料で構成される。
【0015】
また、収容部2d内で厚さ方向に隣接した二つの電池4の間には、介在部材(スペーサ、板部材、プレート、薄板)8が介在している。本実施形態では、一例として、介在部材8は、電池4の厚さ方向、すなわち複数の電池4の重なり方向(X方向)からの視線での電池4の縁部(周縁部)4dに対応して設けられている。具体的に、介在部材8は、四つの矩形板状の角部(第一部分)8bと、二つの角部8b間に亘る四つの帯板状の辺部(第二部分)8aとを有し、全体としては枠状(矩形枠状)に形成されている。また、角部8bおよび辺部8aは、いずれも、電池4の厚さ方向、すなわち複数の電池4の重なり方向(X方向)に薄い、扁平な形状(板状、薄板状)に形成されている。ただし、本実施形態では、角部8bの厚さが、辺部8aの厚さより大きい。したがって、図3に示されるように、電池4と辺部8aとの間には隙間gが形成される。また、上述したように、本実施形態では、介在部材8は、電池4の縁部4dに対応して設けられている。よって、厚さ方向(X方向)に隣接した二つの電池4の中央部(介在部材8が設けられた周縁部より内側の部分)同士の間には、介在部材8は存在せず、隙間gより大きな隙間(図示されず)が設けられている。よって、本実施形態では、二つの電池4間に、隙間が設けられるため、収容部2d内での通気性が高まりやすく、電池4の温度上昇が抑制されやすい。また、一例としては、電池4に膨張が生じた場合に、隣接した二つの電池4の中央部間の隙間(介在部材8の枠内の空間)で当該膨張を吸収することができる。よって、一例としては、組電池1の全体としての膨張を抑制しやすくなる。また、介在部材8は、少なくとも電池4に対して絶縁性を有する。具体的には、例えば、介在部材8を、絶縁性を有した材料(例えば合成樹脂材料等)で構成してもよいし、介在部材8の表面に、絶縁性を有した被覆層を設けてもよい。なお、辺部8aおよび隙間gの少なくとも一部は、ケース2の開口部2fを介して露出する。
【0016】
また、本実施形態では、収容部2d内に、押部材5Aが収容されている。押部材5Aは、複数の電池4の重なり方向の一方側(本実施形態では、一例として、図2の左側)に位置され、複数の電池4を重なり方向の他方側に向けて弾性的に押す。本実施形態では、押部材5Aは、一例として、複数の電池4の重なり方向(X方向)の一方側の端部に位置された電池4(本実施形態では、一例として、図2の左端側の電池4)とエンドプレート9およびケース2の端壁2cとの間に位置される。本実施形態では、押部材5Aを設けることにより、一例としては、押部材5A(押圧部5b)の弾性変形(弾性的な伸縮)の範囲内で、複数の電池4の重なり方向における寸法ばらつきを吸収しやすくなる。また、電池4が膨張したり収縮したりしたような場合にあっても、押部材5A(押圧部5b)の弾性変形(弾性的な伸縮)の範囲内で、複数の電池4の重なり方向の長さの寸法変化を吸収しやすくなる。よって、一例としては、組電池1の全体としての寸法変化を抑制しやすくなる。
【0017】
押部材5Aには、複数の押圧部5bが設けられている。本実施形態では、押圧部5bは、一例として、板状に構成されたベース部5aの面5eに突出した突出部として設けられている。また、少なくとも押圧部5b(本実施形態では、押部材5A全体)は、弾性部材(例えば、ゴムや、合成樹脂材料等)で構成されている。そして、押部材5Aが収容部2d内に入れられた状態で、押圧部5bは、複数の電池4の重なり方向に圧縮され、その圧縮による弾性的な反発力として、複数の電池4を押す力を生じさせる。このように、複数の押圧部5bを設けることで、一例としては、押圧部が一つである場合に比べて、個々の押圧部5bが生じる力をより小さくすることができる。よって、一例としては、押圧部5bをより小さくあるいは薄く構成することができ、ひいては、押部材5Aをより小さくあるいはより薄く構成しやすい。
【0018】
また、本実施形態では、押圧部5bは、一例として、ベース部5aの角部5dを含む縁部(周縁部、辺部、端部)5cに沿って設けられている。本実施形態のように、相互に隣接する二つの電池4の縁部4d(辺部、端部、角部4cを含む、図4参照)間に介在部材8が設けられた場合、押部材5Aによる押圧力は、電池4の縁部4dに作用する。したがって、本実施形態のように押圧部5bを電池4の縁部4dに対応して設けることにより、押圧部5bをより効率よく配置することが可能となる。
【0019】
さらに、本実施形態では、収容部2d内に、押部材(第二の押部材)5Bが収容されている。押部材5Bは、複数の電池4の重なり方向と交叉する方向(本実施形態では、一例として、重なり方向と直交する方向、Y方向)の一方側(本実施形態では、一例として、収容部2dの底部側、底壁2a側、図2の下側)に位置され、複数の電池4を交叉する方向の他方側(本実施形態では、一例として、収容部2dの開放側、カバー3側、図2の上側)に向けて弾性的に押す。
【0020】
押部材5Bには、複数の押圧部(第二の押圧部)5bが設けられている。押部材5Bの押圧部5bは、押部材5Aの押圧部5bと同様に、一例として、板状に構成されたベース部5aの面5eに突出した突出部として設けられている。また、少なくとも押圧部5b(本実施形態では、押部材5B全体)は、弾性部材(例えば、ゴムや、合成樹脂材料等)で構成されている。そして、押部材5Bが収容部2d内に入れられた状態で、押圧部5bは、複数の電池4の重なり方向と交叉する方向に圧縮され、その圧縮による弾性的な反発力として、複数の電池4を押す力を生じさせる。このように、複数の押圧部5bを設けることで、一例としては、押圧部が一つである場合に比べて、個々の押圧部5bが生じる力をより小さくすることができる。よって、一例としては、押圧部5bをより小さくあるいは薄く構成することができ、ひいては、押部材5Bをより小さくあるいはより薄く構成しやすい。
【0021】
また、押部材5Bの押圧部5bは、全ての電池4に対応して設けられている。すなわち、図2,3に示されるように、各電池4につき一つ以上の押部材5Bの押圧部5bが対応して設けられている。本実施形態では、一例として、電池4に押圧力を与える押圧部5bの数(本実施形態では、一例として、五個)は、複数(本実施形態では、一例として、全て)の電池4について同じである。よって、本実施形態では、押圧部5bから複数の電池4に作用する押圧力を均等化して、電池4がずれるのを抑制することができる。なお、押部材5Bでは、押圧部5bのベース部5aの面5eにおける設置密度は、面5eにおける電池4に対向する領域のほぼ全域で、ほぼ一定である。
【0022】
また、本実施形態では、組電池1は、一例として、複数の電池4を支持する支持部材7,10を備えている。支持部材7は、本実施形態では、一例として、収容部2d内に収容されている。支持部材7は、複数の電池4に対して、底壁2a側に位置される。すなわち、支持部材7は、底壁2aと複数の電池4との間に位置される。また、支持部材7は、複数の電池4を、端子4bの反対側から支持し、当該端子4bの反対側の複数の電池4の端部を覆っている。一方、支持部材10は、複数の電池4に対して、カバー3側(開口部2e側)に位置される。すなわち、支持部材10は、カバー3と複数の電池4との間に位置される。また、支持部材10は、複数の電池4を、端子4b側から支持し、当該端子4b側の端部4aを覆っている。
【0023】
支持部材7は、本実施形態では、一例として、底壁(第一の壁部)7aと、相互に対向した二つの側壁(第二の壁部、立壁)7bと、を有している。支持部材7は、U字状の断面を有した部分が複数の電池4の重なり方向に延びてU字状の溝を有した構成を備えている。底壁7aは、矩形状(例えば長方形状)の板状に形成されている。また、底壁7aは、XZ平面に沿って延びている。側壁7bは、矩形状(例えば長方形状)の板状に形成されている。また、側壁7bは、底壁7aの短手方向(Z方向)の端部に接続され、底壁7aと交叉する方向(本実施形態では一例として直交する方向、Y方向、XY平面)に沿って延びている。図4に示されるように、底壁7aの電池4側の面7cには、押部材5Bが乗せられている。また、側壁7bの内面7dは、底壁7aに近付くにつれて側壁2bから離間する傾斜面である。よって、電池4は、収容部2dに収容される際に、内面7dにガイドされ、所定の位置(図4に示す設置位置)により円滑に移動することができる。また、図2〜4を参照すれば明らかとなるように、本実施形態では、支持部材7の底壁7aおよび二つの側壁7bによって、複数の電池4の重なり方向(X方向)に沿って延びた溝が構成されている。よって、複数の電池4は、温度変化や、膨張、収縮等に伴って、あるいは電池4を組み付ける際に、この支持部材7に沿って複数の電池4の重なり方向に沿って移動することができる。すなわち、支持部材7は、ガイド部の一例である。また、支持部材7は、少なくとも電池4に対して絶縁性を有する。具体的には、例えば、支持部材7を、絶縁性を有した材料(例えば合成樹脂材料等)で構成してもよいし、支持部材7の表面に、絶縁性を有した被覆層を設けてもよい。
【0024】
支持部材10は、本実施形態では、一例として、天壁(第一の壁部)10aと、相互に対向した二つの側壁(第二の壁部、立壁)10bと、を有している。支持部材10は、U字状の断面を有した部分が複数の電池4の重なり方向に延びてU字状の溝を有した構成を備えている。天壁10aは、矩形状(例えば長方形状)の板状に形成されている。また、天壁10aは、XZ平面に沿って延びている。側壁10bは、矩形状(例えば長方形状)の板状に形成されている。また、側壁10bは、天壁10aの短手方向(Z方向)の端部に接続され、天壁10aと交叉する方向(本実施形態では一例として直交する方向、Y方向、XY平面)に沿って延びている。図4に示されるように、天壁10aには、開口部10c(例えば貫通孔)が設けられている。開口部10cには、電池4の端子4bが通されている。開口部10cは、電池4の膨張や収縮等に伴って移動した場合にも、端子4bが通った状態が維持できるよう、端子4bの大きさよりも複数の電池4の重なり方向にやや拡がって(例えば長孔状に)設けられている。側壁10bには、結合具としてのねじ13が固定される固定部10d(例えば孔)が設けられている。側壁2bの開口部2gを通ったねじ13が固定部10dに固定され、これにより、ケース2と支持部材10とが固定されている。天壁10aの面10eには、電池4の端部4aが当接されている。また、側壁10bの内面10fは、天壁10aに近付くにつれて側壁2bから離間する傾斜面である。よって、支持部材10は、複数の電池4上に載せられる際に、内面10fにガイドされ、所定の位置(図4に示される設置位置)により円滑に移動することができる。また、図2〜4を参照すれば明らかとなるように、本実施形態では、支持部材10の天壁10aおよび二つの側壁10bによって、複数の電池4の重なり方向(X方向)に沿って延びた溝が構成されている。よって、複数の電池4は、温度変化や膨張等に伴って、この支持部材10に沿って複数の電池4の重なり方向に沿って移動することができる。また、支持部材10は、組み付けられる際に、複数の電池4の重なり方向に沿って移動することができる。すなわち、支持部材10は、ガイド部の一例である。また、支持部材10は、電池4、端子4b、およびバスバー11に対して絶縁性を有する。支持部材10は、具体的には、例えば、絶縁性を有した材料(例えば合成樹脂材料等)で構成することができる。
【0025】
また、本実施形態では、複数の電池4の端子4b同士が、バスバー(導体部、導電性部材)11を介して接続されている。バスバー11は、本実施形態では、一例として、支持部材10の天壁10aに対して電池4の反対側に位置している。すなわち、バスバー11は、天壁10aの開口部10cを介して露出した端子4bに接続されている。また、本実施形態では、バスバー11は、一例として、図2,3等に示されるように、二つの平坦部(接続部)11aと、これら二つの平坦部11a間に位置した屈曲部11bと、を有している。そして、平坦部11aと端子4bとが、溶接等によって接続(電気的に接続)される。バスバー11は、屈曲部11bがカバー3側に向けて凸となる姿勢で位置される。このような構成によれば、例えば、電池4の膨張や収縮等に伴って、二つの平坦部11a間の距離が変化した場合にあっても、バスバー11は屈曲部11bを起点として比較的容易に屈曲しやすい。よって、平坦部11aと端子4bとの接続部分に過大な応力が生じるのを抑制しやすい。なお、バスバー11と端子4bとの接続作業は、支持部材10とケース2とが固定され、カバー3がケース2に固定される前の段階で、比較的容易に実行されうる。
【0026】
次に、図5〜9を参照して、組電池1の組立手順の一例が説明される。まず、図5に示されるように、ケース2の収容部2dに、開口部2eから支持部材7が挿入され、その後、エンドプレート6および押部材5B(図5には示されず)が挿入される。本実施形態では、エンドプレート6,9や、複数の電池4、押部材5A,5Bは、支持部材7上に入れられる。
【0027】
次に、図6に示されるように、ケース2の収容部2dには、電池4および介在部材8が収容され、図7に示されるように、押部材5Aが収容される。そして、図8に示されるように、ケース2の収容部2dには、もう一つのエンドプレート9が挿入される。このとき、エンドプレート9は、収容部2dの複数の電池4の重なり方向の長さや、収容部2dに収容された部品(エンドプレート6、電池4、介在部材8)の重なった長さ、収容部2dに部品を収容した残りの空間の長さ等によって、適宜な厚さを有したものを選定することができる。図9に示されるように、ケース2の収容部2dに収容された部品上に支持部材10が載せられ、ねじ13(図2等参照)によって支持部材10とケース2とが固定される。その後、カバー3(図2等参照)とケース2とが固定される。
【0028】
以上の本実施形態では、組電池1は、ケース2内に収容されそれぞれ端子4bを有し当該端子4bが同じ側の端部4aに位置された状態で重ねられた複数の電池4と、収容部2d内で複数の電池4の重なり方向の一方側に位置され当該重なり方向の他方側に向けて複数の電池4を弾性的に押す押部材5Aと、を備えた。すなわち、本実施形態では、複数の電池4がケース2の収容部2d内に収容される。よって、本実施形態によれば、一例としては、電池4の膨張等で組電池1の外形寸法が変化するため取り扱いが面倒になるなどの問題が生じるのを、抑制することができる。また、本実施形態によれば、接着剤等を使用せずに済む分、一例としては、製造の手間を減らすことができたり、製造コストをより低減することができたりする。また、本実施形態では、ケース2内で、電池4の膨張または収縮が、少なくとも押部材5Aの弾性変形範囲内で許容される。よって、本実施形態によれば、一例としては、電池4の膨張または収縮等が生じたとしても、複数の電池4を、押部材5Aの弾性力によって、よりしっかりと保持することが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、一例としては、電池4のがたつきや振動等を抑制しやすくなる。
【0029】
また、本実施形態では、押部材5Aは、弾性的に電池4を押す力を生じさせる複数の押圧部5bを有した。よって、本実施形態によれば、一例としては、押圧部が一つだけである場合に比べて、押圧部5bをより小さく構成しやすくなり、一例としては、押部材5Aひいては組電池1をより小型に構成しやすくなる。
【0030】
また、本実施形態では、組電池1は、ケース2の収容部2d内で、複数の電池4の重なり方向と交叉する方向(本実施形態では、一例として、Y方向)の一方側に位置され、当該交叉する方向の他方側に向けて複数の電池4を弾性的に押す第二の押部材5Bを備えた。よって、本実施形態によれば、複数の電池4を重なり方向と交叉する方向の他方側に位置された部品の一例である支持部材10に押し付けることができる。よって、本実施形態によれば、一例としては、複数の電池4が重なり方向と交叉する方向にずれるのを抑制しやすくなる。
【0031】
また、本実施形態では、組電池1は、収容部2d内で電池4を重なり方向にガイドするガイド部の一例である支持部材7,10を備えた。よって、本実施形態によれば、一例としては、電池4がその膨張や収縮等に伴って収容部2d内で重なり方向に沿って移動するような場合等に、電池4が収容部2d内でより円滑に移動しやすくなる。また、本実施形態では、支持部材7,10は、傾斜面としての内面7d,10fを有している。よって、本実施形態によれば、一例としては、電池4がずれるのを抑制しやすくなる。また、本実施形態によれば、一例としては、電池4が収容部2d内に挿入される際に、より円滑に移動しやすい。
【0032】
また、本実施形態では、組電池1は、相互に隣接する電池4の間に介在した介在部材8を備えた。よって、本実施形態によれば、一例としては、複数の電池4間で絶縁を確保しやすくなる。また、本実施形態では、介在部材8は、電池4の縁部4dに対応して設けられた。よって、本実施形態によれば、一例としては、電池4の縁部(介在部材8が当接する部分)4dより内側での膨張を許容しやすくなる。さらに、本実施形態では、介在部材8は、電池4の角部4cに対応した第一部分の一例である角部8bと、電池4の二つの角部4c間の縁部4dに沿って位置され角部8bより薄い第二部分の一例である辺部8aと、を有した。よって、本実施形態によれば、一例としては、辺部8aに対応した部分で隙間gを設けることができ、当該隙間gを流れる空気によって電池4の温度上昇を抑制しやすい。
【0033】
また、本実施形態では、押部材5Aが、電池4の縁部4dに対応して設けられ弾性的に電池4を押す力を生じさせる複数の押圧部5bを有した。よって、本実施形態によれば、一例としては、電池4の縁部4dに対応した介在部材8が設けられた場合に、より効率良く押圧部5bを設けることができる。
【0034】
また、本実施形態では、ケース2に、第二部分の一例である辺部8aの少なくとも一部を露出させる第二の開口部の一例である開口部2fが設けられた。よって、本実施形態によれば、一例としては、ケース2をより軽く構成することができる。また、本実施形態によれば、一例としては、収容部2d内で空気が流れやすくなり、電池4の温度上昇を抑制しやすい。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態の押部材5Aに替えて、図10〜12に示される各変形例にかかる押部材5A1〜5A3を用いることができる。図10の押部材5A1では、押圧部5bが、弾性部材としてのベース部5aが例えばL字状に切り起こされた片部(突出片、突起、弾性部材)として設けられている。押部材5A1は、一例としては、金属材料によって構成することができる。図11の押部材5A2では、押圧部5bが電池4の縁部4d(図4参照)のみならず縁部4dの内側を含む側面のほぼ全域に対応して設けられている。また、複数の電池4を2並列12直列など並列に並べた場合には、重なり方向が二方向であってもよい。また、図12の押部材5A3では、図10と同様の構成の押圧部5bが電池4の角部4c(図4参照)のみに対応して設けられている。図10〜12に示される押部材5A1〜5A3を備えた組電池1にあっても、押部材5Aを備えた場合と同様の効果を得ることができる。また、例えば、電池4の縁部4dに対応する押圧部5bの弾性反発力を大きくし、縁部4dより内側に対応する押圧部5bの弾性反発力を小さくするなど、複数の押圧部5bのスペック(大きさ、高さ等)を場所によって変化させることができる。また、各構成要素のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…組電池、2…ケース、2e…開口部、2f…開口部(第二の開口部)、3…カバー、4…電池、4a…端部、4b…端子、4c…角部、4d…縁部、5A,5A1,5A2,5A3…押部材、5B…押部材(第二の押部材)、5b…押圧部、7…支持部材(ガイド部)、8…介在部材、8a…辺部(第二部分)、8b…角部(第一部分)、10…支持部材(ガイド部)、11…バスバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部および収容部を有したケースと、
前記収容部内に収容され、それぞれ端子を有し、当該端子が同じ側の端部に位置された状態で重ねられた複数の電池と、
前記収容部内で前記複数の電池の重なり方向の一方側に位置され、当該重なり方向の他方側に向けて前記複数の電池を弾性的に押す押部材と、
前記端子を電気的に接続したバスバーと、
前記ケースに固定され、前記開口部を覆ったカバーと、
を備える、組電池。
【請求項2】
前記押部材が、弾性的に前記電池を押す力を生じさせる複数の押圧部を有した、請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記収容部内で、前記重なり方向と交叉する方向の一方側に位置され、当該交叉する方向の他方側に向けて前記複数の電池を弾性的に押す第二の押部材を備えた、請求項1または2に記載の組電池。
【請求項4】
前記第二の押部材が、弾性的に前記電池を押す力を生じさせる複数の第二の押圧部を有した、請求項3に記載の組電池。
【請求項5】
前記収容部内で前記電池を前記重なり方向にガイドするガイド部を備えた、請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の組電池。
【請求項6】
相互に隣接する前記電池の間に介在した介在部材を備えた、請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の組電池。
【請求項7】
前記介在部材は、前記電池の縁部に対応して設けられる、請求項6に記載の組電池。
【請求項8】
前記介在部材は、前記電池の角部に対応した第一部分と、前記電池の縁部に対応して設けられ前記第一部分より薄い第二部分と、を有した、請求項7に記載の組電池。
【請求項9】
前記押部材が、前記電池の縁部に対応して設けられ弾性的に前記電池を押す力を生じさせる複数の前記押圧部を有した、請求項7または8に記載の組電池。
【請求項10】
前記ケースに、前記第二部分の少なくとも一部を露出させる第二の開口部が設けられた、請求項9に記載の組電池。
【請求項11】
開口部および収容部を有したケースの前記収容部内に、複数の電池を、当該電池の端子が同じ側の端部に位置された状態で重ねて収容するステップと、
前記収容部内の、前記複数の電池に対して当該複数の電池の重なり方向の一方側に、前記複数の電池を前記重なり方向の他方側に向けて弾性的に押す押部材を収容するステップと、
前記端子をバスバーに電気的に接続するステップと、
前記開口部を覆うカバーを前記ケースに固定するステップと、
を有した、組電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−54869(P2013−54869A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191122(P2011−191122)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】