経皮ガスの採取方法、採取装置および測定方法
【課題】口腔中発生するガスに影響されることなく、且つ、実時間での測定を可能とする経皮ガスの採取方法、採取装置および測定方法を提供し、更には、周囲環境に依存することなく、経皮ガスを採取することを目的とする。
【解決手段】皮膚から放出される経皮ガスを捕集する捕集容器4は、皮膚から放出される経皮ガスを捕集する開口部6を有するとともに、経皮ガスを搬送する搬送ガスの導入口8および前記両ガスの導出口9を有し、導入口8から導入される搬送ガスとしての空気に含まれる測定対象ガスであるアンモニアガスを除去する吸着剤12を有しており、この捕集容器4の開口部6を皮膚に密着させて経皮ガスを捕集容器4に捕集しつつ、導入口8から導入した搬送ガスによって、捕集した前記経皮ガスを、アンモニアガスを除去した搬送ガスと共に導出口9から測定装置へ搬送する。
【解決手段】皮膚から放出される経皮ガスを捕集する捕集容器4は、皮膚から放出される経皮ガスを捕集する開口部6を有するとともに、経皮ガスを搬送する搬送ガスの導入口8および前記両ガスの導出口9を有し、導入口8から導入される搬送ガスとしての空気に含まれる測定対象ガスであるアンモニアガスを除去する吸着剤12を有しており、この捕集容器4の開口部6を皮膚に密着させて経皮ガスを捕集容器4に捕集しつつ、導入口8から導入した搬送ガスによって、捕集した前記経皮ガスを、アンモニアガスを除去した搬送ガスと共に導出口9から測定装置へ搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の表面から放出される経皮ガスを採取する方法、装置およびそれを用いた測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、腎不全、腎臓・肝臓疾患、糖尿病などの病気の診療において、血中のアンモニア、グルコース、一酸化炭素などの濃度を検査し、一つの指標として利用している。しかし、このような検査法は、侵襲検査であり、実時間にその場で検査結果を得ることが困難であることに加えて、採血によるばい菌感染のリスクも伴う。
【0003】
一方、様々な研究及び臨床試験の結果、血中のガス濃度と、呼気や皮膚から(経皮)の特定のガス濃度との間に相関があることが明らかになりつつある。例えば、腎不全患者の血中尿素濃度と呼気中のアンモニア濃度、あるいは、糖尿病患者の血中のグルコース濃度と呼気中の硝酸メチル濃度に相関があることは、既に研究成果として発表されている(例えば、非特許文献1、2参照)。呼気、経皮ガスの検査は、非侵襲検査であり、苦痛を伴わず、それを用いて特定の疾患の検査、診療を行うことは、極めて望ましい。
【0004】
しかし、ヒトの呼気、皮膚表面からのガス成分は、数100種類に昇り、濃度も1%程度から1ppt(10億分の1)程度と区々である。特定のガスの濃度を、他のガスの干渉を受けずに正確に測定する手段がまだ確立されていないのも現状である。
【0005】
皮膚から出た高濃度、例えば、濃度は0.01から1%程度の二酸化炭素の測定方法は、すでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
極低濃度のガス、例えば、アンモニアガスに対して、その測定の重要性は長く認識されていても、高感度の測定装置が必要であるために、実時間の測定は困難であった。上記非特許文献1のNarasimhanらは、光音響法を用いて血液透析過程中の腎不全患者の呼気中に含有するアンモニア濃度の経時変化を測定した。また、同時に採集した血液中の尿素濃度と比較し、高い相関値を持っていることを確認した。
【0007】
また、皮膚透過ガスを採集、貯留する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【非特許文献1】L. R. Narasimhan, W. Goodman, and C. K. N. Patel, “Correlation of breath ammonia with blood urea nitrogen and creatinine during hemodialysis”, Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 98, No. 84617−4621(2001).
【非特許文献2】B. J. Novak, et al. “Exhaled methyl nitrate as a noninvasive marker of hyperglycemia in type 1 diabetes”, Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 104, No. 40, 15613−15618 (2007)
【特許文献1】特開平8―150144号公報
【特許文献2】特開2006−234845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、呼気中に含有するアンモニア濃度を測定する従来例では、呼気中のアンモニア成分は、血液からのものと口腔中に発生するものが混在するため、診療に寄与する血中からのアンモニア濃度を特定することが困難であり、場合によっては、口腔中に産生するアンモニア成分の濃度が高く、身体内部(血中)から産生するアンモニア成分の変化を隠してしまい、誤診することも否めない。また、光音響法に基づいた測定装置は、ハイパワーの赤外レーザー光を必要とし、且つ装置も大型であるため、臨床に使用することが困難である。
【0009】
また、上記特許文献2では、皮膚透過ガスを採集、貯留した後、周囲の空気と共に測定装置に運搬するものであり、このため、皮膚透過ガスを、実時間で測定装置に導入して測定するのは困難である。
【0010】
一般的に健康なヒトの皮膚から排出するアンモニアガスの濃度は、一般室内の環境濃度と同程度であるので、周囲環境の影響が無視できない。特に、弱った患者の排泄物が衣服に付着し、周囲のアンモニアガスの濃度が高濃度になる可能性もある。上記特許文献2では、皮膚透過ガスを、周囲の空気と共に測定装置に運搬して測定するために、周囲環境の影響を受けることになり、アンモニアガス等の測定を正確に行うのは困難である。
【0011】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、口腔中発生するガスに影響されることなく、且つ、実時間での測定を可能とする経皮ガスの採取方法、採取装置および測定方法を提供することを目的とし、更には、周囲環境に依存することなく、経皮ガスを採取することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の経皮ガスの採取方法は、皮膚から放出される経皮ガスを捕集して、前記経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定する測定装置へ搬送する経皮ガスの採取方法であって、皮膚から放出される経皮ガスを捕集する開口部を有するとともに、前記経皮ガスを搬送する搬送ガスの導入口および前記両ガスの導出口を有する捕集容器を予め準備し、前記捕集容器の前記開口部を皮膚に密着させて前記経皮ガスを前記捕集容器に捕集しつつ、前記導入口から導入した前記搬送ガスによって、捕集した前記経皮ガスを、前記搬送ガスと共に前記導出口から前記測定装置へ搬送するものである。
【0013】
前記搬送ガスは、窒素ガス、あるいは、前記測定対象ガスを除去した空気であるのが好ましい。
【0014】
本発明の経皮ガスの採取方法によると、捕集容器の開口部を皮膚に密着させた状態で、容器内に経皮ガスを捕集しつつ、搬送ガスを導入口から導入して該搬送ガスと共に、捕集した経皮ガスを、導出口から導出して測定装置へ搬送できる、すなわち、経皮ガスの捕集と搬送とを同時に行えることになり、これによって、経皮ガスを捕集して貯留した後、貯留した経皮ガスを測定装置へ運搬する従来例に比べて、経皮ガスの採取に要する時間が短縮されて、実時間の測定が可能となる。
【0015】
また、搬送ガスとして、窒素ガス、あるいは、測定対象ガスを除去した空気を用いることにより、空気をそのまま搬送ガスに用いる従来例のように周囲環境の影響を受けることがない。
【0016】
また、本発明の経皮ガスの採取装置は、皮膚から放出される経皮ガスを捕集して、前記経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定する測定装置へ搬送する経皮ガスの採取装置であって、皮膚から放出される経皮ガスを捕集する開口部を有するとともに、前記経皮ガスを搬送する搬送ガスの導入口および前記両ガスの導出口を有する捕集容器を備え、前記捕集容器内には、前記導入口から導入される搬送ガスから前記測定対象ガスを除去する除去部が設けられている。
【0017】
本発明の経皮ガスの採取装置によると、捕集容器の開口部を皮膚に密着させた状態で、容器内に経皮ガスを捕集しつつ、搬送ガスを導入口から導入して該搬送ガスと共に、捕集した経皮ガスを、導出口から導出して測定装置へ搬送できるので、経皮ガスを捕集して貯留した後、貯留した経皮ガスを測定装置へ運搬する従来例に比べて、採取に要する時間が短縮されて、実時間の測定が可能となる。
【0018】
本発明の経皮ガスの測定方法は、本発明に係る経皮ガスの採取方法によって採取される経皮ガスに含まれる測定対象ガスを、前記測定装置を用いて測定する方法であって、前記測定装置が、光導波路上に、前記測定対象ガスに反応する検知材が設けられた光導波路型ガスセンサである。
【0019】
前記検知材は、経皮ガスに含まれるガスの内、前記測定対象ガス以外のガスと反応しないものであるのが好ましい。
【0020】
本発明の経皮ガスの測定方法によると、光導波路型のガスセンサによって、経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定するので、光音響法に基づく測定装置に比べて、レーザー光のパワーも小さくてよく、小型化でき、簡易に測定を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、経皮ガスの捕集と搬送とを同時に行えることになり、これによって、経皮ガスを捕集して貯留した後、貯留した経皮ガスを測定装置へ運搬する従来例に比べて、採取に要する時間が短縮されて、実時間の測定が可能となる。
【0022】
また、搬送ガスとして、窒素ガス、あるいは、測定対象ガスを除去した空気を用いることにより、周囲環境の影響を受けることなく、経皮ガスを採取して測定することが可能となる。
【0023】
さらに、光導波路型のガスセンサを用いて、経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定するので、光音響法に基づく測定装置に比べて、小型化でき、臨床への適用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面によって本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る経皮ガス採取装置を備える経皮ガス測定システムの概略構成図である。
【0026】
この実施形態の経皮ガス測定システムは、測定対象部位、例えば、ヒトの上腕の皮膚1から放出される経皮ガスに含まれる塩基性ガスであるアンモニア(NH3)ガスを測定するものであり、皮膚1からの経皮ガス(皮膚透過ガス)を採取する採取装置2と、採取された経皮ガスに含まれる測定対象ガスであるアンモニアガスの濃度を測定する測定装置3とを備えている。
【0027】
身体中の新陳代謝の産生物として、有毒なアンモニアガスを発生する。大部分のアンモニアは、肝臓によって無毒の尿素(NH2)2COに変換して腎臓を通し、尿として排泄する。同時に少量のアンモニアガスは、呼気及び経皮から排出する。しかし、肝臓疾患、肝硬変、腎臓疾患、腎不全、ピロリ菌感染によって、体内に産生するアンモニアガスを尿素に変換する酵素が欠乏し、十分に尿素に変換することができない。その結果、血中のアンモニア濃度は高くなり、呼気、皮膚からも正常より高い濃度のアンモニアガスが排出される。
【0028】
この実施形態によれば、皮膚から排出されるアンモニアガスを測定することによって、特定の疾患の診療に役立てることができる。
【0029】
この実施形態の経皮ガスの採取装置2は、測定対象部位の皮膚1に密着させて経皮ガスを捕集する捕集容器4と、捕集された経皮ガスを、搬送ガス(キャリアガス)と共に測定装置3へ搬送する搬送路となるチューブ5とを備えている。
【0030】
図2は、捕集容器を示す図であり、同図(a)は側面図、同図(b)は縦断した正面図、同図(c)は底面図である。
【0031】
この捕集容器4は、大略直方体状であって、測定対象部位の皮膚に密着される矩形の開口部6を有しており、この開口部6の周縁には、ゴムや軟質樹脂からなる弾性部材7が取り付けられている。
【0032】
捕集容器4は、アンモニアガスの吸着がない、あるいは、吸着が少ない材質であって、割れにくい材質が好ましく、例えば、ポリテトラフロロエチレン、表面をポリテトラフロロエチレンで処理したアルミニウム、あるいは、ポリビニール樹脂材などから構成するのが好ましい。捕集容器4の各隅部は、丸味を帯びた形状に処理されている。
【0033】
捕集容器4の上面には、図2(b)に示すように、捕集した経皮ガスを測定装置3へ搬送するための搬送ガスである空気を導入するための導入口8が形成されており、下面には、捕集した経皮ガスを、搬送ガスと共に測定装置3へ導出するための導出口9が形成されており、この導出口9には、上記チューブ5の一端が接続されている。このチューブ5は、例えば、ポリテトラフロロエチレンからなる。
【0034】
捕集容器4の内部は、複数の通気口10を有する隔離板11によって、上下二つの空間に区画されており、下側の空間は、上記開口部6が臨む経皮ガスの捕集空間となっており、上側の空間には、搬送ガスとして導入される空気に含まれる測定対象ガスであるアンモニアガスを吸着除去するための吸着剤12が収納されている。また、隔離板11の上面には、空気に含まれる及びアンモニア吸着剤から発生する塵埃を除去するメンブレンフィルタ13が設置されている。
【0035】
吸着剤12としては、例えば、ニッタ株式会社製の活性炭吸着剤(商品名:ピュラコールAMS、ギガソーブ)などを用いることができる。
【0036】
捕集容器4の両側面には、開口部6を測定対象部位の皮膚、例えば、上腕の皮膚に密着させた状態に保持できるように、一対の紐やベルト等の締め付け具14が取り付けられている。この締め付け具14には、簡単に付け外しができるように面ファスナー14aが設けられている。
【0037】
この実施形態の経皮ガスの採取方法では、捕集容器4の開口部6を、ヒトの測定対象部位の皮膚に密着させて締め付け具14を用いて固定し、皮膚から放出される経皮ガスを、捕集容器4の下側の捕集空間に捕集しつつ、空気を導入口8から導入して吸着剤12によってアンモニアガスを除去し、このアンモニアガスを除去した空気と共に経皮ガスを、チューブ5を介して測定装置3へ搬送するものである。
【0038】
図3は、測定装置3の概略構成図である。この測定装置3は、測定対象ガスであるアンモニア(NH3)ガスの濃度を測定できる小型のガスセンサである。
【0039】
この測定装置3は、測定対象ガスを感知するガス検知部としてのセンサチップ部15を有しており、このセンサチップ部15は、ガスチャンバー16内に収納固定されている。
【0040】
センサチップ部15は、図4の拡大図にも示すように、ガラス基板17上に光導波層18を形成し、更に、光導波層18上に、アンモニアガスと反応する検知材としての反応膜19が成膜されて光導波路が構成されている。この反応膜19は、アンモニアガスと反応し、吸収スペクトルがシフトする材料で構成され、アンモニアガスの濃度に依存して、導波された光が減衰する。
【0041】
この反応膜19は、可逆性があり、窒素ガス、または、アンモニアガスを含まない空気によって再生可能であり、アンモニアガス濃度の繰り返し測定が可能である。
【0042】
この実施形態では、反応膜19の材料として、pH指示薬であるBCP(ブロモクレゾールパープル)を用いた。
【0043】
ガラス基板17上には、光導波層18とのカップリング用の直角プリズム20,21がそれぞれ設けられており、導波光は、図4に示すように、全反射を繰り返しながら進行するが、その間光導波層表面にエバネッセント波が染み出す。
【0044】
センサチップ部15は、ガス濃度に応じて、反応膜19の色変化の程度が異なるため、エバネッセント波の吸収率が変化し、光導波層18に導波する光の出力が弱くなる。したがって、導波光の出力強度を測定することによって、アンモニア濃度を検出することができる。
【0045】
この測定装置3では、以上の構成を有するセンサチップ部15を、図3に示すように、ガスチャンバー16内に装着固定している。
【0046】
このガスチャンバー16は、反応膜19を再生するためのアンモニアガスを除去した空気を導入するための導入口22および経皮ガスを導入するための導入口23を備えるとともに、導入したガスを排出する排出口24を備えており、排出口24には、アンモニアガスを除去した空気または経皮ガスを導入するためのポンプ29が接続されている。このポンプ29は、微小量のガスの定量の輸送制御が可能なマイクロポンプである。
【0047】
また、ガスの導入口22に連通する流路36には、除塵フィルター37およびアンモニアガスを除去するケミカルフィルター38を設けている。アンモニアガスを除去するケミカルフィルター38としては、例えば、ニッタ株式会社製のNH3除去材(商品名:ピュラコールAMS)などを用いることができる。
【0048】
反応膜19を再生するためのアンモニアガスを除去した空気および経皮ガスが導入される各流路には、電磁弁30,31がそれぞれ設けられており、各電磁弁30,31によって、流路の開閉が制御される。
【0049】
この測定装置3は、レーザーダイオード25からのレーザー光を、反射ミラー26を介してセンサチップ部15に導入するための光窓27およびセンサチップ部15からの導波光を取り出すための光窓28を備えており、また、センサチップ部15からの導波光を、ガスチャンバー16の光窓28を介して検出するフォトダイオード32と、このフォトダイオード32の出力に基づいて、アンモニアガスの濃度を算出する信号処理回路33と、検出結果であるガス濃度を表示する表示器34とを備えている。これらは、ガスチャンバー16、レーザーダイオード25、反射ミラー26、ポンプ29および電磁弁30,31などと共に、筐体35内に収納配置されている。
【0050】
図5は、図3の信号処理回路33の要部の構成を示す図である。
【0051】
この実施形態の信号処理回路33は、オペアンプ39を備えており、このオペアンプ39の反転入力端子には、上述のフォトダイオード32のアノードが、入力抵抗R1を介して接続され、非反転入力端子には、直流の基準電圧源40が、可変抵抗VRを介して接続される。また、オペアンプ39の出力端子と非反転入力端子との間には、帰還抵抗R2が接続されている。
【0052】
この実施形態の信号処理回路33では、アンモニアガスが存在しない状態で、オペアンプ39の出力電圧が、0になるように、可変抵抗VRを調整して基準電圧を分圧し、参照電圧としてオペアンプ39に与える。
【0053】
すなわち、アンモニアガスが存在しておらず、導波光が減衰していない状態のフォトダイオード32の出力電圧に等しくなるように基準電圧を調整して参照電圧とする。
【0054】
この信号処理回路33を用いて、レーザーダイオード25のレーザー出力とオペアンプ39の出力電圧との相関関係を測定した。
【0055】
レーザーダイオード25は、自動パワー制御回路内蔵のものを使用した。レーザー光を安定させるために、安定化直流電源を使用し、レーザー光発振して3分を待って測定した。ガスチャンバー16内には、窒素ガスを導入し、アンモニアガスが存在しない状態で測定した。
【0056】
フォトダイオード32へ入射するレーザー光強度を、NDフィルターを用いて調整した。
【0057】
測定方法は、フォトダイオード32への初期光強度(I0)に対して、基準電圧源40の基準電圧が、可変抵抗VRを介して参照電圧としてオペアンプ39に入力される。このとき、信号処理回路33の出力電圧が、0になるように、可変抵抗VRで基準電圧を調整し、参照電圧とした。
【0058】
その後、レーザー光の強度を、上述のように、NDフィルターで調整し、そのレーザー光強度(I)に対する信号処理回路33の出力電圧を測定した。
【0059】
初期入射光強度は、25μW、50μW、100μWの3種類に対して行い、入射光の減衰率(1−I/I0)と、信号処理回路33の出力電圧値の相関関係を、図6にプロットした。
【0060】
この図6に示すように、入射光の減衰率(1−I/I0)が、約0〜0.5の範囲では、初期入射光強度が異なっても、出力電圧は、同一直線上に沿って変化していることが分かる。すなわち、初期入射光強度が異なっても、入射光の減衰率が同じであれば、同じ出力電圧が得られることが分かる。
【0061】
図7に、アンモニアガス濃度0ppb、50ppb、100ppb、500ppbをガスチャンバーに導入し、2分間検知材と反応させた後に入射光の減衰率を測定した結果を示す。それぞれのアンモニアガス濃度において、同一条件で3回測定を行い、平均値をプロットした。入射光の減衰率は、図7に示されるように、アンモニアガスの濃度に比例する。したがって、図5に示すオペアンプ39の増幅率を調整し、図7に示す曲線の勾配と合わせることにより、図6における横軸が、アンモニアガスの濃度に対応することになり、アンモニアガスの濃度に応じた出力電圧が得られることが分かる。また、図5に示すアンプ39の回路の増幅率は、帰還抵抗R2と入力抵抗R1の比で決定される。例えば、帰還抵抗R2は、固定抵抗及び可変抵抗を直列して構成すれば、可変抵抗を調整することで、増幅率の微調整ができる。
【0062】
なお、予め、出射光の出口光量と、測定対象ガスの濃度との関係を示す検量線を求めておき、測定した出口光量から、前記検量線を参照して、測定対象ガスの濃度を算出してもよい。
【0063】
この実施形態では、信号処理回路33の出力電圧は、アンモニアガスの濃度に対応したものとなり、したがって、信号処理回路33の出力電圧に基づいて、アンモニアガスの濃度を、直接表示器34に表示することが可能となる。
【0064】
なお、図6においては、入射光の減衰率(1−I/I0)が、0から0.5の領域について特に直線性が高い。従って、当該範囲を直線近似することにより、極低濃度のアンモニアガスを精度よく測定することが可能となる。
【0065】
図8および図9は、この実施形態の測定装置の性能を示すものである。図8は、0ppb、250ppb、500ppb、100ppb、50ppb、0ppbの標準濃度のアンモニアガスを測定した結果を示すものであり、横軸は時間(時:分:秒)を、縦軸は測定値をそれぞれ示している。また、図9は、空気中のアンモニア濃度を調整し、その濃度を測定した結果を示すものであり、横軸は測定日時を、縦軸は測定値をそれぞれ示している。
【0066】
測定では、先ず、アンモニアガスを除去した空気を導入するために、図3の電磁弁30を開いて、導入口22からガスチャンバー16内に、ポンプ29によってアンモニアガスを除去した空気を60秒間導入し、センサチップ部15の初期化を行う。その後、ポンプ29を止め、電磁弁30を閉じ、測定対象ガス導入用の電磁弁31を開く。合成した標準濃度のアンモニアガスを1.5L/Minの流量で、アンモニアガスの導入口23からガスチャンバー16内に、ポンプ29で導入し、センサチップ部15と反応させる。30秒間反応させて平衡に達した後、ポンプ29を止め、ガス濃度を測定した。測定終了後、上述と同様にして、アンモニアガスを除去した空気によってセンサチップ部15の再生を行い、異なる標準濃度のアンモニアガスの測定を同様に行った。
【0067】
図8に示すように、この実施形態の測定装置の測定の下限値は、50ppb以下であり、また、図9に示すように、測定レンジは、2ppm以上有している。
【0068】
この実施形態の測定装置は、アンモニア以外のガス、例えば、CO、CO2、NO、H2O2、イソプラスタン、O2、H2、エタン、メタン、エタノール、IPA、メタノール、アセトン、トルエン、ベンゼン、硫化水素に対して感度が持たないことを確認した。
【0069】
なお、反応膜19の材料としては、上述のBCP(ブロモクレゾールパープル)に代えて、塩基性ガスと反応するpH指示薬、例えば、ブロモチモールブルー、インドオキシン、キノリンブルー、等を用いてもよい。
【0070】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0071】
実施例の捕集容器は、アルミ材で構成し、表面を、テトラフロロエチレンで加工した。開口部のサイズは、25mm×30mmで、高さは30mmとした。
【0072】
人体皮膚との接触部分となる開口部の周縁には、弾性部材として、厚み2mmのシリコンゴムシートを貼り付けた。
【0073】
搬送ガス(キャリアガス)として、アンモニアを除去した空気を用い、空気中に含有するアンモニアの除去材として、上述の活性炭吸着剤を用いた。また、吸着剤から発する埃を除塵シートで遮断した。搬送用のチューブとして、長さ50cmの1/8インチのポリテトラフロロエチレン製のチューブを用いた。
【0074】
測定では、捕集容器の開口面を測定ヒトの測定対象部位に密着し、固定する。測定装置の清浄ガス(アンモニアガスを含まないガス)を測定後、上腕、掌、手の甲の皮膚からの出ガスを、搬送ガスの流量を一定として測定装置に導入し、それぞれ測定した。
【0075】
図10にその結果を示す。清浄ガスに対して、アンモニアがないため、測定値は3ppb以下であった。健康ヒトの上腕部(◆)、掌部(●)、手の甲部(▲)からの出ガスはそれぞれ約210〜240ppb、850〜950ppb、300〜350ppbであった。
【0076】
また、測定装置を2台使用し、一方の測定装置で健康なヒトの腕からの出ガスを測定し、同時に、他方の測定装置で、周囲環境のアンモニアガス濃度を測定した。その結果を図11に示す。腕からのアンモニアガス濃度(□)は、人為的に変化させた周囲環境のアンモニアガス濃度(◆)の影響を受けることなく、略一定であることが分る。
【0077】
このように、周囲の環境に影響されることなく、非侵襲でアンモニアガスを測定して、特定の疾患の診療に役立てることができ、また、操作者に資格が不要であるので、何時でも何処でも簡単に測定して健康管理を行うことができる。
【0078】
上述の実施形態では、アンモニアガスの濃度の測定に適用して説明したけれども、本発明は、アンモニア以外の塩基性ガス、例えば、メチルアミン、またはトリメチルアミンの検出もできる。人体から発生する窒素化合物ガスのトータル管理にも使用できる。
【0079】
人体の経皮ガスの測定部位は、上述の実施の形態に限らず、背中、胸部、肝臓近辺、腎臓近辺、大腿、頭部、膀胱部、手の指先、足の指先などの部位からの経皮ガスを測定してもよい。また、複数部位の
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態に係る採取方法を適用した測定システムの概略構成図である。
【図2】図1の捕集容器を示す図である。
【図3】図1の測定装置の概略構成図である。
【図4】図3のセンサチップ部の構成図である。
【図5】図3の信号処理回路の構成図である。
【図6】入射光の減衰率と信号処理回路の出力電圧との関係を示す図である。
【図7】入射光の減衰率とアンモニアガス濃度との関係を示す図である。
【図8】標準濃度のアンモニアガスの測定結果を示す図である。
【図9】周囲のアンモニアガスの測定結果を示す図である。
【図10】上腕、掌、手の甲からのアンモニアガスの測定結果を示す図である。
【図11】腕からのアンモニアガスおよび周囲のアンモニアガスの測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
2 採取装置
3 測定装置
4 捕集容器
5 チューブ
6 開口部
8 導入口
9 導出口
12 吸着剤
18 光導波層
19 反応膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の表面から放出される経皮ガスを採取する方法、装置およびそれを用いた測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、腎不全、腎臓・肝臓疾患、糖尿病などの病気の診療において、血中のアンモニア、グルコース、一酸化炭素などの濃度を検査し、一つの指標として利用している。しかし、このような検査法は、侵襲検査であり、実時間にその場で検査結果を得ることが困難であることに加えて、採血によるばい菌感染のリスクも伴う。
【0003】
一方、様々な研究及び臨床試験の結果、血中のガス濃度と、呼気や皮膚から(経皮)の特定のガス濃度との間に相関があることが明らかになりつつある。例えば、腎不全患者の血中尿素濃度と呼気中のアンモニア濃度、あるいは、糖尿病患者の血中のグルコース濃度と呼気中の硝酸メチル濃度に相関があることは、既に研究成果として発表されている(例えば、非特許文献1、2参照)。呼気、経皮ガスの検査は、非侵襲検査であり、苦痛を伴わず、それを用いて特定の疾患の検査、診療を行うことは、極めて望ましい。
【0004】
しかし、ヒトの呼気、皮膚表面からのガス成分は、数100種類に昇り、濃度も1%程度から1ppt(10億分の1)程度と区々である。特定のガスの濃度を、他のガスの干渉を受けずに正確に測定する手段がまだ確立されていないのも現状である。
【0005】
皮膚から出た高濃度、例えば、濃度は0.01から1%程度の二酸化炭素の測定方法は、すでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
極低濃度のガス、例えば、アンモニアガスに対して、その測定の重要性は長く認識されていても、高感度の測定装置が必要であるために、実時間の測定は困難であった。上記非特許文献1のNarasimhanらは、光音響法を用いて血液透析過程中の腎不全患者の呼気中に含有するアンモニア濃度の経時変化を測定した。また、同時に採集した血液中の尿素濃度と比較し、高い相関値を持っていることを確認した。
【0007】
また、皮膚透過ガスを採集、貯留する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【非特許文献1】L. R. Narasimhan, W. Goodman, and C. K. N. Patel, “Correlation of breath ammonia with blood urea nitrogen and creatinine during hemodialysis”, Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 98, No. 84617−4621(2001).
【非特許文献2】B. J. Novak, et al. “Exhaled methyl nitrate as a noninvasive marker of hyperglycemia in type 1 diabetes”, Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 104, No. 40, 15613−15618 (2007)
【特許文献1】特開平8―150144号公報
【特許文献2】特開2006−234845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、呼気中に含有するアンモニア濃度を測定する従来例では、呼気中のアンモニア成分は、血液からのものと口腔中に発生するものが混在するため、診療に寄与する血中からのアンモニア濃度を特定することが困難であり、場合によっては、口腔中に産生するアンモニア成分の濃度が高く、身体内部(血中)から産生するアンモニア成分の変化を隠してしまい、誤診することも否めない。また、光音響法に基づいた測定装置は、ハイパワーの赤外レーザー光を必要とし、且つ装置も大型であるため、臨床に使用することが困難である。
【0009】
また、上記特許文献2では、皮膚透過ガスを採集、貯留した後、周囲の空気と共に測定装置に運搬するものであり、このため、皮膚透過ガスを、実時間で測定装置に導入して測定するのは困難である。
【0010】
一般的に健康なヒトの皮膚から排出するアンモニアガスの濃度は、一般室内の環境濃度と同程度であるので、周囲環境の影響が無視できない。特に、弱った患者の排泄物が衣服に付着し、周囲のアンモニアガスの濃度が高濃度になる可能性もある。上記特許文献2では、皮膚透過ガスを、周囲の空気と共に測定装置に運搬して測定するために、周囲環境の影響を受けることになり、アンモニアガス等の測定を正確に行うのは困難である。
【0011】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、口腔中発生するガスに影響されることなく、且つ、実時間での測定を可能とする経皮ガスの採取方法、採取装置および測定方法を提供することを目的とし、更には、周囲環境に依存することなく、経皮ガスを採取することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の経皮ガスの採取方法は、皮膚から放出される経皮ガスを捕集して、前記経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定する測定装置へ搬送する経皮ガスの採取方法であって、皮膚から放出される経皮ガスを捕集する開口部を有するとともに、前記経皮ガスを搬送する搬送ガスの導入口および前記両ガスの導出口を有する捕集容器を予め準備し、前記捕集容器の前記開口部を皮膚に密着させて前記経皮ガスを前記捕集容器に捕集しつつ、前記導入口から導入した前記搬送ガスによって、捕集した前記経皮ガスを、前記搬送ガスと共に前記導出口から前記測定装置へ搬送するものである。
【0013】
前記搬送ガスは、窒素ガス、あるいは、前記測定対象ガスを除去した空気であるのが好ましい。
【0014】
本発明の経皮ガスの採取方法によると、捕集容器の開口部を皮膚に密着させた状態で、容器内に経皮ガスを捕集しつつ、搬送ガスを導入口から導入して該搬送ガスと共に、捕集した経皮ガスを、導出口から導出して測定装置へ搬送できる、すなわち、経皮ガスの捕集と搬送とを同時に行えることになり、これによって、経皮ガスを捕集して貯留した後、貯留した経皮ガスを測定装置へ運搬する従来例に比べて、経皮ガスの採取に要する時間が短縮されて、実時間の測定が可能となる。
【0015】
また、搬送ガスとして、窒素ガス、あるいは、測定対象ガスを除去した空気を用いることにより、空気をそのまま搬送ガスに用いる従来例のように周囲環境の影響を受けることがない。
【0016】
また、本発明の経皮ガスの採取装置は、皮膚から放出される経皮ガスを捕集して、前記経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定する測定装置へ搬送する経皮ガスの採取装置であって、皮膚から放出される経皮ガスを捕集する開口部を有するとともに、前記経皮ガスを搬送する搬送ガスの導入口および前記両ガスの導出口を有する捕集容器を備え、前記捕集容器内には、前記導入口から導入される搬送ガスから前記測定対象ガスを除去する除去部が設けられている。
【0017】
本発明の経皮ガスの採取装置によると、捕集容器の開口部を皮膚に密着させた状態で、容器内に経皮ガスを捕集しつつ、搬送ガスを導入口から導入して該搬送ガスと共に、捕集した経皮ガスを、導出口から導出して測定装置へ搬送できるので、経皮ガスを捕集して貯留した後、貯留した経皮ガスを測定装置へ運搬する従来例に比べて、採取に要する時間が短縮されて、実時間の測定が可能となる。
【0018】
本発明の経皮ガスの測定方法は、本発明に係る経皮ガスの採取方法によって採取される経皮ガスに含まれる測定対象ガスを、前記測定装置を用いて測定する方法であって、前記測定装置が、光導波路上に、前記測定対象ガスに反応する検知材が設けられた光導波路型ガスセンサである。
【0019】
前記検知材は、経皮ガスに含まれるガスの内、前記測定対象ガス以外のガスと反応しないものであるのが好ましい。
【0020】
本発明の経皮ガスの測定方法によると、光導波路型のガスセンサによって、経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定するので、光音響法に基づく測定装置に比べて、レーザー光のパワーも小さくてよく、小型化でき、簡易に測定を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、経皮ガスの捕集と搬送とを同時に行えることになり、これによって、経皮ガスを捕集して貯留した後、貯留した経皮ガスを測定装置へ運搬する従来例に比べて、採取に要する時間が短縮されて、実時間の測定が可能となる。
【0022】
また、搬送ガスとして、窒素ガス、あるいは、測定対象ガスを除去した空気を用いることにより、周囲環境の影響を受けることなく、経皮ガスを採取して測定することが可能となる。
【0023】
さらに、光導波路型のガスセンサを用いて、経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定するので、光音響法に基づく測定装置に比べて、小型化でき、臨床への適用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面によって本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る経皮ガス採取装置を備える経皮ガス測定システムの概略構成図である。
【0026】
この実施形態の経皮ガス測定システムは、測定対象部位、例えば、ヒトの上腕の皮膚1から放出される経皮ガスに含まれる塩基性ガスであるアンモニア(NH3)ガスを測定するものであり、皮膚1からの経皮ガス(皮膚透過ガス)を採取する採取装置2と、採取された経皮ガスに含まれる測定対象ガスであるアンモニアガスの濃度を測定する測定装置3とを備えている。
【0027】
身体中の新陳代謝の産生物として、有毒なアンモニアガスを発生する。大部分のアンモニアは、肝臓によって無毒の尿素(NH2)2COに変換して腎臓を通し、尿として排泄する。同時に少量のアンモニアガスは、呼気及び経皮から排出する。しかし、肝臓疾患、肝硬変、腎臓疾患、腎不全、ピロリ菌感染によって、体内に産生するアンモニアガスを尿素に変換する酵素が欠乏し、十分に尿素に変換することができない。その結果、血中のアンモニア濃度は高くなり、呼気、皮膚からも正常より高い濃度のアンモニアガスが排出される。
【0028】
この実施形態によれば、皮膚から排出されるアンモニアガスを測定することによって、特定の疾患の診療に役立てることができる。
【0029】
この実施形態の経皮ガスの採取装置2は、測定対象部位の皮膚1に密着させて経皮ガスを捕集する捕集容器4と、捕集された経皮ガスを、搬送ガス(キャリアガス)と共に測定装置3へ搬送する搬送路となるチューブ5とを備えている。
【0030】
図2は、捕集容器を示す図であり、同図(a)は側面図、同図(b)は縦断した正面図、同図(c)は底面図である。
【0031】
この捕集容器4は、大略直方体状であって、測定対象部位の皮膚に密着される矩形の開口部6を有しており、この開口部6の周縁には、ゴムや軟質樹脂からなる弾性部材7が取り付けられている。
【0032】
捕集容器4は、アンモニアガスの吸着がない、あるいは、吸着が少ない材質であって、割れにくい材質が好ましく、例えば、ポリテトラフロロエチレン、表面をポリテトラフロロエチレンで処理したアルミニウム、あるいは、ポリビニール樹脂材などから構成するのが好ましい。捕集容器4の各隅部は、丸味を帯びた形状に処理されている。
【0033】
捕集容器4の上面には、図2(b)に示すように、捕集した経皮ガスを測定装置3へ搬送するための搬送ガスである空気を導入するための導入口8が形成されており、下面には、捕集した経皮ガスを、搬送ガスと共に測定装置3へ導出するための導出口9が形成されており、この導出口9には、上記チューブ5の一端が接続されている。このチューブ5は、例えば、ポリテトラフロロエチレンからなる。
【0034】
捕集容器4の内部は、複数の通気口10を有する隔離板11によって、上下二つの空間に区画されており、下側の空間は、上記開口部6が臨む経皮ガスの捕集空間となっており、上側の空間には、搬送ガスとして導入される空気に含まれる測定対象ガスであるアンモニアガスを吸着除去するための吸着剤12が収納されている。また、隔離板11の上面には、空気に含まれる及びアンモニア吸着剤から発生する塵埃を除去するメンブレンフィルタ13が設置されている。
【0035】
吸着剤12としては、例えば、ニッタ株式会社製の活性炭吸着剤(商品名:ピュラコールAMS、ギガソーブ)などを用いることができる。
【0036】
捕集容器4の両側面には、開口部6を測定対象部位の皮膚、例えば、上腕の皮膚に密着させた状態に保持できるように、一対の紐やベルト等の締め付け具14が取り付けられている。この締め付け具14には、簡単に付け外しができるように面ファスナー14aが設けられている。
【0037】
この実施形態の経皮ガスの採取方法では、捕集容器4の開口部6を、ヒトの測定対象部位の皮膚に密着させて締め付け具14を用いて固定し、皮膚から放出される経皮ガスを、捕集容器4の下側の捕集空間に捕集しつつ、空気を導入口8から導入して吸着剤12によってアンモニアガスを除去し、このアンモニアガスを除去した空気と共に経皮ガスを、チューブ5を介して測定装置3へ搬送するものである。
【0038】
図3は、測定装置3の概略構成図である。この測定装置3は、測定対象ガスであるアンモニア(NH3)ガスの濃度を測定できる小型のガスセンサである。
【0039】
この測定装置3は、測定対象ガスを感知するガス検知部としてのセンサチップ部15を有しており、このセンサチップ部15は、ガスチャンバー16内に収納固定されている。
【0040】
センサチップ部15は、図4の拡大図にも示すように、ガラス基板17上に光導波層18を形成し、更に、光導波層18上に、アンモニアガスと反応する検知材としての反応膜19が成膜されて光導波路が構成されている。この反応膜19は、アンモニアガスと反応し、吸収スペクトルがシフトする材料で構成され、アンモニアガスの濃度に依存して、導波された光が減衰する。
【0041】
この反応膜19は、可逆性があり、窒素ガス、または、アンモニアガスを含まない空気によって再生可能であり、アンモニアガス濃度の繰り返し測定が可能である。
【0042】
この実施形態では、反応膜19の材料として、pH指示薬であるBCP(ブロモクレゾールパープル)を用いた。
【0043】
ガラス基板17上には、光導波層18とのカップリング用の直角プリズム20,21がそれぞれ設けられており、導波光は、図4に示すように、全反射を繰り返しながら進行するが、その間光導波層表面にエバネッセント波が染み出す。
【0044】
センサチップ部15は、ガス濃度に応じて、反応膜19の色変化の程度が異なるため、エバネッセント波の吸収率が変化し、光導波層18に導波する光の出力が弱くなる。したがって、導波光の出力強度を測定することによって、アンモニア濃度を検出することができる。
【0045】
この測定装置3では、以上の構成を有するセンサチップ部15を、図3に示すように、ガスチャンバー16内に装着固定している。
【0046】
このガスチャンバー16は、反応膜19を再生するためのアンモニアガスを除去した空気を導入するための導入口22および経皮ガスを導入するための導入口23を備えるとともに、導入したガスを排出する排出口24を備えており、排出口24には、アンモニアガスを除去した空気または経皮ガスを導入するためのポンプ29が接続されている。このポンプ29は、微小量のガスの定量の輸送制御が可能なマイクロポンプである。
【0047】
また、ガスの導入口22に連通する流路36には、除塵フィルター37およびアンモニアガスを除去するケミカルフィルター38を設けている。アンモニアガスを除去するケミカルフィルター38としては、例えば、ニッタ株式会社製のNH3除去材(商品名:ピュラコールAMS)などを用いることができる。
【0048】
反応膜19を再生するためのアンモニアガスを除去した空気および経皮ガスが導入される各流路には、電磁弁30,31がそれぞれ設けられており、各電磁弁30,31によって、流路の開閉が制御される。
【0049】
この測定装置3は、レーザーダイオード25からのレーザー光を、反射ミラー26を介してセンサチップ部15に導入するための光窓27およびセンサチップ部15からの導波光を取り出すための光窓28を備えており、また、センサチップ部15からの導波光を、ガスチャンバー16の光窓28を介して検出するフォトダイオード32と、このフォトダイオード32の出力に基づいて、アンモニアガスの濃度を算出する信号処理回路33と、検出結果であるガス濃度を表示する表示器34とを備えている。これらは、ガスチャンバー16、レーザーダイオード25、反射ミラー26、ポンプ29および電磁弁30,31などと共に、筐体35内に収納配置されている。
【0050】
図5は、図3の信号処理回路33の要部の構成を示す図である。
【0051】
この実施形態の信号処理回路33は、オペアンプ39を備えており、このオペアンプ39の反転入力端子には、上述のフォトダイオード32のアノードが、入力抵抗R1を介して接続され、非反転入力端子には、直流の基準電圧源40が、可変抵抗VRを介して接続される。また、オペアンプ39の出力端子と非反転入力端子との間には、帰還抵抗R2が接続されている。
【0052】
この実施形態の信号処理回路33では、アンモニアガスが存在しない状態で、オペアンプ39の出力電圧が、0になるように、可変抵抗VRを調整して基準電圧を分圧し、参照電圧としてオペアンプ39に与える。
【0053】
すなわち、アンモニアガスが存在しておらず、導波光が減衰していない状態のフォトダイオード32の出力電圧に等しくなるように基準電圧を調整して参照電圧とする。
【0054】
この信号処理回路33を用いて、レーザーダイオード25のレーザー出力とオペアンプ39の出力電圧との相関関係を測定した。
【0055】
レーザーダイオード25は、自動パワー制御回路内蔵のものを使用した。レーザー光を安定させるために、安定化直流電源を使用し、レーザー光発振して3分を待って測定した。ガスチャンバー16内には、窒素ガスを導入し、アンモニアガスが存在しない状態で測定した。
【0056】
フォトダイオード32へ入射するレーザー光強度を、NDフィルターを用いて調整した。
【0057】
測定方法は、フォトダイオード32への初期光強度(I0)に対して、基準電圧源40の基準電圧が、可変抵抗VRを介して参照電圧としてオペアンプ39に入力される。このとき、信号処理回路33の出力電圧が、0になるように、可変抵抗VRで基準電圧を調整し、参照電圧とした。
【0058】
その後、レーザー光の強度を、上述のように、NDフィルターで調整し、そのレーザー光強度(I)に対する信号処理回路33の出力電圧を測定した。
【0059】
初期入射光強度は、25μW、50μW、100μWの3種類に対して行い、入射光の減衰率(1−I/I0)と、信号処理回路33の出力電圧値の相関関係を、図6にプロットした。
【0060】
この図6に示すように、入射光の減衰率(1−I/I0)が、約0〜0.5の範囲では、初期入射光強度が異なっても、出力電圧は、同一直線上に沿って変化していることが分かる。すなわち、初期入射光強度が異なっても、入射光の減衰率が同じであれば、同じ出力電圧が得られることが分かる。
【0061】
図7に、アンモニアガス濃度0ppb、50ppb、100ppb、500ppbをガスチャンバーに導入し、2分間検知材と反応させた後に入射光の減衰率を測定した結果を示す。それぞれのアンモニアガス濃度において、同一条件で3回測定を行い、平均値をプロットした。入射光の減衰率は、図7に示されるように、アンモニアガスの濃度に比例する。したがって、図5に示すオペアンプ39の増幅率を調整し、図7に示す曲線の勾配と合わせることにより、図6における横軸が、アンモニアガスの濃度に対応することになり、アンモニアガスの濃度に応じた出力電圧が得られることが分かる。また、図5に示すアンプ39の回路の増幅率は、帰還抵抗R2と入力抵抗R1の比で決定される。例えば、帰還抵抗R2は、固定抵抗及び可変抵抗を直列して構成すれば、可変抵抗を調整することで、増幅率の微調整ができる。
【0062】
なお、予め、出射光の出口光量と、測定対象ガスの濃度との関係を示す検量線を求めておき、測定した出口光量から、前記検量線を参照して、測定対象ガスの濃度を算出してもよい。
【0063】
この実施形態では、信号処理回路33の出力電圧は、アンモニアガスの濃度に対応したものとなり、したがって、信号処理回路33の出力電圧に基づいて、アンモニアガスの濃度を、直接表示器34に表示することが可能となる。
【0064】
なお、図6においては、入射光の減衰率(1−I/I0)が、0から0.5の領域について特に直線性が高い。従って、当該範囲を直線近似することにより、極低濃度のアンモニアガスを精度よく測定することが可能となる。
【0065】
図8および図9は、この実施形態の測定装置の性能を示すものである。図8は、0ppb、250ppb、500ppb、100ppb、50ppb、0ppbの標準濃度のアンモニアガスを測定した結果を示すものであり、横軸は時間(時:分:秒)を、縦軸は測定値をそれぞれ示している。また、図9は、空気中のアンモニア濃度を調整し、その濃度を測定した結果を示すものであり、横軸は測定日時を、縦軸は測定値をそれぞれ示している。
【0066】
測定では、先ず、アンモニアガスを除去した空気を導入するために、図3の電磁弁30を開いて、導入口22からガスチャンバー16内に、ポンプ29によってアンモニアガスを除去した空気を60秒間導入し、センサチップ部15の初期化を行う。その後、ポンプ29を止め、電磁弁30を閉じ、測定対象ガス導入用の電磁弁31を開く。合成した標準濃度のアンモニアガスを1.5L/Minの流量で、アンモニアガスの導入口23からガスチャンバー16内に、ポンプ29で導入し、センサチップ部15と反応させる。30秒間反応させて平衡に達した後、ポンプ29を止め、ガス濃度を測定した。測定終了後、上述と同様にして、アンモニアガスを除去した空気によってセンサチップ部15の再生を行い、異なる標準濃度のアンモニアガスの測定を同様に行った。
【0067】
図8に示すように、この実施形態の測定装置の測定の下限値は、50ppb以下であり、また、図9に示すように、測定レンジは、2ppm以上有している。
【0068】
この実施形態の測定装置は、アンモニア以外のガス、例えば、CO、CO2、NO、H2O2、イソプラスタン、O2、H2、エタン、メタン、エタノール、IPA、メタノール、アセトン、トルエン、ベンゼン、硫化水素に対して感度が持たないことを確認した。
【0069】
なお、反応膜19の材料としては、上述のBCP(ブロモクレゾールパープル)に代えて、塩基性ガスと反応するpH指示薬、例えば、ブロモチモールブルー、インドオキシン、キノリンブルー、等を用いてもよい。
【0070】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0071】
実施例の捕集容器は、アルミ材で構成し、表面を、テトラフロロエチレンで加工した。開口部のサイズは、25mm×30mmで、高さは30mmとした。
【0072】
人体皮膚との接触部分となる開口部の周縁には、弾性部材として、厚み2mmのシリコンゴムシートを貼り付けた。
【0073】
搬送ガス(キャリアガス)として、アンモニアを除去した空気を用い、空気中に含有するアンモニアの除去材として、上述の活性炭吸着剤を用いた。また、吸着剤から発する埃を除塵シートで遮断した。搬送用のチューブとして、長さ50cmの1/8インチのポリテトラフロロエチレン製のチューブを用いた。
【0074】
測定では、捕集容器の開口面を測定ヒトの測定対象部位に密着し、固定する。測定装置の清浄ガス(アンモニアガスを含まないガス)を測定後、上腕、掌、手の甲の皮膚からの出ガスを、搬送ガスの流量を一定として測定装置に導入し、それぞれ測定した。
【0075】
図10にその結果を示す。清浄ガスに対して、アンモニアがないため、測定値は3ppb以下であった。健康ヒトの上腕部(◆)、掌部(●)、手の甲部(▲)からの出ガスはそれぞれ約210〜240ppb、850〜950ppb、300〜350ppbであった。
【0076】
また、測定装置を2台使用し、一方の測定装置で健康なヒトの腕からの出ガスを測定し、同時に、他方の測定装置で、周囲環境のアンモニアガス濃度を測定した。その結果を図11に示す。腕からのアンモニアガス濃度(□)は、人為的に変化させた周囲環境のアンモニアガス濃度(◆)の影響を受けることなく、略一定であることが分る。
【0077】
このように、周囲の環境に影響されることなく、非侵襲でアンモニアガスを測定して、特定の疾患の診療に役立てることができ、また、操作者に資格が不要であるので、何時でも何処でも簡単に測定して健康管理を行うことができる。
【0078】
上述の実施形態では、アンモニアガスの濃度の測定に適用して説明したけれども、本発明は、アンモニア以外の塩基性ガス、例えば、メチルアミン、またはトリメチルアミンの検出もできる。人体から発生する窒素化合物ガスのトータル管理にも使用できる。
【0079】
人体の経皮ガスの測定部位は、上述の実施の形態に限らず、背中、胸部、肝臓近辺、腎臓近辺、大腿、頭部、膀胱部、手の指先、足の指先などの部位からの経皮ガスを測定してもよい。また、複数部位の
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態に係る採取方法を適用した測定システムの概略構成図である。
【図2】図1の捕集容器を示す図である。
【図3】図1の測定装置の概略構成図である。
【図4】図3のセンサチップ部の構成図である。
【図5】図3の信号処理回路の構成図である。
【図6】入射光の減衰率と信号処理回路の出力電圧との関係を示す図である。
【図7】入射光の減衰率とアンモニアガス濃度との関係を示す図である。
【図8】標準濃度のアンモニアガスの測定結果を示す図である。
【図9】周囲のアンモニアガスの測定結果を示す図である。
【図10】上腕、掌、手の甲からのアンモニアガスの測定結果を示す図である。
【図11】腕からのアンモニアガスおよび周囲のアンモニアガスの測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
2 採取装置
3 測定装置
4 捕集容器
5 チューブ
6 開口部
8 導入口
9 導出口
12 吸着剤
18 光導波層
19 反応膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚から放出される経皮ガスを捕集して、前記経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定する測定装置へ搬送する経皮ガスの採取方法であって、
皮膚から放出される経皮ガスを捕集する開口部を有するとともに、前記経皮ガスを搬送する搬送ガスの導入口および前記両ガスの導出口を有する捕集容器を予め準備し、
前記捕集容器の前記開口部を皮膚に密着させて前記経皮ガスを前記捕集容器に捕集しつつ、前記導入口から導入した前記搬送ガスによって、捕集した前記経皮ガスを、前記搬送ガスと共に前記導出口から前記測定装置へ搬送することを特徴とする経皮ガスの採取方法。
【請求項2】
前記搬送ガスが、窒素ガスである請求項1に記載の経皮ガスの採取方法。
【請求項3】
前記搬送ガスが、前記測定対象ガスを除去した空気である請求項1に記載の経皮ガスの採取方法。
【請求項4】
皮膚から放出される経皮ガスを捕集して、前記経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定する測定装置へ搬送する経皮ガスの採取装置であって、
皮膚から放出される経皮ガスを捕集する開口部を有するとともに、前記経皮ガスを搬送する搬送ガスの導入口および前記両ガスの導出口を有する捕集容器を備え、前記捕集容器内には、前記導入口から導入される搬送ガスから前記測定対象ガスを除去する除去部が設けられることを特徴とする経皮ガスの採取装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし3のいずれか一項に記載の経皮ガスの採取方法によって採取される経皮ガスに含まれる測定対象ガスを、前記測定装置を用いて測定する方法であって、
前記測定装置が、光導波路上に、前記測定対象ガスに反応する検知材が設けられた光導波路型ガスセンサであることを特徴とする経皮ガスの測定方法。
【請求項6】
前記検知材は、前記測定対象ガス以外のガスと反応しない請求項5に記載の経皮ガスの測定方法。
【請求項1】
皮膚から放出される経皮ガスを捕集して、前記経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定する測定装置へ搬送する経皮ガスの採取方法であって、
皮膚から放出される経皮ガスを捕集する開口部を有するとともに、前記経皮ガスを搬送する搬送ガスの導入口および前記両ガスの導出口を有する捕集容器を予め準備し、
前記捕集容器の前記開口部を皮膚に密着させて前記経皮ガスを前記捕集容器に捕集しつつ、前記導入口から導入した前記搬送ガスによって、捕集した前記経皮ガスを、前記搬送ガスと共に前記導出口から前記測定装置へ搬送することを特徴とする経皮ガスの採取方法。
【請求項2】
前記搬送ガスが、窒素ガスである請求項1に記載の経皮ガスの採取方法。
【請求項3】
前記搬送ガスが、前記測定対象ガスを除去した空気である請求項1に記載の経皮ガスの採取方法。
【請求項4】
皮膚から放出される経皮ガスを捕集して、前記経皮ガスに含まれる測定対象ガスを測定する測定装置へ搬送する経皮ガスの採取装置であって、
皮膚から放出される経皮ガスを捕集する開口部を有するとともに、前記経皮ガスを搬送する搬送ガスの導入口および前記両ガスの導出口を有する捕集容器を備え、前記捕集容器内には、前記導入口から導入される搬送ガスから前記測定対象ガスを除去する除去部が設けられることを特徴とする経皮ガスの採取装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし3のいずれか一項に記載の経皮ガスの採取方法によって採取される経皮ガスに含まれる測定対象ガスを、前記測定装置を用いて測定する方法であって、
前記測定装置が、光導波路上に、前記測定対象ガスに反応する検知材が設けられた光導波路型ガスセンサであることを特徴とする経皮ガスの測定方法。
【請求項6】
前記検知材は、前記測定対象ガス以外のガスと反応しない請求項5に記載の経皮ガスの測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−107414(P2010−107414A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280882(P2008−280882)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(505044451)ソナック株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(505044451)ソナック株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
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