説明

経皮的心臓弁、システム、および方法

罹患した心臓弁を治療するための装置、システム、および方法が提供される。この装置は、弁フレーム部材105を含む拡張可能な弁フレーム102と、この弁フレームに結合された弁尖132と、弁フレームに結合された拡張可能なステント固定フレーム104とを有する経皮的心臓弁100を含む。拡張可能なステント固定フレーム104は、第1部分108およびこの第1部分より大きな可撓性を有する第2部分110を画定するステント・フレーム部材106を含む。第1部分と弁フレームとは長さを画定し、この長さに沿ってステント・フレーム部材と弁フレーム部材とが、送達装置からの送達中に第1部分および弁フレームが部分的拡張状態にあるときに送達装置が2つの長手方向で長さ全体にわたって繰り返し摺動できる接触面を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に心臓系で使用するための装置、システム、および方法に関し、より詳細には、自然弁の置換および/または強化のための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物の循環器系は、心臓と、身体の全体にわたって相互接続する血管とを含み、血管には静脈と動脈がある。具体的には、人間の心臓には、左心房、右心房、左心室、右心室という4つの部屋がある。僧帽弁は、血液を1方向に流させ、左心室と左心房の間にある。同様に、三尖弁が右心室と右心房の間にあり、大動脈弁が左心室と大動脈の間にあり、肺動脈弁が右心室と肺動脈の間にある。
【0003】
各心臓弁は協調して機能し、循環器系の全体にわたって血液を動かす。したがって、右心室は、酸素の少ない血液をポンプ作用により身体から肺に汲み上げ、次に左心房に送り込む。左心房の血液は、ポンプ作用により左心室に送り込まれ、次に大動脈弁から出て大動脈に入る。次いで、血液は身体の組織と器官の全体にわたって再循環し、再び右心房に戻る。
【0004】
疾患または先天性欠陥のために心臓の弁が正常に機能しない場合、血液の循環が悪化するおそれがある。罹患した心臓弁は、狭窄(弁を通る血液が適切に前方に流れるのに十分なほど弁が開かない)および/または閉鎖不全(弁が完全には閉じない)であるおそれがある。
【0005】
閉鎖不全心臓弁によって、弁が閉じるときに、弁を通る血液の逆流すなわち過度の逆方向流が生じることがある。たとえば、心臓弁のある疾患によって、心臓および1つまたは複数の心臓弁が肥大することがある。心臓弁輪が肥大すると、弁尖の幾何学的形状が変形して弁尖の閉鎖が不完全になる。弁の不完全な閉鎖によって、血液の逆流、心臓内での血液の貯留、およびその他の問題が発生するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の諸実施形態は、経皮的心臓弁置換のための装置、システム、および方法に関する。たとえば、装置は、体内管腔内の閉鎖不全弁(たとえば、大動脈弁または肺動脈弁)を置換するために使用可能な人工心臓弁を含むことができる。人工弁の諸実施形態は、弁フレームと、この弁フレームに結合された弁尖と、この弁フレームに結合されたステント固定フレームとを含む。
【0008】
本開示の人工心臓弁は、人工心臓弁の治療部位への経皮的送達中に人工心臓弁の再設置および/または除去を可能にすることができる。さらに、本開示の人工心臓弁は、体内管腔内に展開されると人工心臓弁が移動するのを防ぐように設計されている。人工心臓弁は心臓弁の置換を目的とするので、設計要件は、たとえば静脈弁と比較すると変化に富む可能性がある。たとえば、人工心臓弁は、順流方向では13,330パスカル(100トル)を超えるその場圧力(in situ pressure)に耐え、逆流方向ではほぼ33,330パスカル(250トル)のその場圧力に耐えるように設計される。対照的に、人工静脈弁は、たとえば、人工静脈弁の全体にわたって約2,670パスカル(20トル)のその場圧力に耐えるように設計される。さらに、人工心臓弁はまた、移動またはミスアラインメントを生じることなく損傷せずに、弁が取り付けられる組織によって加えられる機械的な力および動きに対応するように設計される。
【0009】
したがって、本開示の人工心臓弁は、拡張可能なステント固定フレームに結合された拡張可能な弁フレームと、この弁フレームに結合された少なくとも1つの弁尖とを含む。本明細書において説明されるように、弁フレームをステント固定フレームに結合することによって、弁フレームが治療部位に設置され得、ステント固定フレームは弁フレームの移動を防ぐことができる。
【0010】
弁フレームは弁フレーム部材を含み、ステント固定フレームは、ステント固定フレームの第1部分および第2部分を画定するステント・フレーム部材を含む。ステント固定フレームの第2部分は、第1部分より大きい「可撓性」を有する。さらに、ステント固定フレームの第1部分と弁フレームとは長さを画定し、その長さに沿ってステント・フレーム部材と弁フレーム部材とが、その上で送達装置が2つの長手方向で長さ全体にわたって繰り返し摺動できる接触面を形成する。同様に、送達装置からの送達中、第1部分および弁フレームが部分的拡張状態であるとき、送達装置は長さ全体にわたって繰り返し摺動することができる。
【0011】
第1部分の構成は、弁フレームが所望の位置にない場合に人工心臓弁の再設置および除去を可能にする接触面を形成する。たとえば、人工心臓弁が送達部位にあると、弁フレームは少なくとも部分的に展開可能で、弁フレームおよび弁尖の働きを観察することができる。弁フレームが満足できる位置にない場合、シースがステント固定フレームの第1部分および弁フレームからなる接触面上を前進し、弁フレームを圧縮して人工心臓弁の再設置を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の人工心臓弁の1実施形態の展開図。
【図2】本開示によるステント固定フレームの1実施形態の展開図。
【図3A】本開示によるステント固定フレームの1実施形態の展開図。
【図3B】本開示によるステント固定フレームの1実施形態の平面図。
【図4A】本開示による弁フレームの1実施形態を示す図。
【図4B】本開示による弁フレームの1実施形態を示す図。
【図5】本開示による弁フレーム502の1実施形態の展開図。
【図6A】本開示によるシステム658の1実施形態を示す図。
【図6B】本開示によるシステム658の1実施形態を示す図。
【図6C】本開示によるシステム658の1実施形態を示す図。
【図6D】本開示によるシステム658の1実施形態を示す図。
【図6E】本開示によるシステム658の1実施形態を示す図。
【図7A】本開示による引き込み可能な第1シースの実施形態を示す図。
【図7B】本開示による引き込み可能な第1シースの実施形態を示す図。
【図7C】本開示による引き込み可能な第1シースの実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書の図面は、頭の1桁または複数桁の数字が図面番号に対応し、残りの数字が当該図面の要素または構成要素を識別する採番規則に従っている。類似の数字を使用することによって、異なる図面間の類似の要素または構成要素を識別することができる。たとえば、110は図1の要素「10」を示し、図2では類似の要素が210として参照される。理解されるように、本明細書における種々の実施形態において示される要素は、任意の数の弁および/またはシステムの追加の実施形態を提供するために、追加、交換、および/または削除されてよい。さらに、理解されるように、図で示される要素の割合および相対的な大きさは、本発明の諸実施形態を説明することを意図するものであり、限定的な意味に解釈すべきではない。
【0014】
本開示の種々の実施形態が図面に示されている。一般に、人工心臓弁は、たとえば体内管腔の弁構造(たとえば、大動脈弁)の置換または強化を目的として、1方向に体内管腔を通過する体液の流れを調節するために、体内管腔の流体通路内に植え込み可能である。
【0015】
本開示の人工心臓弁の諸実施形態は、弁フレームと、自己拡張するステント固定フレームとを含む。弁フレームおよび/またはステント固定フレームは、弁フレームおよび/またはステント固定フレームのどの部分が送達装置の要素(たとえば、シース)によって抑制されるかに応じて、完全展開状態および/または半展開状態に自己拡張することができる。いくつかの例では、所望の植え込み場所に対する人工心臓弁の位置は、送達中に起こり得る心臓弁の変化またはミスアラインメントを補正するように調整され得る。さらに、展開を完了する前に弁フレームおよび/またはステント固定フレームの一部分の抑制によって、展開システムを押す心室から出る流れによって引き起こされる動きに対する調整が可能となり、たとえば大動脈弁を植え込む場合がそうである。
【0016】
本明細書では、弁フレームおよび/またはステント固定フレームの半展開状態は、未展開状態(すなわち、人工弁が体外にあるときおよび送達装置内にあるときの弁フレームおよびステント固定フレームの状態)と展開状態(すなわち、人工弁が体内に留置可能なときの弁フレームおよびステント固定フレームの状態)との間にある。
【0017】
種々の実施形態では、ステント固定フレームが未展開状態でありながら弁フレームを展開状態に保つことによって、最終展開前に人工心臓弁を所望の場所に設置させることができる。本開示の人工心臓弁のこの段階的な展開は、完全展開の前に人工心臓弁の配置の調整を可能にするために中間的な展開段階(すなわち、部分的展開状態)で一時的に休止するという利点を持たずに展開される人工心臓弁と対照的である。
【0018】
図1は、本開示の人工心臓弁100すなわち人工弁の1実施形態の展開図(rolled out view)を提供する。本実施形態の人工弁100は、略円筒形状を有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、人工弁100は、卵形、円筒形、または楕円形の断面形状を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるように、人工弁100は、円錐形、球状、または外向きにラッパ形に広がる形とすることができる。人工弁100の断面形状は、人工弁100の形成に使用される方法によって決められてよい。たとえば、いくつかの実施形態では、人工弁100は、卵形の断面形状を有するマンドレルの上のヒート・セットとすることができる。このような実施形態では、人工弁100は、送達時にたとえば卵形の断面形状を有することができる。同じ方法を使用して、他の断面形状または人工弁の長手方向の長さに沿って変化する断面形状を有する人工弁100を得ることができる。
【0019】
さらに、人工弁100のサイズは、人工弁100が大動脈弁または肺動脈弁を置換するために使用されるかどうか、または人工弁100は血管系に設置されるべき補助弁としていつ使用されるのかに応じて変化し得る。これらの寸法(たとえば、20〜30ミリメートル(mm))は、当業者に知られている技術によって容易に決定可能である。
【0020】
本開示の人工弁100は、拡張可能な弁フレーム102と、この弁フレーム102に結合された拡張可能なステント固定フレーム104とを含む。いくつかの実施形態では、弁フレーム102はステント固定フレーム104の遠位に設置されることができ、弁フレーム102はステント固定フレーム104の遠位端144に結合される。いくつかの実施形態では、弁フレーム102およびステント固定フレーム104は自己拡張可能とすることができる。弁フレーム102、ステント固定フレーム104、ならびに/または弁フレーム102およびステント固定フレーム104の部分はまた、バルーン拡張可能とすることができる。種々の実施形態では、弁フレーム102は自己拡張可能とすることができ、ステント固定フレーム104はバルーン拡張可能とすることができる。他の構成も可能である。
【0021】
自己拡張型フレームの例としては、指定された温度または温度範囲で形状を変更する温度感受性記憶合金から形成されるフレームがある。あるいは、自己拡張型フレームには、ばね付勢を有するフレームが含まれ得る。適切な材料の例としては、医療用ステンレス鋼(たとえば、316L)、チタン、タンタル、白金合金、ニオブ合金、コバルト合金、アルギン酸塩、またはその組み合わせがあるが、これらに限定されない。形状記憶材料の例には、体内において不活性な形状記憶プラスチック、ポリマー、および熱可塑性材料がある。一般にニチノールとして知られている、さまざまな比率のニッケルおよびチタンから通常作製される、超弾性特性を有する形状記憶合金も可能な材料である。
【0022】
さらに、弁フレーム102は弁フレーム部材105を含み、ステント固定フレーム104はステント・フレーム部材106を含む。種々の実施形態では、弁フレーム部材105およびステント・フレーム部材106は、人工弁100の長さに沿って類似のおよび/または異なる断面幾何学的形状を有することができる。断面幾何学的形状の類似点および/または相違点は、弁フレーム102および/またはステント固定フレーム104の各部分から引き出されるべき1つまたは複数の所望の機能に基づくことができる。断面幾何学的形状の例としては、方形、非平面構成、円形(たとえば、円、卵形、および/または楕円形)、多角形、弧形、および管状がある。他の断面幾何学的形状も可能である。
【0023】
本開示の弁フレーム102およびステント固定フレーム104は、拡張状態、すなわち展開状態にあるときに適切な径方向剛性を形成するステント・フレーム部材106および弁フレーム部材105を含むことができる。適切な径方向剛性には、弁フレーム102およびステント固定フレーム104が円筒形状を確実に維持するのに十分な剛性が含まれる。
【0024】
本明細書において説明されるように、たとえば大動脈弁を置換するために植え込まれた人工弁100は、人工弁100を通過する流体の逆流ならびに流入による高いその場圧力を受けることが可能である。ステント固定フレーム104は、人工弁100が送達部位に送達されて植え込まれた後、ならびに人工弁100の寿命の全体を通じて、人工弁100が移動する可能性を減少させるために設けられる。ステント固定フレーム104はまた、送達手技中に人工弁100を再設置する機能を提供することができる。
【0025】
ステント固定フレーム104のステント・フレーム部材106は、第1部分108および第2部分110を画定する。本明細書においてさらに説明されるように、第2部分110は、第1部分108より大きい可撓性を有する。第2部分110の方が可撓性が大きいことは、ステント固定フレーム104が配置される治療部位(たとえば、体内管腔)に適合する際に役立つことができる。治療部位に適合することによって、ステント固定フレーム104は、均一であるがこれより低い可撓性を有するステント固定フレーム104と比較して、治療部位により良く固定することができ、使用時に人工弁100の動きを防ぐ。
【0026】
ステント固定フレーム104は、図1に示されるように、環状のステント・フレーム部材106を含むことができ、ステント・フレーム部材106はコネクタ112を使用して接続される。本明細書では、「コネクタ」は2つのステント・フレーム部材106の間に設置された1つの材料として定義される。図1に示される実施形態では、コネクタ112は、隣接するステント・フレーム部材106上にある2つの頂部114の間に設置される。本明細書では、「頂部」114は、ステント・フレーム部材106によって形成される頂点として定義される。コネクタ112は、頂部114と頂部114との間以外の他の場所にも設置され得る。
【0027】
ステント固定フレーム104の第1部分108は、ステント・フレーム部材106によって形成された各頂部114の間に設置されたコネクタ112を含むことができる。コネクタ112を第1部分108のステント・フレーム部材106によって形成される各頂部114の間に設置させることによって、ステント固定フレーム104の第1部分108は接触面を有する。本明細書では、「接触面」は自由頂部のない面として定義される。言い換えると、各頂部114は、隣接するステント・フレーム部材106にコネクタ112によって接続される。たとえば、図1に示されるように、各頂部114は、隣接する頂部114にコネクタ112によって接続される。本明細書において説明されるように、接触面は、送達手技中に人工弁100の再設置を可能にすることができる。
【0028】
図1に示されるように、第1部分108は、2つのステント・フレーム部材106と、この2つのステント・フレーム部材106によって形成された各頂部114の間に設置されるコネクタ112とからなることができる。コネクタ112は、ステント・フレーム部材106と同じ材料、または異なる材料から形成され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1部分108は3つ以上のステント・フレーム部材106からなることができる。さらに、本明細書において説明されるように、コネクタ112が2つのステント・フレーム部材106によって形成される各頂部114のところに設置されるので、ステント固定フレーム104の第1部分108は、ステント固定フレーム104の第2部分110と比較して比較的硬い、すなわち非可撓性である。さらに、本明細書において説明されるように、コネクタ112がステント・フレーム部材106によって形成される各頂部114のところに設置されるので、第1部分108に加えられる力は、第1部分108の全体にわたって均一に負荷を伝達することができる。
【0030】
ただし、ステント固定フレーム104の第1部分108および第2部分110の強度および/または可撓性は、たとえばフレーム部材106の数を調整することによって調整可能である。本明細書では、人工弁100の種々の部分の「強度」は、歪みおよび/または応力に対する抵抗性として定義される。本明細書では、人工弁100の種々の部分の「可撓性」は、破損および/または永久的に変形されることなく曲げられる性能として定義される。
【0031】
理解されるように、第1部分108のステント・フレーム部材106の数が増加されるにつれて、可撓性が減少し、強度を増加することができる。さらに、強度および/または可撓性は、ステント・フレーム部材106の厚さを変更することによって、および/またはステント・フレーム部材106の断面形状を変更することによって調整され得る。たとえば、ステント・フレーム部材106の厚さを減少させることによって、第1部分108の可撓性は増加するが強度は減少することが可能である。ステント固定フレーム104の強度および可撓性特性も、ステント固定フレーム104を形成する材料によって決定され得る。
【0032】
本明細書において説明されるように、ステント・フレーム104の第2部分110は、第1部分108より大きな可撓性を有する。第1部分108と第2部分110の間の可撓性の相違は、いくつかの方法で達成可能である。たとえば、図1に示されるように、第1部分108では、コネクタ112はステント・フレーム部材106によって形成された各頂部114の間に設置される。第2部分110では、ステント・フレーム部材106によって形成された各頂部114の間に設置されるコネクタ112の数は、各頂部114の間の数より少ない。
【0033】
第1部分108のステント・フレーム部材106によって形成された各頂部114の間にコネクタ112を設置させることによって、第1部分108は第2部分110より可撓性が低くなる。さらに、第2部分110において、ステント・フレーム部材106によって形成された各頂部114の間に設置されるコネクタ112の数を、各頂部114の間の数より少なくすることによって、複数の自由頂部116を有する第2部分110が得られる。本明細書において説明されるように、第1部分108の接触面は、人工弁100の再設置可能性をもたらすが、ステント固定フレーム104の第2部分110が拡張できると、第2部分110の自由頂部116は、さらなる再設置または再アライメントを防ぐことができる。
【0034】
他の実施形態では、第2部分110の可撓性は、ステント・フレーム部材106を形成する際に可撓性のより高い材料を使用することによって、および/またはステント・フレーム部材106の第1部分108と比較して小さい断面直径を有するステント・フレーム部材106の第2部分110を形成することによって、変化させることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、ステント固定フレーム104の第2部分110の方が可撓性が大きいことによって、ステント固定フレーム104が、体内管腔の表面の曲線および/または凹凸に適合する可能性が増加する。体内管腔に適合することによって、ステント固定フレーム104の第2部分110は、体内管腔壁にそれ自体をより適切に埋め込み、ステント固定フレーム104の移動を防ぎ、それによって弁フレーム102の移動を防ぐことができる。
【0036】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、ステント固定フレーム104の第2部分110は、長手方向において第1部分108の近位に設置される。さらに、理解されるように、5つのステント・フレーム部材106を有する第2部分110が図示されているが、第2部分110は5つより多くまたは5つより少ないステント・フレーム部材106を含むことができる。
【0037】
ステント固定フレーム104の第1部分108と同様に、第2部分110の可撓性および/または強度は、フレーム部材106の厚さを変更することによって、フレーム部材106の断面形状を変更することによって、および/または所望の可撓性および強度を有する材料を選定することによって、調整可能である。さらに、可撓性および/または強度は、ステント・フレーム部材106によって形成された頂部114の間のコネクタ112の数を増加または減少させることによって所望の値に合わせることができる。コネクタ112の数を増加させることによって、可撓性は減少可能であるが、強度は増加可能である。
【0038】
いくつかの実施形態では、ステント固定フレーム104は、ステント固定フレーム104の外面の少なくとも1部分の周囲にカバーを含むことができる。このカバーは、たとえば延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)または他の材料から形成可能である。
【0039】
図1に示されるように、ステント固定フレーム104は、頂部114が点状に形成される構成を有するステント・フレーム部材106を有することができる。ステント・フレーム部材106の他の実施形態も可能である。
【0040】
図2は、ステント固定フレーム204の1実施形態の展開図を示す。図2は、異なる長手方向の可撓性を有するステント・フレーム部材206を有するステント固定フレーム204の第2部分210を示す。図示されるように、第2部分210はステント・フレーム部材206を含み、このステント・フレーム部材206は、交互に高可撓性ステント・フレーム部材215と低可撓性ステント・フレーム部材217となる。本明細書では、「高」および「低」という用語は、ステント・フレーム部材206を互いに比較した場合の可撓性の程度を指す。
【0041】
高可撓性ステント・フレーム部材215は、低可撓性ステント・フレーム部材217より薄いステント・フレーム部材206であり、付加的な構造的起伏を有する。高可撓性ステント・フレーム部材215をそのようなものとして形成することによって、高可撓性ステント・フレーム部材215も低可撓性ステント・フレーム部材217も、ステント固定フレーム204の長さに沿って、同じ径方向寸法に拡張し、均一な径方向強度を有する。しかしながら、高可撓性ステント・フレーム部材215は、長手方向に、より高い可撓性を有することができる。
【0042】
さらに、図2に示される交互に変わるステント・フレーム部材206を含むことによって、第2部分210は、交互に変わるステント・フレーム部材206のない(たとえば、低可撓性ステント・フレーム部材217のみを含有する)第2部分210と比較して長手方向に増加された可撓性を有することができる。一方、いくつかの実施形態では、代替設計がなくても第2部分210が高可撓性ステント・フレーム部材215を含有するときにさらに大きな可撓性を備えた、図2に示される第2部分210が形成され得る。
【0043】
さらに、図示されないが、第1部分が低可撓性ステント・フレーム部材217からなるときに、ステント固定フレーム204の第2部分210がステント固定フレーム204の第1部分より大きな可撓性を有することが、当業者には理解されよう。
【0044】
当業者には理解されるように、図2は、ステント固定フレーム204の可撓性をどのようにして調整するかを示す1例である。ステント・フレーム部材206は、ステント固定フレーム204において所望の可撓性を得るために、異なる幅、起伏の頻度、および/または材料を有することができる。さらに、この実施形態は、ステント固定フレーム204の拡張性または径方向の強度を損なうことなくステント固定フレーム204の可撓性を更に向上させる手法を示す。
【0045】
いくつかの実施形態では、高可撓性ステント・フレーム部材215および低可撓性ステント・フレーム部材217からなる構成を使用して、ステント固定フレーム204の長手方向の長さに沿って異なる直径を有するステント固定フレーム204を作製することができる。種々の実施形態では、交互に変わるステント・フレーム部材、たとえば高可撓性ステント・フレーム部材215の1つの長さは、たとえば高可撓性ステント・フレーム部材215を、低可撓性ステント・フレーム部材217と比較してより大きな寸法に拡張させるために延長可能である。
【0046】
図3Aは本開示によるステント固定フレーム304の1実施形態の展開図を示し、図3Bは本開示によるステント固定フレーム304の1実施形態の平面図を示す。図3Aは、頂部314が湾曲しているステント固定フレーム304の1例を提供する。さらに、図3Aは、第1部分308と第2部分310の両方を示す。この実施形態では、第1部分308は、ステント・フレーム部材306によって形成された各頂部314の間にコネクタ312を含む。ただし、第2部分310では、ステント・フレーム部材306によって形成された各頂部314の間に含まれるコネクタ312の数は、各頂部314の間の数より少ない。本明細書において説明されるように、頂部314の間に含まれるコネクタ312の数が各頂部314の間の数より少ないことによって、第2部分310は第1部分308より可撓性が高くなり得る。
【0047】
図3Aに示されるように、いくつかの実施形態では、コネクタ312は、ステント・フレーム部材306によって形成されたある程度の頂部314の間に含まれ、それにより、コネクタ312のない第2部分310の区域と比較して、第2部分310のある程度の区域の可撓性を減少させることができる。
【0048】
図3Aに示されるように、ステント固定フレーム304の第2部分310では、ステント固定フレーム304の上部320と中部318の間ならびに下部322と中部318の間におけるステント固定フレーム304の部分と比較して、ステント固定フレーム304の中部318内ならびにステント固定フレーム304の上部320および下部322に含まれるコネクタ312の量が増加する。
【0049】
図3Aに示されるステント固定フレーム304はステント固定フレーム304の展開図なので、人工弁が略円筒形になると、ステントの中部318、上部320、および下部322が径方向に互いに対向することが当業者には理解され得る。この実施形態では、径方向に対向する2つの区域におけるコネクタ312の量が増加することによって、ステント固定フレーム304において、コネクタ312の量が増加する区域の方が可撓性が低くなる。他のコネクタ構成も可能である。
【0050】
本明細書において説明されるように、ステント固定フレーム304は略円筒形とすることができる。いくつかの実施形態では、ステント固定フレーム304の第2部分310の近位端324は、ステント固定フレーム304の中心軸326から径方向外向きの方向にラッパ形に広がることができる。いくつかの実施形態では、第2部分310の最も近位のフレーム部材328は、他のステント・フレーム部材306の展開直径より大きい展開直径に拡張可能である。種々の実施形態では、第2部分310の近位端324における2つ以上のステント・フレーム部材306は、他のステント・フレーム部材306より大きい展開直径に拡張することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、ステント固定フレーム304の部分は、さまざまな直径に拡張することができる。たとえば、ステント固定フレーム304は、2つの端部部分330より大きな直径に拡張する中央部分329を有し、球状形状の中央部分329を作り出すことが可能である。一方、2つの端部部分330は、中央部分329より大きな直径に拡張することができる。さらに、ステント固定フレーム304は、人工心臓弁に含まれる弁フレームとは異なる直径に拡張可能である。他の構成も可能である。
【0052】
いくつかの実施形態では、さまざまな材料または類似しているが後処理が異なる材料から形成されるステント・フレーム部材306を含むことによって、さまざまな直径を実現することができる。種々の実施形態では、本明細書において図2を参照して説明されるように、より長い長さを有するステント・フレーム部材306は、短い長さを有するステント・フレーム部材306と比較して、より大きく圧縮することが可能で、より長い長さを有するステント・フレーム部材306はいったん拡張可能になると、より大きな直径に拡張することができる。
【0053】
図1に戻ると、本明細書において説明されるように、人工弁100の諸実施形態は弁フレーム102を含む。弁フレーム102は、人工弁100を通過する液体の1方向の流れ用の可逆的に封止可能な開口を画定する面を有する弁尖132を含む。たとえば、弁尖132は、人工弁100の内腔を通過する流体の流れを測定および制御するように弁フレーム102に結合され得る。本実施形態では、人工弁100は、3尖構成用に3つの弁尖132を含む。理解されるように、単尖構成、2尖構成、および/または多尖構成も可能である。弁尖132のそれぞれは弁フレーム102に結合され、弁尖132が人工弁100の内腔を通過する液体の1方向の流れに対して開状態と閉状態の間を繰り返し遷移することができる。
【0054】
図1に示されるように、弁尖132は、弁フレーム102の遠位端134において弁フレーム102に結合され、弁フレーム102のほぼ中央に延びることができる。図1に示されるように、弁尖132は、逆流を防ぎながら流体が人工弁100を通過できるようにする目的で閉構成と開構成の間を遷移するために、自由縁部136を含むことができる。
【0055】
1実施形態では、弁尖132は、自己由来材料、同種異系材料、または異種移植材料に由来することができる。理解されるように、異種移植材料(たとえば、心臓弁)の起源には、ブタ、ウマ、ウシ、およびヒツジなどの哺乳動物起源が含まれるが、これらに限定されない。弁尖104を形成する追加の生物学的材料には、外植された静脈、心膜、大腿筋膜、採取した心臓弁、膀胱、静脈壁、種々のコラーゲン型、エラスチン、腸の粘膜下組織、および小腸粘膜下組織(SIS)、羊膜組織、または臍静脈などの脱細胞化された基底膜材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
あるいは、弁尖132は、合成材料から形成可能である。使用可能な合成材料には、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレン(SIBS)、ポリウレタン、セグメント化ポリ(カーボネート−ウレタン)、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、絹、ウレタン、レーヨン、シリコンなどがあるが、これらに限定されない。追加の実施形態では、合成材料は、ステンレス鋼(たとえば、316L)およびニチノールなどの金属も含むことができる。これらの合成材料は、織物、ニット、鋳物、または他の知られている物理的な流体不透過性または透過性の構成とすることができる。さらに、メッキ金属(たとえば、金、白金、ロジウム)は、配置後の弁尖132の可視化を可能にするために弁尖132の材料に埋め込み可能である(たとえば、サンドイッチ構成)。
【0057】
弁尖132は、当技術分野で知られているように、これらの例示的な材料、または他の材料と組み合わせたこれらの材料の任意の組み合わせでも形成可能である。知られているさまざまな治療および/またはコーティングも弁尖132に含めることができる。
【0058】
弁フレーム102は、図1に示されるように、弁フレーム102を形成して弁フレーム102をステント固定フレーム104に結合する弁フレーム部材105を含む。弁フレーム部材105は、弁尖132を取り付ける面ならびに人工弁100が治療部位に設置されたときに体内管腔壁を係合する面を形成することもできる。
【0059】
図示されるように、弁フレーム部材105は、すべての弁フレーム自由縁部138が人工弁100の遠位端134の方向を向くように、互いに結合される。すべての弁フレーム自由縁部138が人工弁100の遠位端134の方向を向くように弁フレーム102を形成することによって、本明細書において説明されるように、ステント固定フレーム104の第1部分108と弁フレーム102とは、接触面を有する人工弁100の長さ140を画定する。接触面によって、本明細書においてさらに説明されるように、送達装置からの送達中にステント固定フレーム104の第1部分108および弁フレーム102が部分的拡張状態であるとき、送達装置は、2つの長手方向で長さ140の全体にわたって繰り返し摺動できる。
【0060】
本明細書において説明されるように、本開示の弁フレーム102は、拡張状態すなわち展開状態にあるときに適切な径方向剛性を形成する弁フレーム部材105を含むことができる。適切な径方向剛性には、弁フレーム102が円筒形状を確実に維持するのに十分な剛性が含まれ、それにより弁尖132が確実に適切に開閉する。また、適切な径方向剛性によって、弁周囲漏出がない、言い換えると、弁100と大動脈のインタフェースの間に確実に漏出がないようになる。人工弁100は閉鎖して全身血圧を保つので人工弁100の移動の機会を最小限にするように、径方向剛性によって人工弁100と体内管腔壁の十分な相互作用を確実に形成することもできる。
【0061】
いくつかの実施形態では、弁フレーム102は、移行ゾーン142を含むことができ、この移行ゾーン142は弁尖132とステント固定フレーム104の間に設置され、ステント固定フレーム104の遠位端144に結合される。図1に示されるように、いくつかの実施形態では、移行ゾーン142は、ステント固定フレーム104の第1部分108の遠位端144に隣接して設置される。
【0062】
種々の実施形態では、移行ゾーン142は、ステント固定フレーム104の遠位端144に結合された移行ゾーン部材146を含むことが可能である。移行ゾーン部材146は、液体が弁フレーム102を通過することによって弁フレーム102にかかる負荷をステント固定フレーム104に分散する際に有用である場合がある。本明細書において説明されるように、ステント固定フレーム104の第1部分108は、ステント・フレーム部材106によって形成された各頂部114に設置されたコネクタ112を含むことができる。液体が弁フレーム102を通過するので、移行ゾーン部材146はステント固定フレーム104に負荷を伝達することができ、第1部分108の構成は、第1部分108の全体にわたって均一に負荷を伝達する。したがって、移行ゾーン部材146は、弁フレーム102とステント固定フレーム104との間の距離をほぼ静的に保つ硬質材料から形成可能である。
【0063】
いくつかの実施形態では、移行ゾーン部材146は、移行ゾーン部材146が長い疲労寿命、いくらかの圧縮強度、および高い引張強度を有するように形成され得る。いくつかの実施形態では、移行ゾーン部材146は、径方向には可撓性であるが長手方向には非可撓性であるケーブルから形成可能である。いくつかの実施形態では、移行ゾーン部材146は、網状(braided)部材から形成され得る。種々の実施形態では、移行ゾーン部材146は、ソリッド・コアを芯とするケーブルから形成可能である。図1に示されるように、人工弁100は、3つの移行ゾーン部材146を含むことができる。ただし、本開示の諸実施形態は、3つより多いかまたは少ない移行ゾーン部材146を含むことができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、弁フレーム102は、弁フレーム102の遠位端134上の支持リング148を含むことができる。この支持リング148を含むことによって、弁フレーム102に含まれるフレーム部材105の量を減少させることができる。さらに、いくつかの実施形態では、支持リング148は、中心軸126から径方向外向きの方向にラッパ形に広がることが可能である。さらに、支持リング148のない弁フレーム102の実施形態は、中心軸126から径方向外向きの方向にラッパ形に広がった、弁フレーム102の遠位端134を含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、弁フレーム102は、弁フレーム102の外面を囲むファブリック・チューブを含むことができる。このファブリック・チューブは、弁フレーム102が体内管腔壁において液密シールを形成できる可能性を増加させることができる。言い換えると、ファブリック・チューブは、液体が弁フレーム102の中ではなく、弁フレーム102の周囲を流れるのを防ぐことが可能である。
【0066】
人工弁100は、1つまたは複数の放射線不透過性マーカ(たとえば、タブ、スリーブ、溶接部)をさらに含むことができる。たとえば、弁フレーム102および/またはステント固定フレーム104の1つまたは複数の部分は、放射線不透過性材料から形成可能である。放射線不透過性マーカは、弁フレーム102および/またはステント固定フレーム104に沿って、1つまたは複数の場所に取り付けおよび/またはコーティングすることができる。放射線不透過性材料の例としては、金、タンタル、および白金があるが、これらに限定されない。1つまたは複数の放射線不透過性マーカの位置は、人工弁100の植え込み中にその位置、場所、および向きに関する情報をもたらすように選択され得る。
【0067】
理解されるように、人工弁100は、任意の数の表面処理または材料処理によって処理および/またはコーティング可能である。このような処理の例としては、血栓症を緩和する薬剤、細胞の内部成長、貫通成長(throughgrowth)、および内皮化を促進する薬剤、抗感染症剤、および石灰化抑制剤などの生物活性剤があるが、これらに限定されない。
【0068】
いくつかの実施形態では、人工弁100は、たとえばスタンピング、穿孔、切断、鍛造、剪断、機械加工、エッチングなどによって、シートおよび/またはビレットから製作される1つまたは複数の構造および/または下位要素を含むことができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、弁フレーム102は人工弁100を体内管腔に固着するための固着部材を含むことができ、この部材はフック、返し、棘部、突起などを含むが、これらに限定されない。固着部材は、弁フレーム102および/またはステント固定フレーム104上において、外面上においてまたはその周囲に、もしくはステント固定フレーム104の近位端124、ステント固定フレーム104の遠位端144、および/または弁フレーム102の遠位端134において、配置することができる。いくつかの実施形態では、弁フレーム102は、たとえば、薬物、治療薬、抗凝固剤、抗増殖剤、抗炎症剤、および/または組織増殖調節剤などの、当技術分野で知られている1つまたは複数の生物活性化合物および/または活性化学物質(active chemical entity)を含む。
【0070】
図4Aおよび図4Bは、本開示による弁フレーム402の1実施形態を示す。図4Aは、弁フレーム402の展開図を示す。図示されるように、弁フレーム402は、弁フレーム部材405と、追加の弁フレーム部材450も含む。この追加の弁フレーム部材450は、球状部分452を有する弁フレーム402を形成することができる。
【0071】
図4Bに示されるように、球状部分452を含む弁フレーム402は、球状部分452を形成可能な突起456を含むマンドレル454上に弁フレーム402をヒート・セットすることによって形成可能である。弁フレーム402の球状部分452は、弁尖と体内管腔壁の間の面積の増加、すなわち湾曲(sinus)をもたらすことができる。湾曲を増加させると、閉鎖位置にあるときの弁尖の後ろの血流が増加可能であり、使用時に複数の弁尖を共に封止するのに役立つことが当業者には理解されよう。
【0072】
図5は、本開示による弁フレーム502の1実施形態の展開図を示す。弁フレーム502も、球状部分552を含むことができる弁フレーム502を示す。さらに、弁フレーム502は、使用時に弁フレーム502を適切な場所に固着する目的で弁フレーム502のさらなる支持を設け、追加の径方向剛性を形成するために、弁フレーム部材505と、弁フレーム502の遠位端534近傍に追加の弁フレーム部材550も含むことができる。
【0073】
本開示の他の諸態様では、体内管腔内で人工弁を治療場所に送達するための送達装置が、それらを使用するための方法と同様に提供される。送達装置、すなわちシステムは、経皮的大動脈弁置換術など低侵襲の介入処置における使用に特に適合されている。
【0074】
図6A〜図6Eは、本開示によるシステム658の1実施形態を示す。このシステム658は、細長い送達カテーテル660、この細長い送達カテーテル660の少なくとも1部分の周囲に設置された引き込み可能な第1シース662、およびたとえば引き込み可能な第1シース662の近位に設置された引き込み可能な第2シース664に取り外し可能に接合された、本明細書において説明される人工弁600を含む。人工弁600は、細長い送達カテーテル660と引き込み可能な第1シース662の間に設置可能である。
【0075】
図6A〜図6Eで示される実施形態では、細長い送達カテーテル660は、細長い送達カテーテル660を貫通するカテーテル内腔を含むことができる。いくつかの実施形態では、このカテーテル内腔は、人工弁600の配置を導くためのガイドワイヤを受容することができる。
【0076】
図6Aに示されるように、引き込み可能な第1シース662は、送達状態、すなわち未展開状態の人工弁600を取り外し可能に保持するように設置可能である。いくつかの実施形態では、引き込み可能な第1シース662は、約5ミリメートル(mm)の直径を有することができる。他の寸法も可能である。
【0077】
さらに、引き込み可能な第1シース662は、細長い送達カテーテル660に対して長手方向に動いて(たとえば、摺動し)、人工弁600が径方向に拡張してその送達状態から展開状態になるようにする。いくつかの実施形態では、引き込み可能な第1シース662の近位端666を細長い送達カテーテル660の近位端668の方に引っ張ることによって、引き込み可能な第1シース662を細長い送達カテーテル660に対して動かすことができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、引き込み可能な第1シース662は、引き込み可能な第1シース662の内面に内壁を含むことができる。内壁は、引き込み可能な第1シース662を封止しながらも、人工弁600と引き込み可能な第1シース662の摩擦を低減することができる。内壁は、たとえばナイロン、ダクロン、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、および/または他の材料から形成可能である。
【0079】
引き込み可能な第1シース662は、多数の可能な構成を有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、引き込み可能な第1シース662は、金属、金属合金、および/またはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、混合物、およびそれらのブロック共重合体などのポリマーから形成された可撓性のある管とすることができる。図7A〜図7Cは、本開示の諸実施形態による引き込み可能な第1シース762の実施形態を示す。引き込み可能な第1シース762は、図示されるように、溝付き管の構成を有する。
【0080】
図7Aは、溝が90度ずらされた引き込み可能な第1シース762を示す。図7Bは、溝が45度ずらされた引き込み可能な第1シース762を示す。同様に、図7Cは、溝が約12〜13度ずらされた引き込み可能な第1シース762を示す。溝付き管の構成を有することによって、引き込み可能な第1シース762の可撓性は、所望の可撓性に変化させることができる。たとえば、図7Cに示される引き込み可能な第1シース762は、等しい寸法を有する同じ材料から形成されるとき、図7Aに示される引き込み可能な第1シース762より高い可撓性となり得る。
【0081】
図6A〜図6Eに戻ると、図6Bは、ステント固定フレーム604の第1部分608および第2部分610を送達状態に保持しながら弁フレーム602を径方向に拡張できるように引き込み可能な第1シース662が部分的に引き込まれているときの、システム658を示す。図示されるように、弁フレーム602は展開状態に拡張する。このような実施形態では、弁フレーム602はたとえば、約5mmの直径から約25mmの直径に拡張することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、弁フレーム602および/またはステント固定フレーム604の直径は展開時に体内管腔の寸法より0〜25パーセント大きい寸法を備えることができる。展開されると、弁フレーム602および/またはステント固定フレーム604は、治療場所において体内管腔の寸法を拡張することができる。このようにして、人工弁600は、人工弁600の周縁の周囲で流体が漏出するおそれを低減することができる。さらに、人工弁600の強度および堅さによって、人工弁600は、利用されると、人工弁600が移動する可能性を減少させるために、体内管腔に適した付着(apposition)を有することができる。
【0083】
図6Bは、細長い送達カテーテル660が、引き込み可能な第1シース662が引き込まれるときに人工弁600を所定の位置に保持するためのストッパ670を含み得ることも示す。同様に、部分的展開のこの段階中、ステント固定フレーム604は引き込み可能な第1シース662によって拘束された状態を維持することができる。流体も弁フレーム602を通過して送達システム658の周囲を自由に流れることができる。
【0084】
図6Bはまた、弁フレーム602とステント固定フレーム604を結合する、本明細書において説明される移行ゾーン部材646を示す。移行ゾーン部材646は、ステント固定フレーム604の第1部分608は拘束された状態を維持しながら弁フレーム602が十分に拡張できるように、径方向に拡張することができる。いくつかの実施形態では、移行ゾーン部材646は、弁フレーム602が完全に展開できるように形成される。
【0085】
弁フレーム602が拡張すると、それが満足できる位置にあるかどうかを決定するために、弁フレーム602の位置およびアライメントを監視することができる。弁フレーム602が正しく設置されない場合、本開示の諸実施形態では、人工弁600の再設置が可能である。
【0086】
いくつかの実施形態では、引き込み可能な第2シース664は、引き込み可能な第1シース662の近位に設置可能である。引き込み可能な第2シース664は送達状態で治療部位に送達されることができ、弁フレーム602を再設置するために弁フレーム602が展開されると拡張可能である。いくつかの実施形態では、引き込み可能な第2シース664は、壁ステントとすることができ、壁ステントの遠位端および近位端は、壁ステントの直径を拡張するために互いに向かって押される。
【0087】
種々の実施形態では、引き込み可能な第2シース664は、図6Bに示されるように、送達状態でヒート・セットされることが可能で、引き込み可能な第2シース664が歪みおよび/または応力を受けないとき、引き込み可能な第2シース664は送達状態に戻ることができる。
【0088】
たとえば、引き込み可能な第2シース664は、引き込み可能な第2シース664の遠位端674に取り付けられたケーブル672と、引き込み可能な第2シース664の近位端678に結合された拡張可能部材676とを含むことができる。ケーブル672は細長い送達カテーテル660の近位端668に向かって引っ張られることができ、拡張可能部材676は細長い送達カテーテル660の遠位端680に向かって押されることが可能である。いくつかの実施形態では、拡張可能部材676は、引き込み可能な第2シース664が拡張するときに分離できる引き込み可能な第2シース664の近位端678に結合された指部682を含むことができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるように、引き込み可能な第2シース664は拡張状態でヒート・セットされることができ、引き込み可能な第2シース664は、外側のシースを使用して歪み下で送達可能で、外側のシースを引き込むことによって拡張され得る。
【0090】
図6Cは、引き込み可能な第2シース664が拡張されているときのシステム658を示す。図示されるように、引き込み可能な第2シース664は、引き込み可能な第2シース664が引き込み可能な第1シース662および引き込み可能な第1シース662に関連するストッパ670の上を前進できる直径に拡張することができる。いくつかの実施形態では、引き込み可能な第2シース664は、約1〜約5mmから約10〜約20mmの範囲の直径に拡張することができる。
【0091】
図6Cに示されるように、引き込み可能な第1シース662はステント固定フレーム604の第1部分608および第2部分610の上に設置可能である。いくつかの実施形態では、引き込み可能な第1シース662は、ステント固定フレームの第1部分608が部分的に拡張できるように、さらに引き込み可能である。次に、図6Dに示されるように、引き込み可能な第2シース664は、ステント固定フレーム604の第1部分608および/または弁フレーム602の接触面の上を前進して、人工弁600を圧縮することができる。このようにして、弁フレーム602の直径が減少され、弁フレーム602の再設置が可能になる。
【0092】
図6Dは、引き込み可能な第2シース664が弁フレーム602および/またはステント固定フレーム604の第1部分608の上を前進して弁フレーム602およびステント固定フレーム604の第1部分608を収縮させているときのシステム658を示す。
【0093】
いくつかの実施形態では、引き込み可能な第2シース664は、いくつかの拡張可能なリングが可撓性のある管によって接続されるリング構造から形成可能である。拡張可能なリングは、直径約5mmで送達された後に約10mmの直径に拡張して、第2シースが再設置装置として機能できるようにする。いくつかの実施形態では、引き込み可能な第2シース664に、ステント固定フレーム604の第1部分608および/または弁フレーム602の上に容易に摺動できる、たとえばePTFEの低摩擦面で内側を覆うことができる。
【0094】
図6Dに示されるように、いくつかの実施形態では、弁フレーム602を細長い送達カテーテル660の遠位端680に向かって押さなくても第2シース664が弁フレーム602および/またはステント固定フレーム604の第1部分608を再び収縮可能にするために、細長い送達カテーテル660は、引き込み可能な第2シース664が細長い送達カテーテル660の遠位端680に向かって動かされるときに人工弁600を所定の位置に保持するための1つまたは複数のケーブル部材684を含むことができる。ケーブル部材684は、いくつかの異なる場所に、場所の中でも特に、たとえば図示された弁フレーム602の移行ゾーン642に、ステント固定フレーム604の第1部分608に、ステント固定フレーム604の遠位端644に、および/またはステント固定フレーム604の近位端624に、設置可能である。
【0095】
人工弁600が第2シース664内に再び拘束されると、人工弁600を再設置することができ、第2シース664は弁フレーム602を再展開するように引き込み可能である。この方法は、弁フレーム602の位置、安定性、および機能が満足できるまで繰り返すことができる。弁フレーム602が満足できる位置に達すると、図6Eに示されるように、引き込み可能な第2シース664および引き込み可能な第1シース662は、人工弁600が十分に拡張できるように引き込み可能である。
【0096】
システム658を除去するために、引き込み可能な第2シース664は、引き込み可能な第2シースの近位端678に結合された拡張可能部材676および引き込み可能な第2シース664を所定の位置に保持するケーブル672を解放することによって、収縮され得る。引き込み可能な第2シース664が送達状態に戻ると、システム658を除去することができる。
【0097】
引き込み可能な第2シースを拘束するために引き込み可能な第2シース664が外側のシースと共に送達される諸実施形態では、システム658は、ケーブル672が引き込み可能な第2シース664を所定の位置に保持しながら引き込み可能な第2シースの近位端678に結合された拡張可能部材676を細長い送達カテーテル660の近位端668に向かって引っ張って引き込み可能な第2シース664を収縮させることによって除去可能である。引き込み可能な第2シース664が収縮すると、システム658を除去することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、システム658は、引き込み可能な第2シース664を含むのではなく、展開された弁フレーム602の上で引き込み可能な第1シース664を摺動させることによって人工弁600の再設置を達成する。このような実施形態では、移行ゾーン部材646は、弁フレーム602が約25mmの直径から約5mmに収縮しながら弁フレーム602を所定の位置に保持するように増加された強度で形成可能である。
【0099】
いくつかの実施形態では、細長い送達カテーテル660は遠位先端686を含むことができる。この遠位先端686は、先端直径のサイズが細長い送達カテーテル660の遠位端680で点に減少する円錐形の構成を有することができる。たとえば、システム658は、人工弁600において5mmの直径を有し、細長い送達カテーテル660の遠位端680において2mmの直径に減少することができる。
【0100】
本明細書において説明されるように、人工弁600は自己拡張可能な材料またはばね付勢を有する材料から形成可能であり、人工弁600は、引き込み可能な第1シース662および/または引き込み可能な第2シース664が除去されると拡張することができる。いくつかの実施形態では、体内管腔の内部に人工弁600を固着するために、拡張可能なバルーンを含むことが可能である。
【0101】
いくつかの実施形態では、拡張可能なバルーンは灌流バルーンとすることができる。灌流バルーンは、人工弁600が血管系に設置されている間に流体たとえば血液に送達カテーテル660および人工弁600を通過させながら弁フレーム602を径方向に拡張するために使用可能である。
【0102】
送達カテーテル660は、いくつかの材料から形成可能である。材料には、引き込み可能な第1シース662に関して本明細書において説明されたように、PVC、PE、PET、ポリアミド、混合物、それらのブロック共重合体などのポリマーがある。さらに、送達カテーテル660、引き込み可能な第1シース662、および/または引き込み可能な第2シース664のそれぞれは、本明細書において説明されるように各構造が互いに対して長手方向に摺動し、本明細書において説明されるように人工弁600を送達状態に維持できるのに十分な肉厚および内径を有することができる。
【0103】
追加の実施形態では、人工弁600は、弁フレーム602の周縁上に設置された封止材料をさらに含むことができる。1実施形態では、封止材料は、植え込まれると人工弁600の外側周囲での液体の漏出を防ぐように、弁フレーム602と人工弁600が植え込まれた組織との間の体積を埋めるように液体が存在するので膨張することができる。
【0104】
封止材料に適したさまざまな材料が可能である。たとえば、封止材料は、多糖類、タンパク質、および生体適合性ゲルを含む材料の一般的なクラスから選択され得る。これらの高分子材料の具体例としては、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチルオキサゾリン)(PEOX)ポリアミノ酸、プソイドポリアミノ酸、およびポリエチルオキサゾリンから誘導された材料、ならびに互いまたは他の水溶性ポリマーまたは水不溶性ポリマーを有するこれらの共重合体があるが、これらに限定されない。多糖類の例には、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、キトサン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、水溶性セルロース誘導体、およびカラギーナンから誘導された多糖類がある。タンパク質の例としては、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ゼイン、およびアルブミンから誘導されたタンパク質があり、自然起源から製造されたものか組換え体起源から製造されたかは問わない。
【0105】
いくつかの実施形態では、ステント固定フレーム604は、人工弁600の外側周囲での液体の漏出を防ぐためにステント固定フレーム604を囲む密封帯を含むことができる。この密封帯は、ポリウレタンまたは他のポリマーなどの比較的軟かい生体適合性材料から構成可能である。いくつかの実施形態では、密封帯は、多孔性であってもよいし、または流体にさらされると拡張または膨張し、それによって密封帯の機能を向上させることができる。密封帯は、接着剤、固定剤、または薬物または他の材料といった治療薬などの機能性組成物を含んでよい。
【0106】
本明細書において説明された人工弁600の諸実施形態は、1つまたは複数の体内管腔内の弁構造を置換、補助、または強化するために使用することができる。たとえば、本発明の諸実施形態は、心臓の大動脈弁および/または肺動脈弁など、心臓の閉鎖不全の心臓弁を置換するために使用可能である。1実施形態では、自然心臓弁は、本開示の心臓弁を植え込む前に所定の位置に残しておいてもよいし、(たとえば、弁形成術により)除去してもよい。
【0107】
さらに、本明細書において説明される人工弁600を有するシステム658を設置する工程は、低侵襲性の経皮経管術を使用して患者の心血管系にシステムを導入する工程を含む。たとえば、ガイドワイヤは、所定の場所を含む、患者の心血管系内に設置可能である。本明細書において説明される人工弁600を含む本開示のシステム658はガイドワイヤの上に設置可能であり、システム658は、所定の場所にまたはこれに隣接して人工弁600を設置するように前進することができる。1実施形態では、本明細書において説明されるように、カテーテル660および/または人工弁600上の放射線不透過性マーカは、人工弁600の位置を決めて設置するのを助けるために使用可能である。
【0108】
本明細書において説明されるように、人工弁600は、いくつもの方法で所定の場所においてシステムから展開可能である。1実施形態では、本開示の人工弁600は、心血管系の任意の数の場所に展開して配置することが可能である。たとえば、人工弁600は、患者の主幹動脈内に展開して配置することができる。1実施形態では、主幹動脈には大動脈があるが、これに限定されない。さらに、本発明の弁は、静脈内に展開して配置することが可能である。他の場所も可能である。
【0109】
人工弁600は、植え込まれると、弁尖632が人工弁600と体内管腔壁の間の逆流を防ぐことができるようにするために体内管腔壁との十分な接触を提供することができる。さらに、ステント固定フレーム604は、人工弁600の位置をしっかりと決めて、人工弁600の移動を防ぐことが可能である。本明細書において説明される人工弁600は、人工弁600の適切な配置を維持しながら体内管腔の直径の変化に対応するように、十分な可撓性および弾性も示す。本明細書において説明されるように、人工弁600は、人工弁600を通過するおよびその周囲の逆流量を減少させるように管腔を係合することができる。ただし、弁フレーム602と体内管腔の間に、および/または弁尖632を通過する、いくらかの漏出または流体の流れが生じる可能性があることは理解されたい。
【0110】
本発明を上記で詳細に図示し説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更および修正を加えることができることが当業者には明らかであろう。したがって、前述の説明および添付の図面に記載されたことは、限定としてではなく単なる例示として示されたものである。本発明の実際の範囲は、添付の特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲と共に特許請求の範囲によって定義されるものである。さらに、本開示を読んで理解すれば、本明細書において説明された本開示の他の変形形態が本発明の範囲に含まれ得ることが当業者には理解されよう。
【0111】
前述の「発明を実施するための形態」では、開示を簡素化するために、種々の特徴がいくつかの実施形態にまとめられている。この開示方法は、本発明の実施形態が、各請求項に明白に記載されるより多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が反映しているように、本発明の主題は開示される単一の実施形態のすべての特徴より少ない特徴にある。したがって、添付の特許請求の範囲はこれによって「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として独立したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁フレーム部材(105、405、450、505、550)を含む拡張可能な弁フレーム(102、402、502、602)と、
該弁フレーム(102、402、502、602)に結合された弁尖(132、632)と、
該弁フレーム(102、402、502、602)に結合され、かつ第1部分(108、308、608)および該第1部分(108、308、608)より大きな可撓性を有する第2部分(110、210、310、610)を画定するステント・フレーム部材(106、206、306)を含む拡張可能なステント固定フレーム(104、204、304、604)と、からなる経皮的人工心臓弁(100、600)であって、
該第1部分(108、308、608)と該弁フレーム(102、402、502、602)とが長さ(140)を画定し、該長さ(140)に沿った該ステント・フレーム部材(106、206、306)と該弁フレーム部材(105、405、450、505、550)とが、送達装置(662、762)からの送達中に該第1部分(108、308、608)および該弁フレーム(102、402、502、602)が部分的拡張状態にあるときに該送達装置(662、762)が2つの長手方向で該長さ(140)全体にわたって繰り返し摺動できる接触面を形成する、経皮的人工心臓弁(100、600)。
【請求項2】
前記弁フレーム(102、402、502、602)が、前記弁フレーム(102、402、502、602)の近位端に設置された移行ゾーン(142、642)を含む、請求項1に記載の弁(100、600)。
【請求項3】
前記移行ゾーン(142、642)が、前記ステント固定フレーム(104、204、304、604)の遠位端(144、644)に結合された移行ゾーン部材(146、646)を含む、請求項1または2に記載の弁(100、600)。
【請求項4】
前記移行ゾーン部材(146、646)が、前記ステント固定フレーム(104、204、304、604)の前記第1部分(108、308、608)に結合される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の弁(100、600)。
【請求項5】
前記弁フレーム(102、402、502、602)が、前記弁フレーム(102、402、502、602)の前記遠位端(134、534)に支持リング(148)を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の弁(100、600)。
【請求項6】
前記弁フレーム(102、402、502、602)および前記ステント固定フレーム(104、204、304、604)が円筒形であり、かつ前記弁フレーム(102、402、502、602)の遠位端(134、534)および前記ステント固定フレーム(104、204、304、604)の近位端(124、324)が外向きの方向にラッパ形に広がる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の弁(100、600)。
【請求項7】
前記ステント固定フレーム(104、204、304、604)の前記第2部分(110、210、310、610)が、長手方向において前記ステント固定フレーム(104、204、304、604)の前記第1部分(108、308、608)の近位に設置される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の弁(100、600)。
【請求項8】
前記ステント・フレーム部材(106、206、306)が、環状ステント・フレーム部材(106、206、306)であり、該環状ステント・フレーム部材(106、206、306)を接続する頂部(114、314)およびコネクタ(112、312)を有し、前記第1部分(108、308、608)においてコネクタ(112、312)が該環状フレーム部材によって形成された各頂部の間に設置され、前記第2部分(110、210、310、610)において該環状フレーム部材によって形成された各頂部の間に設置された該コネクタ(112、312)が各頂部の間の数より少ない、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の弁(100、600)。
【請求項9】
弁フレーム部材(105、405、450、505、550)を含む拡張可能な弁フレーム(102、402、502、602)を形成する工程と、
弁尖(132、632)を該弁フレーム(102、402、502、602)に結合する工程と、
第1部分(108、308、608)および該第1部分(108、308、608)より大きな可撓性を有する第2部分(110、210、310、610)を画定するステント・フレーム部材(106、206、306)を含むステント固定フレーム(104、204、304、604)を形成する工程と、
該ステント固定フレーム(104、204、304、604)を該弁フレーム(102、402、502、602)に結合する工程と、からなる方法であって、
該第1部分(108、308、608)と該弁フレーム(102、402、502、602)とが長さ(140)を画定し、該長さ(140)に沿った該ステント・フレーム部材(106、206、306)と該弁フレーム部材(105、405、450、505、550)が、送達装置(662、762)からの送達中に該第1部分(108、308、608)および該弁フレーム(102、402、502、602)が部分的拡張状態にあるときに引き込み可能なシース(662、762)が2つの長手方向で該長さ(140)全体にわたって繰り返し摺動できる接触面を形成する、方法。
【請求項10】
前記送達装置(662、762)上で、細長い送達カテーテル(660)と該細長い送達カテーテル(660)に対して長手方向に動く前記引き込み可能な第1シース(662、762)との間に、前記ステント固定フレーム(104、204、304、604)に結合された前記弁フレーム(102、402、502、602)を設置する工程を含む、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2011−507658(P2011−507658A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540650(P2010−540650)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/013888
【国際公開番号】WO2009/085206
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】