説明

結像光学素子および画像読取装置

【課題】簡素な構成で、しかも高精度な位置合わせを必要とせずに物体の正立等倍像を結像する。
【解決手段】原稿OBからの光線を入射させる入射側レンズ面LS1をX方向に配列したレンズ列がY方向に複数列設けられる入射部51と、光線を出射する出射側レンズ面LS2をX方向に配列したレンズ列がZ方向に複数列設けられる出射部53と、屈曲部位521で屈曲しながら入射部51と出射部53とを連結する連結部52とが一体化され、各入射側レンズ面LS1に入射された光線が屈曲部位521で反射されて各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2に導光されて原稿OBの正立等倍像を形成し、各入射側レンズ面LS1から各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2までの光路長が互いに等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物体からの光線を結像して正立等倍像を形成する結像光学素子および当該結像光学素子を用いた画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の結像光学素子は画像読取装置や露光装置などに使用されている。例えばイメージスキャナ、ファクシミリ、複写機、金融端末装置等では、コンタクトイメージセンサ(Contact Image Sensor)モジュール(以下、「CISモジュール」と略する)が画像読取装置として用いられている。このCISモジュールは、読み取り対象物に光を照射する光源部と、読み取り対象物の正立等倍像を結像する結像光学素子と、結像光学素子で結像された正立等倍像を読み取る光学センサーとを有しており、読み取り対象物に対して結像光学素子および光学センサーが直線上に配置されていた。このため、このような構成がイメージスキャナ等の薄型化を図る上で大きな問題となっている。そこで、CISモジュール自体の薄型化を図るために、例えば特許文献1に記載されているように、集束性ロッドレンズアレイと直角プリズムとを組み合わせる技術が提案されている。この従来技術では、原稿(物体)からの光を直角プリズムで90゜方向を変え、原稿台と平行な方向に配置された集束性ロッドレンズアレイに導き、その後イメージセンサーに結像するように構成しているため、装置の薄型化が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−145960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、直角プリズムと集束性ロッドレンズアレイとは互いに独立した光学部品であるため、直角プリズムと集束性ロッドレンズアレイとを高精度に位置合せを行うことは難しい。また結像光学素子の製造にあたっては、これら複数の部品を組み立てる必要があり、結像光学素子のコスト増大の主要因のひとつとなっていた。
【0005】
この発明にかかるいくつかの態様は、簡素な構成で、しかも高精度な位置合わせを必要とせずに物体の正立等倍像を結像することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、結像光学素子であって、物体からの光線を入射させる第1レンズ面を第1方向に配列したレンズ列が第1方向と異なる第2方向に複数列設けられる入射部と、光線を出射する第2レンズ面を第1方向に配列したレンズ列が第1方向と異なる第3方向に複数列設けられる出射部と、少なくとも1箇所以上の屈曲部位で屈曲しながら入射部と出射部とを連結する連結部とが一体化され、各第1レンズ面に入射された光線が屈曲部位で反射されて各第1レンズ面に対応する第2レンズ面に導光されて物体の正立等倍像を形成し、各第1レンズ面から各第1レンズ面に対応する第2レンズ面までの光路長が互いに等しいことを特徴としている。
【0007】
また、本発明の第2の態様は、画像読取装置であって、物体に光を照射する光源部と、この発明にかかる結像光学素子と、結像光学素子により結像される正立像を読み取る読取部とを備えることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(結像光学素子および画像読取装置)では、少なくとも1箇所以上の屈曲部位で屈曲する連結部によって、複数の第1レンズ面を有する入射部と複数の第2レンズ面を有する出射部とが連結されている。そして、各第1レンズ面に入射された光線が屈曲部位で反射されて各第1レンズ面に対応する第2レンズ面に導光される。このように入射光線は結像光学素子内で折り曲げられながら結像光学素子内を進んで結像され、物体の正立等倍像が形成される。したがって、直角プリズムと集束性ロッドレンズアレイとを組み合わせた特許文献1に記載の結像光学素子に比べて構造が簡素であり、しかも同結像光学素子で必須となっていた直角プリズムと集束性ロッドレンズアレイとの高度な位置合わせも要求されることなく、正立等倍像を結像することができる。
【0009】
また、上記発明では、第1レンズ面を第1方向に配列したレンズ列が第1方向と異なる第2方向に複数列設けられて複数の第1レンズ面が2次元的に配列されるとともに、第2レンズ面を第1方向に配列したレンズ列が第1方向と異なる第3方向に複数列設けられて複数の第2レンズ面が2次元的に配列され、各第1レンズ面と各第1レンズ面に対応する第2レンズ面とで、上記のようにして正立等倍像が形成される。このように光線は一体化された入射部、連結部および出射部を進むため、光損失を抑えて明るい正立等倍像を結像することが可能である。しかも、第1レンズ面および第2レンズ面の両者ともに一列に配列した場合よりも光量を大幅に増加させることができる。
【0010】
さらに、各第1レンズ面から各第1レンズ面に対応する第2レンズ面までの光路長が互いに等しいため、全てのレンズ面を同一形状とすることができ、レンズ間での結像性能のばらつきを抑制し、高精度な結像光学素子を安定して供給することができる。
【0011】
ここで、入射部、出射部および連結部を一体の透明部材で構成してもよく、これによって結像光学素子の構成をより簡素化することができるとともに、高精度な結像光学素子をさらに安定して供給することができる。
【0012】
また、連結部に設ける屈曲部位の個数については任意であるが、例えば屈曲部位を1個設け、各第1レンズ面に入射された光線を屈曲部位で反射して各第1レンズ面に対応する第2レンズ面に導光するように構成してもよい。この場合、物体から第1レンズ面に向かう方向において結像光学素子を薄型化することができる。例えば入射光線を屈曲部位でほぼ直角に折り曲げる、つまり入射部と出射部とを互いにほぼ直交させて配置することができ、結像光学素子の薄型化が可能となる。
【0013】
また、屈曲部位を2つ設け、各第1レンズ面に入射された光線を第1屈曲部位で反射して第2屈曲部位に導光し、第2屈曲部位で反射して各第1レンズ面に対応する第2レンズ面に導光するように構成してもよく、屈曲部位の個数を増やすことで正立等倍像の結像位置をさらに広範囲に設定可能となる。
【0014】
さらに、屈曲部位を平面としてもよく、当該平面に反射膜を配置して連結部内を進む光線を反射するように構成してもよい。また、屈曲部位の平面が連結部内を進む光線を全反射させる全反射面となるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる画像読取装置の第1実施形態であるCISモジュールを示す部分断面斜視図。
【図2】図1のCISモジュールでの入射側アパーチャー部材、レンズアレイおよび出射側アパーチャー部材を示す斜視図。
【図3】図1のCISモジュールで採用したレンズアレイの構成を示す図。
【図4】本発明にかかる画像読取装置の第2実施形態を示す部分断面斜視図。
【図5】図4のCISモジュールで採用したレンズアレイの構成を示す図。
【図6】本発明にかかる画像読取装置の第3実施形態を示す部分断面斜視図。
【図7】図6のCISモジュールで採用したレンズアレイの構成を示す図。
【図8】本発明にかかる画像読取装置の第4実施形態を示す部分断面斜視図。
【図9】図8のCISモジュールで採用したレンズアレイの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.第1実施形態
図1は本発明にかかる画像読取装置の第1実施形態であるCISモジュールを示す部分断面斜視図である。また、図2は図1のCISモジュールでの入射側アパーチャー部材、レンズアレイおよび出射側アパーチャー部材を示す斜視図である。さらに、図3は図1のCISモジュールで採用したレンズアレイの構成を示す図である。このCISモジュール1は、原稿ガラスGL上に載置された原稿OBを読み取り対象物として原稿OBに印刷された画像を読み取る装置であり、原稿ガラスGLの直下に配置されている。CISモジュール1は、X方向における原稿OBの読み取り範囲より長く延びる直方体状のフレーム2を有しており、同フレーム2内に光源部3、入射側アパーチャー部材4、レンズアレイ5、出射側アパーチャー部材6、センサー(読取部)7およびプリント回路基板8が配置されている。
【0017】
このフレーム2内にセパレーター21を配置することで、フレーム2の内部空間が、光源部3を配置するための上方空間と、上方空間の下方に位置する下方空間と、上方空間と下方空間に対して隣接する垂直空間とに区分けされている。そして、それらのうち下方空間と垂直空間とは連通され、X方向に対して直交するY方向と上下方向Zとを含む断面(以下「副走査断面」という)において略L字形状を有する連通空間となっており、入射側アパーチャー部材4、レンズアレイ5、出射側アパーチャー部材6およびセンサー7が配置される。
【0018】
光源部3は、プリント回路基板8に取り付けられた図示を省略するLED(Light Emitting Diode)を光源とし、そのLEDから出射された照明光をライトガイド31の一方端に与えている。このライトガイド31は、セパレーター21の上面で読み取り範囲とほぼ同じ長さだけX方向に延設されている。そして、LEDからの照明光がライトガイド31の一方端に入射すると、その照明光はライトガイド31の他方端に向けてライトガイド31中を伝播する。また、ライトガイド31のX方向各部では、こうして伝播する照明光の一部はライトガイド31の先端部32(光出射面)から原稿ガラスGLに向けて出射して原稿ガラスGL上の原稿OBに照射される。こうして、X方向に延びる帯状の照明光が原稿OBに照射され、原稿OBで反射される。
【0019】
その照明光の照射位置の直下位置には、上記した垂直空間が設けられており、その上端部に入射側アパーチャー部材4が配置されている。この入射側アパーチャー部材4は読み取り範囲とほぼ同じ長さだけX方向に延設されている。この入射側アパーチャー部材4には、複数の貫通孔41が2列で配設されており、それぞれレンズアレイ5に設けられる複数の入射側レンズ面LS1に対する入射側アパーチャーとして機能し、余計な光の伝播を防止して結像性能を高める。より詳しくは、図2に示すように、貫通孔41のうち貫通孔41aがX方向に等ピッチで一列に配列されてアパーチャー列を構成するとともに、残りの貫通孔41bがX方向に等ピッチで一列に配列されて別のアパーチャー列を構成している。そして、これら2つのアパーチャー列がY方向に配列されている。なお、本実施形態では、貫通孔41a、41bがX方向に半ピッチだけずれるように、いわゆるジグザグ状(あるいは千鳥状ともいう)に配置されている。
【0020】
レンズアレイ5は、本発明にかかる結像光学素子に相当するものであり、副走査断面(YZ平面)において略L字形状を有するとともに読み取り範囲とほぼ同じ長さだけX方向に延設されており、レンズアレイ5全体がすっぽりと連通空間に挿入可能となっている。より詳しくは、図2に示すように、レンズアレイ5は、上下方向Zに延設された入射部51と、水平方向に延設された出射部53と、入射部51と出射部53とを互いに角度をもたせて、例えばほぼ直交させながら連結する連結部52とを有しており、照明光に対して光透過性を有する樹脂やガラスなどの透明媒体によって一体成形されている。
【0021】
入射部51の上面には、入射側アパーチャー41と1対1で対応するように、入射側レンズ面LS1がジグザグ状に配置されている。すなわち、入射側レンズ面LS1のうち入射側レンズ面LS1aがX方向に等ピッチで一列に配列されてレンズ列を構成するとともに、残りの入射側レンズ面LS1b(図1)がX方向に等ピッチで一列に配列されて別のレンズ列を構成している。そして、これら2つのレンズ列がY方向に配列されて複数の入射側レンズ面LS1がジグザグ状に設けられている。このため、原稿OBで反射された光線のうち各入射側アパーチャー41を通過した光線がそれに対応する入射側レンズ面LS1に入射され、入射側レンズ面LS1により収束されながら入射部51から連結部52に進む。
【0022】
この連結部52は屈曲部位521で約90゜屈曲している。本実施形態では、屈曲部位521の外周面は鉛直断面(XZ平面)に対して45゜傾いた平面であり、その平面には反射膜54が形成されている。この反射膜54の形成によって連結部52に反射面RS1が読み取り範囲とほぼ同じ長さだけX方向に構成され、入射側レンズ面LS1に入射されて連結部52内を進む光線を反射して出射部53の出射側レンズ面LS2に導光する。反射膜54としては従来より周知のもの、例えば金属蒸着膜などを採用することができる。なお、本実施形態では、図1および図2に示すように、入射側レンズ面LS1、反射面RS1および出射側レンズ面LS2で構成される結像光学系の光軸に沿った、入射部51の長さは出射部53の長さよりも大幅に短く、各入射側レンズ面LS1a、LS1bに入射した光線は反射膜54で反射された後、出射部53内で集光されて原稿OBの中間像IMP1、IMP2が形成される。
【0023】
この出射部53の反連結部側の端面には、出射側レンズ面LS2が入射側レンズ面LS1と同数個ジグザグ状に2次元配置されている。すなわち、出射部53の反連結部側の端面には、図2に示すように、出射側レンズ面LS2のうち出射側レンズ面LS2aがX方向に等ピッチで一列に配列されてレンズ列を構成するとともに、残りの出射側レンズ面LS2bがX方向に等ピッチで一列に配列されて別のレンズ列を構成している。そして、これら2つのレンズ列がZ方向に配列されて複数の出射側レンズ面LS2がジグザグ状に設けられている。このため、原稿OBで反射された光線のうち各入射側アパーチャー41および各入射側レンズ面LS1を介して入射し、さらに反射面RS1で反射されて連結部52を進んできた光線が各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2に導光される。
【0024】
また、出射部53の反連結部側(図1および図2中の右手側)では、レンズアレイ5とセンサー7とに挟まれるように出射側アパーチャー部材6が下方空間内、つまりライトガイド31の直下位置に配置されている。この出射側アパーチャー部材6も、入射側アパーチャー部材4と同様に、読み取り範囲とほぼ同じ長さだけX方向に延設されるとともに、複数の貫通孔61がX方向に2列でジグザグ状に配設されており、それぞれ出射側レンズ面LS2に対する出射側アパーチャーとして機能する。このため、それらの出射側レンズ面LS2はそれぞれ対応する中間像IMP1、IMP2をセンサー7のセンサー面71上に結像して原稿OBの正立像を形成する。
【0025】
センサー7は、図1に示すように、LEDが搭載されたプリント回路基板8に取り付けられており、原稿OBの正立等倍像を読み取り、その正立等倍像に関連する信号を出力する。
【0026】
以上のように、第1実施形態では、入射側レンズ面LS1を有する入射部51と出射側レンズ面LS2を有する出射部53とが屈曲部位521で約90゜に屈曲された連結部52により連結されるように、透明媒体で一体成形されている。そして、各入射側レンズ面LS1に入射された光線を屈曲部位521に設けられた反射膜RS1で反射して各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2に導光して原稿OBの正立等倍像を形成している。したがって、例えば特許文献1に記載の結像光学素子に比べて構造が簡素であり、しかも同結像光学素子で必須となっていた直角プリズムと集束性ロッドレンズアレイとの高度な位置合わせも要求されることなく、正立等倍像を結像することができる。
【0027】
また、本実施形態では、原稿OBから出射する光線が入射側レンズ面LS1に入射し、さらに一体化された入射部51、連結部52および出射部53内を進むため、光損失を抑えて明るい正立等倍像を結像することが可能である。
【0028】
また、入射側レンズ面LS1および出射側レンズ面LS2をジグザグ状に2次元配置し、図2および図3に示すように、原稿OBの1点から出射する光線を入射側レンズ面LS1a、LS1bに入射させ、各入射側レンズ面LS1a、LS1bを介して入射された光線を反射面RS1で反射させた後、各入射側レンズ面LS1a、LS1bに対応する出射側レンズ面LS2a、LS2bに導光し、センサー7のセンサー面71上に結像して原稿OBの正立像を形成する。このため、第1レンズ面および第2レンズ面の両者ともに一列に配列した場合よりも光量を大幅に増加させることができ、さらに明るい正立等倍像を形成することができる。
【0029】
また、各入射側レンズ面LS1a、LS1bを介して入射された光線が入射部51、連結部52および出射部53を進む光学的距離はそれぞれ以下のとおりである。すなわち、入射側レンズ面LS1aから当該入射側レンズ面LS1aに対応する出射側レンズ面LS2aまでの光路長Laは、図3に示すように、入射側レンズ面LS1aから反射面RS1までの光路長L1aと、反射面RS1から入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2aまでの光路長L2aとの和である。一方、入射側レンズ面LS1bから当該入射側レンズ面LS1bに対応する出射側レンズ面LS2bまでの光路長Lbは、図3に示すように、入射側レンズ面LS1bから反射面RS1までの光路長L1bと、反射面RS1から入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2bまでの光路長L2bとの和である。そして、レンズアレイ5が上記のように構成されていることから、各入射側レンズ面LS1a、LS1bから反射面RS1までの光路長L1a、L1bの差ΔL1、ならびに反射面RS1から各出射側レンズ面LS2a、LS2bまでの光路長L2a、L2bの差ΔL2は、ともにレンズ列のピッチ間隔と一致している。そのため、各入射側レンズ面LS1から各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2までの光路長は互いに等しく、全てのレンズ面LS1、LS2を同一形状とすることができ、レンズ間での結像性能のばらつきを抑制し、高精度なレンズアレイ5を安定して供給することができる。
【0030】
このように第1実施形態では、入射側レンズ面LS1および出射側レンズ面LS2がそれぞれ本発明の「第1レンズ面」および「第2レンズ面」に相当している。また、X方向、Y方向およびZ方向がそれぞれ本発明の「第1方向」、「第2方向」および「第3方向」に相当している。そして、CISモジュール1が本発明の「画像読取装置」に相当している。
【0031】
B.第2実施形態
図4は本発明にかかる画像読取装置の第2実施形態であるCISモジュールを示す部分断面斜視図である。また、図5は図4のCISモジュールで採用したレンズアレイの構成を示す図である。このCISモジュール1は、第1実施形態と同様に、原稿ガラスGL上に載置された原稿OBを読み取り対象物として原稿OBに印刷された画像を読み取る装置であり、原稿ガラスGLの直下に配置されている。CISモジュール1は、X方向における原稿OBの読み取り範囲より長く延びる直方体状のフレーム2を有しており、同フレーム2内に光源部3、入射側アパーチャー部材4、レンズアレイ5、出射側アパーチャー部材6、センサー7およびプリント回路基板8A、8Bが配置されている。
【0032】
このフレーム2内にセパレーター21を配置することで、フレーム2の内部空間が、光源部3を配置するための上方空間と、上方空間の下方に位置する下方空間と、上方空間と下方空間に対して隣接する垂直空間とに区分けされている。これらのうち下方空間は垂直空間側(図4中の左手側)から反垂直空間側(図4中の右手側)、つまりY方向に進むにしたがって下方に傾斜するように形成されている。また、この下方空間は垂直空間とは連通され、副走査断面において略逆へ字形状(狭角を鈍角にしたL字形状)を有する連通空間となっており、入射側アパーチャー部材4、レンズアレイ5、出射側アパーチャー部材6、センサー7およびプリント回路基板8Bが配置される。
【0033】
光源部3は、プリント回路基板8Aに取り付けられた図示を省略するLEDを光源とし、そのLEDから出射された照明光をライトガイド31の一方端に与えている。このライトガイド31は、第1実施形態と同様に構成されており、原稿ガラスGL上の原稿OBに照明光を照射する。また、その照明光の照射位置の直下位置では、上記した垂直空間が設けられており、その上端部に第1実施形態と同一構成の入射側アパーチャー部材4が配置されている。
【0034】
レンズアレイ5は、副走査断面(YZ平面)において略逆へ字形状(狭角を鈍角にしたL字形状)を有するとともに読み取り範囲とほぼ同じ長さだけX方向に延設されており、レンズアレイ5全体がすっぽりと連通空間に挿入可能となっている。より詳しくは、図4に示すように、レンズアレイ5は、上下方向Zに延設された入射部51と、水平方向に延設された出射部53と、入射部51に対して出射部53を傾斜させながら連結する連結部52とを有しており、照明光に対して光透過性を有する樹脂やガラスなどの透明媒体によって一体成形されている。すなわち、図4に示すように、入射部51は上下方向Zに延設されるのに対し、出射部53は入射部51の下端部側からY方向に進むにしたがって下方に下るように傾斜している。このように構成している理由は入射光を連結部52で全反射させるためであるが、それについては後で詳述する。
【0035】
入射部51の上面には、第1実施形態と同様に、入射側アパーチャー41と1対1で対応するように複数の入射側レンズ面LS1がジグザグ状に配置されている。そして、原稿OBで反射された光線のうち各入射側アパーチャー41を通過した光線がそれに対応する入射側レンズ面LS1に入射され、入射側レンズ面LS1により収束されながら入射部51から連結部52に進む。
【0036】
この連結部52は、入射部51に対して出射部53が傾斜するように連結している。より詳しくは、屈曲部位521の外周面は、入射部51側の光軸と出射側レンズ面LS2側の光軸とのなす角度が90゜を超えるように、鉛直断面(XZ平面)に対して例えば40゜傾いた平面であり、入射部51を介して当該部分に導光される光線の入射角θが臨界角以上となるように設計されており、その結果、入射光線の全部が連結部52の外周面で全反射される。このため、入射側レンズ面S1に入射された入射光線は、連結部52から出ることなく、連結部52の屈曲部位521での反射による光量減少を抑制しながら出射部53の出射側レンズ面LS2に導光することができる。このように屈曲部位521の外周平面が全反射面RS1となっている。
【0037】
ここで、連結部52の屈曲部位521で入射光線を反射して出射部53の出射側レンズ面LS2に導光するのみであれば、第1実施形態のように屈曲部位521の外周面に反射膜を設けてもよい。ただし、この場合、入射光線は一度連結部52の外周面から出て反射膜の表面で反射されるため、光損失は避けられないのに対し、全反射させることで光損失を抑制することができる。また、反射膜が不要となる分だけレンズアレイ5の低コスト化などを図ることができ、好適である。
【0038】
なお、本実施形態では、図4および図5に示すように、入射側レンズ面LS1、全反射面RS1および出射側レンズ面LS2で構成される結像光学系の光軸に沿った、入射部51の長さは出射部53の長さよりも大幅に短く、各入射側レンズ面LS1を介して入射された光線は連結部52の屈曲部位521、つまり全反射面RS1で全反射された後、出射部53内で集光されて原稿OBの中間像IMP1、IMP2が形成される。
【0039】
この出射部53の反連結部側の端面には、第1実施形態と同様に、出射側レンズ面LS2が入射側レンズ面LS1と同数個ジグザグ状に2次元配置されている。ただし、第2実施形態では、レンズアレイ5は副走査断面(YZ平面)において略逆へ字形状(狭角を鈍角にしたL字形状)を有しているため、出射側レンズ面LS2aのレンズ列と、出射側レンズ面LS2bのレンズ列との配列方向はZ方向に対して傾いた方向となっており、この傾いた方向が本発明の「第3方向」に相当している。
【0040】
そして、原稿OBで反射された光線のうち各入射側アパーチャー41および各入射側レンズ面LS1を介して入射し、さらに屈曲部位521、つまり反射面RS1で全反射されて連結部52を進んできた光線が各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2に導光される。
【0041】
また、出射部53の反連結部側(図4および図5中の右手側)では、レンズアレイ5とセンサー7とに挟まれるように出射側アパーチャー部材6が下方空間内、つまりライトガイド31の直下位置に配置されている。この出射側アパーチャー部材6も、入射側アパーチャー部材4と同様に、読み取り範囲とほぼ同じ長さだけX方向に延設されるとともに、複数の貫通孔61がX方向に2列でジグザグ状に配設されており、それぞれ出射側レンズ面LS2に対する出射側アパーチャーとして機能する。このため、それらの出射側レンズ面LS2はそれぞれ対応する中間像IMP1、IMP2をセンサー7のセンサー面71上に結像して原稿OBの正立像を形成する。
【0042】
センサー7は、図5に示すように、LEDが搭載されたプリント回路基板8Aとは異なる別のプリント回路基板8Bに取り付けられており、原稿OBの正立像を読み取り、その正立等倍像に関連する信号を出力する。
【0043】
以上のように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、入射部51と出射部53とが屈曲部位521で屈曲された連結部52により連結されるように、透明媒体で一体成形されており、各入射側レンズ面LS1に入射された光線を屈曲部位521で全反射して各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2に導光して原稿OBの正立等倍像を形成している。このため、簡素な構成で、しかも高精度な位置合わせを必要とせず、しかも光損失を抑えて明るい正立等倍像を結像することが可能となっている。
【0044】
また、入射側レンズ面LS1および出射側レンズ面LS2をジグザグ状に2次元配置し、第1実施形態と同様にして原稿OBの正立像を形成しているため、明るい正立等倍像を形成することができる。また、第1実施形態と同様に、図5に示すように、各入射側レンズ面LS1a、LS1bから反射面RS1までの光路長L1a、L1bの差ΔL1、ならびに反射面RS1から各出射側レンズ面LS2a、LS2bまでの光路長L2a、L2bの差ΔL2は一致している(ただし、ΔL1=ΔL2≠ピッチ間隔)。各入射側レンズ面LS1から各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2までの光路長が互いに等しいため、全てのレンズ面LS1、LS2を同一形状とすることができ、レンズ間での結像性能のばらつきを抑制し、高精度なレンズアレイ5を安定して供給することができる。
【0045】
さらに、屈曲部位521の平面では、図5の点線囲み部分に示すように、全反射面RS1に入射される光線の入射角のうち最も小さな入射角θminが臨界角θよりも大きくなるように構成されており、各入射側レンズ面LS1を介して入射された光線を全反射させて出射側レンズ面LS2に導光しているため、第1実施形態に比べて光損失をさらに抑制することができ、より明るい正立像が得られる。
【0046】
C.第3実施形態
図6は本発明にかかる画像読取装置の第3実施形態であるCISモジュールを示す部分断面斜視図である。また、図6は図5のCISモジュールで採用したレンズアレイの構成を示す図である。このCISモジュール1は、第1実施形態と同様に、原稿ガラスGL上に載置された原稿OBを読取対象物として原稿OBに印刷された画像を読み取る装置であり、原稿ガラスGLの直下に配置されている。この第3実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、連結部52の屈曲部位の個数、つまり連結部52内での光線の反射回数であり、その他の構成は基本的に同一である。したがって、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
CISモジュール1は、X方向における最大読取範囲より長く延びる略直方体状のフレーム2を有しており、同フレーム2内に光源部3、入射側アパーチャー部材4、レンズアレイ5、出射側アパーチャー部材6、センサー7およびプリント回路基板8が配置されている。
【0048】
このフレーム2内には、原稿OBに照明を照らす光源部3を収容する第1収容空間SP1と、原稿OBの画像を読み取るための各機能部4、5、6,7、8を収容する第2収容空間SP2とがセパレーター21によって区分けされている。第1収容空間SP1は、フレーム2内の上方の位置に設けられている。一方、第2収容空間SP2は、副走査断面において、第1収容空間SP1に対して、図6の左手側から下方に潜り込むようにして設けられている。より具体的には、第2収容空間SP2は、第1収容空間SP1の左側でZ方向(上下方向)に延びる上部垂直空間SP2aと、第1収容空間SP2の下側でZ方向(上下方向)に延びる下部垂直空間SP2bと、上部垂直空間SP2aの下端と下部垂直空間の上端SP2bとを連結するようにY方向(左右方向)に延びる左右空間SP2cとで構成されている。こうして、上部垂直空間SP2aから直角に湾曲して左右空間SP2cに到るとともに、さらに左右空間SP2cから直角に湾曲して下部垂直空間SP2bに到る第2収容空間SP2が形成される。
【0049】
光源部3は、第1実施形態と同様に構成されており、原稿ガラスGL上の原稿OBに照明光を照射する。そして、照明光の照射位置の直下には、上記した上部垂直空間SP2aが設けられており、その上端部に、第1実施形態と同一構成の入射側アパーチャー部材4が配置されている。
【0050】
レンズアレイ5は、最大読取範囲とほぼ同じ長さだけX方向に延設されており、レンズアレイ5全体がすっぽりと第2収容空間SP2に挿入可能となっている。このレンズアレイ5は、図6に示すように、上下方向Zに延設された入射部51と、上下方向Zに延設された出射部53と、入射部51の下端部と出射部53の上端部を連結する連結部52とを有しており、照明光に対して光透過性を有する樹脂やガラスなどの透明媒体によって一体成形されている。このように、連結部52には、入射部51の下端部との連結近傍に約90゜屈曲した第1屈曲部位521が設けられるとともに、出射部53の上端部との連結近傍に約90゜屈曲した第2屈曲部位522が設けられている。
【0051】
この第3実施形態では、第1屈曲部位521が第1実施形態と同一構成を有しているだけでなく、第2屈曲部位522も第1屈曲部位521と同様に構成されている。すなわち、屈曲部位522の外周面が鉛直断面(XZ平面)に対して45゜傾いた平面であり、その平面には反射膜54が形成されている。この反射膜54の形成によって第2屈曲部位522が反射面RS2となり、第2屈曲部位522でのX方向の反射範囲は読み取り範囲とほぼ同じ長さとなり、入射側レンズ面LS1に入射されて連結部52内を進む光線を反射して下方向Zに折り返し、出射部53の出射側レンズ面LS2に導光する。
【0052】
この第2屈曲部位522に形成する反射膜54についても、従来より周知のもの、例えば金属蒸着膜などを採用することができる。なお、第3実施形態では、図7に示すように、入射側レンズ面LS1、反射面RS1、RS2および出射側レンズ面LS2で構成される結像光学系の光軸に沿った、入射部51および出射部53の長さは連結部52の長さよりも大幅に短く、各入射側レンズ面LS1に入射された光線は第1屈曲部位521の反射面RS1で反射された後、各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2に導光されるまでに、連結部52内でで集光されて原稿OBの中間像IMP1、IMP2がそれぞれ形成される。このように構成することで、入射側レンズ面LS1と出射側レンズ面LS2との鉛直方向Zの距離が縮まり、CISモジュール1のZ方向の高さが低減され、CISモジュール1がコンパクト化されている。
【0053】
また、出射部53の反連結部側では、レンズアレイ5とセンサー7とに挟まれるように出射側アパーチャー部材6が下部垂直空間SP2b内に配置されている。この出射側アパーチャー部材6も、入射側アパーチャー部材4と同様に、読み取り範囲とほぼ同じ長さだけX方向に延設されるとともに、複数の貫通孔61がX方向に2列でジグザグ状に配設されており、それぞれ出射側レンズ面LS2に対する出射側アパーチャーとして機能する。このため、それらの出射側レンズ面LS2はそれぞれ対応する中間像IMP1、IMP2をセンサー7のセンサー面71上に結像して原稿OBの正立像を形成する。
【0054】
以上のように、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、入射部51と出射部53とが2つの屈曲部位521、522で屈曲された連結部52により連結されるように、透明媒体で一体成形されており、各入射側レンズ面LS1に入射された光線を屈曲部位521、522で順番に反射して各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2に導光して原稿OBの正立等倍像を形成している。このため、簡素な構成で、しかも高精度な位置合わせを必要とせず、しかも光損失を抑えて明るい正立等倍像を結像することが可能となっている。
【0055】
また、入射側レンズ面LS1および出射側レンズ面LS2をジグザグ状に2次元配置し、第1実施形態と同様にして原稿OBの正立像を形成しているため、明るい正立等倍像を形成することができる。
【0056】
さらに、各入射側レンズ面LS1から各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2までの光路長が互いに等しくなっている。すなわち、各入射側レンズ面LS1から各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2までの光路長は互いに等しくなっている。より詳しくは、入射側レンズ面LS1aから当該入射側レンズ面LS1aに対応する出射側レンズ面LS2aまでの光路長Laは、図7に示すように、入射側レンズ面LS1aから第1屈曲部位521、つまり第1反射面RS1までの光路長L1aと、第1反射面RS1から第2屈曲部位522、つまり第2反射面RS2までの光路長L2aと、第2反射面RS2から入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2aまでの光路長L3aとの和である。一方、入射側レンズ面LS1bから当該入射側レンズ面LS1bに対応する出射側レンズ面LS2bまでの光路長Lbは、図7に示すように、入射側レンズ面LS1bから第1反射面RS1までの光路長L1bと、第1反射面RS1から第2反射面RS2までの光路長L2bと、第2反射面RS2から入射側レンズ面LS1bに対応する出射側レンズ面LS2bまでの光路長L3bとの和である。そして、レンズアレイ5が上記のように構成されていることから、各入射側レンズ面LS1a、LS1bから反射面RS1までの光路長L1a、L1bの差ΔL1、ならびに反射面RS2から各出射側レンズ面LS2a、LS2bまでの光路長L3a、L3bの差ΔL3は、ともにレンズ列のピッチ間隔と一致しており、しかも光路長L2a、L2bは同一である。そのため、各入射側レンズ面LS1から各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2までの光路長は互いに等しく、全てのレンズ面LS1、LS2を同一形状とすることができ、レンズ間での結像性能のばらつきを抑制し、高精度なレンズアレイ5を安定して供給することができる。
【0057】
D.第4実施形態
上記第3実施形態では、連結部52は屈曲部位521、522で約90゜屈曲しているが、その屈曲角度はこれに限定されるものではなく、例えば第2実施形態で行ったように全反射条件を満足するように屈曲してもよく、図8および図9に示すように構成してもよい。
【0058】
図8は本発明にかかる画像読取装置の第4実施形態であるCISモジュールを示す部分断面斜視図である。また、図9は図8のCISモジュールで採用したレンズアレイの構成を示す図である。このCISモジュール1は、第3実施形態と同様に、原稿ガラスGL上に載置された原稿OBを読取対象物として原稿OBに印刷された画像を読み取る装置であり、入射部51と出射部53とが全反射条件を満足するように設けられた屈曲部位521、522を有する連結部52により連結されるように、透明媒体で一体成形されている。そして、このレンズアレイ5は、各入射側レンズ面LS1に入射された光線を屈曲部位521、522で順番に全反射して各入射側レンズ面LS1に対応する出射側レンズ面LS2に導光して原稿OBの正立等倍像を形成する。このように、屈曲部位521、522が全反射条件を満足するように連結部52を構成している点を除き、第4実施形態は第3実施形態と基本的に同一であり、第3実施形態と同様の作用効果が得られる。しかも、各入射側レンズ面LS1を介して入射された光線を全反射させて出射側レンズ面LS2に導光しているため、第3実施形態に比べて光損失をさらに抑制することができ、より明るい正立像が得られる。
【0059】
E.その他
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、入射部51と出射部53とが連結部52により連結されるように透明媒体で一体成形してレンズアレイ5を構成しているが、レンズアレイ5を一体的に形成するにあたっては、各構成要素(つまり、入射部51、連結部52および出射部53)をそれぞれ別体で形成した後にこれらを接着して一体化しても良い。なお、反射膜54については、一体化の後で形成すればよい。
【0060】
また、上記実施形態では、レンズ面LS1、LS2のレンズ列を2列配置しているが、3列以上配置してもよい。また、レンズ列を互いにX方向に半ピッチずらしてジグザグ状あるいは千鳥状に配置しているが、レンズ面LS1、LS2の2次元配置構造については、これに限定されるものではなく、任意の配置構造を採用することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、レンズアレイ5の入射部51に対し、入射側アパーチャー部材4を離間配置して迷光の発生を防止しているが、入射側アパーチャー部材4の本体にレンズアレイ5の入射部51を嵌合可能なホルダー部を設け、当該ホルダー部に対してレンズアレイ5の入射部51を嵌入してレンズアレイ5を固定してもよく、これによって入射側アパーチャー部材4の入射側アパーチャー41と入射側レンズ面LS1とを高精度に位置決めすることができる。この点に関しては、出射側も同様である。
【0062】
また、連結部52の屈曲部位の個数は「1」または「2」に限定されるものではなく、「3」以上設けてもよい。また、上記第3実施形態では2つの屈曲部位521、522のいずれに対しても反射膜54を形成して反射面を構成し、第4実施形態では2つの屈曲部位521、522のいずれも全反射面となっている。つまり、複数の屈曲部位はいずれも同一の反射構造を有している。もちろん、屈曲部位での反射構成はこれらに限定されるのではなく、複数の屈曲部位のうちのいくつかに反射膜を形成するとともに、残りを全反射面としてもよい。
【0063】
また、上記第1実施形態および第3実施形態では、屈曲部位を約90゜屈曲しているが、屈曲角度はこれに限定されるものではない。
【0064】
さらに、上記実施形態では、本発明にかかる結像光学素子であるレンズアレイ5を画像読取装置に適用しているが、本発明にかかる結像光学素子の適用範囲はこれに限定されるものではなく、例えば複数の発光素子を列状に配置したライン光源から出力される光線を上記レンズアレイ5で結像して正立等倍像を被露光面に照射する露光装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…CISモジュール(画像読取装置)、 3…光源部、 5…レンズアレイ(結像光学素子)、 7…センサー(読取部)、 51…入射部、 52…連結部、 53…出射部、 54…反射膜、 521、522…屈曲部位、 OB…原稿(物体)、 RS1、RS2…全反射面、 LS1、LS1a、LS1b…入射側レンズ面(第1レンズ面)、 LS2、LS2a、LS2b…出射側レンズ面(第2レンズ面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体からの光線を入射させる第1レンズ面を第1方向に配列したレンズ列が前記第1方向と異なる第2方向に複数列設けられる入射部と、光線を出射する第2レンズ面を前記第1方向に配列したレンズ列が前記第1方向と異なる第3方向に複数列設けられる出射部と、少なくとも1箇所以上の屈曲部位で屈曲しながら前記入射部と前記出射部とを連結する連結部とが一体化され、
各第1レンズ面に入射された光線が前記屈曲部位で反射されて各第1レンズ面に対応する第2レンズ面に導光されて前記物体の正立等倍像を形成し、
各第1レンズ面から各第1レンズ面に対応する第2レンズ面までの光路長が互いに等しい
ことを特徴とする結像光学素子。
【請求項2】
前記入射部、前記出射部および前記連結部は一体の透明部材で構成される請求項1に記載の結像光学素子。
【請求項3】
前記連結部は単一の屈曲部位を有し、各第1レンズ面に入射された光線を前記屈曲部位で反射して各第1レンズ面に対応する第2レンズ面に導光する請求項1または2に記載の結像光学素子。
【請求項4】
前記連結部は、第1屈曲部位と第2屈曲部位とを有しており、各第1レンズ面に入射された光線を前記第1屈曲部位で反射して前記第2屈曲部位に導光し、前記第2屈曲部位で反射して各第1レンズ面に対応する第2レンズ面に導光する請求項1または2に記載の結像光学素子。
【請求項5】
前記屈曲部位は平面である請求項1ないし4のいずれか一項に記載の結像光学素子。
【請求項6】
前記屈曲部位の平面に反射膜が配置されて前記連結部内を進む光線を反射する請求項5に記載の結像光学素子。
【請求項7】
前記屈曲部位の平面は前記連結部内を進む光線を全反射させる全反射面である請求項5に記載の結像光学素子。
【請求項8】
物体に光を照射する光源部と、
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の結像光学素子と、
前記結像光学素子により結像される正立像を読み取る読取部と
を備えることを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−37096(P2013−37096A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171620(P2011−171620)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】