説明

結合具

【課題】 結合体の抜止部を内方へ撓ませようとする様々な外力が作用した場合においても、結合体が対象物の貫通孔から抜けて対象物から脱離することが効果的に防がれる結合具の提供。
【解決手段】 結合体Lは、軸状部L1、軸状部の基端側に位置する基端側外方張出部L2、軸状部の先端側に位置し、基端側外方張出部との間に対象物を挟む先端側外方張出部L3aを有すると共に内方へ弾性的に撓み得る抜止部L3と、基端側外方張出部及び軸状部を、軸方向の基端から抜止部の内方部まで軸方向に貫通する貫通部L3を備える。結合維持体Mは、結合体の貫通部に対し軸方向基端側から少なくとも抜止部の内方部まで嵌挿し得る嵌挿部M1を有し、嵌挿部における円柱状部M1aの軸方向中間位置は、貫通部に嵌挿された状態において抜止部の内方に位置することにより抜止部の内方への撓みを防ぎ得る内方撓み防止部である。基端向き受止部L2a1が先端向き被受止部M2aを受止し得、受止股部L5が基端向き被受止部M3aを受止し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重なり合った対象物、例えば屋上や折板屋根上や壁面等に配設される植物栽培マットと支持体との積層物、又はその他の対象物における、貫通孔等の挿入孔に挿入してそれらを結合し又はそれらに結合するための結合具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第4081118号には、合成樹脂製の支持体30と、繊維が集合状をなす植物生育用マット20とが積層した状態で、先端部に外方張出の抜止尖頭部40cを有する合成樹脂製の結合体40により結合されたものが示されている。
【0003】
このように支持体上に植物生育用マットが積層して結合体により結合されたものは、屋上や折板屋根上に配設されるので、上方に持ち上げようとする負の風圧力が作用することにより、或いはその他の原因により、結合体の抜止部を内方へ撓ませようとする様々な外力が作用することがある。その場合、結合体が対象物の貫通孔から抜けて対象物から脱離することが生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4081118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術における上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、結合体の抜止部を内方へ撓ませようとする様々な外力が作用した場合においても、結合体が対象物の貫通孔から抜けて対象物から脱離することが効果的に防がれる結合具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明の結合具は、
結合体と結合維持体を有してなる結合具であって、
前記結合体は、
軸状部と、
前記軸状部の基端側に位置する基端側外方張出部と、
前記軸状部の先端側に位置し、前記基端側外方張出部との間に対象物を挟む先端側外方張出部を有すると共に内方へ弾性的に撓み得る抜止部と、
前記基端側外方張出部及び軸状部を、軸方向の基端から前記抜止部の内方部まで軸方向に貫通する貫通部を備えてなるものであり、
前記結合維持体は、
前記結合体の貫通部に対し軸方向基端側から少なくとも抜止部の内方部まで嵌挿し得る嵌挿部を有し、
その嵌挿部には、貫通部に嵌挿された状態において抜止部の内方に位置することにより抜止部の内方への撓みを防ぎ得る内方撓み防止部を有してなるものであり、
前記結合維持体の嵌挿部が前記結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐ前進防止構造と、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐ後退防止構造を備える
ことを特徴とする。
【0007】
重なり合った対象物又はその他の対象物における貫通孔に対し、基端側外方張出部が前記貫通孔の基端開口よりも外方に張り出している結合体の軸状部を先端側から挿入すると、結合体の挿入は、基端側外方張出部が対象物における前記貫通孔の基端開口の外周部によって止まる。
【0008】
前記貫通孔の先端開口が、結合体の抜止部が内方へ弾性的に撓むことによって先端側外方張出部が通過し得る一方、抜止部が内方撓み状態から復元することにより先端側外方張出部が逆向きに通過し得ないものであれば、先端側外方張出部が前記貫通孔の先端開口から出て抜止部が内方撓み状態から復元することにより、その先端側外方張出部と基端側外方張出部との間に対象物を挟む状態となる。
【0009】
この状態の結合体における、基端側外方張出部及び軸状部を軸方向の基端から抜止部の内方部まで軸方向に貫通する貫通部に対し、結合維持体の嵌挿部を嵌挿し、嵌挿部における内方撓み防止部が結合体の抜止部の内方に位置する状態とすることにより、抜止部の内方への撓みが防がれ得る。
【0010】
この結合具は、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐ前進防止構造と、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐ後退防止構造を備えるので、結合維持体の嵌挿部の内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に維持され、抜止部の内方への撓みが防がれ、従って、結合体が貫通孔から抜けて対象物から脱離することが防がれる。
【0011】
(2) 本発明の結合具は、
上記前進防止構造として、結合維持体に先端向き被受止部を、結合体に基端向き受止部を、それぞれ有し、
結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合体における前記基端向き受止部が結合維持体における前記先端向き被受止部を受止することにより結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐものとすることができる。
【0012】
(2-1) 上記結合具は、
結合体の基端側外方張出部が結合体の基端に設けられ、その基端側外方張出部に、基端側に開口する基端側凹部が形成され、その基端側凹部が基端向き受止部を構成し、
結合維持体の基端に、前記基端側凹部に嵌合し得る維持体基端張出部が外方張出状に形成され、維持体基端張出部が先端向き被受止部を構成するものとすることができる。
【0013】
(3) 本発明の結合具は、
上記後退防止構造として、結合維持体に基端向き被受止部を、結合体に先端向き受止部を、それぞれ有し、
前記後退防止構造は、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進する場合は、結合維持体の前記基端向き被受止部の弾性的な径方向内方変位および/または結合体の前記先端向き受止部の弾性的な径方向外方変位により、その前進を妨げず、
結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態においては、結合体における前記先端向き受止部が結合維持体における前記基端向き被受止部を受止することにより、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐものとすることができる。
【0014】
(3-1) 上記結合維持体は、嵌挿部のうち基端側に、径方向内方に弾性的に撓み得る複数の基端側脚部を有してなり、
前記基端側脚部に、基端向き被受止部を備えた後退防止外方張出部を有し、
結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進する場合は、基端側脚部が径方向内方に弾性的に撓んで後退防止外方張出部の基端向き被受止部が弾性的に径方向内方に変位することにより、その前進が妨げられず、
結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態においては、結合体における先端向き受止部が結合維持体における前記基端向き被受止部を受止することにより、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐものとすることができる。
【0015】
(3-2) 上記結合具は、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、
結合維持体の基端側脚部の基端部が結合体の基端部において露出し、
結合維持体の基端側脚部の基端部を径方向内方に撓ませることにより、結合維持体における基端向き被受止部が結合体における先端向き受止部により受止された状態を解除し、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退することを可能とすることができるものとすることができる。
【0016】
この場合、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合維持体の基端側脚部の基端部が結合体の基端部において露出しており、結合維持体の基端側脚部の基端部を径方向内方に撓ませることにより、結合維持体における基端向き被受止部が結合体における先端向き受止部により受止された状態を解除し、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退することを可能とすることができる。
【0017】
結合維持体を結合体に対し相対的に基端向きに後退させることにより、結合維持体の嵌挿部における内方撓み防止部を結合体の抜止部の内方の位置から基端側へ移動させることができる。
【0018】
これにより、抜止部の内方への撓みを可能として結合体を対象物の貫通孔から離脱させることが可能となる。
【0019】
(3-3) 上記結合具は、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、
結合維持体の基端側脚部の基端部が結合体の基端部から基端側に突出しないものとすることができる。
【0020】
この場合、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合維持体の基端側脚部の基端部が結合体の基端部から基端側に突出しないので、不可抗力等の意図しない原因により結合維持体の基端側脚部の基端部を径方向内方に撓ませて、結合維持体における基端向き被受止部が結合体における先端向き受止部により受止された状態を解除してしまうことが防がれる。
【0021】
(4) 上記(1)乃至(3)の結合具は、上記結合体における軸状部が、径方向内方に弾性的に撓み得る、貫通部の外周側に位置する複数の先端側脚部を有してなり、前記先端側脚部に上記抜止部を有するものとすることができる。
【0022】
(4-1) 上記結合具は、上記結合体における軸状部が、
内部が上記貫通部を構成する軸方向の筒状部と、
前記筒状部の軸方向先端側において上記貫通部の外周側に位置し、径方向内方に弾性的に撓み得る、複数の先端側脚部を有してなり、前記先端側脚部の先端側に上記抜止部を有するものとすることができる。
【0023】
(5) 上記(3-1)乃至(3-3)の結合具は、上記結合体における軸状部が、径方向内方に弾性的に撓み得る、貫通部の外周側に位置する複数の先端側脚部を有してなり、前記先端側脚部に上記抜止部を有するものとすることができる。
【0024】
(5-1) 上記結合具は、結合体における隣接する先端側脚部の基部同士の間の股部の1又は2以上が先端向き受止部を構成する受止股部であり、
結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置すると共に、結合体における受止股部の周方向位置に結合維持体の基端側脚部における後退防止外方張出部が位置することにより、結合体における前記受止股部が結合維持体における前記後退防止外方張出部の基端向き被受止部を受止し得るものとすることができる。
【0025】
(5-2) 上記結合具は、上記結合体における軸状部が、
内部が上記貫通部を構成する軸方向の筒状部と、
前記筒状部の軸方向先端側において上記貫通部の外周側に位置し、径方向内方に弾性的に撓み得る、複数の先端側脚部を有してなり、前記先端側脚部の先端側に上記抜止部を有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の結合具によれば、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐ前進防止構造と、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐ後退防止構造を備えるので、結合維持体の嵌挿部の内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に維持され、抜止部の内方への撓みが防がれ、従って、結合体が貫通孔から抜けて対象物から脱離することが防がれる。
【0027】
そのため、例えば対象物が屋上や折板屋根上に配設される植物栽培マット等であって負の風圧力が作用する場合のように、結合体の抜止部を内方へ撓ませようとする様々な外力が作用した場合においても、結合体が対象物の貫通孔から抜けて対象物から脱離することが効果的に防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】結合体の斜視図である。
【図2】結合体の平面図である。
【図3】結合維持体の斜視図である。
【図4】結合維持体の平面図である。
【図5】結合具の組み立て断面図である。
【図6】結合具の断面図である。
【図7】結合具の平面図である。
【図8】結合具の使用状態を示す説明図である。
【図9】結合具の使用状態を示す説明図である。
【図10】結合具の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(1) 本発明の結合具の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、図面は何れも本発明の結合具の実施の形態の一例に関するものである。
【0030】
この結合具Rは、何れもポリプロピレン樹脂を一体成形してなる結合体Lと結合維持体Mからなり、支持体30と植物生育用マット20を積層結合している。
【0031】
結合体Lは、軸状部L1と基端側外方張出部L2と抜止部L3と貫通部L4を有する。
【0032】
基端側外方張出部L2は、結合体Lの基端に位置し、マット結合用貫通孔20aの外径より外径が大きな円環板状をなす。
【0033】
軸状部L1は、基端側外方張出部L2の先端側中央部に、先端に向かって垂直状に設けられている。
【0034】
貫通部L4は、基端側外方張出部L2の中央部及び軸状部L1の中心線上を、結合体Lの軸方向の基端から先端まで軸方向に貫通する円柱状空間を形成する。
【0035】
軸状部L1は、基端側外方張出部L2の先端側の面から結合体Lの軸方向に伸びる一対の先端側脚部L1aからなる。両先端側脚部L1aは、それぞれ結合体Lの軸方向に垂直な方向の横断面形状が略円弧状(正確には略扇面形状)をなし、両先端側脚部L1aの水平方向における両端部は、所定間隔を挟んで径方向に対称状に相対する。各先端側脚部L1aは、先端が自由端であり、先端側が径方向内方へ弾性的に撓み得る。貫通部L4は、両先端側脚部L1aの端部同士の間において径方向外方に露出する。
【0036】
両先端側脚部L1aの基部同士の間の一方の股部及び他方の股部は、何れも、先端向き受止部を構成する受止股部L5である。
【0037】
抜止部L3は、軸状部L1の先端側部分により構成され、基端側外方張出部L2との間に対象物を挟む先端側外方張出部L3aを有すると共に内方へ弾性的に撓み得るものである。先端側外方張出部L3aは、各先端側脚部L1aの先端から基端側に向かって漸次側方に膨出するよう形成されている。
【0038】
また、基端側外方張出部L2の基端側には、180度中心角をはさんでそれぞれ径方向外方に突出する部分を有する円環形状をなす基端側開口の基端側凹部L2aが形成され、その基端側凹部L2aの底面が基端向き受止部L2a1を構成している。
【0039】
結合維持体Mは、嵌挿部M1と維持体基端張出部M2を有する。
【0040】
嵌挿部M1は、先端に向かって垂直状に設けられている。嵌挿部M1のうち先端側は円柱状部M1aであり、円柱状部M1aの基端側に、径方向内方に弾性的に撓み得、径方向に対称状に相対する横断面弓形状の一対の基端側脚部M1bを有する。
【0041】
両基端側脚部M1bの基端には、それぞれ、弓形の中央部に径方向外方に突出した突出部を有する板状をなす維持体基端張出部M2が外方張出状に形成されている。両維持体基端張出部M2は、両基端側脚部M1b同士の間隔をはさんで相対し、両維持体基端張出部M2の先端側の面が先端向き被受止部M2aを構成している。両維持体基端張出部M2は、結合体Lの基端側外方張出部L2における基端側凹部L2a内に収容され得る。
【0042】
各基端側脚部M1bの外周側の周方向中央部に、基端に向かって次第に外方へ張り出すように形成された後退防止外方張出部M3を有し、各後退防止外方張出部M3の基端側の面が基端向き被受止部M3aを構成している。基端向き被受止部M3aと維持体基端張出部M2の先端側の面の間は、軸方向に間隙が形成されている。
【0043】
嵌挿部M1は、結合体Lの貫通部L4に対し軸方向基端から先端を経てその先まで達し得る。円柱状部M1aの軸方向中間位置が、貫通部L4に嵌挿された状態において抜止部L3の内方に位置することにより抜止部L3の内方への撓みを防ぎ得る内方撓み防止部を構成する。
【0044】
(2) 植物生育用マット20は、ポリエステル系合成繊維を約80%含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊して繊維状に加工したものを主材料とし、これに低融点のポリエステル繊維をバインダー繊維として混合分散させたものを用いて製造したものである。すなわち、これらの繊維を所定の厚さに方向性なく立体的に集合させた繊維の集合体に肥料及び土壌改良材を分散させたものを、バインダー繊維が溶融する温度まで加熱した後、集合した状態の厚さに対して約20乃至50mmの厚さとなるようプレスし、バインダー繊維を冷却・硬化させて繊維同士を結合させ繊維の間に無数の空隙を形成させることにより、繊維の空隙に肥料及び土壌改良材が添加された植物生育用マット20が得られた。平面視正方形状(形状はこれに限らない)の植物生育用マット20の四隅部(これに限らない)にはそれぞれ軸線方向が厚さ方向である円柱形状のマット結合用貫通孔20aが設けられている。
【0045】
植物生育用マット20と実質上同一の平面視正方形状(形状はこれに限らない)をなす支持体30は、合成樹脂の射出成形により一体成形されたものであり、全体がすのこ状部で、その上面部を形成する支持部32は、ほぼ碁盤目状の格子状をなす。支持部32の全上面部にわたり多数満遍なく形成されている上方開口の透孔34は、支持部32上に積層結合された植物生育用マット20において生育した植物の根が挿通し得るものであり、何れも平面視において略方形状(透孔の形状はこれに限るものでなく、例えば三角形、正方形、長方形、その他の多角形、円形、楕円形等を任意に採用し得る。)をなす。支持部32の上面部は、透孔34及び支持体30の四隅部(これに限らない)に設けられた支持体側凸部35を除いた部分がほぼ一定高さである。支持部32の下側には、円柱形状の支柱部36が多数分散形成されている。支柱部36は、支持体30を載置面C上に載置した状態において支持部32を支持するものであり、各支柱部36の下端位置(載置面位置)と支持部32との間の空間のうち各支柱部36を除く部分が空間形成部38である。
【0046】
支持体側凸部35は、植物生育用マット20におけるマット結合用貫通孔20aに対応する箇所に設けられている。支持体側凸部35は、支持部32からやや上方に突出した円筒形状をなし、その外径はマット結合用貫通孔20aの内径よりやや小さい。支持体側凸部35の内周側は、支持部32を上下に貫通する支持体結合用孔39の上部を構成する。支持体結合用孔39の下端部は、やや内径が拡大した拡径部39aに形成されている。
【0047】
支持体30の支持部32上に、各支持体側凸部35が対応するマット結合用貫通孔20aの下部に嵌合するように植物生育用マット20を積層すると、植物生育用マット20を支持体30における支持部32上に水平方向に位置決めし、互いに対応するマット結合用貫通孔20aと支持体結合用孔39が上下に連通した状態とすることができる。
【0048】
(3) このように両者を積層して上下に連通したマット結合用貫通孔20aと支持体結合用孔39に対し、結合体Lの軸状部L1を先端側から挿入すると、結合体Lの挿入は、基端側外方張出部L2が対象物におけるマット結合用貫通孔20aの基端開口(図における上端開口)の外周部によって止まる。
【0049】
結合体Lの抜止部L3が内方へ弾性的に撓むことによって、先端側外方張出部L3aは支持体結合用孔39の先端開口(図における下端開口)を通過し得る。先端側外方張出部L3aが前記貫通孔の先端開口から出て抜止部L3が内方撓み状態から復元することにより、先端側外方張出部L3aは支持体結合用孔39を逆向きに通過し得ないものとなり、先端側外方張出部L3aと基端側外方張出部L2との間に対象物である植物生育用マット20と支持体30の積層物を挟む状態となる。
【0050】
この状態の結合体Lにおける、基端側外方張出部L2及び軸状部L1を軸方向の基端から抜止部L3の内方部まで軸方向に貫通する貫通部L4に対し、結合維持体Mの嵌挿部M1を嵌挿し、嵌挿部M1における内方撓み防止部が結合体Lの抜止部L3の内方に位置する状態とすることにより、抜止部L3の内方への撓みが防がれる。結合維持体Mの基端における維持体基端張出部M2は、基端側凹部L2aに嵌合し外方にはみ出さない。結合維持体Mの嵌挿部M1が結合体Lの貫通部L4に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部L3の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合体Lにおける前記基端向き受止部L2a1が結合維持体Mにおける前記先端向き被受止部M2aを受止することにより結合体Lに対し結合維持体Mが相対的に先端向きに前進することを防ぐ。
【0051】
結合維持体Mの嵌挿部M1が結合体Lの貫通部L4に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部L3の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置すると共に、結合体Lにおける受止股部L5の周方向位置に結合維持体Mの基端側脚部M1bにおける後退防止外方張出部M3が位置することにより、結合体Lにおける前記受止股部L5が結合維持体Mにおける前記後退防止外方張出部M3の基端向き被受止部M3aを受止し得る。
【0052】
結合体Lに対し結合維持体Mが相対的に先端向きに前進する場合は、基端側脚部M1bが径方向内方に弾性的に撓んで後退防止外方張出部M3の基端向き被受止部M3aが弾性的に径方向内方に変位することにより、その前進が妨げられず、結合維持体Mの嵌挿部M1が結合体Lの貫通部L4に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部L3の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態においては、結合体Lにおける前記先端向き受止部が結合維持体Mにおける前記基端向き被受止部M3aを受止することにより、結合体Lに対し結合維持体Mが相対的に基端向きに後退することを防ぐ。
【0053】
結合維持体Mの嵌挿部M1が結合体Lの貫通部L4に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部L3の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合維持体Mの基端側脚部M1bの基端部が結合体Lの基端部において露出しており、結合維持体Mの基端側脚部M1bの基端部を径方向内方に撓ませることにより、結合維持体Mにおける基端向き被受止部M3aが結合体Lにおける先端向き受止部により受止された状態を解除し、結合体Lに対し結合維持体Mが相対的に基端向きに後退することを可能とすることができる。
【0054】
結合維持体Mを相対的に基端向きに後退させることにより、結合維持体Mの嵌挿部M1における内方撓み防止部を結合体Lの抜止部L3の内方の位置から基端側へ移動させることができる。
【0055】
これにより、抜止部L3の内方への撓みを可能として結合体Lを対象物の貫通孔から離脱させることが可能となる。
【0056】
(4) 結合具は、結合体と結合維持体を有してなるものであり、結合体により結合する対象物(或いは、例えば結合体を結合させる対象物)は、特に限定はされないが、例えば、屋上や折板屋根上や壁面等に配設される植物栽培マットやそれを支持する支持体等が重なり合ったものを挙げることができる。
【0057】
結合体及び結合維持体は、何れも合成樹脂(例えばポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂等)を一体成形したものであることが好ましい。
【0058】
(5) 結合体は、軸状部と基端側外方張出部と抜止部と貫通部を備えてなる。
【0059】
結合体の軸状部は、例えば、結合体の軸方向に伸びる(すなわち軸方向が結合体の軸方向と一致するか又は平行な)筒状部、脚部、或いはこれらの組み合わせ、例えば筒状部の軸方向先端側に脚部を有するものとすることができる。筒状部としては、例えば円筒状部、多角筒状部を挙げることができ、脚部は、例えば、結合体の軸心線よりも径方向外方において結合体の軸方向に沿い、先端が自由端であり、先端側が径方向内方へ弾性的に撓み得るものを挙げることができる。このような脚部は、例えば、結合体の軸心線のまわりに周方向間隔を挟んで複数本設けることができる。結合体の軸方向に垂直な方向における脚部の横断面形状は、例えば、略円弧状、或いは、扇面形状(中心並びに中心角の大きさ及び位置が一致し半径が異なる二つの円弧とそれらの円弧の両端を通る二つの半径とで囲まれた図形)、方形状、その他の多角形状とすることができる。軸状部の先端部は先細形状に形成されることにより対象物の貫通孔等に軸状部を挿入し易いものとすることが望ましい。
【0060】
基端側外方張出部は、軸状部の基端側に位置する。基端側外方張出部の位置は、軸状部の基端に限るものではない。基端側外方張出部の形状は、例えば、結合体の軸方向に対し垂直な環状板状部や蝶形板状部とすることができる。
【0061】
抜止部は、軸状部の先端側に位置し、基端側外方張出部との間に対象物を挟む先端側外方張出部を有すると共に内方へ弾性的に撓み得るものである。例えば、結合体の軸心線よりも径方向外方において結合体の軸方向に沿った脚部であって、先端が自由端であり、先端側が径方向内方へ弾性的に撓み得るものにおける先端部の径方向外方側に先端側外方張出部を設けたものを挙げることができる。
【0062】
貫通部は、基端側外方張出部及び軸状部を、結合体の軸方向の基端から抜止部の内方部まで軸方向に貫通するものである。貫通部は軸方向の先端まで貫通するものが一般的であるが、先端に達することを必ずしも要しない。貫通部は、例えば円形断面とすることができるが、これに限るものではなく、例えば多角形断面とすることもできる。
【0063】
(6) 結合維持体は嵌挿部を有する。嵌挿部は結合体の貫通部に対し軸方向基端側から少なくとも抜止部の内方部まで嵌挿し得るものであり、貫通部に嵌挿された状態において抜止部の内方に位置することにより抜止部の内方への撓みを防ぎ得る内方撓み防止部を有する。嵌挿部は、貫通部の先端まで又は先端よりも先に達するものとすることができるが、貫通部の先端に達しないものとすることもでき、必ずしも貫通部の全長にわたり嵌挿し得るものであることを要するものではない。嵌挿部の断面形状は、結合体の貫通部の断面形状と同じであっても異なっていてもよいが、内方撓み防止部については、抜止部の内方に位置することにより抜止部の内方への撓みを防ぐに十分な寸法と剛性を有するものであることを要する。尤も、内方撓み防止部は、抜止部が内方へ撓むことにより結合体が対象物から抜けることを防ぎ得る限度で抜止部の内方への撓みを防ぐことができればよい。
【0064】
(7) 結合具は、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐ前進防止構造と、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐ後退防止構造を備える。
【0065】
前進防止構造としては、例えば、結合維持体に先端向き被受止部を、結合体に基端向き受止部を、それぞれ有し、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合体における前記基端向き受止部が結合維持体における前記先端向き被受止部を受止することにより結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐものとすることができる。
【0066】
結合維持体における前進防止構造を構成する先端向き被受止部の例としては、軸方向に対し垂直の又は傾斜した面、例えば、結合維持体の基端部又は軸方向中間部等のその他の部分に外方張出部を設けた場合における外方張出部の先端側の面を挙げることができる。
【0067】
また結合体における前進防止構造を構成する基端向き受止部の例としては、軸方向に対し垂直又は傾斜した面、例えば、結合体の基端側外方張出部の基端側の面又は軸方向中間部等のその他の部分の基端側の面、或いは、結合体の基端側外方張出部として結合体の基端に外方張出状に設けられた頭状部の基端側の面を挙げることができる。
【0068】
すなわち、例えば結合体の基端側外方張出部が結合体の基端に設けられ、その基端側外方張出部に、基端側に開口する基端側凹部が形成され、その基端側凹部が基端向き受止部を構成し、結合維持体の基端に、前記基端側凹部に嵌合し得る維持体基端張出部が外方張出状に形成され、維持体基端張出部が先端向き被受止部を構成するものとすることができる。なお、結合維持体の基端における維持体基端張出部は、結合体の基端側外方張出部における基端側凹部内に収容されてその基端側凹部外に突出しないことが望ましい。
【0069】
後退防止構造としては、例えば、結合維持体に基端向き被受止部(例えば軸方向に対し垂直又は傾斜した面)を、結合体に先端向き受止部(例えば軸方向に対し垂直又は傾斜した面)を、それぞれ有し、後退防止構造は、結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進する場合は、結合維持体の前記基端向き被受止部の弾性的な径方向内方変位および/または結合体の前記先端向き受止部の弾性的な径方向外方変位により、その前進を妨げず、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態においては、結合体における前記先端向き受止部が結合維持体における基端向き被受止部を受止することにより、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐものとすることができる。
【0070】
このような後退防止構造を構成する結合維持体の例としては、嵌挿部のうち基端側に、径方向内方に弾性的に撓み得る(径方向外方にも撓み得るものであってもよい)複数の基端側脚部を有してなり、基端側脚部(好ましくは2以上の基端側脚部)に、基端向き被受止部を備えた後退防止外方張出部を有し、結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進する場合は、基端側脚部が径方向内方に弾性的に撓んで後退防止外方張出部の基端向き被受止部が弾性的に径方向内方に変位することにより、その前進が妨げられず、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態においては、結合体における前記先端向き受止部が結合維持体における前記基端向き被受止部を受止することにより、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐものとすることができる。
【0071】
この場合の結合維持体は、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合維持体の基端側脚部の基端部が結合体の基端部において露出し、結合維持体の基端側脚部の基端部を径方向内方に撓ませることにより、結合維持体における基端向き被受止部が結合体における先端向き受止部により受止された状態を解除し、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退することを可能とするものとすることができる。その場合の結合維持体の基端側脚部の基端部は、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合体の基端部から基端側に突出しないものとすることができる。
【0072】
これらの基端側脚部(複数の場合はそれらの一部又は全部)は、それぞれ、その基端に維持体基端張出部の全部又は一部が形成されるものとすることができる。また、その維持体基端張出部は、結合体の基端側外方張出部における基端側凹部内に収容され得るものとすることができる。
【0073】
(8) 結合体において先端向き受止部が所定の周方向位置に位置すると共に、結合維持体において基端向き被受止部が所定の周方向位置に位置しており、且つ、結合体に対し結合維持体が周方向において所定の位置関係にある場合にのみ、結合体における先端向き受止部が結合維持体における基端向き被受止部を受止し得るものととなり得るものとすることができる。
【0074】
結合体における軸状部が、径方向内方に弾性的に撓み得る、貫通部の外周側に位置する複数の先端側脚部を有するものである場合、結合体における隣接する先端側脚部の基部同士の間の股部の1又は2以上が先端向き受止部を構成する受止股部であるものとすることができる。それに加えて、結合維持体が、嵌挿部のうち基端側に、径方向内方に弾性的に撓み得る複数の基端側脚部を有し、基端側脚部に、基端向き被受止部を備えた後退防止外方張出部を有するものとすることができる。その場合、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置すると共に、結合体における受止股部の周方向位置に結合維持体の基端側脚部における後退防止外方張出部が位置することにより、結合体における受止股部が結合維持体における後退防止外方張出部の基端向き被受止部を受止し得るものとすることができる。
【符号の説明】
【0075】
20 植物生育用マット
20a マット結合用貫通孔
30 支持体
32 支持部
34 透孔
35 支持体側凸部
36 支柱部
38 空間形成部
39 支持体結合用孔
39a 拡径部
C 載置面
L 結合体
L1 軸状部
L1a 先端側脚部
L2 基端側外方張出部
L2a 基端側凹部
L2a1 基端向き受止部
L3 抜止部
L3a 先端側外方張出部
L4 貫通部
L5 受止股部
M 結合維持体
M1 嵌挿部
M1a 円柱状部
M1b 基端側脚部
M2 維持体基端張出部
M2a 先端向き被受止部
M3 後退防止外方張出部
M3a 基端向き被受止部
R 結合具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合体と結合維持体を有してなる結合具であって、
前記結合体は、
軸状部と、
前記軸状部の基端側に位置する基端側外方張出部と、
前記軸状部の先端側に位置し、前記基端側外方張出部との間に対象物を挟む先端側外方張出部を有すると共に内方へ弾性的に撓み得る抜止部と、
前記基端側外方張出部及び軸状部を、軸方向の基端から前記抜止部の内方部まで軸方向に貫通する貫通部を備えてなるものであり、
前記結合維持体は、
前記結合体の貫通部に対し軸方向基端側から少なくとも抜止部の内方部まで嵌挿し得る嵌挿部を有し、
その嵌挿部には、貫通部に嵌挿された状態において抜止部の内方に位置することにより抜止部の内方への撓みを防ぎ得る内方撓み防止部を有してなるものであり、
前記結合維持体の嵌挿部が前記結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐ前進防止構造と、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐ後退防止構造を備える
ことを特徴とする結合具。
【請求項2】
上記前進防止構造として、結合維持体に先端向き被受止部を、結合体に基端向き受止部を、それぞれ有し、
結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、結合体における前記基端向き受止部が結合維持体における前記先端向き被受止部を受止することにより結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐものである請求項1記載の結合具。
【請求項3】
結合体の基端側外方張出部が結合体の基端に設けられ、その基端側外方張出部に、基端側に開口する基端側凹部が形成され、その基端側凹部が基端向き受止部を構成し、
結合維持体の基端に、前記基端側凹部に嵌合し得る維持体基端張出部が外方張出状に形成され、維持体基端張出部が先端向き被受止部を構成する請求項2記載の結合具。
【請求項4】
上記後退防止構造として、結合維持体に基端向き被受止部を、結合体に先端向き受止部を、それぞれ有し、
前記後退防止構造は、結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進する場合は、結合維持体の前記基端向き被受止部の弾性的な径方向内方変位および/または結合体の前記先端向き受止部の弾性的な径方向外方変位により、その前進を妨げず、
結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態においては、結合体における前記先端向き受止部が結合維持体における前記基端向き被受止部を受止することにより、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐものである請求項1乃至3の何れか1項に記載の結合具。
【請求項5】
上記結合維持体は、嵌挿部のうち基端側に、径方向内方に弾性的に撓み得る複数の基端側脚部を有してなり、
前記基端側脚部に、基端向き被受止部を備えた後退防止外方張出部を有し、
結合体に対し結合維持体が相対的に先端向きに前進する場合は、基端側脚部が径方向内方に弾性的に撓んで後退防止外方張出部の基端向き被受止部が弾性的に径方向内方に変位することにより、その前進が妨げられず、
結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態においては、結合体における先端向き受止部が結合維持体における前記基端向き被受止部を受止することにより、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退して内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得ない位置に至ることを防ぐものである請求項4記載の結合具。
【請求項6】
結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、
結合維持体の基端側脚部の基端部が結合体の基端部において露出し、
結合維持体の基端側脚部の基端部を径方向内方に撓ませることにより、結合維持体における基端向き被受止部が結合体における先端向き受止部により受止された状態を解除し、結合体に対し結合維持体が相対的に基端向きに後退することを可能とすることができる請求項5記載の結合具。
【請求項7】
結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置する状態において、
結合維持体の基端側脚部の基端部が結合体の基端部から基端側に突出しない請求項6記載の結合具。
【請求項8】
上記結合体における軸状部が、径方向内方に弾性的に撓み得る、貫通部の外周側に位置する複数の先端側脚部を有してなり、前記先端側脚部に上記抜止部を有する請求項1乃至4の何れか1項に記載の結合具。
【請求項9】
上記結合体における軸状部が、
内部が上記貫通部を構成する軸方向の筒状部と、
前記筒状部の軸方向先端側において上記貫通部の外周側に位置し、径方向内方に弾性的に撓み得る、複数の先端側脚部を有してなり、前記先端側脚部の先端側に上記抜止部を有する請求項8記載の結合具。
【請求項10】
上記結合体における軸状部が、径方向内方に弾性的に撓み得る、貫通部の外周側に位置する複数の先端側脚部を有してなり、前記先端側脚部に上記抜止部を有する請求項5乃至7の何れか1項に記載の結合具。
【請求項11】
結合体における隣接する先端側脚部の基部同士の間の股部の1又は2以上が先端向き受止部を構成する受止股部であり、
結合維持体の嵌挿部が結合体の貫通部に嵌挿されて内方撓み防止部が抜止部の内方への撓みを防ぎ得る位置に位置すると共に、結合体における受止股部の周方向位置に結合維持体の基端側脚部における後退防止外方張出部が位置することにより、結合体における前記受止股部が結合維持体における前記後退防止外方張出部の基端向き被受止部を受止し得るものである請求項10記載の結合具。
【請求項12】
上記結合体における軸状部が、
内部が上記貫通部を構成する軸方向の筒状部と、
前記筒状部の軸方向先端側において上記貫通部の外周側に位置し、径方向内方に弾性的に撓み得る、複数の先端側脚部を有してなり、前記先端側脚部の先端側に上記抜止部を有する請求項10又は11記載の結合具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−225471(P2012−225471A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95561(P2011−95561)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】