説明

結核菌由来の核酸フラグメント及びポリペプチドフラグメント

【課題】結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来で免疫学的に活性な幾つかの新規のポリペプチドフラグメント、免疫原性成分として該フラグメントを含むワクチン及び他の免疫性組成物、及び該ポリペプチドの産生方法ならびにその用途を提供する。
【解決手段】結核菌由来の新規な幾つかのタンパク質フラグメントの同定、さらに、ESAT−6とMPT59の融合物が、それぞれ非融合タンパク質に比較して優れた免疫原性を有するという発見に基づく、ポリペプチド及びそれらの免疫的に活性なフラグメント、それらをエンコードする遺伝子、ワクチンのような免疫組成物及びポリペブチドを含有する皮膚試験試薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来で免疫学的に活性な幾つかの新規のポリペプチドフラグメント、免疫原性成分として該フラグメントを含むワクチン及び他の免疫性組成物、及び該ポリペプチドの産生方法ならびにその用途に関する。また、本発明は、本発明のポリペプチドフラグメントの製造又は結核菌感染の診断に有用な結核菌由来の新規の核酸フラグメントに関する。さらに、本発明は、ある融合ポリペプチド、特にESAT−6とMPT59の融合物に関する。
【背景技術】
【0002】
結核菌により引き起こされるヒトの結核(以下、「TB」で示す)は、WHOによれば、一年に約300万件の死亡原因となっている世界的に深刻な健康問題である。新しいTBの症例の世界的な発症率は、最近10年の間、徐々に減少しているが、ごく最近は、エイズの発生や多くの薬剤に耐性の結核菌株の出現により、この傾向が著しく変わってきている。
【0003】
臨床的な用途に現在利用可能な唯一のワクチンはBCGであり、有効なワクチンが議論の対象となっている。BCGは、一般的にTBの動物モデルにおいて高レベルな後天的耐性を誘導するが、開発途上国での数回のヒトの試験では、重要な防護を立証していない。特に、BCGは、合衆国での使用がFDAにより許可されていない。
【0004】
このため、新規かつTBに対して改良されたワクチンの開発は緊急課題となっており、WHOによってかなり優先的に扱われている。防護的なマイコバクテリ物質を同定するための多くの試験がなされ、数人の研究者が、1950〜1970年の間に実験的な予防接種後の耐性の増大を報告している。しかし、BCGの効力に対する特に長期間の防護的な免疫応答は、可溶性タンパク質又は細胞壁断片の投与によっても依然として立証されておらず、現在、短期培養ろ液から誘導されたポリペプチド(後述参照)によって研究中である。
【0005】
結核菌に対する免疫性は、3つの基本的な特色で特徴づけられる。i)生細菌は、死菌製剤と対照的に防護的な免疫応答を有効に誘導する;ii)特異的な感作Tリンパ球は、この防護を媒介する;iii)もっとも重要な媒介分子は、インターフェロンガンマ(INF−γ)であると思われる。
【0006】
短期培養ろ液(ST−CF)は、液体培地で最初の数日成長させる間に結核菌から放出されるタンパク質の複合混合物である[Andersenら、1991]。培養ろ液は、TB感染の第一相で宿主に認識される防護抗原を有していることが示唆されている[Andersenら、1991、Ormeら、1993]。幾つかの研究機関からの最近のデータにより、培養ろ液の抗原をベースにする実験的なサブユニットワクチンは、TBに後天的な耐性を高レベルで生じることが立証されている[Pal及びHorwitz、1992;Robertsら、1995;Andersen、1994;Lindbladら、1997]。しかし、培養ろ液は複雑なタンパク質混合物で、これまで、この防護的な免疫反応を果たす分子について利用可能な情報は非常に限られている。この点に関しては、2つの培養ろ液抗原、つまり低質量抗原ESAT−6[Andersenら、1995及びEP−A−0706571号]及び31kDaのAg85B分子[EP−0432203]が免疫防護に関連して記載されているにすぎない。
【0007】
したがって、最終的に有効なサブユニットワクチンを産生するために、TBに対する免疫防護誘導に関与する別の抗原を同定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0706571号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0432203号
【発明の概要】
【0009】
発明の目的
本発明の目的は、TBに対するサブユニットワクチンの成分として有効であるか、又はマイコバクテリア(特に、毒性結合性(virulence−associated)のマイコバクテリア)感染の検出用診断組成物の成分として有用な新規の抗原を提供することにある。また、新規の抗原は、重要な薬剤の標的であってもよい。
【0010】
発明の要約
本発明は、結核菌由来で、これまでに特徴づけされていない幾つかの培養ろ液抗原の同定と特徴づけに基づく。TBの動物モデルで、T細胞が介在する免疫性は、6〜12及び17〜30kDaの範囲のST−CF中の抗原に優勢である。本発明では、低分子量領域の8抗原(CFP7、CFP7A、CFP7B、CFP8A、CFP8B、CFP9、CFP10A及びCFP11)及び17〜30kDaの範囲の18抗原(CFP16、CFP17、CFP19、CFP19B、CFP20、CFP21、CFP22、CFP22A、CFP23、CFP23A、CFP23B、CFP25、CFP26、CFP27、CFP28、CFP29、CFP30A及びCFP30B)が同定された。これらのうち、CFP19AとCFP23が選択された。これは、結核菌の2つのDNA配列orf19Aとorf23に相同性を示すCFP21とCFP25をエンコードする遺伝子(それぞれcfp21及びcfp25)を有するサンガー(Sanger)データベース(後述参照)でヌクレオチドのホモロジーシークエンスを調査した限りでは、それらが、それぞれCFP21とCFP25に比較的高い相同性を示すからである。orf19aとorf23の2つの配列は、それぞれ約19及び23kDaの分子量を有する仮想(putative)タンパク質CFP19AとCFP23をエンコードする。CFP21とCFP25に対するアミノ酸レベルでの同一性は、両タンパク質についてそれぞれ46%及び50%である。CFP21とCFP25は優勢なT細胞抗原であることを示しており、それ故、CFP19AとCFP23は新規なT−細胞抗原である可能性がある。
【0011】
さらに、50kDaの抗原(CFP50)が培養ろ液から単離され、30kDaの領域の抗原(CWP32)も細胞壁から単離されている。
【0012】
また、本発明は、マイコバクテリア・ボビス(M.bovis)BCG株に存在しない結核菌由来の幾つかの仮想抗原の同定に基づく。これらの仮想抗原をエンコードするヌクレオチド配列は、rd1−orf2、rd1−orf3、rd1−orf4、rd1−orf5、rd1−orf8、rd1−orf9a表びrd1−orf9bである。
【0013】
最後に、本発明は、ESAT−6とMPT59の融合物が、それぞれ非融合タンパク質に比較して優れた免疫原性があるという驚くべき発見に基づいている。
【0014】
33個の抗原をエンコードする遺伝子が決定され、様々なマイコバクテリア株での幾つかの抗原の分布が研究され、生成物の生物活性が特徴づけられた。抗原は、全て代謝しているマイコバクテリアにより分泌されるので、ワクチン目的ならびに診断目的での可能性がある抗原をパネルした。
【0015】
以下の表は、ここで用いる名称ならびに関連するN−末端配列、全アミノ酸配列及び抗原をエンコードするDNA配列のSEQ ID番号を参照して、本発明の抗原を挙げている。
【0016】
【表1】

【0017】
T−細胞エピトープがTBに対する後天性免疫性を引き出す原因であることは当該分野で周知であるが、B−細胞エピトープは、後天性免疫と生体内でのマイコバクテリアの認識に全く影響しない。このようなT−細胞エピトープは直鎖状で、6アミノ酸残基という最も小さい長さであることが知られているので、本発明は、特に、このようなT−細胞エピトープの同定と利用に関している。
【0018】
したがって、もっとも広い態様において、本発明は実質的に純粋なポリペプチドフラグメントに関し、a)SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23のいずれか1つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか1つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153及び168〜171のいずれか1つで示される配列から選択されるアミノ酸配列からなり、b)少なくとも6アミノ酸残基の長さを有するa)で定義されるポリペプチドフラグメントのサブ配列であって、結核菌群(tuberculosis complex)に属するマイコバクテリアの感染に対する免疫防護応答を引き起こす能力、又は結核菌群に属するマイコバクテリア由来抗原での感作を過去あるいは現在示す、診断上、顕著な免疫応答を引き出す能力に関して、a)で定義されるポリペプチドに免疫学的に等しい配列からなり、又はc)a)に定義したポリペプチド又はb)で定義したサブ配列と少なくとも70%同一な配列を有し、同時に結核菌群に属するマイコバクテリアの感染に対する免疫防護応答を引起こす能力、又は結核菌群に属するマイコバクテリア由来抗原での感作を過去あるいは現在示す、診断上、顕著な免疫応答を引き出す能力に関して、a)で定義されるポリペプチドに免疫学的に等しいアミノ酸配列からなり、但し、i)ポリペプチドフラグメントがSEQ ID NO:2のアミノ酸配列1〜96からなるか、又はβ−ガラクトシダーゼに融合するSEQ ID NO:4のアミノ酸配列87〜108からなる際には、本質的に純粋形であり、ii)c)における配列の同一性の程度が、ポリペプチドがSEQ ID NO:12のアミノ酸配列か、b)で定義するそのサブ配列を有するポリペプチドのホモログからなる際に、少なくとも95%であり、iii)ポリペプチドフラグメントがSEQ ID NO:42の少なくとも6アミノ酸のアミノ酸配列からなる際に、SEQ ID NO:42の213の位置に相当するスレオニン残基を含む。
【0019】
本発明の他の部分は、上記の定義を有するポリペプチドをエンコードするDNAフラグメント、ならびにこのようなポリペプチドをエンコードするDNAの存在を決定づけるのに有用なDNAフラグメントに関する。
【0020】
発明の詳細な説明
この明細書及び請求の範囲において、「ポリペプチドフラグメント」の語は、少なくとも2アミノ酸残基、多くて10アミノ酸残基の長さの短いペプチド、オリゴペプチド(11〜100アミノ酸残基)及び長いペプチド(「ポリペプチド」について通常想定されるもの、つまり長さ100アミノ酸残基以上)ならびにタンパク質(機能的単位は、少なくとも1つのペプチド、オリゴペプチド又はポリペプチドからなり、グリコシル化、脂質化(lipidate)あるいは補欠分子族からなることにより化学的に修飾されていてもよい)を示す。また、ポリペプチドの定義は、マイコバクテリア中で天然型のペプチド/タンパク質、ならびにいずれかの種類の宿主を形質転換する、いずれかのタイプの発現ベクター中の組換えタンパク質又はペプチド及び化学的に合成したペプチドも含む。
【0021】
この明細書で、「実質的に純粋なポリペプチドフラグメント」は、天然に結合している他のポリペプチド物質を、多くて5重量%(他のポリペプチド物質は、より低い%、例えば多くて4%、多くて3%、多くて2%、多くて1%及び多くて0.5%が好ましい)含むポリペプチド調製物を意味する。実質的に純粋なポリペプチドは、少なくとも96%純粋であることか好ましい。つまり、ポリペプチドは調製物中に存在する全ポリペプチド物質の少なくとも96重量%を構成し、より高い%であることが好ましく、例えば少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.25%、少なくとも99.5%及ひ少なくとも99.75%が好ましい。
【0022】
特に、ポリペプチドフラグメントは「本質的に純粋形」、つまり、ポリペプチドフラグメントは、天然に結合しているいずれの他の抗原も本質的になく、結核菌群に属する細菌由来のいずれの他の抗原もないことが好ましい。これは、以下に詳細に記載するように、マイコバクテリアでない宿主細胞で組換え法によりポリペプチドフラグメントを調製するか、又は周知の固相あるいは液相ペプチド合成法(例えば、Merrifieldにより記載の方法やその変法)でポリペプチドフラグメントを合成してなされる。
【0023】
語「サブ配列」は、2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23のいずれか一つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか一つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153及び168〜171のいずれか一つから選択されるSEQ ID NOを有する本発明のポリペプチドに関して用いられる際に、SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23のいずれか一つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか一つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153、168〜171のいずれか一つの結核菌由来のポリペプチドから得られる少なくとも6アミノ酸残基のいずれかの連続的な範囲であって、結核菌群に属する細菌感染に抵抗性を増すことができる能力に関して上記ポリペプチドに免疫学的に等しいものを示す。
【0024】
したがって、異なる由来源、例えば他の細菌や真核細胞由来のポリペプチドも含まれる。
【0025】
「免疫学的に等しい」ポリペプチドに関しては、ワクチン又は診断剤(つまり、医薬的に受容な担体もしくは賦形剤及び任意のアジュバントと組合さって)に製剤化される際に、ポリペプチドが、ここでI)投与(単独、又は他の抗原と組合わさった免疫学的に活性な成分のいずれか)
により、マウス及び/又はモルモット及び/又はヒトのような霊長類に、結核菌群に属する細菌感染に対して後天的に増した特異的な耐性を付与すること、(その少なくとも20%がマイコバクテリア・ボビスBCGにより生じた後天的に増した耐性で、さらに少なくとも20%がSEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23のいずれか一つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか一つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153又は168〜171のいずれか一つからなる親ポリペプチド(親ポリペプチドは、図6に示した2DEゲルと実質的に同じ相対位置とパターンを有する。実施例参照)により生じる後天的に増した耐性であり、後天的に増した耐性を、結核菌のビルレント株に実験的に感染させたマウスあるいはモルモットから単離した脾臓、肺又は他の器官のホモジネート由来のマイコバクテリア数の減少を計測するか、又はヒトのような霊長類では、プラセボもしくはBCGを受けた対照の群に対して予防接種した群で観察される臨床的な結核の進行に対する防護を測定することにより評価する(増大した抵抗性はより高く、マイコバクテリア・ボビスBCGにより誘発される免疫防護応答の少なくとも50%、例えば少なくとも60%に相当することが好ましく、マイコバクテリア・ボビスBCGにより誘発される免疫防護応答の少なくとも80%、例えば少なくとも90%が、さらに好ましい。増大した抵抗性が、マイコバクテリア・ボビスBCGにより生じる抵抗性を代替することが期待される場合には、抵抗性は、増大した抵抗性の少なくとも100%、例えば少なくとも110%であることが好ましい))、及び/又はII)結核菌群に属するマイコバクテリア由来抗原での感作を過去あるいは現在示している哺乳類で、診断上、顕著な免疫応答を誘発する(この診断上、顕著な免疫応答は、例えば皮膚試験で決定できる遅延型の過度感作反応の形態、又は例えば以下に詳述するIFN−γアッセイで測定されるIFN−γ放出の形態であってもよい。一連の皮膚試験で、診断上、顕著な反応は、少なくとも直径5mmで、少なくとも65%(好ましくは、少なくとも75%、例えば少なくとも85%)がSEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23のいずれか一つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか一つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153又は168〜171のいずれか一つからなる親ポリペプチドにより誘発される皮膚反応(皮膚反応直径として評価)を生じる反応である)ことを意味する。
【0026】
したがって、免疫性を増すポリペプチドフラグメントの能力は、予めポリペプチドで免疫化した後で結核菌群に属するマイコバクテリアのビルレント株に実験的に感染させた実験動物(例えば、マウス又モルモット)から単離した脾臓、肺又は他の器官のホモジネートからのマイコバクテリア数の減少を、同じビルレント株に感染させた実験動物(結核に対して予め免疫化していない)の対照群のマイコバクテリア数と比較して、実験動物で計測して評価することができる。マイコバクテリア数の比較は、マイコバクテリア・ボビスBCGで免疫化した後に同じビルレント株で実験的に感染させた実験動物群からのマイコバクテリアを計測して行ってもよい。
【0027】
本発明のポリペプチドフラグメントで免疫化した実験動物由来のホモジネート中のマイコバクテリア数は、マイコバクテリア・ボビスBCGで免疫化したマウス又はモルモットで多くて5倍の数で、例えば多くて3倍の数、好ましくは多くて2倍の数である。
【0028】
抵抗性を増す本発明のポリペプチドフラグメントの能力についてのより適切な評価は、一方の群が本発明の抗原を含む、ここに記載するワクチンを受けており、他方の群がプラセボもしくは他の公知のTBワクチン(例えばBCG)のいずれかを受けている、2つ個体群(例えば、ヒト又は他の霊長類)での臨床的な結核の発症率の比較である。このような条件では、本発明の抗原は(当業者に公知の統計方法で測定されるように)プラセボの投与で生じるよりも著しく高い免疫防護を生じるはずである。
【0029】
「結核菌群」は通常の意味でTBを生じるマイコバクテリアの複合体であり、結核菌、マイコバクテリア・ボビス、マイコバクテリア・ボビスBCG及びマイコバクテリア・アフリカヌム(M.africanum)がある。
【0030】
この明細書で、語「代謝しているマイコバクテリア」は、対数的に増殖し、培養されている培養培地にポリペプチドを放出している生きたマイコバクテリアを意味する。
【0031】
語「配列の同一性」は、等しい長さの2つのアミノ酸配列又は2つのヌクレオチド配列間のホモロジーの程度の定量測定を示す。配列の同一性は、
【0032】
【化2】

[式中、Ndifは配列している際の2つの配列中で同一でない残基の全数であり、Nrefは1つの配列における残基数である]として算出することができる。それ故、DNA配列AGTCAGTCは、配列AATCAATCと75%の配列の同一性を有するであろう(Ndif=2、Nref=8)。
【0033】
配列の同一性は、所定のポリペプチドのアミノ酸配列とSEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23のいずれか一つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか一つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153又は168〜171のいずれか一つに示すアミノ酸配列との同一性の程度を例示するためにここで用いる。SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23のいずれか一つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか一つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153又は168〜171のいずれか一つに示すアミノ酸配列と比較されるアミノ酸配列は、例えば後述するハイブリダイゼーションで得られるDNA配列から推定するか、又は従来のアミノ酸配列法により得ることができる。配列の同一性は成熟ポリペプチドのアミノ酸配列について、つまり、いずれのリーダー配列も考慮せずに測定することが好ましい。
【0034】
上記の記載から明らかであるように、SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23のいずれか一つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか一つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153又は168〜171のいずれか一つを有するポリペプチドと同一でないポリペプチドは本発明には含まれない。本発明は、親配列に匹敵する免疫原性に不都合な影響を及ぼさす、重要かつ有用な新規の結合特性や生物学的機能及び免疫原性等を生じ得るマイナーな変形を可能にするものである。
【0035】
したがって、各ポリペプチドフラグメントは、特定のアミノ酸配列と核酸配列で特徴づけることができる。このような配列が組換え法で産生される類似体及び変異体を含み、このような核酸及びポリペプチド配列が、核酸配列への1以上のヌクレオチドの置換、挿入、付加及び/又は欠損により修飾され、組換えポリペプチド中での1以上のアミノ酸残基の置換、挿入、付加又は欠損を生じることは理解されるであろう。語DNAを以下で用いる際、語DNAが、DNAがSRNAで置換され得る目的のために当業者に明らかなRNAの具体例を含むように解釈すべきであることは理解されるべきである。ハイブリダイゼーション用には、PNAが、非常にダイナミックなハイブリダイゼーションプロフィルを示すことが分かっているので、DNAの代わりに用いてもよい(PNAは、Nielsen P EらのScience 254:1497−1500に記載)。
【0036】
免疫応答診断及びワクチン調製で、公知の免疫原性のタンパク質又はポリペプチドのセグメントから抗原を調製することは、ともにしばしば可能であり、実用的である。あるエピトープ領域を用いて、抗原ポリペプチド全体で生じる反応に似た反応を生じることができる。抗原性又は免疫原性の可能性がある領域は、幾つかの試験法、例えばJameson−WolfもしくはKyte−Doolittleの抗原性解析又はHopp及びWoods(1981)の疎水性解析[例えばJameson及びWolf、1988;Kyte及びDoolittle、1982;又は米国特許第4,554,101号参照]のいずれかで同定できる。各アミノ酸残基に平均的な親水値を割り当てる疎水性解析により、これらの値から平均的な親水度を算出でき、もっとも親水性の領域を決定することができる。推測される抗原性領域は、これらの方法を1以上用いて本発明のポリペプチドを指定するアミノ酸配列から誘導することができる。
【0037】
また、免疫応答のあいだに認識される関連したT−細胞エピトープを同定するために、「ブルートフォース(brute force)」法を使用することもできる。T−細胞エピトープは直鎖状であるので、SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23のいずれか一つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか一つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153又は168〜171のいずれか一つのポリペプチドの欠損変異体は、系統的に構築すると、例えばこれらの欠損変異体をここに記載するIFN−γアッセイに付すことにより免疫認識に必要なポリペプチドの領域を示す。別の方法は、SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23いずれかの一つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか一つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153又は168〜171のいずれか一つのポリペプチドから誘導される重複オリゴマー(好ましくは、例えば20アミノ酸残基の長さの合成物)を利用している。これらのなかには、IFN−γアッセイで陽性の反応を生じるものと生じないものとがあるであろう。
【0038】
本発明の好ましい具体例で、本発明のポリペプチドフラグメントはヘルパ−T−細胞のエピトープからなる。
【0039】
T−細胞エピトープの最も小さい長さは少なくとも6アミノ酸であることが示されているが、このようなエピトープはより長い範囲のアミノ酸から構成されるていることが普通である。それ故、本発明のポリペプチドフラグメントは少なくとも7アミノ酸残基で、例えば少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも24及び少なくとも30のアミノ酸残基を有していることが好ましい。
【0040】
実施例から明らかであるように、本発明のポリペプチドの幾つかはリーダー配列(又は他の短いペプチド配列)を含む天然の翻訳産物であるが、結核菌群に属する細菌由来の短期培養ろ液から単離できる生成物は、これらの配列を有しない。これらのポリペプチドを組み換えて産生し、これに関連して、ポリペプチドの遺伝子にリーダー配列をエンコードする情報を含むことによって宿主細胞からのポリペプチドの輸送を容易にすることは幾つかの用途で有利であるが、むしろ輸送を行う宿主系で優れていることが示されている配列でリーダー配列を置換するか又はリーダー配列を(例えば、ペプチド合成によるポリペプチド産生時に)全体的に省くことが、より好ましい。それ故、本発明の好ましい具体例は、SEQ ID NO:6の−30〜−1及び/又はSEQ ID NO:10の−32〜−1及び/又はSEQ ID NO:12の−8〜−1及び/又はSEQ ID NO:14の−32〜−1及び/又はSEQ ID NO:42の−33〜−1及び/又はSEQ ID NO:52の−38〜−1及び/又はSEQ ID NO:56の−33〜−1及び/又はSEQ ID NO:58の−56〜−1及び/又はSEQ ID NO:151の−28〜−1のアミノ酸残基がないポリペプチドである。
【0041】
別の好ましい具体例では、本発明のポリペプチドフラグメントは、いずれのシグナル配列もない。これは、ポリペプチドフラグメントが合成して産生される際に特に重要であるが、ポリペプチドフラグメントが組換えて産生される際には、通常、それらがペリプラズムや細胞外空間へ宿主細胞により輸送されないようにすることができる。ポリペプチドフラグメントは宿主細胞の破壊後に細胞質から従来法(以下、参照)で回収でき、ポリペプチドフラグメントの再生が必要な場合には一般的な再生方法(例えば、このような一般的に使用可能な再生法を記載するWO94/18227号の開示参照)を用いることができる。
【0042】
SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23のいずれか一つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか一つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153又は168〜171のいずれか一つから誘導される所定のポリペプチドフラグメントの潜在的な有用性について適切なアッセイは、感作記憶T−リンパ球からのIFN−γの放出に影響するポリペプチドフラグメントの能力の評価である。この能力を有するポリペプチドフラグメントは、本発明によれば本発明の特に重要な具体例である。感染の開始後すぐにTリンパ球免疫応答を刺激するポリペプチドフラグメントは、マイコバクテリアが一瞬の感染で生じる細菌数まで増殖をなし遂げる前に感染を引き起こすマイコバクテリアの制御に重要であるものと推測される。
【0043】
したがって、本発明の重要な具体例は、上記に定義されるポリペプチドフラグメントであって、1)一次感染から2週間以内か、又はマウスを結核菌群に属するマイコバクテリアに再度実験的に感染させてから4日以内のマウスから回収した感作記憶T−リンパ球からのIFN−γの放出を誘導し、その誘導が約200,000個の脾臓細胞/mlを含む懸濁液にポリペプチドを添加して行われ、ポリペプチドの添加により濃度が1〜4μgポリペプチド/ml懸濁液となり、IFN−γの放出が懸濁液にポリペプチドを添加して2日後に回収した上清中のIFN−γの測定により評価できる、及び/又は2)感染第1相のTB患者又はBCG予防接種した健康なドナー又はTB患者に接触している健常者から単離した約1,000,000個のヒトPBMC(末梢血液単核細胞)/mlから少なくとも1,500pg/ml上のレベルでIFN−γの放出を誘導し、その誘導が約1,000,000個のPBMC/mlを含む懸濁液にポリペプチドを添加して行われ、ポリペプチドの添加により濃度が1〜4μgポリペプチド/ml懸濁液となり、IFN−γの放出が懸濁液にポリペプチドを添加して2日後に回収した上清中のIFN−γの測定により評価できる、及び/又は3)結核菌群に属するマイコバクテリアで予め感作した動物由来のウシPBMCからIFN−γの放出を誘導し、その放出が結核菌群に属するマイコバクテリアで予め感作していない動物由来のウシPBMCから観察される放出の少なくとも2倍である。
【0044】
1)及び2)の代わりに、ポリペプチドフラグメントによりもたらされる放出は上清中で少なくとも1,500pg/mlのIFN−γを生じることが好ましく、より高い濃度、例えば上清中で少なくとも2,000pg/ml、少なくとも3,000pg/mlであることが好ましい。ウシPBMCからのIFN−γの放出は、例えば標準的なサイトカインELISAでバックグラウンドに対し光学密度(OD)指数として測定でき、少なくとも2であるべきであるが、少なくとも3、5、8及び10のような、より高い数値であることが好ましい。
【0045】
本発明のポリペプチドフラグメントは、SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16、17〜23のいずれか一つ、42、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72〜86のいずれか一つ、88、90、92、94、141、143、145、147、149、151、153又は168〜171のいずれか一つと70%より高い配列の同一性を有する、少なくとも6アミノ酸残基の長さのアミノ酸配列からなることが好ましい。配列の同一性の最小割合は少なくとも80%、例えば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%及び少なくとも99.5%であることが好ましい。
【0046】
上述のとおり、本発明のポリペプチドフラグメントからリーダー配列を省くことは、通常、重要であろう。しかし、融合ポリペプチドの産生により、本発明のポリペプチドフラグメントは、より良好に特徴づけることができる。例えば、組換えて産生される際にポリペプチドの輸送を容易にする融合パートナー(partner)、ポリペプチドの精製を容易にする融合パートナー及び本発明のポリペプチドフラグメントの免疫原性を高める融合パートナーは全て重要である可能性がある。したがって、本発明は、少なくとも1つの上記ポリペプチドフラグメントと少なくとも1つの融合パートナーからなる融合ポリペプチドにも関する。免疫原性を増すためには、融合パートナーは、例えば(関連するエピトープを多重発現できるように)上記の別のポリペプチドフラグメント及び結核菌群に属する細菌由来の他のポリペプチド(例えば、ESAT−6、MPB64、MPT64及びMPB59)又はこれらの抗原のいずれかに対する少なくとも1つのT−細胞エピトープからなる群から選択できる。融合パートナーとして役立つことができる他の免疫原性を高めるポリペプチドは、T−細胞エピトープ(例えば、ポリペプチドESAT−6、MPB64、MPT64又はMPB59由来)又は標的の遺伝子産物の免疫原性を高める他の免疫原性エピトープ(例えば、IFN−γ、IL−2及びIL−12のようなリンホカイン)である。発現及び/又は精製を容易にするためには、融合パートナーは、例えば細菌の線毛タンパク質、例えばピリン線毛成分及びpapA;タンパク質A;ZZ−ペプチド(ZZ−融合物は、スウェーデンのPharmaciaより市販されている);マルトース結合タンパク質;グルタチオンS−トランスフェラーゼ;β−ガラクトシダーゼ;又はポリヒスチジンであってもよい。
【0047】
他の重要な融合パートナーは、脂質化されていることによって免疫原性ポリペプチドを免疫系に適切な様式で存在させるポリペプチドである。この作用は、例えばボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)のOspAポリペプチドベースのワクチンから公知であり、ポリペプチド中の脂質化膜アンカーが産生細胞から単離されると、ポリペプチド(天然に脂質化されている)に自己アジュバント作用を付与する。逆に、OspAポリペプチドは、脂質化アンカーなしで調製される際に免疫学的に比較的休止(silent)状態にある。
【0048】
実施例6Aに明らかにされているように、ESAT−6のN−末端に直接融合しているMPT59からなる融合ポリペプチドは、MPT59及びESAT−6のみの免疫原性から予想される以上にESAT−6の免疫原性を高める。この驚くべき知見が得られた正確な理由は依然として不明であるが、両方の抗原の存在により免疫原性に関する相乗効果が生じたか、又はESAT−6配列のN−末端配列の存在により、この免疫的に優勢なタンパク質をN−末端での存在が知られている重要なエピトープの損失から保護したものと考えられる。また、第三に、MPT59配列のC−末端に配列が存在することにより、この抗原の免疫特性が高められた可能性がある。
【0049】
したがって、本発明の一部は、結核菌タンパク質ESAT−6又はMPT59由来のT−細胞エピトープを構成する少なくとも1つの範囲のアミノ酸を含む第一アミノ酸配列と、ESAT−6(最初のアミノ酸範囲がESAT−6から誘導される場合)又はMPT59(最初のアミノ酸範囲がMPT59から誘導される場合)とは異なる結核菌タンパク質由来の少なくとも1つのT−細胞エピトープを含み、及び/又は生体内分解又は翻訳後プロセシングから第一アミノ酸配列を保護するアミノ酸の範囲を含む第二アミノ酸配列からなる融合ポリペプチドフラグメントに関する。第一アミノ酸配列は、第二アミノ酸配列にN−又はC−末端で位置していてもよいが、ESAT−6のN−末端保護についての上記の点を考慮すると、第一アミノ酸配列がESAT−6由来である際に第一アミノ酸配列は第二アミノ酸配列にC−末端で位置していることが好ましい。
【0050】
現在はMPT59とESAT6の融合作用が研究されているにすぎないが、ESAT6とMPT59又はそれら由来のエピトープは、融合構築物の全体的な免疫原性に対し実質的に同じ作用を有する他の融合パートナーに有利に融合させることができると考えられる。それ故、本発明の融合ポリペプチドフラグメントは、第二アミノ酸配列に含まれる少なくとも1つのT−細胞エピトープが、上記及び実施例に記載される本発明のポリペプチドフラグメントからなる群から選択される結核菌ポリペプチド(「親」ポリペプチド)に由来するか、又はアミノ酸配列が結核菌タンパク質DnaK、GroEL、ウレアーゼ、グルタミンシンセターゼ、プロリンリッチ複合体、L−アラニンデヒドロゲナーゼ、ホスフェート結合タンパク質、Ag85複合体、HBHA(ヘパリン結合血球凝集素)、MPT5L1、MPT64、スーパーオキシドジスムターゼ、19kDaリポタンパク質、α−クリスタリン、GroES、MPT59(第一アミノ酸配列がESAT−6由来である場合)及びESAT−6(第一アミノ酸配列がMPT59由来である場合)のいずれか1つに由来するものが好ましい。第一及び第二T−細胞エピトープは、由来タンパク質中の天然に存在する配列と少なくとも70%の配列同一性をそれぞれ有することが好ましく、第一及び/又は第二アミノ酸配列は、由来タンパク質と少なくとも70%の配列同一性を有することがさらに好ましい。この融合ポリペプチドのもっとも好ましい具体例は、第一アミノ酸配列がESAT−6又はMPT59のアミノ酸配列であり、及び/又は第二アミノ酸配列が上記の潜在的な「親」ポリペプチドのアミノ酸配列の全長であるポリペプチドである。
【0051】
もっとも好ましい具体例において、融合ポリペプチドフラグメントはMPT59に融合したESAT−6(ESAT−6は、MPT59のC−末端に融合していることが有利である)からなり、1つの詳細な具体的では、2つの親ポリペプチドフラグメントからなる2つのアミノ酸配列間にリンカーは導入されていない。
【0052】
本発明の別の部分は、
1)上記のポリペプチド又は融合ポリペプチドをエンコードする核酸配列からなるか、又はその相補的な核酸配列からなり、及び/又は
2)少なくとも10ヌクレオチドの長さを有し、
【0053】
【表2】

から選択されるヌクレオチド配列を有する核酸フラグメントと、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(当該分野で定義のとおり、つまり融解温度Tmの5〜10℃下、Sambrookら、1989、11.45−11.49頁参照)下で容易にハイブリダイズし、但し、核酸フラグメントかSEQ ID NO:41の配列からなる際、核酸フラグメントはSEQ ID NO:41の781の位置に相当するAを含み、核酸フラグメントがSEQ ID NO:41に正確に相補的なヌクレオチド配列のサブ配列からなる際は、核酸フラグメントはSEQ ID NO:41の781の位置に相当するTを含む、単離形態の核酸フラグメントに関する。
【0054】
核酸フラグメントは、DNAフラグメントであることが好ましい。
【0055】
本発明を正確に有用なものとするには、ハイブリダイゼーションの研究やアッセイに用いる際の核酸配列は、選択される配列の少なくとも10〜40ほどの範囲のヌクレオチドに相補的な配列を含むことが好ましい。少なくとも10ヌクレオチド長の大きさでフラグメントが十分な長さとなり、安定かつ選択的な二重らせん分子の形成が確実となる。ハイブリッドの安定性と選択性を増すためには、10塩基長より長い範囲の相補配列を有する分子が一般的に好ましく、それにより、得られる特異的なハイブリッド分子の質と程度が改善される。
【0056】
それ故、語「サブ配列」は、本発明の核酸フラグメントに関して用いる際に、上記のハイブリダイゼーションパターンを示す少なくとも10ヌクレオチドの連続的な範囲を示すことが意図される。このため、最低でも、SEQ ID NO:1、3、5、7、9、11、12、15、21、41、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、87、89、91、93、140、142、144、146、148、150又は152を有するハイブリダイゼーションパートナーのサブ配列との配列同一性が少なくとも70%であることが、通常、必要となるであろう。核酸フラグメントは10ヌクレオチドより長く、例えば少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70及び少なくとも80ヌクレオチドの長さであることが好ましい。また、配列同一性は70%より高く、例えば少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも96%及び少なくとも98%であることが好ましい。配列同一性は100%であることが、もっとも好ましい。このようなフラグメントは、例えば化学的手段によるフラグメントの直接合成で、核酸再生技術(例えば、米国特許4,603,102号のPCR技術)の応用で、又は組換え産物用の組換えベクターへの選択配列の導入で容易に調製できる。
【0057】
同じアミノ酸が様々なコドンでエンコードされていてもよく、用いられるコドンがヌタレオチド配列を発現する対象の微生物の好みに特に関係していることは周知である。したがって、本発明の核酸フラグメントの少なくとも1つのヌクレオチド又はコドンは他で置換されて、発現時に、対象の核酸フラグメントでエンコードされるポリペプチドと同一か、実質的に同一のポリペプチドを生じてもよい。それ故、本発明により、核酸フラグメントやそのサブ配列でエンコードされるポリペプチドに実質的に影響しない、1以上のヌクレオチドの置換、挿入(イントロン含む)、付加、欠損及び転位のような配列の変化が可能になる。語「置換」は、全ヌクレオチド配列中の1以上のヌクレオチドを、1以上の異なるヌクレオチドで置換することを意味する。「付加」は、全ヌクレオチド配列のいずれかの末端での1以上のヌクレオチドの付加を意味するものと理解される。「挿入」は、全ヌクレオチド配列内での1以上のヌクレオチドの導入を意味する。「欠損」は、1以上のヌクレオチドが、全ヌクレオチド配列から、配列のいずれかの末端又は配列内のいずれかの適切な位置で欠損されていることを示す。「転位」は、2以上のヌクレオチド残基が互いに置換されていることを意味する。
【0058】
修飾されるヌクレオチド配列は、上記のcDNA又はゲノム由来でもよいが、合成由来であってもよい。さらに、配列は、上述のとおり混合したcDNAならびにゲノム、混合したcDNAならびに合成物又はゲノム、及び合成物由来でもよい。配列は、例えば部位特異的突然変異で修飾し、所望のポリペプチドをエンコードする所望の核酸フラグメントを生じてもよい。ポリペプチドをエンコードする核酸の修飾に焦点をしぼった以下の記載は、このような可能性、ならびに2以上のDNAフラグメントを結合して所望の核酸フラグメント及び上記主題の組合せを生じる核酸構築の可能性も含むものと理解されるべきである。
【0059】
ヌクレオチド配列をいずれかの適切な技術を用いて修飾し、本発明のポリペプチドをエンコードする核酸フラグメントを産生することができる。
【0060】
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列をエンコードするヌクレオチド配列の修飾は、得られるポリペプチドの免疫学的機能を損なわないものであるべきである。
【0061】
ここに開示する抗原変異体の製造に好ましい方法は、部位特異的突然変異である。この技術は、基礎となる核酸の特異的突然変異により、抗原配列由来の個々のペプチド又は生物学的機能が等しいタンパク質もしくはペプチドの製造に有用である。さらに、前記の記載を考慮すると、この技術により例えば核酸へ1以上のヌクレオチドの変更が導入されて、配列変異体の調製及び試験を容易に行うことができる。部位特異的突然変異によって、所望の変異のヌクレオチド配列ならびに十分な数の隣接したヌクレオチドをエンコードする特異的なオリゴヌクレオチド配列を用いる変異体の産生が、欠損連結点の両側が交差している安定な二重らせんの形成に十分な大きさで複雑な配列のプライマー配列を生じることができる。一般的には、配列連結点の両側の約5〜10残基が変えられている約17〜25ヌクレオチドの長さのプライマーが好ましい。
【0062】
一般に、部位特異的突然変異の技術は、刊行物で例示されているように当該分野で周知である[Adelmanら、1983]。この技術は、一般的に一本鎖及び二本鎖の両形態で存在するファージベクターを用いることが好ましい。部位特異的突然変異に有用な代表的なベクターは、M13ファージのようなベクターを含む[Messingら、1981]。これらのファージは容易に市場で入手でき、それらの用途は一般的に当業者に周知である。
【0063】
一般に、この明細書によれば部位特異的突然変異は、その配列内に本発明のポリペプチドをエンコードする核酸配列を含む一本鎖ベクターを最初に得ることにより行なわれる。所望の変異配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーは、例えばCreaら(1978)の方法で一般的に合成して調製される。このプライマーは、次いで一本鎖ベクターにアニールされ、変異を有する鎖を完全に合成するために大腸菌ポリメラーゼIクレノウフラグメントのようなDNAポリメラーゼ酵素に付される。このようにして、一方の鎖が本来の非変異配列をエンコードし、第二の鎖が所望の変異を有するヘテロ二本鎖が形成される。このヘテロ二本鎖ベクターは、次いで大腸菌細胞のような適切な細胞を形質転換するのに用いられ、変異された転位配列を有する組換えベクターを含むクローンが選択される。
【0064】
部位特異的突然変異を用いる本発明の選択される核酸フラグメントの配列変異体の調製は、有用である可能性がある遺伝子種の産生手段として提供されるもので、本発明の核酸フラグメントの配列変異体が得られる他の方法の限定を意図するものではない。例えば、所望の遺伝子をエンコードする組換えベクターは、ヒドロキシルアミンを用いるプラスミドDNAの突然変異用の配列変異体を得るために突然変異剤を用いて処理してもよい[例えば、Eichenlaub、1979により記載の方法参照]。
【0065】
また、本発明は、上記の核酸フラグメントからなる複製可能な発現ベクター、特に本発明のポリペプチドフラグメントをエンコードする核酸フラグメントからなるベクターに関する。
【0066】
ベクターは、組換えDNA方法に便利に付すことができるいずれのベクターでもよく、ベクターの選択は、しばしばベクターが導入される宿主細胞による。したがって、ベクターは、その複製が染色体の複製から独立した自律複製ベクター(つまり、染色体外の単位として存在するベクター)であってもよい。このようなベクターの例は、プラスミド、ファージ、コスミド、ミニークロモソーム又はウィルスである。また、ベクターは、宿主細胞に導入される際に宿主ゲノムに組込まれ、組み込まれた染色体とともに複製されるベクターでもよい。
【0067】
発現ベクターは、ここに開示するDNAセグメントのいずれかを含むように構築してもよい。そのようなDNAは、マイコバクテリアのビルレント株に特異的な抗原性タンパク質又はサンプル中のマイコバクテリア核酸の検出用ハイブリダイゼーションプローブをエンコードしていてもよい。所望の抗原性タンパク質によって、長い又は短いDNAセグメントを用いることができる。開示されるDNAで発現又はエンコードされるタンパク質のエピトープ領域は、DNAの比較的短いセグメントとして含まれることができる。広範囲な発現ベクターは、例えば異種遺伝子産物及び/又は耐性遺伝子、例えば形質転換細胞の同定に有用な抗生物質耐性遺伝子の同定に有用なレポーター遺伝子産物をエンコードするDNAセグメントを含んでいてもよい。
【0068】
本発明のベクターを細胞の形質転換に用いて、本発明の核酸フラグメントを増殖させたり、本発明のポリペプチドフラグメントを発現させることができる。それ故、本発明は、本発明のベクターを少なくとも1つ有する形質転換細胞(その中に含まれる本発明のベクター及び/又は核酸フラグメントを天然に有しない細胞)にも関する。このような形質転換細胞(本発明の一部でもある)は、いずれかの適切な細菌の宿主細胞又はいずれかの他のタイプの細胞(例えば、単核真核生物、真菌もしくは酵母)又は多細胞生物(例えば動物や植物)由来細胞であってもよい。特に、タンパク質のグリコシル化は原核生物では珍しい事象であるが、グリコシル化が望ましい場合には哺乳類細胞が用いられる。しかし、通常は、例えばマイコバクテリア、サルモネラ(Salmonella)、シュードモナス(Pseudomonas)、バシラス(Bacillus)及びエシェリキア(Eschericia)属に属する細菌のような原核細胞が好ましい。形質転換細胞は、大腸菌(E.coli)、枯草菌(B.subtilis)又はマイコバクテリア・ボビスBCG細胞が好ましく、形質転換細胞が、本発明のポリペプチドを発現することが特に好ましい。後者によって、本発明のポリペプチドが、形質転換細胞を含む培養液から単に回収することで産生できる可能性が増す。この発明の部分のもっとも好ましい具体例では、形質転換細胞はマイコバクテリア・ボビスBCG株のダニシュ(Danish)1331、つまりデンマーク、コペンハーゲンのBCG研究所(Statens Seruminstitut)からのマイコバクテリア・ボビス株コペンハーゲンである。
本発明の核酸フラグメントは、本発明のポリペプチドフラグメントの組換え体を産生できる。しかし、ペプチド合成としてのポリペプチドフラグメントの提供方法は、天然源からの単離でもよい。
【0069】
したがって、本発明は、宿主細胞で複製可能なベクターに上記の核酸フラグメントを挿入し、得られた組換えベクターを宿主細胞に導入し(形質転換細胞は、分化ハイブリダイゼーション、融合レポーター遺伝子産物の同定、耐性マーカー、抗−抗原抗体などでのスクリーニングを含む様々な技術を用いて選択できる)、ポリペブチドの発現を生じるのに十分な条件下、培養培地で宿主細胞を培養(当然、細胞は環境に適切な条件下で培養でき、DNAが望ましい場合には複製条件が用いられる)し、宿主細胞又は培養培地からポリペプチドを回収するか;又は請求項1に記載の短期培養ろ液からポリペプチドを単離するか;又は結核菌群の全マイコバクテリア又はその溶解物もしくは画分(例えば、細胞壁含有画分)からポリペプチドを単離するか;又は固相又は液相ペプチド合成でポリペプチドを合成することからなる本発明のポリペプチドフラグメントの製造方法にも関する。
【0070】
形質転換細胞の成長に用いられる培地は、目的に合った従来のいずれかの培地であればよい。適切なベクターは上記のベクターのいずれでもよく、適切な宿主細胞は上記に挙げた細胞タイプのいずれでもよい。ベクターの構築と宿主細胞へのその導入に用いられる方法は、組換えDNAの分野で、このような目的に公知のいずれの方法でもよい。以下に、考えられ得る可能性について、より詳細に記載する。
【0071】
一般に、本発明の核酸配列の初期クローニングと本発明に有用なベクターの構築には、原核生物が好ましい。例えば、以下のより詳細に記載する特定の株に加えて、一例として大腸菌K12株294(ATCC No.31446)、大腸菌B及び大腸菌X1776(ATCC No.31537)のような株が挙げられる。これらの例は当然に本発明の例示であり、限定するものではない。
【0072】
発現にも、原核生物か好ましい。上記の株ならびに大腸菌W3110(F−、ラムダー、原栄養性、ATCC No.273325)、枯草菌のような桿菌又はサルモネラ・ティフィムリウム(S.typhimurium)もしくはセラチア・マルセッセンス(Serratia marcesans)のような他の腸内細菌及び様々なシュードモナス種を用いることができる。
【0073】
特に、成長の早いマイコバクテリア、例えばマイコバクテリア・スメグマ(M.smegmatis)は結核菌群のマイコバクテリアと高度に類似し、それ故に発現産物の翻訳後修飾を行う必要を減じる可能性があるので、重要である。
【0074】
一般に、宿主細胞と適合性の種から誘導されるレプリコン及び制御配列を含むプラスミドベクターは、これらの宿主に関して用いられる。ベクターは、複製部位ならびに形質転換細胞での表現型を選択させることができるマーキング配列を有する。例えば、大腸菌は、通常、大腸菌種由来プラスミドpBR322を用いて形質転換される[例えばBolivarら、1977、Gene 2:95参照]。プラスミドpBR322はアンピシリンとテトラサイクリン耐性遺伝子を含み、形質転換細胞の同定手段を容易にしている。プラスミドpBR又は他の微生物プラスミド又はファージは、発現用の微生物で用いることができるプロモーターを含んでいてもよく、含むように修飾されてもよい。
【0075】
組換えDNAの構築でもっとも一般的に用いられるプロモーターは、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)及びラクトースプロモーターシステム[Changら、1978;Itakuraら、1977;Goeddelら、1979]及びトリプトファン(trp)プロモーターシステム[Goeddelら、1979;EPO出願公報No.0036776]を含む。これらはもっとも一般的に用いられるが、他の細菌プロモーターが発見され、利用されており、それらのヌクレオチド配列に関する詳細が公表され、プラスミドベクターとのそれらの機能的な結合が当業者により可能となっている[Siebwenlistら、1980]。原核生物由来の遺伝子は、それら自身のプロモーター配列から大腸菌で効率よく発現され、人為的手段による別のプロモーターの付加の必要性をなくしている。
【0076】
本発明のポリペプチドの組換え調製後、ポリペプチドの単離は、例えば本発明のポリペプチドに実質的に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いるアフィニティクロマトグラフィー(又はクロマトグラフィーに基づく他の従来の生化学的方法)で行うことができる。さらに、Andersenらにより記載されている電気溶出技術[J.Immunol.Methods 161:29−39]を同時に用いてもよい。
【0077】
本発明によれば、翻訳後修飾は、ポリペプチドの脂質化、グリコシル化、切断又は伸長を含む。
【0078】
ある態様において、この発明で提供されるDNA配列情報により、マイコバクテリア遺伝子配列に特異的にハイブリダイズする能力を有する比較的短いDNA(又はRNA又はPNA)配列を調製することができる。これらの態様において、適切な長さの核酸プローブは、関連する配列を考慮して調製される。このような核酸プローブがマイコバクテリア遺伝子配列に特異的にハイブリダイズする能力により、種々の具体例でプローブに特定の有用性が付与される。プローブは、サンプル中の病原性微生物の存在を検出するための様々な診断アッセイに使用できることが非常に重要である。しかし、変異種プライマー又は他の遺伝子構築物の調製に用いるプライマーの調製のための配列情報の使用をはじめ、いずれの用途も想定される。
【0079】
本発明の核酸フラグメントは、本発明のポリペプチド合成及び(直接的なハイブリダイゼーションアッセイ又は例えばPCRもしくは他の分子増幅方法でのプライマーとして有用な)ハイブリダイゼーションプローブのための原点としての用途とは別に、抗原の生体内発現に用いてもよい。つまり、核酸フラグメントは、いわゆるDNAワクチンに用いることができる。最近の研究により、真核細胞で複製しないベクターにクローンされたDNAフラグメントは、例えば筋肉内注射もしくは経皮投与(いわゆる「遺伝子銃」法)により動物(ヒト含む)へ導入できることが示されている。DNAは例えば筋肉細胞により採取され、重要な遺伝子は、真核生物で機能するプロモーター、例えばウィルスプロモーターで発現され、遺伝子産物は、その後免疫系を刺激する(これらの新たに発見された方法は、ここで参照により導入されるUlmerら、1993を参照のこと)。
【0080】
それ故、本発明は、本発明の核酸フラグメントからなるワクチンにも関し、このワクチンは、ワクチンを投与したヒトを含む動物により抗原を生体内で発現させ、抗原の発現量は、ヒトを含む動物での結核菌群のマイコバクテリア感染に対する耐性を実質的に増す効果を有する。
【0081】
このような「DNAワクチン」の効力は、免疫応答の調節能力を有するポリペプチドをエンコードするDNAフラグメントとともに発現産物をエンコードする遺伝子を投与して増強される可能性がある。例えば、リンホカイン前駆体又はリンホカイン(例えば、IFN−γ、IL−2又はIL−12)をエンコードする遺伝子は、2つの別のDNAフラグメントを投与するか、又は同じベクターに含まれるDNAフラグメントをともに投与することにより、免疫原性タンパク質をエンコードする遺伝子とともに投与することができる。また、ここに開示されるポリペプチドの関連するエピトープをそれぞれエンコードする多くのヌクレオチド配列からなるDNAフラグメントを投与して、これらのエピトープの広いスペクトルを有する免疫系を連続的に感作させてもよい。
【0082】
上記のとおり、本発明のポリペプチドフラグメントは、結核菌群に属する代謝しているビルレントマイコバクテリアを含む培養培地で細胞外に存在するため、又はこのような細胞外抗原とホモロジーが高いため、又はマイコバクテリア・ボビスBCGに存在しないために、ワクチンの構成要素又は免疫診断剤の構成要素として優れている可能性がある。
したがって、本発明の別の態様は、本発明のポリペプチド又は融合ポリペプチドからなる免疫性組成物に関する。このような免疫性組成物の能力を確実に最適化するためには、免疫学的かつ医薬的に受容な担体、賦形剤又はアジュバントを含むことが好ましい。
【0083】
適切な担体は、ポリペプチド(類)が疎水性の非共有相互作用で結合しているポリマー(例えばポリスチレンのようなプラスチック)、又はポリペプチド(類)が共有結合しているポリマー(例えば多糖)又はポリペプチド(例えば、ウシ血清アルブミン、オボアルブミン又は鍵穴アオダイ(keyhole limpet)ヘモシアニン)からなる群から選択される。適切な賦形剤は、希釈剤及び懸濁剤からなる群から選択される。アジュバントは、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)、キュイル(Quil)A、ポリI:C、フロイント不完全アジュバント、IFN−γ、IL−2、IL−12、モノホスホリル脂質A(MPL)及びムラミルジペプチド(MDP)からなる群から選択することが好ましい。
【0084】
少なくとも2つの異なるポリペプチドフラグメントからなり、異なるポリペプチドフラグメントが、それぞれ上記のポリペプチド又は融合ポリペプチドである本発明の免疫性組成物が好ましい。免疫性組成物は、3〜20の異なるポリペプチドフラグメント又は融合ポリペプチドを含むことが好ましい。このような免疫性組成物は、ワクチン形態又は皮膚試験の試薬形態であることが好ましい。
【0085】
したがって、上記によれば、本発明は、本発明のポリペプチドを調製、合成又は単離し、ワクチン用媒体にポリペプチドを可溶化又は分散させ、任意に他の結核菌抗原及び/又は担体、賦形剤及び/又はアジュバント物質を加えることからなる、本発明の免疫性組成物の産生方法にも関する。
【0086】
活性成分としてペプチド配列を含むワクチンの調製は、ここで参照として導入する米国特許第4,608,251号、第4,601,903号、第4,599,231号、第4,599,230号、第4,596,792号及び第4,578,770号に例示されているように、一般的に当該分野で十分理解されている。このようなワクチンは、代表的には液体溶液又は懸濁液のいずれかのような注射可能な剤として調製される。注射前の溶液中又は懸濁液中の液体に適切な固体の形態が調製されてもよい。製剤は、乳化されていてもよい。活性免疫原性成分は医薬的に受容で、活性成分と適合性である賦形剤としばしば混合される。適切な賦形剤は、例えば水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等とそれらの組合せである。さらに、所望の場合には、ワクチンは少量の補助物質、例えば湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤又はワクチンの効果を高めるアジュバントを含んでいてもよい。
【0087】
ワクチンは、通常、非経口、例えば皮下又は筋肉内のいずれかの注射により投与される。他の投与様式に適切な別の製剤には座薬が含まれ、経口製剤が含まれる場合がある。座薬には、伝統的な結合剤及び担体、例えばポリアルカレングリコール又はトリグリセリドが含まれていてもよい。このような座薬は0.5〜10%、好ましくは1〜2%の範囲で活性成分を含む混合物から形成してもよい。経口製剤は、このような通常用いられる賦形剤、例えば医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含む。これらの組成物は溶液、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、継続放出製剤又は粉末形態であり、10〜95%、好ましくは25〜70%の活性成分を含む。
【0088】
タンパク質は、中性又は塩の形態としてワクチンに製剤化できる。医薬的に受容な塩は、酸付加塩(ペプチドの遊離のアミノ基とともに形成される)を含む。
【0089】
酸付加塩は、無機酸(例えば塩酸もしくはリン酸)又はオキサル酢酸、酒石酸、マンデル酸のような有機酸などとともに形成される。遊離のカルボキシル基とともに形成される塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は水酸化鉄のような無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインのような有機塩基などに由来してもよい。
【0090】
ワクチンは、服用製剤に適合する様式で、治療上、有効かつ免疫原性であるような量で投与される。投与量は、処置すべき対象(例えば、免疫応答を増すための個々の免疫系の能力を含む)及び望まれる保護の程度による。投与範囲は、予防接種1回当たりに数100の微生物活性成分のオーダーが適切であり、約0.1〜1000μgの範囲、例えば約1〜300μgの範囲が好ましく、特に約10〜50μgの範囲が好ましい。最初の投与に適切な型及びブースター注射は変えることもできるが、最初の投与後の接種又は他の投与によって特徴づけられる。
【0091】
応用方法は、広範囲に変えることができる。ワクチンの従来の投与方法は、いずれも使用することができる。これらは、固形の生理学的に受容な基剤又は生理学的に受容な分散剤での経口的な用途、非経口的な注射などを含むものと考えられる。ワクチンの用量は投与経路によっており、予防接種される人の年齢、症状の程度(lesser degree)、予防接種される人の体重により変化する。
【0092】
ワクチンのポリペプチドには、ワクチンにおいて十分免疫原性なものがあるが、そうでないものについては、ワクチンがさらにアジュバント物質を含む際に免疫応答が高められるものがある。
【0093】
ワクチンにアジュバント作用をさせるための様々な方法は、例えば生理食塩水中で通常0.05〜0.1%溶液として用いられる水酸化アルミニウム又はホスフェート(alum)、0.25%溶液として用いられる糖(カルボポール)の合成ポリマーとの混合物、それぞれ30秒〜2分間、70〜101℃の範囲の温度で熱処理することによるワクチン中のタンパク質の凝集物のような剤の使用を含む。ペプシン処理(Fab)抗体でアルブミンに再活性化させることによる凝集物、シー・パルブム(C.parvum)のような細菌細胞又はエンドトキシン又はグラム陰性細菌のリポ多糖成分との混合物、マンニットモノオレエート(Aracel A)のような生理学的に受容な油性賦形剤中のエマルジョン又はブロック置換体として用いられるパーフルオロカーボン(Fluosol−DA)の20%溶液とのエマルジョンも、用いることができる。本発明によれば、DDA(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)はアジュバントの重要な代替物であるが、フロイントの完全及び不完全アジュバント、ならびにキュイルA及びRIBIも重要である可能性がある。さらに、モノホスホリル脂質A(MPL)及びムラミルジペプチド(MDP)でもよい。
【0094】
さらに、アジュバント作用をなす可能性があるものとして、Gosselinらが1992年に記載する技術(ここで、参照により導入される)を用いることは、かなり重要(したがって、好ましい)である。要約すれば、本発明の抗原のような関連性のある抗原の存在は、単核細胞/マクロファージ上のFcγレセプターに対する抗体(又は抗体フラグメント結合抗原)に抗原を結合させて高められる。特に、抗原と抗−FcγRIの結合は、予防接種目的のための免疫原性の増強を立証している。
【0095】
ほかに、リンホカイン(例えば、IFN−γ、IL−2及びIL−12)のような免疫調節物質又はポリI:Cのような合成IFN−γインデューサーが、上記アジュバントと組合わせて使用されてもよい。実施例3で論じるように、抗原とアジュバントの混合物は、優れたワクチン製剤を生じるものと推測される。
【0096】
多くの例で、何回にもわたって、通常6回の予防接種を越えないで、さらに、通常4回の予防接種を越えないで、好ましくは1又は2回、通常、少なくともほぼ3回の予防接種でワクチンを投与する必要があるであろう。予防接種は2〜12週間隔が通常であり、3〜5週間隔がより普通である。1〜5年、通常3年間隔の定期的なブースターが、所望の免疫防護レベルを維持するのに望ましい。免疫化の進行は、ESAT−6又はST−CFと同時培養したPBL(末梢血液リンパ球)の生体外での増殖アッセイ、特に感作リンパ球から放出されたIFN−γレベルの測定により追跡できる。アッセイは、放射性核種、酵素、蛍光発色物などのような従来の標識を用いて行ってもよい。
【0097】
これらの技術は周知であり、これらのアッセイタイプの例として広範囲な特許、例えば米国特許第3,791,932号、第4,174,384号及び第3,949,064号に見出すことができる。
【0098】
遺伝的変化のために、異なる個体が、同じポリペプチドに対する強度を変えて免疫応答と反応することがある。したがって、本発明のワクチンは、免疫応答を増すために幾つかの異なるポリペプチドを含んでいてもよい。ワクチンは、全ポリペプチドが上記のとおりであるか、又は全てではなく幾つかのポリペプチドが結核菌複合体に属する細菌由来である2以上のポリペプチドを含んでいてもよい。後者の例で、ポリペプチドについて上記する基準を充たす必要のないポリペプチドは、それら自身の免疫原性により作用するか、又は単なるアジュバントとして作用することができる。このような重要なポリペプチドの例にはMPB64、MPT64及びMPB59があるが、マイコバクテリアから単離できるいずれかの他の物質も代替物となり得る。
【0099】
ワクチンは、3〜20の異なるポリペプチド、例えば3〜10の異なるポリペプチドからなっていてもよい。
【0100】
本発明のポリペプチドをアジュバントと混合する理由の1つは、細胞の免疫応答を有効に活性化させる点にある。しかし、この作用は、他の方法、例えば非病原性微生物のワクチンで有効な抗原を発現させてなすことができる。このような微生物の周知の例は、マイコバクテリア・ボビスBCGである。
【0101】
したがって、本発明の別の重要な態様は、結核菌群に属するマイコバクテリアで引起こされるTBに対して動物(ヒトを含む)を免疫化し、有効成分として微生物を含み、上記ポリペプチドをエンコードするDNA配列の1以上のコピーが、微生物にポリペプチドを発現、分泌させる様式で微生物ゲノムに挿入されているワクチンである現在利用可能なBCG生ワクチンの改良である。
【0102】
この明細書で、語「ゲノム」は、微生物の染色体ならびにプラスミドのような染色体外のDNAもしくはRNAをいう。しかし、導入される遺伝物質の損失を妨げるために、本発明のDNA配列を非病原性微生物の染色体に導入することが好ましい。
【0103】
非病原性微生物は、例えばマイコバクテリア、サルモネラ、シュードモナス及びエシェリキア属からなる群から選択される細菌が好ましい。特に、非病原性微生物は、マイコバクテリア・ボビスBCG、例えばマイコバクテリア・ボビスBCG株のダニシュ1331が好ましい。
【0104】
マイコバクテリア・ボビスBCG株由来のマイコバクテリアでの本発明のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列の1以上のコピーの導入は、BCG株の免疫原性作用を高めるであろう。本発明のヌクレオチド配列の1以上のコピーの導入は、さらに免疫応答を高めるものと推測される。したがって、本発明の態様は、ポリペプチドをエンコードするDNA配列の少なくとも2コピー、例えば少なくとも5コピーが微生物のゲノムに導入されているワクチンである。DNA配列のコピーは、同一のポリペプチドをエンコードする同一物もしくは同一物をエンコードする同じDNA配列の変型もしくはポリペプチドのホモログのいずれであってもよく、又は別の具体例では、ポリペプチドの少なくとも1つが本発明によるものである異なるポリペプチドをエンコードする異なるDNA配列でもよい。
【0105】
本発明の生ワクチンは、本発明による形質転換された非病原性細胞を培養し、これらの細胞をワクチン用の培地に移し、任意に担体、賦形剤及び/又はアジュバント物質を加えて製造することができる。
【0106】
また、本発明は、本発明のポリペプチド又は上記する皮膚試験試薬を動物に皮肉注射することからなり、注射位置での陽性の皮膚反応はTBを有する動物を示し、注射位置で陰性の皮膚反応はTBを有しない動物を示す、結核菌、マイコバクテリア・アフリカヌム又はマイコバクテリア・ボビスにより動物(ヒトを含む)に引き起こされるTBの診断方法に関する。陽性反応は少なくとも直径が5mmの皮膚反応であるが、より大きい反応、例えば直径が少なくとも1cm、1.5cm、少なくとも2cmであることが好ましい。皮膚試験試薬として用いられる組成物は、上記ワクチンについての記載と同じ方法で製造できる。
【0107】
ワクチンの製造と用途に関する上記の記載内において、本発明は、本発明のポリペプチド又は上記のような本発明のワクチン組成物又は上記した生ワクチンを動物に投与することからなる、結核菌群に属するマイコバクテリアにより引き起こされるTBに対する動物(ヒトを含む)の免疫化方法にも関する。投与経路は、非経口(例えば、静脈及び動脈内)、腹腔内、筋肉内、皮下、皮内、経口、口腔、舌下、鼻、直腸又は経皮経路が好ましい。
【0108】
マイコバクテリア由来の短期培養ろ液に存在するタンパク質ESAT−6ならびにマイコバクテリアゲノム中のesat−6遺伝子は、他のマイコバクテリア株での分布が非常に限られているので、結核菌、例えばesat−6がBCG及び環境から単離される多くのマイコバクテリア種(例えば、マイコバクテリア・アビウム(M.avium)及びマイコバクテリア・テラエ(M.terrae))の両方に存在しないことを立証している。これは、本発明の抗原及びその遺伝子の少なくとも1つにも当てはまると考えられ、それ故に本発明の診断の具体例は、結核菌群のビルレントマイコバクテリア株での現在又は過去の感染診断を行うのに特に適している。1)例えばBCGワクチンであらかじめ予防接種されるか、又は非ビルレントマイコバクテリア由来抗原に付された対象(動物又はヒト)と2)ビルレントマイコバクテリアに活性に感染しているか、又は感染していた対象は、区別できると考えられる。
【0109】
幾つかの診断アッセイ及び方法が、可能であると考えられる。
【0110】
過去又は現在のビルレントマイコバクテリア感染の診断が目的である際、患者の単核細胞(つまり、T−リンパ球)からなる血液サンプルを、本発明の1以上のポリペプチドサンプルに接触させることができる。この接触は生体外で行うことかでき、陽性反応は、例えばT−細胞の増殖又はγ−インターフェロンのようなサイトカインの細胞外相(例えば、培養上清)への放出であってもよい。生体内試験では、上記のように皮膚試験が適している。血清サンプル中の抗体とポリペプチド間の結合の立証は過去又は現在の感染を示すので、対象の血清サンプルを本発明のポリペプチドを接触させることも考えられる。
【0111】
したがって、本発明は、動物又はヒトの血液サンプルを提供し、本発明のポリペプチドと動物由来のサンプルを接触させることからなる、動物又はヒトにおける結核菌群に属する細菌との現在又は過去の感作を診断するための生体外の方法にも関する。血液サンプル中の単核細胞による細胞外相への少なくとも1つのサイトカインの顕著な放出は、動物が感作されていることを示す。ここで、サイトカインの放出が、結核でない対象(例えば、TBに対する伝統的な皮膚試験で反応しない対象)由来の血液サンプルからのサイトカインの放出より著しく高いことは、語「顕著な放出」により意味する。通常、顕著な放出は、このようなサンプルから認められる放出の少なくとも2倍である。
【0112】
また、器官を感染する可能性があるサンプルは、本発明のポリペプチドに対して生じる抗体と接触させてもよい。当該分野で周知の方法でサンプルと抗体間の反応を立証することにより、現在の感染が示されるであろう。
【0113】
当然、対象由来の血清サンプルを本発明のポリペプチドフラグメントの少なくとも1つと接触させ、抗体及び抗原間の反応を可視化する周知の方法を用いることにより、血清中の抗マイコバクテリア抗体の存在を立証することもできる可能性がある。
【0114】
また、動物に本発明の核酸フラグメントを投与するか、又はサンプルを本発明の核酸フラグメントもしくはその相補的な核酸フラグメントとインキュベートし、インキュベーションで生じるハイブリダイズした核酸の存在を検出する(当該分野で周知のハイブリダイゼーションアッセイを用いることによる)ことからなる、動物(ヒトを含む)又はサンプル中のマイコバクテリア核酸の存在の決定方法が、本発明に含まれる。このようなTBの診断方法は、上記ヌクレオチド配列の少なくとも一部からなる組成物の使用、及び試験される動物又はヒト由来のサンプルでのヌクレオチド配列(PCR技術を用いることにより、核酸フラグメント(又はその相補フラグメント)とハイブリダイズする)の存在の検出を含む。
【0115】
開示されるある種の抗原はマイコバクテリア・ボビスBCGに存在しないが、ビルレントマイコバクテリアに存在するという事実は、それらが重要な薬剤の標的となることを示している。抗原は、マイコバクテリア感染を容易にするレセプター分子又は毒素を構成していてもよく、そのような機能が阻害される際にマイコバクテリアの感染性が減じられる。
【0116】
本発明の抗原のうちで特に適切な薬剤の標的を決定するために、本発明のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードする遺伝子と必要な制御配列が、マイコバクテリア(例えばBCG)の非ビルレント株に導入され、毒性に決定的なポリペプチドを決定することができる。いったん特定のタンパク質が毒性に決定的である/寄与しているとして同定されると、重要な遺伝子の発現を阻害するか又は重要な遺伝子産物を攻撃するように、抗マイコバクテリア剤を合理的にデザインすることができる。例えば、抗体又はそのフラグメント(例えばFab及び(Fab’)2フラグメント)は、当該分野で公知の方法で重要なポリペプチドに対して調製し、その後、予防又は治療剤として用いることができる。また、小さい分子は、例えば遺伝子の内在性プロモーターを含む組換え発現系を用いて、重要な遺伝子産物の発現を選択的に阻害する能力又は標的の作用を直接阻害する能力についてスクリーニングすることができる。次いで、これらの小分子は、マイコバクテリアの毒性を阻害する治療剤又は予防剤として用いられる。
【0117】
また、ビルレントマイコバクテリアを非毒性にする抗マイコバクテリア剤は、発現制御配列に実施可能に連結させ、ビルレントマイコバクテリアを形質転換するのに用いることができる。このような抗マイコバクテリア剤は、マイコバクテリアでの剤の転写又は翻訳により特定のマイコバクテリアの複製を阻害する。このような「新規の非ビルレント」マイコバタテリアは、免疫性が例えばBCGに比較してビルレントマイコバクテリアに非常に似ているので、ワクチン目的用に修飾した上記BCGの優れた代替物となっている。
【0118】
最終的に、イムノアッセイで本発明のポリペプチドと特異的に反応するモノクローナル又はポリクローナル抗体、又は特異的な抗体結合フラグメントも、本発明の一部である。このようなポリクローナル抗体の産生は、適切な動物がポリペプチドで免疫化されること、その後これらの抗体がイムノアフィニティクロマトグラフィーにより適切に単離されることを要する。本発明は、免疫化及び陽性ハイブリドーマのスクリーニングの両方に十分な量の抗原を提供するので、モノクローナルの産生は、当該分野で周知の方法で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1A】図1Aは長期記憶免疫マウスは、結核菌感染に対して非常に有効に防護される。マウスを結核菌に付し、異なる時間のポイントで脾臓を単離した。脾臓リンパ球をST−CFと生体外で刺激し、IFN−γの放出を研究した(パネルA)。
【図1B】図1Bは2群のマウスの脾臓中のCFU含量を示す。免疫記憶マウスは1週間以内で感染を制御し、ST−CF中の抗原に応じて大量のIFN−γを産生する。
【図2】図2は免疫防護に関与するT細胞は、6〜12及び17〜38kDaの分子に関して優勢である。脾臓のT細胞は結核菌に付してから4日後に単離し、ST−CFの狭い分子質量画分で生体外で刺激した。IFN−γの放出を研究した。
【図3】図3はcfp7のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1)。CFP7の推定されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)は、ヌクレオチド配列の下に従来の一文字のコードで示す。下線を付したイタリックで示す仮想のリボソーム結合部位は、−10〜−35領域と推定される。太線で示したヌクレオチドは、CFP7をエンコードするヌクレオチドである。
【図4】図4はcfp9のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:3)。CFP9の推定されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:4)は、ヌクレオチド配列の下に従来の一文字のコードで示す。下線を付したイタリックで示す仮想のリボソーム結合部位シャインダルガノ配列は、−10〜−35領域と推定される。太線で示したヌクレオチドは、CFP9をエンコードするヌクレオチドである。ラムダ266ファージから得られるヌクレオチド配列は、二重線を付している。
【図5】図5はmpt51のヌクレオチド配列。MPT51の推定されるアミノ酸配列は、ヌクレオチド配列の下に一文字のコードで示す。シグナルは、イタリックで示す。リボソーム結合部位の可能性がある箇所に、下線を付している。ヌクレオチドの違い及びアミノ酸の違いをMPB51のヌクレオチド配列と比較して[Oharaら、1995]、780の位置に下線を付した。イタリッ示したヌクレオチドは、結核菌H37Rvに存在しない。
【図6】図6は2DE系での精製抗原の位置を決定し、参照ゲルにマッピングした。新たに精製した抗原を丸で囲み、周知のタンパク質の位置も示している。
【実施例】
【0120】
実施例1:免疫防護に関与する単一培養ろ液抗原の同定
有効に防護されているマウスの群は、8〜12週齢のメスのC57Bl/6jマウスに5x10結核菌を静脈で感染させて得た。感染から30日後に、マウスはイソニアジドで処理した抗生物質に60日間付し、次いで、休眠長期記憶免疫(resting long−term memory immunity)を確立するために200〜240日間放置した。このような免疫記憶マウスは、二次感染に対して非常に効率良く防護される(図1)。このモデルで長期に続く免疫は、感染部位に補充された高度に反応性のCD4細胞の増殖で媒介され、ST−CFに応じて大量のIFN−γの産生を誘導する(図1[Andersenら、1995]。
【0121】
我々は、防護T細胞によって認識される単一抗原の同定にこのモデルを用いた。免疫記憶マウスを1x10個の結核菌に静脈で再感染させ、再感染から4〜6日、つまり、この増殖がST−CFに高度に反応性な時間で、脾臓のリンパ球を回収した。これらのT細胞で認識される抗原は、多重溶出(multi−elution)技術によりマッピングした[Andersen及びHeron、1993]。この技術は、SDS−PAGEで分離した複雑なタンパク質混合物を、生理緩衝液中で狭い画分に分ける。これらの画分は生体外で脾臓リンパ球を刺激するのに用い、IFN−γの放出をモニターした(図2)。
【0122】
長期記憶免疫マウスは、TB感染前はこれらの画分を認識しなかったが、免疫防護の回復のあいだに得られる脾臓リンパ球は、ある範囲の培養ろ液抗原を認識し、IFN−γの産生ピークが6〜12及び17〜30kDaの見かけ分子量のタンパク質に応じて見出された(図2)。したがって、これらの領域内の培養ろ液抗原は、免疫防護応答の第一相のあいだにIFN−γの放出を誘発する記憶エフェクターT−細胞で認識される主要な標的であることが結論づけられた。
【0123】
実施例2:低質量培養ろ液抗原を発現する遺伝子のクローニング
実施例1で、低分子質量画分中の抗原は、免疫記憶マウスから単離した細胞で強く認識されることが立証された。それ故、これらの抗原に対するモノクローナル抗体(mAb)は、RIBIアジュバントで低質量画分と免疫化し(第一及び第二免疫化)、次いで水酸化アルミニウム中の画分で2回注射して得られた。反応性セルラインの融合及びクローニングは、標準的な方法にしたがって行った[Kohler及びMilstein、1975]。SDS−PAGEでの抗原の移動から分子量を見積もると、この方法により、2つのmAb:9kDaの培養ろ液抗原(CFP9)に対するST−3及び7kDaの抗原(CFP7)に対するPV−2が得られた。
【0124】
Mab類に結合する抗原を同定するために、以下の実験を行った。
【0125】
モノクローナル抗体ST−3及びPV−2に結合する遺伝子産物を発現するファージについて、R.Young[Young,R.A.ら、1985]により構築され、世界保健機構IMMTUBプログラム(WHO.0032.wibr)を通して得られる組換えλgt11結核菌DNAライブラリーをスクリーニングした。
【0126】
約1x10pfuの遺伝子ライブラリー(約25%の組換えファージ含有)は、柔らかい寒天で大腸菌Y1O90(DlacU169、proA、Dlon、araD139、supF、trpC22::tn10[pMC9]ATCC#37197)にプレートし、42℃で2.5時間培養した。
【0127】
プレートは、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドで飽和したニトロセルロース膜で積層(overlay)し、37℃で2.5時間培養を続けた。ニトロセルロースを除き、最終濃度が0.05%になるように加えたツイン20を有するPBS中のモノクローナル抗体サンプルとインキュベートした。結合モノクローナル抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ−結合ウサギ抗マウス免疫グロブリン(P260、Dako、Glostrup、DK)及び5,5’,3,3’−テトラメチルベンジジン及びHを含む染色反応で可視化した。
【0128】
陽性プラークを再クローンし、プラーク1つから得たファージを大腸菌Y1089(DlacU169、proA、Dlon、araD139、strA、hfl150[chr::tn10][pMC9]ATC Cnr.37196)の溶原化に用いた。得られた溶原株は、DNA抽出用ファージ粒子の増殖に用いた。これらの溶原性大腸菌株は、以下のように命名した:ブダペスト条約の規定にしたがって、Deutsche Sammlung von Mikroorganisumen und Zellkulturen GmbH(DSM)のコレクションに1993年6月28日に受託番号DSM8377で寄託されたAA226(ST−3反応性ポリペプチドCFP9を発現する)、及びブダペスト条約の規定にしたがって、Deutsche Sammlung von Mikroorganisumen und ZellkulturenGmbH(DSM)のコレクションに1993年6月28日に受託番号DSM8379で寄託されたAA242(PV−2反応性ポリペプチドCFP7を発現する)。
【0129】
これらの2つの溶原性大腸菌株はWO 95/01441号に開示され、それによりマイコバクテリアポリペプチド産物が発現される。しかし、これらのポリペプチドのアミノ酸配列又はそれらの遺伝子起源に関する情報がないために、AA226とAA242の直接的な発現産物が公衆に利用可能となっているにすぎない。
【0130】
st−3結合タンパク質は、β−ガラクトシダーゼに融合するタンパク質として発現するが、pv−2結合タンパク質は非融合型で発現されるようである。
【0131】
PV−2及びST−3結合タンパク質をエンコードするヌクレオチド配列のシーケンシング
pv−2結合タンパク質をエンコードする遺伝子のヌクレオチド配列を得るために、AA242の約3kbの結核菌由来のEcoRI−EcoRIフラグメントを、pBluescript SK+[Stratagene]のEcoRI部位にサブクローンし、大腸菌XL−1Blue[Stratagene]の形質転換に用いた。
【0132】
同様に、st−3結合タンパク質をエンコードする遺伝子のヌクレオチド配列を得るために、AA226の約5kbの結核菌由来のEcoRI−EcoRIフラグメントを、pBluescript SK+[Stratagene]のEcoRI部位にサブクローンし、大腸菌XL−1Blue[Stratagene]の形質転換に用いた。
【0133】
両遺伝子の完全なDNA配列は、シーケナーゼDNAシーケンシングキット1.0バージョン[United States Biochemical Corp.,Cleveland,OH]を用いるスーパーコイルDNA用に合わせたジデオキシ鎖末端法、及び添付の指示書にしたがって自動ゲルリーダー(reader)(モデル373A;Applied Biosystems)と組合わせたダイ・ターミネーターシステムを用いるサイクルシーケンシングにより得た。DNA配列は、それぞれSEQ ID NO:1(CFP7)及びSEQ ID NO:3(CFP9)ならびに図3及び4に示す。DNAの両鎖をシークエンスした。
【0134】
CFP7
96アミノ酸残基の配列をエンコードするオープンリーディングフレーム(ORF)は、91〜93位置のATG開始コドンから伸長する379〜381位置のTAG停止コドンまで同定した。推定されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2(及び従来の一文字アミノ酸コードを用いる図3)に示す。
【0135】
CFP7は、非融合型として大腸菌で発現されると考えられる。78〜84位置のヌクレオチド配列はシャインダルガノ配列であると考えられ、47〜50及び14〜19位置の配列は、それぞれ−10及び−35領域であると推測される。
【0136】
CFP9
ST−3で認識されるタンパク質は、AA226ラムダファージから発現する際に、β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質として産生した。この融合タンパク質は、約116〜117kDaの大きさ(β−ガラクトシダーゼ116.25kDaに対するMw)を有し、CFP9遺伝子のごく一部は、ラムダクローン(AA226)に含まれたことを示唆している。
【0137】
ラムダファージAA226からの挿入で得られるヌクレオチド配列90bpに基づいて、結核菌ゲノムのヌクレオチド配列とのホモロジー検索をサンガーデータベース(Sanger Mycobacterium tuberculsosis database);
http://www.sanger.ac.uk/pathogens/TB−blast−server.html;Williams、1996で行った。クローンされた配列との100%の同一性は、MTCY48コスミドで見出された。109アミノ酸残基の配列をエンコードするオープンリーディングフレーム(ORF)は、141〜1431位置のGTG開始コドンから伸長する465〜467位置のTAG停止コドンまで同定した。推定されるアミノ酸配列は、従来の一文字コードを用いて図4に示す。
【0138】
123〜130位置のヌクレオチド配列はシャインダルガノ配列であると推測され、73〜78及び4〜9位置の配列は、それぞれ−10及び−35領域であると推測される(図4)。AA229の配列の5’末端と重複するORFは、二重線で図4に示す。
【0139】
発現ベクターでのCFP7及びCFP9のサブクローニング
CFP7及びCFP9をエンコードする2つのORFは、それぞれpMST24[Theisenら、1995]にPCRクローンして発現ベクターpRVN01、又はpQE−32[QIAGEN]にクローンして発現ベクターpRVN02とした。
【0140】
PCR増幅は、マスターミックス(各オリゴヌクレオチドプライマーO.5μM、BSA[Stratagene]0.25μM、低塩緩衝液(pH8.8、Tris−HCl 20mM、KCl 10mM、(NHSO 10mM、MgSO 2mM及びTriton X−100 0.1%)[Stratagene]、各デオキシヌクレオシド三リン酸0.25mM及びTaq Plus Long DNAポリメラーゼ0.5U[Stratagene])とプラスミドDNA 10ngを混合して温度反応器(Rapid cycler,Idaho Technology,Idaho)で行った。最終容量は、10μlとした(示した全濃度は、最終容量での濃度である)。予備変性は、30秒94℃で行った。後の30サイクルは、30秒94℃での変性、30秒55℃でのアニーリング、及び1分72℃での伸長で行った。
【0141】
オリゴヌクレオチドプライマーは、DNAシンセサイザー[Applied Biosystems,Forster City,Ca,ABI−391,PCR様式]で自動合成し、脱遮断(deblock)し、エタノール沈殿で精製した。
【0142】
cfp7オリゴヌクレオチド(表1)は、CFP7配列のヌクレオチド配列(図3)をベースにして合成した。オリゴヌクレオチドは、直接的なサブクローニング用に5’末端のSmaI制限酵素部位及び3’末端のBamHI制限酵素部位を含むように設計した。
cfp9オリゴヌクレオチド(表1)は、部分的にAA229クローンの配列のヌクレオチド配列をベースにし、部分的にサンガーデータベースのコスミドMTCY48に見出されたのと同一の配列(図4)から合成した。オリゴヌタレオチドは、直接的なサブクローニング用に5’末端のSmaI制限酵素部位及び3’末端のHindIII制限酵素部位を含むように設計した。
【0143】
CFP7
コード領域のみが発現されるように、SmaI部位が、PCRを用いてcfp7遺伝子をエンコードする291bpのORFの最初のコドンの5’に隣接して設計され、BamHI部位が3’末端の停止コドンの直後に挿入された。291bpのPCRフラグメントはSmaIとBamHIで切断し、アガロースゲルから精製し、pMST24発現ベクターのSmaI−BamHI部位にサブクローンした。融合遺伝子を含むベクターDNAは、大腸菌XL1−Blueの形質転換に用いた(pRVN01)。
【0144】
CFP9
コード領域のみが発現されるように、SmaI部位が、PCRを用いてcfp9遺伝子をエンコードする327bpのORFの最初のコドンの5’に隣接して設計され、HindIII部位が3’末端の停止コドンの直後に挿入された。327bpのPCRフラグメントはSmaIとHindIIIで切断し、アガロースゲルから精製し、pQE−32発現ベクター[QUIAGEN]のSmaI−HindIII部位にサブクローンした。融合遺伝子を含むベクターDNAは、大腸菌XL1−Blueの形質転換に用いた(pRVN02)。
【0145】
組換えCFP7とCFP9の精製
ORFは、(His)−tagのN−末端に融合させた[EP−A−0 282 242号参照]。組換え抗原は、以下のようにして調製した。要約すれば、pRVN01又はpRVN02プラスミドのいずれかを有する大腸菌のコロニー1つを、アンピシリン100μg/ml及びテトラサイクリン12.5μg/mlを含むルリア−ベルタニ培地に接種し、OD600nmが0.5になるまで37℃で成長させた。次いで、最終濃度が2mMになるようにIPTG(イソプロピルβ−D−チオガラクトシド)を加え(発現が、強力なIPTG誘発性Ptac又はT5プロモーターのいずれかで調節される)、さらに2時間成長させた。細胞は、8分4℃で4,200xgの遠心分離で回収した。ぺレット化した細菌は、−20℃で一晩保存した。ペレットは、BC40/100緩衝液(Tris−HCl pH7.9 20mM、20%グリセロール、KCl 100mM、イミダゾール40mM)に再懸濁し、4℃での超音波処理(30秒間隔、30秒間5回)、その後の4℃で30分の12,000xgの遠心分離で細胞を破壊し、上清(粗抽出物)を組換え抗原の精製に用いた。
【0146】
2つのヒスチジン融合タンパク質(His−rCFP7及びHis−rCFP9)は、100ml容量のNi2+−NTAカラム[QUIAGEN]でのアフィニティクロマトグラフィーで粗抽出物から精製した。His−rCFP7及びHis−rCFP9は、Ni2+に結合する。BC40/100緩衝液でカラムを大量に洗浄した後、イミダゾール100mM、Tris pH7.920mM、20%グリセロール及びKCl 1Mを含むBC 1000/100緩衝液を用いて融合タンパク質を溶出した。次いで、精製した生成物を、TrispH8.0 10mMに大量に透析した。次いで、His−rCFP7及びHis−rCFP9は、0〜1MのNaClの直鎖状勾配でTris pH8.0 10mMのアニオン交換カラム(Mono Q、Pharmacia、スウェーデン)によりタンパク質高速液体クロマトグラフィー(FPLC)で不純物から分離した。画分のアリコートは、10〜20%勾配のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で分析した。精製したHis−rCFP7又はHis−rCFP9のいずれかを含む画分をプールした。
【0147】
【表3】

cfp7オリゴヌクレオチドは、図3に示すヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1)に基づく。cfp9オリゴヌクレオチドは、図4に示すヌクレオチド配列(SEQ ID NO:3)に基づく。
【0148】
下線を付したヌクレオチドは、cfp7及びcfp9のヌクレオチド配列に含まれない。
【0149】
示している位置は、プライマーの下線を付していない部分であって、図3及び図4それぞれに示すヌクレオチド配列に対応する。
【0150】
実施例2A:BCG株で発現されない抗原の同定
TBの治療を制御するために、弱毒化細菌カルメット−ゲラン(BCG)を生の弱毒化ワクチンとして用いた。BCGは、ビルレントマイコバクテリア・ボビスの弱毒化誘導体である。パスツール研究所(フランス、パリ)由来のオリジナルのBCGは、1908〜1921年に液体培地で231回継代してつくられたものであり、動物に毒性を復帰しないことが示されている。BCGでの弱毒化変異は、容易に復帰しない安定な欠失及び/又は多重変異であることを示している。
【0151】
BCG及び結核菌及びマイコバクテリア・ボビスの生理的な差異が認められているが、オリジナルのBCG株の一連の継代のあいだに生じる弱毒化変異は、最近まで知られていなかった。記載されている最初の変異は、幾つかのBCG株でMPB64をエンコードする遺伝子[Liら、1993、OettingerとAndersen、1994]及び試験される全てのBCG株でESAT−6をエンコードする遺伝子[Harboeら、1996]を欠落しており、その後、BCGでの3つの大きな欠失が同定されている[Mahairasら、1996]。RD1と命名される領域は、ESAT−6をエンコードする遺伝子及びMPT64をエンコードする他の遺伝子(RD2)を含む。抗原は、ともに診断剤の可能性があることを示しており、ESAT−6は、ワクチンの代替物としての特性を有することが分かっている[PCT/DK/00273号及びPCT/DK/00270号参照]。結核菌に特異的な新規の診断用抗原ならびにTBに対する新規のワクチン用抗原を見出すために、結核菌H37RvのRD1領域(17.499bp)を、オープンリーディングフレーム(ORF)について分析した。BorodovskyとMcIninch(1993)により記載されているアルゴリズムを用いて、最小で96bpの長さのORFが推測された。椎測された全体で27個のORFにおいて、これらの20個は、全ての公知のBCG株から欠失されているので、診断剤としての可能性及び/又はワクチンとしての可能性がある。推測されるORFは、アルゴリズムの能力についての正の対照として、あらかじめ記載[Sorensenら、1995]されているESAT−6(RD1−ORF7)及びCFP10(RD1−ORF6)を含む。ここでは、推測される7つの抗原のTB診断に対する可能性ならびにTBに対する新規のワクチン代替物としての可能性を記載する。
【0152】
診断剤及びワクチンとしての可能性がある17,499kbのRD1領域由来のオープンリーディングフレーム(ORF)7つを同定し、クローンした。
【0153】
ORFのrd1−orf2、d1−orf3、rd1−orf4、rf1−orf5、rd1−orf8、rd1−orf9a及びrd1−orf9bの同定
結核菌H37Rv由来のrd1−orf2のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:71に記載する。RD1−ORF2の推定されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:72に記載する。
【0154】
結核菌H37Rv由来のrd1−orf3のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:87に記載する。RD1ORF2の推定されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:88に記載する。
【0155】
結核菌H37Rv由来のrd1−orf4のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:89に記載する。RD1−ORF2の推定されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:90に記載する。
【0156】
結核菌H37Rv由来のrd1−orf5のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:91に記載する。RD1−ORF2の推定されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:92に記載する。
【0157】
結核菌H37Rv由来のrd1−orf8のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:67に記載する。RD1−ORF2の推定されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:68に記載する。
【0158】
結核菌H37Rv由来のrd1−orf9aのヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:93に記載する。RD1−ORF2の推定されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:94に記載する。
【0159】
結核菌H37Rv由来のrd1−orf9bのヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:69に記載する。RD1−ORF2の推定されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:70に記載する。
【0160】
DNA配列rd1−orf2(SEQ ID NO:71)は、889〜891位置のATGコドンで開始し、2662〜2664の位置(位置の数は、RD1での位置を参照)の終始コドン(TAA)で終わるオープンリーディングフレームを含む。推定されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:72)は、分子量64,525に相当する591残基を含む。
【0161】
DNA配列rd1−orf3(SEQ ID NO:87)は、2807〜2809位置のATGコドンで開始し、3101〜3103位置(位置の数は、RD1での位置を参照)の終始コドン(TAA)で終わるオープンリーディングフレームを含む。推定されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:88)は、分子量9,799に相当する98残基を含む。
【0162】
DNA配列rd1−orf4(SEQ ID NO:89)は、4014〜4012位置のGTGコドンで開始し、3597〜3595位置(位置の数は、RD1での位置を参照)の終始コドン(TAG)で終わるオープンリーディングフレームを含む。推定されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:90)は、分子量14,210に相当する139残基を含む。
【0163】
DNA配列rd1−orf5(SEQ ID NO:91)は、3128〜3130位置のGTGコドンで開始し、4241〜4243位置(位置の数は、RD1での位置を参照)の終始コドン(TGA)で終わるオープンリーディングフレームを含む。推定されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:92)は、分子量37,647に相当する371残基を含む。
【0164】
DNA配列rd1−orf8(SEQ ID NO:67)は、5502〜5500位置のGTGコドンで開始し、5084〜5082位置(位置の数は、RD1での位置を参照)の終始コドン(TAG)で終わるオープンリーディングフレームを含む。推定されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:68)は、分子量11,737に相当する139残基を含む。
【0165】
DNA配列rd1−orf9a(SEQ ID NO:93)は、6146〜6148位置のGTGコドンで開始し、7070〜7072位置(位置の数は、RD1での位置を参照)の終始コドン(TAA)で終わるオープンリーディングフレームを含む。推定されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:94)は、分子量33,453に相当する308残基を含む。
【0166】
DNA配列rd1−orf9b(SEQ ID NO:69)は、5072〜5074位置のATGコドンで開始し、7070〜7072位置(位置の数は、RD1での位置を参照)の終始コドン(TAA)で終わるオープンリーディングフレームを含む。推定されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:70)は、分子量70,650に相当する666残基を含む。
【0167】
ORFのrd1−orf2、rd1−orf3、rd1−orf4、rd1−orf5、rd1−orf8、rd1−or9a及びrd1−orf9bのクローニング
ORFのrd1−orf2、rd1−orf3、rd1−orf4、rd1−or5、rd1−orf8、rd1−orf9a及びrd1−orf9bは、発現ベクターpMST24[Theisenら、1995](rd1−orf3)又はpQE32[QIAGEN](rd1−orf2、rd1−orf4、rd1−orf5、rd1−orf8、rd1−orf9a及びrd1−orf9b)にPCRクローンした。オリゴヌクレオチドの製造とrd1−orfエンコード遺伝子のPCR増幅は、実施例2に記載のようにして行った。結核菌H37Rv由来の染色体DNAは、PCR反応で鋳型として用いた。オリゴヌクレオチドは、RD1領域のヌクレオチド配列(受託番号U34848)に基づいて合成した。オリゴヌクレオチドプライマーは、5’末端及び3’末端に制限酵素部位を含むように設計し、それによって後のサブクローニングを可能にした。プライマーを表2に示す。
【0168】
rd1−orf2。BamHI部位はrd1−orf2の最初のコドンの5’に隣接して設計し、HindIII部位は、3’末端の停止コドンの直後に挿入した。遺伝子rd1−orf2はpQE32にサブクローンし、pTO96とした。
【0169】
rd1−orf3。SmaI部位はrd1−orf3の最初のコドンの5’に隣接して設計し、NcoI部位は、3’末端の停止コドンの直後に挿入した。遺伝子rd1−orf3はpMST24にサブクローンし、pTO87とした。
【0170】
rd1−orf4。BamHI部位はrd1−orf4の最初のコドンの5’に隣接して設計し、HindIII部位は、3’末端の停止コドンの直後に挿入した。遺伝子rd1−orf4はpQE32にサブクローンし、pTO89とした。
【0171】
rd1−orf5。BamHI部位はrd1−orf5の最初のコドンの5’に隣接して設計し、HindIII部位は、3’末端の停止コドンの直後に挿入した。遺伝子rd1−orf5はpQE32にサブクローンし、pTO88とした。
【0172】
rd1−orf8。BamHI部位はrd1−orf8の最初のコドンの5’に隣接して設計し、NcoI部位は、3’末端の停止コドンの直後に挿入した。遺伝子rd1−orf8はpMST24にサブクローンし、pTO98とした。
【0173】
rd1−orf9a。BamHI部位はrd1−or9aの最初のコドンの5’に隣接して設計し、HindIII部位は、3’末端の停止コドンの直後に挿入した。遺伝子rd1−orf9aはpQE32にサブクローンし、pTO91とした。
【0174】
rd1−orf9b。ScaI部位はrd1−orf9bの最初のコドンの5’に隣接して設計し、HindIII部位は、3’末端の停止コドンの直後に挿入した。遺伝子rd1−orf9bはpQE32にサブクローンし、pTO90とした。
【0175】
PCRフラグメントは適切な制限酵素で消化し、アガロースゲルから精製し、pMST24又はpQE32のいずれかにクローンした。7つの構築物を用いて、大腸菌XL1−Blueを形質転換した。融合遺伝子のエンドポイントは、ジデオキシ鎖末端法で決定した。DNAの両鎖をシークエンスした。
【0176】
組換えRD1−ORF2、RD1−ORF3、RD1−ORF4、RD1−ORF5、RD1−ORF8、RD1−ORF9a及びRD1−ORF9bの精製
rRD1−ORFは、(His)−tagのN−末端に融合させた。組換え抗原は、接種用にpTO87、pTO88、pTO89、pTO90、pTO91、pTO96又はpTO98のいずれかを有する大腸菌のコロニー1つを用いて実施例2に記載(例外として、pTO90は37℃でなく30℃で発現させた)のようにして調製した。Ni2+アフィニティクロマトグラフィーによる組換え抗原の精製も、実施例2に記載のようにして行った。精製したHis−rRD1−ORF2、His−rRD1−ORF3、His−rRD1−ORF4、His−rRD1−ORF5、His−rRD1−0RF8、His−rRD1−0RF9a又はHis−rRD1−ORF9bを含む画分をプールした。His−rRD1−ORFは、10mM Tris/HCl(pH8.5)、ユレア3Mに大量に透析し、次いで、タンパク質高速液体クロマトグラフィー(FPLC)[Pharmacia,Uppsala,スウェーデン]を用いてアニオン交換カラム(Mono Q)でさらに精製工程を行った。精製は、10mM Tris/HCl(pH8.5)、ユレア3M中で行い、0〜1MのNaClの直鎖状勾配でタンパク質を溶出した。His−rRD1−ORFを含有する画分をプールし、次いで、使用前に25mM Hepes(pH8.0)に大量に透析した。
【0177】
【表4】

オリゴヌクレオチドは、受託番号U34484のヌクレオチド配列から構築した[Mahairasら、1996]。下線を付したヌクレオチド(nt)は、RD1−ORFのヌクレオチド配列に含まれない。位置は、受託番号U34484のヌクレオチド配列に対応する。
【0178】
結核菌H37Rv由来のヌクレオチド配列rd1−orf2、rd1−orf3、rd1−orf4、rd1−orf5、rd1−orf8、rd1−orf9a及びrd1−orf9bは、それぞれSEQ ID NO:71、87、89、91、67、93及び69に記載する。推定されるrd1−orf2、rd1−orf3、rd1−orf4、rd1−orf5、rd1−or8、rd1−orf9a及びrd1−orf9bのアミノ酸配列は、それぞれSEQ ID NO:72、88、90、92、68、94及び70に記載する。
【0179】
実施例3:ST−CF由来の17〜30kDaの抗原を発現する遺伝子のクローニングCFP17、CFP20、CP21、CFP22、CFP25及びCFP28の単離
ST−CFは、80%飽和硫酸アンモニウムで沈殿した。沈殿したタンパク質は遠心分離で除き、再懸濁後、ユレア8Mで洗浄した。CHAPSとグリセロールは、それぞれ最終濃度が0.5%(w/v)及び5%(v/v)になるまで加え、タンパク質溶液をロトフォル等電点細胞(Rotofor isoelectrical Cell)[Biorad]に塗布した。ロトフォル細胞は、0.5%(w/v)CHAPS、5%(v/v)グリセロール、3%(v/v)バイオリット(Biolyt)3/5及び1%(v/v)バイオリット4/6[Biorad]を含むユレア8M緩衝液で平衡化した。等電点フォーカスは、3〜6のpH勾配で行った。画分は、銀染色した10〜20%のSDS−PAGEで分析した。同様のバンドパターンを有する画分をプールし、1〜3mlの最終容量になるように3kDaのカットオフメンブレンを有するセントリプレップ(Centriprep)濃縮器[Amicon]でPBSを用いて3回洗浄した。サンプル緩衝液を含む等量のSDSを加え、タンパク質溶液を5分煮沸した後、電気勾配下の16%ポリアクリルアミドのマトリクスでプレップ細胞(Prep Cell)[Biorad]でさらに分離した。17〜30kDaの分子質量を有する純粋なタンパク質を含有する画分を回収した。
【0180】
CFP29の単離
CFP29と反応する抗−CFP29は、2週間の間隔でRIBIアジュバント(第一及び第二回目の免疫化)又は水酸化アルミニウム(第三回目の免疫化及び追加免疫化(boosting))中の破砕したゲル片で、BALB/cマウスを免疫化して生じた。2〜5μgのCFP29を含むSDS−PAGEのゲル片は、免疫化にそれぞれ用いた。マウスは、脾臓を除く前に3日間、抗原で追加免疫化した。CFP29に対する抗体を産生するモノクローナルセルラインの発生は、本質的にKohlerとMilstein(1975)により記載されているようにして得られた。
【0181】
成長しているクローン由来の上清のスクリーニングは、SDS−PAGEで分離したST−CFを含むニトロセルロースのストリップをイムノブロットして行った。各ストリップは、ST−CFを約50μg含んだ。抗CFP29の抗体のクラスは、製造者の指示にしたがったマウスモノクローナル抗体イソタイピングキットRPN29[Amersham]によりIgMとして同定した。
【0182】
CFP29は、以下の方法で精製した:ST−CFは限外ろ過で10倍に濃縮し、45〜55%の飽和範囲で硫酸アンモニウム沈殿を行った。ペレットは、50mMリン酸ナトリウム、1.5M硫酸アンモニウム(pH8.5)に再溶解し、Affi−Tゲルカラム[Kem−En−Tec]でチオフィル(thiophilic)吸着クロマトグラフィー[Porathら、1985]に付した。タンパク質は1.5M〜0Mの硫酸アンモニウムの直鎖状勾配で溶出し、0.44〜0.31Mの範囲の硫酸アンモニウムで回収した画分を、mAb抗−CFP29を用いるウェスタンブロット実験でCFP29含有画分として同定した。これらの画分をプールし、FPLCシステム[Pharmacia]に接続したMono Q HR 5/5カラムでアニオン交換クロマトグラフィーを行った。カラムは、10mM Tris−HCl(pH8.5)で平衡化し、0〜500mM NaClの線状勾配で溶出を行った。400〜500mMの塩化ナトリウムから、かなり純粋なCFP29が溶出された。最終精製工程として、CFP29を含むMono Q画分を12.5%のSDS−PAGEゲルにローディングし、多重溶出技術[Andersen及びHeron、1993]
により純粋なCFP29を得た。
【0183】
N−末端のシーケンシング及びアミノ酸解析
CFP17、CFP20、CFP21、CFP22、CFP25及びCFP28は、10kDaのカットオフを有するセントリコン(Centricon)濃縮機[Amicon]で水と洗浄し、次いで、プロスピン(ProSpin)濃縮機[Applied Biosystems]にアプライしてタンパク質をPVDF膜に回収した。膜は、プロサイス(Procise)シークエンサー[Applied Biosystems]でシークエンスする前に、メタノール20%で5回洗浄した。
【0184】
CFP29含有画分は、トリシンSDS−PAGE後にPVDF膜にブロットした[Plougら、1989]。関連するバンドを切りだし、プロサイスシークエンサー[Applied Biosystems]でアミノ酸解析[Barkholt及びJensen、1989]及びN−末端配列解析に付した。
【0185】
以下のN−末端配列が得られた:
【0186】
【表5】

「X」は、用いたシークエンス法により決定できないアミノ酸を示すが、2つのアミノ酸間の「/」は、2つのアミノ酸のどちらが実際存在するものか、シークエンス法で決定できないことを示す。
【0187】
CFP29をエンコードする遺伝子のクローニング
CFP29のN−末端配列は、シークエンス解析ソフトウェアパッケージ[Genetics Computer Group]のTFASTAプログラムを用いてEMBLデータベースでのホモロジー検索に用いた。検索により、CFP29の19個のN−末端アミノ酸と74%の同一性を有するブレビバクテリウム・リネンス(Brevibacterium linens)由来のタンパク質、リノシン(Linocin)M18が同定された。
【0188】
CFP29のN−末端配列とブレビバクテリウム・リネンス由来のリノシンM18タンパク質とのこの同一性に基づいて、CFP29をエンコードする結核菌遺伝子のPCRクローニング用に一連の変性プライマーを構築した。PCR反応物は、10μlの反応容量に4つの各ヌクレオチド250μM[Boehringer Mannheim]、BSA 0.5mg/ml[IgG technlogy]、1% DMSO[Merck]、各プライマー5pmol及びTaq+DNAポリメラーゼ0.5ユニット[Stratagene]を加えた1x低塩Taq+緩衝液[Stratagene]に結核菌の染色体DNA 10ngを含むものであった。反応は、最初に25秒間94℃に加熱し、サーモサイクラー装置[Idaho Technology]を用いて15秒間94℃、15秒間55℃及び90秒間72℃のプログラムを30サイクル行った。
【0189】
約300bpのフラグメントが、配列
【0190】
【表6】

を有するプライマーを用いて得られた:
フラグメントを1%アガロースゲルから切りだし、スピン−X スピン(Spin−X spinn)カラム[Costar]で精製し、pBluescript SK II+T−ベクター[Stratagene]にクローンし、最後にシーケナーゼキット[United States Biochemical]でシークエンスした。
【0191】
この配列の最初の150bpは、サンガーの結核菌データベース:(http//www.sanger.ac.uk/projects/M−tuberculosis/blast_server)のブラスト(Blast)プログラムを用いてホモロジー検索に用いた。
【0192】
このプログラムにより、データベースのコスミドcy444上の結核菌配列が、CFP29タンパク質の配列150bpにほぼ100%同一であることが同定された。この配列は、5’末端が、精製したCFP29タンパク質のN−末端シークエンスされた19アミノ酸に100%同一な配列に翻訳するオープンリーディングフレーム795bp内に含まれている。
【0193】
最後に、795bpのオープンリーディングフレームは、プライマー:
【0194】
【表7】

を用いて上記と同じPCR条件下でPCRクローンした。
【0195】
得られたDNAフラグメントは、上記のようにしてアガロースゲルから精製し、以下のプライマー:
【0196】
【表8】

に加えてプライマー3及び4を用いてシークエンスした。
【0197】
3つの独立したクローンをシークエンスした。3つのクローンは全て、コスミドcy444上の配列と100%一致した。
【0198】
全ての他のDNA操作は、Maniatisら(1989)にしたがって行った。
【0199】
Taqポリメラーゼ以外の全ての酵素は、New England Biolabsのものであった。
【0200】
サンガーデータベースでのホモロジー検索
CFP17、CFP20、CFP21、CFP22、CFP25及びCFP28について、各タンパク質のN−末端アミノ酸配列は、サンガーの結核菌のデータベース:http://www.sanger.ac.uk/pathogens/TB−blast−server.html.のブラストプログラムを用いてホモロジー検索に用いた。
CFP29については、DNA配列の最初の150bpを検索に用いた。さらに、EMBLデータベースで、CFP29とホモロジーを有するタンパク質を検索した。
【0201】
これにより、以下の情報が得られた。
【0202】
CFP17
CFP17で決定された14アミノ酸について、MTCY1A11.16c.と93%の同一性が見出された。2つの配列間の違いは、最初のアミノ酸にある。つまり、決定されたN−末端配列では、それはA又はSであり、MTCY1A11ではSである。N−末端シークエンスからは、13番目のアミノ酸を決定することはできなかった。
【0203】
オープンリーディングフレーム内で、翻訳されたタンパク質は162アミノ酸の長さである。培養ろ液から精製したタンパク質のN−末端は31番目のアミノ酸で始まり、切断されるシグナル配列の存在に一致する。これにより、理論分子質量13833Da及び理論pI 4.4に相当する132アミノ酸長の成熟タンパク質が生じる。SDS−PAGEで認められた質量は、17kDaである。
【0204】
CFP20
CFP20の決定された15アミノ酸に100%同一な配列が、翻訳されたコスミドcscy09F9に見出された。停止コドンは、1の位置のアミノ酸Mから166番目のアミノ酸に見出された。これにより、理論分子質量16897kDa及びpI 4.2に相当する165アミノ酸の長さの生じることが推測される。SDS−PAGEで認められた分子量は、20kDaである。
【0205】
TFASTAアルゴリズム[Pearson及びLipman、1988]を用いたGenEMBLデータベースの検索で、164アミノ酸長と推測される翻訳タンパク質にホモロジーを有する幾つかのタンパク質が示された。
【0206】
最高のホモロジー、つまり163アミノ酸が重複する51.5%の同一性が、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)Rd toxR reg(HIHI0751)に見られた。
【0207】
CFP21
CFP21の決定された14アミノ酸に100%同一な配列は、MTCY39に見られた。N−末端シークエンスから、3番目のアミノ酸を決定できなかった。このアミノ酸は、MTCY39ではCである。おそらくこの違いにより、アミノ酸Cをシークエンサーで決定できない。
【0208】
オープンリーディングフレーム内で、翻訳タンパク質は217アミノ酸長である。培養ろ液から精製したタンパク質の決定されたN−末端配列は33番目のアミノ酸で始まり、切断されるシグナル配列の存在に一致する。これにより、理論分子質量18657Da、理論pI 4.6に相当する185アミノ酸長の成熟タンパク質が得られる。SDS−PAGEで認められた分子量は、21kDaである。
【0209】
タンパク質は、193アミノ酸を重複して、209アミノ酸長のクチナーゼ(cutinase)前駆体(CUTI_ALTBR P41744)に32.6%の同一性を有する。
【0210】
マイコバクテリア・ボビスBCGで欠失された翻訳領域(RD2)と決定されたN−末端の14アミノ酸との比較により、100%同一な配列(mb3484)が示された[Mahairasら、1996]。
【0211】
CFP22
CFP22の決定された15アミノ酸に100%同一な配列は、MTCY10H4に見られた。オープンリーディングフレーム内で、翻訳タンパク質は182アミノ酸長である。培養ろ液から精製したタンパク質のN−末端配列は8番目のアミノ酸で始まり、それ故に結核菌培養ろ液中で175アミノ酸長のタンパク質を生じる。これにより、理論分子質量18517Da及びpI 6.8が得られる。SDS−PAGEで認められた分子量は、22kDaである。
【0212】
182アミノ酸の重複で、翻訳タンパク質は、E235739、ペプチジループロリル シス−トランスイソメラーゼと90.1%の同一性を有する。
【0213】
CFP25
決定された15アミノ酸に93%同一な配列は、コスミドMTCY339.08cに見出された。2つの配列間で異なる1つのアミノ酸は、MTCY339.08cでCであり、N−末端シークエンスデータによればXである。シークエンサーでは、おそらくこの違いによりCを決定できない。
【0214】
培養ろ液から精製したタンパク質の決定されたN−末端配列は33番目のアミノ酸で始まり、切断されるシグナル配列の存在に一致する。これにより、理論分子量19665Da及び理論pI 4.9に相当する187アミノ酸長の成熟タンパク質が得られる。SDS−PAGEで認められた分子量は、25kDaである。
【0215】
タンパク質は、217アミノ酸の重複でCFP21(MTCY39.35)に42.9%の同一性を有する。
【0216】
CFP28
データベース検索でSEQ ID NO:22の2〜8、11、12及び14残基の決定された10アミノ酸を用いる際に、ホモロジーは見られなかった。
【0217】
CFP29
サンガーデータベース検索:CFP29タンパク質の配列150bpにほぼ100%同一な配列は、コスミドcy444に見出された。配列は、オープンリーディングフレーム795bp内に含まれ、その5’末端は、精製されたCFP29タンパク質のN−末端シークエンスされた19アミノに100%同一な配列に翻訳する。オープンリーディングフレームは、265アミノ酸のタンパク質をエンコードする。
【0218】
精製タンパク質について行ったアミノ酸解析により、コスミド444でのオープンリーディングフレームにエンコードされるタンパク質とCFP29の同一性がさらに確認された。
【0219】
EMBLデータベース検索:オープンリーデイングフレームは、リノシンM18タンパク質(DNAレベルで61%同一)に58%同一で、74%類似している265アミノ酸タンパク質をエンコードしている。これは、バクテリオシン活性を有する28.6kDaのタンパク質である[Valdes−Stauber及びScherer、1994;Valdes−Stauber及びScherer、1996]。2つのタンパク質は同じ長さ(1アミノ酸を除いて)を有し、同じ理論物理化学特性を有する。したがって、CFP29は、ブレビバクテリウム・リネンスのリノシンM18タンパク質と相同なマイコバクテリア(mycobacterial homolog)であることが示唆される。
【0220】
サンガーデータベースから選んだ精製抗原のアミノ酸配列を以下のリストに示す。N−末端シークエンスで決定したアミノ酸は、太字で示す。
【0221】
【表9】


6つのタンパク質全てについて配列から推測される分子量は、SDS−PAGEで認められる分子量に一致する。
【0222】
CFP17、CFP20、CFP21、CFP22及びCFP25をエンコードする遺伝子のクローニング
CFP17、CFP20、CFP21、CFP22及びCFP25をエンコードする遺伝子は、大腸菌内で組換えタンパク質が発現されるように、遺伝子の特異的なプライマーを用いるPCR増幅により発現ベクターpMCT6に全てクローンした。
【0223】
PCR反応物は、10μlの反応容量に4つの各ヌクレオチド250mM[Boehringer Mannheim]、BSA 0.5mg/ml[IgG technlogy]、1% DMSO[Merck]、各プライマー5pmol及びTaq+DNAポリメラーゼ0.5ユニット[Stratagene]を加えた1x低塩Taq+緩衝液[Stratagene]に結核菌の染色体DNA 10ngを含むものであった。反応は、最初に25秒間94℃に加熱し、サーモサイクラー装置[IdahoTechnology]を用いて10秒間94℃、10秒間55℃及び90秒間72℃のプログラムを30サイクル行った。
【0224】
次いで、DNAフラグメントを1%アガロースゲルに付し、バンドを切りだしてスピン−X スピンカラム[Costar]で精製し、pBluescript SK II+−Tベクター[Stratagene]にクローンした。その後、所望のフラグメントを有するクローンからプラスミドDNAを調製し、適切な制限酵素で消化し、発現ベクターpMCT6(発現されるタンパク質のN−末端に加えられる8個のヒスチジン残基とフレームを合わせた)にサブクローンした。得られたクローンは、この後、シーケナーゼDNAシーケンシングキットバージョン1.0[United States Biochemical Corp.、合衆国]を用いるスーパーコイルDNA用に合わせたジデオキシ鎖末端法、及び添付の指示書にしたがった自動ゲルリーダー[モデル 373A、Applied Biosystems]と組み合わせたダイ・ターミネーターシステムを用いるサイクルシークエンスにより、シークエンスした。
【0225】
個々の抗原のクローニングには、以下の遺伝子の特定のプライマーを用いた:
CFP17:cfp17のクローニングに用いられるプライマー:
【0226】
【表10】

OPBR−51及びOPBR−52は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0227】
CFP20:cfp20のクローニングに用いられるプライマー:
【0228】
【表11】

OPBR−53及びOPBR−54は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びHinIII部位をそれぞれ生じる。
【0229】
CFP21:cfp21のクローニングに用いられるプライマー:
【0230】
【表12】

OPBR−55及びOPBR−56は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0231】
CFP22:cfp22のクローニングに用いられるプライマー:
【0232】
【表13】

OPBR−57及びOPBR−58は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0233】
CFP25:cfp25のクローニングに用いられるプライマー:
【0234】
【表14】

OPBR−59及びOPBR−60は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0235】
CFP17、CFP20、CFP21、CP22及びCFP25の組換えタンパク質の発現/精製
組換えタンパク質の発現及び金属親和性精製は、本質的に製品に記載されているようにして行った。各タンパク質について、アンピシリン100μg/mlを含有するLB−培地11を、組換えpMTC6プラスミドを有するXL1−Blue細胞の一晩培養液10mlに接種した。培養は、OD600が0.4〜0.6の密度に達するまで37℃で振盪した。
【0236】
最終濃度が1mMになるようにIPTGをこの後加え、さらに4〜16時間培養した。細胞を回収して1x超音波処理緩衝液+8Mユレアに再懸濁し、パルスの間に30秒停止して、5x30秒、超音波処理した。
【0237】
遠心分離後、再懸濁したタロン(Talon)樹脂[Clontech,PaloAlto、合衆国]25mlを含むカラムに溶解物を用いた。製品に記載されているようにしてカラムを洗浄し、溶出した。
【0238】
溶出後、全画分(各1.5ml)を、マイティ・スモール(Mighty Small)[Hoefer Scientific Instruments、合衆国]システムを用いるSDS−PAGEでの分析に付し、タンパク質濃度を280nmで見積もった。組換えタンパク質を含有する画分をプールし、10mM Tris−HCl(pH8.5)中の3Mユレアに透析した。透析したタンパク質は、6mlのResource−Qカラムを用いてFPLC[Pharmacia、スウェーデン]でさらに精製し、0〜1MのNaClの線状勾配で溶出した。画分はSDS−PAGEで分析し、タンパク質濃度はOD280で見積もった。タンパク質を含む画分をプールし、25mM Hepes緩衝液(pH8.5)に透析した。
【0239】
最後に、それぞれBCA[Pierce、オランダ]及びLAL[Endosafe,Charleston、合衆国]試験でタンパク質濃度及びLPS含量を決定した。
【0240】
実施例3A:CFP7A、CFP8A、CFP8B、CFP16、CFP19、CFP19B、CFP22A、CFP23A、CFP23B、CFP25A、CFP27、CFP30A、CwP32及びCFP50の同定CFP16及びCFP19Bの同定
ST−CFは、80%飽和の硫酸アンモニウムで沈殿した。沈殿したタンパク質は遠心分離で除き、再懸濁後に8Mユレアで洗浄した。最終濃度がそれぞれ0.5%(w/v)と5%(v/v)になるようにCHAPSとグリセロールを加え、タンパク質溶液をロトフォル等電点細胞[BioRad]に塗布した。ロトフォル細胞は、0.5%CHAPS(w/v)、5%グリセロール(v/v)、3%バイオリット3/5(v/v)及び1%バイオリット4/6(v/v)[BioRad]を含む8Mユレア緩衝液で平衡化した。等電点フォーカスは、3〜6のpH勾配で行った。画分を、銀染色した10〜20%のSDS−PAGEで分析した。同様のバンドパターンを有する両分をプールし、最終容量が1〜3mlになるように、3kDaのカットオフメンブレンを有するセントリプレップ濃縮機[Amicon]でPBSを用いて3回洗浄した。サンプル緩衝液を含む等量のSDSを加え、タンパク質溶液を5分煮沸し、電気勾配下の16%ポリアクリルアミドのマトリクスでプレップ細胞[Biorad]についてさらに分離した。PVDF膜への転移後に、SDS−PAGEで分離したバンドのウェル含有画分をN−末端シークエンス用に選択した。
【0241】
CFP8A、CFP8B、CFP19、CFP23A及びCFP23Bの単離
ST−CFは、80%飽和の硫酸アンモニウムで沈殿させ、PBS(pH7.4)に再溶解し、25mMピペラジン−HCl(pH5.5)に3回透析し、FPLCシステム[Pharmacia]に接続したカラムでPBE94[Pharmacia]のマトリクスについての等電点クロマトグラフィーに付した。カラムは25mMピペラジン−HCl(pH5.5)で平衡化し、溶出を10%PB74−HCl(pH4.0)[Pharmacia]を用いて行った。同様のバンドパターンを有する画分をプールし、最終容量が1〜3mlになるように3kDaのカットオフメンブレンを有するセントリプレップ濃縮機[Amicon]でPBSを用いて3回洗浄し、上記のようにしてプレップ細胞で分離した。
【0242】
CFP22Aの同定
ST−CFを限外ろ過で約10倍に濃縮し、80%飽和でタンパク質を沈殿させ、PBS(pH7.4)に再溶解し、PBS(pH7.4)に3回透析した。Rnase(0.2mg/ml,QUIAGEN)とDNase(0.2mg/ml,Boehringer Mannheim)で透析したST−CF5.1mlを6時間処理し、ソルバル(Sorvall)チューブ[Ultracrimp 03987,DuPont Medical Products]内のPBS(pH7.4)中48%シヨ糖(w/v)6.4mlの上部に置き、10℃、257,300xggax20時間、超遠心分離した。ペレットは、200μlの25mM Tris−192mMグリシン、0.1% SDS(pH8.3)に再溶解した。
【0243】
CFP7A、CFP25A、CFP27、CFP30A及びCFP50の同定
CFP27、CFP30A及びCFP50については限外ろ過でST−CFを約10倍に濃縮し、45〜55%飽和の硫酸アンモニウム沈殿を行った。タンパク質は、50mMリン酸ナトリウム、1.5mM硫酸アンモニウム(pH8.5)に再溶解し、Affi−Tゲルカラム[Kem−En−Tec]でのチオフィル吸着クロマトグラフィーに付した。タンパク質は、1.5から0Mに低下する硫酸アンモニウムの勾配で溶出した。SDS−PAGEで同様のバンドパターンを有する画分をプールし、FPLCシステム[Pharmacia]に接続したMono Q HR 5/5カラムでアニオン交換クロマトグラフィーを行った。カラムは、10mM Tris−HCl(pH8.5)で平衡化し、0〜1MのNaCl勾配で溶出した。SDS−PAGEで分離したバンドのウェル含有画分を選択した。
【0244】
CFP7とCFP25Aは、以下の点を変えるほかは上記のようにして得られた:限外ろ過でST−CFを約10倍に濃縮し、80%飽和でタンパク質を沈殿させ、PBS(pH7.4)に再溶解し、PBS(pH7.4)に3回透析した。1.5Mの濃度まで硫酸アンモニウムを加え、ST−CFタンパク質をAffi T−ゲルカラムにロードした。Affi T−ゲルカラムとアニオン交換からの溶出は、上記のようにして行った。
【0245】
CWP32の単離
熱処理したH37Rvは、Sorensenらが記載(1995)しているように、細胞下画分にサブ分画した。細胞壁画分は、8Mユレア、0.2%(w/v)N−オクチルβ−グルコピラノシド[Sigma]及び5%(v/v)グリセロールに再懸濁し、同じ緩衝液で平衡化したロトフォル等電点細胞[BioRad]にタンパク質溶液を塗布した。等電点フォーカスは、3〜6のpH勾配で行った。画分をSDS−PAGEで分析し、分離したバンドのウェル含有画分をプールし、PVDF膜への転移後にN−末端シーケンシングに付した。
【0246】
N−末端シーケンシング
CFP7A、CFP8A、CFP8B、CFP16、CFP19、CFP19B、CFP22A、CFP23A、CFP23B、CFP27、CFP30A、CWP32及びCFP50を含む画分は、トリシンSDS−PAGE後にPVDF膜にブロットした[Plougら、1989]。関連するバンドを切り出し、プロサイス494シークエンサー[Applied Biosystems]でN−末端アミノ酸シークエンス解析に付した。CFP25Aを含む画分を、2−DEPAGE(一次で等電点フォーカス、二次でトリシンSDS−PAGE)後にPVDF膜にブロットした。関連するスポットを切り出し、上記のようにシークエンスした。
【0247】
以下のN−末端配列が得られた:
【0248】
【表15】

【0249】
サンガーデータベースでのN−末端ホモロジー検索及び相当する遺伝子の固定
各タンパク質由来のN−末端アミノ酸配列は、サンガーの結核菌データベース:http://www.sanger.ac.uk.projects.m−tuberculosis/TB−blast−server.のブラストプログラムを用いるホモロジー検索に用いた。
【0250】
CFP23B、CFP23A及びCFP19Bについては、サンガーのデータベースで類似性が見出されなかった。これは、検索を行ったときにシークエンスされていた結核菌ゲノムは70%にすぎないという事実のためである。これらのタンパク質をエンコードする遺伝子は、シークエンスデータがいまだ利用できない残りの30%のゲノムに含まれているであろう。
【0251】
CFP7A、CFP8A、CFP8B、CFP16、CFP19、CFP19B、CFP22A、CFP25A、CFP27、CFP30A、CwP32及びCFP50については、以下の情報が得られた。
【0252】
CFP7A:CFP7Aの決定された50アミノ酸のうち、98%同一な配列がコスミドcsCY07D1(contig 256)に見出された:スコア=226(100.4ビット)、イクスペクト(expect)=1.4e−24、P=1.4e−24、同一性=49/50(98%)、陽性=49/50(98%)、フレーム(frame)=1。
【0253】
【表16】

【0254】
同一性は、理論MWがCFP7Aの7305.9Da及びpI 3.762に相当する71アミノ酸長のオープンリーディングフレーム内で見出される。SDS−PAGEで認められた分子量は、7kDaである。
【0255】
CFP8A:15個のN−末端アミノ酸に80%が同一な配列が、contig TB_1884に見出された。培養ろ液から精製したタンパク質由来の決定されたN−末端た配列は、32番目のアミノ酸で開始する。これにより、MW 9700Da及びpI 3.72の理論値に相当する98アミノ酸長の成熟タンパク質が生じる。これは、SDS−PAGEで認められる約8kDaのMWに一致する。全長タンパク質は、MW 12989Da及びpI 4.38の理論値を有する。
【0256】
CFP8B:14個のN−末端アミノ酸に71%同一な配列が、contig TB_653に見出された。しかし、最初のN−末端配列データを注意深く再評価することにより、タンパク質の同一性が確認された。培養ろ液から精製したタンパク質の決定されたN−末端配列は、29番目のアミノ酸で開始する。これにより、MW 8337Da及びpI 4.23の理論値に相当する82アミノ酸長の成熟タンパク質が生じる。これは、SDS−PAGEで認められる約8kDaのMWに一致する。アミノ酸配列解析により、培養ろ液に見出された成熟タンパク質から切断されたシグナルペプチドの存在することが予測される。
【0257】
CFP16:15個のN−末端アミノ酸配列は、コスミドMTCY20H1に見られる配列と100%同一であることが分かった。
【0258】
同一性は、13440.4Da及びpI 4.59のCFP16の理論MWに相当する130アミノ酸長のオープンリーディングフレーム内に見出される。SDS−PAGEゲルで認められた分子量は、16kDaである。
【0259】
CFP19:15個のN−末端アミノ酸配列は、コスミドMTCY270に見られる配列と100%同一であることが分かった。
【0260】
同一性は、18633.9Da及びpI 5.41のCFP19の理論MWに相当する176アミノ酸のオープンリーディングフレーム内に見出される。SDS−PAGEゲルで認められた分子量は、19kDaである。
【0261】
CFPA22A:15個のN−末端アミノ酸配列は、コスミドMTCY1A6に見られる配列と100%同一であることが分かった。
同一性は、20441.9Da及びpI 4.73のCFP22Aの理論MWに相当する181アミノ酸のオープンリーディングフレーム内に見出される。SDS−PAGEゲルで認められた分子量は、22kDaである。
【0262】
CFPA25A:15個のN−末端アミノ酸配列は、contig 255に見られる配列と100%同一であることが分かった。
【0263】
同一性は、24574.3Da及びpI 4.95のCFP25Aの理論MWに相当する228アミノ酸のオープンリーディングフレーム内に見出される。SDS−PAGEゲルで認められた分子量は、25kDaである。
【0264】
CFPA27:15個のN−末端アミノ酸配列は、コスミドMTCY261に見られる配列と100%同一であることが分かった。
【0265】
同一性は、291アミノ酸長のオープンリーディングフレーム内に見出される。
培養ろ液から精製したタンパク質の決定されたN−末端配列は、58番目のアミノ酸で開始する。これにより、24422.4Daの理論分子量、4.64の理論pIに相当する233アミノ酸長の成熟タンパク質が生じる。
【0266】
SDS−PAGEゲルで認められた分子量は、27kDaである。
【0267】
CFPA30A:CFP30Aで決定された13個のアミノ酸について、100%同一な配列がコスミドMTCY261に見出された。
【0268】
同一性は、26881.0Da及びpI 5.41のCFP30Aの理論MWに相当する248アミノ酸のオープンリーディングフレーム内に見出される。SDS−PAGEゲルで認められた分子量は、30kDaである。
【0269】
CWP32:15個のN−末端アミノ酸配列は、contig 281に見られる配列と100%同一であることが分かった。同一性は、28083Da及びpI 4.563のCWP32の理論MWに相当する266アミノ酸長のオープンリーディングフレーム内に見出された。SDS−PAGEゲルで認められた分子量は、32kDaである。
【0270】
CFP50:15個のN−末端アミノ酸配列は、MTV038.06に見られる配列と100%同一であることが分かった。同一性は、49244Da及びpI 5.66のCFP50の理論MWに相当する464アミノ酸長のオープンリーディングフレーム内に見出される。SDS−PAGEゲルで認められた分子量は、50kDaである。
【0271】
CFP19AとCFP23の同定のためのEMLデータベースでのホモロジー検索の使用
TFASTAアルゴリズムを用いる、2つの初期に同定された高度に免疫応答性のST−CFタンパク質のアミノ酸配列とのEMBLデータベース(BiobaseのGCGパッケージを使用、Arhus−DK)でのホモロジー検索により、これらのタンパク質(CFP21とCFP25、実施例3)が、真菌のクチナーゼホモログの群に属することが示された。これらのうちで、もっとも相同な配列は、コスミドMTCY13E12に見らる2つの結核菌配列であった。まず、MTCY13E12.04は、CFP25とCFP21に、それぞれ46%及び50%同一である。次に、MTCY13E.12.05も、CFP25とCFP21に46%及び50%同一である。2つのタンパク質は、184残基を重複させて62.5%の同一なアミノ酸を共有する。強力なT−細胞抗原CFP21とCFP25に高度なホモロジーに基づくと、CFP19AとCFP23は、それぞれ新規なT−細胞抗原であるものと考えられる。
【0272】
最初の読み枠は、254アミノ酸のタンパク質をエンコードし、最初の26アミノ酸は、タンパク質の細胞外の位置を強く示す仮想のリーダーペプチドを構成している。したがって、成熟タンパク質は、23149.0Daの理論MWと5.80のpIに相当する228アミノ酸の長さである。このタンパク質を、CFP23と命名する。
【0273】
二番目の読み枠は、231アミノ酸のタンパク質をエンコードし、最初の44アミノ酸は、タンパク質の細胞外の位置を強く示す仮想のリーダーペプチドを構成している。したがって、成熟タンパク質は、19020.3Daの理論MWと7.03のpIに相当する187アミノ酸の長さである。このタンパク質を、CFP19Aと命名する。
【0274】
両タンパク質での仮想リーダーペプチドの存在(及び、それによるST−CFでのそれらの存在)は、エクスパシー(Expasy)分子生物サーバー(http://expasy.hcuge.ch/www/tools.html)のシグナルPプログラムを用いる理論シークエンス解析で確認される。
【0275】
EMBLデータベースでのCFP7A、CFP16、CFP19、CFP19A、CFP19B、CFP22A、CFP23、CP25A、CF27、CFP30A、CWP32及びCFP50とのホモロジー検索
相同なタンパク質を見出し、抗原に最終的な機能的役割を果たさせるために、TFASTAアルゴリズムを用いるEMBL及びGenbankデータベースでのホモロジー索に個々の抗原の翻訳遺伝子由来のアミノ酸配列を用いた。
【0276】
CFP7A:CFP7Aは、仮想上(hypothetical)、メタノコッカス・ジャナスチ(Methanococcus jannaschii)タンパク質(1162199−1175341塩基由来のメタノコッカス・ジャナスチ)と44%の同一性及び70%の類似性、ならびにビー・ステアロサーモフィラス(B.stearothermophilus)のピルベートカルボキシラーゼのC−末端の一部、及びストレプトコッカス(Sterptococcus)変異体のビオチンカルボキシル担体タンパク質と43%と38%の同一性及び68%と64%の類似性を有する。
【0277】
CFP7Aは、この場合にわずかに修飾されたビオチン結合部位モチーフについて共通のEAMKM配列(ESMKMで34〜38アミノ酸残基)を含む。SDS−PAGE後にストレプトアビジンに結合したアルカリホスファターゼとインキュベーションし、ニトロセルロースに転移することにより、天然のCFP7Aがビオチニル化されたことが立証された。
【0278】
CFP16:RpIL遺伝子、130アミノ酸、マイコバクテリア・ボビス50sリボソームタンパク質L7/L12と同一(受託No P37381)。
【0279】
CFP19:CFP19は、150アミノ酸重複して、大腸菌ペクチンストレアーゼホモログ(ybhC遺伝子)と47%同一で、55%類似している。
【0280】
CFP19A:CFP19Aは、異なる真菌種由来の幾つかのクチナーゼと38〜45%の同一性を有する。
【0281】
さらに、CFP19AはCFP25と46%の同一性と61%の類似性、ならびにCFP21と50%の同一性と64%の類似性を有する(両タンパク質は、ST−CFから初期に単離される)。
【0282】
CFP19B:ホモロジーは、見られない。
【0283】
CFP22A:ホモロジーは、見られない。
【0284】
CFP23:CFP23は、異なる真菌種由来の幾つかのクチナーゼと38〜46%の同一性を有する。
【0285】
さらに、CFP23はCFP25と46%の同一性と61%の類似性、ならびにCFP21と50%の同一性と63%の類似性を有する(両タンパク質は、ST−CFから初期に単離される)。
【0286】
CFP25A:CFP25Aは、推測上、結核菌のチミジレートシンセターゼと241アミノ酸重複して95%の同一性を有する(450アミノ酸、受託番号p28176)。
【0287】
CFP27:CFP27は、仮定上、らい菌(M.leprae)タンパク質と81%の同一性、及びロドコッカス(Rhodococcus)種のプロテアソームβ−タイプサブユニット2(prcb(2)遺伝子)と64%の同一性ならびに78%の類似性を有する。
【0288】
CFP30A:CFP30Aは、ロドコッカスのプロテアソームα−タイプ1サブユニットと67%の同一性を有する。
【0289】
CWP32:CWP32のN−末端配列は、らい菌の配列MLCB637.03と100%同一である。
【0290】
CFP50:CFP50のN−末端配列は、推測上、らい菌由来のリポアミドデヒドロゲナーゼと100%同一である(受託415183)。
【0291】
CFP7A、CFP8A、CFP8B、CFP16、CFP19、CFP1A9A、CFP22A、CFP23、FP25A、CFP27、CFP30A、CWP32及びCFP50をエンコードする遺伝子のクローニング
CFP7A、CFP8A、CFP8B、CFP16、CFP19、CFP19A、CFP22A、CFP23、CFP25A、CFP27、CFP30A、CWP32及びCFP50をエンコードする遺伝子は、大腸菌で組換えタンパク質を発現するように、特異的な遺伝子プライマーとのPCR増幅で発現ベクターpMCT6に全てクローンした。
【0292】
PCR反応物は、10mlの反応容量に4つの各ヌクレオチド250mM[Boehringer Mannheim]、BSA 0.5mg/ml[IgG technlogy]、1% DMSO[Merck]、各プライマー5pmol及びTaq+DNAポリメラーゼ0.5ユニット[Stratagene]を加えた1x低塩Taq+緩衝液[Stratagene]に結核菌の染色体DNA 10ngを含むものであった。反応は、最初に25秒間94℃に加熱し、サーモサイクラー装置[Idaho Technology]を用いて10秒間94℃、10秒間55℃及び90秒間72℃のプログラムを30サイクル行った。
【0293】
次いで、DNAフラグメントを1%アガロースゲルに付し、バンドを切りだして、スピン−X スピンカラム[Costar]で精製し、pBluescript SK II+−Tべクター[Stratagene]にクローンした。その後、所望のフラグメントを有するクローンからプラスミドDNAを調製し、適切な制限酵素で消化し、発現ベクターpMCT6(発現されるタンパク質のN−末端に加えられる8個のヒスチジン残基とフレームを合わせた)にサブクローンした。得られたクローンは、この後、シーケナーゼDNAシーケンシングキットバージョン1.0[United States Biochemical Corp.、合衆国]を用いるスーパーコイルDNA用に合わせたジデオキシ鎖末端法、及び添付の指示書にしたがった自動ゲルリーダー[モデル373A、Applied Biosystems]と組み合わせたダイ・ターミネーターシステムを用いるサイクルシークエンスにより、シークエンスした。遺伝子の両鎖をシークエンスした。
【0294】
個々の抗原のクローニングには、以下の特異的な遺伝子プライマーを用いた:
CFP7A:cfp7Aのクローニングに用いたプライマー
【0295】
【表17】

OPBR−79及びOPBR−80は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びBamHI部位をそれぞれ生じる。
【0296】
CFP8A:cfp8Aのクローニングに用いたプライマー:
【0297】
【表18】

CFP8A−F及びCFP8A−Rは、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0298】
CFP8B:cfp8Bのクローニングに用いたプライマー:
【0299】
【表19】

CFP8B−F及びCFP8B−Rは、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びSmaI部位をそれぞれ生じる。
【0300】
CFP16:cfp16のクローニングに用いたプライマー:
【0301】
【表20】

OPBR−104及びOPBR−105は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0302】
CFP19:cfp19のクローニングに用いたプライマー:
【0303】
【表21】

OPBR−96及びOPBR−97は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0304】
CFP19A:cfp19Aのクローニングに用いたプライマー:
【0305】
【表22】

OPBR−88及びOPBR−89は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びBamHI部位をそれぞれ生じる。
【0306】
CFP22A:cfp22Aのクロ−ニングに用いたプライマー:
【0307】
【表23】

OPBR−90及びOPBR−91は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0308】
CFP23:cfp23のクローニングに用いたプライマー:
【0309】
【表24】

OPBR−86及びOPBR−87は、ともにpMCT6でのクローニングに用いられるBglII部位を生じる。
【0310】
CFP25A:cfp25Aのクローニングに用いたプライマー:
【0311】
【表25】

OPBR−106及びOPBR−107は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0312】
CFP27:cfp27のクローニングに用いたプライマー:
【0313】
【表26】

OPBR−92及びOPBR−93は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0314】
CFP30A:cfp30Aのクローニングに用いたプライマー:
【0315】
【表27】

OPBR−94及びOPBR−95は、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0316】
CWP32:cwp32のクローニングに用いたプライマー:
【0317】
【表28】

CWP32−F及びCWP32−Rは、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0318】
CFP50:cfp50のクローニングに用いたプライマー:
【0319】
【表29】

OPBR−100及びOPBR−101は、pMCT6でのクローニンクに用いられるBglII及びNcoI部位をそれぞれ生じる。
【0320】
CFP7A、CFP8A、CFP8B、CFP16、CFP19、CFP19A、CFP22A、CFP23、CFP25A、CFP27、CFP30A、CWP32及びCFP50の組換えタンパク質の発現/精製
組換えタンパク質の発現及び金属親和性精製は、本質的に製品に記載されているようにして行った。各タンパク質について、アンピシリン100μg/mlを含有するLB−培地11を、組換えpMTC6プラスミドを有するXL−1 Blue細胞の一晩培養液10mlに接種した。培養は、OD6004〜0.6の密度に達するまで37℃で振盪した。この後、最終濃度か1mMになるようにIPTGを加え、さらに4〜16時間、培養した。細胞を回収して1x超音波処理緩衝液+8Mユレアに再懸濁し、パルス間で30秒停止して、5x30秒、超音波処理した。
【0321】
遠心分離後、再懸濁したタロン樹脂[Clontech,PaloAlto、合衆国]を25ml含むカラムに溶解物を用いた。製品に記載されているようにしてカラムを洗浄し、溶出した。
【0322】
溶出後、全画分(各1.5ml)を、マイティ・スモール[Hoefer Scientific Instruments、合衆国]システムを用いるSDS−PAGEでの分析に付し、タンパク質濃度を280nmで予測した。組換えタンパク質を含有する画分をプールし、10mM Tris−HCl(pH8.5)中の3Mユレアに透析した。透析したタンパク質は、6mlのResource−Qカラムを用いてFPLC[Pharmacia、スウェーデン]でさらに精製し、0〜1MのNaClの線状勾配で溶出した。画分はSDS−PAGEで分析し、タンパク質濃度はOD280で予測した。タンパク質含有画分をプールし、25mM Hepes緩衝液(pH8.5)に透析した。
【0323】
最後に、タンパク質濃度及びLPS含量は、それぞれBCA[Pierce、オランダ]及びLAL[Endosafe,Charleston、合衆国]試験で決定した。
【0324】
実施例3B:CFP7B、CFP10A、CFP11及びCFP30Bの同定CFP7Bの単離
ST−CFは、80%飽和の硫酸アンモニウムで沈殿し、PBS(pH7.4)に再溶解し、25mMピペラジン−HCl(pH5.5)に3回透析し、FPLCシステム[Pharmacia]に接続したカラムでPBE94[Pharmacia]のマトリクスについての等電点クロマトグラフィーに付した。カラムは25mMピペラジン−HCl(pH5.5)で平衡化し、10%PB74−HCl(pH4.0)
[Pharmacia]を用いて溶出を行った。同様のバンドパターンを有する画分をプールし、最終容量が1〜3mlになるように3kDaのカットオフメンブレンを有するセントリプレップ濃縮機[Amicon]でPBSを用いて3回洗浄した。サンプル緩衝液を含む等量のSDSを加え、タンパク質溶液を5分煮沸し、10〜20%ポリアクリルアミドのマトリクス[Andersen,P.及びHeron,I.,1993]のマルチエリューター(MultiEluter)[Biorad]でさらに分離した。PVDF膜への転移後に、10kDa以下で分離したバンドのウェル含有画分をN−末端シークエンス用に選択した。
【0325】
CFP11の単離
ST−CFは、80%飽和の硫酸アンモニウムで沈殿した。沈殿したタンパク質は遠心分離で除き、再懸濁後に8Mユレアで洗浄した。最終濃度がそれぞれ0.5%(w/v)と5%(v/v)になるようにCHAPSとグリセロールを加え、タンパク質溶液をロトフォル等電点細胞[BioRad]に塗布した。0.5%CHAPS(w/v)、5%グリセロール(v/v)、3%バイオリット3/5(v/v)及び1%バイオリット4/6(v/v)[BioRad]を含む8Mユレア緩衝液で、ロトフォル細胞を平衡化した。
【0326】
等電点フォーカスは、3〜6のpH勾配で行った。銀染色した10〜20%のSDS−PAGEで画分を分析した。pH5.5〜6の勾配で画分をプールし、最終容量が1mlになるように、3kDaのカットオフメンブレンを有するセントリプレップ濃縮機[Amicon]でPBSを用いて3回洗浄した。タンパク質調製物300mgを10〜20%トリシンSDS−PAGEで分離し[Plougら、1989]、PVDF膜に移してクーマシー染色した。膜のもっとも低い位置で生じたバンドを切り出し、N−末端シークエンスに付した。
【0327】
CFP10AとCFP30Bの単離
ST−CFは、限外ろ過及び80%飽和の硫酸アンモニウム沈殿で約10倍に濃縮した。タンパク質は、50mMのリン酸ナトリウム、1.5Mの硫酸アンモニウム(pH8.5)に再溶解し、Affi−Tゲルカラム[Kem−En−Tec]でのチオフィル吸着クロマトグラフィーに付した。タンパク質は、1.5から0Mに減少する硫酸アンモニウムの勾配で溶出した。SDS−PAGEで同様のバンドパターンを有する画分をプールし、FPLCシステム[Pharmacia]に接続したMono Q HR 5/5カラムでアニオン交換クロマトグラフィーを行った。カラムは10mM Tris−HCl(pH8.5)で平衡化し、0〜1MのNaCl勾配で溶出した。SDS−PAGEで分離したバンドのウェル含有画分を選択した。
【0328】
CFP10AとCFP30Bを含有する画分は、2−DE PAGE後にPVDF膜にブロットした[Plougら、1989]。関連するスポットを切り出し、N−末端アミノ酸配列の解析に付した。
【0329】
N−末端シーケンシング
N−末端アミノ酸配列の解析は、プロサイス494シークエンサー[Applied Biosystems]で行った。
【0330】
以下のN−末端配列が得られた:「X」は、用いたシークエンス法では決定できないアミノ酸を示す。
【0331】
【表30】

【0332】
サンガーデータベースでのN−末端ホモロジー検索及び相当する遺伝子の固定
各タンパク質由来のN−末端アミノ酸配列は、サンガーの結核菌ゲノムのデータベース:http//www.sanger.ac.uk/projects/m−tuberculosis/TB−blast−serverのブラストプログラムを用いるホモロジー検索に用いた。
【0333】
CFP11について15個のN−末端アミノ酸に100%同一な配列が、contig TB_1314に見られた。同一性は、MW 10977Da及びpI 5.14の理論値に相当する98アミノ酸長のオープンリーディングフレーム内に見られた。
【0334】
この配列も得られたように(結果を示していない)、アミノ酸の1つは、(Thrの代わりに)Alaでもよい。このN−末端に100%同一な配列がcontig TB_671及びMTCI364.09の座に見出される。
【0335】
CFP7Bについて15個のN−末端アミノ酸に100%同一な配列が、EMBL受託番号がz95436のcontig TB_2044及びMTY15C10.04の座に見られた。同一性は、MW 7240Da及びpI 5.18の理論値に相当する67アミノ酸長のオープンリーディングフレーム内に見られた。
【0336】
CFP10Aについて12個のN−末端アミノ酸に100%同一な配列が、EMBL受託番号:Q10646及びZ73902のcontig TB_752及びCY130.20の座に見られた。同一性は、MW 9557Da及びpI 4.78の理論値に相当する93アミノ酸長のオープンリーディングフレーム内に見られた。
【0337】
CFP30Bについて15個のN−末端アミノ酸に100%同一な配列が、contigTB 335に見られた。同一性は、MW 27345Da及びpI 4.24の理論値に相当する261アミノ酸長のオープンリーディングフレーム内に見られた。
【0338】
サンガーデータベースから選んだ精製抗原のアミノ酸配列を、以下のリストに示す。
【0339】
【表31】

【0340】
CFP7B、CFP10A、CFP11及びCFP30Bをエンコードする遺伝子のクローニング
PCR反応物は、10mlの反応容量に4つの各ヌクレオチド250mM[Boehringer Mannheim]、BSA 0.5mg/ml[IgG technlogy]、1% DMSO[Merck]、各プライマー5pmol及びTaq+DNAポリメラーゼ0.5ユニット[Stratagene]を加えた1x低塩Taq+緩衝液[Stratagene]に結核菌の染色体DNA 10ngを含むものであった。反応物は、最初に25秒間94℃に加熱し、サーモサイクラー装置[Idaho Technology]を用いて10秒間94℃、10秒間55℃及び90秒間72℃のプログラムを30サイクル行った。
【0341】
次いで、DNAフラグメントを1%アガロースゲルに付し、バンドを切りだして、スピン−X スピンカラム[Costar]で精製し、pBluescript SK II+−Tベクター[Stratagene]にクローンした。その後、所望のフラグメントを有するクローンからプラスミドDNAを調製し、適切な制限酵素で消化し、発現べクターpMCT6(発現されるタンパク質のN−末端に加えられる8個のヒスチジン残基とフレームを合わせた)にサブクローンした。得られたクローンは、この後、シーケナーゼDNAシーケンシングキットバージョン1.0[United States Biochemical Corp.、合衆国]を用いるスーパーコイルDNA用に合わせたジデオキシ鎖末端法、及び添付の指示書にしたがった自動ゲルリーダー[モデル373A、Applied Biosystems]と組み合わせたダイ・ターミネーターシステムを用いるサイタルシークエンスにより、シークエンスした。遺伝子の両鎖をシークエンスした。
【0342】
個々の抗原のクローニングには、以下の特異的な遺伝子プライマーを用いた:
CFP7B:cfIBのクローニングに用いたプライマー
【0343】
【表32】

CFP7B−F及びCFP7B−Rは、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びSmaI部位をそれぞれ生じる。
CFP10A:cfp10Aのクローニングに用いたプライマー:
【0344】
【表33】

CFP10A−F及びCFP10A−Rは、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びSmaI部位をそれぞれ生じる。
【0345】
CFP11:cfp11のクローニングに用いたプライマー:
【0346】
【表34】

CFP11−F及びCFP11−Rは、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びSmaI部位をそれぞれ生じる。
【0347】
CFP30B:cfp30Bのクローニングに用いたプライマー:
【0348】
【表35】

CFP30B−F及びCFP30B−Rは、pMCT6でのクローニングに用いられるBglII及びPvuII部位をそれぞれ生じる。
【0349】
CFP7B、CFP10A、CFP11、CFP30Bの組換えタンパク質の発現/精製
組換えタンパク質の発現及び金属親和性精製は、本質的に製品に記載されているようにして行った。アンピシリン100μg/mlを含有するLB−培地11を、組換えpMTC6プラスミドを有するXL−1 Blue細胞の一晩培養液10mlに接種した。培養は、OD600が0.5の密度に達するまで37℃で振盪した。この後、最終濃度が1mMになるようにIPTGを加え、さらに4時間、培養した。細胞を回収して1x超音波処理緩衝液+8Mユレアに再懸濁し、パルス間で30秒停止して、5x30秒、超音波処理した。
【0350】
遠心分離後、再懸濁したタロン樹脂[Clontech,PaloAlto、合衆国]を25ml含むカラムに溶解物を用いた。製品に記載されているようにしてカラムを洗浄し、溶出した。
【0351】
溶出後、全画分(各1.5ml)を、マイティ・スモール[Hoefer Scientific Instruments、合衆国]システムを用いるSDS−PAGEで分析に付し、タンパク質濃度を280nmで予測した。組換えタンパク質を含有する画分をプールし、10mM Tris−HCl(pH8.5)中の3Mユレアに透析した。透析したタンパク質は、6mlのResource−Qカラムを用いてFPLC[Pharmacia、スウェーデン]でさらに精製し、0〜1MのNaClの線状勾配で溶出した。画分はSDS−PAGEで分析し、タンパク質濃度はOD280で予測した。タンパク質含有画分をプールし、25mM Hepes緩衝液(pH8.5)に透析した。
【0352】
最後に、タンパク質濃度及びLPS含量は、それぞれBCA[Pierce、オランダ]及びLAL[Endosafe,Charleston、合衆国]試験で測定した。
【0353】
実施例4:CFP26(MPT51)発現遺伝子のクローニングプローブの合成及びデザイン
オリゴヌクレオチドプライマーは、DNAシンセサイザー[Applied Biosystems,Forster City,Ca,ABI−391,PCRモード]で自動合成し、脱阻害し、エタノール沈殿で精製した。
【0354】
Oharaら(1995)により記載されているmpb51のヌクレオチド配列に基づいて、3つのオリゴヌクレオチドを合成した(表3)。オリゴヌクレオチドは、5’末端と3’末端にEcoRI制限酵素部位を含むように設計し、後者によってサブクローニングを可能にした。
【0355】
MPT51のヌクレオチド配列(図5及びSEQ ID NO:41)に基づいて、さらに4つのオリゴヌクレオチドを合成した。PCR研究にはプライマーの4つの組み合わせを用いた。
【0356】
DNAクローニングとPCR技術
DNAの調製と処理には、標準的な方法を用いた[Sambrookら、1989]。
遺伝子mpt51は、前述のとおりポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて結核菌H37Rvの染色体DNAからクローンした[OettingerとAndersen、1994]。PCR産物は、pBluescript SK+[Stratagene]にクローンした。
【0357】
mpt51のクローニング
遺伝子、つまりMPT51のシグナル配列とシャインダルガノ領域は、PCR技術を用いてpBluescript SK+に952bp及び815bpの2つのフラグメントとしてクローンし、pTO52及びpTO53とした。
【0358】
DNAシーケンシング
MPT51のシャインダルガノ配列、シグナルペプチド配列及び構造遺伝子を含む952bpの結核菌H37Rv PCRフラグメントがクローンされたヌクレオチド配列pTO52及びMPT51の構造遺伝子を含む815bpのPCRフラグメントがクローンされたヌクレオチド配列pTO53は、シーケナーゼDNAシーケンシングキットバージョン1.0[United States Biochemical Corp.,Cleveland,OH]を用いてスーパーコイルDNA用に合わせたジデオキシ鎖末端法、及び添付の指示書にしたがって自動ゲルリーダー[モデル373A、Applied Biosystems]と組み合わせたダイ・ターミネーターシステムを用いるサイクルシークエンスにより決定した。DNAの両鎖をシークエンスした。
【0359】
pTO52とpTO53のヌクレオチド配列及び推測されるアミノ酸配列は、図5に示す。DNA配列は、45〜47の位置のATGコドンで開始し、942〜944の位置の終止コドン(TAA)で終わるオープンリーディングフレームを含んだ。最初の33コドンのヌクレオチド配列は、シグナル配列をエンコードしているものと推測された。精製MPT51[Nagaiら、1991]の公知のN−末端アミノ酸配列(Ala−Pro−Tyr−Glu−Asn)及びシグナルペプチドの特徴に基づくと、シグナルペプチダーゼ認識配列(Ala−X−Ala)[von Heijne,1984]は、144位置の成熟タンパク質のN−末端領域の前に位置しているものと考えられる。したがって、結核菌H37Rv由来のMPT51をエンコードする構造遺伝子mpt51は、図5に示す配列の144〜945の位置に位置していることが分かった。mt51のヌクレオチド配列は、Oharaら(1995)により記載されているMPB51のヌクレオチド配列と比較してヌクレオチドが1つ異なった(図5)。mpt51の780の位置では、グアニンをアデニンに置換していることが分かった。推定されるアミノ酸配列によれば、この変化は最初の位置のコドンで生じ、アミノ酸をアラニンからスレオニンに変える。したがって、mpt51は801bpからなること、及び推定されるアミノ酸配列は、分子量が27,842の266残基を含むこと、MPT51はMPB51と99.8%の同一性を示すことが結論づけられる。
【0360】
mpt51のサブクローニング
MPT51をエンコードする遺伝子のコード領域のみが発現されるように、EcoRI部位をmpt51の最初のコドンの5’に隣り合うように設計し、3’末端の停止コドンの直後に挿入した。
【0361】
組換えプラスミドpTO53のDNAは、EcoRI部位で切断した。アガロースゲルから815bpのフラグメントを精製し、pMAL−cR1発現ベクター[New England Biolabs]のEcoRI部位にサブクローンし、pTO54とした。融合遺伝子を含有するベクターDNAは、DNA操作の標準的な方法で大腸菌XL−1 Blueの形質転換に用いた。
【0362】
融合遺伝子のエンドポイントは、DNAシーケンシングの項に記載したようにジデオキシ鎖末端法で決定した。DNAの両鎖をシークエンスした。
【0363】
rMPT51の調整及び精製
組換え抗原は、New England Biolabsの指示にしたがって調製した。要約すると、アンピシリン50μg/ml及びテトラサイクリン12.5μg/mlを含むルリアーベルタニ培地にpTO54プラスミドを有する大腸菌のシングルコロニーを接種し、2x10細胞/mlまで37℃で成長させた。次いで、最終濃度が0.3mMになるようにイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)を加え、さらに2時間成長させた。新しいカラム緩衝液(Tris−HCl 20mM(pH7.4)、NaCl 200mM、EDTA 1mM、ジチオスレイトール(DTT)1mM)にペレット化した細菌を−20℃で一晩置き、4℃で溶かした後、30分氷上でリゾチーム1mg/mlとインキュベーションし、超音波処理(20秒間隔、10秒間20回)した。4℃で30分、9,000xgで遠心分離後、マルトース結合タンパク質−MPT51融合タンパク質(MPB−rMPT51)を、アミロース樹脂カラムのアフィニティクロマトグラフィーで粗抽出物から精製した。MPB−rMPT51は、アミロースに結合する。カラムを何度も洗浄した後、融合タンパク質をマルトース10mMで溶出した。アリコートの画分を10% SDS−PAGEで分析した。重要な融合タンパク質を含む画分をプールし、生理食塩水に何度も透析した。
【0364】
タンパク質濃度は、Pierce[Pierce Chemical Company,Rockford,IL]のBCA法で測定した。
【0365】
【表36】

オリゴヌクレオチドMPT51−1及びMPT51−2、MPB51のヌクレオチド配列[Oharaら、1995]から構築した。他のオリゴヌクレオチドは、この研究で報告したmpt51から得られるヌクレオチド配列に基づいて構築した。下線のヌクレオチド(nt)は、MPB/T51のヌクレオチド配列には含まれない。
【0366】
示している位置は、プライマーの下線を付していない部分であって、SEQ ID NO:41に示すヌクレオチド配列に相当する。
【0367】
発現ベクターpMST24でのmpt51のクローニング
PCRフラグメントは、MPT51−FとMPT51−Rのプライマーの組み合わせを用いてpTO52から産生した(表4)。BamHI部位は、MPT51をエンコードする遺伝子のコード領域のみが発現されるようにmpt51の最初のコドンの5’に隣接して設計し、3’末端の停止コドンの直後にNcoI部位を導入した。
【0368】
PCR産物は、BamHI及びNcoI部位で切断した。811bpのフラグメントをアガロースゲルから精製し、pMST24発現ベクターのBamHI部位及びNcoI部位にサブクローンし、pTO86とした。DNA操作の標準的な方法で、融合遺伝子を含有するベクターDNAを大腸菌XL−1 Blueの形質転換に用いた。
【0369】
完全な融合遺伝子のヌクレオチド配列は、DNAシーケンシングの項に記載したようにジデオキシ鎖末端法で決定した。DNAの両鎖をシークエンスした。
【0370】
rMPT51の調整及び精製
組換え抗原は、アンピシリン50μg/ml及びテトラサイクリン12.5μg/mlを含むルリア−ベルタニ培地に接種したプラスミドpTO86を有する大腸菌のシングルコロニーから調製し、2x10細胞/mlまで37℃で成長させた。
【0371】
次いで、最終濃度が1mMになるようにイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)を加え、さらに2時間成長させた。BC 100/20緩衝液(KCl100mM、イミダゾール20mM、Tris/HCl 20mM(pH7.9)、グリセロール20%)にペレット化した細菌を再懸濁した。細胞は、超音波処理(20秒間隔、10秒間20回)で破壊した。4℃で30分、9,000xgで遠心分離後、不溶物を8Mユレアを有するBC 100/20緩衝液に再懸濁し、超音波処理し、上記のように遠心分離した。6xHis tag−MPT51融合タンパク質(His−rMPT51)は、Ni−NTA樹脂カラム[Qiagen、Hilden、ドイツ]でのアフィニティクロマトグラフィーで精製した。His−rMPT51は、Ni−NTAに結合する。カラムを何度も洗浄した後、8Mユレアを有するBC 100/40緩衝液(KCl 100mM、イミダゾール40mM、Tris/HCl 20mM(pH7.9)、グリセロール20%)及び8Mユレアを有するBC 1000/40緩衝液(KCl 1000mM、イミダゾール40mM、Tris/HCl 20mM(pH7.9)、グリセロール20%)で融合タンパク質を溶出した。His−rMPT51は、Tris/HCl 10mM(pH8.5)、3Mユレアに透析し、0〜1MのNaClの線状勾配でTris/HCl 10mM(pH8.5)、3Mユレアを用いるアニオン交換カラム(Mono Q)でタンパク質高速液体クロマトグラフィー(FPLC)[Pharmacia,Uppsala,スウェーデン]を用いて精製した。rMPT51含有画分をプールし、次いで使用前にHepes 25mM(pH8.0)に透析した。
【0372】
タンパク質濃度は、Pierce[Pierce Chemical Company,Rockford,IL]のBCA法で測定した。リポポリサッカライド(LPS)含量はリムルス変形細胞溶解試験(LAL)で決定した。rMPT51は0.004ng/μg未満であった。この濃度は、細胞活性に影響がなかった。
【0373】
【表37】

【0374】
実施例4A:ESAT6−MPT59及びMPT59−ESAT6ハイブリッドのクローニング
ESAT6−MPT59及びMPT9−ESAT6−A融合物のバックグランド
ESAT−6は免疫原性であるが、免疫化の際に一貫した結果を得るために補助するのは比較的難しいことが、幾つかの研究により立証されている。抗原での免疫化後にESAT−6の生体外認識を見出すことは、結核菌に対する免疫記憶を回復するあいだに見出される抗原の強力な認識と比較すると非常に困難である。切断型(truncated version)のST−CFに見られるESAT−6は、1〜15アミノ酸か欠失されている。欠損は、C57BL/6jマウスで認識される主要なT−細胞エピトープを含む[Brandtら、1996]。この結果、ESAT−6は、STCFでN−末端処理されているか、又はタンパク質加水分解で分解される。
【0375】
免疫原としてESAT−6を最適化するために、ESAT−6と別の主要なT細胞抗原MPT59の融合遺伝子が構築された。2つの異なる構築物、MPT59−ESAT−6(SEQ ID NO:172)及びESAT−6−MPT59(SEQ ID NO:173)がつくられた。最初のハイブリッドで、ESAT−6はMPT59によりN−末端が保護され、後者では、2つの優勢なT−細胞抗原の融合で相乗効果の生じることが推測される。
【0376】
ESAT6−MPT59及びMPT59−ESAT6ハイブリッドをエンコードする遺伝子は、ハイブリッドタンパク質を大腸菌で組換え発現するように、特異的な遺伝子プライマーでのPCR増幅により発現ベクターpMCT6にクローンした。
【0377】
MPT59−ESAT6ハイブリッドの構築
クローニングは、3工程で行った。最初に、ハイブリッドの2成分をエンコードする遺伝子、ESAT6及びMPT59を以下のプライマー構築物を用いてPCR増幅した。
ESAT6
【0378】
【表38】

OPBR−4及びOPBR−28は、それぞれHindIII及びBamHI部位を生じる。
【0379】
MPT59
【0380】
【表39】

OPBR−48及びOPBR−3は、それぞれBglII及びHindIIIを生じる。さらに、OPBR−3は、MPT59の停止コドンを欠失している。
【0381】
PCR反応物は、10μlの反応容量に4つの各ヌクレオチド250mM[Boehringer Mannheim]、BSA 0.5mg/ml[IgG technlogy]、1% DMSO[Merck]、各プライマー5pmol及びTaq+DNAポリメラーゼ0.5ユニット[Stratagene]を加えた1x低塩Taq+緩衝液[Stratagene]に結核菌の染色体DNA 10ngを含むものであった。反応物は、最初に25秒間94℃に加熱し、サーモサイクラー装置[Idaho Technology]を用いて10秒間94℃、10秒間55℃及び90秒間72℃のプログラムを30サイクル行った。
【0382】
次いで、DNAフラグメントを1%アガロースゲルに付し、バンドを切りだして、スピン−X スピンカラム[Costar]で精製した。2つのPCRフラグメントをHindIIIで消化し、結合した。MPT59−ESAT6をエンコードする結合したPCRフラグメントのPCR増幅は、プライマーOPBR−48及びOPBR−28を用いて行った。PCR反応は最初に25秒間94℃に加熱し、30秒間94℃、30秒間55℃及び90秒間72℃のプログラムを30サイクル行った。得られたPCRフラグメントをBglIIとBamHIで消化し、発現ベクターpMCT6にクローン(発現されるハイブリッドタンパク質のN−末端に加えられる8個のヒスチジンとフレームを合わせた)した。得られたクローンは、この後シーケナーゼDNAシーケンシングキットバージョン1.0[United States Biochemical Corp.、合衆国]を用いるスーパーコイルDNA用に合わせたジデオキシ鎖末端法、及び添付の指示書にしたがって自動ゲルリーダー[モデル373A、Applied Biosystems]と組み合わせたダイ・ターミネーターシステムを用いるサイクルシークエンスによりシークエンスした。DNAの両鎖をシークエンスした。
【0383】
ESAT6−MPT59ハイブリッドの構築
ESAT6−MPT59ハイブリッドの構築は、ハイブリッドMPT59−ESAT6に記載しているようにして行った。構築及びクローニングに用いたプライマーは、以下のとおりであった:
ESAT6
【0384】
【表40】

OPBR−75及びOPBR−76は、それぞれBglII及びHindIH部位を生じる。
【0385】
さらに、OPBR−76は、ESAT6の停止コドンを欠失している。
【0386】
MPT59
【0387】
【表41】

OPBR−77及びOPBR−18は、それぞれHindIII及びBamHI部位を生じる。
【0388】
MPT59−ESAT6及びESAT6−MPT59ハイブリッドタンパク質の発現/精製
組換えタンパク質の発現及び金属親和性精製は、本質的に製品に記載されているようにして行った。各タンパク質について、アンピシリン100μg/mlを含有するLB−培地11を、組換えpMTC6プラスミドを有するXL−1Blue細胞の一晩培養液10mlに接種した。培養は、OD600が0.4〜0.6の密度に達するまで37℃で振盪した。
【0389】
この後、最終濃度が1mMになるようにIPTGを加え、さらに4〜16時間、培養した。
【0390】
細胞を回収して1x超音波処理緩衝液+8Mユレアに再懸濁し、パルスの間に30秒停止して、5x30秒、超音波処理した。
【0391】
遠心分離後、再懸濁したタロン樹脂[Clontech,PaloAlto、合衆国]を25ml含むカラムに溶解物を用いた。製品に記載されているようにカラムを洗浄し、溶出した。
【0392】
溶出後、全画分(各1.5ml)を、マイティ・スモール[Hoefer Scientific Instruments、合衆国]システムを用いるSDS−PAGEで分析に付し、タンパク質濃度を280nmで予測した。組換えタンパク質を含有する画分をプールし、10mM Tris−HCl(pH8.5)中の3Mユレアに透析した。透析したタンパク質は、6mlのResource−Qカラムを用いてFPLC[Pharmacia、スウェーデン]でさらに精製し、0〜1MのNaClの線状勾配で溶出した。画分はSDS−PAGEで分析し、タンパク質濃度はOD280で予測した。タンパク質含有両分をプールし、25mM Hepes緩衝液(pH8.5)に透析した。
【0393】
最後に、タンパク質濃度及びLPS含量を、それぞれBCA[Pierce、オランダ]及びLAL[Endosafe,Charleston、合衆国]試験で測定した。
【0394】
MPT59−ESAT6融合タンパク質の生物活性は、実施例6Aに記載する。
【0395】
実施例5:2DEシステムでの精製抗原のマッピング
精製抗原を特徴づけるために、二次元電気泳動(2DE)参照システムで、それらをマッピングした。これは、等電点フォーカス、次いでポリアクリルアミドゲル電気泳動での大きさにしたがった分別で分離されるST−CFタンパク質を含む銀染色ゲルからなる。2DEは、Hochstrasserら(1989)にしたがって行った。ST−CF85μgは、両性電解質のバイオリット4−6(2部)とバイオリット5−7(3部)[BioRad]を含む等電点フォーカスチューブにアプライした。一次元は、ユレア、界面活性剤CHAPS及び還元剤DTTの存在下、18時間400V及び2時間800Vでアクリルアミド/ピペラジンジアクリルアミドチューブゲルで行った。10〜20%のSDS−PAGEの二次元は18時間100Vで行い、銀染色した。2DE参照ゲルでのCFP7、CFP7A、CFP7B、CFP8A、CFP8B、CFP9、CFP11、CFP16、CFP17、CFP19、CFP20、CFP21、CFP22、CFP25、CFP27、CFP28、CFP29、CFP30A、CFP50及びMPT51の同定は、精製抗原を用いるか、用いないで、ST−CFとの精製抗原のスポットパターンを比較して行った。分析用2DEソフトウエアシステム[Phoretix International,英国]を用いて、スポットを図6で同定した。MPT51とCFP29の位置は、Mabの抗CFP29及びHBT4を用いる2DEゲルのウェスタンブロットで確認した。
【0396】
実施例6:精製抗原の生物活性TB感染マウスモデルでのIFN−γの誘導
TBに対する免疫記憶マウスモデル(実施例1に記載)での精製抗原の認識を研究した。表5に示す結果は、3つの実験について代表的な結果である。
【0397】
非常に高度なIFN−γの応答は、ST−CFとほぼ同じレベルの高さでCFP17とCFP21の2つの抗原により誘導された。
【0398】
【表42】

ST−CFは5μg/mlの濃度で試験し、個々の抗原は2μg/mlの濃度で試験した。
再試験から4日後に、3匹のマウス由来の細胞のプールを試験した。
結果は、デュプリケート値の平均として示す。デュプリケート培養の差は、平均の15%未満である。抗原なしで培養した培養液のIFN−γ放出は、390pg/mlであった。
CFP22及びCFP25のプールを試験した。
ND、測定不能
【0399】
TB感染したモルモットでの皮膚反応試験
精製タンパク質の皮膚活性試験は、結核菌に感染したモルモットで試験した。
【0400】
PBS 0.2ml中に1x10CFUの結核菌H37Rvで耳の静脈を通して一群のモルモットを感染させた。4週間後に皮膚試験を行い、注射から24時間後に紅斑の直径を測定した。
【0401】
表6及び6aから分かるように、全抗原が、顕著な遅延型過度感作(DTH)反応を誘導した。
【0402】
【表43】

示した値は、4匹の動物の紅斑直径の平均である。SEMは括弧に示す。PPDとCFP29については、値は、10匹の動物の紅斑直径の平均である。
【0403】
抗原は、CFP29を0.8μgの濃度で試験した以外は、0.1μgの濃度で試験した。
【0404】
皮膚反応は、皮内注射から24時間後の紅斑をmmで測定する。
【0405】
PPD10TUを用いた。
【0406】
CFP22とCFP25のプールを試験した。
【0407】
ND、測定不能
【0408】
これらの分析とともに、同定された抗原の多くは生物活性が高く、異なる動物モデルでのTB感染のあいだに認識されることが示された。
【0409】
【表44】

対照、PPDとCFP29については、値は、8匹の動物の紅斑直径の平均である。
抗原は、1.0μgの濃度で試験した。
皮膚反応試験は、皮内注射から24時間後の紅斑をmmで測定する。
PPD 10TUを用いた。
【0410】
精製組換え抗原の生物活性
TB感染したマウスモデルでのインターフェロン−γの誘導
一次感染:8〜12週齢のメスのマウスC57BL/6j(H−2)、CBA/J(H−2)、DBA.2(H−2)及びA.SW(H−2)[Bomholtegaard,Ry]は、側方(lateral)の尾の静脈を介して、0.1ml容量のPBSに懸濁した結核菌5x10の接種物で静脈感染させた。感染から14日後に動物を屠殺し、脾臓細胞を単離し、組換え抗原の認識について試験した。
【0411】
表7から分かるように、組換え抗原rCFP7A、rCFP17、rCFP21、rCFP25及びrCFP29は、全てST−CFに匹敵するレベルでマウスの少なくとも2つの種で認識された。rMPT51とrCFP7は、ST−CFの刺激後に検出された応答のわずか1/3に相当するレベルで、それぞれ1又は2つの種で認識されるにすぎなかった。抗原rCFP20とrCFP22は、いずれも4つのマウスの種のいずれによっても認識されなかった。
【0412】
記憶応答:8〜12週齢のメスのマウスC57BL/6j(H−2)[Bomholtegaard,Ry]は、側方の尾の静脈を介して、0.1ml容量のPBSに懸濁した結核菌5x10の接種物で静脈感染させた。感染から1ヵ月後に、飲料水中のイソニアジド[Merck and Co.,Rahway,NJ]及びリファブチン(rifabutin)[Farmatalia Carlo Erba,ミラノ、イタリア]でマウスを2ヶ月間、処理した。実験に用いる前に、マウスを4〜6ヵ月間休養させた。免疫記憶の回復研究のために、1x10細菌の接種物で動物を静脈感染させ、感染から4日後に屠殺した。脾臓細胞を単離し、組換え抗原の認識について試験した。
【0413】
表8から明らかであるように、rCFP17、rCFP21及びrCFP25での刺激後のIFN−γの放出は、ST−CFで刺激した脾臓細胞で見られるのと同じレベルだった。rCFP7、rCFP7A及びrCFP29での刺激は、全てST−CFで見られた応答の1/3に満たないIFN−γを生じた。rCFP22は、IFN−γ産生細胞により認識されなかった。抗原のいずれも、天然のマウスでのIFN−γの放出を刺激しなかった。さらに、抗原のいずれも細胞培養液に毒性でなかった。
【0414】
【表45】

結核菌に対する免疫記憶の回復のあいだのマウスのIFN−γの放出
−:応答なし、+:ST−CFの1/3、++:ST−CFの2/3、+++:ST−CFレベル
【0415】
【表46】

結核菌の一次感染から14日後のマウスのIFN−γの放出
−:応答なし、+:ST−CFの1/3、++:ST−CFの2/3、+++:ST−CFレベル
【0416】
ヒトTB患者及びBCG予防接種を受けたヒトでのインターフェロン−γの誘導ヒトドナー:PBMCは、TB患者への暴露が知られていない健康なBCG予防接種を受けたドナーから、及び結核菌感染が培養又は顕微鏡で分かった患者から得た。血液サンプルは、診断から1〜4ヶ月後にTB患者から得た。
【0417】
リンパ球調製及び細胞培養:PBMCは、リンホプレップ(Lymphoprep)[Nycomed、オスロ、ノルウェー]でヘパリン化した血液を勾配遠心分離により用時に単離した。細胞は、完全培地:ストレプトマイシン40μg/ml、ペニシリン40U/ml及びグルタミン0.04mM/ml[全てGibco Laboratories,Paisley,スコットランド]及び10%の通常のヒトABO血清(NHS)[local blood bank]を補足したRPMI 1640[Gibco,Grand Island,N.Y.]で再懸濁した。細胞数と生存度は、トリパンブルー染色で測定した。培養は、マイクロタイタープレート[Nunc,Roskilde,デンマーク]で200μl中の2.5x10PBMCを用いて行い、最終濃度5μg/mlで、抗原なし、ST−CF、PPD(2.5μg/ml);rCFP7、rCFP7A、rCFP17、rCFP20、rCFP21、rCFP22、rCFP25、rCFP26、rCFP29で刺激した。フィトヘマグルチニン1μg/ml[PHA,Difco laboratories,Dertoit,MI.]は、ポジティブコントロールとして用いた。サイトカインの検出のために、培養から5日後に上清を回収してプールし、−80℃で使用するまで保存した。
【0418】
サイトカイン分析:インターフェロン−γ(IFN−γ)は、市場で入手可能なmAbのペア[Endogen]を用いる標準的なELISA技法で測定し、使用の指示に従って用いた。組換えIFN−γ[Gibco Laboratories]は、標準として用いた。アッセイについての検出レベルは、50pg/mlだった。デュプリケートのウェル間の変化は、平均の10%を超えなかった。9人の個々のドナーの応答を表9に示す。
【0419】
表9から明らかであるように、IFN−γの高レベルな放出は、幾つかの組換え抗原で刺激した後に得られる。rCFP7a及びrCFP17は、ほぼ全てのドナーでST−CFに匹敵する応答を生じる。rCFP7は、BCG予防接種した健康なドナーにより、おっとも強力に認識されるようである。rCFP21、rCFP25、rCFP26及びrCFP29は、各群での中間的な応答と合わさった現象を生じるが、rCFP20及びrCFP22により生じる応答は低い。
【0420】
表9.7人のBCG予防接種者及び組換え抗原を有する7人のTB患者由来のヒト血液細胞の刺激から得られる結果の平均値。SE値は、各抗原について示す。
【0421】
ST−CF及びマイコバクテリウム・アビウム培養ろ液は、比較用に示す。
【0422】
【表47】

【0423】
実施例6A
4群の6〜8週齢のメスのC57Bl/6Jマウス[Bomholtegaard,デンマーク]を、以下のワクチン組成物で尾の基部に皮下で免疫化した。
【0424】
1群:ESAT−6/DDA(250μg)10μg
2群:MPT59/DDA(250μg)10μg
3群:MPT59−ESAT−6/DDA(250μg)10μg
4群:アジュバント対照群:NaCl中のDDA(250μg)
【0425】
動物は、0.2mlの容量で注射した。最初の注射から2週間後及び二回目の注射から3週間後に、マウスの背の上部をわずかにブースターに付した。
【0426】
最後の免疫化から1週間後にマウスを交配させ、血液細胞を単離した。関連する抗原で生体外で刺激した際の培養上清へのIFN−γの放出により、誘導される免疫応答をモニターした(下記の表参照)。
【0427】
【表48】

a) 血液細胞は、最後の免疫化から1週間後に単離し、抗原の刺激(5μg/ml)から72時間後にIFN−γの放出(pg/ml)を測定した。
【0428】
示した値は、3匹のマウスからプールした細胞について行ったトリプリケートの平均±SEMである。
【0429】
b) 測定せず
【0430】
実験は、ハイブリッドでの免疫化が、単一抗原での免疫化後より強力にESAT−6及びMPT59を認識するT細胞を刺激していることを立証している。特に、ESAT−6の認識は、MPT59−ESAT−6ハイブリッドでの免疫化で促進された。DDAで免疫化した対照のマウスでのIFN−γの放出は、1000pg/mlを超えなかった。
【0431】
実施例6B
組換え抗原は、マウスでのサブユニットワクチンとして個々に試験した。11群の6〜8週齢のメスのC57Bl/6Jマウス[Bomholtegaard,デンマーク]を、以下のワクチン組成物で尾の基部に皮下で免疫化した。
【0432】
1群:CFP7 10μg
2群:CFP17 10μg
3群:CFP21 10μg
4群:CFP22 10μg
5群:CFP25 10μg
6群:CFP29 10μg
7群:MPT51 10μg
8群:ST−CF 50μg
9群:アジュバント対照群
10群:BCG 2.5x10/ml,0.2ml
11群:対照群:未処理
【0433】
全てのサブユニットワクチンは、アジュバントとしてDDAとともに与えた。動物は、0.2mlの容量で予防接種した。最初の注射から2週間後、及び二回目の注射から3週間後に、1〜9群の背の上部をわずかにブースターに付した。最後の注射から1週間後にマウスを交配させ、血液細胞を単離した。相同なタンパク質で生体外で刺激された際の培養上清へのIFN−γの放出により、誘導される免疫応答をモニターした。
【0434】
最後の免疫化から6週間後に、生存能力のある結核菌5x10/mlを有するエアロゾルにマウスを付した。感染から6週間後にマウスを屠殺し、感染したマウスの肺及び脾臓で生存している細菌数を、7H11プレートで3連続希釈した器官のホモジネートをプレートして測定した。コロニーは、インキュベーションから2〜3週間後に計測した。防護効率は、関連する5群のマウスから得られる数の幾何学上(geometric)の平均と、関連する対照の群の5匹のマウスから得られる数の幾何学上の平均のlog10値の違いとして示す。
【0435】
実験の結果は、以下の表に示す。
【0436】
【表49】

+++ 強力な免疫原性/高防護(BCGレベル)
++ 中間的な免疫原性/中間的な防護− 認識せず/防護せず
【0437】
この結果、高レベルの防護を誘導する幾つかのタンパク質が同定された。これらのうちCFP17、CFP25及びCFP29の3つは、ST−CF及びBCGと同様の防護レベルを生じるが、2つのタンパク質CFP21とMPT51は、BCGとST−CFレベルの約2/3の防護を誘導する。CFP7及びCFP22の2つのタンパク質は、マウスモデルで防護を誘導しなかった。
【0438】
実施例7:cfp7、cfp9、mpt51、rd1−orf2、rd1−orf3、rd1−orf4、rd1−orf5、rd1−orf8、rd1−orf9a及びrd1−orf9bならびにcfp7a、cfp7b、cfp10a、cfp17、cfp20、cfp21、cfp22、cfp22a、cfp23、cfp25及びcfp25aの種の分布異なるマイコバクテリア種でのcfp7、cfp9、mpt51、rd1−orf2、rd1−orf3、rd1−orf4、rd1−orf5、rd1−orf8、rd1−orf9a及びrdl1−or9bの存在
結核菌−複合体に属する種及び他のマイコバクテリアでのcfp7、cfp9、mpt51、rd1−orf2、rd1−orf3、rd1−orf4、rd1−orf5、rd1−orf8、rd1−orf9a及びrd1−orf9b遺伝子の分布を決定するために、PCR及び/又はサザンブロッティングを用いた。用いた細菌株は、表10に挙げている。ゲノムDNAは、前述のようにマイコバクテリア細胞から調製した[Andersenら、1992]。
【0439】
PCR分析は、結核菌−複合体に属する種及び他のマイコバクテリアでのcfp7、cfp9及びmpt51遺伝子の分布を決定するために用いた。用いた細菌株は、表10に挙げている。PCRは、前述のようにマイコバクテリア細胞から調製したゲノムDNAについて行った[Andersenら、1992]。
【0440】
用いたオリゴヌクレオチドプライマーは、DNAシンセサイザーで自動合成し[Applied Biosystems,Forster City,CA,ABI−391,PCRモード]、脱阻害し、エタノール沈殿で精製した。分析に用いたプライマーは、表11に示す。
【0441】
PCR増幅は、染色体20ngを、マスターミックス(各オリゴヌクレオチドプライマー0.5μM、BSA[Stratagene]0.25μM、低塩緩衝液(20mM Tris−HCl(pH 8.8)、KCl 10mM、(NHSO10mM、MgSO2mM及びTriton X−1000.1%)[Stratagene]、各デオキシヌクレオシド三リン酸0.25mM及びTaq Plus Long DNAポリメラーゼ[Stratagene]0.5U))と混合して、サーマル反応機[Rapid Cycler,Idaho Technology,Idaho]で行った。最終容量は、10μlとした(示した濃度は、全て最終容量での濃度である)。予備変性は、30秒間94℃で行った。変性30秒間94℃、アニーリング30秒間55℃及び伸長1分間72℃で、30サイクル行った。
【0442】
以下のプライマーの組み合わせも用いた(増幅した産物の長さを括弧で示す)。
mpt51:MpT51−3及びMPT51−2(820bp)、MPT51−3及びMPT51−6(108bp)、MPT51−5及びMPT51−4(415bp)、MPT51−7及びMPT51−4(325bp)cfp7:pVF1及びPVR1(274bp)、pVF1及びPVR2(197bp)、pVF3及びPVR1(302bp)、pVF3及びPVR2(125bp)
cfp9:stR3及びstF1(351bp)
【0443】
【表50】

American Type Culture Collection、合衆国
Statens Serum Institut、コペンハーゲン、デンマーク
Statens Serum Institut(コペンハーゲン、デンマーク)微生物部の我々のコレクション
Statens Serum Institut(デンマーク)臨床微生物部
Statens Serum Institut(コペンハーゲン、デンマーク)生物基準のためのWHO国際研究所
【0444】
【表51】

下線を付したヌクレオチドは、mpt51、cfp7及びcfp9のヌクレオチド配列に含まれない。
示している位置は、プライマーの下線を付していない部分であって、mpt51、cfp7及びcfp9のそれぞれについてSEQ ID NO:41、1及び3に示すヌクレオチド配列に相当する。
【0445】
サザンブロッティングは、以下の点を変えるほかは、前述[Oettinger及びAnderse,1994]のようにして行った:ゲノムDNA 2μgはPvuIIで消化し、0.8%アガロースゲルで電気泳動し、真空転移装置[Milliblot,TM−v;Millipore Corp.,Bedford,MA]を用いてナイロンメンブレン(Hybond N−プラス;Amersham International plc,Little Chalfont,英国)に移した。cfp7、cfp9、mpt51、rd1−orf2、rd1−orf3、rd1−orf4、rd1−orf5、rd1−orf8、rd1−orf9a及びrd1−orf9b遺伝子フラグメントは、プラスミドpRVN01、pRVN02、pTO52、pTO87、pTO88、pTO89、pTO90、pTO91、pTO96又はpTO98に表11及び表2(実施例2a)に示すプライマーを用いるPCRにより増幅した。プローブは、改良されたケミルミネッセンスキット[ECL;Amersham International plc,Little Chalfont,英国]で放射活性なしで標識した。ハイブリダイゼーション及び検出は、製品に添付されている指示書にしたがって行った。結果を表12及び13に要約する。
【0446】
【表52】

+;陽性反応、−;反応なし、N.D.;測定せず
【0447】
cfp7、cfp9及びmpt51は、BCG及びその環境マイコバクテリア;マイコバクテリウム・アビウム、マイコバクテリウム・カンサシイ(M.kansasii)、マイコバクテリウム・マリナム(M.marinum)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(M.intracellular)及びマイコバクテリウム・フラベッセンス(M.flavescens)を含む結核菌複合体に見出された。cfp9は、さらにマイコバクテリウム・シュルガイ(M.szulgai)に見られ、mpt51は、マイコバクテリウム・ゼノピ(M.xenopi)に見出された。
【0448】
さらに、異なるマイコバクテリア株由来の培養ろ液中の天然のMPT51の存在は、Mab HBT4を用いて展開したウェスタンブロッティングで研究した。
【0449】
結核菌H37Rv、Ra、Erdman、マイコバクテリウム・ボビスAN5、マイコバクテリウム・ボビスBCG亜株ダニシュ1331及びマイコバクテリウム・アフリカヌムには、約26kDaに強力なバンドがある。いずれの他の試験されたマイコバクテリア株にも、バンドは見られなかった。
【0450】
【表53】

+;陽性反応、−;反応なし、N.D.;測定せず
【0451】
rd1−orf2、rd1−orn、rd1−orf4、rd1−orf5、rd1−orf8、rd1−orf9a及びrd1−orf9bについての陽性の結果は、結核菌及びマイコバクテリウム・ボビス由来のケノムDNAを用いた際にのみ得られ、rd1−orf4がマイコバクテリウム・マリナムにも見出された以外はマイコバクテリウム・ボビス又は分析された他のマイコバクテリアからも得られなかった。
【0452】
異なるマイコバクテリア種でのcfp7a、cfp7b、cfp10a、cfp17c、cfp20、cfp21、cfp22、cfp22a、cfp23、cfp25及びcfp25aの存在
サザンブロッティングは、rd1−orf2、rd1−orn、rd1−orf4、rd1−orn、rd1−orf8、rd1−orf9a及びrd1−orf9bについて記載しているようにして行った。cfp7a、cfp7b、cfp10a、cfp17、cfp20、cfp21、cfp22、cfp22a、cfp23、cfp25及びcfp25aの遺伝子フラグメントは、個々の遺伝子をエンコードする組換えpMCT6プラスミドからPCRにより増幅した。用いたプライマー(クローニングに用いたプライマーと同じ)は、実施例3、3A及び3Bに記載する。結果を表13bに要約する。
【0453】
【表54】

+;陽性反応、−;反応なし、N.D.;測定せず
【0454】
【表55】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:88及びSEQ ID NO:92からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
b) SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:88及びSEQ ID NO:92からなる群から選択されるアミノ酸配列のうちの少なくとも6アミノ酸残基の長さの部分配列を含み、当該部分配列は結核菌群に属するマイコバクテリアの感染に対する免疫防護応答を引き起こす能力、又は結核菌群に属するマイコバクテリア由来抗原での過去あるいは現在の感作を示す診断上、顕著な免疫応答を引き出す能力について、SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:88及びSEQ ID NO:92からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチドと免疫学的に等価であるポリペプチド、又は
c)
【化1】

[式中、Ndifは整列している際の2つの配列中で同一でない残基の全数であり、Nrefは1つの配列における残基数である]により算出して、SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:88及びSEQ ID NO:92からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一の配列を有し、結核菌群に属するマイコバクテリアの感染に対する免疫防護応答を引き起こす能力、又は結核菌群に属するマイコバクテリア由来抗原での過去あるいは現在の感作を示す、診断上、顕著な免疫応答を引き出す能力を有するポリペプチドであって、少なくとも96%純粋な調製物であるポリペプチド。
【請求項2】
本質的に、純粋である請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
ヘルパーT細胞のエピトープを含む請求項1又は2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも24及び少なくとも30アミノ酸残基のような少なくとも7アミノ酸残基からなる請求項1〜3に記載のポリペプチド。
【請求項5】
いずれのシグナル配列もない請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項6】
1)一次感染から2週間以内か、又はマウスを結核菌群に属するマイコバクテリアに再度感染させてから4日以内のマウスから回収した感作記憶T−リンパ球からのIFN−γの放出を誘導し、
その誘導が、約200,000個の脾臓細胞/mlを含む懸濁液にポリペプチドを添加して行われ、ポリペプチドの添加により濃度が1〜4μgポリペプチド/ml懸濁液となり、IFN−γの放出が、懸濁液にポリペプチドを添加して2日後に回収した上清中のIFN−γの測定により評価できる、及び/又は
2)感染第1相のTB患者又はBCG予防接種した健康なドナー又はTB患者に接触している健常者から単離した約1,000,000個のヒトPBMC(末梢血液単核細胞)/mlから、少なくとも300pg以上のレベルでIFN−ガンマの放出を誘導し、その誘導が、約1,000,000個のPBMC/mlを含む懸濁液にポリペプチドを添加して行われ、ポリペプチドの添加により濃度が1〜4μgポリペプチド/ml懸濁液となり、IFN−γの放出が、懸濁液にポリペプチドを添加して2日後に回収した上清中のIFN−γの測定により評価できる、及び/又は
3)結核菌群に属するマイコバクテリアで予め感作した動物由来のウシPBMCからIFN−γの放出を誘導し、その放出が、結核菌群に属するマイコバクテリアで予め感作していない動物由来のウシPBMCから観察される放出の少なくとも2倍である請求項1〜5のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【請求項7】
請求項1c)における配列同一性が少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%及び少なくとも99.5%のような、少なくとも80%の配列同一性を有する請求項1〜6に記載のポリペプチド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の少なくとも1つのポリペプチドと少なくとも1つの融合パートナーを含む融合ポリペプチド。
【請求項9】
融合パートナーが請求項1〜8のいずれかのポリペプチド及び、ESAT−6又は少なくとも1つのそのT−細胞エピトープ、MPB64又は少なくとも1つのそのT−細胞エピトープ、MPT64又は少なくとも1つのそのT−細胞エピトープ、及びMPB59又は少なくとも1つのそのT−細胞エピトープのような結核菌群に属する細菌由来の他のポリペプチドからなる群から選択される、請求項8に記載の融合ポリペプチド。
【請求項10】
ポリペプチドの自己アジュバント作用を可能にするように脂質化される請求項1〜9のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項11】
結核菌、マイコバクテリア・アフリカヌム又はマイコバクテリア・ボビスにより引き起こされる結核に対するヒトを含む動物を免疫するための、又は結核菌、マイコバクテリア・アフリカヌム又はマイコバクテリア・ボビスにより引き起こされる結核に対する予防接種のための医薬として使用するための請求項1〜10のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項12】
結核菌、マイコバクテリア・アフリカヌム又はマイコバクテリア・ボビスにより引き起こされる結核の診断用の医薬組成物の製造における請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項13】
結核菌、マイコバクテリア・アフリカヌム又はマイコバクテリア・ボビスにより引き起こされる結核に対する予防接種用の医薬組成物の製造における請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項14】
1)請求項1〜10のいずれか1つに定義するポリペプチドをコードする核酸配列からなるか、又はその相補的な核酸配列からなり、
2)少なくとも10ヌクレオチドからなり、かつSEQ ID NO:71、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:87及びSEQ ID NO:91からなる群から選択されるヌクレオチド配列又はその相補的な配列からなる核酸とストリンジェントな条件下で容易にハイブリダイズする、
単離形態の核酸。
【請求項15】
DNAである請求項14に記載の核酸。
【請求項16】
SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:87及びSEQ ID NO:91からなる群から選択される配列からなる請求項14又は15に記載の核酸。
【請求項17】
結核菌、マイコバクテリア・アフリカヌム又はマイコバクテリア・ボビスにより引き起こされる結核に対する診断又は予防接種用の医薬として使用するための請求項14〜16のいずれかに記載の核酸。
【請求項18】
結核菌、マイコバクテリア・アフリカヌム又はマイコバクテリア・ボビスにより引き起こされる結核に対する予防接種用の医薬組成物の製造における請求項14〜16のいずれかに記載の核酸の使用。
【請求項19】
結核菌、マイコバクテリア・アフリカヌム又はマイコバクテリア・ボビスにより引き起こされる結核の診断用の医薬組成物の製造における請求項14〜16のいずれかに記載の核酸の使用。
【請求項20】
ワクチンが、ワクチンを投与したヒトを含む動物により抗原を生体内で発現させ、抗原の発現量は、ヒトを含む動物での結核菌群のマイコバクテリア感染に耐性を実質的に増す効果を有する請求項14〜16のいずれかに記載の核酸を含むワクチン。
【請求項21】
請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドを含む免疫組成物。
【請求項22】
さらに免疫的かつ医薬的に受容な担体、賦形剤又はアジュバントを含む請求項21に記載の免疫組成物。
【請求項23】
担体が、プラスチック(例えばポリスチレン)のような、ポリペプチドが疎水性の非共有相互作用で結合するポリマー、多糖及びポリペプチド(例えばウシ血清アルブミン、オボアルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニン)のようなポリペプチドが共有結合するポリマーからなる群から選択され;賦形剤が、希釈剤及び懸濁剤からなる群から選択され;アジュバントが、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA) 、キュイル A、ポリ I:C、フロイント不完全アジュバント、IFN−γ、IL−2、 IL−12、モノホスホリル脂質 A(MPL) 及びムラミルジペプチド(MDP) からなる群から選択される請求項22に記載の免疫組成物。
【請求項24】
少なくとも2つの異なるポリペプチドを含む免疫組成物であって、それぞれの異なるポリペプチドが請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドである請求項21〜23のいずれかに記載の免疫組成物。
【請求項25】
3〜20の異なるポリペプチドを含み、それぞれの異なるポリペプチドが請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドである請求項24に記載の免疫組成物。
【請求項26】
ワクチンの形態である請求項21〜25のいずれか1つに記載の免疫組成物。
【請求項27】
皮膚試験試薬の形態である請求項21〜25のいずれか1つに記載の免疫組成物。
【請求項28】
有効成分として非病原性微生物を含む結核菌群に属するマイコバクテリアで引き起こされる結核に対してヒトを含む動物を免疫化するためのワクチンであって、請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA配列からなるDNAの少なくとも1つのコピーが、微生物にポリペプチドを発現させ、任意に分泌させる様式で微生物ゲノムに挿入されているワクチン。
【請求項29】
微生物が、細菌である請求項28に記載のワクチン。
【請求項30】
細菌が、マイコバクテリア、サルモネラ、シュードモナス及びエシェリキア属からなる群から選択される請求項29に記載のワクチン。
【請求項31】
細菌が、マイコバクテリア・ボビス BCG株のダニシュ1331のようなマイコバクテリア・ボビス BCGである請求項28に記載のワクチン。
【請求項32】
請求項1〜9のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNAの少なくとも2つのコピーが微生物ゲノムに導入されている、請求項28〜31のいずれかに記載のワクチン。
【請求項33】
コピー数が、少なくとも5である請求項32に記載のワクチン。
【請求項34】
請求項14〜17のいずれかに記載の核酸を含む複製可能な発現ベクター。
【請求項35】
ウィルス、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド及びマイクロクロモソームからなる群から選択される請求項34に記載のベクター。
【請求項36】
請求項34又は35に記載の少なくとも1つのベクターを有する形質転換細胞。
【請求項37】
結核ボビスBCG細胞のような結核菌群に属する細菌である請求項36に記載の形質転換細胞。
【請求項38】
請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドを発現する請求項36又は37に記載の形質転換細胞。
【請求項39】
請求項14〜17のいずれかに記載の核酸を、宿主細胞で複製可能なベクターに挿入し、得られた組換えベクターを宿主細胞へ導入し、ポリペプチドを発現させるのに十分な条件下、培養培地で宿主細胞を培養し、宿主細胞又は培養培地からポリペプチドを回収すること;
短期培養ろ液からポリペプチドを単離すること;
結核菌群の全マイコバクテリア又は、その溶解物又は細胞壁含有画分のような画分からポリペプチドを単離すること;又は
固相又は液相ペプチド合成でポリペプチドを合成すること、
を含む請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの産生方法。
【請求項40】
請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドを製造、合成又は単離し、かつ
ワクチン用の培地にポリペプチドを可溶化又は分散させ、かつ
任意に他の結核菌抗原及び/又は担体、賦形剤及び/又はアジュバント物質を加えるか、又は
請求項36〜38のいずれかに記載の細胞を培養し、かつ
ワクチン用の培地に細胞を移し、かつ
任意に担体、賦形剤及び/又はアジュバント物質を加える
ことからなる請求項21〜27のいずれかに記載の免疫組成物の産生方法。
【請求項41】
動物又はヒト由来の血液サンプルを請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドと接触させることを含み、血液サンプル中の単核細胞による細胞外相への少なくとも1つのサイトカインの顕著な放出は、動物が感作されていることを示す、動物又はヒトにおける結核菌群に属する細菌との現在又は過去の感作を検出するためのインビトロでの方法。
【請求項42】
請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチド又は請求項14〜16に記載の核酸を、任意に検出用手段と組み合わせてなる、ヒトを含む動物での結核の診断用組成物。
【請求項43】
イムノアッセイで請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドと特異的に反応するモノクローナル又はポリクローナル抗体。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−154856(P2010−154856A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2535(P2010−2535)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【分割の表示】特願2008−131389(P2008−131389)の分割
【原出願日】平成10年4月1日(1998.4.1)
【出願人】(507006422)
【Fターム(参考)】