説明

給水装置

【課題】弾性リングを使用したタイプの定流量弁を使用しながら、異音を発生しにくい給水装置を提供する。
【解決手段】本発明は、定流量弁を備えた給水装置(1)であって、給水装置本体(18)と、給水通路の途中に配置された定流量弁(36)と、を有し、この定流量弁は、下流端に定流量弁流出口が形成された固定部材(38)と、この固定部材に対して所定の軸線方向に摺動可能に支持された可動部材(40)と、固定部材と可動部材の間に配置され、可動部材が水圧により押圧されると弾性変形されて流路を狭める弾性リング(42)と、を備え、さらに、定流量弁流出口に対向して配置され、定流量弁流出口に対向する対向面が、中央部において定流量弁流出口に近接し、周辺部において定流量弁流出口から離間し、軸線方向の投影面が定流量弁流出口を取り囲むように形成された圧力変動抑制部(44a)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に関し、特に、定流量弁を備えた給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3392241号公報(特許文献1)には、水ガバナーが記載されている。この水ガバナーは、定流量弁として機能するものであり、ケーシングと、このケーシングの内側に嵌められた弾性リングと、この弾性リングの内側に嵌められたセンタコアから構成されている。水ガバナーは、通水路を流れる水の水圧によりセンタコアが押圧されると、弾性リングが内方に弾性変形され、水ガバナー内の流路断面積が変化される。即ち、水ガバナーの上流側の水圧が高い場合には、弾性リングは大きく弾性変形され、流路断面積は大きく縮小される。一方、水圧が低い場合には、弾性リングの弾性変形量は比較的小さく、流路断面積はあまり縮小されない。これにより、水ガバナーを通過する流量は、ほぼ一定に維持される。この弾性リングを使用したタイプの定流量弁は、簡便な構造で流量を調整することができるので、種々の給水装置に組み込まれて使用されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3392241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許第3392241号公報に記載されている弾性リングを使用したタイプの定流量弁では、定流量弁を配置する管路の形状や、定流量弁前後の圧力差等の条件によっては、通水時に異音が発生するという問題がある。特に、このタイプの定流量弁は、通水路が大きく絞られるため、通水路の急激な変化による乱流の発生、弾性リングの振動による流路断面積の変化等により、笛吹音のような異音を発生することが多い。また、通水路が大きく絞られることにより流速が上昇し、局部的に負圧が発生することによるキャビテーションも異音の発生原因の一つであると考えられている。また、異音の発生は、弾性リングが弾性変形しやすくなる、高温の通水時に特に顕著になる傾向がある。
【0005】
従って、本発明は、弾性リングを使用したタイプの定流量弁を使用しながら、異音を発生しにくい給水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、定流量弁を備えた給水装置であって、内部に給水通路が形成された給水装置本体と、給水通路の途中に配置された定流量弁と、を有し、この定流量弁は、給水通路の内壁面に保持され、下流端に定流量弁流出口が形成された固定部材と、この固定部材に対して所定の軸線方向に摺動可能に支持された可動部材と、固定部材と可動部材の間に配置され、可動部材が水圧により押圧されると弾性変形されて流路を狭める弾性リングと、を備え、さらに、定流量弁流出口に対向して配置され、定流量弁流出口に対向する対向面が、中央部において定流量弁流出口に近接し、周辺部において定流量弁流出口から離間し、軸線方向の投影面が定流量弁流出口を取り囲むように形成された圧力変動抑制部と、を有することを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、給水装置本体の内部に形成された給水通路に定流量弁が配置されており、この定流量弁の定流量弁流出口に対向して圧力変動抑制部が配置されている。圧力変動抑制部の定流量弁流出口に対向する対向面は、中央部において定流量弁流出口に近接し、周辺部において定流量弁流出口から離間し、軸線方向の投影面が定流量弁流出口を取り囲むように形成されている。
【0008】
このように構成された本発明によれば、定流量弁の定流量弁流出口に対向して圧力変動抑制部が配置されているので、弾性リングを使用したタイプの定流量弁を使用しながら、異音の発生を抑制することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、圧力変動抑制部は、対向面が、定流量弁流出口に向かって凸状の曲面に形成されている。
このように構成された本発明によれば、圧力変動抑制部の対向面が、定流量弁流出口に向かって凸状の曲面に形成されているので、定流量弁を通過した湯水の流れを整流することができ、異音の発生をさらに抑制することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、圧力変動抑制部は、その背面から延びる支持軸部を備え、この支持軸部は、圧力変動抑制部よりも細く形成されると共に、圧力変動抑制部を給水通路内の適所に保持する。
【0011】
このように構成された本発明によれば、圧力変動抑制部が背面から延びる支持軸部によって保持されるので、定流量弁から流出した湯水を、圧力変動抑制部と給水通路内壁面の間の連続した環状の流路に流すことができ、乱流の発生を抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、給水通路は、定流量弁の下流側において屈曲されており、圧力変動抑制部は、給水装置本体の外部から、軸線方向に引き抜き又は挿入可能に構成されている。
【0013】
このように構成された本発明によれば、定流量弁の下流側の給水通路が屈曲されているので、圧力変動抑制部を定流量弁の軸線方向に引き抜き又は挿入することにより着脱することができる。また、この構成により、圧力変動抑制部を、給水装置本体外部から着脱可能にしながら、給水装置本体の水密性を容易に確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の給水装置によれば、弾性リングを使用したタイプの定流量弁を組み込んだ場合にも、異音の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による給水装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態による給水装置全体を示す斜視図である。図2は、本実施形態の給水装置において、定流量弁が組み込まれた部分を拡大して示す斜視断面図である。図3は、本実施形態の給水装置に組み込まれている定流量弁の一部を切断して示す斜視断面図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の実施形態による給水装置1は、シャワー装置本体2と、ボディーシャワー用のボディーシャワーヘッド4と、ハンドシャワー用のハンドシャワーヘッド6と、オーバーヘッドシャワー用のオーバーシャワーヘッド8と、を有する。
【0017】
シャワー装置本体2は、縦長の棒状に形成されており、鉛直方向に延びるように壁面に設置される。また、シャワー装置本体2の前面には、下から順に、ボディーシャワー吐水用のボディーシャワーボタン10aと、ハンドシャワー吐水用のハンドシャワーボタン10bと、オーバーヘッドシャワー吐水用のオーバーヘッドシャワーボタン10cが配置されている。
【0018】
さらに、シャワー装置本体2は、その下端部に配置された第1脚部12と、その中央よりもやや上側に配置された第2脚部14と、を有し、これらの脚部で壁面に固定されている。また、シャワー装置本体2の下端には、吐水温度を調整するための温度調整用ツマミ16が設けられている。
【0019】
本実施形態による給水装置1は、ボディーシャワーボタン10aを押圧操作することによりボディーシャワーヘッド4から吐水され、ハンドシャワーボタン10bを押圧操作することによりハンドシャワーヘッド6から吐水され、オーバーヘッドシャワーボタン10cを押圧操作することによりオーバーシャワーヘッド8から吐水されるように構成されている。即ち、各ボタンの背面にはプッシュ式の水栓が配置されており、ボタンを押圧操作することにより吐水、止水が切り替えられる。また、各シャワーヘッドから吐水される湯水の温度は、温度調整用ツマミ16により調整できるようになっている。
【0020】
本実施形態の給水装置1においては、第2脚部14の内部に鋳造された給水装置本体18が収容されている。この給水装置本体18の内部には、給水通路が形成されており、給水通路の途中には、ボディーシャワー用、ハンドシャワー用、及びオーバーヘッドシャワー用のプッシュバルブが夫々配置されている。さらに、各プッシュバルブの下流側には、定流量弁が夫々配置されている。
【0021】
図2は、給水装置本体18の、ボディーシャワー用のプッシュバルブが収容されている部分を拡大して示した断面図である。図2に示すように、給水装置本体18の前面側には、ボディーシャワー用のプッシュバルブ30を収容するためのプッシュバルブ収容凹部18aが形成されている。プッシュバルブ収容凹部18aには、プッシュバルブ30が収容され、このプッシュバルブを挿入した状態で、円筒状のバルブ押さえ31をプッシュバルブ収容凹部18aの内壁面に形成された雌ねじに螺合させることにより、プッシュバルブを固定している。また、給水装置本体18内に形成された給水通路28は、給水装置本体18の下端から延び、プッシュバルブ収容凹部18aに連通されている。
【0022】
さらに、給水通路28からプッシュバルブ収容凹部18aに流入した湯水は、プッシュバルブ30を通ってプッシュバルブ30下流側の給水通路34に流出する。この給水通路34には、定流量弁36が配置されている。さらに、定流量弁36の定流量弁流出口に隣接して、圧力変動抑制部材44が配置されている。また、給水装置本体18内の流路は、定流量弁36及び圧力変動抑制部材44の下流側で約90゜屈曲されて給水通路35に連なり、この給水通路35はボディーシャワーヘッド4まで連通されている。なお、定流量弁36及び圧力変動抑制部材44の構成については後述する。
【0023】
次に、ボディーシャワー用のプッシュバルブ30の構成を説明する。
ボディーシャワー用のプッシュバルブ30は、主弁体32aと、この主弁体32aの圧力開放穴を開閉するパイロット弁32bと、このパイロット弁32bを移動させ、圧力開放穴を開閉するための操作部32cと、を有する。操作部32cは、一回押圧操作する毎にパイロット弁32bを圧力開放穴の閉鎖位置又は開放位置に交互に移動させるラッチ機構として構成されている。
【0024】
給水通路28からプッシュバルブ収容凹部18aに流入した湯水は、流入口32dから、主弁体32aに設けられた小穴32eを通って、圧力室32f内に流入する。主弁体32aの圧力開放穴がパイロット弁32bによって閉鎖されている場合には、小穴32eから流入した湯水の圧力により圧力室32f内の圧力が上昇する。圧力室32f内の圧力が上昇すると、この圧力により主弁体32aが給水装置本体18の背面側(図2における右側)に向かって押圧され、主弁体32aが弁座32gに着座して止水状態となる。
【0025】
次いで、操作部32cを操作することにより、パイロット弁32bが給水装置本体18の前面側(図2における左側)に向かって移動されると、主弁体32aの圧力開放穴が開放されて圧力室32f内の圧力が低下する。圧力室32f内の圧力が低下すると、主弁体32aは給水装置本体18の前面側に向かって移動され、主弁体32aが弁座32gから離れて吐水状態となる。吐水状態となると、流入口32dから流入した湯水は、圧力室32f内を通らずに、流出口32hに直接流出する。即ち、ボディーシャワー用のプッシュバルブ30の流入口32dから流入した湯水は、主弁体32aと弁座32gの間の隙間を通り、流出口32hからプッシュバルブ30の下方(給水装置本体18の背面側)に向かって流出する。
【0026】
なお、ボディーシャワーボタン10a(図1)は、ボディーシャワー用のプッシュバルブ30の操作部32c前面を覆うように配置されている。このため、ボディーシャワーボタン10aを押圧操作することにより、その裏側に位置する操作部32cが押圧され、ボディーシャワー用のプッシュバルブ30が止水状態又は吐水状態に交互に切り替えられる。
【0027】
次に、図3を参照して、定流量弁36の構造を説明する。
図3に示すように、定流量弁36は、固定部材38と、この固定部材38に対して摺動可能に支持されている可動部材40と、固定部材38と可動部材40の間に配置された弾性リング42と、を有する。
【0028】
固定部材38は、プッシュバルブ30下流側の給水通路34の内壁面に保持される円環状の部材であり、その下流端の中央部には定流量弁流出口38aが形成されている。
【0029】
可動部材40は、円環状の外周部40aと、この外周部40aから半径方向内方に延びる4本のアーム部40bと、これらのアーム部40bにより外周部40aの中央に支持された柱状部40cと、を有する。外周部40aは、固定部材38の内周に、軸線方向Aに摺動可能に嵌め込まれている。柱状部40cは、側面に複数の凸部が形成された円柱状の部材である。湯水は、柱状部40cと外周部40aの間に形成される4つの概ね扇形の流路を通って定流量弁流出口38aから流出する。
【0030】
弾性リング42は、可動部材40の外周部40aと固定部材38の段部38bの間に配置されたゴム製のリングである。吐水状態においては、プッシュバルブ30から流出した湯水が、可動部材40を軸線方向に押圧する。この押圧力により弾性リング42は、外周部40aと段部38bの間で圧縮され、弾性変形される。この弾性変形により、弾性リング42は半径方向内方に延出され、柱状部40cと外周部40aの間の流路が狭められる。弾性リング42が延出される量は湯水による押圧力が強いほど大きくなり、定流量弁36に流入する湯水の圧力が高いほど流路は狭くなる。これにより、流入する湯水の圧力が変化した場合にも、定流量弁36を通過する流量はほぼ一定に維持される。本実施形態においては、弾性リング42として、円形断面のOリングが使用されている。なお、任意の断面形状のパッキン等を、弾性リング42として使用することもできる。
【0031】
次に、図4を参照して、圧力変動抑制部材の構成を説明する。図4は圧力変動抑制部材の側面図である。
図4に示すように、圧力変動抑制部材44は、定流量弁36の定流量弁流出口38aと対向するように配置される概ね円板状の圧力変動抑制部44aと、圧力変動抑制部44aの背面から延びる円柱状の支持軸部44bと、支持軸部44bの基端側に形成された雄ねじ部44cと、を有する。図2に示すように、圧力変動抑制部材44の雄ねじ部44cは、給水装置本体18の背面に形成された雌ねじ部18bに螺合されるように構成されている。さらに、雌ねじ部18bの中心軸線と、定流量弁36の中心軸線は一致するように構成されている。また、圧力変動抑制部材44の雄ねじ部44cの基端側には、Oリング46が配置されており、圧力変動抑制部材44と給水装置本体18の間の水密性が確保されている。
【0032】
圧力変動抑制部材44を給水装置本体18の雌ねじ部18bに背面側外部から挿入し、雄ねじ部44cと雌ねじ部18bを螺合させると、圧力変動抑制部材44先端の圧力変動抑制部44aは、定流量弁36の定流量弁流出口38aの近傍に位置決めされる。即ち、支持軸部44bは、給水通路34から屈曲して延びる給水通路35を横断するように、給水装置本体18の背面側から延び、圧力変動抑制部44aを給水通路内の適所に保持する。また、圧力変動抑制部材44を取り外す際には、雄ねじ部44cを雌ねじ部18bから外し、圧力変動抑制部材44を給水装置本体18の背面側外部から軸線方向に引き抜く。
【0033】
定流量弁流出口38aに対向するように位置決めされる圧力変動抑制部44aの対向面44dは、中央が高く、周辺部に向かって高さが低くなるドーム形に形成されている。従って、対向面44dは定流量弁流出口38aに向かって凸状の曲面に、即ち、圧力変動抑制部44aの軸線方向断面の縁は、定流量弁流出口38aに向かって凸形の曲線になる。このため、対向面44dは、中央部において最も定流量弁流出口38aに近接し、周辺部においては定流量弁流出口38aから離れるように配置される。また、圧力変動抑制部44aの直径は、定流量弁流出口38aの直径よりも大きく構成されている。従って、圧力変動抑制部44aは、その軸線方向の投影面が定流量弁流出口38aを取り囲むように構成されている。また、支持軸部44bは圧力変動抑制部44aよりも細く、即ち、支持軸部44bの直径は、圧力変動抑制部44aの直径よりも小さく形成されている。
【0034】
次に、本発明の実施形態による給水装置1の作用を説明する。
まず、止水状態において、ボディーシャワーボタン10aを一回押圧操作すると、ボディーシャワー用のプッシュバルブ30の操作部32cが、パイロット弁32bを主弁体32aから引き離す。これにより、圧力室32f内の圧力が低下して、主弁体32aが弁座32gから離れ、吐水状態となる。ボディーシャワー用プッシュバルブ30が吐水状態になると、給水用配管及び給湯用配管からの水及び湯が、温調用サーモ水栓内で適温に混合され、給水装置本体18に流入する。
【0035】
給水装置本体18に流入した湯水は、給水通路28を通ってプッシュバルブ収容凹部18a内に流入し、ここに配置された開放状態にあるボディーシャワー用のプッシュバルブ30を通過する。プッシュバルブ30を通過した湯水は、定流量弁36に流入し、所定の流量に調整される。定流量弁36を通過した湯水は、定流量弁36と圧力変動抑制部44aの間の空間に流入する。ここで、圧力変動抑制部44aとその周囲の給水通路の内壁面との間の隙間は比較的小さいため、定流量弁36を通過して低下した湯水の圧力が急激に増加(回復)することはない。
【0036】
なお、圧力変動抑制部44aと内壁面との間の隙間は、小さく設定し過ぎると給水装置1からの吐水流量の低下を招くため、吐水流量が著しく低下することのない範囲で、最大の異音抑制効果が得られるように、隙間を決定するのがよい。一般に、給水装置1からの吐水流量は、主に、全通水路における最小の流路断面積により支配される。従って、圧力変動抑制部周囲の流路断面積が全通水路における最小の流路断面積にならないように隙間を決定することにより、圧力変動抑制部による流量の低下を回避することができる。
【0037】
定流量弁36と圧力変動抑制部44aの間に流入した湯水は、圧力変動抑制部44aを周囲に迂回しながら流れ、圧力変動抑制部44aの背面側に流入する。この際、湯水は、その圧力を漸増させながら、給水通路35に流入する。給水通路35に流入した湯水は、ボディーシャワーヘッド4の散水板4aからボディーシャワーとして吐出される。
【0038】
本発明の実施形態の給水装置によれば、定流量弁の定流量弁流出口に対向して圧力変動抑制部が配置されているので、定流量弁下流側での急激な圧力変動を抑制することができ、弾性リングを使用したタイプの定流量弁を使用しながら、異音の発生を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態の給水装置によれば、圧力変動抑制部の対向面が、定流量弁流出口に向かって凸状の曲面に形成されているので、定流量弁下流側の流路断面積が緩やかに増加され、これにより、定流量弁を通過した湯水の流れを整流すると共に、異音の発生をさらに抑制することができる。
【0040】
さらに、本実施形態の給水装置においては、圧力変動抑制部が背面から延びる支持軸部によって保持されている。このため、圧力変動抑制部を適所に保持するためのアーム等を圧力変動抑制部の周囲に設ける必要がなく、圧力変動抑制部と給水通路内壁面の間の流路を連続した環状に形成することができる。これにより、定流量弁から流出した湯水に乱流が発生するのを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態の給水装置においては、定流量弁の下流側の給水通路が屈曲されているので、圧力変動抑制部を定流量弁の軸線方向に引き抜き又は挿入することにより着脱することができる。この構成により、圧力変動抑制部を給水装置本体外部から着脱することができるので、メンテナンスを容易にすることができると共に、給水装置本体の水密性を容易に確保することができる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、本発明をシャワー装置に適用していたが、本発明は任意の給水装置に適用することができる。
また、上述した実施形態においては、圧力変動抑制部の対向面が凸状の曲面に形成されていたが、対向面は、円錐面等、任意形状の面に形成することができる。
さらに、上述した実施形態においては、圧力変動抑制部は、定流量弁とは別体に構成されていたが、圧力変動抑制部を定流量弁と一体に構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態による給水装置全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の給水装置において、定流量弁が組み込まれた部分を拡大して示す斜視断面図である。
【図3】本発明の実施形態の給水装置に組み込まれている定流量弁の一部を切断して示す斜視断面図である。
【図4】圧力変動抑制部材の側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 本発明の実施形態による給水装置
2 シャワー装置本体
4 ボディーシャワーヘッド
6 ハンドシャワーヘッド
8 オーバーシャワーヘッド
10a ボディーシャワーボタン
10b ハンドシャワーボタン
10c オーバーヘッドシャワーボタン
12 第1脚部
14 第2脚部
16 温度調整用ツマミ
18 給水装置本体
18a プッシュバルブ収容凹部
18b 雌ねじ部
28 給水通路
30 プッシュバルブ
31 バルブ押さえ
32a 主弁体
32b パイロット弁
32c 操作部
32d 流入口
32e 小穴
32f 圧力室
32g 弁座
32h 流出口
34 給水通路
35 給水通路
36 定流量弁
38 固定部材
38a 定流量弁流出口
38b 段部
40 可動部材
40a 外周部
40b アーム部
40c 柱状部
42 弾性リング
44 圧力変動抑制部材
44a 圧力変動抑制部
44b 支持軸部
44c 雄ねじ部
44d 対向面
46 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定流量弁を備えた給水装置であって、
内部に給水通路が形成された給水装置本体と、
上記給水通路の途中に配置された定流量弁と、を有し、この定流量弁は、上記給水通路の内壁面に保持され、下流端に定流量弁流出口が形成された固定部材と、この固定部材に対して所定の軸線方向に摺動可能に支持された可動部材と、上記固定部材と上記可動部材の間に配置され、上記可動部材が水圧により押圧されると弾性変形されて流路を狭める弾性リングと、を備え、さらに、
上記定流量弁流出口に対向して配置され、上記定流量弁流出口に対向する対向面が、中央部において上記定流量弁流出口に近接し、周辺部において上記定流量弁流出口から離間し、上記軸線方向の投影面が上記定流量弁流出口を取り囲むように形成された圧力変動抑制部と、
を有することを特徴とする給水装置。
【請求項2】
上記圧力変動抑制部は、上記対向面が、上記定流量弁流出口に向かって凸状の曲面に形成されている請求項1記載の給水装置。
【請求項3】
上記圧力変動抑制部は、その背面から延びる支持軸部を備え、この支持軸部は、上記圧力変動抑制部よりも細く形成されると共に、上記圧力変動抑制部を上記給水通路内の適所に保持する請求項1又は2に記載の給水装置。
【請求項4】
上記給水通路は、上記定流量弁の下流側において屈曲されており、上記圧力変動抑制部は、上記給水装置本体の外部から、上記軸線方向に引き抜き又は挿入可能に構成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の給水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−156430(P2009−156430A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338080(P2007−338080)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】