説明

給水装置

【課題】ノイズの原因となるリード線を介在させずにDCポンプとコンバータとを接続することができ、且つコンパクトな給水装置を提供する。
【解決手段】本発明の給水装置は、DC電圧によって駆動されるDCポンプ1と、AC電圧をDC電圧に変換するコンバータ2とから成る。そして、DCポンプ1が有するポンプ側接続部27と、コンバータ2が有するコンバータ側接続部35とが、一体に結合されている。これにより、DCポンプ1とコンバータ2を電気接続させるためにリード線を介在させる必要がなく、ノイズが抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DCポンプとコンバータとから成る給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるポンプは、外部から供給されるDC電圧により駆動されるDCポンプであり、バッテリ等に電気接続するためのコネクタを備えている。このDCポンプをAC電源で駆動する場合には、AC電圧をDC電圧に変換するコンバータを用い、ポンプ側のコネクタをコンバータに対してリード線で接続する。これにより、DCポンプとコンバータとを接続させた給水装置が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−114979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DCポンプとコンバータをリード線で接続する構成の給水装置では、リード線の部分からノイズが発生し、このノイズがポンプ制御に影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みて発明したものであって、ノイズの原因となるリード線を介在させずにDCポンプとコンバータとを接続することができ、且つ全体がコンパクトとなった給水装置を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の給水装置は、DC電圧よって駆動されるDCポンプと、AC電圧をDC電圧に変換するコンバータとから成り、前記DCポンプが有するポンプ側接続部と、前記コンバータが有するコンバータ側接続部とが、一体に結合されることを特徴とする。
【0007】
本発明の給水装置では、前記ポンプ側接続部と前記コンバータ側接続部のうち一方がピンプラグであり、他方が前記ピンプラグの挿入される端子孔であり、前記ピンプラグが前記端子孔に挿入された状態で、前記DCポンプに対する前記コンバータの回転位置が変更自在であることが好ましい。
【0008】
また、前記コンバータの外郭をなすケーシングは、前記コンバータ側接続部が形成されるベース部と、前記ベース部と対向するカバー部とを有し、前記カバー部は、前記ベース部に略平行な頂壁部と、この頂壁部の端縁から前記ベース部側に傾斜して延設される斜壁部とを有することも好ましい。
【0009】
また、前記コンバータの外郭をなすケーシングは、前記コンバータ側接続部が形成されるベース部と、前記ベース部に対向するカバー部とを有し、前記カバー部の内面には、騒音減衰用の凹凸形状を設けていることも好ましい。
【0010】
また、前記コンバータの外郭をなすケーシングは、前記コンバータ側接続部が形成されるベース部を有し、前記ベース部は、導電性の金属を用いて形成されることも好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ノイズの原因となるリード線を介在させずにDCポンプとコンバータとを接続することができ、且つ装置栓体がコンパクトに構成されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1の給水装置においてDCポンプとコンバータとが分離された状態の斜視図である。
【図2】同上の給水装置においてDCポンプとコンバータとが別の姿勢で分離された状態の斜視図である。
【図3】同上のDCポンプの断面図である。
【図4】本発明の実施形態2の給水装置においてカバー部を外した状態の斜視図である。
【図5】同上の給水装置のコンバータ内で騒音が減衰される様子を概略的に示す側面図である。
【図6】本発明の実施形態3の給水装置の斜視図である。
【図7】同上の給水装置の基本配置を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0014】
図1、図2には、本発明の実施形態1の給水装置を示している。本実施形態の給水装置は、DC電圧によって駆動されるDCポンプ1と、AC電圧をDC電圧に変換するコンバータ2とから成る。図では結合させていないが、DCポンプ1とコンバータ2は一体に結合された状態で使用される。
【0015】
まず、本実施形態のDCポンプ1の構成について、図3に基づいて述べる。本実施形態のDCポンプ1は、インナーロータ型のポンプであり、巻線3を有するステータ4と、この巻線3への通電を制御する制御回路基板5と、マグネット6を有するロータ7と、ステータ4側とロータ7側を仕切る仕切壁8とを有する。仕切壁8は、カーボン入りPPS樹脂を用いて椀型に成型されたものであり、この仕切壁8の外側面にステータ4を嵌め込んだ状態で、樹脂9によって制御回路基板5ごと一体化されている。これにより、ステータブロック10が形成される。
【0016】
椀型である仕切壁8の内部には、仕切壁8の内周面との間に僅かなスペースを保つようにロータ7が配置される。このロータ7は、軸方向両端の開口した環状の外形を有し、中央に配置されるセラミックス製の軸部材12を中心として、回転自在に支持される。軸部材12の軸方向の一端部は、仕切壁8の内底面側から突設される軸支持部14によって、回転不能に支持される。軸部材12の他方の一端部は、軸支持部14と対をなす軸支持部15によって、回転自在に支持される。軸部材12の外周には軸受16が配され、この軸受16を介してロータ7が軸部材12の軸心まわりに回転自在となる。
【0017】
仕切壁8にはポンプケース22がネジ固定され、仕切壁8との間でポンプ室21を形成する。ポンプ室21内には羽根車20が回転自在に収容される。羽根車20は、ロータ7と一体に形成されたものであり、ロータ7の回転駆動に伴ってこれと一体に回転駆動される。ポンプケース22からは、ポンプ室21内に水を吸入する吸入管23と、ポンプ室21内から水を吐出する吐出管24が突設されている。吸入管23は軸部材12と同軸上に突設され、吐出管24は、ポンプケース22の外側面から側方に突設されている。
【0018】
本実施形態のDCポンプ1では、制御回路基板5がステータ4と一体に接合されており、仕切壁8に対してポンプケース22が位置する側とは反対側の位置にて、制御回路基板5とステータ4が一体に樹脂モールドされる。
【0019】
ステータブロック10は、制御回路基板5と略平行に形成された接続面11を有する。接続面11は略平坦であり、その中央部には端子孔26が形成されている。この端子孔26が、本実施形態のDCポンプ1が有するポンプ側接続部27である。
【0020】
端子孔26は、後述のピンプラグ34が挿入される凹孔部分であり、軸方向にそって複数の電極部28が配置されている。ここでの電極部28としては5極が配置され、駆動電源、GND、制御電源、能力可変信号及び回転数信号用の電極として、それぞれ用いられる。
【0021】
次に、コンバータ2の構成について、図1や図2に基づいて述べる。コンバータ2は、略ボックス型のケーシング30を備え、この外郭をなすケーシング30内部の収容空間に、変換用の各機器(図示略)を配している。ケーシング30は、DCポンプ1のステータブロック10に対して着脱自在に装着されるベース部31と、このベース部31との間で収容空間を形成するカバー部32とから成る。
【0022】
ベース部31は、略平坦な接続面33を有し、この接続面33の中央部からピンプラグ34が突設されている。このピンプラグ34が、本実施形態のコンバータ2が有するコンバータ側接続部35である。ピンプラグ34は、いわゆる多極単頭プラグ(同軸多極プラグ)であり、DCポンプ1の端子孔26に備えた電極部28と1対1で対応する5極の電極部36が、同軸上に配置されている。隣接する電極部36間には絶縁部37が配されている。
【0023】
ケーシング30は、接続面33と略垂直な側壁部38をさらに左右一対有する。一対の側壁部38の一方には、AC電源(図示略)との接続を行うためのAC接続部39を設けている。
【0024】
カバー部32は、ベース部31と対向する位置に配されるものであり、中央の頂壁部40と、この頂壁部40を両側から挟む位置にある一対の斜壁部41と、これら斜壁部41をさらに両側から挟む位置にある一対の側壁部42とを有する。頂壁部40は、ベース部31と略平行な姿勢となり、この頂壁部40の両端縁から延設される一対の斜壁部41は、それぞれベース部31側に傾斜した姿勢となる。また、一対の斜壁部41の端縁からそれぞれ延設される側壁部42は、ベース部31と略垂直な姿勢となる。各側壁部42の先端部が、ベース部31の端部に当接する。
【0025】
前記構成のコンバータ2をDCポンプ1に装着するには、コンバータ2のピンプラグ34をDCポンプ1の端子孔26内に差し込んで一体に結合させ、コンバータ2の接続面33がDCポンプ1の接続面11に当接するようにセットすればよい。ピンプラグ34が端子孔26と結合された状態で、DCポンプ1に対するコンバータ2の回転位置は変更自在である。そのため、AC電源との接続方向等の各種状況に応じて、コンバータ2を図1のような回転位置にセットしてもよいし、図2のような回転位置にセットしてもよい。
【0026】
また、本実施形態のカバー部32は頂壁部40と斜壁部41を有しているので、背の高い機器を収容できるだけの収容空間をベース部31とカバー部32との間(特に、ベース部31と頂壁部40との間)で確保しつつ、収容空間内で騒音が共鳴することを斜壁部41の存在で抑制する構造となる。
【0027】
なお、ポンプ側接続部27としてピンプラグ34を用い、コンバータ側接続部35として端子孔26を用いた構造でもよく、この構造であっても、ポンプ側接続部27とコンバータ側接続部35は回転自在に結合される。
【0028】
次に、本発明の実施形態2の給水装置について、図4、図5に基づいて説明する。なお、実施形態1において既述した構成と同様のものについては、説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、本実施形態の給水装置においては、コンバータ2側に配されるカバー部32のうち、ベース部31と略平行に位置する頂壁部40の内面に、多数の凸状体50をマトリクス状に配列させている。各凸状体50は四角錘形状を有し、その頂部をベース部31側にむけて配置される。この凸状体50が多数配置されることで、頂壁部40の内面には騒音減衰用の凹凸形状が形成される。図5には、DCポンプ1の振動がベース部31に伝達されて生じる騒音が、カバー部32内面の凹凸形状によって減衰される様子を、模式的に示している。
【0030】
本実施形態の給水装置によれば、カバー部32が頂壁部40の周囲に斜壁部41を有することに加えて、この頂壁部40の内面には凸状体50を多数配列させているので、収容空間を確保しながらこの空間内での共鳴等は効果的に抑制される。
【0031】
次に、本発明の実施形態3の給水装置について、図6、図7に基づいて説明する。なお、実施形態1,2において既述した構成と同様のものについては、説明を省略する。
【0032】
本実施形態の給水装置では、コンバータ2のケーシング30のうち少なくともベース部31を、アルミニウムや鉄等の導電性の金属によって形成している。これにより、図7に模式的に示すように、DCポンプ1にて樹脂モールドされる制御回路基板5やこれに実装されるインバータ部品60と、コンバータ2内の機器との間に、ベース部31が介在された配置となる。導電性金属板であるベース部31は、DCポンプ1側のモータやインバータ部品60から発生する輻射ノイズを遮蔽するように作用し、ノイズ低減に寄与する。加えて、導電性金属板であるベース部31が放熱板としても作用し、放熱性向上にも寄与する。このベース部31は、接地させて設けることが好適である。また、このベース部31を、DCポンプ1の樹脂9と一体に成型することも好適である。
【0033】
以上述べたように、本発明の実施形態1−3の給水装置は、DC電圧によって駆動されるDCポンプ1と、AC電圧をDC電圧に変換するコンバータ2とから成る。そして、DCポンプ1が有するポンプ側接続部27と、コンバータ2が有するコンバータ側接続部35とが、一体に結合されている。この給水装置では、DCポンプ1とコンバータ2を電気接続させるためにリード線を介在させる必要がない。そのため、リード線の部分からノイズが発生することがなく、ポンプ制御に影響を及ぼすようなノイズが抑制される。また、給水装置全体がコンパクトに構成される。
【0034】
更に、本発明の実施形態1−3の給水装置では、ポンプ側接続部27とコンバータ側接続部35のうち一方がピンプラグ34であり、他方がピンプラグ34の挿入される端子孔26である。ピンプラグ34が端子孔26に挿入された状態で、DCポンプ1に対するコンバータ2の回転位置が変更自在である。これにより、AC電源との接続方向等の各種の状況に対応して、コンバータ2の回転位置を自在に選択することが可能となる。
【0035】
更に、コンバータ2の外郭をなすケーシング30は、コンバータ側接続部35が形成されるベース部31と、ベース部31と対向するカバー部32とを有する。カバー部32は、ベース部31に略平行な頂壁部40と、この頂壁部40の端縁からベース部31側に傾斜して延設される斜壁部41とを有する。これにより、背が高い機器であっても収容できるだけの収容空間をコンバータ2内に確保しながら、この収納空間内で共鳴が生じることは抑制できるものとなっている。
【0036】
また、本発明の実施形態2の給水装置において、コンバータ2の外郭をなすケーシング30は、コンバータ側接続部35が形成されるベース部31と、ベース部31に対向するカバー部32とを有し、カバー部32の内面には、騒音減衰用の凹凸形状を設けている。これにより、コンバータ2の収納空間内にて共鳴が生じることが、より効果的に抑制される。そのため、DCポンプ1の振動によって騒音を生じることが、より効果的に抑制される。
【0037】
また、本発明の実施形態3の給水装置において、コンバータ2の外郭をなすケーシング30は、コンバータ側接続部35が形成されるベース部31を有し、ベース部31は、導電性の金属を用いて形成されている。これにより、DCポンプ1側で生じる輻射ノイズをこのベース部31にて遮蔽し、ノイズ低減を図ることができる。また、ベース部31によって放熱性を向上させることもできる。
【0038】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記各例の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、各例において適宜の設計変更を行うことや、各例の構成を適宜組み合わせて適用することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 DCポンプ
2 コンバータ
26 端子孔
27 ポンプ側接続部
30 ケーシング
31 ベース部
32 カバー部
34 ピンプラグ
35 コンバータ側接続部
40 頂壁部
41 斜壁部
50 凸状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC電圧よって駆動されるDCポンプと、AC電圧をDC電圧に変換するコンバータとから成り、前記DCポンプが有するポンプ側接続部と、前記コンバータが有するコンバータ側接続部とが、一体に結合されることを特徴とする給水装置。
【請求項2】
前記ポンプ側接続部と前記コンバータ側接続部のうち一方がピンプラグであり、他方が前記ピンプラグの挿入される端子孔であり、前記ピンプラグが前記端子孔に挿入された状態で、前記DCポンプに対する前記コンバータの回転位置が変更自在であることを特徴とする請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記コンバータの外郭をなすケーシングは、前記コンバータ側接続部が形成されるベース部と、前記ベース部と対向するカバー部とを有し、前記カバー部は、前記ベース部に略平行な頂壁部と、この頂壁部の端縁から前記ベース部側に傾斜して延設される斜壁部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記コンバータの外郭をなすケーシングは、前記コンバータ側接続部が形成されるベース部と、前記ベース部に対向するカバー部とを有し、前記カバー部の内面には、騒音減衰用の凹凸形状を設けていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項5】
前記コンバータの外郭をなすケーシングは、前記コンバータ側接続部が形成されるベース部を有し、前記ベース部は、導電性の金属を用いて形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の給水装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−47501(P2013−47501A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186457(P2011−186457)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】